モララーのビデオ棚in801板19

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1風と木の名無しさん
1 名前:風と木の名無しさん[sage] 投稿日:2006/06/30(金) 00:50:47 ID:9q5Iio5p
モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。


   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]__\______  ___________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |      |/
    |[][][][][][][]//||  |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ| |
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄
                    (__)_)


モララーのビデオ棚in801板18
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1151596247/
 ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-7のあたり

保管サイト(お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://moravideo.s57.xrea.com/
2風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 02:21:13 ID:suSLO1tU0
1.ノンジャンルのネタ発表の場です
書き込むネタはノンジャンル。
スレ違い/板違い/鯖違い/メディア違い問わず、ネタであれば何でもあり。
たとえばこんなときにどうぞ。

  どこに投稿すればいいのかわからない‥‥
   ・ネタを作ってはみたが投稿すべき既存のスレが無い。
   ・投稿すべきスレがあるのかもしれないけど、よくわかんない。
   ・クロスオーバーのつもりなのだが各スレ住人にウザがられた。
   ・みんなの反応を見たうえでスレ立てるべきかどうか判断したい。

  投稿すべきスレはあるが‥‥
   ・キャラの設定を間違えて作ったので本スレに貼れない。
   ・種々の理由で、投稿すると本スレが荒れそう。
   ・本スレに貼る前にあらかじめ他人の反応を知って推敲したい。
   ・本スレは終了した。でも続編を自分で立てる気がない。

  ヘタレなので‥‥
   ・我ながらつまらないネタなので貼るのが躊躇われる。
   ・作り出してはみたものの途中で挫折した。誰か続きおながい!

迷ったときはこのスレに投稿してね。
ただ、本来投稿すべきと思うスレがある場合は
それがどのスレで(ヒントで充分)、しかしなぜこのスレに貼ったのか、
という簡単なコメントがあるとよい。無いとカオスすぎるからね。

ナマモノは伏せ字か当て字を推奨。
それ以外は該当スレのローカルルールに沿うか、自己判断で。
3風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 02:21:50 ID:suSLO1tU0
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリーAAであろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                               | | [][] PAUSE
                ∧_∧         | |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |
          | |,,  (    つ◇       | |
          | ||―(_ ┐┐―||        |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
4風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 02:22:21 ID:suSLO1tU0
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。
別に義務ではないけどね。
とりあえず用意したテンプレ。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
5風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 02:22:53 ID:suSLO1tU0
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
 \_________________________
6風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 02:23:24 ID:suSLO1tU0
携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
7風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 02:23:57 ID:suSLO1tU0
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)
8風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 02:24:48 ID:3hSA7tHb0
>>1乙乙乙
9風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 03:02:47 ID:CGo0nHtx0
おつー
10風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 09:06:13 ID:ExfaggwuO
>>1
乙です。
11風と木の名無しさん:2006/08/15(火) 20:58:11 ID:Ra66vfLi0
 

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
                    |  某日曜ドラマの長男とオカマだよ 
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  一夜を勝手に補完したよ 
 | |                | |            \ 
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ディテールも怪しいよ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___ 
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  | 
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  | 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
121/3:2006/08/15(火) 21:00:20 ID:Ra66vfLi0
俺は夜の街を走り出していた。
久々に和解した姉と母親の屈託のない笑顔。はしゃぐ弟。
花火大会に誘う親父にはもっともらしい言い訳をしてマンションを後にしたけど俺の本心は…
あぁ、わからない。pin子さんに会って何て言うつもりなんだろう。
あんな別れ方をしたばかりだと言うのに。
俺の心無いひと言に「そういう反応、慣れてるから」
無理に笑顔をつくるpin子さんの顔が頭をチラついて離れない。

pin子さんの店の近くまで来たものの、俺は掛けるべき言葉を見つけられないままだった。
そこに仕事上がりのpin子さんが酔っているのか上機嫌で現れた。
隣の男にしなだれかかりながら「今日は朝まで付き合ってあげるからぁ」
と耳打ちする声が聞こえてくる。何その男。誰?そいつと付き合うの?
気づいた時には夢中で飛び出して、pin子さんの手を引いて走り出していた。
今日はよく走る日だ。俺は他人事のようにそんなことを考えていた。



「ハァハァ…」
煌々と電気がともったコンピニの前でようやく走る速度を緩めた。
明るい店内の照明めがけてガラスに激突を繰り返す虫たちにも今日はなぜだか親しみを感じる。
二人とも無言で立ち止まって、呼吸が静まるのを待っていた。
「…pin子さん家、どっち?」「こっちだけど…え?」
さっきから繋いだままの手を強引に引っ張ってpin子さんのマンションまで歩いた。
俺はこれからどうするつもりなんだろう。やっぱり考えは纏まっていない。
言いたいことはたくさんあった。
とにかく誰かと楽しそうにしてるpin子さんを見たくない。
俺のことが好きって言ってたじゃん。
自分は散々pin子を傷つけるようなことばかりしておきながら。本当に俺は勝手だ。
他の人とのツーショットを見てあんなに頭に血が上るなんて。
俺が本当に困った時に現れて、真剣な言葉を俺にくれるpin子さんに甘えてるだけなのかな。
本当にどうしたいんだよ、俺。
132/3:2006/08/15(火) 21:02:39 ID:Ra66vfLi0
そんな考え事をしていると知らず知らずのうちに早歩きになっていたのか
あっと言う間にマンションに辿り着くと、無言のままpin子さんを促して部屋に上がりこんだ。
「一体どうしちゃったの?お兄ちゃん」
戸惑いながらもpin子さんはいつもの笑顔を作りながら問いかけてくる。
部屋は電気を付けていないので、カーテンを閉めていない窓から入ってくる灯かりが頼りだ。
「わかんない。わかんないけど、よくないよ。好きでもない人とああいうの…」
「関係ないでしょ。放っておいてよ」
「放っておけないから言ってるんだよ!嫌なんだよ。ああいうの…」
自分でも訳がわからないままpin子さんを押し倒していた。
「ちょっと!何よ。ヤケになってるんでしょ」

そこからしばらくは荒い息遣いの男二人の無言の攻防が続いた。
とにかくキスだ。キスが出来るか出来ないか。それが第一の関門のような気がした。
衣擦れの音をさせながらどうにか主導権を握ろうとしていると
窓から入り込んでくるネオンの明かりに目が慣れてきたのか
pin子さんとおもむろに目があってしまった。何だか恥ずかしい。
どちらからともなく吹き出してしまい、その場を覆っていた緊張の糸が切れたようだ。
笑いが収まって自然と見詰め合う格好になった。
pin子さんの目は不思議なものを見つけた時の猫みたいだなぁなんて考えながら
そっと唇を重ねてみる。うん。出来る。
今まで考え込んでいたあれやこれやが馬鹿らしくなってきた。
何度か角度を変えながら続けてみたら止まらなくなった。
pin子さんもだんだん応じてくれている。
143/3:2006/08/15(火) 21:06:38 ID:Ra66vfLi0
なんかうまいなpin子さん。やっぱり経験豊富…?
なんてことをキスをしながら考えていたらいつの間にかpin子さんが上にいる。
「んー?あれ…」
そうこうしている内にも服は乱れ、pin子さんの手は下のほうに移動していた。
「ん……あっ…ちょっ」
やっぱりうまい。何人くらい男の人を知ってるんだろう。
さっきpin子と一緒だった男のことを思い出して不快になったのに
体のほうは気分と反比例するかのように反応してしまう。
嫉妬と快感と言うのは案外相性がいいのかも知れない。
pin子さんの巧みな指さばきに翻弄されているうちに下と言うかむしろ後ろ側に違和感が。
「あぁっ…そっちは…んっ…」
今まで経験のない違和感に混ざりこむ少しの快感の波に戸惑いながら
気が付くとpin子の上半身を覆うピッタリ目のシャツに夢中でしがみついていた。
すごく顔が見たくなって仰ぎ見ると、コンドームを咥えたおっとこまえなpin子さんの笑顔がそこにあった。
「大・丈・夫!皆、最初は初めてなのよ〜なんちゃって、フフー」





窓から盛大に差し込む朝日の眩しさと顔に纏わりつく誰かの手の感触に眠りを妨げられた。
部屋の中央に置かれた大き目のベッド。隣にはぐっすり寝ている様子のpin子さん。
そして今現在も絶え間なく感じられるお尻の違和感。
恐る恐る布団を捲り上げ下半身を確認してみる。
「やっぱりpin子さんがそっちで、俺がこっち…」
自分の想像を超える展開に昨夜以上に考えが纏まらない長男なのだった。
15風と木の名無しさん:2006/08/15(火) 21:08:11 ID:Ra66vfLi0
 ____________ 
 | __________  | 
 | |                | | 
 | | □ STOP.       | | 
 | |                | |           ∧_∧ ケッキョク朝チュンダヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 
 | |                | |       ◇⊂    ) __ 
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | 
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | 
16風と木の名無しさん:2006/08/15(火) 21:13:25 ID:AGheNFWx0
うおお超GJ!!
ちょうどその回見逃しちゃったんだよね…再放送待つしかないのかな
17風と木の名無しさん:2006/08/15(火) 21:31:54 ID:D+b+yGGa0
>11
うおおおお!!!
おっとこ前なPin子さんに萌え!おろおろする長男に萌え!
いいもん読ませて頂きました!GJ!
18風と木の名無しさん:2006/08/16(水) 00:32:30 ID:cF+xa6yp0
前スレも新スレもPin子祭りー!!
あっちはもう少しでKBオーバーしそうだからまとめてスマンが
どっちもGJ!!
19前スレ672 秋ピン4:2006/08/19(土) 21:39:04 ID:+Ob2mfaNO
そうか、いま、あたしは女の子として扱われてるんだ。

夢みたい。
夢みたい。
夢みたい。

今日のあたし、お姫様みたいだよね。
やっぱり秋羅ちゃんは、王子様だった。
男の腕からあたしを奪って街の中を走るなんて、
昔、家族から隠れて読んだ少女マンガみたい。
みんなと違うことに怯えてた、あの頃の自分に言ってあげたい。
あんたにも素敵な王子様が現われるよ。

いま、うっすらと汗をかいて優しく見つめてくれてるのが夢かもしれなくても。
朝目覚めたときに魔法がとけて、いつもの日常に戻っていたとしても。
今夜の思い出を心の中の宝箱にしまって生きていけるよ。

ちょっと涙ぐんでしまったあたしを見て
「…あ、大丈夫、ですか?痛い?」
秋羅ちゃんは心配そうに覗き込んでくる。
「…うううん平気。止めないで…」
世界中の神様に感謝して、愛しい人の背中に手を回した。
ありがとう、神様。
ありがとう、あたしの王子様。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )オメヨゴシ シカモスレマタギ シツレイシヤシタ…orz
結局自己発電、乙女が膨らみすぎますた。
20風と木の名無しさん:2006/08/19(土) 22:14:35 ID:lJNNxhxx0
>>19
超GJ!!!!
21風と木の名無しさん:2006/08/20(日) 00:48:16 ID:PT9wQumd0
pin子かわいいよ、pin子。
11も19も前スレの方もGJ!!です。
22風と木の名無しさん:2006/08/20(日) 14:20:20 ID:SXldEEol0
pin子さん乙女だ…!
23風と木の名無しさん:2006/08/20(日) 22:26:40 ID:RwjFRzITO
>>19 pin子タンが健気過ぎて泣いた。超GJ!!!!!
24Pin×アキ:2006/08/20(日) 23:51:29 ID:zBdCZ4yu0
アキ×Pinに見せかけて本当は逆だよ。
今回の放送分の後日談だよ。やっちゃったけど朝チュンだよ!


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
 
「それで?ちゃんと家族と仲直りできた?」

 お父さんやお姉ちゃん達に自分に素直になれといわれた夜、
何故か寝付けなくてPin子さんのうちへ押しかけてしまった。

「よかったぁ。また、アキラちゃんったらキレておうち飛び出して来ちゃったのかと思った」

「心配しないで。あの日、本当になにもなかったんだから」

 なにかあっても私は良かったんだけどね、と冗談めかして笑うPin子さんの横顔に
自分が酷いことをいったばかりに傷ついて他の男と寝ようとした、あの夜の悲しい色が混ざって見えた。
 自分には素直になれといったくせに。
 なんで、このひとは悲しくて寂しいくせにこうやって優しく笑うんだ。
25Pin×アキ 2:2006/08/20(日) 23:52:40 ID:zBdCZ4yu0
「Pin子さん…俺のこと好きっていったの本当?」
「なによ、急にそんなこと…」
「だったらなんで…、なんで俺が嫌いとかキモチワルイとかいったのにそうやって笑っていられるの?
 好きなひとにそんなこといわれて悲しくないの?」
「悲しいわよっ!…でもね、アキラちゃんがそう思うんだったらしょうがないことなの…
 だって実際好きでもないオカマに迫られたって困るじゃない…」
 自分はなんて酷いことをしたんだろう。Pin子さんが目を伏せ、さびしそうに呟くのを聞いて
改めて自分の最低さに気づいた。同時に訳の分からない感情に胸が詰まり呼吸が苦しくなってきた。
「Pin子さんっ!」
「きゃっ…!」
 自分がしたいことをする。
 胸が苦しくなって、呼吸が詰まったときはきっと誰かが愛しくなったときで。
誰かが愛しくなったらその子を抱きしめるべきで。抱きしめたら…。
「あ、アキラちゃん…」
 抱きしめたらどうすべきなんだっけ…。
 Pin子さんが腕の中で困ったように自分の名前を呼ぶ。
 この後はどうすべきなんだ。
 今まで惰性で付き合ってきた女の子達とは訳が違う。
 今、自分の腕の中にいるこの可愛いひとにはどうしてあげるべきなんだ。
 考えれば考えるほど訳が分からない。
26Pin×アキ 3:2006/08/20(日) 23:53:38 ID:zBdCZ4yu0

「アキラちゃん…ちょっと苦しい…」

 はっと気づき腕を緩める。
 Pin子さんの大きな瞳が自分を見ている。

「す、すいません!俺ってば…、どうかしてる!
 ごめんなさい。痛かったですか?」
「ほんと、アキラちゃんってば可愛いんだから…」
 ああ、可愛いひとが可愛い顔で俺のことを可愛いといってくれている。
 …あ、あれ?なんか違う。可愛いのはPin子さんで、可愛がるのは俺で…。

「ピ、Pin子さん!?」
「アキラちゃんったら、ほんとうに可愛い…ひさしぶりにノンケ相手に勃っちゃったわ」

 …う、うわー。なにか当たってるー…。

「心配しないで、アキラちゃんは何にもしなくていいの
 あたしが気持ちよぉくして あ げ る か ら 」

 やっぱりPin子さんはPin子さんで。
 いくら可愛くても立派な成人男性で。
 そして自分はまだ経験の浅い未熟者で。
27Pin×アキ 4:2006/08/20(日) 23:54:39 ID:zBdCZ4yu0


 やっぱり、あの日はなにもなかったんだ。
 ナニかあった日はあんなふうに飛び起きることはできないし、確認をするまでもない。
 ナニかあった日は非常に腰が痛い。そして身体中にPin子さんがつけたであろうキスマークがある。
 
 ああ、やっちゃった、なんて下世話ことを思うほど明確に情事のあとが残りすぎている。
 最中もPin子さんはずっとオカマ口調だったけど、あんあんいうだけだった俺に比べれば
ずっと男らしかったし、格好良かった。

 なんだかなぁ…と思いつつ横を見ると幸せそうに眠るPin子さんがいた。
 その顔を見た瞬間可愛いなんて感想を持つ自分は確実におかしいけれど、
こんなに可愛いひとの幸せそうな寝顔を朝一番にみられるのは幸せなことかもしれない。

 とりあえず、今、一番自分がしたいことはこの可愛いひとの隣でもう少し眠ること。
 まだ、ぼんやりした頭だけど素直にその欲求にしたがうことにした。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!グダグダ デ ゴメンネ!
28風と木の名無しさん:2006/08/21(月) 00:05:57 ID:WAwwP43BO
姐様方禿しくGJ!
PIンコ可愛いよPIンコ
そしてこなれてるPIンコなんて…大っ好きだ
生えてないはずのティンコがおっきしますた
29案邪っ種:綿×子:2006/08/22(火) 04:54:22 ID:muYx1dDe0


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  NDSの工フ工フ3のCMより、リーマン設定。エピは捏造だよ。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  MacなのでAAずれたらスマソ。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 駅名も出身地付近だけどウソッパチ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
30案邪っ種:綿×子 1/14:2006/08/22(火) 04:57:49 ID:muYx1dDe0
昼前の会議が終わり、何とはなしに窓の外を見下ろす。
小さく見える人、人、人。昼食が終ればまた自分はあの中に呑み込まれることになるのだ。
窓からの光景は入社したての頃と変わったと言えば変わったし、変わっていないと言えば変わらない。
向かいのビルが建て直されて小綺麗になったり、その横のビルに入っていた小売店がフランチャイズ化されてコンビニになってみたり。
それでも一本先の道にあるボロい定食屋はあいかわらず頑張っているし、その角のタバコ屋の婆さんもどうにか健在だ。

そこそこの大学をそこそこの成績で出て、それほど大きくはない出版社に入社したのは数年前のこと。
配属された編集部の机で雑誌の小さな記事を書いたり、写真にキャプションをつけたり。
仕事はそれなりに楽しくて、〆切前にボロボロになったりしつつも何だかんだで笑っていられたのだ。
ところが最近やってきた人事異動で、自分はポイッと営業部へと放り込まれてしまった。

まあ確かにどちらかと言えば人当たりのいい性格で、口も達者だったから何とか新しい仕事をこなしてはいる。
でもこの新しい仕事は、どうにも自分には向いていないと思ってしまうときが多々あるのだ。
さっきの会議でだってそうだ。編集部の人間が寝ずに考えた本のタイトルを「これじゃ売れない」と突き返す根っからの営業畑の同僚。
そりゃあちょっと地味かもしれないが、この本ならこういう堅いタイトルだっていいと思うんだけど。
でも売れないんだろうなあ。だけど売れる本がいい本ってわけでもないと俺は思う、いやしかし…。
そんなことで悩む自分と、精力的に仕事をこなす彼らとの間には、やっぱり埋められない溝があるような気がしてしまう。
31案邪っ種:綿×子 2/14:2006/08/22(火) 04:58:25 ID:muYx1dDe0
はあ、とひとつ溜息をついて振り返れば、会議室に残っているのは自分ともう一人だけになってしまっていた。
みんなもう昼飯を食いに外に出かけて行ったのだろう。貴重な休み時間を無駄にするバカはそう多くない。
そんな数少ないバカの一人は、先ほどから何やら携帯用のゲーム機をいじって遊んでいるようだった。

「会議にそれ持ってきてたのかよ」
「ん、ポケットに入れてた」
「しょーがねえな、お前…」

古島は高校時代からの親友で、もちろん会社でも一番仲のいい男だ。この間までは編集部で机を並べて仕事をしていた。
腐れ縁だか何だか知らないが、今度の人事異動でこいつまで営業に飛ばされて、またも机は隣なのだ。
とはいえ外回りも多いから、並んだ机に座ることは編集部の頃より随分減ったのだけれど。
それにも寂しさを感じるといえば感じるのだが、口に出すのも変な話なので、本人に言ったことはない。
まあ、たとえ言ったところで、照れ笑いしつつ「俺も」とか言ってくれそうな奴ではあるのだが。
32案邪っ種:綿×子 3/14:2006/08/22(火) 04:59:07 ID:muYx1dDe0
営業部に机ができた日の夜、飲み屋で早々に愚痴った俺に対して、あまり飲めない古島はちょっと困った顔で冷や奴をつついていた。
何だお前、編集の仕事に未練はないのか、営業の方がいいのか、酒が入っていたこともあってそんなふうに問いつめた俺。

「んー、でもまあ、綿部と一緒なわけだし、どうにかなるんじゃねーかなあ」

なのに古島はそう答えて、ちょっと照れたように笑った。全くずるい奴だ、そんなこと言われたら愚痴も言えなくなる。
すっかり毒気をぬかれて、ああもうお前に愚痴った俺が馬鹿だった、でもまあお前一緒でよかったわ、なんて答えて。
暢気な親友は笑いながらウーロン茶を注文し、俺が黒霧島をロックで、と言うと飲み過ぎるなと注意してきた。
その忠告をさらっと流して、結局いい感じに出来上がった俺は終電を逃し、古島宅にお泊まりと相成ったのだった。
しらふで酔っぱらいの相手をさせられてさぞかし面倒だったことだろう。とはいえ昔からよくあったことだし、今さら悪いとも思わないが。

ちなみに目が覚めたら見事にシングルベッドで男二人が就寝というむさ苦しい状態が出来上がっていて、二人で凹んだ。
何でこんなしょっぱい朝むかえにゃならんのだ!と逆切れした俺とこっちの台詞だ!と珍しく迎え撃った古島のせいで朝6時半に軽く殴り合い。
社会人としての節度をもって顔だけは互いに殴らなかったが、結構痣だらけになってさらに凹み、7時ちょうどに何となく和解。
7時15分に朝食をとる暇もなく慌てて二人で家を出て、滑り込みセーフ。なんとか新しい上司のお叱りは免れたのだった。
古島といると自分がとっくに三十路に突入していることを綺麗サッパリ忘れてしまう。困ったもんだ。
数ヶ月前のそんなくだらない小事件を思い出しつつ、また窓の外を眺めていた俺に、古島が軽い調子で言った。
33案邪っ種:綿×子 4/14:2006/08/22(火) 04:59:54 ID:muYx1dDe0

「ジョブ変えよっ」

…え、お前この間俺と一緒ならどうにかなるって言ったばっかりじゃねーか、っていうかそんな軽いの?なあ?
しかも「ジョブ」って。英語かよ。お前受験のときも全然英語できなかったくせに何カッコつけちゃってんの?何なの?
と心の中ではいろんな思いがぐるぐるしたものの、自分も先ほどの会議の一件でまた、この仕事はむいてないと痛感したところだ。
むしろお前と一緒なら転職も何とかなるかもだしなあ、いっそ一緒に転職してしまおうか、なんて。

「営業向いてないしなー…冒険するかぁ」

そう言った俺に返ってきたのは古島の能天気なセリフ。

「戦士系? 魔導師系? 俺も迷ってんだよねー」
「…そっちの冒険かよ!」

古島の手元をのぞき込めば、小さなゲーム機の画面では架空の世界の冒険らしきものが始まっている。
ああ、ジョブでもなんでも勝手に変えろ!とちょっと腹が立ったものの、ニコニコしている古島を見ていたら気が抜けた。
昔からずっと、こんな感じで俺の怒りはすっと消えてなくなってしまう。わりあい短気な俺と古島が続いた理由はこれかもしれない。
34案邪っ種:綿×子 5/14:2006/08/22(火) 05:17:12 ID:muYx1dDe0

「それさ、何のゲームやってんの?」
「工フ工フIII」
「へえ…」

そう聞いてもあまりゲームをしない自分には、華やかな勇者の冒険譚を想像するのがせいぜいだ。
かなりインドア派の古島とアウトドア派の俺は趣味もあわないし、仕事をのぞけばそれほど共通の話題があるわけでもない。
そのくせ昔から、こいつの隣が一番居心地がいいのだからおかしな話だ。
お互いにやりたいことをやって傍にいるだけ。今までつきあったどの彼女といても感じられなかった絶妙の距離感。
自然に二人でいる時間は長くなっていって、いい大人の男がこうして毎日、昼も夜も一緒に飯を食っている、不自然な状況。

そういえば高校の頃もよく屋上で二人並んで昼飯を食ったもんだ、古島はさぼることも結構多かったけど。
学校が嫌いだった古島と、好きだった俺が仲良くなったのは確かそう、ゲームの中の勇者とは比べ物にならない小さな冒険がきっかけだった。
35案邪っ種:綿×子:2006/08/22(火) 05:25:14 ID:muYx1dDe0


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 | | □ STOP.       | |
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


中途半端ですみません、また続き落としに来ます。
36風と木の名無しさん:2006/08/22(火) 07:55:42 ID:j9jUiAwVO
>35GJ!続き楽しみにしているよー
37案邪っ種:綿×子 続き:2006/08/22(火) 13:08:53 ID:muYx1dDe0

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38案邪っ種:綿×子 6/14:2006/08/22(火) 13:10:24 ID:muYx1dDe0
もうずいぶんと昔のことのように思える高校時代、あれは2年生の秋、いや冬だったろうか。
年月を経て少しずつぼんやりし始めた、小さな小さな冒険の記憶をたぐりよせる。
放課後にふざけてやっていたバスケで右手を痛めて、腫れたので保健室に行ったら、もしかすると骨折してるかも、と言われて帰りに病院へ。
レントゲンを撮ってもらうと幸い骨は無傷で、痛めた筋を冷やす湿布を貼られて包帯を巻かれた。
大したことがなかったのでいつもと少し違う帰り道を楽しんでたどり着いたのは、普段よりひとつ先の大きな駅。
夕暮れのオレンジの光が消えかかる中、よく目をこらしてみると、学校には来ていなかったはずの古島が駅の券売機の前に佇んでいた。

「古島…だよな?」
「…あれ? 綿部? 何だよお前、隣の駅だろ?」
「俺は病院に寄ってたんだよ、お前も俺と確か駅同じじゃねーか、ここで何してんの?」
「あー…」
「何だよ、言えよ」
「いや、ちょっとやってみたいことがあったんだけど…」
「やってみたいこと?」

そうたずねると、古島はJRの路線図を指差した。
39案邪っ種:綿×子 7/14:2006/08/22(火) 13:12:08 ID:muYx1dDe0

「相模線ってさ、ずっと乗ってると茅ヶ崎着くじゃん」
「…おう」
「俺、夏以外に海って見たことねーんだ」
「いや、俺もねえけど」
「行ってみようか考えてたんだけど、帰りの分の金が足りないんだよ」
「…それは諦めるべきじゃねーの?」
「でもふた駅歩けば帰れないことはないから」
「それでどうするか悩んでた、と」
「おう」
「…お前、バカだろ」
「俺も薄々感づいてた」

そう言って古島はちょっと笑って、財布の中の千円札と小銭を出してみせた。

「ほら、270円足りねーの」
「え、いくらなんでも上溝のあたりからは歩いて帰れねーだろ」
「違うって、八高線180円だろ」
「あ、そうか、ここからじゃねーんだ…片倉から歩きってことか」
「そうそう」
「あー、それでもギリギリだろ、あそこからだと」
「そうなんだよなー」

40案邪っ種:綿×子 8/14:2006/08/22(火) 13:13:58 ID:muYx1dDe0
古島の手のひらの上の小銭を数えながら、何となく会話が盛り上がりはじめる。
そんなふうに話しながら、気づけば自分も尻のポケットから財布をとりだしていた。

「あ、俺のと足したらここまでは戻ってこられんじゃん」
「お、ホントだ」
「地元までじゃあと60円足りねーけどさ、八高線のひと駅だけなら歩けんだろ、行こうぜ」
「え、マジで? おごってくれんの? っつーかお前も来てくれんの?」
「いいよ、90円くらい…面白そーだし俺も見てみてーもん、冬の海」
「うわ、すげー嬉しいわ、サンキュ! でもあれだ、1時間くらいかかるぜ? 綿部んちって夕飯とか平気なの?」
「ああ、うち今日両親とも帰り遅いんだよ、お前んとこは?」
「あー、うちもそんな感じ…丁度いいな、多分帰り腹減るけど」
「おう、じゃあ行こうぜ」
「おし!」

そうして俺たちは結構な長距離の切符を買って、電車に乗ったのだった。
たまたま空いていた席に二人並んで座り、ぽつりぽつりと話をする。
41案邪っ種:綿×子 9/14:2006/08/22(火) 13:16:07 ID:muYx1dDe0

「古島さ、あれだよな、今日学校いなかったよな?」
「あー、うん」
「つーかお前、なんであんま学校こねーの?」
「や、何つーか…好きじゃねえんだよ、そんなに友達とかいねーし」
「ふーん…でも、制服は着てんのな」
「…出てくるとき親にバレないようにだよ、いいだろ別に」
「…まあな」
「…」
「…」

よく考えてみれば、元々たいして仲も良くない二人が1時間強も電車で揺られているのに、そうそう都合よく話題などあるはずもない。
結局テストやら俺の怪我やらの話がたまに出る以外は沈黙の時間が続いて、二人でむかいの窓の外を風景が流れていくのを見ていた。
不思議なことに、その静かな時間は息が詰まるような重苦しいものではなく、とても自然に流れて、互いを落ち着かせていたのだ。
今思えばあのときから、今まで続く居心地のいい距離はできあがっていたのかもしれない。

そのうちにうとうとしはじめた古島の頭が肩にのっかって、その体温を感じながら俺は線路脇の家々の屋根を眺めていた。
地味な色合いの続く町並みに少しばかりの退屈を覚えながら、胸にわく謎の高揚感にひたってしばらくゆるやかな時間が流れる。
42案邪っ種:綿×子 10/14:2006/08/22(火) 13:27:34 ID:muYx1dDe0

「…古島、次だぞ」
「ん…、あ、悪い、寝てた」
「いいよ、ほらさっき北茅ケ崎出たからもうすぐだぜ」
「おう」

そうして到着した茅ヶ崎の駅。見慣れない扉の開閉ボタンを押して降り、案内板を見ながら南口に出た。
もう日はすっかり落ちていて、あたりに夜の空気が満ちはじめている。少し先に、海が見えた。わずかに鼻にとどく潮の香り。
何も話さずに、二人でまっすぐ、海を目指して歩いた。15分もすると海岸にたどり着く。初冬の夜の海。灰色で、冷たそうな海。
砂浜にも人影はなく、夏のにぎわいがまるで嘘のように静かだ。波は穏やかに打ち寄せて、優しい音が規則的に響く。

「…静かだな」
「ほんっと、何もねえのな」
「そうだな…」

また沈黙が降りてきて、俺たちはただずっと、砂浜に立ちつくしていた。波の音を聞きながら、ひたすらに無言で。
それから少し経つと、古島が波打ち際へと歩いていった。砂浜に残る足跡のつくる曲線が、まるで映画のワンシーンのよう。
軽く身体を折ってさし出した古島の指先が、海水に触れる。その光景がとても綺麗だと思った。
43案邪っ種:綿×子 11/14:2006/08/22(火) 13:29:25 ID:muYx1dDe0

「綿部、水、すっげえつめてーよ」

こちらを振り返って笑う古島に引き寄せられるように、波打ち際へと歩く。
触れた水は冷たくて、浸した指を舌先でなめると刺すように塩辛かった。

「…やっぱ塩辛ぇのな」
「当たり前なんだけどさ、何か感動すんな」
「ホントだよな」

そんなたわいもない会話をしているとき、ぎゅるる、と古島の腹が大きく鳴った。
パッと顔を赤くした古島に思わず吹き出す。ぎろりと睨まれたけれど、そんな赤い顔ではちっとも迫力がない。

「古島」
「何だよ!」
「腹減ったしさ、帰ろっか」
「…ん」

笑いながら言った俺に古島がうなずいて、二人仲良く帰途についた。
電車で夜の9時前には出発したあの駅まで戻って、そこからコンビニの安いパンをかじりつつ1時間ほど歩いて帰宅。
家に着いたときにはぐったりと疲れていたが、何だかとても清々しい気分だった。
44案邪っ種:綿×子 12/14:2006/08/22(火) 13:31:35 ID:muYx1dDe0
懐かしい思い出がよみがえり、ちらりと隣の男を見る。
相変わらず古島はゲームに夢中で、三十代の男とは思えない無邪気な顔をして勇者の冒険譚を楽しんでいた。

「冒険か…あのころみたいだなー…」
「…あのころって?」

ぽつりと呟いたセリフに、少し間を空けて古島は返答した。いまだ視線はゲームに向いたまま。

「お前さ、覚えてる? 高2の時、冬に海行ったの」
「ああ、茅ヶ崎? 覚えてるよ、俺あのときお前と初めて喋ったんだぜ?」
「え? あれ初めてだったか?」
「そうだよ、俺あの前に学校とかでお前と喋った記憶ねえもん」
「マジで? 何か全然違和感なかったぞ?」
「俺は結構びっくりしたんだよ、お前がいきなり声かけてきたから」
「そうだったのか…俺すげえ普通に話しかけてたよ…」
「だろうと思ってたよ、何か綿部らしいわ」

45案邪っ種:綿×子 13/14:2006/08/22(火) 13:34:06 ID:muYx1dDe0
くくっ、と古島は小さく笑って、何やら機体をいじってデータを保存すると、ゲーム機からやっと目を外した。
それをポケットにしまうと、古島は俺の首元にスッと手をのばす。

「ちょっと歪んでる」

そう言って俺のネクタイを軽く整える指先に、一瞬なぜかドキリとはねた胸の辺りを、古島がポンっと叩いた。
その拍子に俺の腹がぎゅーっと音を立てて、あのときのことを思い出す。今度は二人で笑った。

「綿部」
「何だよ?」
「腹減ったしさ、飯行こっか」
「…俺、あそこの焼き魚定食がいいわ」
「オッケー」

少し減った昼休みを充実させるために、俺たちは歩き出す。あの定食屋の婆さんのつくるみそ汁の味を賞賛しつつ。
いつのまにか仕事への不満や疲れは、朝靄のかかる街のようにぼんやりと薄れてしまっていた。

こんな穏やかな日々の中で、いつかまた小さな冒険に出るときは、こいつとパーティを組んでいられたらいいと思うのだ。
…そう、世界を救うような大冒険じゃなくていい。日常の中の小さな冒険を、できるなら一生、お前と二人で。
46案邪っ種:綿×子 おわり:2006/08/22(火) 13:38:20 ID:muYx1dDe0

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 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


CMに萌えた勢いで書いた。休みを半日近く無駄にした。後悔はしていない。
47風と木の名無しさん:2006/08/22(火) 16:39:28 ID:RaCSQkd7O
GJ!萌えたよ姐さん!
そのCM未見だけど、すげー萌えたよ。
ロードムービーみたいで青春が眩しいよ。胸がいっぱいになりますた。萌えをありがとう。
48風と木の名無しさん:2006/08/22(火) 17:32:09 ID:46nGQcql0



                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ラノベのフォーチュン・クエストで妄想……
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  クレトラ(クレイ&トラップ)です。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ワカラナイヒトノホウガオオイ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 *ラノベスレにはSS貼る空気じゃないので、こちらにコソーリ投下。
 *クレイ&トラップ:お互い、自分の気持ちに気づいてない、幼馴染冒険者カポー。
    クレイ: 黒髪に鳶色の瞳も凛々しい戦士様。
    トラップ: 赤髪に薄茶色の瞳、口の悪い華奢な盗賊。
49FQ:クレトラ その1:2006/08/22(火) 17:33:20 ID:46nGQcql0

 穏やかな午後、町から町への移動中のことだった。
 木漏れ日の中を、談笑しながら歩いていたクレイとトラップ。
 幼馴染であるところの2人は、お互いを庇い合い、また助け合いながら、着実に冒険者としての修練を積んでいた。

「なぁクレイ、まだ着かねえの? 俺腹減った」

 少し前を歩いていたトラップが、首だけ振り返って問いかける。
 手入れした形跡がないのに絹糸のような赤毛が、やわらかな光を反射してきらめいた。

「お前、さっき食ったばっかじゃないか」

 どことなく甘ったれた口調に、呆れたように答えるクレイ。

「だってよぉ、昼飯ったってシケた乾パンじゃん? 今日の晩飯はうめえモン食おうぜ! 空揚げとさ、フライとさ、串焼き。あとビールなっ!」
「肉ばっかじゃないか」

 無邪気に指折り数えるトラップに、クレイは我知らず顔がほころばせた。
 一心に今日のメニューを考える幼馴染。
 その子供じみた表情をついからかいたくなり、背後から派手な帽子を取ってやろうかと大股に近付いた時だった。
 2人の前に横っとびに現れた、獣人の群れ。生意気にもソードだのアックスだのを手に手に構えている。
 戦士としての本能を発揮し、咄嗟にトラップを背後に庇うクレイ。
 望んだ戦闘ではないが……モンスターに喧嘩を売られたら、即買いするのが冒険者の心得だ。
 よく手入れされたロングソードを構える、逞しい腕。
 クレイは顎を引いて、鳶色の目を鋭く光らせた。
50FQ:クレトラ その2:2006/08/22(火) 17:33:53 ID:46nGQcql0

 しかし。奴らのレベルは相当に高く、2人は否応なく苦戦を強いられていた。
 ぶつかりあう刃の音が鋭く耳に突き刺さる。
 息詰まる戦いの末に、ようやく最後の1匹を追い詰めたクレイ。
 打ち込まれたソードを身を引きながら払いのけ、返す刀で袈裟に振り下ろそうとした瞬間。
 背後から強化パチンコで援護していた、トラップの絶叫が響いた。

「クレイ!危ねぇっ!!!」


 目の前を、真っ赤なものが飛び散った気がした。
 衝撃。激痛。悲鳴。
――後は静寂。ただただ、無音の世界。

 瞳を塞がれたような、平坦で塗りつぶされたような、闇の中で。
 目の前に差し出されたのは、鍛えられてはいるが、男にしては細身の腕。
 繊細な指先が強張ったように、自分を助けようともがいていた。
 ……トラップ……お前は……無事か?……
 声にならないつぶやき。
 逞しい腕が伸びて、その細い手を引き寄せ、力の限り握り締めた。
51FQ:クレトラ その3:2006/08/22(火) 17:34:55 ID:46nGQcql0

 微かな鳥の声が聞こえる。
 ぼやけた視界に苛立ち、何度も瞬いて強引に目をこらすクレイ。
 ようやく焦点が合った目に映るのは、木々をほんのりと包む薄闇。
 ……俺はどれだけ気を失ってたんだ?

「気がついたか?クレイ」

 顔のすぐ傍で、ほっとしたような声がした。
 覗き込んでいるのは、トラップ。薄茶色の瞳が心配そうな表情を物語る。

「いて……」

 クレイは呻きながら身を起こした。
 首を廻して痛む肩口を見やると、そこには包帯が巻かれ、薄く血が滲んでいる。
 しかし、この程度の痛みならば、たいした傷ではないだろう。
 そんな風に楽観的に考え、傷の具合を確かめようと、恐る恐る腕を動かしてみるが……その太い腕は思うように動かせない。
 まずい、そんなにひどいのか、俺の傷。
 唇を噛んだクレイ。しかし、すぐに気付く手首から先の不自然さ。

「なんで俺達、手をつないでるんだ?」

 今気づきましたと言わんばかりのクレイの言葉に、トラップは一瞬にして真っ赤になった。

「なあ、トラップ?」

 相棒の顔色の変化にも気付かず、重ねて問いかけるクレイ。
 まだぼけっとしている鳶色の瞳が、心底不思議そうにトラップを見つめた。
52FQ:クレトラ その4:2006/08/22(火) 17:35:50 ID:46nGQcql0

「……覚えてねえのかよ」
「は?」
「握って離さなかったんだろーが!」

 鼻先につきつけられた指。
 反射的に寄り目になりながら身を引き、自分を指差して首をかしげるクレイ。

「俺が?」
「他に誰がいるんだ、あほ!!」

 トラップの怒鳴り声に思わず首をすくめ、空いている方の手で頭をわしわしと掻く。

「とりあえず……お前が助けてくれたんだよな?」
「当たりめえだろ。……おめえさ、目の前の獣人切り捨てた瞬間、残ってた奴の弓矢くらっちまったんだよ。そいつは俺が片付けたけどな」

 ……そうだったのか。
 最後の1匹は倒したつもりだったが、隠れていた奴がいたのには気付かなかった。
 己の戦死としての修行不足と、気絶までしてしまった情けなさを恥じながら、クレイは傍らの幼馴染に深々と頭を下げる。

「すまなかったな」
「い……いけどよっ。おめえ、重すぎ。ここまで引きずってくんの、大変だったんだからなっ」
53FQ:クレトラ その5:2006/08/22(火) 17:36:22 ID:46nGQcql0

 一瞬口ごもった後、早口に文句を言い並べるトラップ。
 言われてみればここは、戦闘の場からは随分離れているらしい。
 周囲に獣人の死体はなく、あと一歩で森を抜けられそうだ。

「そりゃ、伊達に鍛えてないからな。なんにしても、お前がいてくれてよかった」

 クレイは精悍な頬をゆるめ、ゆっくりと微笑んだ。
 それを見たトラップは、照れたようにあさっての方向に顔を向ける。
 ぼそぼそと口の中でつぶやいたのは。

「ていうか、いいかげんその手離せよ」
「……あ」

 いつまでも握ったままだったトラップの手。
 ……道理で汗ばんでると思った。

 クレイは短く逡巡すると、細い手をきゅっと強く握り締め、手を離した。
 目を泳がせているトラップの頭を、ぽんと軽く叩いて立ち上がる。
 一陣の風がその首元を吹きぬけ、艶やかな黒髪をなびかせた。

「行こうか。空揚げにビールだろ?」

 まばらになった木立の向こうに目をやる。
 淡い夕闇の向こうに、暖かそうな街の明かりがふんわりと浮かんでいた。


54風と木の名無しさん:2006/08/22(火) 17:36:59 ID:46nGQcql0


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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オメヨゴシシツレイ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

 需要がなさそうな上、内容が天麩羅っぽい……
 ごめんなさいごめんなさいもうしません。orz
55風と木の名無しさん:2006/08/22(火) 17:47:01 ID:C9we8JWn0
>>54
リアルタイムktkr!!
昔読んでたよテラナツカシス
腐視点で読んだら萌えたんで、ちょっと押入れ漁って来る。
56風と木の名無しさん:2006/08/22(火) 17:57:39 ID:BFzUUfH/0
フォーチュソクエスト懐かしいな!
GJ GJ!
次回作期待してまつ。ノシ
57風と木の名無しさん:2006/08/22(火) 21:04:22 ID:86va7NlV0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  某スポーツ板のネタスレより、劇場王 → 死神様だよ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|   完っ全に需要無視で申し訳ないっす
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
581/2:2006/08/22(火) 21:04:54 ID:86va7NlV0
邪魔するぜ、と慣れた感じに足を踏み入れた大して広くないその部屋は、
いつもと違って、不思議なほどにガランとしていた。
一人は机に伏したまま微動だにせず、もう一人の小さな見習い会員は、
机にちょこんと顔を乗せて、ぼんやりとテレビを眺めていたが、
こちらの足音に気づいたらしく、真ん丸な瞳をこちらに向けると、
慌てたように、こんにちは、と頭を下げた。
お茶でも入れてきます、と言って見習い会員はせわしなく立ち上がり、
テレビの電源を落とすと、俺の横をすり抜けて、そそくさと部屋を出ていった。
ぷつん、と画面の切れる音に続いて、ぱたん、と扉の閉まる乾いた音。
残されたのは、古い時計の秒針が刻む、無機質で規則的なつまらない音だけで。
何が起こるか分からない緊張感を楽しむことを信条としている自分にとって、
静寂が支配するこの空間は、耐え難いものだった。

ふ、と残されたもう一人の男を見る。
自分の対極となるような存在であり、巷では、死神、と呼ばれている彼。
身体の前に重ねた腕に顔をうずめ、丸めた背中は一定のリズムで小刻みに揺れていた。
微かに聞こえる吐息の音。どうやら眠っているらしかった。
傍から見ると暑苦しいことこの上無いような、黒い装束は相変わらずだが、
普段は彼の纏う独特の冷たい空気が、それを全く感じさせない。

しかし、今日は違う。少し生温いような、柔らかいような、ヒトの温度。
それが部屋全体に伝わっているような、そんな気配。
何となく、自分がここに居てはいけない様な、そんな気がして、
手持ち無沙汰にゆらゆらと視線を彷徨わせる。
時計、テレビ、白い壁―― 淡色な部屋の面白みのない景色が頭の中をぐるぐると回る。
最終的に止まったのは、彼の姿、そして誰もいない机の周り。
近くもなく、離れすぎてもいない、彼の斜め前の位置に静かに腰を下ろした。
592/2:2006/08/22(火) 21:06:53 ID:86va7NlV0
自分らしくないな、と思う。
別に彼をこのままそっとしておこうと思っていたわけではない。
今日もいつもと同じ様に、彼と言葉を交わすためだけにここに来たのだから。
自分とは正反対の彼。相容れる事もないだろうし、そのつもりもない。
でも、気になって仕様が無い。仕様が無いから、ここに来る。
こちらはひたすら軽口を叩き、むこうは冷たくそれをあしらう。
大して意味もない会話の繰り返し。たったそれだけのことなのに、
そんな日常を、どうしようもなく気に入っている自分がいる。

おかしな気分を振り払う様に、無意識に掌が机を叩いた。
目の前に置かれたリモコンが大きく跳ねて音を立てる。
彼の頭が揺れ、項垂れ、そしてゆっくり持ち上がる。

「ひとちゃん、おはよ」

咄嗟に浮かべた余裕の笑み、投げかけた軽口は、
かなり動揺していたせいか、少し裏返っていた。
彼は少し眠たげな切れ長の目を、緩慢な様子でこちらに向けて、小さく溜息をついた。
白い肌と黒い服、はっきりしすぎるコントラストはちかりと眼を焼く様で、
幾度も瞬きを繰り返す。

「またお前か」

呆れた様に、疲れた様に、呟く彼の声。
冷たくも美しいその音が妙に心地よくて、俺は声を上げて笑った。
60風と木の名無しさん:2006/08/22(火) 21:10:07 ID:86va7NlV0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・;)  オワタ…
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


本スレが最近荒れがちでむしゃくしゃして書いた。
反省はしていない。
61風と木の名無しさん:2006/08/22(火) 21:17:06 ID:q7QCf2Od0
いい劇場ですた〜
すげー新鮮です。他の面子でも是非に!
62風と木の名無しさん:2006/08/22(火) 21:33:15 ID:yyyX8ev/0
>>54
第1作からクレトラに萌えていた自分が来ましたよ。
まさかクレトラ読める日が来るとは(つД`)
ぜひまたお願いします。
63風と木の名無しさん:2006/08/22(火) 23:57:20 ID:pxFyim9e0
>>60
GJです〜
見習いテラカワイス!この後の劇場王様と死神様の会話も見てみたいです。
64風と木の名無しさん:2006/08/23(水) 01:29:20 ID:kWPyZ3FN0
>>60
超GJです!お茶を入れに行く見習いにも熟睡しちゃってる死神様にも
声裏返っちゃう劇場王にもテラモエス(*´Д`) 
本ヌレで「ひとちゃん」が出たときはマジで茶吹いた。

もしよろしければ死神様を密かに狙う急字とかも是非…w
65風と木の名無しさん:2006/08/23(水) 08:40:42 ID:4c3mkoBuO
>>60
超GJ!まさか芝区会スレをここで読むことが出来るとは…。
よろしかったら続きを…w
66某ゲ仁ソ ボケxツッコミ?:2006/08/23(水) 22:38:07 ID:pOQRn2oV0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

作り笑いに慣れてしまったのは、何時からだろう。

「やっつん。」
またいつもの作り笑いで収録を終えたあと、突然、相方に名前を呼ばれた。
「・・居間断ち?何?。」
「やっつん・・顔、引きつってた・・いまも、引きつってる。」
「そんな事ないって!・・あかるいよ!」
「・・・やっつん・・。」
「な、なに?」

「・・無理して、笑わなくていいよ?
 悲しいなら、俺のトコおいで。お茶くらい出すからさあ。
 怒りたいなら、俺に吐き出して。愚痴くらい聞くからさあ。
 泣きたいなら、俺を呼んで。背中くらい、貸すからさあ。」
はは、と笑いながら言う居間断ち。

つられて、俺も笑顔になる。

「ほら、まーた無理して笑って・・」
「違う、よ。」

・・お前と居れば、笑顔なんて自然と出てくるんだって。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウジサクジエンガオオクリシマシター
ヤツンを受け止めるダツンが書きたかっただけです・・
ホント山もオチも意味もない激しく短い短編失礼シマシター
67風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 01:35:06 ID:vU8Uh+oo0
>46
GJ!胸がキュンとしますた(*´∀`)
68風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 15:29:03 ID:yhdvtEVa0



                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  >>48 の続き……
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  需要に嬉しくなって続編投下
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ モウシナイッテイイマシタガ…
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  *自分で自分の続きが気になってしまった。反省は後でさせてくれ。
69FQ:クレトラ続編 その1:2006/08/24(木) 15:30:01 ID:yhdvtEVa0

「うめっ。クレイ、この空揚げすっげーいける!」
「だな」

 モガモガと揚げたての鶏肉を頬張り、かつビールをぐいぐいと飲み干すトラップ。
 これで何皿目だろう。細い体の癖して、よく食う奴だ。
 クレイはそんなトラップを眺めながら、半分呆れたようなでもどこか楽しそうな色を浮かべ、舐めるようにビールを飲んでいた。

「トラップ、野菜も食えよ」

 嫌そうに傍らに避けられていたサラダボウルを、相棒の前にずいっと押しやるクレイ。
 それを横目で見たトラップは、鶏の足の骨をくわえたまま、気がなさそうに言った。

「あぁ? 気が向けばな」
「おいっ」
「おねーちゃん、ビールおかわりっ」
「こら、もうやめとけってば」

 クレイのたしなめる声にも耳を貸さず、トラップはビールをまた呷り、調子のいい声でウエイトレスに追加を注文する。
 そのほっそりとした頬はいつになく、ほんのりと赤く染まっていた。

 ま、仕方ないか。
 こいつ……随分今日は頑張ってくれたもんな。
 クレイは苦笑いを漏らしつつ、汗をかいたビールジョッキに手を伸ばした。

――しかし、その数分後。彼はその判断を、早くも後悔する羽目になる。
70FQ:クレトラ続編 その2:2006/08/24(木) 15:30:43 ID:yhdvtEVa0

「す、すみません」
「いいってことよ。困った時はお互い様だ」

 にこにこと笑う、腕っ節の強そうな髭面の男。
 クレイは、油断するとズルズル背中から落ちようとする酔っ払いを支えながら、ぺこりと頭を下げた。
 耳元で聞こえるのは、酒臭い寝息。

 鍛えられた彼の体力ならば、細身のトラップを背負うくらいわけはない。
 だが、意識のない人間を背中に担ぎ上げるというのは、かなり難易度の高い作業だ。
 背中に乗りかけては、ぐでっと壊れた人形のようにズリ落ちるトラップ。
 四苦八苦していたクレイを見かね、周囲のテーブルの酔っ払いたちが背中に担がせてくれたのが真相だ。

「その兄ちゃん、えらいピッチで飲んでたもんなぁ。早いとこ寝かせてやんな」
「ありがとうございます」

 宿の主人の、笑いを含んだ胴間声が食堂に響く。

「おい兄ちゃん、お代は部屋につけとくからよ。明日出るときでいいからな」
「お気を使わせてすみません」

 主人にも、周囲で飲んでいた連中にも礼儀正しく詫びたクレイは、慎重に階段を上り始めた。
 足元に意識を集中し、一段一段歩を進める。
 ここで踏み外しでもしては、洒落にもならない。

「こけんなよー!」

 心配してくれてるのかからかわれているのか、背後から飛んでくる陽気な声。
 クレイはずり落ちるトラップを担ぎなおし、深々とため息をついた。
71FQ:クレトラ続編 その3:2006/08/24(木) 15:31:25 ID:yhdvtEVa0

 ようやく彼は、あてがわれた部屋にたどり着いた。
 その息は珍しく、少々荒くなっている。
 要因は、周囲の冷やかしの声と、ぐっすり眠って重くなったトラップ。
 たかが10数段の階段を、こんなに長く感じたことはないぞ、俺は。
 内心、誰にともなく愚痴りながら、トラップの重みで前屈みになった姿勢のまま、古びた木製のドアを開けるクレイ。
 そして、粗末ではあるが清潔なシーツの上に、ゆっくりと背中の幼馴染をおろす。
 横たえられたトラップは、一瞬薄く目を開いた。
 華奢な体を猫のように気持ちよさそうに伸ばし、またすぐに寝息をたて始める。

 はあ、とクレイは力ない吐息をこぼしつつ、ベッドの端に腰をおろした。
 明かりをつけるのが面倒で、窓際に手を伸ばす。
 ジャッ、と音を立ててカーテンを開けると、窓の外から明るい月光が斜めに差し込んできた。
 冴え冴えとした光が、無心に眠るトラップを照らし出し、乱れた柔らかい赤毛を浮かび上がらせる。

 クレイはその寝顔を見ながら、ぼけっと考え込んでいた。
 いつもいつもこいつには面倒ばかりかけられてるが、今日みたいなことは珍しい。
 毎度馬鹿みたいに飲むトラップだが、一度もつぶれたのは見たことないはずなんだが、と。

 そこまで考えて、否応なしにクレイの思考は遮られる。彼の視線はある場所に釘付けになっていた。
 トラップの襟元から、なにか白いものが覗いている。……包帯?
 クレイは眉をひそめ、トラップのシャツに手をかけた。
72FQ:クレトラ続編 その4:2006/08/24(木) 15:32:32 ID:yhdvtEVa0

 襟元のボタンを摘むように外して襟元を開くと、華奢で尖った鎖骨があらわになる。
 そして肩口から厚く巻かれた、痛々しい包帯。

――こいつもしかして、俺が気絶してる間に怪我してたのか?

 おそらくその想像は当っているだろう。
 昨日の野宿で一緒に水浴びをした時は、こんな怪我はしていなかったはずだ。
 しかもよく見れば、今朝着ていたシャツと、今着ているシャツが違う。
 鈍いクレイはまったく気づいてなかったが、彼が気絶している時に血のついたシャツを着替えたのは、想像に難くない。
 さっきからのクレイの疑問は、これで氷解した。
 怪我をしているのにあれだけ酒を飲めば、つぶれるのも道理である。
 彼の思考は、さらにその先に一歩進んだ。

――まさか、痛む傷を隠すために、元気に見せる為にあんなことを?

「馬鹿野郎…………無茶しやがって」

 クレイは小さくつぶやいた。
 今まで感じたことのない感情が、胸の奥をじわじわと支配する。

 彼の手が、我知らずトラップに伸びた。
 長身を折り曲げるようにして、幼馴染の上に屈みこみ、吸い寄せられるように顔を近づける。
 クレイの端整な顔の数センチ前にあるのは、月明かりに照らされた、まだほの赤い頬。意外に長い睫毛。
 旅の間に随分伸びた黒髪がふわりと揺れ、トラップの頬をかすめた。
 いつもは毒舌ばかりの、でも今はあどけなく半開きにしていた口元が、ぴくっと動く。
 そんなトラップの反応にはっと我に返り、飛び退るように身を起こすクレイ。
73FQ:クレトラ続編 その5:2006/08/24(木) 15:34:38 ID:yhdvtEVa0

 俺は、いま……何をしようとした?
 なあ、俺。どうかしてるんじゃないのか?
 こいつは男だぞ?幼馴染だぞ?何年一緒にいると?

