モララーのビデオ棚in801板18

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1風と木の名無しさん
モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。


   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]__\______  ___________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |      |/
    |[][][][][][][]//||  |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ| |
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄
                    (__)_)


モララーのビデオ棚in801板17
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1148010226/
 ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-7のあたり

保管サイト(お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://moravideo.s57.xrea.com/
2風と木の名無しさん:2006/06/30(金) 00:51:29 ID:9q5Iio5p
1.ノンジャンルのネタ発表の場です
書き込むネタはノンジャンル。
スレ違い/板違い/鯖違い/メディア違い問わず、ネタであれば何でもあり。
たとえばこんなときにどうぞ。

  どこに投稿すればいいのかわからない‥‥
   ・ネタを作ってはみたが投稿すべき既存のスレが無い。
   ・投稿すべきスレがあるのかもしれないけど、よくわかんない。
   ・クロスオーバーのつもりなのだが各スレ住人にウザがられた。
   ・みんなの反応を見たうえでスレ立てるべきかどうか判断したい。

  投稿すべきスレはあるが‥‥
   ・キャラの設定を間違えて作ったので本スレに貼れない。
   ・種々の理由で、投稿すると本スレが荒れそう。
   ・本スレに貼る前にあらかじめ他人の反応を知って推敲したい。
   ・本スレは終了した。でも続編を自分で立てる気がない。

  ヘタレなので‥‥
   ・我ながらつまらないネタなので貼るのが躊躇われる。
   ・作り出してはみたものの途中で挫折した。誰か続きおながい!

迷ったときはこのスレに投稿してね。
ただ、本来投稿すべきと思うスレがある場合は
それがどのスレで(ヒントで充分)、しかしなぜこのスレに貼ったのか、
という簡単なコメントがあるとよい。無いとカオスすぎるからね。

ナマモノは伏せ字か当て字を推奨。
それ以外は該当スレのローカルルールに沿うか、自己判断で。
3風と木の名無しさん:2006/06/30(金) 00:52:13 ID:9q5Iio5p
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリーAAであろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                               | | [][] PAUSE
                ∧_∧         | |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |
          | |,,  (    つ◇       | |
          | ||―(_ ┐┐―||        |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
4風と木の名無しさん:2006/06/30(金) 00:53:03 ID:9q5Iio5p
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。
別に義務ではないけどね。
とりあえず用意したテンプレ。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
5風と木の名無しさん:2006/06/30(金) 00:53:46 ID:9q5Iio5p
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
 \_________________________
6風と木の名無しさん:2006/06/30(金) 00:54:29 ID:9q5Iio5p
携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
7風と木の名無しさん:2006/06/30(金) 00:55:12 ID:9q5Iio5p
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)
8風と木の名無しさん:2006/06/30(金) 00:55:42 ID:dYUbV7cD
1乙乙乙
9風と木の名無しさん:2006/06/30(金) 01:49:26 ID:athTfNT9

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  アヌメ獣王星 トール×ザギ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|   さっき最終回録画見て勢いで書いた
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 1乙
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
101/2:2006/06/30(金) 01:50:15 ID:athTfNT9
地中に落ちた後、ザギはさらに深部に向かってムーサの間を進んだ。
ティズの遺体はムーサによって絡め捕られたボールのそばに寝かせてきた。
キマエラの生命力を象徴するようなあの光景が、彼女には似合っていると思ったからだ。
そして、なんとなく同じ場所では死ねなかった。
怪我を負った状態で地割れに呑みこまれて平気なはずもなく、消耗した身体を
それでも引きずるように運ぶ。さらに、闇へ。
とうとう足に力が入らなくなって崩れ落ちたのは、かすかに光が届く場所。
朦朧とした意識の中、ザギは遠い空を仰いだ。
分厚い雲に覆われたその向こうを見透かすように目を細める。
記憶に広がる青い空。青は、トールの瞳の色だ。
澄んだ眼に炎を宿す美しく強い獣王は、自分の駒にはならなかった。そのことがむしろ
嬉しくて、それこそが自分の望んだことなのかもしれないとまで思う。
偶然拾った綺麗な子供が思いがけず鋭い顔をするから、そいつの行く先を見たくなった。
それだけだったのかもしれない、と。
視界に浮かんだトールの幻影にザギは弱々しく腕を伸ばす。けれど触れたいのか
触れたくないのかが自分でもわからなくて、手は行き場を失って落ちた。
そんな様子を見て、トールが幻影にしてはよくできた苦笑いを浮かべる。
「らしくない顔してる」
声は、リアルになって鼓膜を震わせた。
「探しにきたのか」
擦れた声でザギが尋ねると、頷きが返ってくる。
「ティズは死んだぜ」
「…チェンに話を聞いた。助からなかった、かもって…」
「俺を庇ってな」
112/2:2006/06/30(金) 01:50:57 ID:athTfNT9
トールはぶんぶんと首を横に振り、くぐもった声で「ザギのせいじゃない」と呟いた。
しばらくトールは歯を食いしばって耐えていたが、やはり抑えきれず青い瞳から大粒の涙が
零れ落ちる。次から次へ、軌跡を辿って流れる雫はぽろぽろと地面に落ちてムーサに
吸い込まれていった。
「オレは大事な人を死なせてばっかりだ。両親も、ラーイも、カリムも、サードも
ティズも…!!」
両手で顔を覆い、膝を折る。
「ザギまで、失うのかと思った」
「俺?」
突然自分の名前が出て、ザギは不思議そうに眉を顰めた。トールはそんなザギの頬に
掌を当てて顔を寄せる。不審げに見つめ返すザギの眼は昔と変わらず冷たい。
誰もが服従せずにはいられない瞳だとトールは思った。
ザギは怖くて絶対的で、なのに目を離せない。ザギが何をするのか、どこへ行くのかが
知りたかった。
今でも名がつくこともなく、ただひたすらにザギへの強い情がある。
「死なせない。絶対に…っ」
彼だけは俺から奪わないで―――――――――
縋るようなトールに幼い頃の面影を見て、ザギは懐かしい気分になって笑う。
「お前は本当にガキだな」
憧れたわけではなく、互いが互いになりたかったわけでもなく、ただどうしようもなく惹かれる
ものに触れるのは、怖かった。干渉してしまいたくなかった。それとは別のところにある
相反する想いに気付かないふりをしてずっと触れずにきた。後悔するなんて、思いもせずに。
トールがそっと口付けると、ザギも自分から唇を寄せる。互いの唇を食むようにしていたキスが
だんだん深くなってゆく。獣の王がするにしては、ひどく人間らしいキスだった。

関を切った欲望は留まることなく先を求める。せり上がってくる熱で息苦しい。
ザギはそれに酔うようにそっと目を閉じた。
12風と木の名無しさん:2006/06/30(金) 01:51:56 ID:athTfNT9
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ アヌメのザギはエロ杉だと思います
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
13風と木の名無しさん:2006/06/30(金) 07:12:29 ID:SJWda/cE
>1乙!
14風と木の名無しさん:2006/06/30(金) 14:55:00 ID:i8Gs68SH
>9-12
テラモエス(*´Д`)ハァハァ
GJ
15風と木の名無しさん:2006/06/30(金) 20:31:21 ID:RXDx49pX
ウォォォォ! ついに来たー!
トール×ザギ めっちゃ萌えました。
出来ることなら続きが読みたいです。
16風と木の名無しさん:2006/07/01(土) 16:50:06 ID:5SPS/jlu
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ギャグ傾向3Pモノだお
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  中野人の腐脳はギャグ傾向モナ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀`;)(・∀・;)(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
天原天前提の井川受けッス(´・ω・`)
17風と木の名無しさん:2006/07/01(土) 16:52:19 ID:5SPS/jlu
「…『さいしょはぐー』からな。悪いが音頭は関西式でいかしてもらうで」
いつにも増して真剣な顔つきで、眉間により多く皺を寄せながら原田が言う。
「いーぜ別に。どっちでも変わりゃしねえって」
天の豪快な笑顔と白い歯。小さなことには拘らない性分だ。
「じゃんけんぽんってなあ、どうもタイミングが合わんねん。」
手を組んで裏返して覗き見る原田。出すべき手が見えた。
じりじりとにらみ合う2人。
少し離れた場所に居た井川が欠伸を一つする。
『さいっしょはグー!!!いんっじゃんほいっ!!』
男2人が品格を捨てて全力でじゃんけん…ハタから見ればただの酔っ払いってところだ。
そんな2人を横目に見つつ 井川はもう一つ、欠伸をした。
「どうでもいいですけど」
つりあがった三白眼はなんとなく2人を見ながら言う。
「お願いですから他所でやって下さいよ。」
眠そうな目を擦りながら井川がツンと言い放った。
「なんやひろ、まぜてほしいんか?」
と、原田が目をそらした刹那。
天の手は、原田に負けることが決まっていたちょきからぱーにかえられた。
「ほあっ!!天、おどれ今手ぇかえたやろっ!」
18風と木の名無しさん:2006/07/01(土) 16:53:36 ID:5SPS/jlu
ここはちょっとした宿場。2人がこんなにも真剣になっているのは、
このじゃんけんの勝敗で"今日のタチネコ"が決まるからだ。

「俺から目離すなんて随分迂闊なんじゃねーの?原田よお」
"傷だらけのサマ師"天は不適に笑いながら言う。
「おどれこそ、俺にサマ仕掛けようなんてええ度胸してるやないか」
"西の最強"原田もやくざならではの睨みをきかせる。
険悪ムード漂う2人を尻目に更にもう一つ欠伸を落とす井川。
その欠伸が合図かのように、天と原田は同時に井川を見た。
そして2人は再び向き合ってにんまりと目配せをして笑う。
「よお天…おどれ何考えてるんや…?」
もう1度井川を見つめ、そこから視線を外さずに言う原田。
「んー?お前と一緒なんじゃねえの?」
にっこり笑い原田と同じくな天。
「な…何考えてんですか本当に…」
後ずさる井川。しかし2人から逃れられるはずがない。
「えっ…ちょ、待っ…っ!!」
19風と木の名無しさん:2006/07/01(土) 16:54:39 ID:5SPS/jlu
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ イヤ、ナンカモウスミマセン
 | |                | |     ピッ   (・∀・;)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
20風と木の名無しさん:2006/07/01(土) 20:28:42 ID:wttQ1DJF
ひろktkr!!!11

続きお願いします!!
21風と木の名無しさん:2006/07/01(土) 23:17:57 ID:1BJppJDr
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  萎えスレネタらしいモナ。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 全体的にどうしようもないよ。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ナエナエ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
221/2:2006/07/01(土) 23:18:54 ID:1BJppJDr
「ハーバル…ハーバル…」
総一郎が呼んでいるような気がして俺は飛び起きた。なんとなく胸騒ぎがする。
俺は、普段は犯しが大好きな普通の男子高校生として過ごしているのだが、実は某国のCGIの一員である。
このことは恋人の総一郎以外、誰も知らない。
総一郎は学校の同級生だ。意思の強そうな、しかし無気力な顔に惹かれ、何度か話すうちに本気で好きになっていた。
若い頃の木●拓哉を思わせる容貌も、声優の石●彰のような美声も、全て愛しい。
ああ、木●君、木●君…
それにしても、この胸騒ぎはなんだろう。まさか、総一郎の身に何かが…
言いようもない不安を抱え、俺は重い体を引きずって学校に行くことにした。

俺の住んでいるところはあまり治安がよろしくなく、昼なお暗き路地裏からは誇り臭いような、生臭いような臭いが漂ってくる。
そんな臭いに辟易しながらいつもどおり通り過ぎようとするが、何か様子がおかしい。
不審に思って路地裏を覗くと、
(アッーーーー!)
総一郎が何者かに犯されている。
手首を輪ゴムで拘束され、マスカレードで使われるような妖艶で不気味な仮面をつけた男に足を持たれて股間を踏みにじられている。
俗に言う電気あんまだ。総一郎が泣く声が聞こえる。
男が笑いながら足に力を入れるのを見て、俺は我を忘れた。
「おい!総一郎に何やってんだよ!!」
「なんだテメエ!」
男に掴みかかり思い切り殴りつける。仮面が取れ、その下の目出し帽が露になった。
「くそ…っなんだこいつ…」
男は反撃するが、CGIで培った戦闘能力を甘く見てもらっては困る。
俺の渾身の力をこめた拳が、男を地面にたたきつけた。
「畜生!覚えていやがれ!!」
足を引きずりながら男はこけつまろびつ逃げていく。なんとも無様だ。
「ハー…バル…」
総一郎がうつろな目でこちらを見ている。体にはいくつもの痣が出来ていた。
「総一郎…泣かないでれ」
眼に涙を溜める総一郎を抱きしめながら、俺は今日学校を休む決意をした。
232/3 (2つに収まらんかった…):2006/07/01(土) 23:20:12 ID:1BJppJDr
家に総一郎を連れ帰り、風呂に入れてやる。
傷に湯がしみるようで時折痛そうに体を震わせていた。
あまりの痛々しさに思わず口付けようとすると、総一郎は身を引いて悲しそうに笑って言う。
「だめだよ…俺、汚いから…」
俺は胸がいっぱいになり、強引に口付け、舌を絡める。
「うひぃ」
総一郎の甘い声を聞いたらもう止められなかった。
「俺が消毒してやる」
そう言って総一郎の穴ルに指を差し入れると、キラキラと精液がとめどなく流れてくる。
やはり中に出されていたか。俺は心の中で舌打ちをする。
「くうくう」
中を摺られた総一郎があえぎ声を上げる。
穴ルは十分柔らかくなっているようだ。
「あぁっ、ッア…アウ!アウ!」
「総一郎、行くぞ」
腰帯を解いて着物をとりはらい、袴の帯を解いて俺のデカマラを取り出す。
「や、やだぁっ、こわいよぉ…」
総一郎が俺のデカマラに怯えだす。無理もない、さっきあんな目にあったばかりなのだから。
だが、もう俺のチンはむっこりと育ち、総一郎の穴ルにロックオン☆
「ひゃーーーーーーーん」
適度な締め付けで総一郎の穴ルが俺を迎え入れる。
「イッ、イッーーー!!」
総一郎の甲高い声が浴室に響く。
俺も夢中で自身を受けの感じるGポイントに押し付け、こすりあげる。
「あああぁぁあああっ、はげし・・・そんな・・・しちゃ・・・イッちゃよォッ」
夢中でしがみ付いてくる総一郎が愛しくて、首筋にキスを落とすとそれすらも感じてしまうようで、
243/3:2006/07/01(土) 23:20:43 ID:1BJppJDr
「あっ、ああっ… き、きもいい〜〜〜!」
と可愛らしい声を上げる。俺もそろそろ限界が近かった。
「あへっあへっ」
「総一郎ー、そういちろーーーーー」
「ハーバルーーーーーーー、ハーバルーーーーーーーー」
「いひいぃぃーっっ」
「ぐっぐひっ」
俺と総一郎は同時に達した。ふたりの息はぱったりだった。

バルブバスに2人で入りながら、幾分気持ちの落ち着いた総一郎と話をする。
「今度どっか旅行にでも行くか」
「そうだね。避暑もかねて北半球にでも行こ?1泊くらいで」
「1泊で北半球は無理だよ」
「あ、そうだったね」
と言って総一郎は笑う。
遠くから学校のチャイムが微かに聞こえてきた。
25風と木の名無しさん:2006/07/01(土) 23:22:04 ID:1BJppJDr
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ナンダコレ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
26風と木の名無しさん:2006/07/01(土) 23:28:56 ID:YHzDFZis
>>21
笑い殺す気か!!!w
27風と木の名無しさん:2006/07/01(土) 23:32:02 ID:09bT5yIu
>>21-25
何が起きたのかと思ったwww萎えスレ住人だから分かったけどwww
私の萎えまで入れてくれてありがとうwハーバルハーバルって頭にこだまするww
28風と木の名無しさん:2006/07/01(土) 23:33:39 ID:+3sebeLl
>>21
なんてことをw
めちゃくちゃ笑ったじゃないかww
29風と木の名無しさん:2006/07/01(土) 23:36:14 ID:mNKydFcY
>>21
冒頭に萎えスレと同じ注意書きつけれwww
キーボードが酒まみれwww超GJ!
30風と木の名無しさん:2006/07/01(土) 23:38:05 ID:M3decsEW
>>21
やばい
笑いが止まらんw
31風と木の名無しさん:2006/07/01(土) 23:43:04 ID:x33gNj9Q
>>21-25
笑いすぎて死ぬwwwwwww
32風と木の名無しさん:2006/07/01(土) 23:46:24 ID:4F+R2CyT
>21
GJ!苗からこんな笑いが生まれるとは!GJ!!
33風と木の名無しさん:2006/07/01(土) 23:50:28 ID:BpCxbqc2
>>21に萎えもせず笑いもせず普通に萌えてしまった…orz
34風と木の名無しさん:2006/07/02(日) 00:08:25 ID:ODOmI8oI
>>21
こんなに涙がでるほど笑ったのはすごい久しぶりだ!!
笑いすぎでマジ腹痛い。萎えスレ住人でよかったと心から思うよ!
gj!!!1!!
35風と木の名無しさん:2006/07/02(日) 00:12:10 ID:OH5lAoFH
>>21
久々に涙を流して笑い転げたwwwGJ!!
36風と木の名無しさん:2006/07/02(日) 00:16:22 ID:e83v7HZr
>21
ちょww苗スレ見てなかったのに笑いすぎて涙出たwww
姐さん天才です!GJ!
37風と木の名無しさん:2006/07/02(日) 00:19:46 ID:dT3qbeo0
>>21-25
これSugeeeeeeeeee!!
発想がネ申。
38風と木の名無しさん:2006/07/02(日) 00:22:57 ID:aLDvPMjJ
>21
死帳映画を見たばっかりだったので、総一郎をカガタケスィで想像してしまった。

自分の息がぱったりするかと思った。
39風と木の名無しさん:2006/07/02(日) 00:51:55 ID:7GAtOr+H
>>21
もしかしていつもの姐さんですか?
笑いすぎてぐひっ
40風と木の名無しさん:2006/07/02(日) 01:13:54 ID:OlrpTz67
>33
その、まぁ、なんだ、そういう事もあるさw
41風と木の名無しさん:2006/07/02(日) 01:18:56 ID:Gjq9XFvg
>>21
GJ!!
よくあの苗ネタばかりを並べて、しかもDQNテンプレな
素晴らしいネタを…!
以前あった赤面タイトル羅列ネタと一緒に神棚飾っておく。
べ、別に笑いすぎて涙が出たわけじゃないからね!
目にゴミが入っただけなんだからね!
42風と木の名無しさん:2006/07/02(日) 02:54:16 ID:Dx+ImLBF
この流れの申し訳ないが……

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ファソトム・ブレイブ・パー諮問×ウォノレナット
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  データ飛んでからノロノロ再プレイしたら萌え再燃。ネタバレ気味
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ シカシEDハマダミテナインダガナ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
マイナー作品なので軽く用語集と説明。

クローム…請負人。依頼を受けて何でもやっちゃう文字通りの何でも屋。
レイヴン…傭兵団。そのまま。それぞれのカラーにもよるが、血気盛んな奴が多いかもしれない。
オクサイド…他のクローム・レイヴンが請け負った依頼を諸々の手段で妨害し、最終的に報酬を脇から掻っ攫っていく行為。クロームはともかく、荒くれ者の多いレイヴンを相手取って失敗すると集団リンチにあうかもしれない危険な手段。
オウル族…二本足で歩くフクロウ。眼鏡・サングラスは必須。

パー諮問…多分オウル族。28歳らしい。怪我をしたウォノレナットを拾ったのが縁で仕事を流している情報屋?
ウォノレナット…諸事情あって守銭奴な20歳。オクサイドを専門にするクローム。特殊能力者がそこそこ多いこの世界で何故か一人、30年前の大異変に活躍した勇者と同じ『魂の炎=生命力を削って発動』ペナルティつきの能力(攻撃力特化)を持っている。
 安ホテルのベッドはスプリングが悪く、ただ横たわっているだけでも
ギシギシと耳障りな音を立てた。
 パー諮問はそれが嫌で、もう少し格上のホテルにしようとこれから
抱こうとしている男に提案したのだが、ウォノレナットはにべも無く却下した。
ホテル代は割り勘で、元が高ければ当然双方の負担も増える。余裕のある
パー諮問はともかく、無駄な出費どころか必要な出費まで切り詰める傾向の
あるウォノレナットにとってそれは当然の事だった。

 そのやりとりはいつもの事。パー諮問も、否定されるのを分かっていて
口に出す。ウォノレナットも、『高いのは嫌だ』という文言を変える事はない。
一度ホテル代を奢ろうと言ってみた所、凄まじく激怒されて危うくお気に入りの
サングラスを粉砕されるところだった。
 いつもと変わらぬ同じやり取り。それは、どことなく何かの儀式に似ている。

「……酒は喜んで飲むくせにな…………」

 隣で眠るウォノレナットを見下ろしながら、パー諮問は呟いた。
 割りのいいヤマを片付けて羽振りがいい時、たまにパー諮問はウォノレナットに酒を奢る。
いつもの酒場のいつもの席で、これまたいつもの安物ボトルばかりを延々
傾けている様子が妙に物悲しく、思わずグラスの数を増やしてしまう。
パー諮問に奢ってもらってもウォノレナットはそっけなく礼を言うだけで、
いつもと変わらないペースで遠慮なく飲み干す。それでも極時たまに見せる
歳相応の嬉しげな笑みが、あまり陽の光を感じない酒場の中ではやけに
眩しく思えて、それを見たいがためにパー諮問はボトルを多めにキープしているのだった。
 ウォノレナットはいつも仏頂面だ。
 それは、眠っている時も変わらない。
 ぎゅっと結んだ唇、閉じられた瞼。寝ている時まで何が気に食わないのか、
眉間に寄せられた皺。一歩外を歩けば回りは皆敵だと心の底から信じているのだろう
(事実、クロームを目の敵にする輩は多い。オクサイドを専門にするのなら、尚更)
彼は、一体いつ安らいでいるのだろうとのんきな疑問を抱いた。

「…………っ」
「?」
声にならない呻きのような音が聞こえた気がして、パー諮問は喉まで出掛かった
名前を飲み込んだ。
「――――、クソが……」
寝言の皮を被った悪態が零れ出た。パー諮問は、柔らかな羽根に覆われた
手をそっとウォノレナットの額に乗せた。そのまま、滑らかな手つきで前髪を
巻き込み、後ろへと撫で付けるように動かす。只ひとくちに『金髪』というには
惜しい、独特の色合いをした長髪が淡い月明かりにきらりと揺れた。
「……酷くしたつもりはねぇんだが」
悪態の矛先は自分だろう。肩を竦めて呟く。
 ――いや、おそらく酷くしてしまっているのだろう。ここのところ、
どうにも歯止めが聞かない自覚が出てきていた。

 ウォノレナットの身体には常に生傷が絶えない。
 オクサイドには悪知恵と、絶対的な戦闘能力が不可欠だ。報酬を横取りするには
それ相応の準備が要る。危険なモンスターを退治してくれと言う依頼なら、件の島まで出向かなければならない。その過程で本来依頼を受けている
レイヴンやクロームともぶつかる事だってある。
 ……危険な商売だ。それを専門にしているウォノレナットは、常に命の綱渡り
状態なのだ。加えてウォノレナットが戦闘の要としている能力は、自らの命を
削って発動させなくてはならない。

 傷だらけの白い身体は、以前抱いた時よりまた少し痩せていた。

 パー諮問はウォノレナットの事を何も知らない。年の頃は20代で、人間族。
何らかの事情があって金を片っ端から掻き集めている。その程度だ。
 何故彼は自分の命すらもつぎ込んで金を稼ぐのか? そんな問いをぶつける事は
この先永久に無い。ぶつけるつもりが無いからだ。おそらくウォノレナット
本人も、答えてやる気は微塵もないだろう。
 幾重もの暗黙の了解の上に二人の関係は成り立っていた。すなわち、仕事を
流す側と、受け取る側。……そしてたまに、抱く側と抱かれる側。いつから
始まったのか、どちらが誘ったのかはもう忘れた。いや、多分ウォノレナット
の方なのだろう。パー諮問は仕事柄記憶力に長け、そして酒には呑まれない性質だった。

 ウォノレナットは常に下層にいた。下にいながらにして、出し抜く。出し抜いて
裏切って騙して陥れて、上に行こうともがいている。
 パー諮問も本来なら、いつ寝首を掻かれるか分かったものではないはずなのだ。
それを懸念しないのは、パー諮問のウォノレナットへの信頼と、ウォノレナットの
パー諮問に対する最低限の義理立てにあった。命の恩人であり、何より仕事を
くれる相手を追いはぎの餌食にするほど、この男の性根は腐ってはいないようだった。

 金のためなら、地べたを這いずっても、泥にまみれても構わないと断言する
この男は、誇りとか尊厳とかそういった類のものを一体どこに置いて来てしまったのか。
「――――ル」
取りとめもない思考がウォノレナットの声で寸断された。起こしたのかととっさに
手を離すが、零れたのは『あの』名前だった。
「ん…………カ――ティ……」
例え断片であっても、繰り返し聞いていれば嫌でも文字は形を成す。

『カスティル』

パー諮問は意識せずに舌打ちをした。夢うつつで呟く女の名。恋人か、家族か
――そんな事はどうだっていい。思考の大半を金関係で支配されている
ウォノレナットが他人の名を例えうわ言だろうと呟くのはとても珍しい事態だと
パー諮問は勝手に定義付けていた。
……ただ、ウォノレナットが自分以外の存在を夢に見ているのがどうにも
苛ついてならないだけだ。

 ウォノレナットだって人の子。家族の一人や二人、恋人だっているかもしれない。
そんな当たり前の事を思い出せず、初めてそのうわ言を耳にした時のパー諮問は
真夜中に一人でうろたえ、悶々と悩みに暮れた。せめて情事の後ぐらい、
自分の名を呟いて欲しいものだと子供っぽい独占欲にまで駆られた。
そして、未だに慣れる事が出来ずにこうして舌打ちで苛々を無理に相殺する夜が続いていた。
「参ったな、俺らしくもねぇ」
寝言が止まる事をほんの少し祈って再び髪を撫でてやると、ウォノレナットが
珍しくもふうっと心地よさげに表情を緩めた。そのほんの僅かな変化に驚く
間も無く、ウォノレナットはパー諮問の羽根に顔を摺り寄せた。
「……おいおい」
手を離すタイミングを見失い、パー諮問は所在無げにウォノレナットの頬に手を当てていた。
普段のウォノレナットなら決して見せる事の無い、幼い子どものような仕草に
パー諮問は胸の中に広がる優越感を確かに感じた。会った事もない『カスティル』
への嫉妬が消え去ったわけではない。固いベッドに押し倒した時にウォノレナットが
見せるどこか切なそうな表情も、その癖悦い所をいたぶられた時に上げる、
抱かれ慣れた者だけが知っているはずの甘えた嬌声も、忘れられたわけではない。
だが、ウォノレナットは今この瞬間、自分の隣で眠っている。そこには金も
汚い仕事も何も無くて、只幸福そうな寝顔だけがある。

「――ウォノレナット」
名残惜しげに手を離す。抗議の呻きも何も無く、ウォノレナットは規則正しい
寝息を立て続けている。


自分の声は届かない。
 命を削って戦うのを止めろと、危険な仕事に手を染めて汚い金を掴むのを
止めろといくら諭しても、ウォノレナットには届かない。

 自分の声よりも、自分の命よりも、ウォノレナットには護りたいものがあるのだ。
 それには莫大な金が要るのだ。だから金を稼ぐ。他人にどれだけ後ろ指を
指されても、薄汚いクロームと罵られようとも…………己がプライドを全て
投げ打ってでも、護るべきもの。

 その真の姿を知っているのは、おそらくこのイヴォワール中で自分だけ。

 かつては上品な風格を醸し出していたはずの、仕立ての良さの片鱗を残す
くたびれた黒いコート。
 それを纏った後姿を、自分は只見守るだけだ。時折気まぐれを起こして
舞い戻ってきたのなら、気が済むまで抱きしめて、離してやれば良いだけだ。

 ……しかし。

「頼むから、俺の前から消えてくれるなよ……?」


 情けない事に、この焦燥感だけは消える事が無いのだ。
49風と木の名無しさん:2006/07/02(日) 03:08:17 ID:Dx+ImLBF
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オヤクソクナジブンセッテイテンコモリ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
ほのぼの感溢れるゲーム中でこの二人だけはアダルト臭が強すぎます。
鳥がどうやってエチーするかって? シラネーヨ(半擬人化とかでお願いします)
50風と木の名無しさん:2006/07/02(日) 09:58:40 ID:OydZI7fC
>>42
GJ!!
まさかこのカプが見られる日が来るとは! ありがとう姐さん!
酒場のシーンになるたびに、なめるように画面を見た日々を思い出しました
ナットが泥沼なので、鳥の包容力には癒されたよ……
51風と木の名無しさん:2006/07/02(日) 10:09:15 ID:h9LxyUOI
 ____________
 | __________  | イ反面ライ夕"ー隆起の(一応)朝倉×北丘
 | |                | | ネタ。ネタなので深く突っ込まないで欲しい。
 | | |>PLAY.       | |
 | |                | |            ノノノノ  
 | |                | |     ピッ    (∈゚ )
 | |                | |       ◇⊂(y> と) 
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |         /  i''i ̄/
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |         ( (_|| ̄|

愉快な登場人物紹介

  )))(((      WWWW
 ( ・∀・)      ミ `∀´ミ

北丘  朝倉

ちなみに元ネタ→
安すぎたかも のガイドライン(DAT落ち)
ttp://ex13.2ch.net/test/read.cgi/gline/1147170322/
グラフで比較するとそれほど差はないのガイドライン3
ttp://ex13.2ch.net/test/read.cgi/gline/1149780028/
521:2006/07/02(日) 10:09:49 ID:h9LxyUOI
  )))(((    「愛しすぎたかも」   
 ( ・∀・)   これは俺の朝倉に対する感想です。
脱獄犯と弁護士とか、ライダー同士とか、"禁断の愛"という
くくりでは考えてほしくないんです。
北丘修一というものは他にはないんですから。

例えば、激しく突き上げられたい時の朝倉とのセックスと、
優しく俺を包み込んでくれたい時の五郎ちゃんとのセックスを比べるのはナンセンスですよね?
これは極端な例ですが、まさにそういうことなのです。
それと同じこと。
532:2006/07/02(日) 10:10:42 ID:h9LxyUOI

という訳で、分かりやすくグラフにしてみた。
                〜〜〜
                〜〜〜
      |           ││
 60,000├           ││
      |           ││
 50,000├           ││
      |           ││
 40,000├           ││ 
      |           ││ 
 30,000├           ││ 
      |       ││ 
 20,000├       ││
      |      ││
 10,000├       ││
      |      ││
      └─────────
    俺の朝倉への愛  朝倉の俺への愛

驚くべき事に、ほとんど差は無い。
543:2006/07/02(日) 10:12:54 ID:h9LxyUOI
WWWW
ミ#`Д´ミ「嘘付け!殺すぞ!」
)))(((
( ・∀・)「うわっ、いきなり出てこないでよ」
WWWW
ミ#`Д´ミ「どこが差が無いだ!ありまくりじゃねーか!犯すぞ!」


     \\\
   (⌒\  WWWW                    
    \ ヽヽミ*`∀´ミ
     (mJ     ⌒\                     
      ノ ∩  / /                       
     (  | .| )))((( OKOK                  
  /\丿 | (    ) 朝倉待て!ときに落ち着けって!  
 (___へ_ノ ゝ__ノ  

554:2006/07/02(日) 10:15:47 ID:h9LxyUOI
〜〜〜〜暗転〜スレの前の方はその間ズレの直ったグラフでも見て時間を潰してください〜北丘より〜〜〜〜

                〜〜〜
                〜〜〜
      |           ││
 60,000├           ││
      |           ││
 50,000├           ││
      |           ││
 40,000├           ││ 
      |           ││ 
 30,000├           ││ 
      |          ││ 
 20,000├           ││
      |          ││
 10,000├       ││
      |       ││
      └─────────
    俺の朝倉への愛  朝倉の俺への愛
565:2006/07/02(日) 10:22:29 ID:h9LxyUOI
〜〜〜〜〜一時間経過〜〜〜〜〜〜〜

)))(((
( ・∀・)「まーたズレてる。わっ、ちょっと朝倉動かないでよ!お前が動くとグラフがズレるって!」

WWWW
ミ#`Д´ミ「単純にお前の腕が悪いせいだろうが!人のせいにするな!」

WWWW                    
ミ*`∀´ミ「お前結構まだ余裕あるんだからもうちょっと付き合え」

)))(((
( ・∀・)「えっ・・いやちょっと・・・グラフ直してから・・・」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜暗転〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
57風と木の名無しさん:2006/07/02(日) 10:23:03 ID:h9LxyUOI
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜今度こそ上手くいくといいなぁby北丘〜〜〜〜〜〜〜〜〜
                〜〜〜
                〜〜〜
      |           ││
 60,000├           ││
      |           ││
 50,000├           ││
      |           ││
 40,000├           ││ 
      |           ││ 
 30,000├           ││ 
      |          ││ 
 20,000├           ││
      |          ││
 10,000├       ││
      |       ││
      └─────────
    俺の朝倉への愛  朝倉の俺への愛



587:2006/07/02(日) 10:25:36 ID:h9LxyUOI
〜〜〜〜〜二時間経過〜〜〜〜〜〜〜
)))(((
( ・∀・)「じゃあ・・・グラフもう一個お前に見せてやるよ(←もうズレを直すのは止めたらしい」

WWWW
ミ `Д´ミ「・・・・頼んでねえ・・・(チッ・・・あんなに何度もイカせてやったのに・・・意外とタフだな・・・)」


                〜〜〜
                〜〜〜
      |           ││
 60,000├           ││
      |           ││
 50,000├           ││
      |           ││
 40,000├           ││ 
      |           ││ 
 30,000├           ││ 
      |          ││ 
 20,000├           ││
      |          ││
 10,000├        ││
      |       ││
      └─────────

俺の五郎ちゃんへの愛 五郎ちゃんの俺への愛
598:2006/07/02(日) 10:26:41 ID:h9LxyUOI
)))(((
( ・∀・)「どう?」

WWWW
ミ#`Д´ミ「どうも何もただのコピペじゃねぇか!」

)))(((
( ・∀・)「何よ、俺の五郎ちゃんへの愛と俺のお前への愛が同じぐらいだって言ってるのよ?何か不満?」

WWWW
ミ#`Д´ミ「同じも何もこれじゃあ比較できねぇだろうが!」

)))(((
( ・∀・)「え?あー悪い間違えた。こっちこっち」
609:2006/07/02(日) 10:27:42 ID:h9LxyUOI
                
  |          
 6├        
  |        
 5├        
  |        
 4├        
  |        
 3├        
  |      
 2├      
  |     
 1├     
  |     
  └─────────
俺の五郎ちゃんへの愛 俺の朝倉への愛

)))(((
( ・∀・)「驚くべき事に、ほとんど差は・・・ってオイ?何?ふて寝してるの?」

WWWW
ミ `Д´ミ(ツッコむ気も失せた)
61風と木の名無しさん:2006/07/02(日) 10:29:04 ID:h9LxyUOI


 ____________
 | __________  |      ズレすぎた・・・ズレすぎたーッ!!
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |            ノノノノ  
 | |                | |     ピッ    (∈゚ )
 | |                | |       ◇⊂(y> と) 
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |         /  i''i ̄/
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |         ( (_|| ̄|



全くどうでもいいネタに11レスも使ってスマソ。単純にグラフがやりたかっただけなんだ・・・・。
62風と木の名無しさん:2006/07/02(日) 10:37:49 ID:8Yp8wi43
>>42
姉さんGJ!!!!!
久し振りにファンブレやりたくなったよ!ありがとう!!
63計画橙青1:2006/07/02(日) 23:05:35 ID:xy73dW5+
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「暑ぅ〜…何これ〜…」
俺のベッドを占領して、ヒロツが大の字でくだを巻く。
「そういや今日、30度超えるらしいで」
「うわ〜…夏来たわぁ」
落ち着かない様子で何度も寝返りを打って、今度はうつぶせ。
そんな暑いとは思わんけどなぁ。
「名田気さぁん」
「んー」
「クーラーつけましょーよー」
妙に甘えた声でおねだり。
相変わらず気持ち悪いわ、こいつ。
「あかん、今はまだそんな暑くないやろ」
「……」
「あ、死んだ」
ガックリと枕に顔を埋めたまま、ピクリともしないヒロツ。
こういうヒロツを見るのも、結構好きだ。
「そんなショック受けんでもやなぁ…」
「……」
「…ヒロツ?」
太股をつついたり、何度呼び掛けてもさっぱり反応が無い。
「死んだ?寝た?」
「……」
「おい…」
顔を近付けて、そーっと覗きこんでみる。
すると…。
64計画橙青3:2006/07/02(日) 23:08:34 ID:xy73dW5+
「あれ?チューしないんすか」
「は?」
「すると思って、寝た振りしてたのに…」
今度はケタケタと、心底おかしそうに笑う。
あかん、暑さでヒロツがおかしくなってもーた。
「……やっぱりクーラーつけるわ」
「えー?」
「暑さでヒロツがアホになったみたいやから」
「…失礼な」
リモコンに手を伸ばし、クーラーをつける。
「ほら、これでえーやろ」
振り返ると、ヒロツはまたうつぶせで寝た振りをしていて。
「………」
「………」
「そんなに、チューして欲しいんかいな…」
「ぐー…」
「寝た振りしながら頷くな、ばかたれ!」
「あはははっ」




指を絡めれば、微かに上昇する2人の体温。
ひんやりとした心地よい空気の中、俺達はゆっくりと今夏最初のキスをした。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )お目汚しスマソでした。
65計画橙青2:2006/07/02(日) 23:11:29 ID:xy73dW5+
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・; )!一部抜かして投下してしまいました…1と3の間に追加です。


「わ!」
「……」
思わず声をあげてしまった。
あの怖い目が、バッチリ見開かれたまま俺を見つめていたから。
「起きてたんか…びっくりした…」
溜め息混じりに顔を離すと、ヒロツがくすくす笑い始めた。
66隆起の朝倉北丘1:2006/07/02(日) 23:49:08 ID:h9LxyUOI
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

北丘は目を開けた。開けても何も見えないのだが。
彼は自分がベッドかソファーか何かの上に寝ているらしいことに気付いた。
体を動かそうと試みてみたが全く動かなかった。
今や彼は死にかけていた。
一度は止める決意をしたとはいえ仮にも鏡の国の戦士である彼にとって布団の上で死ぬと言うのは甚だ不本意な事であった。
彼としては王者に瀕死の重傷を負わされた後カッコよく王者を道連れにするとか、そうでなければ王者の腕の中で消滅するとか、そういうカッコいい死に方がよかったのだ。

死ぬ間際に思い出すのは朝倉武の事ばかりである。
彼は朝倉武に責任があるのだ。


北丘修一は年収6000万円の弁護士である。
黒を白にするスーパー弁護士と半ば陰口を叩かれつつ、横領大好き、贅沢大好き、お金が大好き、人間の欲望が大好きな30歳である。

朝倉武は凶悪脱獄犯である。
13歳の時に家に火をつけ両親を殺し、その後は中学高校と進学するも問題を起こし退学、自動車工場に勤めるも問題を起こし退職、その後は犯罪人生まっしぐらの25歳である。
67隆起の朝倉北丘2:2006/07/02(日) 23:50:10 ID:h9LxyUOI
全く共通項の無さそうな二人には接点があった。
裁判の被告人と弁護士である。朝倉は「無罪にできる弁護士」というから北丘にした。北丘は「ヒマだったから」弁護を引き受けた。
結果は懲役10年であった。この結果を朝倉は逆恨みした。
朝倉の精神が異常であると訴えればもっと罪状を軽くする事もできたが朝倉はそれを拒んだ。
北丘は朝倉は明らかに精神がおかしい人間だと思ったが、依頼人の機嫌を損ねるのもよくないのでとりあえずその方向は主張しないで終わった。
地裁の判決が出て、北丘は朝倉の弁護士を降りた。
それで終わったと思った。
しかしその後、接点のあった二人には共通点が出来た。
同じライ夕"―だという事である。
北丘は既にライ夕"―であった。朝倉は脱獄して、ライ夕"―になった。
二人とも相手がライ夕"―である事はライ夕"―になった後始めて知った。
朝倉は北丘を追いかけた。単純に逆恨みの感情からである。
しかし北丘は強かった。
朝倉は今まで「イライラするから」と言う理由で人を殴ったり殺したりしてきた。
殴られるのは自分でもよかった。
要するに、誰でもよかったという事である。
しかしここで初めて朝倉は誰かに拘るという事を覚えた。
朝倉は北丘を追いかけた。特に何事も無く夏は過ぎた。
68隆起の朝倉北丘3:2006/07/02(日) 23:51:00 ID:h9LxyUOI
夏が終わって秋になり、朝倉は北丘のせいで逮捕され刑務所に入れられた
。ライ夕"―バトルでイライラの減っていた朝倉は再びイライラを覚えた。
間抜けな森元弁護士を罠に嵌め、朝倉は脱獄した。もう秋も深まっていた。
北丘は朝倉が脱獄したのを知り、ああ、またか、しつこいな、と思った。
北丘は朝倉が自分を追いかけてくるのは単純に逆恨みの感情からだと思っていた。しかしそうではなかった。

それは晩秋の事だった。
いつものように共鳴音に呼ばれて鏡の中に入り、そこで王者と出くわして戦いを挑まれ、9分ぐらい後に鏡から出てきた。
そこは埃っぽい倉庫である。北丘は疲れたのでその場に座り込んだ。
凶悪脱獄犯の前で座り込むなんて不用意な、と思われるかも知れないが、朝倉武というのはいつもイライラする、と言っている割に生身のライ夕"―を殴る事が無い。
殴るのは変身後のライ夕"―か、通りすがりの一般人である。
生身のライ夕"―の言動に腹を立てたときは相手では無くそこら辺の物を殴るのだ。
しかし今日の朝倉は普段の朝倉とは違っていた。
別に生身の北丘を殴ったわけではない。
ただ北丘に口付けをしてきただけである。

朝倉は座り込んでいる北丘の前にしゃがんで、口付けをした。
北丘が特に抵抗もしないでいると再び口付けをしてきた。
口を離した後朝倉は北丘をじっと見た。北丘の出方を伺っているようである。恐らくここで北丘が止めろと言えば朝倉は止めるのだろう。
そしてそれきり二度と北丘にこのような事はしてこないだろう。
それでいい筈である。その方がずっと北丘にとって望ましいはずである。
69隆起の朝倉北丘4:2006/07/02(日) 23:51:40 ID:h9LxyUOI
しかし北丘はそうしなかった。
単純な好奇心でもあったし、またそれ以外の感情もあった。

しばらくは朝倉にされるがままにしていたが、朝倉が北丘の上着を全部脱がせて砂だらけの床に倒そうとするのでそれを止めさせようとした。
しかし朝倉は情事の時には服を全て脱ぐもの、という妙な拘りがあるらしく従おうとしない。
しばらく押し問答を続けているうち北丘の視界の端に工事用の青いシートが写った。
あれを敷くなら何も無いよりはマシという物である。
無言で朝倉をその方向へ促した。

上から下まで脱がされた北丘は北丘の服をいちいち畳んでいる朝倉を見て、妙に几帳面なのを薄気味悪く思った。
しかも自分の服は全然畳んでないところからして、おそらく北丘は金持ちだから服が汚れたら困るだろう、という考えが根底にあるのだろう。
服が汚れるより俺の体の心配をして欲しい、と北丘は思った。
もう秋も終わりに差し掛かっているというのに何故倉庫内の固い床の上で全裸で情事をしなければならないのだろう。
もう自分は病気で免疫力が低下して風邪を引いたら命に関わるのだし、
大体服を着たままなら朝倉に襲われたとの言い訳も立たないではないが、
裸でしかも服が畳んで隅に積まれた状態で、襲われたんです、と言っても白々しい事この上ない。
行為自体は気持ちよかったが、痛かったのはシート越しに床に擦られた後頭部や背中である。
シートを敷いても痛いのにはかわりが無かった。
終わって服を着る北丘を、服を着ていない朝倉がニヤニヤしながら見つめている。
みっともないから早く着ろ、と促すと朝倉も服を着だした。
服を着て、丁寧に揃えてあった靴を履くと朝倉が口付けしようと顔を近づけてきた。
70隆起の朝倉北丘5:2006/07/02(日) 23:52:26 ID:h9LxyUOI
北丘が目を閉じようとすると北丘の携帯電話が鳴った。
五郎からである。朝倉が大変面白く無さそうな顔をした。
適当に言い訳をして電話を切ると、朝倉の顔が面白くないを通りこして無表情になっていた。
そして、今度から電話は切っとけ、と言った。北丘は、お前こそちゃんと風呂入れ、と言った。
そして北丘はその場を去った。それでその場は終わった。




□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )お目汚しスマソ
71風と木の名無しさん:2006/07/03(月) 00:12:37 ID:oSY2kyHt
>>63
GJ!
アフォになってる青に萌えますた…(*´Д`)ハァハァ
72風と木の名無しさん:2006/07/03(月) 01:58:56 ID:aCllg/M9
>>63
姐さんのおかげでめっきり最近橙青萌えだyo!
青かわいいなぁこんちくしょう(;´Д`)ハァハァ
73風と木の名無しさん:2006/07/03(月) 01:59:02 ID:lbkLqn1o

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |   週間日曜で打ちk連載してたアイムドーシローの桐生兄弟
                    |  
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  エロスどころかラブすらほとんど無いよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧  <どこが801?って聞かれるとちょっと困るよ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚А゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
741/4:2006/07/03(月) 01:59:50 ID:lbkLqn1o
――幼い、というよりも、まだほんの赤ん坊。
少年だった頃の桐生玲一にとって、弟とはそういう存在で、そういう記憶しかない存在だった。
無理もない、弟はわずか三歳にしてかれの目の前からいなくなってしまったのだから。玲一が小学校に上がった
ばかりの頃のことだった。
ついでに言えばそのとき父も一緒にいなくなってしまったのだが、それは結構どうでもよかった。
弟がいなくなったことが、幼い玲一にはたまらなく寂しかった。

そして、それから十二年。時が経つというのは速いものである。
母と二人で支えあいながら、平凡ではあるがそれなりに幸せに過ごしてきた。母と二人で十二年間だから、玲一が
マザコンの気を持ってしまっても何の不思議もない。……ないよね?
まあ、祖霊輪友覚。いや、それはともかく、だ。
十二年間続いてきた平和は、ある日、一人の少年によってあっさりと打ち砕かれた。
桐生道士朗。
かれは正真正銘、玲一の弟である。

(……それがコレだ)
玲一はリビングのソファで眠りこける弟の姿を雑誌越しにちらりと見て、これ以上ない程大げさにため息を吐き出した。
かれの目線の先。そこには武士がいた。ザ・ラストサムライだ。
洋風の部屋にその姿はとてつもなくそぐわない。そぐわないを通り越して、いっそシュールさすら覚える。
しかしそれは、それこそが道士朗である。
何をどこでどう間違えばこんな風に育つのか、玲一は遠いアメリカの空の下にいるであろう父を小一時間と言わず
問いただしてみたい欲求にかられた。
いや、分かっていたのだ始めから。アメリカの奥地で道士朗が見つかったと知ったときから、いや、変わり者というか
ほとんど変人の父に道士朗が連れ去られたときから。
だがそれでも。
(チガーウ! 俺が欲しかった弟はこんなんじゃないんだ!)
チガウのである。納得がいかないのである。
752/4:2006/07/03(月) 02:02:00 ID:lbkLqn1o
弟。
おとうと。
brother。
玲一のなかの「弟」像は、なんと言うかこう、守ってあげたい的な何かであった。ソーユードントハフトゥウォーリー的な
存在なのである。
公園で遊びに行った帰りに転んで泣き出した弟をおぶってやってみたり、おやつのケーキの大きさでケンカをして最終的には
自分の分を少し分けてやってみたり、いじめっ子のガキ大将に追いかけられた弟を背中に隠して守ってやってみたり……。
いや、そこまでベタでなくてもいい。とにかく玲一にとって、弟のイメージとはそういう感じなのだ。
数少ない幼少時代の弟の記憶を、玲一は何となく思い起こす。
それはまだ道士朗が生まれたばかりの頃のことだ。
母の腕に抱かれて眠る道士朗の小さな手を、玲一はそうっとつつく。柔らかな手。
「道ちゃんが大きくなるまでは、僕がちゃんと守ってやるんだ」
もちろんママのこともね、と言って玲一はあどけないながらも兄の雰囲気をたたえた顔に満面の笑みを浮かべる。
母は乳飲み子の道士朗を胸に抱きながら、「アラアラ頼もしいお兄ちゃんねえ」と言って笑うのだ。
かわいい弟。泣き出してもケンカしてもいじめられてても、守ってやるべき存在の弟。
玲一だって、何も大学生にもなって、幼き日に描いたようなブラザーライフを送りたいわけではない。
第一、十年以上も離れて暮らしてきたのだから、世間様の兄弟みたいに仲良くなんてのも無理なのは分かっているのだ。
だけど。でも。
(もっと普通の弟がいいんだー!!)
普通。
その言葉のなんと魅力的なことか。表立った波風を立てることなく二十年ほどの人生を送ってきて、これほど「普通」に
憧れたことはない。
十二年も別々に育ってきた時点で大分普通とはかけ離れていることはまあこの際棚に上げておく。そのことに関して
道士朗に罪はない。悪いのは全てバカ親父だ。
それでも――それでもせめて道士朗が普通の少年として育っていてくれれば!
玲一はこみ上げてくるやるせなさをかみ締めつつ、どうでもいい妄想のために頭を働かせる。
763/4:2006/07/03(月) 02:02:58 ID:lbkLqn1o
それはこんな兄弟図だ。
再開してすぐ、一緒に暮らし始めたばかりの頃はやはり気まずい空気ばかりを感じる。挨拶一つに戸惑ってみたり、
母と兄弟の三人で食事を取ることに妙に緊張してみたり、そんなこともあるだろう。それでも普通の弟なら、そのうち次第に
打ち解けて、離れていた間のお互いのことを話し合ったり、高校での勉強を教えてやったり、好きなテレビ番組のことで
盛り上がってみたり、そしてそうこうしていくうちに「兄貴」と呼ぶ弟の声から少しずつ緊張や恥ずかしさが取れていく――。

が。現実は武士である。着物に袴に髷を結った、武士である。
まさか弟から兄者と呼ばれる日がこようとは思いもしなかった。それ以外にも母上だし拙者だしござるだし!
礼儀正しいのは認めよう。だがそれを時代が求めているかといえばそれはもう思いっきりノーだ。ナッスィンだ。
武士としていくら正しい姿だろうが、常識から見るとただの変な人である。
おまけに武士だけあって強い。どれくらい強いかと言うと、般若強い。ゴリラは飛ばすし、山奥から岩を抱えて家まで走るし、
斧はぶん投げるし。
実は玲一のあずかり知らないところではもっとアレな感じなのだが、ミスター"や"だってぶっ飛ばしちゃうくらいアレな
感じなのだが、それはまあ玲一のあずかり知らないところの話である。
玲一の脳裏に、幼かった自分の言葉がよみがえった。「僕が道ちゃんを守ってやるんだー」とかナントカ。何かそんなことを
言った。確かに言った。
――嗚呼、一体こいつの何を何から守れというのか。
守るどころか、文字通り向かうところ敵なしではないか。むしろ自分が守ってもらいたい。具体的に何から?と聞かれても
特に何も思い当たらないけど。

そして話を元に戻そう。
その問題の武士は、かれにしてはかなり珍しいことに、リビングのソファで眠りこけている。五十九行くらい前にも書いたけど。
思い悩む兄のことなど無視して、いい気なものである。
全くもう本当に、道士朗がやってきてからいらん悩みが絶賛急増中だ。
まともな高校は勝手に辞めるし不良高校に入るし、庭に露天風呂を作ろうとするし、斧は木を割る道具だし、ペットはシロだし!
774/4:2006/07/03(月) 02:04:06 ID:lbkLqn1o

にしても、道士朗クンは本当によく眠っていた。

……あれ。こんな姿を見るのは一緒に暮らして数ヶ月、初めてのことじゃないだろうか。
そんな事実に気づいて、玲一はもうほとんど見てもいない雑誌を置いて、つと弟の寝顔をじっくり拝もうと腰を上げた。
爆睡である。
いつも一文字に引き締められた口元はだらしなく半開きになっているし、無駄に眼光鋭い瞳も今はまぶたの下だ。
触ったら起きるかなと思いながらそっと髷を解いた髪を撫ぜてみたら、意外なことに道士朗が目を覚ます気配は相変わらず
皆無だった。耳をすませてみれば、小さくいびきまで掻いている。
その様子は何だか、どこにでもいる普通の弟のようだ。
こうして眠っていれば意外とかわいいかも――と思いかけて、玲一はすんでのところでそれを否定した。
(イヤない。絶対ない。それだけはない。マザコンの上にブラコンはない。そもそも俺はマザコンじゃないママ思いのいい息子なんだ)
とりあえず最後のは関係ない。

弟の観察を続けるうちに、玲一はふと、あちこちかさぶたのできた道士朗の拳に目を留めた。
そう言えば、最近やけに生傷が絶えなくなった。
友人の健介殿クンの話では、道士朗は随分とやんちゃな学校生活を送っているらしい。まあ不良の掃き溜めと称される
高校なのだから仕方ない、と言うかそれが当たり前なのだろう。おまけにこの性格だ。ワルとの衝突なんて日常茶飯事に違いない。
玲一は改めて軽くいびきを立てる道士朗を覗き込んだ。
袂からのぞく腕には擦り傷やら青あざがあちこちについていた。見えやしないがどうせ着物の下も同じような感じなんだろう。
よく見れば顔にもあざがいくつか散らばっていて、結構ひどいもんである。

――道ちゃんのことは、僕がちゃんと守ってやるんだ。

あーあ仕方ないなとため息混じりに呟いて、兄は救急箱を取りに二階の寝室へと向かうことにした。
78風と木の名無しさん:2006/07/03(月) 02:05:22 ID:lbkLqn1o

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 長いのに中身スポンジだコレ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  て言うか需要あるのか?コレ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
79風と木の名無しさん:2006/07/03(月) 03:10:33 ID:HRSr0Ioc

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  棚part14<ケース1>の蛇足的続き
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  エロしかないよ…
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ヒサシブリノトウカデキンチョウ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

※書く時に名前がないと都合が悪かったので、
企画部。髪の色はこげ茶色。→戸川
営業部。清潔そうな黒い短めの髪→菊池
って名前をつけました
801/6:2006/07/03(月) 03:11:11 ID:HRSr0Ioc


「…じゃあ、こっち…向いて」
「はーい」
くつろげられたジーンズの間、下着をおそるおそるずり下げると、目の前に昂った戸川自身があらわれた。
戸川によれば、これをこんな状態にさせたのは他でもない自分なのだという。
菊池は冗談だと思いたかったが、こうやって目のあたりにしてしまった以上、それは本当のことなんだろうと思った。
「…っ」
ついに菊池は覚悟を決めた。
そっと手を伸ばし、戸川自身を握りしめた。軽く上下に擦りあげると、戸川が小さく声を洩らした。
「…キモチい?戸川」
「…うん、いい…、自分でやるよりクる」
「そ?」
菊池はその様子に少し気分がよくなって、さらに手を動かした。
テクニックには自他共に認めるくらいの自信があった。最も、それが男にも通用するものなのかはわからない。
しかし、動きに合わせて、少しずつ握りこんだものが硬く大きくなってきたのは確かだ。
こんなことを友人と、しかもこの戸川とすることになるなんて、菊池は今まで思ってもみなかった。
戸川とは高校時代からのつきあいだし、仲間内でそういう性的な話題が出ることもあったが、
そういうとき、戸川はどちらかというとあまり盛り上がらず淡白な反応だったからだ。
「…ッ、」
戸川が息を詰まらせた。
視線を上げると、快感に耐えるように眉根をよせた戸川と目が合った。
菊池は、普段はあまり感情を表に出さない戸川を自分がこんな風にさせているという事実に快びを感じた。
ふと、これを口に含んだらどうなるのだろう、と思い立った。
手だけでこんなになっているのなら、口でしたらもっと気持ちよくなってくれるかもしれない
――もっと自分の見たことのない戸川の表情が見られるかもしれない。
菊池はじっと手の中で脈打つモノを見つめた。
先ほどよりも張りつめて大きくなったそれは、先走りで濡れて、てらてらといやらしく光っている。
812/6:2006/07/03(月) 03:11:45 ID:HRSr0Ioc
こんなことをしたら本気で変態だ――普段ならそうやって理性が働くのだろうが、
すでに若干興奮した脳には、目先の好奇心を抑えることが出来なかった。
菊池はギュ、と目を瞑って、手に持った戸川自身を口に含んだ。
「な…!え、おい、菊池?」
戸川が驚いた声をあげた。
口の中に苦みが広がり、菊池は思わず顔をしかめた。
「ん…」
くちゅ、と音を立てて吸うと、戸川のものがビクリと震えて質量が増した。
舌先にダイレクトに伝わるその感触に、菊池はますます嬉しくなった。
ドクドクと心臓が高鳴るのが自分でもわかる。
まるで何かに追い立てられているかのように性急に、菊池は夢中で戸川自身を貪った。
「ん…ふ、ン、ん」
ピチャとかチュクとか、わざと煽るように音をたてながら何回も口内に出し入れするうち、
いつの間にか菊池はその行為自体に快感を感じるようになっていた。
口に含んだ先が自分の上顎の粘膜を突くたびに、身体中に痺れるようなむず痒い感覚が走る。
舌を絡めれば、戸川のものと自分の舌とが摩擦して、とろけるような快楽を菊池に与えた。
静まりかえった部屋に、卑猥な水音と菊池の鼻にかかったような声が響く。
自分がどれだけ恥ずかしいことをしているかも忘れて行為に没頭していると、突然菊池の下半身に強烈な刺激が走った。
「!ッは、な、なに…!」
口を放して慌てて見ると、戸川の足が、スウェットの上から菊池自身を押さえつけていた。
「勃起してる」
戸川がにやりと笑った。
「俺も変態だけどさ、自分から男のを銜えて夢中でしゃぶって、こんな風に勃てちゃうなんて、菊池君もよっぽどの変態だね?」
ぐりぐりと円を描くように布ごしに戸川の足が菊池の昂ったものを刺激した。
「や、やめ…ろよ、」
「やめないよ。だって菊池、気持ちよさそうだもん」
どうせだから、もっと二人で気持ちよくなろ?――そう言って戸川は両足を使って器用に菊池のスウェットを下着ごと下ろした。
自身がぷる、と外気に晒されて、菊池はその温度差に息を呑んだ。
823/6:2006/07/03(月) 03:12:27 ID:HRSr0Ioc
「足でイけるかな?」
戸川はいかにも楽しそうに、裸足の指で、つ、と菊池の先の割れ目をなぞった。
「っ…ッア!」
菊池の背中がのけぞった。
「やだ、ちょ、うわ、やめろって!やだよ、マジやめろ…!」
「やめてやめてって、言われると俺、すっげー萌え…じゃなくて、興奮しちゃうんだよね〜」
右足で先端を押さえつけ、左足で棒のところを擦る。
足の裏の皮膚は硬くかさかさしていて、ただ動かすだけでひっかくような強い刺激を菊池に与えた。
「あ…あ…あ…」
興奮した身体はひどく敏感だった。
開きっぱなしになった口からは掠れた喘ぎが洩れ出て、快楽だけが脳を支配した。
「菊池、ねえ、気持ちいい?」
「うん…、きもち…い」
「それじゃ、もっとしたげるね」
そう言って戸川は、突然菊池の身体を抱えあげた。
「え、ちょ…おい!」
「やりやすい体勢にするだけだから。おとなしくしなさーい」
我に返って暴れだした菊池を諭すように戸川が言った。さっきまで床に座り込んでいた菊池の身体は戸川が座っていたソファーに沈められ、
その上に戸川が乗り上げると、馬乗りになった戸川に高い位置から見下ろされた。
自分の立場がすごく低くなったような気がして、菊池は気分が悪くなった。
「シックスナイン」
にっこりと笑ってそう言うと戸川は身体を翻していきなり菊池のものを銜え、じゅ、という音をたてて強く吸った。
「ヒッ」
思わず高い声が出た。菊池は慌てて口を押さえた。
「エロい声」
戸川がくすくすと笑う声が下半身の方から聞こえ、羞恥と怒りで顔が赤くなるのを感じた。
「…どっちが先にいかせられるか、勝負!しろ!」
「へえ、俺と?菊池が?」
俺は上手いよ、大丈夫なの?と余裕の表情の戸川に、菊池は更に苛立ちを感じた。
「負けたら罰ゲームだかんな!」
イライラしたままそう吐き捨て、再び戸川自身を口に含んだ。
ぴくりと戸川が反応して、菊池はようやく対等の立場になれた、と安心した。
834/6:2006/07/03(月) 03:13:06 ID:HRSr0Ioc
「ん…フ、んん、ん」
くびれや割れ目を舌でなぞって、口に含みきれない根本は手を使った。
戸川の熱いそれが口内を侵すたびに気が遠くなるような感覚がする。
絶対に勝ちたい、負けたくない――その一心で菊池は必死に戸川をしゃぶった。


「…、いッ?!!」


何が起こったのかわからなかった。突然ありえない場所にぬるりという感触がして、
次の瞬間ものすごい圧迫感と激痛が走った。
「お、おま、なにして…!」
「いいから黙って」
「い、痛い、痛い、いやだ!とが、や、戸川、オイ、あ、あ、やめ…ああ!」
暴れながら抵抗して、いやだと拒絶の言葉を言うたび、目前で握り締めている戸川のものが硬く大きくなるのがわかった。
抵抗されると燃えるというのは本当らしい。この男はなんて変態なんだろう、と菊池は真剣に思った。
「――ッ、気持ち悪い…」
下から臓器を圧迫されるような感覚に吐き気を感じた。
挿れられているのは戸川の指のようだった。ぐりぐりと容赦なく掻き回され、意識が遠くなるような感覚さえした。
抵抗しても全て戸川が押さえつけてしまって意味が無いし、
暴れると締め付けてしまって更に気持ち悪くなるだけなので、菊池は戸川を口淫する行為に専念することにした。
それにしても、なぜ突然あんなことをしたんだろう――一連の行為のせいで、いまや菊池のものはすっかり萎えきってしまっていた。
勝負はもうどうでもいいのだろうか。しかし、勝負がどうでもいいのだとしても、こんなことをする意図がわからない。

中でうごめく指の感触に顔をしかめながら、菊池は更に戸川を追い詰めていった。
そろそろ限界なんじゃないかな、と菊池は思った。
戸川のものはこれ以上大きくなりようがないというほどに張りつめ、今にも欲望を吐き出しそうに見えた。
845/6:2006/07/03(月) 03:13:41 ID:HRSr0Ioc
ラストスパートをかけようと、その昂りを菊池が深く銜え込んだ瞬間、戸川の指が内部のある一箇所をグイ、と突いた。

「ン、んン!!」
突然、菊池は強い吐精感に襲われた。
菊池のその反応を見て、戸川はそこだけを重点的に攻めた。
周りを軽く擦られたり、ぎゅう、と強く押さえつけられたりするたび、菊池の身体はビクビクと跳ねたり、ふるふる悶えたり、面白いほどに反応した。
「え、な、おかし…あ、あ」
「前立腺っていうの…知ってた?ここをこうすると、気持ちいい、って」
「そんな、は、…反、則…だ…!」
「そ?前だけでイかせなきゃダメなんて、言われてないし…」
ホラ、気持ちいいでしょ?と至極嬉しそうな声で訊ねながら、戸川は更に中を掻き回した。
一体なにで濡らしたのか、戸川が指を動かすたびに、たぶん液なんか出るはずのない場所からぐちょぐちょと音がする。
「あ、てめッ、…ウ、あ、あ、ン、あ、ア、あ」
もう戸川を口淫する余裕なんてなく、突かれる衝動にただ喘ぐだけだった。
心なしか、指の数も増えているような気がする。そしてやはり、菊池がいやだと言うたびに戸川のものは反応した。
喘ぐ、なんてこと、普段女の子とセックスしてる時にはほとんどない。
出るとしたら「クッ」とか、そういう呻くような声だけで、まさか自分が快感でこんな風になってしまうなんて思っていなかった。
上ずってファルセットのかかった、女みたいな声が出てしまう。こんな声が自分から出ているのが気持ち悪かった。
それを出させているのが戸川だということに嫌悪感が増した。
もう何もしていないのに、喘げば喘ぐほど手に握った戸川のものが恐ろしいほどにどんどん昂ぶっていくのも、さらに気持ちが悪かった。

しかしどういうわけだか、どんなに気持ち悪いと思ったところで、菊池のものが萎えることはなかった。
萎えるどころか、戸川の指が擦れるごとに、どんどんと限界が近づいているような気がした。
突っ込まれているその場所は、空気が入ってしまったのか、戸川が指を出し入れするたびにぐぽぐぽと卑猥な音をあげている。
856/6:2006/07/03(月) 03:14:13 ID:HRSr0Ioc
もうやめてくれと、言おうとしたところで、戸川が今まで触れていなかった菊池のものを口に銜えた。
舌でぴちゃぴちゃと先端を舐められ、口唇で搾り取るような動きをされて、菊池はもう耐えられなくなった。
「ア、あ、も、やだ…い、イッ…!あ、ああ、あああああ、あ、あ…ッ!」
恥も全て忘れてあられもない声を上げながら、ビクビクと痙攣するように身体を震わせて、
菊池は戸川の口内に精液を吐き出した。
戸川がじゅる、と音を立てて飲み込むのがわかった。

「の、のむな…ああ、ン!」

結局、最後の最後まで嫌悪感は消えなかった。





「菊池の負け〜」
射精後でぐったりしている菊池の身体に、悪魔のような言葉が突き刺さった。
いつの間にかこちらを向いていた戸川の顔は、今までに見たことがないほどの眩い笑みを浮かべている。
違うシチュエーションで見ればこちらもつられて笑顔になるところだが、この状況でのこの顔は、眉間のしわが深まるだけだった。
「ふざけてる。こんなの、勝負になんねぇって」
「そんなわけないよ、条件は『先にイかせたほうが勝ち』なんだもん。残念だったね、頭に『フェラチオで』とか、つけておけばよかったね〜」
「…むかつく…」
「さて、罰ゲームは何にしようかな?」
「…!!」
血の気がサーッと引いていくのがわかった。
もう、二度と、こんなことするもんか…と、菊池は誓った。
86風と木の名無しさん:2006/07/03(月) 03:14:47 ID:HRSr0Ioc
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ こんな続きですんません…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
87風と木の名無しさん:2006/07/03(月) 05:21:32 ID:vkB+WroU
>>79
うわー!うわー!なんだこの萌え!!
罰ゲーム編も待ってます(;´Д`)ハァハァ
88風と木の名無しさん:2006/07/03(月) 05:30:10 ID:TG/bTYRf
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

・龍玉スレ>>834 姐さんのレスより
・トラ×17
・後味の悪い強姦モノ
891:2006/07/03(月) 05:32:07 ID:TG/bTYRf
「久し振りだな、人造人間」

振り返ると目の前に見覚えのある青年が立っていた。
掛けられた言葉に再会を喜ぶ響きは無い。切れ上がった青い目には冷たい戦意が宿っている。
17/号は即座に思い出す。たしか起動させられてすぐ、ルートの上でやり合った孫/悟/空の仲間の一人ではないか。
どういう訳か彼のデータだけがドクター/ゲロにインプットされた情報にも無く、全くの正体不明であった。
名も分からない。しかし何故ここに。
偶然か、あるいは自分が今の時期、気候の良いこのエリアを放浪している事を知り合いにでも訊いて来たのかも知れない。
なにしろ姉の18/号は、彼の仲間と恋仲になり一緒に暮らしているのだ。
それもまた17/号には大して関心のある話ではなかったが。

突然、青年の周囲で空気が弾けた。光が青年の体を包み、金色のエネルギーで髪が逆立つ。
彼らの戦闘前の儀式のようなものらしい。この状態になると戦闘能力が大幅に跳ね上がる。
しかし、それも17/号の前には大して意味を為さないものの筈だった。
「何の用かと思えば、またやられに来たってワケか」
かなり派手な事になってしまうだろうが、幸いここは辺鄙な森林地帯だ。久々に思う存分やれる。
剣呑な相手の態度に皮肉な笑みを浮かべて、攻撃の姿勢を取ろうとした瞬間、17/号の体は青年の痛烈な一撃を受け地に伏した。

17/号は何も知らなかった。青年が未来から来た事を。その目的が人造人間の破壊である事を。
既に異なる未来の世界で、青年がもう一人の自分と姉とを抹殺して来た事を。
902:2006/07/03(月) 05:32:51 ID:TG/bTYRf
トラン/クスが平和になった未来から、現在の世界にやって来たのは2日前のことだ。
C.Cで若い母と幼い自分、そして父に顔見せした後で南の海域にある島に向かった。
悟/空の師である老人と、そこに集った仲間たちは彼を歓迎し、喜びを共にした。
話は尽きず、宴は終わりが無いかのように続いた。しかし彼の胸には徐々に、言葉に出来ない寂寥感が広がっていた。
彼を助け、仲間として迎え入れ、今はその帰還を自分の事のように喜んでくれる彼らは、トラン/クスの世界では既に「居なくなってしまった」

人達なのだ。
夢も、志も半ばに惨たらしく殺されたのだと、かつての師匠から聞いた。その師も今は亡い。

こんなにも素晴らしい人達があの、双子の悪魔のせいで――!

