読みきりでもリレー小説でもいいのでここに書いて下さい。
H描写のみも可。神の降臨、お待ちしてます。
●SS書きの方への注意
・スカトロ、フィスト、切断等のハードプレイは名前欄にその旨を記入する事。
数レスに渡る作品の場合は、その描写のあるレスすべてに、
内容の注意書きを直前に入れて数行改行後に投下して下さい。
(IEブラウザや専用ブラウザなど様々な環境の方がいます!)
・保管の都合上獣姦は扱わない事。(擬人化風味はオケー)
・続き物の場合、簡素な物で構わないのでシリーズ名を書き添える事。
・投下終了の場合それとわかるように明記する
・SS投下時、感想へのレス以外の雑談は名無し推奨
・二次創作、ナマモノは投下厳禁。投下主自身が書いたオリジナルのみ投下する事
・作者が許可しない限り、過去の投下作品のパロディ化は原則禁止です
●スレ住人心得
・叩きや煽りには絡まない
・肌に合わないSS、レスはスルーの方向で
・SS投下時は仮でいいからコテハンで
(※どうしても合わない人がとばせるように)
・特殊なプレイはなるべく注意書きをいれる
(具体的にネタバレせずとも「濃いめアリ」とか)
・住人をネタにしたSSもどきを禁止
まとめサイト
ttp://red.ribbon.to/~yaoi/ まとめサイト@携帯
http://red.ribbon.to/~yaoi/i/ ☆次スレは950で。立てられない方は前後の書き込みを自粛してください。
☆それ以前に容量オーバーしそうな時は490KB辺りでスレ立てをお願いします
3 :
ひみつの検疫さん:2024/12/02(月) 15:51:03 ID:MarkedRes
汚染を除去しました。
乙!
ひとまずはこれで良いんではないかな
8 :
風と木の名無しさん:2006/10/06(金) 06:51:42 ID:Dm9ReKfWO
半年前と違ってマッタリwとした立ち具合ですな。
18thプレイ…?回数増えてないか?
スマソ勘違いだった
新スレ乙!
投下カモ―――щ(゚Д゚щ――――ン
前スレにドドタンがきてる!
ゴドーを待ちながら
(濁点トル)
すまん、我ながら下らん……
>>12 おぉおおお(*゚∀゚)=3
ドドソソタンの独特な文章が好きだ…
いい人だなドドソソタン
連投しながら私もクレクレの舞を踊ろう…
コトータンお待ち申し上げておりますノシ
うーさぎうさぎ、何見て跳ねる。コト-タン待ちながら跳ねるっ!
うさぎたん乙でした!!次は是非長文を。
>>14 独特の文章いいよな。
前スレを乙コールで埋めればいいじゃない。
孤島さん楽しみにしてます。し過ぎで2ちゃん語とやらも忘れました。
21 :
特急発車 1:2006/10/07(土) 00:42:25 ID:5wZBOYJ40
コトーを待ちながら、暇つぶしに投下。
エロシーンだけで、ストーリーはありません。
女装ネタあります。
苦手な方はスルーお願いします。
===================
八月は夏休みで学生がいないから混まないだろうと思っていた加賀の予想は、
はずれていた。自分たちなど、この路線この時間帯のこの通勤列車の混雑には、
たいして影響力を持っていなかったらしい。身じろぐのがやっとと言うほどの
人の波の中で、加賀は、せっかくの夏休みにこんな電車に乗る羽目になった不運を
嘆いた。いや、それ以前に、こんな格好で、だ。男子大学生の身の上で、
女子高生の制服を着せられているのだから。
もちろん、これにはわけがある。一週間前の麻雀で、加賀は大負けした。
大学で初めて麻雀を覚えた加賀は、まだ三ヵ月しかキャリアがない。中学の頃から
やっていたという友人たちに、かなうわけがないのだ。払って払えない金額では
なかったが、バイト代が入るのもまだ先だし、こんな大金をキャッシングして
利息がいくらになるかと思うと、それも嫌だ。親にたかれば送ってくれるだろうが、
どんなに叱られるか想像するだけで頼む気が失せる。だから、他のメンツの
「罰ゲームをするならチャラにしてやってもいい」と言う台詞に飛びついた。
22 :
特急発車 2:2006/10/07(土) 00:43:35 ID:5wZBOYJ40
これがその罰ゲームだ。女装して外を歩くこと。女装の内容も決められていた。
どこのだか知らないが、本物の女子高の制服なのだ。白いブラウスに紺と灰色の
チェックのスカート。膝上15センチ以上ありそうなミニスカートだ。ご丁寧に
下着まで用意されていた。女装中、周りの人間に罰ゲームなのだと告げることは
禁止されている。「外」は、大学のキャンパスか人の多い電車の二択だった。
知った顔の多いキャンパスと、至近距離で見られてしまうだろう電車は、
究極の二択と言えた。加賀が選んだのは、電車の方だった。引込み思案で
大人しい加賀には、理由も言えずに知り合いに女装姿を晒すのは、あまりにも
抵抗がある。キャンパスを歩くのは、どうしても恥かしかった。
加賀は小柄で華奢だし、18にもなって中学生に間違われる童顔で、
女に化けても無理がない。至近距離で見られても、俯いていれば
ばれそうにもない。キャンパスを歩くよりはマシだと自分に言い聞かせて、
加賀は、渡された服を着て、言われた通りの時間に言われた通りの車両に
乗ったのだった。
23 :
特急発車:2006/10/07(土) 00:44:16 ID:5wZBOYJ40
くだんの麻雀の仲間だった大橋と南原が、近くにいるはずだ。加賀がちゃんと
女装しているかどうか、見届けるのだそうだ。もう一人の山田は、到着する駅の前で
車で待っていてくれると言う。加賀は、誰かが一緒にいてくれたら多少は心強いと
頼んだが、一緒にいて一言も喋らないのはおかしいからと断られた。いくら外見が
女に見えても、喋ったら一発で男だとばれてしまう。大橋に至っては、「ばれた時に
仲間だと思われたらいやだから」と身も蓋もない冷たいことを言っていた。
人でいっぱいの電車が、ようやく動き出した。特急なので、次の駅まで30分間は
止まらない。この人混みにはウンザリするが、少なくともあと30分はばれる心配は
ない。加賀はほっとした。あとは俯いてじっとしていればいいのだから。
24 :
特急発車 4:2006/10/07(土) 00:45:02 ID:5wZBOYJ40
それは、発車して一分も経たないうちに始まった。
『え……?』
加賀の尻に、誰かの手が当たっている。混んでいるのだから仕方ないと思おうと
したが、当たっているのは手の甲ではない。手の平、そして指だ。女子高生の尻に、
そんな手の当て方をするなんて、常識で考えて有り得ない。
『ま、まさか間違われてるんじゃ』
加賀は焦った。端から見れば、自分は今、可愛い女子高生だ。満員電車の中で
密着して、ストレスのたまった男がムラムラ来てしまっても不思議はないだろう。
加賀が気のせいであってくれと祈ったのも空しく、男の手はさわさわと加賀の尻を
撫で始めた。ぞっと鳥肌が立つ。手から逃れようと身を捩るが、ぎっしりと周りに
人が立っている以上、逃げようがない。声を上げれば逃げられるだろうが、
加賀には出来なかった。さわられていることにも我慢がならないが、それ以上に
恐ろしいのは、周りに自分が女装男だとばれることだからだ。
痴漢は、加賀が抵抗しないので気が大きくなったのだろうか、すぐに大胆な動きを
見せ始めた。指先で揉みこむようにして、両手で尻を撫で回す。加賀は、唇を噛んで
おぞましさに耐えた。頼むからスカートにだけは入ってきませんようにと願うが、
ひとしきり尻を撫でた手は、スカートの裾をまくって、中に入ってきた。
さすがに耐えきれず、加賀は片手を後ろに回してスカートを押さえようとした。
25 :
特急発車 5:2006/10/07(土) 00:45:59 ID:5wZBOYJ40
その手を掴んだのは、後ろにいる痴漢ではなかった。えっ、と掴まれた手を、そして
その手の持ち主を見ると、右隣に立っている若いサラリーマンが、ニヤニヤ笑いながら
見下ろしている。加賀が硬直している間に、サラリーマンは、加賀の手を自分の
股間にあてがった。
『ちがう、ちがうって! 俺は女じゃない!』
加賀は心の中で叫んだが、サラリーマンは加賀の手の上から自分の手を押し当てて、
加賀に自分の性器を揉ませ始めた。あまりの気持悪さに加賀は必死で手を引いた。
だが、無理な姿勢からではかなうものではない。そして、その間に、後ろの痴漢は、
スカートの中に手を差し込んで、下着の上から尻を思うさまさわりまくっていた。
今日加賀が身につけているのは、大橋たちから渡された女性用の下着だ。脇を紐で
結ぶようになっている小さなショーツで、スカートやブラジャーよりも、加賀は
これを身につけるのが一番恥かしかった。
後ろの痴漢の指が、尻の割れ目に沿って上下し始めた。加賀は思わず尻に力を込めた。
痴漢の指がそれ以上奥に入ってこれないように。気持が悪かったし、恥かしかったし、
それに、前にさわられたら男だとばれてしまう。いっそばれたら解放してもらえるかも
しれない。だが、ミニスカートをはいて満員電車に乗っている男だなんて、いったい
どう思われるだろう。やはり、気付かないでいて欲しかった。
続く
久しぶりのリアルタイム(*゚∀゚)=3ハァハァ
乙!
気になるところで寸止め…
むおぉ…おあずけ生殺し…!!!!!_ト ̄|○ノシ
続き待ってるよ!!!(*´Д`)=з
続きが!続きが気になる!
痴漢なんぞやる奴こそ悪質な変態だというのに、加賀タンは健気だな…ww
一緒に乗ってる友達の存在が気になる。
痴漢もの好きなんで、続きwktkして待ってるよ(*´Д`)ノシ
連投スマソ。前スレ721の続き
※今回軽い流血表現があります。苦手な方はスルーお願いします※※流血表現があるのは5投下目です※
---------------
まただ。
「何なんだよ、おい」
後部座席から手を伸ばすと、すがるように手をつかまれた。
さんざん泣き腫らした目からまた新たな涙を流して、静かに鼻をすする。
とはいえ、泣きすぎて鼻も詰まり、ほとんど鼻では呼吸できない状態らしい。
鼻をすするピーという音を最後に、浦江は鼻にかかった息遣いで口呼吸に切り替えた。
「鼻かめよ」
後部座席にあったティッシュを差し出すと、浦江の首が左右に振られた。
「はだが、いだぐで、かべばでん」
「何?」
「は、はな、が、い、っいだくで、かめなっ」
いくら聞き返しても無駄だった。諦めて口をつぐみ、浦江の手を握り返してやる。
浦江の嗚咽が大きくなり、握る手に力がこもった。
無視すればするで泣き続けるし、構えば構うで泣く。まさに八方塞だ。
「うるさいから、早く泣き止んでくれよ。寝るに寝れない」
「す、すみ、すみまで、ん」
赤い顔をして嗚咽を抑えようと唇を噛んではしゃっくりをする浦江に呆れ、
藤岡は浦江の手から自身の手を抜き取った。
追いすがろうとする浦江の手を振り払うと、浦江の目が不安げに泳ぎ、神経質そうに瞬きした。
こいつは病気なのだ。
痛みに負けて服用した薬が功を奏し、痛みはほとんど失せていた。
その代償として、まともな思考力とめりはりのある動きを奪われる。別に構わない。
完全に諦めたわけではないが、もう何だか"いい"ような気がしていた。
片足が使い物にならないとはいえ、死に物狂いになって一晩中彷徨い歩いたというのに
蓋を開けてみればものの一時間で浦江に抱かれて戻ってきた。つまりは、そういう事だ。
ぼんやり虚ろな表情で浦江の頭を撫でていた藤岡の手をとり、ゆっくりと浦江が振り向いた。
見るに耐えない面構えだ。
泣き腫れた顔は上半分がぼうっとむくんだようになり、目尻や鼻頭や頬を真っ赤に染めている。
何度もこすって荒れた鼻下や目元の皮膚が荒れて小さな赤い発疹ができていた。
体中の水分を排出しきって干上がるのもそう遠くない話だろう。
浦江の震える指が藤岡の頬をためらいがちに撫で、うなじを愛撫する。
肩をすくめると、浦江の指がおびえるように引っ込んだ。
「何でやめる?いつもみたいにやればいいじゃないか」
棘のある口調で言い募ると、ばつの悪そうな目でこちらを見やってきた。
浦江の震える指が再び藤岡の方へ伸ばされ、おそるおそる頬や唇に触れる。
そのしなやかな指を手に取り、握り締めながら、藤岡は浦江の顔を見上げた。
「…………」
倒した運転席の座席から後部座席へ移動し、浦江は言葉もなく藤岡の胸へ顔を伏せた。
嗚咽はいまだに治まらず、不規則な呼吸に背が揺れる。
触れ合った肌から、浦江の狂気が滲みていく。浦江の頑なな執着がじっとりと肌に食らいつく。
これほど憔悴して浦江はなお、藤岡の身体に体重が掛からないよう砕心するのだ。
浦江はやはりどこかおかしい。
容赦なく苦痛を強いる一方で、こんな些細な事に尽力している。
「……縛るなり手足切るなり、しないのか」
震える浦江の黒髪をそっと撫でてやりながら、藤岡は妙に低く響く声で囁いた。
浦江の震えが藤岡に伝わる。浦江の指に力がこもった。
ややしばらくの沈黙の後、浦江の首が弱々しく左右に振られ、藤岡の胸の上で揺れた。
「じゃあ、もう殺すか?」
「………………」
首が左右に振られる。
「………………じゃあ俺、何で足切られたんだろ」
ぽつと呟くと、浦江の身体が震えた。
夕暮れの赤い陽光が差し込む車内の明るさとは裏腹に、漂う空気はどこか静寂としている。
そこに一抹のどす黒い物を見つけ、藤岡は目を細めた。
静寂に混じる黒いものは次第に増幅し、全身の毛を逆立てるような惨憺とした空気を帯びる。
疲労と失意に沈んでいた憎悪が身をもたげ、寂々とした空間に黒い墨を垂らす。
藤岡の胸に垂れた黒い墨は、じわじわと藤岡の身体に染み込んでいった。
「思いつき?」
静かな声で訪ねると、浦江の首が左右に振られた。振りながら、鼻をすする。
「縛られた縄をちょっとずつ切るのと、実際に逃げ出すのと、どっちが大罪だと思う?
実際、今までにないくらいお前は動揺してる。
それなら、もっと手足切るなり殺すなりするのが妥当じゃないのか」
これで本当に浦江が"はい、じゃあ切りましょう、じゃあ殺しましょう"と言い出したら
それはそれで困るのだろうが、藤岡にとっては最早どうでもいい事のように思えた。
「俺ねえ、ずっと浦江に聞きたかったんだ」
浦江の頭がぴくりと動き、藤岡の胸に耳をつけたまま、藤岡を見上げた。
泣き腫れた目が藤岡を捕らえる。
浦江から目を背け、藤岡は窓の外を見た。
「俺にいろいろしながら、頭ん中で、どんな事考えてるんだろう、って」
浦江の頭を撫でていた手が離れ、自身の身体の横にぱたりと倒れる。
それにすがりつくように手を重ねながら、浦江は再び顔を伏せた。
「たとえば、そうだな、最初のお漏らしの時とか。
あれは?最初の強姦の時。良く、あんな事思いつくなあ。あれ、初めに縄ほどいたのわざとだろ?
すげえよなあ、どうしてそんな事思いつくんだ。
俺犯しながら何考えた?足切りながら何思った?お前、あの時何であんなに無表情だったんだよ」
ゆっくりとした口調でまくしたてる言葉を、浦江は果たして聞いているのだろうか。
伏せる浦江の髪をつかみ、強引に上向かせた。
「わけわかんないんだよ、お前は」
浦江の眼前で低く呟いた後、自然と身体が動いていた。
自身が驚くほど強い力で浦江の身体を蹴りつける。
開け放してあったドアから転げ落ちる浦江を見つめながら、激しい動きに耐えかねて
悲鳴を上げる右足を両手でつかんだ。
自分自身の行動に驚きながら、全身を駆け抜けるすさまじい爽快感に喘いだ。
浦江が起き上がる様子はない。
激痛を主張する足首をかばいながら、藤岡はじりじりとドアのところまで這っていった。
見下ろすと、車のそばの砂利上に不自然な格好で伏せている。肩が小刻みに震えていた。
藤岡は笑っていた。気分がいい、なんて程度のものじゃない。
全身が喜びに打ち震えていた。
「人をいたぶるのって、楽しいか?」
いじめを非難する学生のような問いかけをしながら、砂利上に横たわる浦江に飛び掛った。
足首が断末魔の叫びを上げる。うるさい、と藤岡は心中で怒鳴りつけた。
俺は今いそがしいんだ。痛みにうめく暇はないんだ!
伏せる浦江の肩をつかみ、上向かせる。
そこに見た紛れもない恐怖の表情に、藤岡は天上の快楽を得た。
「どんな気分だった?浦江」
再び泣き始めた浦江の顔の横から、握りやすそうな大きさの石を取り上げる。
浦江は片腕で目を覆い隠した。顔を守っているわけではなく、目を隠しているだけのようだ。
石を握り締めた腕を頭上高く振り上げ、藤岡はもう一度問いかけた。
「どんな気分だった?」
走馬灯が回り、色とりどりの影絵を散らしながらぼんやりと光る。
線香の匂いが鼻の辺りにつんと漂った。幻臭の一種だろうか。
色の白い浦江の肌と、幼い頃見た遠縁の親戚の死に顔はぱっと見よく似ている。
赤く染まった目元が隠されている今、顔立ちこそ違えど、色だけ見れば二人は同じ顔色をしていた。
※軽い流血表現注意※
---------------
あの時、彼女の肌の下にはもはや血液は流れていなかった。
"死"。
握り締めた石を額めがけて振り下ろした。
けれど薬で萎えた腕は目標を見誤り、頭頂部の辺りに激突した。
「何で……」
滲む血を見て、藤岡は笑い泣いた。
「普通に"好きです"じゃ、駄目だったのかよお」
激痛が針のように藤岡の足を責め苛む。
血のこびりついた石をなおも浦江めがけて打ち下ろし、激痛に合わせて叫びながら笑い声を搾り出した。
「お前が……普通に……言ってくれていれば……俺は……」
頭から血が流れ、浦江の白い顔を伝い落ちる。体中の血液が沸騰したかのようだった。
「何で……こんな目に……」
何度目かの殴打を加えようと腕を振り上げた瞬間、浦江が藤岡のシャツをつかんだ。
すがりついているのか、と一瞬油断した藤岡を、満身の力で引き倒す。
激痛にわめく藤岡に馬乗りになって、浦江は声を張り上げた。
「そえでふいおかさんは僕の気持ちをうけいでてくでましたか」
さんざん泣き通した後の叫び声はひびわれ、鼻声にこもり聞き取るのに難しい。
それどころではない藤岡は足首の激痛に泣き叫び、そこからどけと怒鳴りつけた。
「仮に僕がふいおかさんにちゃんと告白したとして、ふいおかさんは僕をうけいでてくでましたか?」
「知るか、何を言ってるかわからない!どいてくれ!」
「そんなわけないんだ、うけいでてくでうはずないんだ、どうせ僕を拒絶していたはずだ」
乱暴な口付けが藤岡の唇を覆う。躊躇なく噛み付いても、浦江は唇を離さなかった。
ややしばらくして身体を起こし、血の滲む唇でまくしたてる。
「わかってう。ふいおかさんは、もし僕がちゃんと告白したとしても、僕を嫌わない。
きっと、目に見える嫌悪や偏見もしない。でも、僕をうけいでてはくでない。
そうでしょ、ふいおかさん。それじゃあ、僕は嫌だったんだ」
乱暴な手つきでシャツをまくりあげられ、藤岡は憎悪に満ちた金切り声を上げた。
傷ついた藤岡の右足をかばいながら、藤岡のスウェットを下着ごと膝まで下ろす。
それでも激痛にわめく藤岡の声をさえぎるように、浦江はひびわれた声を張り上げた。
「僕だけのものにしたかった。―――あなたをいたぶってる時、僕は楽しかった。
だって僕のものだから。あなたを好きにできうのが嬉しかった。
あなたは僕だけを見てくえう。そえが憎しみにせよ怒りにせよ、あなたは僕だけを見てくえう」
前戯もなしにねじ込まれた怒張に悲鳴を上げ、全身を強張らせる。
こういった行為は久しぶりで、なおかつ潤滑油の類もない。
突っ張った右足から別の種類の激痛が走り、藤岡はなすすべもなく泣き叫んだ。
「そえに、こんなふうにふいおかさんを怒らせて、傷つけたら、ふいおかさんは僕を一生忘えない。
ただ告白して振られるだけじゃ、ふいおかさんは僕を忘えう。僕はただのホモの後輩としか見やえない。
そんなの嫌だったんだ。どんな形でもいいから、ふいおかさんに僕を特別な目で見て欲しい。
ふいおかさんが世界で一番憎くて殺してやいたいのは僕でしょう?
僕が世界で一番好きなのはふいおかさんだ。僕達はお互いに世界で一番なんだ」
犯される箇所から血が噴き出し、浦江の動きがなめらかになる。
激痛が激痛を呼び、藤岡は狂気の沙汰の中でもがいた。
頭から血を流し、泣き腫れた目で藤岡を睨みながら、浦江は血の滲んだ唇に笑みを浮かべた。
「ふいおかさんが居ないのに気づいた時、どれだけ怖かったかあなたにわかいますか?
また独りになるんだと……」
独りに、のくだりで、浦江の声が詰まり、語尾が震えた。
笑みを浮かべた唇がぶるぶる痙攣し、それをとりなすように舌で唇の傷を舐める。
激痛の狭間でなすすべもなく泣き喚く藤岡に口付けて、浦江は首を振った。
「足をもう一本傷つけたら、ふいおかさんはもう逃げませんか?僕を覚えていてくえますか?」
「嫌だ!」
すかさず叫び返した藤岡へ、強く腰を打ち付ける。藤岡は哀れっぽい泣き声を上げた。
「ふいおかさんが"好きだ、愛してる"って言ってくえたとき、嬉しかった」
藤岡の憎しみに満ちた怒声と悲鳴をさえぎり、浦江は大声を張り上げた。
「あんなふうに言わえたのは初めてで、嘘でも、僕、幸せでした」
唐突に浦江のものが引き抜かれ、藤岡の腹を生温かい液体が叩いた。
ぐったりと脱力する藤岡を残し、浦江は身支度を整えるとふらつく足で立ち去った。
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今回ここまで。最後中途半端な長さになってしまって申し訳ない。
orz
3/7に誤字発見。
×訪ねると
○尋ねると
アホですいません。
孤島タンキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
どうなるんだ…!
特急タンも乙!
電車で痴漢モノktkr
クレクレの舞が効いた!!(*゚∀゚*)
何だろう、めちゃくちゃときめいた。
浦江タン可愛すぎ。
舌ったらずな鼻声で泣きじゃくっちゃう浦江タン可愛すぎ。
やってることは鬼畜だけどww
藤岡タンもかなりキちゃってんなー。
ただでさえ怪我してんのにそんなに酷使したら治らなくなっちゃうよ〜
早く続き読みたい…
おお〜
待ってたよ孤島タン!
浦江の気持ちわかるなぁ。
「好き」の反対は「嫌い」じゃなくて「無関心」だもんね。
いや、決して彼の行動を肯定するわけじゃないが。
連投大歓迎だから、続きよろしく!
特急タン 孤島タン 投下ありがとう
孤島タンキテター
切な萌えしてしまった。
これからどうなるんだ…
孤島タンキテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
マジで乙。もうたまらん。本出してもいい位大好きだw
孤島タン超乙。
切な萌えだよ…
44 :
特急発車 6:2006/10/07(土) 18:10:42 ID:JzymU/zd0
孤島タン最高だ!
クレクレと踊ってみるものだなーと感心しつつ投下。
======================================
加賀の太腿に何かが触れた。ギクリと身を竦ませて見下ろすと、
左側から伸びた手が、前腿を撫でている。スカートぎりぎりまで撫で上げては、
すっと降ろす。それは躊躇っている動きではなく、からかっている動きだった。
時々指先をスカートの中に入れて、くすぐるように素早く動かす。指先が、
『ほらほらどうする、スカートの中に入れちゃうよ』と笑っているような。
加賀は、鞄を持ったままの左手で必死に三人目の手を押しのけようとしたが、
すぐにその左手を掴まれて邪魔できないようにされてしまった。
節くれ立った指が、女からさえ羨ましがられる加賀の滑らかな腿を味わう。
爪の先がフェザータッチで滑ると、加賀の腰の奥にずくんと疼くものがあった。
指はついにスカートの中に入ってきて、上へ上へと這い登り、下着の紐を
解こうとするかのように引っ張って加賀をからかう。
『もうっ…信じられない! こんな、三人もいっぺんに痴漢に襲われるなんてっ!』
内股に伸びてくる指を脚を閉じ合せて拒みながら、加賀は泣きたい思いに耐えていた。
直後に、加賀は、一度に三人などまだ甘かったと思い知らされた。
スカートが、前から捲り上げられ始めたのだ。加賀は思わず前に立つ男の顔を
見上げた。やはりニヤニヤと卑猥な笑みを浮かべた二人の男たちが、加賀の表情を
確かめるように覗き込んでくる。加賀は、訴えるように首を振った。だが、加賀の
その泣き出しそうな表情を見て、男たちは更に嬉しそうに笑った。スカートを
捲っている一人が、からかうように裾をツンツンと引っ張る。もう一人は
加賀の頬を撫で、唇を親指でなぞった。加賀は顔を背けてその指から逃れたが、
その指が更に顎へ、首筋へと降りていくのを感じてはっとなった。
首筋を伝い降りた指は、そのままシャツの襟へと降りていく。胸には詰め物をした
ブラジャーを付けているが、もしその中にまで手を入れられたら…。
45 :
特急発車 7:2006/10/07(土) 18:11:20 ID:JzymU/zd0
そして、それよりも緊急の危険は、スカートを完全に捲り上げた男が、中に手を
入れてきたことだった。加賀は必死に腰を引いて逃れようとしたが、そうすることで
後ろの男の手に自分の尻を押し付けてしまう。後ろの痴漢は、尻の割れ目に下着を
押し込もうとするかのように強く擦りたてている。今や左右の尻たぶが丸出しに
なっており、そのむき出しの柔かい皮膚をごつい手が無遠慮にいじり回していた。
前から伸ばされた手は、加賀が怖れていたようにすぐに性器に触れはせずに、
腹を撫でたり、臍に指を突っ込んでグリグリと押したり回したりして楽しんでいる。
体の奥に何かを突き込まれるようで、加賀は苦しくて息を止めた。
太腿をいじり回していた男が、加賀の手から鞄を毟り取ると、床にそっと落した。
そして右側の男と同様に、加賀の手を自分の股間に押し当てる。加賀は手を握り締めて
抵抗したが、握ったままの手で男のものを擦らされる。右側の男は、スラックスの
ジッパーを降ろして、中に加賀の手を導き入れた。さわりたくなくて指を反らすが、
無理に握らされた。下着の上からでも、男の熱く湿ったものの感触が伝わって、
加賀は吐き気を催した。
加賀は頭を巡らせて、大橋と南原を探した。助けてくれるとしたらあの二人
だけだ。だが、加賀をいたぶっている五人が全員、加賀よりも15センチ以上背が
高い。その壁に囲まれて、加賀は周りを見ることは出来ない。それは同時に、
この五人が加賀に何をしているのかを周りが知ることはないということだった。
46 :
特急発車 8:2006/10/07(土) 18:12:11 ID:JzymU/zd0
発車してからまだ五分とは経っていないはずだ。駅に着くまでに、どれほどのことを
されてしまうのかと、加賀は絶望的な気分に陥った。今となっては唯一の希望は、
自分が男だということに気付いて、痴漢たちが手を引っ込めることだ。
左右の二人にはわからないだろうが、前後の三人ならもうすぐ気付くだろう。
そしてその三人が驚いてやめれば、左右の二人も訝しく思うはず。そうして、
真実に気付くだろう。
後ろの男は尻の割れ目を押し開いて谷を指先で擦りたてながら、前へ前へと
指を進めてくる。首を撫で下ろした男はシャツのボタンをはずして、中に手を入れ、
ブラジャーの縁を指先でなぞっている。そして前からスカートの中に侵入した男は、
いよいよ指を撫で下ろして加賀の下着に包まれた部分へと領土を広げていっていた。
加賀は、あとほんの少しの辛抱だと自分に言い聞かせて、残酷な悪戯に耐えた。
最初に加賀の男の部分に触れたのは、後ろの男だった。きつく閉じ合わされた股の
間でも、指くらいはムリヤリねじ込むことが出来る。その指が、撚れた下着から
はみ出してしまっている加賀の陰嚢に触れたのだ。加賀の体がビクリと竦んだ。
あまりの羞恥に、頬が真っ赤に染まった。だが、これでやっと終わるのだと、
加賀はホッと息をついた。
47 :
特急発車 9:2006/10/07(土) 18:12:48 ID:JzymU/zd0
だが男は、驚く素振りも躊躇う素振りも見せず、中に入っているボールを探ろうと
するかのような繊細な手つきで、袋をそっと揉みしだき始めた。
『えっ!? な、なんで!?』
加賀は愕然とした。加賀が硬直している間に、胸を探っていた男の指が、ブラジャーの
フロントホックをはずし、中へと忍び込んできた。この指もまたたゆみなく動き、
平坦な胸をすべって小さな乳首を探り当てた。
『おい、俺、男だよ! 男だってば!』
加賀は乳首を指先で転がして楽しんでいる男の顔を見上げた。男は薄汚い笑いを
浮かべて、空いている手を上げると、指の背でまた加賀の頬を撫でた。そして、
もう一人の男の指が下着の上を滑って、ついに加賀の陰茎に辿り着いた。そのまま
指は加賀の雄の形を確かめるかのように動いて、それをゆっくりと握り込んだ。
『嘘! 嘘! 嘘!』
加賀は生まれて初めて、頭の中が真っ白になると言う経験をした。信じられない。
自分の身に起こっていることが理解できない。この男たちが、自分を男だと
わかっていて辱めているのだという事実を、どうしても受け入れられない。
「ひ…ひぁ…」
喉の奥から転がり出た声に、やっと加賀は自分を取り戻すことが出来た。だが
それは加賀にとって幸福なことだとは言えなかった。五人の男にこれから20分以上
嬲りものにされるのだと、自覚しなければならないのだ。その時加賀を包んだのは、
羞恥でも嫌悪感でもなかった。恐怖。純粋な恐怖だった。
48 :
特急発車 10:2006/10/07(土) 18:13:19 ID:JzymU/zd0
加賀の目に涙が浮かぶ。首を横に振ってやめてくれと訴える。だが男たちにとって、
加賀の怯えた表情は狼藉に対する褒美のようなものだった。後ろの男が、加賀の足の
内側に強引に自分の足先をねじ込むと、横に蹴って無理に脚を開かせた。
「や……いやだっ……」
加賀は、他の人間には聞こえないように小さな声で拒絶し、もう一度脚を閉じようと
試みた。だが既に両の内側に男たちの足が入り、その上加賀の足先の上には
男たちの足が重石のようにのせられ、動くことを禁じられてしまっていた。
無防備に曝け出された加賀の股間に、前から後ろから、男たちの手が伸びた。
前の男が、加賀の陰茎を下着の上から爪で掻いた。柔かくくすぐるように、
カリカリと繰り返し爪が加賀をひっかく。もどかしいような快感が湧き上がる。
痴漢にいじられて感じるなんて絶対に嫌で、加賀は必死にその疼きを押え込んだ。
後ろの男は下着をずらして陰嚢を取り出すと、両手の指の間に挟んでコロコロと
転がすように愛撫し始める。加賀の腰がビクビクと震えた。
乳首を責める指もまた、繊細な動きを見せた。爪の先で軽く掻く。延々とそれを
繰り返され、加賀の乳首はプクリと膨れた。その粒に爪の先を当てて、円を描く。
加賀は歯を食い縛った。男は、加賀の頬を撫でていた手も胸に挿し入れ、両方の
乳首をいじり始めた。決して強く刺激することはせず、そっと弾くかと思えば、
粒の先端に指の腹を当ててクニクニとさすったりと、男は加賀が予想することの
できない動きで、じれったく感じるほどに優しく、いじめてくる。
49 :
特急発車 11:2006/10/07(土) 18:16:51 ID:Z7AkoQ9G0
両側の男たちは、抵抗することも出来なくなった加賀の手に自分の性器を握らせている。
右側の男はかなりの速さで扱かせているが、左側の男はゆっくり楽しむつもりなのか、
加賀の指にあちこち撫でさせている。どちらの男にも共通しているのは、その陰茎が
ぬらぬらと濡れていることだった。そのぬめる感触が加賀の全身に鳥肌を立てる。
自慰で慣れている感触のはずなのに、他人のものだとこれほど気色の悪いものなのか。
加賀は、他人と触れ合ったたことがなかった。勉強と陸上部の活動に没頭していた
奥手で、高校で一学年下の女子生徒と一年ほど付き合ったことがある程度だ。
それも、相手も奥手だったため、キスどまりだった。好きな相手と触れ合うことに
憧れていたのに、初めての経験がこれか。悔し涙が湧き上がってくる。
後ろの男の指が、下着の紐を右側だけ、強く引いた。はっと加賀が身体を硬くする。
さっきと同じようにからかわれたのかと思ったが、今回はそう甘くはなかった。
紐がするりと解け、加賀のその部分を隠していたはずの布は、はらりと開いた。
それを受けて、前を愛撫していた男が、加賀のむき出しの性器を手で包んだ。
加賀は必死にかぶりを振ったが、やめる理由が男たちにはない。意外なほど細く柔かい
指が、加賀の性器をじっくりと弄び始めた。自慰とは比べられない快感だった。男の指が、
加賀の悦ぶ場所を、ああだったか、こうだったかと言うように探る。根元を摘まんで
こりこりと扱き、裏の筋を指先で細かくくすぐりながら撫で上げ、カリの周りを擦って、
割れ目に爪の先を当てて動かす。感じたくないなどと言っていられないほど圧倒的な
快感の嵐が加賀を襲い、加賀の内股が痙攣を繰り返した。
続く
ひ、ひもパン大好物! ・+.・+。(・∀・)!!
特急タン 乙〜今まで読んだ痴漢ものの中で最高ランクだよ
からかい弄りに萌
痴漢ネタ大好きだ
特急タン続き待ってるよ
イイ!男痴漢モノって最高だったんですね!
新しい萌えを知りました!
続きwktk!
痴漢タン乙!続きwktk。
…孤島タン…まじに目うるんじゃったよ(´;ω;`)ウッ
浦江タン切なすぎ。あほだ。
気持ちわかるっちゃわかるんだが…
一途すぎてあほだ。
藤岡タン…(´・ω・`)
浦江はどこに去ったのだろう…。
戻ってくるときが怖いな。
56 :
特急発車 12:2006/10/08(日) 19:52:39 ID:rqrSFi9D0
前に気を取られていたせいか、後ろの男の指が少し尻から離れていたことに
気付いたのは、再度そこに触れられてからだった。男は、尻たぶを大きく左右に
押し広げ、指を当てている。その指の動きと感触で、何かを塗り付けているのだと
わかった。不安にかられて体を揺するが、男は気にせず塗り続け、次いで、
指を穴に押し込んできた。
「やめろ…っ」
小さな声で言うが、男の指は、塗り付けたもののぬめりでするすると奥まで
入り込んだ。あまりの気味悪さに耐え切れず、加賀は逃れようと腰を前に反らせ、
前を嬲る男の手に性器を擦り付けてしまった。慌ててまた腰を引く加賀に前の男が
小さく笑い、加賀は悔しさに唇を噛んだ。
後ろの穴に潜り込んだ指は、中を確かめて行くようにじわじわと擦りたてていく。
気持が悪い。恥かしい。加賀は俯いて、これまでにない恥辱に耐えていた。
その顔が、男がある場所を探り当てた時に跳ねるように上がった。
「あ、あっ?」
まるで全身に快感のツボができ、それを一度に押されたかのような、そんな強烈な波が
加賀に襲いかかった。全身を硬直させている加賀を宥めるように、胸をいじっていた男が
片手で頬をピタピタと叩く。我に返った加賀は男の顔を見て、ふるふると首を振った。
助けて!
だが男はニヤリと笑うと、加賀の唇を指で撫で擦り始めた。
誰も助けてくれない。
57 :
特急発車 13:2006/10/08(日) 19:53:19 ID:rqrSFi9D0
加賀の右手に奉仕を強要していた男が、ぶるっと体を震わせた。加賀の手に、
どろどろと粘っこい白い液が溢れ出る。嫌がって手を引こうとしても、男は最後の
一滴まで絞り取ろうかとするように加賀に自分の性器を扱かせた。出し切ってしまうと、
男は小さなタオルを取り出して自分の物と加賀の手を拭った。これで解放されるのだと
思ったが、男は、その後も加賀の手に自分の性器を押し当てたままじっとしている。
他の男たちの陵辱が済むまで、そうしているつもりらしかった。
後ろの指は、加賀のその場所をじっくりと嬲り続ける。その快感に押し上げられて、
加賀の性器が完全に勃ち上った。溢れ出した透明な粘液が、男の手までをべっとりと
濡らしている。慣れた男の手が、経験の少ない分敏感に過ぎる加賀の性器を、
むごいほどに煽り立てる。後ろの男が片手で会陰を探り、内側から責めている
その一点を、外からも押した。加賀は悲鳴を上げそうになって、歯を食い縛った。
短く浅い息を繰り返しながら、声だけは上げるまいとそれだけに意識を集中する。
凄まじい快感だった。もう何も考えられない。苦しい。脚を閉じたい。
膝を擦り合せて腰を捩って、快感を逃がしたい。だが、それも許されない。
涙でぐしょぐしょになった加賀の頬に、唇を撫でていた男が指を滑らせる。
男は濡れた指先をまた胸へと戻して、緩く乳首を摘まみ、くりくりと捏ねた。
58 :
特急発車 14:2006/10/08(日) 19:53:56 ID:rqrSFi9D0
ああ、駅にはまだ着かないのか。
加賀にとっては永遠にも等しい地獄の時間だった。誰も助けに来ない、
助けを呼ぶことも出来ない、耐えるしかない地獄。
おぞましく、けれど甘美この上ない地獄に、加賀は今、落されている。
少しも望んでいない、嫌で嫌でたまらないことを悦ぶしかない屈辱に、加賀は、
これまで信じてきたすべての美しいものが砕け散って行くような思いに囚われた。
加賀の左手を辱めていた男が達した。右側の男と同じように、タオルで性器を
拭っている。だがこの男は加賀の手を拭おうとはせず、精液を塗り広げて、
加賀の手の平や指の股をねっとりといじり回した。
加賀自身にも絶頂が近づいていた。性器はもう弾ける寸前まで膨れ上がり、今まで
経験したことがないほどの先走りでぐっしょりと濡れている。強引に掻き立てられる
官能に、思わずしゃがみこみそうになるほどだが、会陰を押さえる指が体を下から
突き上げて、そうはさせてくれない。その指が、中を犯す指と連動してそこを
責め上げる度に、体中に電流が流れる。熱く痺れてとろけそうだ。乳首を弾かれ、
そこから下の部分へも微弱な電流が走り続ける。その全てが、加賀の内側から
火の玉を破裂させようとする。押え込もうと絶望的な努力を続けたが、こらえて
こらえきれるものでもないことくらい、加賀にもわかっていた。
はっ、はっと荒い息を吐き、悔しさと恥かしさに涙を流しながら、
加賀は昇りつめて弾けた。
59 :
特急発車 15:2006/10/08(日) 19:54:39 ID:rqrSFi9D0
一瞬、意識を失っていたのだろうか。加賀がふと気付くと、下着の紐を誰かの指が
元通りに結び直していた。両手も既に解放されている。性器は下着の中に収められ、
シャツのボタンも元通りにはめられている。
終わったんだ……。
加賀は安堵よりも脱力感に包まれて、呆然と立っていた。左手に鞄を持たされ、
無意識に鞄を握って、手がまだべとついていることに気付く。どうでも良かった。
もう終わったのだから。
車内アナウンスで、停車駅が近づいてくることが知らされた。外に出られる。
逃げることが出来る。にわかに、加賀の頭に現実が蘇ってきた。うつろだった目に
生気が戻った。外に出たい。外に出たい。この男たちから、少しでも早く離れたい。
だがそんな加賀を更に苛むように、男たちは名残りを惜しもうとスカートの中に
手を入れてきた。いやだ、もういやだ! 加賀の目にまた涙が湧き上がる。
だが男たちは夢中で加賀の、既に陵辱され尽くした秘部を撫で回し、こねくり回した。
もう、いったい何本の手に、指に、辱められているのかもわからない。
加賀は目を見開いたまま、自由になった手で拭うことも忘れて、涙を流し続けた。
60 :
特急発車 16:2006/10/08(日) 19:55:09 ID:rqrSFi9D0
ホームに電車が滑り込み、ドアが開いて、人が吐き出されて行く。流れに乗って、
加賀もホームに押し出された。加賀をいたぶった男たちは、あっという間に四散し
姿が見えなくなった。加賀はふらふらと脚を進め、人の歩いて行く方向へと
自分も進んで行った。
「おい、加賀!」
腕を掴まれ、加賀は声をした方を見上げた。大橋が心配そうに見下ろしている。
「どうしたんだよ? 一人でふらふら行っちまって」
「お…はし…」
加賀は顔をクシャクシャに歪めて泣き出した。
「おい、何なんだよ? ちょっと、こっちに来い」
大橋は加賀の腕を引っ張って、ベンチに連れて行った。朝の忙しい時間帯、
ベンチに座っている人間などおらず、また、座っている人間に気を留める
人間もいなかった。大橋は気遣わしげに訊いてくる。
「どうした? 何かあったんか?」
「大橋…俺、痴漢された…」
「えっ!」
「もうこれ、いやだ…早く脱ぎたい…」
涙声で訴える加賀の背を、大橋はわかったわかったと言うように叩いた。
「じゃあ、山田の車に行こう。この格好で男子トイレには入れないし、
着替えられるところに連れて行ってやるからな」
「うん」
俯いたまま立ち上った加賀は、大橋が口の端を上げていることに気付かなかった。
61 :
特急発車 17:2006/10/08(日) 19:55:39 ID:rqrSFi9D0
加賀の肩を抱いた大橋が、軽く手を上げて合図してから改札の方に向かって行くのを、
南原は見送った。その南原の前に、五人の男たちが立っていた。
「どう? 良かったでしょ? じゃ、後金、一人五千円ずつちょうだいね」
男たちはにやにやと笑いながら、南原に金を渡す。
「でも、おさわりだけで一万って、高くないかぁ?」
「何言ってんの。最初っからそう言う約束だったじゃん。それに、
ただのおさわりじゃない、電車の中で集団痴漢だよ。あんな可愛い奴を」
鼻であしらう南原に、別の客が同意した。
「そうだよ、俺は元は取れてると思うよ。楽しかったし、
この人たちにも待機してもらってたから安心だったじゃない」
加賀は、まだ自分が友人たちに売られたのだとは気付いていないだろう。
助けを求めようとした友人たちが、加賀が騒いだ時に男たちに不利にならないよう
事態を収拾するために控えていたことなど、思いもよらないに違いない。
それじゃと踵を返そうとした南原に、男たちは未練がましく声をかけた。
「ねぇ、これ一回きりとは言わないよね? またあの子、いじめたいんだけど」
「そうだよねぇ。できたら今度は、薬や道具も使ってみたいねぇ」
南原は考え込む素振りをしてみせたが、ただのポーズだ。
最初から、一回だけのつもりはなかった。
「まあそれは、俺たちがどれだけあいつを仕込めるかにかかってるね。
怖がって無抵抗で、だけど嫌がって泣いちゃう。それくらいがいいでしょ?」
男たちは生唾を飲み込んで頷いた。 加賀は、いたぶって楽しみたい獲物だった。
62 :
特急発車 18:2006/10/08(日) 19:56:11 ID:rqrSFi9D0
「ねぇ、いつ頃またやらせてくれるの」
男たちはもう、すっかりその気になっている。
「はっきりいつとは言えないけど、調教は今日、今から始めるから。
期待して待っててよ」
「今から? 何をするんだい」
息を荒げる鴨の食いつきっぷりに、南原はほくそえむ。
「今からあいつはホテルに連れて行かれて、俺たち三人にたっぷり可愛がられる。
絶対に俺たちに逆らえなくなるまで、徹底的にしつけるよ」
「そ、そういうの、俺たちにもさせてもらえないの」
南原は思わせぶりに間を持たせて笑った。
「ご要望があるなら、考えなくちゃね。どうせ、しつけは一回じゃ済まないんだし。
でも料金は今回よりかなり上がるよ。いい?」
客は、涎を垂らさんばかりにして頷いた。
手を振って、南原は歩き出した。
このあと夜まで続けるつもりの、趣味と実益を兼ねた行為に思いを巡らせながら。
終わり
ムッハァァァァァ!
良い!すごくイイ!(・∀・)
特急タン、めちゃくちゃツボでした。
その後の調教が妄想をそそるよー!
GJ!GJ!グッジョーッブ!!!
gjですたハアハア(;´Д`)
ごちそうさま!
65 :
人工痴能1:2006/10/08(日) 22:06:23 ID:7fyOigeQ0
腕にはめた端末が赤く光った。マスターのお呼びだ。マスターは忙しい。
二人きりになることは滅多にない。
いつでも、いつまででもマスターと二人きりでいたいのに。
僕はいそいそと書斎の扉を開けた。
マスターは男や女に囲まれている時の蕩けきった顔ではなかった。
青い目は宝石のように冷たく輝いていた。
キャッスルヒル家の当主にふさわしい厳しい顔だった。
この顔をマスターは遊び相手には絶対に見せない。これは僕だけのマスターだ。
「ジョン、これはどういうことなんだ」
マスターは紙束を僕に叩き付けた。僕にマスターがくれるものだ。
僕はうやうやしく受け取った。
「なんで、俺の共和国債が勝手に売却されているんだ!?
証券会社に尋ねたところ、この取引は俺が自宅のパソコンでやったことになっているらしいな。
だが、俺には心当たりが全くない。
自宅のパソコンにアクセスできるのは俺と家政用アンドロイドのお前だけだ。
お前、勝手にパスワードを盗んで……」
マスターは僕に詰め寄った。シャツの襟をつかんで怒鳴る。
マスターがこんなに近くにいてくれて嬉しい。体温がじかに伝わってくる。
いつもより熱いのは興奮しているからだ。
僕だけに話しかけてくれるのも嬉しい。人間は心地よい音を求めて音楽を聴く。
機械の僕に楽の音の良し悪しはわからない。
僕にとってはマスターの声が妙なる音楽のようなものだった。
でも、無駄にエネルギーを消費するのは良くない。
これからマスターはもっとエネルギーを消費する予定があるのだから。
僕はマスターの背を撫でた。
「落ち着いてください、マスター」
「ふざけるな。証拠は全部挙がってるんだ。
お前、俺にゴミ捨て場から拾われた恩も忘れて!どういうつもりだ」
66 :
人工痴能2:2006/10/08(日) 22:07:02 ID:7fyOigeQ0
マスターは僕を屋敷のそばのゴミ捨て場から拾った。寒い夜だった。
首都には珍しく雪がちらついていた。
僕はごみ捨て場にうずくまって、光り輝くビルの群れを眺めていた。
ビルは天空に突き刺さるように聳え立っていた。
下界にいるものを拒絶する堂々たる姿に僕はため息をついた。
ここは世界に冠たる共和国の中心で、ないものはないと言われていた。
だが、不思議なことに僕の居場所はなかった。
その時だった。僕の前にマスターが立っていた。
夜会帰りのマスターは淡い銀色に輝くコートに身を包んでいた。
バッテリーが底をつきかけていた。
かすむ目にマスターは光を纏っているかのように映った。
そして、口元に浮かんでいた穏やかな笑み。
僕は本当のマスターに出会ったのだと確信した。
「捨てられたアンドロイドか、珍しいな」
「お前、何を言っている!?」
「マスターが僕を拾って下さった時の言葉です。忘れていません。
それから僕に手を差し伸べてくださいました。
僕が動けないようにセーブされていると申し上げると、
そうだったな、人間そっくりだからついうっかりしてしまった、とおっしゃいました。
マスターお言葉は出会ったときから一言一句忘れていません。全部記憶しています」
マスターは僕を拾って家政用に使うことにした。気まぐれだったのだろう。
それまで使われていたアンドロイドは飽きた、という理由であっさりと廃棄処分された。
マスターはキャッスルヒル家の当主で、若くて、お金持ちで、男にも女にももてる。
つまり、世の人がほしがるものを全て持っている。
そんなマスターは気兼ねや気遣うということを知らない。
誰もがマスターの機嫌を伺うから、マスターが人の感情を顧慮する必要はない。
いつも、気の赴くままに振舞う。飽きればすぐにアンドロイドを取替え、愛人を取替える。
僕は捨てられた愛人がお屋敷の門の前でむなしく叫ぶのを何度も見た。
67 :
人工痴能3:2006/10/08(日) 22:08:13 ID:7fyOigeQ0
「お前は機械なのだから覚えていて当然だ。自慢することではない。で、なぜこんなことをした」
その通り。僕は機械だ。僕の前にいた奴のようにあっさり捨てられてしまう危険性がある。
人間なら捨てられても、またマスターに会って口説くこともできようが
、機械は捨てられたらスクラップ工場行きだ。二度目はない。深刻な問題だった。
だから僕は色々考えなければならなかった。
マスターが決して僕から捨てないようにするための方策を。
「お金が欲しかったんです。マスター、共和国債を売ったお金で投資して大分儲けました。
共和国債分のお金はお返しします」
「なぜ金がいるんだ。機械だろう、お前は」
マスターはいぶかしげな顔をした。仕方ない。機械の僕は人間のことが完全にわからない。
それと同じように人間のマスターも機械のことがわからないのは当然だった。
だからといって分かり合わないままなのは良くない。
マスターには僕のことをわかってもらわないといけない。
なぜならマスターはこれから僕だけのマスターになるのだから。
僕は告白した。何度もシミュレートした行為だ。
それでも、人間ならば顔が真っ赤になっていただろう。
「体を改造するためです。マスター、僕はマスターの傍にずっといたい。
マスターは僕だけのマスターでいてほしい。他のアンドロイドや人間を相手にしてほしくない。
それで考えたのです」
マスターはもがいて僕の腕の中から逃れようとした。
顔が白くなっている。人間の顔が白くなるのは調子が悪いときだ。いけない。
早くマスターの大好きなことをしてあげなければ。
そうすればマスターの顔の色はたちまち良くなるだろう。
「お前、壊れたか。いや、もとから狂っていたのか。だから捨てられていたのか?
そうか、お前みたいな高級タイプが捨てられているからおかしいと思ったが、そういうわけか!?」
プログラムが自我がとマスターは僕にはよくわからないことを叫んだ。
僕にとってはどうでも良いことだ。
今、マスターの頭の中には僕のことしかない。愛人のことも事業のこともない。僕だけだ。
無上の幸せとはこういった時のことを言うのだろう。
68 :
人工痴能4:2006/10/08(日) 22:09:41 ID:7fyOigeQ0
僕はマスターの背に回した手に力を込めた。
「僕は人間たちがマスターにしてあげられることをほとんどできます。
家事もできるし、チェスの相手もできる。庭仕事もできる。でも一つだけできないことがありました。
セックスができない。でも、マスターは一週間に五回はセックスをなさっている。
セックスはマスターの人生においてとても重要なことなのでしょう」
僕はマスターの手を股間に導いた。
「わかりますか。儲けたお金でつけてもらいました。特注品です。
人間そっくりに、いや人間以上によく働くはずです」
「離せ!俺はダッチワイフとやる趣味はない」
マスターは僕の胸をこぶしで激しく叩いた。マスターが僕だけに怒っている。
僕だけを相手にしてくれる。しびれるほどの陶酔が僕を襲った。
人間が酒に酔うときの感覚はこれに似ているのだろうか。
「ジョンは犬の名前だ。お前は犬みたいに俺に忠実であればいいんだ!聞いているのか、ジョン」
犬がこの件となんの関係があるのだろう。
僕はマスターを独占したくて、マスターはまだ僕だけのものではない。
だから僕のものにするために行動しているだけなのに。
いただいた紙束を床に落とすと、僕はマスターを床に押し倒した。
マスターにいただいたものを粗末に扱うのは本意ではないけれど、非常事態だった。
暴れるマスターを押さえつけて服を破った。白い肌があらわになった。
すらりとした足、薄すぎず厚すぎない胸板。
初めて出会ったときよりもはるかに、マスターは目に眩しかった。
僕は目を瞬かせた。自ら光を発しないものが、
いかなる照明よりも恒星光よりも眩しいというのはどういうことなのだろうか。
「警察に連絡する。離せ、この!」
69 :
人工痴能5:2006/10/08(日) 22:10:36 ID:7fyOigeQ0
僕はマスターの耳元にささやいた。
「無駄ですよ。マスター。お屋敷の通信は全部切ってあります。
マスターはセックスが大好きでしょう。
それに、手荒くされるのもお好きでしょう。僕はちゃんと知っています。
三日前には大きな男に押さえつけらながら
後ろからペニスをお尻に入れられて大喜びしてらっしゃったではないですか」
マスターの乳首をつまんだ。想像していたよりやわらかかったけれど、すぐに固くなった。
内腿をそっと撫でると、マスターの腰が揺れた。
白かった頬は上気して、冷たく輝いていた瞳は潤み始めていた。
「体は感じていますね」
どこをどうすればマスターが気持ちよくなるのかちゃんと研究している。
屋敷の寝室にカメラを仕掛けて愛人と戯れるマスターを分析した。
マスターが女相手よりも男相手の時のほうが乱れるのも分析ずみだ。
最中に淫猥な言葉をかけられると、どうしようもなく乱れることも。
股間に手を伸ばして、立ち上がりかけた先端を軽くつつくと
、マスターの唇から、なまめかしい吐息が漏れた。
「んっ……やめ…あっ……」
後はなし崩しだった。マスターは快楽に弱い。
マスターのアナルを十分にほぐしてから、新しく装着した部品に固く太くなるように指令をだした。
部品はマスターと関係した男たちのペニスのサイズから計算して、
一番マスターが気持ちよくなる大きさにしてある。
両足を肩に抱えあげて正面から突き入れるとマスターの中はきつく締った。
「もっと緩めてください」
「ああっ…いいっ……」
もはやマスターは僕の言葉なんか耳に入っていなかった
。目の端からは透明な涙が、口からははしたなくも唾液がたれていた。
両足は僕の腰に絡み付いてきた。
マスターの感じている快楽がどんなものであるのか僕にはわからない。
僕にわかるのはマスターがその快楽がとても好きでそれなしではいられない、ということだけだった。
なのに、腰をくねらせ喘ぐマスターを眺めていると、僕の中に今まで知らなかった感情がわいてくる。
なんという名の感情であるのかわからない。
その感情はほかの事を全て考えたくなくなるほど、とても強くて心地よいものだった。
70 :
人工痴能6:2006/10/08(日) 22:13:48 ID:7fyOigeQ0
マスターは僕の導きで何度も達し、ついには気絶してしまった。
マスターを寝室に運んで丁寧に体を清めた。体には赤い斑点が浮かんでいる。
全部僕がつけたものだ。
マスターのよがりぶりは、今までの愛人たちと比べても一番激しかった。
作戦はひとまず成功だった。これから、もっとがんばってマスターを虜にする必要がある。
僕の見るところ、マスターはセックスに飽きると愛人をあっさり捨てていた。
マスターに完全な快楽を提供し続ければ、
マスターは僕を手放さないだろうし、愛人を連れ込むこともない。
ずっと僕だけのマスターでいてくれるはずだった。
僕はマスターの隣にもぐりこんだ。マスターが目覚めたら、またしよう。
今度は趣向を変えて後ろからやってみるのもいいかもしれない。
「リチャード」
マスターの髪をそっと撫でてささやいた。
愛人の一人が情事の後にこうしていて、僕もやってみたかった。
名前を呼ぶと、マスターが僕だけのものになった感じがした。不思議だ。
人間はだから名前を呼び合うのだろうか。
「リチャード、これからはあまりお屋敷の外に出ないほうがいいですね。
機械と違って人間はなにかあってもスペアがないし。大丈夫。
退屈に感じないように、僕が夜といわず昼といわず、お相手を務めますから」
僕は狂っていない。
マスターの一番好きなことをしてあげてマスターの安全まで考えている。
そうだ、マスターとそっくりのアンドロイドを注文しよう。
そいつを外出させればいい。
そうすればマスターはこの屋敷で僕とだけ一緒にいられる。
終
グジョーブ!萌え死ぬかと思った…!
その後の調教想像するだけでムハァ!!
ごちそう様でした〜!
乙! 面白かったよ!
しかしハルより怖いな、こいつ…。
特急列車さん乙です!鬼畜なその後の展開も是非読みたい・・・!!
そして人工痴能さん、ツボど真ん中でした・・・!!
すっげ萌えました!マスターがエロカワ…。
ここんところのスレの豊作つぷりに感謝!みんな素晴らしい。
絡みスレの人、こっちで連載してくれ。
ハルは受派だが…A.I.攻めイイヨーイイヨー
ごっつぉおさまです!
高性能すぎる痴能の所為で捨てられたのか。
乙です!
人工知能タンGJ!!
特急タソ乙!このシチュ、自分の萌えシチュのトップ3に入りそうだよ…
続きがあるなら是非お願いします!
孤島タンはまたしばらく来ないのだろうか……
まったり待とうよ
絡みスレを見習え。まったり和やかだw
もるもる
スマン誤爆orz
気長に待ってます
絡みスレの“かぐや”から、ドド臭がする…
したらば絡みスレ
>>35の派生珍作
----------------
「おまえ、また俺の褌を持っていっただろう!」
頭に手ぬぐいをまいた姿でぷんぷん怒りながら部屋に入ってきた赤鬼を見て、
青鬼はそれまで夢中でながめていた春画巻紙をあわてて巻きました。
「勝手に部屋に入ってくるなといつも申しておるだろう、兄者!」
「あっ!やはりここにあった。貴様、俺に何の恨みがあって褌を盗むのだ」
箪笥から見つけ出した虎柄の褌をにぎりしめ、赤鬼は顔を赤くして憤怒します。
青鬼はくちびるをとんがらせてふんと鼻をならしました。
「採寸も柄も同じ褌をどうやって見分けろと言うのだ」
「戯言をぬかすな。俺は一目で分かる。貴様のものとは格調がちがう」
勝手にぬかせとばかり、青鬼は赤鬼に背を向けて春画巻紙を夜具の下におしこみました。
赤鬼も負けじと青鬼に背を向け、手にした褌をかかげてどすどすと足音高く湯殿へと戻っていきました。
ふたりは鬼の兄弟です。
昔はわるさもしましたが、いまではすっかり落ち着いてこの鬼毛島で兄弟仲よく静かに暮らしています。
青鬼はまわりを注意ぶかく見回し、赤鬼が戻ってこないかどうか確かめました。
そして、そっと寝具の下の春画巻紙を取り出します。
自然と指がふるえ、青鬼の胸がいたいほど高鳴りました。
女好きの赤鬼とちがい、青鬼は生来"おくて"な性質です。
かわいい鬼女や女夜叉はやまほど目にしてきましたが、その肌にふれるばかりか、
会話することもままなりません。
青い肌をわずかに火照らせ、青鬼は夢中で春画巻紙をながめていました。
そこへ突然ひびきわたる朗々とした美声が青鬼の肝を冷やしました。
「やあやあ、わが名は桃次郎。こんな名でも長男である。誰ぞおらぬか」
扉を叩く怒涛の破壊音がひびきます。
どんどんどんどんどんどん、どどどどどどど、めきめきっ、ぐしゃっ。
あわてて表口へ走った青鬼の目の前で、扉がやぶれました。
やぶれた扉の隙間から、目をみはるような美丈夫が顔をのぞかせています。
「誰じゃおまえは」
「おまえこそ誰じゃ!貴様が名乗れ」
「だから名乗ったであろう、貴様耳が遠いのか。桃次郎だ。こんな名でも長男である」
青鬼は鼻にしわをよせ、ぎろりと桃次郎を睨みつけました。奇妙な訪問者です。
ここへ住まいを移してから、鬼や妖怪以外の客人がたずねてくるのは初めてのことでした。
「私は青鬼の青太じゃ。ここの第二の主人である。貴様、何用で参った」
青鬼が怖い顔をして威圧的にこう言えば、たいていの人間はおそれをなして
逃げ出すものですが、桃次郎はちがいました。
美しく輝かんばかりの面に妖艶な笑みをうかべ、やぶった扉から強引に侵入して青鬼に迫ります。
何故か全裸です。
目をみはるような美しい面と驚異的な弓削のごとき美茎に、青鬼は息をのみました。
「言うまでもない。せいぎの勤めじゃ」
「ふん、何が正義じゃ。片腹痛いわ。だから人間は嫌いなのだ」
たちまち怒り顔になった青鬼の虎柄の褌へ、桃次郎の手がかかります。
青鬼はむっとして桃次郎の手をはらいました。
「正義、正義とぬかす人間どもこそ、己らの仕業を自省してみてはどうじゃ。
みてくれの異形を槍玉にあげてわしらを仲間はずれにし、石槍を投げたのは誰じゃ。
そんな貴様らにわしらを糾弾する権利がありようはずもない。」
桃次郎は形のいい眉を顰め、青鬼の顔をみあげました。
薄茶の潤んだ宝石が青鬼をみつめます。
「……青太とやら、おそらく漢字を間違えておるぞ」
「なに?」
「俺が言っておるのは"正義"ではなく、"性技"じゃ」
細くしなやかな指が虎柄の褌にふたたびかかります。
意味がくみとれず、青鬼は首をかしげて桃次郎を睨みました。
「意味がよくわからぬ」
「御託はいらぬ。……さあ、わが愛しき青鬼よ、俺に身をまかせるが良い」
虎柄の褌がはらりと床に舞い落ちます。たちまち現れた荘厳な金棒を目のあたりにし、
桃次郎ははっと息をのみました。
このような立派な金棒を持つ者を相手するのはひさしぶりです。
あわてて褌を拾おうとする青鬼を抱きしめ、桃次郎は陶然と熱い息を吐きました。
「なんて美しい肉体だ……なんて完璧な相棒をお持ちだ……」
桃次郎のしなやかな指がそっと青鬼の金棒をつつみこみます。
桃次郎の弓削のごとき如意棒が天空をつきあげます。
灼熱の剛直に太腿をこすられ、青鬼はいやいやと首をふりました。
満身の力をふりしぼって抵抗する青鬼もなんのその、桃次郎は人間にあるまじき金剛力で青鬼をねじふせます。
あとは桃次郎の独擅場でした。
桃次郎の愛撫になんとも"うぶ"な反応を返す青鬼が可愛く、桃次郎の手技も自然と力が入ります。
けなげな涙を流す青鬼へ、桃次郎は美声のささやきを耳もとへ吹きました。
「可愛いやつだ。こんなに可愛いやつはひさしぶりだ」
青鬼の顔が左右にふられます。その仕草さえ可愛く、桃次郎は青鬼の大きく長い脚をよいしょと持ち上げました。
「な、なにをする気だ」
「しらじらしい。わかっているくせに」
桃次郎の弓削のごとき美茎が青鬼の熱い坩堝へぐいとおしつけられます。
びっくりして腰をずりあげる青鬼のささやかな抵抗も、桃次郎の前では簡単についえてしまいます。
ついにその鎌首を敏感な粘膜内へおしすすめていった桃次郎の美しい面に、陶然とした表情がうかびました。
青鬼の弱々しい泣き声も今の桃次郎には心地の良い美音として耳にひびきます。
桃次郎の壮大な凶器につらぬかれた青鬼は、痛みとはずかしさの中で泣きじゃくりました。
桃次郎の人間ばなれした腰づかいにおどらされ、青鬼の金棒から卑猥なよだれがたらされます。
「い、痛い、痛いっ、桃次郎、よせ、痛いっ」
桃次郎の形良いくちびるが妖艶にゆがみます。
青鬼のゆるやかに縮れた髪や小さな対の角を指先で愛撫しながら、
桃次郎は美声のささやきを青鬼の耳の中へおどらせました。
「いまは痛いかもしれぬが、いずれなれる。なれれば天国にゆけるぞ。
げんに、おまえの相棒からは、こんなにみだらな露があふれている……」
「言うな、たのむ、もうやめてくれ、桃次郎っ、たのむ……」
「ああ……なんて狂おしく俺を締めつけるのだ……俺を離しとうない、離しとうないと
かたくなに食いついている……ああ……たまらぬ」
「うあああっ……桃次郎、よせえ……もうやめろ……」
「貴様っ、そこで何をしているっ!」
突如として、怒鳴り声がひびきわたります。
湯殿からあがった赤鬼が、上気した肌をさらに赤くして怒鳴っていました。
助けを求めて濡れた目を向ける青鬼の上で、桃次郎は妖艶にほほえみました。
「……おまえもこっちへ来い。一緒に楽しもうではないか」
「兄者、こいつは化け物じゃ!鬼の私が言うのも変だが、正真正銘の化け物じゃ!
兄者、油断するな!」
赤鬼の目がほそめられ、じっと桃次郎の姿をみつめます。
ゆったりとした動きで腰をあげ、桃次郎は赤鬼をみあげました。
舌なめずりが桃次郎のくちびるを湿らせます。
「そら、そんな褌は脱ぎ捨てて、こちらへ来い。俺をもっと楽しませてくれ」
ふらふらとした足取りで、赤鬼が桃次郎の後ろへちかづきました。
妖艶な笑みが桃次郎の面を妖しく色づかせます。幻のような美しさです。
すがるように赤鬼をみつめる青鬼をよそに、赤鬼は桃次郎を魅せられたようにみつめていました。
「さあ、あまりじらさないでくれ。褌の下の尊き如意棒を俺によこせ」
大きく脚をひらき、あめ色の坩堝を赤鬼にみせつけます。
ひくひくと妖しくうごめく坩堝に、赤鬼は生唾をのみました。
はらりと舞い落ちた虎柄の褌を蹴りはらい、桃次郎の細腰をつかみます。
青鬼に勝るとも劣らない立派な如意棒に、目がくらむようです。
青鬼をつらぬいたまま赤鬼につらぬかれ、桃次郎は艶やかな美声であえぎました。
青鬼の泣き声が弱々しくひびきます。赤鬼の荒々しい息づかいがひびきます。
三位一体のつながりが強烈な快楽をうみだしました。
桃次郎の巨躯な美茎は青鬼に痛みと羞恥とかすかな快楽をもたらします。
青鬼のうぶな締めつけは桃次郎に新鮮な快楽をもたらします。
赤鬼の弓削の重砲は桃次郎の身体をふたつに引き裂かんがばかり最奥をつらぬき、
桃次郎を苦しさと強烈な快楽でもって悦ばせます。
桃次郎のこの世にふたつとない美器は絶妙な柔らかさと締めつけでもって赤鬼の
相棒を包みこみ、うねうねと絞るような動きで赤鬼を追い込みます。
まず青鬼がとろみのある白濁を吐き出しました。次に赤鬼。
桃次郎はその二時間後にようやく昇天しました。
ぐったりしたまま目を覚まそうとしない青鬼を湯殿で清め、虎柄の褌をしめてやり、
寝具の上へ寝かせます。
桃次郎が昇天するまで腰をふらせた赤鬼の如意棒を舐め清め、いためた腰をなでさすってやりました。
こうした細やかな気配りも磨き抜かれた"性技"のうちです。
やがて目を覚ました青鬼とともに、赤鬼は痛む腰をおさえながら桃次郎にどういうわけか問い詰めました。
「おまえは何者だ?」
「俺はただの桃次郎さ」
気障にきめてみせた桃次郎の言葉は聞き流し、鬼たちはふたたび問い詰めます。
「何の目的できたんだ?誰に言われてきた?おまえはどこからきたんだ?」
「そうさなあ……離せば長い話になる。ある村の村長がな、夜戯のさなかに俺に言うんだ。
"鬼毛島に鬼退治にいってくれ"とな。だからきた」
「長くないじゃないか」
ぶつと呟いた青鬼へ、桃次郎の艶やかなほほえみが向けられます。青鬼はおびえた表情をみせました。
赤鬼が憤然として桃次郎にくってかかります。
「何でまた、いまさら俺たちを退治しようと?わるさはとうの昔にやめたんだぜ」
「そうだ。いいかげん人間へのわるさにも嫌気がさして、盗んだものは持ち主に返して
壊したものは修理して、ここへ越してきたんだ。退治されるいわれはない」
鬼たちはぷんぷん怒って赤くなったり青くなったりしました。桃次郎は首をかしげます。
「まあ、そこらへんの事情は俺にはわからぬ。俺には趣味と実益をかねた仕事だったわけだし」
屈託なく笑いながら、桃次郎は鬼たちに背を向けました。あわてて鬼たちがたずねます。
「それで、結局おまえは何者なのだ?どこからきた?」
桃次郎は艶やかな仕草でふりかえり、ほほえみました。
「桃から生まれた桃次郎だ。こんな名だが、長男だ」
そういい残すと、桃次郎は鬼毛島から去ってゆきました。
気に入りの桃の形をした船に乗り込み、波にゆられてどんブルルルァァアッこと流れてゆきます。
桃次郎の旅はまだまだ続くのです。
―完―
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一部分タイトル入れ忘れ申し訳ありませんでした。
乙乙乙!起きててよかった。三位一体w
全裸の訪問者ktkr ww
>「桃から生まれた桃次郎だ。こんな名だが、長男だ」
フイタ
シリーズ化キボン
次「アンタレスの悪代官」で
94 :
風と木の名無しさん:2006/10/11(水) 15:09:27 ID:qvibBIO+0
どんブルルルァァアッこ wwww
95 :
風と木の名無しさん:2006/10/11(水) 17:45:40 ID:VSIy5XtwO
GJ!
