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| 801板なのに…
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ギャルゲ小説にインスパイアされたって…
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主将翼の転校少年君の話です。
O倉着火氏のセンチメンタルなんとか(転校少年物の純愛ギャルゲー)テイストを
目指してみましたが、果たしてせつなさは炸裂するのかどうか…?
(5レス分お借りします)
75 :
(1/5):2006/12/25(月) 17:14:19 ID:DGFLA4eb0
ふらの小
転入したばかりの岬が自己紹介でサッカーの話をしたのがきっかけとなり、
松山は教師から校内の案内役を任せられる。
最初は兄貴風を吹かせて岬を案内する松山だったが、放課後、最後に案内した
サッカー部のグラウンドで、岬に見事なテクニックを見せつけられてからは
少し複雑な気持ちになる。
『光はちょっと不器用な所がある。』
時々ではあるが周囲からそういった評価を受けることがあり、受けた側自身もそれを
自覚し、嫌っていた。
そしていわゆる《出来る奴・素質のある奴》に対し、敵対心と劣等感の入り混じった
感情を抱くことが多かった。
そしてこの日、笑顔で器用なプレーを披露する転入生に対しても、同様の感情を
抱くのであった――。
76 :
(2/5):2006/12/25(月) 17:15:27 ID:DGFLA4eb0
日頃からの面倒見の良さとリーダーシップの高さから、松山は誰の反対も無く新チームの
主将に選ばれた。ただ、時折見せる曇りがかった表情を、気掛かりに思う者も何人かいた。
スランプに足を踏み入れかけているのかもしれない…だとしたら早く引き戻さなければ。
「でもどうやって…?」
一歩間違えれば益々深みにという恐れから、具体的な対処法を見出すことが出来ない。
メンバー達が腕組みで唸る中、ただ一人明るく行動する者がいた。
「…岬?!」
「松山、そろそろ時間だから帰ろう。今日は学校外も案内してくれないかな?」
77 :
(3/5):2006/12/25(月) 17:16:31 ID:DGFLA4eb0
部活では屋外へランニングに出ることもあると聞いていた岬は、早速そのコースを
教えて欲しいと松山に伝えた。
松山もその要望に応えるが、時間も時間なので厳しそうなら途中で引き返すという
条件付きとなった。
「とはいえお互い妥協は無しだ。中途半端は嫌だろ?完走するつもりで行くぞ。」
「うん、完走しよう。」純粋だが、強気な笑顔で返す。
その表情から目を逸らすように松山は前を向き、一気に走り出す。岬も後に続く。
(…こいつ、どうして…)
ランニング中も、言い様の無い疑問と苛立ちをふと感じては振り切るを繰り返した。
(走りに集中しなければ…)
何度か通った道とはいえ、気を抜けば危険な事故に繋がりかねない。
増して、初めて臨む者を率いているという責任を自覚し、注意深く道を乗り越えた。
「無理なら無理って言えよな。」
「なんとか大丈夫。」
少し厳しいかな?という表情も見せ始めはしたが、笑顔と前向きさは絶やさない。
気にかかる部分もありはしたが、その目を信じて先へ進むことを決めた。
78 :
(4/5):2006/12/25(月) 17:18:37 ID:DGFLA4eb0
人の手がかかっていない、純粋で険しい道。その大自然の重さを心に刻みつける
ように、岬は走り続ける。誰よりも真剣で直向きな背中を追いながら――。
終着点である小高い丘に到着したときには、沈みかけの夕陽が眩しい光を放って
いた。幼い頃から数々の景色を見ながら育ってきた。しかし、こんなにも広大で、
澄み切った世界に出会ったのは初めてだった。
「すごい……。」
「…初心者には厳しい道だし、正直色々迷ったが…。でも来られてよかった。」
松山も少しずつ、言葉が出始める。
最初に案内を求めたのは岬だった。でも心の奥底でここへ来ることを求めていた
のは自分自身だったのかもしれない。少し気分の晴れた表情で、言葉を続ける。
「でも大したもんだよ、初心者ではなかなかここまで辿り着けはしないんだぜ。
俺たちだって、ここまで来るのに何度苦労したか…。」
「ううん、僕も、必死だった。でも、でもね…!」
急に気持ちを入れて松山の方に振り向くが、疲れきった体がそれを支えきれず、
岬はその場でバランスを崩してしまう。
「お、おい、岬!」
「えへへ…ごめんね。なんか、限界っぽい。」
79 :
(5/5):2006/12/25(月) 17:20:01 ID:DGFLA4eb0
「も、もう歩けるから。下ろしてよ、松山。」
「日が落ちるまで時間がないんだ、とにかく急ぐぞ!」
両脚に無理が来ていた岬を瞬時に背負い、松山は一気に峠を駆け下りていた。
慎重な姿勢を見せることもあれば、突然大胆な行動に出ることもある。
様々な面を持ち合わせてはいるが、一つだけ言えるのは、いつもどんな
状況でも、松山は真剣に生きているんだということを、岬は確信する。
どれだけこの街に留まれるかわからない。でも限りあるここでの時間を、
自分ももっと真剣に、大事に過ごしていきたい。強くそう思った。
「…岬、寝てんじゃねぇぞ、家まで案内しろよ。」
「うん、わかってる。」
「なに笑ってるんだよ。」
「ううん、別に。」
「いっつも笑ってるよなお前って。明るいし…すげぇよ、本当。」
皮肉ではなく、自分に無い素直さを持っている岬を、心底うらやましく思っていた。
岬が答える。「だって…その方が、」
なんとなく寂しさを含んだ声と感触を、松山は背後から感じた。
「…岬?」
「…だから!」
「えっ」
「松山も明るくいこうよ、ね!」
負ぶさっている背後から、松山の両頬を引っ張る。
「ばっ…馬鹿やめろって、送ってやらねぇぞコラ!」
「あははははは…」
家に帰り着くまでずっと続いていた岬の笑い声が、松山の中にずっと響き続けた。
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書き手の方も不器用、いや、それに加えて鍛錬が甘いため、読みづらい部分、
一貫性が無く支離滅裂な部分等ありますが(申し訳ないです…)、自分なりに
一生懸命やってみたつもりです。
「出会い」や「関わり合い」が持つ力、魅力といったものを描ければと思い
挑戦してみました。なんとか少しでも伝わればいいなーと…。