 脳裏を飛び交う疑問符。
 クレイは頭を左右に振って黒髪をさばくと、唇をきつく噛み締めた。

 と、その時。
 眠っていたトラップが、”眠ったままで”クレイの手を掴んだ。
 びく!と反射的に手を引っ込めようとするクレイ。
 しかし、トラップはその手を離さなかった。
 男にしてはほっそりとして、盗賊という職業柄か、繊細で神経質そうな指先。

「……トラップ?」

 クレイは焦り、抑えた声で聞いた。
 しかし、相棒は相変わらず目を閉じたままだ。
 起きているのか眠っているのかはわからないが、その細い手はクレイの大きな手を握り締めたまま、決して離そうとはしない。

 鳶色の瞳が、動揺を隠せないように落ち着かなく動き、そして閉じられた。
 暫しの沈黙。
 天井を仰ぎ、はーっと大きく深い息をついたクレイ。
 片手をトラップに預けたままでずるずると床に下りると、ベッドに背中をもたせ掛けた。

 夜は更ける。しかし彼は眠れない。

 明確な形にならない、もどかしいような気持ち。いったいこれはなんなんだろう。
 やり場のない気持ちを持て余し、窓の外を見上げる。
 卵色に輝く月は何も語ることなく、クレイを照らし続けていた。

74風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 15:35:46 ID:yhdvtEVa0


____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 同士の皆さんありがd
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

エロなしでどこまで萌えられるものでしょうか。疑問。
でも、需要があったことに心から感謝。(つД`)
75風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 16:12:59 ID:eyQ1gx3K0
>>74
姐さんまじでGJGJ!!
感謝するのはこちらです本当。
FQはエロ無しのほうが萌えるよ。
76風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 17:34:31 ID:7fBhv+QZ0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
何だろねこれ似非軍人モノで、唐突に思いついた走り書きです(オリジ
77風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 17:35:32 ID:7fBhv+QZ0
 爆音の音が近い。もう、ここも駄目になる。男の権威もこれまでだ、高みに上っ
たものにとって権力の失墜はそのまま死に直結する。
 もう、この男は死ぬだろう。
 散々ひとの身体を弄った罰だ。何百万の命を指先一つで奪い取った罰だ。行き
着く先は地獄しかない、この戦争が終わればこの男は死ぬ。
「――逃げないのですか」
 僅かな期待を込めて尋ねた。ひとつは追うものから追われるものへ立場が変
わった男への明示的な皮肉、ひとつはプライドの高さを擽る愉悦、ひとつは見苦
しくても無様でも生き残って欲しいという不条理な祈り。
 あれほど憎み、呪い、嫌悪した男なのに。
 黒い軍服を乱しもせず、男は机上の書類を次々片付けていく。狡猾な――ある
いは、この時代特有の生死の匂いに敏感な――部下たちはもう逃げ出している
のだから、そんな行動は意味がない。
 脱出の最中、呆然と見ていた私に中隊長が一緒に逃げようと申し出てくれたが、
何故だか手は取れなかった。
 この男の最後を見て、罵倒してやりたかったからだ。
 畜生がざまあみろ、お前の帝国は滅んだ。お前の部隊は殲滅された。無様だ無
様だ、帝国随一の将軍と呼ばれた男の死に場所が、こんな辺境のボロ屋敷とは。
「貴様は逃げないのか」
 書類を捌く手を止めず、男が尋ねる。
 憎悪に顔を歪めて私は磨き上げられた机に拳を振り下ろしたい衝動を抑える。
「はい、逃げません将軍。逃げたら将軍の無残な死に様が見れなくなりますので」
「――残念だな」
「はい、申し訳ありませんが本望です。私は喜んで敵兵を招き入れましょう、最も卑
屈で最も野心に溢れ、最も下卑たものに将軍を殺させましょう」
 豚の糧になるのですよ、と付け足して私は真っ直ぐに背を伸ばした。どうしようも
なく手が震えた。いや、全身が燃えるように熱かった。まことに喜ばしい、私を陵辱
した男は豚に殺されるのだ、そしてそれを私が仕向けるのだ。
 男は元来の無表情を少しだけ歪めて笑い、最後の一枚を書類箱に収めると立ち
上がって私を見た。
 真っ白な手袋をはめた手が、伸ばされる。
78風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 17:37:13 ID:7fBhv+QZ0
 指先の僅かな動きを認めた瞬間、否応なく足が前に出た。
 いつもいつもいつも、ひとをひとと思わない扱いをして。下等生物を見る目で私を
見て。感情を無視して手を伸ばし、命令もなしに屈服させる。
 分かっている、今だって私はそれに逆らえない。染み付いた服従心が是非もなく
命令に屈服する。
「将軍、私は貴方の性欲処理の相手を最後まで務めるために残ったわけではあり
ません」
 抱き寄せられたまま言い捨てたが、男は何とも言わない。
 私は少し自分を卑しく思う。手は男を振り払えもせずただ震えるばかりだ。
「――イェブナー中隊長にお前を任せたはずだが、あの男はお前を車に乗せなかっ
たか」
「はい、申し訳ありませんがお断りさせていただきました。将軍の死に顔に靴を乗せ
たかったもので」
「他の者は? 全員逃げたか?」
「三刻後には敵軍からの攻撃が始まりますが、その前に全員脱出しているはずです」
「ならばよろしい。逃げるものには捕虜の覚悟もあろう」
 額に当たるバッヂが痛かった。胸も襟も階級彰やら勲章やらで飾られた軍服は、いつ
だって私には冷たく痛いものでしかなかった。
 しかに何よりもまず、聞き捨てならない言葉を確かめなければならない。
「イェブナー中隊長に私を任せたとは、どういうことかお聞きしてもよろしいでしょうか」
「お前を連れて逃げろと命令した。抵抗するようならば放っておけと言ったが、本当に
抵抗するとはな」
「――何故、私を」
 手ひどく扱われた記憶しかない。手袋も軍靴も軍服も脱がず、ただ乱暴を働かれた
記憶しかない。丸裸にされて、両足を自分で広げるよう命じられた私の気持ちなど、
この男に分かるはずがない。肌に当たる軍服の金具の痛さも、男を受け入れる惨め
さも、丸裸の羞恥心も、分かるはずがない。
「最後にお前にも情けをかけてやろうと思ったが、逃げるのが気に食わないならここに
居るがいい」
79風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 17:37:52 ID:7fBhv+QZ0
 男はそれだけ言うと私を離し、元の椅子へ腰掛けて唇を歪めた。笑っているつもりだ。
 相変わらず笑うのが下手くそだ。
「イェブナー中隊長は――皆は将軍の命令で脱出したのですか?」
 呆然とした顔で尋ねると、男は面白くもなさそうにひとつ頷いた。
 瞬間、臓腑が燃えた。罵詈雑言を唇を噛み締めることで堪え、震える拳を背に回して
直立不動の態勢を取る。軍規に則った姿勢をとることで冷静さを取り戻そうと必死だっ
た。
 ここで男を殴り飛ばし、痛罵し、殺すわけにはいかないのだ。
 彼を殺すのは敵軍の卑小な豚でなければならない。
 それを私は綺麗なままの手で眺めていなければならないのだ。そして、倒れた彼の
顔を踏み躙る。鼻筋を踵で潰す。綺麗に並んだ歯をつま先でへし折る。鳶色の目玉は
つま先で潰せるだろうか? まあ、試してみればいい。二目と見れぬほど潰れた顔に、
もしその時点で死んでいるならキスを、生きているなら唾を。
「将軍の部下への配慮、まことに痛み入ります。此度の転進については本国も英断と認
められましょう」
「敗走に英断も何もあるまい、負けは負けだ。生き残せる兵ならば次の戦場に送るまで、
この場は私一人いればよろしい」
「――私も次の戦場で死ねばよろしかったでしょうか」
 口をついて出た言葉に一番驚いたのは私だった。しかし、血迷ったと口を一文字に固め
た瞬間、男は背を曲げて笑い出していた。
「なんだ貴様、後悔しているのか。今からでも遅くない、西へ走れば生き延びられるかも
しれん。ああいや、包囲網はもう完成しているのか? 残念だったな」
「既に包囲されております。日が出たら攻撃が始まるでしょう」
「捕虜となればどうだ? 武器を持たぬ証に全裸で両手でもあげていろ、もしかしたら
自慢の尻で助かるかもな」
 男を睨み据えたつもりだったが、いったい自分がどのような表情をしているのか判別が
付かなかった。男はただただ驚いた顔で、今までに見せたことのない朴訥な仕草で頭を掻い
た。困ったような表情も、そんな仕草も初めてのもので、自分はどんな顔をして見せたのだ
と首を傾けた瞬間、頬を伝って水滴が落ちた。
80風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 17:38:41 ID:7fBhv+QZ0
 汗かと思った。
 涙だった。
 何だこれは、どういうことだと自問する間も水滴は床に染みを作り続け、顔を俯けるしか
なくなる。
 泣いている。この男の前で。あの凌辱でも泣いたことはなかった、噛み締めた唇から血が
出ようと、握り締めた拳から血が出ようと、涙だけは流さなかった。
 なのに何故。
 ようやっとここまできて何故。
「貴様、ようやく泣いたな」
「――はい、それはどういう意味でありましょうか」
「どれだけ乱暴にしても、耐えていただろう」
「はい、将軍に泣き顔を見られるのは耐え難くありましたので」
「嫌われたものだな、本望だ。貴様、何度私を殺そうと思った? まあ思っただけで実行は出来
なかったようだが、最後の最後で祈願成就といったところか」
 清々しい声で男はそう告げ、指先で磨き上げられた机を2度叩いた。
 私は反射的に顔を上げる。それは軍規ではなく男の決めたことで、敬礼などにより頭を下げ
たままの部下は机が2度叩かれたら顔を上げる決まりだった。
 結局私はどこまでも根が軍人なのかもしれない。
「どうだ、ひとつ願いを叶えてやろう。ああ、俺が死ぬのは敵軍に任せるのだろう? それ以外
で何かひとつ」
 頬杖をつき、愉快そうに言った男を見つめながら私は考えた。
 何を望む?
 土下座でもさせるか。足を舐めさせるか。踊らせでもするか。これまでと逆に、尻でも出させ
るか。
 どれも短絡的だ。
 しかし妙案が思い浮かばない。
「何でもよろしくありますか」
 沈黙を破りたくて声を出した。
 男は頷く。
81風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 17:39:26 ID:7fBhv+QZ0
「では」
 どうでもいい、躍らせてやれと脳の片隅で声が上がる。瞬間、男はほんの僅かに目を細めた。
嬉しくて堪らないような、悲しいような、恋うような、これまでにない目が私を見つめた。
 踊りの「お」、の形に開いた口がぐにゃりと曲がる。
「服を脱いで私を抱いてください。将軍の勲章は私には痛いので」
 気味が悪いほど切ない声が出た。涙が止まらなかった。立っているのも辛い、と思った瞬間
抱きしめられ、頬に当たった勲章の冷たさに嗚咽が漏れた。
「貴様の望むとおりに」
 私の望むとおりになんて、嘘じゃないか。
 全部、全部、貴方の思うとおりだ。
 こんなにも恨み、こんなにも嫌い、こんなにも心揺るがされた私の存在は、貴方にとって何だっ
たのだ。
 ただの性欲処理の人形か、出来損ないの部下か、能無しの売女か。
 私は何でありたかったのだろう。
 分からない。
 憎いとしか思えない。
 けれど、涙は止まらなかった。

「ベッドに行く時間はないな、貴様も脱げ。下はいい、万が一敵兵が踏み込んできたとき滑稽すぎ
るだろう」
 さっさと襟に手をかけた男を霞む視界で見ながら、私も軍服へ手をかけた。
 先に脱ぎ終わった男が手を差し出してくる。
 肉刺だらけだということ、中指に傷跡があるということ、親指にたこが出来ていること、初めて
知る男の手に私は静かに手を重ねた。
 肌と肌が触れ合う。
 何でこんなことを望んだのかと自問を繰り返していると、男の笑みが視界に入った。笑っている。
笑われている。最後の最後まで。
 暖かな肌に触れながら、強く男の死を思う。
 死ねばいい、本当に惨めに死ねばいい。
 きっと私は、自分の死の瞬間にもこの男の惨たらしい死を願っているだろう。
「将軍、お聞きしてもよろしいでしょうか」
82風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 17:40:25 ID:7fBhv+QZ0
「何をだね」
「部下にこれほど恨まれ、惨めな死を迎える上官の気持ちを、です」
「――悪くない。俺は本国でも嫌われた男だが、これほど恨まれるといっそ清々する。
恨みや嫉みは人間の中で最も風化せず、最も強い思いだと俺は考える。ひとから恨ま
れるということは、それほど悪いものでもない」
「まことに申し訳ありませんが、私ごときでは将軍の考えは理解不能のようです」
「それでよろしい。優秀な部下の恨みを買うのは悪くない、そう言いたいだけだ」
 優秀な、と口内で繰り返して目を閉じる。
 甘美な響きだと思えた。今そう言ってくれるなら何故、あれほどの仕打ちを自分へ向
けたと罵倒したいとも思った。
 いかに優秀な将軍といえど部下への差別をこれほどはっきりさせることはなかったの
ではないか。私が何をした。他の部下へは逃げろと甘言し、私へは好きに死ねと苦言す
る。この違いはどこにあるのか。
 どれほどそうして過ごしたのか、唐突に男は離れて窓へ顔を向けた。
「では、せいぜい討ち取られずに、卑しい豚を俺の前に連れて来い」
「は、心得ました」
 温まっていた身体が急速に冷えていく。軍服を手早く着込み、折り目正しくドアの前で
最敬礼をし、外へ出た。
 ここで同じく死んでも、捕虜として生きながらえても、この男を永遠に忘れることは出
来ないだろう。
 やはり、何もかも貴方の思うとおりじゃないか。
 朝日の差し込む廊下を抜け、私は玄関の大扉を開けた。唇が歪む。おぞましいあの
男と同じように笑っていることを自覚して、憎悪に目の前が白くなった。
 この先、死が訪れるまで、私はあの男を一時たりとも忘れることはないだろう。
83風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 17:40:56 ID:7fBhv+QZ0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
チラ裏に書くべきだったか、脳内で終わっとくべきだったか
改行またミスってるしorz

ごめんなさいごめんなさい
84風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 19:01:26 ID:kSS2WyV80
>>83
ぐぐぐぐGJ!!
軍人大好きなんで萌えさせていただきました。なんだこの切なさ(⊃д`)
だいすきだー
85風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 19:23:27 ID:Hhu+fpgQ0
>>83
超GJ!!
上官を憎みながらも想ってしまう部下の気持ちが切なすぎて涙が出てくるよ…。
どんな形であれ、こういう場面での上官と部下とのやり取りって好きだなあ。
86風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 20:21:04 ID:gUE+3ZQC0
>>83
ハァハァハァハァ何コレ何コレ萌えでふじこってます
87風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 22:19:45 ID:O/xE7Cz70
>>83
  _n
 ( l    _、_
  \ \ ( <_,` )
   ヽ___ ̄ ̄  )   グッジョブ!!
     /    /
88風と木の名無しさん:2006/08/24(木) 22:59:13 ID:s3Zya6Au0
>>74
姐さんGJ!! マジでGJ!!
ほんわかムードがFQっぽくて(・∀・)イイ!
エロ無くてもむちゃくちゃ萌えまくりですよw
8960の続き 劇場王←死神様:2006/08/25(金) 00:35:31 ID:i1RU6ANk0
予想外の反響にびびりつつ、前回の続きを投下してみます。
実は3部作+αだったなんて、あの時点では言えなかったんだ…。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
901/3:2006/08/25(金) 00:39:59 ID:i1RU6ANk0

部屋の中では大人と子どもが繰り広げているようなやり取りが、
何分にも渡って延々と続いていた。
ここのところ、毎日決まった時刻になるとやってくるあいつは、
今日も同じようにやってきて、知らぬ間に上がりこんでおり、
見習いの久をからかっては、その度に耳に障る笑い声をあげていた。
最早、日常の一コマとなりつつあるこの光景。
いい加減慣れてはきたものの、心の奥で感じるちょっとした居心地の悪さは、
今も拭い去る事はできなくて。大きく息をつくことで意識の外へと追いやろうとした。

「そういえば、馬腹くんは元気ですか」

笑いがようやく収まったらしい久が、思い出したように尋ねる。
道を違えた仲間のことを、まだ心配している様子だった。
報せを聞いた頃は、暗く寂しげだった、まだ幼さの残るその顔。
今はようやく現実を受け入れ始めたのか、悲しげな顔を見せることも少なくなったが、
今だに心のどこかで悔いているのだろう。少し悲しげな顔をしていた。

「元気さ。元々実力もあったし、期待の新星って所だな」

「そうですか。それは良かったです」

「お前もこっちに来れば、また一緒に戦えるぜ」

「いえ、僕は遠慮しておきます」

久は安堵した様子で、そっと目を伏せ、
一瞬儚げな笑みを浮かべると、すぐに強い目で前を見据えた。
いつもはしつこいあいつも、無理だと踏んだのだろう。
それ以上言葉を続けることなく、何事もなかったかのように、
別の他愛もない話を始め、久も何事もなかったかの様に相槌をうち始める。
912/3:2006/08/25(金) 00:44:07 ID:i1RU6ANk0

結局、道というものは、自らが強い意志を持って進んでいくものなのだろう。
他人が標を示すことはできても、何処へ進むかは本人次第で、
その決意が強ければ強いほど、その道は確かなものとなる。

自分の歩んでいる道と、あいつの歩んでいる道は、
同じ所に辿りつく、二本の道の様なもの。
彼と自分は、それぞれその二本の道を先駆けとして進んでいく存在として、
自らの信条を掲げて、それに誇りを持ち、たくさんの仲間と旅路を共にして、
似ているようで、全く違うようで――

だからこそ、惹かれるのかもしれない。
磁石の両極が惹かれあうような、至極自然な営みとして。

頭では分かっているのだが、認めたくないと心は叫ぶ。
自分のやり方を変えるつもりはないし、恐らく相手も同じだろう。
ならば違う道を知り、迷いを持つのは本意ではない。
だから拒絶しようとする。実際、視線を逸らし、冷酷な言葉をぶつけ、
自慢の鎌を奮っては、何度も何度も傷つけた。

なのに、ますます近くなるという矛盾。
言葉にできない感情に、心の奥はちりりと痛み、幽かな眩暈が巻き起こる。

「会長…会長…!」

ふいに聞こえた久の呼び声に、視界が開けた。
いつの間にか話は止んでいた。大丈夫ですか、と心配そうに尋ねる久に、
大丈夫だ、と答えると、自分に言い聞かせるように、一度大きく頷いた。
あいつは何も言わずに、全く興味の無さそうな様子で静かに茶を啜っていた。
妙な静けさが部屋を包み、どうしようもない気持ちになる。
923/3:2006/08/25(金) 00:50:33 ID:i1RU6ANk0

「おい」

「なあ」

自分とあいつが久の方を見て口を開いたのは、ほぼ同時で、
突然二人から声をかけられた久は、相当面食らった様子だった。
柄にもなく気を使ったのか、あいつは喋るのを止めたが、
こちらは構わずに喋り続けた。言葉と言葉が重なる刹那、
身体中を走った震えには、気付かなかったふりをした。

「少し、席を外してくれるか?」

大きいものと小さいもの、二人分の動揺が空気を通して伝わってくる。
久は目を丸くして何度か瞬かせた後に裏返った声で返事をすると、
落ち着きのない様子で急いで部屋を出て行った。
ドアの閉まる音の後、残されたもう一人に、視線をゆっくりと合わせる。
この男にも、緊張するという事があるのだろうか。
口元には笑みが浮かんでいたが、太い指先は机を叩き、目線はやや伏しがちで、
いつもの余裕はあまり感じられなかった。

有名な子ども番組のマスコットに似ていて、気持ち悪いと言われている顔は、
見れば見る程、やはり気持ち悪い事この上ない。
今更な様で新しい発見に、少しだけ顔が緩むのを感じた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
次回からはもう少し投稿の間隔を空けるようにします。ごめんなさい。
93風と木の名無しさん:2006/08/25(金) 05:11:02 ID:pF50eoEj0
>>92
GJ、GJ、超GJですっ!!!
息を詰めて読みマスタ。 そして萌えすぎて動悸がして苦しいっす(゚▽゚*)
3部作+αということはつ、続きが読めるってことですよね?ね?
正座してお待ちしてます!
94風と木の名無しさん:2006/08/25(金) 14:07:40 ID:/cwezyqKO
>>92
超GJです!死神かわいいよ死神!
柴苦会は萌え過ぎてたまらん…。
続きをwktkで待ってます!
95風と木の名無しさん:2006/08/25(金) 15:45:07 ID:7viFamKb0
>>92
GJ!!テラモエスw
続きが気になる…
96風と木の名無しさん:2006/08/26(土) 11:34:31 ID:7H4ntgtu0


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ネタは某国民的子供向けアニメらしいよ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  なんだか急に萌えたんだってさ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ジカハツデンシカナサソウ?
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
97風と木の名無しさん:2006/08/26(土) 11:35:24 ID:7H4ntgtu0
あああしまった!!
上げちゃったのでまた来ます!
ごめんなさいごめんなさい!
98風と木の名無しさん:2006/08/26(土) 11:41:52 ID:z3hfRkz/0
>>96の焦らしプレイに萌えww
99風と木の名無しさん:2006/08/26(土) 20:19:51 ID:3IfV+pJx0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  作成日時2004年9月18日のtxtファイルを発見したモナ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  へぇ…『英国戦隊ジェントルメン』ねぇ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ イチワメデスデニミカンカヨ
 | |                | |     ピッ   (´∀`;)(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1001:2006/08/26(土) 20:22:33 ID:3IfV+pJx0
18xx年 スペイン沿岸 某所

現在の陸軍本隊から何マイルも離れた丘の上にその天幕はあった。
頂上を過ぎた海側の半分はそこから崖になっており、そのずっと下からは、
入り江の小さな波が猫の額ほどの砂浜に打ち寄せる音が絶えることなく響いている。
今、砂浜に乗り上げたボートから、濃紺の上衣を着た男が一人、
海水を吸った重固い砂の上に降り立った。
彼の服はその顔に劣らず潮焼けして冴えない色をしていたが
これが彼の一番まともな軍服であり、一張羅だった。
足元の砂が太陽の熱で乾燥してぱりぱりと砕ける1ヤード程の帯を抜けると、
その先は岩壁までさらさらに乾いていた。
 
中は幾分蒸し暑かったが、外の炎天下と比べるとまだましだ。
白いキャンパス地が照りつける太陽を削いで淡く柔らかな照明を作り出している。
この夏という季節にありながら風通しが悪いことを除けば、ここは全く快適な空間だった。
この場にいるのは一人の女と数人の男。
すらっと背の高い菫色のドレスの女の隣で、青い上衣の男が机に肘をつき、
組んだ指を口元に当てて目の前に並んだ男達をじっと見つめている。
着古してぼろぼろの、ライフル銃兵の緑色の上衣を着た男が二人。
正装をした、金色の肩章の光る海軍の濃紺の上衣を着た男が二人。
そして民間人らしい黒い上衣を着た男が一人。
神妙な顔をした彼らのなかで、緑の上衣の二人だけは遠慮なく青い上衣を見つめ返している。
1012:2006/08/26(土) 20:24:12 ID:3IfV+pJx0
「おれたちに何をさせようって言うんですか、サー?」
緑の上衣の一人、くすんだ金髪の背の高い男がそう言うと、彼の言葉遣いに
線の細い神経質そうな濃紺の上衣の男の眉がぴくりと動いた。
青い上衣の男はそんな無礼にも慣れた様子で、軽くあしらっただけだった。
「これから話すところだ、シャープ少佐。黙って聞いていたまえ」
青い上衣の男がちらっと隣のドレスを見上げると、彼女は頷いて背後の幕の裏へと姿を消した。
「君たちの集まってもらったのは他でもない、自らを皇帝と称する不遜な男を懲らしめてやるためだ。
これから君たちにはチームとして特殊任務に就いてもらうつもりだ」
「しかしですね、ウェリントン将軍」
もう一人の濃紺の上衣、恰幅のいい、といいうか、ふくよかな男が慌てた調子で尋ねた。
「我々の艦はどうなるのですか?期間はどのくらいに?」
彼ら二人の乗艦は丘に隠れるようにして、すぐ外の入り江に碇泊しているのである。
「いいじゃないか、ジャック。陸に上がるのは何ヶ月ぶりだい?
せっかくだからスペインの珍しい生き物を沢山見せてあげるよ」
「見たいのは山々なんだけどねぇ、スティーブン。これは休暇の話じゃなくて任務の話なんだぞ?
それに断るなんて言っていないだろう?
ぼく達が呼ばれているということは海軍の協力が必要な任務だということだよ。
将軍が仰っているのは、どこかに攻撃を仕掛けるために陸と海から挟み撃ちにするとか、
師団単位の輸送を計画しているとか、そういうことなんだ。
もう少し詳細を聞かなきゃどうしようもないじゃないか」
1023:2006/08/26(土) 20:26:07 ID:3IfV+pJx0
「残念だがそういった計画ではないのだ、オーブリー艦長」
「では何故我々が?」
「調査だよ、ホーンブロワー艦長。バーバラ!」
何枚もの書類を抱えて菫色のドレスの女が戻ってきた。
ウェリントンは中から一枚の地図を取り出すと、トントンと指で叩いて注目を促した。
「いいかね。昨日、わたしの偵察将校の一人が報告ために帰ってきた。
それも奇妙な報告だ。彼は四週間をかけてピレネー山脈沿いに進み、
カタロニア東部からフランスへ侵入してリヨン湾の偵察を敢行した。
そこで巨大な施設を見たと言うのだ」
「造船所ですか?」
「いや。建造中の船など一隻もなかった。フランス軍の警備は厳重。
内部の情報は一切得られていない。
ただ、周辺住民の間にはその施設に化け物がいるという噂が広がっている」
「化け物ですって!?」
叫び声を上げたのは残りの緑の上衣の男で、全員の視線を集めたことに気付いたときには手遅れで
さっそくシャープ少佐に叱りつけられ、それに囁き声で反論した
「だって、少佐。化け物すよ、化け物!でかっ鼻もとうとうイカレちまったんですよ!」
「ハーパー!いいから黙ってろ!」
「二人とも聞いているのか!?その施設の調査、そして必要があれば壊滅させる。
それが君たちの任務だ!この天幕を本部に使いたまえ。わたしは本隊本部に戻らねばならん。
ここはわたしに代わって彼女が取り仕切る」
103風と木の名無しさん:2006/08/26(土) 20:27:58 ID:3IfV+pJx0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ どういう展開にしたかったのか
 | |                | |     ピッ   (・∀・;) 全く思い出せないモナ…
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
104風と木の名無しさん:2006/08/26(土) 20:30:30 ID:3IfV+pJx0
(・∀・)!
砂浜に下りたのがブッシュでホンブロを呼びに来る予定なのを思い出した
105風と木の名無しさん:2006/08/26(土) 21:28:31 ID:QyMATZATO
どうぞサイトを立ち上げて下さい
106風と木の名無しさん:2006/08/26(土) 22:56:25 ID:J08fQn6w0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  オリジナル。30代、友達同士のリーマン。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  それぞれの車で来て
 | |                | |            \  ランチした後らしい。
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ランチ?
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

107真昼の雨1/2:2006/08/26(土) 22:58:50 ID:J08fQn6w0
食べ終わって外へ出たら、これでもかというくらいの雨だった。


「傘、車から出してこればよかったなあ」
呟いた俺の声が聞こえなかったのだろうか。彼は擦り切れた財布をポケットに
挟み込み、代わりに車のキーを取り出して、店の軒下から大雨の中へと
駆けだした。
「濡れるよ!」
言っているそばから、雨は容赦なく彼の全身に降りそそいで、紺色のスーツの
背中を深い藍色へと染め替えていく。けれど彼はこちらを振り返ることなく、
自分の車の中へ滑り込んでいった。
取り残された俺。手の中でキーケースがチャリ、と金属音をたてる。
何も言葉を交わさずに別れるのも変な気がしたので、俺もあとを追って
インプレッサの助手席に乗り込む。ほんの少し、距離にして3メートル程度
だったのに、まるでシャワーをかけられたかのように頭から濡れてしまった。
ドアを閉めて、ハンカチで頭を拭きながら隣を見ると、彼も濡れた眼鏡を
ハンカチで拭いているところだった。
「すごい雨だな」
「うん」
「ねえ」
「うん」
「ちゅーしよか」
「は、なんで」
それには答えず、彼はぐっとこちらに顔を寄せてきた。わあ、とひるんだ俺の
頭を片手でつかんで、あっというまに唇が重なる。
大きな手のひらが俺の湿った後頭部を撫でる。二度、三度と。


ああ。なにしてんだ、俺ら。男同士で。
こいびとでもないのにねえ。

108真昼の雨2/2:2006/08/26(土) 23:01:20 ID:J08fQn6w0
「じゃあな」
自分の車に乗り換える時、また濡れるはめになった。膝から下がびっしょりと
濡れ、スーツが水を含んでいて気持ち悪い。
シートベルトを締めながら彼の車の方を振り返る。じっとこちらを見ているのが
わかったが、ちっともやまない雨がカーテンのようになって、彼がどんな顔を
しているのかはわからない。
再びハンカチを取り出して頭を拭く。

パ、と一回だけクラクション。
顔を上げると、ハザードランプがちかちかと光っていた。
運転席から左手が上がり、そして『バイバイ』と横に振れる。

わあ、うざ。そういうところが奥さんにめんどくさがられたんだよ、きっと。

俺が半笑いになっているあいだに、暗くよどんだ空の下、駐車場からするりと
抜け出した車は濡れたアスファルトを右折してしまい、あっけないほどすぐに
見えなくなった。
あの車のシフトレバーにはまだ、別れた奥さんがつけたストラップがついている。
後部座席には、明日面会する子供へのプレゼントが乗せられている。
俺はエンジンをかけた。フロントガラスをワイパーが撫でていく。一瞬だけ
鮮明になった視界に、彼の車が止まっていたスペースが映る。一面が雨に
浸った駐車場の中で、そこだけゆるい半円のように乾いていて、けれど、
何事もなかったかのように濡れていくところだった。グレーのアスファルトが
すべて黒く変色していくのを見届けてから、俺もその店を出た。
確認しなかったけど、きっと俺の車の止まっていた場所だって切り取られた
みたいに乾いていて、でもすぐに濡れてしまうのだろう。

応じたことに特別な感情はない。ただ、彼がかわいそうで、いとおしかった。
この人にさみしい思いをさせたくない、そう思っただけのことだ。


雨はまだやみそうになかった。
109風と木の名無しさん:2006/08/26(土) 23:02:11 ID:J08fQn6w0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 今日も凄い雷雨だったんで。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

110風と木の名無しさん:2006/08/27(日) 00:14:24 ID:rK6IXYpw0
リーマンktkr(*´Д`)
何だろうこのしっとりとした感じ!GJ!
111風と木の名無しさん:2006/08/27(日) 01:47:27 ID:svvpAkmWO
>>109
もも萌えた…
GJ
112風と木の名無しさん:2006/08/27(日) 16:24:16 ID:TQeJMCyw0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  不死身ミステリィのGO/SICKから
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  ドリル警部×一弥だってさ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ムダニナガイヨ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ラノベスレはSS貼れそうもない上に作品自体が話題に上ってないという切なさ。
警部×一弥で強姦モノです。

 久城一弥…西洋の小国に来た東洋の留学生。軍人の三男坊で童顔小柄。
 ブロワ警部…貴族の嫡男。美形で洒落者だけど妹のせいで髪型が常にドリル。
 ヴィクトリカ…一弥の同級生で人形のような美少女。一弥の大事な人で警部の妹。
113GO/SICK 警部×一弥 1:2006/08/27(日) 16:26:36 ID:TQeJMCyw0
「久城くんじゃないか」
 聖マルグリット学園のある村の中で一番の目抜き通り。
一人で買い物をしてぶらぶらと歩いていた久城一弥は何者かに呼び止められた。
訝りながら振り向いた一弥の視線の先で、金色のドリルが午後の日差しを浴びて眩しく輝いていた。
「なんだ、警部ですか…」
 最近巷では名警部として名を馳せているグレヴィール・ド・ブロワ警部が目の前に立っていた。
相変わらず服装に一部の隙もない見事な伊達男だった。ドリルのようなその髪型以外は。
「なんだとはなんだ。それにしても相変わらずつまらん顔だな、君は」
「警部こそ、相変わらず愉快な髪型ですね」
「好きでしているわけではない! まったく、君は礼儀というものを知らんな」
 ブロワ警部は世間で評判の名警部だが、その手柄の全てが妹のヴィクトリカ・ド・ブロワの頭脳から
導き出されている事を一弥は知っている。
ブロワ警部に対して尊敬の念など浮かんで来るはずもなかった。
「久城くん、一人かね?」
「そうですけど…」
 ふむ、とブロワ警部は口に手をあて何やら考え込む様子で、
「何と好都合な…これも、巡り合わせというやつか…」
などと呟いている。
114GO/SICK 警部×一弥 2:2006/08/27(日) 16:27:39 ID:TQeJMCyw0
「あの、何か…? 特に用がないならこれで」
 あまり警部と立ち話などしたくない一弥は、一刻も早くその場を去ろうと歩き始めた。
慌ててブロワ警部が呼び止める。
「ああ、待ちたまえ。ちょっと君に見て貰いたいものがあるんだ」
「は? ぼくにですか?」
「そうだ。…とある事件の現場を見に来てもらいたい…と言えばわかるだろう?」
 ブロワ警部が、イライラとした様子で言った。
(ははあ、なるほど)
 ヴィクトリカに直接謎解きを頼んだら最後、どんな無体な要求を突きつけられるか知れたものではない。
ブロワ警部は妹の目の前で一弥に事件の概要を語り、
一弥を通して間接的に事件の真相を聞き出そうとする事が多かった。恐らく今回もその口だろう。
(まあ、いいか。ひょっとするとヴィクトリカの退屈しのぎのネタになるかもしれないし…)
一弥は、退屈という名の不治の病にかかっている図書館塔の少女を想った。
彼女が喜ぶなら、このいけ好かない警部に付き合うのも悪くはないと一弥は判断した。
「分かりました、どこへ行けばいいんですか?」
 一弥は深く考える事もなく、あっさりと自分の運命を決めてしまった。
 すぐに一弥は、この時の判断を死ぬほど後悔することになる。
115GO/SICK 警部×一弥 3:2006/08/27(日) 16:28:46 ID:TQeJMCyw0
 一弥が連れてこられたのは、村で一番高級なホテルのスイートルームだった。
小さな村にしてはなかなか立派な構えのホテルで、特に最上階である6階のスイートは
要人も泊まれるような設備になっていた。
「はあ…」
 部屋の豪華さに呆れたような声を上げ、一弥はキョロキョロと所在なく辺りを見回した。
こんな部屋には一生縁がありそうにない。
「何をしている。こっちだ」
 ブロワ警部に呼ばれて覗いた寝室には、これまた呆れるほど豪奢なダブルベッドが鎮座していた。
繊細な細工の施されたベッドヘッドが目を引く。
「ここが事件現場…ですか?」
「そうだ」
 一弥はベッドに近づき、しげしげと観察してみたが、特におかしな所はない。
「警部、ここで一体どんな事件が…」
 ガチャ、とドアに施錠する音が一弥の背後で響いた。
「警部…?」
 振り返ると、驚くほど近い位置に警部が立っていた。ドリルが刺さりそうになって、一弥は思わず後ずさる。
ベッドの端に身体が触れた。
「久城くん、実はこの寝室で、東洋から来た留学生が警察関係者に性的な暴行を受けるという事件が……」
 ブロワ警部が戸惑う一弥の腕を掴む。
「…これから起きるんだ」
116GO/SICK 警部×一弥 4:2006/08/27(日) 16:29:37 ID:TQeJMCyw0
「え…っ?」
 掴まれていた腕をねじられたかと思うと、一弥はあっという間にダブルベッドに押し倒されていた。
 金色のドリルが眼前に迫ってくる。
「ちょっ…警部! 何をするんですか…!」
 一弥は起き上がろうと藻掻くが、両手首をガッチリと押さえ付けられてろくに抵抗が出来ない。
ブロワ警部と小柄な一弥とでは、力の差は歴然としていた。
おまけに体重を掛けてのし掛かってくるので、身じろぎすら難しくなった。
「お、重い…やめて下さい! 何のつもりですかこれは!」
「うるさい。君、いいから大人しくしたまえ」
 いつの間にかブロワ警部の息が上がっている。その荒い息づかいに一弥の背筋が粟立ち、
本能的に頭の中に警報が鳴り響いた。
『逃ゲロ…逃ゲロ…………犯サレル……!』
「いやです!」
 一弥は押さえ付けられた身体を捩って、必死に抵抗した。腕に力を込め、足をばたつかせる。
「…っつ…」
 目茶苦茶に蹴り上げた足が、偶然ブロワ警部の向こうずねに命中した。痛みにうめき声を上げながらも、
ブロワ警部は一弥を押さえ付ける手は放さなかった。が、僅かに一弥の細い手首にかかる力が緩んだ。
その隙を逃さず右手の自由を取り戻した一弥は、覆い被さって来るブロワ警部の顎を勢いよく突き上げた。
「う…っ…」
 ブロワ警部がたまらず上体のバランスを崩す。一弥は自由になった両手でブロワ警部を押し退け、
ベッドからの脱出を試みた。
117GO/SICK 警部×一弥 5:2006/08/27(日) 16:30:48 ID:TQeJMCyw0
 しかし、抵抗はそこまでだった。
「この……!」
 激昂したブロワ警部は、じたばたと暴れる一弥の肩を掴み、再びベッドに押しつけると、頬を二度、三度と
手の平と甲で力を込めて叩いた。口の中が切れて、唇の端から血が滲む。
「……ぅ…ッ」
 突然の理不尽な暴力に、一弥は声も出せなかった。恐怖に体が竦んで動けなくなる。
「…大人しくしたまえ、と言ったはずだ。次はこんなものではすまんぞ、分かったな?」
「…………は…い…」
一弥は震える声で小さく答えた。抵抗する気力は萎えていた。
ブロワ警部は大人の男で、本気になった大人の力に対抗するには、一弥はまだ子供すぎた。
逃げられない。
「良い子だ」
 手首を自身のネクタイでベッドヘッドに縛り付けられている間も、一弥は抗う素振りさえ見せず、
されるがままになっていた。
ブロワ警部は一弥の様子に満足げな笑みを浮かべ、制服のボタンを1つ1つ外していく。
それを見下ろしながら、一弥は掠れる声で、
「…なぜですか…?」
「うん?」
「なぜ…ぼくにこんな真似を…?」
「それは…だな…」
 ブロワ警部は一弥から視線を逸らして何やらもごもごと呟いている。
118GO/SICK 警部×一弥 6:2006/08/27(日) 16:31:50 ID:TQeJMCyw0
「そう…復讐だ…」
「復讐? ぼく、何か警部に恨まれるような事しましたか?」
「…違う、アレだ。あの小さな灰色狼だ」
「ヴィクトリカ?」
「そうだ、あの小さい悪魔への復讐だ。私があれにどれだけの無体を長年強いられて来たか、
君には想像も出来ないだろう。あの仔狼の最も大切なもの…そう、久城くん、君だ。
君をあいつから奪い、陵辱するのは、立派な復讐になると思わないかね?」
「そんな…!」
「そう、これはあの灰色狼に対する復讐なのだ。
いいか、決して前から久城くんの事を可愛いと思っていたわけでも、
いつか抱いてみたいと思っていたわけでもないぞ。最近、寝ても覚めても君のことばかり考えてもいない。
まして、妹のものになる前に、無理矢理にでも君を手に入れてしまおうと企んでいたわけでもないからな!
あくまでこれはあの灰色狼への復讐の手段であり、私自身の欲望や目的とは無関係だ!」
「え……ええーっ!!?」
 一弥は、信じなかった。
 当たり前だ。こんな下手な言い訳を信じるのは、疑うことを知らない無垢な人間か、よほどの阿呆だろう。
「あの……警部は同性愛者なんですか……?」
 一弥は恐る恐る、訊ねた。
「それは違う。私は歴とした異性愛者だ」
 ブロワ警部は間髪入れずにきっぱりと答えた。
「だからこれから私が君にする行為は、私の欲望を満たすためのものではないと言っただろう。
分からない男だな」
 本気でこの言い訳が通じていると思っているのだろうか。
嘘や言い訳が絶望的なまでに下手、という一点において、この兄妹はとてもよく似ていた。
119GO/SICK 警部×一弥 7:2006/08/27(日) 16:33:40 ID:TQeJMCyw0
「これは復讐の手段にすぎない。好きこのんで君を犯すのではないぞ。
君だけが特別で、同性愛者でもないのに君にだけは劣情を抑えきれないというわけでは、断じてない!」
「…そ…そうだったんですか…」
「さあ、もうおしゃべりはいいだろう。いくぞ、久城くん」
「あっ…警部…ちょっと待っ…待って! 待って下さい!」
「この、大人しくしていろと言っただろう。暴れるんじゃない!」
「だって、痛、痛い! さ、刺さる、ドリルが刺さるんです!」
「…ああ…」
 ブロワ警部は舌打ちをして、忌々しそうに流線型に輝く己の髪に手をやった。
強力な整髪料でガチガチに固めてあるので、簡単には落ちそうにない。
「…シャワーを浴びてくる」
 しばらく逡巡した後、ブロワ警部は諦めたようにベッドから降りた。
のし掛かられていた重みから解放されて、一弥は思わず息を吐いた。
「いいか、久城くん。逃げようなどと考えるなよ? 因みにいうとここは6階で、部屋の鍵は私が持っている。
つまり脱出は不可能だ。そこで大人しく待っていたまえ」
 そう言い放つと、ブロワ警部はシャワールームへと消えた。
 ブロワ警部が服を脱ぐ衣擦れの音に続いて、シャワーの音が聞こえ始めた。
途端に一弥の全身からくたくたと力が抜ける。緊張の糸が切れたのだ。
(…まさかブロワ警部に襲われるなんて…)
 叩かれた頬はまだ痛んだが、身体の震えは止まっていた。
先ほどの間の抜けたやりとりでブロワ警部への恐怖が薄れていたためだ。
120GO/SICK 警部×一弥 8:2006/08/27(日) 16:34:21 ID:TQeJMCyw0
(警部…ぼくのことを可愛いだなんて…。そりゃ、確かにぼくは母や姉に似て、ちょっと女の子っぽいところ
はあるけど、立派な男なんだ。それも、帝国軍人の三男だぞ。失礼な話だよなあ。
しかも劣情を抑えられないだなんてさあ…。あれ、劣情って…つまり、そういう事だよね…。
うわあ、ど、どうしよう! ぼく、このままだと本当に警部に…)
 一弥はネクタイで縛られた両手を目茶苦茶に動かしてみたが、結び目が固くてびくともしない。
それでも何とか緩められないかと動かし続けたが、逆にどんどんネクタイが締まって来るだけだった。
 それにブロワ警部の言葉通り、この部屋は6階にあるため窓から逃げるなど論外だ。
唯一の出口であるドアの鍵はブロワ警部が持っている。大声で助けを求めようものなら、
すぐに警部がシャワー室から飛び出してくるだろう。たとえネクタイが解けたとしても、
この部屋から逃げることは不可能だった。
 つまり一弥にはこのままブロワ警部に犯される以外に選択肢がないのだ。
(まさか、男に犯されるなんて……嫌だ…初めての相手が男…それもブロワ警部だなんて…
なんでこんなことに…)
 いっそ、舌を噛んで死のうか、と一弥は突きだした舌を上下の歯で挟み込んで…そのまま元の位置に戻した。
図書館塔の迷路階段の奥にいる少女を想うと、ここで死ぬことなど考えられなかった。
 シャワーの音が止んだ。ピク、と一弥の肩が揺れる。
 やがて、バスローブを着たブロワ警部がベッドルームに戻ってきた。
ドリルは跡形もなく消え、ヴィクトリカと同じ色の髪を肩まで垂らした、美しい貴族的な顔立ちの伊達男が現れた。
まるで絵本の挿し絵の王子がそのまま飛び出てきたかのようだ。
もっとも、その美しさも一弥には何ら感銘を与えはしなかったが。
121GO/SICK 警部×一弥 9:2006/08/27(日) 16:35:23 ID:TQeJMCyw0
「待たせたね、久城くん」
 別に待っていません、と視線を警部に移し、慌ててまた目を逸らした。
警部のバスローブの前がハッキリと持ち上がっていたのだ。カーッと一弥の顔に血が上る。
 再び、ブロワ警部が一弥にのし掛かってきた。また蹴られたりしないように、今度は一弥の脚の間に
身体を割り込ませてくる。藻掻く一弥の脚を押さえ込んだはずみでバスローブの前がはだけ、
ぶるん、とブロワ警部の剛直が顔を覗かせた。
(う、うそ…)
 その予想外のサイズに一弥の顔から血の気が引いた。一弥のそれの、倍近くはあるのではないだろうか。
(西洋人は大きいって聞いてたけど、まさかこんな…どうしよう…)
「久城くん…」
「ん…っ」
 ブロワ警部の性器に気を取られていた一弥に、警部が口づけた。
「…キスは、初めてかね?」
 唇を離して、ブロワ警部が言った。
「………そうですよ…っ!」
 初めてのキスをブロワ警部に奪われ、悔しさで涙目になって一弥が答えた。
(こんなことになるなら、せめてキスだけでもヴィクトリカと済ませておけばよかった…)
「では、これも初めてだね…?」
 ブロワ警部は再び一弥に口づけ、今度は舌を一弥の咥内に侵入させた。
キスとはただ唇を触れ合わせる行為だと認識していた一弥は、驚愕して目を見開く。
上顎を舌で撫でられ、一弥の背筋にゾクリと戦慄が走った。
122GO/SICK 警部×一弥 10:2006/08/27(日) 16:36:14 ID:TQeJMCyw0
「むー! うー…っ…ふ…っ」
 傍若無人に咥内を暴れまわるブロワ警部の舌を押し出そうとして、逆に舌を絡め取られてしまう。
「あ…ふ……んん…!」
 くちゅくちゅというキスの音が、部屋と一弥の頭の中に響く。
キスが深く、長くなるにつれて一弥の頭の芯がボーっと痺れてくる。
 ブロワ警部の唇が離れると、唇と唇の間で唾液がつーっと糸を引いた。
「あ……」
 ブロワ警部は、ぐったりと力の抜けた一弥の身体を腕で抱きとめた。
涙を浮かべ、眉をひそめて息を乱した一弥の表情に、うっとりと見入る。
「久城くん…」
 ブロワ警部がスッと一弥の股間をズボンの上から人差し指で撫で上げた。
「ああっ」
 一弥の身体がビクンと跳ね上がった。
 僅かにふくらんだ一弥の股間を何度も撫でながらブロワ警部は言った。
「勃っているね…私とのキスで感じたな?」
「そ、そんな事…」
「ではこれは、なんだね?」
「…やッ………………って……あれ? な…何してるんですか警部?」
 薄目を開けてみると、ガチャガチャ音を響かせて、もたもたと一弥のベルトを外そうとしているブロワ警部と目があった。
「ひ、人の服を脱がせるのは慣れていないんだ! 女性はドレスだから、まだなんとかなるが、男物など…」
「警部、本当に同性愛者じゃなかったんですね…」
「だからそう言っただろう!」
 一弥のベルトと格闘しながら、ブロワ警部が吼えた。いかにも不器用そうなたどたどしい手付きに、
一弥は思わず「手伝いましょうか」と声を掛けたくなったが、強姦の被害者が加害者の手助けをして
どうするんだ、と思いとどまった。
123GO/SICK 警部×一弥 11:2006/08/27(日) 16:37:07 ID:TQeJMCyw0
 ブロワ警部はようやくベルトのバックルを外すと、一弥のズボンを下着ごと一気に下ろした。
「わっ」
 急に素肌を外気に晒されて、一弥は思わず声を上げた。
反射的に身を縮めようと身体に引きつけた脚は、ブロワ警部に捕らえられ、大きく割り広げられてしまう。
ブロワ警部の視線を感じて、一弥は羞恥に顔を逸らし、ぎゅっと目をつぶった。
「ほうら久城くん、勃って………いないな……。なぜだ…?」
「時間がかかり過ぎなんですよ、警部」
「う、うるさい、君は黙って犯されていたまえ」
 ブロワ警部は萎えてしまった一弥の性器を握ると、そのまま口に含んで愛撫を始める。
「やっ…ちょっ…うあっ…」
 たまらず一弥は悲鳴を上げる。その声の艶っぽさに自分で驚き、息を呑んだ。
「う…んん!……あ…っ」
(これ…ぼくの声…?)
 縛られた腕を捩り、眉をひそめて切なく喘ぐ一弥に、ブロワ警部はひっそりと笑みを浮かべた。
これまでの様子から、久城一弥の性的経験は皆無だと確信したからだ。
自分が一弥の最初の男になれるのだと思うと、ブロワ警部は益々己が高ぶるのを感じた。
これ以上我慢できそうにない。
 一弥が極まる直前に口での愛撫を止めると、膝立ちになってサイドボードの上から乳液の瓶を取り、
中身を一弥の秘部に塗りつけた。そのままグッと中指を潜り込ませる。
「痛っ…」
 突然の侵入に一弥は悲鳴を上げた。
「い、痛い……ぬ、抜いて下さ……」
「我慢したまえ」
 ブロワ警部は音を立てながら指の抜き差しを繰り返した。
「これからもっと大きいものがここに入るというのに、この程度で音を上げてどうする」
「そんな…ああ…ッ!」
 容赦なく指が2本に増やされる。
124GO/SICK 警部×一弥 12:2006/08/27(日) 16:38:06 ID:TQeJMCyw0
「あぐ…っ…うっ……くっ…」
 一弥がくぐもったうめき声を立てた。ぐりぐりと中をくじる指の動きにひたすら耐える。
「…おかしいな…確かこのあたりだと…」
 と呟きながら、ブロワ警部は一弥の中を指で探った。やがてブロワ警部の指にしこりのようなものが触れる。
「…これか?」
「うああっ!」
 ビクン、と一弥の身体が痙攣するように跳ねた。そのまましこりをぐりぐりと押し続けると、一弥は嬌声を上げながら身体をガクガクと震わせる。
「あ…ああっ…!」
 一弥の中が誘い込むようにブロワ警部の指を締めつけてくる。一弥の痴態に、ブロワ警部は眩暈を覚えた。
堪えきれなくなったブロワ警部は、指を引き抜くと、代わりに自分の性器を宛う。
一弥は、ブロワ警部のそそり立った性器が秘部に押しつけられるのを感じた。
「警部、まさか…」
「入れるぞ、久城くん」
 そのままブロワ警部が一弥の腰を抱きかかえるように持ち上げたため、
ブロワ警部の性器が今まさに己に挿入されようとしている光景が、一弥の視界に飛び込んできた。
一弥の顔が蒼白になる。
「い、いやです…や、やめて下さい、警部っ…警部……っ」
 一弥は必死で哀願し、身を捩って抵抗した。
「行くぞ」
 だが一弥の懇願も空しく、ブロワ警部は一気に腰を進めた。
「い、いやだあ…っ!」
125GO/SICK 警部×一弥 13:2006/08/27(日) 16:39:05 ID:TQeJMCyw0
(ぬるっ)
「………え…?」
 ブロワ警部の性器は一弥の秘部に入り込めず、入口を掠めて滑った。
「ぐっ…な、なぜだ…くそ、もう一度だ…!」
「………」
「…ええい、そんな目で見るな! 男を抱くのは初めてなんだから、上手くできなくても仕方がないだろう!
 それより君のここは狭くてきつすぎる。もう少しゆるめたまえ」
「そんな無茶苦茶な…!」
「力を抜け、久城くん。ほら、深呼吸をして…」
「いやですよ! なんでぼくが協力しないといけないんですか!」
「往生際の悪いやつだな君は。ここまで来たらもう逃げられないのだから、諦めて私の言うことを聞きたまえ」
「お断りします…ん…っ!」
 ブロワ警部は前触れもなく一弥にキスを仕掛けた。
最初の時の奪うようなキスとは違い、柔らかく舌を絡め取られ、自然と一弥の息が上がる。
「んっ…ふ…う…」
 頭の中に霞がかかったようになって、思考が鈍ってくる。
「……ふ…っ…ん……んンンンっ!!」
 突如下半身を襲った激痛に、茫洋としていた一弥の意識が一気に覚醒した。
「…思った通り、君はキスに弱いんだな」
 口づけを解いて、ブロワ警部がほくそ笑む。
「ほら、入った。見えるか?」
126GO/SICK 警部×一弥 14:2006/08/27(日) 16:40:03 ID:TQeJMCyw0
「あっ…ああ…っ! そんな…っ!」
 一弥の視線の先で、ブロワ警部の性器の先端が一弥の秘部に潜り込んでいた。
狭い入口を限界まで押し広げ、そのままゆっくり、ズブズブと奥へ進んでいく。
「いやだああ…っ!」
「……っ」
 締め付けがきついのか、ブロワ警部が顔をしかめる。
「痛あっ! 痛い! 抜いて下さい警部…!」
 一弥は血の気の引いた顔で叫んだ。
「その頼みは聞けない、なっ…!」
 ブロワ警部は腰をぐっと突き入れ、一気に奥まで入り込んだ。
「うあああっ…!」
 衝撃と激痛に、一弥が悲鳴をあげる。ブロワ警部はうっとりとした表情で一弥の声に聞き入っていた。
この声は、一弥がブロワ警部のものになった証なのだ。
「分かるか、久城くん。奥まで全部入ったぞ」
「う…っ…ぐ…」
 痛みに涙をこぼしながら、一弥はブロワ警部を睨み付ける。
しかし、一弥を手に入れた喜びに浸っているブロワ警部には、その視線すら甘美なものに思われた。
「やっと…やっと久城くんが私のものに…」
 感慨深げにブロワ警部が呟く。ヴィクトリカへの復讐という設定はとうに忘れてしまったらしい。
「動くぞ、久城くん」
「や、待っ…」
 ブロワ警部はバスローブを脱ぎ捨て、一弥の両足を肩の上に担ぎ上げると、ゆっくりと腰を揺らし始めた。
「あう……く…っ」
 引き攣れるような痛みに、一弥が苦しげな声を上げる。
127GO/SICK 警部×一弥 15:2006/08/27(日) 16:40:43 ID:TQeJMCyw0
「最初は辛いだろうが…我慢してくれ、久城くん…っ」
 腰の動きはすぐに性急なものに変わった。
「ひっ……いや、あ、ああっ…!」
 ブロワ警部の動きに合わせて、一弥の声が上がる。
「っ…ふ…く…あっ…あっ…」
 一弥は懸命に声を押し殺そうとした。だが、手で口を塞ぐことができないため、抑えきれなかった声が
どうしても洩れてしまう。自らの上げる嬌声に動揺し、その度に中を犯すブロワ警部を無意識に締めつけた。
「あっ…」
 その度にまた声を上げてしまう一弥に、ブロワ警部はどうしようもなく興奮した。
「久城くん…久城くん…っ!」
「あああああ…っ!」
 激しく突き上げられ、小柄な一弥の身体はブロワ警部の思うままに揺さぶられた。
 頭上で両手を縛られたまま、揺すり上げられている一弥の姿に、ブロワ警部の情欲が更に煽られる。
一弥の頬に手を当て、こぼれる涙を親指で拭いながら、
「久城くん、可愛い、可愛いぞ…!」
「な、何を…っ」
 一弥がぎょっとした顔でのけぞる。その拍子にまたブロワ警部を締めつけてしまう。
「ふあっ!」
「…可愛い…!」
「う…ぐ…っ」
 ブロワ警部が乗り出すようにして一弥にキスをした。更に奥までブロワ警部に突かれて一弥が呻き声を上げる。
「私の…私のものだ…っ! 久城くん…!」
 ブロワ警部が一弥の耳元で熱を込めて囁く。
128GO/SICK 警部×一弥 16:2006/08/27(日) 16:42:12 ID:TQeJMCyw0
その時、ブロワ警部の性器の先端が、先ほど指で見つけた一弥の感じる場所を抉った。
「あうっ!」
「くっ…」
 一弥の中に収めたものをぎゅっと締めつけられて、ブロワ警部が呻く。限界が近かった。
 到達に向けて、ブロワ警部の腰の動きが速くなる。ブロワ警部の意図を察して、一弥の顔が青ざめた。
「け、警部…やめて…ください…!」
「…っ…中に、出すぞ、久城くん…!」
「いやです…許して、許して下さ…っ…警部…っ!」
 初めて経験する激しさで突き上げられながら、一弥は哀願した。だが、ブロワ警部は腰の動きを更に速めていく。
「久城くん、久城くん…行くぞ…!」
「いやだあぁっ!」
「…う…っ!」
 一言、呻いてブロワ警部が達した。
「いやああっ…あぁぁぁ…ッ!!」
 一弥の中にドクドクと熱い液体が勢い良く流れ込んでくる。
それを身体の一番奥で受けとめ、ビクビクと身体を震わせながら一弥も達した。


[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
溢れる萌えに任せて書きまくったら無駄に長くて33レス分になってしまったので半分に分けます。
コレデマダエロガハンブンダナンテカキスギダヨ…orz
129藤屋のるっくチョコレート:2006/08/27(日) 20:57:58 ID:++2WdBOGO
一年ぶりに帰ってきた某チョコレートからピスタチオ味がなくなってた


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



マカダミア 「ピーちゃん、新製品がこんな方向性になるなんて……ピーちゃんが外れるなら俺も一緒に外してもらう!」
ピスタチオ 「いいんや。実は俺、こういう結果が来てくれるのを望んでたんや」
みんな 「えっ!」

ピスタチオ 「正直な、俺もう背伸びするのが苦しかったんや。俺をあんな立派なチョコにしてくれて、その期待に応えたかったんやけど、限界が来てたところなんや」
マカダミア 「そんな……ピーちゃん、相談もしないで一人で苦しんでたの……」

ピスタチオ 「ヘーゼルナッツのあんちゃん、ずっと支えてくれてありがとうな」
ヘーゼル 「俺がいるとかいないとか関係ねぇよ!お前は一人前のナッツだよ!お前がいたから、その他ナッツへの希望が膨らんでいったんだぞ!」
アーモンド 「さっきから聞いてりゃ何言ってやがる!お前はナッツアラモードの一員だ!俺様がそう決めてたんだよ!」
マカダミア 「………ぅっ、うッ(涙)……」
ピスタチオ 「ありがとう。でも、俺にはおつまみが似合ってるわ。バタピーやでんろく豆も納得してるし、歓迎もしてくれている。俺はあっちで新たに頑張るわ」
ヘーゼル  「枠が変わっても、お前はいつまでも俺たちの仲間だ。それは変わらない。ここにいる誰もがそう思っているだろう。」

ピスタチオ 「みんな、ホンマにありがとうな。これからも頑張ってナッツクリームチームを発展させていってな!じゃーな!」


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!ヘタクソナ改変デ ゴメンネ
130風と木の名無しさん:2006/08/27(日) 23:04:20 ID:/4TH3L0m0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  オリジナル?です。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  元はナマモノcpのSFパロなんだけど…
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )  どマイナーなナマモノcpの上にパロ…
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ロボット…三十路過ぎ設定。元はツンデレラ。
男…三十路過ぎ。ロボットよりは年下らしい。

131君と出会った奇跡が1/2:2006/08/27(日) 23:05:52 ID:/4TH3L0m0
「自分が人間だったらなあ、と思うことってありますか?」
背中越しに伝わる体温を感じながら、彼に聞いた。コンビニで買ってきた他愛も無い週刊誌に夢中になっている彼に投げかけた質問に、特に意味は無い。
数十年ぶりの大雪で冷え切った夜に、薄着で寒いとも言わない彼が、そういえばロボットだったことを思い出したからだ。きっと答えにくいものではあっただろうけれど、彼はいやな顔一つせずに至極明快に答えた。
「無い」
それは言ってしまえば予想通りの答えで、予想外の答えでもあった。
手に持ったコーヒーを一口すする。苦味と熱さを持った液体が食道を下るのを感じながら目を瞑ると、寒い部屋の中で彼の体温がやけにリアルに感じられた。「本当に?」
「うん」
彼が寄りかかっているせいで、彼の表情を伺う事は出来なかった。
俺の質問、理解してないんちゃうか。
だけど、ちらりと見える彼の横顔は嘘をついていない。彼が普段自分に騙されまくっている割には、こういう質問に嘘をつかないのは知っている。
132君と出会った奇跡が2/2:2006/08/27(日) 23:06:58 ID:/4TH3L0m0

「そりゃあ、若い頃は思わないでもなかったけど」
人間だったらってさ、と彼は言った。
・・・ロボットに若い頃も昔もあるんやろか。
「今は」
読んでいた週刊誌を閉じて、彼は完璧に体重を預けてくる。増した重みと暖かさは、紛れも無く人間のそれなのだが。ただずっと一緒に居るからそう思うだけで、他人からしたらロボットのそれなんだろうか。
「俺がロボットって事なんか気にせずに、大切にしてくれる人がいるから」
…お前…とか。
呟くように追加された後半部分を上手く聞き取る事は出来なかったが、もし聞こえた通りなら、きっと。
「・・・さーて、飯の準備でもするか」
照れ隠しにさっと立ち上がった彼は、足早に台所へと向かう。自分の見間違いじゃなかったら、彼が耳まで真っ赤なのは何のせいだろう。
「参ったな」
照れ隠しに頭をかく。たぶん、耳が熱いのは気のせいじゃない。きっと、にやけてしまうのも無理はない。
「大切にさせていただきますよ。」
背中に感じていた暖かさは消えうせても、その暖かさが機械のせいだとしても、彼のことをずっと想い続けるだろう。
彼の言葉が、例え計算式の果てに示された答えだとしても、彼のメモリに少しでも自分が記憶されるのなら、それでいいじゃないか。
この時間を、一分一秒でも同じ時間と思いを共有出来るなら、お互いが何者であるかなんていうことよりも、ずっとずっと。

「愛してるよ」



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ ) ぎゃー恥ずかしい。逝ってきます。
133風と木の名無しさん:2006/08/27(日) 23:27:55 ID:+X2zyvTMO
>>112

ムハー(´∀`*)
まさかこのカプのエロがここで読めるとは!
ドリル頭が刺さるから洗う警部ナイスw
続き超絶期待。
134風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 01:21:10 ID:rOD5JoCd0
>>93です。
遅くなりましたが投下します。
----------------------

「か・ざ・ま・く〜ん、ふ〜〜っ」
「あへぇ〜〜〜……って、何すんだし.んのすけー!」
「だってオラと風.間君の仲じゃな〜い」
「馬鹿言うなーーーー!!!」




………また、あの頃の夢だ。
このところ、毎日のように夢を見る。
10年前、僕が幼稚園に通っていた頃の夢。
友達というか、悪友というか、ライバルというか。
あいつと出逢って、友達になって、遊んで、毎日が楽しかった頃の夢。

ふ.たば幼稚園から県で一番難関の名門私立付属小学部に合格し、僕とあの頃のみんなの道は別れてしまった。
もうあの頃には戻れない。…と思っていたら、ね.ねちゃんとボ.ーちゃんとまさ.おくんが中学部に編入してきた。
クラスは違うけど、彼らとはたまに廊下で話す。
でも、あいつはいない。

彼らが言うには、皆と一緒の地元の小学校に入学したあいつは、幼稚園の頃と変わらなかったらしい。
勉強もあんまり出来ないようで、いつもね.ねちゃん、ボ.ーちゃん、まさ.おくんで教えていたという。
「し.んちゃんは頭いいんだけど、勉強はやる気が出ないみたいだったわ」
「そうそう、やる気があればここの中学部だって僕たちと一緒に絶対合格してたと思うよ」
「ぼくも、そう思う。もう少し、やる気さえ、あれば」
ちょうど三年前、新しい制服姿の彼らは、中学部の入学式が終わったばかりの校庭で僕にそうぼやいた。
135風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 01:22:25 ID:rOD5JoCd0
僕は今もあのマンション住まいで、あいつの家とはそんなに離れていないはずなのに、幼稚園を卒業してから一度もあいつに会うことはなか

った。
ね.ねちゃんやボ.ーちゃんやまさ.おくんとは、道すがらたまに会うこともあったのに。
小学校から電車通学の僕と、駅と反対の方角にある学校に通うあいつとの接点はなくて当然だろう。
だから、十年間、本当に一度も会うことがなかった。


この春僕達はそろって付属の高等部に進学した。
中学部は小学部に比べ人数が増えるから新規入学生が200人くらいいるけど、高等部は中学部と入学枠が同じなので、ほぼ持ち上がりとな

り親の都合で転校等した生徒の補充分しか入学できないようになっている。
とても狭き門なのだ。今年度の高等部の補充入学枠は3人だったらしい。

まもなく始まる入学式の参列者が、付添いの保護者とともに列を成して講堂に吸い込まれていく。
僕の隣にも和服姿のママがいる。きっとこの校庭のどこかに、ね.ねちゃん、ボ.ーちゃん、まさ.おくんも居ることだろう。
ふと見上げると、桜の蕾が重そうに揺れている。
まだ風は肌寒いが、もうすぐこの校庭の桜も満開を迎えるだろう。
季節は移り、美しく華やいでいくのに、僕の心はなぜか曇ったままだ。
「あんな夢ばっかり、見るせいだよな…」
あいつの事、しばらく忘れていたのに。
どうしてこんなに、今さら。
あいつに逢いたいんだろう。

……逢いに行ってみようか。
そして、あいつに逢ったら、僕は………。
136風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 01:23:01 ID:rOD5JoCd0


「か・ざ・ま・く〜ん、ふ〜〜〜〜っ」
「あへあへぇ〜〜〜……って、何すんだし.んのすけーーーーー!!!!」
条件反射で叫んで振り向いたそこには。
「し、し.んのすけ…?!」
「お久しぶりぶり〜、十年前と同じ反応だねー、逢いたかったぞ。元気してた風.間君?」
あの頃と笑顔だけは同じあいつが立っていた。笑顔以外は10年前とは違うところだらけだ。
僕より背が高くなったし、あの頃より声も低いし、そして、そして……僕と同じ制服。
「………遅かったな、お前……十年も何やってたんだ。待ちくたびれたぞ………!」
驚きと嬉しさでなんだか涙声になってしまいそうで、僕は半分怒鳴るように言った。
「ごめんねぇト〜ルちゃん! これから十年分ちゃーんと取り返せるようにサービスするから」
ママとあいつのママが楽しげに話してるのをちらと横目で確認し、彼は強引に僕の肩を抱き寄せた。
「こっこらっし.んのすけ! 馴れ馴れしくすんなよもう!」
周囲の目が気になって暴れる僕をいとも簡単に封じ込めると、彼は僕の耳元で囁いた。
「ま、風.間君の楽しい青春はオラに任せとけって」

………離れる瞬間、僕の頬にあいつの唇が触れた気がしたのは内緒だ。
137風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 01:25:14 ID:rOD5JoCd0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ハツガキSSナノデミグルシカッタラスミマセン…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |



138風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 01:26:56 ID:rOD5JoCd0
すすすすみません!
>>93 でなくて >>96 でした!!

重ね重ね申し訳ありません………
139風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 01:28:26 ID:ep4vsivTO
萌えた。とっても萌えた。しかし新のすけの口調を文章にすると
ちょっと笑っちゃいますなwいやしかし萌えた。お疲れ様!
140ドクオクエスト 決戦:2006/08/28(月) 01:55:24 ID:x9oiBnru0
ものすごく今更で大変申し訳ありません。
ビデオ棚11で投下したドクオクエストの続きです。
今更な上に長文で17レスほどいただいていきます。



 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | |> PLAY.       | |     
 | |                | |           ∧_∧ ホント ゴメンナサイ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |



141ドクオクエスト 決戦 1/17:2006/08/28(月) 01:57:02 ID:x9oiBnru0

人々の目から遠ざかるために森へと潜んだあの日から、私はいつもひとりだった。

額の呪われた証を隠して生きていた時も、顔半分を覆うこの醜い傷が、私から人々を遠ざけていた。
傷を隠していた時には普通に接してくれていた人も、私の傷を見るや皆一様にその顔を嫌悪に歪める。
罵られ、石を投げつけられながらも、私はそれでも人を信じていたかった。
嘲りを受けながら、それでも少しでも人から必要とされたくて、愚か者よと嘲笑されながらもただひたすら
人々のために魔物を狩る日々。
森の中でひとり膝を抱えながら私は、それでもいつかはきっと、と思っていた。
いつかは、こんな私でも人々に受け入れられる時がくるかもしれない。皆の願い通りに魔物を倒し続けていれば、
いつかは皆が私の事を理解してくれるかもしれない。愛してくれとは言わない。
ただ、私という存在を認めてくれるだけでいい。そうだ、いつかはきっとそんな日がくるはず。

…虚しい願いなのは判っていた。何十、何百の魔物を狩っても、人々は私を受け入れてはくれない。
けれどもそうでも思わなければ、あの頃の私は息をすることすら辛かったのだ。

けれどもその儚い希望も、額の証を国王の目前に晒したことで、無残にも踏みにじられた。
私が呪われた存在であることは国中に隠れもなく広まってしまった。王がどのような悪意をもって私に勇者と
名づけたのかということも皆が知っていた。王に疎まれた私を受け入れる者など、この先誰一人として現れないだろう。
もはやこの世界に私の居場所は何処にも無い。
それでも、私は進み続けるしか無かった。私を必要としない世界の為に。そして何より私自身の為に。
142ドクオクエスト 決戦 2/17:2006/08/28(月) 01:58:51 ID:x9oiBnru0

魔物の酸は私の剣を折っただけではなく、鎧すらも溶かしていた。

役に立たない装備を脱ぎ捨ててしまえば、私の身を守るものはたった一枚の布の服だけだ。
そうして手には一振りの古びたナイフ。
あの旅立ちの朝私と共にあったナイフは、10年たった今も手元にあった。他の武器に持ち替える時にも
これを手放すことはどうしても出来なくて、私はそれを守り刀として常に懐に忍ばせていたのだ。
錆びが浮き、刃が欠けこぼれてしまってもこれは、私が10年間の中で受けた、最初で最後の優しさの証だったから。
けれど今、このナイフが、私を守る最後の砦になる。
それ以外の物は、全てここに置いていく事にした。どうせもう、私には必要無いものだから。
私を犯したあの魔物を倒した今、もう何も思い残す事なんてなかった。母と妹の仇を討ち、自分の中の尊厳を僅かなりとも
取り戻した私には、もうこれ以上を生きる意味は無い。これでようやく終わりに出来るのだ。
苦しく悲しかった私の人生を、ようやく終わりに出来る。
最初から竜王に勝てるとは思っていなかった。ただ敗れるにしても立ち向かう姿を見せる事で、
私に謂れの無い罪を鳴らした隣村の村長に否定して見せたかっただけだ。私は魔物を引き込んでなどいない、魔物に情を受けたのでも無い。
私は最後まで戦ったのだ、と。

目の前には堅く閉ざされた扉。てのひらで触れると石造りのそれはひんやりとしている。
ようやくここまで辿りついた。ここが、私の人生の終焉の地。
万感の思いをこめて、私はゆっくりと扉を押し開いた。
143ドクオクエスト 決戦 3/17:2006/08/28(月) 02:00:31 ID:x9oiBnru0
扉の先は、空っぽだった。
いや、その表現は正しくは無いだろう。私の視線の先には玉座があり、何者かがきちんと座っているのだから。
けれどそう表現するしかないほど、この部屋の中は恐ろしいほどの空虚さに包まれていた。
何も無いただ広いだけの部屋。その中央にポツンとひとつ置かれた玉座にそのひとは、いた。
魔物達の首領、伝説の竜王。目の前の男はそんなイメージからは欠片も想像出来ない容姿をしていた。
座っているので良くわからないが、身長は私よりも高いだろうか。何千年も生きていると聞いていたのに、
その年齢も私とさほど変わらないように見える。
「…貴方が、竜王か?」
玉座に座る者がそれ以外である訳がないのにそう問うた私に、竜王はくすりと笑いながら「そうだ、勇者よ」と頷いた。
そうして、その手を私へと差し出してこう言ったのだ。

「ようこそ、勇者。私はお前を歓迎しよう」
144ドクオクエスト 決戦 4/17:2006/08/28(月) 02:02:05 ID:x9oiBnru0
閑散とした室内に靴音を響かせて、ゆっくりと竜王がこちらへと向かってくる。
竜王は、美しかった。
金糸の髪。
瞳の色は深い湖のようなサファイア・ブルー。
堂々とした体躯を豪華な刺繍入りの衣装で包み、立派な大剣を腰に佩くその姿は、とても邪悪な魔物の王には見えない。
むしろこれは。
(ああ)
咄嗟に構えたナイフの切っ先が震える。

これは、一体、なんの冗談だ?