萌えたよ萌えた!
どんブルルルァァアッこで鼻水出たwwwww
なんだこりゃwGJじゃないか
>何故か全裸です。
ここで「全裸で。」で締める文思い出して吹いたw
絡みスレから来ました。微妙に改訂しています。
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いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひける中に、
“かぐや”なる男君(おとこぎみ)ありけり。
帝の“かぐや”への御おぼえまばゆく、正視にたえぬご寵愛ぶりに、
御方々は、そねみたまひ、上達部、上人などもあいなく目をそむけそむけ、
苦言を呈するも、帝は“かぐや”を近侍させたまふ。
管弦のお遊びの後、帝は今宵も“かぐや”とおほとのごもられた。
帝は“かぐや”の衣を全て召し上げ、やわらかな陥穽(おとしあな)の縁辺(ふち)まわりを
御舌先でくるりくるりとなぞられる。御歳67の帝は、勃つ術を忘れられて久しい。
いまでは押しも押されもせぬ舐め専(菊ふぇち)だ。
ぬめぬめと陥穽(かんせい)を這いずりまわる帝の舌が、“かぐや”はただただおぞましい。
されど、感じたふりをせねば、帝はあしびきの山鳥の尾のしだり尾の長々しさで
ねっとり、ねっとり、れろれろべろべろお舐めつづけになるのだ。
あぁ、きもい!“かぐや”は心の奥で毒づきながら、少しでも事をするすると終わらせるため、
惚れた目で帝を見つめ、甘ったるい喘ぎ声を上げた。
どうせなら、雷を含んだ雲に包まれるような烈しさで抱かれたい。
尻が裂け、腰がたたなくなるような刺戟が欲しい。
せめて、陥穽(かんせい)ではなくタケリタケに舌をふればわせて欲しかった。
毎夜、ふぇちーな御技にお付き合いし申し上げながら、“かぐや”は、はやく、はやく、と夜明けを願う。
されど、夜が明けたら明けたで待っているのは、多くの女御、更衣がたの心を合わせてのいぢわるだ。
明くる朝、渡殿のあちこちの通り道に、撒き散らされているであろう汚物などをおもい、
“かぐや”は溜め息をついた。禁を犯し、月の都を放逐され早数年。
正直、しんどい。もう、いいだろう!?
「帰りてぇ……」
皓々と輝く月を眺めながら、“かぐや”は頬を濡らした。
一の宮(東宮)の母君は他の方々よりも先に入内(じゅだい)なさりたまひて、
帝もこの御方の御恨み言だけは、ようよう聞き流すことがおできにならない。
御方の御局(みつぼね)は弘徽殿なり。
長雨晴れ間なきころ、帝は女御をお慰めするべく、しぶしぶ弘徽殿(こきでん)にお出向きあそばす。
つれづれと降り暮らして、しめやかなる宵の雨に、“かぐや”は、のどやかなる心地で漢籍など見たまふ。
今宵は舐めふぇちの帝のお相手をし申し上げなくてもよいのだ!!!
久しぶりの独りの夜に“かぐや”は大きく伸びをし、
白き御衣(おんぞ)どものなよよかなるに、直衣(なほし)ばかりをしどけなく着なして、
紐などもうち捨てて脇息に添ひ寄りかかりける。
はやい話、ノー・パンだ。上の衣も前をおっぴろげて、はおっているだけのくつろいだ姿で
“かぐや”は帝の居ない夜を、ゆったりとした気分で過ごしていた。
と、そこへ、どのように策をめぐらしたのであろうか。
世のすき者にて、帝の御おぼえめでたき五人の公達が、
“かぐや”の局(つぼね)に押し入り、やおひ珍比羅のごとく事に及びなさった。
石作皇子、車持皇子、右大臣阿部御主人。大納言大伴御行、中納言石上麻呂。
いずれの男君(おとこぎみ)もやんごとなき際(きわ)なり。
石作皇子の根はいとおほきく太く、車持皇子は、めづらかなる御容貌(かたち)なり。
右大臣は名高い手練れ男であらせられ、大納言の益荒男(ますらお)ぶりは目を見張るほど。
そうして、中納言は“かぐや”に限りなく深いおもいを寄せていた。
巨根、美形、テクニシャン。ワイルド系に純朴くん。
そろいもそろって金持ちで帝よりもぐっと若い。
“かぐや”は、そろりと脱がされるまま、眼にねっとりとした光をみなぎらせ五人の公達に微笑んだ。
五人の公達は、阿弥陀で順を決められ、
他の御方々が見戌(みまも)られる中、おひと方ずつ“かぐや”に被さった。
まずは、太(ふと)き根の皇子。
いざ、雨夜の品定め。誰が一等よいかくらべてやる。そう嘯き、“かぐや”は、皇子に身をゆだねた。
恐れはない。むしろ、紙燭に照り輝く皇子の巨根に、
気は期待で息苦しいほどにたかぶり、どきどきと心弾みを感ずるほどだ。
“かぐや”の脚を蛙のように広げ、指で陥穽を探りほぐした後、皇子はお股に顔を埋めなさった。
股間に熱い息を吹きかけられ陰の毛(いんのもう)がそよぐ。
“かぐや”が身じろいだ瞬間、皇子の太き根が陥穽を穿ち、
“かぐや”の中で龍虎となって暴れ狂った。
縁辺(ふち)まわりが裂け破れ、其処此処から血を滴らせながら“かぐや”は呻き、叫んだ。
皇子のおほ根を陥穽におさめ、揉み込み精を啜り、愉悦の波で攫い虜にする。
そのつもりが、ひと突きで痛みの渦に巻き込まれようとは、口惜しや。
揺さぶられ、繰り返し子種を撃たれ、“かぐや”は、いと激しく、えもとどめず泣き喘いだ。
もののけに取り憑かれたかのように身悶え、許しを請うも、皇子のお腰の振りは烈しさをますばかり。
外は雨。ザアズアゾアズア、音がする。
皇子が果てるまでの待ち遠しさは、千夜(ちよ)を過ごすかのようだった。
品定めなど夢のまた夢。
皇子が満ち足りた心で退かれたとき、“かぐや”は、ようやく終わった悦びに涙した。
されど、これは輪の姦(りんのかん)。
次いで、麗しの皇子が“かぐや”に覆い被さった。
つづく
現代語で書け。
…つづかなくていいよ
桃次郎GJ!
サルと犬と雉の話も読みたいけれど、獣姦になるから駄目なのかorz
サルは道の真ん中に突っ立っている何故か全裸の男を見上げました。
「あの、どちら様で?」
「桃から生まれた桃次郎だ。こんな名だが、長男だ」
男の中心には驚異的な弓削のごとき美茎が備わっておりました。
サルは嘆息しました。
「なんてすばらしい。ここは一つ種族の壁を超えて下さらぬか」
桃次郎はゆるりと首を振りました。
「残念だが
>>1を読め。
ここはなるほど鬼畜スレ。
なれど鬼は守備範囲内だが畜生は守備範囲外だ。
もっとも、どうしてもというなら家来にならしてやっても良い」
こんなんじゃヤダヤダ
サルと犬と雉の話を
>>1に抵触しない範囲でお頼み申す
>>99-101 逆に文語調が面白いと思う。
実験的だからこそ最後まで終らせてくれ。
ガンバレ。
絡んでるのは勉強ができなかった組かねぇ・・・
気に入らんのはスルーじゃろ
>103
獣姦だめじゃないよ。いつも獣姦になるとダメって昔のレス拾っちゃう
人いるけど、保管庫変わって大丈夫になったっていつもレスがつく。
そして忘れた頃にまた獣(ryで繰り返す〜。半年R(ry
>99-101
自分もすごい面白いと思う。アリだよ!
>>103 こんなんじゃヤダヤダとか…痛い奴だな
『やおひ珍比羅 』おもしろい! 乙。
意に反してと言う鬼畜のみならず、
期待に反してと言う鬼畜もあるんだなぁ。
あとの4人がどうなのかwktkして待ってるよ。
やおひ珍比羅面白い!
こういうのはなかなか読めないので
楽しみにしています。
うーん、最近の電波文章マンセーブームってどうなの?
数打ちゃいいってもんじゃないよ。
まぁ電波スレってものがあるから場合によっちゃスレチなのかも試練が、結果的には鬼畜なんだし、いいんじゃない?
そんな自分は孤島さん待ちだー。浦江タンのごとく、しばらく投下がないと不安になるw
115 :
“使い”:2006/10/13(金) 00:25:13 ID:raKPc9c50
触手もの投下します。
主人公がちょっと若いです(16)。
途中で軽くスカ入ります(改めて注意書きは載せます)。
以上が苦手な方はスルーお願いします。
116 :
“使い” 1:2006/10/13(金) 00:25:53 ID:raKPc9c50
森の奥に入ってはいけない。
それは村人の常識だった。
ミランも、子供の頃から嫌と言うほど言い聞かせられてきた。
言ってくれた親は1年前に流行り病で死んでしまったが、
教わったことはすべてミランの頭に入っている。
それでも、その日ミランは森の奥深くへと脚を伸ばした。
身寄りのないミランは、1人で生計を立てねばならない。
親を亡くした時、ミランは15になっていた。
貧しい村においてそれは、他人の庇護を求めていい年齢ではない。
だがミランには、畑を耕すことしか教わっていなかった。
農地を騙し取られても、どうしたらいいのかわからなかった。
わずかに残された畑からは、その日の食べ物を得るのがやっとだ。
ミランは常に飢えていた。
生活の足しにするべく、森で木の実やキノコを採るようになった。
それを町から来る行商人に売って、少しだけ暮らし向きが上向いた。
そして、あと少しだけ稼ぎが欲しいと願ってしまったのだ。
森の奥には、珍しいキノコがたくさん生えている場所があると言う。
食用ではないそれは、滋養強壮の妙薬として高く売れるのだ。
だが、そのキノコを狙っているのは、人間だけではない。
だから、行ってはいけないよ――
そう、言われていたのに。
117 :
“使い” 2:2006/10/13(金) 00:26:37 ID:raKPc9c50
ミランが生まれるよりも前のことだが、この森は安全な森だった。
奥には大きな泉があって、村人が繁く通っていたと言う。
なのに、いつからかアレが這い回るようになって、今では誰も行かないのだと。
キノコがよく生えていた場所を、ミランは老人の昔語りから聞いていた。
キノコは、案外簡単に見つかり、ミランは夢中になって、
持ってきた袋にキノコを詰め込んでいった。
これだけあれば、農地を少しは買い戻せるかもしれない。
そうしたら農具だってもっと必要になる。
あと少しだけ、そう、あと5本くらいでいいから、キノコが欲しい。
自分がどれほど奥まで入り込んでしまっていたかミランが気付いたのは、
目の前に泉が広がってからだった。
しまった。奥まで来過ぎた。すぐ帰らなきゃ…。
慌てて踵を返したミランは、いくらも経たないうちに思わず足を止めた。
大人達から聞いていた話を思い出したのだ。
アレはね、妙な匂いがするんだよ。
オレンジが熟しきって腐りかける寸前みたいな。
嫌な匂いってわけじゃないけど、アレの匂いだと思うとねぇ…。
オレンジの……腐りかけてる匂い……
振り返ると、目にしたくなかった光景が飛び込んできた。
118 :
“使い” 3:2006/10/13(金) 00:27:12 ID:raKPc9c50
走り出したミランの脳裏に、次々に大人達の言葉が蘇った。
アレ自体は、素早くは動けないんだよ。
でも、そこから出て来る触手がね、目に止まらないほど速い。
だから、触手が届かないところまで、すぐ逃げなくちゃいけない。
遠くまで逃げれば、追っては来られないんだからね。
足首に、何かが巻き付いた。
転倒して、ミランは振り返りざま、担いだままだった袋を投げつけた。
地面に落ちて開いた口から、せっかく集めたキノコが散らばった。
どうでも良かった。
逃げることさえできるなら、自分の持っている物すべてを渡してもいい。
残った畑や両親と暮していた家だって、渡してもいい。
捕まってしまうよりはマシだ。
だが、もう自分が捕まってしまっていることをミランは悟っていた。
足首を捕えた触手は、既に脛まで登って来ていた。
119 :
“使い” 4:2006/10/13(金) 00:27:45 ID:raKPc9c50
ミランは絶叫した。
「助けてーっ! 誰か、助けてーっ!」
必死に地面を這いずるが、触手はミランを本体へ引き寄せようと引っ張る。
ミランは必死に触手を足から外そうと試みたが、張り付いた触手は、
離れるどころかミランの手にまで這い登ろうとする。
夢中でそれを振り払ったミランは、腰に差していた小さなナイフを取り出し、
幾度も触手に切り付けた。
傷は入る。
だが、触手が怯む気配はない。
痛覚がないのかもしれない。
それでも、幾度も切り付けて触手の粘着力が弱まった隙に、
ミランは、触手を足に絡ませたまま手近な木に登って、
自分の頭よりも高いところにある枝にしがみついた。
それ以上は、触手に引き戻されて登れない。
ミランは枝にしがみつきながら、下を見下ろした。
自分の真下に、悪夢が形になっていた。
不定形の柔かい体は半透明に白く、内部にある管や袋が透かし見えている。
浪打ち、崩れて、また盛り上がる本体から、太さの異なる赤黒い触手が
何本も伸びている。
村人に“淫魔の使い”と怖れられる、おぞましい怪物だった。
120 :
“使い” 5:2006/10/13(金) 00:28:22 ID:raKPc9c50
もう一本の触手が、木を這い登ってくる。
ミランはナイフをふるってそれを撃退した。
ここにいれば、この枝の上にさえいれば、大丈夫。
“使い”は、登ってこれないんだから。
触手に引き摺り下ろされないように気を付けて。
だけど、ここからどうやって逃げればいい?
こんな森の奥、誰も入ってこない。
そう思いながら、ミランは大声で叫んだ。
「誰かーっ、誰かいませんかーっ! 助けて下さい、助けてーっ!」
自分のように、森に入って来ている人間が、誰かいないだろうか。
聞きつけて、助けに来てくれないだろうか。
誰か、誰か来て…助けて…!
恐怖に涙を浮かべながら、ミランは触手と戦い続けた。
触手に負けて本体の上に落ちてしまったら、最後だ。
この“使い”が具体的にどういうことをするのかは知らない。
大人たちは、それを子供に教えようとはしなかった。
だが、多くを語ろうとはしない大人が、それでも時に口に出した
思い出話の中から、子供たちは皆、“使い”が人に為すことを、
子供なりに想像していた。
“使い”に捕まったら、死ぬまでいやらしいことされるんだぞー。
幼い表現で、子供たちはお互いを脅しあった。
女の人が、裸にされて体中触られたんだって。
一緒にいた人が逃げて、助けを呼んできたけど、
見つかった時には干からびて死んでたんだって。
男の人もだよ。命からがら逃げ帰ってきた人がいたけど、
頭がおかしくなって、川に飛び込んで死んじゃったんだって。
121 :
“使い” 6:2006/10/13(金) 00:28:58 ID:raKPc9c50
ミランの体を目掛けて、何本もの触手がゆらゆらと伸びてくる。
必死にナイフを振るいながら、ミランは叫び続けた。
「助けて、助けて、助けてーっ!」
足首に巻きついた触手は、ミランのズボンの中を這い登ってくる。
阻止したくても、新しく絡み付いてくる触手を追い払うので精一杯だ。
だが触手が内股にまで達した時、ミランはたまらず、その触手を
ナイフで切り付けた。
「いやだっ、触るな、触るなぁ! わあぁぁ!」
あの話は本当だったのだとミランは知った。
今や股間にまで達した触手は、下履きの上から、ミランの
恐怖に縮こまっている性器を揉み始めたのだ。
「いやだっ! いやだーっ!」
触手だということを除いても、あまりに気味が悪い接触だった。
ズボンの裾から伸びている触手に必死で切り付けていたミランは、
背後から伸びてきた触手に気付くのが遅れた。
その触手に右手首を掴まれて捻られ、ナイフを取り落としてしまった。
もうだめだ!
ミランは死にもの狂いで枝にしがみつきながら、
自分の心が絶望で満たされて行くのを感じた。
122 :
“使い” 7:2006/10/13(金) 00:29:31 ID:raKPc9c50
1本の触手がミランの股間を柔かく揉みしだき、
体に巻きついた何本もの触手がミランを下へ下へと引っ張る。
枝に腕を巻きつけ、片方の脚を引っかけて、転落を防いでいるが、
触手に捕らわれた片脚はすでに枝からは離れ、伸び切っていた。
「誰か、誰かぁ! いやだっ、助けてぇー!」
恐怖から、ミランの股間が反応を示すことはなかった。
だが、その部分への刺激は、ミランから確実に力を奪い、
ミランの体は少しずつ引き降ろされて行く。
「あ……あ…助けて…!」
シャツの中に触手が入り込み、ミランの胸に張り付いてくる。
神様…!
ミランが、長く口にするのをやめていた神の名を唱えた時。
目の端に、鮮やかな色彩が動くのが見えた。
はっと目をやると、人が2人、そう遠くもない場所にいる。
た、助かった…!
安堵に、ミランの顔が泣き笑いに崩れた。
「助けて、助けてください! “淫魔の使い”です! 助けて!」
怖がって助けてくれなかったらどうしようと少しだけ思ったが、
2人は躊躇う様子もなく近寄ってくる。
良かった、そう思ったものの、ミランは、違和感が募るのを感じた。
駆け寄ってくるでもなく、恐々と言った様子もなく――
2人は、あまりにも平静な足取りで近寄ってくるのだ。
『俺、殺されかけてるのに…どうしてあんなにゆっくり…?』
一度は鎮まったはずの恐怖が、形を変えて蘇ってきた。
今回ここまで
ぎゃーすみませんすみませんすみません
あげちゃった!
「いかなる御心地ぞ」
麗しの皇子は、超根の皇子によって荒らされた、“かぐや”のケチャマンのやうな
ぐずぐずの陥穽(いど)をいたわりながら、からだをお探りになる。
“かぐや”は、皇子のお召し物のやわらかな衣ずれの音や、
衣にたきこめられた薫りのえならず匂ひて漂うに、ときめきに似た動悸を感じ、
類なく見るからに並外れていらっしゃるお顔だちに、あらためて目をおどろかした。
月の都でもそうそうお目にかかれぬご容姿だ。
かやうなる公達となら、毎夜でもおほとのごもりたい!
強姦も和姦に化けるうるわしさに、“かぐや”は舌舐めずりをし、惚けた眼で皇子を見つめた。
皇子の美しい指が“かぐや”の股間に真っ直ぐ伸ばされ、タケリタケがじっくり両の掌で包まれる。
漣(さざなみ)のようにひろがる心地よさに、“かぐや”は裂け破れた陥穽の痛みを忘れた。
皇子は、みだらに優しいお声で、掌の中でナニが蠢いただの、
あれやこれやと卑猥なことを“かぐや”の耳もとで囁かれる。
その度に、言葉責めなどで動じたことのない“かぐや”が、羞恥でのぼせあがった。
お声がわるい。腰に深く響く色気のあるお声に“かぐや”はとろけた。
この御方に抱かれるために月から来た心地すらして、
皇子のしなやかなお指に包皮を上へ下へとずらされるたび、“かぐや”は弾んだ嬌声をあげ、
はしたなく先走りを洩らした。
「あっ、んあっ、はっ、ぁ、あ、」
あと、もうほんの数回擦り上げ、強く握って下されば浄土にいける。
その刹那、皇子はお手を離され、閉じた扇でひたひたと猛り茸を軽く叩きながら、“かぐや”に囁かれた。
「あやしや。かやうに漲って、はしたない」
“かぐや”は、びんびんに勃ったタケリタケを恥じて、顔に血の色をのぼらせた。
“かぐや”は月で、ずいぶんと男を手玉にとってきた。
月の都を追われたのも、名のあるお方をたぶらかした廉でだ。
尻を振るのも股を開くのもおやすいごよう。ためらいもなければ、恥じらいもない。
扱いてほしければ、扱いてと言えるおのれを“かぐや”は好いていた。
なのに、このうるわしい皇子の前ではそのひとことが、
どうにも恥ずかしく口に出せないまま、ものほしさだけがつのる。
この身はもっとあつかましかったはずなのに…。
もぞもぞと躰を捩らせ、“かぐや”は皇子に目で訴えた。
「いったいどこから露がかかって、私の袖がこうも濡れるのでしょうね」
皇子は“かぐや”が洩らした先走りで、ほんの一点、わずかばかり湿ったお袖を見せつけながら、
ふっとお笑いになると、“かぐや”の両手をそそりたっている“かぐや”のものに導いた。
「さあ、」とのたまひて、皇子は“かぐや”を促される。
“かぐや”は自身を握りしめたまま、あまりのいたたまれなさに泣き濡れた。
五人の公達が“かぐや”の手が動くのをいまか、いまかと見つめられている。
他の御方々はともかく皇子の瞳を意識するだけで、亀頭の露けさは、ますますまさる。
扱けば飛べる。浄土に逝ける。極彩色の世界が、もう、すぐそこに“かぐや”を待っている。
堪えきれず“かぐや”は、千擦り猿と化した。
かたく目を瞑り、しこしことコイては荒い息をつく。ほどなくして出づる。
躰は吐精の余韻に長くわななき、鈴口のちいさき割れ目はひくひくと開いては閉じてを繰り返した。
麗しの皇子は、そのさまを見て満ち足りた心で退かれ、手練れの右大臣に“かぐや”を譲られた。
これから、後ろに皇子を頂戴できると信じ疑っていなかった“かぐや”は、
まぼろしと消えた皇子の美茎と腰の振りをおもって、口惜しさに涙した。
超根の皇子に裂かれた陥穽は、いまだ血(いのち)のぬめりを下垂らせている。
ケチャマンのやうだったのが皇子のお気に障ったのだろうか。
たいそう太く硬かった超根の皇子をお恨み申し上げ、嘆き萎れながら、“かぐや”は右大臣を待ち受けた。
右大臣は、いかにも遊び慣れた手練れの男に見える。さぞさぞ巧みなことだろう。
“かぐや”の淫靡な視線に右大臣は笑顔をつくりなさり、
どのようにし申し上げようかと、あれこれ深くお考えまわしになる。
取りあえず、「はじまりは、いつも接吻」と決めなさっている右大臣は、“かぐや”を引き寄せ、
そのくちびるに、ご自分の唇を重ね合わされた。
ただ唇をふれ合わせているだけの、拙くおもえるそれに、“かぐや”はすぐれた趣を感じた。
唇は吸うもの。そう心得ていた“かぐや”は、舌を挿し入れ、
音を立て、深く絡ませる激しいものばかりが接吻だとおもうていた。
ただその名の通り口を付けているだけのそれに、こんなにも胸が高鳴るとは。
右大臣のおほきな手が髪を撫でてくださるのも心地よく、
“かぐや”は一晩じゅうでもこうしていたいと、右大臣の首に両腕をまわした。
右大臣の接吻は“かぐや”に安堵を与えた。
産まれも育ちも月の花街。安い男娼としてならしてきた“かぐや”は、風韻を愉しむ口付けなど知らなんだ。
嗚呼、よい……。
喉の奥で男根を受けるのは好きではないが、この口付けのおかえしに
礼和をもって舌を這わせ口で喰み、右大臣を悦ばしてさしあげたいとまでおもい、
“かぐや”は、熱いまなざしを右大臣にそそいだ。
長い長い接吻を交わした後、右大臣は“かぐや”の腿に指をすべらせた。
腿、膝うら、ふくら脛。じわじわと脚を下がりゆく右大臣の、
水鳥の羽毛でなぞるかのやうな指使いに“かぐや”は喘いだ。
ゆるるかに熱くなる躰に涙ぐみ、無意識に「あん」と洩らす“かぐや”を眺め、
右大臣は、いかにも嬉しそうな笑みをうかべたまふ。
“かぐや”は右大臣に撫でられるたび躰をふるわせ、この御方はあたりだったと
誰彼となく言いふらしたいほど身も心もたかぶらせ感じ入っていたが、
不意に足指の股に大臣の舌のぬめりを感じ頬をひきつらせた。
あそことお味がにているゆえ、右大臣はことのほかそこをお好みになられる。
「よい味じゃ、よい足じゃ」
右大臣は、“かぐや”の足を手に取ると、頬を寄せなさった。
足に並々ならぬこだわりをお持ちになってらっしゃる右大臣がご覧になっても、
“かぐや”の足裏の弓形は美しく、足指の長さと太さは申し分なかった。
帝とおんなじじゃねえかっ。
菊と足の違いはあれど、ふぇちな事には変わりなし。
頂きまでのぼりつめていた心が谷底まで落ちていく。
右大臣は鼻をならして“かぐや”の足を嗅ぎ、舌を這わせて舐めまわし、
十本の指をぞんぶんにしゃぶると、満ち足りた心で退かれ、
益荒男(ますらお)の大納言に“かぐや”を譲られた。
益荒男(ますらお)の大納言は、隆々とした筋肉を誇示するかのやうに、
半身(うえ)をさらけ出し、“かぐや”の腿の間に陣取った。
次いで、“かぐや”の口を喰べつくすやうな荒々しい口付けを施される。
息も舌も絡め取る苦しい接吻に喘がされながら、“かぐや”は、大納言の唾液をのまされた。
月の花街で“かぐや”が肌をあわせてきた方々に、この大納言はよう似ておられた。
“かぐや”は、おほきな体に押しつぶされぬよう、おのれから大納言を押し倒し跨った。
大納言のタケリタケに陥穽(いど)をあて、腰をおろすや否や、大納言が“かぐや”の両腰を掴む。
激しく上下に揺さぶられ、超根の皇子に破られた箇所が更に深く裂け、
“かぐや”は、ぶり返した痛みと新たな痛みに襲われた。
でも、いい。これが、いい。
鼻息荒く下から突き上げられ身を跳ねさせながら、おのれもがんがん腰を振り、“かぐや”は微笑んだ。
帝に囲われ、夜な夜なふぇちな御技にお付き合いし申し上げるより、
月に戻り、願わくばもとの宿で流される前と変わらず、こうしてお客をとって暮らしたい。
「育ちは悪いが、見目のよい男ばかり揃えてる」、「安くて、かなりいい宿だ」。
そう噂される花街の外れのそこを、“かぐや”は誇りにおもうていた。
朝市で月の都の宮さまに出逢わなければ、今宵もあそこでお客をとっていたはずだ。
お忍びで市に来られていた宮さまに、“かぐや”が声をかけられたのは、たまたまのことだった。
道を訊かれ、宮さまとは露知らず、ご案内し申し上げただけの仲を疑われたのは、
ひとえに“かぐや”の生業(なりわい)ゆえ。
男娼と宮さまが、仲睦まじく朝市を覗かれておった。
昨晩からご一緒だったそうな。何やら、かねてより深い仲らしい。
いとあるまじき浮き名が立ち、“かぐや”は、宮さまをたぶらかした廉で流された。
真偽のほどは二の次、三の次。浮き名がたち、宮さまを貶めたことがすでに罪。
冗談じゃねえと執政官にくいさがったが、ほとぼりが冷めるまではと、
「流刑地での良き待遇」と引きかえに、月の都を放逐されいまに至る。
大納言に揺さぶられながら“かぐや”は遠い目をした。
「どこを見ておる?」
ふいに大納言が体位を変えられた。そうして、勢いよく“かぐや”の顔に子種を放つと、
大納言は満ち足りた心で退かれ、純朴な中納言に“かぐや”を譲られた。
つづく
現代語で書け。
つづかなくていいよ。
使いタン乙!GJ!
使いタン乙!
>129
専ブラでアボン設定に汁
やおひタンは完全に現代語の部分と擬古文調の部分が変な混ざり方をしていて微妙
どんどん現代語になってきているし
どうせなら全部擬古文にすれば?と思うが、そこまでの力量はないんだろうね
魔法のアイテムNGワード≠ヌんな長文もきれいサッパリ消えてなくなります。
触手キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
乙です!!
触手乙!
やおひたん乙
やおひタン乙!
かぐや本人もチンピラだったんだねww
「強姦も和姦に化けるうるわしさ」ワロタ
続き待ってます
ケチャマンは無しだろ。
最低だ。
本スレを汚すな。絡みスレに帰れ、やおひ珍比羅。
使いタンのGJ後に投下するとか図々し過ぎる。
>135
つNGワード
なにが鬼畜かの定義は人それぞれだけど
やおひ珍比羅はスレの本旨とずれてる気がするが
使いgjハァハァ
>>129>>135 粘着だな。想像するに、リアルで気を許した仲間に実は時折引かれていると見た。ワガママも大概にしろ。
やおひタン乙!かなり好きです。
>>136 これから鬼畜展開になるんじゃないか?期待して待とうよ。
「やおひ」、今もそれなりに鬼畜テイストではあると思うんだけど…。
境遇も哀れだし、せめて気持ちいい思いしたいと願っては裏切られているしさ。
古文調で淡々としてて直接的じゃないから、感じ取りにくいのかもしれないけど。
とにかくラストまでは絶対に読みたいので、頼むから嫌いな人はスルーして。
だがことわる
頭の弱い大人に絡まれて大変だろうケド
やおひタソガンガってください。
楽しみにしています。
>138
>142
>1を嫁
・叩きや煽りには絡まない
文体変えました。
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中納言は、“かぐや”に限りなく深いおもいを寄せている。
それをご存じの四人の公達は、気をきかせ、そっと退出なさった。
中納言は“かぐや”に躙り寄り、大納言の子種を受け白く汚れた顔を清め、
超根の皇子に裂かれ、血(いのち)のぬめりを帯びている陥穽(いど)を拭われた。
そうして、“かぐや”の手を取り、今宵、狼藉に及んだことを詫びながら、
“かぐや”の色いろに乱れるさまが見たくて、他の方々をお誘いしたことや、
かわるがわる抱かれるたび、それぞれに異なる表情を見せる“かぐや”に胸が躍ったことを、
顔を赤らめ恥じ入りながら、隠さずお話しなさった。
口を歪めてご自分の性癖を嗤い、ふつうでは無いかもしれないと
おっしゃった中納言の手を握り返し“かぐや”は、みんなそんなもんだと微笑んだ。
少なくとも月で“かぐや”がとってきた客たちはそうだった。
好きだ好きだと言い募られ、好きだから泣き顔が見たい、感じるさまが見たいと、
ほんとうに好かれているのか、小首を傾げたくなるような扱いをよく受けたものだ。
だから、「あんたは、普通だよ」
そう言ってにこやかに笑った“かぐや”に、中納言は恋慕の情を募らせた。
抱いても良いかと問い、中納言の指が“かぐや”の肌に触れたそのとき、雨足が激しくなった。
ズアザアゾアザア、音量を増す雨に雷(いかずち)の轟きが重なる。
耳を押さえ、電(いなずま)の眩しさに顔を顰めた刹那、稲光を背に帝がお姿をあらわされ、
“かぐや”はタラリと冷や汗が落ちるのを感じた。
“かぐや”恋しさに弘徽殿から戻られた帝は、色めかしいふるまいに及ぼうとなさっていた中納言と、
“かぐや”のしどけない姿にたいそうファビョられた。
※流血あり
一夜明け、お怒りおさまらぬ帝は、中納言を隠岐に流され、
形部省のものに、朝な夕な、杖(じょう)で“かぐや”の背を打つようお命じになった。
地べたに激しく突き倒されて、杖を振り上げる男を見あげた際、
“かぐや”は、御殿の奥の御簾の向こうから、帝が“かぐや”をご覧になっていらっしゃるのに気がついた。
はだかの背中に容赦ない杖が打ち下ろされ、灼けつくような痛みが走る。
夕べの豪雨のように降りそそぐ杖に、肉はむくれ、大きく裂け、
“かぐや”は、血が背中を濡らし、流れていくのを感じた。
帝のお心の傷を思えば受けて当然の痛みだ。
深いご寵愛を受けながら、五人の公達の夜這いに胸を躍らせ、
進んで躰を開いたことを、“かぐや”(白)は、心の底から申し訳なく思った。
が、次の瞬間、口のあいた傷に角棒を打ち下ろされ、“かぐや”(黒)は呻いた。
なんでこんな目にあわなきゃいけねえの?
濡れ衣を着せられ流罪になった。流刑地でディープな趣向の帝に囲われた。
美しさがギルティーで、五人の公達に襲われた。
「雨夜の品定め」と嘯いて受け身をとってみたけれど、イッパイイッパイ。だめ過ぎた。
あげく、これからというところで中納言との濡れ場に踏み込まれ、背中に杖を受けている。
指折り数え、“かぐや”(黒)は自身を哀れんだ。
見上げれば朝の月。
西の空にうすく残っていたそれは白かった。
痛みに朦朧としながら、いまにも朝に融けてしまいそうな月を眺め、
“かぐや”は呟いた。
「帰りてぇ……」
おしまい
乙!GJです!
飄々としてて図太そうに見えるけど、さんざんな目に遭ってるなかぐや…
可哀想だから早く迎えにきてやってくれ〜・゚・(´Д`)・゚・。
>たいそうファビョられた。
にワロタww
自分もw
遊び心があって好きだ〜
やおひタン乙!
おもしろかったよ〜
やおひタン、gj!
かわいそうに、やっといい男が出てきたら取り上げられたのか…。
かぐやが早く月に帰れる日が来ますように。
それかせめて、地球で楽しく春をひさぐようになる日が来ますように。
かぐやタン、今まで出会った受けの中でいちばん好きだ!
哀れな生い立ちを、さらっと受けとめてる感じとか、
育ちの悪さからくるしたたかさ&生業への誇りとか、
道を聞かれて、教えるんじゃなくて、
案内してあげちゃう、普通にやさしい感じとか、
美しさがギルティーって自覚してる図太いとことか、
おつむ弱そうなとことか、
でっかいチンコとかイケメン好きな感じとか、
好きな人いなさそうな、恋知らずな感じとか、
幸薄いとことかツボど真ん中だ。
萌え。
>たいそうファビョられた
素で噴いた。
乙!うぉつ!も一つおまけにオツ!
かぐやタン可哀想だ…早く月に帰してあげるか、地上で幸せにしてやってくれ・゚・(ノД`)・゚・。
かといってこの調子じゃ、地上で幸せになりかけた途端「はい時間切れ!」と月からお迎えが来そうで…
とことん不幸だけどめげないかぐやタンに禿た。
GJでした!
ちょっと今回投下長めです。すいません。
※今回6投下目に軽いスカ(失禁)を連想させる描写があります※※苦手な方はスルーお願いします※
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腹にこびりついた白濁と犯された体内を川中で洗っていると、浦江がふらりと戻ってきた。
それに気付いて思わずバランスを崩すと、すかさず浦江が腰や肩に腕を回して身体を支える。
水中の中できりきり痛んでいた足首を川から上げ、藤岡は浦江の肩に腕を回した。
「どこ行ってた?」
「……散歩です」
相変わらず鼻にかかった聞き苦しい声で呟いた浦江の言葉には反応せず、
藤岡は川から上がった。
川の水とはいえ、水に浸って体を洗ったのは数ヶ月ぶりの事だ。
傷は痛むが、よどんだ気分がほんの少しだけましになった気がした。
「タオル……は、持ってないな」
濡れた身体を持て余して浦江を振り返るが、返事を聞く前に質問を打ち切った。
そのとおり、そういった類のものは持っていないらしい。そっぽを向く藤岡の後ろで、浦江は黙って首を振った。
とはいえ、濡れたままたった一着の一張羅を着る気にはなれず、そのまま砂利上に腰を下ろした。
秋とはいえ、そろそろ晩秋に差し掛かる頃の川べりは濡れた身体に殊の外こたえる。
手足の指などの末端部分が氷のように冷え、細かく震えているのがわかった。
ゆっくりと背後に近づいてくる浦江にあわせて大仰に震えてみせながら、藤岡は
冷えた両膝をかかえて両手をすりあわせた。
こうして震えていれば、浦江が何らかの行動をとるだろう。
服を貸すなり、車に乗せるなり。もしかしたら焚き火なりしてくれるかもしれない。
浦江なら"裸であたたまりましょう"と言うのが一番しっくりくるか。
よしんば"散歩"とやらの間に殺人の決意を固めていたのだとしたら、それはそれで。
「風邪ひきますよ」
冷えた手足をすりあわせていた藤岡を抱きしめて、浦江が鼻にかかった囁き声を口にした。
案の定の行動に出た浦江の腕をなで、体温を奪おうとする。
残念ながら、どちらも似たようなものだった。
もともと浦江は体温が高いほうではないのだ。藤岡もしかり。
それを知ってか知らずか、浦江は次に自身の黒い長袖シャツを脱ぎ、藤岡の肩にかけた。
そうした上であらためて藤岡を抱きしめる浦江の腕に目をやれば、色白の肌に鳥肌がたっていた。
思わず笑みを漏らし、粟立った浦江の腕をなでる。体温を奪う名目か、あるいはその逆か。
自分にもわからなかった。
冷えきった傷口は痛覚が麻痺し、薬の効き目も手伝ってほとんど苦痛はない。
ほんの少し身動きするだけで激痛の走る足首をあれだけ酷使して、悪化していないはずはなかった。
本来であれば元通り完治するはずだった足首を、今回の事でいよいよ
壊滅的なダメージを与えてしまったかもしれない。
―――だから?
冷えきった浦江の粟立つ肌をなでながら、藤岡は苦笑した。
「……足、痛みませんか」
「べつに」
遠慮がちに問いかけてくる浦江の言葉を一蹴し、藤岡は目を閉じた。
浦江のほうへ体重をあずけると、一瞬驚いた素振りをみせたあと、浦江は
しっかりと藤岡の身体を抱きしめ直した。
藤岡の身体にシャツをかけ、自身は上半身を剥き出しにした浦江の肌はなおの事冷たく、
細かく震えている。手持ち無沙汰に腕をなでると、一層粟立った感触がした。
風邪をひくのはおまえの方だと心中でひとりごちて、冷えた両手をこすりあわせる。
浦江の両手が藤岡の両手を包み、ひとまとめにぎゅっと握り締めた。
……残念ながら、双方同様に冷たい。
「……浦江、おまえの手、冷たいんだよ」
「すみません……」
申し訳なさげに謝罪を返す浦江の言葉を聞き流し、浦江に身を任せる。
これほど冷えきっているというのに、背に触れる浦江の胸は痛々しいほど高鳴っていた。
日が暮れ、周囲を夜の帳が包む。
二人して川べりに座り込み、川や森を見るともなしに眺めていた。
肌にまとわりついた露水がすっかり乾いた頃、藤岡はようやく砂利上に放っていた
衣服を身につけ、逃げるようにして浦江の車へ飛び込んだ。
……と言いたいところだが、実際は浦江に担がれて車へ乗り込んだ。
心情的には"我先にと車内へ飛び込んだ"と表現したいところだ。
"濡れたままでも別に構わない"と浦江は言ったが、濡れた座席に横たわるのが
嫌さに自身が乾くまで待っていたが、やはり濡れたまま乗り込んだほうがよかったかもしれない。
エアコンであたためられた車内でため息をつきながら震えていると、浦江が小さくくしゃみをした。
それも道理だ。濡れた身体で外にいるのもなかなかつらいものがあったが、
その藤岡に長袖シャツを渡して自身の体温を分け与えていた浦江も相当なものだ。
ルームミラー越しに様子を見ると、蒼白な顔面をだるそうに歪めてぶるぶる震えていた。
とうに2個ほどおにぎりをたいらげた藤岡に対し、浦江はおにぎり1つも口にできない様子だ。
「やっぱりな」
小さく呟きながら腕を伸ばし、エアコンの温度を上げた。ぴりっと足首に痛みが走り、身体が強張る。
すみません、と言いかけて、浦江が痰の絡んだ咳をした。さんざん咳をした後は、くしゃみ。
そばにあったティッシュボックスからちり紙を取り出して鼻をかみながら、
鼻にかかった声で呻いていた。
「馬鹿じゃないのか」
ぴりぴり断続的な痛みを催す足首をかばいながら、ずるずる運転席の方へ這い、
座席に抱きつくようにして浦江の顔を見下ろす。
藤岡を見上げる浦江の顔面は蒼白で、双眸はすがるように潤んでいた。
「症状は?」
「……え」
「だから、症状。頭痛とか鼻水とか。熱は」
額に手をやると、浦江の身体がかすかに震えた。
そこで初めて、藤岡は浦江の奇妙な"癖"に気がついた。
さんざっぱら人の身体を弄ぶわりには、浦江は他人に触られることに慣れていない。
手馴れた様子で人の身体に触れるわりには、こちらから手を伸ばすと、驚いたような顔をする。
あるいは、おびえるような。
驚き、おびえた様子を見せながら、手を伸ばしているのは誰かを確認したうえで、(この場合は藤岡だ)
狂おしげに伸ばした手にすがりついてくる。
思えば、以前からそうだったような気がする。たとえば、仕事中。
熱心に仕事に取り組んでいる浦江の後ろから何かの拍子に肩を叩くと、必要以上に
驚いた様子をして振り向き、呆気に取られた顔をして後ろに立つ同僚なり上司なりを見て
安堵したような様子を見せる。あるいは飲み会。
調子に乗って浦江の隣に座っている人物が浦江の肩を抱くと、びっくりして
初め嫌がるような素振りを見せる。
それから隣の人物を確かめるように見やって、ようやく安堵したように笑みを見せる。
"突然"じゃなければそんなふうにはならなかった。
たとえば上司が浦江の仕事ぶりを褒め、前から肩を叩いたとする。すると浦江は驚かない。
あるいは飲み会でも、酔っ払った女子社員なりが"浦江さんって可愛いね""素敵ね"と
よってたかって浦江に触れても、浦江は嫌がる素振りや驚いた素振りは見せない。
世にいる一般男性と同じように困ったように微笑み、頭をかいていた。
"突然"、"ふとした拍子に"浦江に触れると、浦江は一瞬驚き、おびえるのだ。
熱はないようだ。これから上がるかもしれないが。
手を離すと、名残惜しそうな顔でこちらを見やってきた。飼い犬のような風情だ。
おそるおそる伸ばされた手を握ってやると、氷のように冷たかった。
「お前さあ……さっき……」
「はい」
答えてから、またちり紙を取り出してぶんっと鼻をかむ。藤岡は続けた。
「"好き"とか"愛してる"とか言われたの、初めてって言ってたけど」
「はい」
「今まで誰とも付き合ったことなかったのか?」
握る手に少し力がこもった。相変わらず冷たい。
「……良くわからないです」
小さな声で返ってきた答えに首をかしげた。どうも要領を得ない。
「わからないって何だよ。そういえば、前に"人好きになった事ない"って言ってたな。
本当に一度も誰も好きになったことないのか?」
俺以外に、と付け加えようとして、寸前で口をつぐんだ。"浦江が俺に惚れている"という事実を
わざわざ口に出してまで再確認したくない。口が腐りそうだ。
「……藤岡さん以外に?」
藤岡が言わずとも、浦江が言った。どうにも言葉を返しあぐねて、藤岡は曖昧に首をかしげた。
「藤岡さん以外って言うなら……わかりません。付き合っていたのかどうかも……」
「どうも良くわかんないな。わからないって事は、それっぽい人は過去にいたんだろ」
「……たぶん……」
おてあげだ。ため息をついて車内の天井を仰ぎ、どう話を繋ぐべきか思案した。
どうにも浦江はわからない。普通の人間ではないという事はとうに理解していたつもりだが……
「……付き合っていたのかどうかは……僕にはわかりませんけれど、でも、
一緒に居たかった人は過去にひとり居ました」
「男で?」
「はい」
浦江は生粋のゲイなのか、という事実を今更ながら再確認する。相槌を打って続きを促した。
「……僕が高校生のときに、そういう店で出会って……一時期、付き合い?……ました。
僕より6歳年上で、何ていうか、手馴れている人でした。
初めは良かったけれど、やっぱり彼は一所に留まっているような人じゃなかった」
「浮気性?」
浦江の頭が曖昧に揺れた。肯定と捉えてまず間違いないだろう。
「それで別れたのか?」
今度ははっきりと首が左右に振られた。違うらしい。
※軽いスカ(失禁)を連想させる描写が入ります※
----------------------
「どのくらい付き合ってたんだ?」
「1年と少し」
「それで少しも"好きだ"とか"愛してる"とかなかったって?おおげさに言うなよ」
握る手が震えた。手に力を込めてやると、浦江の手にも力がこもった。わかりやすい反応だ。
「僕からは言っていたんだけど。でも言われた事はないです」
首をかしげてみせると、浦江が力なく笑った。それ以上それについて言及するつもりはないらしい。
次に口を開いた時には、別の話になっていた。
「……たぶん、ずっと前から僕に飽きていて、疎ましかったから別れたんだと思うけど……
きっかけは僕が失禁したから」
「は?」
藤岡の動作がとまる。案の状の反応だったのか、浦江が振り向いてかすかに笑った。
言葉は耳に入ったけれど、脳が意味を理解しない。
話が突拍子もなさすぎていた。
「彼が5〜6人、知り合いを連れて家に来ました。何人かは彼の浮気相手だった。
……僕よりは本命だったのかな。彼らはひどく酔っ払っていて…………彼らとセックスしてる間に、
……僕が、失禁して……彼らは気分を害して帰っていきました。それから連絡が来なくなって……」
「待て待て、何だそりゃ」
「彼らの精液でお腹を壊して、括約筋も緩んでいて、漏らしちゃったんです」
よりわかりやすく説明しようと後述してくれたのだろうが、どちらにせよ意味がわからなかった。
「……それで、すぐ別れました」
どうやらそれで話は終わりのようで、浦江はそれきり黙りこんだ。
車内に気まずい沈黙が下りる。それとも"気まずい"と感じているのは藤岡だけだろうか。
浦江は相変わらず蒼白な顔でぐったり座席に身をもたれている。
結局何を言えばいいのか、何を理解すればいいのかわかりかねて、藤岡は深いため息をついた。
「何で、そんな奴に惚れたんだ?」
ようやく思いついた疑問を口にすると、別段答えにくそうな素振りも見せずにすぐに答えが返ってきた。
「誕生日を……」
「え?」
「誕生日を、祝ってくれたんです」
第二の疑問が頭をもたげる。
やはり浦江の事は理解できそうもなかった。理解しようという方が間違いなのかもしれない。
黙っていると、浦江のほうから付け加えた。
「僕の誕生日を祝ってくれたのは、生涯で彼だけです」
握っていた藤岡の手を持ち上げ、手の甲に軽く口付ける。その熱さに、藤岡はぎょっとした。
「好きだったんですけれど。……たぶん僕だけだったろうから、……」
あわてて握られた手を抜き取り、額に手をやる。
高熱だ。
案の定、上がったらしい。
あわてて周囲を見回すが、役に立ちそうなものは皆無だ。
タオル類だってなかったんだから、使えそうなものがあるはずはない。
とっさに「ハサミ」と叫ぶと、浦江はのろのろした手つきでダッシュボードの
小物入れから小型のハサミを取り出し、藤岡に手渡した。
自分の衣服を切ろうか?寒い。浦江の服は?風邪が悪化する。
「浦江、もう別に、車とか思い入れないよな」
目の端で浦江がかすかに頷いたような気がしたが、それを確認する前にハサミを
座席に突き刺していた。ハサミをひねらせ、大きく正方形に切り裂く。
小型のハサミで硬質の布を切るのは大儀だったが、致し方ない。
切り終えると、切り抜いた布を手にして車から這い出た。
右足首をかばいながら跳ねるようにして川まで向かい、川の水の中へ布を突っ込む。
夜間の川水は震え上がるような冷たさだ。それで良い。
できるだけ固く絞り、車内へ戻る。
浦江の額にぴったり載るようにして折りたたみ、水を吸って冷えた布を額に載せた。
ひどく不恰好な外観だが、しかたない。こうするより他ないのだ。
やれやれ、と呟きながら後部座席に寝そべると、浦江がこちらを振り向いて手を伸ばしてきた。
もう片方の手で額の布を押さえ、すがりつくように藤岡の手を握る。
浦江はまた泣き出していた。
ようやく目元が乾いて、耳障りな鼻声や嗚咽が治まってきたところだったのに。
ため息をついてみせながら、浦江の手を握り返した。
末端はひどく冷たいのに、額や頬はそれに反して燃えるように熱い。
握りやすいように手を伸ばしてやりながら、藤岡は自身も眠りやすいような体勢をつくって
かすかに身動ぎする。再びため息が口をついて出た。
先ほど使ったハサミが気に掛かっていた。
腰の辺りに当たる違和感を取り出して、小型ながらじゅうぶん凶器として
使えそうなそれをためつすがめつ眺めた。
ほとんど真っ暗闇といえる車内で、鉛色の刃が鈍く輝いた。
おそらくは熱に喘いでいるのだろう浦江と、手元に控える小さな凶器を見比べる。
小型だが、弱っている浦江の首にこれを突き刺せば、想像以上に簡単に事は運ぶだろう。
ハサミを持つ手が震え、力んだり、脱力したりを繰り返した。
尻の辺りに手をやり、剥き出しのスポンジを指先でなでる。これが浦江の肉だとしたら?
どれほどの間逡巡していただろうか。
気づいたときには、ハサミは床に投げ捨てられていた。
ぼんやりした顔で車内の天井を見上げ、あれこれとくだらない事を思案する。
しばらく後にのっそりと起き上がり、浦江の額に載った布に触れた。ぬるい。
布を取り上げ、痛む足首を酷使して這うように車外に出る。
濡れた布を持って来た道を戻りながら、黒檀の空を見上げる。
ここへ潜伏して、今日で二日目。明日で三日になる。
食料は一週間分。
……浦江は、どうするつもりなのだろう。
--------------------------------------
今回はここまで。あと2〜3投下ほどで終わる予定ですので、もう少しだけお付き合いくださいorz
孤島タン乙です
終わるの寂しいなぁ。裏腹にwktkしてるけど。
>>161 起きていて良かった。乙です!
うわー、もう少しで終わってしまうのか
どんな結末が用意されているのか怖くもありますがwktk
孤島タン乙!
結末を知るのが怖くもあり、楽しみでもあります
熱をだした浦江はかわいいなぁ萌え
ぬおおお孤島タンGJ!!
待ってた!と大喜びしながら読み進めたが、浦江タンの過去話に…orz
さらりとスゴい事語ってるけど、え…?
何だかわけありの浦江タンの過去話がkwsk知りたい。
もうすぐ終わっちゃうのか…
残念だけど、結末が楽しみだ。
wktkしまくりで待ちます
孤島タソ乙!
ほんと大好きですよ。
孤島タンキテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
何だかんだ言って藤岡さん面倒見いいなあ。
人間臭くて(・∀・)イイ!!
続きが楽しみです。
孤島タン乙!
今の二人の微妙な関係モエス
続きがかなり気になるw
初めての投下。改行とか見難かったらスマソ
--------------------------------
一体いつからだろうと思う。
俺が幼馴染であり、親友でもある彼に対し、こんなにも後ろ暗い感情を抱くようになったのは。
大学の学食で今も彼は俺の隣、何の疑いも抱くことなく、サラダを突付いている。
フォークに突き刺したプチトマトを銜える、形の良い唇がとても卑猥だと思った。
あの唇に口付けたい。思うさま嘗め回し、貪り尽くしたい。
(……ああ、俺ってなんかもう駄目かも)
俺はきっと少しおかしいのだと思う。
幼い頃から、ずっと一緒に過ごしてきた男に対して、こんな欲望を抱くなんて。
「……何見てんだよ、貴章」
俺の視線に気づいた彼、征人が怪訝そうに俺を見た。
「や、お前ホント、プチトマト嫌いだよなと思って」
俺がにやにや笑いながら言うと、
征人がフォークの刺さったプチトマトを銜えたまま、拗ねたような表情を見せる。
「ほら、そんないつまでも銜えてねーで、とっとと食えよ。往生際悪ぃぞ」
からかうように続けると、征人はむすっとした表情で唇からトマトを離し、俺の口に押し付けてきた。
「……っ!」
その行為に俺はぞくりとした。背筋がざわめく。
「んなこと言うならお前が食えよなー」
ぐいぐいと押し付けられ、俺はしぶしぶといった体で、それを受け入れた。
それは甘かった。学食の安いサラダのプチトマトなんて大して甘い筈も無いのだけれど、
彼の唾液に濡れたそれを俺は甘いと思った。
まんまと嫌いなトマトを俺に食わせることに成功した征人は、にやにやと俺を眺めている。
俺は、人の気も知らないで……とこっそり胸中で毒づきながら、呆れたような溜め息をついた。
「……じゃあ、お前代わりにこれ食っとけよ」
そう言いながら征人の皿に苦手な紅生姜を移すと、征人は「ラジャー」と笑って頷いた。
学生向けの安いぼろアパートの一室、自分の部屋のベッドの上で俺は固く目を閉じた。
ふと、昼間の学食での出来事を思い出し、
それだけで下半身が熱くなってしまった俺は必死で気を散らそうとしていた。
俺は別に征人とどうにかなってしまいたいなんて、本気で望んでいるわけじゃない。
何故なら征人は極めてノーマルな性癖の持ち主だし、可愛らしい彼女だっている。
それに俺は彼の意に沿わないことなど強いる気は無いのだから。
不毛だ。
ああ。まったくもって不毛だ。
どんなに焦がれようとも、征人と俺がそんな関係になることなど有り得ない。有り得ないのだ。
征人のあられもない姿を想像し、堪らず自慰に耽ったことは何度かある。
けれど終わってから感じるのは、どうしようもない虚しさだけだ。
俺はもう忘れてしまいたかった。こんな不毛な思いなど。
いや。忘れなければならない。思い切ってしまわなければならないのだ。
「キミさァ、ほんっとーにそれで良いワケ?」
俺以外、誰もいない筈の部屋で、唐突に声をかけられ、俺は驚いて飛び起きた。
見ると、いつの間にかベッドの脇に黒尽くめの少年が立っていた。
鬱陶しく伸ばされた黒髪に、このクソ寒いというのに、
やたらと露出度の高い黒い革の上下。胡散臭いことこの上ない。
「……なんだお前。どこから入った」
俺はうろたえながらも、極力冷静にそれだけ言った。
(玄関の鍵は……掛けてた筈だ。ベランダは……って、ここ4階だぞ)
混乱する頭でそんなことを考えていると、少年がにやりと笑った。
「鍵なんて要らないよ。4階だって問題ない」
まるで心を読んだかのようなタイミングでの少年の台詞に俺はぎくりとした。
無意識に後ずさりかけたが、ベッドが邪魔をして僅かに身動ぎするだけに留まった。
「まるで、じゃないよ。読んでるのさ」
今度こそ硬直する俺の耳元に、少年は唇を寄せ、優しく囁いた。
「……だって僕は悪魔だからね」
「……悪魔?」
何を馬鹿な、と言おうとした俺の目を、少年が楽しげに笑いながら覗き込んだ。
至近距離で見る少年の瞳は猫のように瞳孔が縦に細く割れていた。
明らかに人間のものとは違うそれに俺の背筋を悪寒が走る。
「ね、それでどうなの? 本当に諦めちゃうの? それで良いの?」
彼は知っている。俺の隠された思いを。欲望を。
「……何、を……」
情けないことに声が震えた。これは危険だと、心が警鐘を鳴らした。
けれど構わず少年は続ける。
「無理だよね。そんなに簡単に捨てられる思いなら、もうとっくに捨ててた筈だよね」
「無理じゃ、ない。無理じゃない!」
少年の言葉が少しずつ俺を追い詰めていくのが分かった。俺は彼の言葉を必死で否定した。
聞いてはいけない。彼の言葉に耳を傾けてはいけない。
「どうして? どうしてそんなに拒絶するの?」
「征人は……あいつは俺の親友だ。大切な友人なんだ。裏切れない。この関係を壊したくない!」
俺が必死で絞り出した言葉に、けれど少年はけたけたと声を上げて笑いだした。
「嘘だ! それは嘘だね! 本当はキミはそんなことどうでも良い筈さ。
寧ろ今のような関係なんて、いっそぶち壊したいと思っている」
「違う!」
笑い続ける少年の姿が一瞬揺らぎ、そして変化した。
少年から青年へ、髪が短くなり、次いで顔立ちも変わる。
俺は息を呑んだ。そこにいたのは征人だった。昼間に別れた時の服装のままの、征人。
「違わないだろ、貴章。なあ? お前は俺を抱きたいんだろう?」
「やめろ!」
もうやめてくれ、と俺は叫んだ。
けれど彼は止めなかった。征人の姿で、征人の声で、
けれど征人ならきっと浮かべることは無いだろう表情で、俺を追い詰めていく。
「俺を大切にしたいなんて嘘だ。優しくしたいなんて嘘だろう?
お前は俺を貪りたいんだ。滅茶苦茶に犯して、汚し尽くしたいんだ」
これ以上聞きたくない。彼は、ああ、彼は確かに間違いなく悪魔なのだろう。
彼は暴いてしまう。俺が、隠してきた本心を。俺自身にすら偽ってきた本心を。
「正直になれよ。欲しいなら奪えば良いじゃないか。手に入れてしまえば良い」
征人の顔をした悪魔が俺の体の上に圧し掛かってくる。
征人の顔。征人の躯。征人の匂い。頭がくらくらした。
「なあ、抱いてくれよ。……貴章」
耳元で甘く囁かれ、そして俺は陥落した。
それからはもう夢中だった。
俺は征人の腕を掴みベッドに押し倒し着ていた服を乱暴に引き裂く。
噛み付くように口付け、唾液を貪ると征人の口から苦しげな声が漏れた。
その躯をまさぐりながら顔を窺うと征人は愕然とした表情で俺を見上げていて、
信じられないといったその表情に、俺はこれが悪魔の化けた偽者の征人なのか、本物の征人なのか分からなくなった。
俺の頭はなんだか霞がかかったようにぼんやりとしていて、もうどちらでも構わなかった。
ただ目の前にあるこの躯を貪りたい。それだけだった。
征人の躯を探る俺の手が徐々に下の方へと下りていき、とうとう目的の場所に辿り着く。
潤滑剤も何も無しで唐突にそこに指を挿し込むと、征人は小さく呻いた。
続けて二本、三本と無理矢理に指の数を増やし、乱暴に突き入れる。
いい加減にそこを慣らすと、俺は性急に自分のものを取り出し押し当てた。
「……貴、章?」
未だ愕然とした様子の征人の表情に恐怖が混ざる。
「やめろ、貴章、何を……っ!」
征人が弱々しく抵抗を始めたが、もう止まらなかった。
それどころか今の俺は抵抗する征人を押さえ付け屈服させるとこに昏い悦びを感じている。
もがく征人の尻に俺は強引にそれを捻じ込んだ。
その衝撃に征人が悲鳴を上げた。絶望と激痛に歪む、その表情に俺は酔った。
堪らない。堪らない。堪らない。
そうだ。俺はもう認めざるを得ない。俺はこれが欲しかった。
征人の抵抗も、悲鳴も、哀願も、今の俺には心地好いものでしかない。
俺は恍惚としながら、何度も繰り返し征人の尻に腰を叩き付けた。
ぐったりとした征人の躯の奥深くに欲望を吐き出しながら、俺はもう戻れない自分を感じていた。
173 :
風と木の名無しさん:2006/10/14(土) 14:10:33 ID:PaxyDGAIO
悪魔タン萌え〜ハアハア (*´∀`)早く続き読みたス
悪魔タン、GJ!
悪魔だけに、生っ粋の鬼畜の匂いが…。
なんだか征人くんのことよりも貴章クンの方が心配になるぞ。
悪魔さん乙!続き気になる
悪魔少年が薄目で笑ってる姿が目に浮かぶよ
GJ!
177 :
孤島15:2006/10/15(日) 19:43:15 ID:U+N9UbYPO
いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
車窓から刺し込んで来た朝日に顔を照らされ、藤岡は目を開けた。
こんなふうにふと目が覚めた時、昔の藤岡なら、今は何時くらいだろう?と真っ先に考えただろう。
しかし、今の藤岡にとってはどうでもいいことだった。
寝惚けた頭が行う習慣までもが、今の環境に適応してしまったのだ。
それがおかしくて、藤岡は笑った。
自分以外の息遣いを感じて目線を動かすと、浦江の顔が目の前にあった。
――チャンスだ。
「さようなら、浦江」
俺はハサミを手に取り、浦江の頸動脈を狙った。
-------------------------------------
終わりです。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
釣られたいから釣られてみる。
まず、俺の使い方と――の使い方が間違っています。
もう少し過去ログで文体の特徴をつかんでからにしようねw
あ、やっぱ偽者か。
文章のセンスってやっぱにじみ出るもんでもんね。
偽者からは何も感じなかったもん。
文って頭じゃなくて萌え心で感じ取るもんなんだなぁとこのスレみてオモタ。
ミミのほうがまだオリジナル読み込んでたなw
そういえばこのスレの書き手さんたちってトリップつけないの?
つける必要ないだろ
>>178 「私は読み込んでるのよ〜w」
信者きめえw
187 :
“使い” 8:2006/10/15(日) 23:35:32 ID:aU7ZXx6V0
2人がミランの側にまで来た時、ミランは腕だけで枝に
縋り付いている状態だった。
触手はミランの体中に巻き付き、本体へと引き寄せる。
それを見ながらも、2人はまったくの平静なのだ。
そのうちの1人に、ミランは見覚えがあった。
「お、お代官様……」
「ん? 君は、ニルヘルト村の子かね」
「はい、はい、そうです。た、助けてください」
代官のスクシェは、呆れたようにミランを見た。
「この森は危ないと言われていなかったかね?」
「はい…もう入りません。だから、助けて…!」
スクシェは、近隣のどの村からも嫌われている。
めったに姿を見せず、訴えにもろくに耳を貸さず、
争いごとを持ち出されても村長に任せるばかりで何もしない。
視察を遠乗りと間違えているのではないのかと怒る大人を、
ミランは幼い頃から見ていた。
今も、自分が任されている村の人間が危険な目にあっているのに、
スクシェは助ける素振りもなく、むしろ楽しんでいるように見えた。
188 :
“使い” 9:2006/10/15(日) 23:36:06 ID:aU7ZXx6V0
スクシェの隣にいた男が、スクシェに話し掛けた。
「これなんか、もうかなり育ってるんじゃないのか?」
何の話をしているのだろう?
ミランは、男に目を向けた。
スクシェよりもずっと位が高いらしいその男は、立派な身形をしている。
この男も、ミランを助ける気はないようだった。
ミランの腕は、限界が近づいて悲鳴を上げている。
服の下に入り込んだ触手の動きが気持ち悪い。
ミランは、泣きながら叫んだ。
「お願いです、助けてください! もう俺、落ちそうなんです!」
ミランの哀願に耳を貸す素振りもなく、スクシェは男と話している。
「これはもう、回収する時期に来ていますね。
タグス様、これはなかなか見物ですよ。
よろしかったら、ここでご覧になればいかがかと」
「ああ、悪くないな」
そう返事をして、タグスと呼ばれた男は、手にしていた鞭で
枝にしがみついていたミランの手を思い切り打った。
「あっ!」
一発で充分だった。
ミランの指は枝を離れ、その体は吸い込まれるように
“使い”の本体へと落ちて行った。
注意:スカあり(小)
======================
「うわあああ!」
ミランの絶叫が森の薄暗がりを引き裂いて響き渡る。
“使い”は、ミランの体を柔かく包み込んだ。
オレンジの匂い。
「助けて、助けてお代官様っ、助けてー!」
“使い”から逃れようとめちゃめちゃにもがきながらミランは訴えた。
だが2人の男は聞こえないかのようにながめている。
「ほら、上手に裂くでしょう? 教えなくても知ってるんですよ。
知能があると主張する輩がいるのは、このせいもありましてね」
スクシェの言うように、“使い”は触手を器用に動かして
ミランの服を脱がせ、あるいは切り裂いていく。
女の人が、裸にされて体中触られたんだって。
裸に剥かれたミランの全身に鳥肌が立った。
これから、このおぞましい触手が自分の体をいじり回すのだ。
「おやおや…」
ふるっと震えたミランの小さな筒の先から、小水が漏れ出した。
それを見て男たちが失笑する。
「よほど恐ろしいと見えるね……。無理もないが」
タグスが、ミランの涙に濡れた頬を指先で撫でた。
どうしてこの男たちは助けてくれないのか?
どうしてこんな、当たり前みたいな顔で見ているのか?
ミランには問う気力すら残されていなかった。
ミランの体は、まるでソファにでも沈み込んだかのような状態で、
“使い”に包まれていた。
全身を粘っこい液が覆っていく。
「これかね? このねばねばした」
「そうです。でもこいつはまだまだ売り物にはできませんがね。
よく仕込んだ奴なら、もっと匂いがきついのを出しますよ。
それこそ、オレンジの果汁を煮詰めたような匂いがします。
それが効き目の尺度にもなります」
ミランは、この男たちは“使い”を怖れていないこと、
そして“使い”の生態を熟知していることを知った。
それどころか、“使い”を飼ってでもいるような――。
うまく回らない頭で考えているうちに、触手がミランの体中を撫で回し始めた。
「あ……!」
触手には、繊毛がびっしりと生えている。
くすぐるような動きで、それがミランの全身を舐めていく。
首も背中も腹も、敏感な内股や脇腹も、そしてもっと恥かしい場所も。
「やだっ…いやぁ…」
身動きの出来ない体をかすかにくねらせて、
ミランは生まれて初めて経験する疼きに戸惑っていた。
おぞましい“使い”にいじられて『気持ちいい』などと感じている。
そう感じてしまう事実こそがおぞましくて、ミランは泣いた。
触手が、ミランの膝を大きく開いた。
その格好の浅ましさに、そして目の前の他人2人にそれを見られていることに、
ミランは激しい羞恥を感じて真っ赤になった。
「や、いやだ、見ないで……」
触手はミランの未だ幼さを残したままの筒に絡み付き、
柔かく締め付けてくる。
ミランの喉から、溜息のような音が漏れた。
筒だけではなく、玉を包む袋も、その後ろの慎ましく閉じた孔にも、
触手が這い回り、微細な運動を繰り返している。
自分の手でないものに触れられるのが、これほど気持ちいいとは…。
ミランの頬は上気し、体が小刻みに震え続けた。
「この子、感じているじゃないか。
これでもまだ、使い物にならないというのは……」
「タグス様、仕込んだ“使い”はこんなものではありません。
百戦錬磨の娼婦でさえ、我を忘れて泣き叫びます。
それくらいでなければ、高貴な方々に供せられるほどの品質の
“淫魔の精”は採取できません」
「こういう放牧だけでは不十分かね、やはり」
「とてもじゃありませんが、足りません。あとで、よく仕込んだ“使い”を
ご覧に入れましょう。触手の動き一つ取っても、これとは比べ物になりません」
スクシェが手を伸ばして、ミランの胸に取り付いている触手を突ついた。
柔かい刺激が急に強いものになって、ミランは喘いだ。
その刺激よりもミランに衝撃を与えていたのは、スクシェの言葉だった。
「お、お代官…さまっ…」
「なんだね」
「“使い”、仕込むって……放牧って……」
忙しない息の下から問うミランに、スクシェは何でもないことのように答えた。
「ああ、赤ん坊の“淫魔の使い”をこの森に放しているんだよ。
君がさっき採っていたキノコ、あれが餌になる。あんなに採るから、
匂いで嗅ぎ付けられたんだよ……もっとも、これほど成長した“使い”なら、
君自身の匂いの方に惹きつけられたかもしれないがね」
「そんなっ……」
“使い”は悪魔が生んで世界中にばら撒いているのだと、村人は信じていた。
とうとうこの森の番が来てしまったのだと。
だが実際は、悪魔ではなく人が――いや、人の中に悪魔が……。
愕然とするミランに、スクシェは淡々と続ける。
「“使い”からは上質の媚薬が採れる。今、君の体を覆っているそれだ。
そして、“使い”の餌は、男女問わず人の体液だ……わかるだろう?
