たっぷり2時間遊んで、客は帰って行った。俺の今日の仕事はこれでおしまい。
シャワーを浴びて部屋に戻ると、あいつの姿はもうなかった。
いつものことだから気にしないで、俺はさっさと汚れたものを片付けていった。
厨房で暖かい飲み物を作って、俺は庭に出た。月がきれいだ。
いつもの場所にあいつはいた。花壇の端っこに腰を下ろして足下を見ている。
俺は隣に腰を下ろした。目も向けてもらえないことは知っていたけど。
明るい月の下で見ると、こいつがここに連れてこられた理由が一層よくわかる。
真っ白い肌、薄い色の髪、目だけは真っ黒くて、本当にきれいだ。
「なあ、お前、もう俺の部屋に来んなよ」
声をかけてみた。どうせ俺の言うことなんか聞きゃあしないけどさ。
「嫌なんだろ。だからあんなにひいひい喚くんだろ。
来なきゃいいじゃんか。俺だって嫌だし」
ずっとここにいりゃいいんだよ。庭にさ。誰に命令されてるわけでも
ないんだろうに、どうして俺の部屋に来るんだろう。
やっぱ、頭がおかしいから、嫌な場所に来ちまうのかな。
たぶんこいつ、頭がおかしくなったから仕事できなくなったんだ。
誰に聞いても本当のことは教えてくれないんだけど。
つか、うるさいって殴られるだけだけど。