知らずトラン/クスはクリ/リンの傍に居る18/号から必死に目を逸らせていた。
今、あの片割れと同じ顔を見れば、彼女に対して何か酷い言葉でも浴びせかねない。
むしろ言葉だけで済むとは思えなかった。
「トラン/クスさん、顔色が悪いですよ。疲れているんですか?」
師の面影を持った少年が気遣ってくれる。
しかしトラン/クス彼が18/号に近付いて行くのを見て、危うく叫び声を上げそうになった。
「安っぽいベッドで良けりゃ、空いてるけど?」
悟/飯の言葉を聞いた18/号は、建物の二階を指差した。心配してくれているのだろう。
優しい人だ。彼女らはあの二人とは別人なのだ。頭では分かっている。しかし、理性と感情とは別のところにあるものだ。
これ以上ここに居るとおかしくなってしまう。トラン/クスは立ち上がった。
「17/号の居場所を知りませんか?心当たりだけでも」
怪訝そうな顔で自分を見るこの女性を、傷付けたくはなかった。
913:2006/07/03(月) 05:33:29 ID:TG/bTYRf
殴った感触が恐ろしく似ている、とトラン/クスは思った。
パワーこそ自分の未来の17/号より高いが、声も戦いの構えも全く同じと言って良い。
ある意味では同一人物なのだから当然のことだ。
「ふん、そうこなきゃ面白くない!」
倒れた相手が一瞬で起き上がり飛び掛って来た。
胴にまともに入れた筈なのに、軽薄な顔に笑みさえ浮かべている。
人造人間には痛覚が無い。恐らくは疲労や消耗も――だから他人の痛みを理解せず非道を繰り返すのだ。
憎悪と怒りが鮮やかに脳裏に蘇る。彼を殺した時の手応えも。
「感覚が欠落しているのも良し悪しだな、今のオレの力が分からないのか?」
飛んできた拳の手首を掴んで捻り上げる。相手を再び地面に押し付けると動きを封じた。
恐らく自分は馬鹿な事をしているのだろう。理性が頭の隅でしきりにやめろと叫んでいる。
それが逆に興奮した神経を苛立たせた。
「貴様ッ、雑魚のくせに!!」
腕の下で黒い髪が暴れる。トラン/クスはその耳元に唇を寄せた。
「これでもまだ理解できないと言うなら、教えてやるよ」
この相手に今の己の立場と、蹂躙される苦しみを実感させてやる。
ついでに自分のこの、異常な昂ぶりを鎮められれば言う事はない。
取り返しの付かない事をしようとしたいる、という感覚はあった。ただ全ての事がこの状況には抑止力を持たないだけだ。
陵辱の最も効果的な方法は、荒んだ世界が教えてくれた。
自分にそちら方面の知識は乏しいが、手荒いくらいで丁度良いだろう。
常ならば信じられないような事を考えながら、トラ/ンクスは相手の体に覆い被さった。
抵抗を続けていた17/号の体が、ぎくりと強張ったのが分かった。
924:2006/07/03(月) 05:34:17 ID:TG/bTYRf
「あ……かっ!」
髪が地面に付いて土が絡むのがたまらなく不快だ。暴れる度に関節を無理な方向に固められ、
17/号は痛みではなく、その圧倒的な力に声を上げた。
見たところ以前と大して変わらない、この男のどこにこんな力が隠されていたというのか。
それ以上にこの状況は何だ。組み敷かれ服は破り取られ、まるで。
「何のマネだ変態野郎、冗談にしちゃ悪趣味だぜ?」
吊り上げた口元に容赦なく拳が叩き込まれた。
「大人しくする事だ。オレはお前を破壊してきたばかりなんだぞ」
「何の話だ?」
「未来の話さ」
なるほどヤク中か頭の病気か、と血の味を噛みながら思った時、相手とまともに目が合った。
それが伝えてくる憎悪の深さに、17/号は初めてうすら寒いものを感じた。
映っていたものがありふれた情欲や嗜虐心ならば、彼もさほどは動揺しなかったろう。しかしこの青年は何か違う。
総毛立った体に、青年の手が先程までとは異なる意味をもって触れてくる。背筋に怖気に似たものが走った。
「……ッ」
体が震える。唇を噛んで声を殺していると、青年はそれを恐怖によるものとでも思ったのだろう、再び口を開いた。
「壊しはしない。生きたまま思い知れ、悟/飯さんや皆の苦しみの千分の一でも……!」
やはりコイツは狂っていると17/号は思った。ドラッグや精神疾患などよりずっとタチの悪い何かに。
「離せっ!っ…は……」
無骨な指が筋肉の流れに沿って下腹部に至る。
破れたジーンズを剥がれ、中心をを捕えられて息が止まった。
935:2006/07/03(月) 05:42:56 ID:TG/bTYRf

青年の愛撫は拙いくせに執拗で、獣のように強姦された方がどれほどマシかと思った。
それならば与えられるのは屈辱だけで済んだ筈だ。
指を絡みつけられ上下させられれば、雄の器官は否応なく反応した。しかし半端な快感には嫌悪が先立つ。
下手くそが、と吐き捨てようとした途端、指を先端に食い込まされた。
「うっ…く…!」
零した液を確かめるように、亀頭をぐりぐりと弄られる。
悪態をつこうとした口からは悲鳴じみた声が上がった。
「性感が分かるのか。痛みは感じないくせに」
背後から冷たい声を浴びせられる。今や17/号は殆ど全裸で、這い蹲るように拘束されていた。
青年の意思ひとつが17/号を翻弄する。簡単に解放を許さない、拷問のような行為だ。
「うあぁっ!も……もう止めろッ…!」
中心をいたぶる手の動きが強くなる。たまらず上げた声に返事は無かった。
乱暴に扱かれる度に自身は濡れた音を立て、散々嬲り回された挙句に17/号は青年の手の中に吐精した。
「はっ、は……うぁッ!?」
呼吸を整える間もなく秘部に違和感を感じて、思わず後ずさろうとする。青年はそれを許さず片手で腰を捕え引き戻した。
精液に濡れたままの人差し指と中指が、付け根まで17/号の後孔に埋まっていた。
逃れようと空を蹴る度に内壁をがり、と掻かれる感覚がある。中で指を折り曲げられ、17/号は叫んだ。
体が軋む。苦痛も消耗も知らない筈の肉体が悲鳴を上げている。
痛覚ではなく無理矢理に与えられる快楽に、視界が霞み温いものが頬を伝った。
946:2006/07/03(月) 05:46:11 ID:TG/bTYRf
「あぁッ……ぁ…」
喘ぎに嗚咽めいた声が混じる。
膝を抱え上げられる事にも抵抗できず、17/号の体内は相手に押し入られるままに蹂躙された。
自らの意思に関係なく流した涙が、青年を煽ったことを17/号は知らない。
「妙な所まで精巧だな、俺には冒涜としか思えないが…」
相手の言葉を、17/号は殆ど理解出来なかった。そのまま力任せに揺さぶられ気が遠くなる。
一度達したまま触れられずにいる自身の先からは、再び透明な液が糸を引いて白い腹に流れ落ちた。
爪が空しく地面を掻く。無意識に助けを求めようとした声は、喉でつかえ音にならなかった。
改造前の記憶を無くしている17/号に、救いを求める先などあろう筈が無い。
自嘲する余裕もなく、久しく忘れていた暗い孤独が胸に迫り上がって来る。
「……18/号…」
もし、今呼べる名があるとすれば。
恐怖よりもっと絶望的な虚無感の中、手さぐりにその言葉を探す。
「姉…さ……っ…」
自分が口走った響きを、酷く懐かしいもののように感じた時、激しく最奥を突き上げられた。
「あっ……アアァッッ!」
張り詰めていた糸が切れるように、17/号は相手の腹に精を放つと同時に意識を手放した。

ほどなくトラン/クスも17/号の中で果てた。
むしろ彼自身が責め苦を受けていたかのような、重い動作で立ち上がり着衣を整える。
超化の光は既に失せ、表情には疲労の色が濃い。
倒れたままの人造人間の、まだ少年然とした身体には、衣服の残滓が絡み、抵抗の痕が痣や掻き傷になって残っている。
我ながら見事な暴力のシンボルだ。
その中で妙に目立つ横顔の黒い筋に、今更ながらに触れてみた。涙で泥になった土埃が指に付く。
恐らく二度と会う事も無いだろう彼が、最後に口にした言葉を、トラン/クスは苦い心中に思い返していた。
95風と木の名無しさん:2006/07/03(月) 05:48:43 ID:TG/bTYRf
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

どう見ても滑ってます。本当に(ry
96風と木の名無しさん:2006/07/03(月) 13:36:44 ID:dUKNa/fT
GJ!モエス
97風と木の名無しさん:2006/07/03(月) 13:57:14 ID:RbVnrD3B
>>73GJ!桐生兄弟大好きなので、萌えたー
98風と木の名無しさん:2006/07/03(月) 15:48:34 ID:/hg0FVS3


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  邪ぱん 川地×吾妻
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  某アカペラグループの曲をイメージしてるよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
991/2:2006/07/03(月) 15:50:14 ID:/hg0FVS3
「今日の関東地方、午後から雨が降るでしょう…」
カーステレオから聞こえてくる天気予報に河内は焦った。
「あっちゃー、雨降んのか…まいったわ、これから海行くのに」
「気にすんなよ、予報なんてはずれるかもしれねえじゃねえか」
河内と対照的に東は全く気にしていない。
「そうか、まあ、そうかも知れへんな」
東につられて河内もプラス思考になった。
今日、河内と東は海に行く予定だった。
店長からわざわざ車を借り、久しぶりの二人一緒の休日を満喫するつもりだ。

海はシーズン前だからか、それほど混んでいる訳ではなく快適な眺めだった。
「綺麗な海じゃなー、河内」
「ああ、ホンマやな。ほんなら、早速車ん中で着替えて泳ごか」
「おう!」

河内はのんびりと波の中を泳いでいた。
「ふあー、やっぱ涼しくて気持ちええな」
と、その時突然水しぶきが顔面に命中した。
「ンギャ!冷たっ」
「かーわち、油断大敵じゃよ♪」
「東…よくもやりおったな!!」
そのまま水のかけあいに突入した二人。
気が付くと時間は午後に差し掛かろうとしていた。
「あれ、雨降らないね」
「結局、予報はずれたな。東が言った通りになったわ」
1002/2:2006/07/03(月) 15:51:10 ID:/hg0FVS3
その後たくさん泳いで、帰る頃にはすっかり夜になってしまった。
帰りの道では渋滞が起きてしまい、なかなか前へ進む事が出来ない。
そんな二人を励ますかの様に、空中に光の花が咲いた。
「河内、何で急に花火が打ちあがったんじゃ?」
「今夜この近くの公園で花火大会があるらしい。この渋滞はそのせいやな」
「そっか……」
東は美しい花火を見上げた。
見上げていると、何だか花火が河内との楽しい思い出に思えてくる。
花火は永遠の物ではない。
いつかは消える花火の様に自分と河内も……
「…っ」
河内は驚いた。
急に東がポロポロと涙をこぼし始めたからだ。
「ど、どないしたんや、東」
「河内、俺たちずっと一緒にはいられないの…?」
東の問いかけに河内は困惑してしまった。
河内には、いずれ本店に行って父の夢を叶えたいという希望があったからだ。
「せやな、ワイはいつか本店に行きたいと思うとる。でもな、
時々会いに行くし、ワイの心にはいつもお前がおる。せやから……」
「うん…分かった。ねえ、じゃあ本店に行くまでの間はずっと一緒に居るんじゃよ」
そう言って東は河内に寄り添った。
花火が出来るだけ消えないでいて欲しいと祈りながら。
101風と木の名無しさん:2006/07/03(月) 15:52:44 ID:/hg0FVS3

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ムズガユイヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
102風と木の名無しさん:2006/07/03(月) 21:23:38 ID:P+BHHqN4
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ピ草ー映画『車達』で二番手→王者(本編終了後の話。ネタバレあり)
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  ちょっと小手調べにギャグ系を。二番手がかわいそうな話。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ガンガッテ、クルマデヤオルヨ!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
103『車達』二番手→王者1:2006/07/03(月) 21:26:32 ID:P+BHHqN4
 ピストン/カップから数日後。

 例えルーキーと王者・世紀の美談と讃えられても大怪我は大怪我。
キソグは直ちに病院へ放り込まれ、かつてのスポンサーだった『DINOCO』の細やかな治療と、愛妻の手厚い看病を受けていた。
 引退後の悠々自適の生活の第一歩にしてはひどく暇かつ退屈で、キソグは
広々とした専用ガレージの中で長々と溜息をついていた。
 妻は買い物があるとかで、先程出て行ってしまった。話し相手を無くして
いよいよ暇を持て余したチャンピオンは、退屈しのぎにカリフォルニアでの
ピストンカップについての記事に目を落としていた。

 が、そんな静寂も束の間。レーシングカー独特の鋭いエンジン音が近づいてきている。
「キーーーーング!!!!」
がっしゃああああんと派手な音を立てて、ガレージの戸が引き上げられた。
 そこにいるのは目に痛い鮮やかなライムグリーン。但し、外見を考えず
所狭しと張られたスポンサーのステッカーのせいで、遠目だと何となくくすんで見える。
「……何だ、チッ9。見舞いならもう間に合ってるぞ」
気だるげに言うと、ちらりとガレージの隅にきちんと整頓されてある高級
ガソリンやら何やらを目線で示す。
「ハッ! 誰がライバルの見舞いなんかするか!!」
もうライバルじゃあないんだが、とキソグは心中で呟いた。一応公式としては
チッ9がピストンカップ優勝者、新チャンピオンである。が、その人気は歴代
チャンピオン史上最低だとあまり趣味の宜しくない雑誌が書きたてていた。
「そうか、じゃあ煩いから出て行ってくれないか。お前の緑は妙に目に刺さる」
「うるっせぇ! ごたごた言う前にこれを見ろ!」
病室だという事はお構いなしに、いつも通りのテンションでがなるとチッ9は
乱暴にあるものを床に置いてキソグへと突きつけた。
104『車達』二番手→王者2:2006/07/03(月) 21:27:32 ID:P+BHHqN4
「これは何だ!?」
「ピストンカップのトロフィーだな」
「そうだ、オレがこれを持っているという事は、つまり!?」
「…………」
「つまり!?」
「………………」
「つまり、どういう事だ!?」
「……………………」
「――オレがピストンカップを制したって事だ!」
「だな。良かったなおめでとう、お前の走りはそりゃあもうエキセントリック
すぎて俺のフロントは未だデコボコだ」
「オレがピストンカップを制したという事は! キソグ!! お前は俺に負けたんだ!!」
「聞け」
「俺に負けたという事はキソグ!? オレはお前より速い!!」
「……。だろうな」
キソグはもう一度深い溜息をついた。
 どこまでも空気を読めない上に、自分がキソグのクラッシュの原因だとは
既に忘却の彼方にあるだろうGM車は、にんまりと口元を歪めてキソグを見つめた。
 たっぷり一分見つめられ、妻はまだ帰らないかとキソグが思い始めた頃、
チッ9・ヒックスは徐に口を開いた。

「オレに抱かれろキソグ!!」


キソグは、自分のバンパーを取り落としたと錯覚した。
「………………はあ?」
105『車達』二番手→王者3:2006/07/03(月) 21:28:49 ID:P+BHHqN4
〜〜回想(チッ9・ヒックス視点)〜〜

 あれはそう、オレがまだ超売れっ子新人ルーキーだった頃だ。その日も
オレは僅差でおまえの後ろに甘んじて、銀色のカップを貰って帰る所だった。
 お前はまだ独身で、カワイ子ちゃん達は俺の次にお前に夢中だった。
そんなお前がインタビューに答えてるのを、オレはたまたま……たまたまだぞ!!!! 見てたんだよ。テレビで。
インタビュアー(以下I)「キソグさん、****カップ優勝おめでとうございます!
今回も素晴らしい走りでしたね以下略〜〜〜〜ところでキソグさん。常に
クールで熱い走りを見せるあなたですが、最近の世間の関心はあなたの
パートナーについてなんです」
キソグ(以下お前)「パートナー?俺はまだ結婚する気はないな。今はまだ
一レーサーとしてあり続けたい。まだまだ未熟者だからな」
I「ああ、テレビの前のお嬢さん方の溜息が聞こえてきそうです! ではキソグさん、
あなたが伴侶にするとしたら、一体どんな方を選びますか?」
お前「思いの他直球で来るなあ……そうだな。俺より速い車になら、俺は俺の
全てを捧げよう――心も、身体も」
(以下省略)

『俺より速い車になら、俺は俺の全てを捧げよう――心も、身体も……も……
も……も…』(←エコー)

〜〜回想終了〜〜
106『車達』二番手→王者3 :2006/07/03(月) 21:30:19 ID:P+BHHqN4
「オレは決意した、何が何でもお前を抜き!! お前を王者の位から叩き出して
俺が王者となった暁には!! お前をオレの者にしようと!!」
叫ぶなりチッ9はカップに何かをバラバラと入れた。床の滑りを利用して
押し付けられたそれをいやいやながら覗き込むと、キラキラと光るタイヤの
ナットがワンセット分入っている。
「何だこれ」
「ギャラ三か月分のナットだ!! 特注品だぞ、見てみろ光に当てると青色に光るんだ!!」
キソグは優に三分は沈黙した後、先程より数倍だるそうに顔を上げた。
「チッ9、俺が妻帯者だってことをよもや忘れちゃいないだろうな?」
「ああうんざりするほどに! あのワゴンがお前の隣で微笑んでるのを
初めて見た日はオレの中で世界が半分終わったね! だがオレは確かに
お前より速くなった! あのワゴンよりな!!」
「……。チッ9」
「何だ!?」
「…………そのインタビューってのは一体いつの話だ」
「忘れた!!」
「…………」

 インタビューなぞ星の数ほど受けてきた。無論蔑ろにする気はなく、
出来得る限り誠心誠意答えてきたつもりだ。
 ……だが、正直言ってその内容までいちいち覚えてはいない。

「記憶にない」
「なーっ!? ふざけるな! あの言葉を信じてオレはお前のバックを追いかけてたんだぞ!?
それを事もあろうに忘れただぁ!?」
「あともう一つ」
「聞けよ!!」
「俺はもうレーサーじゃない。だから、タイヤは昨日履き替えた」
ちらり、とタイヤをチッ9に見せる。
107『車達』二番手→王者5(ミスった……orz):2006/07/03(月) 21:34:00 ID:P+BHHqN4
 レーシングカーが履くタイプではない。そのホイールはシンプル極まりない。
もうタイヤ交換を頻繁にする必要もないので、ホイール部分はしっかり
プラチナのカバーで覆われていた。
 つまり、どれだけナットが洒落ていても意味がない。
「これからは愛しのマーキュリーとのんびりドライブでも、と思ってな」
「……………………」
バンパーどころかネジ全部をふっ飛ばしそうな勢いで唖然としているチッ9の
脇から、するりと別の車が入ってきた。
 品のよいターコイズブルーのマーキュリーコロニーパークステーション
ワゴンは、『あなたただいま』と言いかけて闖入者に沈黙した。流石に自分の
夫のクラッシュ原因が目の前にいるのは気分が悪いらしく、憮然とした表情で夫の側へ寄っていく。
「あなた」
「もうじき帰るとさ。……ああマーク、マックィーンの特別番組って何時からだっけ?」
「あら、もうすぐよ」
「そうか、何チャンネルだっけ? ――チッ9」
「……何だよ」
「大変申し訳ないが、俺はマーキュリーに心底惚れているんでね……お前がロケットより早く走ろうとも、それだけは揺るがないね」
「いや、けどな、そいつは絶対俺より遅」
「速いぞ」
「え」
「断言しよう。マーキュリーは、俺より速い」
「…………ちくしょおおおおおおおおおおおっ!!!!」
夫の思わぬ熱っぽい言葉にフロントを染める妻と、それをいとおしげに眺めるキソグ。
そんな二人を後に、チッ9は男泣きしながら走り去って行った。
 ……その後で素晴らしいスピードで戻ってきて、カップとナットを回収していった。
108『車達』二番手→王者6 :2006/07/03(月) 21:38:22 ID:P+BHHqN4
 チッ9は知らない。
 お忍びで街に出たキソグが、たまたますれ違いざまにハンドルトラブルを
起こして道端のタイヤタワーを崩してしまい、あたふたとそれを片付ける
マーキュリーに出会った事を。
 そして、件のインタビューを覚えていた彼女にレースを持ちかけられ、
全身全霊を掛けた人生最高のノロノロ走行で彼女に『負けた』事を。


『では次のニュースです。ピストンカップ新チャンピオンであるチッ9・
ヒックスが深夜オフロードを爆走、カーブを曲がりきれずにサボテンの群生に
突っ込みました。目撃者の話によると、チッ9・ヒックスは何故か大泣きして
いたといい、一部の証言によりますと『キソグのバカヤロー』という絶叫を
耳にしたものもおり――――』
109風と木の名無しさん:2006/07/03(月) 21:39:27 ID:P+BHHqN4
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ゴメンネ、チック
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
ノマっぽい締めになってしまった……orzマーキュリーは王者夫人の名前(仮)です。
車全然詳しくないので怪しいところあったらスマソ
110風と木の名無しさん:2006/07/03(月) 21:42:27 ID:duJIjuzd
>>98
曲に反応してしまった…GJ!
111風と木の名無しさん:2006/07/04(火) 00:16:59 ID:iBzqa20t
>>79
ああ久しぶりに大ツボきた!
ありがとうありがとう。これで7月乗り切れるよ…!
112風と木の名無しさん:2006/07/04(火) 00:47:54 ID:SxR5IAJM

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

某コントパンクグループのベース×ボーカル。
グループ結成するずっと前の若い頃。

ハジメテノトウカデ カッテガツカメナイヨ
ミジカク!
113すぴりっつ 1/2:2006/07/04(火) 00:53:15 ID:SxR5IAJM
「仕事見つけた?」
「んーん」
悪怯れずに言う。可愛いけどムカツク。
「お前なぁ」
「だって雨凄いもん」
「もん、じゃねぇよ。雨、関係ねぇだろ職探しに」
現に俺は今、バイトから帰ってきたんだから。
「傘キライ」
「聞いたことねぇよ、傘嫌いなんて」
俺を無視してラジオをつける。この…。

こいつがボロアパートの俺の部屋に転がり込んできて、早3ヵ月。
俺は飲み屋のバイトで朝帰り。
接客出来ないくせに、接客業のバイトばかり見つけてくるこいつは今、無職。
今日は雨降りで外に出る気さえ無いらしい。
ぼんやりと、何も見てないような瞳で窓の外を眺めている。

…疲れた、とにかく。
「寝る」
「え、もう九時だよ」
「だからだよ。俺、寝てないんだから」
お前と違ってさぁ。
畳にごろりと寝転がる。狭い部屋。低い天井。
引っ越したい。でも、こいつが居るから。食費も馬鹿にならないし。
114すぴりっつ 2/2:2006/07/04(火) 00:55:50 ID:SxR5IAJM
「なぁ、僕、腹減ったんだけど」
…そらきた。
「…知らないよ」
「作ってよ。待ってたんだから」
「知らねぇよ!眠いの!寝かせろ!このやろ寝癖ボッサーでよくそんな事…」
「リュウイチぃ」
…ちきしょう。
滅多に呼ばないくせに、こんな時ばっかり名前で呼ぶ。タチが悪い、俺が弱いの知ってて呼ぶ。
もう…起き上がるのも面倒くせぇのに…
「…ったく…焼きうどんで良い?」
「ん…あとでいい」
「はぁ?」
顔が上下逆さに視界に入ってきた。額に唇の感触。
「べ…」
「雨、降ってるし。ラジオ、つけたし。あんまり声漏れないと思うんだよね」
「………」
「待ってたんだから」
猫なで声。
あぁ、タチ悪いの、こいつ。俺…寝てないのに。

‐‐‐‐‐‐‐

ラジオが12時を告げた。
俺は眠気と疲れと腰のダルさを押して、焼きうどん作り。
「まだぁ?」
あーぁ、くそ。足腰立たないくらいしたつもりなのに。元気ね、ホント。
「静かにしてなさい」
「うぃ」
味を付ければイイ匂いがする。店でも出せるよコレ。匂いにつられたのか、静かにしてるはずの奴がぺたぺた足音を立てて寄ってきた。
小さな頭が肩に寄り掛かってくる。わぁ、可愛いけどジャマ。
「ねぇ、ビールは?」
「昼からかよ」
115風と木の名無しさん:2006/07/04(火) 00:59:06 ID:SxR5IAJM
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )お目汚しスマソ

ワカルヒトガ イルノカドウカ ソレガモンダイダ
116風と木の名無しさん:2006/07/04(火) 01:44:22 ID:ARwKZPy4
>>112
GJ!!まさか棚でこのカプ拝めるとは。
後にこのリューイチくんが(ある意味)腐男子の神のようなお人になると思うと…モエス。
117風と木の名無しさん:2006/07/04(火) 06:26:07 ID:2vAqyzHG
>>66
元ネタ知らないけど文体萌v
118風と木の名無しさん:2006/07/04(火) 07:56:54 ID:NXY1g6N8
>>112
GJ!
ヌコ…ヌコカワユス
119風と木の名無しさん:2006/07/04(火) 09:42:28 ID:zyaWu63d
>>102
GJGJGJ!!
まさかこのネタをここで拝めるとは!
萌えさせていただきました!
王者、妙に受け受けしかったからマジ萌えですよ!

個人的にはこの他に
ルーキー→王者でもルーキー→伝説の王者でもイケル!
そして二番手は恋愛でも永遠に二番手キボンw
120風と木の名無しさん:2006/07/04(火) 11:48:30 ID:4FyhG/qU
>>112
超GJ!!!!!!
このカプ見れるとは。泣きそうですw
1211:2006/07/04(火) 23:13:50 ID:ofgxWb2r
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

イ反面ライ夕”ー隆起の連×慎二パラレル。深く突っ込むな。

あるところに百姓の青年がいた。名前を慎二と言った。
ある時慎二は怪我をしている紺色の蝙蝠を見つけて手当てをしてやった。
2,3日の後、蝙蝠は元気になって飛んでいった。
そんな事があった事をすっかり忘れた数日後の夜更け、慎二の戸を叩く者があった。
開けてみると全身黒尽くめの背の高い男が立っていた。
慎二は「あんた誰!?」と聞いた。
男は答えず、「何か困っている事は無いか」と慎二に聞いた。
慎二は「無い」と言った。
男は「お前に困っている事が無いと俺が困る」と言った。
慎二は別段困った事も無かったが自分に困りごとがないせいで目の前の男が困ると言うなら何かしてやらなければならないな、と思った。
慎二は考えた挙句「畑を耕すのが大変な事が困っている事かな」と言った。
それを聞くと男は慎二の畑のほうへ歩いていった。
慎二はその日は寝た。翌朝畑へ行ってみると確かに耕されていた。
慎二は「なんで真っ暗な夜に畑を耕せるんだろう」と思ったが、あまり追求せず、素直に喜んだ。
男は毎晩やってきてその度何かをして帰っていった。
畑仕事が無いときは食べられる草なり木の実なりを大量に持ってきてそれを慎二に渡して帰っていった。
最初は男が来るときだけ起きてそれ以外のときは寝ていた慎二だったが、段々一晩中起きているようになった。
そして男を家に上がらせてやるようになった。
1222:2006/07/04(火) 23:14:21 ID:ofgxWb2r
男は無愛想で慎二が話しかけても会話が続かないので慎二は一方的に話した。
男は黙ってそれを聞いていた。
「お前なんて言うの?」と聞くと男は「連だ」と言った。
連に「どっから来たの?」と聞くと連は「森の方だ」と答えた。
森の中に住んでいるのか、と思った。
慎二は連に食事を出してやるようになった。
最初は連は拒んでいたが、慎二が熱心に勧めるうち食べるようになった。
慎二は連の意図が全く分からなかったが、楽天的な性格なのであまり気にしなかった。慎二は連が来るのが楽しみになるようになっていた。
秋になり、米の収穫が終わったある月夜の晩、慎二は連に「礼をしたい」と言った。
連は「そんなものはいらない」と言った。
しかし慎二が熱心に「礼がしたい」と言うので連は思案顔になった。
暫くして連から返って来た返事は「好きだ」というものであった。
慎二が「ええ?」と聞き返すと連は渋い顔になって「俺が、お前を、好きだ」と慎二と目を合わそうとはせず言った。
今思案顔になったのは慎二の方である。
俺がお前を好きだ・・・慎二はその言葉を反芻した。慎二は連を今一度見やった。
連は考えてみればどこの誰ともわからぬ人間である。
しかし悪い男ではない・・・しばらく考えて慎二は言った。
「それで、お前は俺にどうして欲しい?」連は何か言ったが小さくて聞き取れなかった。
要するに、口で言うのが憚られる事である。
そこで慎二は「俺がお前を?お前が俺を?どっち?」と聞いた。
連は「俺が、お前を、だ」と言った。述語は全く省いた事だが二人の会話はそれで通じた。
慎二は更に考えた。
コイツは俺に・・・したいという事だが俺はコイツに・・・してもらいたいとは積極的には思えない。
むしろそういったことは無い方がいいくらいだ。痛そうだし。
1233:2006/07/04(火) 23:15:07 ID:ofgxWb2r
しかしコイツがそこまで俺に・・・したいという事は・・・させてやってもいいのではないだろうか。
連はそれ程酷い事をしそうな人間に見えなかったしなんだかんだいって連の事が好きだったからだ。
慎二は連を受け入れてやる事にした。

やはり痛いには痛かったが、痛いことより慎二がちょっとでも痛そうなそぶりをするとすぐに止めようとする連の腰の引け具合がなんというか、そこまで気を使わなくてもいいのに、と思った。
連は普段カッコつけていて自分から「したい」と言って来た割には臆病で、余裕が無かった。
まぁ慎二はそんな連を優しく包み込むように接してやった。

事後疲れたせいで寝入っていたらしい。
目を覚ますと連が隣で寝ていた。
もう空も白んできて、連の顔を明るいときに見るのは初めてだったので、ああ、こんな顔をしてるんだ、と思った。そして日が昇った。
連が飛び起きて「しまっ・・・」言い終わらないうちに連は慎二の目の前で蝙蝠に変わった。
連は本性はあの紺色の蝙蝠であった。
蝙蝠は戸の方へ飛んでいったが戸にぶつかってしまった。
蝙蝠では戸を開けられない。
慎二が戸を開けてやると蝙蝠は飛んで行った。

その晩連は来なかった。次の晩も連は来なかった。
慎二は連を探しに行こうと思った。次の日慎二は森へ行った。
森の中は広くて歩き回っているうちすぐに夜になった。
森の中は連一人が住んでいる訳ではない。
まだ冬ごもりしていない獣などもいるかもしれない。
しかし慎二は疲れたので近くの木に背を凭れて座り込んだ。
羽音がした。見上げるまでも無くそれが連だと分かった。
蝙蝠は着地すると男の姿になった。
1244:2006/07/04(火) 23:15:47 ID:ofgxWb2r
「何をしに来た」
「お前を探しに来たんだよ」
「帰れ」
「嫌だ」
「帰れ」
全く暖簾に腕押しである。
しばらく問答を続けていたがいきなり慎二は立ち上がって「この・・・ヘタレ!」と連を罵った。
連が「なんだそれは」と言ったので慎二は
「ヘタレって言うのは、卑怯で、意気地なしで、甲斐性無しで、口先だけで、へっぴり腰で、カッコつけるだけの、人間のすごく悪い状態だ!」
と連をなじった。
「何で俺がそのヘタレだ!」
「お前は中途半端だ!本性が俺にばれるのを恐れるのなら最初から枕を交わさないか、もしくは最後までばれない様に気をつかうかだ!
自分から求めておいてうかり本性がばれたら逃げるなんて卑怯だ!ヤリ逃げと言うんだ!」
連はヤリ逃げという言葉は知らなかったがその語感の悪さから意味は推測できた。
連は反論できなかったがそれでもなお慎二に抵抗しようと試みた。
「動物と人間は結ばれないものだ!」
「それって掟とかなのか」
「いや、蝙蝠の間では別に掟ではない。ただそういう慣例だ」
「なら破っちまえよ。大体動物と恋仲になる話は本性がばれた後向こうが飛んでっちまうからそれっきりになるんだろ。
お前はこの森に住んでいるわけだし、こうやって本性を知った後顔を会わせているのでもう慣例などどうでもいいじゃないか」
1255:2006/07/04(火) 23:16:47 ID:ofgxWb2r
そこで連は反証を持ち出してきた。
「浦島太郎と実は亀である所の乙姫は、浦島には乙姫が亀である事が知れていたのに結ばれなかった。だから駄目だ」
「お前は御伽草子を最後まで読んでないのか。
あれは玉手箱を開けた浦島は鶴になって竜宮城へ飛んで帰って残りの寿命700年亀と幸せに暮らしたんだ。
だから人間と動物の恋だって成就するんだよ!
俺だって人間が駄目ならお前と同じ蝙蝠になったっていい」
「蝙蝠には玉手箱はないぞ」「じゃあ仕方ないから俺が人間のままでいい」
「俺は飛んでいる虫とか好きだぞ」「う〜ん、人間の姿で食べなきゃいい」・・・・・・・・・・・・

ついに連が折れた。
連は「お前がそこまで言うならしょうがない」とでもいいたげな態度だったが、内心は連の方が慎二よりよっぽど嬉しいのだ。
ただ連は捻くれているだけなのだ。

連は慎二の家に住み着いた。
慎二は昼は蝙蝠で夜は人の姿をする連に特に文句は言わなかったが「夜行性を直して欲しい」と連に要望した。
連は努力したようだが結局最後まで夜行性は直らなかったという話だ。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )お目汚しスマソ
126風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 00:31:36 ID:lvqysMc9
>121
いいヘタレンwGJ!
127風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 02:31:30 ID:jYppNMCf
>>73
兄者カワイイヨ兄者(*´Д`)
128風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 02:53:13 ID:jYppNMCf
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )TVミテテ普段書カナイノニ突発書キシチャッタノデ…ナマデスゲ仁ンサンデス

正直、意外。
いつもは面倒なことは全部こっち任せにして好き放題やるくせに、最後の最後を持っていった。
いや、最後の最後を持っていくのは「らしい」ことこの上ないのだけれど。

「お前、絶対に先に寝ると思ったから、俺が寝ないようにと思ってたのに」
そう言うと、睡眠不足の顔に、もう何度かやられたように、水をかけられた。
「俺もお前任せにするつもりだったのにさー」
明らかに不満そうに、けれど、優越感も覗かせながら。
最初は、こういう企画は自分じゃなくこいつの得意分野だと思っていた。
…けれど、やっぱりいつもみたいに、俺がやらなくては、という気持ちになって。
それで必死こいてたくせに、先に寝てしまった。って、実はめちゃくちゃ格好悪い気がする。
その点こいつは何回も限界を示唆しながらも、最後まで目を閉じなかった。
ああ、それってめちゃくちゃカッコイイんじゃ。うわー、むかつく。

「寝たふりとかしただろ、心配させやがって、もう」
「なに、誰のせいで勝てたと思ってんの?」
それを言われたら降参するしかないのだけれど。
「つうか、寝顔見られるようなタイミングで寝たくねーもん」
からかうように続けた言葉は、最初から、眠らないと決めていた覚悟の証明のようで。
やっぱりどこかカッコ良くて、負けたようなどうしようもない気持ちにさせられるのだった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・;)ナンカモウコノジャンルヤッテルカタニスミマセントシカ…
129風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 08:04:28 ID:eo9NxnvG
>>88
遅ればせながら、龍玉スレの834です!
私の妄想を文章にして下さるなんて・・・感激!
妄想どおりの所も相違点も楽しめました。ごちそうさま。
憎悪の対象と「同じだけど違う」相手に向ける虎の暗い眼差しにも、
放浪者で隠れシスコンな17タンにもひたすら萌えです。
130風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 09:19:13 ID:BmVa6Xin
    ゚。 ∧_∧。 ギャアアアア!!!!   
     ゚ 。(;li゚´Д糞)゚、  /つ  
      /     ヽ //∵::       
      ( )   /ヽ/::・:::・::::∵ 
      \ ヽ、 (∴;::∵;;::∴::                 /⌒ヽ
        \ ⌒つ;,・,;,::,∵::ブシャー!             (  人)
        (  ̄/  / ・∵;::∵;;:              /   /   
        |  |○ ○\  ;:                 /  /   
        |  |   \ \      糞ウゼエ!!∧_∧   /  /  
        |  )    |  )   ___   (・∀・♯) /  /  
        / /     / /  /::::;;; : |=⊂    ⊃/  /     
       / /       ∪  . ̄ ̄;;:; ̄   | |   | ":;"";;
       ∪             :;::    (__(_ )∴・::;;;
          ((( )))  ムシャ
        (((( `∀´ )oムシャムシャガツガツ!!!
          ;' ,;.,' ̄ ̄  ̄`-、..____
             ;' ,;.,':_/  _∴`∴ l|l´Д(::ill|) __∴;:;:,'
                      / /'         
;∴:':';,∵,;.:’';'`,;:';' ,’';;.;,;,∵,;.:’';'`,;:';'
131風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 09:19:53 ID:BmVa6Xin
                    / /
      ,’';∴∵fィ!!  ノノi. |.';∴:':';,∵,;.:’';'
  ,;.:’';'`,;:';' ,はやく死ねや@ @ ||:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;:' 
           Λ_;;;;;;  (´3` )つ||;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;''  
     ギュウ…(:;)´:Д`lli;;  (つ ノ  ||''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''   
           ;;:;:;:;:;;    (_)/ 糞八頭身モナー!
 ∵,;.:’';'`,;:';' ;;;; ; ..;;;;;;;;;;;;し' ∵,;.:’';'`,;:';'
∵,;.:’';'`,;:';' '"'"` ,,:・`*"+ ;;;;;;;;;;;;;∵,;.:’';'`,;:';'
∵,;.:’';'`,;:';'- ―";;`=";:二;―=_― ;;;;;,;,;,;,∵,;.:’';'`,;:';'
;;;;;,;,;,;,∵,;.: / ̄;;@;⌒l";∵;,、`∴”  
       / ;;;;;,;,;,;,∵,;.:;;;;;,;,;,;,∵,;.:   .    
       @/|   ;;;;;,;,;,;,∵,;.:       
        #∵%#*  ::@       ;
;∴:':';,∵,;.:’';'`,;:';' ,’';;.;,;,∵,;.:’';'`,;:';'     
'
132風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 11:00:04 ID:/JTg+qNJ

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  1101さんの母3に出てくるバンドのドラム×ベース
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  場面転換が目まぐるしくてごめんネ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ カタオモイイッチョクセンプラトニックラブ萌え〜
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
133風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 11:01:57 ID:/JTg+qNJ
バッチーはドアを開け、誰もいない楽屋に入った。
ベッドの上の服や机に広げっぱなしの楽譜。
タメキチがいなくなってからからもう何日も経つのに、部屋は彼の名残をとどめている。
クラブ・チチブーの閉鎖も決まり彼がもうここに来ることはないと分かっていながら、
何となく、片付ける気が起こらない。
バッチーは壁際に立て掛けられたタメキチのウッドベースの側に歩み寄る。
彼は何か言いたげにベースを見つめたがそのまま無言で腰掛け、
ポケットからきれいに畳まれた布を取り出しベースを磨き始めた。

OJ、シミー、マジック、バッチー。DCMCのメンバーは誰も、自分が何者で、どこから来たのかもわからない。
ただ男たちは寄り添い、頭にぽっかり開いた穴を埋めるかのように音楽を奏でた。
バッチーが夢中で叩くドラムに、サックス、キーボード、ギターの音がシンクロする。
この音に酔いしれていられれば、自分の過去などどうでもよかった。
だから、また一人記憶を失った男が4人の前に現れたとき、彼らはごく自然に男に音楽を教えた。
それが彼の、そして自分たちの運命だと直感したのだ。
タメキチと名乗るベーシストがステージをさらに熱狂させたのは、それから間もなくのことだった。
134dダ(・∀・)ゴッサ!!2:2006/07/05(水) 11:03:13 ID:/JTg+qNJ

ステージから見える客たちは、みんなコーバでの仕事の疲れなど忘れホールに響く音楽に夢中になっている。
ベースと、ドラム。バッチーは、自分とタメキチがこの空間を支えていると思うととても誇らしかった。
そして、ドラムの向こうに覗くタメキチの背中が目に入るたび、喜びで全身がいっぱいになる。
味わったことのない、でも懐かしいような、心地良くていとおしい感覚。
彼の奏でる音が、そして彼の存在そのものがバッチーにはどうしようもなく必要だった。

「やっぱサイコーだよ、おまえのベースは。カンパイ」
「カンパイ。ありがとう」
楽屋での打ち上げで、二人は今夜も何度目かの乾杯を交わした。
「昔どっかでベースをやってたのかもな」
「かもしれないが…さっぱり、思いだせない」
タメキチが眉をしかめ小さくうつむくと、バッチーは笑った。
「おい、そんなこと気にしてるのか?
頭がカラッポなのはおれたちみんな一緒だろ。
むしろ、余計なものがないからいい音だせるんだよ」
タメキチは顔を上げ、バッチーを見つめる。
「そうかな」
真っ直ぐで、でも少し憂いを帯びた視線に、バッチーの心臓はなぜか鼓動を強めた。
「…そうさ。
どっちにしたって、おれたちがここにいるのは運命の思し召しに違いないんだ。
記憶喪失の男が5人。おまけにみんな天才ときてる」
「運命…か」
バッチーが差し入れのビールを二人のグラスに注いだ。
「カンパイ」
「またかよ」
タメキチは呆れたように笑った。
「いいんだよ、ほら、おれたちのサイコーの運命に、乾杯」
「乾杯」
135dダ(・∀・)ゴッサ!!3:2006/07/05(水) 11:03:58 ID:/JTg+qNJ
だが、別れはあっけないものだった。
クラブ・チチブーのウエイトレスだったヨシコシと、彼女が連れてきた少年(と、イヌ的な男)。
世界の行方がタメキチの手に託されている、などと言われたって普通なら追い返して終わりだ。
でも、少年の目を見たとき、みんな、それがタメキチの運命だと直感した。
こんなところで馬鹿騒ぎするより、彼はもっと大きなものを背負っている。
だから笑顔で、どうってことないさと送り出してやった。
いつ帰ってきたって、おまえの居場所はいつだってここにある。
ベースだって、おれがピカピカに磨いておいてやるから。そう言って。

あれから何度かライブをした。タメキチが来る前に戻っただけなのに、どうしても物足りなさを拭えない。
頭だけでなく、心にもぽっかりと穴が開いてしまったようだった。
けれど、次に会うとき、彼のほうはきっともう「タメキチ」ではない。そんな予感がした。
そして音楽で埋めていた頭の穴には、思い出とか、家族とか、そんなものでいっぱいになっているのだろう。
ここではない、別の居場所を見つけているかもしれない。

バッチーの手の動きが止まり、ふいに滴がひとつ、ベースに落ちた。
「ずるいよ、おまえは」
バッチーは涙を拭おうともせず、ウッドベースにそっと頬を押し当てた。
タメキチの温もり、彼の奏でる響きを思い出しながら。
136dダ(・∀・)ゴッサ!!:2006/07/05(水) 11:05:35 ID:/JTg+qNJ
____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ コノカプモエノヒトフエナイカナ…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
137風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 14:04:54 ID:gWpbTMDf
>128GJ!!

金と赤の話がもっともっとよみたかとです!
138風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 17:15:26 ID:JKG/s3I6
>133
イイヨイイヨモエタヨー!!
そんな思いをひきずったドラムを、他のメンバーがあの場に連れて行ったと
考えると倍率ドンでさらに萌える。
139風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 17:49:43 ID:De6MIqvQ

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  我が灰と書生と編集者
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  何かもう勢いで書いちゃった
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


1401/4:2006/07/05(水) 17:50:49 ID:De6MIqvQ
我が灰は主婦である。名前は緑。
連載の締め切りが近いのだが、最近、どうにも気になることがある。
「こんにちわ。先生、原稿の方どうですか」
来たなコマシ。
しかし、ここまではいつもの光景である。
我が灰が気になるのはここからだ。
「こんにちわ。先生、コーヒーでもいれますか」
寄るツズカ。
ベストセラー作家でありながら、我が灰の書生でもある彼。
最近、なぜかこいつはコマシと行動を共にすることが多い。
いや、行動を共にするのは別に構わないのだが、
何と言うかその…
「あっ、寄る先生、いいですよ。僕がコーヒーいれます」
「いや、いいですよ。僕がいれるんで。
先生、さっきコマシさんとケーキ買ってきたんで、好きなの選んでください。
あ、チーズケーキ僕のなんで」
「えっ、僕もチーズがよかったのに…」
「じゃあ、半分こしますか」
「いいんですか、すいません」
何だその女子高生のようなノリは。
男がケーキ半分こなんてするか。
そもそも、お前ら男二人でケーキなど買いに行ったのか。
「あ、先生もチーズがよかったですか」
「いらんわ、馬鹿者!」
1412/4:2006/07/05(水) 17:51:38 ID:De6MIqvQ

こいつらが来るたび、我が灰はこの二人のことが気になって仕方ないのだ。
黙って見ていれば、お互い突っつき合ったり、触り合ったり、
これではまるで…
「この前、コマシさん酔った勢いでキスしてきたんですよ」
接吻だとー!!?
たとえ酔っていたとはいえ、なぜそんなことになるんだコマシ!!
「何かー、新作はうちの出版社でぜひ、とか言うから
『ちゅーしてくれたらいいですよ』って言ったら、本当にしてきたんですよ」
「うわっ、全然覚えてない…すみませんでした」
あやしい…
この二人、本当はどうにかなった関係なのではないか。
男に接吻され、アハハと笑っているツズカ。
う〜む…満更でもないということか。
気になる…しかし、二人の関係を訊ねるのも失礼だろう、
何しろ二人ともれっきとした男…
1423/4:2006/07/05(水) 17:52:47 ID:De6MIqvQ
「あ、僕そろそろ社に戻らないと。
先生、締め切りあさってですよ、忘れないで下さいね」
う〜〜〜〜む…
だめだ…小説よりも貴様らの関係で頭がいっぱいだ。
「じゃあ、寄る先生、また明日」
明日!?明日も会うのか!?
何なんだ、毎日毎日男二人が一緒に何をするというのだ…!
「先生、」
「おわぁ!びっくりした!脅かすな!」
「すみません」
「…で、何だ」
「いや…ケーキ、本当にいりませんか?」
「…いる」
「いらないって言ったじゃないですか」
「いる。食べる。だから早く冷蔵庫からとってこい」
「ちゅーしてくれたらいいですよ」
「な…!」
こいつ、コマシだけでは飽き足らず我が灰までも…
「嘘ですよ。今とってきます」
なんだ嘘か…当然だ。
男同士の三角関係だなんて、一生の恥だからな。
さて、ケーキでも食べながら原稿にとりかかるとしよう。
1434/4:2006/07/05(水) 17:53:38 ID:De6MIqvQ
私は小説家である。
名前は寄るツズカ。
ただ今、かわいい先生とその編集者に囲まれ、
毎日とても充実しています。

144風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 17:55:15 ID:De6MIqvQ

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ツズカ、両手に花だよ。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |



ここ最近すんごい萌える…
145風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 18:11:12 ID:Nx9S5Q/b
>>139
我が灰、可愛いよ我が灰(*´Д`*)
久々に今日の放送を見て萌えたところだったからかなりウレシス。
乙です!
146風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 19:14:02 ID:QshO4Bd/
萌えますた…
アレ…ゴールデンはダメですよね…
噴火しそうになりました
147風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 21:43:38 ID:GI7NouOX
>139-144
もももももも!!!!!!!!ここで我杯を拝めるとわわわわわ!!!!!
今日の放送で萌えてここにきたもんだからテラウレシス!!!!!!!!!
乙乙乙乙!!!!!超GJGJGJGJGJGJGJ!!!!!!!!!
148風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 22:49:40 ID:/64M351O
寄る先生・・・おとなしい顔して総攻とは侮れない子・・・!
>>139GJ!
149風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 23:21:11 ID:sHrHg0vH
>>132
萌えを通り越して感動した。
ちょっとウルッときたじゃないかアミーゴ(´;ω;`)
150風と木の名無しさん:2006/07/06(木) 00:02:23 ID:0jduwFoh
132GJ
151風と木の名無しさん:2006/07/06(木) 00:27:04 ID:XxDZTnmE
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ピ草『車達』。今度は稲妻×医者。例によってネタバレあり。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  レポートからの現実逃避だゴルァ!
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ スゴイネ、トウヒエネルギー
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
152『車達』稲妻×医者1:2006/07/06(木) 00:31:14 ID:XxDZTnmE
「何故、レースを捨てた?」
ドック・八ドソンの問い掛けに、先を進んでいたMACィーンは小さくタイヤを
軋ませて止まった。
 今やMACィーンとドック・八ドソンはレーサーとピット・クルーチーフという
間柄を越え、弟子とその師であり、そして格好のレース仲間としての関係も
確立していた。MACィーンに誘われた今日も、ドック・八ドソンは自身の博物館の
世話は×ーター達に丸投げして荒野の真ん中に作られた小さなサーキットを
思う存分に突っ走った。それは勝ち負けにはあまり関係しない、MACィーンが
ドック・八ドソンのテクニックを盗んで行く場でもあれば八ドソン自身が
ひたすらに走る場でもあり、二人じゃれあうように抜きつ抜かれつ遊ぶ場でもあった。
 夕日のオレンジが、最近リペイントしたMACィーンの車体を照らし、僅かながらに
色味が変化している。街一番のカスタム狂ラモーソによるキラキラと輝く深みの
ある赤は、相変わらずの芸術的な仕上がりを見せていた。
 さんざん走って、いい加減に日も暮れてきた。喉だって渇いたから、
フ口ーの店に行こうと言う話になった。
 そんな帰り掛けに、何故そのような質問をしたのか――正直八ドソン本人
にだって分かりかねた。ふいに口をついて出たのだ。
153風と木の名無しさん:2006/07/06(木) 00:32:24 ID:XxDZTnmE
 クラッシュは確かに惨事以外の何者でもない。クラッシュした車はおとなしく
救急隊員かピット・クルーを待ち、他の車はこれ幸いと順位を上げて行くものだ。
 大クラッシュを体験した『八ドソン・ホーネット』ですらそう考えるのだから、
MACィーンにだって似た思いはあったはずだ。日頃の思いやりとレースは違う。
下手をすれば心ない連中に甘ちゃんとそしられたかもしれない。

 捨てた事を責めているのではない。それはドック・八ドソンの純粋な好奇心とも言えた。

 問われたMACィーンは、居心地悪そうにタイヤをぐりぐりと動かしている。
そのバックフロントを眺めながら、八ドソンは答えを待っていた。

「――――キソグが、クラッシュした時」
MACィーンが切り出した。

「コースアウトして、あんな大怪我しながら、それでもまだレースに戻ろう
としていたキソグに……あんたが、被ったんだ」
「…………」
ドック・八ドソンは思い返す。何の事はないささいなミスが引き金になり、
自分は何もかも失った。無くした地位や名声などはどうでもいい。が、走る事
そのものまで奪われたあの絶望は今でも胸を刺す。

 まだ、走れたのに。
 走る事が、全てだったのに。

「後何センチかって所で、フラッガーの顔だって見えた。優勝カップは確かに
オレの眼の前にあったけど…………どうしても、行けなかった」
ぎゅっと素早い動きでハンドルを切り、MACィーンはドック・八ドソンヘと向き直った。

「あんたを、置いて行きたくなかった」
「…………!」
154『車達』稲妻×医者3:2006/07/06(木) 00:33:36 ID:XxDZTnmE
ドック・八ドソンは眼を丸くした。思いも寄らない一言に、思考が停止してしまう。
 そんな八ドソンをよそに、MACィーンは初めから真っ赤なボディの赤を
いくらか濃くしながら、つらつらと話し続ける。
「全盛期に姿を消した伝説のレーサー……オレ達ルーキーはずっとそう思ってた。
けど本当は違った。あんたはスポンサーや世間に捨てられたんだ――たった
一度のクラッシュで!オレはあんたを捨てた連中を許さない。あんたが今どう
思ってようが関係ない、あんたを……あの素晴らしい走りが出来るあんたを
全盛期に握り潰した連中は最低最悪だ!」
ギリと歯を噛み締めてMACィーンは沈黙した。こみあげて来た怒りを必死で
こらえている――そう見えた。
「……だから」
ふっとMACィーンの身体から力が抜けていく。

「あそこでキソグを見捨てたら、オレはそいつらと一緒になってたんだよ……」

 だから、戻った。
 優勝カップをふいにしてまで、助けたのだ。
「――そうか」
ドック・八ドソンはそう言って微笑んだ。
「馬鹿な事を聞いた。許してくれ坊や……さ、帰るぞ」
そう言い置いて、MACィーンを追い越す。ゆるゆるとしたスピードは、ちょっと
彼が急げばすぐ並べる距離だ。

「待てよ」
「?」
MACィーンの制止にドック・八ドソンは方向転換して顔をそちらに向けた。
「オレに聞くだけ聞いといて……そりゃあナシでしょ、おじいちゃん」
知らず八ドソンは顔をしかめた。MACィーンが自分を『おじいちゃん』扱い
した時はあまりいい事がない。
 事実こちらを見つめるMACィーンの顔は、不敵な笑み一色だ。
155『車達』稲妻×医者4:2006/07/06(木) 00:34:42 ID:XxDZTnmE
「……じゃあ、どうしろと?」
「オレの話も聞いてくれ」
妙に簡単な要求だったが、そう深く考える事なくにドック・八ドソンは
軽く息をついた。
「それだか。分かった、日が暮れるまでな」
「そんなに掛からないよ。すぐ終わる」
しかし、そう言った癖にMACィーンはそれから優に三分沈黙した。先程の笑みは
どこへやら。時折何がしか言いたそうに口を開くのだが、すぐに俯いて黙ってしまう。
「……何が『そんなに掛からない』だ?」
「うるさいな、こっちだって心の準備ってもんがあるんだ」
言い返してから、再び赤面して押し黙る。後一分経ったら先に行こう、と
ドック・八ドソンは考えた、が。

 ゆっくり夕陽が沈んでいく。オレンジの光が眼に痛い。MACィーンの赤は
鮮やかな光沢を見せる。反対に八ドソンのネイビーブルーはどんどん色を濃くし、
遠目に見れば黒とも取れる深い色に変わっていく。

「――あんたが好きだ」

 風景に気を取られていた八ドソンは、慌てて視線をMACィーンに戻した。
「……何だって?」
「何度も言わせるなよ! あんたが好きだって言ったんだ!!」
「…………な」

 好き。意味なら二通りある。ラブか、ライクか。失礼ながらこれを言ったのが
×ーターならば、八ドソンは当たり前のように『ライク』と取っただろう。

 だが目の前にいる真っ赤なボディの持ち主は、誰もが天才と讃えるルーキー、
『稲妻』の異称を持ったライトニング・MACィーンだ。
156『車達』稲妻×医者5:2006/07/06(木) 00:35:53 ID:XxDZTnmE
 こんな分かりやすいシチュエーション。
 さっきまでのもどかしい逡巡。
 それらが指し示す結論が理解出来ないほど、ドック・八ドソンは子供ではなかった。

「こんな『おじいちゃん』がお好みとは、正しく驚きだ『ライトニング』」
「茶化すなよ、『八ドソン・ホーネット』」
真剣な声音が紡いだかつての名前に、八ドソンは全身がわななくのを感じた。
「歳とかあんたが伝説の『八ドソン・ホーネット』だとか、もうそんな事
関係ないんだよ。とにかく好きなんだ。あんたの走りを見てるとゾクゾク
するのは、テクニックが素晴らしいだけじゃない。あんたが走ってる。
あんなに楽しそうに――その事がもうオレにとっては特別なんだ」
八ドソンの言葉を封じるように、MACィーンは立て続けにそう言ってのけた。
それから話す種を無くし、捨てられる子犬のような哀れっぽい目で八ドソン
を見つめた。こいつはこんな表情もするのか、と他人事のように感心する。
「…………」

 断るのは簡単だ。
「何の冗談だ」とたったそれだけで、終わる。
 しかしそれが出来ないのは――

『諦めろ、八ドソン。もうお前の居場所はない』
『八ドソン? そんなのより見たかよあのルーキー! ピストンカップ優勝も夢じゃないぜ!』
『お前は終わったんだ。どんなレーサーにだって終わりは来る。そうだろう?』

 ――――……

『あんたを、置いて行きたくなかった』
157『車達』稲妻×医者6:2006/07/06(木) 00:39:12 ID:XxDZTnmE
「――ッ」
嫌な記憶とほんの少し前に胸を突いたMACィーンの言葉が交錯する。
「八ドソン」
MACィーンが哀れっぽいを通り越し既に『悲痛』ともいえる表情で八ドソンを
見つめている。
 何か言わなければ、と八ドソン・ホーネットは柄にもなく焦った。そして
混乱の末についに口をついて出たのは、一言。

「――――勝手にしろ」

否定でもなければ肯定でもない。曖昧な回答にMACィーンはぽかんとしている。
 間抜けな表情で何やら考えているようだった。しかし、その胸の内を八ドソンはすっかり予想できていた。
 ここで諦めてしまうようなら、もっと手酷い回答をしている。
「……え? え? ――えーと、それって、いいって事かな?」
聞きながら何故か接近してくる。近い、近すぎる。視界にどんどん入ってくる、燃え上がらんばかりに情熱的な赤。

 ……これは。

 近寄ってくるMACィーンの口を暫し眺めた後、八ドソンは素晴らしいスピードでバックした。
「んなっ!? 何で逃げるんだよ、八ドソン!?」
「どこまでお前はステレオタイプなんだ! 最新なのは外見だけか!」
夕暮れの荒野で告白し、曖昧な回答もポジティブな方向へ取って次にねだるのは――キス。
天才ルーキーだろうが何だろうが、内面はまだまだ子どもという事か。
「情緒というものが分からん奴においそれと許せるか!!」
それだけ言い放つと、八ドソン・ホーネットはかつての勇姿そのままに素早くハンドルを切り、
MACィーンを後にラヅエーター・スプリングスへ、愛すべき我が家へと全力疾走を始めた。
遥か後ろでMACィーンが何か叫んでいるが、聞いてやる義理はない。

 分かっている、自分はただ混乱しているのだ。
 ……老いらくの恋、という奴に。

 ネイビーブルーのフロントが熱を持っているように感じられるのは、太陽のせいではない。
158風と木の名無しさん:2006/07/06(木) 00:40:35 ID:XxDZTnmE
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 車は難しいね
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
早くノベライズ出ないかな……最後の方無理に詰め込んだので見苦しくなった……orz
159風と木の名無しさん:2006/07/06(木) 00:47:07 ID:RYg0bpaA
>151
モトネタ未見だが、萌えた!
車の色で感情表現までしてあって、GJ!
160風と木の名無しさん:2006/07/06(木) 15:07:54 ID:A++xtv/8
>151
GJ!102も超GJ!あえて擬人化しないのもGJ!
公開以来持って行き場はないだろうと思ってた私の萌えが報われた
161風と木の名無しさん:2006/07/06(木) 15:34:33 ID:Fy5vIP0M
死帳ムービースレ268です。
いつぞやは失礼しました。
再うpじゃないけど、今度は藤松書いてみた。
本スレは中の人萌えじゃない人もいるかもしれないので、こっちでうpします。
|>PLAY  ◇⊂(・∀・ )   クウキヨマズニトウカシマース!