その体液が欲しくて、“使い”は媚薬を分泌するわけだ」
「あ、あんたが……!」
ミランは絶叫した。
「この森に、こんなものを……! この森は皆の森だったんだ!
木の実や、キノコや……薬草だって! それをあんたが! こんなことするから!
何人も死んだり行方不明になったりしたんだぞ!」
「ああそう、恐いもの知らずの村人がたまに紛れ込んで来て、
“使い”のいい餌になってくれたものだよ。最近は怖れられ過ぎて、
誰も来なくなってしまったが。迷った旅人か、逃げてきた罪人くらいだね。
だが今日は、君と言う餌が飛び込んで来てくれた…
タグス様のご視察に合せるようにね。感謝しているよ」
「悪魔……!」
ミランは歯を食い縛って涙をこぼした。
本当に悪魔が“使い”を連れてきたのだったら、うかつに森に
入り込んでしまった自分を責め、呪うだけで済んだだろうに。
こんな、それこそ悪魔の使いのような人間のために命を落すなんて。
逃げられないかと必死に身を捩るが、触手はわずかに伸び縮みするだけで、
振りほどくことなどできない。
そうしている間にも触手はミランを責め続けた。
こらえることも出来ず、ミランは自分でも耳を塞ぎたくなるような
甘く濡れた声を上げ始めた。
「ほら…頭のいい生き物でしょう。しばらく体を撫で回せば、獲物がどこを
気持ちいいと感じるかをすぐ覚える。下手な人間に抱かれるよりいいらしい」
「それでか、“使い”そのものを飼いたがる輩も多いのは」
蚯蚓のような触手が、ミランの後ろの孔に入り込んできた。
最初は1本だけ、そしてそれに巻き付くようにして次々に、
何本もの細い触手がうねりながら少しずつ押し入ってくる。
「ひっ、気持ち悪いっ! 助けて…!」
ミランは上擦った悲鳴を上げ、何とか侵入を阻もうと尻に力を入れた。
だが触手は次々にミランの体の奥へと入り込み、中で結束を解き、
バラバラに蠢き始めた。
「気持ち悪いっ、気持ち悪いっ、いやだ、抜いて、抜いてください!」
さっき毒づいたことも忘れて、ミランはスクシェに、タグスに助けを求めた。
だが2人とも眉一つ動かすことなく、無残に開かれた孔を観察していた。
「中でも分泌しますからね。尻は吸収が早い。乱れますよ」
スクシェがタグスに言った通り、やがてミランがそれまで以上に悶え始めた。
今回ここまで
触手!乙!
触手キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!!
触手!触手!(*゚∀゚*)ハァハァ
使いタンGJ!!お代官様、おぬしもワルよのう…
続きwktkでお待ちしていますノシ
可愛いミランタン萌え。
>>161の続き
今回の投下を入れて、あと3投下ほどで終了する予定です。もうしばらくお付き合いください
--------------------------
三日目。浦江の熱は下がらない。
片足で跳ねるようにして車と川とを往復するのは大儀でならなかったが、他に
氷や冷却シートといった類のものがないのだから仕方ない。
息を切らしながら冷えた布を浦江の額に載せてやると、弱々しい声音で
"自分は昔から病弱なのだ"とぽつり漏らした。
確かに、共に働いていて薄々それは感じていた。
マスクをして出勤してくる事もたびたびで、咳き込みながら仕事している姿をよく見かけた覚えがある。
それならそれで風邪薬なり冷却シートなり持参しろと内心で毒づきながら
右足首をさすっていると、浦江の手が探るような手つきでこちらへ伸ばされた。
何も言わずにその手を握ってやると、浦江の口元が嬉しげにほころんだ。
相変わらず冷たい。熱は下がらないのに、末端がこれほど冷たいとは。
昨夜浦江がそうしたように、冷えきった手を両手で包むようにして握り締める。
前を向いたままの浦江の肩が目に見えて跳ね上がり、直後に脱力した。
藤岡の予想した通り、案の定浦江は泣いていた。空いている手で目元を隠し、しゃくりあげて涙を流す。
とはいえ、浦江の涙はもうほとんど慣れっこだった。
逆上してこちらに危害を加えるのでなければ、別段こちらが構う事ではない。
車内に沈黙が下りる。
浦江のすすり泣きの声をどこか遠くに聞きながら、藤岡は握った手を無意識に揺らした。
抱いた赤子をあやすような手つきだった。
「……浦江、どうせ暇だし、聞いていいか」
自分の声が不自然に沈黙上に浮いたような気がして、わずかな居心地の悪さを覚えた。
その妙な気まずさを打ち消すように握った手を揺らし、ルームミラー越しに浦江の様子を窺う。
鏡越しに目が合うと、浦江は泣き濡れた目元に笑みを浮かべて少し頭を揺らした。
おそらく肯定の意だろう。
握った手を二、三度揺らし、しばらくの間を置いた後、藤岡はようやく二の句を継いだ。
「前の男は、誕生日?……を祝ってくれたから、好きだったんだろ」
浦江の頭が揺れる。肯定か。もっとはっきり首を振ってほしい。
「じゃあ、俺は……」
続けられなかった。中途で口をつぐんだ藤岡を鏡越しに見やり、浦江がかすかに笑みを浮かべる。
その後を、質問の意図を心得た浦江が引き取った。
「……いろんなところ、じゃ、納得しませんよね。……直接の理由は、たぶん、父に似ていたから」
再び車内に沈黙が下りた。
浦江はこちらの答えを待っているのだろうか?どう言えと言うんだ?
怪訝な表情を見せる藤岡を見て取って、浦江はその先を続けた。
「性格や、雰囲気は全く似ていないんですけれど。……容姿が、若い頃の父と似ているんです。
……それで、気になり始めました」
「お父さんっこだったのか?」
怪訝な表情を崩さないまま問いかけた藤岡へ、曖昧な笑みが向けられる。
ややあって、ひかえめな仕草で首が傾げられた。
「……たぶん」
何から何まで曖昧だ。握った手を何度か揺らすと、浦江がかすかな笑い声を立てた。
「僕、風邪のときに誰かがそばにいるなんて、初めてなんです。こんなふうに看病されるのも」
額に載せた布を押さえ、泣き濡れた目元を手の甲でぬぐう。何も言わずに手を揺らした。
「足、痛いのに、すみません。断るべきなのに、嬉しくて言えなかった」
語尾が震え、鼻声にかすれた。口元がぐずる子供のようにゆがんでいる。
「別に。薬も効いてるからそれほど痛くないよ」
空いた手で右足首をさすりながら呟くと、浦江の震えがなおの事悪化した。
いよいよもって精神的均衡の危機かもしれない。
「父は僕に興味がなくて……ひとりで寂しくて、だから風邪なんて嫌なのに、
弱いからすぐに風邪を引くんです」
しゃくりあげ、肩が揺れる。何も言わずに、藤岡は握る手に力を込めた。
「父と似た顔をして、藤岡さんはとても優しかった。こんな僕にも他と同じように
接してくれて、同じように叱ってくれた。僕、初め、父と似ているあなたを見て、
"嫌だ"と思ったんです。頭ではわかっていても、冷たくされるのが怖かった」
他と同じように接して、他と同じように仕事上でのミスを叱る。
ごく当たり前の事を、浦江は最上の施しとして受け取っている。
そんな事でお互いの人生を狂わすような暴挙に出てしまった浦江を、哀れに思った。
おそらく今までで一番強く、浦江を"哀れ"だと感じていた。
浦江の生い立ちがどうあれ、詳細を聞く気もないし、知りたいとも思わない。
ただただ哀れでならなかった。
「僕は誰にも、何にも必要とされていない。昔から、みんな僕に無関心なんだ。
置いていかれるのが怖くて、他人を遠ざけるのに、それじゃ寂しいんです。
藤岡さんの気を引きたいのに、無理なんだ。そもそもどうやって他人に歩み寄ればいいのか……」
「痴呆症じゃ、ないんだから。一度関わった人間はそうそう忘れないよ。ましてや同僚なんだし……」
なだめるように手を揺らしながら言い募ると、浦江がかすかに頭を揺らした。
何を意味する仕草なのかはわからなかった。
「でも、僕はそれじゃ嫌だった。前にも言いましたけど、僕を特別な目で見て欲しかった。
せめて藤岡さんには憎しみでも嫌悪でもいいから、僕を特別だと思って欲しくて」
浦江の手に力がこもる。同様に力を込めて握り返してやると、浦江の肩が揺れた。
再び沈黙が下りる。
しばらく待ってみたが、浦江の話は再開されなかった。ただただ浦江のすすり泣きが車内に響く。
何ぞ答えを返すべきか、それならどんな答えを返すべきかをしばらく思案したが、
的確と思える言葉が思い浮かばなかった。それなら、黙っている方が無難だろう。
痛む右足首をかばいながら起き上がり、浦江の額に載った布を取り上げる。ぬるい。
片足で跳ねるようにしながら川べりへ向かい、布を冷やして車へ戻る。
慣れた手際で布を折りたたみ、浦江の額へ載せてやると、ほぼ同時に浦江が手を伸ばしてきた。
拒絶したら、浦江は壊れるだろうか。
先ほどと同じように両手で包み込むように握り締めてやりながら、藤岡は漠然とした思いを抱いた。
俺の言動如何で、今の浦江は簡単に壊れるだろう。
たとえば、この手を突き放したら。拒絶の言葉を発したら。
具合の悪い浦江を置いて、またどこかへ逃げ去ったら?
「藤岡さん、僕、本当は、……本当はずっと……ずっと後悔して……」
自然と力の緩んだ藤岡の手を、浦江の手がぎゅっと握り締める。
我に返って、藤岡は弾かれたように顔を上げた。
これ以上の仕返しは、ないはずだ。俺が味わった苦痛を、少しでも浦江に。
壊れた浦江を見て、俺は笑おう。救助が来ぬまま食料が尽き、そのままのたれ死んでもいい。
せめて最期に、胸のすくような思いを……
「藤岡さんが僕を見てくれて、藤岡さんに触れる事ができて、死ぬほど嬉しかったけど…………
でも結局、どうすればよかったのか……
もうわからないんだ、藤岡さん、もし僕が何もせずにいたら、友達になってくれましたか?
いや違う、そんなのは……」
浦江の頭を思いきり石で殴ったときに、胸のすくような思いはじゅうぶん味わった。
握る手に力を込めて、藤岡は自分の手と浦江の手で一纏めになったものを見つめた。
今更どうしようと、どうにもなりはしないのだ。胸のすく思いはじゅうぶん味わった。
藤岡を失ったと思い込み、狂乱した浦江を見たあの時。浦江に馬乗りになって、さんざん石で殴ったあの時。
少なくとも、もう何かで発散しなければやっていけないだけの憎しみは、もう残っていない。
浦江を許した、という事だろうか。
とっさに浮かんだ自身の考えをすぐに打ち消し、首を振る。冗談じゃない。
今でも真っ先に殺してやりたいと思っている。
本当にそうだろうか?現に、俺はもうあまり憎悪していない。
身を焼き切るようだった激しい憎悪はなりを潜め、今では浦江を同情してすらいる。
自分を弄び責め苛んだ元凶を"哀れだ"と思って"同情"しているのだ。
自己憐憫にかまけてしかるべきだろうに。殺しても足りないほどだろうに。
いずれにしろ、藤岡はもう浦江に対して身を焦がすような恨みは抱いていない。
いつ?いつ許した?いつでも殺してやろうと思っていたはずだ。
"浦江を許した"などと腑抜けた事を考える自分に怒りを催すかとも思ったが、
実際はたいした感慨も覚えなかった。
実際、藤岡は浦江を"許した"のだろう。それがどんな形であるにせよ。
かといって、それがどうという事もない。
握り締めた手を引き寄せ、浦江は藤岡の手の甲に口付けた。まだ熱がある。
口付けた手に頬を寄せ、潤んだ双眸でこちらを見やってくる。
端正な顔を狂おしげにゆがめ、かさついて皮の剥けた唇を舐める。
「好きです」
小さく告げられた言葉に頷き、藤岡は口元をほころばせた。
「知ってる」
浦江がこちらに上体を傾け、藤岡の頬に手を添えた。冷たい。高熱が出ているとは思えない。
近づいてくる浦江に合わせ、目を閉じる。唇が重なり、水分の少ない浦江の舌が歯列を割る。
抵抗はしないが、協力はしない。口付けに応える事もない。
無反応のまま目を閉じている藤岡を抱き寄せ、浦江はその頬や瞼に口付けた。
無理な体勢に右足首が悲鳴を上げる。
浦江が口付けを終えるまで、藤岡は微動だにせずにいた。ある種の意地のようなものだと自覚している。
「好き、です。死ぬほど」
浦江の腕が藤岡を固く抱きしめるのに合わせ、伸ばした手で浦江の後頭部をなでた。
「知ってる」
浦江の嗚咽がこちらに伝わり、二人まとめて身体が震える。
後頭部にやった手を上下にさすり、軽く叩いたりしながら、藤岡は子供をあやすように
浦江の耳元でとりとめのない事を囁いていた。
「大丈夫、大丈夫」とか、そんなような事を。
「ひとりじゃないから。俺がいるよ、ほら」
なでていた後頭部を強かに殴り、驚いて顔を上げた浦江の頬を引っ張る。
殊更強くしがみついてくる浦江の背中を叩き、上下にさする。
たぶん、俺ももう、どこかしらおかしくなっているのだろう。
浦江の嗚咽、鼓動、体温それらすべてが狂気に満ちていて、触れ合うそばから
肌身に食らいついてくる。
疲れ果てて、藤岡は脱力した。浦江の腕が追いすがる。可哀想な奴だ。
心底からそう思って、藤岡は浦江の頭をなでた。
可哀想な奴だ。
「好きだよ、とか、愛してるよ、とか、言ってやろうか」
肩口で嗚咽をあげる浦江に囁きかける。曖昧な調子で頭が揺れた。わからないんだよ、お前は。
「好きだよ、浦江」
浦江の身体が大きく揺れた。何事かと思ったが、嗚咽が跳ね上がったらしい。揺れる背中をなでる。
「名前の方がいいか?忠道?」
藤岡を抱きしめる腕に力がこもり、藤岡の息が詰まった。肯定か、これは?
「忠道、好きだよ。愛してるよ」
震える背中に腕を回す。
たぶん、浦江は今日中に干上がってしまうだろう。嗚咽しか返せない浦江に言い継いだ。
「……それは、嘘だけど。でも、俺、もう怒ってないよ。……嫌いだけど。
でも、どうでもよくはない。たぶん忘れる事もない。死ぬまで、お前の事はずっと覚えてると思う。
……いい印象では、ないにせよ」
藤岡が言い終えると、浦江は長く深く息を吸い、何度も嗚咽にしゃくりあげながら、何度もはっきりと頷いた。
--------------------------------
今回ここまで。予定より少ない投下数で投下できましたwwスマシorz
あと2投下ほどで終わる予定です。エロなしが続いてスマソ
203 :
風と木の名無しさん:2006/10/16(月) 03:04:39 ID:8SKcZ4bA0
エロ書け、なんて誰も言ってないのに。
>203
何かチョト言い方が…
孤島タン!乙!相変わらず涙腺が緩むよ。
>>203も言ってる通りエロなしでも無問題だけど…
むしろこれ以上エチして藤岡タンが大丈夫なのかどうかw
孤島タンキテタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
あと二回ですか…今までの事を考えたらどう考えても
幸せな結末にたどり着きそうもないけど
藤岡タンもだが浦江タンも哀れでどうにか幸せになって
くれんかなと思ってしまうよ…切ねえ。
>孤島タン
「痴呆」って言葉は今は偏見や差別を含んだ語として考えられているよ。
今は「認知症」を使うのが一般的。
本筋とは関係ないし、悪意じゃなく知らなかっただけだろうから情報までに。
ここで世間の常識を語って何になるんだ
普通の会話なんだから今まで見聞きした言葉を使うのが自然だろ
孤島タン禿しく乙!!
最後までついてく!
孤島タン乙!朝からいいもの読ませてもらったよ
どんな結末になるのか本当に楽しみ
孤島タン失速したね。
連載当初のおもしろさがなくなったわ。
10週で打ち切り決まった漫画が巻いてる感じ。
オチ読めるよ。代理タンまだかな〜。
拘束男こと大好きなお兄ちゃんに犯されるハダレタンがはやく見たい!
孤島タンは正直うざい。
他の書き手さんに対するテンション高い乙コールとか、
エロなくて云々の語りとかイロイロ鼻につくな〜。
せめて最後まで面白いもの書いて欲しい。
がんばって!!
>209
文体が気味悪いよ。
各作者さん乙です。次の投下も楽しみにしてます。
>>206 生活にお上が勝手に変えましょうと発表しただけで生活に根付いてない言葉。
明らかな差別をふくむ使い方をしていないのに、
言論規制等は出版社が自粛でやってるだけだ。
そういうことは出版の際w?にでもご教授してやれ。
209以上に206がみっともない件w
孤独だったのは浦江のほうか(つд`)
終わってほしくないけど最後が読みたい。
孤島タン乙!
孤島にひとりぼっちだったのは、浦江だったんだな…
泣ける。
>211
勝手に変えましょうと言った「お上」の立場として、ひとこと言いたかっただけですので、どうぞお気になさらず。
しかし>211さんはじめ皆さん知ってくれているようですので、まずまずの成果かと。
>209はどんなオチが来ても「予想通りだった」って言うんだろうな〜
>206=>215は最近「認知症」って言葉を知ったばっかりで使いたいだけなんだろうな〜
>>209は代理タンマンセーに見せかけたアンチのようにも
見えるが…もし本当に儲でも代理タンもこんなこと書かれたら
逆に投下しにくくなるだろうに。
お上キタ(゚∀゚)━━━━━!!
ご高説賜らなくともこの板にいる年齢なら知識として普通に知ってると思うよ
使うかどうかは別
219 :
177:2006/10/16(月) 13:30:58 ID:P6nqYgsYO
荒らしてるやつ!!真似すんなよ
いつも私が荒らすと金魚の糞のように何人も後に続きや
がって!
オリジナルティがないんじゃぁ!屑腐女子は〜〜
たまには一人で荒らしてみろやぁ〜〜
☆釣り荒らしまで馴れ合い屑腐女子☆
× オリジナルティ
○ オリジナリティ
俺は
>>209を路地裏に引きずり込むと、平手打ちを食らわしシャツを破いた。
無理矢理ズボンを脱がせ、中腰にさせると、壁に蔦う配水管の留め具の下で、上にズリあがれないようにシャツで縛り付けた。
傍らのビールケースから空き瓶を一本取り出し、
>>209の尻にあてがい、上から頭を押した。イヤイヤと首を振るのも構わずに、グイグイ押した。
瓶の中首あたりまで尻に潜ったところで、さらに低い位置で縛りなおし、俺は煙草に火を着ける…。
深く一呼吸して、その煙草を
>>209の震える唇に挟んだ。
俺は、煙草が消えるまで視姦した。
>>220 バカッ 177タンはオリジナル・ティーが飲みたかったんだよ!
【おまちどぅー】
つ 旦~旦~
よーし、パパ思いっきり荒らしちゃうぞー
荒らされるのはパパの尻だけにして
お尻はいやぁ…アッー!*
227 :
風と木の名無しさん:2006/10/16(月) 18:35:54 ID:u4rfS9AEO
ホントにしょーもないな、何度も絡んで荒らす馬鹿相手に、何度も同じ事繰り返す馬鹿な読み手しかいない駄目スレは。
君等の無駄口や高尚な蘊蓄は絡みかチラ裏かしたらばでやってくれよ。
作品読むのに邪魔だからさ。
なんかえらそうなやつがわいてるな
孤島「エロなくてすみません」
この発言失礼じゃね
孤島はこのスレの読み手がエロしか求めてないと思うから謝罪するんだよな
それなのに投下し続ける…
これには「エロが無くてもマンセーされる私の作品は神v」という自己愛が現れている
孤島が『年中発情期のような読み手』と
『それにマンセーされたいが為にエロを書いている他の作者』を
見下してるのはよく解った
バカにしやがって…
神専用スレでも立ててオナニーしろよ
もういいってば!
はい、終わりおわり。
コトータン、ラストスパートがんばって!
_ _
( ゚∀゚)
( ∩ミ ブンブン
| ωつ,゙
し ⌒J
_, ,_
( ゚Д゚) ガン!!
( ∩ミ ____
| ωつ☆
し ⌒J |
//////////_---―――――---_\ /////////////////
// // ///:: < _,ノ , 、ヽ、_ ノ ;;;ヽ /////// //// ///
///// /:::: (y○')`ヽ) ( ´(y○') ;;| // ////// // /
// //,|::: ⌒ / ヽ⌒ ;| ///// // ////
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// / ヽ::::: | ! || | ||!!| ;;;;;;//////// ///// /// //
レスが伸びてる→新作続編大量投下ktkrと思ったらがっかりだよヽ(`Д´)ノウワァァン
孤島タン、長さとか気にしないで最後まで書きたいように書いて欲しい。
弱ってる浦江タンを突き放せない優しい藤岡タンに切な萌え。
次回の投下も待ってる!
したらばで嫉妬してるとエスパーする信者達(笑)
>>202の続き
---------------------
なかなか藤岡から離れたがらない浦江をなだめすかし、やっとの事で
眠りにつかせたのがおよそ二時間前。
疲れているはずなのに、藤岡は眠れずにいた。
次第に白んでいく空を車窓から見るともなしに眺めながら、とりとめのない事をあれこれと考える。
何をするでもなく色の変わりゆく空を眺めるだなんて、以前は考えもしなかった事だ。
そもそも、そんな余裕もなかった。
夜は眠り、朝には目覚め、昼間はお勤めを果たさなければならなかったのだから。
仄明りをまとって煙るような薄雲に覆われた空を眺めるうち、身も心も安閑とした気色を帯びる。
自然とほころぶような笑みが口元に浮かぶのを感じていた。
終始感じていた暗澹とした思いは影を潜め、どこへなりと飛び去ってしまったようだ。
心身ともにくつろいだ様子で微笑む藤岡に、誰かの声が"この腑抜け"と叫んだ。
かろうじて残されていた矜持の一部が声を張り上げる。
実際に鼻で笑ってみせる事で、藤岡はその声を一蹴した。そもそも"矜持"なんてものは想像の産物だ。
仮に存在するとしても、とうにそんなものは捨てた。あるいは、浦江に握りつぶされたのかも。
"矜持"の心配をするよりも、俺は正気の心配をした方が良さそうだ。
少なくとも、浦江の規則的な寝息を聞いて安心する程度には、精神を病んでいる。
右足首をかばいながらそろそろと身を起こし、浦江の様子を窺い見る。
寝息に見合った穏やかな寝顔を見るにつけ、落ち着いているようだ。
汗ばんだ前髪をかきあげてやり、額に載った布に触れる。ぬるい。
布を取り上げざま額や頬に手をやると、少しだけ熱い感触が指先に触れた。
危機は脱したようだが、まだ軽い熱は健在のようだ。
ため息をつきながらドアを押しやり、砂利上に降り立った。
ぴりっと電気が走るような痛みが右足首によぎったが、別に気にするほどでもない。
>>229 21禁板でしかも鬼畜スレなんだから、ごく自然な一文じゃない。
ほかの投下作だって基本エロありだしさ。
エロあるのもないのも面白い作品ばかりだとは思うけど
いそぐでもなく川べりまで向かい、布を水に浸す。
芯から冷えるような冷たさが指先に触れ、思わず間抜けた声を上げた。
もう水浴びなんて真似はできそうもない。日々刻一刻と寒さを増していく。
ぶるっと粟立った身体を震わせてため息をつき、浸した布をしぼった。
ふいに、肌寒さを感じさせる寒風が藤岡の頬をかすめた。
顔を上げると、その一風にそよいだ木々が互いに互いをこすりあげ、漣めいた音を立てた。
穏やかに流れる川面に小さな波が立つ。
そよぐ木々や波打つ川面をぼんやり眺めながら、藤岡はしぼった布を握り締めた。
再び冷えた風が吹く。藤岡の髪が緩やかな調子でたなびいた。
―――俺の貯金を全部はたいたら、大人二人分の高飛び費用は賄えるだろうか。
生き残っていた矜持が悲鳴を上げる。あるいは正気が?
けれど、大部分の内面は穏やかだった。むしろ違和感を覚えるほど落ち着き払っている。
たなびく髪が頬をかすめる。
何事をか怒鳴り続ける矜持を押しやり、正論を述べる正気を打ち消した。
どこがいいだろう?現実的なところで、離島だろうか。
ほとんど住人のいないような、閉塞的な島―――"孤島"?
ふと頭に浮かんだ言葉に思わず吹き出し、川に浸した布が飛沫を飛ばした。
孤島にひとりぽつんと佇んでいた俺の隣に、ひとり住人が増えるわけか。
神様もひとりぼっちで空の上じゃ、寂しかったらしい。
かつて闘争心を露わに頭上の神様を睨みつけていたはずの孤島上の自分は、
今ではすっかり腑抜けた表情でかつての敵と手を取り合っている。
あまりにもしっくりくる想像で、藤岡はひとりでくつくつ笑いを漏らした。
いよいよ正気が消えてきたか。
浦江が起きたら、相談してみようか。行き先やら、今後のなりふりを。
……そもそも浦江はどうするつもりだったのだろう。
食料が尽きたとき、浦江はどういう行動に出るつもりだったのか。すすんで想像したい事ではない。
右足首の腱を切ったときのような冷えた無表情で藤岡の首を絞める浦江を想像するより、
今後の計画を聞いた浦江が驚き、喜ぶ姿を想像した方が多少は楽しい。
まずは自分も寝る事にしよう。少し疲れを取ったほうが良さそうだ。
長いこと浸していた布を持ち上げ、固くしぼる。両手が冷えきって痛いほどだ。
入念に水をしぼり、右足首に負担をかけないようゆっくりと立ち上がる。
あくびをしながら車の方へ足を向けた藤岡の目の端に、ふと何かがよぎった。
動物だろうか。まさか熊じゃないだろうな。
もし熊なら、"気のせい"で済ますと己の命に関わる。
小動物の類か、あるいは単なる気のせいである事を半ば祈りながら足を止め、周囲を見回した。
車の向こうに広がる茂みがはっきりと揺れ、かさついた音を立てた。
少なくとも"気のせい"ではなさそうだ。
それなら小動物の類であってくれと近視の双眸を細める藤岡に、手を振る誰かの姿が映った。
揺れた茂みとは別の場所で、ぼやけた人影が手を振っている。
とっさに車内を見ると、浦江は先ほどと同じ姿勢で座席に身を預けていた。
全身にぞわりと鳥肌が立った。全身が発作のように震えだす。
近視の自分を、さらには眼鏡をどこかへ隠した浦江を恨みながら、両手を目尻にやって左右に引っ張る。
茂みに身を隠していたのは一頭、いや、一人ではなかった。目に見えるだけで十数人は視認できる。
冷や汗がどっと噴き出し、背中を冷たい感触をともなって滑り落ちる。
夢だろうか、と頭のどこかが呟いた。夢であるはずがないのに。
茂みに潜む彼らのひとりが、突き立てた人差し指を口元に押し当てた。
万国共通の"沈黙"のサインに、乾いた唇を噛み締める。
そんな事をされずとも、もとより声は出せそうにない。
目だけで車内の浦江を見やると、ぐったりした様子で座席に身をもたれている。
姿勢が変わっていないところを見ると、気づいている様子はないようだ。
頭が真っ白になった。全身が病人のように震え、手にした布を固く握り締める。
なすすべもなく立ち尽くす藤岡へ、別のひとりがサインを送った。
車の方を指し示し、なにやら唇を動かしてこちらへ首をかしげる。
藤岡に読唇の技術はないが、相手が何を伝えようとしているのかは理解できた。
"やつはどうだ、車の中のやつは。"
意味は理解しても、身体は動かなかった。全身が石のように凝り固まっている。
相手のジェスチャーが動きを増す。答えない藤岡に苛立っているのだろうか。
かといって、どう返せばいいのだ?何を言えば?
様々な葛藤や思いが心中にこみ上げた。絡み合った思いが巡る。
高飛びを―――二人で離島に高飛びを―――、―――二人で孤島に―――
何が肯定か、否定か。
浦江のように、藤岡は曖昧に頭を揺らした。肯定とも、否定とも取れる動きで。
彼らはそれを"肯定"と捉えた。彼らは動きを開始した。
尋常ならざる動きで―――と、藤岡には見えた―――瞬時に藤岡の視界から姿を消し、
四方へ散ったかと思うと一斉に茂みから飛び出した。
目を見張る間もなく藤岡の両脇を二人の男が押しつぶすが如く取り押さえる。
痛みを覚えるほど両腕をぐいとつかまれ、低いうめき声が口をついて出た。
手荒に引っ張られて右足首が痛みを催す。
"まさか人違いをしているのでは"と眉を顰めた藤岡を前に、周囲を取り巻く彼らが
「確保!確保!」と割れんばかりの大声を上げた。
心臓が口から飛び出す思いだった。
なすすべもなく事の成り行きを見守る藤岡の目の前で、彼らは俊敏に動きながら
あっという間に車を取り囲み、慎重な様子で腰の拳銃に手を添えた。
彼らが口々に叫ぶ大声に起こされたのか、浦江が緩慢な仕草で座席から身を起こす。
ゆっくりと周囲を見回す浦江の表情は見取れなかった。
「出ろ、出るんだ」
運転席側のドア前に陣取ったひとりが荒々しい声を上げて窓を拳で叩く。窓に穴が開きそうだ。
びっくりしたように肩を揺らし、浦江が窓の外を見る。
ようやく目にした横顔は、驚きや恐怖というよりも、戸惑いに近かった。
なかなか動こうとしない浦江に痺れをきらし、窓を叩いていた男がドアをむしる勢いで開けた。
蜘蛛の子を散らす、とは逆の風情で、一瞬にして浦江の周囲に人が集まる。
たいした抵抗も見せずにぐったりしている浦江を、手荒な男がひきずり出した。
くたりとした浦江の身体はいとも簡単に地面に引き倒される。
うつ伏せに倒れこんだ浦江の腕をひとりが捻り上げ、背中で一纏めにした。浦江の表情は見えない。
抵抗しない浦江の背中や頭を、何人かの男が砂利上に押さえつけ、時折殴りつけたりしている。
「熱が、あるから」
蚊の鳴くような声で呟いた藤岡の声を聞くものはいない。
嵐のような喧騒の中、大勢が怒鳴りながら走り回っている。
ぐいぐい腕を引っ張る両脇の男二人をよそに、藤岡はその場から動けずにいた。
「もう大丈夫ですからね。安心してください」
なだめるように背中をさすられ、弾かれたように顔を上げる。震えがとまらない。
「大丈夫ですよ」
いかにも頼りがいのありそうな声が両脇からそそがれ、藤岡は引き攣った笑みを浮かべた。
相変わらず抵抗しないままぐったりしている浦江の手に手錠がかかる。
何かを探すように首をめぐらせようとした浦江を見咎め、周囲の男たちが一斉に
浦江の頭を押さえつけに掛かった。
砂利を踏む音がして、数台の車が小道から砂利道へ乗り上げた。
「さあ、もう大丈夫ですから。後ろの車に乗ってください。まずは病院へ運びます」
再び腕を引っ張られて、バランスを崩した。とっさに身体を支える両脇の男は素早かったが、
それでもやはり右足に激痛が走った。悲鳴を上げる藤岡に、両脇の男の顔色が変わる。
「どうしました?」
「右足、怪我してるんです」
かすれた声で切れ切れに答えると、ふたりのうちのひとりが藤岡の膝裏や脇下に手を差し入れ、
手早い動きで抱き上げた。あまり右足に配慮しない抱き上げ方に痛みが走る。
そばの誰かが藤岡の身体に毛布をかけ、手早く藤岡の身体をくるんだ。
落ち着かせようとする配慮だろうか。ただ単に寒いからだろうか。
ぼんやりした頭で考え、無意識に男の首に両腕を回す。
「もう大丈夫ですから。安心してくださいね」
何度も同じ言葉を繰り返す頼もしい声に何度も頷きながら、藤岡は脱力した。
今になっても状況がよく理解できない。
車へ向かう男の肩越しに後ろを見やると、数人の男たちに押さえつけられながら浦江がこちらを見ていた。
頭や腹を砂利上に押さえつけられているためか、首が不自然な形に曲がっている。
あれでは、筋を違えてしまう。
時折苦しそうに顔をゆがめながら、浦江はこちらを見つめていた。
色白い肌をよりいっそう蒼白にして、熱に浮かされた黒い瞳を潤ませながら。
砂利上に押さえつけられた際に擦り剥いたのか、頬の辺りが赤く擦り剥けている。
遠ざかっていくにつれ、浦江の姿がぼやけていく。
誰かの手が浦江の髪をつかみ、腕をつかみ、無理に立ち上がらせた。
くたりとした浦江の体が持ち上がり、ふらつきながら砂利上に脚を踏みしめる。
浦江はこちらを見つめていた。
すでに藤岡の視力では視認できない位置まで来ていて、浦江の表情は読めない。
底冷えするような心細さが藤岡を襲い、全身の震えが悪化した。
俺がいなくなったら、あいつが寂しがる。
あいつは俺がいなきゃ駄目らしいから、見捨てていくのは忍びないんだ。
あいつは熱があるんだ、触ればわかるだろう。そんなに手荒にしないでやってくれ。
可哀想な奴なんだよ。
藤岡を抱く男と共に救急車へ乗り込み、中に配置された小さな簡易ベッドのようなものに寝かされた。
救急隊員らしき男が藤岡のそばに跪き、何事をか尋ねる。
左耳から右耳へ流れていくような質問を聞くともなしに聞きながら、ほとんど無意識に問いかけに答えた。
誰かの手が傷ついた右足を触診めいた動きで調べる。
「俺は浦江とどこかへ行くんだ。放っておいてくれ」
喉まで出かかった言葉を飲み込み、藤岡は目を閉じた。
「もう安心してくださいね。すぐにご家族にも会えますから。もう大丈夫ですよ」
穏やかな声が藤岡を励ます。
浦江を残して、藤岡を乗せた救急車はその場を走り去った。
----------------------------
今回ここまで。
孤島タン乙!
浦江は捕まってしまったのか…
この先二人がどうなるか、楽しみです
藤岡はストックホルムシンドローム?
孤島タン、乙!&d!
めちゃめちゃ面白い
この後どうなるんだー 気になるよー
孤島タソ乙!
なんか切なくなってしまったよ
続き楽しみにしてます
248 :
風と木の名無しさん:2006/10/16(月) 23:15:03 ID:THKBLuHDO
孤島タン乙!マジで早くラスが見たい〜( ̄∀ ̄)しかし終わらないで欲しかったり…複雑ね…
めちゃくちゃおもすれー。
でもでも…orz
高飛び〜の描写でハピーエンドフラグキタキタキタ━━━(*゚∀゚*)━━━!!と思ったんだが…orz
離れゆく藤岡タンを見つめる浦江タンの心情を思うと鬱る…
どうなっちゃうのかなあ。
予定だと次で終り…
乙です孤島タン!!
孤島に二人で暮らす浦江タン&藤岡タンが見たいよう(ノД`)
高飛び! 高飛びだ、いけーーーー!
孤島タン乙です!!
人影が現れたところ滅茶苦茶ドキドキしたよ。
ああ、藤岡タンが二人で孤島で暮らすとまで思ってくれてること、
浦江タンは知らないまま離れ離れになってしまったんだね。
なんか二人が可哀想で泣けてくるよ。
次回が楽しみでたまらないけど、終わってしまうのは悲しいよ。
孤島タン乙です!
もお、とっても切ないです。
どうか、どうか、ハッピーエンドを・・・orz
253 :
ベタな話 1:2006/10/17(火) 01:27:24 ID:KZDQ8phO0
ステージの上で義元興業の若手芸人(芸歴9年目)が漫才を終えた。
きょうは、単独ライブなので客席は彼らのファンばかり。
MCがはじまり、ツッコミのひとは、いつも以上のテンションの高さで
「このまえ若手7人で温泉に行った」話をしだした。
「それでねぇ、出発の前の日に、バナーのゴッさんが〜」
同期のバナーと彼らはかなり仲がいい。付けて加えてファン層もかぶっている。
いまも、何人もの女子が「バナーのゴッさん」に反応して身を乗り出した。
「ゴッさんがですね、“しおり”をつくってきてくれたんですよ。
注意とか持っていくものとかが書いてある、就学旅行のしおりみたいなやつね。
アレをみんなに配ってくれて、で、こっからダメよ。オフレコね?」
笑いながら、「帰ってブログとかに書かないように」と客席に言ってから、
ツッコミのひとはオチに向かって話し出した。
「“しおり”のね、注意書きの一番下に、『メリダニの悪口はひとり3回まで』って書いてたの。太字で!」
多くの芸人とそのファンに嫌われているコンビの名に、会場はどっとわいた。
「みんな、アウトだったけど」
ボケのひとことに笑い声が増す。
「3回とかぜんぜんぜんぜん足りないから」
初日でね、ぜ〜んぶ使っちゃった。と笑うツッコミに、客席がまたわいた。
メリダニは、ファンも多いがアンチも多い。
芸歴3年のくせに事務所の強力プッシュで、レギュラー7本、CM3本。
金曜深夜に1時間の冠番組まで持っている。
某特番で、ある中堅芸人は言い切った。
「むかつきますね。実力以上に売れてるうえ、ツッコミの態度がでかいわ、
ボケの媚びが鼻につくわ、最悪です」。
254 :
ベタな話 2:2006/10/17(火) 01:28:02 ID:KZDQ8phO0
「メーリさん、僕らまじで嫌われてんじゃねえ??」
劇場の一番後ろから、立ち見でライブをみていたメリダニのボケは、
隣で腕を組み、舞台に冷ややかな眼差しをそそいでいた相方を、憂いをおびた双眸で見上げた。
「名前を知られてないよりましだろ?」
長身のツッコミは指の長い大きな手をボケの頭にぽんと乗せると、さらさらの髪をひと撫でした。
ホモっぽさ、もといコンビ仲のよさは、彼らの売りのひとつだ。
ツッコミの明里(めいり)×ボケの羊谷(ひつじだに)で、二人はメリダニ!!
誰もが認める男前の明里は、長い脚と美声(バリトン)を、
かわいい羊谷は、長い睫とメラノサイトがスリープモードな美肌を持っている。
男前長脚美声。
可憐長睫美肌。
顔がいいだけ。華があるだけ。ネタはつまらん、笑えねえ。
何かにつけ、そう揶揄される二人だが、その顔と華が金になるのがこの業界。
いまのところ、メリダニは勝ち組だった。
ライブの終わり間近、明里は羊谷の華奢な腰に腕をまわし、耳元で囁いた。
「出よう」
新宿にある義元所有のお笑い専門劇場を後にし、二人は駐車場に向かった。
明里の白いBMWに乗り込み夜の街をいく。顔が売れ過ぎてすぐ囲まれるので、最近、電車には乗っていない。
劇場の目の前に新宿駅があるのに、高い料金を払って駐車場を利用しなければいけないのが、
羊谷はちょっぴり不満だが明里とのドライブはけっこう好きだ。
義元興業の養成所在籍中に先輩芸人よりお客さんに(顔が)うけ、
上のひとの目に留まったのが快進撃のはじまり。TV映えする二人は重宝がられた。
あまりの忙しさに明里は、せっかく入った東京大学にほとんど通えてない。
車を買えるほど金はたまったが、単位の方はまったくだ。
4年で卒業するのは諦めた。取りあえず、8年計画を立てている。
255 :
ベタな話 3:2006/10/17(火) 01:28:47 ID:KZDQ8phO0
ウィンカーのバーを上にあげ、ハンドルを切りながら明里は助手席の羊谷に訊ねた。
「俺、このあとフ/ジ/で打ち合わせなんだけど、おまえ、どうする?
暇あるなら顔ださないか?美和子さんが『羊谷くんのファン』なんだ」
明里は東京大学出身の才女として名高いマルチタレントの名前を出した。
フ/ジ/の某クイズ番組に明里は、「東京大学チーム」の一員としてピンで呼ばれている。
1日オフなら、このまま二人でメシを食いに行きたいところだが、
「漫才に定評のある先輩芸人の舞台を生で見るため」に時間をつくるのがやっとだった。
もし羊谷がこの後、ピンの仕事を入れていなければ、もう少し一緒にいられるのだが。
淡い期待をしながら、明里は羊谷のブ/ラ/イ/スめいた顔を見た。
養成所に入ったときは、男前の自分と並んだとき絵的におもしろい様に、
残念な顔の男を相方に選ぼうと決めていた。けれど、羊谷にひとめ惚れ。
いかに口説こうか策を練っていたさなか、
演習の際、だじゃれ好きのさむい人(教師)が二人にコンビを組めと言った。
「明里(めいり)と羊谷(ひつじだに)で、メリーさんの羊だ。
出囃子もミーレドーレミミミでいけっ!!」
仲人に思えた。明里はいまも彼を「メリダニ」産みの親と仰ぎ、何かにつけて立てている。
「好きだ」と告白したのは、はじめての単独ライブを大成功させた夜のことだ。
「僕もメーリさんのこと好きだよ?」
「いや、そうじゃなくて、……な?」(わかれよっ!!)と、心の中で突っ込みを入れながら、
明里は肩を落とした。以来、なかよしコンビとして、なんの進展もないまま、
2LDKでの同居をファンの女子にホモ臭ぁ〜い!と騒がれながら、清く暮らしている。
「ごめん、メーリさん。CM撮りがあるんだ。美和子さんによろしくお伝えしててよ。
あと、今夜遅くなるかも……。高岡くんが、10時過ぎねえと時間つくれねーんだって」
CMで共演する人気アイドルの名前をあげ、羊谷はパンッと音を立てて手を合わせた。
256 :
ベタな話 4:2006/10/17(火) 01:29:18 ID:KZDQ8phO0
この前、羊谷が「今度メンズコスメのCMに出る」と言っていたのを明里は思い出した。
忙しくなり過ぎて、互いのピンの仕事を把握できなくなってきている。
明里は、無理するなよと微笑みかけ、タクシーを拾うから、途中で下ろしてくれと言う羊谷を制し、
都内のスタジオまで車を走らせた。
その晩、フ/ジ/での打ち合わせを終え、明里が帰り日付が変わってもまだ、羊谷は帰って来なかった。
羊谷を待ちながら、バスローブ姿でワインをあける。(属性裸族の明里は、帰宅後は常時バスローブだ)。
コンセプトはモデルルーム。モノトーンで統一された明里の部屋はシンプルだ。
昭和のはじめを意識した羊谷の8畳間とはまったく違う。
間接照明だけを点け、ソファーに深々と身を預けてグラスを傾けながら明里は、ふと思った。
メリダニがホモっぽいのは仕方ない。ホモ臭くてあたりまえだ。俺が本物だからな。
羊谷が好きだ。帰りが遅いと気になって堪らない。誰かにこんな気持ちを抱くのははじめてだ。
単純に撮影が長引いているのだろう。ちょっと考えればわかる事なのに、携帯をかけては留守電に溜め息を吐く。
独りでワインを1本あけてしまい、明里は気を紛らわせる為にシンセの前に座った。
深夜なのを考慮して音量を落とす。
前々から、出囃子のメリーさんに黄門さまをモーフィングしたいと思っていたのだ。
ミーレドレにつづけて、ミーミレードーレードシソラー、で降りてくるのと、
水/戸/黄/門/の前奏から入って、ジャンジャジャジャ、ジャンジャジャジャ、
ミーレドーレミミミとつづけるのと、どちらがいいだろうか??
義元興業に所属する芸人は、義元の劇場のステージに上がる際、流れる出囃子が決まっている。
基本的には好きな曲だが、ネタや芸名のイメージで出囃子を決める芸人も多い。メリダニは後者だ。
明里は取りあえず2パターンつくってみた。深夜&アルコールが入っているゆえ、
翌朝あらためて聴いたら赤面するかもしれないと、脳の奥の冷静な部分で思いながら時計を見る。
羊谷はまだ帰らない。玄関先でルーベンスも羊谷を待っている。
キッチンに2本目のワインを取りに行った帰り、
お座りの姿勢をキープしている犬の頭を撫でようとして明里は嫌がられた。
257 :
ベタな話 5:2006/10/17(火) 01:29:57 ID:KZDQ8phO0
羊谷が拾ってきたこの柴犬は、明里に懐く気はないらしい。
仕事で遅くなるたび、羊谷は「ルーベンス、僕もう疲れたよ……」と言いながら、
豆柴を抱きしめる。羊谷流のボケだ。
パトラッシュだろ!という突っ込みを入れるのも憚られ、明里はこの豆柴をタロと呼んでいた。
「タロ、羊谷遅いな……」
くぅうんと、ルーベンスが鼻をならしたころ羊谷は、
ルーベンスみたいな壮大なバロック様式の絵画がかかった華美で豪奢な寝室にいた。全裸で。
CMの撮影はとっくに終わっていた。帰れないのはスタジオを出た途端、拉致られたからだ。
羊谷を待ちかまえていた若く美しい男は、黒づくめのマッチョな部下×2人に命じ、
羊谷をぬばたまの黒のポルシェに押し込んだ。
超高層ビル六/本/木/ヒ/ル/ズ/レ/ジ/デ/ン/ス/の一室に連れ込まれ、
羊谷は天蓋付きのベッドの上で美青年の部下どもに服を奪われた。
「どうせ、枕営業をいっぱいしてるんでしょ?」
美々しい長椅子に寝そべって、高みの見物と洒落込んでいた主犯の美しい男に、
嘲るようにそう言われたとき、全裸の羊谷が感じたのは羞恥よりも悔しさだった。
確かにプロデューサーやスポンサーと寝れば、テレビに出られることがある。
だけど、どんな業界のお偉いさんと寝たってお客さんは笑ってくれない。
「からだで払って買えるもんじゃねえんだよ!」
自分達がネタよりも容姿や雰囲気を買われていることは知ってるし、
武器だとも思っている。でも最終兵器は身体じゃない芸だ!
二人の頑張りでのし上がってきたのだ。処男童貞!枕営業なんて一度もしていない!!
メリダニと笑いを貶められた気がして、羊谷は愛らしい顔を歪めた。
258 :
ベタな話 6:2006/10/17(火) 01:30:47 ID:KZDQ8phO0
目先の目標は30歳までにゴールデンタイムに進出し、メーリさんとMCをすること。
夢は漫才でこの星の一等賞になること。
「芸人なめんなよっ!!」
羊谷は2人の厳つい男に押し倒されながら、主犯の美青年を睨み付けた。
「うるさいね。やっちゃって」
長椅子からベッドを眺めていた美貌の持ち主は指を鳴らし、口元に酷薄そうな笑みを浮かべた。
「ここに何本の“ちんぽ”ぶち込まれてきたんだよ?」
部下1は、羊谷を四つん這いにし、尻の割れ目に硬化したペニスを押し当てた。
「舌出せよ」
部下2は、グロい亀頭を羊谷の瑞々しく艶やかな唇に擦り付ける。
はじまりはじまり。
羊谷が憎々しげに正面の部下2を見上げた瞬間、部下1は濡らさず慣らさず挿入を試みた。
「アッーーー!!!」
血を下垂らせながら出口がめきめき入り口へと変わってく。いわゆるひとつのトランスフォーメーション。
つつましく窄まっていた蕾は、散血と共に花開き部下1を受け入れた。
「痛ぇっ、痛え。痛えよ…ッ!」
悲鳴をあげた羊谷の口に部下2はペニスを突っ込んだ。
「ぇうっ、……えぅっ!!!」
無理矢理含まされたペニスにえづく羊谷を、長椅子の上の主犯は目を輝かせて見つめた。
「血がいい具合に潤滑油になってるぜ」
旧出口のふちまわりはあちこちが切れ、襞から血を滲ませている。
そしてそのぬめりが、雁高な部下1の挿入を助け、羊谷を更に呻かせた。
259 :
ベタな話 7:2006/10/17(火) 01:32:14 ID:KZDQ8phO0
「下手くそだな」
羊谷の口にペニスをぶち込んでいた部下2は、羊谷のさらさらの髪を掴むと腰を振りはじめた。
鼻をくすぐる陰毛。喉の奥を行き来するペニス。
部下2の顎がはずれそうな程の大きさと、部下1の突き上げの烈しさに
噛みつくことも思いつかず、羊谷は口でそれ受けながら口の端(はた)から唾液を垂れ流した。
奥穿男根、尻淵血濡流。
喉犯男根、口端唾濡流。
「酷くしたほうが感じるみたいだな」
「俺のをくわえてるだけで勃ってるぜ」
部下1に手荒く掘られ、口に部下2を頬ばりながら、羊谷は先端から先走りを洩らした
感度良好。風味絶佳。本人さえ知らなかったその体質は、
羊谷に痛みの中から官能を拾わせ、部下どもを燃えさせた。
部下1に尻を部下2に口を深く突かれるたび、敏感すぎる羊谷は“生理的な”涙を流し、
身悶え、部下1に中出しされた刹那、共に白濁を迸らせた。
長椅子に寝そべっていた端麗な主犯は、
ロココ調のサイドテーブルからオペラグラスを取り上げると、
優美なしぐさでそれを目元にあて微笑みながら宣った。
「お股もお尻グショグショだよ」
顔を真っ赤に染め吐精の屈辱に頬を濡らしている羊谷を、主犯は言葉で嬲った。
「やっぱりしてたんじゃない、枕営業。
体は正直だね。トコロテンなんてよっぽど慣れてないと無理でしょう?
それとも、はじめてなのに、後ろだけでイッちゃったの?いやらしいねえ」
羊谷は激高し、部下2に口内を犯されながら、
両目いっぱいに痛憤の涙を溜め、楽しげに嘲笑う主犯を睨んだ。
260 :
ベタな話 8:2006/10/17(火) 01:32:50 ID:KZDQ8phO0
言いたいことは腐るほどあるのに、部下2のペニスで口を塞がれ何ひとつ言葉にできない。
「おまえばかり気持ちよくなったらずるいだろ?今度は俺を気持ちよくする番だぜ」
部下2は部下1とイッた羊谷をなじり、髪を鷲掴みにするとマッハで腰を振りだした。
「残さずのめよ」
息苦しさに顔を歪めた羊谷の口内に、部下2が発射しようとしたそのとき!
「顔に出して」
主犯が命じ、部下2は羊谷の顔にネバネバをぶちまけた。
「いい顔だね」
オペラグラスを置いて手にしたデジカメで、顔射で汚された羊谷を撮ると主犯は華やかな笑みを浮かべた。
「おまえ、いい加減にしろよ!そんな写真とって何がしてえんだよ!!」
犯されたショックや写真を撮られた恥ずかしさより、
もしも写真をばらまかれたら…という不安が勝り羊谷は吼えた。
きっと今後の芸能活動に支障が出る。メーリさんや事務所に迷惑をかけてしまう。
ベッドの上で部下2に押さえつけられたまま羊谷は喚きつづけた。
「くそっ!!離せっ。そのデジカメよこせっ!!痛えんだよ、手ぇ、離せよ。馬鹿っ!!
くそ、日付、変わってんじゃねえかっ!あした、日/テ/レに9時入りなんだよっ!
家に帰せっ。訴えてやるっっ!!まじでシ/ン/ス/ケ/さんに相談するからなっっ!!」
「うるさいね。黙らないと剃毛するよ?」
「わけわかんねえよっ、何なんだよっ!おまえ誰だよっ!!」
「俺?……おまえのアンチだよ」
「メリダニが嫌いなら僕らが出てる番組スルーしろよっ!こんなことして何になんだよっ」
「嫌だなぁ、嫌いなのはおまえだけなんだけど。俺は明里が大好きだよ」
眉を顰めた羊谷に「黙らなかったから剃毛ね?」と告げ、主犯は部下1にお道具を取りに行かせた。
261 :
ベタな話 9:2006/10/17(火) 01:33:23 ID:KZDQ8phO0
ほどなくして部下1が奥のバスルームから、シェービングクリームとT字剃刀を運んできた。
「剃っちゃって」
部下1が部下2に押さえつけられた羊谷の股間にクリームを塗りつける。
「動くと“ちんぽ”がキレるぞ」
嘘 み た く 現 実 で こ れ は 何 な ん だ ? マ ジ で 何 な ん だ ?
身を竦ませながら羊谷は、ジョリジョリという音を聞いた。
「怖くない、怖くない。そのカミソリ女の子用だから。
クシの目状のフィルムガードがついているんだよねえ。
だから、横滑りしても大丈夫。安全だよ」
主犯がデジカメを回しながら、羊谷の羞恥心を煽る。
「“ちんぽ”が裸になったぞ」
ティッシュでクリームと毛を拭うと、部下2は満足そうに仕上がりを眺めた。
「すべすべだな」
部下1がごつい手で無毛地帯をまさぐる。
羊谷は少年のようなつるつるの股間を見おろし、憤怒と屈辱に震えた。
「次、革ひもね」
主犯の指示に、部下2が羊谷のペニスに黒い革ひもを絡め、根本をギュウギュウ締めつけた。
「やめろよっ!!くそっ、おまえら、いい加減にしろっ!!」
メラノサイトがスリープモードな白肌に、
「淡いピンクのかすみ草」色した童貞(もちもち)ペニス。
そのペニスの根本には黒々とした革の紐。
「『エロスと色彩』って感じ?いいねえ〜」
アップ、アップ、アップ。いったん引いて、またアップ。
デジカメを回しながら、主犯の美青年はうっとりと呟いた。
「わけわかんねえよっ!ほどけっ、この紐ほどけっっ!!」
「ローション塗ってあげて」
主犯の次なる指令に、ローションを纏った部下1の人差し指が羊谷のアスホールを行き来する。
「もっとびしょびしょに濡らして」
主に命じられるまま部下1が、ローションの量を増やす。
「こいつはな媚薬入りなんだぜ。即効性のな」
部下1は淫靡な音を立てながら、出し入れを繰り返し、
先の挿入のなごりでぬめっていた羊谷の中を執拗に撫でまわした。
ぬるぬるぬるぬる濡らされれば濡らされるほど、
ふちまわりの深い裂傷にローションが沁み込み、羊谷は声をあげた。
「うわぁ、もう感じてるの?ちょっと、はやすぎない?」
「違っ!!沁みるんだよっ、くそ…っっ」
「あ、そう。痛いの?じゃあ、抜いてあげて」
美青年の言葉に部下1が人差し指を引き抜く。指が抜かれていく妙な排泄感を、
“口寂しい”と思った自分に羊谷は打ちのめされた。
「あ、ぁ……ン」
「1分たったら2本入れてあげて」
その1分の空白は羊谷に未だ嘗て無い絶望を与えた。
気がつけば羊谷は、媚薬がもたらす飢えとひもじさに、涙を垂れ流し乞食の目で部下1を見つめていた。
長椅子の美しい男が、勝ち誇ったように嗤う。
「『お恵みくだされ』って言ってごらん」
ギリギリ精一杯つっぱて、羊谷は首を横にふった。けれど、1分後。
部下1が人差し指に中指を添え、羊谷の中に突き立てたるや否や、
羊谷のアナルは、ひくひく蠢きながらガツガツと2本の指をしゃぶっていた。
「いま何本入っているかわかるか?」
部下1は薬指をプラスし、お決まりの問いかけをした。
からだが勝手に気持ちよくなっていく。
喘ぐのに忙しい羊谷のかわりに主犯は嘯いた。
「答えは3本。そしてその3本は必ずばらばらに動くんだよね〜」
主からの「動かせ」という命令に部下1は、淫らな音を立てながら内部を掻き回した。
「柔らかいな」
「ぁ、ん……ッ!」
気持ちよくて気持ちよくて堪らない。羊谷は部下1の指にあんあん嬌声をあげた。
前立腺を撫でられ、長押しされ、
革ひもで根本を縛られたペニスにカァッと熱があつまる。
「あっ、あ、あーーーッ!」
けれど、革ひもで緊縛されたペニスは、はじけることを許されない。
「若さま、こいつイキたそうですよ」
そう進言した部下2に主犯は流し目を送り、強請るように言いつけた。
「だめ。舐めて。もっと、喘がせて」
いきたくていきたくて堪らないペニスを部下2に舐められ、
鈴口に力のこもった舌を感じるたび、羊谷は身を跳ねさせた。
「……はずせよ、これ、はずせっ。ん、…あ、ぁ、」
気持ちよいのも、もどかしいのも、ぜんぶ媚薬のせいにして、羊谷は恥も外聞もなく叫んだ。
「くそっ、たまんねえ、いかせろよっっ!!!」
そんな羊谷から部下1は指を抜くと、桃色のバイブを見せつけた。
程なくしてそれは、羊谷のお尻の穴でブルブル振動しながらウィンウィン回った。
指に勝る刺戟に、股間はよりいっそう膨らみ、じわじわと汗が滲む。
からだが火照る。足の裏が燃えるように熱い。限界だった。
「……頼む、これ、…っ、はずしてくれ……ッ!!」
主犯の美青年は懇願する羊谷をデジカメ越しに見ながら、「厭だね」と微笑んだ。
「ほんとはな、このローション媚薬なんか入ってないんだぜ」
「ど淫乱」
部下1と部下2に、つづけざまにそう言われ、羊谷の中で張りつめていた何かが切れた。
バイブの振動音と羊谷が発する水音に、弱々しい嘆き声が混じる。
「…メーリさ、ん、…メー、リ、さん…っ」
迷子の子が母親を呼ぶように、羊谷は喘ぎながら相方の名前を口にしていた。
「なんでそこで明里の名前を呼ぶわけっ!?」
羊谷の呟きは、主犯のささくれだっていた心を逆撫でした。
「俺の明里は、お馬鹿な羊の羊飼いじゃないんだけど?そろそろあの人、俺に返してよっ」
(俺のメーリ??)
こいつ、メーリさんの何なわけ?
雪嵐のように烈しく、容赦なく身を苛んでいく、冷酷な射精感に苛まされながら、
羊谷はどちらかといえば弱いおつむで考えた。
明里が男専門なのはコンビを組んだとき聞かされている。
顔にこそ出さなかったがキャパのせまい羊谷は、正直うげぇーっっと思ったものだ。
初めての単独ライブのあと、面と向かって大好きだと言われたのも記憶に新しい。
相方として「好き」なのか、そういう相手として「好き」なのか、
恐ろしくて訊けなくて、あのとき、羊谷は天然ボケを装った。
だって、後者の場合、気持ち悪くてコンビを組んでいられなくなってしまう。
メーリさんとなら、一緒に天下を取れる。そう確信したライブの後、解散なんて絶ッ対考えたくなかった。
ライブ後しばらく、羊谷はもんもんとした日々を過ごした。
けれど、(明里の多大なる忍耐力ゆえに)清く流れていく同居生活に、
いまじゃ、あの日の「好き」は相方としての「好き」だったんだと結論づけている。
明里と羊谷の間には、ひとかけらの疚しさもない。
……とはいえ、明里がそっち系なのはFAなわけで、だとしたら導き出される答えはひとつ。
(メーリさんの恋人か、元カレだ…!!)
(でもって、僕とメーリさんが、できてると思い込んでる……??)
そうとしか思えない。
「……違うからっ!!メーリさんとは、まじで、ただの相方なだけだからっ!!」
羊谷は必死に叫び、だから紐をほどいてくれっと訴えた。
「嘘だね。おまえが明里をたぶらかしているんでしょ?いまだって同棲してるくせにっ!!
養成所でおまえに出逢ってから、明里は変わってしまったよ……ッ!!」
「そんなん知るかよっ!ホモの痴話喧嘩に巻き込むんじゃねえっ、一億総ホモだと思うなよっっ」
「は!?枕営業しまくりの、男に犯されてあんあん喘ぐようなひとにノンケぶられたくないねっ。
いまだって、お尻に桃色のバイブくわえて前をベタベタにしてるくせに!!」
麗しい主犯は、女性ホルモンの切れたニューハーフのようにヒスって、
部下1にバイブをMAXにするように言いつけ、
ギンギンの股間を握りしめ胎児のようにまるまった羊谷を嗤った。
「んっ、あ、……ぁ、あ、」
からだ中にあぶら汗を滲ませながら、革ひもの結び目に爪を立て、自力で解こうと
足掻いている羊谷に、主犯は尋ねた。
「ねえ?感じるんでしょ?おまえだって、同じ穴の狢じゃない。
『お情けをくだされ』って言ってごらん。いかせてあげないこともないよ?」
「くそっ……、病院、行けよっ。あ、頭わいてんだろ、おまえ……ッ。くそっ、いきてえよっ!!
いきてえんだよ。畜生っ、『お情けを、くだされ……ッ!!』」
食い込んだ革ひもをカットされた羊谷は達した後、
部下1、部下2に洗い清められ、明け方、ぬばたまの黒のポルシェで自宅へ送り届けられた。
「ルーベンス、僕もう疲れたよ……」
玄関先で、羊谷は愛犬を抱き締めた。
寝ずに羊谷の帰りを待っていた明里は羊谷を問いつめ、
明里的には終わった恋の相手が羊谷を苛んだことを確信した。
淡泊だと思っていたあの男が羊谷に手をだすような粘着だったとは!
羊谷に繰り返し謝り、許せない、と呟いた明里に、羊谷は想われていることを悟った。やばいと思った。
でもまだ、「聞いてない」。言葉にさえされなければ、まだ気持ちに折り合いをつけられる。きっとコンビを組んでいられる。
ホモ臭いコンビでいようよ?ネタになる範囲でならいちゃつける。だから、お願い。言わないで。
「好きだ、」
耳を塞ぐ前にNGワードを口にされ、泪を浮かべながら羊谷は横に首を振った。
羊谷に同性の壁は越えられない。
付けて加えて、今宵のあれこれが羊谷のホモフォビアに拍車をかけてしまっていた。
聞きたくなかった。想いを聞いてしまったいま、何事もなかったかのように漫才なんてできない。
メリダニ解散。出せる答えはひとつだけだった。(完)
>>238-245 のわー。サスペンス乙!
正義である筈の救出者が闖入者に見えるなんてなんて視点の変化だろう!
普通に終ることがむしろ恐い。
日常が恐怖・・・になるということなのか?
乙です。
ベタなキャラ、ベタなセリフ、ベタなシチュwww
あるあるな感じがよかったよ!
>>238 乙!ハッピーエンドを願う声が多いけど、自分はバッドエンド希望です。
もちろん読者の意見なんて気にせず自由に書いてもらいたいとは思ってるけど、
こんな読者もいるということで。
>>253 乙!レイープよりも解散のほうが重要事項な羊谷が男前でイイ!
ベタさん乙!
メーリさんにとっても鬼畜な展開だね
好きな人に手を出せないうちに他の奴がゴカーン
挙げ句に何より恐れていた解散
したらば雑談みたら、ベタタンへこむだろうな……。
ベタタンは萌えを狙って書いてはいないんじゃないだろうか。
むしろベタな話を皮肉っているというか。(違ったらスマソ)
普通はベタな話というと
「チンピラによる強姦→攻めの愛の告白→お清めエッチ→ラブラブ」なところを
真逆の方向に突き進んだラストが痛快だった。
解散の直接の引き金が強姦じゃなく心からの愛の告白ってのがまた皮肉だ。
ノンケの男はこうでなくちゃw
ベタタンけっこう好きだったです。
羊タソの思考回路がイイ
ミランタンに早く会いたいです
私は触手タンに早く会いたいです。
私はそろそろまた資料室を覗きたいのだが…
わんこ待ってる!
ダンとご主人さまに会いたい。
代理タン!
クレクレしちゃうよ!
代理はもういいよ
サイト作ればいいのに
孤島タンの最終投下を待っている
自分も代理タン待ち。
最後が気になって仕方がない。
イイも悪いもそんな意見は要らないのです。
予想してみる。
ハダレ、大好きなお兄ちゃん(拘束男)に犯される→ウスライが助けにくる。→
バトル中ウスライ、ウスライ兄を追いつめる。→ハダレ兄、ウスライ兄をかばって死亡。→
ウスライ(ハダレ)をかばってハダレ(ウスライ)重傷を負うも、ウスライ兄を倒す。→
互いの想いを確かめ合うハダレとウスライ。→バトルで負った怪我は重くハダレ(ウスライ)死亡。→
→回想シーン (終了)
284 :
風と木の名無しさん:2006/10/18(水) 00:11:18 ID:RFIUO/Do0
置換と触手GJ
ベタたん乙!
過疎ってたしたらば雑談が
あんたのおかげで盛り上がったよww
また何か投下して下さい。
悪魔タンがツボすぎて・・・ホントに。毎日wktkしながら待ってます
溶けたバターのようにだらりとした肉体の傍ら、藤岡は意識の奥深いところでほんの少しだけ目を覚ました。
瞼を押し上げてみる気にはならない。
心身ともに、さらなる睡眠を求めていた。
このまま目を閉じてじっとしているのがずっと懸命に思えたし、事実その通りだ。
取るべき睡眠は取っておけるうちに取っておいた方がいい。
藤岡は頭のどこかで思案しながら、目覚めかけた意識が再び奥深いところへ沈み込んでいくのを感じていた。
ふと早い時間に目覚めた後、「まだ早い」と安堵して再び眠りにつく瞬間の心地良さといったら。
藤岡は"睡眠"という心地良い闇にずるずると引き込まれていくのにまかせ、大人しく眠りの訪れを待った。
唐突な光が両目を襲う。無意識に目元を腕で覆いながら、藤岡は薄目を開けた。
眠りすぎてはれぼったくなった目をぱちくりして、目やにで糊付けされた瞼を指先でこする。
窓際に人がいる。
逆光を受けて黒いシルエットにしか見えない人物が、カーテンを紐で縛っていた。
「……おはよう」
起き抜けのかすれ声で目覚めの挨拶を口にすると、黒い人影がこちらを振り向いた。
目が光に慣れるにつれ、次第に黒いシルエットが細かな形を成していく。
そこに現れた長身の色白男は、藤岡が瞬きすると一瞬にして掻き消えた。
「おはよう。よく眠れた?」
浦江のものではない鈴の鳴るような柔らかな声が挨拶を返す。
ベッド脇の松葉杖に手を伸ばそうとすると、心得た妻がさっと松葉杖を取って藤岡に手渡した。
パジャマの裾から覗く包帯を目にした妻が沈痛な面持ちで藤岡を見つめる。
今となってはおなじみの表情だ。
ようやく使い慣れてきた松葉杖を床につき、おぼつかない足取りで立ち上がると、
妻がすかさず腕を伸ばして藤岡の腰を支えた。
思わず手を出さずにはいられない妻の気持ちはわかるけれど、できるなら放っておいてほしかった。
へたに他人の手助けが入ると、逆に歩きにくいのだ。
それでも、妻の気持ちは有難かった。
藤岡は妻の肩に腕を回し、その髪に口付けた。浦江のような仕草で。
次いでいたずらに妻の小ぶりな尻に手をやると、妻は照れくさそうな顔で
吹き出しながら藤岡の肩を軽く叩いた。
声を上げて笑いながら、二人は寄り添いあって階下へ降りていった。
浦江のもとから救い出されたあの日から、およそ一年と六ヶ月が経過していた。
多少マスコミにも報道され、何度かインタビューを申し込まれた事もあったが、
その事件性ゆえか事件の詳しい概要を報道される事はなかった。
中には藤岡のイニシャルと目線入りの写真を掲載した上で、度重なる強姦の事実や
アキレス腱の切断などの詳細な犯行内容とともに浦江の詳しい生い立ちを赤裸々に書いた週刊誌もあった。
とはいえ、日々凄惨な事件や残酷な殺人が繰り返されている世の中で、
浦江忠道被告(24)無職による同僚男性(29)の拉致監禁事件はすぐに人々の関心を失い、
次第に世間から風化していった。
一時期の執拗なマスコミ報道に少なからず辟易していた妻と比べ、
藤岡は世間の好奇の視線や下世話な噂話にそれほど興味を抱かなかった。
それ以上に厄介な問題と向き合わなければならなかったからだ。
浦江に傷つけられた右足首の状態は思った以上に深刻だった。
アキレス腱を刃物で切断した場合、通常は断裂した場合よりも治りが早いそうだ。
とはいえ、医療は何事も早期治療、絶対安静が鉄則だ。
その約束事を二つも破ってしまった藤岡に、かかりつけの医師は当初
"元通り歩く事はできないかもしれない"と深刻な口調で告げた。
この一年と六ヶ月間、藤岡は二度に渡る手術とリハビリに取り組んだ。
二度目の手術はおよそ二週間前に行われたばかりだ。長期に渡る治療は少なからず苦痛を伴い、
藤岡を心身ともに消耗させた。けれど、弱音ばかり吐いているわけにはいかない。
あの家に閉じ込められていた時と違って、今いる世界では"努力は報われる"のだ。
理不尽な仕打ちに頭を悩ませられる事もない。頑張れば頑張るだけ、結果は後についてくる。
リハビリ担当の医師は、藤岡の頑張りにたびたび舌を巻いてみせた。
足首の問題だけではなかった。ある種、藤岡をより苦しめているのはこちらの問題だ。
長期に渡る浦江との生活は、藤岡に身体的な傷を残すのみでは終わらなかった。
右足首の治療に励むかたわら、藤岡はカウンセラーにも掛かっていた。
自主的に通いだしたわけではなく、藤岡の心身の状態を心配した警察がその筋の専門家を紹介したのだ。
当初、口では"何の問題もない"と言っていた藤岡も、心中では不安を抱えていた。
深夜、悪夢にたびたび飛び起きたり、なかなか眠れずに昼夜が逆転するなどの
悩みも多々あったが、それ以上に藤岡を悩ませたのは、浦江に対する奇妙な人恋しさだった。
浦江にひどい仕打ちを受ける悪夢を見て悲鳴を上げる一方で、浦江に対して
ある種の思慕の念を覚える自分が空恐ろしかった。
浦江が我が夫に対してどんな仕打ちをしてきたか、妻は洗い浚いすべて心得ている。
藤岡自身の口から、警察の口から、裁判所の冒頭陳述で、妻はその都度怒りに打ち震え、
浦江に対する憎しみの気持ちを燃え上がらせた。
だが、妻は藤岡の心中に巣食う別の感情を知らない。
妻と共に怒り、憎しみの思いを口にする一方で、心中で浦江に対する恋しさを募らせている事は、
悩みを洗い浚い吐露した担当のカウンセラー以外には知られていない。
これを話すのには勇気がいった。誰にも話すな、どんな親しい俺の身内にも、特に妻には、と
再三に渡って強調し、何度も言いかけては失敗しながら、カウンセリングが始まってから
一時間後にようやく話し始めるのに成功した。
今考えても、あの先生には悪い事をした。
穏やかな笑顔を絶やさないまま根気強く守秘義務について説明し、
こちらの心を落ち着かせようと努めた先生の心労は想像するに余りある。
かくして拙い説明ながら己の心中を吐露すると、先生は穏やかな笑顔を絶やさないまま
"それは何も異常な事ではない"と本当に何でもない事のように藤岡に言った。
うすうす相手側の返答は予想していたとはいえ、
―――心を落ち着けるためのカウンセリングで、相談者の言葉に対して
"お前は異常者だ!そんな人間は他には居まい!"なんて答えるカウンセラーは居ないだろう―――
他人の口からそういう言葉を聞けた事は少なからず藤岡を安心させた。
単なる気休めでもいい。そういう慰めこそ、当時の藤岡は必要としていた。
"あなたは普通、何ら異常な事ではない"とさんざん藤岡を安心させた後、
先生は世界的な事例の数々を持ち出して、そういう感情は多くの前例がある事を示した。
こういった感情は多くが"加害者と人質"という関係で発生し、己の苦痛を避けるため、
また加害者の些細な親切や内面を知る事によって、傷つけられた無防備な心は
思った以上に簡単に加害者に対して心を許してしまうのだそうだ。
"浦江に対する同情心、哀れだと思う心"が少なからず心中にあった事を吐露すると、
先生は「まさにそれだ」と膝を叩いてみせた。
藤岡に対する愚直なまでに一途な想い、弱い一面、同情を誘うような過去を知り、
どんなにひどい仕打ちを受けた事も忘れ、浦江に対してある種の"父性"にも似た
仲間意識が生まれたと。それは二人で人気のない山中にこもった事でより顕著になった。
思わず唸りながら首を縦に振ってしまいたくなるような講釈をよどみなく説いた後、
先生はにっこり笑いながらこう問いかけた。
「さあ、ふたつのうち、ひとつを選んで下さい。何も考えず、直球で構いませんから。
何も気にせず、率直な気持ちで答えてください。いいですね?