王が、姫が、おそらく国民の皆が思い描いているだろう理想の勇者が、今形を成して私の目の前にいる。
145ドクオクエスト 決戦 5/17:2006/08/28(月) 02:04:08 ID:x9oiBnru0
「まずは、話をしよう。闘いはそれからでも遅くはないだろう?」
呆然とその場から動けずにいる私ににこやかにそう告げて、竜王はナイフを握ったまま固まった私の指を、
ひとつひとつ丁寧に剥がしていった。そうして鞘に収められたナイフを渡され、私は玉座へと導かれる。
先導する竜王は、武器を持つ私の前に無防備にその背中を晒していた。
今なら倒せる。心の中で声がした。そうだ、武器は手の中にある。無防備なこの背中をひと突きすれば…。
心の中でぐるぐる回るその考えを、けれど実行することはできなかった。触れた指から流れ込んできた竜王の
手の温もりに、かけられた言葉の優しさに、私は混乱していたから。
なぜ竜王は敵である私にこんな態度をとるのだ。まるで遠方からの客人のようなこの扱いは一体なんだ?
「私は、待っていた。お前のような勇者がこの玉座まで辿りつく事を、私はずっと待っていたのだ」
「…勇者を…待って…?」
すう、と冷たい何かが心を伝う。
ああ、彼も「そう」なのか。
私はひとつため息をついた。彼もまた、「勇者」に夢見るひとりなのだ。
どうして皆誰も彼も勇者に拘るのだろう。何を勇者に望んでいるのだろう。私を見る時の王の、姫の、侮蔑に満ちた
眼差しを思い出す。私を勇者と呼びながらそんな事を欠片も思っていない瞳。
「…それは、残念だったな。がっかりしたろう。来たのがこんな私で」
さぞかし竜王も私を見て、酷く落胆したことだろう。そう考えるとなにやらすまない事をしたような気になって、
「ごめん」と思わず謝ってしまった。
「何を言っている」
けれども竜王は、そんな私の謝罪を一笑に付した。
「私は『お前』を待っていたのに」
振り返る竜王の瞳に侮蔑の色は見えず、私は再度、混乱した。
146ドクオクエスト 決戦 6/17:2006/08/28(月) 02:08:19 ID:x9oiBnru0

「ずっと、私は待っていた。この玉座の間に辿り着くことができる者を。私と対等に渡りあえる勇者を」
そうしてようやく、出会えた。
「それが、お前だ」
嘘だ。
「私は…勇者じゃない」
「なぜ、そう言い切る?」
「…こんな醜い私が、勇者であるわけ、ないだろう」
私は勇者とは名ばかりの、愚かで醜い穢れた男だ。
今の私は、闘いの邪魔になるために顔を覆う布を外している。溶け崩れた半面を、醜い蛇を巻きつけた身体を、
目の前の美しい男の前に晒しているのだ。
なんて醜い自分。おそらくはたから見れば、私こそが邪悪な魔物に見えたかもしれない。
そんな私の自嘲の言葉を、けれども竜王はつまらなそうに否定した。
「容姿が勇者の証明か?」
「―っ!」
瞬間、腹の底からどす黒い感情が込みあがる。
「…あんたに、何が判る」
絞り出した声は、震えていた。
勇者のごとき姿の竜王に、一体何が判ると言うのか。

この顔の疵さえ無ければと、どんなに願ったことだろう。
額の証を晒す前から、私はこの疵のために蔑まれてきた。石を投げられ、罵倒され、正当な評価を与えられず。
常にいい様に利用され続けていた。
この顔の疵さえなければ、王の目前で呪われた証を暴かれることも無かったかもしれない。
それでもせめて顔の疵さえ無ければ、皆がもう少しまともに私を扱ってくれたかもしれないのに。
147ドクオクエスト 決戦 7/17:2006/08/28(月) 02:09:51 ID:x9oiBnru0
「この疵は、私から全ての尊厳を奪った。姫に疎まれ、町民には蔑まれ石もて追われ。王には捨て駒として扱われ…」
悔しさに視界が滲む。
今更言っても詮無いことだ。とっくに諦めていた筈なのに、竜王を前に嗚咽のように溢れ出す言葉が止まらない。
そんな私を、竜王は哀れな者を見るような目つきで、見つめている。
「ならばなぜ、お前はここに来たのだ。自分を虐げる者達の為に、なぜ血を流しここまで来た」
「私の為だ。母の妹の…私の、敵だからだ」
咄嗟に答えて、けれど突如沸きあがった別の想いに、唇が歪む。
嘘だ。
おそらく私は愚かにも、期待していたのだ。
魔物を倒し竜王を倒せば、きっと皆私を認めてくれるのではないかと。何度も何度も裏切られながらも魔物を狩り続けた
あの日のように、私は虚しい期待で自分をだましながらここまできたのだ。
そんな事、万にひとつもあるわけが無いのに。
震える指で、額のバンダナに触れる。
醜い身体を晒してしていても、この穢れの証だけは隠していた。こんな時にですら隠さずにはいられなかった自分を、
嗤わずにはいられない。

でももう、どうだっていい。

バンダナを、掴む。
「私は勇者なんかじゃない。ただの穢れた『呪われし者』だ」

引き抜いて、私は全てをさらけ出した。
148ドクオクエスト 決戦 8/17:2006/08/28(月) 02:11:01 ID:x9oiBnru0

「…私の紋章(しるし)か」
私の額の証を見た瞬間、僅かに竜王の表情が動くのが判った。額に戴く竜の紋章。
それが何を意味するのかを、竜王も知っているのだろう。
「これでも、私を勇者と?」
自らを嘲る声は、震えていた。それでも視線だけは竜王から離さずにしっかり見据える。どんな表情の変化も逃さぬように。

蔑みの視線を覚悟する。
嘲りの言葉を覚悟する。

「…愚かな事を言う」

その言葉に私は唇を噛み締める。けれどそんな私の姿を見て、竜王はふわりと微笑んでみせたのだ。

「お前こそ、私の勇者だ」

と。
149ドクオクエスト 決戦 9/17:2006/08/28(月) 02:13:02 ID:x9oiBnru0

「勇者よ。私の元に来い」
呆然と立ちすくむ私に、竜王が信じられないようなことを言った。
「お前が私の傍に侍るのなら、私はお前に世界の半分を与えよう」
目の前の男は、一体何を言っているのだろう。言われた意味が判らない。
「お前の国がある場所を取るがいい。お前が王だ。城に住む王も姫もお前の下僕として、
今までの恨みを存分にはらすがよかろう」
楽しそうに笑いながら、竜王は言う。まるで悪戯をけしかけるような無邪気さがその口調にはあった。
「お前の為の玉座を私の隣に造らせよう。こい、勇者よ。私の傍に。そうして共に生きようではないか」
差し伸べられる、手。
ぐらり、と視界が揺れた。
誰かが私に手を差し伸べてくれる光景を、何度夢想したことだろう。森の中で一人きり膝を抱えながら、
いつかこんな私にも本当に必要としてくれるひとが現れるかもしれないと、虚しい想像で自分の心を慰めたことが何度あっただろうか。
たとえそれが人ではなく魔物の王のものだとしても、求められているという事実が、私の心をこんなにも震えさせた。

この手を取りさえすれば、私はもう一人ではなくなる。
私を認めてくれる人が傍にいる。そんな幸福を得ることができる。

「私の印を戴くお前が私の元に現れたのは、運命だ。」
無意識に伸ばしかけた手は、けれど竜王のその言葉で凍りついた。とっさに両手で額を覆う。その手の下には呪いの証。
「どうした?」
微笑む竜王。その微笑みは穏やかで、慈悲深くさえある。けれども。
「…う…」
身体の奥がギチリと軋む。いまだ癒えずに膿む腸(わた)が、ギリギリと悲鳴をあげて引き絞られていく。
穢れた身体。魔物に嬲られ汚辱に塗れて、内部から焼き潰された身体。
私がそんな身体になったのは――。
「…ぐ…ぅ…」

目の前の男が放った魔によって。
150ドクオクエスト 決戦 10/17:2006/08/28(月) 02:15:24 ID:x9oiBnru0
私は今、何をしようとした?
あの日の怒りも憎しみもすべて投げ打ち、屈辱も痛みも、すべてを忘れてしまうつもりだったのか?
捻じ切られた妹の首を、引き裂かれた母の身体を、全身の肌を溶かし焼かれたあの地獄を、すべて無かったことに?
“自らを穢した魔物の王と通じるとは、やはりお前は呪われし者”
こみ上げる呻きを食いしばって耐える私を、あの村長の声が打ち据える。
「…が…ぅ…」
“魔物に身体で媚を売る、汚らわしき淫売”
証を晒した王宮での、飛び交う罵言が私を責める。
「…ち…が…」
“…私達を犠牲にして、ひとり生き残った恥知らず”
肉塊となった母と妹が、私の罪を断罪する。
「――っ、ちがうっ!」
目の前が、真っ赤に染まる。取り巻く弾劾に耐えかねて、ついに私はナイフの鞘を払っていた。
そうして、突然の私の豹変に驚く竜王に切っ先を向ける。
「どうした勇者よ?」
問いかける声音は、何故かそれでも甘く、私に響く。

151ドクオクエスト 決戦 11/17:2006/08/28(月) 02:16:12 ID:x9oiBnru0

「…私は、貴方の元には行かない」
気を抜けばすぐにでもその声に自分を委ねてしまいそうになるのを、私は必死で耐えた。
「私の村は、貴方が戯れに放った魔物の軍勢に滅ぼされた」
ナイフを突きつけられながらも、竜王は腰の剣を抜くこともなく静かに私を見つめている。
「村の人達は殺され、母や妹を殺され…」
ひくり、と私の咽喉が鳴った。
「――っ、わたしは犯され、身体を焼かれたっ」
片方の視界が、堪えきれずあふれ出たもので歪む。ようやく搾り出した声はひび割れた涙声だった。
「私は、貴方を、許せない」
そうだ、私は竜王を許してはいけない。私が彼を許したら、戯れに殺された村の人達の無念はどうなる。
幼い身体を犯し殺された妹の恨みはどうなる。魔物の下で狂い死んで行った母の恨みはどうなる。
そうして何より。
“魔物を引き込んだ穢れし者”
謂れも無く鳴らされた私の罪。その罪を雪ぐ為、私は生きた。
「貴方を倒す。そのために私はここまで来たんだ!」
そう。
…私に残された道は、それしかないのだ。
152ドクオクエスト 決戦 12/17:2006/08/28(月) 02:17:33 ID:x9oiBnru0

「…やはりお前も、私と添うてはくれぬのか」
私と私の突き出す刃を見つめ、竜王は小さく呟いた。
私を見据えるその瞳は、どこまでも澄んだサファイア・ブルー。その中にふいに漂った孤独の波は、
けれどすぐに凪いでしまう。
「愚かな愛しい私の勇者。お前がそれを望むのなら、私はその挑みを受けよう。」
すらりと優雅な所作で、竜王が腰の大剣を抜き放った。
「お前にはその権利がある」
大きな剣を、やすやすと片手で扱い私に向けて構えを取る。途端にその身体からは闘気が放たれ、
まるで氷のような鋭利な空気は、それだけで私を圧倒した。
身体が震える。
纏った気のみでもその強さが判る。とてつもない強さ。でもそれでも。
「…う…ああっ―-!」
床を蹴る。
私はやらねばならないのだ。私が生きてきた意味を掴むために。私の人生の決着をつけるために。
たとえここで死ぬのだしても。

153ドクオクエスト 決戦 12/17:2006/08/28(月) 02:20:16 ID:x9oiBnru0

そうして私の、最後の闘いが始まった。
竜王は、強い。私が今まで闘ったどの魔物よりも強かったが、それでも私の持てる力を全て出し切って、
なんとかその剣に付いていくことが出来た。
防具を全て失ったことによるハンデは、あまり感じなかった。どころか重い防具を脱ぎ捨てたことで、
私はスピードを手に入れることが出来たのだ。
「―――!」
頬を竜王の剣が掠る。
ナイフの丈が短い分、私は間合いに深く入り込まねばならなかった。思い切って飛び込みナイフの切っ先を
跳ね上げたが、それは竜王の服を引き裂いただけ。
息の詰まるような一進一退の攻防が続いた。

振り下ろされる剣を避ける。死角へと回り込み突き出したナイフはだが完全に見切られていて空を斬った。
生命を掛けた闘い。けれどそれは、何故か不思議なほどの充足感を私に与えていた。
ナイフを振るう度に、竜王の攻撃をかわす度にそれは膨れ上がり、あれほど私の中にあった憎しみや怒りを押し流していく。
私の中のドロドロとした感情が、傷つき血を流していた心が、剣によって慰撫されている。
そんな感覚に陥るのは、竜王が私に対してまったくの対等な目線でいるからだ。他の誰からも与えられなかったものを、
私は今、剣を介して倒すべき敵の竜王に与えられている。
こんな風に私を認めてくれるのは、きっと彼だけなのだろう。彼だけが私を、唯のひとりの男として扱ってくれる。
私を恐れず蔑まず、私の目を見つめてくれる。
154ドクオクエスト 決戦 14/17:2006/08/28(月) 02:21:25 ID:x9oiBnru0

差し出された手を思い出す。
きっとおそらく彼こそが、私の最大の理解者なのかもしれない。
なのに何故、私達は闘わなければならないのだろう。何のために私は闘うのだろう。

「…う…」
肩に激痛が走る。竜王の剣に抉られたのだ。けれどその所為で、彼の腹部はがら空きになった。
手の中のナイフを握り直す。
もう何も考えられない。考えたくない。
全てを終わらせたくて私は目を瞑り、それを力いっぱい前へと、突き出していた。
突き出したナイフが腹を抉った、かに見えたが寸前にそれは竜王の剣によって阻まれる。そのまま振り上げられた刃に、
私は思わずナイフを横に払った。腕に走る重い衝撃。
運良く竜王の手元を切りつけたのだ。そう理解した次の瞬間。
「―――っ!」
竜王の手から、剣が外れた。
そのまま無我夢中で飛び掛り、気がついたときには私は竜王に馬乗りとなり、その咽喉元にナイフを突きつけていた。
155ドクオクエスト 決戦 15/17:2006/08/28(月) 02:23:00 ID:x9oiBnru0

「殺せ」
はぁっ、はぁっ、と肩で息をする私に向かって、竜王は事も無げに言い放った。
ぶるぶると震えるナイフの切っ先が今にも咽喉元にめり込もうとしているにもかかわらず、その声音はどこか冷めている。
「殺せ。そのナイフで私の首を切り落とし、国へと帰るがいい。」
まるで死ぬことなどどうでもいいかのように。
「お前は私の屍を越えて、永遠に語り継がれる。もう誰も、お前を蔑んだりなど出来ないぞ」
竜王が、笑う。悪戯をけしかけるようなその笑顔は、私に世界の半分を差し出した時と同じ顔。

ナイフを握る手が迷いに震える。どうして。迷う必要などないはずだ。目の前のこの男は世界を闇にかえそうとしているのだ。
この男は戯れに人々を襲い私の村を滅ぼした。この男の放った魔物に私は犯されたのだ。私の呪われた人生を作り上げたのは、
この男のはずだ。
この男を倒す。そのために私は生きてきた。なのに、どうして。
「その栄光を、掴むがいい」
どうして貴方はそんな目で私を見るのだ。労わりと慈しみに満ちた、そんな目で。
「お前にはその資格がある」
誰にも与えられなかったその言葉を、どうして貴方がくれるのだ。
「――っ」
ナイフを頭上に振り上げる。私をまっすぐに見つめる竜王の瞳から目を離せずに、私はそのナイフを振り下ろした。
156ドクオクエスト 決戦 16/17:2006/08/28(月) 02:26:02 ID:x9oiBnru0

渾身の力を込めて振り下ろしたナイフは、竜王の咽喉元すれすれの石の床に突き刺さった。
「どうした?」
あとほんの数ミリ、僅かな差で自らの命を絶っただろう凶器を竜王は無感動な眼差しで見つめている。
「貴方は…死にたいのか?」
そのあまりにも生に無頓着な姿は何なのだ。掴んだナイフから指を引き剥がすことも忘れて見つめる私に、
竜王は笑ってみせた。
「そうだな。そうかも知れぬ」
どこか諦観を滲ませた空虚な微笑み。
「そうだ…私はもう、飽いたのだ。この世界にただひとりで君臨することに」
力なく呟かれるその言葉は、まるでこの部屋の空気のように虚ろに響いた。

永遠とも言える永い時を、私はひとりで生きてきた。私は闇の中から生まれし者。だから生まれた時から私はすでにひとりだったのだ。
私は常に飢(かつ)えていた。けれども自分が何を欲しているのかまでは判らなかった。
だから、全てを望んだのだ。
刃向かい者を全て滅し、そうして私は魔界を手に入れた。魔界を自らで生み出した魔物で溢れさせ…なのに私は更に飢(かつ)えてしまった。
私の魔物に溢れた世界。けれどそれは私の望んだものでは無かったのだ。
だからこの地に降り立った。光に満ちたこの世界を手に入れれば、私の飢えは止まると思ったからだ。
千年、私はこの地を収めた。
世界を取り戻そうと、人間たちは幾度と無く私に戦いを仕掛けたが、私は彼らを滅ぼさなかった。彼らは弱く滅ぼす価値も無かったから。
取るに足らないか弱き存在。なのに倒されてもなお時を経て再び挑みかかる強さを持ち合わせた不思議な存在。
飢えが満たされる事は無かったが、それでもそんな彼らが必死に足掻く姿は、ほんの少しだけ私を癒した。

「やがて私は待つようになった。」

私の元までたどり着くことの出来る者を。か弱き人間の分際で私に挑む勇者を。

「そうして、お前が現れた。その背に光を負ったお前が」
157ドクオクエスト 決戦 17/17:2006/08/28(月) 02:30:16 ID:x9oiBnru0

「お前があの扉から現れた時の私の気持ちが判るか?
闇に閉ざされていた扉を開いた勇者。その隙間から飛び込んできた忌々しいはずの光に、
私は確かに歓喜したのだ」

竜王の右手が、私へと伸ばされた。その指は私の頬に触れ、そうして私の額の紋章をいとおしげに撫でている。
「そんなお前が私の証を持っていたのは運命だと思った。お前は私のものなのだと。私の為に現れたのだ、と」
美しいサファイア・ブルー。その瞳には恐ろしいほどの孤独の波がさざめいている。
「ようやく私は理解した。私がずっと望んでいたのはお前だったのだと。気の遠くなるような永遠の時を、
私はお前を求めて彷徨っていたのだと」
こんな瞳を、私は見たことがある。
そうだ、覚えている。死を覚悟した、あの夏の夜の湖で。母に似た少女に罵倒され逃げ帰った森の奥で。
覗き込む水面に揺れていたそれは私の瞳。

「――っ」
同じ、なのだ。
醜さから全ての人から疎まれた私と、その強さから全てを自ら遠ざけてしまっていた竜王。
こんなにも何もかもが違うのに、ふたりは同じ孤独を抱えている。
ぽたり、と、竜王の頬に水滴が撥ねた。ひとつ、またひとつと。
それが私の流した涙なのだと理解したのは、竜王がその美しい指でそっと私の右目に触れたから。
その指はあふれ出るものを拭い、けれど次の瞬間ばたりと力なく地面へと落ちた。
「…りゅ…」
「私は、愚かな男だ」
皮肉気に歪められた唇。
「そのような事が叶うはずも無いのにな。知らぬこととは言え、私はお前の村を滅ぼし家族を殺した。
いやたとえそうではなくても、このような魔物の私を受け入れる者などいるはずが無かった」
だから、もういいのだ。と竜王が言う。
「私はお前の仇だ。このようなことでは贖いにもなるまいが私の首を刎ねるがいい。そうして国へと凱旋し、
竜王を倒した本物の勇者として、永遠に語り継がれるがいい」
そうしてせめてこれからのお前の人生が、光り輝いているように。
158ドクオクエスト 決戦 18/17:2006/08/28(月) 02:30:59 ID:x9oiBnru0

まるで祈りのように福音のように囁かれる言葉。その瞳にはもはや孤独の影すら見えず、ただひたすらに私への
慰撫のみに満たされていて…。
「――っ」
ぐらりと世界が揺れる。
私の中に確かにあった何かが崩れていくのがわかる。重い枷のごとく私を縛り付けていた何かから解き放たれていくのがわかる。
震えるてのひらで顔を覆った。
「勇者?」
呼びかける竜王の声。他の誰よりも優しくて、他の誰よりも慈しみに満ちていて、…他の誰よりも、いとおしい声。
(ああ)
ごめんなさい。
ごめんなさい母さん。
愚かな私を、どうか許してください。

…もう私には、このひとを殺すことが、出来ません。
159ドクオクエスト 決戦 19/17:2006/08/28(月) 02:32:52 ID:x9oiBnru0

「どうした勇者よ。私を殺せ。殺さねば、お前は国に帰れまい」
「…もう、いいんだ」
首を横へと振る私を竜王がいぶかしげに見つめる。
「私には、貴方を殺せない」
「何故だ。私はお前の仇だろう」
脳裏に、あの日の村の惨劇が蘇る。殺され貪り食われる村人。母の妹の最期の叫び。
酸の触手に押し開かれ捻りこまれた魔物の凶器。
それは今でも消えない記憶だ。おそらくこの先一生、それは私を苦しめるだろう。
「…それでも」
震える指を竜王へと伸ばす。滑らかな竜王の頬に触れれば、そこはとても温かい。
「こんなにも哀しくて淋しい貴方を、こんなにも私と同じ孤独な貴方を、殺すなんて、出来ない」
先程竜王がしてくれたように、てのひらで頬を撫でてみる。愛おしむように、慈しむように。
「…愚か者が」
私の手に、竜王のてのひらが重ねられる。私を罵る声は、何故かとても甘やかだった。
「国にはもう、戻れぬぞ」
「うん」
「本当にそれで良いのか」
「いいんだ。…それに」
私を竜王の城に送り出した時の王の瞳を思い出す。どこまでも私を侮蔑し利用しようとする獣の目。
「…もし仮に貴方の首を獲ったとしても、私は国には戻れないんだ」
竜王の城を目指した時から、私は半ば覚悟していた。
醜い呪われし者の私を、竜王を倒した勇者として扱うことなど、あの彼らに出来るはずは無いのだ。
竜王を倒しその首を掲げ持ってこの城を出た瞬間、囲んでいた国王の軍隊は私から竜王の首を奪うだろう。
そうしてきっと、私はその場で殺されるに違いない。
そうして奪った首を持ち、私の知らない誰かが勇者となるのだろう。もしくは国王自身が、国を救った英雄として
凱旋するかもしれない。あの日、姫を救った私の手柄を、他の誰かが掠め取ったように。
だがもう、それはどうでもいい事だ。
160ドクオクエスト 決戦 20/17:2006/08/28(月) 02:34:25 ID:x9oiBnru0

「…やはり今からでも、私と共に世界を手に入れるか?」
何かを察した竜王の、冗談と本気が入り混じった提案を、私は苦笑して辞退した。
「いいえ。世界など要らない」
あそこには、私の居場所はもはや無いから。
「なら、何か望みはないのか?」
「え?」
「お前が国を失ったのは私のせいだ。その代わりを私はお前に与えたい。何でも望むものを言うがいい」
「望むものなんて…何にも無いよ」
首を振って、でも次の瞬間湧き上がった想いに、胸が熱くなった。
私の…望み?
ドクンドクンと胸が早鐘を打っている。
「何でも、いいの…か?」
おそるおそる口を開いた私に、竜王は満足げに微笑んだ。
「何でも。私の全てをもって叶えよう」
その言葉に背中を押されて、私は望みを口にする。
「貴方は私から国を奪ったと言うけれど、本当に私は世界なんて要らない。帰りたい国も無い。
それでも貴方が私にそれらの代わりを与えてくれると言うのなら…どうか…」
唇が震えた。

「…貴方が、私の傍にいてください」

貴方の隣に寄り添わせて欲しい。ずっと、ずっと。
161ドクオクエスト 決戦 21/17:2006/08/28(月) 02:35:43 ID:x9oiBnru0

森の中でひとり膝を抱えながら私は、いつもいつも願っていた。
私は私のことを皆に受け入れて欲しかった。私のことを認めてほしかった。そうして愛してほしかった。
でももう、そんなことは望まない。たった一人。目の前のこのひとが私の傍にいてくれるだけで、
私は世界の全てを手に入れたような幸福を得ることが出来るから。

「貴方の生命(いのち)を私にください」
最後は咽喉がかすれて声にならなかった。けれども吐息のようなその言葉を、竜王は確かに受け取ってくれた。
「傍にいよう」
竜王の両手が、私の頬を包み込む。そのてのひらが両頬を、愛しい手つきで優しく撫でる。
「私は、お前のものだ」
頭を引き寄せられる。寄せられる唇。思わず目を閉じた私の額に、温かな感触が触れた。驚いて目を開ければ、
竜王が私の額に口付けを落としているところだった。
「――っ!」
堪えきれずに、私の右目から涙がこぼれ落ちる。
「お前のこの額の証に懸けて」
額の証。私の人生を責め苛んだ呪われし刻印。けれどこの瞬間、それは聖なる祝福の証へと形を変えていく。
「――お前に、永遠の忠誠を」

結ばれた誓い。

私は世界を投げ捨てて、そうして世界(竜王)を手に入れた。
162ドクオクエスト 決戦:2006/08/28(月) 02:39:06 ID:x9oiBnru0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ナガイ…ゴメンナサイ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


17レスじゃなかった…。
本当に申し訳ないです。
実は最終話「輝ける世界」が残っていますが、もしよろしければ28日夜にまた投下させてください。
163風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 02:40:48 ID:SIpdGOOF0
>>162
GJ!
ずっと待っててよかった。・゚・(ノД`)・゚・。
最終話も楽しみに待ってます。
164風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 02:43:05 ID:Tas0iJWD0
>>162
姐さんGJ…!と言うか続きを読ませてくれてありがとう、待ってました!
しかもリアルタイム遭遇嬉しいよ。二人とも愛しいよ…。感動しますた
最終話、wktkしながら待ってます!
165風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 02:43:54 ID:2E6CK4nN0
>>162
以前投下されたものを何度も読み返していたので
続きが読めて嬉しかったです。
166風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 02:48:19 ID:Ky0X5ozsO
この感動をどのAAで表そうか悩みましたが、
どれもしっくりこなかったので省略。

変な裏切りがない分、ストレートに心に響きましたよ……
ドクオ、良かったねドクオ!!
最終話、サブタイからはハッピーエンドの匂いがしますが…?
楽しみにしてます!
167風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 03:20:48 ID:ue7r4PFm0
うあああああああああ(ry
ずっと待ってた、ずっと待ってたよう!
涙でモニターが見えません。マジで。
良かったねドクオ!良かったね!
しかもまだ続きがあるとか……!
楽しみすぎて眠れないんですが…
168風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 03:50:02 ID:NQIbxEWt0
>>162
まさか続きが読めるとは思ってませんでした・・・!
感動しました、姐さん本当にありがとう。
ドクオ、報われてよかったよドクオ・・・
今までの分幸せになってくれドクオ。・゚・(ノД`)・゚・。
最終話もwktkしながら待ってます!
169風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 03:51:34 ID:K4j9z23U0
つ、続きが、ドクオの読めるとは…!最終話お待ちしてます。
wktkしながら待ってる。全裸で。
170風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 06:02:39 ID:/M2eM+5r0
ドクオキタ━━━━━━('A`)(゚∀゚)━━━━━━ !!
続きが待ちきれない…って、28日って今日か!!
待ってます。
171風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 12:34:28 ID:3twBDy3U0
続き書いてくれてありがとうドクオ!
172風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 15:21:59 ID:z0GxcKkR0
待ってました。どうみても素晴らしい物語を有難う御座いました。

>>171
ドクオが書いたみたいにいうなwww
173風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 15:30:02 ID:pG1cND4R0



                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  流れ読まずにお邪魔しまつ。コソーリ不発弾を投下。
                    |  古き良き少女漫画 「友餌が逝く」 から
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  上総×伊織。ゴツい男2人でどうすんの
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ シッテルヒトイルトイイネエ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・;)(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  久々に読み返してたら無駄に萌えたので、需要無視って書きますた。
  拉致られた伊織様と、それを楽しくいたぶる上総君のオハナシ
174上総×伊織 1:2006/08/28(月) 15:30:59 ID:pG1cND4R0

 逞しい両手を後ろ手に、椅子に縛り付けられ、がっくりと首を垂れている男。
 長く艶やかな黒髪がばさりと顔を隠し、小さな荒い呼吸で微かに震えている。

 もうどのくらいここにいるのか。
 時計もなく、闇の中へ蹴り落とされたような孤独感。
 束縛を解こうと身をよじれば、拷問さながらに痛めつけられた体中が悲鳴をあげる。

 どこからか聞こえる、コツコツという足音。
 それはこちらへ近付いてきたかと思うと、ドアの前で止まった。
 開錠の音に続いて、静かに回されるドアノブ。
 ゆっくりと開かれたドアの隙間から、人工的な明かりが細く差し込んでくる。
 足音が部屋に踏み込むとまたドアは閉じられ、もとの静寂と闇が室内を支配した。

 男はゆらりとうなだれていた頭をあげた。
 室内に入ってきた人間は、暗がりではシルエットでしか窺い知れない。
 闇の中で、硬質な金属音が響いた。小さな炎がその人物を浮かび上がらせる。
 咥えたマルボロに火をつけているのは、精悍で鋭い目をした、長身の男。

「……上総」

 上総と呼ばれた男は、今点けたライターの蓋を開けたまま、傍らの机の上にカタンとそれを置いた。
 無表情な瞳が炎を映し、煙草を咥えた口元が歪められている。
175上総×伊織 2:2006/08/28(月) 15:32:15 ID:pG1cND4R0

「貴様には色々聞きたいことがあるんだ。そろそろ言う気になったか?」

 ふーっと自分に向けて白煙を吐き出す男。伊織は眉間に皺を寄せて顔を背けた。
 しかし、その澄んだ眼だけは挑戦的に、上総を睨み付けている。
 乾いた血のこびりついた、形のいい唇が開き、張りのある声が憎憎しげにつぶやいた。

「生憎と、そんなヤワにはできてないんでね」

 その反応に、冷ややかな眼差しが面白そうな色を浮かべた。
 筋張った指が、伊織の顎をくいと持ち上げる。

「元気だな、坊や。あの程度じゃ痛くもないと?」
「……随分と手加減してくれて感謝してるよ」

 ニヤリと痣のつけられた頬を歪ませた伊織。

「足りなければいくらでも……と言いたいところだが。お前みたいな面の皮の厚い奴を殴ると、俺の手も痛いからな」

 上総は独り言のようにぼそぼそと言いながら、また煙を吐き出した。
 ライターの明かり以外は闇に閉ざされた部屋の中で、その煙は白く立ちのぼり、薄紫に染まって空気に溶け込んでゆく。
 その煙を追っていた色素の薄い瞳が、ふっと細められた。

「知ってるか? 簡単に口を割らせる方法がある。軍じゃよく使ってたな」
176上総×伊織 3:2006/08/28(月) 15:33:54 ID:pG1cND4R0

 なんの感情も込められていない、上総の言葉。
 その言葉を理解する暇もなく、彼の手は伊織の股間に伸びた。

「なっ!!」

 驚愕して身を強張らせる伊織。
 しかし、縛りつけられた体はどこにも逃げ場がなく、椅子の足がきしむばかりだ。

「貴様っ、何のつもりだ!」
「わからんのか」

 上総はその手を止めることなく、呆れたように言う。
 その指はジーンズの上から、伊織自身をむんずと掴んだ。

「やめ……ろっ!!」

 声だけは勇ましい伊織だが、その顔は羞恥と嫌悪のあまり、夜目にもわかるほど真っ赤に染まっていた。
 縄に擦れて腕や足首が擦り剥けていくのもかまわず、体を可能な限り動かして逃げようとする。
 そんな伊織を気にも留めず、上総は股間への愛撫を続けた。
 気持ちとは裏腹に荒くなる呼吸。小刻みに息を逃がし、息を止めて唾を飲み込む。
 やがてその部分は隆々とそそり立ち、ジーンズを痛いほど押し上げた。

 邪悪な、としか表現しようのない笑み。
 上総はカチャカチャと金属音を響かせ、伊織のベルトを外すと、ジーンズを器用にずるりと引き下ろした。
 赤黒く怒張したその部分が、ぼんやりとした明かりに浮かび上がる。
 俯き、顔を背ける伊織。その肩は小刻みに震えている。
177上総×伊織 4:2006/08/28(月) 15:34:34 ID:pG1cND4R0

「立派なもんだ」

 上総は吸い終わった煙草を床に吐き捨てると、長身を折り曲げるように、おもむろにしゃがみこむ。
 何を思ったか、彼は椅子に縛り付けていた伊織の両足の縄を解いた。
 身を起こし、今度は胴回りを拘束する縄に手をかける。
 ほどなくして伊織の体は椅子から解放された。
 ただし両腕は相変わらず縄に拘束されたままだ。

 ぐいと襟足を掴まれて立ち上がらされ、目の前の机の上にガン!と上半身を押し付けられる。
 固い机の上にあばら骨を打ちつけ、伊織は低く呻いた。

「……くっ」
「いいざまだな、伊織」

 上総は伊織の後頭部を大きな手で鷲掴みにした。
 伊織の凛々しくなめらかな頬が、ぐいぐいと机に押し付けられて歪む。

「ちく……しょおっ……」

 むき出しの下半身に、触れる空気が冷たい。
 膝下の辺りでだぼつく、中途半端に脱がされたジーンズ。
 両足をばたつかせて抵抗するも、ジーンズが拘束具のようにからみつき、動きを阻む。
 上総は片足をひょいと持ち上げると、素早く伊織の両足の間に踏み込んだ。
 革パンツに包まれた、長くて逞しい上総の右足は楔となり、閉じようとする伊織の足の動きを簡単に阻止する。
 はからずも開かれた、伊織の引き締まって白い尻。
 上総のごつい指が、無意識に力を込めて閉じる双丘を、無遠慮にぐいと押し開いた。
178上総×伊織 5:2006/08/28(月) 15:35:10 ID:pG1cND4R0

「ほぉ……きれいなもんだ。となると、なおのこといい拷問になりそうだな」

 無表情な男がつぶやいた。
 思わず閉じていた眼を開くと、眼の端に、指をゆっくりと舐める上総の姿が映る。
 その指がどう使われるのか思い当たった伊織は、目の前が真っ暗になりそうな絶望を、肌身で感じていた。
 伊織の背中に、覆いかぶさるようにした上総は、耳元でゆっくりと囁いた。

「いつも気取った貴様が、泣いて助けを乞うのが見たいな」

 激しくぶつかり合う、鋭く酷薄な三白眼と、黒く輝く甘やかな瞳。
 犯す者と犯される者は、互いの気持ちを量ろうとするかのように、強く眼を見交わした。
 胸苦しい程の、暫しの沈黙。
 伊織は静かに長い睫毛を伏せると、唇を切れるほど噛み締めた。


179風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 15:38:02 ID:pG1cND4R0


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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 肩幅広すぎる大男同士のレイープって、
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 想像すると怖いよね。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
180風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 21:40:26 ID:Y6k2DvLuO
>162
待ってた!待ってた…!よかったねドクオ…!最終話も楽しみにしてます!貴方が好きだああああ!
181ドクオクエスト 輝ける世界:2006/08/28(月) 22:50:43 ID:x9oiBnru0
お待たせしました。
ドクオクエスト最終話です。


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 | |                | |           ∧_∧ ゲツヨウカラ ザンギョウ トハ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) マサニ ゲドウ!
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |




182ドクオクエスト 輝ける世界 1/4:2006/08/28(月) 22:52:28 ID:x9oiBnru0

国王が派遣した竜王討伐隊は全滅した。

彼の城から生きて戻った者は、誰一人としていなかった。その報は王都へともたらされ、
王は恐怖のあまりにその場で卒倒したという。
この世を統べる存在に弓を引いたのだ。誰もが竜王の怒りを恐れ、門戸を閉ざし。

そうして今。

世界は恐怖に包まれている。
183ドクオクエスト 輝ける世界 2/4:2006/08/28(月) 22:55:25 ID:x9oiBnru0

吹き抜ける風が、生い茂った草を揺らしている。
目の前に広がるのは草の波。10年の歳月は、私の村を跡形もなく消し去ってしまっていた。

「……」
私は、墓を作った。滅びてしまった村の墓だ。
素手で土を掘り返し、そうして積み上げた土の上に木切れで作った十字を立てる。あまりにも粗末な
その墓の周りを出来る限りの花で埋めて、私は死者の魂の安寧を祈った。
そうして取り出した、一本のナイフ。古びてあちこちに錆が浮き刃の欠けこぼれたそれは、
私が辿った旅の証だった。

このナイフを握りしめ、私の旅は始まった。私とともに幾多の試練を乗り越えて、時に私の涙を吸い、
これは最後まで私の傍にあったもの。それを村の墓に供えることで、私の旅はようやく終わりを迎えることが出来る。
汚れた手を払い、立ち上がる。
祈りのために下ろしていたフードを再び被り直して、そうして私は村に別れをつげた。

「もういいのか」

墓から踵を返した私に、美しい声がかかる。
私が行う別れの儀式を、ただ黙って見守ってくれていた彼のその言葉は優しさに溢れていて、
それに満たされていく自分を感じながら、私は静かに頷いた。
「うん。もう…いいんだ」
うまく笑えずにうつむく私を、彼の手が優しく包む。温かな抱擁に、私の右目からはぽろりと一粒だけ、涙が零れた。
「ありがとう、竜王」
そんな私の頭を、フードの上から彼の手が撫でてくれる。かつては世界を握っていた、その手で。
184ドクオクエスト 輝ける世界 3/4:2006/08/28(月) 23:02:02 ID:x9oiBnru0

あの日、私達は誰にも見つからないようひっそりと、城を離れていた。
残された玉座には竜王の魔力を込めた泥人形を置いて。
込めた魔力が続く限り彼はそこにいて、この世界に君臨し続ける。
でもそれはきっと、あまり永い刻ではないだろう。
いずれそんなに遠くない未来に、身代わりの人形は泥へと還っていく。そうして竜王の魔力が解けた
この世界に居場所を無くした魔物達も、闇の世界へと戻っていく。

そうしてやがて、世界は人の手へと還っていく。

竜王の指が、私のフードへと伸びた。
彼は私がこの顔を隠すことをあまり好まない。私の顔が見えないのは嫌だと言う。
その言葉は嬉しかったけれど、私のこの顔はあまりにも特徴がありすぎて、あの戦で死んだはずの私が
生きている事を誰にも知られる訳にはいかないから、私はいつもフードを目深に被っていた。
…それに、彼に素顔を晒す事は、やはりほんの少し、恥ずかしいから。

そんな私の気持ちが判るのか、そのことに関して竜王はあまり無理強いをしなかった。今も彼は私のフードを
取るのでは無く、私の顔を覆う布の端の乱れを、優しい手つきで整えてくれている。
今まで人に構われる事の無かった私は、そんな何気ない優しさに慣れていなかった。竜王の手が私の髪や手や
頬に触れる度に、どうしていいか判らずに私は身体を強張らせてしまう。
竜王の優しさが嬉しくて私も何かを返したいと思うのに、人に触れられるという感触はそのまま自分の身に
降りかかったあらゆる暴力を私に思い出させてしまうからからだ。
10年の間に私に染み込んだ悲しい条件反射をけれど竜王は咎めることはない。今も私の身体の強張りを溶かす
ように何度も優しくその手は動き、私の身体が彼の存在に慣れるまで、辛抱強く待ってくれている。

「…」

震えながらもようやく指を伸ばし竜王の服の端に縋れば、彼は嬉しそうに微笑んでくれる。
そうしてそのまま布越しに施されようとする口付けを、私は受け入れた。恐怖ではなく恥ずかしさに、目を閉じて。
185ドクオクエスト 輝ける世界 4/4:2006/08/28(月) 23:04:20 ID:x9oiBnru0

私の顔には深く醜い疵がある。
左半分は焼け崩れ、額には呪いの証を頂くその姿は、とても、とても、醜いのだろう。
けれど。
水面に顔を映すたびに嘆いてきたこの疵を。硝子に姿が映りこむたびに悲しんできたこの疵を。私はもう恨んだりはしない。
この疵も私の一部なのだから。



「行くぞ」
差し出される竜王の手。いつだって迷い無く伸ばされるその手を、私は眩しい思いで見つめる。
力強いそのてのひらは、かつては全てを握っていた。それらを全て捨て去った今でも、その手の中には確かに世界が握られている。
私という世界が。
「うん」
そうして私も手を伸ばす。温かな竜王のてのひらに。
「行こう」
その手の中に、世界を掴んで。


手を繋いで、私達は歩き出す。
二人でたずねて行く世界は私の目に、どのように映るのだろう。




そう、きっと。




見るもの全てが、光り輝いて見えるに、違いない。
186ドクオクエスト 輝ける世界:2006/08/28(月) 23:07:04 ID:x9oiBnru0


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完結までの長い間、お付き合いいただき、ありがとうございました。
187風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 23:08:13 ID:Wn39+jKC0
>>186
姐さん、本当に有難う…。・゚・(ノД`)・゚・。
188風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 23:08:24 ID:ZPVSSzJT0
>>186
乙でした!
よかったねドクオ
189風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 23:09:55 ID:QJ3CeyyD0
リアルタイム遭遇ktkr
>>186
ありがとうありがとう…
190風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 23:10:48 ID:NQIbxEWt0
>>186
GJ!! 待っていてよかった。
素晴らしかったです、ありがとう。
191風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 23:19:47 ID:j1v1Xbfg0
・゚・(ノД`)・゚・。
よかったなドクオ!姐さんGJ!
192風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 23:22:29 ID:6PACdbfP0
801板のドクオは最終的にしあわせになれるのがいいな…
193風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 23:25:22 ID:+BqGWXcT0
>>186
なんかね、どう考えても神ktkr!! なんだよね
194風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 23:31:55 ID:Y6k2DvLuO
>186
あああああ(´;ω;`)もはや言葉にならない、神よ、ありがとう…!
195風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 23:40:45 ID:ofXV9MTr0
>186
待っていた甲斐がありました
涙でモニターが見えないよ……
GJ以外の言葉が見つからない
ありがとう、ありがとう
196風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 23:42:26 ID:MXZr+I180
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1971/3:2006/08/28(月) 23:43:06 ID:MXZr+I180
ずれまくった…orz

数ヶ月ぶりの一人暮らし。
もともと自分一人が住んでいた部屋なのに、そこに一人加わっただけでかなり違ったのだなと、食事を採り帰宅した男は思った。
日が落ちたとはいえ、日中の熱気がこもったままの部屋にエアコンをつけ、洗濯でもするかと洗濯物の溜まった籠を抱えた時、インターホンの鳴る音が聞こえた。
―――――誰だろうこんな時間に…。
ホールを映すカメラに近づくと、こちらを覗き込むようにする男の顔が見えた。
「?どうしたんだよ、こんな時間に。ってか、まだ帰ってなかったの?」
インターホン越しに男に問うと、問われた男はいつもののんびりした口調と顔で
「うんちょっと、差し入れ」
などと答える。
―――――差し入れ?
いぶかしく思ったものの、特に断る理由もなく、ロックを外した。

しばらくしてノックされた玄関のドアを開けると、そこには長身の日焼けした男が立っていた。
「おつかれ〜」
「ん、うんお疲れ。どうした?」
「いやー奥さんいないからさ、ちゃんと食ってんのかなって。差し入れでもしようかと…」
「ってお前それ、酒じゃん!」
「え?だめ?」
きょとんとした顔で聞き返す長身の男にはもはや笑うしかなく、体をよけて室内へと促した。
1982/3:2006/08/28(月) 23:44:16 ID:MXZr+I180
「酒ってなぁ…まあ明日は試合ないからいいけどさぁ」
そう言いながら受け取った袋をリビングのテーブルに置き長身の男を振り返ると、男は部屋の真ん中に突っ立ってきょろきょろと室内を見回していた。
「あ、あんま見るなよ」
特に見られて困るものがあるわけでもない。
一人になってからも掃除や片付けなどそれなりにしているつもりだ。
しかし、ずっと以前にこの男がこの部屋に足を踏み入れた時とは明らかに室内の雰囲気が違っているはずだ。
殺風景な独身男の部屋から、穏やかな生活感のある部屋へ。
それを男に感じ取られるのが嫌だった。
「ふぅーん…」
「な、なんだよっ」
「んー。いや。…なんか前来た時はもっと広かった気がして。部屋縮んだ?」
「そんなわけな、い…。気のせいだって」
「…そ?」
納得いかない顔のまま、男はスタスタと室内を歩き回り始めた。
「お、おい、ちょっとま、」
多少ストライドの違う男を慌てて追いかけると、男はドアを開け放したままの寝室の入り口に立ち、止まった。
「おい…」
男は何も言わず、リビングの灯りがぼんやりと照らす広いベッドを見つめている。
「ちょ、もうっ」
いたたまれなくなって、入り口に突っ立っている男を押し、ドアを閉めようとした。
その時。
男に触れた手を強い力で握り締められた。
皮膚と筋肉と骨の下にあるはずの心臓が、飛び出たかと思うほどの驚愕。焦燥。…期待。
それを自覚し男の目を見上げた瞬間、唇を奪われた。
1993/3:2006/08/28(月) 23:45:57 ID:MXZr+I180
「んっ、ンンッ」
以前は何度も重なり、しかしここ何ヶ月もの間、重なることのなかった唇。
舌を絡め取られ、息をすることができず苦しさから逃れようと男の胸を押し返そうとするが、反対に体ごと抱きすくめられ寝室に押し込まれる。
ベッドに体が押し付けられたはずみで唇が離れた。
「待っ、やめっ、ッ」
抵抗の言葉を口にするが、再度深く口付けられ、肌が粟立つ。
必死で抵抗する。
腕を、脚をやみくもに振り回したが、男に押さえ込まれる。
―――――やめろ、やめてくれ。
ここでは嫌だ。
妻を何度も抱いた、このベッドでは。
涙を零して、しかし誘うように抵抗する男を、長身の男は押さえつける。
そして、思う。
―――――やめないよ。だってここは、俺の場所だろ?
200風と木の名無しさん:2006/08/28(月) 23:47:07 ID:MXZr+I180
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気にくわなかったらスマソ…。
201風と木の名無しさん:2006/08/29(火) 01:02:29 ID:AWA8w8f40
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  某・二時間サスペンスドラマ 警部×葬儀屋
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  地元でやってたの再放送を見て萌えたんだと。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ カコネツゾウバナシ。
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
2021:2006/08/29(火) 01:04:08 ID:AWA8w8f40

彼は葬儀屋だった。
人の死を扱うその商売を人々は好意を持って見てくれる事は無かったが
彼は戦後まもなく就いたこの職は自分の天職だと誇りを持っていたし、
尊敬できる社長に気のいい同僚、そんな人々が集まるこの会社が好きだった。

そして今日も彼は天職を全うすべく、大きな屋敷の中葬儀の準備のため走り回っていた。

今回の葬儀の主役は、京都中に名前を知られる大変な資産家の男性で
60の大台を超えても祇園で浮世を流す血気盛んな人物だった。

主役の名前に恥じないほどの葬儀をという、親族の見栄もあってか
葬儀社に勤めて15年になる彼の経験でも3本の指に入る豪奢な葬儀だった。
弔問客もかなりの人数が集まっていたが、大半が40〜50代のブランド物のスーツをまとった男と
葬儀には不釣合いな雰囲気を纏った様々な年代の女性。

そして彼が他殺だと報じられたことにより、屋敷周辺にはマスコミと警察が
ごったがえしていた。

遺体を火葬場に運ぶ霊柩車の到着を待っていた彼は
ふと視界に入った若い刑事に声をかけた。
2032:2006/08/29(火) 01:04:41 ID:AWA8w8f40

「刑事さん、あんさん何やってはりますのん?」
「あぁ、葬儀屋さん」

眉をしかめた彼の表情に若い刑事は笑顔を返した。

「そんな顔しないでくださいよ」
「こんな顔してしまいますねん、警察見ると」

東京から京都に赴任したという若い刑事は京都ではめったに聴くことの無い標準語を話していた。

彼はこの若い刑事が嫌いだった。

まず彼は警察が嫌いだった。警察が葬儀にやってくるというのは
混乱しか招かないと彼は思っていたからだ。
仕事の邪魔にしかならない警察が嫌いで仕方が無かった。

更に若い刑事は身長は当時の日本人男性としてはかなり高い180センチ前後、
無駄な贅肉など知らないようなしなやかな筋肉を纏った身体は
この会場の誰よりも値段の安いスーツだろうに、誰よりも高級な物にすら見えてくる。
更にはどこか日本人離れした彫りの深い端正な顔立ちは
彼に今まで女性に不自由をした事が無いだろうと想像させるに十分だった。

身長160センチ台、中肉中背という言葉のサンプルのような
贅肉も無いが筋肉も無い身体を持ち
顔立ちは日本人らしいのっぺり顔に黒縁のめがねをかける彼は
その自分よりも7歳も下の若い刑事にコンプレックスを抱いていた。
2043:2006/08/29(火) 01:05:36 ID:AWA8w8f40

若い刑事はこれでもかと嫌味をぶつけてくる彼に若い刑事は穏やかに笑ってみせる。
その笑顔がまた彼のコンプレックスを刺激するのだ。

女性の心を簡単に溶かすような甘いその笑顔、
年下なのに自分とは比べ物にならない程の寛容さ、
穏やかな物腰の中でも修羅場を潜り抜けてきた男としての強靭さ
それは何度か顔を合わせるときに見せ付けられる彼が一生かけても絶対に持つことの無い武器だった。

「もうすぐ霊柩車が来ますんで、そこおられたら邪魔ですねん」
「あぁ、すぐ行きますよ。でもね葬儀屋さん一つ伺いたいことがあるんです」
「なんでしょなぁ?こんなチビでも刑事さんの力になれますやろか?」
「何を言ってるんですか、小柄な身体であちこちを仕切る彼方にお話があったんですよ」

どんなに嫌味を言っても、穏やかに時には自分を誉める言葉を挟んでくる
若い刑事に彼は困惑してしまう。

「……でなんですのん?話って」
「今回の事件とは関係の無い、個人的な話です」
「個人的ですか?」

彼は更に困惑した。
個人的な話なんてされるほど、この若い刑事と彼は親しくなかった。
葬儀で何度か顔を合わせた事はあるが、刑事が調査を行うような
事件で亡くなった方の葬儀は滅多にあるものではなかったからだ。

しかもよく見れば若い刑事の端正な表情には苦みばしった物が含まれ
どこか追い詰められたような鬼気迫るものが感じられる。
2054:2006/08/29(火) 01:07:33 ID:AWA8w8f40

「彼方は私の事を嫌いですか?」
「…………」

彼はしばらく言葉を失って、思い返せば情けないくらいの間抜け面をさらしていた。
若い刑事の言葉が理解できなかったのだ。
いや言葉の意味くらいは理解できる。しかし何故、という点が多すぎて
彼の頭の中での理解を遅らせたのだ。

何故、彼が、自分に、嫌いですか?なんて、聞くのか?

しかもその時の刑事の顔といったら、まるで…

「な、なにを突然、あんさんなぁ…」
「私は真剣に聞いてますよ」

穏やかな口調ながら、彼が答えるまで絶対に逃さないといった風に
じりじりと刑事は彼との距離をつめた。

蛇ににらまれた蛙とは言わないが、若い刑事に詰め寄られた彼は
その場から一歩も動くことができず、そのまま若い刑事の腕の中に
すっぽりとその中肉中背の身体を収めてしまった。

「私は彼方の事を初めて見たときから、愛らしい方だとおもっていました」
「あ、愛らしい…」

若い刑事の言葉を自分で復唱してみるが、待ったくをもって身に覚えの無い
彼自身が考える限りでは自分という存在からかなり離れた場所にあるその言葉に
困惑は深まるばかりだ。
2065:2006/08/29(火) 01:08:49 ID:AWA8w8f40

「そうでしょう?誰よりも動き回って場を仕切って、仕事に誇りを持っているんだって
胸を張って仕事をしていた」
「………」
「私にはそんな彼方が愛らしくて仕方ないですよ」
「っ、ちょ、あんさんそんな引っ付かんといてくださいよっ」

彼を抱きしめる腕の力がぎゅっとこめられ、若い刑事は彼の首筋に顔を埋めた。
ポマードで撫で付けられた黒い髪が彼の頬を擽る。

若い刑事の言葉に含められた意味に気づかないでいられるほど彼も鈍感ではなかった。
この平凡な葬儀屋にこんな完璧な男が惚れてしまうものなのかと、戸惑いを超えて
人事のように感心してしまった。

「私は彼方に嫌われたくないんです」
「…わては、あんさんの事は……」
「大嫌いでしょう?」

自嘲の笑顔を浮かべる若い刑事は、その笑顔すら絵になる。

本音を先に言われてしまった彼は、そのまま口ごもる。
確かにこの若い刑事のことは嫌いだ。
できれば仕事場で会いたくないし、姿を見たいとも思わない。

「好きになってくれとは言いません、ただ嫌わないで…」
「…………………」
2076:2006/08/29(火) 01:09:25 ID:AWA8w8f40

そんな確固たる感情も、雰囲気に飲まれやすい小市民を地でいく彼の
心の中で揺らぎ始める。

自分のせいでこんなにも完璧な男が弱くなってしまうのか

そう思うと彼は、大嫌いだった若い刑事が年相応の単なる青年にしか見えなくなった。
刑事ではないただの一青年として出会っていたなら彼はきっとこの青年に
今のような感情を抱かなかっただろう。

「……嫌いとは言ってまへん」
「…………」

彼の手は優しく若い刑事の頭をなでた。

「きっとアンタが刑事やなかったら、好きになってたんでっしゃろなぁ」
「………彼方は私が刑事だから嫌いなんですか?」
「やから嫌いとは言ってないって言いましたやろ」

彼の首筋に埋めていた顔を上げる。
若い刑事の驚いたような表情に、彼は声を立てて笑った。

「あんさんもそんな顔できるんですなぁ」
「オモシロイですか?」
「オモロイでっせー、いつものスカした感じがなくてええ顔や」
「彼方がそうやって笑ってくれるなら、何でもしますよ」


でもね

2087:2006/08/29(火) 01:09:57 ID:AWA8w8f40

若い刑事はそれまで見せていた青年らしい表情を急に引っ込め
その彫りの深い整った顔立ちに妖艶な笑みを浮かべた。

「私も随分と貪欲な人間なんですよ。嫌われてないとわかれば今度は好きになってほしくなる」

彼の頬に添えられる若い刑事の長い指先に、彼はぴくんと
身体を揺らした。

「抱きしめるだけじゃ足りなくなる」

妖艶な若い刑事の表情に、不覚にも見惚れてしまった彼は
そのまま彼の顔が近づいてきてもただ目を見開くだけだった。

「ん………」


遠くから聞こえるお経を読み上げる声。
人々の喧騒。

それらは彼らを現実に引き戻す力を持ってはいなかった。

霊柩車のクラクションが鳴るまで彼は若い刑事のなすがままだった。
2098:2006/08/29(火) 01:10:28 ID:AWA8w8f40




それから数十年後



「カリヤはん、またあんさんでっか!?」
「あぁ、アキヤマさんまたお会いしましたね」
「アキヤマさん、葬儀の準備はどうしたのよ?」

そこはやっぱり葬儀会場。
そしてやっぱり主役は他殺だった。

年齢を重ねてもやはり彼は一葬儀屋として同じ会社で働いていた。
頭の大半は白髪が混じった彼だが、ロマンスグレーという言葉とは程遠い
相変わらずの中肉中背、のっぺりとした顔に黒縁眼鏡と昔と変わらぬ風貌だった。
しかし最近では『一級葬祭でれくたー』なる資格も獲得し、
葬儀の現場を仕切る会社には無くてはならない存在になっていた。

そして最近、彼の悩みの種となっているのが先代の後を継いで
彼の勤める「イシハラ葬儀社」の社長となった、先代の娘アキコだった。

アキコは何かと不思議な殺人事件に巻き込まれ、更にはその事件を
天性の好奇心と直感、想像力を持って解決に導いてしまう。
それがアキコの探偵心に火をつけてしまうのか、今日も今日とて準備で忙しいこの
葬儀会場の中から姿をくらましてしまったのだ。

社長なら社長らしく、推理じゃなくて会社の繁栄のために頭を使ってほしいと
彼は常々嘆いていた。
2109:2006/08/29(火) 01:12:10 ID:AWA8w8f40

「どうしたの?やありまへんわアキコさん!!!皆が準備でてんてこ舞いしてる時に
あんさんはもー」
「ゴメン、ゴメンアキヤマさんそんなに怒ってると寿命縮んじゃうわよ」
「やったら、探偵ごっこはやめて仕事に専念してください!!」
「はいはいはいはい、じゃあカリヤさん、また」
「えぇ、また」
「はい、は一回で十分です!!」

彼は小走りでその場を立ち去るアキコにそう叫んだ。

「まったくカリヤはんも、あんまり社長を焚き付けんでくださいよ」
「すいませんね、葬儀場でアキコさんをみかけるとつい声をかけてしまう」
「適いませんわ、ホンマに。警察も素人に口出されて悔しくないんですか?」
「いや、彼女の推理力はたいしたものですよ」
「それ、絶対にアキコさんの前では言わんでくださいよ調子にのってまうわ」

やれやれと彼はため息をつく。
カリヤと呼ばれた刑事は、穏やかに笑った。
年は50を越えているが、警部と呼ばれる地位に就くその刑事は
50代としてはかなり立派な体躯を持ち、年齢を重ね熟成された
ロマンスグレーという言葉にとても近い男だった。

「私としてはアキコさんに会えるというのは嬉しい事なんですがね」
「やから、素人の知恵をプロが借りようなんてそんな情けない事いいなさんな
私らが払ってる税金で、あんたらの給料賄ってるんやから」
「そう言われると、困りますね」

そういう刑事だが、言葉とは裏腹に顔に浮かべるのはやさしい笑顔だった。
21110:2006/08/29(火) 01:12:54 ID:AWA8w8f40

「でも、アキコさんに会えるという事は彼方にも会えるチャンスという事になりますからね」
「んなぁ!!」
「昔の事で全て終わらせる気なんですか?アキヤマさん」
「…………こ、こんな場所で突然そんなこと…」
「じゃあ今度またゆっくりと二人で会いましょう。彼方の好きな祇園の『魁淵』を予約しますから」

『魁淵(かいえん)』というのは彼のお気に入りの料亭だった。
値段はかなり張るが、その分味雰囲気、接客どれを取っても合格点だった。

「今は仕事中ですさかいに、約束なんてしてる場合じゃないんです!」
「変わりませんね、言い訳も。何十年もそれで私から逃れようとするんだから」
「アンタと私は最近知り合ったんです。アキコはんを通じて」
「わかってますよ。アキコさんの前ではちゃんと隠してるじゃないですか」
「あんさんはどうにも信用なりませんねや」

そういうと彼は瞬く間に顔を赤くした。
どうやら刑事を信用できない理由となった、このカリヤの数十年にわたる所業を
思い出してのことらしい。

「何を思い出されたんですか?」
「な、なにもおまへん!!ささっ、あんさんも仕事中でっしゃろ?仕事に戻りなはれ」

意地の悪い刑事の言葉に彼はもう顔も見たくないという風に
しっしと手を振って、職場に戻るように刑事に促した。
21211:2006/08/29(火) 01:13:26 ID:AWA8w8f40

「わかりましたよ、ではまた。アキヤマさん」
「ふん」

刑事は数十年前と変わらず穏やかな笑顔を彼に向けて去っていく。
彼は数十年前と変わらず真っ赤な顔をあさっての方向に向けて
気の無いそぶりを演じている。


三つ子の魂百まで。

カリヤはそんな言葉を思い出して、小さく噴出した。




その夜、最近やっと操作方法を覚えた彼の携帯電話にカリヤからの
着信があったのだった。
213風と木の名無しさん:2006/08/29(火) 01:14:50 ID:AWA8w8f40

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 長い上に、ニセ京都弁でスマソ。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  ツンデレジジイ萌え。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

ドラマの口調を思い出しながら書いたんですが、
全然違うよ、ママン・・・orz
214風と木の名無しさん:2006/08/29(火) 01:17:59 ID:qE2+1ZjzO
リアルタイムキター(゜∀゜)!!
職人さん乙です!
215風と木の名無しさん:2006/08/29(火) 01:19:07 ID:4hTxgpuy0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  テロ朝ドラマ相某、2ndシーズン衝撃の18話から
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 何故かウキョウさん視点らしい 
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ウホッ!!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2161/4:2006/08/29(火) 01:19:40 ID:4hTxgpuy0
この辺りで本題を切り出させるべきか。
椙下卯京は珍しく逡巡していた。延々と続く大高知監察官の前口上を耳半分に聞きながら、
淹れたてのアッサムを一口啜る。迷っているなと思った。
沈黙と嘘は習い性といった手合いがやけに饒舌な時は、決まって切り出し難い話題を抱えているものだ。
しかし上層部が自分のことをどう思っているかなどお互いどうでもいいことに違いないし、
元々気の短い瓶山は、勿体ぶった物言いにそろそろ苛立ちを見え隠れさせ始めている。
「御用件は何でしょうか?」
そう切り出してやると、待ち構えていたように瓶山が賛同する。やはりあの辺りが彼の限界らしい。
人一倍の忍耐力を要求される捜査官にしては、些か短か過ぎはしないだろうか。
ともあれ、用向きが懲戒の類でなければ、事件の調査だろう。監察官と事件、思い当たる節は一つ。
大高知はなおも躊躇しているようだったが、野次馬たちが渋々持ち場へ戻るのを見届けると、おもむろに口を開いた。
「あなた方の力を、貸して貰いたい」
「俺達のですか?」
「そう申し上げています」
個人的に、ですか。尋ねると、背後で頷く気配と共に一瞬、甘い匂いを嗅いだ気がした。
何か遠い記憶を引っ掻くような、そんな香りだった。
2172/4:2006/08/29(火) 01:20:14 ID:4hTxgpuy0
「本当に、我々は本当に真相にたどり着いたのでしょうか」
真相は明らかになったという瓶山の言葉に、あれから考え続けていた疑問が、ふと口をついた。

数時間前、港監察官の自宅で、妻京子の遺体を発見した直後のことだった。
現場検証が始まり、俄に慌ただしい雰囲気となったマンションの中、
大高知の姿が見えないことにふと気が付いた。
不審に思って探してみると、目当ての人物は部屋の外に居た。
手入れの行き届いたベランダの片隅に立ち、しきりに薬瓶を振っている。
錠剤を取り出すことが出来ないのはその手が激しく震えている所為だ。
薬物の常用による中毒症状か。いや、あれは……
(―――涙?)
大高知は声を殺して泣いていた。気配に気付いて振り返る。
放心したようにこちらを見つめ返す目に、いつもの強さはなかった。涙が一筋頬を濡らして顎を伝う。
常には抑制の効いた、理知そのもののような男の柔らかな部分へ不用意に触れてしまったようで、
驚きとともに奇妙な罪悪感を覚えた。何故だか目が離せなかった。
気まずいところを見られたと思ったのか、彼はつと顔を背け、前方に視線を逃がした。

まるで世界の終りでも見てきたような顔をしていた。
鉄壁の監察官をあれほどまでに憔悴させたものの正体を、ずっと考えていた。
はかり知れない喪失感と罪悪感がない交ぜになった、そんな表情だった。あれは、まるで……。
そう考えかけたとき、何か得心が行ったような気がした。
閃きを軸に、これまで捉えどころのなかった幾つかの情報が全て納得のゆく形にまとまった。
到底根拠とは呼べないような理屈を根拠に捜査を依頼してきた大高知。
”不倫相手”との肉体関係を拒んでいた港。
公園で聞いた台詞がプレイバックする。そういうことだったのか。
2183/4:2006/08/29(火) 01:20:46 ID:4hTxgpuy0
「いやぁ参った、まさかラムネとはねぇ……」
講堂からの帰り道、瓶山は些か大袈裟に感心しながら一人で頷いている。
あの場面でいきなり“薬”の話題を振ったのは瓶山なりの気遣いなのかも知れないが、
一見ただの無神経にしか見えないのが彼の凄いところだ。
おかげであの甘い匂いの正体にもすっきりと合点がいった。