162藤松:2006/07/06(木) 16:25:41 ID:Fy5vIP0M




『カット』
拡声器越しに簡潔な言葉が掛かった途端、あたりがいきなりざわざわと騒がしくなった。
チェックしまーす、という言葉と共に、スタッフが、モニターの前に集まったり、やれ照明の位置だの、やれ小道具のバミりだのに忙しなく動いている。
それをぼんやりと眺めながら、藤稿はゆるりと頭を振った。
舞台の方をより多く経験しているからか、こういった映像での切り替えにたまに頭がついていかないときがある。
舞台では本番中の二時間強は常にその役に入り込めるからまだ楽だが、映像だと全てが順撮りなどは有り得ない。
カットが掛かった瞬間に藤稿龍也に戻る為に、予想以上に体力を使うときがあった。
163藤松:2006/07/06(木) 16:29:21 ID:Fy5vIP0M
頭の奥がぐらりと揺れた感覚がして、藤稿は頭を揺らすのをやめた。
最近撮影し通しで睡眠不足な気も否めない。
予想以上の観客動員数とその反応に、素直に嬉しい自分もいたが、それに伴い撮影と同時進行で増えるイレギュラーな仕事に少し疲れている自分がいるのも事実だった。
特に取材などはほとんどが同じ質問である。
どの質問にどう答えるか、台詞のように暗記してしまった部分もあった。
ふう、と息をつく。同じシーンを撮っていた女優はいつの間にかいなくなっていた。前室にでも消えたのだろうか。
話をして気を紛らわそうと考えていた藤稿はそれが叶わなくなったことに対しても息をついた。
目頭に指をやり揉み解す。自分の髪型などを直しに寄ってきたスタイリストが、大丈夫?、と苦笑した。
「最近こもりっぱなしだもんねぇ」
「ちょっと病んできた」
笑いながら冗談交じりに言葉を返すと、スタイリストが同調して明るく笑った。細い指が自分の前髪を軽く手直しする。
撮影はしばらく休憩を挟まずに続く予定だ。集中力を維持するのは多少大変だが、困難ではない。
それに自分の後輩だって同じ状況の中頑張っているのだ。自分が先に弱音を吐くわけにはいかなかった。
164藤松:2006/07/06(木) 16:31:35 ID:Fy5vIP0M
スタイリストが離れていくのをなんとなく目で追っていると、ふと視線を感じた。その方向へと思わず視線を向ける。
だが目が合った瞬間、ふい、と逸らされた。
先に逸らしたその人物は、何事も無かったかのように飴玉を口に含んだ。
口からはみ出た棒が、左右にころころと忙しなく動いている。
藤稿はしばらくその棒を何の気なしに眺めていた。
ころ‥、棒の動きが止まる。
ゆっくりとその視線が上がって、それは再び藤稿と視線を合わせた。
その右腕には自分とを繋いでいる銀の枷が、鈍く光を反射している。
「‥‥‥、ま」
つやま、と思わず呼びかけようとした藤稿の口は、だがその発声をすることはなかった。
ふ、と視界が一瞬で真っ暗になったのである。
165藤松:2006/07/06(木) 16:33:40 ID:Fy5vIP0M
瞬間的に何人かから上がった悲鳴と同時、弾かれたように、藤稿は辺りを見回した。
『すいませーん、ちょっと、ブレーカーかわかんないですけど、ちょっとそのままでお願いしまーす、すいませーん』
ざわめきの中、拡声器でそう伝えるスタッフの慌てた声がした。
とりあえずそこまで大事な事ではないと認識して、藤稿は今度は安堵のため息をついた。
が、それもつかの間だった。
自分の左腕が、金属のこすれる音と共に引っ張り上げられたのだ。
「え? う、わっ」
少し間抜けな声を出して、藤稿は少しよろめいた。そのまま転倒するかと危ぶんだが、その前にぐい、と何かに腕を力強く引かれた。
先よりも安定感のある強い力だったがそれでも何がなんだかわからないまま、思わず目を閉じる。瞬間何かに抱きつかれるような感覚に襲われた。
「龍也さん」
その、小さな声と共に。
166藤松:2006/07/06(木) 16:36:13 ID:Fy5vIP0M
それに反射的に反応して、今度は目を見開いた。
だが辺りは相変わらず暗いままで、今自分が一体どこでどういう格好で立っているのかあまりよく理解できないでいた。ただ、抱きついてきた何かは考える間もなく理解できた。
「ま、つやま?」
「ずるい」
「え?」
問い返しても、松岾はもうそれ以上口を開くことはなかった。
ただ、藤稿に抱きついた細長い腕に力が込められるだけで。
そういえば今日はよく、スタイリスト越しに目が合うことが多かったと思い立つ。それで何となく察知した藤稿は、苦笑交じりに呟いた。
「‥毎日触ってんじゃん、お前も」
くしゃりと髪を撫でてみた。撮影開始当初に比べてだいぶ伸びたその髪は、スプレーでセットされてるにも関わらず、すんなりと藤稿の手に馴染んだ。
少しなだめるようなそれで触れたのだが、松岾は更に力を込めてきた。
167藤松:2006/07/06(木) 16:40:56 ID:Fy5vIP0M
「、った、痛いって、松岾っ」
「‥っと」
「は?」
いい加減怒るぞ、と松岾を引き離そうとした藤稿は、そのくぐもった声に眉を寄せた。藤稿の腹部に顔を埋めているらしい松岾は、埋めたまま、再び言った。

「もっと、触っててください」

それに少しだけ驚いた自分ががいた。
藤稿は松岾を引き離そうとして宙に浮かせた手を、少し逡巡した後、ゆっくりと松岾の頭部に戻した。
指の隙間に髪の毛が通る。
辺りではスタッフが未だざわめいていて、誰に聞かれるかわからない、いつ電気がつくかわからない状況で、自分と松岾はこんなに密着していて。
感じるのは。
ふと伸ばした指で、松岾の額を手探りで掻き分けた。そのまま、唇を落とす。
「藤稿さん!」
瞬間名前を呼ばれて、体が反応した。
168藤松:2006/07/06(木) 16:46:58 ID:Fy5vIP0M
ぎくりと脳に擬音語が聞こえた気分だった。まさかとは思うが、まさか、見られてしまったか?
焦る藤稿に続けてスタッフの大きな声が聞こえた。だがそれは藤稿の杞憂に終わった。
「松岾さんも、どこいますか? 大丈夫ですか、前室移動しますかー」
どうやら気を利かせたスタッフが、自分たちを探してくれているらしい。だが声はまったく明後日の方角に投げられていて、藤稿は思わず含み笑いした。
「大丈夫、じっとしとく。今龍也さんも隣にいるから」
すかさず松岾が答えた。するとスタッフの誰かが、さすがLだ、などと答えて、周りのスタッフが笑った。
169藤松:2006/07/06(木) 16:47:41 ID:Fy5vIP0M
その笑い声を尻目に、また藤稿は松岾に唇を落とした。今度は松岾もそれに応える。
感じるのは。
少しの背徳感と、少しの興奮。
「‥お前、意外と甘えたなのな」
囁くように藤稿が言うと、松岾は少しして、笑って言った。
「遅いっすよ。‥今頃気付いたんですか?」
そうして再び抱きついてきた松岾に、藤稿はその日何度目かのため息をつきながら、小さく笑った。




170風と木の名無しさん:2006/07/06(木) 16:51:15 ID:Fy5vIP0M
□ STOP  ◇⊂( ・∀・  )ピッ イジョウデオワリデス!ナマモノナノデオナカコワサナイデネ!
名前は伏せ字にしました。
再うpじゃなくてスマソ
171七夕☆:2006/07/06(木) 22:07:36 ID:gTbcqgly
                   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ちょっと似たキャラがいたりするけど。。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  きっとオリジです。。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
172七夕☆1:2006/07/06(木) 22:10:55 ID:gTbcqgly
平日の午後3時半。
普通のまっとうな社会人なら、働いている時間だろう。

いつも俺が行く図書館で会う青年がいる。
名前も、年齢も、何もしらない。話したこともない。
ただ、落ち着いた風貌と、図書館の中の学習スペースによくいることを考えれば、
大学生あたりなのだろうと想像できる。

俺はいつものように広い館内を見渡して、彼を探してしまう。
自分も190cmと、成人男性ではかなりの長身の持ち主だったが、
驚くことに彼もほとんど変わらないくらいだったのだ。
だからだろうか。
彼に対して親近感を覚えてしまったのは。
それに、室内勤務で最近は勉強ばっかりやって白くて細い自分に比べて、
肩のがっしりとした、日に焼けた肌の彼はとても健康的で男らしい。
同性として、憧れるタイプだった。
きっと大学で何かスポーツでもやっているのだろう。俺は勝手に想像してしまっていた。


173七夕☆2:2006/07/06(木) 22:12:53 ID:gTbcqgly



俺は、大学を卒業してから一旦就職し、それから憧れだった教師を目指している。
子どもが好きで、ずっと教師になりたかった。
けれど、なりたいと願ったからと言って、簡単に誰でもなれる職業ではなかった。
子どもの数が減って学校やクラス数も削減され、それに比例するように教員の数も減っている。
新規で採用される教員というのは、ほんの一握りの選ばれた人間だ。
今は恩師のつてで、非常勤の高校教師を務めながら、本採用を目指して勉強している。
非常勤はバイトのように時給で働き、授業以外の仕事はしなくていいので、
基本的に授業が終わればフリーだ。
その時間を勉強に費やすことができるのが、非常勤の強みでもある。
しかし、試験前の梅雨時期は自宅ではむし暑くて、勉強にもなかなか身に入らない。
だからと言って忙しい職員に混じって、職場で参考書を広げられるほど、自分の神経は図太くなかった。
エアコンの電気代のことなどを考えると、貧乏暮らしではエアコンをつけっぱなしというのも気が引ける。
だからこうして、涼しい図書館に足を運ぶ。


学習スペースの開いている席をみつけ、そこに腰掛けた。
斜め前の席に、見覚えのある広い背中があった。彼だ。
(これじゃまるで、ストーカーだな)
気にかけているのは自分で、きっと彼はこちらのことなど気にしていないはずだ。
たまたま週に何度か図書館で一緒になるだけの男のことなど、彼は気にも留めないだろう。
俺は苦笑いを浮かべながら、鞄から参考書を取り出す。
一生懸命勉強している彼に負けないように、気合を入れてページをめくると、俺は問題を解き始めた。
174七夕☆3:2006/07/06(木) 22:15:34 ID:gTbcqgly
館内に静かなオルゴールの音が鳴り響いた。
顔を上げて時計を見ると、時刻は6時を指すところだった。
閉館時間だ。
もうこんな時間だったのかと、机の上のものを鞄にしまい込む。
肩のあたりがガチガチにこっていて、立ち上がって大きく伸びをするのと同時に周りを見渡した。
もうほとんど人は残っておらず、もちろん彼の姿もなかった。
彼が帰ったのも気づかなかないほど、集中して勉強していたのか。
自分にとってはそのほうがいいに決まっているが、彼の姿が見られなかったのは残念だった。

ふと、並んだ机の片隅に、細長く切った色紙が置かれていた。
紙には、端に穴が開けられ、そこに紐が通してある。
それを見て、明日が七夕であることをやっと思い出した。
「懐かしいなあ……」
折り紙でいろいろな飾りを作って、笹の葉に飾ったものだ。
きょうだいたちと短冊を用意して、数え切れないほど願い事を書いた。
1枚目にはもちろん、『学校の先生になれますように』と−−−。
「よかったら、どうぞ」
閉館のための準備をしていたスタッフに声をかけられる。
「こんなおっさんでも、ええんかな?」
「七夕に年は関係ありませんよ」
笑いながら返され、一緒においてあったペンを取ると、幼いころ何度も書いた願いをもう一度書く。
今年でこの願い事は最後にしたいと思いながら……。
「入り口のところに、笹があります。好きなところにつけて下さいね」
「ありがとう」
スタッフに礼を言うと、身支度をして笹のある場所に向かう。
どこにつけようか迷って、ふと一番高いところにある短冊に目がいった。


『試験に合格できますように  智之』
175風と木の名無しさん:2006/07/06(木) 22:16:56 ID:gTbcqgly
几帳面な字で書かれたそれは、俺が手を伸ばして届くくらいのところにあった。
そんな笹の高いところに飾ることができそうなのは、この図書館に来る人間では自分と、あの彼くらいだろう。

「智之君か……。試験て、何の試験やろ?」
大学生なら、就職試験なのか、大学院への編入試験なのか、はたまたスキルアップのための試験なのか。
何にしろ、彼も目標に向かってがんばっているのだ。
(合格して欲しいなあ)
自分の試験のこともあるというのに、彼の試験のを応援してしまう自分にあきれながら、
彼の短冊の隣に書いたばかりの短冊を飾り付ける。
(小さな子どもが飾りやすいように、空いているスペースに飾っただけやからな!)
自分に言い訳しながら並んだ短冊を見つめる。
いい年をした男が、何を少女じみたことをしているのかと恥ずかしくなり、慌ててトートバッグを手にすると、
早足になりながらエレベーターに向かう。
明日以降、ひょっとして彼もあれを見るのだろうか。安易にしてしまったことに、急に不安に襲われる。
「変に思われるやろか」
あの位置はわざとらしかっただろうか。だからと言って、今更戻って付け替えてくるのもアヤシすぎる。
きっと大丈夫だ。彼はこちらのことなどわかっていないのだから。
そう言い聞かせて、扉の開いたエレベーターに滑り込むように乗り込んだ。
176風と木の名無しさん:2006/07/06(木) 22:18:02 ID:gTbcqgly


 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ お目汚しスマソ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


今日図書館で浮かんだネタでした。
初めてここに書き込んだんですが、こんな書き方でよかったですかー?
177風と木の名無しさん:2006/07/06(木) 22:18:41 ID:gTbcqgly
連投すみません、
名前欄にsageと七夕☆4を入れるのを忘れてしまった……。orz
178風と木の名無しさん:2006/07/06(木) 22:35:17 ID:RYg0bpaA
七夕、ほのぼのした。並んだ短冊、イイね。

よく行く図書館にも笹があって、カワイイ願い事いっぱいなの思い出した。
ガソダムになりたいとか。なぜかカブトムシやクワガタムシの絵も下がってたな。
179風と木の名無しさん:2006/07/06(木) 22:47:04 ID:7N+DFz73
もしかして元ネタあの二人かとか邪推してしまいつつGJ
七夕っていいよね。
しかしあれだ。池袋駅の地下の短冊に『涼宮ハルヒとつきあいたい』とか書いたやつ奴前へ出ろ。
180風と木の名無しさん:2006/07/06(木) 22:52:56 ID:pAlfZxzc
もしやあの2人ですか?トマト嫌いとリンゴ嫌いの・・・!!
だとしたら萌え倍増です(*´∀`)
181風と木の名無しさん:2006/07/06(木) 22:58:10 ID:J8s9tk6/
カブトムシとクワガタ。

いろんな意味で旬ですな、お子ちゃまにとってw
182風と木の名無しさん:2006/07/07(金) 00:02:38 ID:8FV/XG+6
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )またまた計画橙青、今回はヘボンなエチー有りだよ。


カチャカチャとベルトを外す音が、静かな部屋に響いた。
俺はベッドに腰掛け、自分の下半身に顔を埋めている男の顔をぼんやり見下ろしている。
「ん…っ…ふ…」
「ヒロツ……」
動きに合わせて揺れる前髪。
指先で触れながら名前を呼ぶと、ちらりと上目使いでこちらを見てきた。
「やらしいな…その目」
「んん…っ…」
くわえたまま首を振って否定するその姿が、どんなにやらしいか分かってるんやろか?
卑猥な水音は更に激しさを増していき、徐々に快楽が身体を支配していく様な感覚に襲われる。
「う…っ…あ、ちょ、ヒロツ…?」
さっき軽く虐めた仕返しだろうか。
舌の動きや吸い込み方が急激に激しくなって、段々こっちも余裕が無くなってきた。
「くっ…もう…あかんて…」
息が上がって苦しい。
ぎゅっと目を閉じて、快楽に身を委ねる。
「もう、出すで…ヒロツ…!」
「あ…駄目!!」
「へ?」
もう少しで吐精…という時に、何を思ったかヒロツは口を離して行為を止めてきた。
183計画橙青エチー2:2006/07/07(金) 00:05:06 ID:wzc5pQVD
「……どないしたんや…新手の焦らしプレイ?」
「いや、その……」
「何」
「あまり言いたくないんですけど…」
「うん」
「……その……したくなりました」
「は?」
「っ…だから!」
急にヒロツが立ち上がって俺の手を掴む。
何をするかと思えば……それをいきなり自分の股間に押し付けてきたのだ。
…何て大胆。
「…………あー…」
「……分かりました?」
「めっちゃ勃ってるやん」
「そういう…事です…」
よっぽど恥ずかしいのか、ヒロツは俯いたまま顔を上げない。
その赤い頬に軽くキスしながら、股間に当てた手をゆっくり動かす。
「あ、ちょっと…名田気さんてば…」
「誰やったかなぁ…」
「…はい?」

「エッチすんの絶対嫌やから、フェラで我慢しろ言うたの……誰やったっけ」
「………っ……僕ですけど」
話している間にも、ヒロツの股間はどんどん硬さを増していく。
「珍しいなぁ…ヒロツから求めてくるなんて」
「…僕にだって、我慢出来なくなる時があるんですよ…!」
「お」
184計画橙青エチー4:2006/07/07(金) 00:07:29 ID:wzc5pQVD
気付けば、ベッドに押し倒されていた。
しかも、ヒロツが上にまたがっている状態で。
「ヒロツ…重い」
「あ…ごめんなさ…!」
「待った!」
離れようとしたヒロツの腰を、がっちり押さえて阻止する。
「ちょ!名田気さん?」
「…もしかして…俺を下にしたいん?」
「いや、流れ上なんとなく…」
「何、騎乗位がえぇの?」
「正直…あまり挿れられたくは無いんですけど…」
話しながらぐっと腰を押し付けたら、さりげなく腰を浮かして逃げられた。
「まぁ、えーわ。ほら…脱いで自分で触ってみ」
「え…じ、自分で?」
「もっとして欲しいんやろ?」
「…………」
「睨むなって、恐いから…」
ヒロツはしばし鋭い目で俺を睨んでいたが、観念したのかおずおずとベルトを外し始めた。

「…すっごく…恥ずかしいんですけど」
「ほら、手ぇ動かさな気持ち良くなれんで?」
「ん…っ…分かってますよ…」
長い指がゆっくり動く度に、俺の上でヒロツが甘い声を出す。
「あっ…!」
「っと…大丈夫か?」
身体を支える足の力が抜けて来たのか、急に俺に覆いかぶさってきた。
185計画橙青エチー4:2006/07/07(金) 00:09:21 ID:wzc5pQVD
耳に感じる、熱い吐息。
「ぁ…ん……」
「気持ち良さそうやなぁ、ヒロツ…」
「や…っ…!」
顎を舌先でゆっくりなぞると、今までとは違う声が上がった。
「弱いもんなぁ、顎」
「んっ…駄目だって…」
噛み付いたり、舌を這わせ吸い付く度にビクビクと痙攣するヒロツの身体。
「…もう、イキたいやろ?そろそろ、これ使うわ」
「……あ……それ…」
枕元に投げ出されていたローションの容器を手に取り、ヒロツに見せる。
「冷たいけど、我慢してな」
「わ…っ…嫌ですって…!」
たっぷりのローションにまみれた指で、ゆっくりアナルに挿入。
嫌がるヒロツの顔を楽しみながら、奥まで指を進めていく。
「どう?痛い?」
「っ顔…見ないで…」
「めっちゃ、えー眺め…」
普段のヒロツなら、行為の時は絶対に顔を隠して見せてくれない。
それが今は、俺の上で泣きそうな顔をして喘いでいる。
「恥ずかしいから…あっ…」
「ここ?」
「あぁっ…だから、嫌だってぇ…!」
ローションが渇く度に何度も垂らして、指の抜き差しを念入りに繰り返す。
186計画橙青エチー5:2006/07/07(金) 00:11:10 ID:wzc5pQVD
「恥ずかしいから…あっ…」
「ここ?」
「あぁっ…だから、嫌だってぇ…!」
「ぁ…何か、変な感じ…」
「気持ちえぇやろ?」
「っく…あぁ…」
「いい声…出すやんか」
顔は何とか腕で隠せたみたいやけど、声だけは抑えられずに俺の欲望を絶え間無く刺激し続けていた。
「もう、イケるんちゃう?」
「…あ…」
指を抜いて、充分に勃ち上がった自分自身にもたっぷりローションをつける。
「腰、浮かせて…」
「……こう…ですか?」
「そう…力抜いて…っ…」
震える腰を押さえて、ゆっくり挿入していく。
ローションでたっぷり馴らしたお陰か、いつになく順調に。
しかし半分まで入った所で、急にヒロツが身体を強張らせた。
「ぅわ…力抜けって!」
「っ…あ…やっぱり、嫌です…!」
「ちょ、ヒロツ…二度目の待ったは無しやで!」
「いや……早く…抜いて…」
「…どないした?痛いんか?」
優しく髪を撫でながら、なだめる様にキス。
ヒロツは俯いたまま、小さく首を横に振った。
「苦手なんですよ…」
「何が?」
「この体位………」
「は?」
187計画橙青エチー6:2006/07/07(金) 00:13:04 ID:wzc5pQVD
俺の反応に、ヒロツは恥ずかしそうに目を逸らして呟く。
「この体位だと、普通の時よりも奥まで入るから…抜けなくなりそうで恐いんですよ…」
何を言うかと思えば。
「…という訳で、出来ればいつも通りに…」
「ヒロツ」
「はい?」
「めっちゃ奥まで挿れたるから」
「え?あっ…うわぁ…!」
もうどんな抵抗も俺には効かない。
腰をがっちり掴み、奥まで一気に貫く。

「あっ…!!」
「っ…ヒロツの中…きつくてすぐイキそ…」
「名田気さ…卑怯、ですよ…こんなの…」
「でも…感じてるやろ?」
「いっ…そんな動いたら……あぁっ…!」
腰を思い切り突き上げる度に、ヒロツの嫌がる声が段々甘くなっていく。「んん…っ…あ…はぁ…」
「ヒロツ…気持ちいいやろ…?」
「ぅ…ん…」
ゆっくり身体を起こして、近付いた唇に深くキス。
激しく舌を絡ませたら、後は本能のまま求め合うだけ。
「このまま…イこうや…」
「ん…っ」
キスを続けたまま、俺は再び腰を動かした。
吐息混じりの嬌声が耳に響く度に、互いの動きは激しさを増していく。
188計画橙青エチー7終わり:2006/07/07(金) 00:14:48 ID:wzc5pQVD
「っ…俺、もう限界みたいや…」
「…ぁあ……っ…僕も…!」
下腹部に生温い温度を感じたと同時に、熱い粘膜が俺をきつく締め付ける。
その刺激に追い込まれ、次の瞬間には俺もヒロツの奥深くに吐精していた…。



「ヒロツ…」
「……………」
「なぁ…いいかげんこっち向いてくれへん?」
「………………もう貴方の顔は見れません」
行為が終わってから、ヒロツはずっとこの調子。背中を向けたまま、ベッドの隅で拗ねている。
「そんな恥ずかしかった?」
「当たり前です!!」
「ヒロツ…」
「…………何ですか」
後ろからそっと抱きしめて、風呂上がりの紅潮した頬にキス。
微かに身体が震えた気がしたのは、気のせいか。
「好きやで」
「そんな言葉…聞き飽きましたよ」
「……愛してる」
「……………それは、あまり聞いた事…無い」
さっきより真っ赤に染まった頬。
もう一度キスして、今夜はもうおしまい。
「そろそろ、寝よか」
「………はい」
今夜も二人、背中合わせで感じる幸せ。
明日もきっと、お前を愛してる。

189風と木の名無しさん:2006/07/07(金) 00:16:23 ID:wzc5pQVD
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )番号ミスやら何やら、長々と失礼いたしました…。
190風と木の名無しさん:2006/07/07(金) 01:00:01 ID:nYmfI0rW
>>161-170
GJ!!
中の人の話は初めて読んだが禿萌えた…!!
末県かわいいよ末県
191風と木の名無しさん:2006/07/07(金) 01:57:53 ID:w3nhxmj4
>>190
ありがとうありがとう(ノД`)!!
>>161書き込んだらいきなり繋がらなくなって半泣きだったんだ
棚占領してしまってすみませんでした
100万年ロムります
もう書き込みませんごめんなさい
192風と木の名無しさん:2006/07/07(金) 03:44:37 ID:pDPQuzqd
>191
ん?と思って見てみたらほんとだ、随分時間差がw
まぁ元気出せ。お疲れ。
193風と木の名無しさん:2006/07/07(金) 09:24:22 ID:9jivTecm
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

売れっ子脚本家×個性派俳優
ネコが劇団入りたてな頃で。

ジョウキョウガ ワカリニクイカモ…
194ふぁーすと 1/2:2006/07/07(金) 09:31:19 ID:9jivTecm
「…やめちゃおうかな、って」
煙と一緒に吐き出した。
演劇の基礎なんかないから、ダメなのは分かってる。
でも、それを毎日口に出して言わなくたっていいのに。
鬱なのか何なのかよく分からないけど、可織田さんが毎日のように『お前はだめだ、俺はダメだ』と繰り返してる。
やっぱりよく分からないまま僕は落ち込んで、この劇団を続けること自体が少し嫌になっていた。
「そう…」
句洞さんも浅く息を吐き出した。煙が天井で僕のと混じる。
役者もタバコ吸うんだな、なんて。僕もだけど。

舞台上の句洞さんを格好良いと思った。それがここに入った理由のひとつだった。
別にそれをわざわざ、本人に言うことはしないつもりだけども。

自販の前でタバコを吸っている句洞さんを見つけて、隣で一服したくなったのは偶然。
でも、辞めたいって気持ちは言おうと思ってた。
いきなり辞めるのは…この人に失礼なんじゃないかって、漠然と思ったから。
…どうしてだろう。まだ辞めるのを迷ってるのかな。
バイトだったら無断で休んだり勢いで辞めたりも出来たのに。
195ふぁーすと 2/2:2006/07/07(金) 09:33:45 ID:9jivTecm
…色々考えてるうちに、タバコはかなり短くなってた。
沈黙。
話題は無いけど、何故か気まずさもない。
句洞さんは、先にここに居るから先輩。でも同じ年で。だけど僕の周りの誰とも似てなくて。
知らない人は恐いけど、この人の事はもっと知りたい。大人になってからこんな気持ちになるのは、きっと初めてだ。
もう少し、この人に近づいてみたい…でも、どうやって?

ふと、句洞さんの視線がこっちを向いた。どきっと、一瞬息が詰まる。
「…亞辺くんさぁ。ヒマならこれからウチおいでよ」
「え?」
句洞さんはゆっくり煙を吐き出しながら、細長い指でタバコをもみ消した。
「劇とか、映画とか、ビデオあるから」
目が合って、僕も慌ててタバコを灰皿に押しつけた。心臓と一緒に喉の奥がどきどきして、うまく返事が出てこない。
「来なよ」
まごついてる間に句洞さんがそう促した。唇が弧を描けば、かなりやんちゃな歯並びが覗く。
…YesかNoか、答えを用意されていると安心してしまう。今は答えが一つしかないから、尚更ほっとしてる。
なんだか嬉しくなって、勝手に口元が緩んじゃって。
頷いて、小さく「はい」とだけ返事をした。
196風と木の名無しさん:2006/07/07(金) 09:36:24 ID:9jivTecm
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )お目汚しスマソ

アマリヤオッテナイネ ユルシテクダセエ
197風と木の名無しさん:2006/07/07(金) 09:53:41 ID:5jZZK3ma
>182
神!ここで橙青が読めるなんて…(*´Д`*)恥しがる青禿萌、そして男前橙GJ!
朝から無いものがおっき(ry
198風と木の名無しさん:2006/07/07(金) 19:06:29 ID:d9nd83LD
>196
音無圭角だ!やっぱりネコたんは萌えだよGJGJ
199風と木の名無しさん:2006/07/07(金) 20:09:39 ID:QVIBoCwc
>196
GJGJGJ!定を萌え
200風と木の名無しさん:2006/07/07(金) 21:51:24 ID:GoyUHe1/
>196
かわいいよ〜
萌えた。ありがとう。
201衝立の後遺症:2006/07/07(金) 22:48:12 ID:dA60QrB5
|>PLAY ◇⊂(・∀・)ジサクジエンガオオクリシマ-ス!

某スペシャルコンビ愛対決
事情ヤ何ヤハワカラズ申シ訳
伏字ノハズ

おれ、あんなに声かけたじゃん…返事、しなくなるし。

そんなちょっと非難めいた言葉。
例の対決ロケが終わった帰り。
どうせあと数時間で次の仕事だからと研悟の部屋に泊まる事にしたおれ。
しかし…不眠のあと仮眠を取ったからか、少し目が冴えてきてすぐには寝付けそうもなかった。
それは隣で横になる研悟も同じらしく、かける必要のない眼鏡をいじっている。
ふと視線をやると、先日の対決でオレが咥えた場所をしきりに指でなぞっていた。
思わず口角をあげるとそれに気付いたのか、こちらに視線を投げる研悟は寝不足のためか少し目が充血している。
手を伸ばして瞼に触れようとすると、首を引いて拒否された。
なんで?
疲れてるせいかかすれた言葉に、当初の言葉が返って来たというわけだ。
先程の対決では、完全に油断して一番に脱落してしまった。
それまで必死に見ててくれた研悟が急に見えなくなって触れられなくなったおれは、そのまますぐに寝付いてしまったのだ。
202衝立の後遺症2/2:2006/07/07(金) 22:50:04 ID:dA60QrB5
あー…、ごめん。
素直に謝ると、研悟は薄暗くしていた明かりを完全に落とした。
寝る時は一緒だっつったじゃん。
そんなまぁ何とも可愛い答えが返って来て、ちょっとこの睡眠不足も浮かばれるってもんだ。
この前眼鏡直してくれた時、結構かっこよかったよ。
おー、惚れた?
ん。どこの男前に抱かれてんのかと思った。
そういった研悟は隣に敷いたはずのおれの布団の中に潜りこんでくる。
おれらはマネからの電話が鳴り響くまで、抱き合って眠った。
やはり手が届くこの距離が一番良いと、腕の力を強くしていたのは無意識だった。

□STOP ◇⊂(・∀・;;)ァヮヮ
にわかファンにつきお目汚しスマソ
あれはスゴかった…
203風と木の名無しさん:2006/07/07(金) 23:00:48 ID:YhaA+zIK
萌えつつちょっと首をひねった。
研悟は兄ちゃんの名前だと記憶しているが?
204風と木の名無しさん:2006/07/07(金) 23:18:06 ID:dA60QrB5
良い字が浮かばんかったので適当に名前かえてみたのだが
兄者の名だったのか知らなんだ…スマソ
205風と木の名無しさん:2006/07/08(土) 07:28:51 ID:yS+v81sh
>>182
遅くなりましたが…なんかもうおなかいっぱいです。
やっぱり橙青はイイ!!青がカワユス…それを見守りながら苛める橙も好きです(´∀`*)
ここで読めるとは…ありがとうございました!
206風と木の名無しさん:2006/07/08(土) 09:55:30 ID:dVkVjs3V
>>201
名前変えるくらいなら/でも入れて欲しい
兄者の名前にまさかのヒットでさらにorz

つ萎えスレ
2071/2:2006/07/08(土) 10:09:48 ID:s1tcxU9S
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガオオクリシマース!モトネタハメル欄ダケド ネツゾウシスギテワカンナイネ!

査問会が終わった。
口ベスはこれまでの罪を許され、今後ともテンプラー防衛の任に当たることとなった。
妥当なところだろう。我が国はそれなりに豊かで秩序と文化をもった素晴らしい国家だ。
だが、他国への侵略を国是とするようなところと戦ってゆくのは大変骨が折れる。
ネオトピアと違い多くの庶民は自らを国家に守られるものとは思いはしても、国家を守るものという意識はない。
それも我々の善政あってのことだと自負はしているが・・・・。
考えに浸っている間に、賢人方は退席し終え、口ベスと二人取り残されていた。
薄暗い部屋に、不穏な空気が濃い霧のように立ち篭めているようだ。
彼が何か言い出すのではないかと不安に襲われる。私はおかしい、恐れる必要などあるものか。
何か話しかけよう、だが何を?そういえばデュマスと戦って手を怪我したとか。
テンプラーの政事を預かる者としてシャードキャスターのコンディションを気に掛けるのは当然の義務だろう。
よし。
「ごくろうだったな、もう傷の具合はいいのか」
「おかげさまで」
無表情に言いながら、彼は上衣を肌蹴て肩脱ぎになって見せた。
そうだった。その傷のことを失念していたことへの後悔、治癒の速さへの驚嘆、そして。

白い肌に僅かに赤く残る傷跡が模様のようだった。
当り障りのない労いの言葉でもかけて部屋を出ようと思うのとは裏腹に、私の手はあらわな肩先に触れていた。
白い肩に乗せられた手は、冷たい炎に焼かれるように感じられた。
それほど力を篭めたはずもないのに、彼はそのまま膝をついた。
そして両膝をついたままにじり寄り、両腕を廻してきた。彼の顔が腿に当たるほど近く。
驚きと当惑と怖れ。ひょっとしてこの男は気でもおかしくなったのだろうか。
そんなふうに膝を抱かれているのは、不自然で、おそろしいことだった。実におそろしいことだった。
だが、なんということだろう。
振り払う力はでなかった。
彼はじっと私を見上げた。
無表情の下に隠されていた、勝ち誇った目の光りが見えた気がした。
その目は私を引き寄せ、自分のほうへ引き下ろそうとしていた。
2082/2:2006/07/08(土) 10:13:15 ID:s1tcxU9S
手は彼の肩に置いたまま、私は彼から目を逸らし扉の方をみつめた。
どうするべきかは明らかだった。彼を引き剥がし、悪ふざけを叱って立ち去るのだ。誰にも見られないうちに。
口ベスの手が緩んだ。
見ると、その目は不安と疑念に彩られ、自信に満ちた光は消えかかっていた。

私はのろのろと跪くと、彼の頭を抱きかかえ、その顔を自分の喉に押し付けた。
髪に顔を埋めでも、彼はじっと身動きしなかった。そして言った。
「私を愛しているかい?」掠れた声だった。
「ああ」
そのひとことを口にするのは、ひどい苦痛だった。嘘だったからではない。
ただ、それが真実であって欲しくなかった。この男を愛するなど、これまで一度も考えたことはなかった。この男を愛したいなど、一度も考えたことはなかった。
彼は顔を上げた。
私は口付した。口付けをしながらも、心臓はしめつけられていた。その異様な痛みは生命の危機のように思われた。
こんな男を愛するようになろうとは!こんなものが愛だったとは!
執政官であるこの私が!人に知られたら、どれほど蔑まれ嘲り笑われることだろう。
世間に知られるとおもうと、辛かった。

彼がもう一度顔をこちらへ向けたとき、頬にはほのかに赤みがさし、目にはあの勝利と悦びの輝きが戻ってきていた。
「キスを」
その高慢な口調に気分を害しながら、再度短く唇を触れる。

一瞬の後、彼は乱れたままの服にマントを巻きつけ立ち上がった。
冷笑と蔑みの一瞥を残し出てゆく、その軽い足取りと姿勢の良い後姿を、私は呆然と見送った。
嵌められたことは理解できたが、何故こんな真似をされねばならないのかはさっぱり判らなかった。
拷問の恨みなのか、悪趣味なのか、脅しの種にでもするつもりなのか。

とにもかくにも、私を恐怖させた、愛などという唐突な啓示が妄想に過ぎなかったことに安堵する。
私の人生は守られたのだ。
しかしなぜか、胸の痛みは幻影肢のように続いていた。

STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! スッキリ!
209風と木の名無し:2006/07/09(日) 18:46:10 ID:14U3KMrr

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ドラマ舞組長舞英雄の学べ×巻男です…
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  この場面には多過ぎさんもいるはすがスルーで…
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
210学べ×巻男:2006/07/09(日) 18:49:29 ID:14U3KMrr
「ヤニ、ヤニ、ヤニィ〜〜〜ッ!」


 学生服を着てヤニと大声で叫びながら、猛ダッシュで帰ってくる我らが兄貴。
 ズボンの下に煙草を数本隠してる事、俺は知ってんすよ。
 どこで吸ってるんだか知らないけど、学校から帰って来た兄貴から少しだけ煙草の匂いがするんだ。
 『吸ってない』って事を証明する為の演技なのか、それともただ今すぐ吸いたいだけなのか。
 
「っはぁ〜!うめぇ!!!」
「兄貴、お勤めご苦労さんでした」
「おうよ」
「なんか兄貴、学校に慣れてきた感じしますね」
「あ?」
「楽しいっすか?」
「…クソだよ、学校なんて」

 判りきってる質問、そして心の中でホッとしてる俺。
 一日の半分を、兄貴は俺の目の届かない所で過ごしてる。
 慣れていない学校生活を過ごしている兄貴も不安だけど、兄貴の事は全部知っていたい。
 兄貴の事で知らない事が増えるのが怖いんだ。
211学べ×巻男2:2006/07/09(日) 18:50:01 ID:14U3KMrr
「あっ、でもよぉ!今日一日12個限定のプリンをゲットしてよ!ありゃぁマジうまかった!」
「………」
「マジ嬉しくってさぁ、ゥウォーターってよぉ、桜ナントカとバカみてーに叫んじまったわ」

 くそだなんて言っておきながら、兄貴のこんな嬉々とした表情を見るのは初めてだ。
 あぁ、もやもやする。
 俺の好きな兄貴は、こんなんじゃなかったはずだ。
 日に日に口にする回数が増える桜ナントカと言う名前も。
 無邪気に笑う兄貴も。
 それを可愛いなんて思ってしまう俺も。
 …もやもやする、イライラする。

「お、おぃ、んな怖ぇ顔すんなって、遊んでるだけじゃねぇぞ!?」

 イライラがどうやら顔に出てしまっていたらしく、兄貴は少し焦ってフォローをし始める。
 少し不安気な表情で俺の顔を覗き込んで。

「プリンなら俺が美味しいの作ってあげます」
「あぁ?」
「だったら、桜ナントカってのと話す事もないでしょう!?」
「でもよぉ……あ!」
「どうしたんすか」
「そっかそーゆー事か」

 兄貴はニヤニヤして、俺の顔を見つめる。
 きっと俺の醜い嫉妬なんていくら兄貴だからって、見透かされてるんだ。
212学べ×巻男3:2006/07/09(日) 18:50:47 ID:14U3KMrr
「そぉだ、プリン争奪戦で無茶してよぉ、また制服のボタン取れたんだわ、つけとけよ」
「あ、はい!」
「なんつーか、俺、こうゆうの、お前にしか頼まねぇだろ?」
「はぁ…」
「その辺もうちっと察しろよ…」
「兄貴…!」
「で、何日かかんだ?」
「はいっ?」
「プリンだよ」
「えっと…三日でなんとかします!」
「ぜってーだな!出来なかったらブッ殺すかんな!」
「誰だと思ってんすか、俺、兄貴の為なら何でもするって知ってるでしょ?」
「…ま、まーよ……」

 少し赤くなって、そっぽを向く兄貴。
 そうこうしてる内に、兄貴の銜える煙草がどんどん短くなっている。
 兄貴の口から煙草を取り上げて、一口吸ってから灰皿へ捨てた。

「バッカ……!おまっ…、何してっ…!!」

 真っ赤になって口をパクパクさせる兄貴。
213学べ×巻男4:2006/07/09(日) 18:52:17 ID:14U3KMrr
「俺吸ったやつ、お前が吸ったらアレじゃねぇかよっ…!」
「兄貴、間接キスって言うんですよ」
「そ、そーだよ、それだよ!!ふざけんな!!」
「ふざけてないすよ」
「あァ!?」
「俺、不安なんすよ。学校行ってる間兄貴は何してるかわかんなくて…」
「……」
「兄貴の口から知らないヤツの名前が出てきたり…俺が嫉妬してるのわかるでしょ?」
「……怒鳴って悪かったよ」

 顔を赤らめたまま、口を尖らせる兄貴。
 だめすよ、そんな誘うような仕草したら…。

 チュッ。

 ほら、止められなかった。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!」

 ブチッ。

「ブッッッッ殺す!!!!調子乗ってんじゃ無ェェ!!」


 車の中で大暴れする兄貴を静めるのは大変だったけど。
 俺の中のモヤモヤが少し晴れた気がした。


214風と木の名無し:2006/07/09(日) 18:53:40 ID:14U3KMrr
____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ぬるすぎ… 駄文失礼しました
 | |                | |     ピッ   (・∀・;)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
215風と木の名無しさん:2006/07/09(日) 19:05:53 ID:lMAocbRS
>>209-214
ぶっはー萌えた激しく萌えた!!
GJすぎてじたばたしますよー
昨日初めてしってどっぷりイったドラマだったからもう
次回からビデオ欠かさず録ろうと思うよ
ありがとうありがとう!!
216風と木の名無しさん:2006/07/09(日) 19:13:24 ID:lMAocbRS
ちょっ、誤字に気づいたorz

>>215
×イった
○いった

一発変換でこれってどうなのATOKさんー!
ほんとうにすみませんでしたorz
217風と木の名無しさん:2006/07/09(日) 19:37:51 ID:peJbxovo
>>209
GJGJ! 禿げ萌えました(*´Д`)
姐さんありがとう!
218風と木の名無しさん:2006/07/09(日) 21:04:37 ID:72b64Q9P
>>209
おもしろかったです、ありがとうございました!
219風と木の名無しさん:2006/07/09(日) 21:19:29 ID:T2wdm8aB
>>209-214
とんでもなく萌えました姐さん!!!
ちょっとヘタレな舎弟とガキっぽい牧夫禿げ萌え〜(*´Д`)
ありがとう!
220風と木の名無しさん:2006/07/09(日) 21:38:25 ID:nWh5tDhB
>>209
GJ姐さん!!禿げた…初めて禿げたよ!!!
姐さんのおかげで学べ×巻男に拍車がかかった(*´д`)
221風と木の名無しさん:2006/07/09(日) 22:03:01 ID:EpKHTYHI

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  英雄の事務官×検事
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  1ヵ月後を捏造
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2221/2:2006/07/09(日) 22:04:49 ID:EpKHTYHI
「電話です」
きまじめな声が届く。姿勢を崩している検事に仕事中だとたしなめるような口調だった。
「誰からだよ…」
荷物の整理に追われる検事は突然の電話にいらつきながらも受話器をとった。
一応姿勢を正して応対しようとすると、向こうから声が聞こえた。
「あの」
話し出そうとした途中で検事は言った。
「シガルさん。ですよね」
言い当てられた電話の向こう側の事務官は、少し声のトーンが上がる。
「覚えてくれていたんですか」
しかし、事務官の質問は余計だったようだ。検事の返答は、事務官を落ち込ませるものだった。
「覚えていたというか、まだ1ヶ月くらいしか経ってないし」
「そうです、か」
「あ、すいません。…で、何の用事ですか」
あからさまに落ちた声のトーンに、検事は何となく謝った。わずかな沈黙の後に話題を変える。
2232/2:2006/07/09(日) 22:05:54 ID:EpKHTYHI
「用事は特にないというか、あることにはあるんですが」
事務官の始めたいつもと違うあいまいな話に、検事は首をかしげた。
「あることにはあるって」
「明確な理由はありません」
事務官は申し訳なさそうな口調で何とか言いきった。
受話器から聞こえる声だけで、事務官が相当に困っているのは分かった。
「その理由で電話繋いでもらえたんですか」
「前居た所の事務官だと言って繋いでもらいました」
「…職権乱用?」
電話の向こうの事務官には見えない笑顔で検事は言った。
「迷惑ですよね」
「いーですよ、全然。もう少しでこっちがかけるとこだったし」
随分はっきりと想いを口にしたはずが、事務官には全く伝わっていないらしい。
事務官はまた申し訳なさそうに謝っている。
くるんと巻かれた毛先をいじりながら、検事は次の言葉を言おうか迷っていた。少しして検事は言った。

「シガルさんは気づくの遅いんすよ、ちょっとだけ」
224風と木の名無しさん:2006/07/09(日) 22:07:10 ID:EpKHTYHI
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 少女漫画か
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
225風と木の名無しさん:2006/07/09(日) 22:14:25 ID:Pq42zn9B
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  先日失態をおかした勝利投手の独白だよ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  短っ。しかもファンでも無いくせに
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

某スポーシの投手2人です。
すみません…この糾弾ファンでないので、詳細違ってたらスミマセン
エピソードに萌えてしまったので突発的に投下しまつ
226風と木の名無しさん:2006/07/09(日) 22:15:14 ID:Pq42zn9B
洗って返そうと思ったんだけど、彼は笑って「そのままでいいよ」って受け取った。
汗を吸って、臭いだろうに嫌な顔ひとつしないで。
ホテルに備え付けられているランドリーに歩いていく。
俺も、なんとなしに付いて行く。
「今日も良かったな、おめでとう」
「・・・いえ」
こいつなんで付いてくるんだろっ、て思われたかな。
でも俺は、この人がそんな細かいコト言わないのを、知っている。
この人の優しさを知ってるから、どこかで利用してることも、自覚してる。
ズルイってわかってる。でも、そういう自分は、嫌いじゃない。
「でもさ、自分の登板日にユニフォーム忘れるってスゴイよなー。お前、やっぱ大物だわ」
ホントは、ブルペン捕手の人のユニフォームを着るはずだった。
俺の体型はタテにひょろひょろと長くて、その人くらいしか
俺の体格に合うユニフォームを持っていなかったから。
でも、俺はイヤがった。
このチームは概して他人に甘いから、俺のワガママは難なく通って。
「じゃあ誰のならいいんだ?」って、苦笑と共に問われた。
227風と木の名無しさん:2006/07/09(日) 22:18:31 ID:Pq42zn9B
決まってるじゃないか。俺が着たいユニフォームなんか、ひとつしかない。
指名されたこの人はひどく驚いていた。
だって彼は俺よりも10センチ以上も身長が低い。
でも俺は、この人のじゃなきゃ、どうしても嫌だったんだ。
どうしてか、なんて、言うつもりもないけど。
「ウン、やっぱお前スゴイ。まだ先の話だけどさ…やっぱメジャーとか目指してんの?」
ふと彼の口から漏れた言葉。
彼には何の他意も無かっただろう。
でも、俺は、その言葉が、妙に癇に障った。
他の誰かになら、いくら聞かれてもいいんだ。でも、この人には聞かれたくない。
ここ以外に行くのか、なんて、楽しそうになんか聞かれたくない。
「行かないスよ」
強い語気で、この雰囲気にそぐわない強い語調で。
もしかしたらかすかな怒気も含んでいたかもしれない。
俺の言葉に、彼はびっくりしたみたいに、振り返った。
「え?」
「絶対行かないス。俺はここにいたいから」
その意味を、彼は探りすらしないだろう。
「ここにいたいんスよ」
だって、ここにしか、あんたはいないじゃないか。
228風と木の名無しさん:2006/07/09(日) 22:19:24 ID:Pq42zn9B

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ お粗末様
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
229風と木の名無しさん:2006/07/09(日) 23:23:47 ID:DWg6fbS6
>>225
GJ!!山羊美ッ酒ですな!
さすが姐さん仕事が早い、ご馳走様でした
230風と木の名無しさん:2006/07/10(月) 00:10:42 ID:XLHsQnv3
>>221
萌えた…!!
くっきりはっきり中の人で脳内再現して禿萌えた!
事務官も検事も可愛いよ、GJ!少女漫画な2人大いに歓迎!
231風と木の名無しさん:2006/07/10(月) 07:49:14 ID:UL0Cogib
>>221
チラ裏で叫びつつ、待ってましたよ〜。職人様GJ。あの事務官のニブっぽい所が萌え。
232風と木の名無しさん:2006/07/10(月) 10:19:31 ID:ntmXb6M7
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

また
ただ今昼ドラ脚本家×ただ今オカマ役俳優
先日までやっていた公演後、皆で遊園地に行ったらしいので。

クウキヨマズニ トウカシマス
233おおちゃか 1/2:2006/07/10(月) 10:21:40 ID:ntmXb6M7

パシャリ。
ポラロイドカメラから出てきたソレをぺらぺらと振る。そうすると早く見れるって聞いたような。
「振っても関係ないよ」
「そうなの?」
「…あ、暗い」
四角い中に表れた自分の姿に、亞辺くんが呟いた。
フラッシュたき忘れたし、これ…俺の影で暗くなってる。
…近づきすぎたかな。
まぁいいや。他にも何枚か撮ったし、これから外に行くしね。
何年ぶりかな、遊園地なんか。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐

……ぁー、頭がね。ぼぅっとする。いや、すわーっとする。表現しにくいけど。
テンションが上がってるのか下がってるのかよく分からない。一周して、多分いい気分。
遊園地なんかそう来ないしね。塔も、ここから見ると結構迫力あるよ。
なんて事を考えながらメリーゴーラウンドの四十路をパシャリ。
出てきたものをやっぱり振ると、横からにゅっと小さな頭が現れた。
「振っても関係ないよ」
「うん」
返事しつつそのままぺらぺら振って、ポケットに突っ込んだ。多分ブレてる。うん、まぁいいや。
234おおちゃか 2/2:2006/07/10(月) 10:24:31 ID:ntmXb6M7
ぐるぐる廻る遊具を見て、亞辺くんがくすくす笑う。少し俯いて、軽く口元を押さえて。
帽子で顔がよく見えない。代わりに、もみあげや襟足のふわふわした金髪が見えている。
つやつやの黒髪もいいけど、ヒヨコのようなこの髪も似合う。色白の肌にぴったりだから。
「…痛い、句洞さん痛いもみあげ痛い」
「ぁ、ごめん」
思わずつまんでいたらしい。手を離しても、柔らかい感触が指に残ってる。
不満そうな目が俺を見て、すぐ逸らされた。
「…なんか、目の下にくまがある」
回転するおっさんと馬達を眺めながら、小さな声で呟く。
「ん、メイク。…うそ」
「…や、嘘は分かってるけど。大丈夫?」
ちら、とまたこっちを向く目。色の淡い、ビー玉みたいにキレイな瞳。
だって、来たかったんだよ。亞辺くんと遊園地。
どれだけ必死だったか、もう格好悪くて言えないくらい。
「大丈夫」
「ほんと?」
頷いて、少しかさついてるけど柔らかい手に緩く指を絡めた。
あぁ、頑張って仕事終えて良かった。君と手を繋げられる。
「大丈夫。寝てないだけだから」
痛い、と聞こえるまで、小さな手を強く握った。
235風と木の名無しさん:2006/07/10(月) 10:28:55 ID:ntmXb6M7
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )お目汚しスマソ

ユウエンチナンテ… ミンナカワユス
236風と木の名無しさん:2006/07/10(月) 21:35:01 ID:izCqOHJh
>>233-234
ハァハァハァこのかわいこちゃん達めー!(´д`*)
佐田ヲちゃんテラモエス
237風と木の名無しさん:2006/07/10(月) 21:40:34 ID:+51HkDqH
>>232
姐さんGJGJ!!この二人大好きだ!ありがとう。
遊園地で寄り添いあう感じの二人すごく萌。
238風と木の名無しさん:2006/07/10(月) 23:16:46 ID:xkJmsCfp

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  オリジナル。とある電波会社の課長と部下の一週間。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  電波ゆんゆんです。ご注意下さい。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ SSデモナンデモナイ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
239とある電波会社の月火曜日:2006/07/10(月) 23:17:23 ID:xkJmsCfp
とある電波会社の月曜日
「北岡君、私はたまに真っ白な世界に行きたい事があってね。」
「はあ。」
「何も存在しないんだ。床も、天井も、空も、埃の一つさえ。そして私も。
  彩度は存在しない。」
「はい。」
「光も影もだ。光が当たれば当然当たっていないところは影が落ちて灰色になって
  しまうだろう?」
「まあ、そうですね。」
「何も。存在の有無も考えさせないような。視界はただひたすらに白で。」
「はい。」
「白だけ。白だけしか存在しない世界に行ってみたいとたまに思うんだよ。」
「終業後に視界は真っ白にしてさしあげますから今は仕事してください課長。」

とある電波会社の火曜日
「ふと思ったんだが。」
「はい。」
「白は体験させて貰ったよ。一瞬だったからあんまり覚えてないけどね。
  じゃあ黒はどうなんだろう。」
「黒というと。」
「真っ黒な世界。」
「部屋の明かりを消せば。」
「完全な黒ではないだろう?」
「目を閉じれば。」
「ムーミンパパは瞼の裏が見えると言っていた。」
「・・・目を潰してさしあげましょうか。」
「それは「してみたい」だとかそういう事の域じゃないだろ。」
「その程度の認識の物事考えるくらいなら、書類に目を通して下さい課長。」
240とある電波会社の水曜日:2006/07/10(月) 23:18:30 ID:xkJmsCfp
とある電波会社の水曜日
「たまにどうしようもなく切なくて、苦しくて、泣きたいときってあるじゃない。」
「まあ。」
「そういうときってどうすればいいんだろう。」
「気が済むまで泣いて叫べばいいじゃないですか。」
「でも切なくて嫌だ。苦しくて嫌だ。」
「他の事で気を紛らわせたらどうです。」
「眠れない、書物にも集中できない、作業が何も手に付かない。そういうときもある。」
「誰かにあたったらどうですか。」
「あたった相手がそれで嫌な思いをするのはもっと苦しくて嫌だ。」
「僕にあたって下さい。」
「毎回あたったら嫌じゃないのかい。」
「嫌ではないです。」
「あたって、それで解決するのかい。私は苦しくなくなるだろうか。」
「疲労させて思考を途絶えさせて記憶を飛ばしてから寝付かせて差し上げます。」
「以前君にあたったときもそうだったけどそれ、起きたら腕に痣が残ってるんだよね。」
241とある電波会社の木曜日:2006/07/10(月) 23:19:15 ID:xkJmsCfp
とある電波会社の木曜日
「昨日の続きだけど、君はそういう事無いの。」
「そういう事と言いますと。」
「苦しくなったり切なくなったり。」
「僕はたまに何かを壊したくなります。」
「へえ。」
「何でも。見える物もある物も全て。」
「生き物もかい。」
「何でもです。」
「壊すってどんな風に?」
「何でもいいんです。八つ裂きバラバラとか、無機物なら金属とプラスチック、
  有機物なら骨と肉に完全に解体するとか。首を落とすだけでも。
  そこらへんは気分です。」
「たとえば私なら何?」
「毒で長々と苦しませてその姿を楽しみたいです。」
「嫌な殺し方をするね。でもそれは殺し方であって壊し方では無い気がする。」
「破壊する方法は思いつかないのです。あまり外傷をつけたくない。」
「多少の傷は構わないんじゃない?心臓一突きとかでも。」
「傷をつけたいだけなら自己再生能力が働く生きている内に、殺さない程度にやります。」
「君が怖くなってきた。」
「ならば馬鹿な事聞いてこないで仕事してください課長。」
242とある電波会社の金土曜日:2006/07/10(月) 23:20:14 ID:xkJmsCfp
とある電波会社の金曜日
「この間部下の子に血液型何型ですかって聞かれてさあ。」
「ええ。」
「答えるのに困っちゃってさあ。私血液型調べたことないんだよね。」
「へえ。」
「それ言ったら調べたほうがいいって。もし大怪我とかしたらすぐ処置出来ないじゃないですかー、って。」
「それは別に調べなくてもいいとおもいますよ。」
「でもさあ。」
「課長採血とか針刺すの嫌いじゃないですか。」
「ううん、でもなあ。」
「・・・もしもあなたが献血される様な事があったとき、何型か分らなくて
  梃子摺ってる間にあなたが死んでしまえばいい。あなたの中に
  他の人間の血が入るならあなたが死んだ方がマシだなどという僕の想いを
  どうしてあなたに伝えられましょう。」
「声に出すなよ。」

とある電波会社に勤める二人の土曜日
「何か、映画借りてくるとか、本買ってくるとかしない?」
「僕はいいです。」
「新しい物を見聞きするのは良い事だと思うんだけど。」
「なぜです?」
「だって、可能性が広がるじゃない。」
「あなたは僕の死ねる可能性を常に摘み取っている気がするんですが」
「それは嬉しいね。」
「そしてあなたの、僕に構っている間に他の事で得れる可能性も摘み取っている。」
「それも嬉しいね。」
243とある電波会社に勤める二人の日曜日:2006/07/10(月) 23:20:52 ID:xkJmsCfp
とある電波会社に勤める二人の日曜日
「最近思ったんだが。」
「はい。」
「君、休日も課長っていうのやめてくれない?」
「別にいいじゃないですか。」
「何かやだ。」
「課長は課長ですから。」
「休日は片方の自宅で暇を持て余す仲でも?」
「課長は課長です。」
「君、私の名前ちゃんと知ってる?」
「勿論です。」
「呼んでよ。」
「・・・コロ助。」
「それは猫の名前だ。」
「めぐみ。」
「それは妹。」
「聡一郎。」
「それは社長だ。」
「次長課長。」
「私はお笑いコンビじゃない。課長課長と言う割りに上司に向かって
  雑誌捲りながら生返事かよこの野郎。」
「今日は休日ですから知之さん。」
244風と木の名無しさん:2006/07/10(月) 23:21:25 ID:xkJmsCfp

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ユンユンイガイノ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )   ナニモノデモナイ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
245風と木の名無しさん:2006/07/10(月) 23:27:17 ID:mmxITYg+
いやでも日曜日の二人のオチにはギガモエス
246風と木の名無しさん:2006/07/10(月) 23:31:27 ID:K7hjlAgB
>>238-244
のなーの絵に、脳内で自動変換されてしまって、萌えつつ笑わせて頂きました。
247風と木の名無しさん:2006/07/11(火) 00:04:19 ID:M8pzM9k2
なんか静かに萌えるなあ。またお願いします(*・∀・)スキダ
248風と木の名無しさん:2006/07/11(火) 00:27:59 ID:4Lf1OtTJ
>238-244
禿萌えた
二人の関係と会話がツボでした。
課長の体験した「白い」体験をkwsk知りたい…

GJです、姐さん。
249風と木の名無しさん:2006/07/11(火) 00:40:26 ID:QKo1nZbE
>>238-244
うあー…知ってるジャンルのだけあれば読もうとか思って来たら
いつの間にか引き込まれていましたよ姐さんGJ!
素敵だ…凄く素敵だ。>>247の「静かに萌える」っていうのが
凄くしっくりくる表現だと思います。
250風と木の名無しさん:2006/07/11(火) 01:28:33 ID:ipKbc+Z9
>>238
萌えた!課長カワユス
痣ってどんな激しいプレイしてんだ部下よ(*´Д`)
251風と木の名無しさん:2006/07/11(火) 03:22:45 ID:DeR9GmSQ
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | ナマモノ捏造。元ネタは『今日見たTV〜』スレから。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  番組見てない人には、全く意味不明だね。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

252ある男の呟き。1:2006/07/11(火) 03:24:26 ID:DeR9GmSQ
神様、ほんの少しの間だけで良いのです。
どうか僕の話を聞いてください。
僕の理想とする伴侶は、小柄で可愛らしく少し我儘な部分を持った女性です。
常に隣で自分の服の裾を掴むように甘えて、その大きな瞳で上目づかいに
見つめていて欲しいのです。
懲りない男だと言われても、どうしてもそこは譲れないんです。
ああ神様、それなのにどうして。
いま僕の目の前には、大柄で柔らかな物腰と穏やかな瞳で僕を見下ろす男性が
居るのでしょうか。

ちゃんと成功した自分の料理をどうしても食べて欲しい、という彼の言葉に応えたのは
たまたま番組収録後のスケジュールが空いていたからだった。
今日は特に誰かと約束をしているわけでもないし、一人で食べるより二人の方が楽しいに
決まっている。
その程度の軽い考えで、スタジオの近くだという彼の自宅に上がったのが3時間ほど前の事。
独身男性の部屋とは思えない位すっきりと片付いた部屋と、手早く出されたシンプルだが
随所にこだわりの有る料理は、彼が番組中に話していた通りにきっちりとした生活をして
いる事を感じさせた。
そしてそれが、彼と『結婚』という言葉を結び付かせない原因だとも。
253ある男の呟き。2:2006/07/11(火) 03:25:24 ID:DeR9GmSQ
幾度目かに空になった水割りのグラスをテーブルに置きながら、俺はしみじみと呟いた。
「いやー、ほんまになぁ…君が女やったら、嫁さんに欲しい位やわー…」
確か昼間にも、似たような言葉を言っていた気がする。
彼はその時のように声を上げて笑うわけではなく、静かに微笑んで自分のグラスを傾けた。
座り心地の良いソファに深く身体を預けて天井を見上げながら、俺は尚も言葉を続ける。
「料理も家事もしっかりしとるし、優しいしなー…ええ子やね、ほんまに。
 はよ可愛い嫁さん見つけやー…」
俺も人の事は言えんけどな、と笑ってグラスに手を伸ばす。
だがそれは手元には無く、彼がおかわりを作ってくれている最中だった。
本当に、よく気が付くものだ。
「じゃあ、本当に結婚しちゃいましょうか?僕たち二人で」
彼もだいぶ酔って来ているのだろう。
グラスをテーブルに置き直した後、そんな事を言って隣に肩を並べてくる。
「おー、それもええなー…マスコミの連中、驚くでー…?」
部屋の照明が遮られた、と思った瞬間に額に何かが触れてくる。

何か、じゃない。
自分自身、何度もしてきた行為だ。
けれど、これは…この状況でされるのは、おかしいだろう。
254ある男の呟き。3:2006/07/11(火) 03:26:27 ID:DeR9GmSQ
「はっ?えっ…えっ?」
我に返った頃には既に遅く、いつの間にか両肩に手を置かれやんわりと押さえつけられていた。
「いや、あの…どうしたん…?」
「…嫌ですか?」
新手の冗談かと問おうとした声は、低くしっとりとした囁きと慈しむような表情に消されてしまう。
どうやら、冗談でも何でもないらしい。
「あー、いや、そのー……嫌か言うたら、正直そうでも無かったな…」
嫌だ、と言えば離してくれるのだろう。
けれど、そうは思えなかった。
そこに有るのは純粋な感情ではなく、久しぶりに触れた人肌への恋しさだったり、誰かに優しくされる
事に対する心地良さなだけなのかもしれないけれど。
彼の唇の感触や、自分に向けられる柔らかな好意を心地良いと思ったのは事実だった。

その答えに少し気を良くしたのだろう、彼は笑って今度は俺の頬に唇を触れさせる。
「すみません…何だか僕、今日一日ですっかり貴方の事が好きになってしまったみたいで…」
多分、彼も似たような状況なのだろう。
真剣というには余りにも軽過ぎる告白と、子供を抱く時のように柔らかな抱擁。
「んー、まあ…ええんちゃう?これはこれで…」
彼の背に両腕を回し、ポンポンとあやすように叩いてみる。
255ある男の呟き。4:2006/07/11(火) 03:29:06 ID:DeR9GmSQ
ある意味、とても自分らしい気がする会話の流れに、知らず笑いが込み上げて来てしまった。
何だかとても適当で曖昧で、やけに穏やかな最初の一段階。
けれどこんな形もたまには悪くないなと思いながら、俺は三度降りてきた唇を受け入れる為に
目を閉じた。

神様、もう一つだけ教えてください。
「僕の家は、貴方の所とは逆で寝室は音が響かないんですよ。
 …声、押さえなくても平気ですからね」
僕はもしかして、早まった事をしてしまったんでしょうか。

256風と木の名無しさん:2006/07/11(火) 03:29:39 ID:DeR9GmSQ
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ お目汚し失礼致しました。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
257風と木の名無しさん:2006/07/11(火) 09:26:16 ID:Q2awQ1q3
番組は残念ながら見逃したけど、今日見たスレで萌えてたので
GJ!GJ!