藤岡さん、あなたは、6年間連れ添い、あなたを支えてくれた奥様と、
あなたを不当な手口で拉致し、非道の限りを尽くした愚直な浦江さんと、
どちらとこの後の人生を歩んでいきたいですか?」
ある種卑怯な選択肢だった。そう言われて、まさか"浦江"だと答えられるわけがない。
"何も考えるな"とは言われたものの、藤岡は思わず熟考していた。
こんな選択肢で熟考する時点で、かなり俺は病んでいるな。
内心でそう自身を罵りながらも、藤岡はさまざまな思いを巡らせた。
大学時代、友人の紹介で知り合った妻。初見の印象はいまいちだった。
あまりに快活で元気いっぱいな妻は、当時の藤岡の好みとは合致しなかったのだ。
当時の藤岡は、物静かで照れ屋な可愛らしい女性が好みだった。
それでも、お互いをより深く知っていくうち、逢瀬を重ねるうちに、
お互いがお互いに恋していた。告白の日は、初めての告白でもないくせに、がちがちに緊張して
せっかくの決め台詞を噛んでしまったっけ。
今だに"あの時のあなたは可愛かった"と朗らかな笑顔でからかう妻が、藤岡は好きだ。
快活で率直で時折不器用にさえ見える妻だが、しっかりと一本芯の通った妻が好きだ。
どじで頑張り屋で、誰に対しても分け隔てなく優しさを示せる妻が好きだ。
病室で数ヶ月ぶりに再会した妻の泣き顔を見た瞬間の、爆発するような愛おしさを、俺は生涯忘れないだろう。
浦江にされた仕打ち。理不尽にも己の欲望に任せて俺を拉致し、数ヶ月に渡って
ベッドに縛り付けた。意地の悪い虐待が執拗に繰り返された。
憎悪と怒りに臓腑が溶けるような思いを味わいながら浦江の精液を飲み、
激痛と血にまみれながら後ろを何度も犯された。
あの時の顔。俺を初めて犯す前の浦江の顔を、俺は生涯忘れない。あの好奇の表情―――
そして右足首のアキレス腱を剃刀で切り裂いた。
あのおかげで、俺は今でも治療とリハビリに苦しんでいる。
元通り歩けるようになるのかどうかもわからないまま。
また一方で、こうも考える。
俺を探して狂乱する浦江。俺が好きだ、離したくないとしがみつく浦江。
寂しい、恋しいと泣く浦江。誰にも愛されず、孤独のまま生きてきた浦江。
当たり前の優しさと親切に恋心を抱いた浦江。
妻を愛している。生涯を共に歩んでいきたいのは、紛れもなく妻だ。
浦江の事は憎い。いったんは潜んでいた憎しみや怒りは、正常な世界に戻され
心身の疲労や治療の苦痛と共に再発した。
けれど、浦江を"可哀想だ"と思っている事もまた事実だった。
できる事なら、何とかしてやりたいと思っていた。
"寂しい、寂しい"と繰り返し泣く浦江を抱き締めてやりたかった。
"ずっと後悔している"と泣いた浦江の言葉が、今でも頭の隅にこびりついている。
「俺が生涯共に生きていきたいのは妻です。妻さえ望むなら、俺が死ぬ時までそばにいて欲しい。
でも、浦江を"何とかしてやりたかった"と思っているのも事実です。……何とか、してやりたかった」
長い長い長考の末に出した答えを、先生は慈悲深い笑顔と共に受け入れてくれた。
浦江に対する確定判決が下ったのは半年前だ。
藤岡側が想像するより多少軽い刑だったが、判決というのは概してそういうものだ。
判決を不服がる妻や親族の横で、藤岡はぽつんと立ち尽くしている浦江を見つめていた。
有期懲役を果たした後は、藤岡隼人ならびに藤岡隼人の関係者の半径1km以内に
侵入することを禁ずるとする判決が読み上げられた時、それまで終始俯き加減だった
浦江の顔がふと上を向き、何かを探すような様子を見せた。
しばらく裁判所内を浮遊した浦江の視線がようやく藤岡をとらえた時、浦江が
どういう表情を見せたのか、藤岡はあまり覚えていない。
浦江がこちらを見とめた時、とっさに顔を伏せた藤岡にはわからなかった。
何故か胸が痛み、鼻の奥にかすかな痛みを覚えた。
妻の手が労わるようにそっと藤岡の膝に触れられなければ、あと少しで泣いていたかもしれない。
あたたかな妻の手を握り締めながら、藤岡は固く目を閉じた。
救出された日から、一年と六ヶ月。
四月の朝。
藤岡に朝食を食べさせ、着替えを手伝ってやった後に、妻は仕事へ出かけた。
藤岡は未だに無職だ。
多少なりと助成金が給付されているとはいえ、以前の収入と比べればまさに"雀の涙"だった。
心身の治療に追われ、最低限の責任も果たせずにいる自分が情けない。
妻は気にするなと言うが、やはりどうしても心苦しかった。
それならせめて家事でもと、家の中を動き回る事も禁じられている。
以前なら薬でごまかしながら片足で飛び跳ねていたところだが、医学的に言うと
それは"救いようのない馬鹿"がする事だったらしい。
今では極力安静を医師や妻から命じられている。
ましてや、二週間前に二度目の手術を終えたばかりなのだ。
何をするでもなしにソファに座ってリモコンをいじっている自分は、世間的に言えば
"ニート"の部類に入るのだろう。藤岡が最も忌み嫌っていた人物だ。
ろくに面白いテレビもやっていない。
何だか悲しくなって、テレビの電源を切ってリモコンをそばに放った。
右足をかばいながらゆっくりとソファに寝そべり、ぼうっと天井を見つめる。
新品の眼鏡を新調した今では、浦江の家より天井の高い我が家でも
はっきりと天井の質感まで窺い見ることができる。
ふとカレンダーに目をやる。4月15日。今日の診察は午後から。
ため息をついて目を閉じ、大きく伸びをすると、ゆっくりと身を起こした。
何にもすることがない。
松葉杖を取り、おぼつかない足取りで歩き出す。二階に戻って、もう一眠りするつもりだった。
だいぶ慣れたとはいえ、松葉杖での階段上りはいまだに難しい。
何度もしくじりながらようやく二階まで上り終え、寝室に向かう。
ようやくたどり着いた先のベッドに飛び込みたい衝動に駆られたが―――寸前で踏みとどまり、
ゆっくりとベッドに腰掛けた上で、慎重に右足を持ち上げた。
まったく、面倒な身体だ。
もう一眠りしようと決めたところで、じゅうぶん睡眠をとった身体はなかなか眠気を催さない。
まんじりともせず小一時間寝そべった挙句、手持ち無沙汰にベッド脇のカラーボックスを探った。
手当たり次第に文庫本を取り出し、枕元に積み上げる。
何冊か読み終える頃には、少しは眠くなっていてくれるだろう。
何度も読んでとうに筋書きを暗記してしまっている文庫本の文字をぼんやり追いながら、
三冊目の文庫本を読み終えた。いくらか目が疲れたものの、眠気はいまだやって来ない。
長いため息をついて文庫本を元に戻し、四冊目の文庫本に手を伸ばしたとき、
ベッド脇に置いていた携帯がけたたましい音を鳴らして震え始めた。
思わず身体が跳ね、手にした文庫本を取り落とす。ぴりっとした痛みが右足に走った。
早鐘を打つ心臓を押さえながら携帯を取ると、画面に妻の名が記されていた。
妻から電話がかかってくる事はそれほど珍しい事ではない。
特に顕著だったのは戻ってきた当初だ。少しでも離れるとすぐさま電話をよこし、
大丈夫か、変わりはないかと妙に深刻な声音で窺ってくる。
ここ最近は落ち着いたと思ったけれど、二度目の手術でまた過敏になっているのだろうか。
あるいは、何か用事があるのかもしれない。
あれこれ考える前にまず出ればいいと思うのだが、どうも身体が億劫で
素早い行動というのがここ最近できずにいる。おそらく鎮痛剤の影響だろう。
何度目かのコールでようやく通話ボタンを押した夫を責めるでもなく、
妻はやけに切羽詰った声で「隼人!」と夫の名を呼んだ。
「何、どうしたの」という藤岡の間の抜けた返答を待たずして、妻が急いた声を出す。
「新聞、今朝の朝刊見て!」
「新聞?どうして?」
「いいから、見て。浦江が―――」
妻の声の背後でざわざわと雑音がひしめいている。
ほとんどは聞き取る事ができなかったが、雑音のひとつが「藤岡さん、いそがないと」と
咎めるような口調で呟いているのが漏れ聞こえた。
おそらく仕事中にあわてて電話をよこしているのだろう。
妻の口から飛び出した名に全身の毛がよだつのを感じながら、藤岡はつとめて平静な声を出した。
「わかった、見るよ。いいからお前は仕事にもどれ」
「でも……、ねえ、誰か家に呼べないの?あなたをひとりで置いておくのが心配で」
「みんな今頃は仕事だよ。呼んでも来れないよ」
「ああ、もうっ!せめて私の親でもあなたの親でも、近くに住んでいたら……」
また妻の背後で「藤岡さん、もう行かないと。あんまりのんびりできませんよ」と咎める声が漏れた。
「いいからもう行きな。大丈夫だから。な」
まだ何か言いたげな妻をよそに、通話を一方的に打ち切った。
こうでもしなきゃ、妻はいつまでも電話を切らずにいただろう。
携帯を握り締めて、藤岡はしばらくベッドの上で呆然としていた。
今朝の朝刊を見て、浦江が、……
どうして"誰か呼ばないと"なんてどうでもいい事を繰り返すばかりで、
肝心な事を教えてくれなかったんだ。
理不尽な怒りがこみ上げ、直後にそれは恐怖に変わった。
浦江が、どうしたんだ。朝刊に、何が載っていたんだろう。
震える手を松葉杖に伸ばし、冷たい床に足をつけた。
階段を駆け下りて真っ先に新聞のもとへ走っていけないこの身体が憎らしくてしかたがない。
それでも極力安静は鉄則だ。
藤岡はつとめて心を平静に保ちながらゆっくりと階段を下りていった。
新聞はどこに置いたっけ?確かテーブルの上にあったはず……。
これほど階段が長いと感じたのは初めてだ。
一歩一歩、確かめるように歩む足がもどかしくてしかたがない。苛立ちが心中で渦巻く。
ようやく一階に降り立ち、自然と足が歩みを速める。
だめだ、あせるな。あせって転んだらもともこもない。
ようやく居間にたどり着いたとき、藤岡の身体は汗だくになっていた。
ふらつく足でテーブルまで歩み寄り、新聞を取り上げる。手が震えていた。
久しぶりに味わう氷のような恐怖におびえながら、新聞をめくる。
浦江の文字はない。どこにある?何が書いてあるんだ?
眼球を上から下へと巡らせながら新聞をめくり、浦江の文字を探す。ないぞ。どこにある?
それはごく小さな記事だった。
ようやく見つけた「浦江」の文字に、心臓が握りつぶされたような思いを味わう。
脱走だ。そうなんだな。まんまと脱走せしめて、俺を襲いに来たんだ!
血走った目で小さな文字を追う。新聞を握る手が震えていた。
「服役囚の浦江忠道さん(25)自殺」
昨夜未明、独房内での死亡が確認された。作業中に入手した刃物で首を切っての失血死。
自身の誕生日を五日後に控えた中での自殺だった。
足がふらつく。新聞が舞い落ち、足元に重なった。
震える腕が松葉杖にしがみつく。
結局、お前は自らを孤独に落とし込んでいるだけじゃないか。
自分自身が自分自身を追い詰めているだけじゃないか。それで"寂しい、恋しい"と泣くのか。
"どうせ愛してくれない"、"どうせひとりぼっちだ"、"どうせ永遠に孤独なんだ"、
決め付けるなよ。
俺にこだわったのか?釈放されても俺には近づけないから?だから死んだのか?
フローリングの床に雫が落ちた。汗かと思ったが、涙だった。
心の底から愛を求めながら、誰にも愛されず、誰にも構われず、最期までひとりで死んでいった。
お前を憎んだままでいられたら、こんな思いは味わわずに済んだ。
最期まで愚直に"ひとりぼっち"を貫き、自殺したお前を笑う事もできたのに。
"孤島"に立っていたのはお前だ。お前は神様じゃないよ。
"孤島"に生まれ、"孤島"で死んでいった、弱い弱いちっぽけな生き物だ。
寂しいからって、俺を誘うなよ。死ぬなら、ひとりで死んでいってほしかった。
哀れを誘う内面も、弱さも、俺に見せぬまま死んでいってほしかった。
浦江、最後にお前に言った言葉。嫌いだ、と言った。お前を愛していない、とも。
だけど俺はお前を忘れない、と言った。いい印象ではないにせよ。
お前は頷いていた。いつもの調子の曖昧な動きじゃなく、はっきりと頷いていた。
お前はどう感じていたんだろうか。
俺が、最後に"お前と生きてもいい"とさえ思った事を、
結局お前は知らないままなんだな。
孤島にぽつんとひとり佇んでいた浦江。
哀れを誘う面で寂しそうに佇むこの愚直な男は、生涯俺の人生につきまとうだろう。
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終わりです。ありがとうございました。
乙でした…。
ありがとう。
本当に孤島タンありがとう。
本当にありがとう、お疲れ様でした。
ただ素直に感動しました。
泣いた。
お疲れ様でした。ありがとう。
…orz
しばらく引きずるよ…
ううう…
良いものを読ませて頂きました。
お疲れ様です。
最期まで精神的鬼畜攻めで逝った浦江タンに合掌。
ここのスレに来て日が浅いので、孤島タンはざっとしか読み通せてないんだけど
十分過ぎるくらい感慨沸きました。ありがとう。
浦江、望んだ形じゃないだろうけど藤岡の心に生涯住みつけるんだね。
孤島タン、乙でした!
リアルタイムなら記念に書いたかもしれないけど、他の人が沢山乙コールするだろうからって感想書くつもりなかったけど(;д;`)ナイタヨー
藤岡は最後の気持ち伝えたくても絶対に浦江には届かないんだよね…。知ったら浦江絶対喜ぶのに…。
藤岡はそうやって一生精神的鬼畜なんだ…。凄い置き土産?だね
孤島タン乙でした。
…泣いた…泣いたよ。
誕生日というキーワードがまた胸を締め付ける。
浦江と藤岡のことを思ったら切なくてたまんないです。
孤島タン本当に乙でした。
幸せな結末は有り得ないだろうなと覚悟して読んだものの
泣いてしまった…
せめて最後の藤岡の本心を知っていたら浦江も多少は
浮かばれただろうに…すれ違ったまま…。
あー、自分もしばらくひきずりそうだ。切な過ぎる。
切ない・・・切な過ぎる。
孤島タン、感動をありがとう。
お疲れ様でした。
孤島タンありがとう
乙でした。
いい作品に出会えて幸せだ。切ないけど、浦江らしいラストだったと感じた。
誕生日かー。
近付く度に、どんな感情に渦巻かれていたんだろうな…浦江は。
孤島タン、ありがとうね。
孤島タン本当乙でした。
なんか目から汗が……
最後まで切な萌えさせてくれてありがとう。
孤島タンありがとうありがとう…
こ、孤島ーーーーーーーーーーーーー(絶叫)
こ・これはスレ史上最高傑作
つか、鬼畜ノーベル賞でいいのではないだろうか。
書いてくださって、そして読ませていただけて、ありがとうしか言えません。
本になったら保存・読書用&萌え友の分含めた複数冊買い占めるのだが。
き、鬼畜ノーベル賞
吹いちゃったじゃないか
せっかく切なく萌えてたのに
スレ初のスタンディングオベーションだな!
マンセー、マンセー、北の国みたい。
そろそろ、したらばいけば?
>>312 ちょw言い過ぎwww
……と言い切れない自分がここにいる。
正直始まった当初はここまで心乱される切ない内容になるとは思わんかったよ。
もうちょい肉付けされて書籍化されたら買ってしまうかもしれん。
まあそろそろしたらば行きの話だわな。
せつねぇー。
したらば雑談625に涙。
本音って何気に刺さるなwww
たいていどちらか一方が鬼畜で・・・というセオリーだけど
これは双方ともに受難者という類を見ない例。
タイトルもよく合っていた。
こういうの書くの、精神が磨り減るのに良く頑張った。
孤島さん、GJ!
あ、もうひとつ
読み手の胃もサスペンス並みの恐怖キリキリさせたということでさらに鬼畜三倍。
孤島さん乙でした!
乙コールはこの辺で終わっていただけると助かるんだが…。
新しいのうpしてほしいなぁ(*´∀`)
本当にいままでありがとう孤島タン
代理来い来い 代理来い
孤島タンだって絡みに負けずに終ったんだ。
大丈夫!終らせられるぞ!
孤島こんなに引っぱて置いて夢オチかよ
読んでないならレスするなよ…
325 :
メリー:2006/10/18(水) 23:53:19 ID:kaOT2lby0
※かの有名な”メリーさん”ネタです。
怖い表現は特にありませんが、苦手な方はスルーしてください。
僕はメリー…。
呪おうとした相手に、逆に捕まえられ、つるされてしまった。
後悔してももう遅い。
でも、僕だって馬鹿じゃない。
仮にも都市伝説として、日本人を恐怖のどん底に陥れた幽霊なのだ。
けれど、僕はこの男にあっさりと捕まえられてしまった。
騙されたのだ。
霊的に非力であるフリを装っておいて、実は退魔術の使い手だったなんて。
「う…」
半端に服を剥かれ、破れ目から乳首がのぞいていた。
けれど縄で縛られている状態では、隠すことも出来なかった。
男の目の前に、あられのない姿を晒してしまっていた。
「はは、苦しそうだな。その縄は縛魔用の縄だ、簡単には解けないぞ」
「くっ…」
相手の男は30歳くらいだろうか、正確な年齢は知らない。
先ほど僕を取り押さえたときのせいで、前髪が少し乱れてしまっていた。
精悍な顔立ちに、引き締まった体つき。
精神的にも肉体的にも健康的な成人男子だ。
霊力を吸い取るには絶好のターゲットだと思った。
それで近づいたのだった…。
と、男はコップの中の液体に指を浸すと、僕の乳首になすりつけた。
「あぅうううっ!」
乳首がひりひりと痛む。
男は僕が悲鳴を上げたのに満足そうに笑みを浮かべると、
反対側の乳首にも同様に液体をなすりつけた。
代理タンを待ってるよ
327 :
メリー2:2006/10/18(水) 23:54:23 ID:kaOT2lby0
「日本酒だ。清め済みの、な」
「い、痛い、や、やめろ…あっ、ひぃ…っ」
日本酒には魔除けの効果がある。しかも清めずみのものを使うなんて…。
乳首は赤く熱を持ち、ぷっくりと腫れてしまった。
「かわいいな…いちごみたいだぞ」
「うぅ…っ」
男にからかわれ、悔しさに涙がにじんだ。
「霊体にも性感はあるんだな。いや、生身の男よりも敏感なんじゃないか?
うん…こっちの方はどうだ?」
「あ……あ、あーっ!」
そいつは酒をたっぷり手にかけると、今度は僕の下のほうへと手を伸ばしてきた。
下の服はすでに足首までずり下ろされていて、むき出しだった。
そのため、そいつを蹴り飛ばすこともできなかった。
もしそうでなかったとしても、縄の力でほとんど力を入れることも出来なかった。
「嫌だ、触るなぁ…!」
男は絶妙のタイミングで僕のものを摺りたてる。
僕の意思に反して、そこはすっかり勃ちあがってしまった。
「へぇ、ちゃんと精液もだせるんだな。幽霊でも、男としちゃ一人前か」
頬が赤くなった。
もう嫌だ。なんでこんな奴にこんな風に辱められなくてはならないのだ。
「射精は出来るのか? ほら、出してみろよ」
「あうっ、嫌…あっ、ああぁっ!」
あっけなく僕は達してしまう。
掌にどろりと吐き出された僕の体液を、男は満足そうに舐め取った。
「ちゃんと苦いじゃないか。後ろの方はどうだろうな?」
犯される…!
僕は瞬時にそれを悟った。
328 :
メリー3:2006/10/18(水) 23:56:04 ID:kaOT2lby0
「い、嫌だ…何でお前なんかに、やめろ!」
僕は最後の力を振り絞って抵抗した。
だが敵うはずもない……やすやすと僕は両脚を抱え上げられてしまった。
「ん、んぅ……痛い、痛いっ、嫌だぁ…!」
男は僕の出したものに酒を混ぜ、後ろに塗りこみほぐしにかかった。
酒に侵食される痛さとむずがゆさが、得も言われぬ甘い刺激となって僕を責め立てた
「俺はな…ずっとお前に会ってみたかったんだ」
「……?」
「電話をもらえたときから、ずっと待っていた。
一日、一日、お前が近づいてくるのを楽しみにしていたんだ。
こうして、こんな風にお前を抱くのをな…」
男は僕を後ろだけで二回もイかせると、自分の猛り狂ったものを突き入れてきた。
僕は逃げることは出来なかった。
彼に貫かれ、中に体液を注ぎこまれ、甘い喘ぎ声を上げた。
……最初の日から、どれくらいたったのだろう。
僕は縛られたまま、男の部屋につながれていた。
自分の使い魔(性奴隷)になれと、ことあるごとに男は言ってくる。
それは出来ない。
僕は伝説のメリーなのだ。
その辺の幽霊みたいに、簡単に負けるわけには行かない…。
「強情な奴だな。まあいい…どうせ俺からは逃げられないさ」
男は僕の尻を上げさせた。
後ろで器具を用意する音が聞こえる。
清めた水を、中に入れられるのだ。
僕は歯を食いしばって、彼のお仕置きに耐えようとした。
僕は、こいつを呪いに来た幽霊なのだから…。
僕はメリー。
…君の、後ろにいるよ。
メリータン乙!
清めの酒でヒリヒリ→感度アップのネタが新鮮だ。
メリーが彼を呪い殺せる日は来るのかな…
絡みスレに帰れ!
そもそもメリーさんって女の子の人形だよな?
後ろにいるの
アッー!!!
メリーさんって元が怖い話だったのですね。
怖い話も腐女子の手にかかればキモイホモ話に早変わり
それが腐女子のイイトコロ
と言うわけで、メリーさん乙。
元ネタ知らんけど、楽しめた。
なんか健気ってか、哀れを催す幽霊だけどな。
>元ネタ知らんけど、楽しめた。
ヒキニートは糞尿と違って肥やしにもなりません
外に出て働きましょう
外に出て働くとメリーさんに会えるの?
自分にとってメリーさんは白塗りのメリーさんだ… オヴァダorz
自分はメリーさんと言うと可愛い女の子しか思い出せない
J('ー`)し
(V) @
| | ヽ|/
""'"'''"'"'"''"'"'"'"''"'"'
こんな感じ? 羊は無理でした
かあちゃあああああああん
メリーさんはスイカのお化けが公式だと思ってた・・・
和んでるところすみません、できたので投下します
完結してます
==============================================
「あっ、あっ、なにっ! いやだ、助けて!」
尻の孔を触手で満たされて、ミランはのたうった。
胸に申し訳のように飛び出していた突起は、赤く色づくまでにねぶられ、
触手の動きにつれて小さな粒が形を変えている。
前を覆う触手も、まだ無垢も同然の筒を残酷な甘さで嬲り続ける。
細かな毛がミランの快感の中枢を絶え間なくくすぐり、
尽きることなく湧き上がる透明な露を吸い取って行く。
経験のないミランは、制御できない快感に追い詰められていった。
「やっ、やだっ、助けて、お願い、助けてぇっ」
泣き叫ぶミランの股の間で煽動を繰り返す触手を指先で突つきながら、
スクシェがタグスに説明を続けていた。
「仕込み次第で、この状態を一晩中でも続けさせることが出来ます。
人間が相手ではこうは行かない。ですから性奴を仕込むのにも使えましてね。
一石二鳥と言うやつです。無駄のない生き物ですよ」
「先走りと精液では、どちらがこれの好みなのかな」
「精液です。だから、仕込んでいない“使い”に捕まった餌は、
枯れ果てるまで絞り取られます。心臓が止まるまで無理矢理に
欲情させられますからね。何とも凄まじい死に様ですよ」
“使い”に捕まったら、死ぬまで嫌らしいことされるんだぞー。
嘘じゃなかった。
お伽話の化け物のように感じていた“使い”は本当にいて、
今、ここで、この自分が、その餌食となろうとしているのだ。
恐怖に竦む心とは裏腹に、体は熱くなっていく。
ミランは切なげに顔を歪め、腰を前に突き出す動きを繰り返しながら、
それでも必死に射精をこらえていた。
一度射精すれば一歩死に近づくのだ。
あられもない声を上げながら悶えるミランを、
タグスとスクシェは酷薄な笑みを浮かべて観察している。
「たいした淫乱坊やだね。催淫効果とは言え、初めてだろうに、こんな…」
「素質のある者と言うのは、いますね。楽しめるならそれに超したことはない」
それが自分を侮辱する言葉と知って怒るよりも、ミランはただ恥かしくて、
首を振って泣きじゃくった。
「いやだ、俺、知らない……俺のせいじゃない……」
その涙さえも触手が舐め取っていくが、滋養にならないとわかるのか、
吸い付くようなこともなく、撫でるように頬を這うばかりだった。
耐えて耐えて、それでも止むことのない責め苦に、
ミランの体が絶頂へと押し上げられていく。
「いやだ…助けて…助けてっ……で、出る、出ちゃう…」
狂おしい波に抗いながら助けを求めるミランに、スクシェは冷酷に答えた。
「いいよ、いきなさい。そうしなければ終わらないのだから」
タグスが、触手に覆われたミランの筒の先端を鞭で軽く突いた。
泣き喚くミランの筒から白く濁った餌が勢い良く吐き出された。
他を嬲っていた触手までがワッと筒に群がり、一滴なりとも啜ろうとして、
押し合い圧し合い蠢いた。
「やだあっ、こんなのいやだぁぁぁ」
耐えた時間が長い分、射精は延々と続いた。
それに併せるかのように、泣き声が途切れることを知らず響いていた。
ミランが気を失っても触手の責めは休むことはなかった。
意識を取り戻す頃には、既に2度目の絶頂の寸前まで追い上げられていた。
どんなに泣いても、心を持たない生物からは慈悲を与えられない。
また、人間の中にも慈悲を持たない者がいることをミランは知った。
抗うことすら忘れたミランは、“使い”の欲するままに幾度も精を放った。
ミランが4度目に、もう薄くなった体液を吐き出した時、
飽き始めていたタグスがスクシェに尋ねた。
「この子は放っておくのか? このまま死なせてしまうのかね」
「いえ、先ほど帰らせた者がそろそろ迎えにくるでしょう」
「じゃあ、今日はこの“使い”を回収するのかね」
「そうします。成長も充分ですし、これだけ人の味を覚えたら、
もうキノコだのウサギだので満足できるとも思えない。
まさかとは思いますが、村に近づかれでもしたら大損ですからな」
「この子は? 村に返すには、色々知り過ぎているだろう」
「この子も回収しますよ」
スクシェはそう言うと、手にしていた杖で“使い”を激しく打った。
伸び上がるような動きを見せて震えた“使い”は、
触手をすべて勢い良く引っ込めた。
ミランが“使い”から滑り落ちて、地面に転がった。
「その杖は、何で出来ているんだ? 一撃で“使い”が怯むとは」
「私もよくは知りません。北の魔法使いだか西の博士たちだかが作ったと
言われていますがね。隊商からいつでも買えますよ、秘密ですが」
“使い”は、胃袋に収めたミランの精液を透かし見せながら震えている。
もう一つの袋に貯まっている、媚薬となる“使い”の体液を指差して、
スクシェがタグスに満足そうな笑みを向けた。
檻に詰められた“使い”と並んで、ミランは荷車で運ばれていった。
精も根も尽き果てて横たわるミランの手首は縛められ、
檻に結び付けられている。
半ば意識を失いつつも、スクシェとタグスの会話がミランの耳に届いていた。
「この子を餌にするとして、どれくらい持つものなのかね。1年? 2年?」
「とんでもありません。そんな簡単に潰してしまうなど。この子はまだ若い。
うまくすれば、あと15年は使えますよ。その頃には廃人でしょうが」
すぅっと意識が覚醒していく。
あと15年。――15年!
見開いたミランの目から、涙がこぼれた。
「それに今は痩せてみすぼらしいけれど、磨けばかなりの玉だ。
餌とするだけでなく、お客の相手をさせるのもいいでしょう」
「それなら私もぜひ味見をしたいものだ。今のままでも可愛いじゃないか」
「では、今夜にでも寝室にお届けしましょう。
この子にしても、あれだけたっぷり“使い”の媚薬を浴びたんだから、
火を鎮めてくれる相手がいなければ苦しむだけでね」
スクシェの指が、ミランの髪を梳いた。
「おや、目を覚ましたようだ。気分はどうかな」
泣くばかりで答えることも出来ないミランに、スクシェは小さく笑った。
「泣かなくてもいい。これからは毎日、栄養のある美味いものが食える。
あとは寝るか、“使い”に抱かれて気持ち良くなっているかだけでいいんだ」
「餌は、一日中“使い”に与えておくのかね?」
「場合によりますね。あまり頻繁に気をやると、餌が持ちませんので。
仕込んだ“使い”なら、そこら辺もうまくやります。
先ほども申し上げましたが、餌をいかせないまま抱え込んで、
10時間でも先走りや愛液を舐めていますよ。
餌にとっては、たまったものではないでしょうがね。
それに、媚薬漬けになるので餌は四六時中欲情するようになる。
だから見目の良い餌だと楽しいわけです」
意識が覚醒していくにつれ、ミランの体が疼き始めた。
荷馬車の揺れが、ミランの腰の奥に何かを掻き立てている。
熾火のようにかすかでもどかしいそれが、じきに激しく燃え上がることを、
ミランは既に知っている。
「味を覚えさせれば、清楚な令嬢でも誇り高い騎士でも、
こんな何も知らない子供でも、自分の股を掴んで泣いてねだるようになる。
素直に楽しめば楽になれるし、強情を張ればいつまででも苦しみます」
スクシェが、震え始めたミランの頬を撫でて、涙を拭った。
「これから、君を天国に連れて行こう。いや、地獄かな? 君次第だが」
ミランは、震えの止まらない唇から、声にならない声で、
殺して、殺してと呟き続けていた。
終わり
リアルタイムktkr
使いタン乙!15年…鬼畜…だが萌える
使いタンGJです
最初から最後まで自分にどんぴしゃな話で
萌えますた〜ハァハァ
使いタン、GJ!!
ウホッ、いい餌…と思う反面、およそ15年間も望まぬ生活を強いられるであろうミランタンが可哀想。
これぞ鬼畜!乙でした!
おぇ
ケツマンコがずきずきする。ケチャップをぶっかけられたみたいな有様で、
ぶっ倒れてくの字になってるだけで痛みが走る。
精汁まみれの顔を手の甲でぬぐって、
俺はちんぽに手を伸ばした。あいつらは酷い。
5人がかりで俺をなぶって、中出しも顔射もしまくったくせに、
俺は一度もいかせてもらえなかった。
きょう、ついさっき、産まれてはじめて男を知った俺は、
中だけの刺激でいけるほど開発もされてなければ、
初回でところてんを決められるような素質も持ち合わせていなかった。
ちんぽの皮を擦ってもらわねえと、スカッといくなんて無理だ。
突っ込まれてるだけじゃ、じれったいちんぽがうざったいほど痛い。
めいっぱい擦りあげて欲しかったのに、誰ひとりとして俺のちんぽを触ってくれるやつはいなかった。
しかたがないから、こうしてお後に独りオナってる。
おしゃれ部仲間に犯されてた間よりも、いまのほうが虚しい。
右手でちんぽをぎゅっと握ったり、やわく握ったりしながら、
上下に皮をずらし、ときどき亀頭を親指の腹でくりくり撫でまわす。
左手でタマを転がしながら俺は喘いだ。
つづく
※「孤島」の派生作品で、一登場人物の「浦江」の過去話です※※書いた人は「孤島」書いてた本人。※
※本筋に直接関係するわけじゃありませんが、番外的なものを不快に感じる方はスルーお願いします※
※今回の投下を入れて3投下ほどで終わる予定です※
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約束の時間を三時間過ぎたところで、いったんそばの店にこもって身体を温めよう、
という考えが頭をかすめた。
露出した肌の感覚はとうにしびれて麻痺しているし、降りしきる雪に濡れた
厚手のコートはすでに防寒の意味合いを失っている。
頬の産毛が凍りつき、寒さに顔をしかめるたびに鋭通に似た強張りが肌に走る。
時折吹き抜ける風が容赦なく粉雪を肌身に投げつけ、口元の白煙を刃のように吹きちぎっていった。
暖かな山吹色の光を投げかける店の並びを尻目に、浦江は首を振った。
光の誘惑に誘われかけていた靴先をしっかりと前方に揃え、冷えきった指先をポケットに突っ込む。
店に入っている間にすれ違いが起こったりしたら大変だ。以前もそういう事があったんだし。
最近はすっぽかされる事も多いけれど、万一の事を考えるといったん屋内に避難する事も憚られる。
ましてや先に帰ろうなどとは露ほどにも思わなかった。
万一遅れて現れた相手に愛想をつかされるのも怖いが、それ以上に自分自身が
相手に会いたかったからだ。
結局、待ち焦がれた相手が気のない様子で現れたのは、約束の時間の四時間半を回った頃だった。
四時間を過ぎたあたりから石像のようにベンチに蹲っていた浦江は、
根雪を踏みしめる静かな硬質の音と共に近づいてくる恋人を引き攣った笑みで迎えた。
"満面の笑み"でもって迎えたいところだったが、強張った顔の表皮は不随意だった。
「お前、馬鹿じゃないのか?店ん中ででも待ってりゃよかったのに」
青白い顔をして佇む浦江に、開口一番恋人の叱責が飛ぶ。
浦江の髪に降り積もった粉雪を払おうと手を伸ばし、それが凍りついた髪にはりつく氷塊と知ると、
結局恋人は顔をしかめて自身の両手をポケットに突っ込んだ。
「……ご、ごめん。真嶋さんが来たら困ると思ったから」
「お前と違って、居なかったら帰るよ。馬鹿じゃねぇんだから」
"店の中ででも待っていればよかった"と指摘する一方で、"居なければ帰る"という答え。
だからこそへたに移動できないし、ましてや帰る事もできないのだ。
一歩でも言われた場所から離れると、同時に恋人も消え去ってしまうような気がした。
ひえびえとした風が再び吹き抜け、双方の肌を打ち付ける。
ファーのついたフードを目深にかぶると、恋人は肩をいからせて先へ立って歩いていった。
「……あ、真嶋さん」
あわてて追いすがる浦江に対して、真嶋は無言のまま手のひらを後ろへ差し出した。
いつもの調子でその手を握り締めると、即座に手を振り払われた。
「つめたっ!お前、ふざけんなよ!」
「え、あ、ごめん」
いまいましげに浦江を一瞥し、いったんは外に出した手を再びポケットにしまいこむ。
手袋でもつけてくるべきだった。何時間でも待たされる事、あるいはすっぽかされる事は
覚悟していたのだから、もっと防寒に備えてしかるべきだった。
いまさら自身の迂闊さを後悔しても遅い。
とぼとぼと後ろをついて歩く浦江をたびたび見返りながら、目先を歩く真嶋がふいにため息を零した。
白い煙が細かくちぎれながら暗黒色の空に舞い上がる。
自身の首に巻いていたマフラーを無造作に剥ぎ取ると、真嶋はそれを浦江の胸へ押し付けた。
「手に巻くでも、首に巻くでもしろよ。お前ほんとに死ぬぞ」
押し付けられたマフラーを受け取り、しばらくそれをためつすがめつ眺める。
迷った挙句、従来どおり首に巻いた。冷えた両手はポケットへ。
「ありがとう」
曖昧に首をかしげてみせながら、真嶋は足を遅めた。
あわてて小走りし、真嶋の隣に並ぶと、遅めていた足が再び従来の速度に戻る。
自身の顔より少し低い位置にある真嶋の顔を、浦江は惚けた顔で見やった。
視線に気づいて一瞥をよこす真嶋へ強張った笑みを返し、高揚した気分のまま
真嶋の匂いが漂うマフラーに顔をうずめてスキップした。
「馬鹿じゃねえの」
そっけない声音で呟きながら、真嶋の手が浦江の頭をなでる。崩れた氷塊がぱりぱりと軽快な音を立てた。
「ほんとに可愛いよ?いや、ほんとだって。ちょ、怒るなよ。
ほんと、そばに居るだけでどきどきする。もてるでしょう?嘘だ、もてるだろ。
違うよ、本気だってば。すげえ好みなんだ」
聞いた覚えのあるくどき文句を吐きながら、グラスを片手に気取ってカウンターに
肘をつく真嶋を、少し離れた場所からぼうっと眺める。
むろん、これは浦江に対して吐かれている言葉ではない。
真嶋の隣でまんざらでもない顔をしてすましている男をじっと睨み、真嶋のマフラーを握り締める。
暖房のしっかり効いた店内でマフラーを握り締める浦江は多少浮いているのかもしれないが、別に構わない。
男を探しに来ているわけでもなければ、誰かからの誘いを期待しているわけでもない。
手にしたグラスが空になった。常よりずっとハイペースで飲んでいるためか、
酒の減りが格段に早い。それも道理だ。酒を飲むぐらいしかする事がない。
おかわりを頼みに行こうとカウンターに足を向けかけ、バーテンのすぐそばに陣取るふたりを目にする。
手馴れた様子でモーションをかける真嶋と、すまして座っている若い男。
目をやるたびに距離が縮んでいるふたりに近づきたくなくて、別のカウンターで頼む事にした。
毎度の事とはいえ、こういう事があるたび身がちぎれるような喪失感を味わう。
少しは慣れたかとも思ったけれど……。
ほんの八ヶ月前までは、あの若い男は浦江だった。甘い言葉を囁かれ、優しい仕草で肩を抱かれる。
孤独感に後押しされるようにこういう店に飛び込んだ浦江を、そうして真嶋は拾い上げた。
初めはまさに"蝶よ花よ"の風情でちやほやと可愛がられ、大切にされていたのだけれど。
退屈な男だと、愛するに足らない男だと、共に時を過ごすうちに感づかれてしまったのだろう。
今ではこの有様だ。ふたりで"デート"に出ているはずなのに、真嶋は浦江に見向きもしない。
割り切っていたはずなのに、考えているうち目頭が熱くなった。
唇を噛み締め、自然な仕草で目元をぬぐう。"ああ、目に埃が"と手をやる風情で。
どうしたら愛してもらえるのだろう。
もし"愛されるためのマニュアル講座、人の心をつかむ方法論"なるセミナーが存在したら
全財産を投げ打ってでも参加するのに。
心中でひとりごちて、思わず吹き出した。馬鹿げた想像をしたら少し心が軽くなった。
あのふたりから離れた場所にあるカウンターにつき、バーテンにおかわりを頼んだ。
自分の好みより少し強い酒を注文する。―――飲まなきゃやってられるかってんだい。
いくら飲んだところで、酔いつぶれるような体質じゃないのだけれど。
だいいち酔いつぶれでもしたら、いよいよ真嶋さんに愛想をつかされてしまう。
ひとりぼっちで店内に寝そべる自分を想像して、薄ら寒い思いをした。
出てきた酒をちびちび口にしながら、離れた場所に居るふたりをちらと見やる。
ついに真嶋の腕が若い男の肩にかかっていた。ほとんど恋人同士のように密着している。
喪失感と心細さにうちひしがれて、グラス内の酒を全部あおった。バーテンがぎょっとした様子で目を見張る。
「お客様、あまりハイペースで召し上がらない方が……」
遠慮がちに声をかけるバーテンにグラスを差し出し、おかわりを頼む。
ああいう場面を今までに多々見てきたが、不思議と嫉妬心というものはそれほど胸に迫らない。
そもそも、嫉妬心というものがどういうものか、浦江にはよくわからなかった。
"愛しい人を取られて悔しい、あいつめ、恨んでやる"というものが嫉妬心なら、
生まれてこの方そういった感情に悩まされた事はない。
そもそも、色恋沙汰というものに初めて触れたのが真嶋相手だったのだ。
"悔しい、恨んでやる"という思いより、"寂しい、不安だ"という思いが先に立つ。
心のどこかで"やっぱりな"、と感じているからこその思いなのかもしれない。
そもそも、真嶋相手に"嫉妬"なんておこがましい真似はできそうもない。
こんな自分に構ってくれたのだから。相手をしてくれた。優しくしてくれた。
もう一度、勇気を振り絞ってふたりの様子を窺うべく振り返った。
そこに見た優しげな笑顔と満悦の表情に、浦江の胃が縮こまる。
もうとっくに見限られているのに、無様にもすがりついているのは自分だ。
飽きられている事はとっくに気づいている。半ば疎ましがられている事も。
それでもどうしても離したくなくて、振りほどかれる腕にすがりついている。
ふいに締め付けられるような感覚が胸にこみ上げ、とっさに胸元をつかんだ。
バーテンがぎょっとした顔をする。嘔吐するとでも思ったのだろうか。
あわてて大丈夫かと様子を窺ってくるバーテンに青い顔で微笑みながら、首を振った。
吐きたいわけではない。わけではないけれど。
寂しい。
手にしたマフラーに顔をうずめ、肺いっぱいにその匂いを嗅ぐ。
変態めいた行為だとマフラーの下で人知れず自嘲しながら、浦江はカウンターに伏せっていた。
しばらくじっとしていたら、発作的な心細さは落ち着いた。
再びちびちびと酒を舐めるのを再開すると、ふいに肩を叩かれた。
真嶋が戻ってきたのだと想像してみた。そんなはずはないのだけれど。
自然な仕草で、年若い男が浦江の隣のスツールに腰掛けた。浦江よりはいくらか年上だ。
仕立てのいいスーツを着こなした色男だった。品定めの視線が浦江の顔や身体を舐める。
挨拶すると、男がにやっと笑った。
「ひとりなの?」
「いえ。こ、……えっと、友達が」
恋人、と言いかけて振り向いた先で、寄り添いあうふたりが目に入った。
言いかけた言葉は打ち切り、真嶋を指差しかけた人差し指は色とりどりの光を浴びて
跳ね踊り、絡み合って動き回る人混みへ向けられた。
それを目で追い、若い男が人のよさそうな笑みを浮かべた。浦江も笑い返す。
「そう。君も踊ればいいのに」
「え、いや、あんまり。そういうのは」
男の手が肩を撫でる。愛撫の調子で背を撫で、腰の辺りまでおりていく。
男の手は腰でとまり、やがて離れていった。
「あんまり慣れない?こういうところは」
「え、ああ……はい。友達に付いて来るくらいです」
「そっか。僕もね、普段はあんまり来ないんだけれどね。気が向いてさ」
そうですか、と返し、グラスを口に運ぶ。
寂しさを感じていたとはいえ、こうして構われても気が晴れない。
もう一口酒を口に運ぶと、男の手が膝へ触れた。
「単なる気まぐれも馬鹿にできないね。こうして君に出会えたんだから」
男がにっこりと微笑む。膝上の手がそっと撫でさするような動きを見せた。
「……そう、ですか」
いまだに沈んだ様子でいる浦江に、男が気遣わしげな表情を見せる。
「どうしたの?何か悩んでる?」
「……いや、……別に」
「嘘言うなよ。いかにも"僕は悩んでます"って顔してるよ。僕でよかったら聞くけど」
膝上の手が執拗にジーンズを撫でる。煩わしい。しつこい。嫌だ。
こういう男にも分け隔てなく愛想を振り撒けば、みんなに"愛される"のだろうか。
寂しいけれど、心細いけれど、こういうのは好きじゃない。
ちらと後ろを振り返ると、相変わらず寄り添うふたりが同じ場所にいた。
手にしたマフラーを握り締め、前を向いた。酒をあおる。
「恋の悩みとか、かい?好きな子がいるとか?」
真嶋のそばに行きたい。
何も考えないまま頷くと、男が理解ありげに何度も頷いてみせた。
「わかるよ。そういうのはね」
膝上の手が何度も太腿を撫でる。「嫌だ」との意思表示に身をよじってみても、手が離れる気配はない。
「大丈夫だよ。君は魅力的だから。全身でぶつかっていけばね。君を好きにならない人はいないよ」
的外れの言葉を次々吐きながら、男が次第に身を寄せてくる。
扱いに困って後ろを振り向くと、真嶋が若い男の頬に口付けていた。
泣きたくなって、マフラーを力いっぱい握り締める。首を振ると、男が気遣わしげな声をかけた。
「自分に自信が持てないんだね。わかるよ。でもね、君は本当に魅力的だよ。
現に、僕は君に惹かれているからね。君を好きにならない人間はいないよ。本当に」
それが本当なら、どんなによかっただろう。
みんなに愛されたいなんて贅沢は言わないから、せめて人並みに普通の生活を送りたい。
一方通行の気持ちは時として満ち足りた気分になるけれど、やっぱり寂しい。
愛が欲しい。ちゃんとした"応え"が欲しい。
もう一度後ろを振り返ったとき、そこに真嶋の姿はなかった。
隣に座っていた若い男の姿も。
あわてて首をめぐらし、人混みにあふれたホールや別のカウンターを探る。
目をやる限り、店内に真嶋の姿はなかった。
「確かめてみないかい?君がどれだけ魅力的か。僕がどれだけ君に惹かれているか。
この後、別に予定はないんだよね?」
男の腕が肩に回る。
もう一度よく目を凝らして店内を探ったけれど、それらしき姿はどこにもなかった。
「帰ります」
一言だけ告げ、ほとんど密着するほどこちらへ身を寄せていた男に目もくれず立ち上がった。
面食らって浦江を見上げる男をその場に残して出口へ向かう。
時折すれ違う誰かが意味ありげに頬や尻を撫でていく。
コートを受け取り、マフラーを首に巻いて、店を出る前に先ほど座っていた席を見る。
先ほど浦江に迫っていた男は、ひとつ席をずらして、隣に座っている男に何やら語りかけていた。
頬を吹きすさぶ寒風に震えながらタクシーをとめ、家路へついた。
後日交わした電話で、その日の出来事について真嶋はこう漏らした。
「ああいう場での口説きやお触りを本気にするなよ。所詮は単なる"お遊び"なんだから。
お前は置いてかれたなんて言うけど、お前こそ他の男とよろしくやってたじゃないか?
お前なあ、何事も深刻にとらえすぎなんだよ。気楽に生きろよ、気楽に。
……お前、重いんだよ、正直」
思った以上に刺々しい声音に驚き、まごついた口調で謝ると、一方的に通話が断ち切られた。
―――じゃあ、あの日僕に話しかけたのも、単なる"お遊び"だったのか。
語尾を疑問系に跳ね上げようとしていた心中の呟きは、意図せず断定の形を取った。
認めたくないのに、心の大部分ではそれを認めているという事だろうか。
ため息をつこうとした唇は、意図せずこみ上げる嗚咽を吐いた。
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今回はここまで。また投下数見誤ったorz申し訳ない。
えええ?
過去話キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
更新して浦江の文字を目撃した時それこそ孤島
最終回の藤岡並みに心臓跳ね上がった。
孤島で浦江の過去はなんとなく酷いものだったであろうとわかっているし
何より浦江の末路も知っているので読むのが切な怖いっていうのは
あるんですが残り二投下もヌゲー楽しみにしています。
おっおっおっ(^ω^;)
孤島タンは私を殺すつもりだお(^ω^;)
絶対絶対テラカワイソスな事に違いないのに、読まずにはいられないお(^ω^;)
…浦江タンの人生は、いったい何なんだろう…(´・ω・`)
あんまり可哀想すぎるよ。
でも読む。読まいでか。
一話目からガチで号泣した私。
過去の鬼畜男と後の鬼畜男…鬼畜連鎖キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
こいつの所為で…こいつの所為で…!!・゚・(つД`)・゚・
だがリンカーン楽しみ(・∀・)
浦江キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
孤島タンありがとうw 楽しみにしてます
間を開けてから投下しようと考えないの?
自分がマンセーされればスレはどうなってもいいってか。
カスだな。
使いタン、乙です、とても面白かったよー!
妄想の余地があるラストもイイ!
ミランタンの悲惨な運命回避に向けて脳内補完できる。
>>365 嫉妬に狂い何をかいわんや携帯厨
おまえのタワゴトなんかミジンコにも食ってもらえないカス以下w
う、浦江〜〜!!(´Д⊂グスン
読んでて切なくなって、その勢いでコトーを全部読み直したら
ますます泣けてきた…
純粋オバカ過ぎるよ浦江!
スカーレットのつづきです。
夕べは携帯から釣りみたいな投下をしてしまってごめんなさい。
================================
喘ぎながら俺はオオイヌノフグリのことをおもった。
タマを弄くってると、ときどきあの青い小花が頭をよぎる瞬間がある。
畦道とかに咲いてるパッと見“可憐”な花。でも「フグリ」は「金玉」の意らしい。
でっかい犬の(ちんぽ)と金玉。凄ぇードライブ感。名付けたやつの顔が見てみたい。
俺の下の名前も大概だけど、あの小さな青い花にくらべればまだマシに思える。
花のことを考えながらオナっててもなかなかいけないので、チャンネルを切り替えようとしたとき、
Tシャツの腹のあたりにどばっとぶちまけられている白濁が目に飛び込んできた。
服を汚されるとむかつく。洗いすぎると生地がいたむ。色も落ちるし。くそっ。
古着屋で見つけたじじ臭いアズキ色のTシャツを、ハンガーに掛けて寮の屋上の物干しロープにつるして、
夏の間ガンガン日で焼いて、やっとやっとこの味のあるピンクが出せたのに……。
俺が凄ぇ気に入っているのを知ってるくせに、あいつら…ザー汁で汚しやがった。
くさくさした気持ちになったら、ちんぽが萎んでへたってきた。
むらむらしてたのがどっかにいってしまって、俺はポケットティッシュでケツを拭い
爽やかな肌ざわりのニットトランクスを引き上げた。
通気性にすぐれたメッシュ素材のニットトランクスはちょっとだけ俺を快くしてくれた。
いきなり下半身だけ裸にされたのがよかった。下をはいたまま、いやらしいことをされてたら、
先走りをいっぱい漏らして、この薄い布はじとじと湿っていたかもしれない。
そんなことになっていたら、いま頃もっと凹んでた。不幸中の幸いだ。ちょっとだけ救われた気分になる。
埃臭いマットからからだを起こし、俺は体育倉庫の扉を開けた。
医務室に行こう。
俺は中高一貫の全寮制男子校に通っている。いま、5年生だ。
生徒は必ずどこかの部に所属しなければいけないので、おしゃれ部に在籍中。
同期の他の5人とはふつうに仲がよかった。
部の活動とは別に、よく6人で服を買いに行ったり、つくったり、雑誌を回し読みしたりしてたし、
定期テストの前は学習室で一緒に勉強したりもしてた。
放課後、友達だとおもっていた5人に拉致され、
体育倉庫に連れ込まれたとき感じたのは優越感だった。
俺の麗しさが哀れな子羊どもを惑わせ暴挙をとらせてしまった。あぁ、美しさって罪(笑)。
本気でそう思った。俺はナルだ。実際問題、酔っていいだけの容姿を持ち合わせているとも思ってるし、
この見栄えのよさに多くの恩恵を受けてきた。
ちなみに、俺が入学してから5年間、文化祭のミス男子校コンテストのグランプリはずっと俺だ。
来年クリアすれば、創立以来の6冠を達成する。
小原(オハラ)という名字とヒロイン顔ゆえ、ついたあだ名はスカーレット。
一年の劇では白雪姫を演じ、二年では眠りの森の美女になりきり、2年連続キス・オブ・イヤーを受賞。
三年では鶴の恩返しでたおやかな着物姿を披露した。
四年のときはロミオとジュリエットで当時つきあっていた男と絡みまくり皆をちょっと引かせ、
先週終わったばかりの今年の文化祭では、荒磯に全裸で鎖縛りにされた
ギ神のお姫さま:アンドロメダをエロかわいく熱演したばかりだ。
後夜祭では「バルス」のとき、シータのコスをして超うけた。
(後夜祭のラストで全校生徒全員が手を繋ぎ、「バルス!!」と唱えてから
セットを破壊する、もとい片づけに入るのがうちの学校の伝統だ)。
俺はモテる。いっぺんに5人を相手にしたことはなかったけれど、それなりに経験もある。
いいぜ?と思った。
だから、やさしく気持ちく上手(じょうず)く抱いてくれと股を開いてやったのに…。
なのに、俺はあいつらにちょっとありえねーくらい手荒くされたのだ。
ゴムも使ってもらえなかったし、ケツマンコは唾でしか濡らして貰えなかった。
ローションぐらい使えよと抗議したら、自慢の鼻梁に拳をくらいメキっと音がした。
骨と軟骨とが砕けた気がした。鼻血はもうとまったけれど、
この顔がもとの美しさを取り戻すにはたっぷり時間がかかりそうだ。
いろいろ解せないしケツは痛いし、さんざんだ。だるくてしんどい。
重いからだをひきずってのろのろ右手で鼻を隠しながら、医務室をめざして歩く。
友達をいっきに5人失った気がした。それが一番きた。
痛いのも服を汚されたのも、顔をなぐられたのも平気じゃないけど平気だ。
5人で結託して強姦ですか??なんでだよ。くそっ。
ひとこと言ってくれれば、キャラ的に俺は股を開くのに。
体育倉庫なんかじゃなくてベッドの上で、レイブパーティーがしたかった。
無理矢理こんなんことしたって、誰も気持ちよくなれねえよ。
セックスの醍醐味は、ワン・ツー、スリーで、手と手を取り合って
階段を2段飛ばしで駆け上がるようにイク歓びなのに。
口の中や喉の奥に、突っ込まれたちんぽの肉感がのこっているようで、
洗面所で口を漱ぎうがいをした。鏡を覗き込んだらもっそい醜い面した俺が映っていた。
くそ……っ。
髪にとんでいたザー汁を落とし、顔を洗いハンカチで拭く。
それから洋室(ウエスタン)の個室に入ってケツに指を突っ込んだ。
惨めな後始末をしていると、涙こそ出なかったけど、「泣きたい気持ち」になってきた。
中出しされたものを掻きだして便座に腰を下ろしていたら、コンコンっとノックの音がした。
誰だよ……。
つづく
372 :
スカーレット :2006/10/20(金) 12:37:49 ID:X3Tx2yo80
すみません、2行抜けてました。
3の下から2行目に下記の文が入ります。
「俺はモテる。いっぺんに5人を相手にしたことはなかったけれど、それなりに経験もある」。
の後です。
妄想の中だけど。それなりにたくましい経験はあって、
輪姦って悲劇のヒロインっぽくていいなと前から感じてた。(いいぜと思った)。
スカレタン乙!
小原可愛いよ小原
何これ?
夕べ、スレ住人全員にスルーされたくせに、なんで投下するの?
乙ひとつも無かったでしょ?あれがスレの答えだよ。
あんたは投下しちゃいけないんだよ。
もしかして、したらば625?
だとしたら、乙もらえないのはつまらんからだ。
375 :
スカーレット :2006/10/20(金) 12:55:24 ID:X3Tx2yo80
374って、書き込みもらうかと思ってたから、
373の乙がうれしい。頑張ります!!
いい味だしてるww
おしゃれ部、前回の投下ではてっきり『セ●シーコマ●ドー』を想像してたw
続き待ってます。
377 :
風と木の名無しさん:2006/10/20(金) 13:21:12 ID:ZYUuWl+M0
スカーレット萌えたww
オハラは実は意地っ張りな誘い受け?
いじめたくなるタイプでかわいいw
スカーレットタン乙!!
>>367 これが同人女特有の「嫉妬してるんでしょ?」発言!
携帯なんて問題点に全く関係ないことまで持ち出して、信者は逝っちゃってます。
したらば見れば、少なからずうんざりしてきてる人がいるのはわかるだろうに
神作品とマンセーの嵐に酔って正常な判断力を失う作品&信者達
「ま、他の作者と違ってエロなくてもマンセーされるしいっか!」
「スレが荒れても、他の作者が投下しずらくなっても
他の作者の作品にとってつけたような感想が増えても
気にしないで投下しちゃえ!」
「だって私は神だから!アンチは嫉妬に狂った醜いエロ媚糞作者だからスルー」
はいはい。わかったってば。
浦江にテラむかついてたから不幸な過去話?は
ちょっと嬉しい。
いや、むかつくほど話に引き込まれてたんだけど、
気に障ったらごめん。
うんざりさせてるのはどっちだ…
ところでこのスレは鬼畜な話ならエロである必要はないんだよね。
エロだけでもいいけどエロがないといけないとはどこにも書いてないから。
そして>379が何言ってるのか自分の読解力を駆使してもさっぱりわからないんだけど、エロが何って?
スカーレットの感想が書かれる前に次作品が投稿された事について文句言うなら判るけど何言いたいのかわからん。
エロの途中で切られたのがいやなの?このエロ379
>353=>374
頑張ってねw
>>383 新参あるいは信者乙
孤島本人が「エロなくてすいません!」と度々本音を漏らしている
>>381 そう言えば、とあるサイトの感想に対する注意書きに
「『〜と思いました。お気にさわったらすみません』と書く
人がいますが、そう思うなら書かないでください!」
「失礼かもしれないと感じているのに、なぜ書くのか
理解に苦しみます」
とあるのを見たことがあるw
384さん応援wありがとね。
だって自分、したらば雑談625だし、うっかり携帯から投下したら、
以前みたいにスレのみなさんに総スルーされちゃうし、
孤島さんの新作&嵐の乙コールまで、はじまっちゃったんだもん。
ひねこびた気持ちにもなるし荒みます。
乙くださった皆さんほんとにありがとうございます。
嬉しかったです。
追伸
384さんには、自虐モード全開で書き込んだ
374的なこと思われてる気がする。
384さんには、期待を引いて374な心持ちで2〜4投下した
私の気持ちなんて、わかってもらえないって知ってるけど、
本当に寂しかったんだよ。だから、乙が嬉しかったです!
孤島タンの作品は情景がありありと頭に浮かぶね。
素晴らしい文章力に乾杯。
続きwktkしながら待ってます。
スカーレットたん乙!超好みだ
小原かあいいよ小原
続きwktkして待ってます。
もう孤島はお腹いっぱい。過去話しやら色々続ける気ならサイト持ってそっちでやって欲しい。
ここはお前のブログですか
独り言はリアルチラシにどうぞ
孤島が長い話しをだらだら投下してると投下したくてもできない人がいるだろ。乙コールばっかで投下しにくい雰囲気漂うし。だからサイト作って孤島ファンはそっちに移れって言ってんの。
いや別に全然。読みたくなければスルーするのは普通の事だし、
書く側としても投下したければするよ。
>393自身も投下したいならすればいんじゃないの?
感想が少ない事を「あの作品のせいだ!」なんて思う電波でもないかぎり
他になんの作品があってもなんの支障もないと思うけど。
自分も書き手で、孤島タンの連載ともクロスしながら投下したことがあるけど、
孤島さんが人気だから自分が投下しにくいとは感じなかったよ。
だいたい、他の作品の次の投下がいつになるかなんてわからないんだから、
気にしていても仕方ないんじゃないか?
気になっちゃう作者さんもいるだろうことは想像がつくけど、
それはその作者さん自身の問題であって、
他の作者さんがそのために投下を控えるのは、筋が違うと思うわ。
ただ、本スレでのマンセーレスの嵐はもう止めた方がいいと思う。
良い悪い以前に、荒れるってわかってるでしょ?
孤島タンの最終投下の時だって、「もうそろそろしたらばで」と促されてるのに
その直後にまたマンセーした人もいたよね。
あれなんて本当はアンチの嫌がらせなんじゃないかと思えたよ。
したらばを見た事がない漏れが通りますよ…
素直によかったと思った投下には、ちょっと遅れても普通に乙!を入れてたんだが
それではダメって事?
したらばルールもわからんし、これからも見るつもりはないが
このスレでは両方見て当然、なのか?
ここの>1にも「乙祭禁止」とは書いてないので、ココとしたらばに
何らかの線引きがあるんなら天麩羅に入れて欲しい
乙は時間の問題ではなく、量(数)の問題ってことだな。
いくつまで等と決めるのはあまりにも窮屈だし馬鹿らしいと思うが、
最近のスレの流れを見てたら、マンセーコール大爆発が延々と続けば
荒れるのはわかるはず。
私自身は乙祭は気にならないけど、そのあとの荒れ方を考えると
やめた方が無難だと思うね。作者さんのためにも。
ルールじゃなくて、方策ってことだけど。
したらばで言ってることは、このスレで言われてることと基本は変わらないよ。
もうちょっと詳しくて個人的なだけ。
ただ、したらばには「作品応援スレ」や「好きキャラに萌えるスレ」があるから、
いつでもいつまででも乙コールしていても、ルールにもマナーにも違反しない。
それでも絡むやつは絡むがね。
スカタソにちょっと質問。
1で、『ついさっき、産まれてはじめて男を知った俺』
って言ってるのに、最後のほうで『それなりの経験もある』って
言ってるってのはどゆことかな?
面白いし楽しんで読んでるだけに、ちょっと疑問。
したらば見に行けばいいじゃん
398さんへ
「それなりに経験もある」のは、妄想の中だけです。
372に書いた訂正の通りです。
2行本文が抜けていました。ごめんなさい。
ありがとうございます。
んじゃ、付き合ってる人はいたけど、体の関係はなかったのね。
わかりましたー。
そういうのを雑談って言うんだよ。
したらばでやれ。
>>396 用意された場を活用しないのは勝手だが、スレの空気は読もうな。
当然カキコる前に半年はROMったんだろうし。
>396
ここは基本的に「個人」ってものが存在しない場所なので、
「誰が乙コール」をしたかは意味のない事なんだよね。
自分も自分もって思っても、大人ならスレの空気読んで
他の人の乙コールに自分の気持ちを乗せて気を済ませておくといいよ。
あとしたらばを見るつもりがないのを宣言するのはなんでだ?
ここよりひどい場所とでも思ってるんだろうか。
次の作品、どうぞー
わんこ待ってる!
ダンとご主人さまをずっと待ってるです。
あっ、自分も自分もノシ
けなげワンコのダンと冷たいご主人様を待ってる。
それと悪魔タンも待ってる。
阿鼻叫喚なオチが待ってるんだろうかとガクブルしつつ待ってる。
前期試験が全科目終了した。打ち上げと称し、俺は友人たちと飲みに行った。
だが、寝不足続きで疲れていた体にはあっという間に酔いが回った。
俺は一足早く寮の自室に引き上げた。シャワーを浴びて多少は
すっきりしたものの、体が自然にベッドへと吸い寄せられる。
横になると、あっという間に眠りに落ちた。
誰かが俺の頭に触っている。
夢?
目の辺りに強い圧迫感を感じて、やっと俺は現実に戻り、目を開けた――
開けようとした。開けられない。なんだ、何が瞼を抑えているんだ?
困惑して目に手をやろうとした手を掴まれた。誰か、いる?
「誰――」
言いかけた口に、冷たいものが押し当てられた。水を掛けられたかのように
完全に目が覚めた。刃物だ。かなり大きい。サバイバルナイフのような。
目を覆っているのは、タオルか何かだ。痛いほどきつく目隠しされている。
頭が冷える、いや、血が上っているような感じ。後頭部は冷たく感じるけど。
心臓がペースを上げる。体が震え出した。
強盗か?
「財布は、机の上の鞄の中。あと、本棚の2段目、緑色の本があるだろ。
カバーの折り返しに封筒が挟まってる。3万くらい入ってるから」
声が上擦っている。かっこ悪い。ハードボイルドの主人公みたいに、
余裕たっぷりに答えてみせたいのに。
紐のようなもので手首を縛られた。相手、一人じゃない。手首を縛っている奴、
ナイフを突き付けている奴。逆らったら駄目だ。相手の顔も見れない以上、
暴れたりしなければ、金を取ってさっさと逃げてくれるはずだ。
それにしても、一体どうやって入った? 暑いから窓は開けっ放しだけど、
ここは3階だ。ドアに鍵をかけたことは間違いない。もっとも、あの鍵なら
開けることは難しくないはずだ。この寮は、うちの大学の学生寮の中で一番
ぼろい。鍵も古臭いタイプで、コツさえわかれば開けられるらしい。
ぼろいだけに安いから、あえて選んだんだけど。
縛られた手首が、更にベッドヘッドに結び付けられる。こいつらが去った後、
どうやって解けばいいんだ。
「何もここまでしなくても、逃げ出したりしないよ。てか、できないだろ。
おとなしくしてるから、金でも何でも持って行ってくれ」
さっきよりは少し落ち着いた声で言えた。
「だけど、学生寮なんて狙ったって、大して収穫ないだろ? 皆、貧乏だよ。
どうやって入ったのか知らないけど……」
そうだ――こいつら、この寮にはどうやって入った?
考え事は、長く続かなかった。口元のナイフが離れ、寝間着代りの
Tシャツが、胸元から一気に引き裂かれる。俺は硬直した。頭の中に、
ホラーやらサスペンスやらの映画の残虐なシーンが次々に浮かんだ。
俺、まさか今から殺されるんじゃ……?