それにしても、と思う。
どれ程悲惨な事件を潜ってきても、瓶山のおおらかさは不思議と変わることがない。
そのことにいつも、少しだけ救われるような気がするのだ。
変わらないものも確かに存在する。三歩先を歩く広い背中に視線を遣る。
彼の存在そのものが、解けない謎といっていいかも知れない。
人生は不毛だと思う程生きることに倦んでいないのは、
歳の割に少しばかり無邪気過ぎる相棒のお蔭と言えなくもなかった。
「瓶山君」
「はい?」
「君は、いい男ですねえ」
「ええ、そりゃあもう…って、ななな何言っちゃってるんですか卯京さんそんないきなり!」
別段おかしなことを言ったつもりはないが、瓶山は素頓狂な声を上げて大騒ぎしている。
尤も彼のリアクションは七割方こんな風なので、余程のことがない限りはあまり気に留めないことにしている。
エントランスを抜けると、二月の風が刺すように冷たく吹き抜けていった。
2194/4:2006/08/29(火) 01:21:18 ID:4hTxgpuy0
抜けない棘のような余韻を残して、事件は一応の決着を見た。
結局のところ、港徹郎がどんな思いで自殺を図ったのか、その真意を他人に推し量ることは出来ない。
ただ真相を語るでもなく、自分が殺したと名乗り出るでもなく、死して永久に口を噤むことを選んだのは、
個人的には大高知の立場を守る為だったのではないかという気がする。
今回の事件の真相が、大高知の将来を抹殺するだけの威力をもっていることは間違いなく、
当然、港もその事実を理解していたことだろう。
そうして彼は、想う男のためにひとを欺き、自らを殺め、ことの真相さえも葬ろうとした。
二人の女性を騙し続け、結果的にその生命をも奪う事件の発端となった彼の行為は断じて許されるものではないが、
命をかけて人を思う気持ちを悪と断罪することが出来る程傲慢ではないつもりだ。
ただあまりに身勝手で、悲しいほど人間的だと思う。
内へ内へと秘め続けられた感情の烈しさに、愛情の暗く破壊的な側面を垣間見た気がした。

去る者は日々疎くなると言うが、喪失の痛みは記憶の奥深くに根を張り、決して消え去ることはない。
心に負った傷は古くはなっても、それが傷でなくなる日は来ないのだ。
港は自らの命をもって恋人の未来を贖い、大高知は一生その事実を背負っていくのだろう。
変わり果てた腹心の姿に、彼は何を思うのか。
このような形でしか表すことの叶わなかった想いの深さを、その巡り合わせをただ痛ましいと思った。

220風と木の名無しさん:2006/08/29(火) 01:21:50 ID:4hTxgpuy0
____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 昼に撮った再放送見てたら妙な勢いがついてしまい、つい書いてしまった…  
 | |                | |     ピッ   (・∀・;) ゚見た人以外には訳わからん不親切設計でゴメン
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | …ちなみにラムネは未亡人でいて欲しい派です
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
221風と木の名無しさん:2006/08/29(火) 02:06:49 ID:RYkdiyr20
>>215
萌えました。
ウキョウさん語りだと何だか新鮮だ。

>>201
ちょwww
次からあの2人をまともな目で見れないじゃないか。
萌えたけど。
222風と木の名無しさん:2006/08/29(火) 02:20:27 ID:0fJCSKnC0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  変人スレの影響でデンデンの人達だモナー。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  これ、萌えないかも・・・
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ナニソレ?
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
223月と太陽1:2006/08/29(火) 02:21:28 ID:0fJCSKnC0
なぁツンゴ。
お前は知っているだろうか?
俺は傍からみれば異常者扱いされる程お前の事が好きで、
いつか、傍からみれば異常者扱いされる程お前が好きな俺は
自分の欲求を抑える為に自分を殺してしまうかもしれないなんて思っていることを。
そして、愛しいお前が望むのであれば、
俺の未来を渡すことも、この身を切り刻んで差し出すことも、自分の肉親を殺すことだって
何の躊躇もなくやってのけるだろう。
俺があげられるものなら、なんだってお前にあげるよ。
お前がそれを望むなら。

 仕事帰り。
ツンゴの後姿を見ていて、その細く綺麗なうなじを見ていて、俺は思わず腕を伸ばす。
「どうしたの?アチャソ」
なんて可愛く振り返るなよ。
いつものコンビニの前なのにも関わらず、俺はツンゴを強引に抱き寄せる。
細く綺麗な首をキツく絞めあげるはずだったその腕を、今日は愛しいツンゴを抱きしめる為に使う。
そして、俺はまだ大丈夫だ、と少し安心する。
大丈夫。俺はまともだ。

224月と太陽2:2006/08/29(火) 02:21:59 ID:0fJCSKnC0
 なぁツンゴ。
お前は知っているだろうか?
俺はお前と出会うまで世界を敵だと思っていた。
俺 対 世界。
俺の味方は俺だけで、それ以外は全て敵だと思っていた。
いつからそう思い始めたのかは覚えていない。
でも、別に俺はそれでも良かった。
世界というやつに自分が組み込まれて、俺が俺でなくなるくらいなら
俺は俺である為に世界から独立している方がよっぽどましだろ?
孤独とか、寂しさとか、一般的で常識的なそんな感情にさえも負けることが嫌だった。
お前と、出会うまでは。

 俺の部屋。
ネタ作りをしよう、とツンゴを呼ぶとまるで犬みたいに尻尾を振って俺の部屋に来た。
「プリン買ってきた!あとで一緒に食べよう」
なんて可愛くコンビニの袋を差し出すなよ。
玄関にも関わらず、俺はツンゴに強引にキスをする。
プリンみたいに柔らかい唇を噛み千切るはずだったその口を、今日は愛しいツンゴを楽しむ為に使う。
そして、俺はまだ大丈夫だ、と少し安心する。
大丈夫。俺はまともだ。

225月と太陽3:2006/08/29(火) 02:22:45 ID:0fJCSKnC0
 なぁツンゴ、
お前は知っているだろうか?
俺はお前を太陽だと思っている。そして、俺は自分を月だと思っている。
太陽であるお前の光を使って、ようやく姿を現す光を放たない俺。
お前がいなきゃ、その存在すら知られない、ただの塊。実を言うと俺はこんな関係を気に入っている。
始めてあったその時に、思ったんだ。
あぁ、今、俺の目の前に太陽がいる、と。
そして一つの可能性を思いついたんだ。
お前のその眩しすぎる光に照らされれば、こんな俺だってきっと輝きを持てる。
時折影を落とすけど、それはいつまでも続くわけじゃない。
気がつけばほんのり明かりを持ち、お前と同じ丸い姿を現わすんだ。
そんな俺達の姿を、お前のキラキラ光る瞳の中に見たんだよ。

 ベットの上。
俺のモノを一生懸命咥えているツンゴをみて、頭を撫でていた手をそっと離す。
「アチャソ、気持ちイイ?」
なんて可愛く頬を染めるなよ。
モノを噛み切らせる為に口を閉じさせるはずだったその手を、今日は愛しいツンゴの頬に触れる為に使う。
そして、俺はまだ大丈夫だ、と少し安心する。
大丈夫。俺はまともだ。
226月と太陽4:2006/08/29(火) 02:23:20 ID:0fJCSKnC0

 ツンゴ。
俺はお前がいて本当に良かったと思う。
俺はきっとお前と出会う為にこの世界に産み落とされたんだ。
 ツンゴ。
お前がいない世界なんて考えられないよ。
お前がいるから、俺の世界は成り立っているんだよ。
 ツンゴ。
 ツンゴ。
 ツンゴ・・・。

 
 少しして、俺は俺の太陽に欲望を放つ。
俺の太陽を、自らの身勝手な欲望で汚す。
白く、透き通った肌に、白く、汚れた欲望を。
そして、ツンゴははにかんで恥ずかしそうに笑う。
「アチャソ、大好きだよ。」
「俺もだよ、ツンゴ。」
愛の言葉は決して途切れることはない。俺達は一生離れることはない。
だって俺達は、この世界という宇宙に産み落とされた、月と太陽だから。



227月と太陽5:2006/08/29(火) 02:25:43 ID:0fJCSKnC0



でも。
ツンゴは知らない。
俺はいつかきっとお前を殺してしまうだろう。
お前をどこにも、誰にも、何にも奪われないように。
重く、冷たい、死と言う枷をお前に与えてしまうだろう。
本当に、俺だけのものにする為に。
綺麗なお前が腐っていくのを、ずっと見ていよう。
だんだん体の体温が下がり、身は腐り、蛆が湧き、肉が朽ち果て、大地に返る。
そう。ツンゴ、お前は大地に返るんだ。
そうすればきっと、俺はこの世界を愛せるだろう。
世界の一部となったお前を、世界ごと愛するんだ。
なあ、いい考えだろ?そう思わないか?ツンゴ。

大丈夫。
俺はまともだ。
228風と木の名無しさん:2006/08/29(火) 02:26:53 ID:0fJCSKnC0
 ____________
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒドイネ、コレハヒドイネ。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  デモヘンジンアチャソガスキサ!
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
229風と木の名無しさん:2006/08/29(火) 08:20:38 ID:oCMBsBSK0
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) グッジョブ!!
フ     /ヽ ヽ_//
自分もヘンジンアチャソが好きさ!
萌えたよ姐さん
230風と木の名無しさん:2006/08/29(火) 15:11:43 ID:JrxfdXL10
>>196
ヒントだけでも!!
全然ワカラヌ!!
231風と木の名無しさん:2006/08/29(火) 17:33:50 ID:YI4XApUiO
GJ!変人アチャソ(・∀・)イイ!
232風と木の名無しさん:2006/08/29(火) 18:42:52 ID:5MpiZA2vO
>>230
九州のチームの右腕×左腕じゃね?
木公土反世代の。
233風と木の名無しさん:2006/08/29(火) 18:46:58 ID:9F6RZBQ+0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  >>112の続き 残り17レス分
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  マイナなのに長くてスマソ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ヤリスギダッツーノ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
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元ネタご存じの方がいて嬉しい。>>133共に萌えてくださいハァハァ
なお29レス目から微妙に女×男エロが入るので見たくない方はスルーで
234GO/SICK 警部×一弥 17:2006/08/29(火) 18:48:05 ID:9F6RZBQ+0
 ホテルの窓の外から、村の喧噪が聞こえる。笑いさざめく少女達の声。物売り達の大きな呼び込みの声。
普段と変わらない日常の光景がそこにあった。いつもなら一弥もその喧噪の中を、迫りつつある夕暮れの
気配に足を速めながら通り抜けて行っただろう。手には、図書館塔の奥にいる少女の為に買った、
甘いお菓子を沢山持って…。
(今度は、何を買っていこうか…。この間の苺のケーキは気に入ってもらえたみたいだったけど…)
「…う……んぐ………っう…」
 ブロワ警部の長く太い性器を小さな口一杯に含みながら、一弥はぼんやりと物思いに耽っていた。
何か他の事でも考えていないと、この状況に耐えられそうになかったからだ。
 一弥の中で欲望を吐き出したブロワ警部は、秘部から性器を引き抜くと、それを口で愛撫する事を
一弥に要求した。当然一弥は拒絶したが、ブロワ警部は
『安心したまえ、さっきちゃんと洗っておいたからきれいだ』
と的外れな主張をし、要求を取り下げる事はしなかった。
『いや、さっき洗ったって、その後僕の肛門に入れてちゃ全然きれいじゃないですよ』
という一弥の尤もな反論も
『君の身体に汚いところなんかない』
などという訳の分からない理由で一切受け入れられず、結局ブロワ警部に押し切られてしまった。
元より、ブロワ警部のどんな要求も、ベッドにくくりつけられた今の一弥には拒む術はなかったのだが。
 後で死ぬほど口を濯ごう、と一弥は心に誓った。
235GO/SICK 警部×一弥 18:2006/08/29(火) 18:49:35 ID:9F6RZBQ+0
「いいぞ、いいぞ久城くん…もう少し口をすぼめて、舌を先端に絡めて…」
「…う……ぅむ……んん…っ」
「…っ…そうそう、良い子だ…」
 一弥の黒い髪を撫で、続けるように促す。
一弥は早くこの責め苦を終わらせたくて、ただひたすらブロワ警部の言いなりになっていた。
「そのまま続けたまえ」
 一言声をかけると、ブロワ警部は一弥の頭を押さえ付けたまま、ゆっくりと腰を前後に動かし始めた。
「んむーっ!!」
 喉の奥を先端で突かれる苦しさに、一弥がくぐもった悲鳴を上げたが、ブロワ警部は構わずにピッチを上げる。
「久城くん…久城くん…出る、出るぞ!」
「んーっ!!」
 ドクンとブロワ警部の性器が生臭い欲望を一弥の口の中に勢い良くぶち撒けた。
「…う…っ……ぐぅ……」
 ブロワ警部は更に2度・3度と激しく腰を揺すり、白濁の欲望を残らず一弥の口に送り込む。
「う…っうう…うー…っ」
「全部飲みたまえ」
 一弥は吐き気を堪えながら、ねっとりとしたブロワ警部の精液を全て飲み込んだ。
ブロワ警部の性器が口から抜き出されると、一弥はゲホゲホと咳き込んだ。
「ちゃんと、舐めてきれいにしたまえ」
 一弥は促されるままにブロワ警部の性器についた精液を、残らず丁寧に舐め取った。
口の回りを精液で汚し、子犬のようにブロワ警部の性器を舐める一弥。
それを眺めているうちに、またブロワ警部の性器が頭をもたげて来る。
236GO/SICK 警部×一弥 19:2006/08/29(火) 18:50:41 ID:9F6RZBQ+0
「よしよし、良い子だったな」
 ブロワ警部は一弥の両手を拘束していたネクタイをようやく解いた。一弥はその場でぐったりとくずおれる。
(これで終わって欲しい…)
 だが、また勢いを取り戻しているブロワ警部の性器が、その期待が空しいことを一弥に知らしめていた。
「まだ休むのは早いぞ、一弥」
(やっぱり…)
 腕を引っ張られ、無理矢理身体を起こされる。呼び方が「久城くん」から「一弥」に変わっていることに、
一弥は気づかなかった。
 一弥はベッドの上で四つん這いになるよう強要された。逆らう気力は残っていなかったので、
一弥はブロワ警部の言うとおりにする。
「一弥、入れるぞ…」
 ブロワ警部は後から一弥の腰を掴むと、そのまま一気に奥まで蹂躙した。
「う、あぁぁ…ッ!」
 一度達しているのと、今の口淫で、一弥も身体が敏感になっている。
今度はスムーズにブロワ警部を受け入れ、更にギュッと締めつけた。
一弥の意志に関わりなく、一弥の身体はブロワ警部の陵辱行為に快感を見出しつつあった。
 ブロワ警部は腰を前後に滑らせ、リズミカルに一弥の腰に打ち付け始めた。
「あ、あ、あ、あっ……!」
 ブロワ警部の動きに合わせて一弥の口から嬌声が洩れる。その声には苦痛以外の甘さも僅かに混じり
始めていた。
237GO/SICK 警部×一弥 20:2006/08/29(火) 18:51:43 ID:9F6RZBQ+0
 先ほど中で出されたものが、ブロワ警部が出入りする度にぐちゅぐちゅといやらしく水音を立て、
ベッドの軋む音と共に一弥の耳を犯す。一弥は懸命に両腕を突っ張らせてブロワ警部の動きに耐えていた。
「一弥、君のここ、ぐちゅぐちゅいってるな…」
 ブロワ警部が、腰を揺らしながら一弥の耳元で囁く。
「何の音か、私に教えてくれないか? ん?」
「わ………分かりません……っ……あ!? あああっ!」
 ブロワ警部は急に腰の動きを速め、一弥を責め立てた。
「秀才の君が、分からないということはないだろう?」
「ひっ…」
「真面目に答えたまえ。さあ、何の音だね?」
「ああ…っ…け、警部の…」
「私の、何だね?」
「せ…精…液…です…うあ…っ…あ、あっ…」
「正解だ…。ご褒美をやらないといけないな」
「あッ!!」
 ブロワ警部が律動を速め、更に一弥を責め立てる。パンパンと肌のぶつかり合う音が一弥の羞恥心を一層煽った。
「ああッ! あ、あ、あぁ…あーッ!」
「ご褒美に、また中で出してやろう」
「も、もう、やだ…っ」
 後から突き上げられながら、一弥はとうとう泣き出してしまった。
腕から力が抜け、上半身がベッドに崩れ落ちる。手が白くなるほどの力でシーツを握りしめ、一弥は嗚咽を漏らした。
238GO/SICK 警部×一弥 21:2006/08/29(火) 18:53:20 ID:9F6RZBQ+0
「一弥…?」
 ブロワ警部は律動を緩め、不安げに一弥の顔を覗き込む。
「な…泣いているのか…?」
「う…っ…うう〜っ!」
 後から後から、一弥の目に涙が浮かんでは頬を滑っていく。子供のようにわんわん泣きじゃくる一弥に、
ブロワ警部は目に見えて狼狽えた。
慌てて一弥の中から抜け出し、一弥を抱きかかえるように起き上がらせる。
「な、泣くな久城くん。わ、悪かった。私が調子に乗りすぎた。謝る。だからもう泣かないでくれ…!」
「う…う〜!」
 一弥はしゃくり上げながら、ブロワ警部の胸板をぽかぽかと殴る。
「悪かった、泣かせるつもりはなかったんだ…!」
「ひ、ひどいですよ警部。許しません…ぼくは怒ってるんですよ!?」
「分かった、もうしない。ひどい事はもうしないから…」
「……本当ですか?」
 一弥は上目遣いにじろっとブロワ警部を睨み付けた。するとブロワ警部はなぜか顔を赤らめて一弥の顔
から軽く目をそらす。
「あ〜、久城くん。そういう男心をくすぐる仕草はちょっと…」
239GO/SICK 警部×一弥 22:2006/08/29(火) 18:54:06 ID:9F6RZBQ+0
「何をブツブツ言ってるんですか!?」
「いや、何でもない」
 ブロワ警部は慌てて一弥を抱きしめて誤魔化した。一弥はビクッと肩を震わせたが、ブロワ警部が
それ以上おかしな事をしてくる気配はなかったので、少しずつ身体の力を緩めていった。
ブロワ警部は幼い子供をあやすように、ぽんぽんと一弥の背中を叩いていた。
「…久城くん、落ち着いたかね…?」
「……少し……」
 一弥は鼻水をすすり上げた。
「今更信じてもらえないかもしれないが」
 ブロワ警部は一弥の頬に手をあて、涙の跡をぬぐいながら言った。
「本当に君が好きなんだ、久城くん。妹に渡せないくらいに、君のことが」
「…ぼくの一番大事な人は、あなたの妹のヴィクトリカです」
 一弥はブロワ警部の目をまっすぐ見つめ返して言った。
「警部、あなたじゃない」
「そうか…」
 ブロワ警部は大きく溜息を吐いた。
「…本当は、分かっていたんですよね?」
「それでも、君が欲しかった」
「…ごめんなさい…」
「君の謝る事じゃない」
240GO/SICK 警部×一弥 23:2006/08/29(火) 18:55:18 ID:9F6RZBQ+0
 ブロワ警部は一弥の髪を撫でながら、
「ところで、それ、どうする?」
「あ…」
 ブロワ警部の視線の先には腹にくっつきそうな程に立ち上がった一弥の性器があった。
一弥が頬を真っ赤に染めて慌てて目を逸らすと、ブロワ警部の猛ったまま性器が視界に入ってきた。
「…一人でも処理出来るだろう? ここのバスルームは鍵がかかるから心配は無用だ。そこでしてきなさ…」
「いいですよ、しても…続き…」
 一弥は俯いたまま、ブロワ警部の言葉を遮った。
 ブロワ警部は大きく目を見開いて一弥をまじまじと見つめる。
「…何を言っているのか分かっているのか、久城くん?」
「はい。どうしたんですか、警部。したくないんですか?」
「いや、もちろんそれは願ったり叶ったりだが…なぜそんな気になったんだ?」
「警部も、辛そうだし…」
 一弥の視線の先に、ビクビクと脈打つブロワ警部の性器がそそり立っていた。
「それだけの理由かね?」
 一弥はコクリと頷いた。
「警部も辛いのに、ぼくの事を気遣ってくれましたよね。警部のそういうところ、嫌いじゃありませんから」
「…いいのか?」
「よくないですけど、いいです」
「言っていることが無茶苦茶だよ、久城くん」
 ブロワ警部は思わず苦笑した。
241GO/SICK 警部×一弥 24:2006/08/29(火) 18:56:28 ID:9F6RZBQ+0
「その代わり、優しくして下さい。ぼくはこういうの初めてなんですから」
「わ、分かった。ひどいことはしない、優しくする…!」
 ブロワ警部は一弥を思いきり抱きしめると、向かい合わせに膝の上に抱き上げた。柔らかく、いたわるようなキスをして、舌を絡める。今度は一弥もおずおずと舌を動かしてブロワ警部に応えた。一弥の反応が嬉しくて、ブロワ警部は夢中で一弥の口内を堪能する。
 ブロワ警部は一旦キスを解くと一弥の腰を抱え上げ、己の性器の上にそっと降ろした。秘部に性器が触れると、一弥の身体がピクリと反応した。
「いいか…? 久城くん」
 一弥は返事の代わりにブロワ警部の首にぎゅっと縋り付いた。ブロワ警部は抱えた一弥の腰をゆっくりと降ろす。そそり立ったブロワ警部の屹立が、一弥の秘部に呑み込まれて行く。
「う……んん…っ」
 ぞくり、と背筋を駆け上る感覚に一弥の身体が震えた。ブロワ警部の首へ縋り付く手に力がこもる。
 一弥が落ち着くのを見計らって、ブロワ警部は腰の律動を開始した。
「あっ…んん…」
 ブロワ警部は一弥を揺すり上げながらキスをした。一弥のくぐもったあえぎ声にはっきりと甘い響きが混じっていて、ブロワ警部を安堵させた。
242GO/SICK 警部×一弥 25:2006/08/29(火) 18:58:48 ID:9F6RZBQ+0
「一弥…」
 キスを解いて、大きく突き上げた。
「あ…っ!」
「一弥っ!」
「ああっ!」
 ブロワ警部に名前を呼ばれるたびに、一弥は無意識にブロワ警部を締めつける。
「け、警部…」
「グレヴィール、と呼びたまえ」
「グ…グレヴィールさん…ぼ、ぼく…もう…っ!」
 一弥はガクガクと震えながらブロワ警部にしがみついた。
「一弥…っ!」
 ブロワ警部は最後の突き上げを始めた。
「あっ…あああーッ!」
 激しく揺さぶられながら、一弥が達した。ブロワ警部の引き締まった腹に、一弥の放った飛沫がかかる。
「一弥っ…!」
「う…ああ…っ」
 遅れてブロワ警部が一弥の中に精を放った。一弥はビクビクと痙攣したように身体を跳ねさせながら、
それを身体の奥で受け止め、意識を手放した。
243GO/SICK 警部×一弥 26:2006/08/29(火) 19:00:09 ID:9F6RZBQ+0
「…何見てるんですか?」
 一弥は目の前のステーキと格闘する手を止め、ブロワ警部を睨んだ。
「いや、別に」
 バスローブ姿の警部は素知らぬ顔で手に持ったワイングラスをくゆらせている。
 ルームサービスで好きなものを頼めと言われたので、嫌がらせで一番高いものを頼んでやったのに、
警部はまるで堪えた様子が無かった。だから金持ちは嫌なんだと一弥はひとりごちた。
 一弥達のいるスイートも、いつでも賓客をもてなせるようにブロワ家が借りている部屋なのだという。
それを聞いて一弥はますます不愉快になった。
 ブロワ警部は実に楽しそうに一弥の食事を眺めている。一弥はその視線が無性に気に入らなかった。
ヴィクトリカがお菓子を貪る様を楽しく眺めてしまう自分と、今の警部の姿が重なったからだ。
「しかし、君は肝が太いな。自分を強姦した男と向かい合わせで食事が出来るんだから」
「………」
 一弥は警部を無視して一心不乱にステーキを食べる。
「…その気の強いところが、また男心をそそるのだ」
 一弥はゴフッとむせた。ブロワ警部がククッと声を上げて笑う。
 食事を終えた頃に時計が鐘を打って時間を知らせ、一弥を現実に呼び戻した。
「あ、忘れてた。寮の門限…」
「心配するな。君が気を失っている間に寮には連絡を入れておいた。君が外出先で気分が悪くなって
倒れたので、偶然通りかかった私が責任持って一晩預かると伝えてある」
「それはご丁寧にどうも…って、ぼくここに泊まるんですか?」
「仕方ないだろう。服だってランドリーに出してしまったし。裸で帰るかね?」
「…そうでした」
244GO/SICK 警部×一弥 27:2006/08/29(火) 19:01:16 ID:9F6RZBQ+0
 体液で汚れてしまった制服を洗濯に出していたので、一弥は裸にブロワ警部のシャツを羽織っただけの姿だった。
ぶかぶかなシャツを着ている一弥を、警部がこれまたニヤニヤと嬉しそうに眺めている。
(あんなドロドロの制服を見られたら、ここで何があったのかホテルの従業員にはまる分かりだよなあ)
チェックアウトの時、まともに人の顔が見られそうにない、と一弥は溜息を吐いた。
「警部、ぼくはこっちのソファで寝ますから、ベッドは警部が使って下さい」
「何を言っているんだね」
 ブロワ警部は心底不思議そうに言った。
「もちろん君はあのベッドで私と寝るのだよ」
 一弥は顔の筋肉を引きつらせた。
「…何もしない……ですよね…?」
「君、するに決まっているだろう。あれだけで私が満足しているとでも?」
「ちょっ、ちょっと待って下さい!」
「久城くん、私はね…身体から始まる関係もありではないかと思うのだよ」
「はあっ!?」
「私は君を諦めるつもりも、妹に譲るつもりも毛頭ない。君はもう私のものだ」
「ええーっ?」
「さあ、ベッドに行こうか」
 ブロワ警部は嫌がる一弥の肩を強引に抱いて、寝室へと引きずっていく。
245GO/SICK 警部×一弥 28:2006/08/29(火) 19:03:21 ID:9F6RZBQ+0
「や、約束が違います! ひどいことはしないって…! あ…っ!」
 一弥は再びベッドに押し倒され、あっという間に裸に剥かれてしまった。
「君が嫌がらなければ、それはひどいことではないだろう?」
「っ!?」
「ほら、君の身体は嫌がっていないじゃないか」
「こ、これは生理的な反応で…って警部、やめてください! さ、触らないで…」
「私の良さを君の身体に教えてあげよう。一晩かけて、じっくりとな」
 サイドボードの乳液を、今度は直に一弥の秘部に垂らすと、ブロワ警部はいきなり一弥の中に突き入れた。
「うわ、ま…また入って来る……」
「うん、だいぶ入れやすくなったな。なかなか覚えが早いぞ、一弥」
 性器を根元まで難なく埋め込まれ、一弥が喘ぐ。
「あ、ああ……警部が入ってる……!」
「今度は君も初めてではないからな、もっともっと気持ちよくなれるぞ」
 ブロワ警部は一弥をズンズンと突き上げながら楽しそうに言った。
「やめ…あ、ああッ!」
 一弥は一晩中、ブロワ警部の下で切ない声を上げ続けた。
246GO/SICK 警部×一弥 29:2006/08/29(火) 19:04:40 ID:9F6RZBQ+0

※この先、女×男エロあり注意

「で、そのままあの男に一晩中陵辱されたと。それが昨日の外泊の真相か」
 図書館塔の迷路階段の一番奥にある植物園。
地面に散らばった書物の真ん中でパイプをくゆらせている陶製の人形のような少女・ヴィクトリカが言った。
「なるほど、それで階段を上るのに難儀していた訳か」
 ヴィクトリカの言葉の意味するところに、一弥は顔を赤らめた。恥ずかしくて死にそうだ。
「ふん。分かってみるとつまらん話だな。混沌(カオス)の欠片どころか砂粒ほどの謎もない。君、実に退屈だよ」
「つ、つまらないって言うなよ! ぼくは大変だったんだから!」
「で、どうだったのだ?」
「な、何が…?」
「もっと気持ちよくなったのかね?」
「な…っ! そ、そりゃあ…ぼくの身体もそういう事に慣れ始めちゃったし、警部も多分結構上手…みたいだから、
途中でもう訳分からなくなって、意識が飛んだりしちゃったけど…。でもそれは生理的な反応で!
って何を言わせるんだよヴィクトリカ!」
「あの男はどうしているのかね?」
 一弥の抗議など意に介さず、ヴィクトリカは話を続ける。
247GO/SICK 警部×一弥 30:2006/08/29(火) 19:05:46 ID:9F6RZBQ+0
「ああ…なんか勝手に盛り上がってて。週末に泊まりがけでソヴレムに行こうとか言いだしてたよ。
勿論行かないよ! 泊まりがけなんて、何する気なんだか」
「それは君、ナニだろう」
「ヴィクトリカ…」
 身も蓋もない物言いに一弥はガックリと肩を落とした。
「今日も校舎の前で待ち伏せしてるのが見えたから、裏からこっそり出て来たんだ。
ここだとすぐ見つかっちゃうとは思ったけど他に行くところはないし」
 一弥はふっと目を伏せて呟くように言った。
「ごめん、ヴィクトリカ…」
「…何を謝る」
「何だろう。でも、警部にいやらしい事されてる間、ずっと君に謝らなくちゃいけないと思ってたんだ。
ごめんね、ヴィクトリカ…」
「なぜ君が謝る必要があるのだ」
 ヴィクトリカはじろっと一弥を睨み付けた。
「謝るべきは私の方だろう。一応あれでも私の兄だからな。兄の不始末は私にも責任がある」
「ヴィクトリカのせいじゃないよ!」
「なあ、久城…キスをしようか」
「…と、突然なんだよ!?」
「私に謝りたいのなら、キスをしろ。それで君も私も気が済むはずだ」
「……いいの?」
「…早くしたまえ、私の気が変わらないうちに!」
「う、うん。それじゃ…」
248GO/SICK 警部×一弥 30:2006/08/29(火) 19:06:58 ID:9F6RZBQ+0
 一弥は固く目をつぶったヴィクトリカの肩を掴んで引き寄せた。ヴィクトリカの肩がピクッと震える。
 ヴィクトリカのぷくぷくとしたサクランボのような唇に、一弥がそっと口づけると、甘い砂糖菓子の味がした。
 お菓子の匂いとはまた違う甘い香りも一弥の鼻をくすぐった。胸をギュッと締めつけられるような切ない気持ちが溢れてくる。
 ブロワ警部のキスだって、それなりに気持ちよかった。だが、一弥は自分が求めていたのはこれだと強く感じた。
「……ぅ…?」
 一弥はヴィクトリカの口にそっと舌を差し入れた。驚いたヴィクトリカが目を見開いて一弥を押し退けようとする。
肩にかけられたヴィクトリカの手を捕らえて、自分の首にまわさせると、そのままヴィクトリカの口内を貪った。
一弥にしがみついて、ヴィクトリカも懸命に舌を絡めた。2人の息が上がる。
「はぁ…」
 名残惜しげに一弥が唇を離すと、ヴィクトリカが憤然と一弥を睨み付けていた。
「…気にいらん。何のつもりだこれは」
「えっ!? でも、君がキスしてもいいって」
「…舌を入れてもいいとはいっていないぞ」
「う……いや、でもさあ…」
249GO/SICK 警部×一弥 32:2006/08/29(火) 19:08:57 ID:9F6RZBQ+0
「そのキスはあの男に教わったのだろう? 実に気にいらん」
「そ、それは…その通りだけど、でも……」
「しかも昨夜あの男の性器を咥えてしゃぶって精液を飲んだ口でキスするとはな」
「………」
 もう一弥は言葉もない。(露骨な言い方はやめてくれ!)と心の中で叫んだ。
 ヴィクトリカの口から際どい単語が発せられると昨日の出来事が生々しく蘇ってきて耐えられなくなる。
「…まあそれはいい。続きをするぞ」
「………続きって…」
「君、私は自分のものを盗られて、黙っているほどお人好しではないぞ」
「えっ?」
「久城…君の後ろの処女はあの男に奪われてしまったが…前の処女は私が貰うぞ」
「は…はああ!?」
「その代わり、私の処女も君にやろう。嬉しいかね?」
 じりじりと迫ってくるヴィクトリカに、一弥は脂汗を垂らして思わず後ずさった。
「ちょ、ちょっと待って! ていうか前の処女って表現おかしくないか!?」
「そんな事はどうでもいい。君、大人しくしたまえ!」
「ちょっ…うああ、ヴィクトリカーッ!!」
250GO/SICK 警部×一弥 33:2006/08/29(火) 19:10:25 ID:9F6RZBQ+0

 いつまで経っても校舎から久城一弥が出て来ない事に気づいたブロワ警部は、真っ直ぐ図書館塔に向かった。
一弥の行く先など簡単に予想が付いた。急ぎ足で植物園に通じるエレベーターに乗り込む。
「久城くん! 私を放ってこんな所で道草などどういうつもりか…ね…」
 エレベーターを降りたブロワ警部は目の前の光景に息を呑んだ。
 仰向けに伸びている久城一弥の上にヴィクトリカがちょこんと跨り、一心不乱に腰を振っている。
フリルのドレスに隠れて見えないが、部屋に響く粘着質の音とヴィクトリカの上気した頬が、何が起きている
のかを如実に語っていた。
 みるみるうちにブロワ警部は顔を紅潮させ、怒りに肩を震わせて叫んだ。
「く、久城…貴様、よくも私の妹を…っ!!」
「…あの…どう見てもぼくが妹さんに襲われていると思うんですが…」
「黙れ!」
 ドリルを振り回して怒るブロワ警部の姿に、一弥は奇妙な安堵を覚えた。今の警部の方が自然だ。
 もうこのまま昨夜の出来事はキレイサッパリ忘れて貰いたかった。
 ヴィクトリカは逆上するブロワ警部を一瞥すると、一弥の頬に手を当て、息を乱しながら言った。
「久城、これで君は私のものだ。頭にドリルをはやした生き物などに渡したりはしない」
「ヴィクトリカ…」
「あ…あああ! き、貴様よくも私の一弥を!」
「どっちに怒ってるんですか警部」
「ああもう、訳がわからん! …こうなったら、久城くんを満足させた方が久城くんを手に入れる!
これでどうだ!」
「ふ、望むところだ」
「ぼ、ぼく抜きで話を進めるなよ…っうわ、警部…っ! やめて…っ! ヴィクトリカも…!」
「久城、うんと気持ちよくしてやるぞ。あんなドリル男の事など忘れさせてやる」
「久城くん、私が天国へ連れていってやろう」
「も、もうお構いなくーッ!!」
 久城一弥の悲鳴は、植物園にただ空しく響き渡るだけだった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ ) 初めての801で調子に乗った。今は反省している。
24レス目改行失敗しました。あと2つ目の30→31の間違いです。
お見苦しくて申し訳ない。
251風と木の名無しさん:2006/08/29(火) 20:53:36 ID:2L3zvk5ZO
>>228
アチャンの心情がハマりすぎてて激しく萌えました!
ピコルー(*´Д`)ハァハァ
252風と木の名無しさん:2006/08/29(火) 21:05:51 ID:lxKDdX9l0
>>196
>>230
セイカイ!
253252=196:2006/08/29(火) 21:07:18 ID:lxKDdX9l0
アンカー間違い。
>>230>>232
ですたorz
254風と木の名無しさん:2006/08/29(火) 23:29:26 ID:DtLyIdRQ0
>250
飄々としてる久城君かわいいな!原作に興味湧いたので読んでみる。GJ!
255風と木の名無しさん:2006/08/30(水) 00:34:13 ID:ktf/omy00
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  某ヲトメ向け携帯占いサイトの青い人と黒い子で妄想
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  マイナーすぎて誰もわからんよ…
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
256陰陽師:青黒:2006/08/30(水) 00:35:41 ID:ktf/omy00
十も離れた子供を抱きたいと思ったことはなかったし、ましてや男には友好未満の感情しか持たなかった。
いい年した男としてそれは至極真っ当なことだと思う、まぁ同性への人付き合いも薄いことは否定はしないけれどそれがフェミニストだからとかなんとかのらりくらり言い訳しながら単なる臆病者の防衛策であることも今となっては否定するつもりはない。
孤独を愛するポーズをとっていられた青い時間はもう捨てた。
その点に於いては素直に認めるしかない。
だがそんなことで嗜好が変わるでもなし、きらきらと一時を過ぎる女性に魅力を感じることは決して妄言でもなんでもないのだ、けれど。

その俺が、どうして自分の部屋で服を脱ぎ捨てて汗ばんだ肌でシーツを汚しているのかとか。
その俺の上で、どうして十も離れた男のガキが俺以上に汗と何かで濡れた肌を紅潮させているのかとか。
俺の上に跨がって俺のものを銜えこんでる白い大腿。
桜色に染まったそこに隠れるように一際紅い印、それを俺がつけたのは違えようのない記憶と感触で自分にすら言い逃れ出来ない。
「そのため」に造られてはいない身体に決して楽じゃない行為を強いているのに、飯事のように誠心誠意励む子供。
ダウンライトに照らされる黒い髪から汗が散ってひと雫、黒い瞳から散るのは汗ではなく。

趣味の悪いポルノか、それこそそう最低のスナッフでも観てるみたいだ。

257陰陽師:青黒2:2006/08/30(水) 00:36:52 ID:ktf/omy00

いつもの気丈さを瞳の端に残して気が狂ったように乱れる玄氏、その身体を躊躇なく揺すり強請って絡めとろうとしている俺。
それを第三者のよう、それこそ「鑑賞」している俺がいる。
一青、一青、いっせい、いっ、せい。
子供は舌を縺れさせながら、自分の下にいる「俺」に呼びかけていた。
玩具のようにぐらぐら揺れて、絡繰りのように譫言に「俺」の名前を吐き出す。
浮いて逃げそうになる腰を押さえられる度薄い背中は弓なりに反り、「俺」の腹を汚すそれが玄氏の正気の程を物語っていた。
玄氏、げん、じ……
「俺」は云う。
その下に横たわっていながら、自分の上で乱れる少年への微かな征服感に胸を高鳴らせ。
やもすれば崩れ落ちるか逃げ出してしまう小さな身体に醜い欲望を打ち据え。
細い腕を絡めとって無垢な躯を絡めとって哀れな心を絡めとろうと。
俺は云う。


「……してる」


 あ い し て る 。


まったくもって、最低なスナッフだ。


258風と木の名無しさん:2006/08/30(水) 00:38:27 ID:ktf/omy00

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 少年好きでごめんなさい
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


子供子供いってるけど別に子供って年じゃないし……orz
259風と木の名無しさん:2006/08/30(水) 01:30:37 ID:mjwiTkulO
>>258
禿げ萌えた(*´Д`)
GJすぎる…
260風と木の名無しさん:2006/08/30(水) 21:00:14 ID:5ywVFSWz0
>>233
原作知らないけど萌えますた。女の子もいいキャラだなぁ
原作読んでみる。
261風と木の名無しさん:2006/08/30(水) 23:16:15 ID:OOIWxs6B0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  風゜呂8級の某後輩×先輩らすいよ。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  タイミング悪いよ。怪我してなきゃいいな。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(;∀; )(゚Д゚;)
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2621/3:2006/08/30(水) 23:18:18 ID:OOIWxs6B0
先輩は、釈然としないという表情で後輩の目を見つめ返した。
「なんだよ、なんか俺に文句でもあんの」
その言葉に、後輩は驚いたような間抜けな表情で見下ろした。
「へ? ないですよぉ」

先輩としては。
普段は生意気ながら自分に従順な後輩が、いきなり自分の腕を引いて壁側へと追
いやったのだから、何事かと思ったのだ。
後輩の間抜けな返事に、先輩は余計に訳がわからなくなり、苛ついた顔を隠しもしない。
「ご、ごめんなさい、怒んないでください」
「なんの用なんだよ、急に」
「急なんかじゃ全然ありませんって」
「はあ?」
埒があかない。
この鈍くて馬鹿な後輩は、普通の理屈で話をしても通じない。
先輩は後輩の腕を振りほどいて脱出を試みるが、後輩はがっちりと先輩の肩と壁
を捕まえていて、かないそうにもなかった。
実年齢よりも若く見える童顔に、そぐわない筋力。
しっかりと無駄なくついた筋肉は、彼の努力の証と言ってもいい。

後輩の背中越しに、ロッカーの方向から携帯電話の着信を知らせる音楽が聞こえた。
よく聞く、後輩の設定している着信音。
それに気をとられた先輩が、ふとバッグのほうへ視線を逸らす。
と、突然、視界が遮られた。
顔面に、ものの迫ってくる感覚。
2632/3:2006/08/30(水) 23:19:14 ID:OOIWxs6B0

沈黙に響く着信音は、数秒して途切れた。
音が途切れても、声を発することが出来ずに、先輩はただ、目を見開けるだけ見開いた。
温かい息が伝わる。
唇が離れると、後輩はなにか満足したような目で、先輩を見下し、笑顔。
先輩は呆気にとられるばかり。
「なに、してんの、おまえ」
「なにって」
さも、今の行為が当然のことであるかのようにけろっとした顔は変わらない。
「好きですもん」

肩を掴まれて身動きが出来ないまま、先輩はただ後輩の目だけを見ていた。
―好きってなんだ。
このうざい後輩は、話したこともないのに一方的に憧れを抱いてきた。
出会ってからは、しつこく後をついてくる、金魚のフンになった。
文句を言うにも、賞賛するにも、細かい行動をよく見ていた。
なにかと真似をしてきた。
段々自信がついてきたのか、軽口も叩くようになってきた。
それは、全部が普段の日常で。

後輩の行動は全てが延長線上に伸びたひとつの出来事だった。
ただ、先輩のことが好きで好きで、いつもアピールしていたはずだった。
なのに。
それか日常化して、ごく普通の行動と化していたのだ。
おかげで、いくら体中であらわしても、先輩の目には特別には映っていない。
2643/3:2006/08/30(水) 23:20:22 ID:OOIWxs6B0

「もう、鈍感ですよねえ!」
「おまえに言われるとは、思わなかったよ…」

言われてみればこの後輩にどれだけ慕われていたか、先輩には具体的にいくつも
思い出された。
練習などについてきたことなどはともかく、色違いのタオルを購入してきたこと
なんて考えてみれば変態じみてさえいる。
そんなすべてに、先輩は気付かなかったのだ。
先輩に追い付こうと努力を重ねて、もはや先輩を抜くかというほどの成績を残し
ている後輩の努力に、気付かなかったのだ。
それを、普通のことと思い込んで。

「わかってくれないですか」
先輩に掛かる重量が、大きくなる。
凭れてくる後輩の重みを、先輩は拒まなかった。
真っ直ぐすぎる努力を重ねた後輩への劣等感と、それに気付かなかった罪悪感。
背中まで伸びてきた後輩の太い腕に、ひどい温かみを感じた。
―こいつの筋力でおさえられたら、結局逃げられやしない。

それを言い訳にするように、目を伏せ、後輩の次の言葉を待った。
2653/3:2006/08/30(水) 23:21:33 ID:OOIWxs6B0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ゴメンナサイ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


266風と木の名無しさん:2006/08/31(木) 00:11:38 ID:6P4vr5Na0
>>261
メチャ好きかぷキテタ━━ヽ(*゚∀゜)ノ━━!
姐さんGJです!続ききになる
にしても後輩、指大丈夫だといいな…
267風と木の名無しさん:2006/08/31(木) 06:06:32 ID:VxfZU8qB0
>>265
色違いのタオルキタコレw
後輩、大したこと無いと良いね
26892の続き 劇場王と死神様:2006/08/31(木) 20:16:59 ID:OCF7OSpa0
三部作の完結編です。
途中でスランプ入って、何が伝えたかったのかよく分からなくなってしまったorz

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
2691/7:2006/08/31(木) 20:19:41 ID:OCF7OSpa0
もし今この扉の外を何者かが通り過ぎたとして、
この部屋の中に人がいるとは、全く思いもしないだろう。
机の角を挟んで対峙するお互いの微かな呼吸さえも耳に響いてくるような、
そんな静寂の中で、雅はただ素直に驚いていた。
こんな展開を、一体誰が予想しただろうか。
先の見えない展開作りは本来なら雅の十八番であるはずなのに、
今は雅自身がその中にいるという、この状況。
視線を重ねて、一瞬見つめて、急いで逸らして、またそっと視線を戻す。
それを何度も繰り返しながら、そろそろ十分近くが過ぎようとしていた。
それぞれの思いは揺れに揺れ、室内の雰囲気を物々しくしていた。

「で、何の用だよ」

雅が観念したようにぼそりと呟くも、目の前の死神は何も答えなかった。
ゆらゆらと揺れる自分の視線の先には、
いつもとは違う。幼い子どもか、はたまた修験者を思わせるような、
柔らかい眼差しが、ただこちらを見つめている。

「何の、用、なんですかー」

ゆっくりと言い聞かせるように、雅はもう一度同じ言葉を口にした。
先ほどから視線が重なる度に、言い知れぬ居心地の悪さを感じていた。
そんな彼の気持ちを知ってか知らずか、
死神は一つ、力の抜ける様な細長いため息を落とすと、ふいと目を伏せた。
2701/7:2006/08/31(木) 20:20:40 ID:OCF7OSpa0

「自分でも、よく分からない」
「は? 訳分かんねぇよ」
「でも、そういう事なんだ」
「アホらし。俺はもう帰るぜ」

やれやれ、と首を振りながら立ち上がろうとした雅の瞳を、
死神の視線が、静かに射止める。
それにいつもの様な厳しさは欠片も無かったが、雅は動きを止めた。
気持ちが一気に高ぶり、揺れるのを感じた。
それが寝ている死神の姿に接した時と、同じ様なものだという事に気づくと、
更にその感覚は強さを増して、身体中に震えが走った。

「お前も、何かあるんじゃないのか」

雅は、何も答えることができなかった。確かにその通りであった。
あの時、心の奥から湧き上がったのは、伝えたい、というそれだけの思い。
一体何を?――分からない。それは、あまりに突発的で瞬間的な願望だった。
2713/7:2006/08/31(木) 20:21:16 ID:OCF7OSpa0
「何だか、ひとちゃんらしくねぇな」

「俺らしいとは、どういう事だ?」

何かに突き動かされているかの如く、溢れる想いは正直に自分の外へと飛び出して、
隙間のない室内に、複雑な絡まりを作っていく。
熱い何かを飲み込んだ様な感覚にほだされ、つっかえた物を取り除こうとするかの如く、
ぶっきらぼうに吐き捨てられた雅の言葉とは対照的に、
死神の問いはとても落ち着いた響きを持って伝わった。
逸らすことの出来ないもどかしさに、焼ける様な火照りはどうしようもない苛立ちに変わってゆく。

「冷酷な、孤高の死神様らしくないなってことさ」

いつも他人に厳しくて、少しの妥協も許さないあんたは、
知らず知らずのうちにいろんな奴を傷つけてるんじゃないのか、と。
だから馬腹だってイヤんなって、こっちに来たんじゃないのか、と。
自らの意思とは関係なく、つらつらと口から流れ出る険しい言葉は、
もうどうにも止めることができなかった。
頭の先から足先まで、身体全体が燃えているようで、
吐息すらも上気しているのが、はっきりと感じられた。
2724/7:2006/08/31(木) 20:21:51 ID:OCF7OSpa0
「そう、か」

取り乱す様子など億尾にも出さず、死神がぽつりと呟いたのは、
否定や弁解などではなく、凛とした響きを持った、たったそれだけの短い言葉だった。
確かにそうなのかもしれない、と死神は思う。
不思議と、穏やかな気分だった。ただ、真実を受け入れようと思った。
項垂れて瞳を閉じれば、瞼の裏の薄闇に、去っていった若い候補生の姿が、浮かんでは、消える。

そんな死神の姿を見て、まるで真冬の月の様だと雅は感じた。
同時に、それが儚く消えてしまいそうだという衝動に駆られ、どうしようもなく焦り始めた。
本当は知っている。彼の厳しさの裏にはいつも優しさがあって、
激しい叱咤の後には、細やかな気遣いを忘れなかった。
だからあんなに仲間に恵まれ、皆から慕われているのだろう。
自分にはない沢山のものを、あの死神は持ち合わせていた。
そして、自分はそんな死神の姿に、小さな憧れのようなものを、確かに抱いていて、
確かに、そう確かに、俺は彼のことが――

それなのに、そんな彼に、自分は何を叫んだ?

あの死神が傷つくなんて事、考えたこともなかったのに、
見通すことの叶わなかった彼の漆黒の瞳の奥を、初めて、確かに垣間見た時、
今、目の前に静かに座っている彼が、どうしようもなく脆い存在の様に見えたのだ。
心の底から、怖い、と感じた。どうしようもなかった。
2735/7:2006/08/31(木) 20:22:46 ID:OCF7OSpa0
「でも俺、ひとちゃんのそんなトコ嫌いじゃねぇんだ」

口元に浮かんだ自嘲の笑みと共に、雅の口から再び言葉が毀れ落ちた。
誰に宛てる訳でもなく、自らに言い聞かせるかのような口調だった。
何を言っているのか全く分からない、と、頭の中では理解しているのに、
心はその葛藤を何としてでも形にしようとするかの様に、一つ一つ言葉を紡いだ。

「むしろ、すげぇなって思ってるくらいでさ。だから」

ひとちゃんは、ひとちゃんのままで、いてよ。

せわしなく頭を掻きながら俯いた雅を見て、死神はす、と目を細めた。
まるで幼い子どもの様だと思った。
普段は怖いもの知らずで飄々としているくせに、こういう場面では極端に弱くなる。
人を本気で傷つけることの出来ない、優しくて、寂しがり屋な男の姿がそこにはあった。
掠れながらもはっきりと聞こえた彼の言葉を、素直にうれしいと感じた。
そして、心の奥からどっと沸きあがった想いに、どうしようもなく込み上げた。

「バカだな」

自身を落ち着かせる様に、小さく息をついた死神の、
口元には、薄っすらと笑みが浮かんでいた。
2746/7:2006/08/31(木) 20:23:41 ID:OCF7OSpa0
「それでフォローしたつもりか」
「別に、そんなつもり、ねぇよ」
「かなり焦っていたようだったけれどな」
「だってひとちゃん、泣きそうだったじゃん」
「そっちだって真っ赤な顔してプルプルしていただろ?」
「うるせぇよ!」

いつもと同じような会話の後、死神が、
雅の前で、雅の為に、初めて浮かべた笑顔には、
今までなかった強さの様なものが確かにあって。
――他の道の存在を知り、意識することで、
かえって自分の道を迷わずに進んでいけることもあるのだと、
死神は感じていた。あまり認めたくはないのだけれど、それが多分正直な気持ち――


「でも俺はお前のそんな所、結構好きだぞ」

お前に負けるつもりはないけどな、と言って、差し出された死神の白い右手。
思ってもみない不意打ちに、雅は一瞬、呆気に取られた様に硬直した。
一度は醒めた火照りが、また全身を包むのを感じたけれど、
もうこれ以上格好の悪い所を見せる訳にはいかないと、
へ、と笑ってそれを振り払った。
ほんのりと紅の差した温かい手を握り締めながら、心の中で繰り返しているのは、
"よろしく"なんて馴れ合いじゃなくって、"負けない"という強い意志。
2757/7:2006/08/31(木) 20:26:17 ID:OCF7OSpa0
多分こんな気持ちになるのは、これが最初で最後になるだろう。
身を焼き尽くす様な熱情と引き換えに、手に入れたものは、
今までは正反対、だけど本当は同じようで、だけどやっぱり正反対。
だから絶対に負けたくない。そんな、最高のライバルが一人。
ライバル? ――うん、多分ライバル、だよな。


「ひとちゃん、そんな事言っちゃっていいのかなー」

「ん、怖気づいてるのか? マーくん」

「ちょ、今なんて」

「マーくん」


そんな真顔で言われても、対応に困ってしまうわけで。
どこかくすぐったい様な、複雑な気持ちで、雅はへらりと顔を崩した。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

一応これで完結ですが、もう1つサイドストーリーみたいなのがあるので、
そちらも近いうちに投下しようと思います。色々ミスってるのは気にしない方向で…。
276風と木の名無しさん:2006/08/31(木) 22:10:48 ID:yj6deL1I0
>261>268
好きカプ連続でキテタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
お二方ともGJすぎます(*´Д`)
277風と木の名無しさん:2006/09/01(金) 00:02:32 ID:8bLArZOt0
>>261
8級詳しくないし誰だかわからないけど、萌えたYO!
馬鹿な後輩攻はいいですなあ。(*´Д`)
278風と木の名無しさん:2006/09/01(金) 05:41:12 ID:6eh+a1Yf0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )九十九。ちょっとした妄想を書き殴ってみた
2791/2:2006/09/01(金) 05:43:12 ID:6eh+a1Yf0
時計を見ると、家を出るにはまだ十分に時間があった。
一旦は浮かせた腰を再び下ろして、目の前のテーブルに置かれたリモコンを何気なく手に取る。
片手で弄びながら、これから自分はあるバラエティ番組を見るんだろうなとぼんやり考えた。一週間前とまったく同じように。
別にいいではないか。繰り返しの日々が悪いなんて誰が言った。
例え悪いと言われても、今この瞬間の自分を知っている者は他に誰もいない。誰にも咎められることなどない。
そう心の中で呟いてみても、何故か心は晴れないままだった。
振り払うようにして心持ち強くボタンを押す。
「あ」
思わず声をあげた。自分しかいないこの部屋で、その言葉に反応する者は勿論いない。しかし、構わず続けた。
「気持ち悪い知り合いが手ぇ振っとる」呟いて、小さく笑った。
画面に映ったのはドラマのオープニング。
知り合いと言うには少しよそよそしいくらい自分のよく知る人物が、笑みを湛えながらこちらに向かって手を振っている所だった。
『笑いながらゆっくり手を振ってくださいってスタッフに言われて、あれで一発オーケーもらえたんやで!』
初見後に―もちろんからかうつもりで―この場面のことを口にすると、やけに必死な声でこう熱弁された。
だから悪いのは自分ではなくスタッフだ、と言いたかったらしい。馬鹿みたいだ。また笑いが込み上げてきた。
その時のやりとりを思い出しながら、画面に貼り付いている彼の笑顔を眺める。ふと気付いた。
2802/2:2006/09/01(金) 05:44:01 ID:6eh+a1Yf0
見たことがない顔だった。こんな笑顔、見たことがない。
これがドラマの中の彼なのかと納得する反面、いややはりこれは自分のよく知る彼だとも思った。
矛盾している。だが、確かにそう思ったのだから仕方がない。
しかし、ブラウン管を通して見ると、何故こうも遠く離れて見えるのか。
微かな喪失と焦燥を感じながら、そして何故自分がそんなものを感じるのかよくわからないままに、片手を挙げ画面に向かって力無く振ってみる。
その途端、場面が変わり彼の姿が消えた。
瞬間的に頭の中がやけに冷静になり、同時に自分の行動の女々しさを感じた。急速に上がっていく顔の体温。
周りには誰も居ないことを知りながら、あるいは自分自身に見せつける為か、まるで取り成すようにして、上がったままの手をそのままリモコンに下ろす。
ドラマにはない、バラエティ独特の空気が一瞬にしてテレビ越しに伝わってきた。つい一週間前に見た番組。
複数の騒がしい笑い声が次々と耳に入るが、もう既に興味を失っていた。

家を出るまでにあと三十分。
彼と顔を合わせるまであと一時間。
それまでに、このもやもやとしたわけのわからない感情を取り除くのが先だと思った。
281風と木の名無しさん:2006/09/01(金) 05:45:19 ID:6eh+a1Yf0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )気になった人は木10を見てね
282風と木の名無しさん:2006/09/01(金) 16:45:33 ID:q/ev/YVm0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | エロゲの佳作、遺作の男子高校生版です。
 ____________       \       / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |        ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  美由紀の代わりに健太くんが犯られちゃう!!
 | |            | |             \
 | | |> PLAY.     | |               ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |            | |         ∧_∧  ∧_∧  ∧∧ ドキドキ
 | |            | |    ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )     チョト文章があやしいよ。
 | |            | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |           ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡    |          || (_(__)(_(__).  ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
鬼畜創作スレに投下しようかと思ったけど、パロなのでこっちに誘導してもらいました。
暇つぶしにハァハァ  本編15分過ぎ辺りから...
283風と木の名無しさん:2006/09/01(金) 16:46:54 ID:q/ev/YVm0
桜蘭学園の理事長の息子、宗光の悪巧みによって次々と陵辱されてゆく生徒達。
暴走を始めた用務員、伊頭遺作は、最早誰にも止められなかった・・・
琴未を餌食にした遺作の次なる獲物は・・・木暮健太だった・・・

男子高校生版 遺作 惨劇三・五 「健太」
284其の一:2006/09/01(金) 16:51:02 ID:q/ev/YVm0
琴未 「健太くんが・・・座って・・・おしっこするところ・・・」
か細い声で琴未が遺作に答えた。
健太 「分かった・・・」
健太は琴未の見つめる前でズボンを下ろし、女のように座って放尿を
始めた。
遺作 「脚を拡げなきゃ意味がないだろうっ!!」
遺作が容赦なく罵声を浴びせた。健太は唇を噛み締めながら脚を拡げた。
健太 「これで満足か・・・?」
放尿を終えた健太が遺作と琴未に問う。
遺作 「どうかな、琴未に聞いてみないとな。どうだ琴未?」
琴未は頬を赤らめながら呟いた。
285其のニ:2006/09/01(金) 16:52:27 ID:q/ev/YVm0
琴美 「か・・・浣腸・・・健太くんが浣腸されて苦しんでるところが見たいです・・・」
美由紀「こっ琴未さんっ!!」
驚いた美由紀は琴未を睨みつけた。
遺作 「だとよ・・・四つん這いになってケツをこっちに向けな」
遺作は嬉しそうに健太に要求する。
健太 「分かった・・・」
健太はズボンとボクサーブリーフを脚から抜くと、尻を琴未と遺作に向けた。
健太の後孔に琴未がガラス製のシリンジを宛てがう。後孔に冷たい無機物の感触を感じ、
美由紀が目の前にいる事に気付く健太。
健太 「ちょっと待ってくれ・・・美由紀の前では・・・」
遺作 「うるせぇっ!琴未は見られながら犯されたんだよっ!」
琴未は躊躇せず健太の後孔にシリンジを突き入れ、浣腸液を注ぎ込んだ。
健太 「あぁっ!!中に・・・中に入ってくるっ・・・」
入りきらない浣腸液が健太の太腿を伝って床に滴り落ちてゆく。
陣八が目の前の信じられない光景に、ひたすらに欲望を覚えながら目を逸らした。
健太が・・・あんなに憧れた健太が・・・
遺作 「こりゃ一本じゃたりねーな・・・」
厭らしい微笑を浮かべながら、遺作は独り言の様に言った。
美由紀「いいかげんにしてっ!!遺作さんっ!!」
遺作に駆け寄ろうとした美由紀の鳩尾に陣八の拳が鈍く入る。美由紀は気を失い、
床に頽れた。
286其の三:2006/09/01(金) 16:57:11 ID:q/ev/YVm0
続き...
数時間後、美由紀は気が付くが、そこには健太の姿も
琴美の姿も無かった・・・もちろん遺作の姿も無かった・・・

健太 「うっ・・・んっ・・・うぅんっ・・・」
埃臭い旧校舎の狭い一室で、全裸にされた健太は激しい排泄感に苦しみながら、両手を後ろ手にされ、
脚をM字開脚に拡げられ小さな木製の椅子に縛られていた。陰部は勿論、排泄感にヒクつく濡れた肛門
も露になっている。遺作は嬉しそうにその光景を眺めていた。
遺作 「病み付きになりそうだろう・・・琴美の倍は入ってるからな・・・
    琴美は呆気なかったからな、男のお前なら楽しませてく
    れそうだ・・・」
恥ずかしい姿を琴美に見られてる事に気付き、我に返る健太。
健太 「こ・・・琴美ちゃん・・・見ないでくれ・・・」
遺作 「美由紀の次は、今度は琴美か・・・近頃のガキは我が侭で
    困るぜ・・・おい、陣八!!」
陣八 「わ、分かった・・・」
苦しむ健太にそっと後ろから陣八が近づいてゆく・・・
陣八 「ぜ・・・全部出しちまえば、ら・・・楽になれるよ・・・」
健太の肩越しにそう言いながら、陣八は脇腹から手を滑り込ませ、健太の肉茎にゆっくり手を這わせた。
そしてゆっくりと扱き始めた。
287其の四:2006/09/01(金) 16:57:54 ID:q/ev/YVm0
健太 「やめろっ!陣八!そ・・・そんなにされたらっ・・・」
健太の肉茎の感触が手に伝わり、陣八は震えた。勃起していく健太の肉茎。
陣八の扱く手が激しさを増し上下する。肉茎からの快感に健太の括約筋が緩んでゆく。
みゅっ・・・みゅるっ・・・
肛門から濁った液が漏れ出した。
健太 「やめっ・・・やめてくれっ・・・もうっ・・・あぁ・・・」
陣八の扱きに耐えられなくなった健太の括約筋は、大量の濁った液を盛大に漏らした
そう・・・琴未や遺作の前で健太は漏らしてしまったのだ。恥部を弄られながら・・・
健太 「うっ・・・ううっ・・・」
涙を流し唇を噛む健太に陣八が優しく囁く。
陣八 「き、気持ちよかった・・・?」
健太は答えずに嗚咽している。
288其の五:2006/09/01(金) 17:00:34 ID:q/ev/YVm0
続き...
遺作の膝の上に座らされ、乳首を弄られながら健太は古いモニターを見せられていた。
相変わらず後ろ手に縛られたままだ。太腿には先程までM字開脚に縛られていた
荒縄の後が痛々しく残っている。
モニターには陵辱の限りを尽くされ、挙げ句、遺作の汚い罠に落ちていく生徒たちが
映されていた。中には逞しい野球部員や聡明なクラス委員もいた。健太には信じられない
映像だった。女子生徒だけではなく男子生徒まで遺作は犯していた。こんな逞しい生徒が
なぜ遺作の毒牙に・・・
遺作 「男も同じだ・・・最初はいやだのやめろだの叫ぶんだがな・・・
    最後にはこの様だ。淫乱なんだよ・・・」
そう言いながらも健太の乳首を犯す手は休めない。
健太 「ち・・・違う・・・こんなの・・・無理矢理・・・やらされてるだけだっ・・・」
弱々しく健太が呟くと、遺作は乳首を捻り上げた。
健太 「ひっ!!」
苦痛に健太が声を上げた。
遺作 「だったらこれはどうだ?後ろに入れられて自分でモノを扱いてるんだ!!」
モニターから健太は顔を背けた。信じられない・・・
289其の六:2006/09/01(金) 17:01:51 ID:q/ev/YVm0
遺作の本格的な陵辱が始まった。まずは萎えてしまった肉茎を荒々しく揉み始めた。
勃起し透明な先走りを溢れさせる健太の肉茎。遺作は先走りを指で掬い採ると、
健太の顔に近づけた。
遺作 「これはなんだ・・・?俺に弄られて溢れさせてんのかっ?」
健太 「ち・・・違うっ!!こっこれはっ・・・」
健太は首を激しく振って否定した。だが事実だった。陣八、遺作、続けざまに恥部を
弄られ、健太の肉茎は経験した事のない快楽に酔いしれていた。
遺作 「もっと男を教えてやるっ!!たっぷりとなっ!!ふふふ・・・」
遺作はそう言うと健太の後孔に指を突き入れた。
健太 「うっ!!」
徐に遺作は健太の勃起を口腔に銜える。舌と唇、唾液をも使って健太を昂らせる。
後孔もゆっくりと揉みしだく。健太は激しく抵抗するが後ろ手に縛られてる以上、
身体をくねらせるくらいしか出来なかった。呆気なく遺作の口腔で健太は果てた。
健太の放った精液を口に含ませた遺作の顔が健太の顔に被さってきた。
強引に健太の唇の上に遺作の唇が重ねられた。
健太 「うっ!?うぐぅっ・・・」
遺作の舌が健太の口腔に侵入し、遺作の唾液と健太の精液の入り混じった液体を
流し込む。余の強引さに健太はごくりと飲み下してしまった。
遺作 「どうだ・・・自分の精液の味は・・・?」
遺作の唇と健太の唇を涎が糸を引いて繋いでいた。健太は顔を逸らし涙を流した。
290其の七:2006/09/01(金) 17:07:01 ID:q/ev/YVm0
続き...
健太 「もう・・・い・・・いやだ・・・もう・・・嫌だ・・・やめて・・・くれ・・・」
体を捩らせ激しく抵抗する健太を、遺作は両脚を膝の裏から抱え上げ、床に寝そべっている陣八の上に翳した。
健太は素肌に詰め襟を着せられ、下には学校指定の革靴と白い短めのソックスだけを履かされていた。
勿論ズボンや下着といった下半身を覆う様なものは何も着けさせてもらえない。お陰で陰部や後孔が丸見えになっている。陣八からも健太の恥ずかしい部分がよく見えた。
遺作 「そら陣八、ご褒美だ。」
陣八の肉茎は既に雄々しく勃起していた。
陣八 「す・・・すまない・・・健太・・・」
遺作は陣八の肉茎を健太の肛門に狙いを定める様に慎重に宛てると、ゆっくりと健太を降ろした。
健太 「あっ!!うっ!!」
陣八の肉茎が健太の肛門の括約筋を押し分け直腸に侵入してきた。
遺作に散々拡げられた健太の肛門は、易々と異物の侵入を許した。
陣八 「健太・・・」
遺作 「これだけじゃ物足りないだろう・・・陣八のは小せえからな・・・」
言いながら遺作は陣八の挿入の刺激で再び勃起した健太の肉茎を掴んだ。そして亀頭を指で摘むと尿道口を
押し拡げた。
遺作 「これはどうだ・・・いいぞ・・・」
遺作は尿道口に直径5ミリ程のローターを宛てがった。極小のローターは先走りや精液の
ぬめりを借りて、健太の尿道口に入れられてゆく。
健太 「んっあっ!!やっ・・・やめっ・・・やめてくれっ・・・痛・・・」
極小とはいえ、5ミリもある異物が尿道に無理矢理いれられるのだ、キツいに決まってる。
291其の八:2006/09/01(金) 17:08:20 ID:q/ev/YVm0
遺作は冷徹にローターを押し込んでゆく。肉茎の根元辺り、前立腺に近い位置までローター
を押し込むと、遺作は脇に置いてあったバッグから、何やらクニャクニャした物を取り出した。
ピンク色の卑猥な玩具。男性用のホールだ。
遺作 「これで蓋をして完成だ。」
卑猥な玩具にヌメヌメとした液体を垂らすと、ローターを入れられパンパンに勃起した
健太の肉茎にローターのコードごと被せた。ニュルンッとホールが肉茎を飲み込む。
健太 「あっうっ!!」
遺作がゆっくりとホールを上下させた。粘性のある液を滴らせ、ホールが健太を陵辱する。
遺作 「どうだ、後の孔と前の孔を同時に犯されるのは・・・たまんねぇだろう?」
遺作の問いなどに構っていられる健太ではなかった。ホールが肉茎を扱く度に尿道の極小ローター
が健太を中を犯した。普段なら犯すことのできない極細の尿道を・・・
だが、刺激はこれだけでは済まない。ローターはまだスイッチが入っていないのだ。
遺作 「あぁ・・・いいだろう・・・たまんねぇだろう・・・」
遺作が囁く。
遺作 「もっとよくしてやるぜ・・・」
ローターのスイッチが入れられた。
健太 「あぁ〜!!っん!!んっ・・・んぁっ・・・あぁ・・・」
極細の尿道でローターが暴れ出し、中から前立腺を叩いた。今まで一度も経験しなかった壮絶な快感。
健太は顔を仰け反らせ、体をヒクヒクと痙攣させて答えるしか成す素手が無かった。
体の痙攣と同期して括約筋も締められる。陣八の肉茎も健太の直腸で今まで味わったことのない
快感を与えられていた。
292其の九:2006/09/01(金) 17:10:59 ID:q/ev/YVm0
陣八 「け・・・健太・・・うぅ・・・んっ・・・」
陣八が開けられた上着から覗く健太の乳首を激しく揉みしだく。
陣八 「健太・・・あぁ・・・・・・」
陣八は恍惚とし、この陵辱に酔いしれている。
遺作 「どうだ・・・」
遺作が健太の耳朶を甘噛みしながら囁く。
健太 「おっ・・・はぁっ・・・おま・・・お前達・・・は・・・ケダモノだ・・・」
健太は力を振り絞って微かな最後の抵抗をした。遺作がこれに激怒する。
遺作 「まぁだプライドが残ってやがんのかっ!!もう一本ぶち込んでやるっ!!」
大声で怒鳴ると健太の髪を掴み、上半身を陣八の上に乱暴に押し倒した。
そして自分のイチモツを陣八の肉茎をいっぱいに頬張っている健太の肛門に突き入れた。
健太 「まっ!!待てっ!!やめてくれっ!!」
健太の哀願など遺作は聞きはしない。健太の肛門は極限まで拡げられた。
健太 「ぎゃぁーーーーーーーー!!」
獣のような悲鳴を上げる健太。ミリミリと肛門の襞が裂け、染み出した血が太腿を伝って滴り落ちてゆく。
遺作 「またこれをしてやるぜ・・・」
遺作は再びガラス製のシリンジを取り出し、浣腸液を充填した。
遺作 「そーら・・・」
2本の肉茎の隙間からシリンジの先を差し込み浣腸液を直腸に注いでゆく。
健太 「や・・・やめてくれ・・・もう・・・だめ・・・だ・・・誰か・・・たす・・・助けて・・・」
シリンジを放り出すと遺作は激しく健太を犯した。ゆさゆさと健太の体が揺さぶられる。
陣八の肉茎は健太の直腸と遺作の肉茎、浣腸液に揉まれ擦られこれ以上ないくらいの快楽を貪っている。
陣八は首を擡げ、健太にキスをした。初めて味わう健太の唇。そして後孔。
陣八は満足気に健太の口腔を舌で貪り、何度も何度も唾液を奪っていった。
健太の肛門は、初めて浣腸をされた時とは違い透明な液を鵐に溢れさせてる。健太の太腿、陣八の
ズボン、遺作の下半身を伝い、床を汚していった。
終わらない饗宴はいつまでも続いてゆく・・・

続く...

