997 :
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998 :
2:2007/02/08(木) 01:32:51 ID:CyIhZTln0
「さっそくネトウヨどもが食いついてきたな」
アカピ本社編集室。投稿のプリントアウトや郵便物の山を目にして、
アカピファミリーの長であるアカピ@新聞は御満悦だ。
「しかしどれもこれも、2chに書かれているものの単なる(しかしアカピには反論できない)コピペの
ようではないか。しかも差出人住所氏名が書かれていない」
あの程度の賞品につられて、自分の個人情報を明かす愚か者はいなかったのだ。
「これでは本来の目的を果たせんではないか…ん?」
アカピ@新聞は紙の山の中から、一枚の葉書をつまみ出し、週アに示した。
書かれている内容は、他の投稿物と大差ない。だが、その葉書にはリターンアドレスが
記されていた。
999 :
3:2007/02/08(木) 01:33:38 ID:CyIhZTln0
某地方都市の、何の変哲もないアパート。
週アは変装のつもりで鼻から下を覆うようにマフラーを巻き、眼鏡をかけ、
葉書に書かれていた部屋のドアに貼り付くように身を寄せていた。
本当に投稿者本人が当該住所に居住しているのか確認しに来たのである。
今は東亜のレスをコピペして送りつけるだけのヘタレだが、後々特アにとって
不都合な真実を収集・公開するだけの能力を有する存在に成長するかもしれない。
災いの芽は早めに摘み取るに限る。
しかしこの部屋に踏み込むにしても、本人確認が先だ。投稿者が別人の住所を葉書に記載した
可能性もある。また、間違い無く本人が住んでいるとしても、家族が一緒か、それは何人か、等等、
把握しておかねばならない。
そんなわけで週アは扉の外から聞き耳を立てて、中の様子を窺っていたのだった。
―――――みし。
「!」
今確かに床か何か軋む音が聞こえた!
そう思った週アがいよいよぴたりとドアにしがみついた時。
ものすごい勢いでドアが中に向かって開かれ、週アは倒れるように室内に引きずり込まれ、同時に
何か液体を鼻に噴射されて、週アは意識を失った。気を失う寸前、このアパートは日本には珍しく
玄関ドアが内開きだったから選んだんだよ、と呟く声を聞いた気がした。
意識を取り戻した時、週アは自分が奇妙なパソコンの前に座らされているのに気付いた。
すっぽりと覆いをかけられたモニター。
上面と側面が塗り潰されたキー。
動かせないよう固定されたマウス。
未だ自分の置かれた現状を把握出来ず、まごついている週アの後頭部に、ゴリッと金属の感触のするものが
押し付けられる。
「今から俺が言う通りに打てば、無事にここから出してやる」
―――ああ、自分は嵌められたのだ。あの葉書は自分をここへ連れ込むための餌だったんだ。
週アはがくりと首を折った。
1000 :
4おわり:2007/02/08(木) 01:34:38 ID:CyIhZTln0
「まず上から3段目、エンターキー(形で判る)から左に3つ目」
ブラインドタッチくらいは出来た筈だが、
「次に上から3段目、エンターキーから左へ6つ目」
この極度の緊張状態、
「上から2段目、右から4つ目」
加えてこのキーとモニターの状態では、
「上3(面倒になってきたようだ)、左6、上3、エンター左5、下から2段目、中央二連打」
自分が今打たされているのが英字なのか日本語なのか、
「今二連打したキーの右隣、次に上3、エンター左4」
それすらさだかではない。
「上3、左4、スペース…リターン…左クリック」
それで終いだった。
週アは縛って目隠しをし、猿轡をかませた状態で公衆トイレの個室に置き去られた。
すぐに発見され、無事に帰社することができた。
約束通り、傷一つつけられていない。いないが―――
週アは自分のデスクのパソコンのキーボードを凝視した。懸命に記憶をたどり、打たされたキーの
配列を思い出す。
「pu-tinn…moe?」
殺風景を通り越し、あの奇妙なパソコン以外何もないアパートの一室。
今は覆いを取り去られたモニターに、「書き込む」ボタンの上に未だ置かれたままの
カーソルが映し出されていた