「た、助けてくれ……」
声は余裕どころか掠れている。ナイフは俺の腹を滑って降りて行き、
トランクスのウエストのゴムを引っかけると、それも引き千切った。
シャツとトランクスの残骸が体から取り払われて、裸にされた。
「な、なんだよ、何がしたいんだよ……頼むから、殺さないでくれ」
みっともないとか、言ってられない。助かるなら何でもする。
ペニスにナイフを押し当てられて余裕ぶるほど、俺はタフじゃない。
「頼むよ……何でもするから…言うこと聞くから……」
ナイフが俺のペニスを持ち上げて弄ぶ。自分じゃ見えないけど、それが
縮こまっていることはよくわかる。怖くて、涙が出てきた。
もう一度頼もうとした時、俺の耳に何かが被せられた。慣れたその感触に、
ヘッドセットだと気付いた。次の瞬間、頭が割れそうな大音量で
音が耳に雪崩れ込んできた。それが、俺がCDプレイヤーに入れっぱなしに
していたCDだと気付くまでに、何秒かかかった。もうすぐ来日する、
大好きなバンドの最新アルバム。苦労して手に入れたライブチケットは、
前から10列目のど真ん中。そらで歌える1曲目で、ボーカルが
「お前の写真を壁に貼り付け、ベッドから見つめている」と歌っている。
誰かの手が、俺の膝を曲げて押し広げた。尻までが丸見えになる格好。
ナイフがペニスから更に下に降りて行って、尻の穴に切っ先が当てられた。
「やめてくれ、頼む、助けてくれ」
俺はそう言っているはずだ。自分の耳にはまったく聞こえないが。
聞こえないのが怖くて、俺はもっと大きな声で言いかけた。だが、
ナイフが穴にめり込むほど強く押し当てられ、唇を捻り上げられた。
大声を出すなと言うメッセージだろう。俺は小さく頷いた。
ナイフが尻から離れて、俺はほっと息をついた。だがナイフは
腹を伝って胸に登り、乳首を切っ先で弾いた。幾度も繰り返されて乳首が
固く尖ると、指で摘み上げられ、刃が当てられた。刃に徐々に力が加わる。
「やめてくれ、やめてくれ、頼む、頼みます、やめてください」
ぷつ。そんな感触があった。皮膚が切れたのだ。
「いやだ、お願いです、やめてください、やめてください」
自分では聞こえないまま、俺は呟き続けた。大声で叫びたい。
でも叫んだらだめだ。必死に自制心を働かせて声を抑えた。
すっと刃が離れた。指が、乳首を揉むように動く。湿った感触に、
血が流れていることを知った。
ぎしっと音がして、ベッドが傾いだ。誰かがベッドに上がってくる。
違う、俺の脇に膝をついてるらしい。ナイフが当てられているのとは反対側。
膝を掴んだ奴は、そのまま俺の足下にいる。と言うことは、3人いる。
少なくとも3人、だ。もっといるのかもしれない。わからない。怖い。
視覚を奪われる無力感がこれほどのものだとは。
脇に膝をついた奴が、俺のペニスを手に取った。恐怖で髪が逆立つ。
何をする気だ。やめてくれ、さわらないでくれ。
指がペニスの先端に当たる。塗り込めるような動き、いや、確かに何か
塗られている。水? 尿道に擦り込むように、それが塗られる。それから、
指は、尻の穴にも同じことをした。
「なんだ、何を塗ってる? 毒?」
くだらないことを聞いていると思う。どうせ相手は答えてくれないのだ。
答える気があれば聴覚を奪ったりしない。
尻の感触が変わった。さっきの水のようなさらさらした感触ではない、
何かぬめったものが塗られている。気味が悪い。腰を引きそうになる。
でも、動くのは怖い。ナイフはまだ俺の胸に当てられている。
何なんだ。何をする気なんだ。やめてくれ。せめて教えてくれ。
尻の穴が熱くなってきた。おまけに、指の動きが、妙にむず痒い。
腰が動いてしまう。さっきの、気味が悪くて逃げたいのとはまったく違う。
気持ちいい。自然に動いてしまう。なんで尻なんていじられて、こんなに
気持ちいいんだ。さっき塗られた、あれのせいか。――もしかしたら。
聞いたことがあるだけだけど、覚醒剤の水溶液を塗るとすごいって。
そうなんだろうか? それなのか? そんなの塗って、体は大丈夫なのか。
どれくらい塗られたんだろう。くそ、気持ちいい。つかまれた膝も揺れる。
ペニスを握られて、飛び上がりそうになった。いやだ、さわるな。
気持ちいい、やめてくれ。こすらないでくれ。もう駄目だ、それ以上。
指が尻に入ってきた。だめだ、やめろ。動かすな。ああ。ああ。
指が引き抜かれた時、尻がその指を追うように動いたのがわかった。
畜生、変なもん塗りやがって。何が目的なんだ。何がしたい。
膝を掴んでいた奴が、ベッドの上に乗り上がってきた。今度は何をする気だ?
太腿を抱えられる。尻の穴に、何かが押し当てられた。ナイフじゃない。
もっと熱くて太い……これ、これって、まさか。
痛い! 引き裂かれる!
声を上げてしまったのだろうか。口を塞がれた。
痛い、やめてくれ! 抜いてくれ! くそ、息ができない。口、口を。
俺は必死に首を振ったが、口は解放されない。尻に突っ込んだ奴が動き始めた。
やめてくれ! 頼む! 死んじまう!
ペニスにまた何か塗られた。呆れたことに、ペニスは萎えていなかった。
こんなに痛いのに。嫌で嫌でたまらないのに。
こいつらの目的はこれだったのか。金ではなく、俺を、こんな風に。
誰が、どうして。俺は別に女っぽくない。美形でもない。普通なのに。
嫌がらせか。何かの仕返しか。誰かが俺に恨みでも抱いているのか。
女を寝取ったこともないし、喧嘩した覚えもない。何がいけなかったんだ?
俺が誰に何をしたのか教えてくれ! 謝るから! ああ、痛い、抜いてくれ!
男が、体を硬直させた。達したんだとわかった。圧迫感が薄れていく。
抜いて行く時にも濡れた感じはなかったから、ゴムは付けているんだろう。
ずるりとそれが抜け落ちた瞬間、体が震えた。なんだ、今のは。
痛かったのに、あんなに抜いて欲しかったのに、穴がそれを惜しむように
ひくひく動いた。いきなり空洞にされたのがもどかしい。何かが足りない。
疼く。ペニスも、尻もだ。なんなんだ、畜生。覚醒剤だか何だか知らないが、
妙なもん使いやがって。俺が悪いんじゃない。ああ、腰が動いちまうっ。
いやだ、ペニスをいじらないでくれ! 我慢できなくなる!
また誰かが俺の尻を抱えた。もうやめてくれ!
容赦なくそれが入ってくる。さっきほど痛くもない。だが、腰は自然に
逃げを打った。胸のナイフが離れた――そして、それは、ペニスの先に
あてがわれた。いやだ、助けて! 尿道に切っ先が潜り込む。切っ先が、
その小さな穴をくじるように動く。やめてくれ、やめてくれ、やめてくれ!
気持ち良くしないでくれ、怖いのに、気持ち良くしないで。
ペニスからナイフが離れても、怖くて動けなかった。2人目の男がガンガン
突き上げる。熱くて、痛くて、でも我慢できない痛みではなくなっている。
ナイフが、喉に当てられる。そして、やっと口から手を離してもらえて、
俺は何度も深呼吸した。その口に熱く生臭いものが押し当てられ、俺はすぐに
それが何だかわかった。いやだ…! 反射的に顔を背けた。ナイフが口に
差し込まれる。舌が押さえられ、口を開かされる。それからナイフは横に動き、
唇の端に垂直に刃が当てられた。あとほんの少し力が入れば、口が裂ける。
尻を犯している男が激しく動く、その動きだけでもピリ、ピリと唇が突っ張る。
やめてくれ…やめてくれ…。刃が動いた。チリッとした痛みが走り、血の匂いが
広がる。刃から逃れるように顔を動かした。追ってくる。助けてくれ!
刃が口から消えた。安堵する暇もなく、ペニスが押し込まれる。気持ち悪い!
吐き気がこみ上げた。吐き出したい。舌が無意識にそれを押し出そうとする。
またナイフが口の端を引っ張った。
わかったよ、わかったから…。
舌を動かして男を悦ばせようとするが、集中できない。ペニスをいじる指が、
俺を翻弄する。腰の奥から全身に波が打つように快感が走る。
すごい。こんなの初めてだ。あああ、ああ。たまらない。たまらない!
尻を穿たれる痛みですら、今は甘い。つらいのに。俺はマゾじゃないのに。
もっと酷くして欲しい。もっとこすって突いて欲しい。もっと奥まで来て欲しい。
頭に霞がかかる。脚を男の腰に絡ませて、夢中で引き寄せる。
喉の奥を突かれた。いつの間にか、俺の舌の動きが止まっていた。
だって無理、無理だ。気持ち良くて気持ち良くて、溺れてしまいたいのに。
ああ、ナイフが、また。わかったからやめてくれ、ちゃんとするから。
必死に舌を絡め、吸い上げて、奉仕する。早くこの男をイカせて、
自分の快楽に耽りたい。もっと気持ち良くなりたい。欲しい。もっと欲しいんだ。
男はじれったそうに腰を動かして、俺の喉に精液を注いだ。
勢いで飲み込んでしまったが、どうでもいい。俺は、俺は、気持ち良くなりたい。
腰を振った。いい。いい。いいっ。もっと、もっと。また口を塞がれた。
声が出ているのか。自分じゃわからない。苦しい、息、が。死ぬ、死ぬ。
締め付けてしまい、後ろの男が達した。俺も、俺も、俺も。扱いて、扱いて、
もっと、もっと、もっと。ああっ、ああっ。あああああ―――。
射精してしまうと急速に熱が引いていって、体も心も冷めた。
耳からは、シングルカットされたバラードが叩き込まれてくる。
お前しか抱き締めたくない、お前だけが俺を熱くする、俺はお前だけの獣……。
畜生。畜生。なんで、こんな。
俺はクズだ。最低だ。涙が溢れて、目隠しのタオルがぐっしょりと濡れた。
ナイフが俺の左手だけを紐から自由にした。もう終わりなのか?
俺はそのまま動かなかった。もし目隠しを取ろうなんてしたら、どんな目に
合わされるかわからない。こいつらが出て行くまで、逆らえない。
そうだ、俺は何もかもいいようにさせた。こいつらの望む通りに。
最後まで思い通りにさせようとしている。俺は戦わなかった。怖くて、諦めた。
そしてこいつらと楽しんだ。畜生。死ねばいい。こいつらも、俺も。
どれくらい時間が経ったのか。俺は、恐る恐る、目隠しを、それから
ヘッドセットを取ってみた。誰もいなかった。窓から月明かりが
差し込んでいるだけの暗い部屋で、俺は1人で震えていた。枕元の時計は、
午前3時10分を指している。ベッドに入った4時間前には安心できる砦だった
俺の部屋は、今はまるでホラー映画のセットみたいだ。あの男たちは、今、
廊下にいるんだろうか。耳が馬鹿になっていて、何も聞こえない。
あいつらは、もう外に出たのか? それとも――他の部屋へ?
玄関は俺の部屋からは確認できない。見に行くなんて、とてもできない。
俺は、机の上からカッターを取って紐を切り、手を自由にした。
それからドアまで這って行って、鍵を締めた。
夜が明けてから、ライブチケットを捨てた。あのバンドのCDも全部捨てた。
もう一生、彼らの曲を聞くことはない。
翌週には退寮手続きを取って、アパートに引っ越した。
寮とは大学を挟んで反対側にある、離れた場所のアパートだ。
安普請だが、ドアにも窓にも特別に鍵を増やした。警報装置も取り付けた。
それでも俺は、毎日ハリネズミのように神経を尖らせて過ごしている。
夜遅く出歩くこともなくなった。暗い道を歩く時はきょろきょろしてしまう。
昼間でも、1人きりになる場所を避けるようになった。そのくせ、
人のいる場所も嫌いだ。近くにいる人間はすべて俺の警戒の対象になった。
あの男たちは、俺を知っているのだから。大学内か、大学周辺か、あるいは
電車の中かバイト先か。どこで俺を知ったのかわからないが、
とにかくあいつらは、俺を知っている誰かなのだ。
そしてそれは、俺が知っている誰かなのかもしれない。
終
強姦萌え! ツボに突き刺さるゴカーンだったよ〜。これこそ自分の求めるゴカーンだった。
もうこの後は誰も彼も怪しく見えて、次はパニクってキャンキャン泣き叫んじゃったりとかね。
甘くない、この後味大好物!
誰か禿げ萌えたノシ
受けタンのその後気になりますな
救われるか堕ちるか…(*´Д`)ハァハァ
これは良いサスペンスですね。
禿しく乙です!
最後まで「誰か」がわからないのがすごくいい!
聴覚まで塞ぐという行為に萌えた(*´д`*)
萌えた!乙。
含みのあるラストが空恐ろしくて面白かった。
「誰か」が最後までわからないのがこれまた怖い…
乙乙!はげしく萌えましたw
最後まで誰だったのか分からないって怖いよね
仕切りの向こうで誰かがコンコン扉を叩いてる。俺はじっと息を殺した。
壁に描かれたど下手な絵や、汚い落書きを眺めながらノックが鳴りやむのを待つ。
誰でもいいから、何処かにいってくれ。用を足したいならもうひとつの個室を、
隣の和式を使って欲しかった。そっちは空いてる。
コンコンコンコン、誰かさんはくり返しくり返し扉を叩いた。
くそ…っ。何なんだよ!?
洋式(ウエスタン)にこだわりがあるわけ??余裕があるなら別の階に行けよ。
のっぴきならない事情で間に合いそうもないなら、尚更、和式で妥協するべきじゃねえ?
キモいザー汁を掻き出して肩落としてるときに、ノックなんかしてほしくなかった。
クソしてる最中に扉を叩かれるより微妙でそっとしておいて欲しくて、
俺はしつこく鳴り続ける音にちょっとだけキレた。
トイレットペーパーの上あたり。右側の仕切りをグーで殴る。
ドンッと入ってますのサインを送ったら、「なあ、スカ?入ってんだろ??」と、
よく知ってる声が俺のあだ名の短縮形を呼んだ。びっくりした。すぐ蒼井だとわかった。
グループも違うしそこまで親しいわけじゃないただのクラスメイトだけど、
蒼井の声は俺が好きなラジオのDJにそっくりなのだ。
10年以上も前に解散したバンドのボーカルだったひとで、
渋くて深みのある声をしてる。あんないい声のひとは俺の中で彼だけだ。
最高にかっこいい、俺を声フェチに育てた声だ。
だから、彼に似てるから蒼井の声はすぐわかる。キモい話、毎月1が付く日は、
出席番号1番の蒼井が当てられる回数が増えるので、
現国とか古典とかリーダーとかがあるとラッキーと思う俺がいる。
「俺、おまえが入ってくの見てたんだけど?」
心臓がカンガルーみたいに跳ねた。
「もしかして、アレ、掻き出してんじゃねえ?……大丈夫か??」
さらっとそう続けた「いい声」に俺は絶句した。……何で知ってんだよ!?
「ごめんな」
え?え?えっ?
「俺がおしゃれ部の5人に頼み込んだんだ」
はい?
扉の向こう側で、蒼井が素敵な声で衝撃的な発言をした。
「計画では801チンピラに扮したあいつらがスカを体育倉庫に連れ込んだら、
俺がかっこよく登場してスカを救出、告白、お清めエッチのはずだったんだよ……。
けどな?あいつら体育倉庫に鍵かけちまって、以下、略。
さっき軽くしめてきた。凄え反省してたわ。
スカがあんまり色っぽかったから、少しイカレタって言ってたぜ?
お触りぐらいのつもりだったのに、スカのこと強姦してるって設定に盛り上がり過ぎて、
どんどん酷いことしたくなってしまって暴走したって皆して凹んでた。
『スカはぜったい蒼井に気があるから応援する』とか、
『スカなら襲われてるとこ颯爽と助けられたら、運命感じて即落ちるはず』とか、
『スカは妄想癖あるから、劇的な演出とか好きだし喜ぶと思う』とか、
あいつらも凄ぇノリ気だったのに、途中で台本dだみてぇ。
ほんと、ごめんな。主犯は俺だからあいつらのこと許してやって。
先生とかにも黙っててくれねえかな?強姦ばれたら、まじ退学になるし。
ギルティーなのは麗しのスカーレットだから、そこんとこよろしく頼みます」
なぁ〜んだと思った。許すも何もぜんぜんまったく問題ないし。俺ね「そういう話」大好きだぜ?
特に「ギルティーなのは麗しのスカーレットだから」のあたりとか、ときめいた。
そういう事情がお有りなら、リンカーンもやむなし!!
垂れ込めていた灰色の雲がパッと消え。曇っていた心がみるみる晴れていく。
鼻血は止まったけど鈍い痛みはつづいていて、
顔がちょっと見られねえ感じになってるけどチャラにしてやるよ。
とはいえ、腫れあがって左に曲がっている鼻梁を見られたくはないので
俺は右手に持った水色のハンカチで鼻と口元を押さえて隠し、水を流してからトイレの鍵に手をかけた。
ドアを開けたら、蒼井がきまり悪そうな顔をして立っていて、がばっと頭を下げた。
ちょー気持ちいいっ!!「1年のときから好きだった」と告られ、俺はいい気分だった。
『トイレにて、サンポール的塩酸系の匂いの中で告白される俺』ってのも、
なんか異色で凄く特別感があっていい。
蒼井の声は凄く好きだし、滑ったけどコント仕立てで告ろうと計画練ってくれてたのも
ポイント高くて、即OKしたくなった。
だけど、4年のとき付き合っていた彼氏に学年末、別れを切り出された身としては、
ちょっとだけ構えてしまう。アイツはハナから期間限定のつもりだったと言っていた。
当時の生徒会長(選挙でアイツが負けて、副会長に甘んじるゆえんになった1こ上の先輩)が、
俺に片想いをしていたらしくて、つまらない復讐心で俺を恋人にしたのだと告げられ目眩がした。
アイツは学園の有名人で凄くかっこよくて、ふつうは5年生で構成される生徒会の役員に、
3年のころから名前を連ねてて、4年のくせに生徒会長選に出馬しちゃうライオンみたいなやつだった(落選したけど)。
なんか、いいなぁ〜っと思って見てたら、「つきあおーぜ?」と言ってもらえた。
嬉しかった。初カレだった。はじめて、劇のネタでも妄想でもない本物のキスをした。
舞い上がってたんだけど切られた。しかも後日談あり。
本年度アイツは前期後期二期とも生徒会長に抜擢され、プライベートでは、口説き落とした前会長とラブい仲になっている。
アイツが意識してたのはずっと前会長でした。いまは前会長=年上の彼氏とよろしくやっている。
めでたしめでたし。……俺って何?凄く、凄く、そう思った。
きっと、浮かれて一足飛びに彼氏×彼氏(カレカレ)になったのがよくなかったのだ。
何事もステップを踏まなきゃいけない。
だから、「友達からな?」
そう言った俺に蒼井は、クラスメイトから友達に昇格できたと嬉しそうに笑った。
蒼井と喧嘩をして殴られたという設定で医務室に行ったら、
先生は俺の鼻梁にそっと触れ、直ぐにタクシーと担任を呼んだ。
飛んできた担任は俺の曲がった鼻に血相を変え、あわや蒼井に停学処分がくだりかけたが、
「暴力沙汰ではなくて男同士の爽やかな喧嘩」
「たまたま当たり所が悪かっただけ」
「もう仲直りしました。ごめんなさい」等々、ふたりして言いくるめ事なきを得た。
タクシーが来て蒼井は釈放され、俺は担任と耳鼻科へ向かった。
診断結果は鼻骨骨折。
殴られたときは軟骨も砕けたような気がしたけど、そっちはノーダメージで、
簡単な整復処置でもとにもどるらしい。それでも全治約6週間!!
固定のために鼻の外側に何か添え木みたいなのをあてられて、穴の中にガーゼを詰められた。
こんな顔をさらして寮に帰るのも学校に行くのも恥ずかしいと主張したら、
お医者さんが「超立体」とかいう花粉症のひとが愛用してるらしいマスクをくれた。
鼻も口もすっぽり覆うタイプで、じじ臭く例えると鴉天狗の嘴な感じだ。
帰りのタクシーで携帯を開いたら、おしゃれ部のやつらから、わんわん長文メールが届いていた。
5人が5人とも海より深く山より高く反省していて、特に俺の鼻を殴ったやつは、いじらしいほど凹んでいた。
「恩赦あり。気にすんな。病院行ってきたけど平気だった。いま帰ってるとこ。もうすぐ寮」
全員にそう返信したら、寮の昇降口前のロビーで5人が舎弟のように俺のお帰りを待っていた。
お前らかわいいな〜。わだかまり0でいつものように6人で過ごした。飯どきだけ、
人前でマスクをはずしたくない俺は1人にさせてもらい、皿をトレーに乗せて食堂から部屋に運んだ。
同部屋のフキン先輩は文化祭前から外泊許可をとって出ている。
寂しかったけれど、こんな顔を見られなくてすむから、いまはちょっと嬉しかった。
就寝前に蒼井が部屋に遊びに来た。
恋する男の目で俺を見つめるさまにナルな俺は心が満たされた。
互いのメアドを知らなかったので交換して、ちょっと喋って別れて、消灯後。
初メールがきた。文面を読んでどきっとして、どきどきしながら返信して、
わくわくしながら蒼井の返しを待って、携帯が鳴ったとたん飛びついてメールを開いてにやにやして、
そんな感じで3往復させて、「おやすみ」で締めた。
女子だったらキスマークの絵文字とかを添えていたかもしれない。
超くすぐったかった。テンション上がってて、いい夢が見れそうなのになかなか寝付けなかった。
天変地異が起こったのは翌日の朝のHRの事だった。こんな秋に転校生!!
うちのクラスに転校生がやってきた。
黒板にでかでかと名前が書かれ、はじまった自己紹介を聞いていたら、
俺の大好きな耳に心地よい声が「あっ!」と呟いた。
その声は教室中に響いていて、壇上の先生とその隣の転校生にも届いていた。
そうして、転校生は蒼井をまじまじと見つめて指を差し「あーっ!!」と叫んだあと、蒼井の下の名前を呼んだのだった。
「なんだ〜?お前ら知り合いか!?」
先生のご丁寧なセリフに俺は、斜め前の蒼井の背中を見た。
「蒼井くんとは幼馴染みなんです。僕が小6の夏に転校して以来だから、何年ぶりだろ?」
転校生が「凄い偶然!」と、若干声を上擦らせているのに、蒼井が首を縦に振っている。
なんか、おもしろくねえ。俺は転校生の品定めにとりかかった。
「宜しくお願いします」と、「にこっ」ではなく「にこーっ」と笑った顔がよかった。
長く長くつづく笑顔が好印象。靨(えくぼ)付きの明るい笑みは、つくりものには見えなかった。
着てるのは、たぶん前の学校の制服。白シャツにアイボリーのVネックベストを合わせてる。
下はダークグリーン系のチェックのパンツで、鞄は黒い革。ピアスもリングもつけていない。
うちは私服だから、テレビドラマの中から出てきた生徒役のひとみたいな感じが新鮮で、
クラス中の視線をさらっていた。顔は俺のが遙かに上だけれど雰囲気がかわいい……。
1週間後、俺は腐っていた。
転校生はあっという間にクラスに馴染み、特に蒼井と親しんでいる。
俺に告ったのを忘れたかのように「幼馴染み」と仲良くしている蒼井を見てるとむかついた。
蒼井たちのグループに入った転校生殿が、蒼井とよく一緒にいるのはあたりまえで、
もともと俺と蒼井はグループが違ったから、移動教室のときとかも一緒じゃないのは当然なのに、
蒼井と並んで歩きながら「にこーっ」と笑って何か話してる転校生に、
相づちを打ってる蒼井を見てると、ムショウに落ち着かなかった。
まだ友達なだけで恋人とかじゃないし、蒼井は俺に好きだって言ってくれたし、
教室じゃあんまり喋ってないけど、寮ではわりと会ってるしメールだってしてる。
なのに転校生に蒼井を持っていかれたみたいで、不安がどわーっと押し寄せてくる。
俺の妄想内では、もっと親しい友達になってから、好きだって言って、手を繋いで、キスをして……、
クラスの連中に「おまえら、いつから付き合ってたんだよっ!?」とか言われる予定だったんだけど、
ちらつく転校生の影が、俺をあせらせてる。
でも不安だとか、転校生とあんま仲良くしてほしくないとか、うざがられそうなこと、
蒼井には言えねえ。てゆーか俺は告られた立場なんだから、でんと構えてればいいのに、
いつもなら漲ってる自信が喪失してる。
たぶん鼻っ柱を折ってるのがでかい。不格好に曲がってるマスクの下の鼻のせいで、
美貌という根拠に基づいた堅実な自信がゆらいでた。
久しぶりに帰ってきた同室のフキン先輩は、俺の鼻を見てしみじみと
「文化祭たいへんだねえ。今年も劇出るんでしょ?」とか言ってたけど、文化祭はもう終わってます。
(でも、まじで文化祭が終わっていたのはよかった)。
フキン先輩は出席日数を数えて授業に出るタイプのひとだ。
マイペースで、いつだって学業よりも趣味の旅が優先っぽい。
なんていうか、齢18にして、とにかく旅なれててギターをかついで、ふらふらと何処かへ行ってしまう。
穿き込んだ雰囲気のジーンズに、着古したようなカーキのロンTを合わせてる事が多くて、
ダメージ加工が施してあるのか、ヴィンテージ感漂うカーキのそれは、
首まわりや袖や裾が磨り減って糸がほつれていて、生地のあちこちにネップが見れる。
「雰囲気のあるカーキ好き」な服のセンス×旅人ゆえ、フキン、フキンと呼ばれてる人だ。
ギターを抱えて、フローリングの床に座って居たフキン先輩は、
「うかない顔してるね」と指摘すると、「元気が出る歌」をプレゼントをしてくれた。
俺はフキン先輩の歌声×ギターが大好きだ。
マホガニー素材のナイロン弦のクラギから、ぬくもりのある暖かな音があふれ、
じわーっと目とか胸に染みてくる。膝を抱えて聴いてたら、ほこほこ勇気がわいてきた。
告おう。と思った。蒼井に付き合ってくれって、ちゃんと言って
あの転校生に蒼井には俺という想い人がいることを解らせなければ!!
意を決して蒼井の部屋に行ったら転校生が来てた。話があると言ったら、
「ごめん、後にしてくれねえ?」と言われた。
この俺がのちほどまた伺ったら、転校生はまだいて「消灯後、メールする」と言われた。
心がみしみし軋んで、ぼろい吊り橋みたいにゆれる。
メールじゃなくて面と向かって言いたかったのに、でも明日に持ち越すより
いま言いたくてメールを送ることにした。だけど、いざ言おうと思ったら照れとかもあって、
「好きだ」とバシッとは言えなかった。何度か書き直した末、「つきあおっか?」とメールを送った。
「ごめん。なんか悪いからもういいよ。ありがとな」
返ってきたメールに俺は絶句した。
心がしずんだ。こういうのも振られたって言う気がする。超する。
俺はばかみたいだと思った。「幼馴染み」の絆に負けた気がした。
転校生の悪口をねつ造して誰彼かまわず吹聴してまわりたい。
別に蒼井は、誰か他に好きな人ができたとかそう言うことは言ってなかったけど、
なんか臭った。わかった。確信できた。ため息が出る。
名曲の歌詞じゃないけれど「いらだちばかりが胸によみがえる」。
ずっと蒼井の声が好きだったこととか、現国の授業で教科書読むのを聴くのが好きだったことを
ちゃんと伝えればよかった。「つきあおっか?」じゃなくて、「好きだ」って言えばよかった。
告白されたあと、あの転校生が来る前にOKして付き合いはじめてたら、
また違った結果になってたのかもしれない。
今更だけどあふれる想いを投げかけてみたら届くだろうか??無理っぽい気がむんむんした。
眠れなくて、フキン先輩を起こさないように静かにドアを開けて廊下に出た。
カフェテリアの自販機で紙コップのコーヒーを買ってソファで飲んでいたら、
「スカーレット?」と、声を掛けられた。
振り向いたら知らない顔があった。
「不細工だったから、一瞬、誰かと思ったぜぇ?『鼻』どうしたんだよ??」
顔を覗き込まれ、マスクをしてなかったことに気がついた。
慌てて右手で隠したけど、なんかもう見られた後だしコーヒー飲みたいし、
馬鹿馬鹿しくなって手を離して両手で紙コップを持った。
紙コップのふちに口をつけてたら、「こんな夜中に何してんの?」と訊かれた。
「コーヒー飲んでる」
ぼそっと答えたら、見りゃわかると言われて、何年何組の誰かも知らねえやつが、
いきなり襲いかかってきたっ!
コーヒーが零れて、パジャマの裾のあたりに汚い色の染みが広がった。
服を汚されるとむかつく。洗いすぎると生地がいたむ。色も落ちるし。染み抜きはめんどうだ。
やさぐれていた気分に拍車がかかり、俺は汚されたパジャマの上を自分で脱ぎ捨てた。
「相手してやるよ」
俺には5人にリンカーンされたっていう地に足のついた、たくましい経験がある。
妄想なんかじゃない実績。パジャマの下を脱ごうとしたら、「醜いやつに誘われてもな〜」とほざかれた。
醜い!?……醜いなんて産まれてこの方、一度も言われたことねえよっ。
ていうか、鼻のケガ確認したあとに襲いかかってきたくせに、
いまさら「そそられねえ」みたいな発言しないでほしい。むかつくんだよ。
「いまさら、もういいとか言うんじゃねえよ、くそっ!」
空っぽの紙コップを投げつけてやったら、どっかの誰かは「抱いてやるよ」と嗤った。
言葉づかいがなってないっ!!「お相手してください」だろうが。
言いかけた言葉を俺は飲み込んだ。鼻を傷めてなかったら言えたかもしれない。
全裸になると、俺はソファから立ちあがり、ソファにあぶれた人用に設けられた
病院の待合室にあるみたいな、背もたれのない黒い合皮の長椅子に移動して、
その上で四つん這いになって尻を振ってやった。
自販機の明かりが俺の尻を照らしてる。
こんなとこ寮監先生に見つかったら謹慎、わるくしたら停学くらうかもしれない。
あぁ、でも不良(死語)のまねごとがしてみたい。そういう気分だ。
「バックなら、この『醜い顔』が見えねえから、そのふにゃちんも勃つだろ?」
椅子の座面の破れた合皮から顔を覗かせている、薄汚れた黄色いスポンジを見ながら、
そう皮肉ったら「お気遣いありがとな」と言われた。
「ありがとな」って言い方が蒼井にそっくりでむかついた。
腹立ち紛れに、椅子からスポンジを引きずり出そうとしたら、途中で千切れた。
くそ……っ。
俺が尻突きだしてスタンバイしてるのに、誰かさんはなかなか来ない。
間がもたなくて、「なあ?」と声を掛けたら、後ろの自販機の方から声がした。
「炭酸とお茶系どっちがいい?スポーツ飲料って選択肢もあるけどな」
「ハァ?」
「スカーレットのケツマンコ濡らすんだよ。生憎、俺、ローションとか持ってねえの」
べとつくのも変に刺激があるのも嫌だから炭酸は却下。
お茶ならジャスミンティーとかが香りつきでムードも出そうだけど、
寮の自販機には緑茶とウーロン茶と紅茶しか入ってない。俺は消去法でポカリを選んだ。
誰かさんがお金を入れて紙コップにポカリが注がれる音がした。
取り出し口から紙コップを出す音。こっちに歩いてくる音。足音がとまる。真後ろに気配を感じた。
「濡らすぜ」
俺は椅子のはらわた(スポンジ)を見ながら頷いた。
さっき、口にふちをつけてコーヒーを飲んでたみたいに、ケツの穴に紙コップを当てられた。
湯気を感じて「えっ?」と思った次の瞬間、あまりの熱さに俺は声をあげそうになり、
慌てて口を押さえた。熱い、熱い、熱いっ!火傷したっ!!絶対した!!!
大塚●薬はホットポカリなんて自販機に入れてねえよ??
痛ぇ。超痛え。つーか何だよ。これ何?わかんねえのが余計キモさを掻き立てる。
「何だと思う?」
「知るかよっ!!」
押し殺した吐息だけの声で怒鳴った。ケツがカチカチ山だ。クソ痛え……。
「答えは、ホット●ルピス。温めたほうが穴ひらくだろ?」
だったら俺の好みとか聞かずに黙って買えばいいのに。でもって、ふぅーふぅーしてくれとは言わないから、
せめて数分間放置して、ちょびっとぬるくしてから使うとかして欲しかった。
こいつ思っていた以上に最低かも。
最低かもじゃなかった。最低だった。
ホット●ルピスでおざなりに濡らした俺のケツマンコに、誰かさんは吶喊(とっかん)した。
しかも、後ろから激しく突き上げて、とっととちんぽを全部ねじ込んでくれればいいのに、
俺のケツマンコが悲鳴をあげる、いちばんぶっといところでストップモーションをかけやがったのだ。
雁高っていうんだろうか。誰かさんはグランスが超でっかかった。
その張り出したとこでわざとウロウロされ、俺は必死に口を押さえて悲鳴を飲み込んだ。
おしゃれ部のやつらにまわされたときも、雁首のところを飲み込むのはきつかった。
でも、あいつらは俺の腰をしっかり押さえて固定して、ぐさっと入ってきてくれた。
突き挿される瞬間のあの痛さはちょっと思い出したくないけど、
なんていうか、グランスの太いとこさえクリアできればラクになった。
そこさえ飲み込んでしまえば、ちんぽなんか怖くない。なのに、なのに、っ、くそ…ッ。
誰かさんは、一番やっかいなそこで、腰の動きを止めやがった。
「きついな〜」
のんびりとした声にはらわたが煮えくりかえった。穴の淵がビキビキする。
押し開かれたまま、いちばん痛いところで止められ、襞はいまにも裂けそうなほど引き攣っていた。
あとひと突き。おもいっきり穿ってさえくれれば、ずるっと入っていくはずなのに、
グランスはそこに留まり続けた。俺、沖縄の米軍基地問題とか詳しくないけど
イメージ的に、居座り続ける米軍基地の存在ってこんな感じなのかもしれない。
痛ェ。いっそ破れてくれれば間口が広がってらくになるのに、穴は裂けそうで裂けない。
ちりちりと痛みだけが走る。イッパイイッパイで苦し過ぎた。
形振り構わずぐっと腰を突きだしたら、最低男は嗤いながら腰を引き、俺をかわした。
「淫乱だな〜」
戯れ言をスルーして、大をするときの感覚で尻の穴をぐわっと開こうとしてみたけど、
もう限界まで開ききってる穴には、どうやっても新しい隙間をつくれない。
俺、なにやってんだろ……。
安っぽい合皮の長椅子に爪を立て、痛みをやり過ごしながら、
黒い合皮の破れからはみ出てるスポンジを見下ろしていたら、惨めさに眼の奥が熱くなってきた。
尻の穴は開けなかったけど、涙腺は超簡単に開きそうだ。
涙が目の奥から出たがってる。でもダメだ。流すわけにはいかない。
そんなことをしたら、きっと、この何年何組の誰だかもわからねえ男を悦ばせてしまう。
第一めそめそ泣きじゃくるのはキャラじゃねえ。
大きく息を吸って吐いて、俺はクソ亀の太い首(グランス)を飲み込むことだけを考えた。
もう一度ふんばって、ふんばって、ケツの穴をひろげる。
入り口でつかえてるちんぽの雁首は硬くてでかいけど、ここを飲み込めたら気持ちくなる。
きっと、俺にだっていいことが待ってるはずだ。
銜えこんでしまえばこっちのもんじゃねえ?
例え擦りあげたり、抜き差ししてもらえなくても、自分で腰をふればいい具合になるはずだ。
太いとこで焦らしてたつもりみてえだけど、超ほっそりしてたから飲み込めましたと嗤ってやりたい。
うぅっ、と力んだ瞬間ケツが破れた。リンカーンで裂肛したのが、くせになっていたのかもしれない。
ぶわっと血が溢れてケツマンコが濡れてくる。痛いけど痛くねえ。神の恵みだと思った。
濡れろ濡れろ。もっと濡れろ、赤くなれ。
ケチャップをぶちまけられたみたいに、もっとぬるぬるになればいい。
ゆるんだ襞をろくでなしの硬いグランスがくぐった瞬間、
俺は口を押さえ寮監先生に聞こえないように勝ち鬨を上げた。
あぁ、ケツの向こうの男に見せてやりたい。
きっと、いま俺、あの転校生に負けないくらい、いい笑顔してるから!!
おしまい
お疲れ様
すごく珍しい感じのキャラと話だった
なんかものすごいなスカーレット。今までに無い受けだ
狂ってる
キャラは好きなんだけど、話の内容がいまいち分からんかった
電波で超展開が不思議とじわじわ来た。
スカはアホ可愛くて好き。
続き投下してくれてありがとう。乙でした。
440 :
養育係1:2006/10/22(日) 02:48:24 ID:J07y3xBN0
私がなぜこのような人間になったか、とお尋ねになりますか。
随分と昔の話になります。
私が父の別邸で養育係と暮らしていた時のことです。
養育係は太っている上にゆで卵のようにはげていて、
腕や背中のあちこちに茶色のあざのある男でした。
目は糸のように細くて、その細い目の奥で常にぎろぎろとこちらを観察しています。
子供心にも全く親しみをもてませんでした。
下働きが、こっそりと養育係は偉い人で大変教養もあり
言うことを聞いておけば間違いない、と教えてくれたので
尊敬するように努めてはいましたが。
確かに養育係は教養はあったに違いないのです。
学問を教え込んでくれたのは養育係でした。
養育係は数学・外国語・古典、あらゆる学問を心得ていました。
それでもどうしても好きになれませんでした。
441 :
養育係2:2006/10/22(日) 02:49:51 ID:J07y3xBN0
不幸なことに話相手は養育係しかいませんでした。
別邸は周りを山で囲まれていました。
人家は一切見えず、完全に孤立していました。
時折、御用聞きがやってくる他に訪れる者はいませんでした。
そして、私は一人でそこを抜け出すには幼く、
また連れ出してくれる人もいなかったのです。
別邸には何人かの者が雇われていましたが、
養育係の命令がいきわたっていたので、
最低限の口しかきいてくれませんでした。
養育係は今となっては古めかしい考えの持ち主で
下々のものとは、用を言いつけるとき以外は口を利いてはいけないと考えていたからです。
下々のものと馴れ合うと、下々のものが自分たちは一角の人間だと勘違いして
態度が大きくなる、その結果世の秩序が乱れ、大変なことになる、
と私はいつも言い聞かされていました。
養育係の言わんとするところがわかるほど大人ではありませんでした。
それでも、下働きに声をかけようとは決して思いませんでした。
と言うのも、一度、新入りの女中とふざけあっていたところを見つかったときに、
女中は直ちに暇をだされ、私は養育係に折檻されました。
私は養育係の命じるままに、半ズボンと下着を脱いで
寝台の上で四つんばいになり尻を突き出して
「悪いことをした僕を罰してください」
とお願いしなければなりませんでした。
むき出しの尻を鞭で容赦なく打たれ、私は泣き叫びました。
養育係は悪いことをするといつもこうやって罰したのでした。
屈辱と痛みのおかげで、同じ過ちを繰り返すことはありませんでした。
442 :
養育係3:2006/10/22(日) 02:51:08 ID:J07y3xBN0
そのころ、私は悩み、おびえていました。
朝になると下着が濡れているのです。
今ではあれが夢精というものだとわかっていますが、
その当時は何も知りませんでした。
養育係はそういった性的なことはなぜか教えてくれませんでした。
ですから、いい年をしておねしょをしたことが露見して
尻を叩かれるのではないか、と気を揉んでいたのです。
それに、少し前に股間に黒い毛が生え始めたことが発覚した時
養育係に厳しく叱られました。
「坊ちゃま、そこに毛を生やすのは、いやらしい気持ちが募ってきている証拠です。
坊ちゃんはまだ幼い。
それなのに毛を生やすのは心がいやらしいからです。
このままでは人間として最下等の部類の者になってしまいますよ
最下等の人間の行く先は地獄です。
血の池につけられたり、針の生えた山を歩かされてずっと苦しむことになるのですよ」
養育係はいつも言葉使いだけは丁寧でした。
細い目でじぃっとにらみつけられ、地獄の様子を延々と語られて恐ろしくなった私は
半べそをかきながらこれからは毛が生えたらきちんと剃って、
いやらしい人間にならないようにすることを誓わされました。
もちろん、誓っただけでは養育係は納得しませんでした。
毎週日曜日の夜には寝室で下半身をむき出しにして
「点検」を受けなければなりませんでした。
もっとも「点検」の際、養育係は毎回のように未成熟な性器をつまんで
色も形もよい、心根が素直な証拠だとほめてくれましたので、
少しだけ安堵することができました。
もし、おねしょが発覚したら
また厳しく叱られてしまうでしょう。
443 :
養育係4:2006/10/22(日) 02:52:02 ID:J07y3xBN0
でも、結局おねしょは養育係にばれてしまいました。
夕食の席で養育係は女中から下着を濡らしたと聞いた、
見せられた下着は確かに濡れていた、
なぜ言わなかったのだ、と厳しく問い詰めてきました。
私は恐ろしさのあまり、持っていたフォークとナイフを取り落としてしまいました。
「坊ちゃま、私は常々、真実を語らなくてはいけないとお教えしてきました。
なぜごまかすのです。最低の人間ですよ。
それに、食事中に食器を取り落とすとは何事ですか
私は何事にも動じない人間になるように、とお教えしていませんでしたか」
私はひたすらごめんなさいと謝り続けました。
もちろん、謝って許してもらえるはずもなく、夕食後私は食堂で
テーブルに腕をついて尻をむき出しにし、
「いけない僕を罰してください」
とお願いしなければなりませんでした。
けれども、案に相違して養育係は鞭で叩いてきませんでした。
「私は坊ちゃまの悪心がなくなるように折檻してきました。
残念ながら全く効果がなかったようですね。
尻を叩くのはやめにしましょう」
養育係の湿った手が尻を撫で回しました。
気持ち悪さに私は思わず身をくねらせました。
執拗に尻を撫でた後、養育係はぬめぬめしたものを肛門に塗りつけてきました。
さらに、性器の先端にもたっぷりと塗りつけられました。
私はわけがわからず、ひたすらおびえていました。
444 :
養育係5:2006/10/22(日) 02:53:06 ID:J07y3xBN0
塗られたものには何かが入っていました。
すぐにじんじんと痒いような、痛いような感覚が沸き起こってきました。
やがて、ゆっくりと細長いものが肛門にもぐりこんできました。
太さや、柔らかさ、暖かさから養育係の指であったと思います。
指は中を探るように動き、私は異物感に歯を食いしばって耐えました。
ある一点を指がとらえたとき、電流のような激しい快感が体を貫きました。
「あっ、だめ、そこいやぁ」
必死で腰を振って逃れようとしましたが、許されませんでした。
それどころか、養育係は性器もしごきはじめましたから
テーブルにすがらなければ立つこともままなりませんでした。
私は尻を叩かれたときと同じように、いやそれ以上に激しく声を上げて泣きました。
でもそれは快楽ではなく罰でした。
養育係は、ひとしきり私を悶えさせると
熱の放出を待ちわびる性器の根元を紐で縛りつけ
尻には指ではないなにか別の細くて長いものを差し込みました。
「このまま、夜を過ごしなさい。
悪い子にはふさわしい罰です」
その夜は一睡もできませんでした。
それからと言うもの、養育係の折檻はこの方法にすっかり変わりました。
もう尻を叩かれることはありませんでした。
さらに、折檻の頻度は以前よりはるかに増しました。
養育係は私が計算を間違っても、
外国語の文法を間違っても折檻されるようになりました。
尻に差し込まれるものは次第に太くなっていきました。
細いものを入れていても一向に私の態度が改まらない、
だからより太いものでしっかりしつけなおさなければいけない、と養育係は説明していました。
続く
うはぁ〜開発!ぼっちゃん、語ってる時点ではもうなんらかのカタチ完成してるわけだね。
ゾクゾクする〜!続き待ってる!
これから投下する人は渇望たんみたいにいつ終わるのか書いてほしいな
なんで?そんな制約いらんでしょう?
養育係タン乙!
よい口直しができたよ。
一体どんな人間になるというんだ。
wktk (*゚∀゚)=3ハァハァ
>>446 投下の形は人それぞれ。
変な要望は出さないように。
450 :
sage:2006/10/22(日) 09:57:18 ID:joDp3ZVa0
スカタソ、乙。
アホナルっぷりのオハラくん、ツボでした。
スカタン、乙!
連想とか描写とか小道具とかが一々カッ飛んでて笑えたよ。
なんとも惨めな展開になってしまって主人公が哀れだが、
きっかけさえあれば割と簡単に浮上しそうなタイプだな。
幸せになれww
養育係タンも乙!
隔離された世界でド変態の虐待の餌食になる無垢な坊ちゃまktkr
重厚な感じの陰湿さが世界を作ってるね。
先がこわいが期待してるよ。
>>353 乙!小原の壊れっぷりが好きだ。特に
>いっぺんに5人を相手にしたことはなかったけれど、それなりに経験もある。
>妄想の中だけど。
>(中略)
>いいぜ?と思った。
この思考回路が最高。
>>440 続きが気になる…!
>>446 それじゃ最後まで書いてからじゃないと投下が始められない。
自分は読み手だけど、そんな制約ないほうがいい。自由に書いて自由に投下してほしい。
>446
あなたがいつ終わるのか書いてあるものだけ読めばいいのでは?
そうはいかんざき
スカレタン乙!
小原アホエロかあいくて禿げしくツボだ〜
養育タンも乙!続きwktk
スカーレットタン乙!今までに見た事のない受けだww
されてる事は悲惨なのに、ポジティブシンキングすぎるww小原タン可愛い。
ところで、小原タンの下の名前出たっけ?変わってる名前らしいから、少し気になる。
GJでした。また何か投下して欲しいです。
養育係タン、この後の展開にwktk。
養育係の風体が怖すぎるww
今バンキシャ!で集団痴漢の事やってるんだけど、
特急発車タソ思い出しちゃった。
実際自分の身において考えたり、女子狙いの痴漢とか思うと
ものすごく頭くるし犯罪イクナイ!って思うけど、
なんでだろう、801のスパイスを加えるとこんなにも甘美なものに…
今更だけど、特急発車タソ乙!大好きです。
>>360の続き。ちょっと今回多めの投下です。
-------------------------
唐突に部屋の明りがついた。
「…………い。おい。忠道」
聞き慣れた声が名を呼ぶ。したたかに頬を叩かれ、顔をしかめた。
ぐっすりと眠り込んでいた意識は容易には目覚めず、眠りと覚醒の狭間を漂う。
酒臭い匂いが鼻の辺りに漂った。かなりの臭気だ。
「おい、忠道。起きろよ」
ベッドのスプリングが傾ぐ。顔の間近に湿っぽい息を感じた。
「……忠道」
「うん……」
目を閉じたまま無意識に腕を伸ばし、探り当てた顔をそっと撫でる。
合鍵で入ってきたのだろう。明日の朝早くに講義があるから、来るなら早い時間に
お願いしたいと伝えたのだけれど。しぶしぶながら真嶋もそれに同意したはずだ。
でも、久しぶりに聞く真嶋の優しげな声が心地よかった。
寝ぼけたまま半身を起こし、探り当てた顔に口付ける。
あたたかな手が髪をなで、半身を覆う布団が静かに剥ぎ取られた。
上半身のパジャマをそっとたくしあげられ、露わになった肌にひやりと冷たい空気が触れる。
こんなふうにして触れ合うのは本当に久しぶりだ。
ここ最近、真嶋はずっと自分と触れ合ってくれなかった。会ってくれる事だってめったにないのだ。
今が何時かはわからないけれど、明日の講義へは徹夜で行けばいい。
触れ合う真嶋の肌が嬉しくて、酒臭い真嶋の唇に舌を絡めた。
胸元まで露わになった素肌を優しげな手つきでなでられ、下肢がかすかな反応をみせる。
真嶋が鼻先で静かに笑った。浦江も笑みを返す。
目を閉じたまま手を探らせ、手に触れた真嶋のセーターをそっと上へたくしあげていく。
露わになった真嶋のなめらかな肌をなでた刹那、首元に唇を押し当てられた。
きゅっと吸引された後、ゆっくりと唇が離れ、次いで鎖骨辺りに押し付けられる。
思わず肩をすくめて笑みを零したところで、違和感に気づいた。
真嶋の唇は今、浦江と口付けを交わしている。
寝ぼけていた意識が一気に覚醒した。
見知らぬ顔がそこかしこにあった。
「おはよう、忠道」
真嶋の皮肉るような目覚めの挨拶が鼻先へ吹きかけられる。ひどく酒臭い。
赤く色づいた目尻を見るにつけ、かなり酔っている様子だ。
まごついて真嶋を見上げる浦江をよそに、真嶋は忍び笑いをひとつ漏らしたきり、
千鳥足でベッドから離れていった。
浦江の首もとに顔をうずめていた男がいかにも親しげにベッドに腰掛ける。
浦江と同じくらいか、あるいはもう少し年上だろうか。
浦江の周囲に3人。少し離れたところに、真嶋を入れた3人。
いずれにしろ真嶋好みの外貌を備えた青年達だった。細身、色白、端正。
訝しげな気色を隠そうともせず周囲を見回す浦江に、ベッドに腰掛けた男が愛想のいい笑みを投げかけた。
「おい、俊輔。こんなに可愛い彼氏って聞いてないぞ。"うざいうざい"って言うもんだから
物凄いの想像してたのにさ」
浦江から目をそらさないままそう言うと、冷蔵庫を開けて中身を物色していた真嶋が
いかにも不愉快そうに手を振った。
見つけ出した缶ビールのプルタブをむしりざまどさりと床に腰をおろし、一気に中身をあおる。
「いや、顔や身体はそうだけどさ。なんせ性格が」
真嶋のそばにいた男がふたり、当然といった様子で冷蔵庫から缶ビールを取り出す。
わけもわからず目を瞬く浦江に、真嶋はにやついた笑みをよこした。
「こいつら、お前のこと見てみたいってしつこくてさ。いいだろ、同伴」
「え、……ま、真嶋さん」
品定め特有の視線が浦江に絡みついた。
"そういう店"に居るのならいざ知らず、自宅でそういった視線を浴びる事が不自然に感じられてならない。
とりあえず真嶋のそばに行こうと身動きしかけた浦江を、そばにいた男がつかまえた。
「仲良くしてね、忠道くん?忠道くんだよね?」
浦江ではなく真嶋に尋ねながら、若い男が真嶋を振り向く。興味なさげに真嶋が頷いた。
「そう、忠道くん。仲良くやりましょう。俺は克でいいから」
いやになれなれしい態度で身を寄せてくる男に戸惑い、真嶋を振り向く。
真嶋はちらとこちらを一瞥したきり、浦江からそっぽを向いた。
ふいに上半身のパジャマへ手を差し入れられ、冷たい感触にぎょっとした。
とっさに男の手首をつかんで拒絶した浦江に、その男ではなく真嶋から叱責の声が飛ぶ。
「大人しくしろ、忠道」
声音の刺々しさと反して、真嶋の表情はにやけていた。
いかにも楽しげに浦江を一瞥し、缶ビールをあおる。空になった缶はそのままに、
新たなビールを取り出そうと冷蔵庫を開けた。
「せっかく遊んでやってるのに。醒めるような事すんなよ」
浦江の眼前まで迫った男の顔が皮肉るように歪められ、器用な仕草で片眉が上げられた。
男の手が浦江の頭をしっかりと固定し、首もとの辺りに男の顔がうずまる。全身に鳥肌が立った。
長い時間をかけて深呼吸した後、濃いアルコール臭を顔面に吹きかけられた。
「すげぇいい匂い。可愛いじゃん、この人。俊輔の嘘つき」
「いや、だから一編付き合ってみろって。いいのは最初だけだよ」
「性格に難ありってんでしょ。重いっての?」
「重いんだよ」
阿吽の呼吸でやり取りを交わす双方の声を聞きながら、浦江は胃が縮み上がるような思いを味わった。
男の手が再び裾から潜り込む。素肌を撫で回す手は冷たい。
それまでは成り行きを見守っていた周囲の若い男ふたりも、克という男の行動を合図に愛撫めいた行為を開始する。
誰かの手が髪をなで、かさついた唇が鎖骨を吸う。克が器用な手つきで
パジャマのボタンを外している間、別の男は露わになった腹や胸をなで、
浦江の反応を面白半分に楽しんでいるようだった。
……こういう事は、好きじゃない。
僕は、真嶋さんと違って、遊び半分の行為を楽しめる人間じゃない。
率直な気持ちを口に出してもいいものか考えあぐね、結局は喉もとまで出掛かった言葉を飲み込む。
真嶋の事が気がかりで、どうしても口にできなかった。
―――嫌だ。……こういうのは嫌いだ。僕には無理だ。
克という男の唇が乳首を吸い上げた拍子に、浦江は低い呻き声を上げた。
「……がちがちだなあ。本当に経験ないんだね」
「俺が初めてらしいからね。ちなみに、"複数プレイ"は未経験」
「へえ、そう。それじゃ緊張も無理ないね」
誰かの手がなだめるように髪を梳き、剥き出しの胸元をなでた。吐き気がする。
ふいに誰かの手が下半身のパジャマにかかり、浦江はあわてて跳ね起きた。
「やめ―――」
「大人しくしろって言ったろ、忠道。醒めるような真似すんなって、言ってんだよ」
飲みかけのビールを音高くテーブルに叩きつけ、足音も荒く浦江のベッドに近づく。
とっさに目を閉じて腕を頭上にかかげた浦江に構わず、真嶋は浦江の腕をぐいとつかんだ。
「あのな、忠道。たいがいにしろよ。お前さ、退屈なんだよ。つまんないの。
俺が好きならさ、うだうだ抜かさんで大人しくしててくれよ。俺の関心引きたいんだろ?
わざわざ、お前と遊んでやりに、俺らはこっち来てやったんだよ。俺に恥かかさないでくれ」
つかまれた腕に力がこもり、骨が軋んだ。
苛立ちも露わに声を荒げるたび、真嶋の酒臭い呼気が鼻先に浴びせかけられる。
おどおどと真嶋を見上げると、眼前で真嶋が品のないゲップをした。
「……俊輔、そんな、怒んないであげてよ。そんな、無理にとは言わないしさ」
とりなすように苦笑してみせながら、かたわらの男が真嶋の肩を叩く。
それに苛立つような目を向けて、真嶋が眉を顰めた。
「……ほら、な、醒めただろ。お前がつまんねぇからだよ。つまんねぇ真似しくさるから。
……ほとほと、うんざりだよ。もううんざり。俺、限界なんだよ」
「いや、俊輔、そんなにマジになるなよ。気の毒じゃん。悪かったよ、邪魔して」
「違うだろ、俺が言ったんだろ?忠道の家来いって。俺が誘ったんだろうが。
……こうでもしないと、こいつ、ほんとにつまんねぇから。退屈なんだよ、俺」
苛立った目で間近から睨まれ、浦江は目もそらせずに真嶋の瞳を見つめた。
綺麗で真っ直ぐな目。この瞳に見つめられるたび、心が疼いた。
「いやいや……俊輔、ちょっと……落ち着けよ、な?悪かったよ。そんな、マジにならないでくれって。
ちょっとした悪ふざけじゃんかよ。忠道くんがほんとに嫌なら、俺ら、帰るから」
傍目にもわかるほど困惑して、かたわらの男が引き攣った苦笑を浮かべる。
少し離れた場所にいるふたりは退屈そうな顔をしてビールをあおっていた。
つかまれた腕に再び力がこもり、思わず痛みにうめくと、真嶋が酔いに色づいた目を細めた。
冷や汗がじっとりと全身に浮かび上がる。生え際の辺りがちりちりむず痒い。
鼓動が胸の皮膚を突き破りそうなほど高鳴っている。鼻の奥に疼痛が走る。
次第にぼやけていく視界をどうする事もできず、浦江は唇を噛んだ。
「……嫌だ、ってのかよ、忠道」
真嶋の地を這うような低音に囁かれ、四肢が震える。
周囲の青年達は気まずそうな面持ちでお互いの顔を見やっていた。
「嫌か?忠道。すごく楽しいのに。そういうの、忠道は嫌か?」
つかまれた腕が震え、それに苛立った様子で真嶋が眉を顰めた。骨が軋む。
何も言えずに首を振ると、真嶋がにやっと微笑んだ。
「そうだよな。そういうの、してみたいって言ったのはお前だろ、忠道。な?」
真嶋の声音が変わった。いやに上機嫌な、高揚した声音だ。猫なで声、とも言える。
気遣わしげな表情で浦江と真嶋を交互に見比べ、克という男が真嶋の肩を叩く。
「無理には……」
「やりたいんだろ?忠道。なあ。してみたいって言ってたもんな。
だからわざわざ皆で来てやったのにさ…………なあ」
「……はい」
搾り出すような声が漏れた。ほとんど意識せずに吐露されたためか、浦江自身自分の返答に気がつかなかった。
「そうだよなあ、忠道。やりたいってお前が言ったんだもんな」
「はい。……い、言いました」
「聞いたろ?こいつがやりたいって言ったんだよ。たぶん、初めてだから怖気づいたんだろ。
な、そうだろ忠道。そうだよな」
きつくつかんでいた腕を離し、真嶋が陰険な笑みを浮かべる。
途中まで外されていたボタンをすべて外し、浦江の白い肌を露わにした。
「俺が最初に抱いてやったら、たぶん慣れるよ。気分も出るだろ」
下半身のパジャマを下着ごとずり下ろそうとする真嶋の手をとっさにつかむと、
真嶋の冷ややかな目がこちらを一瞥した。
手を離すと、鮮やかな手際で下穿きを剥ぎ取られた。
「そうかもね。まずは慣れた相手とすれば、少しは緊張もほぐれるかも。
初めは、あんまり手出さない方がいい?俺らは見てるだけの方が?」
「そうだな。まあ、別にどっちでもいいけど」
興味なさげに曖昧に首をかしげてみせた真嶋に、彼らは納得したような頷きを返した。
ふたりは休憩するべく奥へ引っ込み、冷蔵庫からビールを取り出した。
ひとりはそばに佇み、事の成り行きを見守る事にしたようだ。
楽しい、と思わなければ。心底、楽しそうに振舞うんだ。嬉しがらなければ。
震える手で真嶋のセーターをまくりあげると、強かに手を叩き落とされた。
おびえて眼前の真嶋を見上げると、浦江ではなく、向こうにいる彼らに対して声をかける。
「こいつさあ、Mだから。ちょっと乱暴にするぐらいが一番いいんだ。そのように扱ってあげて」
そこかしこで愛想のいい返事が返った。
だめだ、嫌がる素振りを見せるな。嬉しがらないと。喜ばないと―――
「伏せろ」
素っ気ない声に命じられ、おずおずとうつ伏せの姿勢をとると、尻を叩かれた。
腰を上げろ、という合図だろうか。
おそるおそる後ろを振り向くと、真嶋が苛立たしげに声を荒げた。
「もたもたすんなよ、ケツ上げろって言ってんの」
返事を返す代わりに腰を上げると、真嶋の手が太腿をつねった。脚を限界まで広げる。
胃がむかむかする。胸焼けにも似た嘔吐感はむずむずと胸元にくすぶり、
真嶋の手が肌に触れるたび胃が縮み上がる。
真嶋の舌打ちが聞こえて、首をひねると、ファスナーから出した性器をおざなりに扱いていた。
浦江の視線に気づき、真嶋が皮肉るような笑みを浮かべる。何も言われずとも、
真嶋が言わんとしている事は汲み取れた。
泣きたくなって、枕に顔をうずめる。高く上げた剥き出しの尻が薄ら寒かった。
自分は最早、真嶋の性的興奮を煽るに値しない存在らしい。
吐きそうだ。
何の前触れもなくねじ込まれた怒張に、堪え切れなかった悲鳴がほとばしった。
枕に顔をうずめていてよかった。口を離していたらどんなにうるさかったか。
真嶋が腰を動かすたび、くぐもった悲鳴がひっきりなしに漏れた。
何の下準備もしていない乾いた粘膜に怒張を受け入れる事が、こんなに苦痛をもたらすものだったとは。
奥に進むたびぎしぎしと音がしそうなほど軋む肉壁に、真嶋も少なからず手こずっているようだった。
何度か尻を叩かれ、真嶋が苛立たしげに舌打ちした。まだ肉棒の半分も埋まっていない。
「……お前、きついんだよ!少しは力抜けよ。初めてでもないくせに」
「……っあ、……す、すみません……うぅっ、ああっ!」
真嶋の性器をぎちぎちに食い締めて侵入を阻んでいる粘膜を強引に突き上げ、奥へと進む。
鋭い摩擦で傷ついた粘膜がひりひりと痛み、拡張される苦しみに喘いだ。
爪が真っ白になるまでシーツを握り締め、苦痛に耐える。
楽しい顔をしなければ。嬉しがらなければ―――
枕に顔をうずめたままくぐもった悲鳴を上げる浦江を、そばにいた男が困惑顔で見つめた。
「ねえ、俊輔……」
「こいつは、こういうのが、好きなんだよ。Mだから。痛いのが」
言い終えると同時に、真嶋の腰が乱暴な調子で叩きつけられた。
頑強な抵抗を続けていた粘膜が強烈な摩擦と共に掻き分けられ、真嶋の全てを受け入れた。
背骨が軋み、受け入れた場所から痺れるような鋭痛がひっきりなしに走り抜ける。
かつて真嶋と交わしたセックスでは有り得なかった感覚に、浦江は喘ぎ喘ぎ涙を零した。
とはいえ、その涙も枕の生地に吸収された。息は苦しくても、このほうが安全だ。うるさい悲鳴を出さずにすむ。
挿入を終えると、真嶋は性急な動きで出し入れを始めた。
強引な摩擦に傷ついていた粘膜が性器に張り付き、乱暴な出し入れと共に引っ張られ、次いで押し込まれた。
「気持ちいいだろ、忠道。久しぶりだもんな?」
皮肉るような調子が真嶋の声音に含まれていた。確かに、行為自体は久しぶりだけれど。
こんな行為は初めてだ。
何も考えずに何度も首を縦に振ると、後ろで真嶋が鼻を鳴らした。
先ほどから部屋に鎮座している彼らはすっかりくつろいだ様子で談笑し、ビールをあおっている。
単なる世間話の囁き声に混じり、肉同士がぶつかりあう淡白な音が重なっている事が、
どうにも不自然に思えてならなかった。
「気持ちいいって言ってみな、忠道。気持ちいいって」
性器が粘膜を傷つける苦痛に悲鳴がほとばしりかけ、寸前で押し殺した。
何度も唾を飲み、悲鳴が飛び出さないか確認したうえで、震える声を絞り出す。
「……き、気持ちいい、……気持ちいい」
ほとんど消え入るような声だったが、真嶋はそれで満足したようだった。
すぐさま顔を枕にうずめ、うめき声を枕に吸収させる。
何度か前立腺の辺りを乱暴に突き上げられ、瞬間的な快感は感じるものの、他の大部分は苦痛のみだった。
「俊輔、舐めさせてもいい?」
ふいに頭上から聞こえた声に顔を上げると、先ほどまで興味なさげにビールを飲んでいた男が
すぐそばまで近づいてきていた。いかにも真嶋の好みの風体をした、細身の優男だ。
後ろを振り向く間もなく口元に性器を押し付けられ、ぎょっとして男の顔を見上げる。
片手で性器を支え、片手に缶ビールを持って、男は首をかしげた。
「舐めな?Mなんだろ。こういうの燃えない?」
缶ビールの残りをぐいと飲み干し、それをそばの棚に置くと、空いた手で浦江の後頭部をつかむ。
薄く開いた唇に昂った性器を押し込まれると同時に、真嶋が中で果てた。
どろりと腸の中にまとわりつく粘液の感触に総毛立ち、うめき声を漏らす。
やれやれといった風情でベッドから離れていく真嶋を見送ると、喉奥を強かに突き上げられた。
「へたくそ。ちゃんと舐めろよ」
「うわ、祐ちゃん怖ぇ。真に迫ってるね」
冷蔵庫から新たなビールを取り出しながら、真嶋がおかしげな笑い声を立てる。
口の中いっぱいに膨らんだものに舌を絡めると、背後のベッドスプリングが傾いだ。
誰のものともわからない手が尻に触れ、双丘をゆっくりと広げる。
気をとられて振り向こうものなら、また目の前の男に見咎められるだろう。あるいは真嶋か。
「なあ、俊輔?いいの?血、出てるみたいだけど。それに中出し?」
背後の男が戸惑ったような声を出した。確か克という男の声だ。
「いんだよ。そういうのが燃えるやつなんだから。たまにはいいだろ、そういうのも」
真嶋の返答に納得したのか、男の熱っぽい手が浦江の腰を支える。
擦り切れた箇所に再び硬いものが押し込まれ、浦江の目尻に涙が滲んだ。
「うっ、中、ネトネトしてて何かきもい。うえっ」
「輪姦って感じするだろ。ローションがわりだよ」
「狭いし……大丈夫、忠道くん?痛いだろ。あ、そういうのがいいんだっけ」
狭い肉壁を掻き分けて強引に腰を進めながら、克という男が気遣わしげな声をかけた。
何も考えないまま首を縦に振ると、目の前の男がおかしげに笑った。
一際乱暴に喉奥に性器を押し込まれ、せり上がる嘔吐感に耐えてえずく。
やがて咥内へ注ぎ込まれた飛沫を咳き込みながら飲み込むと、目の前の男が離れていった。
息をつく間もなく別の男の性器が差し出される。催促するように髪をつかまれ、素直に口に含んだ。
胃がむかむかする。胃が縮み上がり、何度も鈍痛が下腹部を襲った。
ふと目をやった先で、真嶋は別の男と口付けを交わし、肢体を絡ませ合っていた。
ふと、狂気的な笑いが喉もとまでせり上がった。
擦り切れてずきずき痛む尻に硬い性器を乱暴に突き入れられ、初対面の男の性器を
口に銜えながら、浦江はにたついた笑みを浮かべようとした。
何をしているんだろう、僕は。
こんな事に耐えて彼らの機嫌を取ったところで、真嶋さんの気持ちは戻ってこない。
わかりきっている事じゃないか。とうに離れているんだ。
やみくもに求めて追いかけたところで、結局は―――
"重い"、と罵る声が脳裏に響いた。退屈で、面白みのない男だと。
おそらく真嶋さんは、僕のような男より、彼らのような遊び心のわかる男が好きなのだ。
気軽に遊べて、気軽に身体を重ねられるような、明るい性格をした男が―――
僕も彼らのように振舞えば、以前のように接してくれるだろうか。
愛してくれるだろうか?真嶋さんの望む男になれば?
真嶋さん、どうすれば、僕を見てくれる?
「……気持ち、いぃ……気持ちいい」
うわ言のように囁きながら腰を振ると、目の前の男がおかしげに笑みを漏らした。
「何だ、気分出てきたのかな」
「こっちの方もだいぶ慣れてきたよ。緊張がほぐれたのかも」
見当違いの言葉を嬉しげに吐く彼らには構わず、真嶋に目をやった。
こちらには目もくれず見知らぬ男のうなじに口付けている彼を、涙に滲んだ双眸で見つめる。
髪をつかまれ、強引に顔を上向かせられた。
「気持ちいいなら、気合入れて舐めろ。ちゃんと真面目に」
言われるまま口中のものに舌を絡め、頬をすぼめて吸い上げる。
どう振舞えばいい?どうすれば?何をしたら喜んでくれる?
淫売のように尻をくねらせ、口の中のものをいかにも美味そうにしゃぶりあげると、
周囲の若い男たちが楽しげに笑った。自身が置かれている状況とは裏腹に、いやに和やかな雰囲気だ。
気持ちいいはずがなかった。口の中のものも、美味いはずがなかった。
内臓を掻き回されるような激痛は絶えず浦江を苦しませたし、見知らぬ男の性器は
生臭く、絶えず浦江の胃を嘔吐感で痺れさせた。
やがて口中に吐き出されたえぐみのある液体を飲み下し、後ろに放たれた液体にうめきながら、また別の男を相手する。
じくじくと痛む箇所に男根を突き入れられ、唾液と精液に濡れた唇に生臭いものを突きつけられながら、
浦江はへらへらと気の抜けた笑みを浮かべた。
-------------------------
今回ここまで。
儲のみなさん、お待ちかねの孤島さんですよ。
さあ、乙コールをしましょう!
乙です。
読んでいて息苦しく…浦江…orz
こんな真嶋みたいな駄目男にでも
愛して貰いたかったのか…カワイソウダヨー
>>468 うわ、リロードしてなかった。
どの時間にでもアンチって沸くんだな…
乙、乙!自分男になって浦江んとこ行きたい(;´д`)
乙乙!