293風と木の名無しさん :2006/09/01(金) 17:13:58 ID:q/ev/YVm0
今日はここまで...
誤字訂正  誤 荒縄の後が痛々しく... 正 荒縄の痕が痛々しく...
稚拙ですまそ。
294風と木の名無しさん:2006/09/01(金) 17:56:03 ID:Hq++fLr+0
>>281
GJ! 萌えカプktkr
いつもの「ドラマには出ません」がある種ツンデレに思えてきたよ(*´Д`)
295風と木の名無しさん:2006/09/01(金) 19:10:56 ID:rajcd/TW0
>>293
GJ!GJ!GJ!GJ!
続き楽しみにしてます!(*´Д`)
296風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 01:17:32 ID:yfnxeJwFO
>>281
GJ!
いつも棚とかSSみてて思うが、ああいうちょっとしたシーンから
妄想を果てしなく広げられる姐さん方スゴス。
私も見習いたい。
297風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 01:27:33 ID:rF8KSm9l0
>>293スカ注意報欲しかったかもです
298風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 02:46:42 ID:aILp70S9O
>>293
GJです!実は臭作しかやってないダメ人間ですが
続きすごく楽しみにしてます
299風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 11:53:38 ID:vqcfEV9nO
棚283
鬼畜スレ向な内容なのはともかく、
名前の変換忘れが多量過ぎるだろいくらなんでも。
変換忘れのお陰で部分的に男女エロになってるしな。
どっかの誰かの作品をコピペしてるとしか思えん。

文体も厨臭いし…もう投下イラネ
300風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 12:42:03 ID:LhpohjwS0
変換忘れは気づいたけど
男女エロになってる箇所は読み返しても気づかなかったなあ。
冒頭で浣腸してるのは女の子であってるのよね?

鬼畜スレで棚をすすめられてここへの投下になったんだし、
変換忘れとスカ注意表記等注意していただければ
(そして他人の作品の改変でなければ)いいんじゃないかな。

私は続きが読みたいです>>293
301風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 14:10:03 ID:mYlyawUw0
>>293
「乳首を激しく揉みしだく」

ゲームのAボタン連打みたいなの想像してワロタ
「乳房を」ならまあ良くある表現だけど。斬新だな。
302293:2006/09/02(土) 18:20:36 ID:HwDs3wus0
...すみません...反省します。

>>299
コピペじゃないです。
>>297>>300
ここでは注意書きいらないのかと思ってしまいました。
不快な思いさせてしまってすみませんでした。
>冒頭で浣腸してるのは女の子であってるのよね?
あってます。
>>301
そこは脳内補完していただけると...
名前の変換忘れが多いですか?どの辺りか指摘して下さると
助かるのですが。
303293:2006/09/02(土) 18:46:29 ID:HwDs3wus0
あと言い訳ですが...
元々、美由紀が琴未の代わりに遺作に犯される
シーンなのですが、そこを美由紀を健太に入れ
替えて書いてみました。琴未の代わりに犯される
美由紀に代わって犯される健太です。
>部分的に男女エロ
これはこのスレでもNGですか?
304風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 18:54:43 ID:e4zsvVHr0
>>293
21歳以上になったら戻っておいで。
それまでは絶対ここには来るなよ。
305風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 18:59:49 ID:W8Ls9MS+0
×21歳
○18歳

今はここ(bbspink)18禁だよ
306風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 19:10:25 ID:veC3fwU/0
>305
そういう意味じゃないだろ。
>304みたいな書き込みは「場の空気読めないなら精神的にも
大人になるまで黙ってロムってろガキ」をオブラートに包んでるんだよ。
307風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 19:15:07 ID:phj7q2JW0
21以下どころじゃねーよと念押ししたんだと思ったよw
308風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 19:18:44 ID:7VGs4fre0
293さんはビデオ棚よりもHPかブログ立ち上げた方が向いているのでは
ないかなーと思います。なんとなく。
309風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 19:49:19 ID:uxXLTm/L0
はげど
310風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 20:09:35 ID:u7ffwlc80
>>293
>部分的に男女エロ
>これはこのスレでもNGですか?

お ま い さ ん 801 板 を ど ん な 場 所 だ と ?


つか、これ以上は“絡み”逝け。自分も逝く。
“絡み”が何処か分からなければ801板を全検索してみろ。
それでも分からなければ1年はROMれ。
311風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 20:46:05 ID:IhOrFnBA0
禿ワロタ
312風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 22:16:14 ID:+SZmCDZg0
スレが伸びてるなーと思ったらとんでもない厨がキタのか
313風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 22:34:48 ID:ek8K2NZ90
まだ脳内夏休み厨が繁殖中ですか
314風と木の名無しさん:2006/09/02(土) 23:27:50 ID:aILp70S9O
>>293さんを鬼畜スレから棚の方に誘導した者です
騒ぎを大きくしてしまってこちらの方々にご迷惑をかけてしまいすみませんでした

鬼畜スレでは現時点ではオリジナル作品の投下のみが慣例となってまして
二次的な作品の投下ですとビデオ棚の方がふさわしいと思いこちらの方に誘導しました

それからこちらの過去ログを2スレほど読ませて頂き
二次パロ可、男女も少しならば注意書き有りでOK、と判断しまして、独断で誘導しました

今回誘導にあたって、鬼畜的な要素に関する注意書きのフォローをしなかったことなど
非常にまずかったと思っています。また、棚の空気を読みきれずに安易に誘導の判断を出し
結果的にこちらの場の空気を悪くしてしまい申し訳ありませんでした

最後に>>293さん、適切な説明等をせず、迷惑をかけてしまいすみませんでした
長々と失礼致しました
315風と木の名無しさん:2006/09/03(日) 02:37:27 ID:vp/uhtJrO
こりゃまたご丁寧に。


はい次のかたドゾー。
316風と木の名無しさん:2006/09/03(日) 03:24:08 ID:UtqAPnAI0
「鬼畜的要素や男女物が入ってますよー」
と、最初に注意書き入れてくれたら、投下okだと思いますよ。

モララーのビデオ棚だから、少しぐらいなら801要素以外も含まれている作品もいいですよね。


この棚でいろんな種類の作品と出会うことが出来た、一住民より。
317風と木の名無しさん:2006/09/03(日) 12:08:16 ID:G/0n9PHu0
キモ
318風と木の名無しさん:2006/09/03(日) 13:09:41 ID:qpfPtVji0
okって、住人の総意もなく勝手にアナタの俺ルール押しつけられても
319風と木の名無しさん:2006/09/03(日) 14:56:22 ID:FJX8CiZ/0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  イ反面ライ夕”ー隆起の朝倉×北丘パラレル
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  微妙に(?)別人なのはパラレルという事で。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
3201:2006/09/03(日) 14:56:55 ID:FJX8CiZ/0
その男は奴隷であった。男はある時金持ちの行列を見た。
その中で一番身なりのいい男がいて、おそらくこの男がこの行列を引き連れているに違いなかった。
その身なりのいい男は男をチラと見てバカにしたように笑った。
行列は通り過ぎていった。
なんでもあの男は街一番の金持ちらしい。
男はそれ以来、その金持ちの事を思い返してイライラしてしょうがなかった。
金持ちの馬鹿にした顔を思い返すとイライラするのだ。
イライラして息も出来なくなるほど息が苦しくなり、頭は痛くなり、動悸が速くなって寝ても覚めても金持ちの事を思い出してはイライラに悩まされるようになった。
男は金持ちを殺せばイライラが収まると思った。そこで夜、逃げた。
奴隷は夜は鎖でつながれるので、鎖をどうにかして壊して外へ出た。
うろうろ闇雲に歩いた後、一番大きそうな家を見つけて壁を乗り越えて中に入った。
とりあえず窓の開いてる部屋に入るとこの家の主人の部屋らしかった。
寝台にあの金持ちが寝ていた。
寝台に寄り、金持ちを殺そうと顔に手を伸ばした。
しかし首は絞めずなぜか撫でるように顔に触った。暫くそうしていた。
金持ちが眼を覚ました。金持ちが叫んだので男は取り押さえられ、その日の内に役所に連れて行かれた。
奴隷が自由民を殺そうとしたのだから当然死刑である。一応役人は男に理由を聞いた。
男は「イライラしたからだ」と答えた。すぐに首が切られる事になった。
321風と木の名無しさん:2006/09/03(日) 14:57:27 ID:FJX8CiZ/0
首切り人が斧を振り上げようとしたとき、待って、という声がその場に響いた。
あの金持ちであった。「なんで俺を殺そうとしたわけ?」「何度も言わせるな、イライラしたからだ」
「イライラしたからって、街ですれ違っただけの俺を殺しにわざわざ腕を血だらけにして脱走して俺の家に忍び込む?」
「・・・・・」「・・・・・イライラするって、どんな感じ?」
そこで朝倉は目の前の男がどれだけ朝倉をイライラさせるか言い立ててやった。朝も晩も思い出して眠れない、お前の事を考えるだけで息が出来なくて死にそうだとそのような事を言い立てた。
言い終わった後金持ちは言った。「お前、馬鹿でしょ」

金持ちの男は役所に金を払って朝倉の身元を引き受けた。
その金は朝倉の元の主人が金持ちに払った補償金である。朝倉は金持ちの考えている事が全く解らなかった。
自分が金持ちの事が憎い、イライラすると散々言い立てたのに何故わざわざ、自分の懐は痛まないといえ、金を払って、自分を家に引き取るのか。
役所の門を出た後朝倉は金持ちに訊いた。
金持ちは「まぁ・・・暇つぶしかな」と答えた。朝倉は、金持ちの考える事はわからない、と思った。


北丘は街一番の金持ちである。もちろん奴隷の数も街一番である。
ある日奴隷を引き連れて街を歩いていたらどっかの家の身なりの汚い奴隷と目があった。
目が合ったのは一瞬ですぐに眼を逸らしてその場を通り過ぎた。
その場はそれで終わった。そしてすぐにその事を忘れた。
数日後、北丘は部屋で寝ていた。物音がして、誰かが部屋に入ってきたような気配がした。
しかし北丘は起きなかった。まだ夢うつつだったからだ。
誰かに顔を触られ、北丘は目を開けた。
身なりが汚く目付きの悪い男が顔を覗き込んでいた。
思わず北丘は叫び、部屋の外の使用人たちが駆けつけ、身なりの汚い男はすぐに取り押さえられた。
身なりの汚い男はずっと北丘を睨んでいた。
3223 ↑数字入れ忘れスマソ:2006/09/03(日) 14:58:05 ID:FJX8CiZ/0
金持ち(北丘とかいうらしい)に引き取られた朝倉は最初服屋に連れて行かれた。
北丘の言うには「そのなりじゃ俺の奴隷にふさわしくない」朝倉の選んだのは趣味の悪い蛇柄のジャケットであった。
北丘は嫌そうな顔をしたがそれを買ってやった。
北丘は朝倉を屋敷に連れて帰った。そして自分の付き人にしようとした。
しかし朝倉は料理はできない、掃除もできない、できるのは牛の世話ぐらいであった。
北丘は言った、「お前って・・・全然使えないのね」
言っておくが朝倉の出身である下の身分の奴隷は碌な仕事をさせてもらえないので料理も掃除もできないのは当然の事である。
朝倉は北丘の発言を聞いてイライラして今すぐ目の前の金持ちを殴り倒したくなったが、他の使用人の視線があるのでとりあえずは我慢した。
朝倉は牛の世話以外何もできない。北丘が服を着るときも仕事をする時もただ突っ立って見ているだけである。
そのうえ朝倉にとっては北丘が視界に入っているとイライラしてしょうがない。ある時北丘が言った。
「お前って本当に何にも出来ないよね・・・いっそ俺の夜伽でもする?お前って容姿ぐらいしか取り得無いし」
「馬鹿か・・・なんで男に夜伽をさせるんだ」「今世の中じゃ同性愛が流行りなのよ。まぁ四級のお前は知らなくて当然だけど・・・」
どう?俺とする気ない?俺は上でも下でもオーケーよ?
朝倉は断った。「おい・・なんでよ」
朝倉は、北丘に触られるだけで体が熱くなってイライラするのに、抱き合ったりなどすれば全身熱くなって死にそうだから、と答えた。
そして、それよりは適当な女奴隷でも寄越せ、と言った。
北丘は「お前馬鹿でしょ」と言った。朝倉は北丘の夜伽をするのを受諾した覚えは無いが、北丘は一緒の寝台で裸で寝ろと言う。
もちろん隣で寝る北丘も裸だ。朝倉はこれは北丘の自分に対する悪質な嫌がらせだと考えた。
3234:2006/09/03(日) 14:58:37 ID:FJX8CiZ/0
北丘はつまらなかった。
朝倉の告白を聞いたときは「コイツはなんて馬鹿なんだろう」と思い屋敷に連れて帰ったが、押しても引いても自分への愛情を自覚しないのだ。
最初はからかって遊んでいたがいい加減飽きてきた。
本当は同性愛の経験など無いのに、誘っても食いついてこない。
裸で一緒の布団で寝れば襲うなりするかと思ったがしない。
そのくせ夢精は何度もしている。きっと俺の夢を見ているのだろう。
起きた朝倉に夢の内容を聞けば「覚えてない」
本当に、自分ひとりで悶々しているのが腹立たしいと思う。
そしてその晩も隣の朝倉の呻き声で目を覚ました。
蒲団を剥いで、勃起している朝倉の性器を撫でてやる。
面白いほどに反応がある。朝倉の性器を弄りながら、北丘は思う。こいつは馬鹿だ。
心も体も心底北丘を求めていると言うのに頭がそれをわかっていない。
心と体のことを頭がわかっていないのだ。
北丘は時々朝倉をたたき起こしてやりたくなる。夢は見ている最中に起こされると夢の内容を覚えているものらしいからだ。
しかし北丘は変に意地になってそれが出来なかった。絶対に朝倉の方から気付かないといけない。そうでなくてはいけないと思った。

北丘の親戚が死んだのでその遺産を貰い受ける事になった。
遺産の中には奴隷も当然含まれていた。
その中に五郎と言う奴隷が居た。
五郎は一級奴隷で、料理も掃除も家事はなんでもできたし、優しかった。もう北丘は朝倉の事などどうでもよくなった。
五郎を自分の付き人にして、朝倉は牛の世話に追いやった。
乱暴で牛の世話しかできない奴隷より、優しくてなんでもできる奴隷の方がいいに決まっている。
いつまでも朝倉は自分への恋愛感情に気付かず、見当違いに呪詛の言葉を吐いたりそこらへんの物を壊したりしていたので、もうウンザリしていた。
それに「朝倉は俺の事を憎いと勘違いしているのだから今更牛小屋に追いやった所でどうって事ないだろう」と甘く見ていた。
やはり北丘は五郎とも一緒の蒲団で寝たが、別に服は脱がなかったし、何も無かった。
3245:2006/09/03(日) 14:59:54 ID:FJX8CiZ/0
数日後、北丘が五郎と一緒に寝ていると誰かが入ってきた気配がした。
夢かと思って寝ているとその気配が寝台に上がってきたので目が覚めた。
朝倉が五郎を殺そうと首を絞めていた。
北丘は思い違いをしていた。「自分への好意を憎しみと勘違いしているから大丈夫」なのではなくて「自分への好意を憎しみと勘違いしているから危険」なのだ。
慌てて朝倉に止めろ、と叫ぶと朝倉は五郎から手を離した。
あの時と同じだ、と北丘は思った。あの時と同じように、今も朝倉の手首は無理やり鎖を外したせいで血まみれになっている。
しかし朝倉への感情より、五郎を殺そうとした事への怒りが上回り、北丘は朝倉を追い出した。

主人の無い奴隷は社会的に死んだも同じだ。野良犬以下だ。
朝倉は主人から契約を切られた奴隷ばかり集まるところにやってきた。


北丘が奴隷帳を整理しているとその中に朝倉の奴隷表を見つけた。
契約破棄の手続きをし忘れていたのだ。
それを眺めていると五郎が部屋に入ってきて
「先生の付き人だった朝倉が階級が上の奴隷を殴りつけた廉で殺されそうです」と言った。
「そう」
「行かなくていいんですか?」
「なんでよ?」


所属の無い奴隷は裁判にかけなくても殺せる。今、役人が朝倉を槍で殺そうとしていた。
「待ってください」
皆が振り向くと、北丘だった。
「この男は北丘さんにはもう関係ない男の筈です」
「いえ、とんでもない。その男は私の家から逃げ出して・・・ずっと探していたのですよ。ほら、奴隷表だってあるし」

北丘は「奴隷の逃亡を防げなかった罪」と「奴隷による傷害罪」で罰金を支払って、朝倉を引き取った。
325風と木の名無しさん:2006/09/03(日) 15:06:06 ID:Zl1J9Bi10
支援
3266/6:2006/09/03(日) 15:23:52 ID:FJX8CiZ/0
誰もいなくなった広場で北丘は朝倉の手を取って、帰ろう、と言った。朝倉はその手を払った。
「なんでよ?」
「あのゴローとか言う奴と仲良くしてればいいだろう」
「何、お前嫉妬してるわけ・・・・って、まさか俺に惚れてる事ようやく気付いたの?」
それを聞くと朝倉は顔を歪めた。
「お前、やっぱり知ってたんだな」
「いや・・・お前、いつ気付いたのよ?」
朝倉は、道端で眠りこけて北丘の夢を見て、眠りが浅かったから途中で目が覚めたのだと言う。
その上見ず知らずの奴隷に「お前があの北丘に捨てられた朝倉とか言う奴か」と冷やかされたのでイライラして殴りかかったのだと。
「何?俺ってそんなに街の話題になってるわけ?」
「・・・・・街一番の金持ちなら噂話ぐらい耳に挟んどけ・・・・・・・・・」
どっちにしろ、新しい奴隷と楽しく遊んでろ、と言って朝倉が去ろうとしたので北丘はいや、五郎とは何もしてないし、お前を別にからかったわけじゃない、と言った。
「じゃあなんだ」
「公衆の面前であんな恥ずかしい告白されて、そのまま首切らせたらこっちの方が後味が悪い」
告白?と朝倉が首をひねったので北丘が、最初の裁判のときね、と説明した。
「あれが告白か」
「告白じゃなきゃ、なんなのよ?」
「そうか」
暫く朝倉は黙っていたが、
「だが殺そうとした奴に告白されても普通はそのまま首切らせるだろう」
好き者だな、お前。と言ってニヤリと笑った。
この前まで自分の感情すらわからなかったのに、いきなり余裕になるな、と言って北丘は軽く朝倉を叩いた。
327風と木の名無しさん:2006/09/03(日) 15:28:11 ID:FJX8CiZ/0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  >325改めてdでした。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  しかし規制に引っかかったの初めてだ。
 | |                | |            \
 | | □ STOP.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
3まで書いて一ヶ月ぐらい放置してあったのを、今日一日で書き上げた。
こういうのは勢いなんだな・・・。
328風と木の名無しさん:2006/09/03(日) 16:30:45 ID:ulgaEsRU0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  某ホヌト部アニメの森x羽仁 ロリショタ甘エロ注意だよ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  原作は未読なのでおかしい所あったらゴメソ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ イチオウフセジダヨ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
329森x羽仁 1/9:2006/09/03(日) 16:31:37 ID:ulgaEsRU0
「うわー! かっわいー!」
 歓声の前に現れたのは、真っ赤に色付いた苺を乗せたストロベリータルト。メイドが
立ち去るのを待ちきれず、フォークは既に艶やかな苺の上で待機中である。
「……いい?」
 期待でうるうるとした目で見つめてくる光国に、無言で嵩が頷く。ぱああっと光国の
後ろに花が咲き、大きな「いっただっきまーす!!」の声が響いた。

 光国が嵩の部屋に遊びに来るのは珍しい事ではない。銛之塚家のメイド達も心得た
もので、基本的に極上のスイーツは銛之塚家の厨房から絶える事がない。
 突然の「今日たかしの家行くーっ」攻撃にも十分対応出来る体制は整っているのである。

 切り崩した欠片が光国の口に運ばれる。ひとしきり咀嚼した後、小さな唇がにんまりと
極上の笑みを浮かべた。
「たかしぃー、おいしーよこれ」
「そうか」
「たかしは食べないの?」
「全部、お前のだ」
 小首を傾げて問いかけた光国に答えると、光国の周りに飛んでいる花がどっと量を
増したような気がした。
「……いいの? わーい!」
 取り分ける前の皿に乗ったタルトも、三十秒後には全て消えているだろう。
 この僅かではあるが光国にとっての至福の時間が、嵩にしても幸福な時であるのは
間違いない。光国の幸福こそが、常に隣に寄り添う嵩の望むものであった。
330森x羽仁 2/9:2006/09/03(日) 16:32:09 ID:ulgaEsRU0
 しかし、その日の光国は違っていた。勢いよく三つ目のタルトを取り分けた所で、
手が止まったのだ。
「……どうした」
 光国がスイーツを前にして遠慮するなどという図は、通常なら決してありえない。
「うん……」
 嵩はそのありえない構図を前に、とてもそうとは思えない表情で焦っていた。
 光国が一時大好きなものを絶った頃ならばまだ分かるが、我慢することを止めた直近の
光国を考えれば、やはり事は尋常ではない。
 目を伏せた光国はしばらく次の言葉を躊躇った様子であったが、意を決したように
顔を上げた。
「たかし……自分、でシタ事ある?」
「?」
 光国が何を言っているのか、嵩には分からなかった。怪訝そうな嵩の表情(光国以外には
解析不能)を見て、光国は頬を真っ赤に染めながらもじもじしている。
「あのね、クラスの子に……聞いたんだ。男の子はみんな自分でシテルんだって……
でも僕、そういう事した事ないから……たかしはどうなのかなって、思って」
 恥ずかしそうに光国が嵩を上目遣いで見つめる。漸く事態を察した嵩は、びしりという
効果音付きで石化した。相変わらず外見では少し遠い目をしたようにしか見えなかったが。
 そんな知識を吹き込んだのは誰だ……と考えないでもなかったが、恥じらう光国の
表情からは問い詰めることは出来そうにないだろう、と嵩は判断した。
331森x羽仁 3/9:2006/09/03(日) 16:32:40 ID:ulgaEsRU0
「そんな事、知りたいのか」
「だ……だめ、だよね。やっぱり」
 あはは、と頭を掻く光国を見ながら嵩はいつもの様に実直に答える。
「ある」
「え」
 かしゃん、という音と共に、光国の手からフォークが落ちる。
 ええええ……と今度は光国がますます赤くなりながら石化していく。
「あ、あるの? たかしも」
「ん」
「そうかあ……。やっぱり僕だけ……なのかな」
 ピンクのうさちゃんを抱いた膝の上でぎゅっと両拳を握り、光国は瞳を潤ませて下を
向いた。
「個人差がある。気にするな」
 生理的欲求の処理なのだから、まだ光国が必要としていないなら焦ることはない、と
嵩は考えている。光国の体はまだまだ成長途中なのだ。……きっと。
「でも、でもね。ずっとこのままだったら僕……」
 光国なりに悩んではいるのだろう。いくらかわいいものとケーキが大好きな外見
ロリショタ系少年であっても、年を取るごとに周囲と乖離していく自分に僅かな不安も
感じているのかもしれない。
「ね、たかし。お……教えて?」
「?」
「……やり方」
「……!」
332森x羽仁 4/9:2006/09/03(日) 16:33:12 ID:ulgaEsRU0
 今度こそ嵩は風化して砂になる自分を感じていた。急激に頬が熱くなったのがわかる。
「だが……」
「ごめん。ごめんね。でも他の人には聞けないから……お願い! たかし」
 ぴょんとソファを飛び降りた光国は、嵩の首に腕を巻きつけてねえねえとおねだり
している。
 光国が握ったうさちゃんが目の前でゆらゆらしているのを見ながら、嵩は深刻に悩んで
いた。ここで嵩が拒否すれば、この光国の調子ではホスト部員に聞き回りかねない。
むしろその方がいいのか? いやそれはしかし……と懊悩している嵩の耳元で、光国が
拗ねたようにつぶやいた。
「んー、いいもん。ダメならひかちゃんあたりに聞いてみるもん」
 それはマズイ、気がする。双子ならば確実に二人がかりで光国で遊ぶだろう。
耳年増なあの二人に任せたらどうなるか……と考えたところで、嵩はぶんぶんと首を
振っていた。
「じゃあいいの? たーかしっ」
 脳天気な光国の声に後押しされるように、嵩はためらいながらこくんと頷いたのだった。
333森x羽仁 5/9:2006/09/03(日) 16:33:43 ID:ulgaEsRU0
 ベッドの上によいしょ、と光国が腰掛ける。隣に座った嵩を見上げて、えへへと
赤い顔で笑った。
「お願いします」
 ぺこりと頭を下げた光国を眺めて、嵩はさてどうするか、と顎に手を当てて考え込んでいた。
普段も生理的に仕方のない時だけしか処理しない嵩は、ポルノの類は持っていない。
ハウツー本の代わりになるようなエロ本など皆無なのである。家の者ににその手のものを
頼むのは流石に気が引けるし、かといって自分が説明出来るかといえば、
「擦れ」
の一言で済んでしまうだろう。それで光国が納得すればいいが………期待に満ちた眼差しが
嵩の横顔にちくちくと突き刺さっている。
「たかし?」
 ……最初だけ教えてやれば、後は自分で何とかするだろうか? 快感を伴う行為だと
いう事を光国に経験さえさせてしまえば……。
「光国」
「なあに?」
 嵩はベッドに腰掛けたまま足を開いて、ぽんぽんと自分の足の間を叩いた。
「あ……うん」
 光国は少しだけ不意を突かれたような表情をした後、嵩の足の間にちょこんとおさまった。
背を嵩に預けて、うさちゃんをきゅっと抱きしめている。
「うさちゃんは置いておけ」
「ダメ?」
 汚れるから、とは流石に言えない嵩が首を振ると、素直に横にうさちゃんを置いた。
334森x羽仁 6/9:2006/09/03(日) 16:34:14 ID:ulgaEsRU0
「……いいんだな」
「うん」
 一応同意を得た上で、嵩はおもむろに光国のベルトに手を掛けた。
「えっ、え?」
「脱いだ方がいい」
 汚れるから、とはやはり言わずに、嵩は光国の制服のズボンを手際よく脱がせてしまう。
そのまま下着に手を伸ばした所で、光国がはっしと嵩の手を押さえた。
「パ、パンツも脱ぐの?」
「ん(汚れるぞ)」
「でも……は、恥ずかしいよ」
 風呂に一緒に入ったりで互いに見慣れているだろうに、何を今更、と嵩は思わないでも
なかったが、無理に進める事もできない。言い出したのは光国なのだから、嫌がるなら
止めるだけの事である。
 光国の手を静かにはがし、嵩は光国を落ち着かせるためにすっぽりと体を抱きすくめた。
「……どうする、光国」
 堅く強張っていた小さな体は、ゆっくりと嵩の体温に馴染んでくる。
肩に顎を乗せたまましばらくそうしていると、二人の鼓動が重なっていくのがわかる。
 俯いていた光国は、意を決したようにすぐ横にある嵩の顔を振り返り、囁いた。
「たかし、ごめんね。……お願い……して」
 光国を抱く手に一度力が入った後、嵩は小さく頷いた。
335森x羽仁 7/9:2006/09/03(日) 16:37:20 ID:ulgaEsRU0
 下着を取り去ると、光国の性器は既に興奮を示していた。その状態を嵩に見られる事に
羞恥を感じているのか、光国はもじもじと体を揺らしている。
「……触るぞ」
「あっ!」
 嵩の指がペニスの先に触れると、光国の体がびくりと跳ねた。根元へと指先を焦らす
ように滑らせると面白いようにぴくぴくと反応を返す。
「ひゃっ……や、たかし」
 快感よりも衝撃を受けているような様子の光国を気遣いつつ、嵩は赤く勃ち上がった
性器を掴んだ。
「んっ……」
「握って、擦る」
 そう言って、力の加減をみながら手をスライドさせ始める。
「あ、あっ、やああ……何か、ヘン……」
 皮を滑らせるようにして芯をしごいてやると、光国は泣いているような追い詰められた
声で訴えた。それが快感の喘ぎである事は明らかだったが、本人は正体の知れない感覚に
振り回され、追い切れないでいる。
「光国」
「あ、んんっ、た、かしぃ……」
 嵩は光国の右手を取ると、一緒に性器を握り込むようにして包み込んだ。空いた左手で
光国の胸を抱え込み、宥めるように愛撫する。
「自分のペースを作れ。お前のいいように」
「ん……わ、わかった」
336森x羽仁 8/9:2006/09/03(日) 16:37:52 ID:ulgaEsRU0
 はあ、と大きく息を吐き、光国は恐る恐る手を動かす。最初はゆっくりとした動きが、
徐々に夢中になって激しいものに変わる。
「たか……し……ヘンだよ、あ、あ、何か……何か、来る」
「そのまま……続けろ、光国」
 光国の先からたらたらと零れたものが、二人の指を濡らしてより滑りやすくしている。
はっはっと獣のように息をつく光国の体は、火を抱いているように熱い。嵩もその熱に
浮かされたかのように、口の中が乾いて貼り付いている。
「やっ、ダメ、ダメ! も……たかし……いっ」
 光国の左手が体に回された嵩の腕を握りしめた。限界を越えた体を丸めるようにして、
びくびくと数度波打たせる。
何回かに分けて吐き出された光国の精液は、嵩の掌に受け止められ、どろりと滴った。
「……は、あ……はぁ、はぁ」
 光国は息を整える事もできず、ぐったりと仰向けに嵩にもたれかかった。
とろりとした瞳はぼんやりと嵩の顔を見つめ、弛んだ口の端から一筋唾液が零れている。
 嵩が口元を指で拭ってやると、光国はふにゃりと笑った。
「気持ちよかったぁ……たかし」
337森x羽仁 9/9:2006/09/03(日) 16:38:23 ID:ulgaEsRU0
 嵩はいつものように「そうか」とうなずく事はできなかった。
……嵩は嵩で危機的な状況に置かれていると気付いたからである。少し腰を引きながら、
嵩はそそくさと後始末を始める。
 ティッシュで自分と光国の指や性器を拭き取ってやり、脱力した光国の着衣を整えてやった。
その間にとろんとした光国の目はほとんど閉じてしまい、すっかり眠りかけている。
「ん……たかしぃ」
 ベッドの中央に寝かせてシーツをかけてやると、光国は夢見心地の声で嵩を呼んだ。
「ありがと。またしよーね」
「……お」
「おやすみぃ……」
「お……」
 おーいおいおいおいまたって何だ光国……という嵩の心の声は光国に届くことなく、
光国はうさちゃんの手を握って安らかな寝息を立て始めた。
 笑顔で眠りについた光国の怪しい言葉は気になったが、とりあえず切羽詰まった嵩の足は
トイレへと向かったのだった。

 嵩が足早に部屋を出た後、光国が「青いね……」と呟いたかどうかは定かではない。
338森x羽仁 おしまい:2006/09/03(日) 16:39:04 ID:ulgaEsRU0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ テンプレドオリダナ…
 | |                | |     ピッ   (・∀・;)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
339風と木の名無しさん:2006/09/03(日) 16:42:12 ID:0dR47byH0
>>328
ちょw最後の一行でやられたwww
それで無くても萌えたのにどうしてくれるんだ!
340風と木の名無しさん:2006/09/03(日) 17:29:48 ID:NhOlchNV0
>>328
GJw最後ワロタwwwwGJwwwwwww
341風と木の名無しさん:2006/09/03(日) 18:08:42 ID:uiDKNqdLO
>>328
GJ!黒羽仁の方だったか
342風と木の名無しさん:2006/09/03(日) 18:09:30 ID:uiDKNqdLO
ごめんなさい、上げてしまいました…ごめんなさいorz
343風と木の名無しさん:2006/09/03(日) 18:51:40 ID:bnMDDrLv0
>>328
GJ!
禿萌えた…上に笑ったww二重に悶えたよ
344風と木の名無しさん:2006/09/03(日) 19:55:52 ID:S8p9K/hVO
>>328-338
元ネタ知らんけど、最後の一文に萌えますたw
345風と木の名無しさん:2006/09/03(日) 20:40:43 ID:YVBzQ6hK0


202 名前:名無しさん 投稿日: 2006/09/03(日) 17:02:18

棚ってゴミ捨て場じゃなかったのか!

ていうのは冗談にしても
あの程度をスルーもできないとは
「全てネタ、何でもアリ」の棚の名が泣く


203 名前:名無しさん 投稿日: 2006/09/03(日) 18:34:20

ここは読み手がスルーする事を知らないから仕方ないとしても、棚でも受け入れてもらえなかったんだ。
じゃあ余程酷い作品だったんだね。
鬼畜スレから出ていってくれて良かったね。

346風と木の名無しさん:2006/09/04(月) 00:13:48 ID:m79dRGB80
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  やきうナマモノ。最近話題が多いので。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  大学同級生&同背番号の☆×燕らしいよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

3471:2006/09/04(月) 00:14:40 ID:m79dRGB80
四番としての仕事が果たせない。
シーズン当初、不調だった差益さんに変わって四番に抜擢された。
小さい頃からそれが望みだったし、期待に違わぬ活躍もしてきたはずだった。
ここに来て突然の不調。
自分でも何がどうなってるんだかさっぱり訳がわからなかった。

あいつは今、名古屋だっけな。
俺は思い立ったように携帯を手に取り、た行に登録してある名前の番号を押す。
「・・・もしもし」
さすがに夜遅かったからか、少し不機嫌そうなあいつの声が聞こえる。
「おーす、元気?」
「・・・何か用?」
相変わらず素っ気ない奴だな。
「冷たいなあ、せっかく俺様が心配して電話してやってるのに」
「切るよ」
「ちょ、待てよ!嘘だよ!」
「・・・だから何なんだよ。用があるなら早く言ってくれない?」
お前の声が聞きたかった、なんて言えるわけもない。

「今日、2回投げたんだってな。お疲れさん」
「どうも」
「何だよお前、すっかりリリ一フとして定着してるみたいで」
「・・・しょうがないだろ」
ああ、そういえば先発で不調だったんだっけな。
気に触ったのか、口調が明らかに厳しくなってた。
3482:2006/09/04(月) 00:15:25 ID:m79dRGB80
「お前、リリ一フに完全転向したらどうなの?」
「・・・そんなの俺が決めることじゃない」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
さすがに今ので機嫌を悪くしたな、とは思ったけど反省はしない。

「・・・で、群他はどうなんだよ」
「あ?」
「4番」
「珍しいな、お前から心配してくれるなんて」
思わず笑みがこぼれた。
声が聞きたくなったからと思ったけど、本当は誰かに気にかけてほしかったのかもしれない。
「最近、打ってないみたいだから」
「ま、お前にも三振しちゃったしな」
「・・・前場外打たれたから」
「覚えてるじゃねーか」
「・・・まあ」
「どうしてだろうな、昔の恋人相手だから気が緩んだかな」
「・・・黙れ」

やっぱり今でもそういう扱いをすると怒る。
大学時代は同じ部屋で暮らして、飯作ってもらって、掃除も選択もしてもらったのに。
それなのに、お前は他の男のところに行ってしまった。手の届かないところへ。
「どーしたもんかな。俺様でもさっぱり打てない理由がわからねーよ」
「・・・プレッシャーなんじゃないの」
「ああん?」
「4番だから、チ一ムのためになんとかしなきゃと思って・・・
 前向きにプレッシャーが働くことがあるなら、後ろ向きに働くこともある。
 だから、今群他は後ろ向きのプレッシャーがかかってるんだと思う」
3493:2006/09/04(月) 00:16:05 ID:m79dRGB80
あまりにも予想外な言葉に、俺は次の言葉が瞬時に出なかった。
「ちかっぱ珍しいな、お前に心配されるなんて」
「・・・別に」
あ、ちょっと照れてる。
嬉しくなって笑いながら返答すると
「・・・用が無いなら切っていい?寝たいんだけど」
と再び不機嫌な答えが返ってきた。
「・・・ありがとな」
「は?」
「お前のおかげで何か吹っ切れた気がする」
「ああ、そう」
誉めてるのにこの態度かよ。素なんだろうけど。

「じゃ、おやすみ、愛してるぜ」
そう言うや否や、いきなり電話を切られてしまった。
この野郎。
どこまでこの男・群他をもてあそんだら気が済むのか。
あわてて今の番号をリダイヤルする。
「冗談だっつの!・・・とにかく、ありがと。気が晴れた」
「あっそ・・・」
また電話を切られる。
だけど今度は違う。


切る直前に、すごく小さい声でおやすみと言われた。
350風と木の名無しさん:2006/09/04(月) 00:16:36 ID:m79dRGB80

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オソマツサマデシタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
351風と木の名無しさん:2006/09/04(月) 01:44:36 ID:EEuE64uqO
>>346
マイブーム来てタ━━━(゚∀゚)━━━!!
姐さん激しく乙ですハァハァ
愛してるとか言っちゃう群者も電話切っちゃう盾山もかわいいよ_ト ̄|○
352踊る吸血鬼1:2006/09/04(月) 19:37:20 ID:56a6RjA30
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )9669城の蝙蝠DEATH!



助手は震えそうになる手を祈るように握り締め、ぎゅっと目を瞑った。

決して寒いわけではない。それどころか、真冬のトランシルバニアだというのに、
この部屋は午睡にまどろむ春よりも暖かい。蔦が絡まるような細工の施された鉄
柵に覆われた、大きな暖炉に揺らめくオレンジ色の炎がこの部屋を暖めている。

時折、窓のガラスを揺らす風の音と、ぱちぱちと木が炎に炙られて弾ける音だけ
が響いている。今夜はやけに静かな夜だった。

「お待たせ、アルちゃん」

そう微笑みながら続き部屋のドアを開け、しどけないバスローブ姿で現れたヘ
ルベルトの猫撫で声に、助手の肩は大きく震えた。足音のしない息子が
、それでも近づいてきているのが血のざわめきでわかる。ヴァンパイアになって
からと言うもの、同属が近くにいるときは血がざわめき、そして高揚が助手を押
し包んだ。欲望に忠実にあれ、それを美とするヴァンパイアには未だ慣れない。
同属のヴァンパイアを見ても、血の渇きより、血のざわめきより、恐怖が助手を
支配していた。

それは息子に対してもそうだった。

昼間、そう、ヴァンパイアで言うならば真夜中はまだいい。棺は一人一つと決め
られている為に、横に並べて眠るだけだ。それでも、クコールが棺の蓋を閉める
瞬間まで息子は一人で喋っている。一人は寒い、寂しい、一緒に寝たい、
しろちゃんがいない等々。父である伯爵にたしなめられ、クコールに無理やり蓋
を閉められて初めて静かになるのだ。もっとも、棺が重厚なせいで静かになった
ように見えるだけで、実際はブツブツ独り言を言っているのかもしれないが。
353踊る吸血鬼2:2006/09/04(月) 19:49:03 ID:56a6RjA30
座った息子の重みで、ふかふかのベッドが沈むのを感じた。

「ねぇ、震えてるの?」

まるで耳に噛みつかれるかと思うほど近くで、息子が囁いた。

「ひゃっ!」

助手は間抜けな声とともに、囁かれた耳を両手で押さえて1メートルほど横に
飛び退った。キングサイズのベッドは、それでもまだ余裕がある。こんな状態でも
、「教授と一緒に寝たベッドよりも大きいなぁ」と、助手は少しだけ感心した。

助手が恐る恐る目を開けて息子を見れば、眦を下げず、口だけを横に
ひいてじっとこちらを伺っている。助手はこの微笑が苦手だった。目が笑ってい
ない笑顔は、助手にとって、なにか非常に恐ろしいもののように感じる。その本
能的な恐怖は、いつも決して間違っていないのだった。


そもそも、二人でベッドに座る羽目になったのは、伯爵の一声だった。

「風呂好きと結ばれたいなら経験を積むことだ。まあ、我が息子は少々惚れっぽいと
ころがあるが経験は豊富だ。君の、良い教師になれると思うが」

助手は「風呂好き」に弱かった。どんなに邪険にされても、どんなに軽くあしらわれて
も、風呂好きのためなら助手はなんでもできた。たとえそれが体よく追い払う為に「
あなたにスポンジを取ってきて欲しいの」と言われたにしても、そうとは気づかず
に忠実にこなした。スポンジは見つからなかったが。
354踊る吸血鬼:2006/09/04(月) 19:51:19 ID:56a6RjA30
すみません、なんだかうまく貼り付けられなかったので
もう一回出直しますorz
355踊る吸血鬼1(再):2006/09/04(月) 19:54:03 ID:56a6RjA30
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )再び9669城の蝙蝠DEATH!
息子×助手(大)です。

助手は震えそうになる手を祈るように握り締め、ぎゅっと目を瞑った。

決して寒いわけではない。それどころか、真冬のトランシルバニアだというのに、
この部屋は午睡にまどろむ春よりも暖かい。蔦が絡まるような細工の施された鉄
柵に覆われた、大きな暖炉に揺らめくオレンジ色の炎がこの部屋を暖めている。

時折、窓のガラスを揺らす風の音と、ぱちぱちと木が炎に炙られて弾ける音だけ
が響いている。今夜はやけに静かな夜だった。

「お待たせ、アルちゃん」

そう微笑みながら続き部屋のドアを開け、しどけないバスローブ姿で現れたヘ
ルベルトの猫撫で声に、助手の肩は大きく震えた。足音のしない息子が
、それでも近づいてきているのが血のざわめきでわかる。ヴァンパイアになって
からと言うもの、同属が近くにいるときは血がざわめき、そして高揚が助手を押
し包んだ。欲望に忠実にあれ、それを美とするヴァンパイアには未だ慣れない。
同属のヴァンパイアを見ても、血の渇きより、血のざわめきより、恐怖が助手を
支配していた。

それは息子に対してもそうだった。

昼間、そう、ヴァンパイアで言うならば真夜中はまだいい。棺は一人一つと決め
られている為に、横に並べて眠るだけだ。それでも、下男が棺の蓋を閉める
瞬間まで息子は一人で喋っている。一人は寒い、寂しい、一緒に寝たい、
しろちゃんがいない等々。父である伯爵にたしなめられ、下男に無理やり蓋
を閉められて初めて静かになるのだ。もっとも、棺が重厚なせいで静かになった
ように見えるだけで、実際はブツブツ独り言を言っているのかもしれないが。
356踊る吸血鬼2(再):2006/09/04(月) 19:55:38 ID:56a6RjA30
それがどうしてこんなことになってしまったのか。

助手は豪奢な天蓋のついたベッドに座り、目をぎゅっと瞑ったまま、隣に
座った息子の重みで、ふかふかのベッドが沈むのを感じた。

「ねぇ、震えてるの?」

まるで耳に噛みつかれるかと思うほど近くで、息子が囁いた。

「ひゃっ!」

助手は間抜けな声とともに、囁かれた耳を両手で押さえて1メートルほど横に
飛び退った。キングサイズのベッドは、それでもまだ余裕がある。こんな状態でも
、「教授と一緒に寝たベッドよりも大きいなぁ」と、助手は少しだけ感心した。

助手が恐る恐る目を開けて息子を見れば、眦を下げず、口だけを横に
ひいてじっとこちらを伺っている。助手はこの微笑が苦手だった。目が笑ってい
ない笑顔は、助手にとって、なにか非常に恐ろしいもののように感じる。その本
能的な恐怖は、いつも決して間違っていないのだった。


そもそも、二人でベッドに座る羽目になったのは、伯爵の一声だった。

「風呂好きと結ばれたいなら経験を積むことだ。まあ、我が息子は少々惚れっぽいと
ころがあるが経験は豊富だ。君の、良い教師になれると思うが」

助手は「風呂好き」に弱かった。どんなに邪険にされても、どんなに軽くあしらわれて
も、風呂好きのためなら助手はなんでもできた。たとえそれが体よく追い払う為に「
あなたにスポンジを取ってきて欲しいの」と言われたにしても、そうとは気づかず
に忠実にこなした。スポンジは見つからなかったが。
357踊る吸血鬼3:2006/09/04(月) 19:56:35 ID:56a6RjA30
実際のところ、ヴァンパイアになって伯爵の城で暮らすようになっても、風呂好きは
助手に冷たかった。冷たかったというよりも、伯爵しか目に入らない、というのが正
しいかもしれない。邪険にされてもへこたれない、それが助手の良いところでも
あった。しかしそれは、旗から見れば、風呂好きにとってはうっとうしいことこの上ない
ようにだった。

助手も『恋愛入門』を枕の友に、毎晩シュミレーションを重ねているが、その効
果は一向に現れない。

「そしてチャンス訪れたら、迷わないで進みなさい」

『恋愛入門』はそう語りかけてくれるが、迷わないで進んでいるのに、風呂好きはちっ
とも微笑んでくれない。そう助手が『恋愛入門』に語りかける回数も多くなって
いくのだった。

「結ばれたいそう願う恋人よ。幸せの確率はあなた次第」

となっている文末はすっかり助手の頭から抜け落ちてしまっている。要は、彼に
とってのチャンスは、客観的に見て本当のチャンスではなかったのだ。


そんな日々に少しへこたれてきた助手は、ある日、優しく微笑みながらそう諭
してくれた伯爵の言葉に、うっかりと乗ってしまったのである。時は折りしも夕暮
れ時。燃え盛る炎のような夕日が沈み、闇が空を覆い始めた、モーヴの空。

下男が入れてくれた砂糖たっぷりのアップルティーにだまされたのかもしれ
ない。息子の微笑を見ていると、後悔が絶え間なく助手を襲ってくるの
だった。
358踊る吸血鬼4:2006/09/04(月) 19:57:23 ID:56a6RjA30
「顔が青いけど・・・」

いつの間にか隣に腰掛け、助手の肩を右腕で抱き、左手で助手の両手を握
りこんだ息子が、うつむいた助手を覗き込んできた。鷹のような、いやむ
しろ蛇のような眦の釣りあがった息子の黒色の瞳と視線が合ってしまった
助手は、まるで睨まれた蛙のように体を硬くして、視線を外せなくなっていた。

「熱があるみたいだ」

そのまま額同士をくっつけられ、熱を計られる。息子の何もかもが、助手
の想像の範疇を超えてしまっていた。射止められた視線も、額がくっつくと同時
に閉じられ、助手はほっと肩の力を抜いた。

「いや、そうじゃないね。ねえ、変だよ?」

額を離し、再び息子の瞳に射止められ、体を硬くしてしまった助手は、
何か言おうとしても口をパクパクさせるだけで、まったく声が出なかった。

「ち、ち、近いでぇすっ!」

顔をくしゃくしゃにして、なんとかかんとか口をついて出た言葉は真理だった。
息子と助手の顔は10cmも離れていない。半泣きになりながら、なんとか顔
を顔を逸らせようと試みる助手だったが、息子がそれを許さなかった。

「近いかな?じゃあ、こうすれば気にならないよね?」

「ね?」も言い終わるか終わらないか。気がつけば助手の唇は息子の唇
によって塞がれていた。まさに不意打ちというにふさわしい唐突さで、息子
は助手の唇を奪ったのだ。
359踊る吸血鬼5:2006/09/04(月) 19:58:12 ID:56a6RjA30
咄嗟の機転が利かない助手は、息子の思いのままだった。機転が利く
利かないの前に、あまりの衝撃に頭の中が真っ白になってしまったのだろう。
息子の長い舌にあっさりと唇を割られ、舌を引きずり出される。舌先を吸われ
、くすぐるように上顎を撫でられ、何度も角度を変えられて唇を合わせられる。の
けぞるような姿勢で口付けられた助手は、「苦しい」と息子の胸を押し
返そうと試みるたが、まるで息子が大きな岩になってしまったかのようにび
くともしなかった。

どちらのものともつかない唾液が、助手の唇から零れ落ち、息子が助手
の口腔を嬲るたびに、呻きとも喘ぎともつかない声が助手の鼻から漏れた。
その頃には、必死に息子の胸を押し返していた力もいつのまにか抜けて
しまい、助手の腕はだらり垂れ下がっていた。

「ちょっと激しかったかしら?」

そうは言っても全く反省の色もなく、むしろ楽しんでいる声音で息子は呟
いた。意識が朦朧としている助手を優しくベッドに寝かせ、ベッドの横にしつら
えてあるオークの木目も美しい、アールデコ様式のサイドボードの引き出しを開
ける。

中は本やらペーパーナイフ、色のあせた手紙などごちゃ混ぜだったが、息子
は迷わずに奥の方からクリスタルをかたどったような、まるで香水の瓶のよう
な水色のガラス瓶を取り出した。慣れた手つきで、片手で蓋を開けると、助手
の鼻先にそっと香りを燻らせた。
360踊る吸血鬼6:2006/09/04(月) 20:00:23 ID:56a6RjA30

「んっ・・・」

ヴァニラのような甘い香りのその奥に、かすかに香るアルコールのようなきつい
香りに眉根を寄せて、助手はやっと意識を取り戻した。

「気がついた?アルちゃん」

「なに・・・?」

ゆっくりと匂いの元をたどるように起き上がった助手に、息子はもう一度
ガラス瓶を嗅がせる。強い香りに咽た助手を抱き起こすと、そっと耳元で囁い
た。

「父上がねぇ、ずっと前にくれたんだぁ・・・僕にはもう効かないけど、アルちゃん
なら、きっと楽しくなると思うよ」

その後に微笑んだ息子は、いつもの助手であったら悲鳴を上げていた
に違いないほど禍々しい微笑だった。目は笑っているものの、その奥には欲望の
火が昏く揺れている。

しかし、助手は虚ろな瞳で息子を見上げるだけだった。


[□] STOP ピッ ◇⊂(・∀・;)前編終わり!
後半はいつになるかわかりません・・・
色々ヘマしてすみませんでしたorz
361風と木の名無しさん:2006/09/04(月) 20:46:21 ID:bauUfD8UO
もう来なくていいよ
362風と木の名無しさん:2006/09/04(月) 21:10:35 ID:UJYiE/fX0
>>361
貼り付けミス程度でそんな事言ってやりなさんな。
363風と木の名無しさん:2006/09/05(火) 00:18:54 ID:9awtL0c+0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  声の人ナマモノ。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  某聖獣の放浪兄弟の中の人(兄×弟)
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )我ながらヒドイオチだぜ
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


※以前該当スレにお伺いを立てたら、こちらに誘導されたので需要無視して投下。
 攻め…後輩。美脚のエロ声。ガチオタでアフォな大型犬。
 受け…先輩。癒し系容姿で少年声。ツンデレで自称美食家。
後半に出てくる「サク」は受けの同職親友です。
なんかキャラ設定も間違えてる上、いろいろ不親切な作りで申し訳ない_| ̄|...○
364椙田友和の憂鬱(1/11):2006/09/05(火) 00:21:13 ID:9awtL0c+0
「っらっしゃーい」
賑やかなざわめきと威勢の良い若い店員の声に迎えられ、俺はレトロな赤いのれんをくぐった。
木目調の壁に昭和ノスタルジー漂うポスターが張られた店内をぐるりと見渡したが、入り口で突っ立っている俺に手を挙げて席へ誘う者はいない。
俺は久しぶりの一人酒の予感に、20%ぐらい寂しさの混ざった安堵のような物を覚えて小さく息を吐いた。

仕事で使うスタジオの近くにあるこの居酒屋は、俺以外にも仕事仲間の常連がいる。
だから当然、のれんをくぐった先で、「おう、錫村」とか「あっ錫村さんじゃないっすか〜」とかいう聞き慣れた先輩や後輩の声を聞くこともそう珍しいことではなかった。
が、しかし。
こういった状況下でアイツの顔と声が即座に浮かばなかったのは、つまり俺とアイツがこういう場所で滅多に遭遇しないことを意味する。
アイツは自分から積極的に呑みにいくやつではない。
一滴も飲めないわけでもないし、誘われれば付き合い程度に呑みはする。
酒の席ではゲーム仲間とオタッキーな話に熱が入ることもあるし、尊敬する先輩のタメになるお話を、
妙に無邪気で幼い子犬のような目で真剣に聞き入ってたりもする。
だけど、そんなときでも時々、ふっと会話の輪から外れて黙りこくる時がある。
自分の隣で飲んでは騒ぐ奴らを、妙に優しい顔で微笑みながら見守っていたりすることが、どちらかと言えば多いのだ。
正直、そんなアイツの普段のテンションとのギャップは少し不気味だったが、大して疑問には思っていなかった。
少し前、むりやり飲まされてフラッフラになっていたのを見て、酒に飲まれる質であることは知っていたし、
アイツ自身も酒を飲むより酒の席で人の話を聞いている方が好きなのだ、と言っていた。
なにより普段は無駄に響きの良い声で「錫さん」「錫さん」と言ってまとわりついてくる椙田が酒の席でおとなしくなるのは、
俺にとっても非常に都合が良かった。
まあ、そんなもろもろの事情のおかげで、俺はカウンター席のヤツの隣に座るまで、
そいつがでかくてうざくて鬱陶しい後輩の椙田友和であることに気が付かなかった。
365椙田友和の憂鬱(2/11):2006/09/05(火) 00:23:30 ID:9awtL0c+0
ソイツはカウンターの端っこで、不機嫌そうにグラスを煽っていた。
大きくて骨ばった作りの少し色の白い手は、中身の無くなった麒麟のロゴが入ったグラスを離そうとしない。
常時下らないネタと見当違いな説教ぐらいしか喋らない口はへの字に曲げられ、
眇めるように瞼を伏せた目つきはいつも俺を見下ろす上目遣いからは程遠い険呑な空気を纏っていた。
そこそこ上背のある男がそんな表情でテーブルの木目をじっと睨んでいる姿は、
後ろに見える重厚な壁の焦げ茶色が一際重苦しく見えるほど、何か物々しい空気を放っていた。
普段の気の抜けたへらへら顔がひどく強面に見え、不覚にも俺は一瞬ビビってしまった。
勘違いしないよう言っておくが、びびったのは本当に一瞬だ。
どんなに不機嫌であっても椙田がアホでガキっぽいオタッキーな後輩であることは1ミリたりとて変わらない。
……まぁ、さすがに物理的な力の差は多少なりともあるかもしれないが、
こいつは臆病者だから殴り合いのケンカなんて俺がふっかけても乗ってくることはないだろう。
まぁ、そんなわけで今日の椙田は普段よりも若干話しかけづらい雰囲気ではあった。
だが俺は物怖じすることなくヤツに声をかけた。
この賢しくも人間の出来た俺が椙田に対して少しも後れを取るわけはないのだから。
「椙田?」
しかしながら不覚にも俺はその直後、コイツを構ってやろうとか言う自分の出来心を少しばかり後悔した。
椙田が眉間に皺を刻んだまま、暗く荒んだ視線を迷惑そうに俺へ向けた。
酔っている所為なのか、焦点が定まらずにゆらゆらと俺の顔の辺りを彷徨っている。
その荒んだ視線がなんだか少しもの悲しく思えて、俺はしばし椙田の顔を凝視してしまった。
椙田は3秒ほど俺を睨みつけてからやっと俺の顔を認識したらしく、ゆっくりと間抜けで情けないびっくり顔へ変わっていった。
その様はさながら、昨夜見ていた恋愛ドラマの俳優の演技のようだった。
顔はそのアイドル俳優の十分の一も整っちゃいなかったが、小さく漏らした吐息の色はヒロイン役の女優にも勝る物があった。
口にするのもおぞましいが、お前の声の色気ってのは確実に垂れ流すシチュエーションを間違えているぞ。
366椙田友和の憂鬱(3/11):2006/09/05(火) 00:25:18 ID:9awtL0c+0
「す……ずさん」
椙田は俺の顔を見るなり、一転して今度は鼻づまりの中学生みたいな声だしやがった。
なんだ、顔が間抜けなら声まで間抜けなのかお前は。
「そ、な……なんで……」
俺がここにいるのがそんなに珍しいか。
というか俺はお前がここで一人飲んでることに驚いたぞ。
お前にも一人で飲みたい時なんてのがあるのか?しかしこんな同職が集まりそうな店をチョイスしたのはなんでだ?
実は友達いないんですアピールか?孤独な一匹狼アピールですか。寒いぞ。
「や、たまたま目に付いた店に入っただけで……すずさんは?」
どうして、と小首を傾げて俺に尋ねてくる椙田は、普段の「アホの椙田」そのままだ。
ん、このフレーズは使えるな。いつかどっかで使ってやろう。
しかし正直に言うとちょっと安心した。まったく、さっきのお前は少しばかり心臓に悪かったぜ。
「俺は仕事終わりに飲みにきたんだよ。
つーかなんだ?珍しいじゃん、お前が一人で飲んでるなんて」
俺がそう言うと椙田は少しばつが悪そうな顔をして視線を逸らした。
あ、……これはマズイ。
椙田の表情の変化から俺は即座に嫌な予感を感じた。
気まずそうに引き結ばれる唇、定まらない視線と少し涙に潤んだ目。
この顔を、昔は良く目にしたものだった。
先輩の無茶ぶりで滑ってしまった時、トークで調子に乗って自滅した時、調子が悪くてリテイク何度も出してた時、
椙田はまるでおかんに怒られた小学生みたいにしょんぼりした顔をする。
八の字に下がる眉といい、どこか幼い寂しさで泣き出しそうな表情は、どことなく飼い主に叱られた大型犬のようでもある。
うん。椙田も大型犬の一種と思えば普段の鬱陶しさも可愛いと思わないことも、…………あるか。
だいたい男を可愛いと思っていったいなんの得になるんだ。おちつけ、俺。
椙田は後輩としては可愛いがただの男だ。しかも若干空気が読めない困ったくんだ。
俺にとって椙田はそれ以上でもそれ以下でもない。
よし、落ち着いた。俺は正常だ。
367椙田友和の憂鬱(4/11):2006/09/05(火) 00:27:32 ID:9awtL0c+0
「仕事でなにかあったのか?」
そういや今日はサクが椙田とラジオ収録だとか言ってたっけ。
まさか、またサクに何か言われたのか?
アイツはやたらと椙田につっかかるけど、そんなん今に始まった事じゃないし、椙田も今更そのくらいで凹むとも考えづらいしなぁ。
またオチのない話をして一人でスベったか、伏せ字トークが出来なくて怒られたか、
あるいは先輩にふっかけられた無理難題に挑んで自滅して笑いものにされたとか……。
可能性は泉のように涌いて出るが、真実は結局分からないままだ。
コイツの行動なんぞ俺の知った事じゃないが、こうまであからさまに凹まれると無性に気になる。
椙田の顔を見やるとヤツの口唇は固く結ばれて、眉間が緊張している。
何かの衝動に耐えるようなその表情を見て、俺はこのあとの返事もなんとなく読めた気がした。
現場を同じくする先輩には仕事がらみの悩みや不満ってのはそうそう簡単に打ち明けられないもんだ。
こういう気ぃ使いなヤツが、面倒見の良い優しい先輩(この場合は俺)の気遣いを受けた時に、後輩としてする返事は一つだ。
誰にとはなく救いを求めていた表情を無理矢理濁し、
「……べつに」
と言って、無理に笑ってみせるのだ。
けれど、ここで一つ問題がある。
他の面倒見の良い優しい先輩は、そんなぎこちない笑顔を見てそれとなく悩める後輩の心情を察し、「そうか」とか何とか言って話を濁してやる。
それが真に優しい先輩ってヤツで、そこで強引に根掘り葉掘り聞き出すようなヤツはただの下世話な野次馬で、
人間性に問題があると俺は思う。あ、もちろんケースバイケースだけど。
そして俺は、そういう所の気配りは出来るつもりでいたし、実際他の後輩の同じような場面に遭遇した時は正しい対応をし、
尚かつ「なんかあったらいつでも言ってこいよ」的な懐の広さまでみせてやったりもした。
ただ、この場において俺はセオリー通り「気配りの出来る優しい先輩」を演じることが出来なかった。
一体何故か?それは俺が、


