*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレPart9

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680風と木の名無しさん
全然グロとかじゃないけど傷病描写有



「レック、こっちだ」
煤けたような病院の廊下に眼鏡の青年の姿を見つけて、僕はベッドの上から声をかけた。
青年、レックは口を引き結んで、ずんずんとこちらへやってくる。
たった一週間あまり会っていないだけなのに、
その褐色の肌も、眼鏡の奥の黒々した瞳も、一文字に結んだ唇も、ひどく懐かしい気がした。

その一週間あまりの間に、僕は地雷で右肘より先を失くし、
呆然とし、同僚が泣くのを見、幻肢痛を体験し、そして一昨日あたりからは、とりあえず彼に会いたくて仕方がなかった。

「ミイラ取りがミイラだぜ」
右腕を上げて言った後に、不謹慎でしかもあんまり適切じゃない喩えだったかと、自分で首を捻った。
いや、それ以前に、レックはそんな日本語分からないか。あれ?でもこの比喩って、元々は英語だっけ。
「……マコト」
僕の右腕を痛そうに見つめて、彼はただ、名を呼んだ。
まとまらない思考は霧散し、喉元がひきつる。
「マコト」
胸に熱い塊がこみあげる。たまらない。
「死なないで、よかった」
「…ああ」
「こわかった?」
「こ…怖かった」