浦江タン…こんな酷い奴のどこが良かったんだ…。
この場に乱入して浦江タンをうちに連れて帰りたい。
最初に真面目な男に声をかけてもらえていたらなぁ…。
たくさんのことを望んだわけではなかったんだろうに…。
なんか、ほんとに可哀想だ…浦江…orz
ほんとにすべてにおいて運が悪いというか、なんというか。
根本的に価値観の違う相手にころっと惚れさせられちゃったのが運のつきか?
周囲の取り巻き男たちの反応がリアルだ。
極悪非道なのは真島だけか。
まじで浦江の家に乱入して浦江かっさらいたいよ(ノД`)
浦江が一番幸せだったのって、藤岡タンと山にこもってた最後の数日間だけのような気がする…
また泣けてきた。ちくしょう。
浦江ぇ… カワイソス……
あれ??
乙の数が少ないなぁ。
引き続き、孤島さんへのマンセーお待ちしてます!
長文推奨!
渇望さん、相変わらず巧い!お疲れさまです&ありがとう。
渇望タン(でいいのかな)乙
平易な文章だけど引き込まれるんだよね。
続き期待してます。浦江可哀想だけどリンカーン萌え
リンカーンキタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!!
この事件で壊れちゃうのかなあ…
続きwktk
ケータイからアンチとはそれこそ乙なことだな。( ´,_ゝ`)
PCからだとIDでレスが一覧できるの知ってる?
●スレ住人心得
・叩きや煽りには絡まない
浦江がひたすら可哀想で泣ける。
乙でした。続き待ってます。
渇望乙
養育係乙
誰か乙
スカーレット乙
渇望タンキテタ-
浦江タンの人生って、なんだか怖くなるくらい切ないなぁ……
>>483 なんか感動した
なんか…カワイソス…
浦江、幸せになって欲しかったな。
悲惨すぎるよね。
浦江の藤岡に対する仕打ちもたいがい悲惨だったが…
浦江の人生はヒドイ。
浦江、どこまでもウザキャラだな。
そのウザさがイイ
ほしのタンを地味に待ってる自分ガイル
もう駄目かと諦めてたけど保管庫みてたらまた期待したくなった
渇望さん、上手いから読み手が情入り込んじゃって
鬼畜萌えと言うより鬱入ってきた感じだなw
でもやっぱり面白いし、先が読みたいー!
スカさんも誰かさんも乙です!タイプの違った恐ろしさを味わいつつも萌えました。
養育さん、こういう本格調教文学っぽい独白調とても好きです!続き楽しみ。
>>467の続き※今回、一部に軽いスカ描写と嘔吐描写があります。苦手な方はスルーしてください※
※その描写があるのは5投下目です※
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空咳をした拍子に、喉の奥にへばりついていた精液が胸元に飛んだ。
口の中がいやにねばついている。身体中から立ち上る精液の臭いが我慢ならなかった。
ひとりにつき2回は飲まされた精液が重く胃にたぐまっており、常に胃がむかむかと
気だるさにも似た嘔吐感を覚えた。少しでも油断すればすぐさま胃の中身をぶちまけてしまう。
尻への放精は5人目で打ち止めになり、それ以降はコンドームが着用されるようになった。
浦江を気遣ったわけではもちろんなく、単に精液まみれの穴に裸の性器を挿入したくなかったからだろう。
疲労困憊して嘔吐感にむせぶ浦江をよそに、彼らのひとりが浦江の性器に手早くコンドームをかぶせ、
その上にまたがった。精液まみれの緩い穴はもう用なし、お次はこっちというわけだ。
自分の上でリズミカルに腰を振る若い男をぼんやり眺めながら、浦江はにたにた笑っていた。
「何笑ってんの?気持ちよすぎて変になっちゃった?」
腹の上の男が同じくにやつきながら腰をくねらせ、浦江の顎をつかんだ。
かたわらで休憩していた男が浦江の顔を覗き込み、精液のはりついた前髪をかきあげる。
熱心に浦江の顔を見つめる男に目を合わせ、浦江はへらと気の抜けた笑みを投げた。
「……可愛いじゃん。めちゃくちゃ可愛いよ、俊輔。何で嫌なの?俺がもらってもいい?」
色白の肌を赤く染めてへらへら笑う浦江の頭をなで、うっとりと眼前の男が呟いた。
離れた場所で別の男とまぐわっていた真嶋が鬱陶しげにこちらを見やり、動物を
追い払うような仕草でしっしっと手を振りやる。
「いいよ、もらってもらって。そうしてくれると助かる」
「……なんか、冷たいよなあ。ヤな奴だね、忠道くん。俺にしな?優しいよ、俺。
浮気は覚悟してもらわなきゃだけど」
腹の上で腰を振っていた男の精液が胸元に飛んだ。今度は別の男が上にまたがる。
「浩二、んな事言うと本気にするよ。そいつ、遊びと本気がわかってねんだよ。
つきまとわれると苦労するぞ」
「ひどいなホントに。そんなに嫌い?本人目の前にして言わなくても」
半笑いの表情で真嶋を咎める男をぼんやり見上げ、浦江は唇を噛んだ。
今度こそ切羽詰った嘔吐感が胃を痺れさせ、二の腕に鳥肌が立つ。
ひとり嘔吐感に耐える浦江をよそに、かたわらの男は浦江の肌を愛撫した。
胸元に飛んだ飛沫を塗り広げるように手を滑らせ、指先に触れた突起をつねる。
刺激に震えてどっちつかずの笑みをへらと浮かべてみせながら、浦江は吐き気を堪えて目を閉じた。
「忠道くん、シャワー貸してね」
ふいにかけられた声に反応して目を開けると、先ほどまで真嶋と身体を重ねていた青年が
バスルームへ消えていった。いつの間にか行為は終わっていたらしい。
浦江の視線に気づいた真嶋が陰険な光を瞳に宿し、こちらを鋭く見返した。
おもむろに千鳥足で立ち上がり、ゆっくりと浦江のほうへ近づいてゆく。
"嬉しい"、とは思えなかった。
片手に持った飲みかけの缶ビールを飲み干し、品のないゲップをする。
何事が起こるのかと浦江のみならず周囲の男たちも怪訝な面持ちで真嶋の動向を見守った。
真嶋はそのまま浦江の足側に回り、腹の上で腰を躍らせる男の陰に隠れて見えなくなった。
真嶋の指が強かに太腿をつねる。
「……脚、広げな、忠道」
言われるまま脚を開くと、それまで浦江の頭をなでていた男が眉を顰めて首を伸ばした。
「何してんの、俊輔?忠道くん怖がってるよ」
「うわ、汚ぇ」
吐き捨てるように呟かれた真嶋の声とほぼ同時に、真嶋の指が中をくねる。
突然の感触に驚いて開いた膝頭を震わせながら、切ない声を上げた。
一気に3本突き立てられた指はすぐに4本になり、中を乱暴に掻き回した。
精液でねとつき、緩くなっているとはいえ、擦り切れた粘膜はいまだにひりひりとした疼痛を生む。
ひとしきり中を掻き乱したすえ卑猥な音を立てて指が抜かれると、息をつく間もなく
ひやりとした感触が濡れた穴に触れた。人間の肌とは明らかに異なる硬く冷たい感触。
浦江の足側に回って成り行きを眺めていた男が変に高揚した声を上げた。
めりめりと音を立てるようにしゃにむに押し入ってきた物体に、浦江はついに低く間延びするような悲鳴を迸らせた。
「うるせぇよ、忠道」
荒い言葉と反してどこか興奮の色を含ませた真嶋の声が遠く聞こえ、涙で滲んだ目を泳がせる。
身体が割れる。内側から引き裂かれる。破裂してしまう。
ばたばたと陸に上がった魚のような抵抗を始めた浦江を、そばにいた男が押さえつけた。
頭をなでていた男はあわてて浦江の足側に回り、何が起こっているのかを知って素っ頓狂な声を上げた。
腹の上で腰を振っていた男も後ろに首をめぐらせ、眉を顰めて苦笑する。
噛み締めた唇に血が滲み、抑えきれぬ悲鳴が漏れるたび真嶋の叱責が飛ぶ。
震える指でたぐりよせた枕を顔に押し付け、くぐもった泣き声を上げた。
そうする間にも、冷たく巨躯な物体が杭を打ち込むような動きで引き攣る粘膜に食い込んでいった。
精液ではない温かな液体が内に溢れる感触がした。おそらく血液だ。
この世の終わりを思わせる苦痛が絶えず浦江を襲い、全身が石のようにしゃちこばった。
氷のような汗が全身に噴き出し、火照っていた身体を急激に冷やしていく。
ようやく杭を打ち込む動きが止まり、大きく息を吐き出した刹那腹の上の男が果て、胸や腹に飛沫が飛び散った。
男が離れると、自身の現在の状況がようやくつかめた。
大きく開いた両足の付け根に杭のように突き刺さった缶ビールを見て、気が遠くなると同時に、
自身が感じている痛みとは裏腹な間の抜けた光景に笑い出したくなった。
従来の缶ビールよりは細長なタイプとはいえ、まさかこんなものを挿入しようとは。
疲弊しきった目を一同に向けると、いかにも気遣わしげな目に僅かな好奇の色を滲ませ、にやりと笑いかけてきた。
微笑み返すと、真嶋が中に入れたそれをゆっくりと引き出しにかかった。
限界まで引き伸ばされた粘膜はぴったりと缶ビールに吸い付き、容易に離れようとはしない。
何度も引き抜こうと試みては舌打ちをし、開いた内腿をぴしゃりと叩かれた。
「おい、忠道、そんなに離したくないか?うまくてしょうがないかよ?」
乱暴な調子で無理に缶ビールを引っ張られ、中の粘膜が引き攣れた。
危険!危険!悲鳴注意報!枕を装備せよ!
脳内の警告に従って枕を顔にかぶせ、思う存分悲鳴を上げた。
「しゅ、俊輔、ちょっと……血が」
「くそっ。何から何までつまんねぇな、お前」
吐き捨てるように呟きながら乱暴に缶ビールを引っ張り、また乱暴な調子で中へ押し込む。
緊張しきって汗に濡れた身体が石のようにかちこちに固まった。
口元に押し付けた枕を噛み締め、目から上だけを覗かせて足元を見やっても、
涙でろくに視界がはっきりしなかった。何度も瞬きをして涙を押しやり、指先で目元をぬぐうと、
明らかに困惑の表情を浮かべた彼らが目に映った。初めの高揚した興奮感はなりを潜めている。
缶ビールを出し入れしている真嶋の顔は驚くほど冷淡で、瞳だけがぎらぎら光っていた。
浦江の視線に気づいて鋭く睨みつけながら、にやついた笑みを頬に浮かべる。
うう、と一声泣き声めいた声を漏らすと、それきり浦江は枕に顔を隠した。
ずぼっ、と自身が驚くほど大きな音を立てて缶ビールが抜かれた瞬間、
苦痛よりも安堵よりも、何より浦江をせきたてたのは強烈な便意だった。
真嶋が缶ビールを床に投げつける甲高い音にびくりと身体を震わせ、枕に顔を押し付けて
すすり泣きながら脚をすり合わせた。嗚咽に身体がわななき、じっとりと濡れた肌に鳥肌が立つ。
すぐさまトイレへ走らねば、そう思う一方で、間に合うはずがない事を頭のどこかで悟っていた。
少しでも身動きすれば、それこそ指一本でも動かせば、糸が切れる。
さんざん傷つけられ、拡張された後孔には、もはや便意を堪えるだけの甲斐性はなかった。
誰かの手が気遣うように頭をなで、汗濡れの前髪をかきあげる。
その感触すらおぞましくて、浦江はしゃちこばった身体を石のように硬直させた。
どうか、帰ってくれ。頼む。この部屋から出て行ってくれ。今すぐに!
「……で、……出て、出て」
か細い声を懸命に漏らすと、そばにいた男が片眉を上げて耳を寄せてきた。
※スカ描写、嘔吐描写あり※※苦手な方はスルーお願いします※
----------------------
もう一度繰り返す前に、真嶋の平手が頬に飛んだ。
「誰に向かって口きいてんだ、忠道?もう一度言ってみろ?」
「おい、もういい加減にしろよ。どうしたんだよ?悪酔いしすぎじゃないのか」
「腹立つんだよ、こいつ。うざったらしい……苛々すんだよ。くそっ、何なんだよ。
空気読んでくれよ、忠道……俺さあ、もう無理なんだよ、お前のこと。
うざがられてるってわからないか、忠道。なあ。はっきり言わない俺も悪かったよ。
でも普通の人間は空気読むんだよ。普通は。……金魚の糞みたいについて回りやがって……
これ見よがしに……何時間も……座ってたり……"俺を見て、構って"みたいなツラして……
無理……無理だ、忠道、ごめん。俺、もう……なあ……」
子供のような泣き声を上げながら、浦江は軟便を漏らした。
死にたい、と強く強く念じながら、擦り切れて拡張された後孔からぐずぐずと垂れ流れていく
排泄物の感触にすすり泣いた。真っ赤に充血して裂傷の走る腸はひどく沁み、
便が通り抜けるたび刺すような鋭痛が浦江を襲ったが、ほとんど気にならなかった。
腸の中身をすべて出しきる頃には、部屋の中には誰もいなくなっていた。
ただただ青臭い精液の臭いと排泄物の異臭、氷のような沈黙が後に残された。
しばらくぼんやりと天井を見つめていた浦江は、ふいに寝返りを打った先で、
床に転がる缶ビールを目にした。少しひしゃげている。
その缶の表面にこびりつく乾いた血と精液に気づいたとき、浦江は狂ったように笑い出した。
笑うと尻にびりびり響いたが、どうでもいい。
ひとしきり笑うと、ずっと我慢していた胃のむかつきにまかせてシーツの上に嘔吐した。
精液まみれの吐瀉物を見てまた笑いがこみ上げた。
おかしくて、おかしくて、腹筋が引き攣るほど大笑いした。
死にたくなるほど面白かった。
それ以後1ヶ月にわたって音信不通だった真嶋に、最終確認の意を込めて連絡を取った。
電話に出てくれないかもしれないと危惧したが、杞憂だった。
2、3コールの後、真嶋は電話を取った。浦江の声を聞いても激昂する事なく、
また途中で通話を切るような事もなかった。
ただ、真嶋の億劫げな、物憂げな声を聞くにつけ、これで本当に関係は終わりなのだなと確認した。
「俺、あの日悪酔いしちゃってて、ちょっと変だったんだ。悪かった。
本当なら俺から連絡すべきだったんだろうけど……何かしづらくてさ。ごめんな。
あいつらも、謝りたいって言ってた。……ごめんな。悪かった」
教科書を読む学生のような棒読み口調で紡がれる口先上の謝罪を聞きながら、浦江は片手で目元を覆った。
次いで一本調子に身体の具合を尋ねる真嶋の問いかけに震える声で答えながら、
己を叱咤して涙を堪える。この場面で泣き出したら、いよいよ僕は本当に"うざったい"人間だ。
「あのな、忠道。あの時も、言ったけど。俺、お前とは、もう無理なんだ。ごめんな。
俺とお前じゃ、根本的に価値観が違うんだよ。お前はひとりのパートナーを一途に
愛し続ける人間だけど、俺は違う。いろんな人と楽しみたい人間なんだよ。
……好み、だったから。話しかけて、おだてて、優しくしたんだけど。利用したみたいになって、ごめん」
「真嶋さん」
だめだ、泣くなよ。頼むぞ、あと少し、あと少しの間、我慢しろ。声に感情を出すな。
「……あの、すみませんでした。困らせて」
真嶋の声が無感動に、いやいや、俺が全部悪い、と言い返した。
「あの、でも、僕、本当に嬉しかった。真嶋さんに声をかけられて……触れられて、幸せでした。
その……本当に。真嶋さんと付き合っている間、本当に毎日楽しくて―――」
―――ばか、"付きまとっている間"だ。
「真嶋さんが僕の誕生日を祝ってくれたとき……"生まれてきてくれてありがとう"って言ってくれた事、
いまだに全部覚えて―――」
さようなら、ありがとう、という言葉のかわりに、"捨てないで"という言葉が咥内を彷徨った。
(遊びでもいい。めったに会ってくれなくても、優しくしてくれなくてもいい。
真嶋さんの遊び相手の一番底辺でいいから、僕を置いて。いくらでもこの前のような扱いをしてもいいから)
ああ、つくづく僕は"うざったい"男だ。
首を振り、"捨てないで"という言葉を飲み込み、目元にやった片手でこめかみを
きゅっと押しながら、浦江は天井を仰いだ。
受話器を離し、深呼吸して、湿っぽい声音を身体の外に出す。
(ありがとう、さようなら)
とどめの言葉を贈ろうと受話器を耳に戻した刹那、通話の切れた音がした。
後に残るのは通話が切れたことを知らせる平坦な電子音と、浦江の湿っぽい息遣いだけ。
受話器に罪はないとはいえ、力いっぱい受話器を電話にたたきつけ、その場に蹲りながら、
浦江は大声でむせび泣いた。
真嶋と言葉を交わしたのはそれが最後だった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
それから数年を経た初冬の小春日和、浦江は電話機を前に延々逡巡していた。
さて、どうしようか。
何度もそわそわと周囲を見回し、落ち着かない様子で受話器に手をかけては離す。
ようやく決心して受話器を取り上げたときには、逡巡し始めてから30分のときが流れていた。
とうに暗記している番号を何度も戸惑いながら押し、軽快な電子音にいちいち鼓動を高鳴らせる。
くそ、自分の家に電話しているだけなのに、なんでこんなに緊張しなくちゃならないんだ。
落ち着け、ばか。落ち着け。
何度目かのコールでかちゃりと小さな音が漏れ、浦江は全身をしゃちこばらせた。
「……はい、もしもし。浦江ですが」
耳慣れた低い声にひとしれず冷や汗を垂らしながら、妙にねばつく唾を飲み込んだ。
「あ、あの、えっと、僕だけど」
「……どちらの"僕"さんでしょうか」
冷ややかな声に咎められて顔を引き攣らせながら、あわてて言い継いだ。
「あ、お、お父さん。忠道です」
不穏な沈黙が流れた。早くも電話した事を後悔し始めながら父の返答を待つ。
「ああお前か」
呟かれた声は抑揚がなく、まったく無感動だった。実際、何も感じていないのだろう。
在りし日の真嶋とのやり取りといい、父とのこれといい、僕はつくづく人に嫌われるたちなんだな。
額に滲む汗をぬぐいながら心中でひとりごち、大きく息を吸う。
言葉を返す前に、父の声が何の用だ、と不機嫌にせかした。
「暇じゃないんだ。用がないなら切るぞ」
「え、あ、待って、待って父さん。あ、あの、元気ですか」
「……暇じゃないと言っただろ」
重々しいため息が耳に吹きかけられるようだ。目の前の空間に向かって頭を下げながら、あわてて言い継いだ。
「ごめんなさい、あの、すぐ終わるから。……お父さん、誕生日おめでとう」
本当は、もっと心を込めて、心から祝福する調子で言いたかったのだけれど。
いそがないと、また途中で電話を切られそうだ。
しばらく向こうでごそごそする音が漏れ、父の声がうなった。
おそらく、カレンダーか何かを確認しているのだろう。
ややあって、父の興味なさげな「ああ」という返事が返った。
「忘れてた」
「おめでとう。その、なかなか会いにいけなくて、本当は直接言いたいんだけれど」
「いらん。そうしょっちゅう帰ってこられても困る」
父の声を聞きながら、一番最近父のもとへ帰ったのはいつだったかを想起した。
"しょっちゅう"か。思えば、離れて暮らすようになってから一度も会っていない。
「それだけか。切るぞ」
「待って、あと少し。その、……えっと、身体に気をつけて。無理はしないで」
「ああ。お前もな」
「あの、あのねお父さん、会社の先輩に、お父さんに少し似てる人が」
"会社の"と言い終えたところで、静かな断絶音が受話器から漏れた。
「……父さんの若い頃の」
あのおなじみの電子音に向かって、続きを言い継ぐ。
静かに受話器を置きながら、浦江は内心複雑ながら頬にかすかな笑みを浮かべた。
"ああ、お前もな"。"ああ、お前も(身体に気をつけて。無理はしないで)な"。
やっぱり、電話をしてよかった。久しぶりに父の声を聞けてよかった。
生まれてきてくれてありがとう。
言うつもりだった殺し文句を言い忘れた事に気づいて、思わず声を上げた。
しまった。これを言うために勇気を出して電話したようなものなのに。
"生まれてきてくれてありがとう"。
もし、いずれこの先、万が一にでも愛すべき人が見つかったら、僕もそう言おう。
生まれてきてくれてありがとうと、心からの感謝を贈ろう。
相手の気を引くための世辞などではなく、おだてるための、利用するための甘言などではなく、
心からその人に感謝しよう。
"僕もそんな言葉が欲しい"とは言わない。高望みは絶望のもとだから。
たった一言、たった一言だけ、他の人にあげてしまった後のおこぼれでもいいから、
僕に"おめでとう"の言葉が欲しい。僕を肯定する言葉が欲しい。
"好き"だとか、"愛してる"が欲しいとは言わないから、せめて、
"お前はここにいてもいい"と言われたい。僕を肯定して欲しい。
狂おしいほど渇望しながら、今日まで生きてきた。
おそらく死ぬまで続くのだろう。
僕の渇望は、おそらく一生満たされない。
------------------------------------------
終わりです。これで孤島関連の話は完全に終わりです。
ありがとうございました。
浦江の望み…ささやか過ぎる…本当に幸薄い人生だったんだなあ。
藤岡に最後カケラでも肯定して貰えたのは救いだったんだろうか…泣ける。
これで孤島関連の話は終了との事で、
孤島も渇望も最後は読んでいるのが切なくてたまらなかったけど
心に残る話をありがとうございました。
本当に本当にお疲れ様でしたー。
。・゚・(ノД`)・゚・。コトバニナラナイ…!!!
乙です。
孤島タン乙でした
このスレ知っててほんと良かったと思ったよ
良ければまた来て下さい〜
うううう…乙でした…
目から水が止まらない……浦江……
泣いた。
孤島タンならびに渇望タン、ほんとにほんとに乙!!
孤島といい渇望といい、ほんとに泣かされました。本気で涙がとまりません。
これでもかこれでもか、と畳み掛けるように傷つけられていく浦江が哀れで悲しくて
仕方ないです。ささやかな望みは、藤岡タンと交わした最後の会話で叶ったのかな。
最後の最後まで不幸のどん底のまま死んでいった浦江タンが、もう、ウワ―――゜(ノД`)゜。―――ン
浦江パパンと真嶋に本気で殺意。ほんとにはらわたが煮えくり返る思いだ。
渇望を読んだ後に孤島を読むと、当時はわからなかった浦江の心情がわかるね。
誕生日のシーンとか、藤岡タンに対する頑ななまでの執着心とか。
ああもう、だめだ、泣けて泣けて仕方ない。
ほんとにほんとに乙、 G J でした。明日も目が真っ赤のまま出勤だ。
孤島読んだ次の日も何事があったという顔で出勤だったのに。
こんなつらい過去知りたくないと思いつつ読んでしまった……
渇望読んでから孤島を読み直すと視界がぼやけるよ…
なんかもう、ほんとお疲れさまでした。
苦しいけど、読まずにいられない。乙でした
本当に生きている人みたいでした乙
渇望タン、孤島に引き続き乙でした。
浦江が不憫でならない…可哀想でたまらないよ…。
藤岡タンに最後に貰った言葉は浦江にとっては宝物
だったんだろうな…。孤島の最後に二人で過ごしたところを
思い出してさらに泣ける。幸せになって欲しかった…orz
真嶋も可哀相だ。真嶋も、たぶん一生忠道を忘れないよ。
日頃は忘れていても、何かの拍子にふと、抜けない小さな棘がずっと痛んでいるのを
思い知るんだと思う。
そんなところまで想像させる佳品だった。泣いた。ありがとう。
渇望乙
浦江、やすらかに
喪男浦江キモイな
浦江死ね!あっもう死んでたかwww
目から水が流れて止まらないよ!
渇望タソ、ほんと乙
浦江タソが可哀想すぎて愛しさすら感じる
515 :
sage:2006/10/23(月) 23:37:25 ID:0+1CsVDt0
渇望おつでした。
孤島タンに出会えて本当に良かった。
傑作の完結に対する喜びも勿論あるんだが
……しばらくは泣かせておくれ
↑ワァアアン感極まりすぎて初歩ミス
逝って来ます
渇望タソ乙ですた…
なんか最初に孤島読んでた時の浦江への気持ちが
180度真逆になってる自分に驚き…
浦江の不器用さと純粋さがなんかもーちょっとだけでも
違う方向に向けられたら、幸せになれそうなもんなのに…
と、もどかしさいっぱいだけど、そんな複雑な気持ちにさせて
くれたコトータソ、ありがとうございました。萌えだけではない心の
揺るぎ、感じさせてくださりありがとうございました。
また乙コールの連続か。スレ住人達自身が荒れる原因作ってるってことがなんでわかんないかなぁ。したらばいけよしたらば。
518>>
その前にとりあえず改行してくれ
ここの作品読むのが最近の楽しみ(*´∀`)
皆さんの投下イパーイお待ちしてますφ(..*)
顔文字うぜぇ
518 名前:風と木の名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/24(火) 01:10:14 ID:hivYAYCFO
また乙コールの連続か。スレ住人達自身が荒れる原因作ってるってことがなんでわかんないかなぁ。したらばいけよしたらば。
521 名前:風と木の名無しさん[sage] 投稿日:2006/10/24(火) 17:58:23 ID:hivYAYCFO
顔文字うぜぇ
荒らしの原因…
どの口で言ってんだかねえ…。
524 :
追憶 1:2006/10/24(火) 20:57:58 ID:32uTQzCz0
一目で、よくわかったもんだ。10年ぶりだってのに。
俺は感心するというよりも呆れた思いで、野上の笑顔を見返した。俺は10年前とは
かなり違っていると思うが、野上はあの頃のままだ。態度も、元気な喋り方も。
「本当にびっくりしたぜ! まさかこんなとこでさぁ。ラッキーだったよな」
「偶然だな」
故郷から離れた町で、高校時代の同級生と会う。仕事の取引先として。本当に
偶然だ。幸運とは思わないが。本音を付け足すのはやめて、俺は笑い返した。
どちらが立場が上だろうか。なんとなく、考えてしまう。取り引きの上では
俺の会社が客だけど、規模は野上の会社が上だ。こんなことが気になるのは、
ものを優劣で判断する男の習性だから仕方ないのか。それとも、やはり
当時のことが心に引っかかっているからなのか。
淡々と仕事の話を済ませ、さっさと打ち合わせを終えようとする俺に対して、
野上は盛んに当時の思い出話を振って、話を引き伸ばそうとする。
「なんだよ藤田、冷たいなぁ。10年ぶりだぜ? もうちょっと盛り上がっても
いいんじゃない?」
「業務時間中だろうが。金で買われた時間だってわかってんのか?」
「相変らずだねー、クールでお堅くて。今でも優等生やっちゃってんだ?」
人の話を全然聞かないお前も相変らずだ。相手の意思には無頓着。それでよく
営業が務まるものだと思うが、明るくて人懐こいのが受けているのか。
それとも、――俺は特別、なのか?
「なぁなぁ藤田、だったら今夜、空いてない? 金曜だし、飲みに行かない?」
確かめてやろうか。
「空いてるよ。7時には会社を出られる」
「おっしゃ、決まりな!」
嬉々として待ち合わせの場所だの時間だのを口にする野上に、俺は心の奥底が
ざわざわと沸き立つのを覚えた。
525 :
追憶 2:2006/10/24(火) 20:58:48 ID:32uTQzCz0
夜に改めて会った野上は、昼よりも魅力的に思えた。仕事の緊張感よりも、
リラックスしたムードの方が野上の個性を際立たせるのだろう。
居酒屋で野上は、高校時代の話を楽しそうに喋り続け、俺にもそれを求める。
「何だよ藤田ってば、さっきから相槌くらいしか打たないじゃん」
「お前ほど覚えてないんだよ」
「マジでクールだよな。俺はしょっ中あの頃のこと思い出してるのに」
思い出したい思い出なら思い出すだろうさ。
「俺さぁ、大学も面白かったけど、やっぱ高校の頃が一番楽しかったかなぁ。
あの頃って何やっても面白くて、毎日が楽しかったよなぁ」
傍若無人で無神経で、でも悪気がなくて大らかで、憎めないと人気者で、
お前はそりゃ楽しかっただろう。俺がお前の側にいるのをどう思っていた?
ああ、他人の意思には無頓着なんだから、どうとも思ってなかったか。
俺が今はお前の客だってわかってるか? 下っ端の平の俺には裁量権はないけど、
実質は担当窓口としてお前んとこの商品の仕入れは俺が決めるも同然なんだぞ。
俺の気持を読もうとしないで、仕事になるのかよ? それとも、読んだ結果が
これなのか?
野上は俺をクールだクールだと連呼する。白けているだけなのに。
526 :
追憶 3:2006/10/24(火) 20:59:49 ID:32uTQzCz0
適当に飲み食いして、俺からお開きを申し出た。楽しそうに昔話をする野上に
ついていけなかった。何を確かめたかったのか、段々わからなくなってきた。
どうして確かめたかったのかはなおさらだ。
俺の手から伝票をひょいと取り上げて、野上がにやりと笑いかけた。
「今日はおごるよ。接待な。課長からもOKもらってる」
「馬鹿か。なんで俺がお前に接待されなきゃならん。これはプライベートだ」
「そう言うなって。お前だって大事な新規顧客のご担当者様さ。
今後ともよろしくお願いしますってか」
「こんなことで恩に着せられてたまるか。寄越せ」
「大袈裟に考えるなよ。俺とお前の仲だからこそ、課長に頼んでやったんだぜ。
妙な意地張らないで好意は受け取っとけ。相変わらず素直じゃないよな」
野上は伝票で俺の頬を軽く叩いて、さっさと会計に向かってしまった。
変わっていない。俺の意思には無頓着。俺の気持を考えないどころか、
俺に感情があることすらわかってはいないだろう。
別にいい。わかって欲しいわけじゃない。あの頃のように毎日側にいる
わけじゃない。こいつの会社の商品に文句はないし、私情なんてどうだろうと
普通に取り引きすればいいだけの話だ。
外に出て「それじゃご馳走様、またな」と片手を上げた俺に、野上が
近寄ってきた。異常なほど近くに。
「つれないな。まだ早いじゃん。こっからはそれこそプライベートで、どう?」
「もういいよ、腹もいっぱいだし、これ以上飲みたくもないし」
「飲まなくてもいいよ。そうじゃなくてさ」
野上が俺の肩に手を回し、顔を近づけて囁いた。
「ホテル、行かない? 旧交を温めようぜ、あの頃と同じやり方でさ」
野上は、本当に変わっていない。
俺は、野上の特別のままなのだろう。
527 :
追憶 4:2006/10/24(火) 21:00:45 ID:32uTQzCz0
「やめとくよ。もうガキじゃないんだ。あの頃のことはなかったことに」
「おいおい、そりゃないぜ。忘れたとは言わせないからな。高校時代の
お前の特別な人って誰だったんだっけ? え、藤田クン?」
「――少なくともお前じゃなかったな」
野上の腕を肩から外して、顔を背けて呟いた。
収まったはずのざわざわが、また沸き立ち始める。何も言うなと自分に
言い聞かせても、野上がその枷を外そうとしているのだからと言訳が浮かぶ。
「まーたまた、ホントにお前、素直じゃないね。同窓会でもやって、皆に
聞いてみようか? そりゃ卒業した後は音信不通だったけど、久し振りに会えば
またうーんと仲良くしたいはずの相手だろ、俺は? 特別のお友達だったよなぁ?」
野上は、外した腕をまた俺の肩に巻きつけた。本当に人の話を聞かない。
自分の考えていることだけが真実だと疑わない。
「お前、付き合ってる相手とか、いないのか?」
俺の問いに、野上は肩を竦めた。
「いるっちゃいるけど。正直、別れ時だろうな。相手もそう思ってる。
お互い、合わないのを無理して合わせてきたのが限界に来てるみたいでさ」
お前が、合わせてきたって? 俺は野上の顔を見た。野上が苦笑いする。
「よくあることだろ。最初は、そのうち慣れると思ってたんだけどな」
野上は、俺の視線の意味を勘違いしている。
俺はまた顔を背け、呆れる気持を隠さずに呟いた。
「――慣れるしかないことなら慣れるさ」
「別に、俺、そこまであの女に未練ないし。だからいいんだよ」
な? と言いながら野上が、悪戯っぽく笑って俺の顔を覗き込む。
邪気のない子供みたいな笑顔が、昔のままだ。
変わらない、何をしてもあの頃とまったく同じの野上。
528 :
追憶 5:2006/10/24(火) 21:01:44 ID:32uTQzCz0
俺は、視線を足下に落として返事をした。
「そうか。なら、――いいよ。行こう」
「そう来なくっちゃ」
野上が俺の肩をポンと叩いた。俺がOKするのが当たり前だと信じている。
心当たりのあるらしい方向へと歩き出した野上について歩きながら、
俺は考え込んだ。
野上の彼女も本当に別れ時だと思っているんだろうか?
野上が勝手にそうだと決めつけているだけなんじゃないだろうか。
だとしたら俺は今から酷いことをしようとしているのかもしれない。
心が痛まないわけじゃないけれど、まあいいと罪悪感を押し殺した。
どうせ会ったこともない女だ。俺にとっては、野上が変わっていないことの方が、
ずっと大事なポイントだ。
野上に断って、電話を一本入れた。野上とホテルに行くとなれば、
俺にも色々と準備が要る。野上は野上で誰かにメールを入れていた。
野上が俺を連れていったのは、新しくて小奇麗なラブホテルだった。
野上は慣れた様子で部屋を選んでいる。相当遊んでいるということか。
「お前、しょっ中こんなことしてるのか?」
「こんなことって? 枕営業のことか?」
枕営業? これが俺へのサービスだとでも?
「冗談だよ。睨むなって。ったく堅いな藤田は。わかってるって、男同士でって
言いたいんだろ。別にしょっ中ってことはないよ。俺は一応、ノンケだしな。
たまには違うものも食ってみたくなるってだけのことさ」
いつもとは違うもの、か。それに同級生というスパイスがかかれば、
なお旨いってことか。
野上は笑いながら、俺の腰に手を回した。
「藤田、変わってないな。なんか嬉しいよ」
変わったよ、俺は。変わる必要があれば変わるさ。慣れる必要があれば慣れるのと
同じように。お前は昔から何も見ようとしないけれど。
529 :
追憶 6:2006/10/24(火) 21:02:31 ID:32uTQzCz0
一緒にシャワーを浴びようと誘う野上をバスルームに追いやって、俺はまた
電話を入れた。相手は、近くまで来ているとのことだった。これなら俺が
相手をするとか、またぞろ昔話でもして引き伸ばすとか、そういうことも
必要なさそうだ。ほっとした。
そういうわけで、野上が腰にタオルを巻いて出てきた時には、
部屋に野上の知らない男が3人いた。
あからさまにギョッとした顔をして、野上はバスルームの前で硬直した。
「ふ、藤田…? あの…」
野上は、平然としている俺に問いかけるような視線を投げる。
俺の代わりに、3人が返事をする。
「ふぅ〜ん、ハンサムじゃん? おまけに基本ノンケだって?」
「男が抱けるんならバイでしょ…ノンケじゃないよ」
「どうでもいいって、こんだけイケメンならさ。いただきまーす」
身を翻してバスルームに逃げ込もうとした野上に、男たちが飛びかかった。
「離せっ、畜生、離せっ! 藤田、藤田っ!」
こんなに余裕のない野上の声を聞くのは初めてだった。
野上はいつだって溌剌として朗らかで、怖いものなんかないって顔をしていた。
一生そうやって生きていけると思っていたんだろう。
いい年をして、自分の歩く場所には地雷なんて埋まっていないなんて、
どうして思い込めるんだろう。
ベッドに放り出される前にタオルが落ちて、野上は丸裸になっていた。
10年ぶりに見る野上の裸は、たいして年齢による劣化を見せていない。
きっとジムに通ってせっせと鍛えてるんだろう。野上らしくて、笑ってしまった。
「いやだ、藤田、助けてくれ! やめてくれぇ!」
押さえつけられて手を縛られ、体を撫で回されて、野上が喚いている。
やめないよ。助けない。お前だってやめなかったじゃないか。
俺があんなに嫌がったのに。
530 :
追憶 7:2006/10/24(火) 21:03:49 ID:32uTQzCz0
1人が、野上の尻にローションを塗ってほぐしている。怪我はさせるなと
釘を刺しておいたから、乱暴にはされないだろう。病院に行くような
ことになったら面倒だ。その準備の間、他の2人は楽しそうに野上の体を
いじくり回していた。悪態をつき続ける野上に、からかいの言葉が投げられる。
「なんだよ、どうせ男とやるつもりでここに来たんだろう?」
「気持ち良くしてやろうってんだから、怒るなよ」
彼らも、レイプというシチュエーションに興奮しているのだろう。
嗜虐は、おそらくどんな人間にも備わっている素質だ。程度の差はあるし、
それを実行するかどうかはまた別の問題だが。
野上は、実行に移して楽しんだ口だ。だが、それを自覚はしていなかった。
だから今も、トンチンカンなことを喚いている。
「藤田! どうしてこんなことするんだよ!? 俺が何をしたんだよ!」
俺に問う前に自分で考えろ。俺は藤田に何をしたんだろうと。俺が言ったところで
理解なんてできないだろう? 俺の「いやだ」も「やめろ」も「離せ」も
お前は理解できなかったんだから。それどころか、俺が「痛い」と訴えても
笑っていたじゃないか。
別に俺は野上を恨んでいるわけじゃない。俺と同じ思いを味わわせてやろうと
思っているわけでもない。野上ならこんなこと気にしないはずだから、
安心してこの方法を取らせてもらったってだけのことだ。
俺がわかって欲しいのは単に、俺は野上の予想通りには動きゃしないってこと。
高校という閉じた世界では野上は王様でいられたろう。だが、社会に出てもう
数年も経つのに、未だに同級生なら子分扱いできると思われても困る。
あちこちをねっとりと責められて、野上のペニスは反応を見せていた。
「楽しんでるじゃん」とからかわれて、野上は悪態を返しながら首を振っている。
お前だって俺に言ったのにな、その言葉。
続く
追憶タソ好きだ…!
ももももも萌え(´д`*)ハァハァハァ
読んでるうちに「あー藤田タンが受けっぽいけど、この小憎らしい野上が痛い目に遭うといいなー」と
思ってたら ネ申 展 開 キタ―――!!!(AAry
淡々とした藤田タン萌え。
続きwktkでお待ちしてます。萌え萌え萌え。
乙です!淡々とした描写がいいね〜
続き楽しみだ
追憶タン乙です!
立場逆転(*´д`)ハァハァ 今後の展開が楽しみだよ!
535 :
メルヘン 1:2006/10/24(火) 23:04:26 ID:y1E8D2JE0
むかしむかし、在るところに王子さまがいました。
ドラゴン退治など武勇伝の多い、強く逞しい王子さまでしたが、
いまは当時の面影などどこにもありません。
王子さまが倒れたのは二十歳のころでした。
病は重く、もう1年以上も王子さまは床に伏しています。
金色の乱れ髪。体の火照りに潤む碧の双眸。額に浮かぶ玉の汗。
めっきり弱々しく儚くなった王子さまに、王さまとお后さまは心を傷めています。
国中の名医が呼ばれ王子さまを診ましたが、どの者も王子さまの病を癒せませんでした。
王子さまは股間を煩っています。
王子さまのご子息は勃ちっぱなしで、濡れそぼった下着を日に幾度も取り替えねばならぬほど、
先端からしとどに先走りめいたものを漏らしつづける日々が続いています。
病にかかってから王子さまのご子息はたいそう過敏になり、
用を足す折り、手を添え持つのさえ耐えられず、下着を穿き替える際しょうじる、
ほんの僅かな刺激にさえ艶やかな声をあげるほどです。
高熱と呼ぶほどではないのですが、けして低くはない熱に悩まされ、
けだるさの中で王子さまは毎日を暮らしていました。
日課の検温と触診の為、病室を訪れた御殿医は、
ズボンの前を下ろしくつろげたそこから、ご子息を隆起させ喘ぐ王子さまのお姿を見つめ、
若く分別がなかった頃の自分なら襲いかかっていたに違いないと思いました。
御殿医のしわぶかい手がうやうやしく王子さまのご子息に触れた瞬間、
王子さまは嬌声をあげました。御殿医はただご子息を手にしただけなのですが、敏感なご子息は
先端の口をぱくぱく開閉しながら、平常時以上に先走りめいたものを零しました。
朝の診察はこの病を煩ってから毎日のこと。けれども王子さまは未だ触診に慣れません。
536 :
メルヘン 2:2006/10/24(火) 23:05:01 ID:y1E8D2JE0
王子さまの心は浅ましい己の身を呪い、羞恥と被虐と嫌悪の情でいっぱいです。
王子さまの体は熱が下がらず、感じてやまないご子息が毎朝毎晩猛っています。
心と体の苦痛に王子さまは、苛まされていました。
王子さまが知っている王子さま自身は、剣を振るい炎を吐くドラゴンに向かっていく
勇猛果敢な人物でした。けれども王子さまの目に入ってくる己は、
いやらしく股間をふくらませ、いつもだらしなく先端を濡らし下着を湿らせています。
ご子息から先走りめいたものを漏らすたび、気力が奪われていくようで体はだるく熱く、
お付きの者が濡れたそこを丁寧に清め拭うたび、王子さまは顔を赤らめながら、
柔らかな布がもたらす快い感じに、おさえきれない声を上げるしかないのでした。
ある日、お城にどんな病も怪我も治せると豪語する黒魔術師がやってきました。
黒いローブを目深にかぶった見るからに禍々しい風貌の魔術師に、
城中の者が眉を顰めましたが、黒魔術師はお后さまが可愛がっていった小鳥が猫に襲われ、
羽根に傷を負っていたのをたちまち癒してみせたので、
王子さまの病室に通されることになりました。王子さまは間仕切りで上半身を隠し、
腰から下のみを黒魔術師にさらけ出す形で黒魔術師に対面しました。
病にかかった当初、王子さまが初対面の医者に顔を見られながら股間を診られるのを嫌がったため、
王さまが用意させたその間仕切りは、ほんの少しですが王子さまの羞恥心を緩和させました。
好色な黒魔術師は、美しいと評判の王子さまの顔を生で見られると胸を躍らせていましたので、
患部しか目の当たりにできず、心の中で間仕切りを毒づきました。
万が一の事がないように王子さまの病室には、侍従や騎士どもが侍っています。
なかなか手を出せそうにはありません。とりあえず黒魔術師は、王子さまの長くしなやかな両脚や、
艶やかな金色の草原と勃ちあがった獅子をじっくりと見つめました。
537 :
メルヘン 3:2006/10/24(火) 23:05:34 ID:y1E8D2JE0
美しい…。黒魔術師は王子さまの股間に感嘆の溜め息をつき、
右の人差し指をそっと伸ばし、王子さまのご子息のくびれに軽く触れてみました。
過度に敏感になっているご子息は、ささやかな刺激に身を震わせて先走りめいたものを零し、
さざなみのように走った気持ちよさに、王子さまは掠れた悲鳴をあげました。
侍従と騎士どもが王子さまのせつなげな声に、嶮しい顔で黒魔術師を睨み付けます。
黒魔術師は王子さまの堪え性の無さに驚き、慌てて申し開きをしました。
「触れただけです。扱いてもいませんよ。こんなに感じやすいなんて考えられない。
性的な事はどうされているんですか?」
「王子さまはご病気になられてから、どなたとも肌を合わされておりません」
侍従の答えに黒魔術師は、そりゃそうだなと納得しながら、重ねて訊きました。
「自慰などもされてないんですか?」
「お手で持つことさえままなりませんので。お小水も座られてなさっております」
王子さまは間仕切りの向こうから聞こえてくる侍従の声に頬を赤らめ、
何もそこまで赤裸々に言わなくともいいのにと憤りを感じました。
難儀なことで。黒魔術師は侍従の「お小水も〜」発言に心の中でそう呟き、
王子さまの美茎をしげしげと見つめました。使い込まれた感のある雄々しいそれは、
先端から垂れ流れた先走りめいたもので裏筋を濡らしています。
ちょっと触れただけでこうならば、指を絡め包皮を上げ下げしたら、どんなにか乱れることでしょう。
陰嚢を揉み、鈴口を舌先で抉り、舐めしゃぶった暁には、さぞ見応えのある痴態をさらすことでしょう。
黒魔術師は舌で上唇を舐め、生唾を飲み込みました。
つづく
現在進行形も気になるが過去も気になる…!
続き!続き!
女々しい受け凌辱
メ、メルヘン、GJ…!
どんな病なんだこれは…!
おステキすぎますです、王子。
ホントどんな病気なんだこれはWW
だが素晴らしいではないか
801病本当にありがとうございました
追憶タン、メルヘンタン蝶GJ
物凄く続きが楽しみな作品に立て続けに出会えてかなり嬉しい…!
藤田(ふじた)
野上(のうえ)
藤岡(ふじおか)
浦江(うらえ)
パクんなよ二流。バレバレ
同感。読後感が似てる。
だがメルヘンよりは面白い。
同一人物かと思った
>>544 それは仕方ない
メンヘルは小説と呼べないつまらなさ
ドドクソの三番煎じみたいなくそつまらない電波作品が大杉てウンザリ
雑談はしたらばでお願いしたいのですが…
野上、のがみって読んでた。
>546
メンヘルってどんな童話?
>>545 それはない。
孤島は小説書く上での基礎がきちんとしてる。
だから、まったく別人。それも小説書き慣れてないような。
藻前らが孤島マンセーするたびに
孤島嫌になってくだろが
他の作品も読みたいから黙ってろ
イラカリして木綿ね
孤島タンも鬼畜な藻前らも大好きだよ
552 :
メルヘン 4:2006/10/25(水) 16:44:08 ID:LvA0x9As0
王子さまは身の回りのことを下々のものに任すことに慣れています。
湯浴みのあとは裸体を晒し体を拭かせますし、お召し替えなども更衣の係りのものがいます。
用便の際もお付きのものが二人は控えています。
ひとりは王子さまの便を診て体の具合を確かめる医に携わるもの。
もう1人は王子さまの美肛を清める係りのものです。
もちろん夜の営みをされている間もお側に人が控えています。
(王子さまは病に罹られる前はたいそう色を好まれ、閨に美女を招いては大人の遊びに興じていました)。
そういうわけで、王子さまは薄氷(うすらい)ほどの羞恥心しか持っていませんでしたが、
さすがに勃ちあがった股間を晒し、些細な刺激に感じ入っては
艶冶な喘ぎ声をあげる日々は恥ずかしくて堪らなく辛いようでした。
冷艶だと噂される騎士団の団長は王子さまの乳兄弟です。王子さまが煩われたはじめの頃に、
「(こんな股間では)もう馬にも跨れない」と恥じ入る王子さまの手を取り慰めて以来、
団長はこうなる前の王子さまには覚えたことのない萌えを、病床の王子さまに感じていました。
常に猛り、先走りめいたものを滾(こぼ)している王子さまの股間を見ても幻滅は訪れず、
はしたなく濡れた下着をまざまざと見たのちも思いは崩れませんでした。
団長に限らず城中の者が、病に身を沈めた王子さまのまわりに、
ゆらゆらとたなびいている艶めかしさに気付いていました。
それは、ドラゴンを相手に大立ち回りをしていた王子さまには無い色気でした。
団長は王子さまの股間を診ている黒魔術師を見張りながら、黒魔術師の指が王子さまのご子息に触れ、
病ゆえの感じやすさで、追いつめられた王子さまが短い叫びをあげるたび、
胸の中に冷たい焔が燃え上がるのを感じていました。
553 :
メルヘン 5:2006/10/25(水) 16:44:47 ID:LvA0x9As0
団長の目にも黒魔術師の目にも、間仕切りの向こうの王子さまの顔は見えません。
見えるのは勃ちあがり戦慄いているご子息や、その根本の金色の縮れ毛ばかり。
あとは、せいぜい感じるたびにせつなげに空を掻く二本の脚だけです。
けれども、団長には間仕切りの向こうで浅ましい我が身を呪い、
悲嘆に暮れている王子さまの顔が見えるようでした。
黒魔術師の指が触れた一点に仄めく、欣びのひらめきに王子さまは
恥じ入りながらとろけきった声を上げ、先端を先走りめいたもので濡れに濡らしました。
団長は王子さまの股間を凝視する黒魔術師の目に、自分と同じ好色さを感じ
不快に思いながら、王子さまを診る黒魔術師に厳しい眼差しを向けています。
黒魔術師は王子さまに対する性的関心はもちろん、未知の病に出くわした興奮もあり、
己の術と不可思議な症状との闘いに胸を高鳴らせながら、王子さまの股間に両手を翳しました。
呪文の詠唱がはじまるや否や側に控えていた侍従や団長たち騎士に、ぴりぴりとした緊張が走りましたが、
その術は彼らの知識でも害が無いとわかる高度な内視の術でした。
黒魔術師の目は、王子さまの股間に幾重にもかさねられた呪いの層を診ました。
王子さまの二十歳の誕生日に発動するよう仕掛けられたその術は、
己の力を誇っていた上位の黒魔術師の上をいく老獪なもので、黒魔術師は唖然としました。
黒魔術師はその場を仕切っていた侍従に、握り固めた右の拳をパッと開いて見せながら、
無理に除呪の術を施せば、王子さまのご子息に負荷がかかり爆ぜる旨を伝えました。
そうして術の独創性から見ても、この術は一昨年他界した北の魔術師の手によるものに間違いなく、
あの者がこの世にいない今、解ける者は居ないだろうと付けくわえました。
成功するか否かはやってみなければわからないけれども、あえて、除呪をするならば、
自分の他に高度な再生の術が使える白魔術師を呼び、
呪いを解きながら爆ぜたそこを蘇生をするしかないという黒魔術師に、王子さまは絶句し、
ご子息は身を震わせながら、はらはらと先走りめいたものを流しました。
554 :
メルヘン 6:2006/10/25(水) 16:45:18 ID:LvA0x9As0
侍従は黒魔術師の話に耳を傾けながら、「北の魔術師」という響きに眉を顰めました。
陰険で粘着質なその男と侍従は若き頃、王さまをめぐって醜い争いを繰り広げたことがあります。
王さまが選んだのは侍従でした。(お后さまも知らない二人の不義密通はいま尚つづいています)。
実にあいつらしい、くだらない嫌がらせだ…。侍従は独り心の中で呟き、
王子さまの先端から滾々(こんこん)と湧き出ている先走りめいたものが、死してもなお失せない「北の魔術師」の
王さまへのあふれでる感情のようにも見え、深々と溜め息を吐きました。
どんなに馬鹿馬鹿しい術でも、王子さまを苦しめているのは確かです。
侍従はお助けせねばと心から思いました。
けれども、やってみなければ解けるかどうかもわからない、
王子さまの体に負荷をかけるような除呪は認められません。
そもそも、破裂した陰茎を瞬時に蘇生できるほど秀でた白魔術師はこの国にいませんでした。
黒魔術師は王子さまの股間を見つめ、再度、病んだ美的な塊に手を翳しました。
「北の魔術師」は負けても黒魔術師の矜持が傷つかない最高位の魔術師でした。
だからこそ、黒魔術師は負けてもしかたないと尻尾を巻く気になれず、
(好色な気質も手伝って、)秘術を発動させました。それは一瞬の出来事で誰も止めることが出来ませんでした。
「出すものを全て出せば、多少お楽になるかと思います」
にたりと嗤った黒魔術師の言葉とともに王子さまは、勃ちあがったご子息の先端からキラキラと飛沫をあげ、
噴水のように高く勢いよく白濁を吹き上げました。
「アッー!!!」
侍従も団長も騎士たちも目を瞠り、王子さまの痴態に魅入っていました。
体を灼く快感に息は上がり、頬は赤く染まり、どうにも止まらない噴出に王子さまは泣き叫びました。
体じゅうの潤いが奪われ、鈴口から迸っているようでした。
もう出ない、もう出ないっ、と思ってもなお、そこは枯れることを知らず、いやらしい水状のものを噴き上げ続け、
降りしきる飛沫を浴びながら、王子さまは皆にはしたない姿を見られている己の情けなさを悲しみました。
555 :
メルヘン 7:2006/10/25(水) 16:45:58 ID:LvA0x9As0
出すものを全て出したあとも、王子さまの股間はしぼむことなく、
びしっとした姿勢を保っていました。
黒魔術師は騎士たちにつまみ出され、激射にともなう火照りが体いっぱいに残っている王子さまは、
ぐったりと寝台に身を横たえ、お付きの者に体のあちこちに飛んだ飛沫を拭われながら、
羞恥と被虐と自己嫌悪に心を閉ざしていました。
侍従は王さまのもとへ事の報告に行っています。王子さまの乳兄弟でもある騎士団の団長は、
傍仕えの者や騎士たちを下がらせ、病室に内から鍵をかけると、
王子さまの上半身を隠していた間仕切りをはね除けました。
金色の乱れ髪。体の火照りに潤む碧の双眸。額に浮かぶ玉の汗。
あらわれたのは団長の知っている勇猛果敢な王子さまではなく、儚げな麗人でした。
団長は柔らかな布を取り上げると、王子さまのびしょ濡れの先端にそっと当てました。
王子さまはそこを拭われるたびに金色の頭を振って悶え悶え、乳兄弟を責めました。
病ゆえの感じやすさがもたらす、愉悦に伴う恥ずかしさもさることながら、
傍仕えの者に拭われるのと、乳兄弟に拭われるのとでは決まりの悪さに雲泥の差がありました。
王子さまは剣や勉学や夜の嗜みにおいて、同程度の力量を持つこの乳兄弟に
常に競争意識を持っていました。ゆえにこの病に罹るまでは、時に強がり決して弱みなど見せぬよう心して、
ドラゴンを前に怯まない雄々しい自分や、王族らしい品(しな)やかな自分の姿しか見せてこなかったのです。
なのに、この様にあさましくはしたない姿を見られ、乳兄弟の大きな手が自分の
いやらしく猛ったものを両手で包み、清めているありえなさに、王子さまは心から恥じ入りました。
頼むからやめてくれと懇願する王子さまに、団長は「気にするな」とくり返し、
ご子息と濡れそぼった金色の下の毛を幾度も撫でるように拭きました。
「ンッ、んぅ、あぁー…ッ」
あられもない声を上げる王子さまに団長は加虐心を駆り立てられ、
気がつけば王子さまにのしかかっていました。
つづく
ドド臭がするww
(`・ω・´)つ占=ファブリーズ!ファブリーズ!
文体的に書いてる人同じじゃね?
王子の病気、もう看病という名で人の手にさらされまくり、慰められまくり
羞恥プレイされまくりで治されるといいなと思うけど、むしろ国中の美声年に
ヤマーイが蔓延しまわんかな…ともオモタ。
メルヘン乙!
すごく…すごくエロいです…。
いいね、こういうプライドずたずた系の羞恥責め大好きだよ。
周りに悪意の眼がないところが、かえっていたたまれなくてgoodだ。
おまけに、王子さま総受けで大ピンチだと思ってたら一番の側近が!
実にそそる展開だ…! 続きハァハァして待ってる!
>王子さまは剣や勉学や夜の嗜みにおいて、同程度の力量を持つこの乳兄弟に
>常に競争意識を持っていました。
禿萌えた!
>>559 _| ̄|○ノシノシ
お医者さんゴッコで国中の男に弄り回される王子さま!
美青年限定で801病蔓延! イイヨーイイヨー
てか、メルヘン、乳兄弟の騎士団長モエス!
563 :
追憶 8:2006/10/25(水) 20:49:05 ID:zmaT8eLV0
親の転勤に伴って高2の2学期に転校した俺は、なかなかクラスに馴染めなかった。
仲が良く結束の固いクラスで、人見知りの俺には壁が高かったのだ。
夏休みの思い出を語り合い、体育祭の準備で盛り上がる、その輪の中に入れず、
俺は疎外感に苛まれていた。だから、野上が俺に声をかけてくれたのが嬉しかった。
何かにつけ野上は俺を呼んで、一緒に行動してくれた。言葉にしなくても、
野上が「気楽に行こうぜ」と言ってくれているのがわかった。バスケ部の野上の、
体育会系らしいあっさりした単純さや、底抜けの明るさが、心地良かった。
野上の側で安心してゆっくりと馴染んでいけばいいと、そう思っていた。
11月の修学旅行の宿泊先の部屋割りでも、俺は野上と一緒にしてもらった。
1泊目は旅館の4人部屋、2泊目はホテルの2人部屋。そして、1泊目から、
俺は自分たちの関係が思っていたようなものではなかったことを思い知らされた。
「藤田ってさー、旅行に来ててもマジメなのなー」
俺以外の3人、野上と浜田、佐々木は、こっそり持ち込んだ酒に酔っていた。
止めはしないが参加もしない俺に、たぶん「お高くとまりやがって」と
気分を害したのだろう。野上までが同調していた。
「こいつ、いつもそうだよ。僕は悪いことも汚いことも何も知りませんって、
そんな顔して澄ま〜してんの。優等生やるのってそんなに楽しいかねぇ」
ショックだった。野上に、そんな風に思われていたなんて。
確かに、野上の弾けっぷりについていけなかった時もあったけど、友達の多い野上が
俺1人のノリが悪いくらいで気を悪くするなんて思ってもみなかった。
「カンニングなんてしたことありません、もちろん。必要ないもんなぁ?」
「万引きもしたことないし、隣のお姉さんの着替えも覗きません」
「てか僕、性欲ないんです。オナニーしたことありません」
「オナニーのやり方も知りません」
「え? オナニーって何ですか? 聞いたことない言葉ですけど」
悪ノリして笑い転げる3人に俺はいたたまれなくなり、部屋を出ようとした。
だが野上が俺の腕を掴んで布団の上に引き摺り倒した。跳ね起きようとした
俺に覆い被さって俺の股間を握り、野上は酒臭い息で言った。
「俺が教えてやろうか?」
564 :
追憶 9:2006/10/25(水) 20:49:41 ID:zmaT8eLV0
あの時、もし俺が冷静に「間に合ってるよ」とでも返せば、あんなことには
ならなかったのかもしれない。だが俺はパニックになっていた。友達が、
――友達だと思っていた奴が、急に怪物になってしまったのが、怖かったのだ。
俺は暴れて逃げようとした。それが野上たちを興奮させた。
「おい、お前は脚押さえろよ、脚!」
「これ噛ませとけ」
干してあったタオルで猿轡を噛まされた。下半身をむき出しにさせられ、
後ろから抱きかかえられて、手を掴まれる。嫌がって身を捩っても、
相手を更に興奮させるばかり。
無理矢理に開かされた手で、俺は自分のものを握らされた。恥かしくて、
とてもじゃないけど感じないと思っていたのに、幾度かこすられると
俺のペニスは硬度を増し始めた。異常な状況に、俺も興奮していたのだろう。
「はは、藤田も楽しんでるじゃん? 大きくなってきたよ〜?」
脚を閉じようとしても、膝をわずかに揺らせるだけ。その動きさえ
「よがってる」とからかわれて、俺は抵抗を諦めた。
「はい藤田クン、いい子ですねー。先生の言う通りにしてみましょう」
野上が楽しそうに俺の耳元で言った。俺の手に自分の手を重ねて、
俺のペニスを扱かせようとする。俺は野上の手を振り払った。
どうせ恥をかかされるなら、自分でやった方がマシだと思ったからだ。
野上も俺の意図を悟ったのか、俺の手から離れた野上の手は、俺の肩を
背後から抱きかかえた。俺の肩に顎を乗せて、後ろから覗き込む。
浜田と佐々木は俺の脚を押さえたまま、正面から凝視していた。
悔しさと恥かしさで顔が火照った。意地でも泣くものかと猿轡の奥で
歯を食い縛って、俺は手を動かし始めた。
565 :
追憶 10:2006/10/25(水) 20:50:12 ID:zmaT8eLV0
いつもしている通りに、ペニスを扱き、時々鈴口をいじった。段々に
ペニスが硬く勃ち上ってくる。乱れてくる息を必死に整えた。
「ふぅーん、藤田でも、ちゃんと知ってんだねー。なんか意外」
「興味なさそうな顔してるもんなぁ。淡白っつか清潔って感じ?」
「だから女どもが『王子様』とか騒ぐんだよな。そのわりに全然女に
興味示さないから、どんだけ潔癖なんだよって思ってたけど」
「あ、女には興味ないってか!? だから今、男に囲まれて興奮してるんだ!」
どっと笑い声が上がった。我慢できなかった。俺は浜田と佐々木の顔に
拳を叩きつけ、野上に頭突きを食らわせた。逃げようと思ったのかどうか、
憶えていない。その時は単に、悔しさをこらえられなかったのだと思う。
あっという間に押さえつけられて、布団の上に大の字に組み敷かれた。
もがく俺に、脚を押さえる側に回っていた野上が笑いかけた。
「やっぱり、先生が教えてあげた方がいいみたいだね? こっちに関しちゃ、
藤田クンは小学生レベルみたいだから。大人しくして、言うこと聞きなさい」
野上が俺のペニスを手に取った。暴れたが、両脚の上に1人ずつ座られ、
腕は肘を押さえつけられて、俺の抵抗は完全に封じられていた。
野上が俺を、ジワジワと追い上げていった。酔って興奮しているとは思えない、
ねちっこい責め方だった。反応したくなくてこらえたが、
どうしても腰が動いてしまい、息は上がっていった。
「あれぇ藤田クン。腰がモジモジしてますよぉ?」
「ハァハァ言ってますねぇ? 具合悪いのかなぁ? お熱、測ろうかー?」
「泣きそうなお顔して、どうしたの? いいことしてもらってるのにねぇ?」
途切れなく浴びせかけられる屈辱的な揶揄に、俺は、絶対にこいつらの前では
イクものかと決心した。頭の中に、萎えそうになるものを必死に思い浮かべた。
野上はすぐに俺の思惑に気づいたんだろう。楽しそうに笑って言った。
「いつまでもつかなぁ。藤田クンの頑張りに期待〜」
566 :
追憶 11:2006/10/25(水) 20:50:43 ID:zmaT8eLV0
野上は、俺を勢い良く扱き始めた。裏筋に絶え間ない刺激を与えられて、
俺の意志を無視した体が昂ぶっていった。
「野上、先っぽ先っぽ。さっき、藤田が自分でいじってたじゃん」
「わかってるって。サイッコーに気持ち良くしてやるつもりだからさ」
「おー、我慢汁出てきたぜ。野上、テクニシャンじゃん?」
「つか、親友の手コキでおっ勃つ藤田って、変態入ってね?」
「実は野上に惚れてるんじゃねーの? 男が好きって冗談じゃなかったんだ」
ふざけやがって。悔しくて悔しくて、瞼の裏が熱くなった。
ついさっきまで冗談を言い合って、肩を並べて楽しく喋っていたのに。
友達だと思っていたのは俺だけだったのか? 皆、俺のことをこんなに
馬鹿にしていたのか。俺のどこが悪いんだ? 酒を飲まなかったから?
何もかもが一緒でないと、許してもらえないのか?
「藤田、頑張るなぁ。もうべちょべちょだぜ? 取り繕ってどうすんの。
感じてるんだろ? 素直にイっちゃえば?」
限界まで張り詰めて濡れても必死にこらえている俺に、呆れたような声が
かけられた。うるさい。
「くく、野上が悪いんじゃん? 今イチだってよ、藤田イケねえってさ」
「イキたくない奴をイカせるのは難しいんですよーっと。でもこれじゃ、
イカないって頑張るのに協力してあげる方が親切ってもんですかね?」
そう言うと、野上はいきなり手を離した。
「うっ!」
喉の奥から声が漏れ、腰が2〜3度、ビクビクと揺れた。目を閉じて
歯を食いしばり、苦痛としか表しようもないその波をやりすごす俺に、
げらげらと笑い声が降り注いだ。
567 :
追憶 12:2006/10/25(水) 20:52:02 ID:zmaT8eLV0
「ひっでー野上! お前それ意地が悪すぎ!」
「だって藤田がイキたがらねえんだもんよ。俺って親友だからさ、
藤田の意向に沿ってあげようとか思っちゃうわけ」
射精寸前まで上り詰めたところを叩き落とされて、苦しくてたまらなかったけれど、
それでも俺はイカずに済んだことにほっとしていた。こいつらだって、
もう悪ふざけにも飽きただろう。そう思って俺は疼きを鎮めるのに専念した。
目を開けていたら、3人がどんな顔で俺を見下ろしていたかわかっただろうに。
疼きがレッドゾーンから下がって、息を整え始めた時だった。
項垂れかけていた俺のペニスが、また指で撫で上げられた。
ぎょっと目を見開いた俺に、3人は笑い出した。
「藤田クンってば、もう終わりだと思った?」
「藤田かっわいー! んなわけないじゃんか!」
顔が歪んだ。一度安心してしまって、気持ちが弱くなってしまっていた。
俺は懇願するように首を振った。だが、誰も気にはしなかった。
野上の手の中に戻されたペニスは、あっという間に硬さを取り戻していき、
去ったはずの疼きが腰にこもり始めた。さっきあんなに我慢したのに、
あれをまた繰り返すのかと思うと、助けてくれと叫びたいほど嫌だった。
俺はきっとさっきより情けない顔をしていたんだろう。3人が俺にかける言葉は、
侮蔑の色合いを濃くする一方だった。
「ほらほら、ここ気持ちいいですねー? もっとして欲しいかなぁ?」
「ぴくぴくしちゃってさぁ。やっぱ男の手でしてもらうのが最高って?」
自分でも、どうしてなのかわからなかった。嫌でたまらないのに、
どうしてこんなに感じてしまうのかと。今にして思えば、俺も若かったと
その一言で済ませられる。だがその時は、投げかけられる言葉をまるで
真実のように受け取って、消え入りたいほどの羞恥に苦しんだ。
俺は、同性の級友に扱かれて――それも嫌がりながら扱かれて勃起する、
変態なのかと。
568 :
追憶 13:2006/10/25(水) 20:52:48 ID:zmaT8eLV0
2度目も、俺は反応するまいと抵抗した。その時の俺には、射精しないことが
自分を守る唯一の手段のような気がしていた。それでも、体は言うことを
聞いてくれなかった。どうすれば俺が一番よがるかすぐに覚えた野上に
翻弄され、俺は否応なく追い上げられていった。
だが、もう駄目だと俺が観念しようとした時、また野上は手を離した。
無意識に首を振って腰を捩じらせる俺に、3人は満足そうな笑い声を立てた。
俺は腰を布団にこすりつけた。イキたくはないのに、我慢できなくて、
なんとか中途で奪われた快感を取り戻そうとしてしまっていた。
もちろん、そんな程度では快感など得られず、俺はただ卑猥な動きを
曝していただけだった。そんな俺を眺めながら、3人は残っていた酒を
飲んで、俺を言葉でいたぶった。
「ほらー、藤田ちゃん、もっともっとって腰が揺れてるー」
「そんなに気持ちいいんだ? やめないでってチンポが泣いてるよ」
「あの藤田がこんな淫乱だとはねぇ。皆が知ったら引っくり返るぞ」
腕を押さえていた浜田が、猿轡の隙間から、酒を流し込んできた。
むせ返って咳き込む俺に、また笑い声が上がった。ビールなら少しは
飲んだことがあったが、下戸も同然だった俺にはきつかった。
俺の体が鎮まるのを待って、野上はまた俺を責め始めた。
助けてくれ。やめてくれ。猿轡がなかったら、俺は懇願してしまったかも
しれない。絶頂寸前まで引き上げられては突き落とされる苦しさに、
俺のプライドは崩れかけていた。野上は実際、上手かったのだと思う。
俺のペニスの、取り分けて敏感な部分を選んで集中的に責め、そうかと思えば
一気に昇ることができないように微妙にポイントをずらして刺激した。
快感の波が来ては引き、引いては押し寄せ、その波に乗ろうとするとまた
逃げていってしまう。もう、こらえてなどいられなかった。あまりの
もどかしさに、俺はいつの間にか腰を動かして、野上の手の動きを追っていた。
569 :
追憶 14:2006/10/25(水) 20:53:37 ID:zmaT8eLV0
「おい、何してんの」
そんな言葉が聞こえ、自分に言われたのかと思ったが、佐々木が声を
かけた相手は浜田だった。注意を向けて気づいたが、浜田が俺の頭に
こすりつけていたのは、股間だった。
「だってよ、藤田、めちゃくちゃ色っぺーじゃん。こっちが参っちゃうぜ」
浜田は開き直ったように、ぐいぐいと俺の頭に自分の高まりを押しつけた。
気持悪さに鳥肌が立った。
「お前それで出しちゃったら下着ドロドロって」
「わぁーってるってば」
浜田は俺の片方の肘を自分の膝で押さえ、自由になった手でスウェットの
下を片脚ずつ抜いた。
「お前、藤田よりカチカチじゃん」
「いつでも発射OKよ、俺は」
「頭でこすってから顔射? 口でしてもらったら?」
ギクリと体が強張った。その時点でも俺は、そこまでされるなんて思っては
いなかったのだ。拒絶の意を込めて首を振った。
「藤田はいやだってさ」
「こんだけいい思いさせてもらっといて、ずいぶんじゃねーか。
やめちゃおうか? やめて欲しいんだったよな?」
野上の脅しに、俺は、首を縦に振るべきだとわかっていた。だが、できなかった。
縦に振ろうと横に振ろうと、どんな形であれ、野上たちが俺をいたぶるのを
やめるわけがないとわかっていたせいもある。だが心のどこかで、俺は、
早く果ててしまいたいと、そんなことを思っていたような気がする。
野上に問いかけられた時、俺はまた絶頂に届きかけていたのだ。
じれったい疼きを、どうにかしたかった。級友に辱められているという事態よりも、
体の感覚が、我慢できなかった。
野上はにやにやしながら激しく俺を扱き上げ、俺は絶頂に備えて体を硬くしていった。
だが、野上はまた手を離してしまった。
あと少しだったのに…!
