I need you 2**G.side
「そろそろ時間やな」時計は夕方6時を示そうとしていた。オレンジ色の光が、カーテンを通し淡く部屋を染める。
散らばるズボンに拾い、早々と着衣を始めた。汚さないようにとは思ったものの、少しカーペットにシミが残ってしまった。
そのシミをジッと見つめていると、自分の冒している過ちを責められる世界へと、誘われる気持ちになった。
これを罪悪感と呼ぶのだろう。彼を思う度、痛く胸が締め付けられる。
「川島くん、次水曜日やけどええよな」「‥‥」
彼の部屋に掛けてあるカレンダーに、罰印を付けるのは俺の役目。最初、彼には時間がないからとカレンダーも時計もなかった。
だから、俺が置いた。彼との時間を刻み込む。しかし、その背後で黙ってしまった彼が気になり、印を付ける前に後ろを振り返った。
「どないした?」
「また、待つんや‥‥」
「‥‥っ、」
彼の気持ちが、ひしひしと伝わった。まるで、ゆっくりとコップに水が注がれていき、徐々に満ち溢れるかのように感じ取れた。
明は、俺を必要としている。「川島くんは、俺が仕事で来てる事が嫌なんや」
「うん」―――あかん。
「俺が仕事してる事が嫌なんや」
「‥‥せや、」―――自分、止まれ。
「俺が嫌なんや」「‥‥、」
カレンダーの今日の日付は、罰印が付く事なく真っ白のまま。その色と同じような空気が、部屋を包み込む。固まったままの
状態の彼の目は、俺を金縛りにさせた。その途端、彼の目から涙が溢れた。それを見た俺は、自分の愚かさにカーっと
胸が熱くなり我に返る。慌てて彼を抱きしめれば、細い体はすっぽりと腕に収まる。
「ごめん、苛めた」「‥‥っ、」自分は小さい。誰よりもこいつの成長を望み、他の誰よりもそれを阻止していた。
end≠自分を見失うほど、愛した君