258風と木の名無しさん:2006/07/11(火) 09:55:42 ID:NyY/ZA6w
もしかして、レースエプロンを通販購入で仕込んだ天パ×出っ歯

でつか……!?
おおおそれリアルタイムで見て禿萌てたGJ!!
259風と木の名無しさん:2006/07/11(火) 11:16:29 ID:7//WTl/G
>251GJ
めちゃくちゃ萌えて、思わず今日見たスレを見返してきてしまいました。
早とちりした姐さんを傷つけまいとするその心意気もステキだ。
260風と木の名無しさん:2006/07/11(火) 11:19:50 ID:ykWZNTW4
>>251
禿げ萌えた…!
つか、最初何故か城/島リーダーかと思って
相手誰だ?と考え込んでしまったw
261風と木の名無しさん:2006/07/11(火) 11:43:21 ID:EVsqSNZa
>>251姐さんGJ!!
地方だから、放映されるのをまだかと首を長くして楽しみにするよ!
あの美しい人がそんな人だったとはw
>>260
ノシ
262風と木の名無しさん:2006/07/12(水) 20:49:14 ID:dkPOOIAL
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 | __________  |
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 | | |> PLAY.       | |
 | |                | |           ∧_∧
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 捕手→秘書です、一応。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
263風と木の名無しさん:2006/07/12(水) 20:49:51 ID:dkPOOIAL
その日、彼はとても安堵した。
画面に表示される写真と文章、香水の写真と普段どのように使っているかが書いてあるだけのブログ。
しかしそれは、彼の疑問を氷解させるには充分だった。

彼の疑問は遠征先の宿舎、まだ眠い朝の時間に始まった。
朝から元気な者もいれば、半分寝ているような状態で歩いている危なっかしい者もいる中で、彼は比較的元気な部類だろう。
慣れてないせいか思いっきり眠そうな新人や、寝ぼけているせいで先輩に失礼な事をしている若手をからかっていた。
すると、向こうから監督が来た。
「監督、おはようございます!」
「おはよう、朝から元気やね」
挨拶をしてすれ違うと、女物の香水の香りがした。
別に女といた訳ではない、仲の良い他球団のスター選手から貰った香水なのだ。
流石に監督はおしゃれだな、などと思いながらスタッフ・裏方の集まりにも挨拶をする。
その中から、一際元気のいい声が聞こえる。
「あ、先輩! おはようございます!」
「おはよう」
彼を先輩と呼ぶのは監督秘書だ、入れ違いではあるが同じ大学を卒業しているので今でも先輩と彼を呼ぶ。
秘書は元選手で、選手の中にあまり同じ大学出身の者がいないせいか何かとよく話していたのだ。
あいつも頑張ってるんだな、と秘書が選手だった頃からよく知っている彼は思う。
自分も頑張らないとな……と気を引き締めようとした時、彼の鼻先にあの香りがよぎった。
監督と同じ、女物の香水の香り。
彼は香水に詳しい訳ではないが、流石に連続で同じものをかげば同じものか違うものかぐらいはわかる。
それも、香水を付けている人間からするはっきりとした香りではなく、うっすらと……
あたかも、その香りのする人と一緒にいたかのような…
264風と木の名無しさん:2006/07/12(水) 20:52:28 ID:dkPOOIAL
ぼんやりとした疑惑が像を結びかけるが、「そーんなわけない」と心の中で自分にツッコミを入れて笑いで消す。
なぜ同じ香りがしたのか、ただそういう疑問だけに留めておこうとして数日がたった。

ブログに書かれた内容を見て、彼は安心した。
同じ香水を使っていて、寝る前に部屋に撒いていればそんな香りもするだろう。
第一、就任一年目の監督がスキャンダルの元を作るわけがない。
そんな大きなスキャンダルなら、とっくの昔にどこかが嗅ぎ付けているだろう。
ここまで考えたところで、また疑問がわいてくる。
──何で俺、こんなにほっとしてるんだ?
もちろん、指揮官のスキャンダルでチームの士気が下がるという危機が回避されたのは大きい。
だが、それより……
彼は自分のプロ入り初のHRボールを手渡してくれた時の、秘書の笑顔を思い出していた。
画面を下にスクロールすると、以前の記事のタイトルが見える。
『先輩、良かったですね!!』
HRボールが見つかった時の記事だ、秘書は自分のブログでファンに呼びかけてHRボールを捜し、彼に届けてくれたのだ。
──何で、こんなにほっとしてるんだろうなあ。
答えが出ないままHRボールが見つかった事を、自分の事のように喜ぶ記事を無意識に読み返していた。
あの笑顔を、思い浮かべながら。

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 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 終わりです、想像パート多すぎた。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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265風と木の名無しさん:2006/07/12(水) 22:12:03 ID:ygsAMYlu
>>262
ホホエマシスwっていうか通ー算がやったあの女性物香水
結局本人が使ってるのかwww
266風と木の名無しさん:2006/07/13(木) 22:43:24 ID:YyLGbLLK

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  戸氏鯛項がはじまるので、その記念に
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  あま屋旧好き〜
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
*現在2人(感得もなので3人?)共ぷろに入っています。
*物語自体は2年前のあま時代でつ。
*ひとりは九階の銘酒の九段、もう一人は北の九段にはいりますた。
2671/4:2006/07/13(木) 22:44:08 ID:YyLGbLLK
寮の一室に呼び出された理由はわかっていた。
携帯電話の留守電に、今すぐ来いと年下の男の怒鳴り声が入っていて、小さく笑う。
「…まったく」
子供っぽい、と口の中で呟く。
部屋に入ると予想通り、既にぴりぴりとした緊張感が漂っていた。
「…なんでだよ…」
部屋の主は、隠そうともしない怒りを孕んだ声を出す。まっすぐ怒りをぶつけられた当人は、
あえて鈍いふりをして、苦笑して見せた。
「…なんのこと?」
「っざけんじゃねぇよ!なんで残留なんだ!?お前、自分の状況わかってんのか!」
余裕を装ったことが裏目に出たらしい。
ドアの傍に立っていた細身の男は、怒りを噴出させた部屋の主に胸倉を掴まれ、
安物のベッドに力いっぱい投げ飛ばされた。
ぎしぃっと嫌な音をたてて軋むスプリング。波打つシーツ。
寄せられる眉。
「っ…ぃた、ちょ、暴力、反対」
「お前、わかってんのかよ、お前もう26歳なんだぞ、来年27なんだぞ!?
この機会逃してプロに入れるチャンスあんのかよ、27歳なんてアスリートん中じゃ
若くもなんともないんだぞ!?」
ベッドで腰をさする男に詰め寄るその表情は憤りに歪み、
感情を持て余す子供の表情そのものだった。
(マウンドでも日常でも変わんないな…)
2682/4:2006/07/13(木) 22:44:51 ID:YyLGbLLK
子供のように感情のコントロールが上手くない、と、彼は妙に冷静な頭で思った。
子供のような男は、この世界においていわゆる銀のスプーンをくわえてきた子供だった。
その才能の片鱗は幼い頃から光り、今ではアマ球界NO.1と言われる剛球右腕だ。
今年のドラフトでもいくつもの誘いを受け、彼が選んだのは
球界において盟主と呼ばれるところ。
その才能に相応しい華々しい舞台が用意されただけのこと、と、細身の男は思う。
そしてまた、天才とは程遠いが、堅実に実績を積み上げてきた彼もまた、
同じところから下位のドラフト指名の打診を受けていた。
それはほとんど注目されないほどの下位での打診だったが、
それでも彼にとっては涙が出るほど嬉しかった。
しかし、『彼は自らの意思で』会社を通じてそれを退けた。
それが数日前の話だ。
そのことが、この煌く才能を持つ男の逆鱗に、触れた。
「チャンスだろ、どうして残留なんだよ!お前プロに絶対入るって言ってただろ!
来年以降指名されるって保障なんてねぇんだぞ!」
約束したじゃねぇか、と子供のように詰め寄るその表情は、怒りにも悲しみにも見えた。

練習でくたくたになった夜、ふたりで深夜のドライブに行ったことがあった。
暗い夜の中にひっそりと佇むドーム球場。
都会の真ん中にあるそれは、ふたりにとって憧れの舞台だった。
絶対、都市対抗で勝つ。そしてプロに行く―――。
闇の中のネオン、車の光、音、その中でこだまする誓いの言葉。
そう、あれは誓いだったはずだ。
そして、その切符は用意された。
2枚、用意された。
しかし、それを受け取ったのは、一人だけだった…。
2693/4:2006/07/13(木) 22:45:36 ID:YyLGbLLK
「お前はプロには出せない」
卓越した理論を持つ老将は、彼に向かってそう言った。
わざわざ呼び出された2人きりの監督室。
しばし静寂に包まれた。
彼は、一体何を言われたのか、一瞬理解に苦しんだ。
口をぽかんと開けた姿は、傍から見ればさぞ間抜け面に見えただろう。
「え……、あの、それは、どういう」
「すまない」
いつもの愚痴とぼやきしか吐かないその口から侘びが出たことに、彼は驚く。
ああ、これは命令ではないのだ。
自分は『彼』に必要とされている、ということ。
嬉しかった。
彼の投手としての人生が変わったのが、この老将に出会ってからだ。
打たれないほどの速球も投げられない、バットをへし折るような球威も無い。
何の特徴も無い投手だった彼を、プロに注目されるほどの投手に育てたのはこの老将だった。
これまで彼は、常に2番手、3番手でしかなかったから。
代わりはいくらでもいるような選手でしかなかったから。
だからこそこのチームを勝利に導くために残ってくれと頼むこの老将の言葉が、
プロへの憧れ以上の感動を持って彼の心に刺さった。
プロへ行ってもどうなるかわからない。
通用するのかしないのか、チームから必要とされるのかされないのか。
それなら、必要としてくれる人のために頑張る選択肢が優先されてもいいと彼は思った。
否、明確に「この人のために頑張りたい」と、痛烈に思った。
彼は差し出された華やかな舞台への切符を、自らの手で破り、捨てた。
そのことを、彼は後悔していないし、間違っているとは思っていない。
が、現状を考えると気が重いのは事実だ。
まさか、こんな状況に陥るなんて。
2704/4:2006/07/13(木) 22:46:12 ID:YyLGbLLK
「お前プロにあんなに入りたがってたじゃねーか!なんで今になって残留なんだよ!
どうせ監督になんか言われたんだろ!?ゴネろよ!あの監督、お前に甘かったじゃねーか、
お前がゴネりゃプロにでも何でも行かせてくれるよ!」
一度点いた火はなかなかおさまらない。
しつこくつめよられ、彼もほとほと嫌になってきた。
「…自分の意思だよ。だからお前にとやかく言われる筋合いは無い」
詰め寄る男を押しのけ、立ち上がろうとした途端、彼はふたつの腕で乱暴に押し戻された。
ひどく強い力でうつ伏せに両肩を縫いとめられ、息がつまり力の差に愕然とする。
「いた、ちょ、はなせ」
彼は顔をしかめながら抗議の声をあげたが、視線を上げてびくりと肩を震わせた。
(やばい…キレてる)
遠慮無くベッドに押し付ける力とそれに対抗できない非力さは、
彼らふたりの投球タイプをものの見事に反映していた。
180センチ台の身長から抛られる体重を乗せた剛球と、
170センチ台の身長から抛られる、制球が生命線のサイドスロー。
体重に至っては20キロの差があった。筋肉のつき方すら違う。
「ちょっ…やっ…アッ」
伸ばされた手が乱暴に股間をさぐる。思わず彼は声を上げた。
予想外の行動に、冷静さも吹き飛んだ。
「な…っにやってんだよ…っ、今日はヤだぞ、そういう気分じゃな…ッ」
「声出したらバレるぜ。バレたら俺もお前も完全に道閉ざされるな。確かあったよな、過去そー

いう事件」
「……!」
彼はその言葉に冷水をかけられた気分になった。あわててぎゅっと口を閉じる。
それでも快感は容赦なく襲ってくる。
「…ッ、ぅ、んんんっ…」
するりと太ももを指が滑る。吐息が首筋をくすぐる。汗と整髪料の匂い。
これらは変わる事のない感覚なのに、こんなにも嫌なのは、何故だ?
(かん、とく……)
混沌としていく思考力の隅で、師のことばがいつまでもぐるぐると渦巻いていた。
271風と木の名無しさん:2006/07/13(木) 22:46:48 ID:YyLGbLLK
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 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
272風と木の名無しさん:2006/07/13(木) 22:52:33 ID:K3Q+piBL
ちょwww割愛かよ!

ドキドキしながらスクロールした私のトキメキを返せw
273風と木の名無しさん:2006/07/13(木) 22:56:31 ID:e/12JSoS
>>266
ちょ、待って姐さん。
これ自分が最近読んで禿げ萌えたエピ

こ、こんな素敵な味付けされると…おお、もう
燃えて萌えて泣いた。ありがとう姐さん!!
274風と木の名無しさん:2006/07/13(木) 23:28:31 ID:C8iLZsHg
>>266
萌えながら>>271でハゲワロタ
過去にあったそういう事件て…アッー?
275風と木の名無しさん:2006/07/13(木) 23:40:25 ID:aXznsgib
>266
ごちです
276風と木の名無しさん:2006/07/14(金) 07:05:17 ID:RDuezCVu
>>266
元ネタまったくわからんが禿萌えた。ありがとうありがとう
277風と木の名無しさん:2006/07/14(金) 11:49:03 ID:w5XtDdln
>>266
慌てて昔のGSの先取名漢号を取り出してきて志太のページで
当時の身長体重を確認してしまったよ姐さん!70`て先輩軽すぎ!
278瀬戸内組パラレルその2:2006/07/15(土) 01:31:47 ID:eviHlYD4
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  前スレ422-425の続編です。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  ゲーム戦国BASARA瀬戸内人外パラレル
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 発売直前でテンションアガッテルヨ!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
279BASARA瀬戸内組 漁師×狐:2006/07/15(土) 01:33:15 ID:eviHlYD4

ゆうべの山の頂の、夕べの松の根方へもとちかは再び立っておりました。
ゆうべと同じに碇型の槍を肩に負い、しかしもう荷物は括り付けてありません。
代わりに、空いている方の手に、何か竹皮で包んだものを大事そうに握っております。
もとちかは暫くの間、立ったまま頻りに辺りを見回しておりましたが、
「ま、夜は長ぇし、な」
楽しげに呟くとその場にどっかと腰を下ろし、槍を置くと
今夜は腰へ括り付けてあった大瓢を取り上げ
月を見上げながらゆっくりと酒を口に含みました。
舌の上で転がして酒の甘さを楽しみながら、もとちかは掌の中の包みを見遣ります。
そして一人頬を緩めるのでした。
「ふふ…、おいしそう…」
不意に、頭上からねっとりと絡みつくような声が聞こえました。
はっとしてもとちかが顔を上げると、松の枝を伝ってするすると、
もとちかに近づいてくる気配があります。
常盤の緑の葉陰の間に間に、月光を受けてきらりきらりと白いものがきらめき、
気がつけばもとちかのすぐ目の前に、
チロチロと赤い舌を閃かした蛇の頭が迫っておりました。
「珍しい…潮の香りのするからだですね…。ふふ、粗野で気儘で、逞しくて大らかで…
 おいしそうですよ、あなた。と・て・も」
白い蛇の赤い舌が、もとちかの鼻先をちろりと舐めました。
280BASARA瀬戸内組 漁師×狐 2:2006/07/15(土) 01:34:40 ID:eviHlYD4
面食らって言葉を失っていたもとちかですが、くすぐったさに我に返ると、
「ハハ、驚いたな。この山の連中はどいつもこいつも、人の言葉で話しやがる」
楽しそうに言いながら、槍へと手を伸ばします。
しかしそれより素早く、蛇はもとちかの首に強かに絡み付いてきて、
もとちかの息は今にも潰れそうです。
「みつひで」
と、不意に別の声が、もとちかの耳のすぐ傍で聞こえました。
聞き違えるはずもありません。
琥珀の髪の、切れ長の目の、松葉緑の水干の、ゆうべの美しい男の声です。
じじつ、目に焼きついたままのあの男の姿が、いつの間にかもとちかの傍らに跪いていて、
蛇の頭を細い指でそっと捉えておりました。
「みつひで。この男は、我が眷属の恩人なれば、そなたに呉れてやる訳にはいかぬ」
ほんの少し、蛇の締め付ける力が緩み、もとちかの喉は蘇りました。
しかし、もとちかはそのことに気付いておりません。
なぜなら間近に見る男の横顔にうっとりと目を奪われて、呼吸も忘れていたからです。
蛇の体はゆっくりと、もとちかの首から解けていき、
代わりにもとちかの肩を支点として、己の頭を捉えている男の腕へと移って行きました。
蛇の尾は男の腕を捕らえて袖口から着物の中へ滑り込み、
男の指から抜け出した頭も、やがて袖の中へと消えました。
袖から胴、胸へと、男の着物の中で蛇が蠢くさまを、
もとちかは奇妙に落ち着かぬ思いで見つめておりました。
男は微かに眉を震わせておりますが、
冴え冴えとした面に読み取れるほどの表情は上っておりません。
281BASARA瀬戸内組 漁師×狐 3:2006/07/15(土) 01:35:45 ID:eviHlYD4
やがて、男の襟元から蛇が頭を覗かせ、ゆるりと細い首にひとまき巻きついてから
その頤から耳たぶ辺りを赤い細い舌で舐めました。
「あなたが、一族以外のものを気に懸けるなんて…それも、人の命を請うなんて、ね。
 とても驚きましたよ…ふふふ」
「言うたであろう。眷属の恩人なれば、いかな愚か者でも見殺しにはできぬ」
「そういうことに、しておいてあげましょう。この男も、助けてあげます。
 こんなあなたを見ているのは、面白いですから…ね、もとなり」
そう言うと、蛇は再び男の着物の中へ潜り込みました。
また胸から胴、腰へと、男の胴を木の幹にして、
蛇は螺旋状にゆっくりと着物の下を下りていきます。
帯の下を潜って蛇の体が男の腿に差し掛かった時、何故だかもとちかは堪らなくなって、
槍に手をかけ膝を立てました。
しかし透明に冴え渡った男の目と目が合い、動きを封じられました。
やけにゆっくりと、蛇は男の脚を伝って、漸く水干袴の裾から地面へ出ると、
さらさらと草を鳴らして遠ざかって行きました。
『みつひで』と自ら呼んだ蛇の姿が見えなくなるのを見届けると
男は音もなく立ち上がりました。
「お、おう…ありがとな…」
「同じ山にて二度も迷うな、愚か者は疾く疾く去ねよ」
もとちかの礼を遮って、苛立ちを滲ませた男の声がもとちかの頭の中に直に響きました。
そういえばさきほど、蛇と話している間も、男は唇を動かさずに声を響かせていたことに
もとちかはこの時気付きました。
282BASARA瀬戸内組 漁師×狐 4:2006/07/15(土) 01:37:35 ID:eviHlYD4
もとちかの顔を見ようともせずに、男がそのまま立ち去ろうとしたので、もとちかは思わず
「もとなり!」
さきほど蛇の言葉のなかにあった名を、呼びかけておりました。
男の眉がぴくりと震え、遠ざかりかけていた後姿が止まります。
「あ…お前の、名前だろ?…もとなり、って…。そう、呼んでもいいか?」
下手に近づくとかえって逃げられてしまいそうで、
もとちかはその場にておずおずと問いかけます。
「…いいも、何も。
 一度知られてしまった名を、取り戻すことなどできぬ」
すらりと細い後姿が、顔を見せずに言葉だけを返して来ました。
「え?…あ、悪い、知られたくなかったか…」
男の顔も心も見えぬことに、もとちかは苛立ちと恐れを二つながら心に抱えます。
くるり、と。不意に男が音もなく振り返りました。
ゆうべから幾度となく回想のうちに思い描いていたその顔を、
もとちかはこの時漸く正面から見ることが叶ったのです。
「名とは魂の拠り所。名を知られれば魂を縛られる。
 あの時、みつひでの動きを封じる為に、我はあれの名を呼んだ。
 為にお前にまで名を知られてしまったその腹いせに、
 みつひではわざわざ我の名をそなたに聞かせたのであろうよ」
苛立たしげにそれだけ言うと、男は再びもとちかに背を向けました。
駆け出して腕を伸ばしたところで、
この男を捕まえることはできぬと悟ったもとちかは
「俺はもとちかだ!」
男の耳にはっきりと届くように、大きな声で名乗りを上げました。

283BASARA瀬戸内組 漁師×狐 5:2006/07/15(土) 01:39:26 ID:eviHlYD4
「もとちか、だ、呼んでくれ!もとなり、俺の名を、呼んでくれ」
男は再び振り返り、もとちかを見ました。
このたびははっきりとその面に怒りの表情が見えました。
その強い瞳のきらめきから、今にも火花を放ちそうな激しい表情ではありましたが、
それでも、この男の――もとなりの、心の動きを見られたというそのことに、
もとちかの胸は高鳴りました。
「そなたの耳は筒抜けか。そなたの頭に詰まっておるのは海の藻屑か。
 ここは人には向かぬ山と申したであろう。疾くと去ねよ、愚か者!」
もとなりは相変わらず唇を動かさず、もとちかの頭の中を直に怒鳴りつけてきます。
「俺はお前の名前を知っちまった。だから、俺の名前をお前にやる。
 そうすりゃ五分五分だろ?さあ、俺の名前を呼んでくれ、もとなり」
もとちかはひとつだけの目で、もとなりの顔を真っ直ぐに見つめました。
もとなりは眉を吊り上げたまま、もとちかの目を見返しました。
やがてもとなりが唇を開き、もとちかの求めに応じる為に大きく息を吸い込んだのは、
名を呼ばれて魂を縛られたから、でしょうか。
そうでなくて、もっと別の理由があったのでしょうか。
もとなりは、まだ少し怒った顔のまま、
それでも請われるままにその名を唇に乗せたのでした。
「もとちか」

284BASARA瀬戸内組 漁師×狐 6:2006/07/15(土) 01:40:38 ID:eviHlYD4



月影の下、草の上、もとなりともとちかは向かい合って座っておりました。
もとちかはもとなりに酒を勧めましたが、「酒は好まぬ」とにべもなく首を横に振られました。
もとちかはめげずに、じゃあこれを、と左手に大事に持っていた竹皮の包みを差し出します。
するともとなりは、水干の袖で僅かに口元を隠すようにして眉を顰め、
「我は、なまぐさものも好かぬ。
 そもそもそなたは何んのつもりだ。我が山の猟師の罠に、海の魚を嵌めて行くなど。
 お陰で我が明神宮は里方で、『なまぶし稲荷』などとあだ名されるようになってしまったわ…」
もとちかの片方しかない目を睨みつけました。
もとちかはそれを聞くと屈託なく笑い、
「ああ、ありゃあだってよ、猟師の罠から食い扶持逃がしてやっちまったんだから
 なんか代わりのモンと思って…
 それに、なまぐさものって言うけどな、
 お前、あれは厳島の神様へ納めたのと同じ逸品なんだぜ?
 それにこれは、なまぐさものじゃねえよ…」
元親が開いて見せた竹皮の中身は、黄金色の油揚げでありました。
それを見て、顰められていたもとなりの眉が、僅かに和みます。
「この三ツ星山のお狐様は、コレが好物だって聞いたからよ」
ずい、と竹皮ごと、もとちかは油揚げを元就へ勧めました。
もとなりは何か恥らうように睫を伏せ、いよいよ袖で口元を覆い隠しました。
せっかくの美しい顔が隠されてしまうのは残念でしたが、
今までの険の尖ったさまとは違うその姿に、もとちかの心は華やぎます。
285BASARA瀬戸内組 漁師×狐 7:2006/07/15(土) 01:41:12 ID:eviHlYD4
「…悪くはない」
ややの間ののち、もとちかの頭の中にもとなりの声が聞こえました。
もとなりの見目に見蕩れていたもとちかは、はっとして手の中の油揚げを見ました。
すると包みの中にあった十枚ほどの油揚げは、いつの間に食い取ったものやら、
どれも皆一様に、満月のように、あるいは日輪のように、真ん中をまあるく穿たれておりました。
「お前…これ…」
それを見たもとちかは、びっくりするやらおかしいやら、
いつしかくつくつと肩を震わせて笑い出しました。
もとなりは口元を隠していた袖を下ろし、白い手の爪先だけを見せて膝の上に正すと、
「何を笑うことがある。それを持て里方へ降りてみよ。
 三ツ星稲荷が霊験の日輪揚げとて、長寿の妙薬ぞ」
至極真面目な顔をして言うのでした。
「へぇ…。お前って、そんな大層なお狐様だったのか…」
もとちかは、手の中の油揚げと、もとなりの顔とを、
まじまじと代わる代わる見つめました。
そして不意に、まあるく穴の開いた油揚げの一枚をひょいと摘み上げると、
一口に口の中へ放り込みました。
もとなりは目を丸くし、次いで白い顔を真っ赤に怒らせました。
「何をしておる!七日七夜日干しにした後、黒く焼いて粉にして用いるのだ。
 そのまま食うたところで霊験も何もありはせぬ!」
もとなりの剣幕もどこ吹く風に、もとちかはしばらくもぐもぐやっていましたが、
やがてごくりと喉を鳴らして、口の中のものをすっかり飲み込み、
最後に酒を流し込んで仕上げをすると、満足げに笑ってもとなりの顔を見ました。
「だってよ、お前の食い差しだろ?なんだか食ってみてぇじゃねえか。
 別に長寿にゃこだわらねぇから、焼いちまうより、このままがいい」
もとなりはすっかり呆気に取られました。
残りの油揚げを大事そうに包み直して懐へ仕舞うもとちかを見ていると、
何故だかもとなりは無性に落ち着かなくなってきて、目を逸らしました。
286BASARA瀬戸内組 漁師×狐 8 :2006/07/15(土) 01:43:50 ID:eviHlYD4

「…厳島の宮へ参詣したと申したな。どんな願いがあってのことか」
話の接ぎ穂を探して、もとなりはぽつりとそう尋ねました。
「ああ、それは…」
するともとちかは、今までのはしゃいだ様子が嘘のように、神妙な面持ちになりました。
もとなりはと胸を突かれて、もとちかのきりりとなった顔を見つめました。
「俺の家は土佐の豊岡って浜で網元をやってるんだが、
 この間の大時化で船がひっくり返って、水夫が二人死んじまってな。
 俺のこと、兄貴兄貴って慕ってくれてた、可愛い奴らだったんだ…」
もとちかは白い睫の影を頬に落として、瓢から酒を呷りました。
もとなりは何も言わず、もとちかの目の先を辿って草の緑を見ておりました。
「で、まぁ…海の神様たちによ、
 あいつらを連れて行かなきゃならねぇほど何かにお怒りになってるんなら、
 どうかもう、お怒りを鎮めてくれって頼みに、瀬戸内周りのお宮さんを巡ってるんだ。
 …それから、あいつらをどうか、無事にあの世へ渡りつかせてやってくれ、ってな」
「…そうか」
ごく短く、もとなりは相槌を打ちました。唇を動かさずに。
その声が思いのほか重く沈んでいたので、もとちかは少し驚きました。
短いような長いような、静かな時が流れました。
「俺も訊きてぇことがあったんだ」
もとちかが、打って変わって朗らかな声を出したので、もとなりは顔を上げました。
287BASARA瀬戸内組 漁師×狐 9:2006/07/15(土) 01:44:22 ID:eviHlYD4
「ゆうべのことだけどよ」
草に手をつき、もとちかはちょうど自分の尻ひとつ分、もとなりへ近付きます。
もとなりは身を引きかけましたが、もとちかの目つきがそれを許しませんでした。
「どうしてお前が助けてやらなかったんだ」
怒っている訳ではないようですが、問い詰める瞳の力がもとなりを怯ませます。
「な、なんのことだ」
「あの仔狐だよ!お前、あんな都合よく俺の前に出て来やがって、
 あのチビがあそこでもがいてんの知ってて、見てたんだろ?
 三ツ星稲荷だかなんだか知らねぇが、他人の寿命延ばしてやってる場合じゃねぇだろうが。
 お前の眷属だってんなら、お前が真っ先に助けてやれよ!」
もとちかはもとなりの鼻先へ、ずいと顔で詰め寄って、
二人の鼻と鼻の間には、もうほんのてのひら一枚分の隙間しかありません。
その近さのまま、二人はしばし睨み合いました。
「…さだめだ」
やがて、もとちかの頭に、もとなりの静かな声が響きました。
「なに?」
もとちかの表情が険しくなります。
「猟師の罠に掛かったのなら、それがその者の命数であったのだ。
 猟師の糧となって彼を養うさだめを負うて生まれてきた者だったということだ」
もとなりの声は氷のように静かで、
ほんの僅かに開きかけたかと思えた心が再び閉ざされたような気がして、もとちかは苛立ちました。
「お前には情ってモンがねぇのか!?
 さだめったって、あんなチビだろうが!つい罠に掛かっちまうことくらい…」
「チビと申すが、あれはそなたよりよほど年を経ているぞ」
もとなりの目が冷ややかにもとちかを見上げます。
「ハ!俺はこう見えてももう22だぜ?」
「ふん、ではそなたが5人束になっても敵わぬな」
「なッ!?」
思わずカッと頭に血が上りかけたもとちかでしたが、
ついと顔を背けたもとなりの、言葉のきつさとは裏腹な寂しげな風情に、すぐに頭は冷えました。
288BASARA瀬戸内組 漁師×狐 10:2006/07/15(土) 01:45:04 ID:eviHlYD4
「…この山に入って来る者たちは、皆、我をよく慕い、祀ってくれる。
 祠を清め、祈りを捧げ、我を頼んでやって来る者たちだ。
 我の務めは、彼らの祈りに報いてやることだ。
 眷属への『情』などで彼らの営みを妨げするなどもってのほか。
 …さだめは、受け入れねばならぬのだ」
もとなりの透き通るように白い、小さな横顔が淡々と語る言葉を、もとちかは凝っと聞いておりました。
「…泣きそうな顔して何言ってやがる」
もとなりの横顔に向かって、もとちかは低く言いました。
「なッ…!我は泣いてなどおらぬ!!」
もとなりは弾かれたようにもとちかに向き直ります。
「泣き『そうな』顔、つったんだよ。泣いてるよりタチが悪ぃぜ」
もとちかは苦笑しながら、顔で詰め寄っていた姿勢を解き、尻の後に手を突いて体を寛がせました。
もとなりはムっと眉根を寄せてもとちかを睨み付けています。
「…まあでも、たしかに、海の神様が俺んとこの船の網にかかった魚、片っ端から逃がしたりしたら、
 たしかに俺たちゃ困るし、な。お前の言うことも道理か…」
もとちかがそう言ってもとなりに向けた笑顔はひどく優しげで、
もとなりは睨みつける目から力が抜けてしまいます。
さらに続けて
「じゃあ、あれか。俺がゆうべあそこを通り掛かって、あのチビを助けられたのも、
 そのお陰でお前と会えて、今こうして話ができるのも、ぜんぶ『さだめ』ってことだな!」
などと、もとちかがさも嬉しげに言ったので、
もとなりは毒気を抜かれ、もとちかを見返すしかありませんでした。
289BASARA瀬戸内組 漁師×狐 11:2006/07/15(土) 01:46:22 ID:eviHlYD4
そんな無防備なもとなりの顔を、もとちかはしばしの間見つめておりましたが、
突然手を伸ばすと、もとなりの薄い下唇を、蜜抱く花びらを摘むようにツイと指で摘まみました。
「……ッ!?」
計算外のもとちかの仕業に、もとなりは驚きの余り身動きが取れず、
唇を取られたまま凍りついてしまいました。
「なんだ、ちゃんと触れるんじゃねぇか」
もとちかは暢気に、もとなりの薄く柔らかな唇の感触を指先で楽しんでおります。
「お前、さっき俺の名前呼んだときっきり、喋る時も食う時も、口動かさねぇから…
 でも、ちゃんと柔らけぇんだな…」
恣に唇を弄るもとちかの手を、漸く正気に返ったもとなりは激しく振り払いました。
「なッ、なッ…なんなのだ貴様は!!」
もとなりは怒りと狼狽に全身を震わせ、拳を握り締めております。
「いや、だからその…お前って、その、ほんとは狐なんだろ?
 だから、化けてる時の人の姿って、ちゃんと俺の手でも触れるモンなのかなーって」
もとちかは悪びれずに答えます。
290BASARA瀬戸内組 漁師×狐 12:2006/07/15(土) 01:46:55 ID:eviHlYD4
暫くの間、もとなりはただ震えるばかりで、もとちかを罵ることもできずにおりましたが、
「なあ、できれば口、動かして喋ってくれよ。
 そんな奇麗な顔が、動かねぇまんまで喋ってると、
 なんか、今こうしてることが夢だか現だか頼りなくなってきて、落ち着かねぇよ」
懲りずに今度は髪に触れてくるもとちかの、あくまで嬉しげな心のありように流されて、
もとなりは怒りやら戸惑いやら恥ずかしさやらを、ただ一つの深い溜息と共に吐き捨てました。
そして、己の髪に触れているもとちかの手を、さきほどよりは柔らかな仕草で払い、
代わりに己の右の手を、もとちかの鼻先へ差し出しました。
もとちかははじめ、きょとんとしておりましたが、
些か照れ臭そうにもとちかの目を見て促すもとなりの表情から、
唇や髪でなく、この手ならば存分に検分してもよい、との意を読み取ると、
途端に嬉しそうに白い手を両手で手挟み、
撫で回したり、己の手と大きさを比べたり、匂いを嗅いだり、舐めたりし始めました。
右手をもとちかに預けて、もとなりは己でも不思議なほど穏やかな心持で、色の濃い月を見上げます。
そうして、こんなふうに人と差し向かいで座り、言葉を交わし、心を曝け出し、
あまつさえ触れ合うのは一体何百年ぶりのことであったろうかと、ゆるりと考えておりました。


291瀬戸内組パラレルその2:2006/07/15(土) 01:48:09 ID:eviHlYD4
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ タブンツヅイチャウヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
292風と木の名無しさん:2006/07/15(土) 02:21:17 ID:SoeV0GtF
うわー、続きを待ってました!!
GJ、GJ!!
293風と木の名無しさん:2006/07/15(土) 10:21:44 ID:19Gt5/38
やったー!!待ってるよ姐さん!!
ツンツンしちゃってもーテラウフフ
294風と木の名無しさん:2006/07/15(土) 23:10:52 ID:DOEfD6jz
チカちゃんカワイス
295某チィム×某チィム:2006/07/16(日) 01:38:46 ID:xTAhK11L

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | 実在の団体とは何の関係もない擬人化フィクションやよ。老教師のオサーン×没落名家の青年(notエロ)
  | やきゅ総合スレ参照
 | ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1146779328/925-927
 | いろいろ象徴させたワードが入ってますが、基本的には捏造バリバリです。
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                               | | |> PLAY.
                ∧_∧         | |
          ┌┬―(ゝ○_○)┐ ピッ    .| |
          | |,,  (    つ◇       | |
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          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
296野うさぎの檻 1/7:2006/07/16(日) 01:41:01 ID:xTAhK11L

 長年手がけてきた学校法人を跡継ぎの手に任せたとかで、この春からは県会議員をやっている郷里の
知人が私を訪ねてきたのは、梅雨明けも近い七月なかばの薄曇りの日だった。大時代なインバネスを小
粋に着こなし、こうもり傘を片手に、愛嬌のある眼鏡をちょいと押し上げるなじみの仕草で、この男が玄関
先に立っているのを見た時、私の心はいささか暗くなった。

 ちょうどその頃、私はにっちもさっちもいかなくなった家業の建て直しに追われ、打った手立ては悉くうま
くいかず、金策に心を痛めて、荒んだ生活を送っていた。都合まる二日は寝ておらず、カッと血走った赤い
目を、この昔なじみの教師に見られるのは何とも厭なものだった。
 アポイントメントの時点で断っておけばよかった、と思いつつ、私はつくり笑顔で彼を迎える。案の定彼
は、私の顔を見てわずかに表情を曇らせた。

「貴方のお父様が亡くなられて、もう四年になるのですね」

 そんな奇妙な事から、話を切り出したものだ。私はあいまいな調子で、ええ、と答えた。
「この数年というもの、おかげでバタバタし通しでした」

「確かにお忙しいようです。せっかく上京したついでだからと思ったのですが、ご迷惑でしたね」
「とんでもないですよ。先生、さ、お上がり下さい」

 私は三和土にかがんで、自分でスリッパを揃え、彼の脱いだ外套を受け取った。
 三人ばかりいた下男・女中の類は、かかりが馬鹿にならないので、去年の末に解雇している。家の格式
がどうのと文句を言っていた老母も、面倒を見かねて郊外の養老院にやってしまった。屋敷には、だから
私ひとりきりだ。
 彼は珍しいものを見るような、ちょっと哀しいような目で、昔なら決してする事のなかったような雑務をこ
なす私を見つめていた。下足室を暗く照らす百燭光が、ジジッと湿った音を立てて揺らいだ。
297野うさぎの檻 2/7:2006/07/16(日) 01:42:37 ID:xTAhK11L

 洋間は、かつて応接室と呼ばれていた事もあった。亡父が手広く全国に事業を展開し、来客がひっきり
なしで、まだ家中が賑やかであった時代には。ユーゲント・シュティール様式のシャンデリアは、何度スイッ
チを入れ直しても電球の一つが点かなかった。
 私がいらいらしている間に、彼はホームバーのカウンターの前まで進んで、手土産のコニャックの壜をと
ん、と置いた。

「ここで、よく貴方のお父様とさしつさされつ飲(や)ったものですよ」

 そしてまた、懐かしげにちょっと微笑みかけるのだ。この笑いはひどく優しかった。お愛想でも上辺だけ
のものでもなく、ただ私を気遣い、しかも直截な同情の色がないから、私のプライドを傷つけさえしないも
のだった。

 このような表情は、長年ひとに ――― 悪童やちんぴら相手にさえ ――― 掛け値なしの慈愛をもって接
してきた者にしか、できるものではない。いつでも火熨斗のきれいにかかった、燕の尾のように裾の長い
ツイードの服を着て、教壇に立っていた几帳面そうな姿を、今でもまぶたの裏に思い浮かべる事ができ
る。古い時代の教師らしく手には短鞭を持っていたが、それを振るった事は一度もなかった。私は若き日
の彼の姿を思い出して、苦く笑い返した。

 つくり笑いはまたたく間にほどけ、後は偽るところも忌憚もない、笑いばかりになった。
 カウンセラーとしても食っていけたに違いない、この話術に長けた男の前で二杯、三杯と強い蒸留酒(ス
ピリッツ)をあおるうちに、張り詰められた虚勢と焦燥は薄れ、私はいつしか、ここ数ヶ月というものご縁の
なかった朗らかな表情で声をあげて笑ったり、心から故郷や昔なじみの友に思いを馳せたりしていた。ま
ったく悪夢のような現実を忘れた。
298野うさぎの檻 3/7:2006/07/16(日) 01:43:44 ID:xTAhK11L

 忘れた ――― と意識している点において、実は忘れてなどいなかったのだが。

 それでも追憶と懐古には楽しさがあった。彼は驚くべき記憶力で、私と悪友がつるんでやった悪戯の
事、その悪友も今は立派な官吏になって、**省から出向して県庁でよく働いている事、その倅が親父譲
りの悪がきで、町道をすっ飛ばしてスピード違反であげられたのだが、隣に乗っていたマセた小娘が、ま
たクラスメートの誰それの長女で……などと話した。それが一々可笑しかった。

「女の子といえば、そうそう、君はえらくモテましたね。部活が終わって、校門を出て行くところで、いつも隣
町の女子高のお嬢さんがちらほらと…」
「そんな事ありましたっけ? ああ、懐かしいな。今はてんでいけませんよ、もう」

 思うにこの老教師の物語は、あの懐かしい、住み慣れた遠い故郷の精神性(エートス)と交叉しながら、
ひとつのメロディーのように途切れ目なく続いていて、それは私の耳に何とも心地よいのだった。あの頃は
よかった。あの町はよかった。豊かで、数え切れないほどの友達がいて、毎日が麗しく流れ、それが永遠
に続くと信じて疑わず ―――

「……そういえば、貴方の一番のお友達の、ほら関西生まれの、T……君はどうしましたっけ」

 不意に、こめかみがチリッと痛んだ。私は思わず顔を上げた。彼は言葉と同時に、ヒュミドールの中に葉
巻と一緒に眠っている、古い写真立てを目ざとく指さしていた。大学の入学記念に撮ったものだったはず
だ、二人で。

「ああ、あいつは………親父さんが亡くなって、大阪に帰ったはずですよ」
「そうそう、そうでした。何分むこうも不況ですから、一時期はずいぶんと苦労したようですが、今はだいぶ
盛り返したとか」
「ご存知なんですか?」
「いやなに、『便りがないのはよい知らせ』といいますからね、昔から」
299野うさぎの檻 4/7:2006/07/16(日) 01:45:00 ID:xTAhK11L

 それでは、不義理にも故郷の町に長らく手紙一つ出さなかった私も、この教師の理論ではよい暮らしを
しているという事になるのだろうか。

 実際は、あまりに恥じる事が多く、町出身の名士の家として不面目の連続で、連絡などとうてい取る事が
できなかったのだ。

 ワンマン経営者だった父の急病、意識の戻らないままの死が、全ての失墜のはじまりだった。それはち
ょうど、事業の海外展開のため、過度の出血とも言えるほどの投資が行われた時期と一致しており、しか
も不景気の到来がそれに追い討ちをかけた。大学院で若き商業貴族を気取っていた私は、何もわからぬ
ままに百鬼夜行の商取引の世界に放りこまれた。後はお決まりの転落劇だ。あちこちの部門を縮小した
結果、見かけより体力のなかった会社が、それでも何とか命脈を保ったのは不幸中の幸いと言えるかもし
れない。

 しかし何より私を打ちのめしたのは、経営者としての自らの無力さ、さもなくば無為無策さだった。転機を
狙った投資は悉く裏目に出るか、同業者の妨害を受けた。財界の紳士として誰に恥じるところもない人格
者だと思っていた亡父が、実は何かと恨みをかっていたと知ったのもこの頃だった。恩義をあたえたと信
じてやまなかった連中が、まっさきに自分を裏切るか、影では嘲笑っていた。そして一番の親友だったあ
の男さえも。

「…気分がすぐれないようですね」

 知らず知らず、物思いにふけりこんで暗くなった私の顔の前に、冷たいミネラルウォーターをなみなみ注
いだビヤグラスがさしだされた。私は無言でそれを受け取り、一息にあおる。だが若さに任せて一気飲み
できる齢でもなかった。八分目くらいまで飲んだところで、激しくむせこみ、涙がドッと出た。

「ああ、大丈夫ですか? 大丈夫? ほら、しっかりして…」
「……ッ、すみません、先生」
300野うさぎの檻 5/7:2006/07/16(日) 01:45:58 ID:xTAhK11L

 私は懐紙で口許をぬぐいながら、せめて嘔吐するようなみっともないところだけは見せずに済むようにと
願った。酔いがまわって頬が熱く、目蓋も熱い。背中に温かな手が触れる。

 なだめるように優しい触れ方だった。もっと残酷な目的で伸べられる手を、すでに他で知ってしまってい
たから、思わず縋りつきたいような衝動にかられた。事実、彼はいつの間にか私に並んだ姿勢で長椅子
に腰掛け、雛鳥を翼でつつむ母鳥のように、双腕で私を抱き寄せていた。さほど大柄でもないはずの、老
年にさしかかった男の腕が、何と広く力強く思えた事か。

「飲ませすぎたようですね。もうちょっとピッチを考えればよかった。すみません」
「そんな事は……」

 言いかけて、また胸が詰まる。優しい手が、再び背中をよぎった。囁く、慈父のような声。
「いいから」

 私は力を抜いて、上体を彼の両手に凭せかけていた。ずっと先に、子供の頃そうしたように。あの頃の
頑是ない清澄さには、今やどうしたって戻れっこないのだけれど。
 どのくらいそうしていた事だろう?
301野うさぎの檻 6/7:2006/07/16(日) 01:47:05 ID:xTAhK11L

「――― あの音……」
「え?」

 呟くような声に、私は顔を上げた。そろそろ涙が乾いていてくれるとよいのだが。

「ほら、窓の外から聞こえてきませんか」

 私は黙って耳を澄ませた。いつの間にか雲は晴れ、澄みきった夏の夕空には、白々とまるい月が出て
いるのだった。優しい涼風は、庭師を入れなくなって久しい荒れ果てた私の庭を通って、軒先の風鈴を鳴
らし、遠くさわさわと松籟を運びながら、この沈鬱な仄暗い洋間にも吹きこんできていた。

 その遥か遠方から、また別の音がする。細くかそけく、古めかしい召し太鼓のような、ドーン、ドーンと響
く音。ほどなくビル街のぎさぎさでできた地平線の彼方に、白煙と金色の火の粉がパッとあがった。

「花火ですね……。これはまた気の早い」
「そういえば、隣町の青年団が、河川敷で今夜やるとか言っていたような…」

 自分で言うまで忘れていた事だった。この手の火薬細工に興味を示すどころか、顧みもしないようになっ
てどのくらい経つのだろう。季節はずれの花火は、きらめくように美しく、しかし、もどかしいくらい遠かった。

「遠すぎる…」

 思わず私が呟くと、彼はおおどかな表情のまま、こちらを振り返った。
「うちの町でも、お盆の頃にはやりますよ。覚えているでしょう」
302野うさぎの檻 7/7:2006/07/16(日) 01:48:14 ID:xTAhK11L

「ええ、もちろん覚えていますよ。先生がはじめたやつですね」

 そうした田舎町には似つかわしくないビッグイベントを、八方に働きかけて実現したのも、この子供好き
の教育者だった。

「あの時は、実はあなたのお父様が多額の援助をして下さいましてね」
「へえ、親父が?」
「そうですよ。出す時ゃパーッと豪儀に出すお方でした。もっとも後々かなり恩に着せられましたが……」
「はは、あの人らしい……かな」

 再び、ドーンと撃ちあがる音。今度は少し近くなった気がした。“気がした”だけだけれど。
 私はあの遠い夏の彩りの中に、ゆっくりと記憶を巡らしていたかった。それは戻れない時間への感傷で
あり、懐古に過ぎないが、あながち無意味でもないように思われた。
 過去が変わらずそこにあるように、未来だってそれなりにあるだろう。太陽とまではいかないが、月あか
りは明々と行く手を照らしている。

「いつでも帰ってこられるのですからね。この夏はきっと、花火を観に戻っておいでなさい」

 そう言って微笑んだ、彼の顔はやはり齢相応にしわ深かった。時の流れを思わせるように。

 ああ、この夏はきっと、あの町に帰るだろう。その前にもう少し、もう少しだけ戦っておかねばならない。
 思うに、悪夢のように見えても、希望はやはり、その戦いの中に芽生えるものなのだから。
303某チィム×某チィム おしまい :2006/07/16(日) 01:52:32 ID:xTAhK11L
  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | 薬√が勝ってたら地上波でお見せできないレイープシーンに続く予定だった
 | つか実際書いたがチィムが力及ばず癒し系EDに分岐した
 | 今は反省しているorz
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    エロサクジョ   | | □ STOP.
                ∧_∧         | |
          ┌┬―(ゝ○_○)┐ ピッ    .| |
          | |,,  (    つ◇       | |
          | ||―(_ ┐┐―||        |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |


(`・ω・´) つ【連敗阻止おめでとう】
304風と木の名無しさん:2006/07/16(日) 01:58:20 ID:MHHgztEm
>303GJGJ!
リアル遭遇だったのでレイープをちょっと期待していたのだが、ほんわか癒しEDに萌えました。てか癒された(´∀`)
305風と木の名無しさん:2006/07/16(日) 12:12:10 ID:RP8kGreu

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  前回我が灰書いた者です
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  今回も我が灰書かせていただきます
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


306風と木の名無しさん:2006/07/16(日) 12:14:07 ID:RP8kGreu

今日も一日が終わろうとしている。
しかし、我が灰にとってはこれからが戦いなのだ。
「緑ちゃん」
きた!
はじまった。
我が灰が布団に入ると同時に、赤ぱじャまは我が灰を甘ったるい声で呼ぶのだ。
「ねえ、緑ちゃん」
しつこいぞ赤ぱじャま。
我が灰は夏眼漱席なのだ。つまり、男なのだ。
なぜ男の我が灰が毎晩毎晩同じ男の貴様の相手をせねばならんのだ。
「緑ちゃん、そっち、行っていい?」
「来るな」
何度言えばわかるのだ。
我が灰は男と同じ布団で寝るつもりはない。
まして、肉体関係など言語道断である。
しかし、赤ぱじャまもなかなかのしつこさ。
今朝など、いつの間にかお互い向かい合って寝ていたのだ。
目が覚めて、目の前に気持ちよさそうに眠る貴様の顔があった時の驚きといったら…
3072/4:2006/07/16(日) 12:15:36 ID:RP8kGreu

「緑ちゃん」
「しつこいぞ赤ぱじャま!
我が灰は死んでもお前と同じ布団になど入らんからな!」
思わず飛び起きて怒鳴りつけてしまった。
しまった…言い過ぎてしまった。
いや、別に言い過ぎてなどいない。
ただ、声が少し大きかったかもしれん。
いや、別に大きな声でもいいだろう。
ただ、赤ぱじャまが…
いやいや、なぜ赤ぱじャまの心配などしているのだ。
別に赤ぱじャまが傷つこうが我が灰には関係ない…
いや、別に赤ぱじャまが傷つくと思ったわけでは…
「我が灰、」
「いや、べつに…」
我が灰の心臓が大きく波打った。
我が灰の手をきゅっと握る手。
「布団、別でいいからさ、これだけ許してよ」
「ばっ…」
馬鹿者!
今すぐ殴ってやりたかった。
しかし、なぜか、しなかったのである。
あまりの心臓の大きな動きに、我が灰は驚いて何も出来なくなってしまったのである。
3083/4:2006/07/16(日) 12:16:18 ID:RP8kGreu

「…いい、ってこと?」
「えっ」
あまりの驚きに言葉も出ないのである。
赤ぱじャまの嬉しそうな顔。
やめろ、ますます何もかもが止まってしまう。
「じゃあ、おやすみ、緑ちゃん、我が灰」
そう言ってさっさと自分は寝てしまう。
卑怯だぞ、赤ぱじャま。
心臓以外が停止した我が灰は今、眠ることも出来ないのだぞ。
どうしてくれる。
我が灰は今、熱くて仕方がない。
心臓ばかりが異様なまでに動いている。
赤ぱじャま、お前の顔が頭いっぱいに広がっている。
苦しい。
苦しいぞ赤ぱじャま。
我が灰は貴様のことで苦しくて仕方がないんだぞ。
3094/4:2006/07/16(日) 12:17:06 ID:RP8kGreu

「…っていう話を考えてみたんですが、どう思います?」
「うーん…僕は別に構わないですけど。
でも先生怒りますよ。
『なぜ我が灰が赤ぱじャまに濃いなどしておるのだー!』って」
「しかも、アシスタントにそんなこと書かれちゃうんですもんね」
「確かに嫌でしょうね。
でもまあ、次回作、寄るツズカが書きたいのはこういう感じの恋愛もの、ってことでいいですか」
「そんなかんじです」
「わかりました。楽しみにしてますよ」
「その時はよろしくお願いします」
「はい。…で、これからどうします?」
「そうですね…とりあえずコマシさん、ウチ来ません?」
「何か最近毎日のように行っちゃって…すいません」
「いやいや」
「そういえばこの間、僕、先生の上に乗っかって寝てましたねー」
「あー寝てたねー。僕は別に構わないけどね」
「いやいや、本当に申し訳ないです。僕、寝相悪すぎですね」
「じゃあ、今度は僕が上に乗っかるように頑張って寝ようかな」
「いやいや、先生そんな寝相悪くないでしょ」
「わかんないですよー」
「あはははは」
今日も一日が終わろうとしている。
しかし、寄るツズカにとってはこれからが戦いなのだろうか。
310風と木の名無しさん:2006/07/16(日) 12:18:14 ID:RP8kGreu
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ みんなかわいくてたまんないよ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

最初番号抜けてしまった…

ドラマとしても面白く、萌えも盛りだくさんでした。
それから、前回コメントくださった方、ありがとうございました。
311風と木の名無しさん:2006/07/16(日) 13:21:08 ID:V8RxpWIr
>305-310
うわーい!我が灰だぁ!
我が灰と赤パ邪魔の話かと思いきや
コマシと寄る先生まで(´∀`*)
おなかイパーイ楽しませていただきました。
312風と木の名無しさん:2006/07/16(日) 15:25:29 ID:e7avXhb3
>305-310
すごい、和が廃パートはナチュラルにホソダさんの声で聞こえてくる
一本で二カプーおいしくいただきますた
313風と木の名無しさん:2006/07/16(日) 23:07:14 ID:zm1ttkCL
>305-310
和が廃キタコレ―――――――――(*´∀`)ノシノシノシノシノシ
見事にドラマキャストで脳内変換バッチシだよ!!!!
皆テラカワユス!!!!!!!
ステキな萌えをありがとう!!!!
3141/3:2006/07/17(月) 01:07:13 ID:RFkBZNMJ
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )コナイダゴ本人ミテ唐突ニ書キタクナッタ…ナマモノ球技デス

※事実に基づく内容で書いてるはいいけど去年の話なのでニュースソースが見つからないorz
 なので、仔細の相違や勘違いある可能性もあります…。
 もしガイシュツネタだったらマジスマソ(マイナーな人だから無いかと思うけど…

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「え? 何で?」
 思わず呟かずにはいられなかった。宮崎への遠征、心踊る1日めのこと。
 さっき覗いてきた同期の部屋はなにも不自然なところなどなく、
2つのベッドが部屋の左右に綺麗に並べられていた。
 ところがどうだろう、今日から自分が割り当てられた部屋に入ってみれば、
そこにあったのは、明らかに他の部屋より大きめのベッドが、1つ。
 はて、自分だけ一人部屋か?
 若手ばかりの遠征で、しかもルーキーの自分が、そんなまさか。
 そもそも、今日同室になるはずの相手についさっき「よろしくお願いします」と言われたばかりなのだ。
 別に自分が用意したわけではないのだから、なにもやましいことなどないのに。
 それでも、目の前でどんと構えているダブルベッドに、一人、どうしようもない気恥ずかしさを感じた。
 あいつが来たらどんな顔をすればいい。
 未だ混乱した頭は、何故か、言い訳ばかりを考えていた。

3152/3:2006/07/17(月) 01:09:44 ID:RFkBZNMJ

 実力とは全く関係のない点で注目を集めて入ったこのチームで、唯一の”あて”であった人間。
 そいつがいたお陰で、行動が一人きりになることもないし、地元の話も通じる。
 俺より10センチも背が高いくせに、体重は足りないし、目尻は優しく垂れているしで
威圧感など全く感じられない奴である。
 地元のライバル校出身で、同じポジションをしていることもあり(とはいえ学年が
かぶっていないので直接対決はしたことがないが)お互いに入団前から知っていたのが幸いだった。
 すぐに仲良くなって、今回、同室になったことだって、気を使うこともないと思って喜んでいたのだが。

 一度、部屋を出て、ドアに表示された部屋番号を確認する。
 渡されたキーで開いたのだから、もちろん間違えたはずなどないのだけれど。
 部屋に戻って取り敢えず、荷物を置いた。そして、思わず鍵をかけた。
 コーチやスタッフに聞いて確認するなどということまで考えは及ばず、ただ考えを巡らす。

 これはなんの陰謀だろう、一緒に寝ろと言うのだろうか、あいつが来たら
ダブルベッドだよ参ったねハハハとでも言うべきなのだろうか、
でもそんなこと言ったら「お前年下なんだから床で寝ろ」と言ってるのと勘違いされないか、
いやいやこれはもしかしたらブログのネタのために用意された壮大なネタフリなのだろうか、
だったら写メを撮るために一緒に寝たって不自然じゃないよな、
なにもやましいなんて思わないよな…

3163/3:2006/07/17(月) 01:12:54 ID:RFkBZNMJ

 そこまで考えたところで、ぶるぶると首を振る。なんで一緒に寝ることが前提になっているんだ。
自分はそこまでして一緒に寝たいのか?
ブログのネタにしたいがためか?それとも一緒に寝たいからブログのネタにしたいとか、
それだとやっぱり自分が一緒に寝たいとか思ってるってことで…
 完全に混乱した頭に、聞き慣れた声が響いてきた。一瞬聞き違いか空耳かと思ったが、たしかに自分の名を呼ぶ声。
続いて、何度かのノックの音が聞こえた。自分は何も悪いことなどしていないはずなのに、嫌な汗が流れた。

「いるんですよねー? カギ開けて下さいよー」

 踵を返してがちゃりと鍵を開け、勢い良くドアも開ける。
 一歩下がって、呆気に取られたように見下ろすドアの向こうの相手に
「布団借りてくる!」
叫んで、一気に廊下を駆け出すのだった。顔は、赤かったかも知れない。


――その晩は、さすがに年上として、借りてきた布団を床に敷いて寝たのだが。
 翌日以降も別々に寝たのか、それとも一緒に寝たのかは、定かではない。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ…スミマセン…
317風と木の名無しさん:2006/07/17(月) 02:20:24 ID:BZOOP0Vc
>>305
我が灰ー!ハァハァありがとうありがとう
よく考えるとタカツミドソて、ミドソの中身はリウセキで
リウセキはホソダさんだからミッチー×ホソダさん!?
でなんだかdkdkしましたありがとう
318風と木の名無しさん:2006/07/17(月) 14:05:08 ID:YOs+3zAU
>>314
密かに注目してる二人キター
一人で慌てる☆カワイス
319風と木の名無しさん:2006/07/18(火) 00:30:57 ID:kVxN4pYo
>>314
ttp://news18.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1129020858/
一応あった…不十分このうえないけどw
320風と木の名無しさん:2006/07/18(火) 16:55:59 ID:p7dppVbK
>>314
元ネタkwsk
321血+ですよ。:2006/07/18(火) 20:41:48 ID:k7CDn1zH
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマースYO!
             