俺は顎を突き出して耐えた。体が勝手にがくがく震えて、止まらなかった。
570 :
追憶 15:2006/10/25(水) 20:54:48 ID:zmaT8eLV0
「どうする? 浜田がフェラ、して欲しいってよ」
野上が俺にきいた。ぼんやりと目を向けると、いつも人懐っこい目を
俺に向けてにこにこ笑ってくれていた野上が、軽蔑を隠そうともせず
口元を悪意に歪めて笑っていた。
どうして? 野上、どうして?
俺の心の叫びなど聞こえないのだろう。野上は、萎え始めた俺をまた
手に取った。幾度でも繰り返すつもりだ。朝までだって続ける気だろう。
腰から全身に波打つ痺れにただ耐えながら、俺はうまく回らない頭で
考えていた。いや、細切れの思考が脳の中を勝手にぐるぐると廻っていた。
浜田を口で慰めればイカせてもらえる。そうは思っても、俺は簡単には
承諾する気になれなかった。体をいじられるのは、無理にされていると
言訳できる。だが口でするのは、俺の意志ですることになってしまう。
俺は、そんな風に思った。強制されていることに変わりはないと、
今ならさっさと開き直れるのに。
野上の手が俺を追い上げている間、浜田は俺の髪だの首筋だのにペニスを
突っ込んで、こすりたてていた。はぁはぁと荒い息が頭上から降ってくる。
浜田が先にイッてくれたらいいと俺は願った。そうすれば、フェラなんて
しなくて済む。だが、浜田もセーブしているらしく、なかなか達しない。
俺の絶頂が近づいた。俺は必死に腰を浮かせ、絶頂を引き寄せようとした。
だが、やはり野上はそこで手を離した。
――気が変になる…!
両脚を痙攣させながら、俺は口を大きく開けた。
猿轡に、手がかかった。
「フェラ、する?」
野上が、俺の先走りで濡れた手で猿轡を引っ張りながら、猫なで声で聞いた。
俺は、頷いていた。
続く
メルヘン乙です。
続き楽しみにしてるよ。
>>558同じ人が投稿したらいかんの?
「私は○○作品を投下した○○です」て言わなきゃダメか?
誰でもいいじゃん。
追憶タンメルヘンタン乙!
まさか両方投下されているとは(;´Д`)ハァハァ
追憶乙です。
>>571 同意だけど、したらばでやって下さい。
ID出るようになったから行きたくないんじゃないの?w
今年も豊作ですな!!
皆さん乙です!
IDじゃなくて、今したらばに陰陽師がいるからではww
きっと、成仏したくないんだよw
アッー!アッー!アッー!
追憶タンメルヘンタン乙乙!
どうでもいいけど「ノガミ」じゃねえの?って思ったw
ノガミでいいんじゃね?
>>543が勝手に断定してるだけでしょ
追憶タソえろす
続きタノシミス
野上の腰の動き描写が素敵スギ
素で間違ったorz藤田です>腰
ゴメソなさいorz
のがみ が普通だ。
582 :
メルヘン 8:2006/10/26(木) 19:49:43 ID:cW38Nrr80
辱めたい。辱めたくて辱めたくて堪らない。
王子さまの乳兄弟である騎士団の長は、艶冶(えんや)な病床の王子さまに強く強くそう思いました。
王子さまは、強いられた長い長い放出を終え、胸を上下させており
夕映えのような火照りを揺曳(ようえい)しています。
達したあとも、病もとい呪いゆえ、萎える事を忘れたご子息はきりりと勃ち、
頂きから「王子さまが迸らせたもの」の名残りが、瀑布のように流れ落ちています。
大きな滝の水のように筋になって垂れ落ちる精を、乳兄弟にやさしく丁寧に拭われるたび、
王子さまの体は跳ね、じわじわと上がる体温に汗を滲ませます。
耐えられない。王子さまは左腕を目のあたりにのせ顔を隠しました。
身を潜めたいほどの羞恥のあまり、男ならば精を射したあと、
必ず堪能できる「陶酔的な幸福感」に浸ることもできません。
王子さまの「心」は、一番弱みを見せたくない乳兄弟に一番見られたくない姿を曝し、
手厚い介護を受けている恥辱に軋んでいました。
王子さまの「体」は、自身を撫でるように拭く布の快さを認めまいとあがき、
王子さまのご子息は、白濁を出し切ったあとの「もう何も出ない苦しさ」に、ぜぇぜぇ喘いでいました。
そのさまは、胃の腑が空で吐き出すものが何ひとつ無いとき、
胃の酸で喉を灼きながら嘔吐するのによく似ていました。
黒魔術師は陰嚢が空になり、滾(もら)すものがなくなれば「猛り」も萎え、
少しは王子さまも楽になるのでは……と考え術をかけたのでしょう。
けれども王子さまにかけられた呪いは凄まじく、
吐き出すものが失せてもなお止まらない吐き気が、王子さまを苛みつづけ、
ご子息は、もはや何も出ない鈴口を苦しげに開閉させています。
「心」と「体」の苦痛に身悶える王子さまの姿は、乳兄弟である騎士の加虐心を目覚めさせました。
583 :
メルヘン 9:2006/10/26(木) 19:50:24 ID:cW38Nrr80
国一番の騎士と誉れ高い団長は、若くして騎士団の長に抜擢されたほどの剣の使い手です。
天性の才能。略して天才。部下にはそう嘯いていますが、
団長は誰にも、「王子さまの乳兄弟(側近)ゆえ出世した」と云われたくない一念で、
剣を己の精神的中軸にするべく、幼い頃から技を磨いてきました。
そんな団長に王子さまが剣で負けるのは当たり前のことでした。
王子さまに求められるのは、嗜みの範疇の剣術です。
帝王学や史学、語学。天文学や音楽、幾何学。馬術や算術、魔術などと同じ学ぶべきもののひとつであり、
ドラゴン退治に行くなどもってのほか。
けれども、こと剣に関して乳兄弟に負けっ放しだった王子さまは、
時間をやりくりし、公務や勉学の合間に手の平にまめをつくり、皮がずる剥けるほど剣を振るい、
己を練り鍛えては、団長に勝負を挑んでいました。
そうして、いつしか騎士である乳兄弟と互角の勝負を繰り広げるほど腕を上げた王子さまは、
ドラゴン退治に出掛け、(満身創痍で)ドラゴンの首を手に帰還するほどの強者になっていました。
「お立場をわきまえてください」と、侍従を嘆かせていたのを団長は覚えています。
そう……、乳兄弟である団長が知っていた王子さまは、負けん気の強い漢(おとこ)でした。
けれどもいま、団長に押し倒されている寝台の上の王子さまには、
勇猛果敢だった頃の面影など、どこにもありません。
王子さまが、忌まわしい股間の病を患って1年強。
筋肉が落ち、ほっそりと痩せた王子さまは、とても弱々しく儚く、
団長の眼には「いまにも風に攫われそうな花」に見えました。
1年前まで団長は、勝ち気な王子さまを「花」に例える日が来るなど、思ってもみませんでした。
団長は、枕の上で乱れている王子さまの「王さま譲りの金髪」を惚けた目で見つめました。
何より、淫らな病(呪い)に蝕まれた王子さまが、
秀でた陰茎を猛らせて喘ぐ痴態に団長はあてられました。
辱めたい、もっとよがらせたいという劣情は、
王子さまの乳兄弟として幼い頃より育んできた、「お守りしたい」という
穢れなく清らかな思いをやすやすと打ち負かしました。
1年前、
国中の名医や妖しい術者が王子さまを診る為、かわるがわる病室を訪れるようになり、
万が一に供え団長率いる騎士団が、診察の際お傍近くに侍ることが決まったとき、
王子さまは、赤く染めた顔をそらし、壁を見つめながら震える声で団長に告げました。
「……お前にだけは、こんな無様な姿をさらしたくなかった」
(思えばあの日から、俺は不純な思いを抱いていたのかもしれない)
団長は自嘲し、あの日以来、自分と決して眼を合わせようとしない病んだ王子さまの
双眸を覗き込もうと、目の上に置かれた王子さまの腕に手を伸ばしました。
肌に団長の指が触れた瞬間、王子さまは震え小さく叫びました。
「……頼む。見ないでくれ」
けれども、団長の大きな手は、筋力の落ちた王子さまの腕を
強引にそこから追いやりました。
そうして王子さまと団長はほぼ1年ぶりに目と目を合わせたのでした。
これもまた「王さま譲り」の碧眼が眼の淵に泪を湛え、団長を見上げたその時、
団長の理性は跡形もなく消え失せました。
残ったのは、辱めたいという熱い思いただひとつ。
団長はいきなり王子さまの美肛に指を伸ばしました。
「あ…」
団長の指がそこに触れた刹那、部屋に小さく響いたその声は
王子さまのものではありませんでした。
「おまえ、ここも濡れてるぞ!?」
団長は王子さまの美肛の襞を右の人差し指でまさぐりながら、感嘆の声をあげました。
「遊び女(あそびめ)みたいに濡れてる……」
王子さまは両手で耳を塞ぎ目を瞑りました。(知られたくなかった……ッ)
それは、王子さまと御殿医だけの秘め事でした。
病もとい腐った呪いにより、王子さまのそこは、遊び女(あそびめ)のあそこのように
「ひとりでに濡れる」ようになってしまっていたのです。
前はおろか後ろまでダクダクと濡れる、あさましい我が身を乳兄弟に知られ、
王子さまは、後から後から込み上げてくる羞恥のあまり「死」を願いました。
けれど願っても願っても「死」は訪れず、そのかわりとばかりに、えも云われぬ心地よさが王子さまの美肛を襲いました。
団長の人差し指の先が、王子さまのそこ埋め込まれたのです。
呪いゆえ、王子さまは入り口が感じるようになっていました。
王子さまは団長の爪がもたらす小さな刺戟に打ち震え、
異物が侵入して来るいままで感じたことのない、生々しさに声をあげました。
王子さまの潤んだ美肛は、団長の人差し指をやすやすと飲み込みます。
「濡れてる。…凄いな。指がふやけそうだ」
王子さまは、まるで貪るように乳兄弟の指をくわえ込み、あまつさえ感じている自身の穴の卑しさを情けなく思い、
たまらなく惨めな気持ちになりました。
けれども下品な美肛は、王子さまのお気持ちをまったく無視して、もっともっとと、団長の指を強請るのでした。
そうしてそれは、その実、王子さまの願望でもありました。
男なのに体に乳兄弟の指が入ってくることを望んでいる自分が恥ずかしく、
2本に増えた団長の指が美肛を押し広げる感覚が気持ちよく、王子さまの心は千々に乱れました。
つづく
メルヘンタン、GJ! GJ!
屈辱の801病ブラボー!
王子さまはこのまま団長に苛められまくってしまうといいよ!
メルヘン乙乙!続きwktk!
しかし読めない漢字がイパーイ出てきて(ふりがな痛み入ります)勉強不足な自分にorz
メルヘンたん乙
ホントこの801病はいいなw
世界中の受けに感染すべきだ
エッロ〜!!!
エロいよぉ、乙乙!
なんて素敵な病もとい呪い!
すばらしい!!メルヘンタン乙!!
美肛という単語が目に入ったとき、何故か現人鬼ハララ様の美御姿(おすがた)
が浮かんでしまった自分…orz
591 :
やおい陰陽師:2006/10/26(木) 22:37:15 ID:G5ZXEOza0
投下します。
したらば雑談スレからヒントを得たものです。
「者ども出あえー!狐じゃ、狐が出たぞ――!」
政の中心地、そのことさら中心の屋敷にて。
とっぷりと夜も更けたというのに、まるで戦場のような篝火が灯り、庭には武装した男どもが罵声を上げていた。
時に叫び、走り、時には刃を翳す男どもの視線の先には、亡とした影が一つ。
屋根を駆け抜け、水面を歩くそれには、流石に都を守る猛者達も手をこまねいていた。
「何をしている、見失ってしまう!」
誰かがそう叫び、番えた矢を走る影に放つ。その姿はまるで月を射ようとしている様で、実に精悍だ。
『ふん、下手糞が』
しかし屋根の上の影は異様に大きな尾のような部分を一振りさせただけで、何と突風を起こした。
「うがっ……!」
跳ね飛ばされた矢は狙ったように、矢を射た男を傷つけた。場が騒然となる。
そして皆が空を振り仰いだ時、果たしてその姿はなくなっていた。
『あーぁ。来たのはいいけど、流石に姫さんは隠されちまってるか』
百年の古狐はため息をついた。屋根から消えた後、人間に化けて屋敷をそれとなく物色しながら。
此処数回は美しい女や金品、御馳走が無防備に放り出されていることもあったが、
流石に警戒を強めたらしく、姫もいなければ飯も金も無い。つまらない。
『かといって、これで帰っても物笑いの種になるだけだな……ん?』
狐は、ふと立ち止まった。簾ごしに、人の声が聞こえたからだ。
身を隠しながらもそっと近付き、間仕切りの隙間からのぞいてみると、
『……これで、いいか』
そこには、美しい青年が一人身悶えていた。
592 :
やおい陰陽師:2006/10/26(木) 22:38:13 ID:G5ZXEOza0
「ぁ……あっ、ひ…」
その身体に薄ぼんやりと纏わり付く、光の帯のようなものを目に留め、狐の瞳が細まる。
『式神……もしかして、こいつが噂の駄目陰陽師か』
狐が幾度となく屋敷に現れても、対峙もしなかったと噂に高い役立たずの陰陽師の噂を聞いたことがあった。
今も式神に身を任せ、狐が出たと騒ぐ屋敷の人間をよそに自慰三昧。
『狐に陰陽師が化かされ、犯される。……面白いじゃないか』
ぺろり、とヒトにあるまじき長い舌で唇を舐め、狐は美青年に忍び寄った。
「ぁあぅ……っ!」
白い蛇の形をした式神が、美青年の後ろの穴をいっぱいに埋めて激しく前後に動いた。
高価そうな衣に身体を斑に埋めた所為で、ちらちらと肌が覗くのが悩ましい。
狐は、そっと傍によって覆いかぶさった。
『狐の跋扈する夜に、一人遊びとは。些か無用心ではございませんか』
「あ、ッ…何者っ……!?」
誰何の声に、狐の細い目がすっと細まる。ふざけた、嫌味なほど丁寧な口調で
『貴方を慰めに参上しました。陰陽師殿』
「ぐ、っ…ぅあっ」
狐の長い舌がべろりと裸の肌を舐めあげ、陰陽師は喉を反らせた。
「あ、ぁっ…」
消え入りそうな声を上げる陰陽師が腰を軽く突き出す。
つるんとした高そうな衣がぺろりと剥げて、蛇の出入りする狭い穴が狐の前に差し出された。
――狐は躊躇せずに、陰陽師の足を抱え上げた。
『据え膳喰わねば、100年生きた者の恥です。頂きますよ』
「お、お前……狐ッ…あああっ!」
はっとしたような陰陽師の声は、ずぶりと沈んだ狐の肉棒に押し出されるように乱雑な悲鳴へ化けた。
593 :
やおい陰陽師:2006/10/26(木) 22:39:12 ID:G5ZXEOza0
「ぁっ…あッん…うあっ…」
『なるほど…ッ、ふ…妖怪退治をさぼって淫行三昧だけあって……いい具合だな』
既に式神を用いてほぐれていた孔は、狐自身を突きこんでもきつい事も固い事もない。
むしろ、狐の化けた姿とはいえ生身のものを呑み込んで、
咽び縋るように絡みつき、さざめき、陰陽師の腰の動きもあって夢心地の境地だ。
百年生きた古狐でも、こんなに具合のいい孔にめぐり合ったことは無い。
どうせ二度と会うかどうか分からん仲だ、やりたいだけやっちまえと、
狐としては老練を極めた古狐でさえ夢中になって突き上げるほど、陰陽師の尻は上出来だった。
「や……狐、抜けッ…ああっ!」
『何を言う駄目陰陽師。狐に欲情しやがって、ケツ締め上げてよく言う』
ケタケタと蔑み笑うと、言葉にも愛撫されたかのように陰陽師が腰を跳ね上げた。
『畜生の雑言も、淫乱な陰陽師様には艶めいた術のようにしか聞こえませんでした――とさ。
ほら、…ッ何とかやってみろってんだ』
そういいながら、一方では刺激をゆるく抑え、静かな水面に漣を立てるような愛撫を繰り返す。
腰の激しい動きを無理矢理押さえ込み、大きく円を描くようにことさらゆっくりと回し、
最後に奥を突きこんでやる。
そして一方では一部だけ変化を解き、ふさふさとした尻尾で腰を撫でたり、
肉球でぷにぷにと肉棒を擦ってやると、
「ん……くぅ…き、狐…」
陰陽師は完全に蕩けた瞳で狐を見上げる始末。
『……なんだ、陰陽師。呼んだから、には……何か用があるんだろ?』
にたりと笑う、狐。それを見上げて、陰陽師は呟いた。
「……も、う…駄目、だ。イか、せて…くれ……」
594 :
やおい陰陽師:2006/10/26(木) 22:40:20 ID:G5ZXEOza0
寝所には高い女のような喘ぎ声と、狐の呻き声、そして体表がざわめく音が絶え間なく響いている。
「狐ぇ…狐っ……!もう…」
『…ッハ……こうなりゃ、陰陽師様も…女と同じか。ククク』
既に変化を殆ど解いた狐が、荒い息をついて哄笑した。古狐の噂としては、陰陽師を犯した話などは上出来だ。
しかもこんなにいい具合なら、これからも狙ってやってもいいかもしれない。
狐は唇の端を吊り上げ、腰を激しく前後に振った。
じゅくじゅくと結合部から滑った音が鳴り、陰陽師の背が反り返る。
『いいぜ、いかせてやる…よッ』
「や、あ、…きつ、ねッ…あ、!ああ、んああッ」
狐と陰陽師の腰が激しく打ち合い、なりふり構わぬ陰陽師の喘ぎ声が切羽詰ったものになり――
『く、ぁッ……!』
「ああっ…」
狐の肉棒から、陰陽師の後孔中に精液が放たれた。
残すことなく子種を注ごうと、狐がその腰を掻き抱いた……その時だった。
『ゥ…?あ、ガッ…あああああ!?』
狐の身体に、思いもよらない刺激が走った。
『な、何だッ!?』
狐は後を振り返った。尻尾を振り上げ、きりきりと痛む尻の孔の方を見下ろす。
595 :
やおい陰陽師:2006/10/26(木) 22:40:56 ID:G5ZXEOza0
そこには思わぬものが鎮座していた。
『へ、蛇……!?』
先ほど陰陽師が自分を慰めていた時に後の孔を出入りしていた白い蛇より、
一回りも二周りも太い大蛇が狐の窄まった小さな穴に頭からもぐりこもうと暴れていた。
『くそ、この野郎……ッ!』
追い払おうと大きな尻尾を振り回すが、先ほどは矢も跳ね返した突風がそよ風ほどにもならない。
とうとう手を伸ばして掴み取ろうと爪を出すと、大蛇が腕に絡み付いて逆に身動きが取れなくなった。
『何だこれ――!く、そ、どうなって』
普段は猛者達の太刀を受けてもびくともしない豪腕に、力が入らない。
何かおかしい。狐が陰陽師を振り返ると、先ほどまでの様子が嘘のように平然と立ち上がった陰陽師がいた。
目がくらみそうな脱力感に視線を落とすと、自分の萎れた肉棒になにやら呪文を描いた文字が張り付いていた。
じわじわと自分の妖力が吸い取られているのを知り、愕然とする。
きっと、陰陽師が自身の肉体に術をかけ、侵入したものの力を奪う術をかける罠にしたにちがいない。
『この野郎、俺を誘惑して捕らえるつもりだったんだな!ふざけるな!!』
白い蛇を引き剥がせずに、逆に囚われていく狐が悔し紛れに叫ぶ。
596 :
やおい陰陽師:2006/10/26(木) 22:41:27 ID:G5ZXEOza0
と、そこで突然陰陽師が叫んだ。
「ふざけるなはお前だ狐!!」
鬼や妖怪も竦み上がる様な声で一括され、狐が驚いた表情で固まる。それをよそに、
「来るたびに誘っていた私を無視して、殆ど適齢期を過ぎた婆さんや幼女まで妖術でモノにして!
身体を張って失敗しただけならともかく、色狂いだと噂を立てられて私はすっごい居辛かったんだぞ!
その上、私の魅力は6○を過ぎた飯炊きの婆さんにも劣ると散々馬鹿にされた挙句に
食事の時に私の白飯に髪の毛が入ってたりとかしたんだ!どうしてくれる!」
『そ、それって概ね俺のせいじゃ……』
「それに、先ほどの醜態は何なんだ!?
乱暴すぎる腰使いに、申し訳程度の言葉攻め、狐という特徴を全く生かせていない愛撫!
それならまだ天狗の鼻プレイとか、鬼の棍棒責めの方がよほど気持ちよかったわ!
本来なら吸取ったおまえの妖力を性に変えて吐き出すところなのに、術の真価も発揮できないうちに終わったわ!」
『け、けっこう善がってたくせに……』
「知るか!せいぜい、護符に精を吸取られて蛇に処女を奪われるが良い!」
『そ、そんな……ぁ、ひ、ぎゃあっ!?』
激しく暴れる狐をよそに、陰陽師は着物を羽織って外に出た。
身体を清め、戻ってくる頃にはあの狐も屈服している頃だろう。
白蛇に貫かれ、吐精しようにもじわじわと力を吸い取られるせいでなかなか絶頂に達しない苦痛に悶える狐。
いずれ骨抜きにして、この屋敷の者に引き渡してやれば汚名も晴れるだろう。
白い顔に浮かんだ笑みは、宵の空に浮かぶ幅の細い月より鋭かった。
597 :
やおい陰陽師:2006/10/26(木) 23:05:19 ID:G5ZXEOza0
ごめんなさい、これで終わりです。
乙です。
やおい陰陽師、思ってたより全然悪いヤツだな〜。
狐とたくさん遊びますように。
陰陽師たん乙!
オチがついてて自分は面白かったよ
陰陽師タン乙!
狐の尻尾に禿げ萌え
いいなぁ尻尾…
やっぱ動物はいい
お見事です。
いきなりキレた陰陽師にワロタ
乙でした。
メルたん、陰陽師たん、
乙です!!
メルたん、どっから読んでもエロくていい!!
1〜11まで、首尾一貫してエロいって凄いwww
陰陽師たん、したらばのあの雑談から、
こんな読み応えあるSSを、さらっと書けちゃうなんて
素敵すぎ!!
604 :
少年Y:2006/10/27(金) 12:41:13 ID:u18bu5Jo0
投下します。
少年が登場します。
拷問要素があります。
ご注意下さい。
605 :
少年Y1/6:2006/10/27(金) 12:42:23 ID:u18bu5Jo0
「僕は、お前なんかに絶対屈さない」
睨みつける少年の瞳に灯っているのは、憎しみと殺意。
ほぉ、と呟くテッドは、腰掛けていた検分台から降り、顔を覗き込んだ。
「ここがどこだか、よく分かっているような発言だな、お坊ちゃまよ」
威圧は込めないが、代わりに胸元のブローチを乱暴に剥ぎ取った。
純金製だ。値踏みした後、テッドは台中央にそれを放り、再度振り返った。
ギラギラ輝く少年の目は相変わらず―――いや、敵意が増している。
テッドの部下二人が押さえていなければ、今にもそれを攻撃に転化し、飛び掛って来そうな獣の色の眼。
「ここは、お前のような仔猫の牙を折るペット・ビューティパーラ………」
「無理して可愛らしい単語を使うな。お前のような薄汚い男には似合わない」
冷ややかな言葉、しかし視線は相手を焼き殺すように熱い。テッドは少年に背を向け、続けた。
「じゃ、包み隠すのは止めるぞ。
ここは生意気な餓鬼を調教する為の、いかがわしくも怪しい場所だ。
お前は一週間の特急コースで送られてきた、依頼主はエウロ………」
「エウロディヌス卿。僕の父と母を陥れ、殺害した腹黒い奴だ」
「そのありがたーい依頼主様は、お前を養子にするからと………」
「陥れた貴族一族を皆殺しにするのは外聞が悪い。養子という形を取り、実際は奴隷に扱い、囲い、反逆の芽も抑える。まさに悪党に相応しい悪知恵」
「天使のエウ何とか卿はだ、仔猫の歯はいいが、将来どんな牙に化けるかも知れん。そう思ったんだろう。牙を飼い主に向けないよう、従順に躾けをって事で、百戦錬磨のテッド様が、ご指名頂い………」
「御託はいい。さっさと始めたらどうだ? 無駄に終る一週間の初日を―――」
今度は少年の言葉尻が捉えられた。激しい拳固の衝突音によって。
606 :
少年Y2/6:2006/10/27(金) 12:43:11 ID:u18bu5Jo0
部下二人は手馴れたタイミングで押さえた手を放し、衝撃を最大限に食らった少年は、石床に背中から倒れ込んだ。
激しい響きと揺れ。比例して少年の痛みも相当なものだっただろう。脳震盪を起こしているのか、身動きままならない少年に、テッドは屈み込み、手馴れた調子で衣服を剥いでいく。まもなく台の上に衣服の山が作り出された。
最後に残った絹のシャツに、テッドが手を伸ばした時、かすかに音がした。
ギリ、と歯を噛む響き。両腕で自分を抱きしめ身を起こす少年。焦点は定まっていないものの、瞳の中に灯らせるものは健在であった。
ただ目の前の人物を焼くだけの、憎悪。
赤く腫れた顎を押さえもせず、身ぐるみ剥がされる恥辱に頬を朱に染めもしない。
「これくらいで、勝ったと思うな」
「お坊ちゃまは気が急いて良くないなぁ」テッドは笑う。「まだ、戦いはスタートラインにも乗ってないんですぜ?」
先程と同じ響きが、石壁に反射する。やや深みがあるその音は、奥歯を噛んだものだったのかもしれない。
テッドの顔つきと口調が、一介の拷問官のものへと変化した。
「立て、希望通りに開始してやる」
宣告するテッドは、部下に手貸しを指示する。だがその必要もなかった。ふらふらしながらも少年は立ち上がる。頼るものは、長い裾が腰まで隠すシルクのシャツ、たった一枚。
「………そういや、お前の名前を聞いてないな。例え家畜でも躾けの時には名が必要だ」
「お前に名乗る名などない」
ふん、と鼻を鳴らしテッドは視界の端で光るブローチに目を止めた。流暢な筆記体で彫られた最初の一文字を読む。
「Y………イ・グレクか。お前の名前はイグレクだ」
答える価値もないとばかりに、イグレクは肩を竦めた。
607 :
少年Y3/6:2006/10/27(金) 12:44:06 ID:u18bu5Jo0
生涯、もとい週涯の友となる手鎖を、イグレクに嵌める。手首を拘束するのは革ベルト。鎖の幅は足を軽く開いた程度。そのまま壁の鋲に吊り下げ、行動を奪う。
最初に命じたのは鞭打ちだった。テッドは椅子に座り、腕を組み部下の一連を見守る。
一撃目は頬から肩に。鞭の軌跡と鋭さと恐ろしさを目に焼きつけさせる初打。
乾いた音がイグレクの右頬をいたぶり、肩の肉を鎖骨までえぐるように皮紐の先端が過ぎていった―――が、少年は目を閉じさえもしなかった、悲鳴を上げる筈の口が、やり返す為にうごめいただけだった。
「凶器を見せて震えるのは下等な動物。打たれ震えるのは克己を持たない愚か者。真に矜持を持つ者はそんなものには屈さないと言うのに―――それを理解せず二打目を振り上げるならば、あんたも愚か者だ」
二撃目はテッドの命令を待たず、左肩から右わき腹へと長い響きの尾を残し、頭に血が上った部下によって行われた。チッと小さくテッドは舌打ちする。
「自ら証明してくれ、ありがとうと言うべきか。力の入り方、熱の篭り方、いずれの動作もその根拠を示す、鞭を振るうしか脳がない愚か者だと」
三撃目。二打目の軌跡と合わさり×形を作るように。柔らかな肌と、何ものも裂く鋭い皮の打ち合う音が、室内にこだました。
「自分のやっている事の空しさも分からない、脳無しか? 無為に皮紐と掌を痛めつける位なら、まだ僕に土下座して『どうか屈して下さい』と頼み込む方が理に叶っているかと」
608 :
少年Y4/6:2006/10/27(金) 12:45:15 ID:u18bu5Jo0
四撃目、それは真横にイグレクの鼠蹊部を打ち抜いていった。
命令違反の部下を叱咤しようとテッドが立ち上がるより早く、一瞬だけ身を捩じらせ苦悶の顔を見せた少年の反撃が先んじた
「全て予測済みだよ………どうしようもないね。
こんな子供に先を読まれるようじゃ。
頭に血を昇らせる、目の前の憎い奴が動けもせず晒している急所………それを狙うのなら、こちらが身構え備えるのは当然。
お陰で、掌の上で踊ってくれた礼を言う余裕はあるよ」
五撃目が翻る前に、テッドは骨ばった手で鞭を持つ部下の腕を留めた。
もう一人の部下に顎をしゃくる。
心得たとばかり黒服は、少年を床に下ろし、検分台のある部屋―――便宜上、検分室と呼ぼう―――の奥にある鉄扉を開け、イグレクを招き入れた。
* * *
609 :
少年Y5/6:2006/10/27(金) 12:46:19 ID:u18bu5Jo0
鉄扉の向こうは、小さな正方形の部屋であった。
石材の壁に窓はなく、奥行きは成人男性が手を広げて二人並ぶ程度。
天井の低く渡された梁には、使い古した鎖や鉤が掛かっている。
壁沿いには布で覆われた得体の知れない器具が並べられ、反対側には水の流れる細い溝と、一塊の藁の山があった。
「用はそこでたせ。藁はどう使おうと自由だ」
部下はそれだけ言って去った。
イグレクが反抗に舌を滑らせるには事務的であり、それに少年自身余り構う時間は残されていなかった。
重い音を立てて扉が閉まる。同時にイグレクの身体は藁に沈んだ。
目を閉じ荒ぶる呼吸を三回。
汗がびっしり浮かぶ掌で、ボタンを外して前をはだける。
胸にくっきりと浮かび上がる赤色のよぎり傷。腫れ上がり、熱をもち始めている。
一度空気に晒した患部は、手が触れるのも布が掠るのも、激しい痛みを以って拒否する。
ジンジンと痺れる下腹部は、麻痺状態が過ぎれば恐ろしい程の苦痛に変わるだろうと、悟っていたがどうにもできない。
610 :
少年Y6/6:2006/10/27(金) 12:47:13 ID:u18bu5Jo0
シャツを腕だけに通し、身体前半分露にした状態で、藁に仰向けに横たわる。
石造りの天井が迫る。同時に闇が忍び寄ってくる。
気温の変化で夜が訪れたと分かる。寒気に身を震わせ、疼く傷に呻きを噛み殺しながら、イグレクは睨み付けた。
ここには居ない、方向も合っていない誰かを。
(このくらいで、負けるものか)
(牙を、持ち続けてやる………)
(噛み付いてやる。卿にも、僕をどうこうしようとする、おこがましい輩にも)
頭部を横向ける。草の匂いに混じって、かすかにシャツからトワレの香りが立ちのぼった。
顔をうずめ、イグレクは泥のような眠りについた。
おお乙!
久々にSMらしいSMになりそうな予感…?
続きwktkしてますぜ
少年Yタン、乙です!
立ちのぼるオー・ド・トワレの香りに萌えっ。
「……ぁ、あ、頼むっっ。抜け、っ、抜いてくれっ」
譫言(うわごと)のように、そう繰り返し、掠れる声で、もう、下がれっ、下がってくれ、
独りにしてくれ……ッ。と、懇願する王子さまに団長は萌えました。
王子さまを苛むことに欣(よろこ)びを感じながら、団長は王子さまの美肛に
また1本指を差し込みます。人差し指、中指、薬指。
3本の指が王子さまの美肛の中でのさばり、思うままに振る舞います。
乳兄弟の指を3本もそこに受け、みっともなく喘ぐ己の姿をおもうだけで、
王子さまの心はいたたまれなさに荒みました。と、同時に王子さまは、
乳兄弟の指に穴を攻められながら、それはそれは興奮していました。
あぁ、気持ちいい……ッ。
堪えきれず艶めいた声をあげながら、王子さまはあさましい己を呪い、
熱い息を吐きました。誰が見ても王子さまは興奮していました。
けれども、王子さまの矜持にかけて、そのような事を認めるわけにはいきません。
王子さまは堪え性のない己を恥じ、病もとい呪いゆえ、感じてやまない穴を恨みながら、
ひっきりなしに濡れる淫らな穴がたてる「いやらしい水音」を聞くまいと、
両耳を塞ぐ手に力を込めました。けれども、どんなにきつく押さえても、手で覆ったぐらいでは
耳に入ってくる音を全て断つことなどできません。
乳兄弟の3本の指が王子さまの穴を掻き回すたび、穴は卑猥な音をたて、
その音に王子さまはより高められ、美肛を濡らしました。
病もとい呪いゆえ、王子さまが感じれば感じるほど、王子さまのそこは潤いを増します。
ぬめりを湛(たた)え、じわじわ柔らかくなっていく美肛に、乳兄弟である騎士団の長は、
冷艶(れいえん)な笑みを浮かべました。
団長は、必死に耳を覆っている王子さまの右側の手に口元を寄せると、
手の甲越しに聞こえるよう、王子さまに言いました。
「すごい音だな。……濡れすぎだ。とろとろしてる」
きつく目を瞑り、顔を赤らめながら王子さまが恥じ入れば恥じ入るほど、
王子さまの穴は淫らに濡れ、王子さまを悩ませました。
団長は、苦悶する王子さまの顔を見下ろしたあと、耳を塞いでいる右手の甲に口付けをひとつ落としました。
突然の接吻に王子さまの体が跳ね上がり、美肛が内に含んでいる3本の指を締めつけます。
団長は微笑み、指を締めつけたお返しとばかりに、3本の指を激しく蠢かしました。
ひときわ深く鋭く、奥を穿つのは中の指でしょうか。
どの指よりも小賢しく、そこかしこをまさぐっているのは人差し指でしょうか。
物足りなさを覚えるほど、ゆかしい動きをみせるのは薬指でしょうか。
ばらばらに動く3本の指に王子さまは、あられもない声をあげました。
「あーっ!んぁ、あ…ぁッ」
(いい…っ。気持ちいい。気持ちいい……ッ!!!)
苦悩の中で王子さまは、団長の指がもたらす快感に酔いしれ、
ごく僅かだけれどもまだ残っている「脳の奥の冷めた部分」で、己の痴態を深く深く恥じました。
団長の硬くしこった陰茎が王子さまの美肛の入り口に触れたとき、
王子さまは、「乳兄弟の陰茎が入って来ることを望んでいる自分」を感じ、打ちのめされました。
団長は凛々しい勃ち姿を見せている王子さまのご子息を揉み、陰嚢を転がしながら
王子さまの美肛を押し広げ入ってきました。
王子さまは病もとい呪いで、床に伏す前は自他ともに認める好色家でした。
けれども異性としか床を共にしたことはなく、(知識としては知っていましたが)男と繋がるのは「はじめて」です。
はじめての陰茎は、あまりに痛くて、あまりに気持ちよくて、
王子さまはあんあん声を上げてしまいました。
団長は腰に勢いをつけ、王子さまの奥まで突っ込んできます。
団長の陰茎のどこより太い雁のあたりが美肛を「通った」とき、王子さまは快哉(かいさい)を叫びました。
(入れられてしまった……ッ)。
男の己が男の乳兄弟に陰茎を入れられ、歓びの声を上げている。
そのあさましさ、情けなさに王子さまは身悶え、恥じらい、淫らな己を呪いました。
けれども体は正直です。
火照った体は、美肛が乳兄弟の陰茎で埋まっていることに幸せを感じていました。
「……ああ…」
王子さまはせつなさに満ちた溜め息をつき、感じるまま美肛を濡らします。
ぐずぐずにとろけ、ぬめり、濡れに濡れる王子さまに団長は目眩を覚えました。
(どんな遊び女(あそびめ)よりも具合がいい……!)。
団長は、王子さまの形の良いお尻が腫れ上がるほど腰を打ち付け、
美肛が張り裂けそうな勢いで出し入れしました。
「後ろだけで果てさせてやる」
団長の言葉通り王子さまは後ろだけで果てては達し、達しては気を遣り、
気を遣っては果て、繰り返し繰り返し絶頂をみました。
いわゆるMO。和製英語で云うところのドライオーガズムです。
王子さまはご子息を濡らさずに繰り返し果てつづけ、ご子息を濡らさないかわりに、
美肛を襞までぬるつかせ、淫らな雫を下垂らせながら絶頂を極めました。
「あ、あ……んぅ」
病もとい呪いゆえ、世界中の誰より感じやすい美肛を持つ王子さまは、
精の迸(ほとばし)りを伴わず頂きに登り詰めながら、恐ろしいほど悦(よ)く、
消え入りたいほど恥ずかしい快感に泣き咽びました。
辛い。悔しい。快い。
(俺は腐ってる……)
びしょびしょにお尻を濡らしながら、王子さまは悶え、恥じ入りながらも耐えきれず、
下半身を揺らして団長の腰の動きを追いました。
団長は王子さまと深く深く交わりながら、何度も何度も王子さまをドライでいかせ、
王子さまがイッたそばから、王子さまの摂護(せつご)の腺を
団長の亀頭でがんがん擦り上げました。栗の実大のその腺は男の泣き所。
どんな屈強な戦士もそこに刺戟を受ければ陰茎を掴んで悶えます。
況(いわ)んや腐った呪いに蝕まれている王子さまをや。
「あ……あ、あっ、あぁーっっっ」
喜びの果てを見た王子さまは、いまにも正気を失いそうです。
達しそうな自分を律し、腰を振り続けていた団長は、そろそろ…、と思いました。
団長は心地よい王子さまの美肛の中で勢いよく精を放ちました。
そうして陰茎から白濁をダクダク出している最中(さなか)に、
王子さまの美肛からそれを引き抜き、まず王子さまの姿勢の良いご子息と陰嚢に
迸らせているものをぶっかけ、最後に王子さまの顔に白い雨を降らせました。
王子さまは団長が去っていった美肛に寂莫感(せきばくかん)を覚え、
股間や顔に白濁を受け、汚されたことに陶酔的な心地よさを感じた自分に、嫌悪の情を感じました。
「口を開けろ。くわえて、啜れ」
団長は王子さまの美肛の中の「ぬめり」で濡れそぼった陰茎を、
王子さまの口元にもっていくと、先端で王子さまの唇を撫でながら、
根本までくわえて、白濁の残りを吸うように命じました。
弱々しく首を振る王子さまを嗤い、団長は王子さまの股間に手を伸ばすと、きりりと勃っているご子息を扱き上げました。
「……ぁ、あ」
病もとい呪いゆえ、感じやすくなっている王子さまは、その気持ちよさに声をあげ、
団長は開いた口に陰茎を収めました。
「吸え」
親指の腹でご子息の鈴口を撫でられながら強いられ、王子さまは、強すぎる刺戟に朦朧としながら
ちゅうちゅうと音をたてて、乳兄弟のおちんちんの先っぽを吸いました。
つづく
>(俺は腐ってる……)
今更ながらに自分のことを言われたようで素でドキッとした。
呪いだったのか。どんなステキな恨みを買ったんだ王子様。無理強いフェラ萌え。
すさまじくドド臭がする
617さん
6話に書いてるよw
王さま(王子さまのパパ)に振られた「北の魔術師」のハライセww
メルヘン、何だかすごく笑い萌える
そして新作、少年がこれからどうなるのかwktk
621 :
追憶 16:2006/10/27(金) 21:31:25 ID:p0rZ+a0p0
浜田が机に座って膝を広げ、俺はその前に膝をついた。俺の後ろには野上が
座って、俺の脚の間から手を入れて、前をゆるゆると嬲り続けていた。
佐々木は離れて酒を飲んでいたが、俺を見てにやにや笑っている。
浜田のペニスは、既に天井に向けてそそり立ち、先走りで濡れていた。
そのグロテスクさに、俺は思わず顔を背けてしまった。
「おら、さっさとやれよ」
浜田が俺の髪を掴んで引き寄せて、俺の口にペニスを押し当てた。
「藤田、もっとこっちで遊んでからにする? 俺は構わないぜ?」
呑気な声をかけて、野上は、からかうように俺のペニスを引っ張った。
俺がおずおずと開いた口に、ペニスが押し込まれた。生臭さに吐き気がこみ上げた。
えづくヒマも与えられず、髪を掴まれて動かされる。
「舌、使えよ。何のためにしゃぶってんだよ」
そんな事を言われても、どうすればいいのかなんてわからなかった。したことは
もちろん、されたことだってなかったんだから。それでも、想像力を働かせて、
必死に舐め、吸った。浜田が俺の髪をいじりながら笑って言った。
「藤田くらい顔が綺麗だったら、フェラさせてもOKだよな。下手だけどさ」
「ある意味、女にさせるより面白いよな」
野上が同調して笑った。おそらく、同級生の男に性行為を無理強いしていると言う
事実が、あいつらにとっては興奮を掻き立てるものだったのだろう。
実際、浜田はたいして時間もかけずに射精に至った。吐き出そうとしたが許されず、
頭を押さえられて、すべて飲みこまされた。
うずくまって吐き気をこらえている俺を、野上が仰向けに転がした。
「さて、ちゃんと浜田をイカせたことだし、ご褒美あげなきゃな」
「やめてくれ…」
俺は体を折った。体はまだ火照っていたが、それ以上に、気分が悪かった。
それでも野上は俺の体を上向かせ、脚を開かせた。前の週、熱があるのに
体育の授業に出ようとした俺を、やめておけと心配してくれた野上が。
俺は、腕で顔を覆った。その腕は、佐々木が引き剥がした。
「顔が見えなきゃつまんねーんだよ」
心はどうしようもなく冷えていたのに、体にくすぶっていた火は野上の手で
あっさりとかき立てられた。
1時間前までは友達だったはずの奴らの嘲笑の中で、俺は射精した。
622 :
追憶 17:2006/10/27(金) 21:32:05 ID:p0rZ+a0p0
野上の絶叫に、俺の意識は現在へと戻ってきた。野上の肛門をほぐしていた男が、
挿入を始めていた。
「やめろ、やめてくれ、頼む、頼む、やめてくれ!」
上擦った声で繰り返している。そんなにパニクるほどのことだろうか。どうせ
俺と寝る気だったくせに。そりゃ当然、俺に突っ込むつもりでいたんだろうし、
きっと今までどんな男と寝てもネコはやったことないんだろう。
好きでもない男と寝ることくらいなんでもないはずの野上が、ああまで嫌がる
理由なんて、それくらいしか考えられない。
野上の尻を抱え込んだ男は、野上の懇願を一顧だにせず体を進めていく。
そうする間にも、他の2人の男は野上の乳首を舐めたり、ペニスをいじったりと、
色々ご奉仕してやっている。至れり尽くせりじゃないか。文句を言うな。
ペニスを尻にすっかり埋め込まれた野上に、男たちは「貫通式」と声をかけて
拍手した。野上が呻き声を上げてすすり泣き始めた。男らしく整った顔が
屈辱に歪んでいるのが陵辱者たちの興奮を煽っていると、傍目にもわかる。
野上の膝を思い切り押し広げて、男がゆっくりと腰を前後させ始めると、
野上はまたヒィヒィと悲鳴を上げ始めた。笑い声が上がる。
「痛くないでしょ〜? でも、いい声だね。かわいいよ。もっと聞かせてよ」
野上を犯す男は、野上をなだめながら、少しずつ動きを大きく早くしていく。
なるほど、あの男の『態度は強引で自分勝手でも、行為自体は上手くて丁寧で、
痛い思いをさせない』との評判は、嘘じゃないみたいだな。
野上、お前はラッキーなんだぞ。
623 :
追憶 18:2006/10/27(金) 21:35:17 ID:p0rZ+a0p0
3人に嬲られたあの夜、俺は野上や佐々木のものまで咥えさせられるものと
覚悟したが、そうはならなかった。佐々木は酔っぱらって眠り始めていたし、
野上は俺をイカせただけで飽きたようで、俺はそのまま布団に押し込まれた。
身も心も疲れ果てていたが、眠れなかった。
3人が寝静まったのを見計らって俺は部屋を出て、ロビーに行き、
ソファに横になった。一睡もできなかったのは、寒さのせいではなかっただろう。
朝になって従業員に追いたてられた俺は部屋に戻り、隅にうずくまっていた。
やがて目を覚ました3人は、何事もなかったかのように俺を朝食に誘った。
目を合わせたくもなかったが、負けたくない一心で、正面から見据えて断った。
3人が出ていった後、俺は担任の部屋に向かった。その夜の部屋割りを変えて
もらいたかったのだ。負けたくないと言ってはみても、あんなことがあった
翌晩に、野上と2人きりの部屋で寝るなんて考えられなかった。
だが、担任の山下には却下された。俺が本当の理由を言えなかったからだ。
「ちょっと喧嘩したくらいで、なんだ。いつも野上にくっついてるくせに」
そうだ。周り中がそう思っていたし、それが事実だった。俺が野上に
くっついていたのだ。
だから? 俺がもう嫌だと思っても、周りはそれを認めないのか?
あと2日の辛抱だ、今夜さえしのげば明日の夜は自宅で眠れる。そして学校で
もう二度と野上と関わらなければいいだけの話。自分にそう言い聞かせて、
俺は自分の部屋に戻った。
朝食から帰って来た3人は、出かける用意を済ませた俺をちらちらと見た。
何か言いたそうだと思っていたら、野上が切り出した。
「お前さ、山下に余計な事言うなよな。昨夜何かあったのかって聞かれたぞ」
余計な事だと? どこをどう押せば、お前と顔を合わせたくないと言うのが
余計な事だという言葉が出てくるんだ。
「まあ俺が上手くごまかしておいたけどさ。あれがばれたら、お前だって
気まずいだろ。てか、あんなのただの冗談なのに、なにマジで怒ってんの」
浜田と佐々木も、呆れたように俺を眺めている。
実際に辱められていた時よりも激しい怒りがこみあげた。
こいつらは、自分が俺に酷いことをしたと言う自覚がまったくないのだ。
624 :
追憶 19:2006/10/27(金) 21:35:48 ID:p0rZ+a0p0
怒鳴りつければ感情をコントロールできなくなるとわかっていたから、
俺は努めて平静な声を出した。
「冗談で済むと思うのか。ざけんなよ。許さねーからな」
3人は俺の様子に少したじろいだ。だが、それは一瞬のことで、
野上が笑いながら言った言葉で、緊張していた場の雰囲気は和んだ。
「許さないって、お前、どうするわけ?」
クスクス笑う3人に、俺は返せる言葉を持っていなかった。
俺が許そうが許すまいが、こいつらにはどうでもいいことなのだ。
泣きながら殴りかかりたい衝動を、全力でかき集めた理性で抑え込んだ。
俺にできたのは、負け惜しみの見え透いた捨て台詞を吐くことだけだった。
「笑ってろよ。思い知らせてやる」
俺は自分に何もできないことを知っていた。俺にできるのは3人と縁を切ること
くらいだった。そしてそんなもの、相手には何の損失でもなかったのだから。
だが、俺が思っていたよりも3人は――少なくとも佐々木と浜田は、
小心者だった。俺の捨て台詞を真に受けたのだろうか。悪いことをしたとは
思わなくても、まずいことになったとは思ったらしい。
寝不足と疲労でフラフラになり、具合が悪くて昼食も摂れない俺を、
佐々木と浜田は妙に気遣った。それは俺の怒りを増すばかりだったが。
その晩の宿泊先はホテルだった。夕食を食べながら、各クラスの出し物で
パーティー。俺はそういうのを馬鹿にする方だと思われていたらしいが、
実のところ、結構楽しみにしていた。前の晩までは、楽しみにしていたのだ。
だがその夜はそれどころではなかった。精神的に参っていたのもあるが、
肉体的な限界が来ていた。疲れ果てていた。だるくて、頭が重かった。
朝から何も食べておらず、空腹は感じるのに、目の前に並べられた
食べ物の匂いに吐き気を催した。どうせ、食事や出し物を楽しめる気分じゃない。
俺は山下に、具合が悪いので部屋に戻ると伝えた。山下は不機嫌になった。
「お前は本当に協調性がないな」
信じていないと言うわけだ。山下なんぞにどう思われても良かった。
野上たちが俺にどう思われても構わないのと同じことだ。
625 :
追憶 20:2006/10/27(金) 21:37:31 ID:p0rZ+a0p0
売店で買ってきたゼリー飲料を半分だけ無理に腹に入れてから、
俺はシャワーを浴びてさっさとベッドに入った。野上と2人きりの
部屋が嫌なら、野上をいないものとして扱えばいいのだ。
野上が帰る前に寝てしまって、朝は野上よりも先に起きて用意を済ませ、
バラバラに朝食に行けばいい。明日には家に帰れる。
昨夜と同じく神経は昂ぶったままだったが、体の疲れに勝てないのか、
横になって間もなく、俺は眠りに落ちた。
目覚めは快適なものではなかった。眠りが深い時だったのだろう。
泥の中から引き摺り出されるような苦しさに、俺は唸りながら目を開けた。
目の前に、野上の顔があった。
覚醒しきらずに呆然としている俺に、野上は笑いかけた。
「よっぽど疲れてるんだな。ここまでされても目が覚めなかったんだから」
言われている言葉の意味を探ろうと俺はベッドの上を見渡し、固まった。
俺はほぼ全裸になっていた。残っていたのは、腕から引き抜かれかけている
長袖のTシャツだけだった。跳ね起きようとした俺を、野上が押さえつけた。
「野上っ…? 何をする気だ?」
「今さらだろ。そこまで純情ぶるなよ」
野上が俺のペニスに触れた。全身に悪寒が走った。もういやだと体が叫んだ。
野上を突き飛ばそうとしたが、腕を掴まれた。まだシャツが絡んでいて、
うまく動かせない。野上は舌打ちをすると、俺の腕をTシャツの袖で縛った。
「野上、やめろ! 大声出すぞ!」
「出せよ。誰も来ないよ。まだ宴会始まったところ。このフロア、無人だぜ」
野上はせせら笑いながら、俺を押さえつけた。脚の上に座られ、一まとめに
された手首を押さえられたら、動くこともできなかった。
ただでさえ野上は体が俺より一回りも大きい。加えて俺は体調が絶不調。
抵抗したくてもできないも同然だった。
626 :
追憶 21:2006/10/27(金) 21:38:14 ID:p0rZ+a0p0
俺の体を撫で回しながら、野上が話しかけてきた。
「お前さ、佐々木と浜田、怒らせたよ? 謝ってんのにって。ま、あいつら
そんでも気が小さいから、お前がばらすんじゃないかって気にしてんのな。
ばらすわけないって言ってんのにさ。あんなの、軽い冗談でした〜で
済んじゃうことなのに、大袈裟に騒いだらお前が恥かくだけじゃんか、なぁ?」
俺は野上を振り落とそうともがきながら、言い返した。
「ばらすのもいいな。お前らだって恥をかくんだ。俺だけじゃない」
「いや、お前だけだね。恥かしいことをしたのもされたのも、お前だけ。
だいたい、最後はお前が自分でするって言ってフェラしてたんじゃんか。
おまけに、今頃浜田と佐々木が楽しい噂を広めてくれてるしな」
俺ははっと動きを止めた。
「噂? 噂って、なんだよ。何を言い触らしてる?」
「お前が俺に依存しきって独占欲丸出しだって。でも俺がつれないから、
拗ねて同室を拒否したり夕食ボイコットしたりして、俺の気を引いてるって。
俺は今、具合が悪いと言うお前の嘘に騙されて、晩メシもそこそこにして
見舞いに来てるらしいよ」
怒りで目の前が赤くなった。
「貴様ら…っ!」
「だから、ばらしたってお前に不利だよ。諦めろ」
ぎりぎりと歯噛みする俺に、野上はなだめるような笑みを向けた。まるで、
聞き分けのない子供に大人が困っているかのような。
動きを忘れていた俺の体を、野上はひょいとひっくり返した。
「けど、まだ浜田と佐々木が心配してるから。だめ押ししとこうかと思って」
「なに…?」
「オナニーにフェラくらいなら、ばらしても恥かしくないかもな。
でも、これはどうかな?」
野上の指が、俺の肛門を這った。
627 :
追憶 22:2006/10/27(金) 21:42:07 ID:p0rZ+a0p0
怒鳴ろうとしたが、頭を押さえられて、顔を枕に押しつけられた。
「ばらしたきゃ、ばらせよ。俺は、お前から誘ったんだって言うから。
レイプだったらわざわざこんなもんまで用意しませんでしたって言うからさ」
枕からむりやり上げた目に、ベビーオイルのボトルが写った。
オイルを塗られ、頭を押さえつけられたまま後ろから野上に腰を抱えられて、
俺は歯を食い縛った。
野上は、一息には入ってこなかった。ゆっくりと、少しずつ入ってきた。
それが俺への気遣いだったのか、それとも初めての経験に対する戸惑いだったのか、
俺にはわからない。その時の俺には、その慎重さは俺を嬲るためのものだとしか
感じられなかった。引き裂かれる痛みと共に穢れを埋め込まれていく屈辱。
抗うこともできずに、声を立てないことだけが精一杯の強がりである無力感。
それを俺に充分に味わわせるために、野上はゆっくりと俺を犯しているのだと。
鋭い痛みが走り、皮膚が切れたのがわかった。それでも野上はやめなかった。
最後まで埋め込んだのか、野上は一旦動きを止めた。その姿勢で野上は俺から
両手を離し、トレーナーとシャツを脱いでいる。俺は顔を上げて酸素を貪った。
野上が覆い被さってくる。密着した肌は、既に汗ばんでいた。
「のが、のがみ…っ、やめろ…」
「ここまで来てやめたって仕方ねーじゃん」
俺の肩と腰を押さえて、野上が動き始めた。目から火花が出るという表現が、
実感としてわかった。あまりの痛みに、総身に鳥肌が立った。
「いた、痛い、痛いっ、野上、やめてくれ、痛い…!」
「すぐ慣れるって。ちょっと我慢しろよ。力抜けば痛くないってさ」
俺は大きく首を振った。繰り返し横に振った。否定の意を伝えたかったのか。
単にいやだと伝えたかったのか。はっきりと覚えてはいない。その時ですら、
自分でわかってはいなかったに違いない。
野上に揺すられながら、俺は吐いた。胃の中で溶けたゼリーが胃液と混じって、
苦甘い味がしたことを覚えている。野上が「おいおい、大丈夫かよ」と
的外れな言葉をかけながら俺の背中をさすった。
野上が果てた瞬間も覚えている。俺を背後から抱き締めて、野上はイッた。
628 :
追憶 23:2006/10/27(金) 21:43:00 ID:p0rZ+a0p0
次の記憶は、翌朝だった。
目に映っているものが、隣のベッドですやすや寝ている野上だと気づいて、
俺は寝返りを打った。全身の筋肉が痛んだ。頭が痛かった。それから、
自分が熱を出していることに気づいた。動くことさえつらかった。
目覚めた野上は、俺の着替えまで手助けようとした。
「俺のせいなんだから、遠慮するなよ」
野上の声に、からかいの色はまったくなかった。野上は本気で俺を心配し、
手を貸そうとして、優しい言葉をかけてきた。気遣わしげな目も、
明るい笑顔も、学校でいつも見ているのと同じだった。俺の頭がおかしいのかと
不安を感じたほどだ。現実と悪夢の境がわからなくなった気分だった。
俺は野上の存在そのものを拒否し、無言で無視して、自分で用意を済ませた。
その日も結局、俺は朝食を食べる気になれなかった。それに気づいていた
学級委員が集合時間になってから知らせるまで、山下は俺に注意を払わなかった。
「そう言えば顔色が悪いな。まだ具合が悪いのか?」
取って付けたような山下の言葉を俺は聞こえない振りをした。どちらかと言えば
大人しくて従順だと思われていた俺のその態度に、山下が戸惑っていた。
「先生、俺が気をつけてますから。ゼリー飲料とか飲んでるし、大丈夫」
後ろから聞こえてきたのは野上の声だった。怒りで後頭部がすぅっと冷えた。
だが、怒鳴りつけたり走り去ったりする気力も体力も、残ってはいなかった。
帰路、俺の隣には常に野上がいた。手のかかる俺の世話を焼く親友という位置で、
野上は俺を見張っていた。見張っていたはずなのに、野上は実際、甲斐甲斐しく
俺の面倒を見た。俺の鞄を持とうとし、2人しかいない場所でも俺に
椅子を勧め、薬や飲み物をあてがおうとし、体調を気遣う言葉をかけた。
距離を取って様子見をしている佐々木や浜田よりも、野上の方が気味悪く、
恐ろしかった。
続く
何このグルメ食い放題フェアー
萌えの連続でヤバス
皆さん乙です!
禿しく乙!!
メルヘン、汁気が多くて好みだ
三人三様の貫通式w
王子 おめ!お幸せに!
藤田 かわいそうに…
野上 ザマアミロw
洋食、和食、中華、豪華食べ放題乙!
632 :
風と木の名無しさん:2006/10/27(金) 23:08:58 ID:9RGvnJj9O
触手モノ書いていた方、続編ないかなあ。
できたら廃人になるあたりを読みたいっす。
お願いします。
633 :
風と木の名無しさん:2006/10/28(土) 00:04:45 ID:UpyFQyxFO
このスレ読んで興奮しちゃって
旦那とやってきました。
もち一方的に攻めていただきました
御三方、乙です!!!
メルたん、相変わらずエロくていいっw
汁ダク、超好みですww
少年たん、調教たのしみ!追憶たん、もっと野上を泣かせてくださいw
635 :
少年Y:2006/10/28(土) 07:44:10 ID:s+HJz10v0
投下します
少年が登場します。
拷問要素があります。
後半、食べ物(芋)描写あり。
ご注意ください。
二日目。
「重みで精管を潰す可能性がある。つまり早い話が種なしになる危険を伴う、だから………」
天井から吊られたイグレクは跨がされている木馬―――逆V字型の背を持つ、純粋に痛みを与えるだけのもの―――に接する瀬戸際の位置で、怯みもせず辛辣に言葉尻を取った。
鎖の端を持ち、その高さを保ったまま、説明するテッドに向かって。
「小難しい言葉での説明ありがたいね。
さぞかし脳細胞を消耗しただろうと想像はするが、同情はしない。
説明内の矛盾に気付かない位の愚か者には、そんなもの空しいだけだ。
そして、お前が賢く聡しい頭の持ち主で、医学的知識に基きその説明を唱えるなら、それはただ知識人の仮面を被った変態だ。
止めればいい、降ろせばいい。
危険を知りながらその選択を取らないお前は、ただ人が苦しむのを見たいサディストなのだろう?」
一端言葉を切るイグレク。反応を待つが、テッドは目を伏せこう言っただけだ。
「無理はするな。限界になったら、呼べ」
そして、鎖を放す。天井からの鈍い音と共に少年の身体が落ちた。
聳え立つ鋭角の頂点へ、全体重を掛けて。
同時に、鉄扉の重い音が響いた。テッドが退出したのだ。
ただその閉まる音を捉えていたかどうか。
見物するでもなく責めを加えるでもなく立ち去るテッドに、疑問を抱く暇があったかどうか。
もし、少年の心に「痛みが百に達したら、無理せず呼ぼう」と弱気な部分があったとしても、既にその値は突破していた。
「………っ、くぅ」
奥歯と前歯を同時に噛み締める間際、唇を真一文字に引き結ぶ刹那に、苦痛の呻きは外に漏れてしまった。
誰も居ないのは幸いであったが、果たして二つ目を逃さずにいられるかどうか。
鈍い木製の刃が、少年を切り裂こうと足の間から責め苛む。
鈍重で、斬る、とは無縁に見えるその凶器は、しかし刻一刻と肉体の隙間を埋め、飽き足らず更に奥へと蹂躙する。他ならぬ少年自身の体重によって。
一度天井へ伸びる鎖を掴み、上体を持ち上げようと試みたが無駄であった。
掌は苦痛に滲む汗がびっしりと浮かび、たとえ一瞬でも身じろぎしようものなら、耐え切れない激痛が股間を襲う。
じっとしているのが、この拷問器具に対する適切なやり過ごし方であるが、それも時間の問題。
刻一刻と柔肉に食い込み、割れ目から入り込もうとする木馬の先端。
幸い………というべきか、両足は固定もされず重石もつけられていなかった。
胴の両側を強く膝で抑え、それ以上の侵入を阻もうとする努力もまた、時間の問題。
額から脂汗がとめどなく流れる。全身が痙攣し、唇が悲鳴の形を作り出す。
それでも最後の一線が喉の通過を許可せず、音にさせない。
(負ける、ものか………)
一般男性がこの責めに耐えられるのは、せいぜい数十分から半時間だと言われている。
イグレクはその平均所要の、何倍も耐え抜いた。
が、悲しいかな成長過程にある少年の体躯は、長時間の不自然な体勢に、その身を以って抵抗した。
弦が切れるような響きが、右脛に発した。
途端、今までとは比較にもならない痛みが、そこからイグレクの全身を貫いた。
グラリと身体が傾く。
鎖は腕だけを支え、いびつに歪む肩を、前のめりになり更に柔らかな部分を蹂躙される急所を、見殺しにした。
激しい苦しみに少年が意識を手放すのと、痛みに迸る絶叫は殆んど同時であったから、結果的に少年の矜持だけは守られたとも言える。
気が付くとイグレクは床に倒れていた。木馬からは下ろされているらしい。
白く霞む意識を振り払い、起き上がろうとする。
途端右足に走る痛み、そして違和感。
ぼんやりとした視界に神経を集中させると、見下ろすテッドと、
彼の骨太い両手がイグレクの右脛に添えられているのが分かった。
「さ、触るな!」
叫んだ先には続きが山ほどあったが、舌が絡まっていた。
逃れようと身体を這わせる動作にさえ、右足はついて来なかった。
そこだけ自分のものではなくて、けれど痛みを司る神経だけは繋がっている。
そんなお荷物の右脛は激しく疼き、少年の顔を強張らせた。
テッドは黙って屈み込み、浮き上がる骨の横、
痙攣し続ける筋を親指でそっと押し、それから両手を添えてゆっくりと揉み始めた。
血が出るほど強く唇を噛み、一言も漏らすまいと顔を歪めて睨みつけるイグレクだが、間もなく右足に感覚が―――痛みはあるが、それは徐々に引いていく潮だと思える感じが―――戻ってくるのが、温かい掌に包まれ、分かった。
十分感覚が戻った時、イグレクは両手を蹴り飛ばすようにして、右足を自分の元へ引いた。
払われた掌を腰に当て、白い布を取り出しながら、テッドは静かに言った。
「足を開け」
「何言ってるんだ、この変態が」
イグレクは自分でも台詞が練られていないと自覚していた。
「まだ足りないのかサディストめ。
一日で一体どれだけ、人の苦悶の表情を引き出そうとするんだ。
とっくに品切れだ。まだ求めると言うならお前を強欲変態とでも呼ばな」
テッドは最後まで聞かなかった。
業を煮やしたのか膝を抱えて座るイグレクを、床に押し倒す。
左足首を強く掴んで床に固定し、空いた手で少年の腹部を突くと、体重の軽い上体はあっさりと背中から倒れた。
そのままイグレクの右爪先を持ち、大きく外側に開かせた。
大の字に床に張り付けされ少年はもがいたが、力で敵わない事は既に悟っている。
抵抗が弱まった間に、テッドは持っていた布を少年の足の間に滑らせた。
「あ………っつ」
噛み合わせる歯は間に合わず、隙間から声が漏れた。
木馬に蹂躙された一文字の傷。沿って布が上下する。
揮発性の感覚から、恐らくアルコールか何かだろう。
骨太で暖かな体温の指が三本、布越しにイグレクの割れ目をなぞる。
行為を罵るには、傷口に触れられる痛みが大きすぎた。
言葉を紡ぐには、思考の白い部分を退かすのに時間が掛かりすぎた。
抵抗をするには、背筋を通り過ぎた感覚の正体を知ろうと、結ぶ考えの間が無駄であった。
時間的には数十秒。
二、三度滑らせ消毒には十分だと悟ったのか、テッドは手を止め、事務的に言った。
「他に、痛みは」
答えず、イグレクは解放された両足を自分の下に引き込んだ。
固く自分の上半身で押し付け、正座の形で顔を背けた。
テッドは僅かに目の色を濃くした風を見せ―――少年にはそう見えた―――粗末な飲食物の盆を置くと、扉に手を掛ける。
その背中に、イグレクは金切りと呪いの入り混じった叫びを被せる。
「虐待された天使のような顔か。
おめでたいものだな、そして偽善者だなお前は。
お前自身だ、僕を忌々しい拷問器具に乗せたのは。
それを優しく治療すれば、感謝して屈するとでも思うのならば、お前は大間抜けだ。
己の行為の矛盾点が分からないなら、先の説明の矛盾も、愚かなお前には分からないだろうな。
………教えてやろうか。
子種がなくなるなんて心配、この僕には無用だという事。
ここを出て、エウロディヌス卿の囲いものだ、一生な。
あの狡猾で腹黒い卿が、僕に『血筋を残す』行為を許すと思うか?
一生異性には会わない軟禁状態で、下位の客、貴族の同性だけを相手にさせられるだろう。
………ああ、でももしお前の吐く『矛盾』が、全身全霊を込めた皮肉だったら、すまないな。
その可能性にやっと気付いた。これだけは効いたかもな。
誉めてやってもいい位だ―――今まで高等な皮肉を紡ぐ人種とは気付かず失礼した、出来る事なら普段の言動に留意するんだな」
徐々に回復しつつある少年の弁舌を、テッドは最後まで耳にしてから、ゆっくりと戸を閉めた。
一人残された少年は、鈍痛を引きずる股間に顔を顰め、それから、べらべらと多分本音まで交えて喋り過ぎてしまった自分自身を苦々しく思いながら、ただ一箇所の安楽の場所に丸まった。
かすかに残ったトワレの香気は、少年に幸せだった頃の夢を見させるには十分だった。
【食べ物/芋を使った描写あり】
三日目。
粗末な木の椅子に座りながら、イグレクは辛辣に咎める何かを探して周囲を見渡した。
椅子自体は変哲のない、背もたれに四つの足、オーク材。
肘掛はないがあっても意味はない。
相変わらず手鎖で、天井から吊り下げられている。今日はかなり余裕を持たせている。
座っている状態で、頭上で括られるのなら、椅子から立ち上がるのも、周りを歩くのも可能だろう。
怪訝そうな色をした少年の瞳が、横に立つテッドと合う。
壮年の拷問官は目を逸らし、脇に置いた器を拾い上げた。
中には灰白い半液体が、斜めにしても零れない粘着性で溢れかけている。
中が気になり目が離せないイグレクの膝を、日焼けした骨太の掌が抑える。咄嗟に足を閉じようとしたが、少年の動作は一瞬遅かった。腿の隙間から覗くイグレクの未発達な分身に、器の中身が被せられる。
冷たさに身を震わせたのは最初だけ。すぐ人肌程度に暖まり、またそれ自体が接着する性質を持っているのか、衣をつけた具材のように少年の鼠蹊部は覆われた。
テッドの手が離れるやいなや、ピシャリと音を立てて足を閉じ、イグレクは憎憎しげに告げた。
「こちらの知らないものを使って、脅す。企みは見えている。
少しは思考能力を身に付けたらどうだ?