「俺、お前のその顔嫌いなんだよね」


椙田の無理に笑う顔が、この世で3番目に嫌いだからだ。
368椙田友和の憂鬱(5/11):2006/09/05(火) 00:29:56 ID:9awtL0c+0
椙田が俺を見て絶句している。
そりゃ、そうだろう。勝手に詮索して勝手に怒りだしゃ誰だってびっくりするよな。
分かってはいるんだ、頭ではな。ただし、頭と体がいつでも同じように動くわけじゃない。
「お前俺に気ぃ使ってるつもりなの?それなら言ったるけどなぁ、正直言って全然使えてへんで。
誤魔化すんならもっとうまくやれや。なんやねん、そのみっともない顔は。
目ぇ死んでるんや、眉間に皺寄っとんねん。そんな顔見せんな、胸くそわりぃ。
なんかあったんならあったなりに『ほっといてください』ぐらい言えんのかアホ」
俺は商売道具であるはずの似非関西弁が出ていることも構わず、まくし立てた。
よくもまぁここまで自分勝手なことが言えたもんだと、自分でも感心するくらいだ。
そうだよ。俺は自分勝手だよ。
俺に遠慮なんかする椙田が気にくわない。こんなとこで一人で飲んでる椙田が気にくわない。
俺を遠ざけようとする椙田が気にくわない。俺が近くにいるのに、俺が……こんなに気にかけてやってんのに。
「な、なんで錫さんにそんなこと言われなきゃいけないんですか。
俺がどこでなにしてようが錫さんには関係ないことだし……そうだ、それこそほっといてくれたらいいじゃな……」

バンッ

店の中が一瞬静まり、テーブルを叩いた俺の右手のひらがじーんと痺れる。
「お前のそーゆーとこが嫌いや言うてんねん!!」
俺は三度驚いている椙田を睨みつけて怒鳴った。
でかい図体してウジウジウジウジ鬱陶しいんじゃ。
たまたま入った店だ?
仕事仲間が集まる店でこれ見よがしにいじけて飲んでて、それでほっといてくださいなんてよくも言えたもんだ。
ホントは誰かに構って欲しかったんだろうが。俺以外のヤツに慰めて欲しかったんだろうが。
だったら素直にそう言えよ。
お前に相談する話なんかねえって。さっさとどっか行っちまえって。
そうやってまた、俺を引き寄せたその目で俺を拒絶するのか。
369椙田友和の憂鬱(6/11):2006/09/05(火) 00:33:46 ID:9awtL0c+0
俺たちはしばらく無言で睨み合っていた。
一瞬静まりかえった店は俺たちが黙ることでゆっくりとまた元の騒がしさを取り戻していた。
頭に上っていた血もだんだん降りてきて、俺の視界にもようやく椙田以外のものが入ってくる。
視界の端でチラチラと俺たちの様子をうかがっているOLらしい二人連れ。
俺の体格に似合わない大声にビビったらしい。スイマセンね、チビで貧弱で。
椙田はテーブルの上で拳を握り、俯いたまま微動だにしない。
流石にやりすぎたかなーと俺が反省しかけたその時、不意に椙田が立ち上がる。
「……んですか」
俯く椙田の低い声が更に低くなり、地を這うような響きになる。
……あれ?
なんだこの展開。
「なんなんですかあんた!」
音圧で前髪が軽く浮き上がった気がした。
加えて椙田のらしくない大声は俺の体にびりびりと振動を与えて、真夏の重苦しい風のように通り過ぎていった。
椙田はこの店で最初に見た時よりも数段不機嫌だった。いや、不機嫌を通り越して怒っていた。
何故、とは思わない。椙田が怒っているのが俺のせいであることは火を見るよりも明らかな事実だったからだ。
ただ一つ不思議なことがあった。
椙田が俺の我が儘に苛ついているだけなら、どうしてこんな……泣きそうなのを堪えるような顔をするんだ?
370椙田友和の憂鬱(7/11):2006/09/05(火) 00:37:00 ID:9awtL0c+0
なんでコイツが泣くんだ。っていうか泣くようなこと言ったか?俺。
小刻みに痙攣する椙田の目尻にうっすらと涙が浮かぶのを見て、俺はとっさに視線を逸らした。
何を隠そう、その時俺は正真正銘びびってしまっていた。
椙田が激昂した所なんて初めて見たし、ましてそれが自分に向けられるなんて思ってもいなかった。
なにより、椙田の涙なんて意外すぎる物を見てしまった所為で、急に鼓動が激しくなってきたのだ。
きっと俺は混乱してるんだ。
誰だって理由も分からずに村上牛と間人蟹を同時に差し出されたりしたらびびるだろ?
ああ、いや違う。なんで美味い物に例えてんだ俺。これじゃ怒ってる椙田と泣いてる椙田が大好物みたいじゃないか。
違うぞ!断じて違うからな!俺は人を怒らせたり泣かせたりして喜ぶような趣味は持ち合わせてない!
でも……でも、きっと椙田の怒鳴り声と涙なんて俺以外に見たことあるヤツいねえんだろうな……。
その事実を確認するように胸の中で呟くと、また少し心臓が大きな音を立てて軋んだような気がした。
少し視線を落とすと椙田の大きな手が拳を握り、震えていた。
その拳が俺を殴るために作られたものでないことが、俺には何故だか分かった。
椙田は感情にまかせて人を殴るようなヤツじゃない。あの拳の内側には自分の激情が閉じこめられているのだ。
それが怒りなのかそれとも別のものなのかは、俺には分からない。
ただ俺はその拳を見ながら、小さい頃理不尽なことで親に叱られた自分が悔しさに握った拳の固さを思い出していた。
「っ!」
俺の見つめていた拳が唐突に俺の方へ伸びてくる。
俺は咄嗟に後ずさろうとしたが、叶わなかった。
椙田の大きく熱い手が俺の腕を素早く捕まえ、振り回すような強い力で俺を入り口の方へ引っ張っていった。
371椙田友和の憂鬱(8/11):2006/09/05(火) 00:38:34 ID:9awtL0c+0
「ちょっ、すぎっ……」
ほぼ椙田に引きずられるように俺は店を出、そのまま駅とは反対方向の住宅街へ歩かされた。
もともと数軒の飲み屋とスタジオぐらいしかなかった街並みはすぐに寝静まった住宅街に代わり、
やがて左手に遊具の少ない小さな児童公園が現れた。
木が敷地を取り囲むように生い茂り、1本しかない街灯の光の上に厚く影を被せている。
夜中の公園なんて人気がなくて不気味だと思っていると、俺の手を引いている椙田の足がその公園へ吸い込まれていく。
抵抗を許さない勢いでそんなところへ引っ張り込まれた俺は、とっさに虫の知らせというヤツを感じた。
これは、ヤバイ。
お前こんなところで何をするつもりなんだ、椙田!
「ちょっ、おい!放せよ!」
俺は椙田にそう主張したが、椙田の耳には届かなかったらしい。
腕を外そうともがく俺を振り返りもせず、どんどん公園の中央に向かっていく。
公園にはブランコとジャングルジム、それに奇妙に丸っこい形(ピンク色の象かもしれない)をした滑り台しかなかったが、
椙田は水色に塗られていたであろうペンキが剥げかけたジャングルジムへ向かっていく。
ま、まてまてまて。何をするつもりかは知らんがはやまるな!
いつもの冷静なお前に戻れ、椙田!
いや、元からそんなに冷静でもないか、こいつは。
いやいやいやしかし!ここはあえて冷静になって貰わなきゃ困る!
つーか掴まれてる腕にもう感覚ないんですけど。すげー、なんだこのバカ力。
火事場のナントカってヤツなのか、それとも結構鍛えてたりすんの?
夏はプールに通ってるとか聞いたことあるけど、プールで握力まで鍛えられちゃったりするもんなの?
372椙田友和の憂鬱(9/11):2006/09/05(火) 00:42:09 ID:9awtL0c+0
「す、椙田いてーよ。放せって……」
しかし、ここまで来ても謝罪の言葉が出ない俺ってなんだろうね?
ホントならすぐに謝るべきだったんだろう。ってか、あんなこと言い出さないのが一番良かったんだ。
ホントに俺はどうしちまったんだ。何でこんなヤツ相手にムキになってんだ。
さっさと謝っちまえば椙田だって許してくれるかもしれないってのに。
『勝手なこと言ってゴメン』
『さっきの言葉は忘れてくれ』
『あんなこと言うつもりじゃなかった』
『お前が心配だったんだ』
色んな言葉が脳裡をよぎり、俺はその中から今の場にふさわしい謝罪の台詞を探した。
だけど、すぐにそれが出来なくなった。
俺はこいつに謝る言葉なんか持ってない。謝ろうとも思ってない。
むしろ謝られるのは俺の方じゃないのか。
そんな確信にも似た苛立ちが台詞を全て打ち消した。
そうだ。
何か言うべきなのはお前じゃないのか、椙田。
俺はお前にとても重要なことを言ってもらってない気がするんだ。
それを言いもしないで俺をこんなところへ連れ込むって、それはちょっと順序が違うんじゃないのか、椙田。
いや、待て。
一体なんの順序が違うって?重要な事ってなんだ。
そもそも俺はこいつに何を求めてるんだ。椙田が俺に言わなきゃいけない事ってなんだ?
なんで俺はこんな危険な目に遭いそうになってまでコイツの口を割ろうとしてんだ。
おかしいだろ。
373椙田友和の憂鬱(10/11):2006/09/05(火) 00:45:11 ID:9awtL0c+0
『錫は、ちょっとおかしいよ』

ああ、そうだ。
おかしいのは俺だった。

『あいつのことなんか、……どうでもいいって言ってたくせに』

そうだな。
嘘じゃない。嘘じゃなかったんだ。
お前に嘘付いてもすぐ見破られるからな。

『なのになんで……なんでアイツのことばっか気にすんの?』

それはな、サク。
それは……。



『やっぱり、普通じゃないよ』

言われなくても分かってる。
男が男を好きになるのは、どう考えたって普通じゃない。
374椙田友和の憂鬱(11/11):2006/09/05(火) 00:47:28 ID:9awtL0c+0
「……ツッ!」
俺が背中を叩き付けられたジャングルジムは、不思議に心地よい余韻の高音を響かせている。
が、そんな音に聞き入る余裕は俺にはなく、ただ、痛いぐらい背中に押しつけられるジャングルジムを通して、
9月の夜気の冷たさを肌に感じていた。
両腕をがっちり押しつけられた俺は身動きすることすら許されない。
ちくしょう。マジでビクともしねえ。やっぱり俺はコイツを犬かなにかだと思って見くびっていたらしい。
高圧的に覆い被さる影を見上げると、そこには苦悩に歪んだ椙田の顔があった。
「錫さん」
低く響きの良い声は吐息まで甘く湿やかなのに、情けなく震えてイマイチ迫力がない。
それでも、こんな真剣に怒っている椙田を見るのは初めてで、俺はそのことに少し興奮した。
「俺が、どうしてこんなことしたか、わかりますか」
呼吸を整えるように一言一言区切りながら椙田が俺に尋ねる。
どうしてだって?
そんなこと、最初から分かってりゃおとなしく引きずられたりしねぇよ。
「わかんねえよ」
ただ、俺の所為だってことだけは分かる。
「そう。錫さんがいけないんですよ」
ああ、確かに俺は卑怯なやり方をしたかもしれない。
俺の方からは何も言わずに、お前の口から「それ」を引き出そうとしたんだ。時と場所も選ばずに。
失敗だったよ。ホントはこんな風にするつもりじゃなかったんだ。
もっと時期を選んで、お前の精神状態とかもろもろ考えるべきだった。
俺も年上らしく冷静でいるべきだったのかもしれない。
全てを慎重に行わなければならなかった。
お前だけにしか話せない、お前だけに伝えたい大事なことだから。

でもな、椙田。
375椙田友和の憂鬱:2006/09/05(火) 00:49:57 ID:9awtL0c+0
スマソ
11じゃ終わらなかった_| ̄|○
もうちょっと続きます
376椙田友和の憂鬱(12/11):2006/09/05(火) 00:52:48 ID:9awtL0c+0
「……だっ、て……」
「だってじゃありません!こんな時だけ子どもぶらないでください!」
「だって!」
「あんたいつもそうだ……。そうやって、俺を困らせてばっかりで……」
「だって俺……、お前が……っ」
「俺が、なんなんです?」
「……っ」
俺にそんな方法をとらせた自分は卑怯じゃないのか?
臆病な自分を棚に上げて俺だけ責めるのか。
他人は責めて、責められた自分の非は見ないふりかよ。
それは……いくらなんでもあんまりなんじゃねぇの?
「……椙田」
「なんですか」
上から降ってくる冷たい声に体が震えそうになる。
なんでだ。
最初に仕掛けたのはお前のはずなのに、なんで今俺はお前の機嫌を伺うような真似……しなきゃいけないんだ?
なんで俺、劣勢なんだよ。
ちきしょう。
俺は折れないぞ。
お前なんかに、絶対自分から言ったりしてやらない。
そうだろ?サク。
お前は俺に、味方してくれたんだよな……?
377椙田友和の憂鬱(13/11):2006/09/05(火) 00:54:42 ID:9awtL0c+0
「……サクに、言われたんだろ?俺のこと」
「っ!」
椙田は馬鹿正直に息を呑んで、俺から少し身を離した。
拍子に緩んだ手を素早くふりほどいて、俺は椙田の胸ぐらを掴んで唇を寄せた。
「す、錫さ……!?」
俺の身長が足りなくて椙田が少し前屈みになるのが悔しいが、これでもくらえ!
「んっ……」
身を引こうとする椙田を引きとどめ、軽く下唇に歯を立ててやると椙田は慌てて目を閉じた。
「ふ、」
鼻に抜ける呻きがなんとも色っぽい。こんなところで仕事の成果を出すんじゃねぇ。
さっきまで暴力的だった椙田の手が、今度は縋るような弱い力で俺の腕を掴む。
襟元を掴んだ右手を椙田の後頭部を回して固定する。
ごわごわの黒い髪の下から伝わる体温が、俺のめちゃくちゃな衝動をひどく煽る。
抱き込むように引き寄せ、強く押しつけて上唇も下唇も吸ってやる。
椙田の唇が震えているのが分かったが、やめる気はさらさらなかった。
「ハ……」
一瞬だけ放してやると、椙田が戸惑いがちに息を吐く。
唇が薄く開いたのを確認し、自分の唇を舌で湿らせてからもう一度重ねようとした。
が、そこでようやく我に返ったのか椙田はハッと目を見開き、腕を突っ張って上体を離した。
「す、錫さん!」
物理的な力の差に俺は逆らえない。
だけど、ここで物理的な距離を作っては駄目だと思った。
だから俺は椙田の胸ぐらを掴んだまま、椙田の腕の分だけ距離を許した。
378椙田友和の憂鬱(14/11):2006/09/05(火) 00:56:40 ID:9awtL0c+0
「な、なにを……」
「サクに何言われたんだよ」
狼狽える椙田の質問には答えず、俺は俺の聞きたいことだけを質問する。
……けど、本当は知ってるんだ。
サクに俺の気持ちがバレていたのと同じように、俺にはサクのお節介が手に取るように分かるんだ。
もしサクがこういう立場になったとしても、俺は今のあいつとまったく同じ事をしただろう。
サクがまだ思いを自覚しないうちにきっぱりと何度も否定して、あらゆる手段で接近を邪魔して、
サクの見えないところで相手を牽制しまくって、一人で悪者になって、空回って……。
「それ、は……」
でもなサク。
お前がお節介を焼かなくても、俺は全部知ってたんだよ。
お前が椙田に何を問いつめたのか、お前がどんな答えを望んでたのか、
お前が予想していた答え、……そして、椙田の答えも。
本当にお前が椙田に詰め寄った場面を見たわけじゃない。
お前が椙田に何を言ったのかだって、本当は知らない。
ただ、俺には事の始まりから全ての答えが提示されていた。
去年の大晦日……、俺は全ての答えを椙田から手渡されていたんだ。


『錫さん、俺……』


あのとき俺に言った言葉を、忘れたとは言わせない。
379椙田友和の憂鬱(15/11):2006/09/05(火) 00:59:24 ID:9awtL0c+0
「お前、前に俺に言ったことあったよな」
椙田がビクリと肩を振るわせる。
俺の言葉は間違いなく椙田の胸にあるはずの、あの短い文を呼び起こした。
言葉にしてしまえばあっけないほど簡単でありふれた思い。
だけどそれの持っている力は絶大で、その恐ろしいほど高い波に俺はいとも簡単に溺れてしまった。
お前が憂鬱そうなもの悲しい視線を注ぐたび、俺の中で頑なだった何かが溶けてにじみ出してきた。
いや、煩わしくなるほどに重く狂わしい思いが、俺に感染ってしまったのかも知れない。
胸から溢れて喉を出てしまいそうになるのを、俺は必死に抑えてた。
だって可笑しいじゃないか。
絆されたはずの俺がお前より先に「それ」を言っちまうなんて、まるで笑えない冗談だ。
お前だって本当は言いたくて仕方なかったんだろ?
ずっとこういうチャンスを待ってたんだろ?
お前が望んだから……今のこの状況はお前が望んだから出来たんだぞ。
これ以上のお膳立てがあるか?
ここまで来てソレを言わないのは男じゃないよな、椙田。
だってそうだろ?
これはお前自身が言わなければ意味がない言葉なんだから。
380椙田友和の憂鬱(16/11) Final:2006/09/05(火) 01:03:02 ID:9awtL0c+0
「言ってみろよ、もう一度」
俺は今だったら前とは違う返事が出来る。
たぶん、お前の望んでいる返事が出来るよ……本心から。
だから、言え。
「俺は……」
俺の前で、俺の目を見て、その声で、言ってみろ。
「錫さんが、好きです」
















「性的な意味で」
ああ。俺も好きだよ、椙田。
性的な意味で。
381363-380:2006/09/05(火) 01:05:39 ID:9awtL0c+0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  ツンデレでも大型犬でもなくてゴメンネ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


ちなみにタイトルは攻めの主演作品をもじったもの。
いわゆる中の人ネタってヤツですね。
心の底からお粗末さまでした。逝ってきます。
382風と木の名無しさん:2006/09/05(火) 02:57:00 ID:+dqcnFip0
>355
モトネタ知らないけど、萌えた!!
息子がカワユス

続き、出来上がりましたら宜しくお願いします。
383風と木の名無しさん:2006/09/05(火) 06:38:12 ID:oBDB03Qn0
>>382
元ネタはミュージカルだよ。
384風と木の名無しさん:2006/09/05(火) 08:12:23 ID:2spFa2l+0
>363
とても萌えました。
性的な意味で
385風と木の名無しさん:2006/09/06(水) 01:00:39 ID:CA8FUJh4O
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
鯨任ナマモノ注意!
殿堂入りヱロス×低い声の後輩
規則的な振動音で目が覚めた。

枕元に目をやる。ちかちかと点滅しながら静かに振える携帯。
まどろむ思考の中それに手を伸ばす。
まだ隣りで寝ている恋人を起こさない様に静かな手つきで。
随分と長く振動していたと思ったら、どうやら電話がかかって来ていたらしい。
発信元はマネージャー。

緊急の話ならば早く出なければ。

「もしもし、」
『あぁ良かった、やっと出てくれた。
実はね、急の仕事が入っちゃいまして、』
やはり仕事の話か。
電話に気付いて良かったと、かすかな安堵。
側で寝息を立てている人物の事も忘れ、少しの間話し込んだ。
明日の予定の変更のこと。それと新しく入った来週の仕事のこと、それから、
「…あき、」
ふいに名前を呼ばれた。
一旦電話口を塞ぎ、声のした方に顔を向ける。
薄暗闇でこちらを見つめる端整な顔。
「あ、すんません。起こしてしまって……わっ」
ゆっくりと近付いて来た彼に後ろから抱き締められた。
「仕事の話やろ?ええよ、話してて」
「…あ、ありがとうございます」
386風と木の名無しさん:2006/09/06(水) 01:02:24 ID:CA8FUJh4O
そうは言うものの、抱き締める腕を緩めてはくれない様だ。まぁ良いというのなら電話を続けるとしよう。そう思い、マネージャーとの話を再開した。
「もしもし、あぁ、ごめんもっかいゆうて………、っ!」
突然得居さんの手が俺の服の中を探り出した。慌てて注意しようと振り返る。

「俺の事は気にせんでええから、電話続け?
ほら、大事な話なんやろ?」
にやにやといやらしい笑顔を浮かべ、電話を続けるよう促す。
電話口から洩れるもしもし、という焦った声。ここで電話を切る訳にはいかない。何より得居さんがそれを許してはくれないだろう。
俺は再び電話を耳にあてた。
「ごめ、眠くてぼーっとしてたわ。何やったっけ、」
ですからね、と若干苛ついた様に仕事の話を始めるマネージャー。
その話を聞いている間にも彼の手は身体を這っていく。
その指が徐々に胸の方へ伸びていき、尖端に触れた。
細長い指にそこを押しつぶされたりつままれたりを繰り返され、俺の意識は電話から離れ彼の指を追っていってしまう。
「…っ…!」
387風と木の名無しさん:2006/09/06(水) 01:03:41 ID:CA8FUJh4O
電話の向こうに感づかれない様に声を堪えていると、今度はもう一本の手がズボンの中に侵入してきた。
下着の上からゆっくりと自身をなぞられる。
「…っ、…ん…」
声を出してはいけない。
そうは思っていても、胸と自身に同時に与えられる刺激に理性が飛びそうになる。
「日月、かわい…」
耳元で低く囁かれ、身体が震えた。
下着の中に伸ばされた手が徐々に高ぶり始めたそれを慣れた手つきで扱く。
「…っ…!んっ…、ぁ…!!」
下半身に広がる甘い痺れ。
意識は完全に彼の指の動きひとつひとつに奪われ、携帯を握る手にも力がこもる。

身体がびくり、と跳ね
白色の欲を吐き出した。

「…っは、ぁ…、…ん、」

「早…人に聞かれてる思たら興奮したん?ほんまやらしいなぁ…」


畜生、誰のせいだ。
吐精後の倦怠感の中、心の中で毒づく。


「あ、」

電話。
すっかり忘れていたその存在を思いだし、きつく握りしめていた右手を開く。
しかしすでに通話は途切れていた。
388風と木の名無しさん:2006/09/06(水) 01:05:50 ID:CA8FUJh4O
「最悪や…!」
「あーあ、お前がちゃんと電話に集中せんから向こうが怒って切ったんとちゃう?」
あはは、と脳天気に笑う男前、の頬を思いきりつねってやる。
「ったたた!何すんの大事な商売道具に」
「むしろそっちこそ何してくれはるんですか!
あぁも、ほんま最悪や!服、取り換えな…」
「あ、折角やし一緒に風呂入ろか」
つねる指先に力を込める。
「ぃでで!ちょ、ほんま痛いって!悪かった!すまん、謝るから離してーっ」
「…」
必死な様子がおかしくて、素直に指の力を抜いてやった。「…ふろ、」
「え?」
「入りますけど、…どうしますか?」
「どうって…?」
「…やっぱりなんでも無いです。風呂入って来ます」
「入る入る!一緒に入るよ!」
こんな事で小さな子どもみたいに喜んで。

馬鹿だなぁ。

お互い様だけど。

「風呂ん中で変な気ぃ起こしたら刺しますよ」
「…」
先、入ってますから。そう言い残して風呂場に向かう。
きちんとさっきの事を謝って来たら、優しくしてあげようか。
結局の所、彼に甘過ぎる自分に呆れながらもそんな事を思ったのだった。

389風と木の名無しさん:2006/09/06(水) 01:11:46 ID:CA8FUJh4O
|>STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )

甘エロスを目指したらギャグになったよ!


orz
390風と木の名無しさん:2006/09/06(水) 01:20:46 ID:GmL6Bn/v0
>>385GJ!!!
最近革縞受に飢えてたから凄く萌えたww
391風と木の名無しさん:2006/09/06(水) 01:26:20 ID:XMlg5vW2O
>>385
萌えカプktkr
エロスの権威GJ!
392風と木の名無しさん:2006/09/06(水) 19:08:40 ID:IdgNlICT0
>>385
萌えました。GJGJ!!
393風と木の名無しさん:2006/09/07(木) 10:53:30 ID:F26bXxXH0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ようチューブに上がっているスマートな怪物第三話後半の幕間だってさ ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  一応竹×日の出設定だよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄
394SMSS1/2:2006/09/07(木) 10:54:52 ID:F26bXxXH0
意味もなく裾を引き服を整えて、そっと深呼吸を繰り返す。
ふっと息を吐いて、閉じていた目を開くと、そこにはロビーに続く扉があった。
そばに竹芝がいるのがわかる。そちらを見もせずに「ヘッドライト貸して」と言うと、
その手に要求のものが渡された。
「大丈夫か?」
後ろから、竹芝の声がする。不安気なその声を「大丈夫や!」と気合いで跳ね飛ばして、
ヘッドライトを強く握り締めた。よし、と自分にも気合いを入れると、体がぶるっと震えた。
「日の出、ふるえてる」
再び竹芝の声。
「武者震いや」
また気合いで返そうとしたところを、竹芝がついと手を伸ばしてきた。肩に触れる。
「やっぱり、ふるえてる」
「・・・当たり前やんけ」
怖ないワケあるか、と日の出は吐き捨てた。ヘッドライトを装着しようと腕を上げると、
不意に後ろに引き寄せられた。
ふわりと竹芝の匂い。心地よい体温。後ろから肩を抱きしめられて、こんな時にも関わらず日の出は妙にほっとした。
「頼むわ。俺は頼むことしかできへんけど、ちゃんと帰って来いよ」
「任せろ。お前こそちゃんと助け呼んでくれよ」
「うん・・・」
消え入りそうな小さな返事。「無理すんな」と耳のそばで呟かれて、日の出は溜息を吐く。
「アホ、俺が無理せなんだらどうやって脱出すんねん」
395SMSS2/2:2006/09/07(木) 10:55:35 ID:F26bXxXH0
「それはそうやけど、・・・無事でいてくれ」
小さな声に彼の必死さを感じ取って、日の出は首前に回された竹芝の腕に手を置いた。
意外に強く組まれたその腕は、自分の存在を離さないかのようにしっかり抱き込んでいて、
日の出は何だか笑ってしまった。
「大丈夫やって。お前は俺が守ったるから」
「・・・俺が心配してんのは俺の命のことやないでっ・・・」
腕の力が僅かに緩んだのを逃さず、日の出はそこから抜けた。向き直ると
竹芝は不満気なふくれっ面で日の出を見ている。可笑しかった。
「解ってる。俺かて心配してるのは俺の命だけやないよ」
竹芝は解らないようだった。体を掻くことも忘れて、真摯な目でこちらを見ている。
「やから、お前は俺が守ったる、て」
クス、と笑みがこぼれた。なお言葉を足そうとする竹芝のツナギの襟を引っ掴むと、乱暴に引き寄せる。
ぶつける様に口唇を重ねる。その口唇をぺろりと舐めてやると、一瞬のことに反応できてない竹芝に、
「店に帰ったら続きしよーや。濃いーやつ」
そんな言葉を耳打ちしてにやりと笑ってやる。さっと朱に染まる竹芝の頬に、もう一度キスしてやった。

「じゃ、行って来るわ!」
無理に不敵な笑みを作って、竹芝とはるみに向ける。なるべく軽く見えるように手を振って、日の出は扉を抜けた。
そこに”ブレーカーを上げる”という、本来の目的以上の苦難が待ち受けていることも知らずに。
396風と木の名無しさん:2006/09/07(木) 10:57:29 ID:F26bXxXH0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  需要ないよね・・・でも書きたかったんだ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

397風と木の名無しさん:2006/09/07(木) 23:01:18 ID:rGL2Fi0m0
>>393
ktkr!今一番真剣に見てるドラマだw
お互いにダメな部分が多々あるのがかわいくてたまらん。
2人の力関係に萌えたよ、ありがとう!
398風と木の名無しさん:2006/09/08(金) 17:32:56 ID:SRC4hJRi0
某NDSゲーム『プ口ヅェクトハッ力ー』の伝説ハッカーと主人公。
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ブリッツタンがツンデレ。エロ無し。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  ブリサトブリ…かな
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ニャー
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
399プ口ヅェクトハッ力ー(1):2006/09/08(金) 17:34:44 ID:SRC4hJRi0
捜査室、深夜3:30
薄暗い部屋にキーボードを叩く音が響く。
里奈は圭ちゃんを連れてファミレスの新しいメニュー「マツタケパフェ」を食べるべくさっさと帰宅してしまったが、俺にはまだ仕事が残っていた。
それは美鈴さんから受けた新しいハッキング事件に関する捜査資料を片っ端から掻き集める事。
だがこの事件の捜査に関する大きな進展は、まだ無い。
「くそっ…!」
ドンッ、と俺は机の上に拳を叩きつける。美鈴さんからは「くれぐれも無理をしないように」と言われているが、無理をしてでも俺は『あいつ』に辿り着きたい。

今回の事件にもBlit.zが関係している。
その事実が俺を焦らせているのだろうか。

ハッキングされた形跡を辿っても結局Blit.zには辿り着かず、巧妙に消去されたアクセス記録によってあいつを追いかける唯一の『道』はまた、プツリと途切れてしまった。
きっと今回の事件もお前は「遊び」だと言うのだろう。
独自のルールを重んじ、パフォーマンス性と、引き起こした事件の規模が大きいほどお前はそれを「楽しい」と言う。
それを追う俺たちは、お前の遊びに付き合わされているだけだというのか…!
400プ口ヅェクトハッ力ー(2):2006/09/08(金) 17:36:38 ID:SRC4hJRi0
「ああ……」
俺は凝り固まった肩をほぐすように、腕を上げて椅子の背にもたれ、首を回した。
しばらく目を閉じていると、連日の疲れからかそのまま眠りの世界に引き込まれそうになってしまう。

なぜお前は『俺』を選んだ。

”オレを捕まえる事ができたら教えてやるよ”

そう言ったお前の言葉は、一体何を意味している。
絶対に捕まらない自信があるのか、それともお前は『俺』に捕まることを望んでいるのか?
瞼を閉じた暗闇の中に、あいつの姿は浮かんで来ない。

”ピロロロリ”
耳慣れた電子音が俺を現実に引き戻した。
こんな時間に誰からのメール…?
GISから支給された小型のPCを開くと、新着メールが1件届いていた。

『残業か
御苦労な事だな。
だが気分転換も大切だぜ?』

差出人名は…Blit.z!?
俺は一気に目が覚める。
401プ口ヅェクトハッ力ー(3):2006/09/08(金) 17:38:20 ID:SRC4hJRi0
メッセージの表示された画面には、やがて小さなチャットウィンドウが現れた。
また「あの時」と同じだ。ヤツが俺のPCをハッキングしている!

--Blit.z
久しぶりだな、雨坪悟。
--悟
Blit.z、本当にお前なのか!
--Blit.z
お前の想像に任せるさ。
それよりも、随分お疲れのようだな。
まだオレには辿り着けないのか?

「あの時」と同じだ。まるですぐ近くから俺の事を見ているかのような、あいつの言葉。
モニタの向こうであざ笑っているだろう、あいつの顔。
この画面の向こう側にあいつがいるんだ。複雑な気持ちが入り混じった何かが、胸に込み上げてくる。

--Blit.z
何をやっているんだ、雨坪悟。
オレの見込んだ男は一体どこに行った?
早くここまで来いよ。もう待たされるのにも飽きてきたぜ。

余裕すら窺えるBlit.zの言葉に俺は酷く苛立った。
こいつは日本を、世界すらも引っ掻き回して遊んでいる。そしてそのゲームの相手に『俺』を選んだ。
それならば受けて立ってやる。

--悟
俺がお前を捕まえてやる。
大人しく待っていろ!
402プ口ヅェクトハッ力ー(4):2006/09/08(金) 17:39:25 ID:SRC4hJRi0
エンターキーを乱暴に叩く。
チャット画面は、しばらく無発言の状態が続いた。
やがてBlit.z側のメッセージが打ち込まれる。

--Blit.z
どうやら元気が出たようだな。雨坪悟。
オレが大人しく待っているかどうかは別として
気が向いたらまた遊んでやるよ、じゃあな。

こちらの操作を受け付けず、ウインドウが一方的に閉じられた。
俺は慌ててBlit.zが進入してきた経路を辿ったが、アクセス記録はおろかチャットのログさえ綺麗に消去されていた。
また逃げられた。その自分の無力さに対する怒り、だが、それと同時に一つの希望が見えてきた。
Blit.zは俺を待っている。俺の手がいつか『そこ』に届くことを…望んでいる?
「待っていろ、Blit.z…!」
既にいつもの見慣れた画面に切り替わってしまったPCから視線を外し、窓の外を見た。
「げ…もう空が明るくなり始めてる…」
仕方が無いので俺はそのまま、もう一度椅子の背にもたれて目を閉じる。本部長室の応接を借りたら怒られそうだしな…
心を落ち着かせるためにゆっくりと息を吐いた。
絶対に、俺の手で捕まえてみせる。
見たこともないあいつの後姿、それにいつか辿り着く日が来るまで。

PROGRAM END_
403風と木の名無しさん:2006/09/08(金) 17:41:38 ID:SRC4hJRi0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オソマツサマデシタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

マイナーゲームだけど続編希望。
この二人には世界中のネットワークを使って盛大に愛の追いかけっこをしてもらいたい。
404ロボット×ツンデレワンワン:2006/09/08(金) 17:52:48 ID:g/IcTswW0
月刊少年知りウス連載中獣人SF漫画、「ロ/ボ/と/う/さ/吉」の
ロ/ビ/ン×ル/シ/フ/ァ投下します。
今月号のネタバレなのでコミックス派の方は読まないでくださいなー。

405ロボット×ツンデレワンワン:2006/09/08(金) 17:57:12 ID:g/IcTswW0
※なお、この話の前提状況は、
天/王/星が滅亡→マ/ナ、モ・モ、ヴ・ァ・ル・カ・ン他主要キャラが
ロ/ビ/ンたちと共に脱出。という妄想もいいところとなっています。ご注意ください。


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  同志が見つかりますように
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  獣人好きにはたまらん漫画です
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
406ロボット×ツンデレワンワン:2006/09/08(金) 18:00:01 ID:g/IcTswW0
眼前のベッドには、ロビンの数倍はある大きな犬――いや、レア混成種(ハイブリッド)の男、ルシファが横たわっている。
口から舌をたらし、大きな呼吸と共に眠っている彼は、変身状態こそ解けないが幸いにも致命傷はないらしい。
俺達の回復力は普通と違う、治療は済ませたから、あと数日すれば目も覚める――と言うのが同じレア混成種(ハイブリッド)であるヴァルカンの弁で、
それを聞いてからロビンは早三日、一睡もせずルシファの様子を見続けていた。
人に『化け物』と呼ばれるこの体を疎まないことはなかったが、睡眠を必要としないことだけはよかったことかもしれないと、少し思いながら。

ビリーたちの助けを得ながらロビンが巻きつけた包帯が痒いのか、ルシファはときどき手足を不格好に動かしていた。
その度にベッドから落ちそうになる体を支え、ロビンは囁く。
「…あんまり動いちゃダメだよ。キズの治りが遅くなっちゃうんだ、って」
まだ意識が戻らない相手に語りかけるのは無駄なことだと分かっていたが、ロビンはこの部屋の静寂が苦しかった。
ルシファが痒そうにしている部分を撫でて、水をやる。意識なくピチャピチャと響く水音が、それでもロビンを慰める。体に耳をあてると聞こえる心音が恋しい。
獣そのものであるルシファの体は触っていると心地良い。

***

天王星から脱出することが決まったとき、ロビンが思い出したのはルシファの存在だった。出発したカメ号の窓から、瓦礫の下に横たわる大きな犬の姿を見つけたとき、
ロビンはやむにやまれぬ気持ちで彼を助けようと飛び出した。持ち前の馬鹿力で彼の体を覆っていた瓦礫をどけ、息をしているかどうかも確認せずに帰艦した。
軍(ソル)の人間を同乗させるなんて許さない!と激昂したマナに土下座して頼み込んで許しを得て、ビリーと共にキズの手当てをした。
遅れて合流したうさ吉はモモとヴァルカンと一緒で、二人からロビンは彼の名前と軍(ソル)での役割を知った。巨大な狼への変身能力を持ち、殺戮集団の一端を担った
レア混成種(ハイブリッド)、ルシファ・ムーン。

***
407ロボット×ツンデレワンワン:2006/09/08(金) 18:01:20 ID:g/IcTswW0
「ルシファ…」
耳の付け根を撫でながら、彼の名を呼ぶ。ロビンを除いて、この船でルシファの乗船を喜んでいる存在は皆無で、彼の回復を祈るのもロビン以外にはいない。
ルシファと二人きりの部屋で彼の体を撫でながら、ロビンは時折ぽつりとその名を呼んだ。

ルシファのことが何故こんなに気になるのかは、ロビン自身にも分からなかった。玉座の間で彼ともう一人の刺客とロビンは死闘を演じ『化け物』と何度も罵られた。
最も、そのおかげで新たな能力に目覚められた、というのはあるが、それだけでこんなにも気にかかるのはおかしいとロビンは思う。
「ルシファ…。…早く起きてよ……」
切実過ぎる余りに、名前を呼ぶのどの奥が震える。
声が聞きたい。会話がしたい。そうすればきっと、自分のこの気持ちの理由が分かるのに。
ロビンはルシファの閉ざされた瞳を見つめた。爆撃の衝撃か何かで吹き飛んだのか、彼の左目の眼帯はなくなっていた。ロビンは、彼の左目のような潰れた瞳を見るのは初めてだった。

ルシファの潰れた瞳を見ていると、ロビンは自分の左目を思いだす。自分の左目は潰れてはいないが、異形だ。(いや、そんなことを言ったらロビン自身が異形そのものなのだが。)
闇と自分を繋ぐロビンの左目。それはネジと同じ様に赤く、力と共に太古の文様をロビンに刻む。闇の力。ロビンの永遠の恐怖。

ルシファの左目は、それに少し似ている。

「…ルシファ……」

ロビンは吸い寄せられるように、彼の左目にふらりと手を伸ばした。
だが、ルシファの左目はロビンの指先が触れるか触れないかのところですっと離れてしまった。

「……!?」

驚くロビンを、彼のもう片方の目が見つめていた。
左目と違い、潰れていないそれは濁りのない美しい虹彩を持っていた。
ロビンと同じ、空色の。

「…触んな、クソが」
「ルシファ……!!」

***
408ロボット×ツンデレワンワン:2006/09/08(金) 18:02:30 ID:g/IcTswW0
目を覚ましたルシファがいの一番にロビンに要求したことは、包帯を替えろということだった。ロビンが慌てて包帯を用意するとルシファは器用にも、
自分で口と手足を使って包帯をほどき、巻きはじめた。結ぶのだけはロビンがやったが、それ以外はパッと見ても、ロビンが両手を使って巻いた状態よりずっと綺麗だった。
聞けばレア混成種(ハイブリッド)は変身後のままで過ごさなければならないこともままあるらしい。

「…い、いつから起きてた、の?」
「……さぁな。知らねェよ。」

包帯を巻きなおすと、ルシファは今度は包帯のいらなくなった小さな傷を舐め始めた。傷薬をよこせというので渡すと、今度は舌を使って傷口に塗りこんでいく。
器用だな、と思ってロビンが見とれていると見せモンじゃねぇぞ、とルシファが唸った。しかし他にすることもない以上、ロビンは彼を見つめることしか出来ない。

やがて傷口を全て舐め終わったのか、ルシファが再びベッドに
身を横たえた。

「あ、ね、寝るの?」

じゃあおいら外出てようか、とロビンが慌てて部屋から出て行こうとするとルシファがその後姿を呼び止めた。

「おい」

ロビンが振り向くと、ルシファは布団に前足に鼻先をうずめるようにしてうつ伏せになっていた。

「ど、どうしたの?」
「……なんでだよ」
「え? な、何が?」
「なんで……助けたんだよ……」
「……」
「オレを助けて……、テメエはどうしようっていうんだ…?」

ルシファの声は、くぐもって聞き取りづらかった。
はじめロビンは、それは彼の姿勢の所為だと思ったが、答えを探している間に、もしかすると彼が泣いているからなのではと思った。前足に鼻先をうずめたその姿勢は、表情が分かりづらい。
409ロボット×ツンデレワンワン:2006/09/08(金) 18:03:35 ID:g/IcTswW0
「…なんでだよ」

理由を聞かれても、ロビンには答えられなかった。それはロビン自身も知りたいことだった。
ルシファが目覚め、会話をすれば、それが分かるかと思ったが、
ロビンにはやはり、その答えは見えてこない。
ルシファがロビンを見つめないでいることが、逆に、彼にとってもその問いが、ロビンと同じように重要なことだと教えている。

改めて突きつけられた事実に身が竦む。一体何故、自分はルシファを助けたのだろう。

何か、伝えたいことがあるのは分かるのだ。自分は、彼に何か伝えなければならない。
彼と戦い、新たな能力に目覚め、多くの戦艦を破り、数え切れない人の命を奪った。――奪うことが出来た、自分は。

そしてそのことから、彼に伝えたいことがあるのだ。恐ろしい力を持った『化け物』の自分が、彼に伝えたい、彼にしか伝えられない、ことがあるのだ。

(おいらは、どうして……)

思考が回転する。ロビンは眼前のルシファを見つめたまま、金縛りにあったかのようにその場に立ち竦んだ。


「……よかったんだ」
「…え?」
「死なせりゃ、よかっただろーが。俺なんて」
「……!!」

どれほど続いたのか分からない静寂のあと、ルシファの口から漏れた呟きは、口調こそ以前と変わらなかったが、紛れもない自嘲の念が含まれていた。
それを感じ取ったロビンは、自分の体からさぁっと血の気が引くのを確かに感じた。
410ロボット×ツンデレワンワン:2006/09/08(金) 18:04:47 ID:g/IcTswW0
気がつくとロビンは、艦中に響くような大声で叫んでいた。

「駄目だ!!そんなの!!」
「!!?」
「ルシファが死ぬなんて駄目だ!!」

ルシファが目を見開いた。ずっと逸らしていた目をロビンに向ける。
ロビンは涙と鼻水で顔中をぐちゃぐちゃにしながら、自分でも何がなんだか分からないままに無茶苦茶に叫んでいた。

しかし同時に、この数日ずっと心の中にあった疑問が解けていくのを感じた。
そう、今叫んでいるこれこそが、自分がルシファに伝えたかったことなのだ。

「駄目だ!! そんなの駄目だ!! なんでルシファが死ななきゃいけないんだよおいらとおんなじなのに!!
 好きでレアなんとかになったわけじゃないだろ!!好きで赤いヤツになったわけじゃないだろ!!
 おいらとおんなじじゃないか!!!おいらだって好きでこんなネジなんか化け物になんかなったわけじゃない!!!
 おいらだって、おいらだって、こんな力いらなかったんだ!化け物なんかじゃない普通の人間だってずっと思っててけど
 違ってお父さんに勝てって言ってもらった!けど負けてばっかでやっと勝ったけど使いたくなんかない殺したくなんかないんだ!!
 恐くて逃げたくて化け物なんかじゃなくなりたい!!!今だって!!!!
 ――ルシファだっておんなじだろッ!!?」
「! な…」
「同じだろっ!!!?」

戦いの最中、ルシファが漏らした言葉をロビンは思い出す。

『そういう事ならオレもそうだ……!』
『クク…オレは生まれた時から殺すことだけインプットされてきた…』
『殺人機械だからなァアッ!!』

推測でしかないが、この言葉から考えるとルシファはレア混成種(ハイブリッド)というだけで、生まれた時から殺人だけを専門とするような訓練を受け続けてきたのだろう。

411ロボット×ツンデレワンワン:2006/09/08(金) 18:05:56 ID:g/IcTswW0
訓練で作られた殺人機械。太古の文明に生まれたロボット兵器。レア混成種(ハイブリッド)。太陽神(アポロ)。
何が違うんだ。同じじゃないか。力自体は自分の方が大きいだろう。だが、それ以外は同じだ。自分が生まれた瞬間に、
望みもしない力を与えられ、生き方を決定付けられた。選択なんて与えられなかった。ルシファと自分は、同じなのだ。

「おんなじなんだーーー!! う゛あ゛あ゛あ゛〜〜〜!!!」
「な…!! オ、オイっ! 泣くなよテメェ!!」
「だ、だっでっ! だっでっ…!! じじ死ぬなんで、なんで言うから゛……っ!!!」
「…死ぬっつって何がわりぃんだよ! テメーも同じなら、分かるだろうがっ!!」
「――わがんないよ!!!」
「ンだと!!?」
「ち、『力』があったら、戦わなきゃ駄目なんだ!!!『力』はおいら自体だから…!! 皆がおいらを信じてくれるから!!
 覚悟がおいらを待ってるから!! おいらが自分で『力』使わなきゃいけないんだ……!! もう二度ど殺じだくないから!!!
 おいらは勝づ!!! 勝つんだ!!!!」
「……!!」

ルシファが黙るのを見て、ロビンはこれで自分は言いたいことを全て言い切ったのだと思った。
騒ぎを聞いたのだろう、扉の向こうからバタバタと足音が聞こえてくる。暫くして、ドアをバンバン、と叩いてロビンの名を呼ぶ声が響いた。

「おいロボ! どうした!!?」
「ロビン!! 何泣いてるんだよ!!?」

扉の向こう、最初にロビンを呼んだのは、彼に「覚悟」を教えたうさ吉と「信頼」をくれたマナだった。

412ロボット×ツンデレワンワン:2006/09/08(金) 18:07:50 ID:g/IcTswW0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 半端ですが今はここまで。近いうちに続き投下します。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 貴重なスペースをありがとうございました!!
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | 
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | 
413風と木の名無しさん:2006/09/08(金) 18:36:24 ID:SFDC11+K0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | |> PLAY.       | | 
 | |                | |           ∧_∧ ス⊃アラー→蒼樹で軽く
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ある日のブ口グを見てないとわかりにくいかも
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | 
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

ここに一人、どうしようもなく後悔している男がいる。
彼はあるプロ里予球チームのス⊃アラー、それは遠征中の出来事だった。

軽い挨拶のはずだった、誰だって似たような事はしている。
アスリ一トの体というのは繊細なもので、挨拶のつもりで肩などをつかめんでも、うっかり触ってはいけない部分にダメージを与えかねない。
そのためか、そのような場合にはどんなに引き締まった体でも脂肪の層がある臀部……ようするに尻をポンと叩く雰囲気で挨拶をする事が多い。
彼もまた、そのようにするはずだった。

あの時、彼がいたのは実に雰囲気のいい店だった。
産地ならではの新鮮な食材を使った炉端焼きはもちろん、断崖に面した見晴らしの良いロケーション。
恋人同士での旅行などには最適、と言ってもいいぐらいだ。
もっとも、彼が来た理由はそんな色気のあるものではなく、チームの遠征に付き従ってだったのだが……
414風と木の名無しさん:2006/09/08(金) 18:37:27 ID:SFDC11+K0
同業のス⊃アラーをはじめとして、チームのスタッフ数名での食事を終えてあたりを見ると、若手選手の姿が見えた。
窓際のとびっきり雰囲気のいい席に蒼樹と※野だけ、二人っきりだった。
──おいおい、こんな雰囲気のいい所で男二人っきりで食事かよ。
いつもは女性ファンから黄色い声を浴びせられている二人も、ここではそんな事になっている事に妙なおかしさを感じながらからかい半分に声をかけた。
「よう、蒼樹!」
いつものように軽く、ポーンと叩くつもりだった。
それなのに、なぜか手が蒼樹の尻を撫でるように……いかにも触っていますというように……
その間にも蒼樹は振り返り、不審な目を向けて挨拶をする。
「あ、どうも……」
彼は続く言葉が出ないらしい蒼樹から一秒でも早く離れてしまいたくて、足早に立ち去った。

なぜあんな事をしてしまったのだろう、と彼は考える。
蒼樹はあれ以来、“あのス⊃アラーさん、あやしいっすよ”などとネタにしている。
あやしくない! と反論したいのだが、あの時の心の中に少しでも軽い嫉妬のようなものが含まれていなかったか……
一瞬でも長く、あの体に触れていたいと考えていなかったか……
無意識の心の動きが、自分をあんな行動に走らせたのではないかと考えると、どんどん自信がなくなっていく。
そして、軽いジョークにされている事に安堵感と寂しさが入り混じっている事を感じている。
※野とは何もないからジョークに出来る、自分とも何もないからジョークになるのだ。

今日もまた、彼のス⊃アラーとしての厳しい一日が始まる。
このデータが、選手達の役に立つのだ。
だからもう、あの時の事は……
そう、彼は思った。
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 片思いというにも半端だったかも
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | 
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
415風と木の名無しさん:2006/09/09(土) 23:36:37 ID:su6fUdDL0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  >>328の続き 某ホヌト部アニメの森x羽仁
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  原作との矛盾点があればお許しを…
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ オカズネタイタダキマシタ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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416森x羽仁 1/7:2006/09/09(土) 23:37:15 ID:su6fUdDL0
 早朝四時。
 朝も早くから森之塚家の洗面所では、一人の青年が肩を落としていた。
カランから溢れる水をじっと眺め、その背中からは重い空気を漂わせている。
「…………」
 彼……森之塚嵩は絶対に人には言えない秘密を抱えていた。

 ひょんな事から従兄弟の光国に自慰のやり方を教える羽目になった不幸な男、嵩。
 一歩踏み越えたあの日から、嵩のオカズはぶっちゃけ光国になってしまったのである。
性体験の乏しい嵩にとって、他人の自慰を間近で見る事は一種インプリンティングに近い
ものがあった。
『……や、……いっちゃ……やっ、あっ……たかしぃ……』
 記憶は反復され、いつしか妄想に変化する。嵩の妄想の光国は、そりゃもーすっごい事に
なっている。実際には見えなかったイキ顔だって、いつの間にかリピート再生済みであった。
 嵩は自分は性的に淡泊な方なのだと考えていた。そうした事は、彼の生活において
過不足ない程度に処理さえできていればいいものだと思っていた。
その自分に対する価値観が根底から覆されたのである。
 いっそ光国を遠ざけてしまうという方法もあったのかもしれないが、それは嵩には
そもそもあり得ない選択肢だった。考えてはいけないと思えば思う程、光国の昂った声や
達した後の表情が蘇り、嵩は混乱する。
417森x羽仁 2/7:2006/09/09(土) 23:38:04 ID:su6fUdDL0
 止めたくても本能は言う事を聞かず、「光国に対して顔向けができない」と思い詰めた嵩は、
二度と光国に性的な手段で触れてはならないと自分に戒めを課したのだった。

 カランの下に頭を突っ込み、冷水を浴びる。
どれだけ頭を冷やしても、胸中を占める罪悪感は消えない。
(すまない……光国……俺は……)
 ふるふると大型犬のように首を振って水気を払い、手元のタオルを頭から被る。
昨夜も淫夢に魘された嵩は、寝不足で少し目が赤い。
「……へん……たい……」
 つい口に出してみて、思い切り落ち込んだ嵩であった。

 残念ながら彼に「普通は従兄弟に自分の自慰を手伝ってと迫られたりはしない」と
教えてくれる者はいなかった。
 更に光国の誘いを普通はアプローチと呼ぶ……という事も、ホスト部員に共通の
「無自覚さん」が仇となり、嵩が気づく事はなかったのである。
418森x羽仁 3/7:2006/09/09(土) 23:38:36 ID:su6fUdDL0
「森先輩、お先に失礼します」
「「森先輩、おっさきー!」」
「……ああ」
 営業が終了し、片づけを終えた部員たちは各々の家路に就く。双子はいつものように
春日をからかいながら音楽室を飛び出し、その後に部長・副部長の2年生組が続く。
「んー、羽仁ー先輩よく眠っていらっしゃいますねー」
 お昼寝が日課になっている光国だが、今日は寝付かせる時間が遅くなった為に営業終了後も
眠り続けていた。珠樹はちょっと幸せそうに、寝息を立てる光国の頬をぷにぷに突いている。
「今羽仁ー先輩を起こしたら……お前、確実にあの世逝きだな」
 京夜の一言に珠樹は凍り付き、音も立てずにすすすっと部屋の隅まで身を退いた。
「……じじじ冗談でも言っていい事と悪い事があるんだぞっ京夜っ!!」
 例えどんなに愛くるしい生き物に見えようとも、光国は武道の名門羽仁之塚家の
次期当主の座を約束された武芸の達人である。その寝起きの凶悪さは半端ではなく、
己の軽率な行動に色を失う珠樹であった。
「ふん、俺だってまだ死にたくはない」
「……鍵は預かっておく」
「ああ、お願いします森先輩」
「で、ででででは森先輩、また明日っ!」
「……ん」
 珠樹が京夜の背を押しながら慌ただしく第三音楽室を後にすると、静まりかえった室内に
光国の規則的な寝息が良く聞こえる。嵩は光国を背にしたソファに掛け、読み差しの本を開いた。
419森x羽仁 4/7:2006/09/09(土) 23:39:15 ID:su6fUdDL0
 朝から晩まで、二人はいつも一緒。光国の姿が見えれば、近くには必ず嵩がいる。
当たり前の光景は、もう何年も変わる事なく続いてきた。嵩がその点に疑問を持った事はない。
 しかし今の自分に、光国の側にいる資格が有るのだろうか……。
嵩の意識下で、ほんの僅かの迷いが生まれ始めていた。

 ふと、光国の安らかな気配が変わった事に気づき、嵩はソファの背越しに振り返る。
「ん゛ー……」
 不機嫌な声がして、うさちゃん柄の毛布がもぞもぞと動く。髪の乱れた頭がむくりと
起き上がり、眠そうに目をこすってから周囲を見渡した。
「……みんなは?」
「帰った。今日は終わりだ」
「……あ、そ」
 片手で髪を掻き回しながら、光国がベッド代わりのソファを降りた。置いて行かれた
ような形になったのが気に入らなかったのか、珠樹や双子たちが居合わせたら揃って
絶叫しそうな凶悪な声音になっている。
 お気に入りの毛布を引きずりながら、寝起きの「宇宙怪獣」光国は嵩のソファの前まで歩いてきた。
……普段ならば膝の上でまたうたた寝を始める事も珍しくはないが、どうも様子がおかしい。
420森x羽仁 5/7:2006/09/09(土) 23:39:50 ID:su6fUdDL0
「……たかしも帰れば良かったんじゃない?」
「……光国?」
 信じられない一言を聞いた気がして、嵩は自分の耳を疑った。
「僕のお守りとか、もう……嫌なんでしょ、たかしは」
 長めの前髪に隠れて、光国の表情は嵩から見えない。皮肉の混じったやけに静かな口調は、
爆発の予感を秘めた危ういものだった。
「……まだ、寝惚けてるのか」
「っ……バカっ!」
 それでもそうとしか思えない嵩が思ったままを口にすると、光国の手刀が閃き、
嵩の手の中の本を払い落とした。
「光国!」
 取り乱した光国を、嵩が一喝する。びくっ、と光国が硬直し、前髪の間から泣き出しそうな
瞳が現れた。
「どうした、光国……」
 嵩には訳がわからない。いくら寝起きで機嫌が悪くとも、普段の光国ならここまで理不尽な
いじけ方はしない。涙をいっぱいに溜めた光国の眦から、ぽろりと一粒滴が零れる。
「だって……わかってるもん……あの時からたかし、僕の事邪魔だって、もうやだって
思ってる……。全然目も、合わせないし……っ」
「あの時……って」
421森x羽仁 6/7:2006/09/09(土) 23:40:27 ID:su6fUdDL0
 言いかけて、嵩は愕然とした。恐らく光国の言うのは「あの」時の事だろう。
自分では変わらぬように光国に接していたつもりが、動揺を抑えようとする余り不自然な
印象を与えていたのか。……もとより以心伝心の二人の間で、気持ちの揺れはいずれ
亀裂を生んでいたのかもしれない。
 嵩は、しゃくり上げる光国の肩に手を置いて否定しようとした。
……が、瞬時に腕を振り払われる。
「もうそんな、無理しなくていいから! 嫌なら嫌って言えばいいじゃん! 気持ち悪い
んでしょ? 僕の事キライになったんでしょ? たか……」
「落ち着け」
 ぶに、と両手で光国の顔を挟んで、嵩はパニック状態になっている光国の言葉を止めた。
縦に潰されたブサイク顔で、光国はぼろぼろ泣いている。
「……言葉に、しないとわからないか」
 ――自分はこんな偉そうな事を言える立場ではない。光国を不安にさせ、ここまで不安定に
したのは自分の所為だ――
 嵩は自己嫌悪の余り自分の身体を切り刻みたいような衝動を感じながら、光国の肩を
引き寄せた。光国は本格的に泣き出しながら、胸の中でぽかぽかと嵩を殴っている。
「……言わなきゃわかんないのはたかしの方じゃん! 何で……どこまで言えばいいの?
 どうしたらいいの? いっつもたかしは……ぐすっ、僕の考えてる事何でもわかるのに、
何でこんな大事な事だけわかんないの? たかしのバカ! ばかばかばかっ!」
 ふぇぇ……と光国が鼻水を垂らすのも構わず、嵩は胸に光国の頭を抱え込んだ。
柔らかな髪が泣きじゃくる光国に合わせて震え、嵩の頬をくすぐる。
422森x羽仁 7/7:2006/09/09(土) 23:41:01 ID:su6fUdDL0
「……光国」
 嵩は手を伸ばして鞄からタオルを取り出し、ぐちゃぐちゃになった光国の顔を拭いた。
最初は抵抗した光国も、いつしかされるがままになっている。
 自分の不甲斐なさや卑劣な妄想や、光国の言う「大事な事」がここまで来ても見えそうで
見えない事や、一番わからない自分の気持ちや……一切合切を含めて、嵩は泣き止んだ
光国に一言だけ告げた。
「……すまない」
「たか、し……」
 沈鬱な表情の嵩を見上げて、十分泣いたはずの光国の真っ赤な目に、再び涙が浮かぶ。
 それをただ止めたくて――確かにその時嵩はそう思ったのだが――薄く開いた唇に、
己のそれを押し当てていた。

「「……!」」

 一瞬、お互いが最大級の驚きの表情で固まる。すぐに我に返った嵩は、慌てて唇を離した。
「っ……すっ……すまん」
 嵩の顔がみるみるうちに真っ赤になっていく前で、光国は既に熟れたリンゴのような
頬の色で、手で口元を押さえている。
「んっ……んーん、だ、だいじょぶ」
「……すまん光国……」
 嵩はおろおろと謝りながら、どこを見たらいいかわからないように視線を泳がせている。
 光国はそんな嵩を見て一度深呼吸し……嵩の首に飛び付いた。

「……たかし、だーいすきっ!」

(先は長そうだけど……ま、いっか)
 光国は自分の唇に指で触れると、天使の如く柔らかに微笑んだ。
 その心は、やはり神のみぞ知るのである。
423森x羽仁 おしまい:2006/09/09(土) 23:41:33 ID:su6fUdDL0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 森x羽仁…?
 | |                | |     ピッ   (・∀・;)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
424風と木の名無しさん:2006/09/10(日) 00:21:49 ID:yIsieKG+0
>>423
GJ!!!
すれ違いに禿萌えました
今後の進展も期待してますノシ
425風と木の名無しさん:2006/09/10(日) 00:34:41 ID:TuNAEmwwO
>>423
やっぱり黒い(*´д`)gj!
426風と木の名無しさん:2006/09/10(日) 01:56:17 ID:shUEWTac0
>>413
GJです〜
なんの話かなと思って読み始めて「臀部」のとこでどの話か気づいて
しばらく爆笑して読み進めなかったよ(゚▽゚*) 笑った、笑った。
427風と木の名無しさん:2006/09/10(日) 02:16:15 ID:i381QKkl0
                   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  前スレ>>266の妄想続き。過去の亜麻屋旧
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  三本目。…解散の哀悼記念。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ
___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      || 

 |
*時期は2003年初夏頃です。相変わらずCPはのまたけです。
*関西弁、書こうと思ったけど関西圏に一度も住んだこと無い私には無理でした。ごめんね。
*廃部決定が悲しくて…。これで完です。もう書きません。書けません…。
4281長いです。ごめん:2006/09/10(日) 02:17:36 ID:i381QKkl0
「ちょっと待って」
投球練習で球を受けていた坂 田さんは、手で俺を制してプロテクタを緩めた。
「わり、タケに用事あるんだ」
そう言って、このチームの正捕手はたったいま練習場のブルペンに入って来た細身の男の方へ歩
いていく。残された俺は、突然放り出されて手持ち無沙汰な様子でボールの縫い目をなぞったり
した。
「おう、坂 田サンにふられたかぁ」
隣で投げていた上 田さんが、少し手を休めてからかうように言う。
俺は少しむっとする。
なんだよ、それ。
「なんすかフラれたって。タケに用事があるとか言ってあそこで喋ってますよ」
ブルペンの入り口を指差す。坂 田さんと、タケと呼ばれた投手が喋っているところだ。
「ふぅん。フォームのことかな」
「さぁ?」
俺は興味の無さそうな声を出してみせた。
なぜなら、今の状況は俺にとって非常におもしろくねーことだから。
俺の投球練習を終えてからにしやがれ……とは年上の捕手に向かっては言えないが、本音はそれ
。このチームのエースは俺じゃねえのか。
「…坂 田さん、と、仲いいっすよね」
なんでこんなことを言ったのか。自然と出た言葉に俺は内心慌てたが、上 田さんはさしたる興味
も無いようで、「さぁ」と気の抜けた声を出した。
「ま、大学も一緒のトコだしな。4つ違うから時期はかぶってはいないと思うけど」
なるほど。大学と会社が同じとこなら会話のネタも多いだろう。
しかし、それでも俺にとって面白くは、無い。
俺を差し置いて、一体なんだ?
人は傲慢で不遜だと思うかもしれないけど、いつだって俺を取り囲む環境はそう在ってきたのだ。
4292長いです。ごめん:2006/09/10(日) 02:18:44 ID:i381QKkl0
だって、他の奴じゃ俺の代わりになんかならねぇんだから。
「俺、あんまし喋ったこと無いんすけど…タケ…さん…って、どんな人なんすか?」
正捕手の坂 田さんがよく口に出す「タケ」。
小柄で細身の、スポーツ選手というには地味で頼りない印象を与える。彼の印象は、それだけだ
った。

