【南北朝鮮】飯嶋酋長研究第681弾【自律不全】

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142風と木の名無しさん
 ドーン!! と大音響が屋敷中に響き渡った。
 続いてア〜〜〜イゴ〜〜〜〜〜という謎の叫び声も聞こえた。
 自慢のCD自作セレクションのデータをいじっていたニホンは驚いて立ち上がる。
「一体何事だ?!」
 廊下に出て方角を確かめるとメイド達の住み込み部屋の辺りからのようだ。
慌てて駆け出すとメイド頭のチューゴも驚いたようにメイド部屋を覗き込んでいた。
ニホンがチューゴを押しのけて中に入り込むともうもうと煙が上がっている。
火薬臭い部屋の中でダメダコリャと爆発頭で連発していたのはカンコ、そして
双子の兄弟のキタであった。またお前らか!! とニホンが思わず喚く。
実際、ニホンがこの屋敷の執事に就任してからというもの、心の休まる時は
なかったのだ。この兄弟も酷いが後ろでそっぽを向いているチューゴにも
何度煮え湯を飲まされたことか。
「……今度は何をした」
「何にもしてないニダ。花火で遊んでいただけニダ!」
「ウリは眺めていただけニダ!」
「室内でやるな! 見てないで止めればいいだろうが!! ……それにお前ら」
 日本は厳しい眼差しで二人を睨みつけた。
「クスリもやってたな?」
 室内に散らばる注射器、アンプル。何故か印刷機。
「……チューゴさん、これはもう私の手には負えません」
 後ろに突っ立っていたチューゴにしかめツラでニホンは向きなおる。
「……私には何が何だか」
「……あの印刷機、何故か電源コードが隣のあなたの部屋に伸びていっているようですが」
「気のせいアル」
143風と木の名無しさん:2006/07/16(日) 00:30:31 ID:BmKOx3AE
「これはやりすぎです。さすがに僕も疲れました。それなりの対処をいたします」
「おまえにそんな度胸あるか? このヘタレ」
「あなたがキタに借金持ってて、キタがこの屋敷クビになって無一文になったら
回収できなくなって困るのは分かってますよ。僕のことが大嫌いで失敗して
へこたれそうになった時に僕の写真に夜な夜なカツーンカツーン釘を打ち込んで
明日の活力にしているのも知ってますよ。あなたこっそりやってるつもりらしいけど、
あの音屋敷中に響いてますから。でも今度はダメです。あなたが庇ってもダメです」
 半島の兄弟を無視して二人でにらみ合った。
「わ、悪いことばかりではないアル。屋敷の修繕もよくやっていたアル!」
「試運転でカンコごとエレベータが天井から空に飛んでいきましたのも今ではいい思い出です」
 重々しくニホンが言った。
「ニホンと一緒に犬小屋も作っていたアル!」
「カンコが作っていた方のはその後徐々に傾きだして、今では犬たちは私が作った
犬小屋にしか住んでいないようですが。動物は正直ですから困ったものです」
 しみじみとニホンが言った。
「その犬もカンコはよく可愛がっていたアル!」
「時々頭数が減って姿を消した犬がいるようですね。どこの泥棒の仕業でしょう。
犬の安否が気遣われます」
 遠い眼差しでニホンが言った。
「料理も頑張って作っていたアル!」
「油断してると虫入ってましたけどね。僕たちの間ではコリアンルーレットと呼んで
当たるのを恐れていたものです」
 優しく微笑みながらニホンが言った。
144風と木の名無しさん:2006/07/16(日) 00:33:25 ID:BmKOx3AE
「主人の部屋に足繁く通って可愛がってもらっていたアル」
「ブルーシートで覆われて中に入っていったときには、ヤベ! 何やったカンコ!?
何の現場検証?! とうっかり勘違いして狼狽してしまって今でも反省しています」
「……」
「……」
 二人は一時、黙り込んだ。
「……こうしてみると、かなりカンコって面白かったんですね」
「……自分の身に降りかかってこなければ同感アル……」
 二人でしみじみため息をついた。
「……その間キタは?」
「ニホンの家財道具盗んで、バレタ後もふんぞり返って、クスリの合間にカンコに
金せびってメロン食ってたアル」
「……ダメじゃん」
 気を取り直してニホンはチューゴに向き直った。
「主人と相応の処罰を協議いたします」
「う、運転手のロシアも一緒に反対するアル!」
 ニホンはうっすら笑っただけだった。
「どうぞ。ご自由に」
「しゅ、主人に気に入られてるからといっていい気になるのも今のうちアルよ!!」
「いい気になどなっていません」
 ニホンは言った。
「いい気になどなっていなくて、むしろ……」
145風と木の名無しさん:2006/07/16(日) 00:34:12 ID:BmKOx3AE
 チューゴはぞくりと背筋が震えた。この声には聞き覚えがあった。遠い昔に聞き覚えがあった。
「むしろ、腹を立てているのです」
 ニホンはニッコリと笑った。立ち尽くすチューゴを尻目に主人の部屋に向かって歩いてゆく。
 あの男をその気にさせてしまったらどうなるか。
 どうなるのか。
 棒立ちになるチューゴの背後でキタはメロンを食べながらまだライターをカチカチいわせて
遊んでいた。 そしてカンコはアメリーが攻めて来たらニホンを攻撃するニダー!!と何故か
夜空に向かってマイクパフォーマンスで叫んでいた。

 ……ダメダコリャ。チューゴは俯いた。
 もう一発行ってみよー! とカンコのマイクを奪って絶叫するキタ。

 地球の夜明けはまだ遠い。