            ※専すれから来ました、長くなったのでここに貼ります
             鬼畜あらいぐま総帥×どM金髪CEO
             エロエロ。
             誰が沙耶を殺すのなんので長兄とかーるタソが揉めてた
             あの後を妄想しました。
             名前伏せ字の必要あったかな…?
             ひらがなのままで貼りますね、なんかかわいいことになったので…
322餡ソロ萌えの見る夢 1:2006/07/18(火) 20:53:10 ID:k7CDn1zH
開け放されたままの扉の内側で交わされる長兄と弟との会話に、そろもんはじっと耳をそばだてている。
弟の焦れたような声が耳に痛い。兄の、落ち着きすぎた低い声色も。
やがて弟のかーるが、憤りも露わに部屋を飛び出してくる。
「かーる…、」
その背中に声をかければ弟はぴたりと立ち止まり、怒りの中に僅か悲しみを湛えた瞳でそろもんを一瞥して
拗ねた子供のように、足早に薄暗い廊下の先へと消えた。
その姿を見送って、そろもんは一つ溜め息を吐く。
あんしぇる兄さんはとても残酷な人だ。

沈んだ面持ちを繕えないまま、弟の立ち去った扉から中に足を踏み入れる。
長兄は、火のない暖炉の側に立ち、そろもんを見やって口元に笑みを浮かべていた。
「来るとは思っていたが、…何だその顔は」
判っているくせに。
「兄さん…、先程の件ですが。さやを…始末する件」
「何か問題でも?」
「あの言い方では…かーるはまた、単独で行動を起こしかねません」
そろもんの言葉に、あんしぇるはただ喉を鳴らしてくく、と笑った。何も答えない兄に、そろもんは畳みかける。
「確かにかーるが向こう見ずな事は否めません、ですがあれでは彼の気持ちは」
「そろもん。」
不意に兄に言葉を遮られ、そろもんは口を噤んだ。
「またおまえはそんな事を…本当は、」
あんしぇるの口許に、みるみるいやらしい笑みが広がった。
「あの鼻持ちならんさやのことが、気になって仕方ないのだろう」
「…ッ」
そろもんは表情の変化を悟られまいと、兄から顔を逸らす。しかしあんしぇるは、口許に笑みを浮かべて弟を注視したまま一歩また一歩と歩み寄り、
「…さやは僕らしゅばりえの」
「花嫁ですから、か?何を今更」
視線を逃れようと窓際へ向けて足を踏み出したそろもんを、じりじりと追い詰めた。
323餡ソロ萌えの見る夢 2:2006/07/18(火) 20:59:34 ID:k7CDn1zH
「馬鹿な事を。今ではでぃーばの…そして我々の、脅威でしかない」
後ずさったそろもんの手に、デスクの端が触れた。只では逃れられないと悟って彼は、自分より頭ひとつ分背の高い兄を見据える。
「…お言葉ですが兄さん」
「そろもん」
先程とは比べようがない程威圧的な声で、兄は再び弟を制した。
「おまえ…いつからそんな目で私を見るようになった??」
表情の無い目で覗き込まれ、そろもんは耐えきれずに身を捩り、兄に背を向ける。彼の顎を、兄の手が捕らえた。無理やりに後ろを向かされ、彼は目を伏せる。
「にいさん…っ」
「いつから…私にそんな口を利くようになった。え?」
あんしぇるのもう片方の手はそろもんの腰をしっかりと掴み、後ろから彼をデスクに縫い止めている。
「…兄さんは悲しいよ、そろもん…」
あんしぇるはそろもんの耳元に唇を寄せ、その低い深い声で、耳朶を舐めるように吹き込んだ。そろもんは背筋がぞくぞくするのを感じた。兄の声が、彼の奥底の敏感な部分を刺激す
る。
「…ァ」
「今のおまえが居るのは誰のお陰だ?おまえに理想の世界を見せると約束し、今の地位を
保証したのは誰だ…」
あんしぇるは絡みつくような口調で囁き、そろもんの顎へ遣った手で彼の喉元のネクタイを緩め、襟を寛げる。
「言え…」
そして耳朶の裏側に、ねとっ…と舌を這わせた。そろもんの身体が、今度はびくっと跳ねる。
「は…あッ…、あなたです…兄さん」
兄の声にくらくらしながら、彼はやっとそれだけ答えた。
「そうか…それなら」
あんしぇるは満足そうに鼻を鳴らし、舌で弟の白いうなじを愛撫する。
「私の言葉は…おまえにとって何だ」
言え…、
あんしぇるの熱を帯び始めた息がうなじにかかり、そろもんは自分が、兄に全く抵抗出来ていない事を思い知る。けれど、
「言え…私の言葉は」
「あんしぇる兄さんの言葉は…ッ、僕の意志でもありますっ…」
彼は兄の喜ぶ事しか口に出来ない。それも、うなじに舌を這わされてだらしなく喘ぎながら。
324餡ソロ萌えの見る夢 3:2006/07/18(火) 21:06:04 ID:k7CDn1zH
「ふん…いい子だ…、」
あんしぇるは鼻を鳴らしてそろもんを笑い、首の付け根に唇を被せて強く吸い上げた。
「あッあぁ…にいさんッ」
彼が喘ぐ間にあんしぇるの手は腰を滑り降り、今や微かに震える彼の内股を撫で上げる。そして
「……っ!」
自覚なく張り詰めた股間を、布越しに握り締めた。
「おまえはいつもこうだ…、私の声だけで興奮して。見てやろう」
いやらしい笑みを含んだ声が、そろもんの羞恥心を煽る。朦朧とした中で、彼は自分の股間で動く兄の手首を掴む。
何て情けない、弟もあの少女も立派にこの男に抵抗出来るというのに、
自分はこんな事を許して。
「にいさん…っ、それでも…僕は」
「まだ言うか」
震え声で弱々しく放った言葉は、容易く兄の威圧に呑まれた。
「ここをこんなにして…、まだあの女の事を口に出来るのか?」
「あ…兄さんっ、止め…ッ!」
あんしぇるの手は既に弟の股間を寛げ、露出させた性器を直接握り込んでいる。
「浅ましい男だ」
あんしぇるは吐き捨てて、握ったものを上下に扱き始めた。同じ手に何度となく愛撫されたそこはその感触を忘れ得ず、ますます硬く勃ち上がり、先端から透明の液体を零し始めた。
「違っ…あ…あぁッ、」
「浅ましいおまえはこうしていつものように…、私に身を任せて居ればいいのだ」
「止めっ…止めて下さい…、」
そろもんは兄の手の中で自分のものがいやらしく濡れ、跳ねるのを自覚しない訳にはいかず、
羞恥と快感とで板挟みにされて喘ぐ事しか出来ない。
「あぁ、は…兄さんッ…、ん…っ」
だらしなく開いた口に、兄の空いた方の手指が割り込んでくる。
あんしぇるの手指は、いやらしい仕草でそろもんの前歯をなぞり、舌を絡め取って、すぐに唾液に濡れた。
「ふ…ん…ッ」
「そうだ…大人しくしていればいい、私の可愛いそろもん」
ぴちゃ、あんしぇるは水音を立てて弟の咥内から指を抜き取ると、その手を彼のズボンに差し入れ、手のひらで双丘を撫で回す。
それから濡れた指で、その間をまさぐった。
325餡ソロ萌えの見る夢 4:2006/07/18(火) 21:10:12 ID:k7CDn1zH
「にいさんっ…お願いですからそれだけは」
そろもんが言い終わる前に、あんしぇるの指は入り口を探り当て、
相手の懇願に対して何の遠慮もなく、そこへずぷっと入り込んだ。
「あ…!」
思わず腕の力が抜け、そろもんはデスクに上体を倒す。
自分が今や兄に対して無抵抗で、しかも
膝上までスーツの下衣をずり落とされた無様な姿である事には耐え難く、彼の声は次第に掠れた涙声に変わった。
「嫌です…にいさん、もう…!」
「嫌だと?」
嘘を吐け。
あんしぇるの指が、容赦なく内壁を掻き回す。
「素直になれば良いものを…、ここを掻き回されて思い出すものは何だ?」
「…ッ」
そろもんは快感の中で力なく首を振り、声もなく喘ぐ。
あんしぇるはデスクに突っ伏した弟に覆い被さり、
「欲しいなら欲しいと言えばいい」
「く……」
そんな事は口が裂けても言えない、
例え今自分の身体が本当に、兄を求めているとしても。
兄の望む事を口にする代わりに、そろもんはあんしぇるを、潤んだ瞳で憎らしげに睨み上
げた。

ただその端正な眉を快感に歪ませ、せわしなく呼吸する薄く開いた唇から、
尖った白い犬歯と赤い舌をちらちらと覗かせて。

その光景が
兄をますます煽り立てているとも判らずに。

326餡ソロ萌えの見る夢 5:2006/07/18(火) 21:15:02 ID:k7CDn1zH
「…堪らんな…そろもん…っ」
「ぁ…!」
兄の指が体内から出る感触があり、何か金属のぶつかるような音と衣擦れの音がして、次の瞬間
「嫌だ、兄さ…ぁああッ!!」
兄の手が彼の双丘を乱暴に割り、熱い湿った塊が指の代わりにそこを押し拡げた。
「…んッ…ん」
押し殺した呻き声と共に、兄の長大に猛ったものが奥深くまで侵入してくる。
「痛い…ッ、いけません…にいさんッ、こんな…ぁあ、あ…っ!」
「…いいぞ…っ」
殆ど泣き声に近くなった弟の訴えにも耳を貸さず、
あんしぇるは自身を弟に突き立てたまま、ゆるゆると腰を動かし始めた。
「おまえの中は変わらんな…すぐに私を呑み込んで…吸いついてくる、」
「あ…!あ…!…いや…だ…ッ」
「余程私のものが愛しいらしい」
兄の言葉が与える羞恥に耐えかねて、そろもんはきつく目を閉じる
彼の目の端から、涙が零れ落ちる
「嬉し泣きか?…は…っ、おまえはそんなに私を愛しているのか」
「ちが…、あ…あっ、あぁ…!」
兄の声が昂ぶり、徐々に動きが激しくなる。
僅かに残った理性を必死に身体につなぎ止めて、そろもんは容赦なく押し寄せる快感に耐えた。
兄の低い囁きと、
「私は…おまえを愛しているぞ、そろもん」
「はぁっ…う…嘘…ですッ…」
兄の舌がうなじに加える愛撫が、
「嘘なものか…私はおまえを手放したくない」
「にいさん…、にいさ…ぁんッ…!」
彼の理性を引き剥がす。
「どうした…そろもん、先ほどのあの顔は何処へやった?」
兄の声は興奮して上擦り、
「厭なら、抗ってみろ…!」
その手が、後ろから突き上げられる度に弟の股間で跳ねている
今にもはち切れそうになったものを掴んだ。
327餡ソロ萌えの見る夢 6:2006/07/18(火) 21:18:32 ID:k7CDn1zH
「ひ…あ…!!」
先端から先走りが漏れて、デスクの上に散る。
「―――ッ!」
途端にそろもんの神経を絶頂感が駆け上がり、彼は背中を仰け反らせた。
あんしぇるはすかさずその根元を力を込めて握り締め、そのまま
ますます激しく弟の中を犯した。
「まだだ…!」
「嫌ぁあ…!あ、あ、あぁ…!も…許して下さい…っ!」
「どうして…欲しい…っ!」
「いっ…」
朦朧とする意識の中で、ただひとつの欲求だけがそろもんの口を動かした。
「いかせて…ください…!」
「なら…言え…おまえが愛しているのは、誰だ…!」
「あッ…、僕は…僕はあなたを愛していますッ…あんしぇるにいさん…!!だ…だからもう
…虐めないで…許して…!あぁッ」
そろもんは涙をこぼして、哀願の眼差しで兄を見上げる。
途端に兄の口元がつり上がり、その顔はいやらしい笑みに歪んだ。
「はっ…マゾが…!」
あざ笑って罵るなり、兄は弟の性器の根元から手を放し、先端を小刻みに扱きはじめる
その言葉と行為は、弟の理性を繋ぐ糸をぷっつりと切った。
「ひ…!にいさん…気持ちいい…!あ、あぁもう…いく…にいさんっ…にいさんっ、あああぁ…っ!!」
ほどなく弟の背筋はびくんびくんと痙攣し、握られたものは脈打って、兄の手の中で勢いよく精液を飛ばした。
兄は弟の痴態を粘りつくような視線で眺め、
ぞくぞくしながら上体を起こし、快感に任せて激しく腰を振る。
「はは…いいぞ、最高だそろもん…堪らんな…ッ、うぅ…ぐ…っ!」
弟の痙攣が兄の股間のものを締め上げ、
兄はそれを弟に奥深く突き立てたまま、精を放って果てた。
「ぁあっ…にいさん、熱い…っ」
「…ッ、そろもんっ…」
兄は力なく突っ伏した弟の金髪に指を絡め、
そのまま引き上げると、その顔が見えるように振り向かせる。
そして顔を近付け、弟の薄く開いた唇を貪るように吸った。
328餡ソロ萌えの見る夢 7:2006/07/18(火) 21:22:50 ID:k7CDn1zH
「ふ…ちゅっ…、ん…ん…ッ」
そうしながら、全て吐き出しきったものをずるりと引き抜く。
「…ぁ」
そろもんの脚は立っているだけの力を失い、彼はデスクに縋りついたまま、兄の足元に崩れた。
「ふん…、」
兄はまだ肩で息をするその姿を満足そうに見下ろし、乱れた衣服を直しながら言う
「…おまえの体が、私を忘れる事はもう出来ないようだ」
「……」
兄の言葉が絶頂の余韻をかき消して、弟を現実に直面させる
「そんな体のおまえを、…あの女はどう思うかな」
兄の愉悦に浸った声が、弟の肩を震わせる。
「おまえがそれを忘れたら、また思い出させてやる」
愛しているよ、そろもん。
あんしぇるは鼻を鳴らしてきびすを返し、何事もなかったように靴音を立てて部屋を後にした。

背後で扉の閉まる音がし、残されたそろもんの中を、
兄の色に染められた自分の不甲斐なさと情けなさが
弟とあの少女に対する憧憬と罪の意識が
じわじわと這い上がる。

愛しているよ、そろもん
兄の言葉はうわべだけだ
一瞬でもそれに惑わされた自分が愚かしい。

彼はまだ兄の唾液に濡れた唇を噛み、震える手を痛いほど握り締め、
すぐ傍の床に叩きつけた。

あんしぇる兄さんは、とても残酷な人だ。

329餡ソロ萌えの見る夢 おしまい:2006/07/18(火) 21:27:43 ID:k7CDn1zH
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデ……………orz
            …かきこみ下手杉…これぞまさに棚汚し、
            返す返す読みにくくて
            本当に申し訳ありません。
            しかも乱文。本当に失礼いたしました…。
330風と木の名無しさん:2006/07/18(火) 21:30:03 ID:QACsEx7s
リアルタイムktkr
元ネタわからないけど激しく萌えろた
331風と木の名無しさん:2006/07/18(火) 21:42:19 ID:NnXgGhN9
血スレ396です。投下待ってたよー。
にいさんにいさん繰り返すそろもんに萌えました。切ないエロGJ!
332風と木の名無しさん:2006/07/18(火) 22:50:17 ID:OlNSXhCj
GJGJGJ!
偶然血スレに立ち寄った時から投下を楽しみにしてました。ありがとう!
333風と木の名無しさん:2006/07/21(金) 23:55:04 ID:vxruTKLk
保守
3347回裏 1/3:2006/07/23(日) 12:23:45 ID:iyKI7L3O

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ナマモノ夜級。某4239です。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  一人称、関西弁でほのぼので。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

***

あー、目眩がする。意識ははっきりしてんねんけど。
3回り目、1番からの好打順って、今までぜんぶ三凡やもん。
ヒットは1本、四球が1個。ゲッツー1つと盗塁刺でお釣りなし。淡々とした投手戦。
前の回に、同級生のタイムリーで1点とって、俺はタコやったけど、2点差の7回裏。
シュート、スライダー、インコースギリギリ外の直球を見せ球にして、
次に投げる球は、あいつもわかってる。せやろ? うん。子供みたいな目。
遊ゴロ。一飛。三振。審判の手が挙がった瞬間にマウンドを降りて、ゆっくりとベンチに向かう。
俺も捕球した瞬間にキャッチャーボックスを外してる。
3357回裏 2/3:2006/07/23(日) 12:24:29 ID:iyKI7L3O
「お疲れさん」
投手コーチがねぎらう。監督の表情も緩んでる。続投するか?と訊くのも、笑いながら首を振るのも
半分シャレみたい。汗を拭きながら引っ込む背中を追いかける。今日は終わり。
キャッチャーがそんな感覚になったらあかんねんけど、終わり。まだ、クラクラしてる。ぽふっ。
「どうしたん?」
振り向いていたピッチャーの、肩にぶつかる。
「…かんぺき」
「そうやな。ありがとうな」
時々、サインなんか必要ないんじゃないかと思う。2-1からスライダー。空振りをとる絶妙なコース。
構えたところから動かすこともない。塁審に形ばかりアピールする。アウトのジェスチャー。
マウンドを降りながら悪っぽく、振っただろ、のポーズ。完璧。何もかも完璧。だから目眩がする。
「……ちゃん?」
ちょっと困ったような声。ヘッドコーチが覗き込んでいる。俺は平気。ちゃんと聞こえてるよ。
2塁打と犠打で1死3塁。1点とっても、セーブもホールドもつく。とらなくっても、平気。
「熱でもあるんか?」
「ないよ」
さっきまでボールを掴んでいた左手が、短い髪をくしゃくしゃにして、離れる。
ざわめきが少し遠くなったとたんに、拍手の音に引き戻される。犠牲フライで1点。
2死走者なし。初球狙いで進行が早い。戻らないと、と振り向きかけると、ドアの方から低い声。
3367回裏 3/3:2006/07/23(日) 12:25:05 ID:iyKI7L3O
「勝てたらいいなあ」
からかうようににやにや笑う。いつもの言葉は、すごく優しい。
球界1のリリーフ陣でも、何が起こるかわからない。マウンドを譲ったピッチャーにはもう何もできない。
だから、俺らは勝ちを待つんじゃなくて、勝ちを取りにいく。
俺がぼーっとしてたから、喝やね。気合い、入れ直し。
「勝ったら…」
勝つから、と見つめる。うんうん、と頷いてアイシングに消える。勝ったら……それも、わかってるやろ?

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 避難所民の妄想でした
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

3377回裏 おしまい:2006/07/23(日) 12:26:54 ID:iyKI7L3O
初投稿。お立ち台のツモさん気分。ダグアウトから野次ってください(笑)。
338風と木の名無しさん:2006/07/23(日) 16:13:37 ID:DeR8IRVO
(笑)
339風と木の名無しさん:2006/07/23(日) 16:25:36 ID:+McZ9n/a
>ヒットは1本、四球が1個。ゲッツー1つと盗塁刺

投手戦の7回裏のこの進行で盗塁させたの???
340風と木の名無しさん:2006/07/23(日) 18:11:26 ID:KICQ/SAx
糖類王を狙ってたとか。
341風と木の名無しさん:2006/07/23(日) 19:03:33 ID:9pNFhYpy
>>339
7回裏に、ではなく
7回裏までに、ってことじゃないの?
342風と木の名無しさん:2006/07/23(日) 19:10:46 ID:aKdEP3/C
何か分かりにくい書き方だが、1〜7回までにヒット1本、四球1個ということでは?
早い回なら盗塁試みても、そんな不自然ではない。
もう1点勝負と分かってる投手戦の7回1イニングで、ヒット1本四球1個出したところで、
そこで盗塁させる監督はいない。
343風と木の名無しさん:2006/07/23(日) 20:08:02 ID:Oql0vzYn
(笑)がすべてを表現
344風と木の名無しさん:2006/07/23(日) 23:23:46 ID:WMHY3lcS
だな。
わざわざ避難所民とか書く辺りも。
痛いの一言。該当スレの住人さんがカワイソス。
345風と木の名無しさん:2006/07/24(月) 00:01:45 ID:JnzFBrDX
てゆーかここジャンル網羅してるスレッドだからやき卯論議やめね?
やるなら本スレでやろーや。職人さんが投下しづらいふいんきry作っちゃイヤン
346風と木の名無しさん:2006/07/24(月) 00:04:24 ID:fDXHrzyE
ビデオ棚での感想をわざわざスレに持って行くのも違うだろ。
つまんないものはスルーが一番。嗜めるなら適度に。
絡みたいなら絡みスレに行けば良いことだ。
347風と木の名無しさん:2006/07/24(月) 02:50:14 ID:nyBT2tT6
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  『車達』でヒッピー×軍人
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  この二人はスルメカポーだとだと思います。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ノベライズヲカッタハイイケド……
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

二人の急接近話☆の癖に医者がいます(まだ医者がいなかった高速完成の時点
で既に熟年夫婦の薫り漂っていると暫定)そして街はもう寂れています。
一体いつの話だよと言う話ですが、パラレルワールドと言うことでお願いします。

後簡単自設定。
・ヒッピーは放浪の末RSに越して来た。
・軍人は生粋のRSっ子。
・ヒッピーが引っ越して来た時、軍人はまだ軍役中で家を空けていた。
・保安官は昔都会から赴任してきた。
・ヒッピー一人称→ボク
・軍人一人称→俺

ノベライズの描写に準じる気でしたが、自己流で通すことにしました。
348『車達』ヒッピー×軍人1:2006/07/24(月) 02:51:25 ID:nyBT2tT6
 サージの朝は早い。
 午前六時に眼を覚まし、すぐに簡単な身支度。リッター辺りでそこらの
へなちょこ車の何十倍もの馬力が出るガソリンを一杯流し込んで外へ出る。
軍人時代の習いを一切捨てる事なく、芝生しかないそっけない庭に唯一堂々と
そびえ立つポールに備え付けられたスイッチと、レトロなラジカセとを同時にスイッチオン。
 勇ましい軍式起床ラッパの暴力的とも言えるリズムと共に、星条旗が静かに
上がっていく。朝の日課を終えたサージは満足げに、朝の爽やかな風に波打ち出す
祖国の旗を見上げる。
 まだ店を開けるには早すぎて、街の皆はまだ夢の中にいる時刻。

 至福の一時。


 ただ、サージは毎朝失念してしまう事がある。


「…………む!」
 耳に入ってくるのは実にのったりとしたリズム。ジャカジャカ煩いだけのギター。更に気力をどこに置いてきたと叱責したくなる歌声。

「貴様ぁっ!!そのふ抜けた音楽を今すぐ止めろッ!!」
返事は、のんびり屋の相手にしては珍しくほぼ間髪入れず。
「ふ抜けてないよ、ジミヘンだよ〜」

サージの家のすぐ隣、前衛的なテントと怪しいドラム缶転がる家の主。
 フィルモアの朝も、早いのだ。
349『車達』ヒッピー×軍人2:2006/07/24(月) 02:52:20 ID:nyBT2tT6
「まっっったく!あいつのあの根性は何とかならンのか! 日がな一日だらだら
だらだら情けないにも程があるッ!!」
街の憩い場、V8カフェはサージの愚痴大会会場になっていた。
 ちなみに話題のフィルモアはと言えば、自宅でのんびり日光浴の最中である。
「サージ、それはあんたの主観だ」
息巻いているサージの愚痴を聞いてやるのは、いつもシェリフだった。都会と
違ってあまりにも平和すぎるこのラジエーター・スプリングスに赴任してきて、
近頃はついに標識の裏で昼寝をする事まで覚えてしまった保安官にとって
サージは久々の世話焼き対象なのだった。
「主観!? 十分だッ、俺が上官ならヤツの顔を見た時点で除隊処分にしてやる!!」
「ここは軍隊でもないし、フィルモアはあんたの部下でもないんだよ。
ちょっとぐらいは歩み寄ってもバチは当たらんと思うがね」
 シェリフの手慣れた説得にサージは沈黙する。いつもの事だ。
 せめて自分の退役とフィルモアが越して来るのとが逆であれば何とかなったかも
知れないが、サージが懐かしの故郷に帰ってきたのはフィルモアがすっかり
街に馴染んだ後だった。リジーなどは特にフィルモアを気に入っていて、
最近サージに少し冷たい気がしないでもない。

 そう、フィルモアは確かに変人でヒッピーで健康オタクだ。彼の勧める
自作のオーガニックオイルとやらは世にも微妙な味がする。
 だが、決して嫌われるような要素は持ち合わせていないのだ。
350『車達』ヒッピー×軍人3:2006/07/24(月) 02:53:36 ID:nyBT2tT6
 サージ自身もそれは分かっている。単にウマが合わないだけで規律を乱すのは
ただの我が儘でしかない。
 だからせめて、毎朝の日課に乱入してくるジミヘンだかハデヘンだか知らないが
とにかく気の抜けた音楽だけは止めさせようと、毎朝声を張り上げるのだった。



 『サージのサープラス・ハット』の閉店時間はいつも変わらず午後九時だった。
客がいないとかそういう事は気にしてはいけない。ルート66の真横に伸びる
高速道路が完成して以来、この街には閑古鳥が大挙して居ついた上に卵を
産んでついでに雛まで孵ったらしい。
 店を閉めた後サージがする事と言えば寝る事だけである。店のシャッターを
降ろしたサージは、さっさと眠るべく自分のガレージへと向かいかけた。

 が。

 ガンガンガン、と硬質の音が今まさに閉めたばかりのシャッターの向こうから飛んで来た。
「何だ、カスタムデリバリーなんぞ始めたのか」
「いくら俺でもそりゃキツいぜサージ」
シャッターを半分ほど開けたサージが眼にしたのはちゃちな電灯の下にも
鮮やかなショッキングピンクに塗り上げられたラモーンだった。
 昼間見た時は確かにオレンジとスカイブルーのツートンカラーだったはずなのだが、
またもリペイントしたらしい。街一番の改造狂の一段階低くなった車高と
視線を合わせるのなら、サージは必然的にラモーンを見下ろす格好になる。
「で、何の用だ? お前のピンクにミリタリーカラーは合わん」
「だから違うってサージ、頼みがあるんだよ」
ラモーンは苦笑いすると、小さく溜め息をついた。
351『車達』ヒッピー×軍人4(伏せ忘れスマソ!):2006/07/24(月) 02:56:48 ID:nyBT2tT6
「フ口ーがなあ、どうも身体壊したみたいで」
流石にこれにはサ一ジも驚いた。今日も今日とて愚痴る自分となだめる
ツェリフに、いつものようにオイルを供給してくれていたフ口ーが?
「大丈夫なのか」
「ん、先生が言うには薬飲んで寝てりゃ治るとさ。で、本題はこっからなんだが
……オレぁフ口ーを静かに寝かせといてやりたいんだ」
ラモーソの声音が、何故か下がる。
 妻を看病する夫からすればそれは当然だろう。サ一ジは頷いた。
 それに励まされたか、ラモーソは徐に切り出した。
「物は頼みなんだがサ一ジ、あんたの朝のアレ……明日だけ止めちゃもらえないか」
朝のアレ。

 …………。

「――起床ラッパの事か?」
「ああ」
「……わかった、明日はヘッドフォンでもつける」
「助かった! 恩に着るぜサ一ジ!」
たちまち笑顔になるラモーソにサ一ジは不覚にも思わず照れて、『フ口ーには
いつも世話になっているから』と言うような内容をもそもそ呟いた。反対に
ラモーソは視線を泳がせ、何やら考えている。
「礼しなきゃな……そうだサ一ジ、今時の迷彩は蛍光色を乗せてバリバリ目立たせるのが」
「オイル一杯だけでいい。養生しろと言っておいてくれ」
「――伝えとく」
ペイントモデルをあっさり断られてもラモーソは涼しい顔で、自宅へと帰って行った。
 その派手なリアフロントが見えなくなるまで眺めた後、サ一ジはガレージを閉めた。
352『車達』ヒッピー×軍人5:2006/07/24(月) 02:57:51 ID:nyBT2tT6
 次の朝は快晴で、雲一つ無い空はさんさんと大地に陽光を注ぎ入れていて
返って暑いくらいだった。
 いつものように起床したサ一ジは、星条旗を掛けたポールのスイッチを押した。
いつもと違うのはそのままサ一ジが戻っていく事だ。
 昨夜ヘッドフォン発掘の際に何回かテストを行ってみた結果、ラジカセの
電池が切れかけている事が判明したのだ。朝に発覚するよりかは幾分マシだと
コンセントを使って電源供給させる事にしたはいいが、ラジカセのコードも
ヘッドフォンのコードもサ一ジが庭に出るには長さが足りない。なので、
サ一ジは家の窓からヘッドフォンをしつつ、するする上がっていく旗を眺める事になった。

 彼からすれば耳良いリズムに意識を傾けながら、『これも悪くない』とサ一ジは考えた。
 近所迷惑にもならないし自分の理想の音量で聴ける。延長コードと電池さえ
買えば外でも問題無い。そして何より
「あの不謹慎な音楽が聞こえん」
サ一ジはせいせいした、といった調子で呟いた。ヘッドフォンの恩恵は予想以上である。

 ――――シャアアン……

「?」
ラッパの狭間に何やら不穏な音を聞き取った気がしてサ一ジはラジカセを止めた。
既に旗は上がりきっていて、特に問題らしい問題は外には見受けられない。

 …………そう、外には。

「何だ?」
ヘッドフォンを外してみても、朝の静寂は変わる事はない。暴走族でも
紛れ込んだのならもっとうるさい筈だし、だとしたらツェリフが黙ってはいないはずだ。
353『車達』ヒッピー×軍人6:2006/07/24(月) 02:59:03 ID:nyBT2tT6
 がしゃん!
「!」
サ一ジは現役時代の名残で、素早く壁に身をぴったり付けた。しかし物音は
それきり止んで、どこかで鳥の鳴き声がするのみになった。
「…………」
何となく気恥ずかしさを覚えて、サ一ジは店の方へと視線を遣った。日頃
きっちり整頓されているので、商品の落下は有り得ない。泥棒ならば話は
別だが、このひなびた街に泥棒が来たとしてもサリー辺りが両手を上げて歓迎するだろう。
「おい! 誰だ!?」
結局そんな月並みな台詞で店へと踏み込んだサ一ジの見たものは、軍用タイヤと
カモフラージュスプレーに埋もれたフィノレモアの姿だった。

「――――……?」
あんまりの事にサ一ジは怒鳴るのも忘れて沈黙した。何故フィノレモアが自分の
店先で品物に埋もれているのか?
 疑問はあれど発する機会が見当たらず、サ一ジは珍しくぼんやりと褪せた
エメラルドグリーンのリアフロントを眺め続けた。

「……うーん――――むー……」
ぴくりとフィノレモアが跳ねた事で、絶妙なバランスを保っていたタイヤが転がっていく。
 それではたと我に返ったサ一ジは、何とはなしにそろそろとタイヤとスプレーの
小山へと近寄って行った。
「……おい、フィノレモア」
「サ一ジ!!」
叫ぶなりフィノレモアが器用にその場で一回転してサ一ジに向き直った。
「ああ良かった……!元気なんだね?風邪とか、怪我とかはしてないんだね!?」
矢継ぎ早に尋ねながら、右へ左へタイヤやスプレー缶を転がしつつフィノレモアは
忙しくサ一ジの側面やらリアバンパーやらを確認した。果ては何とかして
サ一ジの真下部分まで覗き込もうとするので流石に押し退ける。抗議の呻きを
上げるフィノレモアは無視して、サ一ジはうっすら頭痛などを覚えながら問い掛けた。
354『車達』ヒッピー×軍人7:2006/07/24(月) 03:00:24 ID:nyBT2tT6
「――話がさっぱり見えんのだが」
「見えるも何も、簡単な事じゃあないか!朝起きて支度して、いつものように
君の家を見ても君がいない!いつも庭に出て、旗を見上げてるのに!!
絶対何かあったと思って駆けつけて来たんだよ!」
平素のスロー過ぎる様子からは想像もつかないテンションの高さでそうまくし立てると、
フィノレモアは一旦言葉を切って呼吸を整えるのに集中した。

 そんな様子をサ一ジは何とも言えない顔つきで見ていたが、やがて長々と溜息を吐いた。
「フィノレモア、旗は見なかったのか」
「へ?」
指摘されるとフィノレモアはきょとんとし、その表情のままでするするとバック
していく。そして旗が見えただろう位置で止まると、またするすると元の位置に戻ってきた。
「……旗はあったけど。あれ?じゃあ何で今日は見てなかったのさ?」
首を傾げるフィノレモアに、サ一ジはフ口ーの風邪とラモーソの頼みを手短に説明した。
それを聞き終わると、今度はフィノレモアが溜息をつく番だった――ただし、こちらは安堵の。
「……じゃ、サ一ジ。君本人には何も無いんだね?」
「さっきからそう言って――!?」
サ一ジの言葉は途中で中断された。突然身体を摺り寄せてきたフィノレモアに
サ一ジは眼を丸く見開いて、されるがまま唖然としていた(後日、サ一ジはこの事を
真っ赤になって思い出しながら、『何故もっとしっかりした対応が出来なかったのか』と悶えてる事となる)
「……良かった。本当によかった。君に何かあったら、ボクの世界は真っ暗だよ」
「な、に……何を、寝惚けた事を言っている?」
「寝ぼけてなんかないさ。だって、僕は確かにジミヘンをこよなく愛してるけど
……ああ、愛してた、なのかなあ。彼の演奏は今でも大好きなんだけど、
サ一ジ、最近はジミヘンを君んところの起床ラッパに被せて、君がこっちを
向いてくれるのを待ってる方が好きなんだよ」
355『車達』ヒッピー×軍人8:2006/07/24(月) 03:02:11 ID:nyBT2tT6
いよいよサ一ジは返す言葉を失った。
 今までのやりとりは、フィノレモアが意図的に仕掛けたものだというのか。
何たる事か、素人のトラップすら見破れずにまんまと引っ掛かっていたわけか。
それも毎朝。情けない。
「……ちょっと待てフィノレモア、それをやる意義は何だ」
「――察しが悪いねえ、サ一ジ。ボクは君とね、もっともっと仲良くなりたいのさ。
だから、君が気にしてくれるように頑張って早起きして、ジミヘンを聞きながら
朝ごはんと朝の日光浴を楽しんでる。君はいつも朝が早いから最初はきつかったんだけど、
今となっちゃ日課になっちゃった。健康にいいしね」
のんびりと語り終えると、フィノレモアはふっと表情を暗くした。車体に施された
ペイントが華やかなので、その暗さは思いの他際立つ。
「それもこれも、君に何かあっちゃあ意味がなくなるんだ……。本当に、よかった」
すぐにふわっと微笑むフィノレモアを至近距離で見つめるうち、サ一ジは店の商品を
吹っ飛ばされた怒りや、毎朝毎朝繰り返される起床ラッパ対ジミヘンの攻防も
全てがゆっくり溶解して流れ出すのを感じた。

 何がしか表現手段を間違えている気はするが、このヒッピーは自分に好印象を持っているらしい。

 さて、サ一ジはフィノレモアの顔をじっくり眺めながら次の行動を模索した。
 ほとんどが向こうの勘違いで、しかも結構派手に店に突っ込んできたのは
微妙に許しがたいが、全ては自分を心配してくれた上の事だ。それを全て
無下に否定出来るほどサ一ジは冷徹なつもりはなかったし、冷徹になる予定もなかった。
356『車達』ヒッピー×軍人9:2006/07/24(月) 03:02:43 ID:nyBT2tT6
「…………」
黙り込んだサ一ジに違和感をようやく覚え、フィノレモアはきょとんと瞬きをした。
 そんな事はお構いなしで、サ一ジは凄まじい形相で黙りこくっている。

 奇怪な沈黙が、どのくらい流れていったのか。

「…………――まあ、何だ。――心配させたな。……すまん」

ぽつりと呟いた一言に、フィノレモアは最高の笑顔を向け、サ一ジはボンネットから
煙が出てくる感覚を錯覚しながら俯いた。


 数日後、無事全快したフ口ーのカフェにて、フィノレモアによるジミヘンについての講釈を受けるサ一ジという世にも珍しい光景が見られた。
 皮切りは『国歌を舐め腐った曲だが、お前がそこまで言うなら聴いてやらんでもない』というサ一ジの遠回しな注文だったのだがが、ジミヘンの破天荒すぎる経歴の中の『音楽のために軍を除隊』の一文に再び烈火のごとく怒ったのは言うまでもない。

 というわけで、朝のやり取りはずーっとそのままなのだった。



[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・ )本当はここで終わるんですが
357『車達』ヒッピー×軍人・おまけ:2006/07/24(月) 03:03:52 ID:nyBT2tT6
|> |> FAST ピピッ ◇⊂(・∀・;)思いついたネタあったので早送り!一気に本編後です。ネタバレ注意。


「フィノレモア!」
カフェの女主人の呼び止めに、フィノレモアはのんびりと停止した。
 それから思い出したように道の脇に寄って行くのは街を行く観光客や、
街の各店の客のため。住人以外は人っ子一人通らなかったあの頃が嘘のようで、
今でもフィノレモアは復活した信号をちょいちょい無視してしまってはツェリフに
説教を食らっている。
「何だい、フ口ー?」
「フィノレモア、もし今から家に帰るんなら――これをサ一ジ達に差し入れて
あげてくれない?この陽気だもの、生徒さんが干乾びちゃうわ」
店の奥からキンキンに冷えて水滴がびっしり張り付いたオイルタンクを
引っ張ってきながら、フ口ーが問い掛けた。

 街は再び以前の活気を取り戻したが、どうにも売り上げが伸びないのが唯一
サ一ジの店だった。軍用品払い下げで、格安かつ物珍しくはあるが、やはり
とっつきが良くないのは事実である。
 それでサ一ジが最近始めたのが、4WDの癖に舗装道路以外は走った事がないと
言うもやしっ子なSUV達の性根を立派に叩き直す訓練所である。
 どこから聞きつけてくるのか、そこそこに需要はあるらしく店の売り上げを
追い越す勢いだそうだ。教習が一つ片付くたびにご機嫌なサ一ジの隣で、
フィノレモアは嬉しい反面ほんのり寂しさを感じていたりもする。

「うん、分かったよフ口ー。ボクが持って行ってあげる」
「ありがとう!助かったわ!!」
笑顔のフ口ーにタイヤをちょいちょい振り返し、フィノレモアはタンクを持って
サ一ジのいる荒地へと向かった。
358『車達』ヒッピー×軍人・おまけ2:2006/07/24(月) 03:05:31 ID:nyBT2tT6
「こらぁっ!そこ、たるんどるぞ!? 泥除けの汚れなど気にするな! 何のための
泥除けだと思ってる!!」
午前中からぶっ続けのスパルタ教習に、生徒である4WD達は全員満遍ない回数
天国を目撃した。埃まみれ泥まみれになりながら、鬼軍曹サ一ジの『休憩!』
の一言を待ちわびてはいる。……が、今のところ休憩はただの一回、昼休憩のみで
おまけに僅か三十分だった。

 そんな岩とサボテンと埃と枯れ草舞い散る荒地の向こうに、エメラルド
グリーンの車体が見えてくる。だんだん近寄るにつれて両脇に大きく描かれた
色とりどりの花と『LOVE&PEACE』のロゴも確認できるようになる。

 フィノレモアはのんびりと進みながら、遠目にサ一ジの姿を確認して微笑んだ。
 そこで一度止まると、すうっと息を吸い込み
「サ一ジ! サーーーーージーーーーー!!!!」
声を限りに呼ぶと、サ一ジの動きが一瞬止まった。その隙にボロいエンジンを
頑張って吹かして走り寄れば、憮然とした顔のサ一ジがそれでも律儀にフィノレモアの
到着を待っていた。
「何の用だフィノレモア、見ての通り今は教習中だ」
「それはわかってるんだけどねえ。フ口ーから差し入れだよ。お茶にしない?」
「茶だァ?バカを言え、お前のティータイムに付き合ってる暇は――
そこ止まるなァ!誰が止まっていいと言った!?」
フィノレモアと会話する合間でも、生徒への眼はしっかり行き届いているらしい。
怒鳴られた生徒は車体を縮み上がらせて再び走り出す。
「よくやるねぇ……。サ一ジ、最後にボクと君がお茶したのって一体いつだと思う?」
「……いつだ」
ちょっと考える素振りをした後、あっさり尋ねるサ一ジにフィノレモアは
大袈裟に溜息を吐いた。
「三日前だよ? 前はフ口ーのカフェで毎日お茶してたのに!そりゃあ街が栄えて
お互いに忙しくなるのはいい事だって分かってるけどね? 忙しくなりすぎるのも
考え物って思わないかい?」
359『車達』ヒッピー×軍人・おまけ3:2006/07/24(月) 03:06:27 ID:nyBT2tT6
恨みがましげなフィノレモアの視線に、サ一ジは少したじろいだ。
 確かにフィノレモアの言う事は正論で、街が賑わう反面あの侘しさが時々
無性に懐かしくなるのはサ一ジも一緒だ。何とも因果な話で、あれだけ切望
していたものが手に入ると今度は正反対の物が欲しくなるものだ。
「あと、これはボク一人のわがままじゃあないからね?フ口ーが差し入れにって
くれたんだ。フ口ーの気持ちを無視する気かい?」
持ってきた冷えたオイルタンクを示すと、フィノレモアはそのままサ一ジの
隣に陣取った。タンクの一つを生徒に渡すと、生徒は眼を輝かせて飲もうとする。
……が、サ一ジの眼が気になるのか、何とも悲痛な表情で教官の顔を伺い始めている。

「……これより休憩! 一時間後に再会!!」
明らかに納得いっていなさそうなサ一ジの号令に、今度こそ生徒達は狂喜乱舞して
タンクに群がりだした。
「――いや、一時間半後にしようよ」
「何ー!?」
フィノレモアのおっとりしていて無茶苦茶な追加にサ一ジは眼を剥いた。
「貴様! 何を勝手に……」
「一時間でお喋りできることなんて数が知れてるさ!いい、サ一ジ。世の中には
癒しと語らいが必要なんだよ。ボクと君との間には、特にね」
そういってウインクまでする自分と同じフォルクスワーゲン製のバスに、
サ一ジはうんざりしたようにそっぽを向く。

 それでも、教習再開は一時間三十分後になった。
360風と木の名無しさん:2006/07/24(月) 03:07:13 ID:nyBT2tT6
 ____________
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 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
伏せ字忘れやら改行忘れやらお見苦しくてスマソorz
361風と木の名無しさん:2006/07/24(月) 04:09:59 ID:/E0FpxbN
>>347
姐さん再びGJー!!
貴方は私の心のノベライズですか

つうかワゴン車とジープでここまで萌えられるなんて不覚
もう本編を正視できない…
362風と木の名無しさん:2006/07/24(月) 17:41:46 ID:rdCB9QIG
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマースYO!
某ドラマの頭脳派弟×兄の方を慕うワンコロ+兄の優秀な保護者×ワンコロ風味
夏季休暇中な上何分荒れ易いジャンルなのでこちらに
3631/4:2006/07/24(月) 17:50:12 ID:rdCB9QIG
深夜過ぎの薄暗い邸の廊下に、不意に予期せぬ人影を見つけ、黒いは
ぎょっとして足を止めた。
人影は弱い照明の下を、よろめきながら進んだ。
此方の姿など目にも入らないようだ。
 異様な格好だった。ベルトの金具がだらしなく外れ、シャツの胸は釦が幾
つも掛け違って肌蹴ている。
ネクタイは蛇のように辛うじて襟元に絡み付いているが、今にも滑り落ちそ
うだ。
手負いの動物のように全身を鈍く重たげに引き摺り、時折脚が縺れると、
痩せた身体はその度壁に乱暴にぶち当てられた。

「………数や」
名を呼ばれて項垂れた人影が初めて顔を上げる。
目の前にまで来て漸く気がついたと云うように。
視線が合った瞬間、黒いは自分が横殴りにされた錯覚を感じた。
乱れた衣服のまま呆然と立ち尽くし、見開いた両目からはきりもなく涙が流
れ落ちて、意思を失った学べの顔中を容赦なく汚していた。
こんな姿を見たことはなかった。
敬愛する若頭から拳を受けた時も、兄貴分の組員達に理不尽な暴行を受
けた時も、こんなにも無力な無防備な顔を彼が黒いに見せたことはなかっ
た。
此方を見上げた眼差しは、空虚な興奮に異常なほど輝いて見えた。
頬は激しく昂ぶった感覚の為に露に火照り、瞳から溢れる熱く苦い水にま
みれている。
下唇が、噛み締め過ぎたのか、微かに切れて血が滲み、一呼吸毎に痩せ
た胸が弾かれたように大仰に上下した。
3642/4:2006/07/24(月) 17:52:20 ID:rdCB9QIG
 何があったかは分り過ぎるほどだった。
「数や、……誰だ」
咄嗟に声を低めて訊ねると、学べは虚ろに首を横へ振った。
いつも身に着けて外したことのないピアスが、何処へやったのか見当た
らない。
替わりに、つんと刺すような嫌な匂いが、微かに黒いの鼻先へ触れた。
「誰だ」
幾分語気を強め、力の抜けた肩を揺さぶる。
されるまま揺らいだ相手の胸元に、暗い鬱血の跡を見とめ、黒いは思わ
ず息を詰まらせた。



*******



「悪戯が過ぎるのは感心できません」
「……悪戯なんて、」

人聞きが悪いなあ。
机上の読み止しの本をそのままに、実木尾は悪びれない微笑を浮かべて
答えた。
ゆったりと窓辺の椅子に腰を下ろし、開け放たれた窓からは、涼しい夏の
夜風がその黒髪を揺らしている。
黒いは室内の空気を跡形もなく洗う爽涼な風に、腹立たしさを堪えて続け
た。
3653/4:2006/07/24(月) 17:54:28 ID:rdCB9QIG
「粋がっていますがまだ子供です」
実木尾にとっては、丁度良い、手頃な、抵抗できない獲物だったのだろう。
「今後こういうことは控えて頂きたい」
「少し話を聴いただけだよ、僕がいない間の兄さんの」
実木尾は広げたページの上で、実木尾自身には縁のなさそうな安っぽい
装身具を弄りながら、退屈そうに言った。
指先で転がされたピアスが鈍く光る。
巻木尾への感情の告白を強い、そうやって自尊心をへし折っておいて、
服を脱がし、屈辱的な体位で抱く。
その最中に、他ならぬ巻木尾の弟のものを受け入れている只中に、巻木
尾を呼ぶよう命じることがか、と黒いは思った。
学べの立場では実木尾は逆らえる相手ではなく、二人きりになって巧く言
い抜けられるような頭もあんな子供にある筈がない。
どうとでもされるままになったろう。

学べは決して実木尾の名を出さなかったが、途切れ途切れの、支離滅
裂な言葉の端から彼が与えられた恥辱を想像することは容易かった。
犬のように扱われ、暴力よりももっと酷いやり方で嬲りものにされて、混乱
し、傷つき、黒いの腕に支えられてやっと立っていられるほど自失して。
夜の淡い投光の下で、ぼんやりと薄開きになった唇は戦慄いて震え、口元
まで滴る涙に濡れて光っていた。……。
3664/4:2006/07/24(月) 17:56:41 ID:rdCB9QIG
 実木尾の背の向こうにあるベッドは、部屋の片隅の暗がりへ、乱れたまま
に打ち捨てられている。
生々しく歪んだシーツに黒いは一瞬視線を移した。
悪趣味な幻覚がそこにちらついたように感じて、又すぐに目を逸らす。



********

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初投稿なのでお見苦しい点・間違いが多々あるかとorz
しかも区切り方見誤ったorz
367風と木の名無しさん:2006/07/24(月) 19:13:06 ID:zfBhSuyd
>>362
GJ!!!!!
個人的に弟×舎弟が気になってたのてすが落ちました(*´Д`*)
本当にありが(ry
368風と木の名無しさん:2006/07/24(月) 22:08:14 ID:No8btYAY
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマースYO!
ちびまる子ちゃんから杉山×大野
369風と木の名無しさん:2006/07/24(月) 22:09:32 ID:No8btYAY
「うわ、もう外真っ暗じゃねーか。」
サッカー部1年の大野と杉山は、用具を体育倉庫に片づけを終え、外に出た。
大野はそう嘆きながら、「さみー」と肩を震わせた。
「ずいぶん日が短くなったよな。早く着替えて帰ろーぜ」
二人は部室の方に足早に向かった。




泥まみれになったトレーニングウェアを大野が脱ぎ捨てた。
しがない公立中学のサッカー部の部室には電気設備もなく、
小さな窓から部屋に差し込んでくるのは月の光だけ。
冬の月は白く、意外に強い光を放つ。

そんな月の光が、大野の背中を照らす。
男にしては細い、そんな感想を杉山は抱いた。
細いといっても女のか細さではなく、スポーツをやる人間としてのバランスのとれた無駄のない身体。
普段見慣れているはずの親友の姿に、月の光の魔法なのか、ひどく引き寄せられる。


考えるよりも先に身体がうごいた。
部室に置かれているベンチに、大野を倒した。
着替えている最中の突然の衝撃に何の抵抗もなく簡単に倒された大野に、乗りかかった杉山はさらに煽られた。
――――このまま、この綺麗な大野をめちゃくちゃにしてやりたい――――
「いって・・・いきなり何すんだよ、杉山。」
顔をしかめて下から見上げてくる大野と目が合う。
しかし大野の表情は杉山の顔を見た瞬間、怯えたもの変わった。
「・・・す、すぎや」
最後まで自分の名を呼ばせず、杉山は大野の唇を乱暴に塞いだ。
「んんっ・・・!!」
370風と木の名無しさん:2006/07/24(月) 22:55:00 ID:fDXHrzyE
落ちちゃったのか?
371風と木の名無しさん:2006/07/24(月) 23:09:00 ID:WPojXRH0
>>362
キタ━━━(;´Д`)━━━!!!!