俺自身、野球を始めてから、いわゆるエリート街道を歩いてきた。
高校を卒業したらプロ入りと周りからも言われてたが、ドラフト1位でなきゃプロには入らないと
決めていた。事実、その年に1位での打診が無かった俺はプロ入りを拒否した。
でも俺はそれが許されたのだ。
この世界で俺は特別な一人だったから。
そんな俺だから、もちろん他の投手なんかに興味はない。気にする理由がねぇんだ。常に俺が一
番だったから。
……でも、自分の球を受けている捕手が度々口にする投手を、気にならないわけがない。
正直言えば、ムカついたってやつだ。癪に障る。
「タケは優等生って奴だよ、ゆーとーせー、まじめくん」
そんな後輩の気持ちなど知る由も無い上 田さんは半ばどうでもよさそうに返事をして、投球練習
を再開させてしまった。
そのうちに坂 田さんも戻ってくる。
視線をブルペン入り口にやると、当の本人は今年入団したばかりの捕手と笑顔混じりに何やら喋
っている。
なんとなく面白くなくて、向こうでミットを構えてくれたベテラン捕手に、力いっぱいのストレ
ートを投げ込んでやった。
小気味いい音がして、心なしか気持ちが晴れたような気がした。

4303:2006/09/10(日) 02:19:32 ID:i381QKkl0


心配そうに覗き込んでくるこの人の肩を掴んで、からだを反転させてベッドに押し付けた。
彼はびっくりして、声も出ないようだった。
「あんた、隙だらけ」
くすっと笑った俺がどんなふうに映ったのか、彼の驚いた顔から少し表情が柔らかくなる。
「…びっくりした……」
「酔っ払ってたと思った?」
「…フリしてただけ…?なんだ、おまえって結構子供っぽいトコあるんだな…」
「そりゃそーですよ。一年前までコーコーセーだったんすよ。サラリーマンが板についてきた先
輩よりは、そりゃ、ねぇ」
掌に彼の力を僅かに感じたが、俺は力いっぱい彼を押さえつけている。こんな細い体格の彼が俺
の腕を押し返せるはずが無い。その抵抗はすぐ無くなった。
「…おっさんで悪かったな…」
「おっさんなんて言ってませんって。先輩、全然若いっすよ」
俺はわざと、性的な匂いを感じさせるように、膝頭で彼の太ももを撫でた。
彼はびくっとして、やや呆然と俺を見る。何が起こっているのかわかってなかった。



今日は練習のあと、部の飲み会があった。
新入生歓迎会は既に終わっていたけれど、まだあの頃は打ち解けてなかったし、今日のほうが盛
り上がりはあった。
4314:2006/09/10(日) 02:20:19 ID:i381QKkl0
盛り上がりって言ったって、男ばかりだ。ビールの瓶は乱立、叫ぶわ歌うわゲロ吐くは、それは
もう、無法地帯。デコにネクタイ巻いてる人、初めて見たかもしんない。
俺はまだハタチではなかったけど、この状況で「飲酒禁止」なんて、馬鹿馬鹿しくて無力な法律
だ。
そもそも俺は既に180センチを超える体格で、言わなきゃハタチ以下になんて見えない。益してや
周りは野球をやっていると言えども本職はサラリーマンのオッサンたちだ。紛れてりゃ、歳なん
てバレない。
俺は酒をガンガン煽って、少しだけタガが外れていたのかもしれない。
隅っこに彼を見つけて、もう無視なんかできなくなってた。
わざわざ傍に行って絡みまくってしまった。
彼は困ったように笑ったけど突き放すようなことはせず、俺を図に乗らせる。
困るような質問も当たり障りの無い返事でごまかして、俺を子ども扱いする。
どこかに余裕を感じさせるその態度は俺をますます苛立たせる。
くそったれ、俺をそんなふうにどーでも良さそうに見やる目がムカつく。
人当たりのよさそーな顔して、ハラん中じゃ何考えてるかわかりゃしねぇ。
俺は飲みすぎてツブれたフリして、奴の小柄な体をおしつぶすように圧し掛かってやった。
奴の前にあったバニラアイスのガラス皿が解けたその甘ったるい液体を滴らせて畳みに落ちた。
「お、おいっ、大丈夫か」
慌てたように俺の名前を呼ぶのが聞こえる。
いつも飄々としてるコイツが珍しく慌てた声を出すのが面白い。
俺は心なしかいい気分で、こいつの慌てた声を聞いていた。
「おうおう、どした〜」
すると。
頭の上から声が聞こえる。ちらりと見ると、声の主は坂 田サンだった。
「お、お、なんだ酔いつぶれてんのか、ナマイキでもやっぱ去年まで高校生だなぁおい!」
「ちょ、坂 田さん、しーっ!店員さんに聞こえたらやばいですよ!」
真っ赤な顔して機嫌よさそーな坂 田サンは、酔いつぶれて見える俺を見つけて、でけえ声で笑う。
4325:2006/09/10(日) 02:21:13 ID:i381QKkl0
うざってぇ。どっか行けよおっさん。
そのうちに飲み会は終わりに近づいていき、俺は何故だか坂 田サンとコイツの二人に支えられて
会社の寮まで連れて行かれてしまった…。
他の奴は二次会でカラオケボックス(勿論会社の)に行ったようだが、奴と、俺を心配した坂 田
サンは俺を連れて3人でタクシーを拾い、あっという間に寮へ。
その頃には坂 田サンもだいぶ酔いが醒めたのか、ベッドに俺を転がしてからは浮ついた会話は聞
こえなかった。
「…あー重かった。でけぇなぁコイツ」
「はは…羨ましいですよね、恵まれた体躯ってやつ」
「お前は小させぇからなぁ。体重増えたか?」
「…70キロになりましたけど」
「1キロしか増えてないじゃないか」
おいおい俺の部屋で喋りに夢中になんなよ。
むっかつくなぁ、後輩が酔いつぶれてんのに(酔いつぶれてないけど)。
しばらく仕事のこととか、会話が聞こえたあと、ぴりりとケータイの鳴る音が聞こえた。
「あーはい坂 田ですけど……ああ、ああ、あーわかったわかった、今から行くから」
ケータイの先から、『来ないんすかぁ』っつうでっかい声が聞こえる。相当盛り上がってるらし
い。
坂 田サンはため息と共に立ち上がる。
「メンドクセーけど行くわ」
「あ、そうですか」
「お前は?」
「折角寮に戻ってきたんで…俺はやめときます」
そうして坂 田サンだけ出て行った。
で…奴は心配そーに俺を覗き込んできた。
その様子があんまり無防備なもんだから…。
この人をからかってやりたいとか…慌てさせてやりたいとか…一瞬のうちに俺の悪戯心がむくむ
くと沸いてきて、今に至る。
別に何をしようなんて考えてなかったけど、この人が普段見せない顔をするもんだから…。
4336:2006/09/10(日) 02:22:10 ID:i381QKkl0


「…っ」
信じられないとでも言いたげな表情で俺を見る。
俺はポケットに突っ込まれてたネクタイで彼の手首を一まとめに縛りつけた。彼の足に乗り上げ
て動きを封じる。もう悪ふざけでは済まされない。
俺は半ばどうとでもなれという、変に潔い気分で思い切りエロい手つきで太ももから股間にかけ
て撫で回した。
彼は目いっぱいの抵抗をした。が、それも空しい抵抗だ。いや、抵抗されたから俺もムキになっ
たのかもしれない。目一杯の力で抑えつけてやった。
俺はベルトを引き抜いてスラックスのジッパーを降ろし、むきだしになった先輩のソレを乱暴に
扱いてやる。
「ちょっ…うそだろ…あ、やっ」
白い彼の顔がみるみる赤くなる。
びっくりしたのか、快感で力が入らないのか、抵抗はぱったりと止んだ。変わりに前かがみにな
るような力が加わる。
俺は夢中でそれを弄る。指を輪のようにして上下に動かしたり、濡れてくる先端部を押すように
弄ってみたり。
先輩の腰がびくんびくんと浮いて、ああこの人も感じたりすんだなー、なんて妙に冷静に思って
みたり。
俺はベッドサイドに手を伸ばして保湿クリームを取る。投手なんかやってると、指先に気を使わ
なきゃならないもんで、このテのものは身近にあるのだ。
今回はコレを本来の用途には使われず、先輩のからだに使われたのだった。
人差し指でそれをすくって、先輩のソコに塗りつけたときの彼の反応といったら…。興奮せずに
はいられなかった。
喉の奥でヒッ、と叫び、恐怖と言えばいいのか、半信半疑と言えばいいのか…とにかく怒ったよ
うな泣きそうなような顔で俺を見上げ、目が合うと唇を噛み締めた。
「先輩、怖い?」
俺はいつも飄々としたこの人を支配している実感で、幸せで幸せで、耳に口を近づけて囁いた。
その間にも指で中をほぐして。
4347:2006/09/10(日) 02:23:13 ID:i381QKkl0
もう彼は返事なんかできなかった。
「ふ…っん…ん…んん…っ」
増えていく指がばらばらと動くたびに、鼻にかかったすすり泣きのような声が漏れた。
抵抗が無いので、手首のネクタイは外してやる。
それでも俺のやりたい放題だった。
後ろは散々指で弄くって、いい反応を返すとこを散々突いて。
だらだらと濡れてしまったそれをわざとゆっくり扱いて。
ぴんととがった乳首をつまんでこねくり回して。
血の出るほど噛み締めて声を殺していたけど、無理やり口を開かせて喘がせた。
荒い息にまじって、もう言葉にならない悲鳴じみた声が心地よかった。
俺の手の中でいってしまったときは、ショックで呆然としていた。それでも俺は彼を弄ることを
やめず、まるで玩具みたいにして、最後は頬に涙のあとを残して気を失うように眠った。
俺はむくりと起き上がって、これからどーしようかなー、なんて考えた。



「オハヨウゴザイマス」
おちょくったような声に気付いたのか、眼下の彼は、ゆっくりと瞼を上げた。
目を細めて明るい室内を見渡し…昨夜何があったか思い出したようだった。
凍りついたような無表情が、俺を煽った。慌てふためくとか、悔しそうな顔をしてくれたんなら
俺の気持ちだって多少の満足感は得られたのに。
俺はベッドに座り込む無表情の先輩に、カメラを突きつけてやる。
彼の視線がわずかに動いた。
「…見えます?もうあんた俺に逆らえないよ。こんなもんバラまかれたら、生きていけないでしょ?」
昨日の写真だよ、って。
彼の目の前でカメラをちらつかせた。
彼はどういう反応をするんだろう。

ところが、わくわくした俺の予想とは全くかけ離れた反応を、彼は返してくれたのだった。
カメラを持った俺の手をばちんと叩き、
「…写真でも何でもバラまきゃいいさ。勝手にやれよ!」
と。
4358:2006/09/10(日) 02:24:31 ID:i381QKkl0
怒りなのか、顔を真っ赤にして。
白いから赤みが目立つ。
俺は威勢のよさにびっくりして黙りこくってしまった。
「お前、もしかして俺をこの会社から追い出したいのか?だったら、絶対出て行かないからな!
死んでも居座ってやる!」
昨夜の俺の行動は、彼には嫌がらせに見えたらしい。
…確かにそうなんだけど。
でも、俺は彼の反応に、ムカつくより何より、笑って、しまった。
自然と笑いがこみ上げてしまう。
「…何がおかしいんだよっ!」
やっぱり赤い顔で。
ああ、駄目だ。
俺、この人嫌いじゃない。いや、スキかもしんない。凄く。
たぶん、最初から俺はこの人を嫌いじゃなかったのかもしんない。
みょーに気になってたのは、嫌いじゃなくて、その逆だから、かも。
俺は赤いこの人の顔を掴んで、おもむろに口付けてやった。
舌を噛まれないように顎を固定するように掴んで、えづく寸前まで深く舌を入れる。
涌いた唾液があふれる。舌で上顎の天井をなでる。苦しいのか鼻息が感じられた。
逃げる舌を追いかけて、吸い上げる。 何度も吸って、かなりの時間を使ってキスをした。
口を離したときには彼は肩で息をして、さっきの威勢はどこへいったのか、わなわなと震えてい
るようだった。
4369:2006/09/10(日) 02:25:47 ID:i381QKkl0
俺は屈辱で震える彼をぎゅっと抱きしめた。
「先輩、ごめんなさい。さっきの写真の話は嘘っす」
「…あ?え?嘘…?」
「写真なんか撮ってるひまありませんでした。先輩が良すぎて」
「よ、す、ぎ、って、何だ、よっ」
「ごめんなさい。でも、ひとつだけ先輩、誤解してるんです。俺、先輩のこと嫌いとかじゃない
っす。大好きですから」
「おまえ、は、すきなやつに、こんな嫌がらせ、すんのかよっ」
「…スキだからするんでしょ?嫌いなやつのケツにンなことしたくな」
「あーっあーっ、もう言うな、もう言うな!」
真っ赤な顔で、彼は泣きそうな声を出した。
なるほど、彼は力で押さえつけようとしたってダメなのだ。
そーいうのには滅法強いみたいだから。
弱いのは、こーやって、下から甘えるように押されること、らしい。
彼が甘くて甘くて、やっぱり俺は笑ってしまう。


さて、どうやって先輩を、困らせようかな。
437風と木の名無しさん:2006/09/10(日) 02:26:40 ID:i381QKkl0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オワタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
438風と木の名無しさん:2006/09/10(日) 11:52:52 ID:lrKqikOd0
>427
GJ!!!
萌え死ぬかと思った。

読み終わったあと、いろいろ考えてちょっと切なくなったけど。
439風と木の名無しさん:2006/09/10(日) 12:10:36 ID:YAHAY4Lt0
>>427
このシリーズ好きでかなり萌えさせてもらった。
GJですた!
440風と木の名無しさん:2006/09/10(日) 13:12:46 ID:q11DR8Io0
>>427
えろくて面白くて萌えまくりなのに、あれ、なんだろう、涙が…
乙でした!
441風と木の名無しさん:2006/09/10(日) 13:45:54 ID:Qd1A+zbR0
>>393
遅レスですが、ありがトン!!
萌えました
442風と木の名無しさん:2006/09/10(日) 21:14:24 ID:NFZr5qGi0
>>427
姐さん待ってたよ!
あ、あのその、あんまり気を落とさないで…
443風と木の名無しさん:2006/09/11(月) 23:59:10 ID:hbZNuG9M0
>>427
エロがエロいです!
444風と木の名無しさん:2006/09/12(火) 14:22:49 ID:voXz/0r00
そらそうよ
445風と木の名無しさん:2006/09/12(火) 17:24:07 ID:gabbePeW0
>>427
姐さん最高です。萌えました
いつもROMってたんですけど、今回ばかりはお礼が言いたくて・・・!!

当分ショックは消えないでしょうけど、元気出して下さい(ノд`)∴
446風と木の名無しさん:2006/09/12(火) 21:21:48 ID:0aHX74uBO
携帯から物申したくなるほど萌えました!
この二人大好きなので嬉しい反面、
廃部が残念でなりません…
447風と木の名無しさん:2006/09/12(火) 23:41:28 ID:DEm2u1+l0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  戦国婆娑羅の蜜秀×乱丸
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  乱丸スレからの出張です
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ショタ・小スカ有りなので駄目な方は「蜜乱」でNGおながいします
448蜜乱*1:2006/09/12(火) 23:42:30 ID:DEm2u1+l0

例えば不可解なことがある。
例えば不快なことがある。
そう、例えば、何故何の所縁で、森乱丸が天敵たり得る青年の自室を訪れているのかだとか。
「そんなに突っぱねなくても良いじゃないですか」
「どこがどー『いい』んだよ。僕にはお前と速攻縁を切りたい理由がごまんとある」
浅く満たされた盃を飲むでもなく捨てるでもなく、ゆらゆらと弄ぶ明智蜜秀。
穏やかな青年、と評されていることは知っている。
そしてまた、得体の知れない『何か』を双眸に棲まわせていることも。
「油断をしない、それは貴方の美徳です」
「当たり前だ。乱丸は辰長様に仕えてるんだぞ」
いつ何時災禍が降り掛かるとも判らない時勢を、安穏と過ごす気はなかった。
勿論、この獲物を狙う獣に対しても同じこと。
「お前が虎視眈々辰長様の首を狙ってることぐらい、『僕だって』知ってる」
腕を組んだ乱丸が嘯くと、蜜秀は「それは失敬な」と笑った。
「私がそんな恐ろしいこと」
「どの口が云ってるんだ」
「まったく辰長様のお気に入り、機智に飛んだ武将が居たものですね」
是とも否ともとれる言葉に嘆息する。
「揚げ足を取られたいのか?」
「いいえ。確かに辰長様は、戦えばさぞ楽しいでしょうけれど…」
捕らえ所のない、捕らえ所を掴ませない話に皆まで聞かず乱丸は背を向けた。
拒絶も露の小さな背中に、蜜秀はさも不思議そうに眉を上げる。
「おや、何処へ行くんですか?」
「厠!ったく、お前には付き合ってらんないよ」
捨て台詞を残して部屋を辞す。辞そうとした、その時。
強く腕を引かれ、乱丸は大きく体勢を崩した。
「うわっ!…っにすんだ!」
振り向けば、すぐ間近に蜜秀の白い顔がある。
腕を掴むのだから当たり前なのだが、いつの間にここまで距離を詰めたのか。
常に警戒はしていた、筈なのに。
449蜜乱*2:2006/09/12(火) 23:45:35 ID:DEm2u1+l0
「いいじゃないですか」
「はあ?お前、何云って…」
点在と評するのが相応しい脈絡ない言葉に乱丸が眉を顰めるのも構わず、蜜秀の二の腕が乱丸を抱き込む。
その冷たい、…死人のような指が肌をなぞるに至って、今度こそ乱丸は拳を振り上げた。
「放せ!変態!」
「変態とは酷いですね…」
酷い、と云いながら些かも気に病む素振りをせず、紫の着物の袷を解いていく。
病的なまでに細く骨張った腕を押し退けようと乱丸は足掻いた。
しかし筋肉らしい筋肉のない体躯の何処にそんな力があると云うのか、蜜秀は力を込めるどころか何事もないかのように指を進める。
「こんのッ…変態…!」
節足動物を思わせる白い指、薄ら寒さに全身が総毛立つ。
本当に、嫌悪感だけだろうか。
蜜秀の指は楽し気に少年らしい筋張った首を、浮き上がった鎖骨を、薄い胸を、柔い腹部を這っていく。
少年と云うのも憚られる紅顔が、妖艶に歪むのを愉しむように。
「ん…ぁ…っ」
「本当に…辰長様の気に入った色小姓ですね」
「ッ!…の、やろう…っ」
明らかな侮蔑の言葉に、乱丸の色が冴えた。
無防備に思えた青年の腹に肘を入れようとし、抑え込まれる。
蜜秀は腰結紐で暴れる両の手首を纏め、呆れたように息を吐いた。
「まったく、『是い』と云っているのに…とんだお転婆です」
「何が……!」
「わざわざ厠に行くこともないでしょう。ここで用は足ります」
一瞬虚を突かれた乱丸も、漸くその云わんとする所を察した。察するなり、冗談ではないと牙を剥く。
「お前、巫戯けるな!…ッあ…!」
感情に任せて怒鳴った瞬間、身体の芯が震えるような感覚が走った。
長い指が蛇のように乱丸自身を握り込み、その冷たさに恐怖する。 悪戯に閃く愛撫が、気を躯を戦かせる。
「どうしたんですか?我慢は躯に障りますよ」
「ひ、ぁ…ッやめ、ろ…!」
450蜜乱*3:2006/09/12(火) 23:46:59 ID:DEm2u1+l0
膝が笑い、満足に立つことすら出来ない。
着物を汚すつもりですか、と親が子に諭すかのような口振りで下履きが捨てられても、抗うことなどできるわけがなかった。
「いいんですか?…なら、私は私の都合で進めますが」
その意味を脳が解するよりも早く、身体が理解する。
「……ッい、…ツ…っ」
少年の双丘を押し分け、あの冷たい指が体内に潜り込んだ。 その意味を、行為を乱丸が知らぬわけがない。
身を持って知り過ぎる程に知り慣れているからこそ、左程感じない痛みよりもその先を恐怖する。
彼の主に自分がそうしてきたように、屈し求め乱れてしまうかも知れないことを。
唇をきつく噛み締めているこの意地が、脆く崩れてしまうかも知れないことを。
「ん…ぁ、やめっ……!」
指は、この男の一部は執拗に内壁を探る。
焦らすように、それとも急かすように。
「…ふふ、この我慢強さは誉めて差し上げましょう」
指が、一点のしこりを引っ掻いた。
「ぅ、あッ…!」
ぱたぱた、ぱた、と。床の間に液体が散る。微かな刺激臭が鼻をついた。
「よくできました」
「みつ、ひで……!」
「おや、そんな顔で睨まないで下さいよ」
少年の大腿を伝う残滓にも鋭さを増した双眸にも頓着せず、青年の指は本数を増して内壁を侵略する。抉じ開け、ただ一点を責め立てる。
「んんっ…あ、く、ゃ…やだ…ッ」
「嫌だ嫌だと、まったく貴方は不平不満ばかりですね」
「はなッ…せ、ゃ、あぁッ…」
「そんなでは大切な上様に叱られませんか?……ああ、こちらは正直、と」
揶揄するように、再び蛇を模したような指が乱丸を包むように締め上げる。
羞恥と愛撫に震える姿に、乱丸の頬が紅潮した。
「お前……ッ、ぃ、なんかに…!」
言葉とは裏腹、次第に鮮明になる水音。硬く緊張して雫を零すそれに嫌悪感すら感じる。
しかし一度思考した感情さえ、無差別に与えられる感覚に流されていく。
451蜜乱*4:2006/09/12(火) 23:48:16 ID:DEm2u1+l0
「わかってますよね?自分が今、どんな姿をしているか」
「ふッ…ぁ、も、やめ…!」
「限界、ということですか?」
ふふ、と落ちてくる笑い声。
「二度も粗相をするなんて許しませんよ」
「ッあ…」
限界まで煽られた自身を戒められ、痛苦の涙が零れた。
自ら制しておいて、なおいたぶる事を止めない指に目眩がする。
低い、憎い笑いは続いた。
「それとも辰長様は、こんなだらしない子供の方がお好みでしたか…」
それは失礼を、と云いかけた言葉が途切れる。
血が滲む程に握り締めた乱丸の拳は、縛められたまま端正な頬骨を殴りつけていた。
鋭利な瞳が蜜秀を射抜く。
「それ、以上ッ…のぶながさま、を、侮辱したなら…ッ」
屈服者でなければ、少年ですらない憎しみを纏った瞳で。

「この乱丸が赦さない」

歪んだ笑みが白磁の面を彩る。
次の瞬間には、乱丸の体躯は鈍い衝撃に跳ねていた。
板の間に叩き付けられ、肺が圧迫される。
冷たい、と思うより早く打ち据えられた肌が熱を持った。
「ゆるさない、ですか。どうやって?」
疾うに結紐の落ちた乱丸の前髪を掴み上げる。
少年の、未成熟の、無力の証をちらつかせるように。
力ずくで面を上げられながら、乱丸は破棄捨てるようにわらった。
452蜜乱*5:2006/09/12(火) 23:49:17 ID:DEm2u1+l0
その笑みすら掻き消すように華奢な躯を放り出す。
思うようにならない両の手に身体を支え損じ、乱丸は肩から伏せた。
「貴方は疾うに敗けているのに」
「ア、ぁ…ッ!」
無力を更に蹂躙するよう、破壊を更に破戒するように、少年を貫く。
裂かれる感覚に乱丸の聲が掠れた。
「こうして憎むべき者の足元に伏してる貴方が、どうやって私を裁くとおっしゃるんですか?…ねぇ、乱丸」
「ひ、ぁ、う…ぁ、ぐ、」
愛しさの情欲の欠片もない、ただ純粋に壊すような律動に揺さぶられる。
五臓六腑を引き裂いて、引き摺り出して、壊して嬲って堕として躙って滅茶苦茶にするために。
そして堕ちた地の底ですら、屈する事を知らず消える事を赦さぬ炎をこの手で握りつぶすために。
「…貴方は本当に好い眸をする」
跪いてなお憎悪と嫌悪を宿す少年の双眸に微笑む。心から。
不様なまでに這いつくばり穢れて辱められて賎しまれても、少年が揺るがぬ黒曜の双眸を持ち続ける限り。
その目に胸躍る殺意を滾らせている限り。

あなたがそのめをもつかぎり、わたしはあなたをいつくしむのでしょうね。


453風と木の名無しさん:2006/09/12(火) 23:51:21 ID:DEm2u1+l0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ お粗末様です…新年の御蔵入り品でつた
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
454風と木の名無しさん:2006/09/13(水) 01:26:36 ID:RJKdsu4D0
ここの姐さんたちに質問です。
某八球少年カプネタは投稿可ですか?
(NGならばどっか探します)
455454:2006/09/13(水) 01:31:30 ID:RJKdsu4D0
連投すみません。もちろん登場人物全員当て字が前提です。
456風と木の名無しさん:2006/09/13(水) 01:31:41 ID:nlpu7xoc0
>>453
GJ!!!!!!!!!!
萌え死んだ
457風と木の名無しさん:2006/09/13(水) 02:24:17 ID:IRwLrYJZ0
>>454
未成年の一般人ネタ?
(・∀・)カエレ!!
458454:2006/09/13(水) 02:27:15 ID:RJKdsu4D0
スミマセンかえります。
459秋pin 1/4:2006/09/13(水) 02:36:38 ID:m7ynqt5o0
日曜ドラマの某カップルだよ。初夜のその後を捏造したよ。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「あの夜は、ほんとに何にも無かったのよ」
 僕の隣に横たわるpin子さんは、穏やかに笑った。
「秋羅ちゃん自分で服脱いじゃったんだから。暑い暑いって。あたし、一応は
止めたのよ、覚えてない?」
「……うん。ぜんぜん」
「んもう。自分に惚れてるオカマの前で、裸になって正体なくしちゃうんだも
ん。秋羅ちゃんったら、油断しすぎ」
「いてっ」
 軽くわき腹をつねられたけど、痛いっていうより、なんだかくすぐったい気分だ。
 だって、pin子さんがここにいる。そばにいてくれている。
「あたし、悔しくてさ。だから、ちょっとだけ懲らしめてやろうって思ったの」
「それであんな嘘ついたの?」
「そう。でもね、秋羅ちゃんの家族になりたかったっていうのはホントよ。そ
れから、あの夜がとってもステキだったっていうのも、ホント」
 体を摺り寄せ、pin子さんは大きな目で僕を見上げた。
「あの夜、あたし、一晩中秋羅ちゃんの寝顔を見てたの。だって、眠っちゃう
のがもったいなくってさ。今夜だけ、今だけ、って何度も自分に言い聞かせな
がら、ずっと見つめてた。あたし、すーっごく幸せだった、あの夜」
460秋pin 2/4:2006/09/13(水) 02:37:13 ID:m7ynqt5o0

 大きく見開いたpin子さんの目に、辛そうっていうか、切なそうな影がよぎる。
あの頃は気付かなかったけど、僕を見つめるpin子さんの目にはいつも、
同じ色が浮かんでいたのが、今はわかる。そんなpin子さんの目を、幸せだけ
で一杯にしたくて、僕はpin子さんの体をきつく抱き寄せた。
「今は?」
「ん?」
「幸せ?」
 pin子さんの目がすっと細くなって、顔中に笑みが広がる。
 僕の一番好きな顔。
 僕は本当に、pin子さんが好きなんだ。どうしてこんな簡単なことに
気付かなかったんだろう。もう、とっくの昔に、僕の心はpin子さんのものだった。
「とーっても、しあわせ」
 大好きな笑顔のまま、pin子さんが僕の胸に顔を埋めた。いつもより声が
かすれているし、ちょっと疲れているのかな。さっきは、どう触れていいのかわ
からなくて、感情のまま抱いてしまった。多分、もっと優しくしてあげられた
のに、もっと優しくしたかったのに、ぜんぜんコントロールが効かないなんて、
こんなことは自分でもはじめてで、今更後悔の気持ちが湧き上がってくる。
「ねえ、pin子さん、……あの、大丈夫?」
「もう。秋羅ちゃんったら、大丈夫よ。さっきだって……何度も言ったじゃな
い、秋羅ちゃんの思うとおりにしていいって……。あたしは、そうしてくれる
のが嬉しいんだからって」
461秋pin3/4:2006/09/13(水) 02:37:54 ID:m7ynqt5o0
 僕の胸を軽く叩いてpin子さんはまた微笑んだ。戸惑ったときも、悲しいと
きも、そして少し怒っているときでも、いつもかすかに笑みを浮かべているpi
n子さんの唇は、今はいつもより赤くて、はれてるみたいだ。僕がキスをたく
さんしたから?
「次はもっとがんばるからね」
「やあっだぁ! もう! 秋羅ちゃんったら!」
 言うなり、pin子さんはまた顔を伏せてしまった。白い肌がぱっと赤くなって、
なんだかドキドキする。普段はあんなに押しが強いのに、本当は照れ屋
なところがたまらなく可愛い。
「pin子さん」
「……なあに?」
「ずっと一緒にいようね」
「……ほんとに? 本気なの?」
 まだ少し疑り深い顔してる。pin子さんには散々ひどいことを言ってきたん
だから、当然か。でも、これからは違う。これからは、pin子さんを大切にし
て大切にして、幸せで一杯にするんだ。そうして、こんな顔、二度とさせたりしない。
「もちろん。ねえ、pin子さん、結婚式やろうよ」
「ちょ、何いってんの!?」
「うちの家族みんなの前で、pin子さんへの愛を誓うよ。そうしたら、信じてくれる?」
「秋羅ちゃんは、それでいいの?」
462秋pin4/4:2006/09/13(水) 02:38:28 ID:m7ynqt5o0
「そうしたいんだ。これからもずっと、pin子さんと、生きていきたいから」
「……秋羅ちゃん」
 pin子さんの大きな目が涙で一杯になってく。でもこの涙が悲しいからじゃ
ないことくらい、僕だってわかる。
「僕の、家族になってくれますか?」
「秋羅ちゃん!」
 pin子さんは僕にしがみつくと、そのまま声を詰まらせて肩を震わせた。
 小柄だけど、意外とがっしりした肩が、なんだか頼りなく感じて、僕は抱き
しめる腕に力を込めてみる。
 ああ、pin子さんがここにいる。なんて幸せなんだろう。
「ありがとう、pin子さん」
 僕の前に現れてくれてありがとう。
 僕を好きになってくれてありがとう。
 僕のこれからの人生に居てくれて、ありがとう。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )チョットダケユメミチャッタ! バカヨネ!
463風と木の名無しさん:2006/09/13(水) 02:47:39 ID:Q6oJ/pPn0
>>459
り、リアルタイムで読んでしまった…
姐さんGJ!!
ピソコさん、結婚おめでとう!いつまでもお幸せに!
464風と木の名無しさん:2006/09/13(水) 06:49:25 ID:nBWrd18H0
>>459
GJ!!!
萌えたー萌えたー、おにーちゃん、プロポーズカッコいいよ!
465風と木の名無しさん:2006/09/13(水) 06:57:20 ID:SAu5D8aXO
>>459
GJ!!秋pinに幸あれ!
次はラブラブ桃園編をぜひ。
466風と木の名無しさん:2006/09/13(水) 17:44:59 ID:ucMqnUb80
>>453
GJ!!乱丸可愛いよ乱丸
467風と木の名無しさん:2006/09/13(水) 19:05:08 ID:ZtAoz/ug0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | |> PLAY.       | | 
 | |                | |           ∧_∧ やきうネタ、監徳と秘書で片思い+選朱一名
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  Tシャツをめぐって起きる何か
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | 
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
468風と木の名無しさん:2006/09/13(水) 19:05:39 ID:ZtAoz/ug0
缶督室でメガネを普段用から練習用に換えつつ、監徳は悩む。
「さすがにこれは、ちょっとなあ……」
彼の前には一枚のTシャツがある、ファンからもらったものだ。
若手が同じようなTシャツをファンからもらっているのを見て“いいなあ”と少しうらやましがったところ、そのファンが作ってくれたのだ。
貰った瞬間はファンの気持ちが嬉しかったし、“俺の人気も、まだまだあるね”などと思ったが、いざ冷静になって見ると……
背中の半分を占めるようプリントされた自分の名前、それにスローガンだけならまだしも『あなたは私を幸せにしてくれる』というようなメッセージ。
それに、ピンクで背番号がプリントされている。
去年までなら、恥ずかしがりながらも着たかも知れない。
しかし、今の立場では、これを着て記者にインタビューされたりするのは監徳としてどうだろう?という気持ちがある。
悩む彼に、秘書が声をかける。
「監徳、どうしたんですか?」
「いやね、このTシャツ。ファンの人が作ってくれたんだけど」
手渡されたTシャツを、秘書はひろげて見た。
「へー、ファンの人が自分でプリントしたんですか? すごいですねー」
のんきとも言えるような秘書の感想に少しだけ呆れ、悩みの元を話す。
「いやまあ、それはいいんだけど、これを着てクラブ家と球状の間を移動すると記者になあ……かといって、一度も着ないままだとファンの人も気ぃ悪いかなと……」
「捨てたと思われても困りますよね」
流石に秘書の顔も真剣になっていた。
「それは、お互いにとって悪いことやね」
ファンサービスの向上を願っている彼に取って、イメージが悪くなるのは避けたいのはもちろん、自分が“いいなあ”と言ったから作ってくれたというファンの気持ちを無駄にしたくなかった。
何とかして、贈られたTシャツはちゃんと扱われているとファンに伝えたい。
ブ□グを利用するという手もあるが、一人だけのファンを特別扱いするわけにもいかない。
答えが出ないまま時間だけが過ぎるかと思われた時、秘書が口を開いた。
「僕がこれを着るっていうのはどうですか?」
確かに名案かも知れない、直接本人が着ていなくてもいつも彼の傍にいる秘書が着ていればファンの目にも入るだろうし捨てられていない事もわかる。
469風と木の名無しさん:2006/09/13(水) 19:06:30 ID:ZtAoz/ug0
しかし、ファンとしてのメッセージがふんだんに盛り込まれたこのTシャツを直接の部下に着せるのはどうかとも思われた。
「ほんまに、いいんか?嫌やったら断ってもいいんやで」
「いいんです……僕は監徳の事、好きですから」
きっぱりと言い切った秘書の勢いに押され、Tシャツを手渡した。
「じゃあ……」
するすると音を立ててそれまで着ていたシャツを脱ぎ、ファンの作ったTシャツを着る。
着替えた秘書が何かに気付き、ドアの方を振り返った。
「あれ?」
「どうした?」
「いえ、さっきノックにしては中途半端な音が聞こえて……」
「ふーん、何やろうねえ……」
監徳は気にはなったが、Tシャツの件も無事に片付きそうでもあるし監徳が遅れるわけにもいかないので急いで練習に向かった。

監徳はふと、秘書の言葉を思い出した。
『いいんです……僕は監徳の事、好きですから』
──俺の事が、好き?
ファンです、ぐらいの意味だろうと考え直す。
しかし、そうではないような気もしてくる。
そして仮にどちらの意味であっても……悪い気はしなかった。

そんな監徳をよそに、一人の選朱が雑念を振り払うように走り込みを続けていた。
意味深な会話の後、するすると何かを脱ぐ音が聞こえた缶督室。
あのままノックして、中の様子を探ればよかったのかと考える。
しかし、彼が疑った通りの事が行われていたとしたら……
彼は考えた。
もちろんスキャンダルがチ一ム内にあるのは嫌だ、しかしそれ以上にあの秘書が監徳と……
いや、監徳が誰かと……
──俺は、嫉妬しているのか?
自分に取って監徳とは、一体何なのかを問いながら走り続けたのだった。
470風と木の名無しさん:2006/09/13(水) 19:07:21 ID:ZtAoz/ug0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ すべての感情が微妙すぎたかも
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
471風と木の名無しさん:2006/09/14(木) 02:49:01 ID:XD+L67kq0
>467
選朱って誰だろう?
自分の燃え&萌え選朱に変換して萌えましたけど。

秘書も萌えです。
472風と木の名無しさん:2006/09/14(木) 21:28:59 ID:wd6BNqDZ0
>>453
遅くなったけどGJGJGJ!!!!!!萌え死ぬかとオモタ!!
473風と木の名無しさん:2006/09/15(金) 20:05:28 ID:rI9p2KiP0
                   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  タクミくんシリーズ新刊の隙間萌え
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  今頃コソーリ投下してみる
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ヤットカケタシ、セッカクダシネ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
474暁は遠く1:2006/09/15(金) 20:07:00 ID:rI9p2KiP0
 ギイが手を差し伸べる。
 葉山は、瞼をそっとおろした。
 まるきり、安堵したかと思うようなタイミングだった。求めていた助けを確認して、ほっと力が抜けたといったふうな。
 ギイはさっきから――葉山託生と視線を交えた瞬間から、高らかに鳴りっぱなしの鼓動を強いて抑えようとつとめつつ、そんな葉山を抱きかかえた。
 初めて懐にいだく、艶やかな黒髪。葉山は無意識にか額をギイの肩口へ押しつけた。密着していなければわからないほど些細なその仕草に、あっけなく、ギイは自分の心臓をコントロールできなくなる。
 葉山の耳には響いているはずだ。
 隠しようがない、抑えようのない胸の轟きが。
 それでも、おとなしく抱かれている。
 今だけ。このときだけだとしても。
 ――いやじゃ、ないんだな?
 気が抜けたからか、意識を手放したらしい。ゆっくりくずおれていく華奢な体。ギイは抱き支える腕に力をこめた。薄い背中へ手を回す。葉山が、冷たい壁にではなく自分のほうへ倒れこむように。
「ギイ、大丈夫か?」
 相棒の声に顔だけふりむき、短く答える。
「平気だ」
 章三は驚いたように目をみはった。その章三の反応に、ギイは自分が今どんな表情をしているのか把握できなくなる。けれどポーカーフェイスの十八番、柔和な笑顔で取り繕うことすらできなかった。
 わずかでも頬を緩めたら、そこからぼろぼろとこぼれでてしまいそうだ。
 葉山への思いが。
「一人で運べる」
「……そうか」
 章三は一歩退いた。
 ギイが裡に秘めているものへは立ち入らない。暴こうという気などまったくない相棒は、あくまでも自分なりに解釈したようだ。
「そうだな。葉山って、身長はそこそこあるくせに、体重はうちのクラスで一番軽いっぽいもんな、どう見ても」
「えー、でも、意識のない人間って、異常に重たいもんなんじゃないの?」
 麻生がのほほんとした口調で横槍を入れてくる。ギイは無言で、いっそう深く葉山を自分へと寄りかからせ、左腕を葉山の膝裏に差し入れて抱き上げた。
475暁は遠く2:2006/09/15(金) 20:08:49 ID:rI9p2KiP0
章三へもちらっとだけ一瞥をくれて、
「部屋に連れていくから。じゃあな、章三」
寸刻の猶予もない。完璧にそんなそぶりでギイは歩きだした。
取り残されたかたちになった章三は少々首をかしげ、麻生に意見を求めた。
「葉山の熱、そんなにひどいんだろうか。中山先生、呼ばなくていいんでしょうかね。ギイが僕にそんな基本を言い忘れていくはずないんですけど」
麻生は肩をすくめたが。
「ま、いいんじゃないの? 診てもらう必要性を感じたら、どうせ、ギイが、直接先生のとこへいくよ」
「そう、ですかね」
章三は口の中で呟いた。
それはちょっと、ギイらしくない効率の悪さだけど。
「……それにしても、筋金入りの級長体質だな」
後ろ姿を見送りつつそう漏らした章三に、麻生はぷっと吹きだした。
「級長体質、ねえ。たしかに、それふりかざして、持ってっちゃったけどさ」
油揚げを。



四階までの階段を、一段一段を、こんなに噛みしめるように確かめながらのぼったことなど、かつてない。
今だけ。今だけでいい。
このまま、段数を刻んでいたい。
抱きかかえた葉山を痛いほど感じながら、ギイは可能な限り静かに歩を進めていた。
シャツ越しに、ちょうど鎖骨の辺りに葉山の熱い頬がふれている。そこを中心に胸が痺れている。この世で最も大切なものを抱えた両腕は、不思議なほど軽かった。
もっと重くても全然いいのに、葉山。
もっと、もっと葉山の存在を感じたい。そう切望するギイだから、高揚のあまり重力の感覚が狂ってしまったのかもしれなかった。
――葉山。
部屋に着くまで。
着いたら、手放さなければならない。
ずっと、抱きしめていたいのに。
そんな不埒なことを考えながらの道中はあっという間に終わってしまった。
421号室。しんと冷えた室内で、ギイは小さく溜め息をついた。
葉山をそっと毛布へおろす。掛け布団へ伸ばした手を、しかしギイは途中で止めた。
476暁は遠く3:2006/09/15(金) 20:10:35 ID:rI9p2KiP0
だって葉山、ジャケットを着たままじゃないか。
その手がひしと握りしめていた財布も、気になる。
「なあ……何か、欲しかったのか?」
答えないのを承知で、いや、ここに、こんな至近距離にギイがいることを知らない葉山にだからこそ、恋人にするようにやさしく囁ける。なめらかな額に散らばる黒髪を甘く梳ける。
葉山にふれたい指先を止められない。
けど。
最低なことをしてるな。
ギイは頬に自嘲を浮かべた。
本当ならば、今すぐ退出しなければならないところなのだ。
真実、葉山のためを思うなら。
葉山がギイに許したのは、あくまでも、ここまでに違いなかった。ギイは葉山の目にも、誰の目にも非常に面倒見のいい級長なのだ。それだけなのだ。
それとも?
ギイはふと気づいてしまった。
先刻の、あの眼差し。ギイを視界に捉えて、助けを求めてくれていたのが仮に事実だったとしても、葉山は風邪のせいで素直になった――非常に弱っている、だけだ。証拠に、乱暴な緒方の手を払いのけられないでいた。……そう。
同じように、近づいてくるギイの手は内心いやがっていたのに、避けようがなかっただけかもしれない。
あのとき。
ギイが手を差し伸べたとき。
葉山は目を閉じた。
あれは、承諾などではなく。
かすかに残っていたいつもどおりの葉山の、精一杯の拒絶だったのかも、しれ、ない。
脳裏にある真新しい記憶の光景が、明から暗へくっきりと反転した。
極上に柔らかな頬をなぞる指がかすかに震える。
熱でどうにかなってしまった葉山の、常にないギイに対する譲歩は、ここまでだ。
無事ベッドへ寝かしつけたら、すみやかに出ていかなければならない。
ならない、のに――
「……う…」
葉山がか細く呻いた。うっかりしていたら聞き逃してしまいそうな、小さなちいさな悲鳴。
ギイは自分もつらく眉をしかめながら囁いた。
「葉山? どうして欲しい? 何が欲しいんだ?」
絶不調をおしてまで買いにいこうとしていた品。
477暁は遠く4:2006/09/15(金) 20:12:28 ID:rI9p2KiP0
教えてくれよ。
頼むから、今だけ、だから。
……助けたいんだ。
じんじんと熱い額に手を置く。雪の塊を溶けるまで握りしめてからこうしたら、少しはこの額を冷やせるだろうか。せめて、流水に晒してみるか。
そんな馬鹿なことをちらりと考え、ギイは苦笑した。
「――あ…!」
水。そうだ。水だ。
飲み物が欲しかったのか、葉山は。
玄関前の廊下の一角には自販機が列をなしている。パジャマの上にジャケットを一枚羽織っただけの軽装、葉山は寮から出るつもりなどなかったはずだ。
「白湯でいいか? ――ごめんな」
ギイは素早く立ち上がると、ポットからマグカップへ湯を注ぎ入れ、それを水で適度に冷ました。
「葉山、悪い」
もう一度押し殺した声で謝ると、細い首の下にそっと手を滑り込ませる。ベッドへ下ろしたときよりも、さらに慎重に、ゆっくりと、葉山の上半身を抱え起こした。自分もベッドの端に腰かけ、小さな頭を胸板で支える。
「……飲んでくれるよな?……」
唇にそっとマグカップを沿わせたが、意識のない、あるいは限りなく朦朧としている葉山が自力で白湯を喉に流し込めるわけはなかった。
卑怯なのは百も承知している。
最低なのも、重々わかっている。
だけど、どうしても、こうしていたい。
閉じた腕の中、胸の奥に、大事に大切に包み込んで、離さないで。
今だけ。――今だけ。ギイは祈った。
意識がほとんどないうえに、発熱のせいで接触嫌悪症から引き起こされる防御反応もろくろく機能していない葉山だから、ギイの腕に抱かれているのだ。
葉山にとって、いくつもの悪条件が重なった結果、こうなっている。
ありえないシチュエーション。
その状況につけこんでいる自分自身を、ギイは、頭では許せないのだが。
動けない。
葉山に水分補給させることすら、口実にすぎない。
ふれていたい。
抱きしめていたい。
葉山の、そばに、一瞬でも長く、いたい。
478暁は遠く5:2006/09/15(金) 20:14:11 ID:rI9p2KiP0
「……ん」
少し濡れた唇を、葉山は、ゆるゆると舐めた。
ギイはそのようすを、呼吸するのも忘れて見つめた。
誘うみたいに薄くひらいた唇。恋心を煽るように桃色の舌が覗く。
違う。それは違う。眩暈がする。
葉山の舌は、湿り気を欲して動いているだけだ。
葉山は今、無意識なんだ。
葉山は、……葉山は、……、…………
「――託生」
その声は、喉に絡んで掠れた。
さらなる湿りけを求めている唇に視線を当てたまま、ギイはマグカップを自分の口元へ運んだ。一口分、白湯を含む。
もはや心の中で謝罪する余裕すらなかった。
尖り気味の顎に指を添えてあお向けさせると、ギイはその唇へ、ゆっくりと唇を落とした。
口移しで白湯を与える。
軽くついばんでうながすと、託生は素直に口をひらいた。ギイの舌ごと滑り込んでくる白湯もすんなり受け取って、こくりと喉を鳴らす。
「……ん、ん」
託生が小さな声をあげて、ギイははっとわれに返った。唇を離す。
いつしか、キスするのに夢中になっていた。
頬が熱い。耳朶も熱い。首筋は焼けるようだ。唇は痺れたようになっていて、その甘い痺れは下半身の一点に直結している。体中が、火照っている。
ギイはまた白湯を口に含むと、これ以上はないやさしさで唇に唇を押し当てた。
誘導されるまま、ギイの唇の隙間に潤いを見つけた託生の唇は、それを欲してゆるくひらく。求めてくるのに応えて与えたうえで、甘い水はこっちにあるからとそっと託生の舌を引きずり込む。舌の上に残る水分を好きなようにまさぐらせる。
たどたどしい舌遣いがいとおしい。
託生の唇を味わうことしか考えられない。
ひそやかに、けれど熱く。奪うというよりは盗む口づけを、ギイは繰り返した。
何度そうして長いながいキスを交わしただろうか。
ちゅっと湿った音を立てて名残惜しく託生の唇を離したギイは、マグカップをあおり、それがすでに空なのに苦笑した。
これ以上は駄目だ。
ここで踏み止まれなかったら、もうどこまでも際限なくむさぼってしまう。それがあまりにもくっきりとわかってしまったので、ギイは大きく息をついて無理やり視線を逸らした。
479暁は遠く5:2006/09/15(金) 20:15:05 ID:rI9p2KiP0
託生の唇はすっかり色づいている。けれど、その唇は、己が深く愛撫されていたのだとは知らないようすだった。
ギイの体は制服のズボンの上からでも一目ではっきりわかるほど変化している。一方託生の下半身は、パジャマの柔らかい布地の下で平らなままだ。
恋情にまみれたギイの口移しに、無垢に応えた。
託生は、きっと、キスを知らない。
――だから、接触嫌悪症という厄介な病を得てしまったのかも、しれない。
もしもこの直観がただしいのだとしたら。
ギイは懺悔した。
「愛してるよ、託生」
愛してるんだよ。
この思いを、許してくれとは言わない。
ギイは、なめらかな黒髪をやさしく、死ぬほどやさしくなでた。
ずっと、ずっと。おそらくこの世に生まれるより先から、こうしてやりたかった。
息が止まるくらいきつく固く、しあわせが胸を埋め尽くす。
だけどこれだけじゃ終わらない。
終わらせられない。
肌をふれ合わせることは痛みでも苦しみでもないと、実感させてやりたい。それから、叶うのならば、いつか。重ねるごとに体が芯から燃え上がるキスを教えてやりたい。
「託生――愛してる」
この罪は、ただ。
一生、背負っていくだけだ。
480風と木の名無しさん:2006/09/15(金) 20:17:25 ID:rI9p2KiP0
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 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
481風と木の名無しさん:2006/09/15(金) 20:53:18 ID:wG49hv5F0
>>473
いやいや萌えた。ありがとう。
正直このシリーズを読み返す気はないけど、
この隙間萌えはむちゃくちゃイイ! こういうの大好き。
こういうのってエロ萌より濃くドスンとくるんだよなぁ。ぐはー。
482風と木の名無しさん:2006/09/16(土) 00:07:47 ID:YmwNY/aa0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  映画「○ド戦記」エンディング後を捏造(ry
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  しかも需要の少ないクモウサだよ。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
4831/2:2006/09/16(土) 00:08:43 ID:5jaJFmTY0
足繁く通った城への道は、すっかり体が覚えている。

町の灯りもとうに消えた、夜深く。空には月も星も見えなかった。
昔は部下達を引連れて駆け抜けた景気の中を、今は一人くたびれた足を引きずるようにして歩き続けた。
マントや冑もなく、痩せて憔悴しきったその姿に、過去の野蛮な悪党の面影はない。

――――――どうして今夜、行こうと思ったのか。

その理由さえ、ハジアの実に病んだウサギにはもう考えることが出来なかった。
ただ身を切るようなこの冷たい夜の風が、愛した主人の体温を酷く思い起こさせた。

     *    *    *

やがて辿り着いたその土地は、あの日から何一つ変わってはいなかった。
瓦礫となった城の、それでも辛うじて残っていた門の一部にウサギの手のひらが触れた。
静かに微笑み名を呼んでくれた主人の姿は、もうどこにもない。

「ク、モ…様……」
愛しい人の名が、口をついた。
あの日見た最期の光景が、胸を押し潰す。
悲しみと絶望に、ウサギは堰を切ったように声を上げ泣いた。

月を覆っていた厚い雲は雨雲に変わり、やがて降り出した雨が痩せた体を打ち付ける。
もう、冷たさや寒さも分からなかった。
長い間向き合えずにいた事実を受け止めた今、救いも、助けも、慰めも、
まして自らの命すら、ウサギにとって必要なものは何一つなかった。

泣きじゃくるウサギの声も姿も、勢いを増し地面を叩きつける雨に紛れ、掻き消されていった。
4842/2:2006/09/16(土) 00:09:34 ID:YmwNY/aa0
それから数日してどこからともなく、奴隷狩りをしていた悪党がどうやら死んだらしいという噂が立った。
それは過去、苦しめられた人々にとって喜ばしい報せとして町や村へと伝え広まった。
しかし、そんな噂も暫くすれば誰も口にしなくなった。
世界が徐々に均衡を取り戻すにつれ人は、ちっぽけな悪党になど興味をなくし、忘れてしまったからだ、
――――――嘗て部下だった者達を除いては。

罪人として、町からも遠く離れた場所に隠すようにひっそりと葬られた男の、
その墓標の前に一体誰が花や酒を置いて行くのか。

町の人間達は無論、知る由もなかった。
485風と木の名無しさん:2006/09/16(土) 00:10:07 ID:YmwNY/aa0
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ バッドエンドで申し訳ない。しかもエロもない。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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486風と木の名無しさん:2006/09/16(土) 12:39:15 ID:YmwNY/aa0
>483の景気→景色です。
駆け抜けた景気ってそれ何ていう経済産業省orz
487風と木の名無しさん:2006/09/16(土) 15:40:21 ID:X4mC/aBjO
>482
切ない(ノд')・゜・。
GJです!!
488風と木の名無しさん:2006/09/16(土) 22:22:15 ID:LLW/UNnw0

                    |  >>415の続き 某ホヌト部アニメの森x羽仁x森
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  捏造いっぱいなのでご注意下さい…
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ コレデオシマイデス
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
489森x羽仁x森 1/7:2006/09/16(土) 22:22:48 ID:LLW/UNnw0
 ――駄目だ。こんな事は、もう。
 そう思いながら、嵩は抱きしめた体から腕を解けずにいる。

「……ん、……う、ん」

 夕暮れの光が残る、光国の部屋のソファ。薄暗くなって来ている事はわかっていても、
今灯りをつける余裕はなかった。
 深い口吻の中で、膝の上で向かい合った光国が苦しそうにくぐもった声を出す。
絡めた舌は更に奥を探ろうと、それ自体が生き物のように動いては互いを貪っている。
先程まで光国が口にしていたザッハトルテの甘さは、もう二人の口の中で溶けて消えて
しまった。
 嵩は生温い唾液を嚥下しながら、噛みつくような勢いで唇を合わせた。嵩の制服を掴む
光国の指に、ぎゅっと力がこもる。

 最初に弾みでキスをしてしまったのは嵩。
 二度目に誘ったのは、光国だった。
「ね、たかしー。……ちゅう、しよ?」
 偶々人気の消えた部室の隅で。一回したもんねえ、といつもの調子で告げて、光国は
椅子の上で固まる嵩の膝ににじり寄り、軽く口づけた。
「これであいこだねえ」
 光国は少し得意げににっこりと笑い、嵩はただただ呆然としたのだった。

 何故だろう。
 嵩はずっと考えていた。どうしてあの時光国にキスをしてしまったのか。何故光国に
せがまれて触れた時よりも、ずっとうろたえたのか。
 そしてためらいつつもキスをねだられる度に流されて、いつの間にかこんなに深い
口づけまで二人で覚えてしまったのは何故なのか。
 疑問符ばかりが膨らんで、嵩はまだ答えを出せないでいる。
490森x羽仁x森 2/7:2006/09/16(土) 22:23:23 ID:LLW/UNnw0
「は……」
 唇を離すと、光国は喘ぐように息を吸い込んだ。歪んだ唇の端を唾液が伝い、濡れて
赤くなった色が普段の幼い表情の光国とあまりに不釣り合いでなまめかしい。
そんな光国を直視できず、嵩は目の前の頭を自分の胸に押し付けた。
「……おでこにネクタイ当たって、痛い」
「……すまん」
 非難の声に力を緩めると、光国はいつもするように頬を首筋に擦り付けてくる。
首に腕を巻き付け、甘えるような仕草をする光国の背を支えた。
「たかしーぃ」
「ん」
「……勃ってるねえ」
「……!」
 何でもないように言われて、嵩は慌てて光国を引き剥がそうとする。が、光国は
しっかりと嵩の首につかまったままで離れようとしない。
「僕も気持ちよかったもん。いっしょだよ?」
 光国の膝がするりと嵩の股間の上を撫で、嵩の背をぞくりと快感が走った。光国は
にこにこ笑みを浮かべていて、それがかえって空恐ろしい。
「光国……」
「……今度は僕がしてあげよっか」
 悪戯っぽく囁いて、光国は体を引き下の方へ滑らせていく。
「っ、やめろ」
 嵩が光国の体を引き上げようとするが、その手を光国は軽く振り払ってしまう。
光国の指が制服越しに嵩に触れようとした所で、嵩はたまらず実力行使に出た。
「……!」
 嵩は光国の両手首を取り、無理矢理にソファに押し付けた。弾みで、仰向けになった
光国の上にのしかかるような格好になる。
「……お前はそんな事……するな。俺は間に合ってる」
 言い聞かせながら、我ながら説得力のない言葉だと嵩は自嘲する。しかし例え光国の
単純な好奇心だとしても、自分の卑劣な妄想のような事を決してさせたくはなかった。
自分の一方的な欲望が光国を汚すのは、嵩には耐えられなかったのだ。
491森x羽仁x森 3/7:2006/09/16(土) 22:24:03 ID:LLW/UNnw0
「……ねえ、たかし」
 押さえ付けられた光国が、落ち着いた声音で嵩を呼ぶ。光国の周りの戯れのような
空気が一変した。
「どうしてたかしは僕とちゅうするの?」
 見上げる目は、しっかりと嵩をとらえて離さない。強くてまっすぐな、光国の素の視線だった。
「どうして僕のお願い、聞いてくれたの?」
 その視線に射竦められたように嵩は動けない。ずっと嵩が考えながら――考える振りを
しながら答えを出さずにいた事を、光国には見抜かれていたのだ。
「ねえ、そろそろ……ちゃんと考えてみて?」
 そう言った光国は、とても大人びて見える。嵩から解放された手が、垂れ下がった
制服の胸元を握った。一度口をつぐんだ光国の顔には、沈みかけた夕日がまだわずかに
射している。
 そしてゆっくりと、その唇が動き出す。

「好き」
 少し目を細めて、泣き出しそうな表情で光国は言った。
「たかしが好きだよ」

 これまでに光国が何度となく口にしてきた言葉だった。……しかしいくら嵩であっても、
この状況で語られる「好き」がどんな意味かくらいはわかる。
「……」
 無自覚さんが「自覚」した瞬間。
 これまでの様々な思考が繋がってぴたりとはまり……嵩はぼっと火が付いたように
赤くなった。
「……わかった? たかし」
「……」
 こくり、とぎこちなく嵩はうなずく。気付いてしまった自分の気持ちが恥ずかしすぎて、
声も出ない。光国の上に半ば倒れ込みながら、口元を手で押さえるので精一杯だった。
「ん、よくできました。……えらいえらい」
 光国は自分の胸の上にある嵩の短髪をいいこいいこする。
 この時嵩が少しだけ顔を上げれば、安堵した表情の光国が見られたはずだったが、嵩に
そんな余裕は残っていなかった。
492森x羽仁x森 4/7:2006/09/16(土) 22:24:51 ID:LLW/UNnw0
「……たかしー」
 ぽんぽんと肩を叩かれて、嵩はおずおずと体を起こす。見下ろした光国はふわりと
微笑みながら、嵩に腕を伸ばしていた。その手を取って起こしてやると、光国は嵩の隣に
よいしょと座り直した。
「はあー、よかった。緊張したよう」
 そう言いながら、光国はテーブルの上に寝かせてあったうさちゃんを胸に抱いた。
「これでもたかしが気付かなかったらどうしよーって、うさちゃんと心配してたんだもんねえ」
 ねー? と、うさちゃんに語りかける姿はいつもの光国そのままである。
 額に手を当てて真っ赤な顔を隠しながら、嵩はそんな光国を横目で見る。
「光国……いつから知ってた?」
「あのねー、知ってたとかじゃないの! えっちな事してもちゅうしても、たかし
本気で嫌がらないから……だからね、本当は不安だったんだ。たかしにとっては全然、
そんな事してもしなくても気になんないような存在なのかなーって」
 視線はうさちゃんに注いだまま、光国は明るい調子で話す。
「でもさっきのでねえ、大事にしてくれてるんだなーってわかったから、ちょっと賭に
出たんだけど。……もー、たかし鈍すぎだよっ」
 光国はうさちゃんの手を操って、嵩の頭をぺしぺしと叩いた。そんな光国の姿すら
まともに見られなくて、嵩は頭を抱えた。
「……そうか」
「たかしー。落ち込む前にまだ僕聞いてないんだけどなあ。さっきのお返事」
 ねー、うさちゃんも聞きたいよねー、と内緒話を始めた光国であったが、その横で更に
苦悩し始めた人物には届いていなかった。
「……」
「んー? 聞こえなーい」
 ぼそっと何事かを呟いた大柄な背中に、うさちゃんと光国がよく聞き取ろうと迫る。
「なになにー……っ」
 ぱちん、と何かのスイッチが入った音がしたようなしないような。その拍子に光国は
嵩の腕の中に引き寄せられていた。
「……」
 光国の耳元で、一言何かが囁かれる。それを聞いた光国は、周囲に花をいっぱいに
飛ばして嵩に抱きついた。
「……僕も!」
493森x羽仁x森 5/7:2006/09/16(土) 22:25:22 ID:LLW/UNnw0
 どちらからともなく口づけ合うと、初めての時のような触れるだけのキスから、
あっという間に深く抜け出せないものに変わってしまう。気持ちが追いつかないまま、
繰り返した数だけ慣れてしまった。そんな事実に嵩は赤面する。
「……もっと……」
 キスの合間に光国がそんな事を言うので、嵩も止まれない。舌で上顎を擽り、
光国のそれに絡ませて吸い上げる。はあ、と光国が漏らす溜め息や、しがみついてくる
小さな体、濡れた唇がたてる音が嵩を追い立てていく。
 ギリギリで残っていた自制心で、嵩は光国から唇を離した。唾液がつうっと糸を引き、
二人の間に零れる。陶酔した表情の光国は、物足りないように嵩を見上げている。
「もっと……たかし」
 それは嵩にしても同じ事だった。けれどこれ以上はキスだけではすまなくなる、と
本能的な危機も感じていた。
 ためらう嵩を前にして、突然光国が制服を脱ぎ出した。
「光国……」
 上着を脱ぎ捨て、ネクタイを乱暴に緩めて抜き取る。シャツを脱ぎ去ると、薄く
筋肉のついた細い体が薄闇に浮かび上がった。
「いいよ? たかしと……したい」
 据え膳食わぬは……という格言が嵩の脳裏を過ぎったかはわからないが、二人は額を
こつんと合わせた。
「……いいのか」
「そー言ってるでしょ?」
 とぼけた調子の光国の答えで、二人は少し笑った。

「……んっ」
 男同士のやり方など考えた事もなかった嵩には、ただ光国を気持ちよくしてやりたい
という一念しかない。耳朶を口に含んで舐め上げると、光国はぶるりと震える。
「や、気持ちわる……っ」
 そのまま唇は首筋を辿り、胸の突起をべろりと舐めた。光国がそんな所を弄られる
違和感に気をとられている間に、嵩の手は前をくつろげた光国の制服の中に忍び込んでいる。
「あ……」
 下着の上から撫でただけで、性器の先からにじんだもので濡れているのがわかる。
びくっと体を揺らす光国をなだめながら、嵩は光国の下着ごと制服を脱がせてしまう。
494森x羽仁x森 6/7:2006/09/16(土) 22:25:53 ID:LLW/UNnw0
「ちょっと、待って……」
 そう制止する光国が嵩のベルトに手を掛けたので、嵩はぎょっとして手を止めた。
「光国?」
「たかしも……ね?」
 光国は手間取りながら嵩の服を少しずつ脱がせていく。光国の手が素肌に触れると、
そこから淫猥な熱が少しずつ体の中に溜まっていくような気がする。
 光国の手が下着にかかった所で流石に腰を引こうとしたが、光国はそれを許さなかった。
「ま……」
「たかしは待ったなし」
 下着を取り去られ、半勃ちの性器が現れる。光国の手がそれに触れると、嵩は肩を震わせた。
「たかし知ってる? こうすると、気持ちいいんだって」
 無邪気にそう言って、光国はおもむろに嵩のペニスに口を寄せた。
「っ、やめろ光国……っ」
 光国はためらわず、あーんと口を開けて性器を銜えてしまう。
 嵩にとっては生まれて初めての衝撃だった。光国の生温い舌がくびれをなぞり、
先端を掠めると、体が言うことを聞かない。もっともっとと欲しがって光国に腰を
突き出すような格好になってしまう。何よりも光国が無心に自分の性器を銜え、その唇を
出入りしているビジュアルや、先走りや唾液で濡れた唇が立てる音が、嵩には強烈すぎた。
「もう……いい、光国」
「はあ……気持ちよくなかった?」
 必死の思いで引きはがした光国は、手の甲で濡れた口を拭ってにっこり笑っている。
 嵩は眉根を寄せると、光国をソファの上に押し倒し、互いの性器を押し付けるように
体を合わせた。
「んっ……たかし……っ」
 二人の性器を合わせて握り、愛撫する。つたない行為だったが、嵩の考え得る範囲では
これが限界だった。互いの先走りでぬるぬると腹の間を濡らし、快感のまま腰を突き上げる。
擬似的な性行為を光国としているという事が、嵩を追いつめる。
「や……あ……っ、たか……し……っ!」
「……っ」
 一際大きく喘いで、光国が吐精した。びくびくと痙攣しながら光国が快感に溺れる表情を
見ながら、嵩も遅れて光国の腹の上に逐情したのだった。
495森x羽仁x森 7/7:2006/09/16(土) 22:26:24 ID:LLW/UNnw0
 脱力した嵩が、光国の上に覆い被さる。乱れた息のままに、汗に濡れた体を抱きしめた。
「大丈夫か?」
「……ん。……へーき」
 光国はまだ余韻が抜けきらない様子で、体を投げ出している。一線を越えてしまった
背徳感と恥ずかしさがないまぜになって、嵩は目の前の光国への愛おしさを改めて
認識したのだった。
 一方の光国は、息を整えながら嵩の胸に頬を寄せる。
「……もう逃がさないよ……」
 そんな光国の小さな呟きは、嵩の耳に届く事はなかった。
「?……なんだ、光国」
「んーとね……だいすき、って言ったの!」
 満開の笑顔で伸び上がった光国は、嵩の頬にちゅっとキスをした。

 その後逃げられなくなったのは一体どっちだったのか――それはまた、別のお話である。
496森x羽仁x森 ほんとにおしまい:2006/09/16(土) 22:26:56 ID:LLW/UNnw0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヤレヤレ…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
ナガクナッテスイマセンデシタ…
497風と木の名無しさん:2006/09/16(土) 23:20:07 ID:GWAYzZfe0
>>495
続きキター!
超GJGJ!!神!
498風と木の名無しさん:2006/09/16(土) 23:25:45 ID:L6KM6q+j0
>488
GJ!!
やっぱり黒い羽仁ー先輩が大好きです。
499風と木の名無しさん:2006/09/17(日) 01:08:28 ID:kJqqFAf60
>>488
神キター!今日玉だったのに、おかげですっかり森羽仁にヤラれました
お約束の黒羽仁のとりこですGJ!!次も待ってます!
500風と木の名無しさん:2006/09/17(日) 10:28:37 ID:npOp3X600
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  富士作品「プライ/ベート・ジムナ/スティック」のカ/ンナ×セ/ラだよ。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 前振り長い割にエロはすげーアサーリだよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 最終話の2年後グライダッテ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
501始まりの前・カ/ンナ×セ/ラ1:2006/09/17(日) 10:32:10 ID:npOp3X600
「え?セ/ラ、ブレード変えるの?」
「んー。今のやつだとトウが大きすぎてさ。ジャンプにはいいけどステップのとき引っかかる感じ…」
洗い上がりの髪を雑に拭きながら、バスルームから出てきたセ/ラは冷蔵庫を漁る。
最近のお気に入りはペリエなのだろう。緑色の瓶に、薄い唇が重なる。
「変えるなら今のうちだしさ。本格的にシーズンインしたらそれどころじゃねーし」
リビングルームの中央にあるソファに身を沈ませて、セ/ラは大きく息をついた。
無理もない。今日の彼の練習は、はたから見ていてもかなりハードなものだった。

僕とセ/ラは、コネチカットのリンクで振付師にプログラムを組んでもらっている真っ最中だ。
先シーズン、その振付師のFSプロで評判のよかったセ/ラは、今季SPとFSの両方。
僕も、とりあえず今季はFSだけ彼に振付けてもらうことになる。

リンク近くのコンドミニアムを一月、アン/ディーさん、セ/ラ、僕とで借り上げた。
それぞれに部屋はあるけれど、今日はアン/ディーさんが外出していることもあって、
何とはなしに2人でリビングにいる。
502始まりの前・カ/ンナ×セ/ラ2:2006/09/17(日) 10:33:42 ID:npOp3X600
「つか…あの鬼ステップ信じらんねー。あれやったあとにあいつもコンビ飛んでみろっつーの…」
「でも、あそこでコンビ入れば、かなり点数上がるよ。よく考えてあるなって僕も感心したもん」
「そうだけどさ」
眉を寄せるセ/ラを横目に、僕は再び机へと向き直った。
そう、セ/ラのプログラムも、僕のプログラムもよく考えられている。それはわかっている。
だから、あとはきっと僕の問題なんだけど――
「なに見てんの?カ/ンナ」
「今季の衣装のデザイン。アン/ディーさんが今日持ってきてくれたんだけど」
「へー。いいじゃん。大人っぽい」
背中越しにセ/ラが机の上に置かれたデザイン画を覗き込んだ。彼の体温と体重が、後ろからじわりと伝わる。
「いいのかな……。曲も衣装も今までと変わっちゃって、なんだかしっくりこない感じだよ」
503始まりの前・カ/ンナ×セ/ラ3:2006/09/17(日) 10:36:17 ID:npOp3X600
***
今年の3月。
世界選手権が終わって一週間も経たない頃、アン/ディーさんは言った。
「カ/ンちゃん、今年は路線変えてみようか」
「え?」
「高ちゃんとも相談したんだけどね。今までの能天気っぽい明るいやつだけじゃなくって、
少し重厚な感じの曲調もチャレンジしてみるべきじゃないかって」
……「能天気」って……。ここでいちいち気に障るのは、やっぱり僕がアン/ディーさんを
未だに気に入らないからだけなんだろうか。

「……バカを絵に描いたようなセ/ラは、何故だか暗いのとかも似合うんだけどね。何なんだろうなー…」
練習を終えてロッカールームに戻ってきたばかりのセ/ラを見るなり、アン/ディーさんはそう言って溜息をつく。
「バカってなんだ、アン/ディー!」
「バカだろ。ちゃんと曲の背景勉強しとかないとそのうち点数に響くぞ」
「俺はインスピレーション派なの!」
そのあとは2人の口喧嘩が始まってその場はうやむやになってしまったけど、
アン/ディーさんは本気だったらしい。
曲調、振付、衣装、全てを今シーズンは変えると言い出して、4月には振付師のいる
コネチカットでの合宿まで企画してきた。

***
504始まりの前・カ/ンナ×セ/ラ4:2006/09/17(日) 10:38:10 ID:npOp3X600
「今日もアン/ディーさんにめちゃくちゃ言われたし…。『大人の色気がない』、とか
『男っぽさが足りない』って言われたってさ…」
正直きつい。自分でも柄じゃないと思うような曲に、自分の表現や感情を乗せろといわれても、
この短期間でものにできるとは思えない。いや、それだけならいい。
もし、これから先滑り込んでも、今シーズンずっとものにできなかったら――?