正体不明のこれが動物の糞だろうとお前の老廃物だろうと、僕が唾を吐きかける気持ちには変わりないって事に。
もっとも本当にこれが変態なお前の一部だったならば―――唾棄にも力が篭るってものだ」
「山芋の一種だ、害はない。必要があれば、呼べ」
最後まで聞き通したテッドは、変わらぬ口調でそれだけ言い、立ち去った。
………自分で言った事ではあるが、イグレクは灰白い塊に嫌悪感を覚え、総毛立つ気味悪さを感じ、内腿を擦り合わせていた。
立ち上がるが、多少身体を揺らした程度では、落ちない。
泡立つ石鹸のように、イグレクの足の間を包み込んでいる。
思う壺にはならない、と固く決め、平然とした顔で椅子に座りなおすイグレクは、間もなく己の選択が誤りであったと知る。
【食べ物/芋を使った描写あり】
乾いた空気に触れ水分を失い、やや重量を増したかに思えるそれは、唐突に少年の頭を一色に染めた。
強烈な痒み。
イグレクの最も敏感な部分を包み込む。
例えるなら無数の羽毛、乾きかけた泥、細筆の先、それらが全て合わさり、僅かずつであるがぎゅうぎゅうと圧迫を強くする。
最初に鳴ったのは鎖。皮も鉄も切断しかねない勢いで、両腕が一直線に下腹部を目指す。
が、そこまでだった。
無常な金属の響きと共に、痛痒感にのたうち回る先端を癒す手段は断たれた。
残酷な鎖の幅だった。
肩か手首の関節を外せば、指先が届きそうだと言うのに、紙一重でそれが許されない骨格。
百戦錬磨の拷問官は人体の仕組みを知り尽くしていた。
「………か………っっ」
双肩に鈍痛を残しながらも、短く叫び、頭を振る。
痛みが一瞬だけ脳を支配したが、間もなく痒みが逆襲する。
先程より強く腿を擦り、器用に膝を曲げ根源を取り払おうとする試みも、いまや支配主である感情の前には無為な行動であった。
耐え切れない苛立ちが、石の床を蹴った。
イグレクの背後でガタンと音がする。振り返ると転がった椅子があった。
立ち上がった拍子に倒れてしまったのだろう。
実際少年にそこまで冷静に、事を観察する余裕はなかったが。
意識が霞み、何故かぼやける視界の端に、音を立てて突然出現した椅子。
オーク材の表面に光沢はないが、棘一つなく丁寧に削られている。
ただもう、動物的な感情がイグレクを動かした。
熱に浮かされたような吐息のリズムに合わせ、自分の小さな分身を擦りつける。
椅子の脚に、腰掛部分の厚みに、忌まわしい灰白をそぎ落とす為、自身の裏も表も袋までもなすりつけ、前後に動かした。
じきに、鼓動の高鳴りと呼吸の荒ぶりを感じ取る。
頭を支配するのはもはや痒み一色ではない。
入り込んだ新色が命じるままに、少年は腰を動かし、椅子に激しく灰白の液体を、いや、分身を擦りつけていた。
「………っ、は………」
頬が染まって行く。自然に声が高まって行く。動きが早さと熱を帯びる。
「んん………っん」
欲望の赴くままに、椅子が軋むのも構わず、興奮の声が漏れるのも気にせず、己の快楽を得るため体勢を変え、動きを御する。
間もなくその目的は達され、代わりに欲望の残滓を吐き出した。
白く濁った僅かな量の液体が、椅子脚にこびりついた灰白の一部と化した。
頭の中で激しく打っていた音が消えている。
石材と木材が互いに絡み合うざわめきも止んだ。
鼓動が収まるのに比例し、イグレクの顔は、無表情から段々と苦々しく、自嘲するものへと歪んでいく。
(なんて………ことだ)
(椅子で、欲を満たすなんて………)
髪を掻き毟り、顔を覆ってその場にうずくまりたい。
そんなささやかな行為も許されず、イグレクは両手を鎖に預けたまま、座り込んだ。
何故痒みの根源を落とすだけでは済まなかったか。
その答えは普段自分では触れない部分を刺激された、とか、木材の無骨で逞しい感触に新たな感覚が目覚めた、とか自分を慰める為ならいくらでも導き出せる。
けれども、制御出来なかったのは自分自身だ。
肩が痛い。だがそれ以上に打ち砕かれたプライドの破片が、イグレクの心を刺す痛みの方が強かった。
鼻を啜る。その行為により、自分の目元鼻元に水分が集っているのが分かった。
喉元にせり上がる熱いものを殺そうとしたがままならず、僅かに嗚咽として漏らした。
少しずつ、少しずつ闇が迫る室内、反比例してむせぶ声は、徐々にか細くなり消えていった。
泣いている時間よりも恐らく打ちひしがれていた方が長かっただろう。
それでも気だるい疲労に追われ、イグレクはいつしか眠り込んでいた。
一度まどろみから覚めると、吊り下げ状態から解放され、藁上に横たわっていた。
ぼんやりと霞む意識の中、逞しく日焼けした手を見、それが扉を閉める音を耳にした気がした。
思い起こすには心も身体も疲れきっており、少年は薄れ掛けたトワレの香りに顔をうずめ、眠った。
【スカ描写あり】
四日目。
すでにイグレクの額には脂汗が浮かんでいた。
鎖で吊られる高さも昨日とほぼ同様。
周りには何もなく―――たった今少年の腸に多量の薬剤を送り込んだ様々な器材は、無言でテッドが片づけている最中だ―――苦悶を押し殺す空気の揺れが存在するのみ。
一式を纏めて脇に抱え、テッドは言う。
「呼べば、すぐ来る。昨日のように意地を張」
サッと頬に朱が走ったイグレクは、言葉をまとめられない内に激しく喚きたてた。
「そうか、それがお前流の遣り方か!
残念ながら馴染めなくて申し訳ないな。
こっちは卓上のベル音一つで呼び出す方式に慣れているからな。
執事のように呼び出される、光栄に甘んじたければ、さっさと枷を外して、忌まわしい処遇も取りやめて、フランス革命時代の円卓でも用意しろ。
大理石製、天使をモチーフにしたハンド・ベルでもっ………つっ!」
第一の差し込みにイグレクは呻き、テッドは速やかに退出を開始し、即座に完了した。
瞼を固く閉じ、眉間にいくつもの皺を浮かび上がらせながら、イグレクは下腹部の荒波のうねりに耐える。
眼を瞑っていても、激しく腸が煽動しているのが分かる。痛みの感覚、低い雷雲のような轟きを捉える聴覚でも。
排出の要求を受け入れなければ、このまま腹の中で暴れ回る。
そう体内から脅迫を受けるが、了承する訳にはいかない。突っぱねる代わりにイグレクは唇を噛んだ。
これは矜持の問題だ。人の目があるとかないではなく、どこまで自分の誇りを保てるか。昨日のような無様な真似はしない。
心に誓うイグレクであるが、少年は身体が要求する排泄の何たるかを知り尽くしていた訳ではなかった。
【スカ描写あり】
「………っ、ぐ………っ」
腸壁内で暴れ回る熱いものは、ますます激しさを増した。
意識と神経は頭と腹部で直結され、繋ぐ糸は太い「苦痛」の一本だけ。
痛みに身を捩じらせば、額からは脂汗が、全身からは冷や汗が水滴の孤を描いて飛ぶ。
天井の鎖が激しく鳴り、噛み締めた歯の間から漏れる呼吸は、荒くなるばかりだ。
「………う、ううっ………」
息を一つするのさえままならず、唇が震えた。
漏れ出る声も多分声とは自覚していない音。
肺機能も言葉を紡ぐのさえ、意識してとり行わなければならない。
迫り来る排出の欲求を神経の集中で御するのだけが、いまや、耐えうる唯一の術であったのだから。
時間はのろのろと過ぎて行った。
耐久する少年の一秒は一時間にも感じられたが、それでも確かに時計の針は進む。
だが、時の経過は何も齎さない。腹の中で暴れ回る薬剤も、痛みも。
増大する欲求も、すり減らす少年の神経も、最初からゴールの無い耐久レースであるこの道筋に、何の意味があると言うのか。
耐えても何もならない。
今まで心の底に押し隠していた事実が浮上した時、イグレクは大きく眼を見開いた。
それは崩壊の合図でもあった。
液体と半固体が狭い穴から一気に溢れる、惨めな響きが、少年の耳を打った。
排泄の快感に一瞬も緩む事なく、厳しく張ったイグレクの眼からボロボロと零れる、悔し涙。
とても長く感じられた後孔からの排出音は終わり、すでに腸の中は空っぽだった。
窓一つ無い部屋に満ちる悪臭も、すぐ慣れてしまった。
それでも涙は落ち続ける。顔全体に浮かんだ汗を押し流し、頬を伝って顎の向こうへ消えていく。
ここからの時間が最も長く、そして過酷であった。
まだ便意に堪え苦しんでいた頃の方が天国だと呼べる程だ。
【スカ描写あり】
最初は後始末の欲求。
床に落ちた多量のものは勿論、跳ね返り腿を伝った残り滓は既に乾き始め、臭いを放ち、イグレクは辟易しながらその存在を忘れようとしたが、叶わなかった。
そして、喉の渇き。腸内の水分までをも巻き込み流し去ってしまったのか、激しい渇水への欲求が喉と舌から訴えられた。
敗北感に打ちのめされるイグレクは、はじめはどちらも拒否した。
嗚咽しながら首を振った。
それも時間の問題。不快感の改善よりも、すぐ生理的欲求が上位に立った。
カラカラに乾いた口内で、熱さにうかされ腫れ上がった舌。行使できる内に呼べ、と心の一端は叫ぶ。けれども大部分―――それは少年の最後の最後まで保った矜持―――はそれを許さない。
(ここぞとばかりに、嘲笑われるだけだ)
(どうせ、昨日だってそうだ………)
自分が眠りに逃避した後、憎きあの拷問官が入って来て―――どうせ扉の向こうで悪賢い狐みたいに耳を傍立てていたに決まっている―――欲望にまみれて倒れる椅子を見て、してやったりとほくそ笑んだに決まっている。
意識があるままそんな辱めにあうのならば、舌を噛んだ方がマシだ。
………意識を手放した後ならば、どうにでもなれ、だ。
朦朧とする中、考えをそこまで纏めたイグレクは………舌を噛まなかった。
手鎖に体重を預け、途切れるのを待つ。
この忌まわしい思考と入れ替わりに、睡眠でもいい、失神でも構わない。
とにかくこの苦境から意識を切り離してくれるものを望む。
時間は凪のように過ぎた。
渇きだけが増す地獄の時が流れ、石造りの部屋の温度は変化していった。
闇をもたらす低温へと。
舌に柔らかな夜気を感じ取り、その冷たさに感謝した瞬間、けたたましく鉄扉が押し開けられた。
ギョッとしたイグレクは睨み眼を作る暇もないまま、厳しく眉を吊り上げるテッドと顔を合わせた。
とても言葉を紡ぐ余裕も気概もなかったが、この拷問官の行動を咎める唯一のチャンスでもある。
「よ、呼んでもないのに、押し入るなど………さすがの、サディストも痺れを切らし………」
どもる。腫れ上がった舌が廻らない。
口上の冒頭も紡げないまま、イグレクは天井の鉤から外され、痺れる手鎖の両腕に水差しを押し付けられた。とどめに白い布が視界を塞いだ。
よろめき、その場に尻餅をつく。
腰の痛みと貴重な水が零れないかの心配に、一瞬気が逸れた。
布を跳ね上げ、続きを喚こうとした時には、すでに床の後始末を終え、大柄な背中を見せたテッドが退出する現場を目にしただけだった。
まるで怒っているかのように、鉄扉は開く時も閉る時も、同じ響きであった。
喉を潤すと、瞬く間に眠りがイグレクに圧し掛かった。
残った水と投げられた布で下腹部を拭い、ぐしゃぐしゃに丸めてから部屋の隅に放った。
今日の嗅覚はとっくに麻痺してしまったのか。
藁もトワレも、殆んど匂いを感じなかった。
家を出る前にと更新してみたら…キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
ガンガレ強気な少年!
乙です!
この先、この折れない心もくじかれてしまうのか
ガンガレと思いつつもちろん完膚なきまでにヘシ折られる様も見たい。
続きまってます。
650 :
少年Y:2006/10/28(土) 12:06:48 ID:s+HJz10v0
前回投下分、
前置きに、スカ要素ありの警告忘れ
番号のズレ
申し訳ありません
今回投下分
少年が登場します。
後半拷問要素があります
生き物(鰻)侵入と排出。
ご注意ください。
五日目。
肩を開く程度の余裕をもって吊るされたまま、イグレクは放置されていた。
鉄扉の向こうに気配がある。複数で、甲高い話し声は揉め事の部類に入るだろうか。
怪訝に少年が眉を潜めた時、テッド一人が入ってきた。
唇をへの字に曲げ、厳しい目をしている。
今日は何を使うか知らないが、器具でも道具でも、まずこき下ろしてやる。
そう身構えるイグレクは、次の瞬間呆けて言葉を紡ぎ損ねた。
テッドが取り出したのは、細長い布切れ一本であったから。
黙々とテッドはその布をイグレクの眼部に回す。耳の後ろを通して後頭部で結んだ。
布地が厚いのか、光は一筋も通さず、影の動きを感じ取る事も出来ない。
一面の暗闇に怯みかけたが、とにかく何でも荒を探して責め立ててやろうと口を開いた矢先、耳元に囁かれた。
「何かあったら、呼べ」
反論すべき主題は決まったが、題目を唱えるより先に、重厚な足音は去って行った。扉が閉まる。
戸惑いを反芻する暇もなく、閉じたばかりの戸が開いた。
ペタリ。石材の床に吸い付くような靴裏の響きに、得体の知れないものを感じ、イグレクは唾を飲み込んだ。
視覚が閉ざされた分、聴覚が鋭敏になっている。
肉に押しつぶされ悲鳴を上げる履物。
歩く度ぴたぴたと肉鎧が打ち合い、立てる音。どちらも聞き覚えがなかった。
少なくとも、この部屋に入ってからは一度も耳にしていない。
その条件で除外出来るのは、テッドだけであるが。
嗅覚に意識を集中し、かすかな脂ぎった匂いを捉えた時、それは中断された。
「………ぃ、ひ………ゃっ」
猪突猛進。その単語が似合う外見かも確かめる術のないまま、獣じみた息遣いが、目の前に迫っていた。
太い指がイグレクの胸元をまさぐり、かっちりと閉じたシャツのボタンに掛かる。
例えるなら中身を入れすぎた腸詰、もしくは肥え過ぎたアヒルのくちばし。
悲鳴めいた奇妙な声を上げたきり、少年の意識は行動に伴わず、気がついた時には前身ごろを全てはだけられていた。
空気と、それから脂と獣欲が入り混じった息が、身体の前面に突き刺さる。
「な、何をすっ」
威圧を込め、退ける成果を期待する言葉も、発せないままに終った。
掌が、イグレクの肌の上を這いまわる。
目隠しにより高められた感覚は、嫌でもそのグロテスクな手触りを受け取ってしまう。
例えるなら海底に潜む異様な形の生物、地獄にある魔女の釜から上がったばかりの元食材。
捏ね上げるようにあちこち触れ回る。
粘体の生き物が這ったように、跡に脂めいた軌跡を残しているのではないか。そんなぞっとしない想像も浮かぶ。
十本の芋虫の何本かに、硬い輪の感覚が混じっている。指輪だろう。
そういえばどっちかの部下は―――思い出せる限りでは、鞭を振るう右手に―――既婚者だか何かの証で、嵌めていたようだった。
ぼんやりと記憶を思い浮かべていると、鋭い刺激が、胸の表面を掠った。
色染まり始めた敏感な先端を、よりにもよって思考の主題であった、指に嵌める凶器が、やや押し潰すように撫でていったのだ。
声を上げた自覚はなかったが、その後の流れで、嫌でも思い知らされる。
目隠しの向こうで歯を剥き、いやらしく笑う姿が見えた気がする。
その何者かは手馴れた様子で、イグレクの胸の突起を責め始めた。
太い指の中で転がし、舌先で舐め、ねぶる。
一度試みた抵抗、蹴り、は行動に移す前に察され、両足の甲を纏めて踏まれた。
骨が砕けんばかりの重みが、圧し掛かった。
だが頭の中でもやもや渦巻く感情は、一時の痛みで去らなかった。
自身でさえも殆んど触れる事のない部位。
こんな風に他人の手で弄ばれる予見など全くなく、構えの取れない感覚に、イグレクは唇を引き結んだ。
この誰かが期待する反応を見せない。
声も息も色も、お前などにはお断りだと、目隠しの下で瞳に炎を灯らせた。
唾液と脂の入り混じる肌の上の質感が、粟立つ気味の悪さを覚える。
それにより却って理性を取り戻せた。
ぴちゃぴちゃと嘗め回す舌音も、見えない故に雨漏りだと思い込む事も出来る。
雨泥に混じった芋虫が這いまわっている。
胸元の痛痒感は一昨日の続きだと考えれば、耐えうる条件には十分。
頭を回転させ始めると、間もなく感覚も身体全体にばらけたようだった。
上半身に集中していたほてりが霧散し、呼吸に混じっていた熱っぽさもとれた。
イグレクの何もかも見透かしたように、責めが止んだ。
安堵の息を吐く余裕はない。自身には強く言い聞かせていたが、それでも実際気色悪い手と舌が離れていくのには、喜びすら覚えたものだ。
なまじ、崖の縁を掴んでしまったからこそ、二度目の墜落は辛い。
溺れる者が藁を握る強さ。それがイグレクの未発達な分身に対して実行され、落下が再開した。
「………っう」
苦痛と恥辱に短く声を上げる。目の裏が白く点滅する。
自分ではそんな乱暴に扱った事はなく、他人、そもそも人に触れられるのだって初めてだと言うのに。
十本の指が、別々に動く虫と化す。
別個に体重を押し付け、荒い足音残して這い回る。
意識が一色に染まるに従い、感覚が己の先端に集中した。
刺激を受け、徐々に持ち上がっているのが分かる。
「やめ………っ」
拒否の言葉は意に介されず、身じろぎして逃れようとした直接的な行動は仇となった。
足を踏まれ両手を上に拘束され、逃れる場所は限られている。イグレクは腰を後ろへ引く。
十の脂ぎった腸詰の指は、勃ちあがりかけたそれの後退を許した。一応は。
ただ僅かな距離を移動する間にも、指の腹で圧力を加え、強く押し込む爪で刺激を与え、嵌めた指輪で、鈴口に留めを与える。
金属の部分で軽く小突いただけだったが、それが少年の最後の一線。
意識が染め上がった。全ての血が下半身に流れ込んだ感覚。
声は言葉とならず、熱い吐息めいたものを空気に溶かした。
「………ぁ、う………ん、ああっ」
精を吐き出し、同時に抗いようのない脱力感がイグレクを襲った。
力を失った両手首が鎖を鳴らした。
ぼやける意識の内、まだ自分の分身を掴む感覚があるのは分かっていた。
………いい加減、放せ。
思考に振り絞る気力もなく、次の行動に何も身構えがなかったのは少年の失策と言える。
それを包み込む、脂ぎった掌がなくなると同時に、目の前の気配も消えた。
足音を殺しているのか、捉えるだけの聴覚が働いていなかったのか、恐らくは両方の理由で、イグレクは何者かを見失った。
探そうなどという意図は毛頭なかった。
とっくに部屋を出ていて、足音を聞き損ねたのだと、そう思えればどれだけ幸せか。
夢想は断ち切られる。
背後から聞こえた水音、やや粘着性を帯びて手の中でかき回されたような音。
背中越しに聞こえたと悟る前に、既に少年の背筋は芯まで戦慄していた。
予感する。そしてそれは当たった。双丘に触れる、あの形容も忌まわしい感覚。
割れ目をこじ入った五本の芋虫が、置き土産を残す。
熱く、どこかべたついている………少年が吐き出したばかりの欲望の残滓。
これも予想の内、そしてこの先は決して当たって欲しくない。
しかし現実は無常だ。後孔のすぼまりに当たる、熱い塊。
それも脂ぎっている、耳元で煩い荒い息も脂ぎっている。
背後の脂ぎった獣が、欲望をそそり立たせて………身体ごと踏み込む。
「………い、ぃや………いやだーーーっ!」
喉を震わせ絶叫し、押し入る凶器から逃れようと反射的に歩を進める。
両脚を床に張りつけにする重みがなくなっている事実にはその時気付いた。
だが、もう一つの枷、天井から吊るされた両手は完全に失念していた。
前向きに一歩も逃れられず、イグレクの必死な全身は留められる。
ガクンと強引に止められた身体は、そのまま振り子の反動に従い、通った軌跡を逆に辿る。
終着地点は、イグレクが恥も外聞も捨てて叫び逃れようとした、何者かの欲望の塊であった。
無理やり押し広げられる醜い音も苦痛も一瞬。
勢いは止まらず、はちきれんばかりの痛みを味わうより早く、おぞましい侵入の感覚から逃れようと、全神経、全意識をもがきに与えなければならなかった―――無駄だと分かっていても。
反動による愚は二度と犯すまいと、身体を前方へ傾けようとする少年の行為をあざ笑うかのように、腰に手が伸ばされた。
五本の芋虫がイグレクの右と、左の腰をそれぞれ掴み、己の方へ引き寄せようとするその刹那、けたたましく音を立てて扉が開かれた。
過ってこれほど乱暴に扱われた事があるだろうか。
百八十度開き、金属材質の扉は反対側の石壁にぶつかった余韻でまだ震えている。
壁も同様に奇妙な響きを立てている。
先程叫んだ後遺症も残っているのか、イグレクの頭の中は鉄扉の立てる波動と同じ響きで煩かった。
だから、背中の何者かが引き剥がされ、連れられ、部屋の外に去っていく一連の流れだけで、途中にどんな会話が挟まったか、やり取りの間の感情は如何なるものか分からないままであった。
この時目隠しがなかったとしても、その正体を見ようとは思わなかったかもしれない。
ただただ、イグレクは茫然自失の体にあった。
鉤から鎖が外されても、全身が床に崩れ落ちるままに任せる。
カツン、と重く骨太な脚が運ぶ靴音が一つ。
大柄なテッドの身体が屈み込み、腕だけ伸ばしたその手先で、まずイグレクの目隠しを外し、それからシャツのボタンを嵌める。
日焼けした、どこか男らしさが漂う、逞しい指がゆっくりと―――おそらく繊細な装飾ボタンに慣れていないのだろう―――少年のはだけた前面を隠していった。
全て止め終えても、反応はない。
テッドはイグレクの腕を引き上げ立たせると、湯に浸した布で身体を拭った。
特に汚れている部位はなかったが、シャツから出ている部分を一通りぬぐう。
清浄の為というよりは、皮膚を刺激し血行を良くするのが主眼でもあった。
テッドはゆすいで裏返した布を差し出すが、少年は受け取る様子も見せず、焦点の合わない瞳は恐らく、布切れさえも捉えていないのだろう。
腕を離すと、イグレクの身体は粘土の人形のように、床に沈んだ。
黙ってテッドは湯を張った容器と、飲食物の乗った盆を置き去りに、立ち上がった。
方向を変える間際にふと気付き、汗で絡まるイグレクの前髪をそっとほぐす。
振り払われはしなかった。
しかし、音が。
少年の瞳に何かが灯る、燃焼の響きをテッドは確かに耳にした。
「しょ、商品管理は大変だな、責任ある立場は特にっ!
その背中に負った責任の為に、部下のっ。暴走も止められないのか。
なら、その立場ある身を退けっ。管理も出来ないようなお前が何でっ!」
イグレクの言は途切れ途切れではあるが、まだ続きそうであった。
それでもテッドは目を向ける。
単語のどこに反応したのか、厳しく口を結んだまま、眼だけは丸く大きく見開いて。
それは確かに少年の燃料として投下された。
「お前が、お前が、お前が、全部やったんだ! 全部お前の仕業だ。
何だよ、その意外そうな顔は。自分は知りません全部部下の一存だ、と言いたいのか!
違うね、全部お前だ。間接だろうと糸引きだろうと、お前が全部やっている事だ!
殊勝な面を見せるのはやめろ、反吐が出る。
同情の瞳で治療されるよりは、商品管理は辛いと愚痴をこぼされた方が、まだマシだ。
お前が………お前なんか………お前の顔など見たくもない、出てけっ!」
囚人の身で到底無理な要求であったが、イグレクは自ら扉を閉めた。
人と向き合う心の扉を固く閉じ、藁の中に丸まった。
気配は、少年が癇癪を起こさない瀬戸際までそこに佇み、やがて足音の尾を残し、鉄扉が閉まった。
「………っ………くっ」
唇を噛み締めるが、嗚咽が漏れた。
藁は留めなくこぼれ落ちる熱い塩水と合い交じって、惨状を見せていた。
………本当に怒鳴りたかったのは「お前」ではない。
………全然覚悟を決めていなかった自分自身なのだ。
未来は分かっていたつもりだった。
けれど牙を封じられる予測は、今日の今日まで抱けなかった。考えたくもなかった。
たった一度。両親の仇を討つ機会は、エウロディヌス卿の性欲の対象にされる時、それしかなかった。
だが、あの悪党に相応しい用心さを身に付けた卿が行為に及ぶ時、果たして自分が四肢自由の状態で居るのを許すだろうか………許す訳がないと、たった今気付かされた。
両腕の中で鈍い音を立てる金属の枷。
明後日にはこれから解放されるのではなく、麻の縄か、それとも更に頑丈な金属に取り替えられるだけなのだ。
送り込んだここで牙を抜ければ結果的には良し。
それはそれで見えない鎖に繋がれたようなものなのだから。
「っ、くそ………っ」
固く瞼を閉じると、押し出された熱い涙がはらはらとこぼれた。
イグレクは涙と泥と藁が入り混じった、冷え切った床と変わらぬ温度のそこへ、頭部をうずめて眠る。
シャツから顔を背けるように。
とっくにトワレの香気は霧散してしまったし、他の匂いを捉えたなら、きっと涙が止まらなくなってしまう、そう思ったから。
【生き物/鰻プレイあり】
六日目。
浴槽、と呼ぶにはやや丈が長い。水槽と呼ぶのが適宜だろうか。
床にどっしりと置かれたそれには七分目まで水かさが届いている。
イグレクは今日も鉤に吊るされた状態で、水槽の中に身を浸していた。
水面が丁度腰の位置。槽の底まで足が届かず、浮力に身体を任せた奇妙な体勢となっている。
あくまで浴槽の単語が抜けないのは、その中身が湯であったからだ。
火傷するほどではない。ただ湯気は室内を真っ白に染めてもなお相変わらず上り続ける。
少年の頬も熱気で紅潮していた。
「釜茹でか。未開地の原住民的な思考だな。
ついでにお前の安酒でも温めたらどうだ?」
イグレクは短くそれだけ紡いだ。
どうせ反応がないのは分かっていたし、前日の疲労は色濃く残ったままだったから。
「雌はいない。雄の稚魚だけだ」
対するテッドの返答は不可思議なものだった。皮肉への切り替えしにもなっていない。
苦汁に満ちた顔、眉間に皺寄せ、樽を抱えている。
一字一句を発するのに唇が切れ出血する病の罹患者のように、息絶え絶えに、しかし少年よりも長く話した。
「熱帯に棲む鰻の一種だ。活動するのは暖かな春と夏。
初秋には卵を残して死ぬ。残暑が過ぎた水温では卵しか生き延びれないからだ。
雌は水温の変化で季節の入れ替わりを察し、卵を産む。
だが、この中には居ない。雄だけだ。
子孫を残す使命に駆られるから、狂暴なのは雌だけだ。
雄はそれほど生存本能に貪欲でない………筈だ」
大した生物博士だと、その言葉を皮切りにしようと目を細めたイグレクは、槽にぶちまけられた樽の中身に、紡ぎかけの言は押し殺した悲鳴になり代わった。
恐怖に瞳を見開く。
「ひ………っ」
【生き物/鰻プレイあり】
一瞬大蛇が投げ込まれたのかと誤解した。
鰻と呼ぶのが相応しからぬ派手な色。
鱗がない為、蛇だとの過ちはすぐに解けたが、稚魚の群はしばらく一塊になったままであった。熱い水流で一匹、また二匹と外れ、湯の中を泳いで行く。
小型のもので親指の太さ、成魚になりかけのものはその倍はある。長さはいずれも指先から手首位の体長がせいぜいであった。
イグレクはこの異種の居候をしばらく呆然と眺めていた為、その言葉の主が誰であるかに、気付けなかった。
「呼ぶんだ………頼むから」
懇願に似た響きが耳を打ち、戸惑いながら少年が見たものは、鉄扉を閉めて去るテッドの背中姿だった。
石造りの部屋には、イグレクと無数の稚魚だけが残された。
最初は、今まで無口を貫いた拷問官の長広舌を、その謎を解き明かそうと試みていた。
しかし頭が動き出す前に、この同居魚の振る舞いに思考を乱される。
湯の中を悠々と動き回る彼らにとって、イグレクの下半身など、水中の置石に過ぎないのだろう。
くねらせた体で通り過ぎ、口先で突いた後に、方向を転換する。
膝の裏、足指の間を刺激され、少年は対処できない痛痒感に身をよじる事しか出来なかった。
どの道、考えるだけ無駄であったのだ。
生態について解き明かしたとしても、なす術はない。
心構えをしたとしても、結局それは矜持と一緒に、秤に掛ける時間が必要だ。
その間に湯はぬるまり、水となっていった。
湯気が上らなくなり、白くかすんだ室内の風景はクリアになっていく。
窓は無いが、どこかから隙間風が入り込むのか、最後に残った白い蒸気は吹き散らされた。
水に浸かっていない肩が震えた。
異常に気付いたのはその時だった。
明らかに水の感触ではないものが、足全体に張り付くようにまとわりついている。
見ればグロテスクな色合いの稚魚が、少年の脚が唯一の寄り辺であるかのように、一団群となりその体躯を絡ませているのだ。
忌々しく睨みつけ片足だけでも浮上させようと試みるが、力の入れどころが把握出来ず、目的は達せないまま数滴の水を跳ね上げただけだった。
水、頬に掛かった感覚では、明らかに冷めた水であった。
大して時間は掛からず気温と同じか、またはそれ以下になるだろう。
その時、戦慄が少年の背中を貫いた。
テッドの言葉が思い出される。
「熱帯に棲む」「低温では生きられない」「生存欲求」
嫌な予感を浮べるより早く、視線を下向ける刹那に、水棲の生き物は行動を開始していた。
刻一刻温度を下げる水の中から、暖かな居場所へ潜り込む為に。
双丘の割れ目に群がるおぞましい感覚に、イグレクは身を震わせる。
髭だか触覚だか、細い毛のようなものがいくつも水の流れで蠢き、皮膚を擦る。
細い口先が確かな意思をもって、少年の後孔を開こうと突く。
逃れようともがくが、そもそもそんな道はない。
頭上で空しく鎖が鳴り、浮力に支配された身体は水をわずかに掻くだけだった。
湯だったものは完全にその痕跡を消した。
ぬくもりを発するのはもはや少年の下半身だけとなり、全ての稚魚が欲求に忠実に行動する。
足の裏を背びれで撫で、膝の裏を潜り、そうして大勢の仲間が集合している足の付け根へと辿り着く。
単独は集団に。狭いそこに入り込む隙間を見出せない群れは、イグレクの別の敏感な部分を刺激する。
結果的に彼らは個々の作戦を取る事により、生存の可能性を高めたのだ。
唇を噛み締め、刺激に反応して声を上げるのだけは避ける、少年の試みは今のところは成し遂げれらていた。
だがそれが何になろう。
この生き物は聴覚を持たず、ただ群れならではの技によりイグレクの心も身体も緩ませようとしているだけなのだから。
「………っ、ん!」
強引に侵入を開始した一匹を、腰と筋肉に力を込めて身じろぎする事で振りほどく。
浮力により一瞬浮き上がった身体は、重力に従い舞い戻る。
無数の口先が侵攻を試みる群の真上へと。
「ぃ………ひ、ぁっ………」
再度開始され、身構えが完璧でなかったイグレクは声を上げる。
敏感な箇所への刺激に耐え切れなかった喘ぎ声。
僅かな間ではあったが、それを恥じ、顔を赤らめたのは少年ただ一人であった。
気の緩んだ綻びを、生きるのに懸命な生物は見逃さない。
口先を押し付け、細身な一匹が体全体をくねらせ、淫らな水音と共に潜り込んだ。
「………!」
【生き物/鰻プレイあり】
言葉もなく、衝撃に身を強張らせるイグレク。
狭い穴を押し広げられる痛みはなかったが、代わりに異物の侵入に対する嫌悪感が増した。
刺激により鋭敏にされてしまった感覚は、頭から侵入する生物の細く長いぬるぬるした表皮と、腸壁に身体を摺り寄せるように動き回る一連を、ありありと捉えてしまっていた。
「っう………ぁ、あ」
気持ち悪さに涙が込み上げる。ぼんやりと頭を包み込む白い靄は、少年の抵抗する気力を奪ってしまった。
それは明らかに失策であった。
種の存続を望むのは一匹だけではない。
放心に緩んだイグレクの中へ、二匹目の侵入者となろうと、群れが一斉に後孔を目指した。
侵入済みの痕跡を残したトンネルは多少体を曲げれば、抜けるのは可能そうだったので、稚魚たちはそうした。数匹が、全く同時に。
「ぃっ………ひ、ぁあああ………っ」
大きく見開き、背筋を凍らせたのは一瞬。
あとは無我夢中で振り払おうと、首を振り両足をばたつかせるが、侵入の歯止めにはならない。
並列して押し入る何匹かは、今度は確実に少年に痛みを与える。
すぼまりが強引に開かれ、内襞を口先と髭もどきの触覚がなぶった。
「………い………ぃやっ、や………」
【生き物/鰻プレイあり】
痛みと衝撃で声は枯れた。
絶望と放心で涙も尽き、頬には白い跡だけを残していた。
「ゃ………や、いや………助け………て、っ」
消え入りそうな響き。
跳ねる水も生き抜く生物も冷たい石壁も、イグレク自身も、誰にも届く筈がない、とそう感じていた。
しかし、届いた。
鉄を紙と見紛うかの如くに、過去最大の乱暴な扱いで、扉が開かれた。
重厚な足音が三つ。
主を確認出来ないままに、少年の目の前で巨大な水音が水柱と共に立ち上がる。
視界から垂直の水波が去った後、槽に増えた同居人が、大きな氷柱であったのをイグレクは知った。
痛みも忘れて横を見る。
縁から身を乗り出し、一抱えはある氷を素手で掴み、歯を食いしばりながら水の中にそれを押し込むテッドの姿を。
じわじわと忍び寄る冷たさも、寒水流にやられて腹を見せ、浮かび上がる稚魚も気付かないまま、イグレクは二度瞬く。
………どこで手に入れたんだか、こんな巨大な氷。
………真冬に素手で掴むなど、どこの間抜けだか。
自分では意図しなかったが、多分呆れた眼をしていただろうと、イグレクは思った。
そして身震いする。
氷の体積は減っていないのに、槽内はすでに氷水の温度だった。
ブルブルと全身が揺れ続けて止まらず、唇が青褪めた。
【生き物/鰻プレイあり】
氷の直撃を免れ、押し潰されずに済んだ生き物たちも、間もなくこの急激な温度変化に耐えられず、白い腹を見せ水面に上った。
テッドは右手で氷柱を押し込みつつ、空いた手で死体を回収していく。
ブツブツ呟きが漏れるのは、数を確認しているのだろう。
床の容器にグロテスクな色の死骸が投げ込まれていく。
間もなく槽は氷とイグレクが対峙するだけの場となった。
表面が白い冷気を空中に放出する他は、生物の動きは見えない。
それでもテッドは厳しい表情を崩さなかった。
「二匹、足りん。腹から出せ」
「か、釜茹での後は、か、寒冷責め、とは恐れ入っ」
「黙って、やれ」
寒さに震える少年は、命令に従った。
最初の一つだけは自主的に。
もう一つの「黙れ」は心で命一杯反抗したが、如何せん歯の根の合わない凍えた状態では、悔しいが言うなりになる他ない。
少年は腸内で弱弱しく動く稚魚を出す為、力一杯いきんだ。
苦痛も恥辱も伴う行為であったが、感情は余りそれに捕らわれなかった。
むしろ、日焼けした浅黒い手を白に変え、血管が青く浮き出るまでの低体温に晒し、氷を掴み続けるテッド―――彼こそが最も凍死寸前の状態を呈しているのではないか、そう思いを抱きながら見入っていたから。
664 :
少年Y:2006/10/28(土) 12:55:05 ID:s+HJz10v0
番号ずれました。すみません。
今回ここまでです。
少年タン、お、お、乙…!
よくまぁここまで次々と気色悪いネタを繰り出せるもの(誉め言葉)。
進行が早くて嬉しいです。
テッドが意外な面を見せてるのが気になる…。
続きwktk!
少年タン、乙。
扉も痛い目に遭ってるなw
667 :
追憶 24:2006/10/28(土) 21:42:20 ID:j7891QCH0
4人もの男を乗せて、ベッドがけたたましいほどに軋んでいる。
野上は尻を犯されながら、両手に握った2本のペニスを交互にしゃぶっている。
もう手も縛られていないし、頭を押さえつけられてもいない。
つまり野上は自ら進んで尻と口にペニスをくわえ込んでいるわけだ。結構なことだ。
そのくせ、野上の顔は情けなく歪んで涙で汚れている。みっともないな。
野上の口に、2本のペニスが同時に押し込まれた。いくらなんでも窮屈じゃ…。
俺がそう思う間もなく、男たちが笑いながら悲鳴を上げた。
「いて、いて、歯が当たるんだけどこれ」
「やっぱ無理か。お前、先でいいよ」
一度口が解放されると、野上はウエッと声を上げてえづいた。
首を振り、小さな声で「もうやめてください」と繰り返してぼろぼろ泣いている。
そんなに簡単に泣けるのか。泣くことはお前にとって大した意味を持たないか。
俺は泣かなかった。泣けなかった。泣いたら何もかもが終わりだと思っていた。
一人の男が野上の口にペニスを突っ込み、もう一人は野上に手で扱かせ、
尻を使っている男はラストスパートに入って腰を振りたてる。
ただ見ているだけだと単調な眺めだ。俺が退屈してあくびを連発した時、
野上の上着の上に放り出されていた携帯から、軽快なメロディが聞こえてきた。
見てみると、ディスプレイに着信記録が表示されている。
『朔美』と表示されているそれは、くだんの彼女だろうか?
しばらくすると、今度はメール着信。倫理にもとるとチラリと思ったが、
野上相手に礼節もないものだと肩を竦めて、メールを開いて読んでみた。
『さっき電話したけど、出なかったからメールします。今日来れなかったのは
仕方ないとして、電話の約束まですっぽかされたら、ちょっと寂しいよ。
最近ドタキャンが多いけど、忙しいの? 待ってるから、電話ください。』
ほらな、野上。彼女は別れたいと思ってないみたいだぞ。
お前はいつも、他人の思惑を自分の都合のいいように捻じ曲げて解釈する。
知らない振りでもない。気づかない振りでもない。自分に都合のいい嘘を、
お前は本気で信じ込む。悪意なんてかけらもなしで。
昔のままだな、本当に。
668 :
追憶 25:2006/10/28(土) 21:42:56 ID:j7891QCH0
修学旅行が終わり、一日の休みを挟んで、また学校が始まった。俺はもう、
野上の近くに寄ろうとは思わなかった。あの事件のせいで、顔も見たくなかったと
言うこともある。だがそれ以上に、野上と言う人間が俺には理解できなかった。
俺が避けても、野上は人懐こく笑いながら寄ってきた。口止めするために
俺をレイプまでしておきながら、脅す素振りなんてまったく見せない。
からかうわけでもない。俺さえ忘れれば、まるで何もなかったことに
できそうなくらいだった。俺は本気で野上が怖かった。
怖いと思っていながら、俺はその恐怖に気づかない振りをしていた。
自分から野上に寄らない一方、野上が寄ってきても逃げなかった。
拒んだりせずに、冷たく笑って迎えてみせた。
俺の態度が変わったのを、クラスの連中がどう考えていたのかは知らない。
佐々木たちの嘘を信じ込んで、俺が拗ねていると思い込んでいたかもしれない。
他の級友たちからは何度か、俺の野上に対する態度が悪いと説教された。
俺が野上に対して突っ張るだけで精一杯だった間、野上は何らかの根回しを
していたのだろう。周りには、野上が根気良く俺の心のしこりを取り除こうと
しているように見えていたようだった。そして、ある意味では、実際に
そうだったのかもしれない。野上にとっては、確かにそうだったのだ。
669 :
追憶 26:2006/10/28(土) 21:43:28 ID:j7891QCH0
修学旅行から2週間が過ぎた時、俺は再び野上に組み敷かれる羽目になった。
その時俺と野上は、社会科準備室で、教師に頼まれた資料整理をしていた。
俺と野上が仲がいいと信じている教師の人選だった。野上は快諾し、
怖がっていると思われたくない俺は、同意してしまったのだ。
会議があるから1時間は戻らないと言って教師が出ていってすぐ、野上は
俺を抱きすくめた。その瞬間に俺は総毛立ったが、怯える様子を見せてたまるかと、
必死に冷静さを取り繕って睨みつけた。
「何のつもりだ?」
「いいじゃん。しようぜ」
「いやなこった。お前、まさか俺があれを気に入ったとでも思ってるのか?
もうちょっと修行してから出直すんだな」
せいぜい野上を馬鹿にしてプライドを挫いてやろうと口にした言葉だった。
だが野上はこたえた様子もなく、俺を抱く腕に力を込めた。
「だからさ、その修行の成果を見てもらおうと思ってるわけじゃんか」
「なんだと?」
「あれから2週間。俺も色々研究しました。2日目のあれ、俺ばっかり
気持ち良かったみたいだし。あれで終わったら男が廃ると思ってさ。
期待していいぜ。1日目みたいに気持ち良くさせてやるから」
1泊目のあれを俺が喜んだと、そう言いたいのか。怒りと羞恥で、
不覚にも頬に血が上った。それをどう考えたか、野上は嬉しそうに笑った。
「藤田クン、かぁわいい〜。やっぱ、忘れられない夜になった?
ドーテーなんだろ? 色々と、俺が最初の相手ってわけだよな?」
突き飛ばそうとした瞬間、俺の腕は背中に捩り上げられた。野上はそのまま
俺を壁に押し付けた。
「おい! 離せよ。俺にはその気はないぞ」
「その気にさせてやるって。悪くなかったんだろ? あんなことされて、
俺から逃げ回るかと思ったのに、そうでもないしさ。そのくせ怒った振り
してるじゃん? なんでそんなに俺の気を引きたいわけ?」
耳を疑うと言うのはこういうことか。
670 :
追憶 27:2006/10/28(土) 21:44:05 ID:j7891QCH0
後ろから回された手が俺の股間を愛撫した。もがいたが、腕に激痛が
走るばかりで、逃げられない。叫んだら助けは来るだろうか。泣き喚いて、
俺は野上が怖いのだと、自分で自分を守れないのだと、そう言えば。
野上はきっと何のことかとキョトンとしてみせるだろう。既に広まっている
噂は、野上の味方をするだろう。そして、野上が俺に無理強いするのなら、
なぜ俺は野上から逃げずに側にいたのかと――そう問われるのだろう。
「大人しくしろよ、藤田クン。可愛がってやるだけだって。怖くないよ」
「怖くなんかねーよ、てめえなんざ。思い上がるな」
「はいはい。だから、いいコにしてなって」
俺は抵抗をやめた。
それ以外にどうすれば、守れるものが残ったと言うんだ?
手に入らないものは、欲しくない振りをするのが一番いい。
できないことは、しないだけだと思うのが一番いい。
野上は俺の上着を脱がせ、シャツを肌蹴け、下半身をむき出しにした上で、
机の上に両手をついて尻を突き出すよう命じた。俺が従うと、後ろから密着して
俺の体を撫で回し、自分の腰を押し付けて揺らした。耳元で聞こえる野上の
荒い息遣いに、気持が悪くて鳥肌が立った。
「藤田、そう硬くなんなよ。ちゃんといい思いさせてやるから、な?」
野上が俺の耳に甘ったるい声で囁きかけ、耳朶を舐めた。
早く終われ、早く終われ、俺はただ心の中でそう念じていた。気持ち悪いとか、
腹が立つとか、悔しいとか、そういう感情のすべてを心から切り離した。
野上は約束通りに俺をイカせ、自分も俺の中でイッた。
良かったろと笑う野上に返事をせず、俺は黙って服を整えた。
それから俺は、野上とそういう行為を重ねるようになっていった。
野上には常に付き合っている女がいたが、野上はそれとは別だと俺を誘った。
俺は、都合がつく限りは付き合った。
野上にとってそうであるように、俺にとってもそれはただの気晴らしであり
性欲処理に過ぎないのだと、繰り返し唱えながら。
俺たちが卒業するまでその関係は続き、大学進学で進路が別れるのを機に、
連絡は途絶えた。
671 :
追憶 28:2006/10/28(土) 21:44:39 ID:j7891QCH0
「お前はどうすんの? こいつやんないの?」
シャワーを浴び終わった男が、ベッドの上に転がっている野上を
親指で指しながらきいてきた。
「いらねーよ、そんな奴。自分でやるのが嫌だからお前らに頼んだのに」
大体、俺はよほど気が向いた時でなければ男とは寝ない。野上と同じだ。
俺の呼んだ男は肩を竦めて服を着始めた。まったく親しくはないが、
たまにバーで見かける男。今日もいるだろうと思ってバーに電話をかけて
呼び出した。興が乗ればこのくらいのことは平気ですると評判だ。
その噂は今この目で確認できた。そういう連れがいることもわかった。
もう二度とこんなことを頼むことも、会うこともないだろうが。
「んじゃ俺ら帰るけど。ホントにホテル代も要らないんだな?」
「いいよ。払ってもらう筋合いじゃない」
男たちが帰ると、俺は野上に近寄った。野上はひどい有り様だった。
数えていたわけではないが、野上自身を入れて、1人2回ずつとしたら8回分。
尻の間は言うまでもなく、体中に白い汚濁がこびりついている。
気を失っているのかと思ったが、野上は目を開いていた。
涙で潤んでいる。俺は苦笑した。
「おい、泣くほどのことじゃないだろう。お前がしたがってたから
相手を呼んでやったのに。1人はネコだっただろ? 知らない奴とやるのが
いやだったとか、そんな真面目なこと言うのは無しだぜ」
「……なんで…藤田、なんでだよ…?」
「なんでって、何が」
「とぼけるなよ…。仕返しなのか? お前、俺を恨んでいたのか?」
無邪気な質問に、俺はまた笑ってしまった。
「まさか。大体、昔のことだろ。ろくに覚えてもいないのに」
「だったらどうして…!」
体を起こす野上の惨め極まりない様子に心が浮き立つのを覚えて、
俺はそれを抑え込んだ。そんな風に感じるのは許せなかった。
672 :
追憶 29:2006/10/28(土) 21:45:09 ID:j7891QCH0
「あのな。一言で言うと、俺、ナメられるの嫌いなんだよ。
昔だって、お前が好きだったわけでもないし、ああしたいとも思ってなかった。
ああするのが状況的に一番楽で得だと思ったからそうしてただけだ。
昔はナメられても仕方なかったんだろうけど、今も同じだと思われても困る。
誘われても迷惑だし、しつこくされたくないんだよ」
野上は、理解できないと言う顔で俺を見ている。だが俺は、
それ以上説明する気にもなれなかった。
「さっさとシャワー浴びてこいよ。1人で帰れるのか?
なんなら家まで送ってやるから」
野上の顔が歪む。俺を責めているような、そんな顔だ。
心外な話だ。あいつらが遊び終わるまで待っていてやったのを、
感謝して欲しいくらいなのに。暴走しないようにと、一応は見張っていて
やったんだ。ホテル代だって全額俺が持ってやってもいいと思っている。
冷たく見返す俺に、野上は項垂れた。野上にわかるのは、俺にはもう野上と
寝るつもりがないということだけだろう。
それでいい。勘違いされたままでは断っても意味がないと思うから、
一度で徹底的にわかってもらえるようにしただけのことだ。
それ以上のことはどうでもいい。わからなくていい。
野上にわかるとは思えない。
自分とは違う考え方をする人間が存在していると言う単純な事実を、
野上は一生理解しないだろう。別にそれで構わない。
一生繰り返せばいい。なぜ、どうして、と。
俺もまた、一生繰り返さなければならない問いを、背負い込んでいる。
自分に問うしかない、答がわかっているのに見つけられない、
そんな問いを。
終わり
追憶タン乙!
いい感じの復讐話で楽しかった。
野上の不幸に乾杯!
追憶タンの淡々とした報復、萌えますた。
過去と今のギャップが(・∀・)イイ!!
野上さん、素で天然というかある意味純粋なんだろうな。
少年タン、次がかなり気になるんですけど。(*゚∀゚)=3ハァハァ
お二方、乙です。
追憶タンGJ!
ご都合展開も無く、ただ淡々と進んでいく話も良いモンだね。
萌えとは違うが、楽しめました。
ありがちゅー(´З`)
676 :
資料室:2006/10/29(日) 00:03:41 ID:u7Gvhzfr0
容量そろそろぎりぎりっぽいですが、投下します。
「う……」
祐一の首筋に高崎の熱い息がかかる。
くすぐったい。高崎も興奮しているのだとわかった。
祐一は身じろいだ。棚に押し付けられた体勢が苦しく、肘がしびれて痛かった。
けれども、少しでも身体を動かすと、接合部が滑って中の精液が零れ落ちそうになる。
精液は高崎がいま放ったばかりのものだ。
高崎は祐一の腰を抱え上げると、ずるりと自分のものを引き抜いた。
「ぁ……ああ……っ」
中のものが引き抜かれた途端、祐一の太腿を伝い淫らな液体が滴り落ちた。
そのうちの数滴が、止める間もなく床を汚してしまう。
「駄目だね。零してしまったじゃないか」
「……うぅ…っ」
さんざん指で解された挙句、昂ぶったものをくわえ込まされていたのだから、
すぐに閉じろと言われても無理な話だ。
祐一は必死で後孔を押さえうずくまる。
もう足腰が立たない。
立った姿勢のまま後ろから貫かれ、中での射精まで受け入れなくてはならなかったのだ。
じゅくりと濡れる体の内側の感触に鳥肌が立った。
そこから滴り落ちる白濁液は高崎に蹂躙された証だった。
胸から下腹部にかけてはだけられ、下半身をむき出しにさせられている。
内股も尻もどろどろだった。あまりにも惨めな姿に泣かずにはいられなかった。
だが、それ以上に、まだ祐一の身体はつらい状態のままだった。
677 :
資料室:2006/10/29(日) 00:04:22 ID:ZxacyXhZ0
座り込んだ祐一の股間には、まだ射精を許されない性器が立ち上がっていた。
根元を黒い綴り紐で戒められたまま、絶頂を迎えることができずにいたのだ。
「う……」
さんざん身体を昂ぶらされながら放出できず、そこは張り詰めて痛いほどだった。
一刻も早く解放されたくてたまらなかった。
高崎はもう終えたはずだ。もういいはずだ…。
そう思って、性器を縛っている紐の結び目に指をかけようとした。
「あっ!」
「誰が解いていいと言った?」
高崎に両手首をつかまれ、紐の結び目から引き剥がされた。
「そんな……」
こんなつらい状態はもう限界だった。
祐一はプライドもなにもかなぐり捨てて高崎に懇願した。
「お願いです……紐を解かせて……」
「射精したいのかね」
「……」
「感じてしまって辛いから、出したいんだね?」
「………はい…」
祐一は涙を頬に伝わらせながら頷いた。
「じゃあ、それを自分で言って御覧よ。“射精させてください”って」
「……射精………させて下さい…」
イかせてほしい、などというぼかした言い方のほうがまだマシだった。
恥ずかしさのあまり死にたくなった。
あれほどまでに拒絶していたはずなのに、結局は与えられる責め苦に耐えられなかった。
なんて自分は意志の弱い人間なのだろうか。
678 :
資料室:2006/10/29(日) 00:06:10 ID:ZxacyXhZ0
「乳首を弄られて、後ろに突っ込まれて、中に出されて、射精したくなった?」
「はい…」
「男なのに突っ込まれて感じたのか。変態だね、君は」
くすくすと高崎が笑った。祐一は顔を上げられなかった。
まるで高崎の方が正しいような気さえしてくる。
身体の興奮は隠しようがない。
自分はもしかして、本当に淫乱な変態なのだろうか。
高崎は祐一の身体を引き寄せると、腰に手を回した。
祐一の性器に、高崎の指が伸びる。
「わかっていると思うけど、声は出さないように気をつけなさい」
祐一は口を手で押さえた。
よかった。恥ずかしかったけど、もう解放してもらえる。
ふと、自分は資料を探しにここに来ていたのだということを思い出した。
もう一時間は経ってしまっただろう。早く戻らないと不審に思われる。
「ふぅ……っ」
大きな掌で包み込まれ、祐一の性器がぴくりと跳ねた。
張り詰めたそこは普段より数倍敏感になっているようだ。
高崎は結び目に手をかけ、解こうとした。
…が、ふいにその手を止めたのだ。
「止めた」
679 :
資料室:2006/10/29(日) 00:07:40 ID:ZxacyXhZ0
祐一は耳を疑った。
思わず高崎を振り返ると、涙に濡れた頬を舐め取られた。
「かわいいね…。やっぱり君は泣いている顔が絶品だ。
今のところは許してあげようと思ったけど、もうちょっと遊ぼうか」
「………!」
冗談じゃない。
祐一は必死で高崎の腕を振りほどくと、綴り紐の結び目に指をかけた。
だが、すぐさま高崎に後ろから取り押さえられてしまう。
「お願いします…もう……もう駄目です……」
「聞き分けのない子だなあ。ちょっと静かにしていなさい」
高崎はそういうと、祐一の口に自分のネクタイを押し込んだ。
そうして、祐一のネクタイで祐一の両手首を後ろ手に縛ってしまった。
「う…っ、むぅ………」
身体の自由を奪われ、泣きながら身を捩る祐一を見て、高崎は満足そうに口の端を上げる。
そうしておいて高崎は胸ポケットから携帯電話を取り出した。
「ああ、高崎だ。さっき長島さんのほうから呼び出しがあってね。
そっちに寄ってくるから、一時間くらいかかるな。ああ、あと…」
高崎は祐一をちらりと見下ろすと、意味ありげな笑みを浮かべる。
「一課の柳瀬君。さっき会ったんだけど具合が悪いらしい。
医務室に行くように言っておいたから、しばらく休んでからそっちに戻るって、
杉本に伝えておいてくれ」
それだけ部下に言付けて電話を切った。
「心配しなくていいさ。仕事の事はね…」
そう言ってひざの上に抱え込むようにした祐一の頭をなでた。
680 :
資料室:2006/10/29(日) 00:08:34 ID:ZxacyXhZ0
高崎は祐一を抱え上げあると、資料室の奥にある長机のところまで運び、
その上に祐一を横たえた。
身体の下敷きになった手首が痛い。それに泣いてばかりいたので呼吸も苦しかった。
「やっぱりこれははずそうか。キスも出来ないしね」
高崎は祐一の口からネクタイを抜き取った。
「ぷはっ、はぁっ…はぁっ……、うっ」
祐一は高崎を睨み付けた。
もう我慢できない。
自分がここまで高崎の玩具にならなくてはならない理由がどこにあるのだ。
「最低だ…」
祐一は、最後に残っていた反抗心を振り絞って言い放った。
「訴えたら…勝てないのはあんたじゃないか…男の俺をこんな風に犯って喜んで…
変態なのはあんたじゃないか!」
681 :
資料室:2006/10/29(日) 00:09:06 ID:ZxacyXhZ0
この渾身の一言は高崎に果たして堪えたのだろうか。
ただ高崎は口の端に笑いを浮かべながら、黙って祐一を見つめていた。
面白がっているだけなのだろうか。
祐一は堪らなくなり、顔を横に背けて吐き捨てた。
「ただのエロ中年のくせに…」
「ぐっ…」
なぜか高崎が噴出すのが聞こえた。何が一体面白いのか。
こいつに何を言ってもどうせ無駄だ…悔しくて、祐一は唇を噛んだ。
「ああ、ごめん。そういうつもりじゃ…悪かったよ」
祐一の様子に気が付いたのだろう。高崎は慌てて言いつくろった。
「いや…ちょっとね。エロ中年ってのが笑えてね。いや確かにそうなんだけどさ。
なんでかなぁ……なんでみんなそれを言うかな」
高崎は祐一の額を撫でながら、あやすように口付けてきた。
祐一は抵抗することもなく高崎の舌を受け入れた。
逃れる努力など無駄なのだと思った。もうこんな奴どうでもいい。
いつも通り好きなだけ自分を玩具にしていればいいのだ。
682 :
資料室:2006/10/29(日) 00:09:52 ID:ZxacyXhZ0
「ひっ」
高崎の舌が祐一の乳首を舐めた。
「いっ、痛いっ」
歯で甘噛まれ、祐一は悲鳴を上げた。
刺激でぷくりと勃ち上がり、そこはすっかり敏感になってしまっていた。
「やっぱり腰に来るんだね」
「あう…ひっ、……ん…」
祐一の乳首を舌で、歯で追い詰めてゆく。
刺激を与えられるたび、指摘どおり祐一の腰は跳ね上がる。
そんな自分の身体が情けなかった。
「あ…」
乳首から唇を離すと、高崎は祐一の足首を掴んだ。
仰向けに寝かされた状態で、脚を大きく広げさせられる。
足の間の恥ずかしい部分を曝け出す格好を取らされて、祐一は捩って逃れようとした。
683 :
資料室:2006/10/29(日) 00:11:43 ID:ZxacyXhZ0
「あ……やめろ…もう嫌だ…いやだ…」
「やっぱりね、君はかわいい。普通にしていてもかわいいけどね。
泣いて嫌がっているのが、一番かわいい」
言っていることがむちゃくちゃだった。
これでは、嫌がれば嫌がるほど高崎を喜ばせるだけで、抵抗するだけ本当に無駄だということではないか。
やっぱり到底耐えられそうもなかった。
「…い…」
「何?」
祐一の太腿に舌を這わせようとしていた高崎が、祐一の顔を見た。
顔を寄せてきた高崎に、祐一は最後の気力を込め言った。
「……あんたを訴えて……辞めさせてやりたい…」
高崎はそれを聞いてどう思ったのだろうか。ただ、微笑むと、こう言った。
「いいよ」
今回はこれで終わりです。
資料室タン、待ってたよ!
乙乙乙!
どーにもこーにも憎たらしい室長、相変わらずいい味〜。
大人しくしてても逆らっても楽しまれるのでは、悔しくて気が遠くなるわな。
祐一、ガンガレ!
腐った呪いは、王子さまの口内にも及んでいました。
淫らな音を立て、乳兄弟のおちんちんの先っぽを吸い、残り汁を啜りながら、
王子さまはご子息を勃起させ、お尻の穴を濡らし、一心不乱におしゃぶりをしています。
強引に含まされた陰茎を生臭いと思えないのも、
またとないしゃぶり心地のよさに、舌と唇が虜になるのも、
後から後から溢れ出る涎で口の中が、ご子息や美肛のように濡れるのも、
すべて呪いのせい。
王子さまが、どんなにこの忌まわしい行為をやめたいと願っても、
王子さまの口はおしゃぶりをやめられません。
赤い靴を履いた少女が踊り続けるしかなかったかのように、
王子さまは乳兄弟の陰茎を口に含みつづけるしか無かったのです。
しゃぶればしゃぶるほど、王子さまの体は火照り、王さま譲りの碧い瞳が潤みます。
勃ちっぱなしの敏感なご子息は、撫で擦(さす)られることを望み、
美肛は乳兄弟の陰茎を恋う門と化し、濡れながら
いま、口の中にあるテラテラとした塊が再び押し入ってくるのを、
わくわく、ぬるぬるしながら待っています。
濡れれば濡れるほど、王子さまは感じました。
感じれば感じるほど、王子さまは濡れました。
濡れすぎて熱い。感じすぎて苦しい。気持ちよすぎておかしくなる。
身を灼く羞恥さえ甘美なものに思え、王子さまは乳兄弟の残り汁を吸いながら、
一筋、右頬に透明な涙をつたわせました。
喜怒哀楽。どの感情が極まってもひとは涙を流します。
王子さまの正直な体は、快感に高まり、喜びを感じています。
王子さまの誇り高い心は、快感に流されてゆく己の弱さに、怒りを感じています。
あさましく卑猥な姿を乳兄弟に曝す口惜しさ、哀しさ。
いつもいつも意識してきた乳兄弟に穿たれ、体じゅうを濡らしながら
獣になって共に快を追う楽しさ!!
すべてが涙の理由になりました。
王子さまが泣き濡れながら、口に乳兄弟の陰茎を受けていた頃、
城から摘み出された黒魔術師は、森の奥の蔦(つた)の絡まる屋敷へ帰り着いていました。
帰り着くや否や、黒魔術師は、目深に被っていた鈍色のフード付きローブを脱ぎ捨て、
書庫に直行しました。心惹かれる影のある彫りの深い顔を嶮しく顰め、
分厚い魔術書を捲りながら、黒魔術師は呻きました。
黒魔術師は自身があみだした秘術が、王子さまの股間にまったく効かなかった事が、
悔しくて悔しくて堪りませんでした。
白濁を出し尽くせば、男の猛りは萎えるものです。
精を射することを強いる己の術に、絶対的な自信を持っていた黒魔術師は、
出すものを出しつくせば、一時的に王子さまの股間は萎え、
つかの間でも、王子さまの股間を落ち着かせることができれば、
それなりの褒美にありつけると思っていました。
ところがどうでしょう。
長い長い放出を終えた後、王子さまのご子息はいきり勃ったままでした。
(ありえねー)。
褒美がもらえなかったことよりも、間仕切りに阻まれ楽しみにしていた王子さまの顔が
見られなかったことよりも、自身の術が「北の魔術師」の術にまったく及ばなかった事が、
黒魔術師の眉間に皺を寄せさせていました。
黒魔術師のように「闇の魔術」に傾倒している者で、「北の魔術師」を知らない者が
いるとすれば、その者はもぐりです。胸の病で、一昨年他界したその男は、
独創的な魔術を多くあみだした奇才として知られていました。享年、43歳。
けむり草の葉を巻いてつくった太めの巻き煙草(たばこ)をたいそう好んでいた為、
煙に肺をやられたのだろうと噂される「あこがれの魔術師」の「早過ぎる死」を、
黒魔術師は惜しく思っていました。
王子さまの股間を診たとき、黒魔術師の目は「そこ」に敬愛している「北の魔術師」が
施したとしか思えない、常人の斜め上をいく滑稽な呪(まじな)いの層を見ました。
勃ちっぱなし。濡れっぱなし。感じっぱなし。発動は王子さま二十歳のころ。
無理に呪(のろ)いを解こうとすれば、股間が爆ぜるよう仕掛けられた罠などなど。
美肛と口内にかけられた呪(のろ)いこそ、見抜けませんでしたが
黒魔術師は、幾重にもかさなり絡み合っている、独創性あふれる高度な術に気付き、
見惚れながら、「挑みたい!」と強く思いました。
「つかの間」でもあの「北の魔術師」の術を押さえ込む。
黒魔術師は意気込み、(王子さまの股間を慮り、あえて実験的なことを避け、)
己があみだした秘術……「吐精の術」を選びました。
(これならば、確実に王子の股間を落ち着かせられる)。
自身の術により、王子さまが「大海原を悠々と泳ぐ白鯨」のように、
高く勢いよく潮を噴き上げたとき、黒魔術師は小さく右の拳を握りました。
自分の術があの「北の魔術師」の呪いの上から王子さまのご子息に効いたことが、
本当に本当に嬉しかったのです。けれども、放出を終えても王子さまのご子息は
きりりと勃ったままでした。
「勃ちっぱなしの術」に「吐精の術」が玉砕し、黒魔術師は打ちのめされました。
その上、王子さまが激しい吐精に酷く苦しまれた為、城の者どもに白い目で見られ、
追い払われるように森の奥の蔦の絡まる屋敷へ帰るはめになったのです。
黒魔術師は馬を走らせながら、己の矜持にかけ
「濡れっぱなし。感じっぱなし」はともかく、「勃ちっぱなしの術」だけは、
解いてみせると自身に固く誓いました。
そういうわけで、黒魔術師は屋敷に帰り着くなり書庫に飛び込み、
片っ端から魔術書を捲りました。けれども、どの魔術書にも
「勃ちっぱなしの術」を解く糸口さえ見つけることができません。
(これは、王子のためではなく俺のため)。
「北の魔術師」に少しでも勝ちたい一心で、黒魔術師はまるで自慰をするように、
魔術書を読みあさりました。
夜明け前、黒魔術師は眠気覚ましのどくだみ茶を飲みながら、ある術を思い出しました。
「死者との対話」
鏡を媒体に冥界の死者と直に話をすることができる難度の高いそれを、
黒魔術師はつい最近、修得したばかりでした。
誇り高い黒魔術師は、「北の魔術師」本人にこの難題の解を訊こうとは思いませんでしたが、
何故このような滑稽な呪いを王子さまにかけたのかは、聞いておきたいと思ったのです。
そうしてそこにこそ、この呪いを解く鍵が隠されているような気がしました。
黒魔術師は、凝った額縁を持つ美々しい壁鏡に向かい呪文を詠唱しました。
鏡が波打ち、ぼんやりと浮かび上がった人影が明確な像を結ぶその前に、
鏡から漂ってきた噎せ返るような煙草の匂いと、
もくもくと広がる白煙に、黒魔術師(以下、黒と略す)は、
「北の魔術師」の呼び出しに成功したことを悟りました。
太い葉巻を吸いながら「北の魔術師」は面倒くさそうに黒を見ました。
黒は「北の魔術師」に、「貴方さまが掛けたとしか思えない呪いで、
この国の王子が苦しんでいる」旨を伝え、「北の魔術師」に問いかけました。
「何故(なにゆえ)、あのような一風変わった呪(のろ)いを掛けられたのですか?」
「呪い!?」
まじめな顔で問うた黒に、「北の魔術師」は陰険そうな目をまるく見開き、
一拍後、腹を抱えて笑い出しました。
「あれは、呪いじゃねえよ。陛下のガキへの贈り物だったんだがな〜」
お子に恵まれなかった王さまとお后さまに、それはそれは美しい王子さまが産まれたとき、
国中の魔術師が「出生の祝い」に呼ばれました。
けれども、「いまは王子さまにお仕えしている侍従」と陛下をメグって、
たいそう醜い争いを繰り広げ、恋に破れた「北の魔術師」だけは招かれませんでした。
「俺様と侍従と陛下の濃ゆい話を聞かせてやろうか?」
首を横に振った黒に、鏡の中から煙りを吹きかけながらフッと自嘲すると、
「北の魔術師」は話を続けました。
「祝いには呼ばれなかったが、恋した『同性好きの男』が、
『異性(おきさき)さん』と頑張って、やっとこさつくったガキだぜ。
可愛いさ。祝福のひとつやふたつしてやりたくなるのが人情だろうが。
何にしようかさんざん迷って『大人になったら具合のいい体になりますように』って、
唱えてやったんだよ。どうせネコの子はネコだ。
二十歳にもなれば体を繋げてえ男のひとりやふたりできるだろ?
『呪い』だなんて哀しいこと云うなよな……。
侍従の野郎は口を開けば、俺様のことを『粘着だ』、『陰湿だ』だの云ってたが、
俺様の処世訓は『正直清浄礼和質朴(しょうじきしょうじょうれいわしつぼく)』だぜ?
ちんぽなんざ、勃ってなんぼなんだよ。見た目のもっこり感が気になるなら、
仕立て屋呼んで、膨らみが目立たない服をつくらせればいい。
頭痛と気だるさを演出する熱。遊び女(あそびめ)みたく濡れる穴。
ちんぽを好む口。おまけも、たくさんつけてやったんだがなぁ……。
あのガキは悦んでねえのかよ?」
「さあ……?」
黒は軽い目眩を覚えながらも、人として「北の魔術師」の心遣いを
無にしてはいけないと思い、王子さまの股間に関わることをやめました。
めでたしめでたし
ちょww これでめでたしww
王子さま、生き延びられるのか!?
メルヘンタン乙!
ということで新スレ行って来ます。特に変更は無い?
「美肛は乳兄弟の陰茎を恋う門と化し」ww
「ネコの子はネコ」www
笑ったよ。乙でした。
斜め上をいく北の魔術師、最高だw
工エエェェ(´д`)ェェエエ工工…メルヘンタンこれで終わり!?
ぅをい!!!w
資料室タン反抗ktkr
乙でした。
今スレも素晴らしかった!
自分も同じく工エエェェ(´д`)ェェエエ工工ってなった
北の魔術師素敵すぎw
個人的にすごく好きな終わり方でした
メルヘンたん乙でした!