 _  ∩ 舎弟!
( ゚∀゚)彡 舎弟!
(  ⊂彡
.|  |
.し⌒J

弟×舎弟でこっそりもじもじ萌えてたところに思わぬ燃料ktkr
来週の放送までこれで食いつなぐよ、GJ。
372風と木の名無しさん:2006/07/25(火) 00:02:39 ID:VpXpSD9n
>>368
昔からさりげなく萌えてたカップリングktkr
続き期待してます
373風と木の名無しさん:2006/07/25(火) 01:29:45 ID:1dwxB3lK
>>362
もっと読みたい!
黒いがどんな風にワンコロをなぐさめていくのか気になるわ〜
374風と木の名無しさん:2006/07/25(火) 08:53:00 ID:r6f5z+im
それコピペだろ>>368
375夏の夜:2006/07/25(火) 23:47:33 ID:pMVAKz9g
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  総合スレで需要を見込んで…
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
赤貝、涯視点です。全部で4レス消費。
376夏の夜 前半:2006/07/25(火) 23:48:59 ID:pMVAKz9g
夏の夜は神秘的だ。こんな辺境で、出かけるアテなんてなくても夏の夜の魔物は俺なんかも誘ってくれるらしい。
扇風機すらないアパートにいるより夏の夜は涼しい。
今も、ちょっとそこらで涼んできた帰りだ。
無人のボロアパートの、入り口付近に人影。
それもふつうの人影ならば俺は文句なく避けて行くが、それが横たわっているとあれば流石の俺も素通りできない。
渋々近づいてみるとデジャヴを感じた。
 「あ…赤木!」
やっぱり。

この赤木は何日か前、梅雨真っ只中で雨の夜にも倒れていた。
揺り起こしたら「風呂入りたい」といわれた。うつ伏せに倒れたままの第一声。
うちに風呂はないと言うとゆっくりと起きだして「ふうん」とだけ言った。
不思議と厭な感じはしなかった。
  「君、誰」
くぐもったような、それでも艶のある声。
  「工藤」
答えてから、何言ってんだ俺、気づいた。
  「もしかして、工藤 涯?」
  「なんで?」
  「そんなやつが居たかもと思って」
そいつは口元に手をあてて言う。
  「アンタ福中の生徒?」
  「ああ、2年の赤木」
同じ学校の生徒かよ、途端に憂鬱になった。
  「とりあえずさ、風呂ないんなら銭湯の場所教えてくんない、気持ち悪いんだ」
赤木の体は雨でぬかるんだ所に横たわってたせいで泥だらけだ。
  「そこの橋を越えたところに…」
  「じゃなくて。案内してよ、俺この辺土地感ないし」
泥だらけで、おまけになんか磯の香りもする。ちょっと放っとけなくて、
  「わかったよ…」
承諾してしまっていた。
377夏の夜 後半:2006/07/25(火) 23:50:20 ID:pMVAKz9g

  「じゃ、俺はここで」
すぐ傍の銭湯。銭湯というより大浴場で、値段が少し高い。
  「え?」
  「工藤は入ってかねえの?」
赤木が意外そうに言った。
  「俺タオルも桶も持ってきてねえし」
冗談じゃない。
  「そんなの俺も同じじゃない」
  「金も持ってきてない」
ついでっぽく言ったけど、本トはこっちが大本命。
  「そんなこと気にしてたの、大丈夫、俺が払う」
笑って言われたが、お見通しらしい。
何だかんだ、こいつにはペースを乱されまくり。
そうやってぼやっとしてると腕を引っ張られて中に引きずり込まれた。
「その理に敵ってないとこがいいんじゃない」とか言われて、強引とも言える倍プッシュに負けて、甘んじて受け入れることにした。
赤木と居ると、本当に調子が狂う。

そういえば、やけに印象に残っていること。
赤木は俺の体を見るなり「ふうん」と呟いた。
その意味はイマイチ解らなかった。

今夜の赤木は、暫く目を覚ましそうにない。
こないだの借りもあるし、泊めてやろうと思って赤木を部屋に運んだ。
378夏の夜:2006/07/25(火) 23:54:07 ID:pMVAKz9g
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 | |                | |           ∧_∧ オソマツサマデーシタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
379風と木の名無しさん:2006/07/26(水) 01:52:57 ID:+PHatvnX
>>347
イイヨイイヨー
あの映画は観るほどに萌える
姐さんのSSは天の恵みだ
380風と木の名無しさん:2006/07/26(水) 22:02:18 ID:N7MK5V3k
                      ''';;';';;'';;;,.,    ザッザッザ・・・
                       ''';;';'';';''';;'';;;,.,   ザッザッザ・・・
                        ;;''';;';'';';';;;'';;'';;;
                        ;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;
                        vymyvwymyvymyvy、
                      MVvvMvyvMVvvMvyvMVvv、  VIPからきますた
                   Λ_ヘ^−^Λ_ヘ^−^Λ_ヘ^Λ_ヘ
    VIPからきますた    ヘ__Λ ヘ__Λ ヘ__Λ ヘ__Λ
             __,.ヘ /ヽ_ /ヽ__,.ヘ /ヽ__,.ヘ _,.ヘ   VIPからきますた
    /\___/ヽ   /\___ /\___/ヽ _/ヽ /\___/ヽ
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   /`ー‐--‐‐―´\ /`ー‐-  /`ー‐--‐‐―´\-‐‐ /`ー‐--‐‐―´\
               帰 り ま せ ん 勝 つ ま で は
381風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 02:44:21 ID:sINaJaee
復活?
382風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 02:49:26 ID:fdY5kS2W
保守
383風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 03:09:22 ID:955dXFjN
ほしゅん
384風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 17:43:50 ID:01FGy0YP
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマースYO!
>>362の続き
某ドラマの帰国子女弟×兄のアホ犬+
中の人が熱中症にならないか心配な御方×アホ犬風味
3851/6:2006/07/27(木) 17:45:15 ID:01FGy0YP
 ほんの一、二度、黒位の、あれは本当に気紛れだったのだろう、慰みになったことはある。
あの時は、黒位の老練な肉体に翻弄されて、何も考えられなかった。

 若く、快感に敏感になり過ぎてしまう此方の身体に気づくと、苦しくならない程度に愛撫の手を
緩めてくれる。
辿り落ちる乾いた指先。
煙草の香りを帯びた苦い口づけ。
 それより他にそんな経験がある訳がない。辛うじて知っているそれは、決してつらい記憶ではな
かった。今夜まで。
黒位の身体は労わり深かった。






 薄甘い記憶がどうしても今夜の出来事と比べられて、涙が止まらず、鼻腔に流れ込んで咽返っ
た。
枕にじっと顔を埋めて堪えていても、まるで下腹部に拳を捻じ込まれるような熱い痛みが波にな
って込み上げてくる。
火照りの引かない肌にじっとりと汗が滲むのを感じ、学べは息を吐いて身を捩った。
暗闇に沈んだ廊下の端で、気の遠くなるような長い沈黙の後、黒位は「早く休め」とだけ言って軽
く肩を握った。
けれど、いつもは頼もしさと尊敬よりほか感じることのない黒位の掌の記憶さえ、今はどうしようも
なく煩わしい。
触れられたくない。
 快楽の熾き火が、まだ内側からこの身体を焼いている。
3862/6:2006/07/27(木) 17:46:06 ID:01FGy0YP
 暴力で捻じ伏せられるなら、殴られて力尽くで犯されるなら、犬に噛まれるのと同じことだ。
暴行の単純な苦痛なら、幾らでも耐えられる簡単なことだ。
それならどんなにか気楽だろう。
 そう思うと同時に、涙と吐き気がまた喉元にせり上がってくる。

 実木尾の前で、学べは自分を捕食者の前に不用意に転がり出た、間抜けで無力な小動物のよ
うに感じた。
居心地悪く立ち竦み、要領を得ない調子で巻木尾の近況を報告する自分の言葉を遮るように、
実木尾の優しい声が響く。
涼しく、甘く、穏やかで、思慮深げなその声。
 「兄さんのことが好きなんだろ?」
一体何を問われているのか分らず、曖昧な口調で「尊敬しています」と的を得ない返答をした。




 ……それから起こったことを、学べは全て正確には覚えていない。
柔和なあの声に問い詰められて、自分の邪な、巻木尾に寄り添う玄人女達を見る度に感じる羨
望を、相手の前で認めざるを得なかった。
実木尾は微笑んで、実木尾自身が強いた惨めな、いやらしい劣情と妄想に満ちた告白を聴いて
いた。
どんな風に自分を慰めていたかさえ口にさせられた。
顔を上げられなくなるほどの嫌悪感と屈辱。
 それなのに、自分自身の卑しい想像にさえ込み上げてくる欲情に、肌の奥、身体の芯が熱くな
ってくる。
それを見抜いたように、広い掌が俯いたままの首筋を滑り、左耳のピアスを外しながら肌に寄り
添った唇が囁いた言葉が、何度でも何度でも何度でも蘇って再生される。

 「兄さんに抱かれたいんだろう?」
3873/6:2006/07/27(木) 17:46:58 ID:01FGy0YP
 後はもう、実木尾の言いなりだった。
されるまま、実木尾の指で、口で、何もかも晒け出してしまう。
巻木尾を想って熱を帯びた身体は、実木尾の愛撫の巧みさに簡単に蕩け出してしまう。





 全身を隈なく開いていく指先に、いいように反応してしまう。
解剖されたように引き攣って震える身体を見下ろしている、落ち着きに満ちた涼しい眼差し。
視線と、言葉とで手脚を拘束されているかのように抵抗できない。
唇と舌は、あらゆる裂け目の粘膜を舐めねぶってまるで蛇のように動いて体内を犯した。
 強情を張り、僅かでも声を殺そうと歯を喰い縛ろうが、意地も何も失って泣き叫んで許しを請お
うが、自尊心の砦を最後の一欠片まで踏み潰してしまうまで、実木尾は少しも止める心算は
なさそうだった。
柔らかな室内光に映し出された実木尾の表情を目にすると、絶望のあまり痙攣した喉からは泣き
声が漏れた。
 快楽は苦痛とは異なって、徹底的に学べを屈服させてしまう。


 何度実木尾の掌や口腔で達したのか分らない。
時折揶揄うように途中で阻まれて、その度に気が狂いそうになる。
組み敷かれ、脇腹をひくつかせ、背を弓なりに仰け反らせながら、何時の間にか自分から膝を
開いて圧し掛かる実木尾の身体を受け止めていた。
 そういう自分の痴態、
…枕元の灯りに照らし出されたシーツの上で、与えられた指や玩具のもたらす快感から逃れよう
と身を捩る自分の姿を、実木尾はただ静かに観察しているのだという事実が事態を一層屈辱的にした。
3884/6:2006/07/27(木) 17:47:35 ID:01FGy0YP
 まだ内側に異物が―――実木尾の身体が入り込んでいるような気がして、学べは必死に耳を
塞ぎ、目蓋を閉じた。
馬鹿な犬のように悦んで身悶える自分の嗚咽が、聴覚にこびりついて消えない。

 実木尾は病弱だが、兄に似て骨格が逞しく整っている。
ああいうやり方で押え付けられていると、そんなことを痛いほど感じる。
彼の下にいると、背の低い、痩せた自分の身体は益々ちっぽけに感じられた。
此方を押し潰すような骨張った肩、獲物を抑え付け逃れられなくする広い胸、しなやかな背中、
長い手脚。
それは彼と、…彼の兄にあって、自分にはないものだ。
彼はあの人に似ている、少なくとも自分の知る他の誰よりも。
その感覚が脳の髄を痺れさせ、快楽は強烈な歓喜になって全身を呑み込んでしまいそうだった。
 恍惚が理性を打ち拉いでしまう。
3895/6:2006/07/27(木) 17:48:33 ID:01FGy0YP
 散々泣き啜って懇願させられた挙句、動物のように四肢をついて這い蹲り、腰を突き上げた姿
勢で実木尾のものを受け入れた。

 弄り回されて痛いほど赤く腫れ上がったような粘膜は、歯痒く疼いて学べを苦しめた。
幾ら唇を噛んで爪を立て、堪えようと一人もがいても無駄だった。暴力的に、無理矢理に引き裂
いて、一番奥のどうしようもない所を突き上げられるのでなければ、このもどかしく蠢く感覚は収
まらない。
 追い詰められて正常に働かない頭で、何でもすると後先も考えず縋り付いて、それを何度繰り
返しただろう、実木尾はいつまでも許してくれない。
漸く命じられると、必死になってしゃぶった。
全身の感覚器が弛緩してしまったように、涙腺も、唾液を垂れ流している唇も、一刻も早く滅茶苦
茶に引っ掻き回されたいと望んでいるそこも、身体中何処も上手く引き絞ることができない。

 それでも熱く硬い、他とは比べ物にならない質量に、実際受け入れると、内臓を串刺しに貫かれ
る痛みと息苦しさで胸が痞えた。
3906/6:2006/07/27(木) 17:50:13 ID:01FGy0YP
 耳朶を食まれ、実木尾がゆっくりと動き始めると、言いようのない満ち足りた快感が熱い塊にな
って繋がった場所から湧き上がってきた。
耐え切れず、悲鳴のような嬌声が唇から漏れる。
 実木尾のそれが、意識と身体をぐちゃぐちゃに引き裂いていくのを感じる。
気持ちが良い、気持ちが良くて何も考えらない。
夢中で喘ぐ中に、柔らかな声が、兄さんのことを呼んでも良いんだよと優しい慈しみに溢れた様
子で囁きかけてくる…。





 一体何時間実木尾の下で蹂躙されていたのか分らない。
発熱でもしているように、全身が骨が痛むほど熱く、気だるい。
まるで実木尾に仕込まれた動物のように、犯されていた箇所の、そのずっと奥の所へうずくまっ
たままの疼きは一向に冷めようとしてくれない。
視界は涙で歪んでいる。
391風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 17:55:28 ID:01FGy0YP

 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ スンマセンもう2度としません
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
中の人にはまったく萌えないのになんでなんだろうなあ
キャラって大事だなあ

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいorz
犬総受けを主張しているわけではありませんごめんなさい本当にご(ry
392風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 18:02:18 ID:2yZ4q/w+
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

26日ヨツモト無限大二部より、波方花丸・代吉。
ナマモノなので、こっそりと自家発電。
393風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 18:03:49 ID:2yZ4q/w+
生放送終了後、楽屋に入ると先に戻っていた相方が恨めしそうにこっちを見てきた。

「…なんでお前よりによっておならのこと言うてまうん」

“おならのこと”というのは、さっきの生放送のコーナーでの俺の発言のこと。
お互いの悪口を言い合うゲームで、俺は『この人は人前でおならをしない』と言った。
周りからは『かわいい〜』『アイドル気取りや〜』などと言われ、当の本人は顔を真っ赤にしていた。
ようやく最後に出してきた言葉は『…お前にだけは聞かしておけばよかったぜぃ』。
……どういうことね、それは。

「他に浮かばんかったもん、仕方ないと?」

そう答えながら相方の隣に腰を下ろす。
相方はまだまだ納得のいかないご様子だ。

「せやけど…せめてもう一個他に何かなかったと?」
「他に…………ないねぇ。だってお前のことめっちゃ好いとうもん」
「な、いきなり何言うとね!?」

突然の愛の言葉に、さっきと同じくらい顔を真っ赤にする相方。
その反応がおもしろくてかわいくて、さらに追い討ちをかけてしまう。
394:2006/07/27(木) 18:05:34 ID:2yZ4q/w+
「ほんまのこと言うとるだけやもん。お前は俺のこと好いとらんと?」
「そ、そんなん言わんでもわかっとるやろ…」
「ちゃんと言うてくれなわからんね。俺のこと好いとらんと?」

どっかのベタなバカップルのような質問が根が純粋な相方には一番効く。
相方の顔をまじまじと見つめ、答えを待つ。


……と、急に相方の顔色が変わった。

「…ちょお待っとって、トイレ行ってくる」

ちょっと不自然な様子でごそごそと前を通る相方。
……これは、まさか。

「トイレには行かせんねっ!!!」
「ちょっ!?」

不意をついた俺の行動に、相方はあっさりと押し倒されてしまった。
腰の辺りに跨り、両腕をガッチリと押さえて。
まだ状況が把握しきれていない相方の顔に自分の顔を近づけてニコッと微笑んでやる。

「お前のおならの音聞いたるけん、トイレ行かんとここでしぃ?」
「なっ…!!」

図星をつかれ、目をまんまるくさせる相方。
うん、その反応もなかなかかわいい。
395:2006/07/27(木) 18:07:10 ID:2yZ4q/w+
ちょっ、どいて!」
「お前さっき言うたばい、俺には聞かせてくれるって」
「言うたけど!まだ心の準備っちゅうもんが」
「そんなんいらんね、俺とお前の関係やけん」
「その関係、今は関係なかろうもん…」

そんなやりとりの間も、相方はおしりをもぞもぞ動かしていて。
なんやかんやと言うてる間に出てしまいそうな雰囲気。
じゃあなんやかんやと言うときましょうかね。

「さっきの質問の続き。俺のこと好いとらんと?」
「……こんなイジワルしてくるお前は好かんとよ」
「そんなん言うてもあかんばい。俺のこと好いとらんと?」
「……トイレ行かせてくれたら言うたる」
「んじゃあ言うてくれんでよか、だから行かせんばい」
「…お前なぁ」

半ば呆れ気味に言いながらも、おしりはもぞもぞ動かしていて。
…と、ふいに感じる自分のお尻の下にある異物感。


「お前…起ってきとるん?」
「っ!?」


ぷー。


アソコの指摘をされた瞬間、思わず力が入ったのだろう。
それまでなんとか我慢されていた相方のおならは、とうとう出てしまった。
396:2006/07/27(木) 18:10:49 ID:2yZ4q/w+
15年間コンビでいて、初めて聞く相方のおなら。
…さすがに感慨深くはならないが。

「おなら出たばい」
「………」
「大丈夫ばい、当たり前のことやけん」
「……花丸くん」
「ん?どうしたとね?」
「………ありがとうね」

初めての経験に顔を真っ赤にしながらも、そんなことを言う相方。
何に対してのお礼かようわからんけど、でもこれでおかしなタイミングでトイレに行くこともないだろう。
再びニコッと微笑んでやった。

「よかろうもん。なぁ、俺のこと好いとうと?」
「…お前のことめっちゃ好いとうよ。だから」
「……だから?」
「この起ってきてもうたもん、どうにかしてくれんと?」


**********

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

暴露されたときの代吉さんがもっすごくかわいかったもので。
しかし波方弁と関西弁がごっちゃごちゃ…お目汚し失礼しました。
397風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 18:13:59 ID:5usWXZe3
>>392

リアルタイムキタ━━(゚∀゚)━━!!!!
しかも大好物なカプwwwwktkrwww
姐さんGJ!!!
398風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 21:08:55 ID:lo7NeapI
>>384
さささ最高だよ姐さん!!!!!11
萌えすぎてどうしようもないよ・・・
2度としないなんて言わず、またお願いしますorz
399風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 21:19:57 ID:su7PU4m6
>>347
乙乙乙!
この二人はほんとにおいしいよ
ありがとう超萌えた
400風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 22:06:52 ID:zZNdcLeQ
>>384
ハァ━━(;´Д`)━━ン!!!!
前回に引き続き姐さんテラGJ
401風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 22:19:24 ID:gmRSZT2F
375ですがこちらで続き物ってOKですか、つっても2回で終わりますが
402風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 22:33:04 ID:37boVIFy
おk。過去ログ見れば普通に続きものってあるぞ。
403風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 23:11:07 ID:gmRSZT2F
>>402
dクス
404風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 23:19:53 ID:gp3eJ77/
保守ついでに質問
連載じゃなくて元ネタ同じ話の投下って何か規定あったかな?
あんまりに長い連載とかは該当スレとかへ行ってしまったけど
405風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 23:50:11 ID:gmRSZT2F
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
406夏の夜2 前半:2006/07/27(木) 23:51:49 ID:gmRSZT2F
  「ここは…?」
赤木が目を覚ましたのは真夜中。
目を開けるなり飛び起きて「痛…」とか呟いてるあたり、どこかしこで無茶なことしてるんだろうと思われる。
自分が赤木を心配してることを自覚して、そんな義理はないと思い直し何故か気恥ずかしくなった。あまり喋らないようにしよう。
  「工藤?」
赤木の意識は割としっかりしているようだった。ひと安心、て、それも違う。
俺の密やかな葛藤と一人問答をぼうっとした目つきで1秒ほど見たあと、赤木は再び問うた。
  「ここ、どこ」
俺ん家。とは言いたくなかった。別に恥かしくて偽るようなことでもないのに、何故か告げるのが躊躇われた。
  「工藤ん家…」
当の赤木は洞察力がたいそう鋭いようで参った。尋ねるのではなく自分で呟いて納得しているだけだ。
  「どこかヤバイとこはないか」
素気なく…を装って無機質に尋ねた。が、そろそろ無駄なんじゃないかと暗に気付いている。
  「ヤバイ?うん、大丈夫」
そして途切れる会話。俺は元々無口で、赤木も多くを語らないタイプのようなのに、何故か気まずく感じられる。
407夏の夜2 前半:2006/07/27(木) 23:52:49 ID:gmRSZT2F
  「聞かないの」
沈黙を破ったのは赤木の方。
  「俺が聞くことじゃねえだろ…それは」
こないだは磯の香りを漂わせて、今日はどこか体に痛みを訴えて、だいたいどんなことかは想像がつく。
  「ふうん」
また赤木は「ふうん」を繰り返す。俺はこれがなんとなく苦手だった。それがどういう反応なのか、具体的に解らないから。
  「体が平気なら帰れよ、次が最後だからな」
  「次?」
これは俺のつまらないモットーみたいなもので
  「3度までなら助けてやるが、それ以降はくどいだろ、4度目はナシ」
赤木の方に3本指を立てて言った。
  「ククク、ふうん…。じゃあさ、そのラス1、今使う」
赤木は小さく喉で笑ったあと続けた。
  「今?」
  「泊めてよ、今夜。それで3度。それっきり。」
意外なことを赤木は言った。帰れよと言ったら帰るだろうと思っていた。
  「俺はランプの魔人やそんなじゃないんだ。それは違うだろ」
3度願いを叶えるなんて、そんなこと俺がやったら可笑しいだけだ。
  「じゃあ、俺今右肩が痛む」
じゃあ、なんてわざとらしく赤木が言った。
こう言ってるんだ、他に仕様がない。
  「わかったよ、わかった。それでいいだろ、泊めれば…」
言い終わってから、何だか自分を一瞬だけ言いくるめるための口実に思えてきた。
  「ありがとう。ククク…」
赤木はまた、喉で笑った。
408夏の夜2:2006/07/27(木) 23:53:32 ID:gmRSZT2F
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
409風と木の名無しさん:2006/07/27(木) 23:54:24 ID:gmRSZT2F
タイトル表記とか、グダグダだ…全部っ…!
今は反省している。
410風と木の名無しさん:2006/07/28(金) 02:32:59 ID:amSsP/Wf
>>385
萌えすぎて泣けてきた!!!
帰国子女×犬はもちろんですが、黒い×犬
風味がなんともはやステキすぎて
もう.....! ありがとうっ
2度としない、なんてつれないこと言わないで....
411風と木の名無しさん:2006/07/28(金) 03:16:42 ID:0zHAbcjY
≫385
やばい!!話読んで本気で大好きなCPになった!!
犬が健気ッ、そして幹が黒いッ!!
巻の名前で呼んでいいっつー黒に完璧ノックダウン!

可能であれば、是非ともまたよろしくお願いします<(_ _)>
素敵な話本当にありがとう!!
412風と木の名無しさん:2006/07/28(金) 05:42:59 ID:UUvAQ65+
いつまでも引っ張ってごめん

>384
整体師並みの正確さで萌えツボついてきますね
結婚してください
413風と木の名無しさん:2006/07/28(金) 20:31:40 ID:432+oU1n
>404
このスレや絡みスレで「ウザい」と言われたら潮時、では。
414:2006/07/29(土) 01:07:37 ID:oQdS2TMC
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ナマモノ 棒球 若き一番→トレイドされた先輩

チームメイト達が再会を喜んで、小さな彼を囲んでの昔話で盛り上がっていた。
彼より10歳以上年下の俺が割り込める話題じゃなかった。
無性に悔しかった。だから彼にはあんまり興味のないふりをして、挨拶もごく普通に済ませた。
彼が入ったベースに俺が滑り込んだ時も、彼が俺の打球を好捕した時も、変な感情は見せなかったと思う。
でもこの連戦、野球に限らず何にでも強気が売りの俺らしくない事ばかり、ぐるぐると考えていた。
去年は無邪気に彼に抱きついたりできたのに、守備で教えて欲しい事があると言えばいくらでも話せたのに。
自分の気持ちに気付いていなかったばかりに、そういう機会を気軽に受け取ってしまっていた。
笑顔で彼に近づく連中にも、照れたような表情で接する彼にも、そして自分にも、いら立った。

「まだ、帰ってなかったのか。」
「うわっ!どうしてこんなとこ」
「元気そうで安心したよ。」
「・・・俺も、一緒に野球できて。あのっ!」
「ん?」
視線を俺の目に向けた彼を、反射的にがしっと抱き寄せた。背の小さな彼の頭が俺の肩にぶつかる。
顔を上げた彼の引き結ばれた唇に、ためらいなく自分のそれを上から被せた。
とにかく夢中で厚い胸板を引き留め、白い顎をつかんで顔を上向かせ続け、舌を暴れさせた。
ようやっと口を離し、息を整えて彼を見る。グラウンドでは眼鏡越しに見てきた平静な瞳で、俺を見上げていた。
415:2006/07/29(土) 01:08:38 ID:oQdS2TMC
「どうしたの?」
「どうって。好きなんスよ、俺は。」
「そうか。」
「だから、また同じチームでやりたくて。あ、あの。俺じゃ駄目っすか?」
「ん。ごめんな。」
優しげな声音だった。それに矢継ぎ早のやり取りだったから考えるヒマもなく、ショックは感じなかった。
彼は右の袖で口を拭うと、左肩に乗ったままの俺の手に手を添えて外させた。
次第にさっきの甘い感覚がじわっとよみがえってきて、俺は思わず自分の口元を押さえた。
それじゃまた、と潮風の中を去っていく彼の背中を、ただただ見送ってしまった。

思いはぶちまければ散るかと思っていたけど、かえって募るばかりだった。
冷たくあしらわれたわけじゃなしに、穏やかに退けられただけ。だけど、また当分会う事もできない。
目をつぶれば憧れた彼の守備が、無駄のない鮮やかな動きがまぶたに浮かぶ。
彼の感触がしっかり、取り残された俺の肩に腕に胸に唇に残ってしまっている。

どうして彼と隣同士、あの芝の上にいられる間にこの思いに気付かなかったんだろう。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
こんなキャラですいません。スレ汚し失礼
416風と木の名無しさん:2006/07/29(土) 10:10:20 ID:jo9FXjWZ
>>414
GJ!!!御主野テラセツナス(ノД`)
こっちまで切なくなりました。ちびっこのあしらい方も萌え!
417風と木の名無しさん:2006/07/29(土) 17:26:51 ID:YWX6RR36
何と切ないっ!!!
418:2006/07/30(日) 00:03:31 ID:Mtkifaax
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・;)モノスゴク ビクビクシナガラ オオクリシマス…
 ナマモノなので何も言えませんが、適当に楽しんで貰えたら幸いです…


待ってよ。
置いていかないで、僕を。


圧倒的な強さで、今回もナンバー1になった。
予想はしていた。
それを望んでもいた。

だけど。

今の自分は、あいつと競うことはできない。
同じ場所には行けない。

それがもどかしい。
そして、寂しい。


419:2006/07/30(日) 00:05:27 ID:OLhCPwAw
声をかけなければとずっと思ってはいたものの、自分がどういう表情をしてしまうか、怖くてなかなか近寄れなかった。
あいつの周囲に人がいなくなったときを見計らって、やっと近づいた。

「おめでとう」
「ん、ありがとう…」

振り向いたあいつはいつもと同じで、感情の読み取りにくい顔で握手に応えた。
それまでに散々祝福と賞賛の言葉を考えていたのに、しょっちゅう一緒にいるのに、いざ改まってあいつの前に立つと他に何を言っていいのかわからなくなり、僕は逃げるように手を離し立ち去ろうとした。

「待ってるから」
小さな声が、僕を呼び止めた。
「え?」
「待ってるから、ずっと。急がんでええから」
そういって、あいつは静かな目で僕を見た。
その目を見返すと、一人つまらないことを考えていた自分がなんだか情けなくなった。
こんなにも、僕たちは信頼しあっているのに。
勝手に距離を感じていたのは、僕だけだったのかも。
そう思うと、僕はやっといつもの僕らしい表情に戻って笑えた。

そんな気がした。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、デス
失礼しました〜。
420風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 01:16:59 ID:u+8NDORB
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  今日の満太スペサルのゲイ二ンさんだモナー
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  つまり100-1だよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ スンマセン
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
421嫉妬(100-1) 1/7:2006/07/30(日) 01:17:34 ID:u+8NDORB
「いや、でも、丘子はかわええよ」

話の流れだった。
ただ、どんな流れでその言葉が出たのか、忘れてしまった。
するりと舌の上を滑るように出てきた言葉を聞いた瞬間、机を挟んで向かいにいる木目方――丘邑は誰の目にも不機嫌そうな顔をして、早々と次の葉書を読み始めた。

それをガラス越しに見ていたラヅオのス夕ッフ達は、「そりゃあ、男が男に『可愛い』なんて言われたらプライド傷つくよなぁ」と一斉に苦笑いをする。

『丘子』とは、二人が持っているレ/ギ/ュ/ラ/ー番組のあるコーナーで丘邑が女装したときの名前だ。

これがもし5年前、いや更に前の出来事だったら、彼らも苦笑では済まさないだろう。
今でこそ目に見えて派手な喧嘩はほとんど皆無といってもよいが、昔の二人は人前でもよく言い争いをしていた。
番組の休憩時間や移動時間、時にはオフにも。さすがに本番中は無かったが。
そういう経過を知っているから、ス夕ッフ達はあえて口を挟まない。


ただ、怒らせた張本人――谷辺は、いつもとは違う空気を感じ取っていた。
こんな風に二人の間に微妙な空気が流れた時、丘邑は決まって谷辺とは目を合わせない。見ようとしないのだ。
それが、ラヅオのC/Mに入った途端、煙草を吹かすのも忘れて椅子に座ったまま、谷辺の方をじっと見ている。
谷辺も、彼が怒っている事、そしてその原因は自分にある事をわかっているので、何も言わない。
寧ろ、自分の方が目を合わせ辛くて、必然的に丘邑の視線を避けてしまっていた。

幸いだったのは、この出来事がラヅオの終盤に起こった事か。

心ここにあらずと言った感じで喋る丘邑に相槌を打ちながら、谷辺は、どうしたものかとその心中を図りかねていた。
422嫉妬(100-1) 2/7:2006/07/30(日) 01:18:22 ID:u+8NDORB
「まだ怒ってんの?」
閉まりかけたドアに無理矢理身体を滑り込ませた後の第一声に、丘邑はあからさまに嫌そうな顔をして、再び俯いた。
なぁ、と返答を促すと、一瞬の間の後に棘を含んだ声が聞こえてくる。
「ギリギリのに乗らんでも、次のに乗ったらええやろ」
エレベーター。
問いには答えようとしない丘邑に、余裕を装いながら――しかし内面では少し動揺しながら――谷辺は身を乗り出すようにして相方の前にあるエレベーターのボタンを押す。
「…まぁ、そやけど」
ウイーンという低い音と共に薄暗く狭い空間がゆっくりと下がっていく。その空間には丘邑と谷辺の二人。
勢いで乗り込んでしまったのはいいが、何を話すのかはまったく決めていなかった。
階数が下がっていくことを告げるエレベーターのランプがまるでタイムリミットへのカウントダウンのように思えて、谷辺はますます焦った。
423嫉妬(100-1) 3/7:2006/07/30(日) 01:19:04 ID:u+8NDORB
「さっきのこと、怒ってるんなら謝るわ」
しまった、と谷辺は思う。無意識に出た言葉は感情が追いつかずに、どこか無粋な声になった。
「謝ってる態度やないやん」
案の定、丘邑が噛み付いてきた。俯いた顔からは表情を窺う事は出来ないが、その一言だけで充分だった。
「違っ…」
谷辺の言葉を遮るように、エレベーターが到着した事を告げる軽快な音が鳴る。
場違いなその音に憎らしさを覚えつつ、もうこうなったら彼の家までついていってやろうかなどと思い始めたとき、開き掛けたドアが強い反動を受けながら閉まった。
驚きながら備えつけのボタンを見ると添えられているのは丘邑の手。
「丘邑さん」
「…違うんや」
ボタンから外した手を力無く身体の横に垂らして、丘邑は続けた。
「確かにお前には腹が立っとるよ。
 俺は男や。男が『可愛い』って言われても嬉しくないっちゅーねん」
「…それは本当にスマン」
「そやけど!………っ!」
声を荒げた後、ハッとした様子で丘邑は顔を上げ、辺りの様子を窺う。
幸いなことに、二人の後にエレベーターに乗ろうとした者はいないらしく、先程と同じように扉が閉まったまま地下で止まっている。
「大丈夫やで、ここ防音してあるし。そんな滅多に人も来んやろ」
しばらく、耳を澄まして押し黙っていた丘邑は、谷辺の一言でホッとしたような表情を浮かべた。
谷辺自身も、そんな丘邑の姿を見て安心する。自然に顔が綻んだ。
424嫉妬(100-1) 4/7:2006/07/30(日) 01:19:36 ID:u+8NDORB
芸/人になり、テ/レ/ビに映るようになり、丘邑貴志の名が広く世に知られてからは、このように外に出る時はいつも周囲を気にしながら行動していたのだろう。
これはあくまで憶測でしかない。が、彼の真面目で少々臆病な性格を考えれば分かる事。
確かに、今はラヅオ局のエレベーターの中に居るとはいえ、れっきとした外だ。
しかし、せめて自分と居る時ぐらいはそんなことは忘れて欲しい。
何も気にせずに、自分だけを見ていればいい。
――そう思うことは我儘なのだろうか。
世間が、丘邑を知るすべての人が、憎い。
丘邑の意識が他のものに注がれる事によって、自分はそれに嫉妬している。
――世の中に嫉妬するなんて、何て無謀なこと。

やるせない感情を胸に抱えたまま小さく溜息を吐くと、丘邑がこちらを一瞥したのに気が付いた。
「そんなに俺と話すのが嫌なんや」
しかし、それは一瞬の事で、少し震えた声は俯いた顔から聞こえてくる。
それが耳に入った瞬間、谷辺は思わず言葉を失った。
「…嫌なんて言ってないやろ」
「なら何でそんな顔すんねん!そんな、鬱陶しそうな顔!」
「それは………!」
言えるはずがなかった。まさか『嫉妬』が理由だなどと。まるで子供ではないか。
それこそ、丘邑に鬱陶しく思われるのが嫌だった。
「違う、丘邑さんに苛ついてるんやなくて」
「わかってんねん!俺だって自分が…嫌や…」
「…え?」
丘邑の突然の言葉に、谷辺は驚きを隠せない。
「嫌やけど、止まらんのや…こんな…こんな子供みたいな感情…」
自分の爪先を見つめながら、まるで憎たらしいものを吐き捨てるように呟いた言葉。

「俺は『丘子』に嫉妬してんねん…!」
「………!」
425嫉妬(100-1) 5/7:2006/07/30(日) 01:20:16 ID:u+8NDORB
何も言えない谷辺の様子を感じ取って、丘邑は自嘲したように「馬鹿みたいやろ」と続けた。
「何で自分に嫉妬せなあかんねん。アホらして涙も出んわ」
気丈に明るい声で言ってみせるが、それが妙に浮いていて物悲しい。
「けどな、止まらんねん」
「…もう、ええよ」
「お前が『丘子のこと可愛い』って言ってから、ずっと『丘子』にムカついとる」
「言わんでええって」
「『丘子』は俺やから嫉妬してもどうしようもないけど、つい考えてしまうんや」
「丘邑さん」
「お前は『丘子』の方がええんかなって」
「…丘邑さん!」
言葉の続きを聞きたくなくて、小さな身体を自分の方に抱き寄せる。
しかし、丘邑は顔を上げようとはせず、呟いた言葉ははっきりと谷辺の方にも聞こえた。
「やっぱりお前は俺より『女』の方がええんかなって…」
「…んなわけ…ないやろ!?」
俯いている顔を無理矢理上げさせて、夢中で唇を塞いだ。
丘邑はいきなり侵入してきた舌を押し返そうとするが、有無を言わせぬ力で谷辺が口内を侵す。
426嫉妬(100-1) 6/7:2006/07/30(日) 01:21:02 ID:u+8NDORB
エゴだった。
自分が、丘邑の言葉を遮りたかったから。聞きたくなかったから。
不用意な発言で彼を傷つけてしまった自分を認めたくなかったから。

――何と醜悪な感情。自分はこんな人間だったのか。

自分では絡み付いてこない舌を誘うように撫で上げながら、谷辺は自分の正体に愕然とした。

こうして激しく口内を貪っている間も、冷静に考えている自分。
キスで丘邑が慰められるのならそれでいいと思っている自分。
そして、逃げる事を覚えてしまった自分。

――こんな行為だけでは心は繋がり合えないとわかっているのに。

――繋がりたい、のに。
427嫉妬(100-1) 7/7:2006/07/30(日) 01:21:37 ID:u+8NDORB
「…っ…は、ぁ」
突然、口を離した谷辺に丘邑は不思議そうな視線を向ける。
「…丘邑さん」
お互いの荒い息を感じられる距離で、谷辺は丘邑から目線を外さない。
両腕を掴んでいた手を外してそっと背中に回すと、丘邑も抵抗せずに谷辺に身体を預ける。

「俺は、丘邑さんが男だとか女だとかそんなん関係ないんや。
 でも、俺は『男の丘邑さん』を好きになったんやで」
「………」

もし、丘邑が女だったら。
やはり今みたいな関係になっていたかもしれないし、もしくは相手にまったく興味が湧かないまま終わっていたかもしれない。
自分たちは今、同性だから、出会って、そして互いに惹かれたのだ。
少なくとも、谷辺はそう思う。

「それに、俺だって嫉妬しとるよ。丘邑さんよりも、埒があかんものに」
「…何に?」
「丘邑さんが気にしているもの、すべてに」
な、どうしようもないやろ、と笑ってみせると、丘邑が少し呆れた表情をしたのがわかった。
これで、いい。彼が呆れようと何だろうと、これが自分の本心だ。
「何やそれ」
「そやから、俺は世の中に嫉妬しとることになるな」
「…壮大やね」
谷辺につられたのか、丘邑も笑う。その後、ふと気付いたように呟いた。
「そしたら、お前も自分自身に一番嫉妬せなあかんな」
「…何で?」
「…それくらい自分で考えろや」


それから数秒後、ようやく意味に気付いた谷辺の口付けを受ける丘邑の姿があった。
428風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 01:22:10 ID:u+8NDORB
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  結局チューが好きな谷でありましたとさ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )    
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

前々々スレあたりで投下させてもらった者です。
私の拙い文で「この二人に目覚めた!」と言ってくださった姐さん、マジで嬉しかったです。ありがとう。
これにて三部作wすべて投下し終わりました。
読んで下さった皆さま、ありがとうございました。
429風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 01:42:07 ID:5mZM3vjZ
>>428
モエス!!!
マジでGJ!!
430風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 03:26:31 ID:XAUgq1JZ
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  スラ/ムダンクだモナー
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  仙花&流花だカラナ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ フルクテスマダソゴルァ!!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
431風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 03:27:22 ID:XAUgq1JZ
1/8
夏休み――――――湘/北バスケ部は陵/南との合同合宿の最中だった。
二年になった桜樹花道と流河楓。だがこの二人の関係はまったく変わっていなかった。

「だーーーーーーーーーーーーーーっアリエナイッ!!!!」
「イヤダ。」
「うるさいっ!決まったことに文句言わないのっ」
バンバンとハリセンの音が響く。赤樹の居ない今、この二人を止めるのはもっぱらマネージャーのアヤコの役だった。
合宿、合宿といえば部屋割り。三人一部屋となっているこの合宿所で、誰が誰と一緒になるかを公平にくじ引きで決める事にしたのだが。
結果、事もあろうに湘/北の犬猿の仲、いや、キツネと猿の仲…な、二人が同じ部屋になってしまったのだ。
「俺はぜってーイヤですよアヤコさんっこの寝ぼけギツネと同じ部屋の空気を吸ってたら俺までヒヨワに!」
「俺もイヤっす」
他の面子はすでに我関せずで部屋に行ってしまった。
再びアヤコがハリセンを振り上げた時、場違いに能天気声が響いた。
「よっ!桜樹、流河、俺も一緒の部屋みたい。よろしく〜。」
「セ/ンドー!」
にっこり笑う曲者は合同合宿相手、陵/南の生徒だ。
「ぬ、なんで陵/南のセ/ンドーが同じ部屋なんだ?」
「ここって三人一部屋じゃない?陵/南って三で割ったら一人余っちゃうんだよね〜」
それで、俺が余っちゃったってわけ。
などとにこやかに言っているが、あの仙堂を――三年になり、さらに磨きのかかった陵/南のエース仙堂。
後輩にとっては憧れの存在。そんな彼を他の陵/南生が余らせるわけがない。
仙堂自ら進んで余りを選んで湘/北の方へ来たのだった。だがその事をこの二人が知る由もない。
最も――こう見えて桜樹の事になるとやや勘の良い流河はなんとなく気付いていた。
「セ/ンドーも一緒か…て、あっアヤコさん?!」
どさくさに紛れてアヤコもそそくさと自分の部屋へ退散してしまっていた。
432風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 03:28:06 ID:XAUgq1JZ
2/8
残されたふてくされた桜樹と無表情な流河、ニコニコ顔の仙堂。
「まっ、とりあえず俺らも部屋に行こうか。」
桜樹は流河と二人きりじゃなくて仙堂が居る、という事に多少安堵し、部屋へと行く事にした。
そんなちょっとした救世主・仙堂がまさか
  アヤコちゃんに桜樹が同じ部屋になるように細工しといてとは頼んだけど、
  流河も一緒だなんてな〜。ま、なんだか面白い事になりそうだけど。
などと考えていたなんて事はもちろん桜樹は知らない。
流河は腑に落ちなかったが、アヤコも居ない今何を言っても無駄だと悟り二人に着いていった。
仙堂が同じ部屋だとわかった今、他の部屋に移るのも少し気がかりだったのだ。
アヤコは好きなバスケチームの試合のチケットで仙堂に買収されていた。
だが、流河を同じ部屋にしたのは、アヤコのせめてもの良心だった。
  逃げ切るのよ、桜樹花道…。さ、お風呂入ろ〜っと。

「俺が壁側をとーーーーーーーーるっ!!」
「じゃ、俺真ん中にしようかな。流河は入口の近くでいいだろ?」
「どうでもいー…」
襖を開けるとそこにはすでに3つ仲良く並んで布団が敷かれていた。
さっそく桜樹は自分の好きな壁際を我先にと陣取った。
仙堂は桜樹の隣りならどこでも良かったし、流河はそもそも寝られればどこでも良かった。
が、桜樹と離れたのはいいとしても仙堂が桜樹の隣りというのは少し嫌だった。
しかしそれについてとやかく言うほどまででは無かったので、黙っていた。
433風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 03:29:02 ID:XAUgq1JZ
3/8
「キツネと同じ部屋なのは納得いかねーが、しかたねー。明日も練習だ、さっさと風呂行くか!」
「あ、俺も行こうかな。一緒にお風呂入ろうか、桜樹」
「おう男同士裸のツキアイだな、セ/ンドー!」
「…。」
「なんだキツネ、おめーはいかねーのか。フケツだなさては?」
「うるせー。お前が帰ってきたら行く。」
「けっそうかよ!!俺だっててめーの浸かった湯になんか入れるかってんだ!」
桜樹は大声で何やら文句を言いながら廊下へ消えていった。
仙堂は風呂支度をしながらチラリと流河を見た。
流河は相変わらず無表情で何を考えているのかわからない。
「お前、桜樹の裸とか興味ないの?」
「は?」
「俺、背中流すふりして色々しちゃおうかな〜」
「…」
「じゃね。」
にっこり笑って廊下へ消えた仙堂に、流河はやや不機嫌になった。
「のやろう…けっこー変態じゃねーか」
流河は仙堂が桜樹を気に入っている事には最初から気付いていた。
だが、今まで特に行動に移してきた事は無かったし、今回も無いだろうと思っていたのだ。
仙堂はというと、流河も同じ部屋という事で、少し火が点いていたのだった。
434風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 03:30:04 ID:XAUgq1JZ
4/8
仙堂が風呂場につくと、桜樹はすでに全身泡だらけだった。
  遅かったか…
色々と豪快な桜樹は身体を洗う石鹸でそのまま顔まで洗い、さらにそのまま髪の毛も洗っていた。
「桜樹、シャンプー使わないの?」
「ん?ああ、前坊主にしてた時からな、シャンプー使う必要無かったからそのままだ。」
「…ていうか髪の毛降りてる桜樹って初めて見たなぁ。…かわいさがアップしてら。」
「あ?なんか言ったか?」
「いや、でもね桜樹、今は男もシャンプーとコンディショナーの時代だよ。」
「む、女々しい男になるつもりはないぞ。」
「馬鹿だなあ桜樹。知らないの?今女のコにもてる男って『清潔な男』なんだぜ。」
「モ、モテル…!?じゃ、じゃあハル子さんにも…」
「うんうん。俺、シャンプーとコンディショナー持ってるよ。」
仙堂はにっこり笑った。
さらに、シャンプーにもやり方があるからね、と桜樹の頭を洗う特権を手に入れたのだった。

「おせえ…」
すでに睡魔に襲われていた流河はこのまま寝てしまおうかとも思ったが、
練習後のベタベタした身体のまま寝るのは嫌だったので仕方なく二人の居る風呂場へ向かった。
イライラしながら風呂場のドアを開けた流河の目に飛び込んできたのは、
仙堂に背中を洗われ何やら恍惚の表情を浮かべる桜樹の姿だった。
仙堂にシャンプーをしてもらった桜樹はその気持ちよさを絶賛した。
どこで身につけたか頭皮のマッサージなどを駆使し、桜樹を恍惚の地へと誘っていたのだ。
調子に乗った仙堂は、モテルボディソープもあるよ。と身体も洗いはじめたのだった。
435風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 03:31:03 ID:XAUgq1JZ
5/8
「桜樹、気持ちイイ?」
「あぁ、セ/ンドー…」
「どあ/ほう」
「ああ゛?!」
無表情桜樹は一瞬にして恍惚から現実へ引き戻された。
「…流河、やっぱり来たんだ。」
口許は笑っているが、目の笑っていない仙堂と眉根を寄せ、不機嫌さを隠さない流河。
だがそんな二人のやや険悪なムードに桜樹が気付く事は無かった。
「…てめーらがおせーせい。」
流河はそう言うと向かいのシャワーの前にドカリと座り、シャンプーを始めた。
「ちっキツネめ。」
桜樹がブツブツ言っていると仙堂の手が再び動き出した。
  流河のヤツ、いつまで余裕でいられるかな。
背中、腕を洗い終わると、その手は桜樹の腹部へ伸びた。
途端、再び恍惚に浸っていた桜樹の身体がビクリと揺れた。
「セッセ/ンドー!」
「いいでしょ。男同士で恥ずかしがる事じゃない。」
「む、…」
ふと仙堂は身体を洗っていたタオルを手放し、素手で桜樹の腹部をまさぐり始めた。
「セセセセセ/ンドー!!!」
「腹筋は割れてるから指の腹で洗うのが一番なんだよ桜樹。指の腹には指紋の細かい溝があるから…」
仙堂の一見最もらしいいい加減な説明に流河は呆れ、桜樹は騙された。
「だあっ!!こそばゆいっ!!」
「我慢我慢、モテルためモテルため」
腹筋の盛り上がりを指でなぞると、桜樹の腕に鳥肌が立った。
436風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 03:31:47 ID:XAUgq1JZ
6/8
「モ、モテルためだ…!この我慢の男桜樹、堪えてみせるぞっ!」
  かわいいなぁ桜樹は。素直で。流河聞いてるか、段々息が上がってきた桜樹の声を。
桜樹は両手で口を多い、顔を紅潮させながらくすぐったさに堪えていた。
「ぐ…ぬ…っ!」
「あっはっは!…桜樹ぃエロいよそれ…」
仙堂が嬉しそうに呟く言葉は必死な桜樹には聞こえていない。
が、無言で身体を洗う流河にはしっかり聞こえていた。
「ちっ…どあ/ほうが二人…」
居心地の悪さを感じた流河はシャワーだけ済まし、風呂場を後にしようとした、その時
「あっ…」
桜樹のやや高めの鼻にかかった声がして、流河は思わず振り向いた。
だが、流河の位置からは桜樹を後ろから抱え込むように仙堂が何かをしている様子しかわからない。
「だ、だめだっだめだだめだだめだセ/ンドー!!」
桜樹は仙堂の手から逃れようと前のめりになり、自身の身体を抱きしめるようにしてうずくまった。
「ごめんごめん。桜樹の反応があまりにもかわいいからいじめちゃったー。」
  のやろう…
仙堂は後ろに立って睨み付けるようにジッと見ていた流河に気付くとにっこりと笑った。
「何したか気になる?」
「いっ言うなセ/ンドー!!」
慌てて起きあがり仙堂の口を押さえる桜樹。
その二人の距離の近さに流樹は再び不機嫌になり、そのまま風呂場を出た。
437風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 03:32:55 ID:XAUgq1JZ
7/8
部屋に戻った流河は機嫌が悪かった。
ドライヤーで無造作に髪を乾かしながら、頭の中は先ほど風呂場で見た光景が頭を離れず、余計にイライラした。
  あの単純ヤロウ 仙堂の下心が見えねーのか
しばらくすると二人が騒がしく帰ってきた。
イライラしながらも布団に入り眠りかけていた流河は騒がしさに目を開けた。
「はっはっはっどうだキツネ!!この桜樹の輝かしさは!」
「るっせー…」
桜樹はこれできっとハル子さんも…などと浮かれている。
  単純どあ/ほう
あの後仙堂がどんな丸め方をしたのかなど流河にはどうでもよかった。
寝返りを打ち無視を決め込む事にした。

翌朝――目覚ましも無くムクリと起きた桜樹は、一人身支度をして体育館へと向かった。
その30分後、流河も体育館に現れた。
「む…」
「ぬっ?キツネにしては珍しく早く起きてんじゃねーか。」
二人は同じコートの向かい合うゴールでそれぞれシュートの練習をはじめた。
桜樹は一人言を言ったり、奇声を発したりと騒がしく、流河は無言だ。
シュートを決め、ボールを取りに行きコートに戻る途中、流河の視界に桜樹が映った。
桜樹はスリーポイントシュートの練習をしていたようだが、まったく入らない事に飽きたのか、
助走をつけスリーポイント地点からジャンプし、なんとダンクを決めたのだ。
  山王戦の時はリングに当たってたのに、さらに入るようになってやがる…
「あーーーやっぱ天才にはスラ/ムダンクがよく似合うぜ!!」
桜樹は、自分の事を天才だと自称しているが、そのすごさを自分では理解していないのではないか、と流河は思う。
その人並み外れたジャンプ力にすっかり魅入っていた自分に気付くと、流河は口を開いた。
438風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 03:34:28 ID:XAUgq1JZ
8/8
「…おい。」
「ぬ、なんだキツネ。天才に教えを請おうったって無駄だぞ。」
「仙堂には気を付けろ。」
「あ?気を付けなくたってセ/ンドーは俺が倒す!」
「そうじゃねー…」
チッと舌打ちすると、流河は自身の練習に戻った。
「…?キツネの考える事は人間には理解できん。」
今夜は昨日のような事になる前に先に風呂に入ってしまおうと思う流河だった。
一週間の合宿の今日は二日目。前途は多難だった。

その頃仙堂はというと。流河の爆音の目覚ましにも気付かずぐっすり眠っていたのであった。
439風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 03:36:53 ID:XAUgq1JZ
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  おそまつでした。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  連投規制でストップが遅くなりすいませんでした。  
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
440風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 04:31:26 ID:xJIXD5H/
>>414
御主野…切ない、けど萌え
441風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 11:16:42 ID:uVB8DEWC
>>430
(・∀・)イイ!
今、棚スレでこのSSが読めるなんて。
しかも千→佐倉←留の図式。
続きあるようなので、楽しみにしております!
442風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 15:41:02 ID:2Ifl+83K

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  情事あ缶コーヒーCMモナー
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  上司×部下 で朝チュン
 | |                | |            \ 某スレのリクに答えてみました。
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4431/6 上司×部下:2006/07/30(日) 15:41:49 ID:2Ifl+83K

地方出張からの帰り道。バスの車内で双子の子供が睨み付けてきた。
二人並んでバスの座席に後ろ向きに座り、座席の背もたれから頭を出して、後ろの座席に並んで座った俺と上司へ、明らかにロックオンしている。
他にも強い視線を感じて、横を見ると、通路を挟んだ隣の座席にもうひと組双子がいて、やっぱり同じように俺と上司を睨み付けていた。
二組の双子はどこか神聖なたたずまいで、バスの中がひどく非日常的な空間に感じられた。
その無垢な様子に不似合いの責める様な眼差しを避けるように、上司の方を見る。
目が泳いでいる。悪い事をして、バレているのに必死で隠そうとしている愚かな子供の様だ。
「なんだよ」
そんな上司を庇う気持ちになって、天使の様な子供らに向かって唾を吐いた。
でも、俺も同じように責められている。俺も同じ様な表情をしているだろう。
首筋に昨夜の痕跡を探った。
4442/6 上司×部下:2006/07/30(日) 15:42:27 ID:2Ifl+83K

---

「すまん…」
「何で謝るんですか?」
背から解かれようとする腕を必死に絡め取って、
「先に舌入れたの、俺の方ですよ?」
気持ちは焦ってるのに、ちょっとおどけてみせもする。
それでいて、視線は逃さず、噛み付くように言い放った。
「謝るのは、俺に欲情したからですか?」

---
4453/6 上司×部下:2006/07/30(日) 15:42:57 ID:2Ifl+83K

─この契約がとれたら、ほうびを下さい。俺の言う事ひとつ、聞いて下さい。

ホテルの上司の部屋で、窓際にしつらえられたイスに座って夜景を見ながら、小さなテーブルを囲んでささやかな祝杯をあげていた。ここまで出張してきた甲斐あって、大口の契約が決まったのだ。
「亘理さんのサポートのおかげです」
「お前の作戦勝ちだ」
どちらからともなく、もう一度乾杯する。
「人の気持ちに真直ぐに切り込んでいく、粘り強さもある、いいプレゼンだった」
上司─亘理さんは、満足そうにグラスを揺らす。ウイスキーの海の中、ミニチュアの氷山が
世界の端に当たってヒビの入った音をたてる。世界の端は、透明で内側からは見分けがつかない。
「ほうびの話、憶えてますか?」
「あぁ。だが、前にも言ったように、高い物はやれんぞ」
妻の誕生日が近いからと告げられ、お金はかかりませんと俺は答え、
お前には世話になってるからなと、亘理さんは請け合っていた。
4464/6 上司×部下:2006/07/30(日) 15:44:19 ID:2Ifl+83K
俺はこの人に追い付こうと必至に頑張っている。
入社当時、ひとりいきがって浮いていた俺を、亘理さんは、おだやかに、なにげなく、
いつだってこれ以上ないタイミングでサポートしてくれた。
今の俺があるのは、亘理さんのおかげだ。
亘理さんも、生真面目過ぎる性格からか周りから浮いた存在だけれど
─ 会議中に缶コーヒーをわざわざ一言ことわって買いに出たり、
朝礼中に携帯の着信を鳴らしてしまうドジなところもある ─ 、
未熟な俺と違って周囲からも人望が厚い。

「キス…して下さい」
亘理さんの手が止まる。グラスに当たる氷の、ヒビの入った音が聞こえた気がした。
「亘理さんの世代だと、接吻の方が伝わりますか?」
震える声を押さえるのに、笑おうとして、グラスを握ろうとして、失敗する。
「上司を、からかうものじゃない」
「最初のはマジですよ」
4475/6 上司×部下:2006/07/30(日) 15:45:14 ID:2Ifl+83K
亘理さんに感謝し、憧れ、なにかと付きまとっているうちに自分の気持ちを自覚した。
たまには、俺が肩をかしてあげたい。抱きしめてあげたい。
でも、常に抱きしめていてほしい。亘理さんに触れたい…俺に触れてほしい。
追い付こうといくら頑張っても、永遠に俺の遥か先を歩いてる様な気がする。
背中を見せるだけじゃなく、つかの間でも立ち止まって俺の方に振り向いてほしい。

「親愛の情をしめすキスもあるじゃないですか。挨拶みたいなものですよ」
約束を破るんですかと詰め寄ったら、義理堅い亘理さんは折れてくれた。
「親愛の情、─友誼の証だ」
そう言って、立ち上がる。
俺も立ち上がって、カーテンを閉めた。
4486/6 上司×部下:2006/07/30(日) 15:45:55 ID:2Ifl+83K

---

バスは、目的地に到着して、俺と亘理さんを吐き出した。
バス停に降りたち、去り行くバスを見送ると、外側の窓から先程の双子が見えた。
まだ見ているようだ─何かを探すように窓の外を。
俺は、笑い出していた。亘理さんも笑った。

「なんだよ」
車内で子供らにそう言い放った後、前の座席の双子の片割れは、「あ〜、曲がっちゃう!」と
言って後ろの窓を指差した。振り向くと、バスの後ろについていたらしい有名なスポーツカーが、
信号のある角を左折しようとしているのが見えた。
通路を挟んだ隣席の子供は、もう俺達を見ていなかったし、よく見ると、顔もあまり似ていなかった。

ひとしきり笑った後、自動販売機で亘理さんが缶コーヒーをおごってくれた。
「約束していたほうびだ」
亘理さんは言った。
「十分です」
俺は答えた。
449風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 15:46:26 ID:2Ifl+83K
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヘボンデスミマセン
 | |                | |     ピッ   (・∀・;)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
450風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 15:49:36 ID:/UTC6NiX
>>449
いやいやいや、萌えたっす!
GJ!
451風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 16:20:35 ID:fBiEgyOA
>>449
激しく、萌えました。アリがトンクス!