「色気? めちゃめちゃあるじゃん」
「そういうことじゃなくて――」
拗ねて横を向いた僕を予想していたように、セ/ラが首を傾けて口づけた。
背後から椅子ごと抱きしめられたまま、舌が差し込まれる。シャツをたくし上げ、セ/ラの手が胸元へと伸びてくる。
「……んっ……」
指先が胸の筋肉の溝をなぞるようにたどり、やがてそれは中央の突起を弄び始めた。
「………っ……ふ―――……」
難度も繰り返された行為。それなのに、今だって熱を持ったセ/ラの物を感じるだけで、躯が疼く。吐息一つで、眩暈がする。
長いキスを終えて、僕達はどちらからともなくソファへと倒れこんだ。
「なぁ、カ/ンナ」
一度きつく抱きしめて、セ/ラは蒼い瞳で僕を覗き込んだ。

「逆で……してみる?」
505始まりの前・カ/ンナ×セ/ラ5:2006/09/17(日) 10:40:14 ID:npOp3X600
セ/ラの思いもよらぬ提案に、僕はただ見返すだけが精一杯だった。
「……なに? いきなり……」
「いや…だってさ。今までずっとこんな感じだったけど、変えてみたら、何か変わるかもしんないじゃん?」
ああ、そういうことか…。
「心配してくれてる?」
「心配っつーか……」
僕が、プログラムで上手くいかないから。抱く立場になって、一朝一夕で男らしさや色気が
身につくとも思えないけど、セ/ラなりの愛情であることは確かだった。

「大丈夫。俺慣れてるし。今でも巧いと思うよ」
「―――?」
言うが早いか、セ/ラは慣れた手つきで僕の服を脱がせ、ソファへの真ん中へと座らせる。
額にキスをしながら、僕の立ち上がったそれに、ゆっくりとセ/ラのものと指が重なってきた。
「…あ……」
先端を擦り合わせる。ただそれだけなのに、柔らかな皮膚はあっという間に熱を帯び、
どちらのものともつかない先走りの体液でお互いを濡らした。
セ/ラが手のひらでこねくり回すように先端を刺激してくる。すっかり濡れたそれを握ると、
セ/ラはゆっくりと足の付け根へと導いた。
くちゅ…と湿った音を立てて、僕の先がセ/ラのひだへと触れ―――
506始まりの前・カ/ンナ×セ/ラ6:2006/09/17(日) 10:41:44 ID:npOp3X600
「セ/ラ…! ちょっと、ちょっと待って」
なすがままとはいえ、さすがに我に返り、僕はセ/ラの胸を押して止めた。
「え? あ……ごめん……嫌だった?」
「そうじゃないけど…」
あまりの展開の早さに途惑ったのか?
―――違う。なんだろう、このままこの行為を許してはいけない気がした。

慣れている、とセ/ラは言った。
それは僕と別れている間、お互いが荒れていた2年間でのことだと思っていたけれど、もしかしたら。

出会った頃の、10歳のセ/ラの面影がちらつく。
セ/ラは10歳以前の話をほとんどしない。
孤児だったということ。施設で育ったという話。アン/ディーさんと、そしてスケートと出会った話。
それ以上は容易に訊いていいような過去ではない気がして、僕も無意識に遠ざけていたけど…。

アン/ディーさんと出会う前、セ/ラは相当荒れていたと自分で言っていた。
引き取ると言い出すアン/ディーさんを、「奴もイタズラしたい口だったのかと思ったよ」と言うその言葉に、
それまでどんな目に遭ったのかは初めて聞いた少年のときですら、うっすらと想像できた。
507始まりの前・カ/ンナ×セ/ラ7:2006/09/17(日) 10:43:29 ID:npOp3X600
「――――カ/ンナ?」
ソファの上で顔を覆ってしまった僕を、セ/ラが覗き込む。僕より泣きそうな表情で。
どうしてそんなに優しいのか。
無言で、僕はセ/ラを抱きしめた。他にどうしていいかわからなかった。
「ねぇ、カ/ンナ。俺、ほんとに平気だよ? カ/ンナとなら俺―――」
「うん…」
黙らせるように僕はセ/ラへと口づける。これ以上、優しい言葉は言わなくていい。
そのまま、セ/ラの薄く色づく胸の突起へと唇を移す。
「あ……」
ゆっくりと輪郭をなぞり舌で押し潰すように刺激すると、セ/ラはびくん、と背中をそらせた。
ソファから膝が落ちそうになるのを、細い腰を自分の腰へとわざと密着させて押しとどめる。

後ろからそっと触れてみるとそこは、意外にもあっさりと僕の指を受け入れた。
指でなぞっては差し入れ、ゆっくり抜き差しをすると、セ/ラはそのたび切ない息を漏らした。
「…いい……、カ/ンナ、すげー…いい…」
ソファに横たえ、セ/ラのものを口に含む。後ろの指は、すでに2本に増えていた。
今ならわかる。セ/ラがいかに僕へ気を配って抱いていたのか。
セ/ラは最初の頃しつこいぐらいに僕へ言葉を求めたけど、あれは、感想を知りたかったのではなく、
僕へ負担がかかってないかが怖かったのだ。
体格も同じくらいの、同じ歳の恋人。それだけに加減がわからなくて、足を支える動作にすら途惑ってしまう。
「…っ…は…ぁ……」
震える睫毛さえ、セ/ラは美しかった。金色に縁取られた蒼い瞳が、霞がかったようにうつろに僕を見つめる。
508始まりの前・カ/ンナ×セ/ラ8:2006/09/17(日) 10:45:06 ID:npOp3X600
「入れて……?」
耳元で誘う吐息に、僕が抗えるはずもなく。
右足をソファの背に、左足を僕の肩へとかけ、先端をそっと合わせる。
「…う……」
異物感にずり上がるセ/ラの腰を捉え、ゆっくりと押し進める。
僕のときのように、セ/ラにとってもこれが快感なのかどうかなんて、わからなかった。
ただ、セ/ラを優しく抱いてやりたい。
「……く…っ……」
お互いにじっとりと汗をにじませながら、ようやく最後までたどりついた。
セ/ラが呼吸するたび圧迫してくる感触に、目もくらみそうになる。

寄せていた眉根を少しほどいて、セ/ラは大きく息をついた。
「かた……。日本人ってみんなこんなもん?」
「ごめん――ってのも変か。大丈夫?抜く?」
「へーき。つか、サイコー……」
「セ/ラってば……」
溜息をつきつつも、僕は安堵した。自身をセ/ラの温かな体内に深く埋め込んだまま、セ/ラの肩をそっと抱く。
セ/ラを包んで?セ/ラに包まれて?確かにそれは、抱かれる立場では味わったことのない、不思議な感覚。
愛しさが込み上げる。湧き上がる快楽への衝動とは別の、いや、もしかしたら同じ場所から。
509始まりの前・カ/ンナ×セ/ラ9:2006/09/17(日) 10:46:28 ID:npOp3X600
「動くよ、セ/ラ」
僕と出逢う前のセ/ラがどんな子供だったとか。知ろうとは思わない。訊くつもりもない。
ただ、僕と肌を重ねるこの瞬間だけは。
せめて優しく、誰にも傷つけられぬように、ただ抱きしめてやりたかった。

「……あ…っ、カ/ンナ…いいっ…もっと……!」
子供のように、セ/ラがしがみつく。
最初は遠慮がちに動いていた僕も、セ/ラの動きに誘われるうち、腰を強く打ち付けていた。
「セ/ラ…っ」
「―――――っ……!」

何も考えられない。鼓動が早まる。波が押し寄せる。
それは次第に大きなうねりとなり、瞬く間に僕達を飲み込んだ。
510始まりの前・カ/ンナ×セ/ラ10:2006/09/17(日) 10:47:51 ID:npOp3X600
白い闇から次第に覚めて、僕はソファに横たわるセ/ラから躯を起こした。
「セ/ラ……寝た? ここで寝る?ベッド行く?」
「んー……」
だるそうに腕を伸ばして、セ/ラが目を瞑ったまま僕の手を取り、口づける。
「すげぇ、よかった…。どうしよ俺、クセになったら」
「………バカ。もう寝な、セ/ラ」
うわ言のように呟くセ/ラの頭を撫でると、手のひらの体温に安心したのかセ/ラは
あっという間に眠りに落ちていった。
まるで子供のような寝顔にかかる金色の髪を、僕は飽きもせずただ撫でていた。


いつか…セ/ラが、僕と出逢う前のことを。
僕達が、はじまる前の話をしたくなったら。

抱きしめられなかったそのときの分まで聞くよ、セ/ラ。


何度でも聞くよ、セ/ラ。僕達のはじまりの前の話を。
511風と木の名無しさん:2006/09/17(日) 10:50:37 ID:npOp3X600
 ____________
 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
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 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

ゴメ…こんなエロならない方がましっつうほどヘボ・・・
単に幸せそうな2人が書きたかっただけっす……
512風と木の名無しさん:2006/09/17(日) 11:04:01 ID:+5mzTz+q0
自分でヘボいと思うならエロ削ればいいじゃない
513風と木の名無しさん:2006/09/17(日) 15:23:34 ID:Mt10bkZS0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  某芸/人さん達のつもりで書いてたんだけど…
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  キャラとか捏造し過ぎでごめんなさい
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ しかもエロ無し
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5141:2006/09/17(日) 15:24:26 ID:Mt10bkZS0
時計を見た。11時半前。
「あ、もうこんな時間?」
「みたいだな」
帰らなければならない。でも帰りたくなかった。
もっと一緒に居たいと思う。ダメ元で口に出してみる。
「帰るのやだな」
いつもなら、帰れ、と一喝されるのだが。
隣の人物が言った内容は意外なものだった。
「じゃ、泊まってけば」
目を円くする、という言葉はこういうときに使うのだろう。
事実、目を円くしていたと思う。
…目を円くしている場合ではない、言葉を慌てて確認する。
「良いの?」
「良いって。散らかってるけど」
そういえば、この人の部屋はいつも片付いていない。
彼女も居ないこの人のこと、どうせ俺が掃除をするのだ。
そして、俺には訊かなければならないことがあった。
「ベッドの上も散らかってる?」
隣の人は苦笑し、俺を小突いた。
「お前な、轢き殺されたいのか」
「それでも構わない」
隣の人は微かににやつきながら、言った。
「バーカ」
5152:2006/09/17(日) 15:25:36 ID:Mt10bkZS0
部屋は10階にある。
上昇するエレベーターの中。待ち切れない。肩に手を回した。
隣の人はまた苦笑する。
「何すんだよ」
「待てない」
「ったく…」
しょうがないな、と隣の人は開いてる俺の左手を握ってくれた。

鍵を開けるのを見ているのすらもどかしい。
ドアが開く時間がとても、とても長い。
「そんなに焦らなくても良いだろ。時間は関係無いんだし」
「待てない」
「お前らしいよ」
それは褒めているのか?
はたまた、呆れているのか。
「褒めてるの?」
隣の人は笑いながら俺を見た。
「バカ、褒める訳無ェだろバカ」
5163:2006/09/17(日) 15:26:09 ID:Mt10bkZS0
部屋の中は、かなり散らかっていた。
物が散らかって、何処に何があるのか良く分からない。
汚いとか、そういうのではなくて、単純にモノが散乱している。
一週間前に掃除をしてやったばかりなのに?
俺はしばらく呆然としていた。
「何突っ立ってんだ?」
隣の人が俺をまた小突く。
「いや…余りにも散らかってるから…」
「俺、片付けるの苦手なんだ、って、お前良く知ってるだろ」
「そりゃ、そうだけど」
そうなのだ、それはとても良く知っている。俺が何度掃除をしたことか。
「やる気も失せたってか?」
「無い、それは無い。つか、喉渇いたよ」
「何か勝手に飲めよ」
「了解」
正直、足の踏み場も無い。モノを少し観察してみよう。
部屋の中心に大きなベッド。シーツがぐちゃぐちゃになっている。
その周辺にコンビニの袋だとか、本とか、新聞とか、ゲームソフト、DVD…
そこまで見て俺は散らかったものの把握を諦めた。
台所へ行って(行くのに凄く時間が掛かった気がする)、冷蔵庫を開けた。
中にあるのはゼリー、ジュース、バター、何故かオリーブ、干乾びたハム…
普段あの人は何を食べて暮らしているんだろうか。まあいい。
取り出したグレープフルーツジュースのパックの口を開けて、
マグカップにとぽとぽと注いだ。あの人も飲みたがるだろうか。
「ジュース飲む?」
「ひと口」
「分かった」
自分が飲むと思われる量よりひと口分くらい多く注いで、居間へ持っていった。
5174:2006/09/17(日) 15:28:04 ID:Mt10bkZS0
その人はベッドの上に寝転んで本を読んでいた。
何だか軽そうな見掛けだが、本を読むとは尊敬する。
何を読んでいるのか、一応訊いてみる。
「何読んでるの」
「漫画」
前言撤回。
518風と木の名無しさん:2006/09/17(日) 15:34:36 ID:m6UQnNEWO
sage
5195:2006/09/17(日) 15:35:10 ID:Mt10bkZS0
ベッドの端に座る。ぎい、と少しばかり軋んだ。
部屋の有様に放心していると、声が聞こえた。
見ると、いつの間にか起き上がって体育座りをしている隣の人。
「ジュース寄越せよ」
「はい」
マグカップを渡した。ジュースはまだ半分ほど入っている。
渡す瞬間、とても厭な予感がした。
瞬間的にカップを持つ手に力を込める。
しかし、抵抗空しくカップは俺の手から奪い取られた。
「全部飲んでいい?」
…やはり。
一応言ってみる。
「ひと口っていう約束は…」
隣の人はにやりと笑った。背筋がぞくりとした。
「反故」
反故。
「反故って、それ、あー!」
止める間も無く、ジュースはごくごくという音を残して、
隣の人の胃の中へ消えていった。
「ひと口って言ったのに…」
隣の人は満足気な表情を浮かべて唇をぺろりと舐めた。
「ん、そんなこと言ったっけ?」
「うわー」
酷い。酷過ぎる。
一瞬ぶん殴ってやろうかと思った。あ、一瞬だけ。本当だってば。
「怒るなよ」
隣の人は笑いながら言った。
本心では全然怒ってない、むしろその表情が見られて嬉しいが。
「怒る」
「怒るなって」
5206:2006/09/17(日) 15:36:10 ID:Mt10bkZS0
隣の人は素早く俺に口付けた。
舌で口を抉じ開けられて、流れ込む唾液。
微かに甘く、グレープフルーツの味が香った。
「っはぁ…」
しばらく経った、苦しくなって口を離した。
「ジュースの味、した?」
「した」
「それは結構」
隣の人はにやり、と笑った。
5216:2006/09/17(日) 15:37:41 ID:Mt10bkZS0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 書き込み方とかヘタでごめんなさい
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
522風と木の名無しさん:2006/09/17(日) 18:44:31 ID:DZokbnMH0
了カギの一河先生スレが落ちてしまったのでこちらに投下させていただきます。
801ではないのですが、ゆるしてください。
上記スレ内のネタを使わせていただきました。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
523風と木の名無しさん:2006/09/17(日) 18:46:10 ID:DZokbnMH0
玄関に女が一人立っている。
どんな様子かだいたい決まっている。
走ってきたのか短い呼吸が聞こえる。走ってこなくても心の乱れが呼吸を乱す。
どんなに綺麗に撫で付けてあっても、一河の見えぬ目には、髪がおどろに振り乱されてい
るのが映る。
どんな顔をしているか決まっている。
泣き腫らした瞳。
云う事は決まっている。
「置いてやるだけだ」

ワケあり女たちの口伝え。ひとりが出て行けば、そう日を置かずまた別の女がやってくる。
乱れた姿で玄関に立つ。
女がやってきた日の夜、決まって一河はこう言う。
「抱かれたきゃ、自分から来い」

前の女から女は言い含められている。前の女もその前の女から伝えられたことだ。
「あの家では何も動かしてはいけないよ」

女は数日もすると、一河が盲目であることを忘れてしまう。家の中での一河は、まるで目が
見えるかのように振舞う。煙管を取る。煙草を詰める。吸い、灰殻を灰皿へ。流れるような
一連の所作に、手探りという動作は入らない。道具類は必ず決められた位置にあるからだ。
何も動かしてはいけないとはそういう意味だったのかと、最初女は思う。
524風と木の名無しさん:2006/09/17(日) 18:46:44 ID:DZokbnMH0
夜中に電話が鳴る。それがどんなに遅くとも、一河は着替えて出掛ける。
迎えの車は物々しい。黒塗りの高級車。だが、それに乗り込む一河は、これから猛獣ひしめ
く荒野へ狩りにでも出掛けるかのような気迫を漲らせている。
一週間も一河宅で過ごせば、どんな女も一河を引き止めようとする。

あばらの浮いた痩せた胸に頬寄せる。枯れた身体のどこにこんな精力が残されていたのか、
と女は不思議に思う。器用な指先が、存分に楽しみながら、女を悦ばせる。
女も枯れた心に潤いが戻ってきたのを感じる。
盲目の瞳、艶のない長い白髪さえ美しく愛おしく目に映じる。

ある日、女はうっかりと道具を置く位置を間違える。買い物に出た先でそれに気づく。
困っているだろうと、急ぎ足に家へ帰る。家に着くまで、すまないという気持ちで胸がい
っぱいになる。
だが、全ては元に戻っている。

置く位置を違えても、敏感な耳は音から距離を測り、場所を測り、見えているかのように
一河は探し出してしまう。
一河は女を責めなかった。
女は、女たちが言い継いできたことの意味を知る。心が傾くなどと期待はするな、と。そ
れが真の意味だったと女は悟る。
一河は責めなかった。だからこそ、女はさめざめと泣いた。

それから数日の後、玄関に立ち丁重に礼を述べる女は、一河の見えぬ目にも身なりの整っ
た姿に映る。

女は出て行く。
それが必然。
この家では、勝手場の塩の壷ひとつ動かされることはないのだ。
 

(了)
525風と木の名無しさん:2006/09/17(日) 18:47:26 ID:DZokbnMH0

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
526524:2006/09/17(日) 18:57:42 ID:DZokbnMH0
ラスト5行、こっちに変更。すいません。


それから数日の後、玄関に立ち丁重に礼を述べる女は、一河の見えぬ目にも身なりの整っ
た姿に映る。泣いているところだけが変わらない。

女は出て行く。
それが必然。
この家では、勝手場の塩の壷ひとつ動かされることはないのだ。
527風と木の名無しさん:2006/09/17(日) 22:29:26 ID:DvfPYZGo0
ここ801板ですけど
528風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 00:46:02 ID:fzJubWxU0
赤城の一川厨が痛いと聞いていたがここまでとは…
529風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 03:39:35 ID:9AGVQZpm0
あーあ
530風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 05:29:09 ID:rLCd6P2F0
>>511
このお話大好きです〜 甘あまでイイヨ!GJ!
先生カポーの話も良かったらぜひ(ぇ
531風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 10:58:40 ID:SnwALK0O0
海事受の儲が沸いてますね
>>522さん萌えたよ〜!GJ!
気にしないでまた書いて下さいね
532風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 11:19:56 ID:dobpUwUO0
>>522
エロパロ板でやれ。
533風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 11:53:33 ID:5uug9jDY0
>522
>531

だからスレ違いだと言ってるんだろうが…
馬鹿かお前ら。二度と来るな。
534風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 11:54:04 ID:5uug9jDY0
っつーか板違いだな。そもそも。
535風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 12:55:23 ID:RCpNGLxk0
>>522,>>531
18歳未満は来んな
つーか自演?
536風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 13:15:16 ID:1XxbwXxc0
>>513
誰だかわからないけど萌えた。
日常的な話大好きだ。
ヒントだけでも欲しい……
537風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 13:20:01 ID:bqxLCZJQ0
>>531
( ゚д゚)ポカーン
ジャンルごと厨扱いされるからやめてくれよもう・・・
538風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 16:04:03 ID:aGNNNWtXO
>>513
私も気になる
頭では爆悶で繰り広げられてたが
539風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 17:02:03 ID:UjvlPCVY0
ドリ厨は師ねばいいと思う
540風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 17:47:18 ID:VLDblVBu0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  やきう。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  >>197の続きだって。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5411/2:2006/09/18(月) 17:47:53 ID:VLDblVBu0
「…っく、ふぅっ…、っ、」
「…痛い?」
上から身をかがめ、耳元で長身の男が聞く。
ふるふると頭を横に振るが、苦しそうに目はきつく閉じられ、目じりから涙が零れる。
「じゃあ泣かないでよ」
言いながら、長身の男は広いベッドを静かにきしませて一定の速度で腰を動かす。
「あぁっ、ん、ンンッ、あっアッ」
泣くほど痛いわけではない。
久しぶりに触れられたそこは充分に慣らされたうえで、最大限に拡げられた。
しかし、ただの仕事仲間です、といった顔での通常のボディタッチとは違うやり方で体に触れられてしまうと、自分の奥にしまいこんでいるはずの感覚が呼び起こされ、どうしようもない切なさや気恥ずかしさや心地よさが溢れる。
抵抗を諦めたからか、無理に突き上げるようなことはせず、久々であることも考慮されているのかと思えるような丁寧な扱いに、どこか物足りなさを覚える。
そしてそんな自分に戸惑い、しかし否定することもできずに涙が零れた。
5422/2:2006/09/18(月) 17:48:31 ID:VLDblVBu0
「泣かないでって」
困ったように長身の男はいい、目じりにくちづける。
そして唇と唇を合わせ、舌を絡め取る。
生暖かい舌の感触に、快感が背筋を這い上がる。
その快感を、やりすごすことはできなかった。
長身の男にすがりつくようにして、自ら腰をうごかし、求めた。
「もっ…とっ」
唇を離し、目を合わせてねだるように言った。

ベッドが悲鳴をあげるように嫌な音を出す。
激しく突き上げられながら、それを歓迎するかのように長身の男の体に両腕と両脚を絡みつかせ、声を上げる。

心の隅にある罪悪感も、快楽をより一層深めるための麻薬でしかない。
うつぶせられて顔をつけた枕から自分とは違う、妻が好んで使っているシャンプーの香りがした時、男はそれを自覚しながら、背徳感のせいか快楽のせいかわからない涙を零して絶頂に達した。
543風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 17:49:29 ID:VLDblVBu0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
需要はなかったかもしれないが、反省はしていない…。


ウソです反省してますorz
544風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 18:31:04 ID:d6WY8CN30
改行してくれると有り難い
545風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 20:47:30 ID:DghjOR8x0
蒸し返すようだけどみんな>>2読んでる?
板違いアリってかいてあるよ
546風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 21:31:00 ID:9vIeLLr10
ノマ板行けばいい話だろ?なんで数字板で女ネタ読まなきゃならんの。
ホモがまったく絡んでもいないし。
547風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 21:43:56 ID:Avh9B7lu0
>>2のナマモノって何?
548風と木の名無しさん:2006/09/18(月) 22:18:05 ID:lENFPB0x0
>547
半年ROMれ
549風と木の名無しさん:2006/09/19(火) 00:03:56 ID:15D8GNWH0
550風と木の名無しさん:2006/09/19(火) 01:11:40 ID:TYNRcbEC0
>>546
テンプレも読めないんですか?
21歳未満はお帰り下さい
551風と木の名無しさん:2006/09/19(火) 01:48:36 ID:LQP3kTFZ0
>>513
ぬげー萌えた。乙です。
552風と木の名無しさん:2006/09/19(火) 02:46:16 ID:4kpTqmhg0
>550
本人乙。まだ21禁とか言ってんの?
ここが何板か見返してこい。
別板スレのネタをわざわざ数字板に持って来て
なんで男女ネタをやるのかってことだろ?
ログ読んで来い。テンプレに板違い問わずと書いてあっても
数字板でホモネタもなく男女物を平気で投下する厚顔な奴はいないから。
553風と木の名無しさん:2006/09/19(火) 03:01:01 ID:fvXMSZsZ0
以前から思ってたんだけど、テンプレを801板用に改変したほうがよくないか?
本家は板違い上等だけど、801板で男女物見せられてもなあ。
554風と木の名無しさん:2006/09/19(火) 03:13:42 ID:cMIQPjPV0
試しに作り変えてみてくれ。
555風と木の名無しさん:2006/09/19(火) 03:42:24 ID:ZJu/sW3Z0
作り変えなくても一言
「ビデオ棚とはいえここは801板です。場所に沿った内容を投下しましょう」
くらい付け足せばいいんじゃないか?
こんなもん暗黙の了解だから誰も何も言わなかったんだろうけどな。
556テンプレ改変案:2006/09/19(火) 03:47:52 ID:7eRfhSi20
・テンプレ1
1.ノンジャンルのネタ発表の場です 
書き込むネタはノンジャンル。 
スレ違い/板違い/鯖違い/メディア違い問わず、ネタであれば何でもあり。 

1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です 
書き込むネタはノンジャンル。 
ネタであれば何でもあり。 ただし男女ネタはこの板がどこかを考えた上で。
・テンプレ4に追加
ナンバリングしてくれれば、みんな読みやすいと思うよ!
────────── 
たまに自作じゃない、萌えた作品とか、嫌がらせコピペするDQNちゃんがいるからさ…
557風と木の名無しさん:2006/09/19(火) 04:13:07 ID:izvSHwYp0
それでいいと思う
558風と木の名無しさん:2006/09/19(火) 07:40:37 ID:UNf40wxj0
>>536>>538
>轢き殺されたいのか
この一文から逸此処だと推測したがどうか。
559513:2006/09/19(火) 11:34:16 ID:wlzEQBub0
何時此処のつもりでした。分かり難くてすいませんorz
560風と木の名無しさん:2006/09/19(火) 14:04:33 ID:XrRxuMYS0
>>556
>ただし男女ネタはこの板がどこかを考えた上で。

こんな回りくどい言い方しなくとも、「男女ネタは板違い」でいいのでは。
561風と木の名無しさん:2006/09/19(火) 14:09:25 ID:Rvv1YtFr0
>>560
すると>>556の、
>スレ違い/板違い/鯖違い/メディア違い問わず、ネタであれば何でもあり。

この一文が浮くな。
562風と木の名無しさん:2006/09/19(火) 14:16:09 ID:XrRxuMYS0
>>561
いや、その一文抜いて「ネタであればなんでもあり」になってるから。
5631/4:2006/09/19(火) 14:48:14 ID:fgY820UU0
斬スレから失礼します。では。


「貫木くんってカッコイイよね」
放課後、僕はいつもの様に貫木くんと二人で下校してた。
貫木くんは、僕にとって生まれて初めて出来た友達。
ひょんな事から決闘する事になっちゃって、そして僕が貫木くんに勝った事になって・・・
貫木くんを助ける代わりに、友達になった。
ちょっと顔が怖いけど、とてもいい人なんだ!
下校がこんなに楽しいなんて知らなかったなぁ・・・!
他の人にとっては何気無い事だろうけど、僕にとっては凄く嬉しくて嬉しくて。

「あ?何だイキナリ」
「あっ、ゴメン・・・。(気に障っちゃったかな・・・)」
「や、別にいいけどよ・・・おだてても何も出ねーぞ?」カッカッカ!
「ううん、ホントにカッコイイよっ!」
「斬・・・、お前だって俺に勝ったんだしカッコイイだろ?」
「いや、だからあれは勝っt・・・「何度もしつけぇっつうの!!」
「ひいいいっ!!!」
「ったく、いい加減、認めろよ・・・。」
「ご、ゴメン・・・」
「謝る事ねぇっつうに・・・」
「あっ・・・その、ゴメ・・・」
「だーかーらー!!!」

こんな会話を延々としてるうちに、あっという間に分かれ道まで来てしまった。
5642/4:2006/09/19(火) 14:48:40 ID:fgY820UU0
さみしい。

「さてと。じゃ、俺ぁこっちだから気を付けて帰れよ?」
「う、うん・・・」
「どした?漏れそうな顔しやがって」
「ちがっ・・・!」

さみしいよ。

「じゃあ、何だよ」
「いや、その・・・」

もうちょっとだけ・・・。

「???」
「貫木くんっ、今日これから暇・・・だったりする・・・?」
「・・・ん〜〜〜〜〜・・・」

貫木くんと・・・居たいなぁ。

「いや、やっぱり何でもな・・・「別に何もねぇし、暇してるぞ。」
「っ!ホント?!良かったらこれからどこか遊びに行かない?」
「ああ、いいぜ。」

神様って、本当に居るのかもしれないなぁ。
5653/4:2006/09/19(火) 14:49:03 ID:fgY820UU0
「けどなぁ・・・今月金ねぇんだよな」
「あっ、そう言えば僕も・・・」
「金あったらゲーセンでも行ってたとこなんだが・・・」
お互いに痩せこけた財布の中身を確認して、同時に落胆する。

「おっし、じゃあ俺ん家にでもくっか?今日は親も帰り遅せーし」
「えっ、そうなの・・・?」
「最近の新しいゲームは買ってねぇからつまんねぇかもしんねぇけどな・・・」
「そ、そんな事無いよ!」
「そか。じゃ、決まりだな!」

もしかしたら、僕、今日で全ての運を使い切っちゃったかも・・・あはは・・・。

「散らかってっけど、まぁ適当に座っててくれ。」
そう言うと、貫木くんは下に飲み物を取りに降りてった。
「・・・」
友達の部屋。
さっきの通り・・・勿論、初めてだ。
僕が貫木くんと友達じゃなかったら、今頃ここには居ないわけで・・・
辺りを見渡すと、壁には何種類もの刀や手裏剣が飾ってあり、
床には武士道や格闘の雑誌が乱雑に積み上げられていた。
お世辞にも綺麗とは言えない部屋だけど、でも、なんだか嬉しかった。

「よっ、お待たせ」
貫木くんが持ってきたジュースを一口飲みながら、ゲームをやり始めた。
ゲームなんて、初めてなんだけど・・・
「おっ、なかなかやるじゃねーかっ」
「えっ、そうかな・・・」
「っあーーーっ!やられたぜ・・・ホントに初めてなのか?」
「は、初めてだよっ!・・・貫木くんの方が全然うまいし・・・」
「まぁ、お前よりは長くやってるからな」
5664/4:2006/09/19(火) 14:49:30 ID:fgY820UU0
「ちょっと便所行ってくる」
何度かプレイした後に、貫木くんがトイレで下へ降りてった。
ふぅ、今日はホントに幸せだなぁ・・・今度はゲームセンターって所に行けるといいな。
さっきの雑誌の群れを再び、見回してみる。
「あっ、この侍王、売り切れてて買い逃した週のだ!」
埋もれている中から取り出そうとしたその瞬間。

ドサドサドサドサっ。
「ひっ、わああぁぁぁぁっ!」
見事に雪崩てしまった。
「は、早く直さないと・・・!」
貫木に怒られると思い、焦りながら片付ける斬だが、慌てている為になかなか進まない。
「ベッドの下の方にも入ってっちゃって・・・・・・ん?」

ベッドの下を覗くと、侍王の他に数冊の雑誌が置いてあった。
なんだろうと思って取り出してみる斬。
「いっ・・・?!」
雑誌を持ったまま思わず釘付けで固まってしまった。

「ふー、スッキリしたぜ」
「はっ!つつつ貫木くん・・・・!!!」
「何だよ、ンなに慌ててよ・・・・・・・・・って、おいおい・・・」
頭をボリボリ掻きながら、バツの悪そうな様子の貫木。だが斬はそれの比ではなかった。

「エロ本がそんなに珍しいか?」
「うん、はじめてみt・・・じゃなくてっ!貫木くんまだ見ちゃ・・・」
「ンだよ、わりーのか?お前も全く興味ねぇって訳じゃねーだろ?」
「そ、それは・・・」
「漢たるもの、一度は見といてもいいんじゃねぇか?」
「でも・・・」
「おっし、ゲームはやめだ!これからは保健体育の補修時間だ」ニヤリ
「ええーっ?!」どーん
567風と木の名無しさん:2006/09/19(火) 14:50:26 ID:fgY820UU0
長い上にまだ続きます。スミマセン。
近いうち続き描きます。
568風と木の名無しさん:2006/09/19(火) 15:20:22 ID:ksmDC7SI0
密談のために部下を下がらせたのは鷲巣だった
しかしこのような事態になろうとは鷲巣も予想が付かなかったようで
嫌悪や恐怖よりも驚きに目を見開いている
鷲巣は組み臥され艶やかな白髪が畳みに広がっていた
美しい闇の権力者を組み臥した仰木は鷲巣の白髪を指で愛撫した
鷲巣様この情況がどのような情況かお分かりですか
鷲巣はサッと顔を青くして声をあげようとしたが躊躇った
声をあげれば部下がすぐにでも駆けつけてくるだろう
しかし、この無様な姿を見られるわけにはいかない
569風と木の名無しさん:2006/09/19(火) 19:42:31 ID:MktCdemi0
斬キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
570風と木の名無しさん :2006/09/20(水) 00:34:31 ID:4s6kJL3K0
>>563
続きを楽しみにしてますノシ
571風と木の名無しさん:2006/09/20(水) 00:53:19 ID:kL3teEZZO
テンプレくらい嫁よ……
572風と木の名無しさん:2006/09/20(水) 03:40:15 ID:U7KrK8bf0
なんだこれ荒らしか?
>657,658はもう来なくていいよっていうか半年R(ry
573風と木の名無しさん:2006/09/20(水) 04:19:07 ID:RRhUzkny0
>>568,>>572
誤爆?
574風と木の名無しさん:2006/09/20(水) 04:38:45 ID:cC4mjW7+0
>>568、567と言いたいんだろうよ>>572は。
半年といわずに一生ROMってて欲しいが
575風と木の名無しさん:2006/09/20(水) 16:50:21 ID:OzMfPHIe0
>>568は難民に投下されたのが多分初出だよ
このスレへの投下は市川に便乗した嫌がらせだと思う
576風と木の名無しさん:2006/09/20(水) 18:38:20 ID:RO4/4R0D0
また難民だよ
あいつらどこまでつけあがる気だ
氏ね
577風と木の名無しさん:2006/09/20(水) 19:35:26 ID:DG+N0fX+0
どこの難民で揉めてるのか知らんけど
コピペはコピペとだけ指摘してさらっと流してやー
578風と木の名無しさん:2006/09/20(水) 22:58:36 ID:CAQUek/90
>>567が何故締め出されなければならないのかよくわからない。
モララーAAを貼らなかったから?
579風と木の名無しさん:2006/09/20(水) 23:49:04 ID:cJVmyWDV0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  空気を読まずに気晴らし工口投下
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  懲りずに占いサイトの青い人×黒い仔
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
580陰陽師:青黒1:2006/09/20(水) 23:51:23 ID:cJVmyWDV0

笑顔を見るのが嬉しかった。
からかうのが楽しかった。
頭を撫でるのが気持ちよかった。

抱き締めるのが、好きだった。


「い、ぁ……っ、い、せい、いっせい……!」
布を介さない直の体温は狂ってるんじゃないかと思うくらい熱く、布とは明らかに違う感触が膚を擦る。
俺の膝の上で玄氏がむずがるように頭を振る度、腰掛けたベッドのスプリングがギシギシと同意するように微かな悲鳴を上げた。
そのささやかな抗議を敢えて無視して、腕を廻したしなやかな背筋をなぞる。
運動は得意でないと云うが、技術をつければまた話は変わってくるんじゃないだろうか。
こんな理念やら道徳やらそんなものを吐き出した情事の中で、そんな的外れに健全なことを思う俺も大概ネジが飛んでいる。
背筋に触れられるのが不快なのか、玄氏は小さく悪態をついた。
その悪態に応えるべく、俺は僅かに入れたままの腰を揺らす。
それは俺からしてみればほんの小さな返答だったけど、意表を突かれた玄氏の一際高い声がそれに応じた。
「ひ、ァあッ…、きゅ、ぅに、動く、なっ……」
「、っはは……悪い、な。黒坊があんまりに可愛いんでな」
「へん、たいッ……んぁああァッ!」
相変わらず可愛くない口を封じるべく骨っぽい腰を掴んでかき混ぜる。
581陰陽師:青黒2:2006/09/20(水) 23:53:05 ID:cJVmyWDV0
自分自身の体重で既に根元まで銜え込んでいるにも関わらず、なお新たに生まれる熱に浮かぶ劣情を纏った表情。
15の少年のそれはすぐに悔しげな色へと変わってしまったけれど。
俺が見たいのはそんな玄氏。
娼婦のように乱れる様より、どうせならいつもの勝ち気そうな表情がいい。
「ひどい、なぁっ……褒めてるんだぞ」
「ふ、ぅッ……れしく、ないッ……」
いくら平常心を保とうとしても、俺の声も掠れる。
目の前で色の変わる様に、皮膚感覚に直接叩き付けられる熱に目眩がした。


狂っているよう、ではなく。
正しく狂ってる、俺もこいつも。


抱き締めるのが好きだった、布越しの体温が愛しかった。
それだけで充分過ぎたのに、どうして俺達はその薄い境を取り払ってしまったんだろう。

意識せず目の前で踊る妖艶な白い膚。
唇を寄せ舌を下ろし歯を立てる、ぴくりと少年の肩が小さく震えた。
温かい、熱。

もう知ってしまった、皮膚の温かさを。
もうきっと満足出来ない、布の暖かさでは。
もう戻れない。
正しく正しかったかつての日々には。

582風と木の名無しさん:2006/09/20(水) 23:54:15 ID:cJVmyWDV0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ マイナー極だけど好きなんだ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

583風と木の名無しさん:2006/09/21(木) 23:27:54 ID:rMCf7WcY0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  タクミくんシリーズ1年生バージョン
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  すっかり嵌ってしまったので
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
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 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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584バードウォッチング1:2006/09/21(木) 23:29:31 ID:rMCf7WcY0
「ほい、託生。買ってきてやったぞ」
「ありがと、利久」
片倉の差し出した小さな紙袋の端を、慎重な手つきで葉山はつまんだ。
ギイが購買部前の廊下で足を止めたのは、葉山託生がいたからだ。
折りよく同級生に呼び止められたのをさいわい、少しだけ離れた場所から見守ることにする。
べつに袋の中身が気になったわけではない。
葉山が、ふだんよりリラックスしているから。
それはきっと、この世界中で自分しか気づいていない、小さな変化だった。
少々自信を持ってそう断言できるのは、片倉にとっては、それはとくべつ珍しいわけではない――むしろ当たり前のように日々目にしているだろう表情で、葉山自身も多分意識などしていない自然な微笑だから。
ただ。
教室では、滅多に見ることができないのだ。
「『激落ち!』だってさ」
「ふうん。期待せずに使ってみるよ。なんでここの購買って、MONO消しゴムを置いてないのかなぁ」
「使い捨てカイロも売ってないしな。案外不便だよな」
「まあね」
「託生も必需品だろ?カイロ。託生、すっげー寒がりだもんな!」
「そんなにいうほどひどくはないよ」
「嘘つけ、託生、先月から、電気ストーブ占領してるくせに」
「う、そうだっけ?」
ギイは思わずくすりと笑いをもらしていた。
先月って、まだ十一月じゃんか。
「そうだよ。まぁでも託生は、雪も、あんなに積もってるの祠堂にきて初めて見たって言ってたくらいだもんな」
「初雪では、だよ。もう、利久ってばいちいち大げさなんだから」
託生、託生、託生。
葉山のファーストネームを、片倉はじつに何気なく、心安く、連呼している。
それはひょっとしたら、同室者の特権なのかもしれない。
いや、他の誰でも、片倉のようにうまくなどいかなかっただろう。託生と呼ばせてもらえるくらい、そして葉山からもファーストネームで呼んでもらえるくらいに打ち解けた仲になることなど。
けれど、おそらく、自分なら――
もし自分が、葉山と同じ部屋だったなら――
あそこでああしているのは、もしかしたら。
585バードウォッチング2:2006/09/21(木) 23:30:40 ID:rMCf7WcY0
人ごみの苦手な葉山のために消しゴムを買ってきてやって、ほんのり笑みの混じった視線を独り占めしながら、そのくせ他愛もない会話を弾ませているのは、自分だったのかも、しれない。
ギイはそういうしあわせな光景を一瞬リアルに想像した。
「あっ、吉沢!」
片倉が葉山の肩越しに声をかける。葉山もふりむいた。
「やあ、片倉くん。――葉山くん、こんにちは」
「こんにちは」
その、いつもより幾分か穏やかな表情のまま、葉山は吉沢にちょこっとうなずいた。
ギイはしくりとした痛みを覚えた。
吉沢は片倉と同じ弓道部だ。片倉の親しい友人なのだ、葉山とだってともだちくらいの間柄になっていてもおかしくはない。それだけのことで、そんなのはこの全寮制の祠堂ならごく当然のなりゆきで――
「吉沢も、何か買い物?」
「消しゴム、なくしちゃったみたいで」
「おー、奇遇! 託生と一緒じゃん」
「ぼくはなくしたわけじゃないよ」
吉沢を交えて、廊下の片隅での、人目を引かない和やかな談笑はつづいている。
へえ。
ギイはネクタイに手をやっていた。
片倉だけ、じゃないんだ。
しくしくと痛んでいるのは、どうやら、胸の真ん中だった。
いや、けして。
人間接触嫌悪症の葉山が、誰かとふつうに会話しているのが、嫌なわけじゃない。
むしろそれはギイこそつねに望んでいる光景だ。
葉山の陥っている状況に理解を示し、そっと温かく葉山に接すること。
不意打ちだったのは――ショックだったのは――それが、まったく自分抜きで繰り広げられているという現実を目の当たりにしたから。
葉山が心穏やかでいられるなら、それでいい。
そう願うのは本心だ。
それに自分が関与していないのを淋しいと、悲しいと思うのは……自分勝手なことだ。
有難いじゃないか。片倉を中心とした交友関係という宇宙に浮かぶ、葉山という惑星を、他の惑星たちも友人として認めているのだから。
たとえその宇宙に自分が微塵も入り込めないとしても。
そんなのは、葉山にしてみたら些細なことだ。
ギイは、自分にとっては深刻なそれをあえて軽く受け流そうとした。胸が軋んでいるのはおくびにも出さず、同級生の話を聞いているふりを続ける。
だが。
586バードウォッチング3:2006/09/21(木) 23:31:55 ID:rMCf7WcY0
吉沢と片倉の間を行き来していた葉山の視線が、廊下の反対側に佇んでいるギイを、ふいにとらえた。
ギイには、あっと思う間もなかった。
葉山は驚くほど素早く頭をめぐらせた。
「ぼく、戻るから」
「えっ?おい、託生?託生、どうしたんだよ?」
片倉があっけに取られているうちに、葉山は駆けださんばかりに足早に立ち去った。
「なんだよー、託生のやつってば急に」
「何か、大事な用を思い出したんじゃないのかな」
「あ、それもそうか」
片倉と吉沢は二人なりに、葉山の豹変を理由など必要なく納得していた。
だが、ギイは。
逃げるようにいってしまった葉山の内心を察してしまった、ギイは。
葉山――
「――だよね、ギイ。……ギイ?どうかしたの?」
同級生の声にはっとする。
「いや、べつに。行こうか」
ギイは内心の震えを押し隠したまま歩きだした。
「あ、ギイ!」
すると今度は片倉が気づいて、声をかけてきた。人なつっこい笑顔がこちらをまっすぐに見ている。
ああ。
――ああ、そうか。そうなのか。
片倉へ柔和な微笑みを返しながら、ギイはずきりと直観していた。
……そうだった、な。
自分をその宇宙に入れてくれないのは、片倉ではない。
葉山なのだ。葉山自身、なのだ。
ギイだって片倉の友人のうちの一人だ。なのに拒まれるのは、ギイが、ギイだから。
きっとそうに違いなかった。
ギイは一瞬だけ、ぎゅっと瞼をつぶった。
葉山の消えた方向に目をやることは、ついにできなかった。


◆   ◆   ◆
587バードウォッチング4:2006/09/21(木) 23:34:18 ID:rMCf7WcY0
びっくりしていた。
心臓は未だに大きく乱れた脈を打っている。
なんで、ギイ。
託生はネクタイをきゅっと握りしめ、小走りしていた。どこへいくあてもない。ただ廊下を闇雲に突っ切っていく。
何故、あんな目で見るのだろう。
あんな、慈しみを込めた眼差しで。
近づくなと、余計なお節介はいらないと、何度もなんども視線で訴えたのに、ギイは救いの手を伸ばすことをやめてくれない。
だから、怖くて。
ギイの親切を勘違いしてしまうのが怖くて、いつの頃からか、視線を合わせられなくなった。
ううん――違う。
本当は、もう、勘違い、してしまっている。
それを知られるのが怖くて、目を合わすことができなくなった。
いくら睨みつけても揺るがなかったギイ。
非常に面倒見のいい級長なのだ。きっと託生は誰よりもそのことを知っている。身を持ってわかっている。
医者でさえ匙を投げるほど厄介極まりない託生だからこそ、何とかしなくてはと思ってしまうのだろう。
ギイの器の大きさなんて、見ていればわかる。たとえ鋭い爪で引っかかれて血を流そうとも、その攻撃は小動物の怯えゆえだと見抜き、傷ついた手をさえ差し伸べることをためらわない。
きっとそうゆうことだ。
託生には、拒むことしかできないのに。
きっと、ギイは、それもわかっているのに。
胸が熱い。
ギイが好きだ。
だからこれ以上、つまらない、くだらないことなんかでギイを煩わせたくない。
早く二年に進級したい――
託生は祈るようにそう思った。
そしたらギイとは、別々のクラスになるだろう。
そうしたら、ギイの庇護もなくなるだろう。
そのとき、やっと、心安らかにギイを見つめることができると思う。
遠くから。遥か遠くで。
ギイにはけして知られることなく、ギイを想っていく。
想うだけだよ。
それくらいなら許されるよね、――兄さん。
託生は心の中で呟いた。
588風と木の名無しさん:2006/09/21(木) 23:35:01 ID:rMCf7WcY0
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ スレチガイモエ!!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
589風と木の名無しさん:2006/09/22(金) 00:20:32 ID:IXbeU03+0
そろそろ新スレ立てる事も考えないといけないけど、
>>556の改変案でOKかな?
590風と木の名無しさん:2006/09/22(金) 13:35:45 ID:vzutaduH0
別に改案なんかしなくていいって
基地外一人のせいでわざわざテンプレ改案ってアホス
591風と木の名無しさん:2006/09/22(金) 15:11:26 ID:24Og51mO0
改定しておかないとまた言い訳に使われるよ。馬鹿は文字にしないとわからないから。
592風と木の名無しさん:2006/09/22(金) 15:22:09 ID:J2VtDead0
>>588
新刊読んでないけど萌えたよ!
買いたくなってきたw
593桜乱高校保スト部 双子:2006/09/23(土) 00:35:44 ID:BJCWdaZQ0
 ____________
 | __________  |    某少女漫画ホスト部の双子話、原作寄りに書いてあります。
 | |                | |    設定は軽井沢の1日目の夜です。
 | | |> PLAY.      | |     兄←弟風味で。
 | |                | |           ∧_∧ もうすぐアヌメも終わっちゃう・・・
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
594桜乱高校保スト部 双子 1/3:2006/09/23(土) 00:38:42 ID:BJCWdaZQ0
「まだ震えてる」
馨は光の左手を両手で軽く握り締めた。光は口を噤んだ。

見事、昼間の客室争奪戦に勝利した二人は、埴之塚 軽井沢邸へと向かった四人を騒がしく見送った後、
ハルヒや、この店のオーナーである美鈴と他愛無い雑談を交わし、それぞれの寝床に着いていた。
そしていつもと同じ様にお互い裸体同然のような格好で、
あまり見慣れない小さな一つのベッドに潜り込んだ。
それから二人はほとんど言葉も交わさないままだった。
それなのに意志が通じ合うように、眠る素振りを見せる事無く向かい合って、ただ互いを見つめていた。
窓辺からもれる月明かりが二人をぼんやりと照らし、
外の空気は息遣いも聞こえる程、静かに佇んでいた。
しばらくすると、光が左手をゆっくりと差し出し、指先だけで馨の頬の傷を撫でた。
その間も、光は一言も言葉を口にはしなかった。けれど、何か言いたそうに唇を小さく開けて、
どこか後ろめたそうに瞬きを繰り返していた。
その様子は馨を少しだけ苛立たせた。本人の自覚も無いほどに。
そして馨は光の真似事でもするかのように、ゆっくりと自分の頬を撫でる光の左手を己の両手で掴んだ。
595桜乱高校保スト部 双子 2/3:2006/09/23(土) 00:40:56 ID:BJCWdaZQ0
この震えは、何に対しての怯えなんだろう。
僕が居なければ、ハルヒが大怪我をしそうだったから?
それとも、僕がハルヒを庇って小さな怪我をしたから?
そう光に聞いてみたところで、答えなんか返ってこないと解っていても、馨は僅かに震える光の左手を離さずに考えていた。
一番聞きたい事は聞けないのに、離したくなかった。これは、やっぱり我侭だろうか。
沈黙を破り、光が静かに話し出した。
「怖かった。馨とハルヒが二人とも死んじゃったんじゃないかって」

硝子の割れる大きな音。
その音は光の頭の奥底まで響いて、すぐ目の前の角を曲がった先で聞こえた事に、すぐには気付けなかった。
そして急いで駆けつけた先に、馨がハルヒを庇うように覆いかぶさっているのがすぐに目に入った。
その光景を目にしても、二人の確かな声を聞くまで、ただ理由も無い恐ろしさが身を包んだ。
光の全身は恐怖に戦き、手先の震えが止まらなかった。
それは二人が無事だったと解った後も、恐怖がぶり返すように背筋を凍らせ、
なるべく周りにばれないようにしたつもりではあったが、手は未だに小刻みに震えた。
596桜乱高校保スト部 双子 3/3:2006/09/23(土) 00:45:27 ID:BJCWdaZQ0

馨は黙って、光の言葉を待った。自然と光の手を握る両手に力がこもった。
「ハルヒを助けてくれて、ありがとな。
あと、怪我させてごめん」
「・・・何で光が謝るんだよ」
ふっと、馨は無意識に微笑んだ。
口元は笑った表情なのに、何故かその時、鼻先がつんと熱くなって涙が零れそうだった。
馨は必死に、これが正しいんだと、光の言う言葉が自分達の一番正しい関係性なのだと、自分に言い聞かせた。
自分達とハルヒは友達であり、自分達は双子だから。
ハルヒの事も、自分の事も心配して震えていた光は、もはや誰のものでもない。
「どっちを選ぶとか、おかしいよな」
「え?何、聞こえなかった」
光は「もう一度言って」と馨にせがんだが、馨は何でもないと繰り返した。
そして馨は涙が出てこないように、注意を払いながら目を閉じて、
自分の両手に縛られた光の左手に、小さくキスをした。
光は「くすぐったい」と微笑みながら、馨の手を握り返した。
597桜乱高校保スト部 双子 :2006/09/23(土) 00:47:13 ID:BJCWdaZQ0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 落ちてなくてごめん
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
598計画橙←青1:2006/09/23(土) 00:53:12 ID:4e+FnhlqO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )久々に計画橙青。

たった一瞬の、触れるだけのキス。
それが、こんなに背徳的に感じてしまうなんて自分でも動揺した。

「…不意打ちは卑怯ですよ」
薄く開いた唇が、微かに笑っているのを見て急に恥ずかしくなる。
「油断してたやろ、ヒロス」
そう言って散髪したての僕の髪を撫でる手は、いつもと変わらない仕草で。
僕が勝手に好いてるだけの関係なんやろな、とつくづく思う。
「油断も何も、映画の途中なんだから仕方ないでしょ」
暗闇の中、何度見せられたか分からない彼のお気に入りの映画が流れる。
「なぁ、ヒロス」
「はい?」
少しの沈黙。
「好き?」
「好きですよ。名田義さんは?」
「…うん、好き」

主語の無い質問。
主語の無い返答。
そして何ごとも無かったかの様に、二人はまた映画の世界に戻る。


『この映画は好き?』
好きですよ、多少見飽きたけど。

『俺の事は好き?』
好きですよ、多分あなたの想うそれとは重さが違うけど。

…あぁ、なんて弱虫な二人。
599計画橙←青2:2006/09/23(土) 00:57:19 ID:4e+FnhlqO
聞き慣れたEDテーマが流れ、映画が終わる。
少し疲れた首を右下に向けると、彼は僕の肩にもたれたまま眠っていた。

「ちょっと…名田義さん、寝ちゃった?」
テレビの明かりが、彼の寝顔を照らす。
眼鏡の奥の瞳はしっかりと閉じられ、小さな寝息が規則的に繰り返されていた。
「…どうすんねん、ベッドで寝たいのに」
動こうにも動けず、大きく溜め息を吐く。
それが今の僕に出来る、彼への唯一の抵抗。

「明日…二人して風邪引いても知りませんよ」
もう一度溜め息をついてテレビの電源を消したら…真っ暗になって彼が見えなくなった。

そっと髪にキスをして僕も目を閉じる。
彼の冷たい指先を暖めながら、今宵はまどろんでしまおう。


好き?
好きですよ。
あなたの隣で、僕はいつもあなたを探している。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )短文スマソ…青と橙は、両思いだけど片思いだとオモ。
600風と木の名無しさん:2006/09/23(土) 02:58:11 ID:uFR/RvkY0
スレ立てしようとしたら無理だった。だれかたのむ。

↓改変済み

モララーのビデオ棚in801板20

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。


   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]__\______  ___________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |      |/
    |[][][][][][][]//||  |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ| |
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄
                    (__)_)

モララーのビデオ棚in801板19
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1155489641/
 ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-7のあたり

保管サイト(お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://moravideo.s57.xrea.com/
601風と木の名無しさん:2006/09/23(土) 02:59:09 ID:ZaXgKyAM0
>>600
テンプレってこのスレのテンプレと同じでいいなら立てるぜ?
602風と木の名無しさん:2006/09/23(土) 02:59:59 ID:uFR/RvkY0
1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です
書き込むネタはノンジャンル。 801ネタであれば何でもあり。
たとえばこんなときにどうぞ。

  どこに投稿すればいいのかわからない‥‥
   ・ネタを作ってはみたが投稿すべき既存のスレが無い。
   ・投稿すべきスレがあるのかもしれないけど、よくわかんない。
   ・クロスオーバーのつもりなのだが各スレ住人にウザがられた。
   ・みんなの反応を見たうえでスレ立てるべきかどうか判断したい。

  投稿すべきスレはあるが‥‥
   ・キャラの設定を間違えて作ったので本スレに貼れない。
   ・種々の理由で、投稿すると本スレが荒れそう。
   ・本スレに貼る前にあらかじめ他人の反応を知って推敲したい。
   ・本スレは終了した。でも続編を自分で立てる気がない。

  ヘタレなので‥‥
   ・我ながらつまらないネタなので貼るのが躊躇われる。
   ・作り出してはみたものの途中で挫折した。誰か続きおながい!
603風と木の名無しさん:2006/09/23(土) 03:02:33 ID:uFR/RvkY0
コピペミスった。↓を↑に付けたし


迷ったときはこのスレに投稿してね。
ただ、本来投稿すべきと思うスレがある場合は
それがどのスレで(ヒントで充分)、しかしなぜこのスレに貼ったのか、
という簡単なコメントがあるとよい。無いとカオスすぎるからね。

ナマモノは伏せ字か当て字を推奨。
それ以外は該当スレのローカルルールに沿うか、自己判断で。
604風と木の名無しさん:2006/09/23(土) 03:04:59 ID:uFR/RvkY0
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
605風と木の名無しさん:2006/09/23(土) 03:05:35 ID:uFR/RvkY0
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。
別に義務ではないけどね。
とりあえず用意したテンプレ。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
606風と木の名無しさん:2006/09/23(土) 03:06:17 ID:uFR/RvkY0
携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
607風と木の名無しさん:2006/09/23(土) 03:06:52 ID:uFR/RvkY0
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
 \_________________________
608風と木の名無しさん:2006/09/23(土) 03:09:11 ID:uFR/RvkY0
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)

−−−−−−−−−−ここまで−−−−−−−−−−−−
度重なるコピペで擦り切れたAAも修正済み。
609風と木の名無しさん:2006/09/23(土) 03:12:30 ID:ZaXgKyAM0
じゃ、>>600>>602-608で立て行ってみるわ。
610風と木の名無しさん:2006/09/23(土) 03:14:44 ID:ZaXgKyAM0
私もダメだったあ・・・・次の人よろ↓
611風と木の名無しさん:2006/09/23(土) 03:28:19 ID:ZYUE1Oba0
行ってみる。
612風と木の名無しさん:2006/09/23(土) 03:38:12 ID:ZYUE1Oba0
立ちました。

モララーのビデオ棚in801板20
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1158949957/
613風と木の名無しさん:2006/09/23(土) 03:41:25 ID:uFR/RvkY0
>612
超乙!

容量ヤバイのでレス控えてたけど、
>610もありがと
614風と木の名無しさん:2006/09/23(土) 08:22:28 ID:CcOfovIr0
乙。

ギリギリだったね。
615風と木の名無しさん:2006/09/23(土) 11:30:29 ID:AKjM2xfN0
>>612
乙でした。
616ひみつの検疫さん
汚染を除去しました。