【吉本】義元芸人総合【善元】【ヨシモト】

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44必読94 その他tomahu
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可愛い子も賢い子も結局はね ロザン宇治×菅

はたと視界が明瞭になった。あかあかとした蛍光灯のした、転がるアルコール類の空き缶。
フローリングの床にまるくなって寝ている相方。そうか、ネタ合わせをしていたのだ。

「またなんでそんな寝方なん…。」
身体は痛くないのだろうか。自分も壁に凭れたままうとうとしていたから、人のことは言えないけれど。
毛布をとってその背にかけてやる。と、まるい塊が身じろいだ。「うじ。」「あ、ゴメン起こした?」
のそりと身体を起こした菅は、手の甲で目を擦っている。「んーん。ゴメン、途中で寝てもうて…。」
あ、そうか。寝てしまう直前まで、何かの話の途中だった気がする。寝起きでぽやっとした顔のまま、見上げてくる菅。
「何の話やったっけ。」「何や、おまえも覚えてないんか。」
「なんか、ネタ合わせが済んだとこまでは覚えてんねんけど。」
結構イケるんちゃうか、ってネタができて、早い時間からいい雰囲気で呑んでいたはずだ。
ふたりともいい気分だったせいか、かなりのピッチで結構飲んでいて、その間のことがよく思い出せない。
「まあ、ええか。大事なことやったらそのうち思い出すんちゃう?」
「そやな。」「菅ちゃん、今日もう泊まってくよな?」
「うん。風呂貸して。」
「ええよ。あ、タオルいつもんとこ。」
眠っていて呆けた頭を掻きながら、空き缶を集める。…。思い出そうとすればするほど分からん。
そういう記憶ほど、頭の片隅に頑固にへばり付いて、出てこようとせんねん。
まあいいと思いながらも、思い出せないということがプライドに小さく火を点ける。
…?
「うじー、シャンプー切れた!」「…。詰め替え下の段の棚に入ってるから。」
菅ちゃん、タイミング悪いわ。もうちょっとで思い出せそうな気ぃしたのに、負け惜しみやけど。
「アヒル隊長買おうやあ。」「そんなもんどうすんの。」
「風呂に浮かべて遊ぶー。可愛いやろ?」
またそんな悪そうな笑顔で。わざわざアピールせんくても、十分可愛いで、おまえは。そう言うと菅は微妙な顔で黙った。
「ん?」「いや、何でもない。何か思い出しそうやってんけど。」
45必読94 その他tomahu:2007/05/13(日) 05:02:31 ID:qHSCfTHeO
予備の布団を敷いてやって、電気を消す。「なーうじ、寝たー?」
「起きてるよ。何や、中学生か。」
そう言いながらも、何となく違和感が消えない。なんや、はよ寝な。明日朝から先輩と営業やねんから。
あの先輩ええひとやねんけどすぐ絡んでくるから…
「あ。」反射的にがばりと起き上った。菅も起きていた。暗闇の中目が合う。
『うーちゃんはあ、俺のことすきー?』
『なに言うてんのー菅ちゃん。勿論すきやでー』
『じゃーチューしてやあ』
『酔うてんのー?』
『チューできんのやったらすきとは言わんー』
『えー』『うじのあほー』
『ええー』『あほー』
拗ねてまるくなって、そのまま寝てまったんやな。というか、アホまるだしやんか。俺ら。
いたたまれない空気が流れる。「……。」「……。」
取り敢えず、ベッドから下の布団に降りる。くりくりの目が真っすぐにこっちを見つめていた。
おまえら仲よすぎるやろ、先輩に言われた言葉がリフレインする。
そう、そこから始まった会話だった。そら仲エエよなぁ、俺ら。それはどこのコンビにやって負けてへんよな。
そんなふうに。歯に挟まったような、そんな会話。いつもなら言い出したりできない
、ふたりとも持っている常識が多すぎたから。けど。
動物にするように、子どもにするように、優しく髪を撫でてやる。実際動物も子どもも撫でたこと
なんてほとんどないけど。大きな目からぽろりと涙が零れて、手の甲でそっと拭う。
菅が目を閉じた。至近距離。まつげが長い。俺も目を閉じた。
やから、可愛いアピールせんくても十分可愛いって。イチゴの歯磨き粉味ってどないやねん。
これはさすがに、明日の朝になっても忘れてへんと思う。

END.



ひょんなことから両思い(笑)
こあくまはたぶんきょーだいより早い段階で思い出している