できれば、濡れ場も読みたいけどキスシーンだけの
抑えた表現も素敵でした。
452風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 18:42:42 ID:6S4v0qqA
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  キム/タクと唐/沢がドラマで共演したらという妄想からだモナー
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  勝手に作ったオリジナル作品だカラナ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 以前投下の続きのような単発、キム×唐だゴルァ!!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) ※本人とはなんの関係もありません
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
453風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 18:43:34 ID:6S4v0qqA
1/8
帰って来ねえ。
あの人は!!連絡も無しに!!
今何時だと思ってんだよ2時だぞ2時!夜の!夜中の!
あんた明日も仕事だろうが!何やってんの?まじで。
こんっっっなに遅くなるなら電話よこせよ!!一応飯作って待ってんだからさあ!
ていうか、事故とか心配すんだろうが!
あーーーイライラする。


ガチャガチャとドアノブを回す音がする。
やっと帰ってきやがったか。
俺は怒りをあらわにドスドスと玄関へ向かう。
鍵がかかっているのに延々ドアノブを回し続けている様子に彼が相当酔っているのがわかる。
仕方なくこちらからドアを開けてやると、ノブを掴んでいた彼はドアが開く勢いに乗って俺に倒れ込んできた。
「あの、遅いんですけど。」
「…なんで起きてるんだ?」
ムッとした。そりゃ、別に頼まれてないけど。
「ていうか連絡してくださいよ。…心配するでしょ。」
「お前は俺の嫁さんか」
…リアクションしづれーんだよ。
454風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 18:44:19 ID:6S4v0qqA
2/8
俺が黙っているともたれかかったままだった空沢さんが俺の腕を掴んでヨロヨロと自力で立とうとする。
あーもうよく帰って来れたなこれで。
そのままフラフラとリビングに向かう空沢さんの後ろをついていく。
もう別に俺、寝てもいいんだけどさ。
ただのルームメイトが心配したり、連絡欲しがったりするのはウゼーだろうし。
わかってるよ俺だって。
独占欲を押しつけたらダメだ。よくわかってる。
だから、すげー心配だったけど。軽く言ってみたりするんだよ。
軽く言うだけでもなんかウゼーのはわかってんだよ。そんで、こういう気持ちもハタから見てまるわかりなのが
一番ウゼーのも、わかってんだよ。
だから何も言わずに、なんとなく一緒にリビングのソファに座った。
水くらい持ってきてもいいかよ。
ぐったりしやがって。
「寝ろよ。」
「ウザイっすか」
「ああ。」
はっきり言う。まあ、そっちの方が助かるけど。
「はいはいわかりましたよ!…じゃあ寝るけど、空沢さんも早く寝て下さいよ」
…返事がねえ。
ていうか、なんか凹んでるし。
…。
455風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 18:44:56 ID:6S4v0qqA
3/8
あれから一時間経ったけどヤツがリビングから動いた音がしねえ。
俺も相当暇だよな。もう眠気とかどっか行ったからいいけど。
あーもう。
俺はお節介な自分をよくわかってるけど、やっぱりあの人の事は放っておけねぇ。
ゆっくりとリビングに向かった。

「ちょっと。」
「…か野郎。寝てろよ。」
「何泣いてんすか。」
「……お前こういうのは見て見ぬふりしろよ。俺は年上だぞ。」
何最後のセリフ。中学生かよ。
何があったか知らないけど。この人が悲しんでるのを見るのはすげー辛い。
ヤバイ。あ、ダメだ。
俺は我慢できずにソファに座る空沢さんを後ろから抱きしめた。
「ば…」
「言いたかったら言ってもいいし、言いたくなかったら言わなくてもいいし、俺はここに居ますから。」
「居なくていいんだよ。寝てろよ。」
予想通りの返事だから動じない。
この人が、ちょっと押しに弱いのを、俺は知ってる。
ソファを飛び越え、無理矢理ソファと空沢さんの間に入り込んで後ろから抱きかかえた。
456風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 18:46:40 ID:6S4v0qqA
4/8
「こうすりゃ俺から泣いてる所は見えないでしょ。」
「気持ち悪いんだよ馬鹿!!」
「泣いてるとこ写メ取って女子社員に見せようかな〜」
「そんな事したら即行でお前を家から追い出すからな。」
「一人じゃ生きていけないくせに。」
「お前以外のルームメイトを探す。」
「ひっでぇ」
こんな事言ってても、多分この人は俺を追い出したりしないだろう。
そのくらいはわかってきたっつうか、俺も図太くなった気がする。
この人のこういうつっぱる癖を俺は軽く受け流せるくらいがいいんだ。
「離せよ。」
「黙れよ。」
抱きしめる腕に力を込めてギューッと締めつけた。
何があったか知らないけど。
…俺が居るじゃん。
俺じゃダメなんだろうけど。
わかってるけど。
457風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 18:47:42 ID:6S4v0qqA
5/8
10分くらい無言の時間が過ぎた。
ふと、空沢さんの体重が俺にかかってきた。
…本当、かわいいんだよな、この人。素直じゃなくて。
空沢さんの髪の毛に口付けをする。あー。キスしてぇな。
「もう寝て下さいよ。」
「…部屋に戻るのがめんどくさい」
この野郎誘ってんのかよ。
この人のこういう天然な所が俺をどんだけ翻弄してんのか、わかってないんだろうなぁ。
「んじゃここで俺とエッチでもしますか?」
あ、直球すぎたかも。
空沢さんの身体が一瞬硬直した。だんだん耳が赤らんできて、かけていた体重の重みが無くなった。
「お前…」
「はい嘘ですすいません。ほら、部屋行きますよ!」
ちょっと前かがみになっていた空沢さんの背中と膝の裏に手を回し、抱き上げた。
いわゆる、お姫様だっこってやつだ。
「う…わすげえ俺これ初めてだ!」
何喜んでんすか。危険くらい感じて下さいよ。
つーか、泣きやんでるし。…良かった。
「じゃ、部屋行きましょうかお姫様?」
「おう行け爺。いいなコレ楽チンで。」
爺はお姫様だっこなんかしねーだろうが。
腰ボキッといくだろうが。もうやだこの天然。
でもなんだか楽しそうだから、良かった。
458風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 18:48:53 ID:6S4v0qqA
6/8
廊下を通り、空沢さんの部屋に入る。中は真っ暗だ。
俺は両手が塞がっているから電気が点けられない。
月明かりでまあまあ明るかったので、そのままベッドへ降ろす事にした。
「降ろしますよお姫様ー」
返事が無いので、空沢さんの顔を見下ろすと、大きな目とぶつかった。
月明かりにうっすらと見えるその顔は微笑んでいた。
その大きな目が俺を見上げていた。黒目はキラキラと光がさしていて…
左手が俺のシャツをギュッと掴んでいるのに気付く。
あのさぁ…まじでさぁ…誘ってるんじゃないのかって、勘違いしちゃうんですけど。
「爺、ご苦労。」
あ、やっぱり勘違いでした。
でもお礼くらいは貰うからな。
ゆっくり降ろすと、俺はキスのタイミングを探した。隙あらばしてやる。
ところが。
すっかりベッドに降ろしたというのに空沢さんの左手が俺のシャツを掴んで離さない。
「空沢さん?」
空沢さんは無言で、俺を見上げたままだ。微笑んでいた顔はいつのまにか真顔になっていた。
そんな顔されたら…
これはどういう事かと考えあぐねていたら っつーか、どこまでしていいかを考えていたら、
シャツを掴んでいた空沢さんの手がクイクイと俺を引っ張るから、俺は空沢さんを見つめたまま倒れ込み、
ゆっくりと口付けた。
口付けはだんだん深いものに変わっていった。舌で舌を絡め取り、吸い上げる。
それでも抵抗しない空沢さんに、俺は止まらなくなった。
ベッドに乗り上げ、空沢さんのシャツをたくしあげ、中に手を入れた瞬間。
それまでされるがままだった空沢さんは俺の手を掴んで引き離した。なんだよ。
459風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 18:50:07 ID:6S4v0qqA
7/8
「爺っ馬鹿。寝ろ。」
空沢さんは横向きになって、顔まで布団を被ってしまった。
「寸止めっすか」
もう俺すげー興奮してるんですけど。誘ってきたくせに、まじずりぃ
「ごめん、悪ぃ」
「まじずりぃこの人。あんたも男だからわかるでしょうが!」
「ごめん、わかるけど。無理だ。」
無理っていいやがったな。俺自殺すっぞこら。
はぁまじで?今度は俺が凹むって。
「わかりましたよ…」
しょうがねぇ。こればっかりはもう。
…だって俺男だし。
落ち着け俺。頑張れ俺。
「…よしっ…あー!よしっ!はい、寝ますおやすみなさい」
しゃきっと立って、部屋から出ようとした。
こんな時は寝ちまうに限る。
「木村っ」
部屋のドアを開けた時、布団を被っていた俺のお姫様が飛び起きた。
「なんすか。……大丈夫ですよ。」
「……。」
「わかってますから。」
だからそんな哀しそうな顔しないでください。
やっと、笑ってくれたのに。
「俺、あなたの事大好きですから。」
「今、な、……俺、お前に抱きつきたい」
460風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 18:51:03 ID:6S4v0qqA
8/8
へ?
「…でもお前をまた、あれだろ?だから、抱きつかないけどな。」
あれってなんだよ。ああ、今抱きつかれたら間違いなく嫌がっても押し倒すけどな。
「でも、そのくらい、の気持ちだ。って意味だ」
すっげえ意味不明。
ただ、よくわかんないけど。……。
あー。あああーーーー。もーー!!
俺はまた空沢さんの居るベッドに戻り、飛び乗った。
驚いてる空沢さんをそのまま抱きかかえ、ベッドに引き倒した。
「お、おい木村っ!!」
「何もしねーよ!」
「だっておま…」
「うるせー今日はこれで寝んだよ!黙って寝ろよ!」
俺は有無を言わさず、空沢さんを抱きしめたまま目を閉じた。
もうあと、2時間後には起きて会社だ。
このくらいいいだろうが。

空沢さんもわかってるのか文句は言わなかった。
俺はやっぱりドキドキしてたからしばらく眠れなかったけど、
抱きしめた空沢さんの心臓の音もしばらく早かったから、まあいいか…。
461風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 18:52:17 ID:6S4v0qqA
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )      偶然にもキムで続いてすいません。
 | |                | |       ◇⊂    ) __  某CM、禿萌えです。
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
462風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 19:57:49 ID:JYvScJ0g
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  やきうナマモノ。ポ千総受け3P、深夜・磐村×ポ千で。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| キャソプ宿舎で休前日の設定です
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
直後ですみません…
463風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 19:58:23 ID:JYvScJ0g
今日一日の練習が終わり、明日は休日である。
普通なら浮き立つだろうし、現に周囲の選手達は久々の息抜きでほっとした表情を見せている。
もちろん休日とはいえ、体のメンテナンスはしておかないといけない。
それでも苦しい日々の中、明日は少しだけ解放されるとなれば心は軽くなる。
しかしここに一人、浮かない顔をしている者がいた。
後輩にまで犬のような名で呼ばれる彼である。
その名で呼ばれているが、“飼い主”までいる事は彼とその飼い主しか知らない。
飼い主と同じ宿舎にいるこの期間、休前日とは飼い主が明日の事を考えないという事を意味する。
それは、つまり……
「よう、ポ千」
ぽん、と肩に手を置かれ振り返る。
「あ、深夜さん……」
彼の飼い主、サディストを自称してはばからない男。
選手として憧れていたはずなのに、いつの間にか上から下まできっちりと調教されてしまった。
ニックネームが“ポ千”という事も影響したのかも知れないが、今ではすっかり飼い主と犬の関係である。
休前日の今夜、部屋に呼び出されたという事はどういう事かもうわかっていた。
不安なようでいて、体の奥底でそれを求めているような感覚が走る。

ずっと今までそうしてきたように、きちんと体の準備をしてから部屋に向かう。
464風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 20:00:03 ID:JYvScJ0g
「失礼します」
ドアを開けると、見慣れた姿の他にもう一人いるのがわかった。
「磐村さん?!」
彼が苦手とし、後輩であるにも関わらず“さん”を付けて呼んでしまう磐村である。
「本当に苦手なんだなあ」
彼の反応を見、満足げに微笑む。
「深夜さん、これは一体……」
「磐村がちょっとお前とやりたいっていうんで賭けをしたんだよ、練習中。そうしたら磐村が勝った」
何でもない事のようにいう。
「そういう事なんで。ポ千さん、よろしくお願いします」
磐村はにやにやと頭を下げるが、彼に取ってはお願いされている場合ではない。
「ちょっと深夜さん! そんなの……」
「断るのか?」
命令に逆らえないようにされた体は、いつの間にか素直にベッドに横たわっていた。
目を閉じて、磐村がするすべてを受け入れようとする。
しかし、目を閉じても愛撫する手が、聞こえる息遣いが、体に伝わるものが深夜のものではないのがわかる。
そして……
465風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 20:01:12 ID:JYvScJ0g
「あ……」
挿入の感覚で声をあげたが、彼は体の内側でも違いを感じてしまう自分に改めて調教されてしまった事を感じる。
諦めて目を開けると、自分を抱く磐村の姿が見える。
──それにしてもなんて乱暴なんだろう、愛し合った仲なら力強いと感じたのかな。
途切れ途切れではあったが、つなげるとそんなような事を考えていた。
彼もアスリ一トの一人である、逃げようとすれば逃げられる。
視線をずらすと、深夜の姿が見えた。
逃げられないのは、あの姿がすぐそばにあるせいである。
「磐村、どうだ?」
「すごく……いいですよ、深夜さん!」
深夜の問いに、激しく体を動かしながら磐村は答える。
「当たり前だ、俺がここまでにしたんだからな。で、お前は?」
どんな状況でも、答えてしまう。
「深夜さん……やっぱ…り…深夜さんが……」
言い終わる前に、深夜が口を開いた。
「磐村、もっと俺にポ千が見えるようにしてくれ」
「はい」
練習中に用具を取って来てくれとでも言うような調子のやり取りがあり、ひょいと軽く体位を変えられてしまう。
違う男に挿入され、揺さぶられる体を飼い主の前にさらけ出す。
「嫌がってる割には感じてるんじゃないの?」
全身を舐めるように見渡され、性器に視線が注がれる。恥ずかしい。
彼は様々な恥ずかしい姿を深夜に見せてきた、姿勢や状態から言えばもっと恥ずかしい事もさせられていたはずなのに。
「そん……な……」
涙だけは出さないように、それでも辛そうな声が喉から絞り出される。
恥ずかしさと辛さにまみれて初めて、彼は深夜が何をしたいかわかった。
彼が恥ずかしければ恥ずかしいほど、辛ければ辛いほど深夜は嬉しいのだ。
少しだけほっとしてしまった自分に嫌気が差した。
466風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 20:02:14 ID:JYvScJ0g
「そんなに俺のがいいか?」
素直にうなずくと、また体位を変えられ四つんばいにされる。
彼は目の前に差し出された深夜のものをくわえた。
喘ぎ声も上げられないまま後ろには挿入され、口はくわえさせられ舐めている。
二つのものに蹂躙されながら、それでも彼には前よりいい状況に感じられた。
三人分の荒い息遣いが部屋を満たしている。
「あ、俺……」
磐村の声が聞こえ、彼の中に入れられていたものが引き抜かれていく。
ぶちまけられた白濁が、彼の体表を伝って流れていくのを感じた。
それでも口の中はまだ許されていない。
まだ、続けなくてはならない。
いつの間にか服を着た磐村の声が聞こえる。
「お先に失礼しまーす」
「じゃ、またな」
──またな、かよ!
そう思ったが、ふさがれた口では何も言えないままドアの音を聞く。
「もう、いいぞ……」
口を離すと、白濁が顔にかけられた。
白濁にまみれ、横たわる彼を見ながら深夜は言う。
「三人分のでべとべとのお前ってものも見たかったんだが、お前がまだか……まあいいか、俺がしてやる」
勃ったままの彼のものが、深夜の手に包まれる。
「……すみません」
何であやまってるんだろうと思ったが、口をついて出たのがこれだった。
「いいよ、俺が好きでやってる事だし」
優しい声に体が震え、深夜の手の中に白濁を吐き出す。
──やっぱり……俺、深夜さんには逆らえない……好きだから……
三人分の白濁にまみれながらそんな事を考えている彼を、満足そうに深夜が見ていた。
467風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 20:03:24 ID:JYvScJ0g
次の朝、彼は疲れた体を叩き起して自主練習をした。
休みの日でもこれだけは欠かさない。
同じように思い思いにランニングやストレッチをする選手が何人か、グランドに見える。
「よ、ポ千」
「おはようございます!」
昨晩の事はなかったかのように爽やかな朝の挨拶が交わされる、そうするように出来ているからだ。
そんな彼らの前を磐村がよぎる。
「おはようございまーっす!」
「おはよう!」
「お、おはよう……」
深夜と違って力のない挨拶をしてしまう。
「お前もなあ、磐村より先輩なんだからもっと先輩らしく……」
彼をもう一度見て、意味ありげに微笑みながら言った。
「……まあ、もっと苦手にはなっただろうな」
何も言えない彼を置いて、深夜はランニングに行ってしまった。
より深まった苦手意識と、深夜にすべてを支配される喜びを表に出さないまま、彼は練習を続けたのだった。

 ____________
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 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 本当にすいません
 | |                | |     ピッ   (・∀・;) 割り込まなくてよかった…
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
468風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 21:02:40 ID:jS26MADc
>>461
GJ!甲斐性あるなぁこのキム。
空のかわいさも犯罪的で萌え萌えです。
469風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 21:19:56 ID:gmCrFvzA
>>461
し、心臓が........不整脈.............姐さんGJ。くはっ。
470風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 22:04:55 ID:gs2letTU
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
某ドラマの弟×兄貴のアホ犬です




気を緩めてたとか、油断してたとか、そんなの言い訳に過ぎない。
ここがどこだとか他に誰がいるなんて考えなくても分かること。
だけど、俺は………気づかなかった。
兄貴のことで頭が一杯だったから。
兄貴とは正反対の顔をして、俺の事を見ていたあの人が後ろにいたことも。

471風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 22:05:47 ID:gs2letTU
「……それ、兄さんの制服だよね?」

その声で初めて気づき、ハッとその人物の方を振り向く。
急いでブレザーを脱ごうとした手を掴まれて、振りほどこうとした時にその人と俺の身分を思い出す。
俺は彼に逆らうことは許されないのだ。
力を抜くと彼は満足気にブレザーのボタンに手をかけ、わざとゆっくりと脱がす。
床にそれが落ちて彼が踏みつけても、俺はその場から動くことが出来なかった。
声を出すことも出来なかった。
ほんの少しでも彼を刺激するような事をしてしまえば、自分は止まらなくなってしまうだろう。
兄貴に迷惑がかかるのは嫌だ。
大丈夫、大丈夫だ。俺が何もしなければ、兄貴は大丈夫なんだ。

「そんなに強く唇を噛んだら、切れて血が出るよ。……それとも、血が出る方が好きなのかな、君は」

楽しそうに笑って、俺を押す。丁度、兄貴のブレザーの上に倒れるように。
何故だろう。あの、兄貴の弟なのに。同じ血が流れている筈なのに。
何でこうまでも正反対なのだろう。
人の良さそうな顔して。でも、実は誰よりもぎらぎらとした獣の眼を持っている。
そこだけは兄貴と似ていると言える部分、かもしれない。

「……威嚇して、捨て猫みたいだね」

ワイシャツの擦れる音に重なって彼がそう呟いた。
472風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 22:06:32 ID:gs2letTU
早く、早くこの時間が過ぎればいい。
事が終ったら、制服を洗いなおさなきゃいけない。
兄貴が帰ってきたら、何事もなかったように笑顔で「ご苦労様です」と言うんだ。
全身を貫かれるような衝撃、痛み。身体が軋む。
気づけば舌に鉄の味がじわじわと広がっていた。

「……数や、僕ならそんな辛い思いにはさせないのに……」

唇をなぞる指がやけに優しくて、怖いのに何故か切なかった。




□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
予想外の爆撃にやられました。犬萌え…!
473風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 22:47:21 ID:8t7aieuE
>>461
GJ!
ばっちり脳内で映像変換されたよ。
中の人には興味ないけど、姐さんの書くこのカプ大好きだ
474風と木の名無しさん:2006/07/30(日) 22:48:26 ID:LQPBmCjI
>>472

         __          なんだ…? この温もりは……!
    _,.ゝ'"     `ヽ、     胸から湧いてくる…… この温かさ……
   _≧-          ヽ          感謝の気持ちは……
   >  ハ、ト、_、 ,.-、   ヽ
   7,. ハl. //ヘ \^')    \         
     W'\</、ノ、 u `!   ト、   \    
      / ,`'~,.っ |!  |/'\__ \       
.      'イ-<_.、  |:! :! ./  `-、_\
            し'^l | ./   _ `\     
         0     / V./ `><_ `ヽ \     
            (j   \/ / /´   ヽ\/\
              || |  |   ,/ :l \ \   
         J   ,.r┼‐|TT|_/    !  \ \    
_|_l_l ___        / (\lll|,|_|_|    /|  \ \
ノ | ヽ |_|・・・   ヽ ´ヽ ヽ、 :|,..-''"  l    \ \  
             `\   >'l   匚o]    //ヽ
      _|_l_l _    ヽ/ /`  |_|_|_|    //   ヽ
      ノ | ヽ |_|・・・   l\       ,!  /ヱ7   ヽ

喜びのあまり福本使用スマソ
毎度、弟×犬をこっそり楽しんでいる自分にはネ申すぎる話ばかりだ。
乙&GJです!
475風と木の名無しさん:2006/07/31(月) 00:12:13 ID:VtKOn36X
このスレ見てる人、ウイルスでデスクトップ晒されてるぽいよ
角煮とかニュー速で話題になってるから身に覚えがあったらチェックしてみれ
476風と木の名無しさん:2006/07/31(月) 00:17:07 ID:tMUUZ1S6
      ,-――――――-.
      /           |
     /           |
     /             |
    l"ジェンキン寿司   l
   ,、_lー-―――――‐--、/l
   i ト、ミミ ,r‐- 、``'ニ=‐、.彡リ.
   ヾ,iハ゛.´ _,,、_  i.; _,. ` 彡'i)
    `、j,'  `゚''´:.ノ i::<・ゝ) .ハン       へいらっしゃい!!
     i,   ` ,、/ i_ `` ,r'        ttp://v.isp.2ch.net/up/94f88f4d7166.jpg
   ,r〃'i  ,r'ヽ、 _,〉  /.         ttp://v.isp.2ch.net/up/18d12e46a446.jpg
   /i:ト、;;i,  ミ=_‐_-, 'i /ヽ__
r-‐'´i::::ハ;;ヾ、‐‐-、  ノ´/i:::'i`i‐- 、_
::i' .l:i 'i::::i ヾ;;`‐---‐'i':/ i、 'i::! i::::i `
:i' i:| !:::l _,r.、;;;;;,r''´ヽi. ll::i i::i l:::'i
477風と木の名無しさん:2006/07/31(月) 01:27:15 ID:PfeDTOf3
腐女子ウイルス感染哀れ
478風と木の名無しさん:2006/07/31(月) 14:21:20 ID:lIUBqbFc
>>462
他球団者ですが、激しく萌えさせていただきますた(´Д`;)ハァハァ
ポ千って背番号10の人でおkですか?
479風と木の名無しさん:2006/07/31(月) 17:59:12 ID:x3d5HNkz
>478
レスどうも、10の人でOKです。
480風と木の名無しさん:2006/08/01(火) 01:21:10 ID:/LFVqaus
オカ板の師/匠シリーズの師弟。ナマモノ注意です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!




シショウの部屋に泊まることになった。
相変わらずの展開なはずだった。心霊スポットに行って、俺が一人でびくびくして、シショウが勝手に納得して、終わり。
だがシショウは俺を引き留め、泊まれと命令してきたのだ。
正直こんな危険なアパートには泊まりたくないのだが、シショウが言うからには何かあるのだろう。
おそらく俺に霊がついているのだ。そしてそれをどうにか追い払おうとしてくれてるのだ。
大体シショウは最後に全て話してくれる。俺は仕方なく、シショウの家にお邪魔した。

お邪魔というほど大層な部屋じゃないことは分かっていた。
いつ見ても、半分腐った畳に、簡素な折り畳みのちゃぶ台があるだけの部屋だ。
ただ、いつもならシショウはそれをどかして布団を二組引いてくれる。
今日は一組しかない。
俺が当惑していると、先に布団に入っていたシショウが、少しどいて空いたスペースをぽんと叩いた。
「おいで」
「え、ちょ、なんで一組なんですか」
「客用の布団、カビ生やしちゃったんだ。誰も泊まりに来ないから」
普段から干せよ、と思ったが、今それを言っても無駄だと分かった。
使いもしない寝袋を持っていたから、今度それをシショウにやろう。そう思って俺は畳に膝をついた。
ミシ、と音がする。俺は先程とは別の意味でビビった。
寝てる間に床が落ちたら、−−−洒落にもならない。リアルに有り得そうだから怖い。
「ここの畳だけ丈夫だから、気にすんなよ」
俺を見透かしたかのようにシショウが言った。「はぁ」と曖昧な返事をして、布団に潜り込む。
少しして、呼吸の音と暗闇で部屋が満たされた。
481風と木の名無しさん:2006/08/01(火) 01:22:08 ID:/LFVqaus
シショウは俺に枕を譲ってくれなかった。俺も譲ってほしくなかった。
これがないとシショウが眠れないことを知っているからだ。
暗闇の中、そっと目を開ける。シショウは俺の方を向いていた。
眠っているかどうかは分からないが、目は閉じている。
すきま風が部屋をよぎり、俺とシショウの間も、冷えた風が過ぎ去っていく。
それが妙に寒く感じて、俺はうっかりシショウとの間を詰めてしまった。
「……」
ぼんやりとしたシショウの顔が、少しはっきりしている。
もう少し、近づいたら。もっとはっきり見える。シショウの無防備な寝顔が拝めるのだ。
もう少し
もう少し、だけだ。

そしてミリ単位で顔を近づけていた俺の前髪が、シショウの額に触れる頃、シショウが弾かれたように目を開いた。
「っ!!」
やたら爛々と冴えた目だ。俺は慌てて身体を引くが、シショウはそれより早く、俺の側頭部を両手で押さえていた。
「先輩、痛いっ…!」
「行くな」
シショウの声じゃないようだ。弱々しく、消えそうな声。それでも、目はまだ冴えて暗闇に光っている。
ヤバい、というのは分かっていた。それでも、シショウの言うことに逆らってはいけない、と思う。シショウに逆らうことは自らを危険に晒すことになるからだ。
「お前だけだ」
何が。その言葉は、シショウの口の中に収まった。
いつの間にか滑り込んだ舌が俺の口の中を蹂躙し、掻き回すようにして離れていった。
482風と木の名無しさん:2006/08/01(火) 01:23:05 ID:/LFVqaus
「行くな。頼む、行くな」
またキスをされる。俺はそう思い、慌ててシショウを腕の中に収めた。
…そして気付いた。何をやっているんだ、と。
これじゃ抱きしめているのと同じじゃないか。俺は何をしようとしているのか、俺もよく分からなかった。

「…心臓、すごい早いなぁ」
   シショウは何事もなかったかのように言う。
「生きてるな、お前」
   シショウは珍しいことのように言う。

「いくなよ、なぁ」

俺は、シショウの浮き出た背中の骨を一つずつなぞりながら、
どうしてこの人が俺を今日泊まらせたのかを考える以外、時間をつぶす方法がないことを知った。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
シショウの、諭してるようで暴いてる感じの行動に堪らなく萌える…
483風と木の名無しさん:2006/08/01(火) 03:50:31 ID:zaEJWj2x
>>475
kwsk
484風と木の名無しさん:2006/08/01(火) 04:41:38 ID:gP3uhVNX
>>480
シショウシリーズ キター!


>>483
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1152966631/196-
ウィルスまとめ。

485風と木の名無しさん:2006/08/01(火) 12:22:58 ID:Z7aDSyq7

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |某生スレのネタより江戸風味パラレルワールド陰間茶屋
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  時代考証皆無なのであしからず・・
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
4861/3:2006/08/01(火) 12:23:32 ID:Z7aDSyq7
夏の盛り。
夜の帳が降り、障子の隙間からこぼれる風がほんの少し涼しいものになった時刻。
いつものように藍音は控えの間で声がかかるのを待っていた。
「盛りの花」と言われる年頃の藍音は、器量も性技もこの茶屋一だ。
仲間の陰間が次々と部屋を出ていくうちに、藍音も茶屋の主人に呼ばれ二階の奥の座敷へと向かう。
「お久しゅうございます、箙様」
襖を開けると、そこには常連の顔があった。
「おお、きたか。さあさあこちらへ」
豪商の箙は藍音の上客だ。多い時には週に何度となく通ってくることもあったが、今宵は久々の立ち寄りだった。
「酒をお注ぎします」
手招きされるがまま箙の横に座ると、徳利を手に取る。
「あっ……」
と、身を寄せてきた箙が前触れなく藍音の着物の胸元に手を差し入れた為に、危うく零しそうになる。
この助平親父が……内心毒づくが、もちろん表情には微塵もださない。
「お気が早いですよ」
クスクスと笑いながら甘えた口調でそう告げ、箙の手の上に自分の手を重ねた。
箙はもう片方の手中の酒盃に注がれた酒をくいと飲み干すと
「酒はもうよい。実をいうとここに来る前に呑んで来たのだ」
床へ…と目配せする。
藍音にとっても、酒を片手に延々と薀蓄やら商売の愚痴やらを聞かされるよりは早く花を売ってしまう方が楽だった。
ゆっくりと立ち上がり、箙の手を引きながら奥の間にむかった。
4872/3:2006/08/01(火) 12:24:26 ID:Z7aDSyq7
敷かれた布団の上に身を横たえると早速箙がのしかかってきた。
「儂が通わぬうちに他の者と情を通じたりしておるまいな」
藍音の着物の帯に手をかけつつ尋ねる。
陰間相手にまさに愚問というものだが、それも箙の戯れなのだ。
「この身は箙様だけのものでございます」
「可愛いことを言う。褒美をやろう」
答えに満足すると着物の合わせ目から手を差し入れる。薄布を捲くると藍音のモノに直に触れた。
「あ……っ」
箙の、少々粗っぽいが巧みな手管に藍音は頬を染め、視線を逸らせる。
「おまえは何時までも初々しいのぅ」
ねっとりとした視線が絡みつく。
始めのころは、その視線にすら肌が粟だったものだが、今は官能を呼び起こすものの一つとなっていた。
「箙様……もう……」
恥じらいながら哀願する。
それが箙の好みだった。
客の好みに合わせ、妖艶に振る舞ったりまるで生娘のように演じたりもする。
中には嫌がる者を押さえて無理矢理に通じることに興奮を覚えるという嗜好の者もいる。そんな客に比べれば箙は「扱い易い客」だった。
「もう我慢できぬのか?」
藍音がこくりと頷くと、箙は満足気に笑う。
「よしよし。儂のをやろう」
その言葉に藍音は箙の前で尻を突き出す姿で四つん這いになる。そして忍ばせていた香油を自ら秘部に撫でつけた。
茶屋を訪れる客は自分が楽しむことしか考えない。陰間は自分で準備をしなければ傷ついてしまうのだ。
その様子に箙は先程と同様のねっとりとした視線を送る。藍音はまるで犯されているような錯覚に陥ってしまう。
無意識に腰をよじるが、箙はその腰を引き寄せると藍音の双丘を割開き、自身を突き入れた。
「あぁっ!んっ!」
堪らず漏れた嬌声に再び笑みを浮かべる。
「ほんに可愛いのぅ」
そう告げると、律動を開始した。その度に藍音の口から甘い声が漏れる。
それが客を悦ばせるための演技なのか、箙が与える快楽によるものなのか……藍音自身にも解らなくなっていた。
ほどなくして箙が藍音の内に精を放つ。と同時に藍音も達した。
4883/3:2006/08/01(火) 12:25:02 ID:Z7aDSyq7
「身受けの話、考えてはくれぬのか?」
何度かの行為ののち、ぐったりとなった藍音に箙が問い掛けた。
以前から箙は藍音を引きたいと申し出ていたのだった。
「申し訳ありません……」
しかし、藍音は決して首を縦に振らない。
条件に不満があるわけでない。また、身受けの話は他にもいくらでもあったが、藍音耳を傾けることすらなかった。
今よりも楽に暮らせることは重々承知している。
それでも……藍音は、この場所で一人の男を待ち続けていた。
遥か昔……藍音の父を陥れ、両親と妹を死においやった男を。
男色を好んだその男を見つけ復讐する手段を、幼い藍音は陰間に身を堕とすこと以外には持たなかった。
そのために、花街の中でも最も人が多く通うこの茶屋に身を寄せ、性技も身につけた。
いつか必ず。
そんな藍音の心中を知るものは、店の人間にも客の中にもいなかった。
4893/3:2006/08/01(火) 12:27:29 ID:Z7aDSyq7
| __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  ノリと勢いのみで書いてしまいました。
 | |                | |     ピッ   (・∀・;     お粗末さまでした。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
490風と木の名無しさん:2006/08/01(火) 12:42:46 ID:vYbqZ/Xl
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  某学園お馬鹿893ドラマより
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  ワンコ捨弟は見た! 聡明弟→馬鹿兄
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
491弟→兄 1:2006/08/01(火) 12:42:54 ID:vYbqZ/Xl
ふと、異質な気配がして目が覚めた。
このエーゲ海本宅、兄貴の寝室に入り込もうとする有り得るべからざる侵入者。とんでもない存在を
認知して、一瞬の自失からすぐさま我に返る。
急いで、けれど日々の御勤めで疲労困憊で寝入っているであろう兄貴の邪魔をしないよう、細心の
注意を払って俺は身を起こした。半開きの扉の陰から兄貴の寝室を窺う。
「あ……」
漏れ出た声を慌てて飲み込んだ。不埒な侵入者を殴り飛ばすが為に固められた拳は、その正体を
認めて力を失う。
俺の眼に映ったのは、幹雄さんだった。
俺の兄貴の血を分けた弟で、逆らうことの許されない主筋。兄貴と似たすらりと伸びた姿が、兄貴の
ベッドのすぐ傍らに佇んでいた。
拳は、そのまま声を押さえようと唇を覆う。
「兄さん……」
静寂が満ちる中、幹雄さんが低く呟く。
幹雄さんは、兄貴の寝顔を不思議なまなざしで見つめていた。
ぎしり、とマットレスが深く沈んだ。幹雄さんが兄貴のベッドに腰をおろしたのだ。
その手が兄貴に伸びるのを、俺は為す術も無く見つめていた。
492弟→兄 2:2006/08/01(火) 12:43:00 ID:vYbqZ/Xl
「かわいそうに、こんなに疲れて……敏い兄さんが、僕がこんなに近づいても気づきもしない」
健やかに眠る兄貴の頬をそっと撫で上げる仕草は、大切なものを扱う優しさに満ちていて。

兄貴に、何をする。触るな、指一本触れんじゃねえ。すぐさま離れろ!

胸の中では、そんな罵声がきこりのように強く打ち続ける。けれどそれを口にすることは俺には
許されない。
口元に当てた拳を強く握り締める。目の前で幹雄さんはさらに兄貴に触れていく。
深く眠る兄貴をそっと抱き上げ、髪をかきあげる。露わになった額に、幹雄さんは口付けた。

ひゅっ、と俺の咽喉がなる。

力なくのけぞった首筋に唇を押し当てて。
ふいにその瞳が俺を射た。
「かズや?」
その一言、まなざしだけで俺は動けなくなる。兄貴を胸に抱きしめたまま、幹雄さんはこちらに顔を向
けて微笑う。
493弟→兄 3:2006/08/01(火) 12:43:06 ID:vYbqZ/Xl
「兄さんは、変わってしまったの?」
俺は、何も返せない。
「誰よりも強くて、誰よりも傲慢で、誰よりも美しかったのに」
歌うように嘲るように。兄貴を抱きしめ、幹雄さんは尚も言う。
「兄さんが、高校生なんかと一緒に勉強してるなんて。それで、僕の兄さんが変わるなんて」
ぎゅっと兄貴の体に捲いた腕に力が篭った。
「許せないよね」
白い光が幹雄さんの瞳を過ぎり、俺はびくりと身を竦ませた。
俺が下手を言えば、兄貴が、俺の兄貴が殺されてしまうのではないか。

そんな。そんな――。

兄貴は、誰よりも強い。その兄貴を、病弱だった幹雄さんが殺めるなんて。
そんなわけ、あるはずがないのに。

埒もない想像。
その筈だったのに、その時俺が感じたのは本能的な恐怖だった。
494弟→兄 4:2006/08/01(火) 12:43:11 ID:vYbqZ/Xl
「…………兄貴は。ガッコーなんて、クソだ、と」
やっとの思いで絞り出したのは、数ヶ月前の兄貴の言葉で。
俺の心の奥底まで見透かすようなまなざしを、兄貴の声音を思い出して懸命に見返した。
「――そう。そうなんだ。……兄さんは、変わってないんだね」
ふわりと幹雄さんの瞳が蕩ける。柔らかい微笑みが唇に浮かび、兄貴に向けられた。
俺は呪縛を解かれて、ほっと息をついた。
と、幹雄さんの腕の中で兄貴が身じろいだ。
「…っだよ、ちくしょ……ツルゲー、フだぜこ…野郎」
眉をひそめてむにゃむにゃと口をうごめかし、けれど兄貴は再び眠りに落ちる。
「兄さん」
ふふふ、と笑い幹雄さんは滑らかな頬に己の顔を寄せた。兄貴は、何も気づかない。
「ずっとそのままでいて?――僕が、兄さんを守るから」
唇を奪われても、長い睫は伏せられたまま穏やかで動かない。
ひどく綺麗に微笑む幹雄さんに抱かれ、兄貴はすべてを預けて力なく腕を投げ出している。
その絵は俺にはまるで死を表わしているようで。
身を震わせ、目の前の光景に背を向けた。
けれど。
幹雄さんの笑いと、その腕で死んだように眠る兄貴の静かで綺麗な貌の記憶は、いつまでも消える
ことなく。
狂おしいほどに俺を苛んだ。
495風と木の名無しさん:2006/08/01(火) 12:43:18 ID:vYbqZ/Xl
____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ナンデ捨弟ガイルンダトカハ無視!ネタダカラネ。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

スミマセンスミマセン。今後ノ展開ガ怖イヨorz
496風と木の名無しさん:2006/08/01(火) 12:53:38 ID:NqOC5ExJ
>>495
おまいはネ申だ
弟兄禿モエス
有難う有難う
497風と木の名無しさん:2006/08/01(火) 15:49:08 ID:G48QoOCf
>489
GJ
498風と木の名無しさん:2006/08/01(火) 17:23:07 ID:ZOe1BQRj
>>495
弟×兄キターーー!!
テラモエス!
499風と木の名無しさん:2006/08/01(火) 18:20:57 ID:hciKVIXv
>>495
ギガモエスだこのやろー!!
弟兄テラエロス…
500風と木の名無しさん:2006/08/01(火) 20:51:05 ID:69YvxrOI
>>480
師匠…。萌えるのと同時になんか切ないよ。GJ!
501風と木の名無しさん:2006/08/01(火) 21:12:26 ID:VrWc9Lxl
>>495GJGJ!!!
ありがとう!!!
灰になってしまう程モエス(*´Д`)
502風と木の名無しさん:2006/08/01(火) 21:12:36 ID:bH+uHF0o
>>495
弟兄萌えた!
GJ!
503風と木の名無しさん:2006/08/01(火) 22:58:34 ID:0P2nexbh
>>495
GJ!
手出せない捨弟カワイス
弟兄やばいよマジやばい、またおながいします
504風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 05:16:47 ID:S/ux9fJQ
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  某学園お馬鹿893ドラマより
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|   弟→兄 (熊だ一家にホニャララ後)
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
505風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 05:18:53 ID:S/ux9fJQ
「…兄さん?」
訝し気な声に、巻尾の躯が微かに震えた。
誰にも、誰にも見られなかった筈だ。
軋む躯を無理矢理追い込んで自分の部屋までたどり着いた。
月明かりを頼りに自室になんとか滑り込み、
豪奢な造りの廊下を隔てる扉にやっとのことで躯を預け、眼を閉じ息を吐きだした後、
いつもは鋭い巻尾の勘が、ようやく暗闇の己の部屋に別の人間の気配を感じた。
がたっ。
思わず体勢を崩して、巻尾は壁に左肩をついた。
衣擦れの音が近付き、躯を強ばらせた巻尾の左胸の下の壁へ腕がのびる。
体温が近い。
巻尾は躯が強張るのを自覚する。
かちり。
聞き慣れた音が壁から響き、巻尾はその場所を己の身体で隠しておかなかったことを悔いた。
暗闇になれた眼が人工の光を嫌い、巻尾は顔を背けた。
長身の兄を更にわずかに凌駕する幹生は、壁に兄を押し付ける格好のまま、思わずぎりりと奥歯を噛み締めた。
506風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 05:20:48 ID:S/ux9fJQ
室内灯の光に照らされた兄の白い首筋に残る紅い跡に、弟の双眸がグラリと揺れる。
仕立ての良い黒いスーツは、いつもはぴたりと兄の身体を包み、
その美しい兄をしなやかな黒豹のようにも見せる。
しかし弟から顔を背ける今の兄を覆っているのは、無惨に汚れ、裂き跡さえ露な代物だった。
「……誰…。」
自分は今、唸っただけかもしれないと幹生は思った。
「どけ…」
小さく掠れた兄の声が、ぞくりと幹生の下腹部をなぜたのを幹生は自覚した。
「…っ?!」
兄の顎を掴み、有無を言わさず顔を覗き込む。
兄の大きな眼は、瞬間更に大きく見開かれそのままぐらりと揺れてから、その長い睫に隠された。
「兄さんっ…」
幹生の声は微かな震えをはらんでいた。
両肩を掴み壁に押し付け、背けられるその顔を再び無理矢理こちらにねじ曲げた。
その不遜な態度に相応しい絶対的な強さを、兄が自分に向ける事がないと幹生は知っている。
そして、その絶対的な強さが、他人には容赦なく発揮される事もまた、幹生は知っていた。
いや、発揮されるのだ、
と、幹生は信じていた。
幹生がいつも飽きずに眺める兄の顔は、擦傷や痣、そしてこびりついた血で汚れている。
身に纏うものの無惨さと比べると幾分かはマシな状態である事に少し安堵を覚えた刹那、
幹生はその訳を悟り身体を震わせた。
端正な兄の口元に僅かにこびりついたそれは、歴然とした欲情の痕跡。
何者かが兄に強いた行為の証…。
507風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 05:23:37 ID:S/ux9fJQ
____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 寸止め。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

話書くの実は初めてだったりorz
初モノ奉納。
508風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 05:31:04 ID:KHcgY5Gh
ちょw リアルタイムktkr
クマーの美味しすぎる暴挙より弟がなんで兄の部屋にいたのか気にかかる!
何しに来てたんだ幹生!
なにげに兄が弟に甘い前提なのも禿萌える!
なんつーかGJ!!!
509風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 10:27:28 ID:KBJT1URD
ツン止めテラモエス!!!!!1!
兄大好きな弟の激情に震える姿で白飯3杯いけますw
脳内補完して楽しもう・・・GJ ですた!
510風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 18:51:46 ID:ZZ688E4X
弟×兄テラ萌
GJ
続きが気になるよママン
511風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 19:20:06 ID:F5G4glKW
つ・づ・き!(・∀・)つ・づ・き!(・∀・)
弟兄テラモエス
512風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 20:34:12 ID:406Yukdz
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ガチャ歯脚本家と只今オカマちゃんな役者
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  なんかいろいろ無理あるけど…
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
513風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 20:37:07 ID:406Yukdz

なんだか最近上手く笑えない。
まだ内容の言えない仕事とか、夏の暑さとか。
いろんなことでまたちょっとイライラしながら、駅からの帰り道を歩く。
「すいません」
まあ口に出したけど、本当に言いたかったわけじゃない。
新曲のタイトルをちゃんと言えなくて、恥ずかしそうに俯いて両手をあわせて顔の前に持ってくる仕草、急に思い出した。
ラジオなのに何やってんだか。
そんなかわいいリアクション、テレビ用に取っときなよ。
・・・・・・
あ、電話。
あの時本当に言いたかったことを伝えたら、なんて返事するのかな。


「男でもいいって…。九動さんらしいっすねー」
レコーディングのとき、唖辺くんは渡された歌詞を見ながらそう言った。
別にたいした意味はないんだろうけど、いろんなことで機嫌がよくなかったから、ちょっとイラっとした。
俺らしいって、唖辺くん分かってんのかなあ。
「九動さん」
ボーっとしてたら呼ばれた。
「曲のタイトル、長いね」
うん。そうだね。恥ずかしい言葉それだけ並べたら恥ずかしくなくなるでしょ。
なんてプロモーション用のセリフをとりあえず言っておいた。
だって本当のことを言うなんてまだもったいない。
唖辺くんはきっと覚えられないだろうな、
だから覚えられなくって恥ずかしそうにする顔が見たいな、なんてまだ言わない。

514風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 20:40:41 ID:406Yukdz
「九動さん」
「なに?」
「分かった」
「なにが?」
たまに唖辺くんは10文字以上喋れないんじゃないかと思う。
「…新曲のタイトル、なんであんなに長いのか」
「あーあれ?」
「困らせるためでしょ」
・・・。
「やっぱり」
「なんで分かったの?」
「だって九動さん、俺が間違えたときすっごい嬉しそうな顔してたもん」
・・・。
「やっぱり、って顔に書いてあったよ」
嬉しそうな声。悔しいけど当たってる。
あの時本当に言いたかったことは、言葉にしなくても伝わってた。
だからこれもすごく言いたいけど、もう絶対に言わない。
3クール連続でドラマに出てる唖辺くんをかかさずチェックしてること。
それが俺の書いた本じゃないことにちょっとイラっとしてること。
歌詞を書きながら思い出したのは唖辺くんだってこと。
別に分かってくれなくてもいいし。
唖辺くんがいつも俺の書いた本に出てくれさえすれば。
ギターを弾く俺の斜め前で飛び跳ねてくれさえすれば。
俺の演出する唖辺くんがなによりも一番であってくれれば。
「九動さん」
「なに?」
「でもそういうイジワル、嫌いじゃないよ」

気づいたら口元は勝手に緩んでた。
なんだ、俺、ちゃんと笑えるじゃん。
515風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 20:42:43 ID:406Yukdz
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 通し番号入れ忘れたり
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) いろいろすまなんだ。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
516504(続1):2006/08/02(水) 21:48:20 ID:S/ux9fJQ
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  某学園お馬鹿893ドラマより
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|   弟→兄 (熊だ一家にホニャララ後)
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
517504(続1):2006/08/02(水) 21:53:43 ID:S/ux9fJQ
「兄さん。一体何があったの。」
激昂も度が過ぎると却って冷静になるのだと、幹生は自嘲気味に知った。
詭弁やゴマカシが大の苦手の兄にとって、自分の問いがどれほどの痛手かもはっきりと自覚できる。
兄の答えさえ予測出来た。
「…何でもねぇ…よ。」
「…そう。」
己の口元が嗤いの形に歪むのもわかる。
兄の掠れた声。
離れている間にも着実に溜め込まれて来たその欲望を、幹生はもはや留め置く気が無くなっている事を知った。
幹生を押しのけようと力なく動いた兄の右腕を掴むと、幹生はそのまま力任せに巻尾を床に引き摺り倒す。
護身術、ねぇ。
思考が皮肉の回路を通るのはいつもの自分だ。
この綺麗な兄とは違う。
兄は考えた事もなかっただろう。
集会に集まる父親の部下達が、兄を見ながら息を飲む意味を。
父親の知人の強面のボス達が、舐め回すような視線で兄を見つめるその意味を。
いや、今自分がこうして、どんな行為に及ぼうとしているかさえ、
この綺麗な兄は判ってはいないのだろう。
床に倒れ込んだ衝撃にしかめたその貌に、幹生は背筋がぞくぞくするほどの怒りと欲情が沸き起こるのを感じた。
この貌を見せたのか。
「誰に…」
巻尾を仰向けに床に押し付けて馬乗りになると、幹生は、
裂けたままかろうじてその肢体を覆っていた上質のシャツを兄の体から引きはがした。
518504(続1):2006/08/02(水) 21:56:12 ID:S/ux9fJQ
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ マタスンドメ...
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

           ジカンガトレナクテコダシデスマソorz*
519風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 22:07:27 ID:UduJfmgI
つメモ帳
520504:2006/08/02(水) 22:09:30 ID:S/ux9fJQ
>>519
そうする。スマソ。
521風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 22:18:59 ID:ZZ688E4X
弟×兄続きキタコレ
テラ萌ユル
ウォーラーщ(゚Д゚щ)ウォーラーщ(゚Д゚щ)
522風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 22:31:15 ID:/aaCq4Cz
>512
gj!!
ニヤニヤする脚本家が目に浮かぶよw
リアルタイムな話が読めて嬉しい、ありがとう!
523風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 22:37:11 ID:nmCbwRKw
風邪で熱があるところに更に熱が上がるようなモエが(*´Д`)
弟×兄いいおいいお(*´Д`)ハァハァハァ
524風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 22:41:01 ID:F5G4glKW
弟×兄続ききたー!
ぐっじょぶ!ぐっじょぶ!
525風と木の名無しさん:2006/08/02(水) 23:00:39 ID:uNIBJVk3
>512
やっぱりかわいいよ、この人達。
ちょっと飢え気味だったが、癒されました。GJ!
526:2006/08/02(水) 23:58:28 ID:j0WDbogt
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ナマモノ注意 >>414の先輩サイド 攻っぽい先輩注意

「まだ、帰ってなかったのか。」
駐車場に向かおうとして、気になっていた彼がうろうろしているのを見つけた。
「うわっ!どうしてこんなとこに・・・」
彼は飛び上がらんばかりに驚いていた。やっぱり、何かあると思った。
「元気そうで安心したよ。」
そう、野球に関してはいつも通り、元気が良かった。
「・・・俺も、一緒に野球できて。あのっ!」
だけどこの連戦、どうも彼に、不自然に避けられているような気がした。
「ん?」
急にぎゅうっと抱きついてきた彼を見上げたら、どきっとするような、切羽詰まった目が向けられていた。
ああこれは、と思った次の瞬間には切れ長の目は固く閉じられてしまい、唇がぐっと押しつけられた。
乾いた感触だったのが、不器用な動きが繰り返されるうちに段々、柔らかく吸い付いてきた。
別に押しのけてもいないのに、放すまいとばかりに左肩や顎をきつく掴まれ続けた。
グラウンド上で見せていた落ち着きはどこへやら、舌をがむしゃらに動かす彼の眉間には皺が刻まれていた。
振り払うつもりはなかった。それどころかその懸命さがどうにも、愛しいものに思われてならなかった。
その背に手を回して宥めたい、手を伸ばして長い後ろ髪を撫でたい、その舌に応えたい、という衝動を自覚する。
けれど頭のもう半分はしごく冷静に、彼をよく思っているならば何もするな、と告げていた。

「どうしたの?」
ようやく口を離して目を開けた彼だが、まだ相当興奮しているみたいだ。なるべく穏やかに尋ねる。
「ど、どうって。好きなんスよ、俺は。」
知っていた。だからよそよそしい態度が引っかかった。
「そうか。」
なるほど好意を素直に表現しなくなった代わりに取り乱すのは、本気になったという事か。
527:2006/08/02(水) 23:58:59 ID:j0WDbogt
「だからあの、また、同じチームでやりたくて。あ、あの。俺じゃ駄目っすか?」
・・・・・・もう、ずっと彼を見ていられる立場じゃない。中途半端に彼を可愛がるわけにはいかない。
「ん。ごめんな。」
それは分かっているのだから、今は彼を落ち着かせることだ。
自分の口を拭い、そして彼の手がまだ肩に乗ったままだったので、そっと握って外させようとした。
長い指が少し、震えていた。ヤンチャで物怖じしない性格だけど、根は繊細な方だと思う。
最後は手を彼の方から放したが、ややあってから顔を紅らめて口元を両手で覆ってしまった。
ユニホームを脱げば本当にまだ若くて、危なっかしくて、心配になる。
「それじゃ、また。」
でも、もう今は彼の隣を守れないのに、変な期待を持たせてはいけない。
彼は呆然とこちらを見ていた。彼の気持ちに応えなかったから、と思うと顔をしかめたくなる。
幸い彼はチームメートに愛されているから、誰かが彼に気を遣ってくれるだろうと考える。
それに野球では彼らしい、溌剌としたプレーができているのだから大丈夫だ、と自分に言い聞かせる。
彼に背を向けた。

潮風の中愛車を飛ばしながら、彼の表情を感触を思い返した。彼に必死に求められて、胸の奥がうずいた。
あの時、彼の放心したような目には俺しか映っていなかったのに、抱きかえす事はしなかった。
誰かが彼のあんな目を見て、そして彼を抱き締めるのだろうか。
かつてのチームメイト達の顔が頭の中で一巡りして、思わず首を横に振る。
もしまだ同じチームにいられたらとか、彼がもう少し大人だったらとか、そういう思考も振り払いたかった。

前を向かなくてはならないのは分かっているけれど、と唇を噛みしめた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
こんなキャラで本当すいません。
528風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 00:21:50 ID:dF6x4Fb6
>>526
…素直に涙が出てきた
本当に切ないよ、この二人
529計画橙青1:2006/08/03(木) 00:32:04 ID:XQHhMo8Z
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )性懲りも無く橙青投下。前回のエロ後の青話。


もう、何もいらないとまで思える程の充足感。
貴方なら与えてくれるという無責任な確信が、この胸の何処かにあって。僕はこうして、貴方の想いにすがってしまう。


「名打木さん」
「………」
「寝ました?」
小さな寝息が聞こえる頃、僕はようやく貴方と向き合える。
「黙ってれば、かっこいいのになぁ…」
見慣れた寝顔にそっと触れて、温もりを確かめる。
「何か…変なの」
初めて貴方を見たのは、大学時代に訪れた弐丁目劇場。
一目見て憧れて、それからずっと憧れて。
僕なんかには一生手の届かない、遠い存在だったはずなのに。
今は、こんな近くにいる。

『なぁ、ヒロス』
『ヒロスって呼ぶの止めて貰えません?』
『何が』
『僕、ちゃんと芸名あるんで』
名前を呼ばれる度に背中を向けるのは、子供みたいな照れ隠し。
『俺はヒロスの事、好きやで』
『っ…僕は…』
『…何でもえーから、側にいさせて』
愛を囁かれる度に耳を塞ぐのは、貴方の声に心乱されてしまうから。
530計画橙青2:2006/08/03(木) 00:35:29 ID:XQHhMo8Z
「……好きです」
寝顔にしか告げられない、僕の本心。
どうか貴方に届く様にと願いを込めて、触れるだけの優しいキスをする。

『ヒロス、今欲しいのある?』
『……特に、無いですね。名打木さんは?』
『んー…ヒロスかな』
『……他当たって下さい』
貴方がいてくれたら、何もいらない。
そんな綺麗事、現実の前では結局嘘になってしまうけど。
「…名打木さん」
朝になれば、僕はまた貴方に愛される。
それだけは変わらない真実だと…思いたい。
「……おやすみ」
さりげなく貴方に触れた手を寝相のせいにして、ゆっくり目を閉じる。


早く、朝になればいいのに。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )短い話でした。本当の青は、橙にデレデレだけどね。
531風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 00:38:20 ID:u6192VqF
リアルタイムキタ―ヽ(゚∀゚)ノ―!!
橙青いいよ橙青
532風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 00:45:51 ID:vCoKnbMj
>>516
弟兄モエスww
続き楽しみにしとります
5331/3:2006/08/03(木) 01:20:07 ID:RAiDNYi3
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ ) 某学園893ドラマ 教育係×坊主舎弟

館のどこかにある置時計が鈍い音を響かせ、
それによって黒居は自分がしばらく眠っていたことに気付いた。
つけたままだった眼鏡を一旦外し、軽く目の回りをほぐすように揉む。
どうやら先程の音は夜中の二時を告げていたらしい。
机上に散らばる書類から明日(既に今日だが)午前中に必要な分だけを
抜き出しクリアファイルに入れ、外した眼鏡をかけ直し部屋を出た。
持ち出した分はチェックを残すのみで自室でも出来る。
ここ最近真喜雄が学校に入ったこともあり若干オーバーワーク気味だ。
なんだか首が重い気がする。ぬるい風呂に入って熱い茶が飲みたい。
つらつらとそこまで考え、年寄りくさいと思い、
実際年寄りかと真喜雄やその舎弟との年の差を思いだし苦く笑う。
特に見かけによらず茶を入れるのがうまい、
茶に限らず家事全般を得意とする舎弟との差は二回り以上。
ようよう考えれば笑える話である。

そんな相手と――
5342/3:2006/08/03(木) 01:20:39 ID:RAiDNYi3
脇の厨房を覗くと案の定坊主頭がオーブンから匂いの元であろう物を取り出しているのが映った。
「こんな時間までご苦労だな」
「あっ!黒居さん!」
全く気づいてなかったのか慌てて振り向きその拍子に手元にあった
不安定な物体を取り落としそうになり再び慌てて体制を立て直す。
その焦った様子が何故か先程まで考えていたことと重なった。
「黒居さんこそお疲れっす!俺のはやりたくてやってるやつなんで!」
甘い匂いをさせながら近づいてくる相手に思わず見入る。
やはり自分はそう年寄りでもないのかもしれない、
と腹の奥に感じる高揚を認めながら思った。
「まだかかるのか?」
新鮮な青果がどうとか、新作なんだとかを語る和哉の言葉を遮り問う。
「いえ、あとは冷やすだけなんでもう終わりっすよ。黒居さんもあがりですよね?」
不埒な思考に気付く様子もなく問い返してくる。
「ああ。あ、いや部屋でこれだけは見ておかないといけないんだが」
言いながらクリアファイルを顔の位置ほどに掲げる。
「結構かかるんすか?」
「いやそうでもない。三時前には終わるはずだ。」
まるでガンでもつけるかのようにファイルを見つめる和哉に、考えるより先に口を開いていた。
5353/3:2006/08/03(木) 01:21:23 ID:RAiDNYi3
「もしよかっら、熱い茶淹れてくれないか?」
部屋でゆっくりと旨い茶が飲みたい気分なんだ、
そこまでいうと相手は満面の笑みで了承した。
「ここ片付けたらすぐ淹れて持っていくんで、黒居さん先部屋戻っててください」
頼むといい置き厨房をでる。
呼び出された事にすら気付いた様子のない相手に、
しかし勝手にそのつもりになった黒居は熱い茶ではなく和哉を待つため部屋に戻る。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )
前振りのような話でごめんなさい。
536風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 01:25:51 ID:RAiDNYi3
あ、ごめん投下失敗してたorz
たいした問題は無いけど2/3の一行目に

>ふと廊下のではない照明が漏れているのに気付く。同時に甘い匂いと子供地味た鼻歌が聞こえた。

を入れてください。
537風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 14:42:11 ID:isMkrhIY
段々香ばしくなってきたのは私だけか
538風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 15:24:46 ID:PUXPl2vL
藻舞と漏れと藻舞だけ
華麗にヌルーすれ
539風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 15:43:18 ID:ftH3VEno
ところで、ここは長文NG?
スレをさかのぼって見た限り5レスくらいで終わっているのが多いような気が…。
全部で19レス程度(投下するなら10レスと9レスの二回に分けて投下)
になる予定なんだけど長すぎ?
540風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 15:48:35 ID:X28fSlda
この時間ならかまわないと思うけど。
連投規制入ったら協力するよ。

ただ学園893ドラマはそろそろ乗っ取り気味なので
控えるかしたらば移動するかした方がいい気がする。
541風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 16:09:38 ID:xv4aNnYV
この二日ぐらい続いただけじゃないか?
投下者もさすがに様子見すると思う。
542風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 16:38:48 ID:/8EvXcau
推敲・確認してからある程度まとめて貼って、やたらレス数消費しないのと、
あと勢いだけで貼らずに、同ジャンルが続き過ぎてないか、
続いてたら少し日にちを置いて貼ってはいかがと。
学園893ドラマ隔離移動する数かと言うと自分はまだ微妙な気がするので。

こんなレスしながら539姐さんに割り込んでしまわないかビビっているw
543539:2006/08/03(木) 17:16:37 ID:2740GhoC
>540
トンクス
ではお言葉に甘えて
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
極×黒(最終話の後)
544539:2006/08/03(木) 17:17:25 ID:2740GhoC
黒サキはベッドに横たわり、豪華客船『グレートウォール』の客室の天井をだたぼんやりと眺めていた。
ここの主は何を考えているのか、黒サキに客室を、しかも狭いとは言え個室を与えてくれた。
突然転がり込んだ『お荷物』にしては破格の扱いだ。
ジェ/イクの個人的な怨恨から内/海が刺されたのは一週間前のことだ。
その時のどさくさに紛れ、企画/七課の関係者はグレーウォールに逃げ込んだ。
ここならば、日本の警察の手は及ばない。このまま逃げ切れるだろう。
人質の女は警察に戻り、バ/ドも取られたがそれは些細な問題だ。
ここに来なかった連中もそれぞれ自己責任で逃げおおせたのだろう。
みんなそれなりに修羅場はかいくぐってきている。
逃げ込んだ直後は部下達の混乱を押さえたり、事後処理に追われたりだった。
貧乏性だと笑われながら、立場と責任上放り出すこともできずに、
自分よりも部下のためにかけずり回っていた。
皆落ち着きを取り戻し、それなりに身の振り方を決めた。
そして、黒サキはする事がなくなってしまった。
本音を言えば混乱の中に忙殺されていた方がよかった。
落ち着きを取り戻せば、嫌でも現実が見えてくる。
内/海の死―――。
545極×黒2:2006/08/03(木) 17:18:58 ID:2740GhoC
↑名前欄間違い 極×黒1です

未だに信じられない。
一週間が経つというのに。
倒れた内/海の腹の下から血が広がっていく光景は今もしっかりと目に焼き付いているというのに。
あれも内/海特有の『仕掛け』ではないのか。自分をも騙すいつもの手なのではないのか。
あの、グリ/フォンを壊した時のように。
「敵を欺くには先ず味方からって言うだろ」
あの人を食ったような笑顔で、幽霊でも見ているような自分を笑って、
今にもそのドアを開けるのではないか。
そんな風に考えてしまう。
「バカバカしい」
黒サキは苦笑する。
あれほどはっきりと確かめたではないか。
内/海は死んだのだと。
ふと、ドアの向こうに人の気配を感じた。
黒サキは素早く身を起こし、身構える。
(まさか……)
直後、ドアにノックの音がした。
546極×黒3:2006/08/03(木) 17:19:54 ID:2740GhoC
「どうぞ」
緊張を残した声で黒サキが答えると、極/東/マネージャーが入ってきた。
あんな事を考えていたとは言え、内/海かも知れないなどと一瞬でも考えてしまうなんて。
黒サキは歯噛みする。
「他の人間を待っていたような顔だね」
「誰を待っていたと?」
「さあ? それは君が一番知っているんじゃない?」
黒サキは思わず視線を外してしまった。
「君は嘘を吐けないんだね。リ千ャードは平気で人を欺ける人間だったけど」
リ千ャード・ウォン。内/海のもう一つの名だ。
どこか嬉しそうに微笑んで、極/東/マネージャーは室内に入ってきた。
穏やかに笑う。笑顔が地顔と言えば内/海もこの人も同じだが、どこか違う。
ジェ/イクは内/海のそれを『ニヤニヤした顔』と評していたが、極/東/マネージャーの笑顔はもっと上品で……。
(いや、あの人が下品だというわけではないのだが……)
心の中で思わず言い訳めいたことを呟いて、苦く笑う。
全く、何をしているのか。
「何かご用ですか?」
極/東/マネージャーの視線を感じ、心の中を探られないうちに、黒サキは問う。
「君の部下達が心配していてね」
「心配?」
黒サキは苦笑した。
547極×黒4:2006/08/03(木) 17:20:59 ID:2740GhoC
「部屋に閉じこもったまま、食事にも顔を出さないとなれば心配するだろう?」
極/東/マネージャーは黒サキの許可を請わずにソファに腰をおろした。請う必要などない。
この船の中で『客』なのは黒サキの方だ。
「それで、あなたが? わざわざ?」
さも意外だという顔をして黒サキは極/東/マネージャーを見返した。
(部下が心配しているから様子を見に来た、だ?
他の目的があるのが透けて見えますよ、極/東/マネージャー)
心の中でせせら笑う。
「まあ、君の部下達が心配しているのは本当だよ」
極/東/マネージャーは黒サキの心を読んだかのように言葉を返した。
「心配してもらう事など何もありませんよ。それに『私の部下』というわけでもありません」
内/海が集め、内/海に集まってきていた連中だ。内/海がいなくなればもはや関係ない。
(いなくなれば……か)
鉛を飲み込んだように胸の奥が重くなる。
内/海がいなくなるなど、考えてはいなかった。
黒サキは俯き、唇を噛んだ。
「面白いね、君は」
「面白い?」
オウム返しに言って目を上げる。
「あれほど必死に走り回っていたくせに、自分の役割がなくなればあっさりと相手を切り捨てる」
「馴れ合いは苦手です」
極/東/マネージャーはくすくす笑いながら何か呟いたが、聞き取れなかった。
548極×黒5:2006/08/03(木) 17:22:11 ID:2740GhoC
「本当は、君に訊きたいことがあってね」
「は?」
いきなり切り出した極/東/マネージャーの本題に黒サキはさっきの言葉を聞き返しそびれた。
「君は今後どうするつもりなのか、と思って」
黒サキは答えられずに、黙り込んだ。まだ何も考えられない、と言うのが本当のところだ。
「リ千ャードの死がそれほどショックだったとはね。少し、意外だったよ。
君はもっとドライに割り切っているのかと思っていたからね。
リ千ャードが君を利用するように、君も君の目的でリ千ャードを利用しているのだとね」
自分だってそう思っていた。
衝撃を受けている自分に誰よりも黒サキ自身が驚いている。
内/海が『主』であることは黒サキにとって都合がよかった。
内/海は自分を『使いこなせ』る数少ない人間の一人だった。しかし、黒サキは内/海がもしも自分の考えるような『主』でなくなったら、その時は内/海を切り捨てる心づもりは常に持っていた。
……はずだった、のに。
「私は別にいいんだけどね。君一人くらい無駄飯を食わせておく程度の余裕はある」
「無駄飯……ですか」
「違うかい?」
「何か私にできることがあればお手伝いしますよ」
無駄飯と言われて黒サキはつい反発してしまった。ここ二、三日の様子はまさしくその通りだったのだけれど。
549極×黒6:2006/08/03(木) 17:23:25 ID:2740GhoC
「私と、来る?」
「私を飼うおつもりですか?」
「飼われてくれるかい?」
極/東/マネージャーはほんの僅か口角を上げて、面白そうに黒サキを見返した。
内/海の代わりに? この人の? 飼い犬になる?
自分は主人の器ではない。誰かに飼われていてこそ力を発揮できるタイプだ。
それはよく自覚している。内/海という主人を亡くしたからには、
新しい主人を捜さなければならない。解っている。
けれど、それは『今』でなくてもいいはずだ。
そして、主人は目の前の男である必要もないはずだ。
確かに極/東/マネージャーの庇護に入ればある一定の安全は保証される。
その事に魅力がないわけではない。しかし、今は、まだ……。
「貸しても、あげない、か」
「何です?」
極/東/マネージャーの言葉の意味がわからず、黒サキは聞き返した。
「いや、ね。昔リ千ャードがそう言ってたんだよ、君のことを。『あげませんよ、貸すのは良いけど』ってね。
解る気がするね、リ千ャードが君を側に置きたがった理由」
その言葉をどう考えていいのか。何と返せばいいのか。黒サキは言葉を選びあぐねていた。
嬉しい、と思ったわけではない。誓ってない。けれど心が弛んだ。それは確かだった。
550極×黒7:2006/08/03(木) 17:29:48 ID:2740GhoC
言い忘れていましたが、鬼畜風味です

--------

「もし、君が……っと……」
極/東/マネージャーがポケットから何かを出そうとして、ペンを落とした。
立ち上がり、ドアの方まで足元に転がって行ったそれを拾い上げたのは、
黒サキにとってほとんど反射的な行動だった。
「どうぞ」
「ありがとう」
極/東/マネージャーはにっこりと笑って黒サキが差し出したペンを受け取り、
代わりに黒サキの目の前に小さなアトマイザーのような物を突きつけた。
(まずい)
咄嗟に身体を引こうとしたが、もう遅かった。
顔にスプレーを吹き付けられ、黒サキはそれを吸い込んでしまった。
(しまった……!)
ぐにゃり、と床が液状化したように感じた。
見え透いた嘘の用件に、『本題』を重ね、更にその裏にある本来の目的を隠す。
当たり前の手法だ。こんな単純な手に引っかかるなんて。
(……畜生!)
呪詛の言葉を吐いても身体が言うことを聞かない。力が抜けていくようにそのまま床に崩れ落ちた。
意識が黒く染まっていく。
極/東/マネージャーの哀れむような笑顔が最後だった。
551極×黒8:2006/08/03(木) 17:31:16 ID:2740GhoC
黒サキが目を覚ました時、先ず目に入ったのは客室の天井だった。
(ああ……そうだ。極/東/マネージャーに……)
下は固い床の感触ではない。ベッドのスプリングの柔らかさだ。
肌に直接シーツが当たるのを感じて、自分が全裸であることを知った。
ベッドに仰向けに転がされている。
「気が付いたかい?」
すぐ側で極/東/マネージャーの声がした。
視線を向けると、ベッドの端に腰掛けて黒サキを見て笑っている。
意識がはっきりしてきても視界がぼんやりしているのは眼鏡が外されている所為だ。
無意識に眼鏡を取ろうと手を伸ばそうとして、後ろ手に組まされ両手の親指を纏められいるのが判った。
金属のような物。幅が広く厚みはない。おそらくは指錠。
試しに少し手を動かしてみたが無駄だった。これは手に負えない。
これでは起きあがることもままならない。
(まいったな……)
こうなってしまっては今更慌てて恥の上塗りなどという事態にはしたくない。
黒サキは諦めたように力を抜いた。
気を失う前、誰かが部屋に入ってきた気配を感じた。あれは幻覚ではなかったはずだ。
第一、ナイフよりも重い物を持ったことのないような手で、床に倒れた黒サキをベッドに運べるはずがない。
運べるかどうかは別にしても運ぼうとはしないだろう。
おそらくは誰かにさせたに違いない。
問題は、誰に、何処までさせたのか、と言うことだ。
552極×黒9:2006/08/03(木) 17:32:03 ID:2740GhoC
「私をベッドに運んだのはあなたではないですよね」
この状況で、黒サキに駆け引きの余裕はない。
「気になる?」
「そりゃあ」
こんな無様な姿を他の人間に晒したなど、これ以上の屈辱はない。
極/東/マネージャーだけでも我慢ならないのに。
「気にしなくても、秘密の守れる男だよ。
それに君をベッドに運んで、服を脱がせてもらっただけだ」
極/東/マネージャーは事も無げに言うが、黒サキが気にしているのはまさしくその部分なのだ。
それも解っていて言っているのだろうが。
黒サキは他人の目に普段晒さない箇所まで見られていることが気になって、
身を捩り、できるだけ極/東/マネージャーの視線から離れようとした。
その時、シーツが身体に擦れる感触で痛みにも似た痺れが身体を貫いた。
「……うっ!」
黒サキは顔を顰めた。
「薬が回ってきたらしいね」
薬……?
しばらく前から気付いていた。起きあがれないのは縛られた手の所為だけではない。
たとえ手を縛られていても、普段の黒サキなら腹筋だけで起きあがれる。
力が入らないのだ。
553極×黒10:2006/08/03(木) 17:32:59 ID:2740GhoC
一体どんな薬を使われたのか。ろくでもない物であることは解っている。
弛緩剤か催淫剤か、その類の。麻薬かも知れない。
気を失ってからそれほど時間は経っていないはずだ。即効性のもの。それにしては効きが早い。
それに意識のない人間に何かを飲ませることは難しい。身体に直接注射するか、あるいは粘膜吸収。
そこに思い至ったとき極/東/マネージャーは黒サキの顔を覗き込んで微笑みながら、
銀色のパッケージに入った座剤を目の前に差し出した。
「こういう薬なんだけどね」
(最悪だ……)
意識がなかったとは言え、医者にすらされたくない事だ。注射されるよりも屈辱だった。
黒サキは唇を噛み、顔を背けた。
「私の前で用心を忘れる程君が弱っていたとは思わなかったよ」
極/東/マネージャーは黒サキの髪を梳くように掻き上げた。
よくも言う。
黒サキは心で目の前の男に毒吐いた。
用心を忘れた黒サキの迂闊さにつけ込んだクセに。その迂闊さは計算の内だっただろうに。
弱っているなどと認めたくはない。絶対に。
自らの間抜けさ加減を呪ってみても始まらない。
けれどもそれが弱っていた所為だなどと、ましてやそれが内/海を失った所為だなどと。
絶対に認めたくはなかった。
けれど極/東/マネージャーはそれを容赦なく暴き立ててくれる。
554極×黒11:2006/08/03(木) 17:34:00 ID:2740GhoC
薬の効果が上がってきたらしい。
あるいは薬を使われたと聞いて意識してしまった所為かも知れない。
身体が燃えるように熱い。息が上がる。
「……はぁっ……ぁ、はっ……」
極/東/マネージャーの指が頬から顎を辿る。
「……ッ!」
触れた箇所から電流のような痺れが伝わり、声を上げそうになった。
それを快感だとは認めたくはなかった。
「抵抗しない方がいい。無駄だから。この薬はうちが開発した完全化学合成の物でね。
直接神経から脳に訴えて、どんな刺激も快感に変換してくれる。
脳からの命令に精神力で逆らっても辛いだけだよ」
極/東/マネージャーはいかにも楽しそうに効能について説明する。
「君は痛みには慣れているようだけど、こっちはどうかな?」
体中に無数にある傷跡の一つを辿りながら、足の付け根を撫で上げた。
「ああっ……!」
黒サキは自分の声の淫靡さに驚き口を噤んだ。
乳首を摘み上げられ、身体が跳ねた。
「イッ!」
極/東/マネージャーは指先で転がすように乳首を弄び、脇腹を撫でさする。
「……くっ、う……っく」
黒サキは血が滲むほどに唇を噛みしめて、喘ぎが漏れるのを堪える。
「そんなに堪えなくても……」
極/東/マネージャーは黒サキの唇を指先でなぞり、微笑んだ。
黒サキは極/東/マネージャーの手を避けるように顔を背けた。
555極×黒:2006/08/03(木) 17:35:14 ID:2740GhoC
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
分割場所が少し予定と違ってしまいました
明日また来ます(多分)
556風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 17:37:08 ID:thPsKUvY
待ってる(・∀・)
557風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 17:49:21 ID:hwF/cNQE
す、寸止めとは姐さんかなりの上級者とお見受けした…!
俺も待ってる!全裸で!
558風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 21:51:59 ID:Z0gpgTED
>>557服着とけ 風邪ひくぞw
559風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 22:19:18 ID:bfarfjNc
>>557
風邪ひくまえに蚊に刺されるぞw
560風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 22:22:43 ID:5VwsB/qp
しょうがないなぁ・・ホレ(´・ω・)つ【蚊取り線香】
561風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 22:39:02 ID:UdM+pG1y
つか外だったのかYO!この腐痴女!
562557:2006/08/03(木) 22:46:26 ID:hwF/cNQE
ちょ、戻ってきてみたら愛されてるわ罵られてるわw
全裸は汗でべたべたしてつらいね…(´・ω・`)
563風と木の名無しさん:2006/08/03(木) 23:53:50 ID:z2snK321
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  >>266の1年後
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  自家発電に勤しんだよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
*あまからぷろやきうになってしまいました。
*自家発電したら自分に火が点いてしまいました。
*時期は今年の頭くらいでしょうか。
5641:2006/08/03(木) 23:56:30 ID:z2snK321
「染めねぇの?」
ぽつりぽつりと進んでいた会話も途切れかけてきた頃、彼は隣を歩いていた男のくせの強い髪の毛を軽くつまん
で、軽い調子で聞いてみた。
「…染めないよ」
「…監督に言われたから?」
「…」
髪を触れている手をやんわりと拒絶する。図星だったせいか、隠すことでもないのに、ドキリとした。肯定は、
何故かしたくなかった。
嫌悪感は無かったが、少しだけ彼と距離を取った。
「プロに行くって言ったとき、監督の反応、どうだったの」
「…別に。普通。でも、あとから『プロじゃ通用しない』とか、言ってたみたいだけど」
「はは、らしいじゃねぇの」
1年先にプロへ行った男は、自身の本拠地のドームを見上げて、少し顔をしかめた。
その才能を見出され、大型ルーキーとして、即戦力右腕としてプロ入りした彼も、1年目は思うような結果を残
せなかった世界だ。
いつでも強気に見える男も、幾ばくかの不安を感じているのかもしれない。
それを感じてか、彼は長身の男の背中を励ますようにぽんと叩いた。
5652:2006/08/03(木) 23:57:48 ID:z2snK321
「でもさ、監督、お前のことはすごく認めてたからね。本当はあと1年は俺の目の届くところに置きたいんだっ
て言ってたし。…俺もそんなこと言われてみたいけど」
「フン、すっげぇ俺怒られたもんなぁ。たまに意味わかんねぇし。逆にお前って、言われてるようであんまり怒
られてなかったよな。可愛くて仕方ないって感じだったぜ」
「からかうなよ」
「からかってねーって。だって、お前打たれたときって、捕手の説教になってたじゃん、後半とか。俺んときな
んて説教はぜーんぶ俺向けだし。マジ耳にタコ」
「俺はもっと怒られたかったけどなぁ…」
ふと見上げた、暗がりの中に佇む巨大な建物は、エメラルドグリーンの光でその存在の名を知らせていた。この
建造物の前の通りを、寒そうな通行人が早足で行き来する。
そのなかで彼らはゆっくりと目的も無く歩いている。
同じ思い出の会話は、懐かしさばかりを呼び起こす。
「ほんとなら、同じチームだったのにな…よりによって北海道かよ」
既に同僚では無くなってしまった寂しさからか、多少恨みを含んでいたかもしれない。棘のある言葉に、
彼は苦笑した。
「俺にはどこの球団だってありがたいけどね。こんな…若くない選手に貴重なドラフトの枠使ってくれてさ。
…ほんとは去年辞退して、もう諦めてたんだ。監督のためだけにやろうって、それだけだったよ。
結果は…納得できるもんじゃ、なかったけどさ」
「…監督、監督、監督って、お前、そればっかだよな!」
ふいに声が大きくなり、色白の男は少し驚いて連れの顔を見た。コートのポケットに手を突っ込み、下唇をわず
かに突き出した表情に面食らう。
「なんで怒るの?」
「怒ってねぇよ」
明らかに怒っている連れを横目に、彼はふぅと白い息を吐き出した。白い空気は寒空に消えていく。
5663:2006/08/03(木) 23:59:35 ID:z2snK321
「1年ぶりかぁ。短かったのに、もうずっと会ってない気がする。…会いたくも無かったけどね」
「…だから、あのときのアレは謝っただろ。無理矢理やってゴメンナサイって」
やたらと真面目な表情の男とは対照的に、彼はその言葉にかくんと肩を落とした。
「お前ね、そのせりふが留守電に入ってて脱力した俺の気持ち、わかんない?」
「なんで脱力?謝罪の電話に」
「…もう、いい」
子供のように無邪気で、子供のように単純だ。
彼は更に脱力して、顔を背けた。
時刻は夜の11時を回る。
まだオフシーズンは続くが、既に自主的に練習を再開している選手は少なくない。かくいう彼もまた、千葉のグ
ラウンドに通い始めた。プロ1年目だ。喜びよりも希望よりも、ずっしりと重い『責任』のようなものを感じて
いた彼は、人一倍気を使って日々を過ごしている。
この日も、日付が変わらないうちにと別れを切り出そうとした。
途端。
「ね、やらして」
ぼそり、と。
耳元で。
彼は一瞬、息がつまった。そして顔にさっと朱が走った。
「っ、そういう、冗談、やめろよっ」
「なんで冗談なの、これが。お願いしてんじゃん」
「…だよ」
「ん?」
「やだよ」
「なんで?」
「なんで…って…」
5674:2006/08/04(金) 00:00:28 ID:CR0bl3oW
ばくんばくんと心臓の音が大きくなる。
こんな不意打ち、卑怯だ、と彼は思った。
「なんで?なんでやなの?」
「い、1年も会ってなくて、久しぶりに呼び出されて、挙句の果てにそれって、嫌だろ、普通っ」
「じゃあ、また別の日に会おう。そのときやらして」
「っ、じゃあ、もう会わない」
「なんで?もうやりたくない?」
こう即物的なせりふをぽんぽんと吐かれると、恥ずかしくて仕方ない。
彼はますます顔を背け、距離をとる。今度は、連れの男は距離をつめてきた。
「なんでやなの?社会人のときはいっぱいやらしてくれたじゃん。もう駄目なの?」
「だからっ、そういう物言いするなよっ」
「なんて言えばいいんだよ…」
「…俺、結婚したばっかりだよ……もう、駄目だ」
「別に女とやるわけじゃないし、いいじゃん。奥さんいたって一人でやるトキだってあるだろ。一人でやるか二
人でやるかの違いじゃん」
「……なんだよその理屈…」
「ね、お願い。お願い、センパイ」
長身の男が抱きついてくる。
コートに包まれた長い腕が腰元に絡みついて、甘えるように肩口に顔を埋められる。
彼は慌てて辺りを見回し、その腕を解くように体をねじった。
「ば、ばっか、離れろ!おかしく思われるだろ!ホモのカップルだって思われたらお前、どうするんだよっ」
「んー、どうしようかなぁ」
「わかった、わかったから離れろ!付き合えばいいんだろ!」
5685:2006/08/04(金) 00:01:00 ID:CR0bl3oW
投げやりに言い放った途端、長身の男はぱっと離れた。してやったりという表情だ。
やられた、と彼は思った。
「…なんか、負けた気分…」
「なんで?最初からこうなるってわかってたでしょ?だって、アンタお願いされたら断れないタイプじゃん。投
手やってんのに捕手に合わせちゃうタイプだし。駄目だよーちゃんと自己主張しないと」
「お、お前が言うな!!」
へらへらする後輩に、後ろから蹴りをくれてやった。
それでも態度も体も大きな後輩は、へらへらして、彼を苛立たせるのだった。
5696:2006/08/04(金) 00:01:58 ID:CR0bl3oW
ぎしっと車のシートが軋む。それもそうだ。ひとつのシートに成人男性二人分の体重がかかっているのだ。いか
つい外装のグランドチェロキーが傾いた気がした。
「んんっ」
「なんか、かたい。もしかして1年ぶり?アレ以来?」
「ん、そう、だけど。…そもそも、誰とやるっていうんだ、よ」
シートを傾け、うつぶせに押し付けられた体勢そのままに手を入れられる。
ローションを手に取り、ぬるぬると温まったそれが、ゆっくりとからだを慣らす。長い指は思いのほか奥まで入
り、浸食される感覚に、彼は呻いた。
「ふぅん。でも、相変わらず綺麗な皮膚」
「ひぁ…あんま、動かすな、って、あっ」
ぐにぐにとわざとらしく指が蠢き、本意ではない声が漏れた。
どこかに意地の悪い響きを含んだ声の中身はほとんど耳に入ってこなかった。神経が、どうしても下半身に集中
してしまう。久しぶりだからなのか、暗く狭い車内でだからなのか、指の感触、体臭、自分の昂ぶり…どれもが
やたらとリアルで、余裕など持てなかった。
「んっ、も、もう、いい、から」
指先がいいところを掠めるたびに、体が跳ねてしまう。
それにしても、この男はこんなふうに言葉や手で前戯を楽しむ男だっただろうか?もっと動物的に自身の快楽を
求める男だったはずだ。
「久しぶりだから?もっと我慢強かった気がしたけど」
「なに…が、」
「こんなに感じやすかったっけ」
かぁっと顔に血が上る。そういうふうに見られるのは屈辱だった。何か反論しようと口を開きかけたとたん、
ぐっと質量の大きいものが押し付けられ、声は悲鳴に変わった。
「―――っあ、ああっ」
「うぁ、キツ」
5707:2006/08/04(金) 00:02:37 ID:CR0bl3oW
腰を両手で押さえつけられて、ぐいと進ませてくる。圧迫感に喘ぎ、首筋にかかる熱い息に陶酔した。
「……ぁ…んっ、…ぁあっ……!」
かちゃっとベルトのバックルがかすかな音を立て、振るう腰がからだの中をかき乱す。
大きな手が彼の下腹部を根元から刷り上げ、達するのを促す。
シートにしがみつき、嵐のような快感が過ぎ去るのを待った。
「っ、うっ」
耳元で、年下の男のうめく声も聞こえ、その艶やかさにぞっとする。何もかも忘れてしまえればいいのに、それ
すらできない自分の小ささを嗤った。
それでも体は素直に悦びの悲鳴を上げる。
「ひっ……んぁっ…あっ…」
指先はシャツの下に潜り込んで、胸元の突起を擦り上げた。
充血したそれが弾力をもって指を跳ね返し、しかし指のいたずらは止まない。
中指と人差し指で強く挟まれ、先端をぐりとつぶされ、彼は悲鳴をあげた。
目から幾筋もの涙を流してそれを悦んだ。
「アンタ、嫌がってたワリに、結構、ノリノリ?」
手は止めずに、悪戯っぽい声を耳に吹き込む。
彼は首を振って、はやく、と懇願した。涙がはたはたと落ちてシートに吸い込まれた。
「はやく?はやく、いきたい?」
「んっ……もう、いい、だろっ……?や、だ、もう、ツラい…っ」
何度も何度もからだのなかを行き来するのに、それは肝心なところを突き上げてくれない。彼は自ら腰をゆする
が、意地悪な後輩は焦らして、弄んだ。
「ヒッ……ゃっ…ぁ…はやく、はやくっ…!」
声が高くなって、長身の男の耳を心地よく打った。
「わか…った、って…!」
「―――ッ!」
一際強く腰を使われて、呆気なく彼は吐精した。
しびれる快感は体を通り過ぎて、疲労と脱力だけがからだに残った。
からだをシートに預けて、浅い呼吸を繰り返した。
ずっしりとした体重が彼の背中にかかり、締め切った車内の湿度と温度は季節に不釣合いなものだった。
「…べたべた」
5718:2006/08/04(金) 00:03:10 ID:CR0bl3oW
スラックスを汚し、シートを汚したそれは、不愉快な匂いとともに彼に渋面を作らせた。
「…このままじゃ、家、帰れないだろ…」
妻がいる家に、これで帰るのだろうか?無理だ、と彼は思った。
「じゃ、ホテル行こうか」
「え?」
あまりに簡単に提案されて、彼ははじめ呆気にとられた。
しかし、徐々にその真意を知り、後輩を殺さんばかりににらみつけた。
「……お前、最初からこのつもりだったんだろ、だからゴム用意してなかったんだろ、ローションは用意してた
くせに!」
「レッツゴー」
さっさとスラックスのジッパーをあげて、運転席に戻ってエンジンをかけた。
がくんと乱暴に発進して、彼は慌ててシートを起こして身だしなみを最低限整える。
時刻はとっくに日付を超えている。
泣きたいやら怒りたいやら、ぐちゃぐちゃの感情のまま、それでも自身の身の安全のために運転手に掴みかかる
わけにもいかず、彼は涙目で隣の席の男に怒鳴った。
「この馬鹿、馬鹿口!もう絶対会わないからなっ!!」
「イヤン、怒んないでセンパイ。でも怒った顔も、可愛い」
「ふざけんな、降ろせ、降ろせーっ!!」
一台の車から、怒声が響き渡った。
572風と木の名無しさん:2006/08/04(金) 00:05:06 ID:z2snK321
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ エロ割愛しなかったよ!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

ってゆーか長くてゴメンね・・・
573風と木の名無しさん:2006/08/04(金) 04:04:57 ID:duCZT2xs
元ネタ知らんが禿げ萌えた。ありがとう。
574風と木の名無しさん:2006/08/04(金) 04:30:34 ID:qxXT7WQ1
>>563
前回に引き続き萌えさせて頂きましたwwGJ!!
575風と木の名無しさん:2006/08/04(金) 11:07:25 ID:IU+stttL
>>563
2323萌えた!!GJ!!
馬鹿口ワロスw先輩カワイス
576極×黒:2006/08/04(金) 18:04:35 ID:uoQDgmTX
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

>554続き
577極×黒12:2006/08/04(金) 18:05:43 ID:uoQDgmTX
「まだまだ、これからだよ」
極/東/マネージャーは黒サキの腹の上にローションを垂らした。
火照った身体に冷たいローションが心地良い。しかしすぐに体温で温くなっていく。
脇腹の方に流れていく粘性のあるローションは、這いずり回る虫のように黒サキの身体を刺激していく。
「……くぅっ!」
極/東/マネージャーはローションを下の方まで塗り広げるように愛撫した。
「……はっ……んんっ……はぁっ……」
噛みしめた唇の間から喘ぎが逃げていく。
ローションに濡れた手で陰茎を握られた途端、黒サキの身体が反り返った。
「あうっ!」
白濁が自分の腹を濡らした。
射精しても黒サキ自身は力を失わない。
極/東/マネージャーの繊細な指は鈴口を刺激し、自身に絡みつく。
ほんの少し身じろいだだけで痺れるような愉悦が背筋を駆け上がった。
極/東/マネージャーは後ろに手を伸ばし、後孔に指を入れた。
「んんっ!……っ……う……」
中で蠢く指は黒サキを狂わせる。
剥き出しの神経を直接嬲られ、全て快感に変換されていくようだった。
汗も、張り付く髪も、自分の吐く息さえも、何もかもが気持ちいい。
身体が、暴走を始めた。
「は……っあ……はぁっ……はぁっ」
黒サキは口を開き、酸素と懸命に取り込もうと短い呼吸を繰り返した。
声が、堪えきれなくなっていく。
578極×黒13:2006/08/04(金) 18:06:22 ID:uoQDgmTX
薬物の効果の前には人の意思など全く意味をなさない事は、これまでの経験で身に染みて知っている。
それでも抵抗せずにはいられなかった。
後ろを弄られて、二度精を吐き出したことは覚えている。
いや、三度か。もうそれすらも怪しくなってきている。
黒サキは怒濤のように押し寄せる快感を受け止めることだけで精一杯だった。
「も…う、や……め……っ」
思わず漏らした言葉を、すぐに悔やんだ。
言わなかったことにしたい、聞かなかったことにして欲しい。
けれど、そんな願いは無駄だと思い知らされる。
「止めて欲しい? なら、誓うかい? 私に、絶対服従を」
できはしまい、と確信している口調で嗤う。
「そうすれば、考えてあげないでもない。なんなら、優しくしてあげようか?」
できない。今はまだ。できない。
飼い犬になることと人形になることは違う。
この男に堕ちれば、自分は自分ではなくなってしまう。
黒サキは夢中で首を振った。
「うん、それでこそ君だ」
満足そうに微笑むと、極/東/マネージャーは指を引き抜き、黒サキの足を抱え上げて黒サキを貫いた。
「あああっ!」
挿入された刺激だけで達してしまった。
579極×黒14:2006/08/04(金) 18:07:06 ID:uoQDgmTX
極/東/マネージャーに中を抉られ掻き回されて、身体の芯がとろけそうになる。
黒サキのその部分は勝手に極/東/マネージャーを歓喜をもって迎え入れ、名残惜しそうに締め付ける。
薬によって増幅された快感が黒サキの矜持を喰い荒らしていった。
「……っは……ああっ……あっ、あっ……んんっ、あ……」
肉と肉が擦れる度にグチャグチャと響く淫靡な音や、自分の淫らなよがり声が耳を打つ。それすらも刺激になって官能を昂ぶらせていくのだった。
「可愛い顔をするんだね」
極/東/マネージャーは黒サキの顎を掴んで唇を重ねた。口内を舌で嬲られる。
「んっ……んんっ……ふ……」
無意識のうちに黒サキは舌を絡めていた。
「君はリ千ャードとしたの?」
唇を離した極/東/マネージャーが訊いた。
黒サキは首を振った。つもりだった。が、僅かに首を横に向ける動きしかできない。
それでも否定の意をくみ取ったのか極/東/マネージャーは「へえ」と言うように片方の眉を少し上げた。
「随分と臆病なことだ」
ククッと喉の奥で嗤う。
「考えたこともなかったのかな? 抱きたいとか……。それとも抱かれたかった?」
自分は内/海をどうしたかったのだろう。
抱きたかったのか。自分の下に組み敷いて喘がせたかったのか。
自分の手であのポーカーフェイスにも似た笑顔を歪ませて、そして泣かせて……?
それとも抱かれたかったのだろうか?
今、自分を責め立てている男ではなく内/海にそうされたかったのか?
580極×黒15:2006/08/04(金) 18:07:39 ID:uoQDgmTX
内/海はどのように自分を扱うのだろうか? この男のように? それとも全く違うのか。
内/海の手は、唇は……。内/海はどんな声を上げるのだろうか。
内/海は、内/海は、内/海は……。
違う男に貫かれながら内/海の事ばかりを考える。
「う……っ、アアッ……」
「何を考えてる? 黒サキクン?」
不意に極/東/マネージャーが耳元で囁いた。
わざと内/海のあの口調を真似るように。
全く似てなどいない。声も違う。なのに……。
「黒サキクン?」
(止めて……くれ。その、呼び方……)
極/東/マネージャーの顔が内/海の顔にすり替わる。
(違う……!違う、違う……!)
何が違うのか、わからないままに黒サキは否定し続ける。
極/東/マネージャーの手の繊細な動きと、優しげな囁く声。残酷な笑い。
幻覚を見せる効果もあるのか。何度うち消しても内/海が浮かんでくる。
二人に犯されている様な錯覚さえ起こして、気が、狂いそうだった。
薬の所為にして逃げてしまえば、楽になれるのだろうか……?
楽になりたい。
そう考える一方で、逃げるなと叫ぶ自分がいる。逃げたら終わりだと。
しかし、そんな葛藤も過ぎた快感に押し流されて泡のように消えていった。
身体は熱く溶けてなくなり、貪欲に快楽を貪るだけの肉塊になってしまったようだ。
意識が端から屈辱の快感に塗りつぶされていく。
もう、何もわからなくなった。

581極×黒16:2006/08/04(金) 18:09:35 ID:uoQDgmTX
正気を取り戻した時、極/東/マネージャーは既に身なりを整えて、黒サキに背を向けていた。
後ろの指錠は既に外されている。
黒サキは身体を起こそうとして、失敗した。
「まだ無理だよ」
極/東/マネージャーは少し笑う。
黒サキは諦めて、ベッドに転がった。裸を見られることなど今更だ。
シーツが汚れていたがそれも気にしないことにした。どうせ汗と精液で全身ぐちゃぐちゃに汚れたままだ。
「思ったよりも持続力は短かったね。この辺りはまだまだ改良の余地ありかな」
(薬の試験も兼ねていたわけか。さすがにソツがない……)
黒サキは苦々しくため息を吐いた。極/東/マネージャーならその程度のことはやりそうだ。
「どの辺りまで覚えている?」
「どの辺りって……」
「君が腰を使いながら『もっと、もっと』ってせがんだ事とか」
「……」
返す言葉が見つからない。
「君がリ千ャードの名を呼びながらイッたとか。ホントに覚えてない?」
「……カンベンしてください……」
自分が覚えていない以上真実かどうかは五分と五分だが、改めて言われるといたたまれない。
「じゃあ、私に服従を誓ったことも覚えていないのかな?」
「まさか!」
黒サキは半分身を起こし、反射的に叫んだ。
582極×黒17:2006/08/04(金) 18:10:40 ID:uoQDgmTX
霞のかかる記憶の向こうでぼんやりと覚えている。絶対服従を誓うか?と聞かれたことを。それに対して自分は拒否したはずだ。
「ぼくは確か……!」
狼狽えて、思わず発した一人称が普段同僚達と話す時のそれに代わっている事にすら気付かなかった。
「確かにね。一度は拒否したよ。でも、その後で君は私に助けと赦しを求めてきた。何でもするからってね」
「そんな、バカな……」
こればかりは信じられない。
それにしても、さっきから極/東/マネージャーは自分に背を向けて何をしているのか。
「信じられないのも無理はない。だけど、君は私のモノだ」
極/東/マネージャーが振り返り、何をしていたのかが判った。
手にしたナイフ。黒サキはそのナイフをよく知っていた。
鞘と柄に細かな細工の入った特注品。鞘を持ち、その柄の底をライターの火で炙っている。
火で炙っているのはそこに付いた紋章。焼き印に使う。
「まさか……」
自分の所有物に極/東/マネージャーが火で刻印をする。その時に使うのはこのナイフだ。
見たことがある。
泣き叫び赦しを請う少年の胸に極/東/マネージャーは薄笑いを浮かべながらナイフを押しつけていた。その後の少年の運命も黒サキは知っていた。
そのナイフを手に、今は自分に向かってくるのだ。
黒サキは背筋に冷たいものが走り、思わず後ずさった。
「じょう……だん……」
583極×黒18:2006/08/04(金) 18:11:57 ID:uoQDgmTX
抗おうとするが身体に力が入らない。極/東/マネージャーにあっさりと押さえつけられてしまう。
胸かと思っていたらそれ以上にとんでもない所だった。
「大人しくできないなら人を呼ぶよ」
極/東/マネージャーは黒サキの足を広げさせると、左足の付け根にナイフを近づけた。
「ちょ……っと、待……ってくださ……アアッ! くぅっ……!」
ナイフの柄を押し当てられると同時に身体が跳ね上がり、反り返って強ばる。
じりじりとという音と皮膚の焼ける匂いが漂ってくる。
消えない刻印を黒サキの身体に付けて極/東/マネージャーが身を起こしても、黒サキは肩で息をしながらぐったりと身を投げ出したままだった。
(嘘、だろう……?)
極/東/マネージャーは動けずにいる黒サキを一瞥すると、ベッドサイドのテーブルにナイフを置いて
部屋を出ていこうとドアに向かう。
「船を降りて君が何をするのも自由だけど、詐欺師だけはやめておいた方がいいね。君には向かない」
ドアに手をかけて、思い返したように振り返った。
「ああ、それからさっき言った事は全部冗談だよ」
「さっき……?」
584極×黒19:2006/08/04(金) 18:13:25 ID:uoQDgmTX
「君は何も言わなかった。よがったのは本当だけどね。君の精神力には本当に感心するね、
最後まで無駄な抵抗をし続けていたよ」
入ってきた時と同じ足取りで極/東/マネージャーは出ていった。
ドアが閉まると黒サキは一気に脱力した。
が、いつまでもじっとしてもいられない。先ずしなくてはならないことがある。
黒サキはのろのろと身を起こし、極/東/マネージャーの残していったナイフを手にした。
極/東/マネージャーの刻印など冗談ではない。こんな場所にあるのなら尚更だ。
肩や、胸にあるのとは訳が違う。
こんな物、えぐり取ってやる。皮膚を削ぎ、焼いて血止めすれば他の傷に紛れて判らなくなる。
刻印がなくなったからと言って極/東/マネージャーの手から逃れられるとは思わない。
しかし、自分の身体に付いていると思うだけで一分一秒でも我慢ならなかった。
足を開き、未だジクジクと痛み続ける火傷の痕に鞘から抜いたナイフを突き立てようとして、
気が付いた。
「……え?」
違う。ただの丸い火傷の痕だ。
黒サキは思わず自分が手にしているナイフを見た。
これは極/東/マネージャーが使っているナイフに似せてあるが違う物だった。
職人芸の細かな彫刻が施されたあのナイフに比べれば造りが全くお粗末だ。
何よりも柄にはあの紋章が付いていない。
そもそもあの極/東/マネージャーが自分のナイフをこんな所に置いていくわけなどないではないか。
585極×黒20:2006/08/04(金) 18:14:32 ID:uoQDgmTX
「は……ははっ……」
力の抜けた乾いた笑いが口をついて出た。
自分は極/東/マネージャー言葉を真に受けて滑稽なほど焦り、必死に拒んだ。
極/東/マネージャーはさぞかし満足して行ったのだろう。
まんまと騙され、乗せられた自分に腹が立つ。
『君は詐欺師には向かない』
極/東/マネージャーの声が甦ってくる。
「くそっ!」
怒りにまかせて投げつけたナイフは正面の壁に深々と突き刺さった。
最後の最後まで極/東/マネージャーにはしてやられた。
それは、ひとえに自分の脇の甘さ故だ。
早く浮上しなくては。
弱肉強食の世界。
弱った奴は弱ったところから食われていく。助けてやろうなどと言う優しさは罠でしかない。
弱みを見せれば、際限なく食い散らかされて骨も残らない。
食われたくなければ牙を剥き、爪を研げ。
黒サキはふらつく足を叱咤してシャワールームに向かった。
586極×黒:2006/08/04(金) 18:17:06 ID:uoQDgmTX
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

予定数に入りきらず、長くなってしまいました
改行し忘れがいくつかあって読みにくい所もあり、申し訳ないです
長々と失礼しました
587風と木の名無しさん:2006/08/04(金) 21:20:38 ID:Oa+WTSB+
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  戦国BASARA2発売バンザイ!!
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  今更 兵卒BASARA毛利軍ネタ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 2衣装エロいよネ−
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
588僕→元就様 1:2006/08/04(金) 21:21:40 ID:Oa+WTSB+
僕が小姓として元就様のお側近くにお仕えするようになって、半年ばかりが過ぎた。
先の戦で、元就様と僕とのたった二人だけが生き残って帰城した時以来のことだ。
山ひとつ丸ごと爆薬として使い、二万の敵兵を、四分の一の味方で全滅させた、あの戦…

元就様は身の回りに人が大勢いるのを好まれないから
僕はほとんどひとりきりで、元就様のお世話をしている。
とは言っても、元就様は何をなさるにも、
人に言いつけるよりはご自身でなさることの方が多いので
僕の仕事は本当にささやかなお手伝い程度のことばかりだ。
お食事をお部屋までお持ちしたり、お湯殿へお着替えをお持ちしたり。
お食事の時だって、僕が目の前で口取り(毒見)を済ませた後は、
元就様は僕をお部屋から下がらせておしまいになる。元就様は給仕さえ必要となさらない。
お湯殿へ渡られた時だって、
お背中をお流しすることも、お着替えを手伝うことも求められない。
そもそも、側小姓の僕にさえ、
元就様は「半径五尺以内に近づくな」との命を解いては下さらない。
お髪だってご自身で始末をつけてしまわれて、切るのも梳くのも手づからなさる。
ゆるりと伸ばして結い上げれば、さぞ美しかろうと思うのに、
首に掛かる程までに伸びたら、もういかにも鬱陶しげに振り払って、
お部屋に篭って徐に剃刀をお手にあそばしている。
伸びたお髪をばさばさと乱暴に切り払われるので、散髪を終えた元就様の首や頬には
うっすらと赤い傷がついていることもしばしばなのだけれど、
それを労わる言葉を掛け申し上げることさえ、僕たちには許されていないのだった。
589僕→元就様 2:2006/08/04(金) 21:22:40 ID:Oa+WTSB+


元就様はお城では常に、古式ゆかしい直衣をお召しになり、烏帽子を冠っておいでなので
戦場で鎧具足に身を固めておられる時と同様、お顔以外の肌はほとんど見えない。
袴の裾と袖の先からわずかに覗く爪先が目に入ると、僕はえも言われぬ背徳を感じる。
その白い指と薄い爪の形を目に焼き付けながら、
なぜか後ろめたさに元就様のお顔を盗み見てしまうのだ。
元就様は僕の視線にお気づきになると、こちらを見もせずにただ淡々としたお声で
「なんだ」
とお尋ねになる。僕は慌てて平伏して
「何ものうござります」
と震える声で答えるばかりだ。

時には元就様は、薄布でお顔を覆っておしまいになることさえある。
布の端と端を耳から耳へ渡して、頬から下のお顔をお隠しになるのだ。
細い眉と切れ長の目しか見えなくなった元就様のお顔は
作り物めいた美しさが際立っていっそ恐ろしいほどだ。
布越しにかすかに見える唇が動いて、短い言葉で何かを命じられると、
元就様の吐息に揺れる布の動きにうっとりと見蕩れてしまい、
返事が遅れることがしょっちゅうある。
なぜ顔布などお召しになるのか、美しいお顔を僕ら下々に見せるのがお嫌なのだろうか、
などと、初めの頃僕は思っていたのだけれど、
近頃漸く僕は気づいた。
元就様は、お体の具合が優れない時、即ちお顔の色が優れない時に、
顔布をお召しになるのだということに。
590僕→元就様 3:2006/08/04(金) 21:23:39 ID:Oa+WTSB+
お城のことも国のことも戦のことも、誰の手も借りずにたった独りで取り仕切る元就様は
朝から晩までお部屋に籠り、何くれとお働き遊ばすことに暇がない。
朝は日の出より早くご起床されて払暁の日輪に手を合わせられ、
夜になってもお仕事の手は休まらず、東の空が白む頃まで
お部屋に灯りが灯っていることもしばしばだ。
そんな激務の毎日を、あの細く薄い両肩で負っておいでというだけでお労しいのに、
あまつさえ元就様ときたら、人一倍食が細くていらっしゃる。
お顔の色が優れない日が多くてあたりまえだ。
僕はそんな元就様のご様子を、ずっとずっと、ただ気を揉みながら見守っていたのだけれど
このたびついに、ご意見申し上げる決心がついた。
元就様のやりように楯突けば、どんな恐ろしい罰が下されるか知らない訳ではないけれど、
この命はそもそも、あの日、あまたの仲間たちと共に散っていたはずの命なのだ。
そう思えば、いまさら元就様に切り捨てられることになったとして、何の惜しいこともない。

ある朝、僕は元就様が朝餉を召し上がっていらっしゃるお部屋前の廊下に控えながら
さすがに緊張していた。
やがて、膳を下げよと元就様の声が聞こえて、僕は大きく一度深呼吸してから
傍らに用意しておいた土瓶と椀を捧げ持ってお部屋へ入った。
今日も顔布をお召しになった元就様はわずかに眉を顰め、首を傾げておられる。
背筋にじっとりと汗が流れるのを感じながら、僕は元就様の前からお膳を下げ、
代わりに土瓶を進めた。
「おそれながら」
元就様の前に平伏して、ごくりと唾を飲み込んだ。
「この煎じ薬は、一日に朝晩の二度ずつ服しますと血の道が開き、
 臓腑が暖まり、身体髪膚悉く溌溂と致します。
 わが祖父は四十の頃よりこの薬を飲み続け米寿を迎えるまでの長命を得ましたし、
 また、わが嫂は産後の肥立ちが悪く床から起き上がることままならずにいた折、
 この薬を飲んでより忽ちに快復し、乳の出も良くなりました。
 差し出たこととは存知まするが、元就様のますますのご健康の為に、どうぞこのお薬を…」
591僕→元就様 4:2006/08/04(金) 21:24:30 ID:Oa+WTSB+
ここまで一息に言ったら、あとは喉が詰まり舌が絡まって、何も言えなくなってしまった。
元就様のお体のことを思う僕の気持ちに偽りはないのだけれど
わざわざ布でお顔を隠してまで、体調の優れないのを隠そうとしていらした元就様は
出すぎたこととお怒りになるかもしれない。
覚悟を決めていたとはいえ、僕は冷や汗が流れるのを止めることができなかった。
長いのか短いのか判らない沈黙の時間を、
うまく動かない喉を必死に動かして唾を飲み込みつつ僕は耐えた。
「…我は乳など出ぬ」
「は?」
不意に元就様の声が聞こえ、僕は思わず顔を上げた。
元就様が小さくお顔を動かしたので、顔布がふわりと揺れた。
一瞬遅れて僕は、元就様が顎の動きで、僕に薬を試せとお命じになったのだと気がついた。
僕は急いで土瓶から薬を、ちょうど一口分だけお椀に注ぎ、
元就様に喉仏の動きをお見せるするようにして飲み込んだ。
空になったお椀を膳に戻して再び畏まった僕の顎を、元就様が閉じた扇で上げさせなさる。
元就様の切れ長の目が、僕の顔をじっとご覧になっている。
今飲んだ薬が僕の体に及ぼす効果を見極めようとしていらっしゃるのだ。
薬の為ではなく、僕は顔がかあっと赤くなるのを感じたけれど、顔を逸らす訳にはいかない。
592僕→元就様 5:2006/08/04(金) 21:25:31 ID:Oa+WTSB+
やがて元就様は、膳からお椀を取り上げて、僕に向かってずいと差し出された。
お薬を注げとお命じなのだ。
僕は手の震えるのを無理に抑え付け、土瓶からまだ湯気の立つ煎じ薬を注ぐ。
元就様は両手で口元までお椀を運ぶと、顔布を方端だけお外しになってから、
優雅な所作でお椀に口をお付けなされた。
とても苦いお薬なのだけれど、元就様は眉ひとつ動かさずにお飲みになった。
空になったお椀を膳へお戻しなされた元就様が、再び布で顔を覆っておしまいになるのを
僕は少し勿体無いような思いで、けれどうっとり見守った。
元就様が音もなく立ち上がった。お部屋を出て行かれるのだ。
僕は元就様の前から膳を退け、平伏する。
「朝晩二度、か」
頭の上から、元就様の声が降ってきた。
「は、はい。左様にござりまする」
平伏したまま僕は答える。
「ならば今晩も、持て」
元就様の声。そして、お部屋を出て行かれる気配。
元就様の足の爪先を目で追いながら
「ははぁッ」
僕は感激に身を震わせて、床に額を擦り付けた。

593風と木の名無しさん:2006/08/04(金) 21:26:32 ID:Oa+WTSB+
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヤマナシオチナシイミナシ!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
594風と木の名無しさん:2006/08/04(金) 22:30:56 ID:aTJTLjoo
>586
待ってた甲斐がありました。
ごちそうさまでした!
595風と木の名無しさん:2006/08/05(土) 01:16:38 ID:nuvl8jq/
亀だが>480
最初元ネタ知らなくてオカ板まで探しに行っちまったい。
したら禿萌えたよ姐さん…いい萌えをマリガトン(*´д`)
596風と木の名無しさん:2006/08/05(土) 02:09:35 ID:pnV+iEHT
師匠はいいよね
597風と木の名無しさん:2006/08/05(土) 02:10:44 ID:C9XHSZKL
師/匠シリーズの話があることに今頃気付いた。
こんなところで読めるとは・・・
ありがとう>>480>>595
598風と木の名無しさん:2006/08/05(土) 03:24:20 ID:hmgr5PWS
>587
GJ以外に言葉が見つからない!
ツンツンオクラの氷の面を小姓がどれだけ解かせるか、
応援したくなったよ
いいもの読ませてくれてありがとう!
599557:2006/08/05(土) 14:25:49 ID:/Nb+a0QA
>>586
全裸で待ってた甲斐がありました
姐さんアリガトン
黒サキかわいいよ黒サキ
600風と木の名無しさん:2006/08/05(土) 16:22:36 ID:RogqUiKN
>563
遅レスですがゴチです
美肌のセンパイかわいいよセンパイ
601風と木の名無しさん:2006/08/06(日) 00:26:47 ID:010GZMJP
>>587
GJ!
「僕」には是非がんばって欲しい!
602風と木の名無しさん:2006/08/06(日) 01:41:16 ID:PzZ6PRAk
>>587
怜悧で美しいオクラ様ktkr
ちょっとフェチっぽいのがまた…
603風と木の名無しさん:2006/08/07(月) 00:40:06 ID:AJRSWBZF
>>587
姐さんGJ
元ネタ読んでツルハゲだよ・・・
604風と木の名無しさん:2006/08/08(火) 01:43:58 ID:VDXWV+Wy
605風と木の名無しさん:2006/08/08(火) 14:50:39 ID:V/vK5Pts
>>563
ヘンセイ本武長しく燃えあがりました。
もう先輩を正視できません!
606風と木の名無しさん:2006/08/08(火) 22:34:20 ID:7rQ4kV5J
AAずれてたらごめんなさい
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  nhkにようこその佐藤←山崎です。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  山崎片思い(?)
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

607風と木の名無しさん:2006/08/08(火) 22:34:50 ID:7rQ4kV5J



先輩は凄い人だ

そう思っていたけど、最近偶然で運命的な再開を果たしたとき本当のことに気づいた。

佐藤さんは……ダメ人間だった。それも、とんでもなく。
スキルは?といえば、「一年間誰と会わなくても生きていける」とかいうし。それはスキルじゃないっつーの!
かってに人の家の食料は減らすし、人のビデオは壊すし(しかもまだ弁償はしてくれない)、あ、あとロリコンだし!
何があったんだて位に変になった気がする。なんなんだ、ほんと。


でも、僕も最近変だ。
あんなに変な佐藤さんのことを考えるとなぜか胸がドキドキする。
薬の副作用か?でもそんなのは聞いてないぞ。
あ。最近カップラーメンばっかだったから塩分過多で高血圧で動脈収縮か? うーん…それは…ない。と思いたい。
じゃあ…萌えか?なんだか違うような気がする
試しにとっておきのフォルダの中に収納してある虹ロリ画像を開いてみる。


いつもと同じだけど何かが違う。なんなんだ、これ?

608風と木の名無しさん:2006/08/08(火) 22:36:32 ID:7rQ4kV5J


恋か?



はっとした。
そんなわけない。
でも、何でだろうさっきよりもっともっと心臓がきりきり痛む。病気じゃないか?僕は。



「だいじょぶか?さっきからなんかうなってるけど。」
急に視界が変わった。自分の見ていたはずのパソコンに映るエロかわいいおんなのこ(の画像)にむさ苦しい男の顔がかぶる。
いつもだったらウザイとしか思わないはずなのに今日は心臓のドキドキが痛い、いだい!
609風と木の名無しさん:2006/08/08(火) 22:38:54 ID:7rQ4kV5J

「おーーーーーーーい!!!!」

あー!うるせーな、さっきから!
もお、こうなったらヤケだ!勢いだ!やってまえ!
「佐藤さん!僕、もしかしたら…」

がつっがたたっ


…勢いがよすぎた。勢いをつけ立ち上がろうとした自分はよろけて目の前にいる…佐藤さんとパソコンにダイブしてしまった。
恥ずかしさと気まずさでなんとか立ち上がった僕はもうだめだった。

自分が何を言おうとしていたのかということと、目の前にたおれているダメ人間をみくらべて目頭が熱くなるのを感じた。


もう、そこにいることがいたたまれなくなって僕はかけだした。



行き先はないけど、そのままいるほうがよっぽど苦しかったからだ。
610風と木の名無しさん:2006/08/08(火) 22:40:17 ID:7rQ4kV5J

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ランブンノウエミジカクテスイマセン
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


611風と木の名無しさん:2006/08/09(水) 17:57:06 ID:trwM2c1X
なんか過疎ってますね…
612風と木の名無しさん:2006/08/09(水) 21:18:33 ID:xuRcGBK+
ハラシマを抱えてる姐さんがいるのかもしれないよ。
また何か投下されるのをワクテカして待とう。
613風と木の名無しさん:2006/08/09(水) 22:23:02 ID:trwM2c1X
はらしま?
614風と木の名無しさん:2006/08/09(水) 22:34:42 ID:ZlYZ/+RX
原稿=げんこう=はらしま
時々、用語辞典的なものを見直すのも楽しいよ。
615風と木の名無しさん:2006/08/09(水) 22:39:22 ID:0TVZEqVs
ハラシマってそういうことだったのか。
この四年間ずっと疑問だった。
スレ違いだがありがとう。
616風と木の名無しさん:2006/08/09(水) 22:59:50 ID:trwM2c1X
>>614
なるほどー見たつもりでいたけど知らなかった…でなおしてきます
617風と木の名無しさん:2006/08/11(金) 22:21:52 ID:cPJuZ7D7
人の少ない夜に乱立来ましたね。保守しておきます。
618風と木の名無しさん:2006/08/11(金) 22:46:35 ID:CCMbatyS
保守がてらharashimaxってもう忘れられた存在なのかと呟いてみる。
619風と木の名無しさん:2006/08/11(金) 22:57:15 ID:JyI31zxB
懐かしいな!>harashimax
なんか結局どんなシステムやねんって感じだったけど、面白かった。
公式風サイトを作ってくれた人が確かいたよね。
620風と木の名無しさん:2006/08/11(金) 23:51:08 ID:Xljs/xKp

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  悪魔泣3の弟×兄
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  保守てがら
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |


そもそも避難所があるジャンルなのですが、
あんまりにも中途半端な出来なので、棚に投下します。

ちなみに本当は兄×弟にしたかったのだが、弟×兄なシーンで終わってる。
621ストロベリーサンデーには劣る1:2006/08/11(金) 23:52:11 ID:Xljs/xKp
ダソテはこの町の便利屋である。
便利屋と言うのは表向きの職業であって実際には悪魔を退治するのを生業としている。
つややかな銀髪を持ち、季節に関わりなくいつも赤いコートを着用していた。
根は善良で極めて優秀な狩人であったが、軽薄で思慮の浅い人間であった。
例えば物が山のように積み上がっていて取りたい物が下にある時、上から順に取ろうとせず、下から無理やり引っ張り出そうとしてその山を倒壊させてしまう事がままあった。
ダソテが愛するものはストロベリーサンデーとピザで、とりわけストロベリーサンデーを愛好していた。
どんなに腹立たしい事があろうとも、どんなに疲弊しようとも、ストロベリーサンデーを食べるだけでダソテは憂さを全て忘れて幸福になれるのだった。

 ダソテには兄が一人いる。
ダソテとは違い、取りたいものは上から順に取る男だ。いや、そもそも物を積みあがらせない性質の男だった。
この男は労働というものは平民が行うものだと軽蔑していたので、ダソテのように働く事をせず、毎日ひたすら修行ばかりしていた。
弟同様つややかな銀髪を持っていたが弟のように垂らす事はせず、後ろに向ってあげていた。
そのうち後ろに向わぬ短い髪は前に垂れていた。
彼は常に青いコートを着用していた。
常に苦虫を噛み潰したような顔をしていて、彼は弟を気に入らなかった。
第一に、弟の反抗的な態度が気に入らなかった。
バーヅルは常に弟を「貴様」と呼んでいた。
これはすなわちバーヅルがダソテを見下している事の現れである。
一方弟は彼を「あんた」と呼んでいた。
これは表現は無礼ながらも一応兄を目上の者として扱っている事の現れである。
622ストロベリーサンデーには劣る2:2006/08/11(金) 23:53:17 ID:Xljs/xKp
 さてダソテというのは好奇心の強い男である。
そして大変気まぐれで飽きやすい。
色々な事に興味を持つがすぐに興味を失う。
そしてそのような彼が興味を持ったのがセックスであった。
ダソテというのは18歳の若い男であるからしてむしろ今まで興味を持たなかった方が不自然であったが、ダソテはセックスと言うものをしてみたいと思った。
そして思いついたらすぐに実行せねば気がすまないのがダソテである。
今すぐにでもしてみたいと思ったが、あいにく彼には恋人がいなかった。
そこでダソテはバーヅルでやってみようと思った。
そこで彼は家に帰るとバーヅルを不意打ちして気絶させた。
ダソテと違いバーヅルは喧嘩慣れしてないので不意を襲うのは容易である。
そして服を脱がせて寝台に縛り付けた。
そしてダソテ自身も服を脱いでしようと思ったがダソテはやり方と言うものを知らないので暫く考え込んだ。
そのうち「まぁ突っ込めばいいんだろ」という結論に達した。
そしてしようと思ってバーヅルの体に触った時にバーヅルが眼を覚ました。
裸でベッドに縛り付けられている自分と自分の上に裸でかがみこんでいるダソテという状態を一瞬認識できなかったようで最初は視点がぼんやりしていた。
「何をしている」
「セックス」
「お前は実の兄を犯そうとするのか」
「別にいいだろ」
623ストロベリーサンデーには劣る3:2006/08/11(金) 23:53:50 ID:Xljs/xKp
それを聞いてバーヅルは自由の利かぬ体で身動きしたがダソテはかまわずバーヅルの体を乱暴に掴むと突っ込んだ。

その時のバーヅルの心情というのは筆舌に尽くしがたい。
まず第一に苦痛である。
ダソテというのは童貞であったし、「突っ込めば相手だって気持ちいいんだろ」という大変に誤った観念に基づいての行為であったため、バーヅルは全く気持ちがよくなかった。
ひたすら苦痛である。
そんなバーヅルをダソテは気持ちいいのと不可思議さが入り混じったような表情で見ていた。
「なんでバーヅルは痛がってるんだろう?」という顔をしていた。
ダソテは愚かだ―バーヅルは改めて認識した。第二に屈辱的である。
一体何故実の弟、しかも反抗的で大変愚かな、に兄が犯されなければならないのだろう?
624風と木の名無しさん:2006/08/11(金) 23:55:46 ID:Xljs/xKp

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  悪いここで終わり。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  中途半端。
 | |                | |            \
 | | □ STOP.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |


一応この後

押し倒されたバーヅルがキレてダソテを押し倒す
→意外と気持ちイイ
→「気持ちよければなんでもいーや」主義のダソテと一度ハマるととことんハマるオタ気質のバーヅル、セクロスにハマる。ハマる。超ハマる
→しかし最近セクロスばかりしていて剣の腕が落ちた事に気付き、「こんな事ばかりしていてはスパー夕"のようになれない。
あの愚弟は俺を強さの道から遠ざける悪魔だ」とダソテを殴り倒して家を出るバーヅル
→一年後、塔建設。

程度の話を考えていたが断念した。スマソ。
625風と木の名無しさん:2006/08/12(土) 02:12:38 ID:s73DmCOy
文体に惚れた。GJ
626風と木の名無しさん:2006/08/12(土) 04:25:29 ID:ZtIHyjJa
保守てがら…
627風と木の名無しさん:2006/08/12(土) 08:47:10 ID:y45hn4oA
>>620
元ネタ知らんが、異様に読みやすくて楽しかった。
628風と木の名無しさん:2006/08/12(土) 09:17:53 ID:RwPd1vJ+
あのかっこよさげなゲームってそんな話だったんか!
内容全然知らなかったよ。
629風と木の名無しさん:2006/08/12(土) 18:39:29 ID:0D5S8ehs
>628
いや、正確には3は兄貴が塔を建てたところから始まってる。
んで設定として「一年前兄弟対決して兄貴が勝って〜」というのがあって、
それ以外はよく設定されていない。それ以前に弟と兄貴が同居してたのかどうかも不明ではある。
でも確かに話の核はイイヤツだけど軽薄な弟と真面目でサドっぽい兄貴なので間違ってはいない(?)
630FCゲーム神戸連続殺人1/3:2006/08/12(土) 19:44:28 ID:kItgmbXJ
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

なぜ俺は気付かなかった?


誰よりもそばにいた。それこそ四六時中だ。時々見せる翳りのある表情に、
なにか言いかけて飲み込むその言葉に、人に触られるのを異常に嫌がるその体に、
なぜ気付かなかった。
こんな事件を起こさせてしまったのは俺のせいでもあるんじゃないか。
解決したことを喜べるわけがない。俺が事の真相に気付いていれば、
事件そのものもこの世に存在しなかったものなのかもしれない。
気付くのが遅すぎた。止められなかった。

取調室。目の前には殺人犯。日常茶飯事だ。
けれど、今俺の前で上半身裸の殺人犯をまっすぐ見るには俺には出来なかった。
「服を着ろよ」
そっけなく言って、俺は煙草に火をつけた。
手が震えているのに気付かれなければいいと思う。
「わかってます」
なぜ、お前の方が落ち着いているのだ。
まるで、俺に捕まるのがわかっていたとでも言うように。
「……ねえ?」
「なんだ」
「あなたのせいじゃないですよ」
俺は煙草を取り落としそうになった。
「僕が、勝手にやったことです。あなたが自分を責めることはない」
「……なぁに、生意気いってやがんだ、手前は」
見透かされている。一回り以上も年の離れた部下に。
こいつが俺の部下になってから、こんなことは初めてだ。俺は内心驚いた。
「生意気?言わせてもらいますよ。もう、あなたの部下じゃないんですからね」
目の前の男から無邪気な雰囲気が消えていた。俺をあざ笑うかのような表情だ。
631FCゲーム神戸連続殺人2/3:2006/08/12(土) 19:45:59 ID:kItgmbXJ
「本当に大変でしたよ。あなたの始末書書かされるわ、朝まで飲みに
連れまわされるわ、仕事中にストリップ見に行くわ、
喫茶店壊そうとして出入り禁止にされるわ
……あなたから離れられてせいせいしますよ」
こいつ。
「だから、あなたが僕を心配しようとか、正直気持ち悪いんですよね。
やめてもらえます?さっさと捕まえてくださいよ」
嘘がへたくそすぎだ。見透かすのは本来俺の特技だって知っているくせに。
「……ああ。捕まえる」
俺は男の体を抱き寄せた。男は体を固くした。
「まだ、お前は俺の部下だ。まだ逮捕してない」
「だから! さっさとしてください!」
「俺は、お前を救えなかったよ。何が警察だ。何が上司だ。
馬鹿だな、そんなことも見抜けないでいい気になってたよ」
「だから、あなたのせいじゃ……」
「独り言だ」
男は黙った。
「これは犯人にじゃなくて、俺の部下にでもなくて、
一人の男に言わせてもらうけどな」
男は息を呑んだ。
「俺は、ずっと、お前に惚れてたんだよ」
男は小さく答えた。
「気持ち悪いんですよ……」
「独り言だっつってんだろ」
632FCゲーム神戸連続殺人3/3:2006/08/12(土) 19:48:49 ID:kItgmbXJ
男はため息をついて、先ほどより一段と小さく言った。
「……僕はあなたにそんなことを言ってもらう価値のない奴です」
「価値のあるなしは俺が決める」
「……これ以上あなたの重荷になりたくないんですよ」
重荷なんかじゃない、と言い返してやるのは簡単だった。
事実重荷なんかじゃない。明日から俺がマスコミに叩かれようが、
降格されようが構わない。
けれどそれでは彼の思いを踏みにじることになる。
それに止められなかったとはいえ、彼が人を殺したことは事実だ。
だから俺は、言わない。惚れて「る」んだよ、とは言わない。
涙目の彼が俺を見上げた。
どうせ誰にもばれないのだからと、彼の唇や体を奪うことは出来る。
彼が拒まないのも分かる。けれど俺達はまだ警察官だ。
「……僕はあなたのことなんてこれっぽっちも好きじゃないんですからね」
まるで告白のようなその言葉に、俺はわかってる、と言うようにうなずいてみせた。
彼がもう一度言った。
「全然、……好きじゃないです。ずっと、前から、嫌いです。大嫌いです」

声がだんだん震えていく。俺は宥めるように、彼の髪の毛を透き上げた。
髪の毛に、触るだけにとどめた。
それでも初めて彼が体に触らせてくれたと思う自分を、
俺は心底卑しい奴だと思った。


なぜ俺は気付かなかった?


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )未だに萌もえてるヨ!
633620:2006/08/12(土) 21:26:51 ID:0D5S8ehs
×→保守てがら
○→保守がてら

スマソ。
634風と木の名無しさん:2006/08/12(土) 22:50:31 ID:tTMJtTcO
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  元ネタは輝き>>202です
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  かなり脳内変換してますよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ヌルー推奨
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
635外人×俺1/3:2006/08/12(土) 22:51:05 ID:tTMJtTcO
「ガイジンさん、じゃあスペ回ったらここでね」
「ワカリマシタ、マタ後で」
そう言って俺達は目的のスペースへと足を向けた。


俺とガイジンさんが出会ったのは去年の夏コミでのこと。
ガイジンさんはカタログの見方に困ってて、俺はお節介と好奇心で昔囓った英語で話しかけてみたのだ。
ガイジンさんは英語で話しかけられたのが嬉しかったらしく、案内がてら結構話し込んだ。
いい身体してるとは思ったけどガイジンさんは基地在住の海軍兵らしいかった。
海外にもオタクがいて、更に日本のコミケに足を運んでいるという事実は日本のオタクとしては嬉しいものだ。
日米オタク交流とか脳内で理由を付けて俺はガイジンさんとその後も交流を続けた。
やはりオタク同士それなりに気は合う。
俺は日本のオタクスポットを案内して、ガイジンさんはアメリカのオタク事情を教えてくれる。
新しいことの連続でガイジンさんとの交流はとても楽しい。

…ただ一つある問題はガイジンさんが801畑の人だと言うことだ。
636外人×俺2/3:2006/08/12(土) 22:51:57 ID:tTMJtTcO
人混みを抜けてガイジンさんがこっちにやってくる。
下げた鞄はパンパンで、戦果が上々だったことを示していた。
「今日も沢山買ったなぁ」
「ハイ、ネ申サークルで買えて満足デス」
「…随分馴染んだよな」
「俺サンのお陰デス」
談笑しながら会場を出る。
話題はオタク話一辺倒だったがまわりもオタクなので当然気にしない。

「そういえばガイジンさんさぁ、何でエロパロじゃなくて801なの?」
常々疑問に思っていたことを聞いてみる。
メリケンの人はもっと健全エロが好きだと思っていたので。
「カワイイ女の子も萌え〜デスガ、カワイイ男の子はもっと萌え〜デス。801はとてもファンタスティック!」
「ファンタジーもののエロじゃ駄目なのか…?」
よくわからない俺にガイジンさんがチチチ、と人差し指を左右に振る。
「女性が描いているのがキモなのデス。男が描くとヤパリ違いマース」
「そういうものかぁ?」
「俺サンも読んでみるとイイデス。沢山貸しマスヨ」
「…遠慮しとく」
ゲンナリした俺をガイジンさんが不思議そうに見ている。
どうもオタク腐女子間の溝を理解しきれないらしい。
637外人×俺3/3:2006/08/12(土) 22:52:38 ID:tTMJtTcO
「俺サン、ほっそりしてて801漫画に居そうなのに」
は?
ガリキモオタの俺に対して何と?
「とってもキャシャでキュートデスヨ。受けみたいデス」
キモオタが受けなジャンルがあるのか?
そんな馬鹿な。
しかし腐女子なら或いは…。
い、いや、問題はソコじゃない、俺が受けってどういうことだ!!
「どうしましたカ?俺サン」
「…ガイジンさんって、ホモ?」
「Oh?違いマス」
「だったら良いんだ、安心した…」
「デモ俺サンはキュートだと思いマス。ホントデスヨ」
…俺、ガイジンさんとの付き合い見直した方が良いのかな…。
638風と木の名無しさん:2006/08/12(土) 22:53:10 ID:tTMJtTcO
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ イキオイデカイタガショウジキスマンカッタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
639風と木の名無しさん:2006/08/12(土) 23:33:11 ID:gAywy2eN
ご、ごちそうさまごちそうさま(;゚∀゚)=3
640風と木の名無しさん:2006/08/12(土) 23:58:08 ID:fKw6D8xO
元ネタ知らないが面白かったよ
今から読んでくる!
641風と木の名無しさん:2006/08/13(日) 16:04:32 ID:JRJDhVBa0
>>630-632
(*´Д`)GJ!!!
いまだにクリアしてないんだが萌えた!
642風と木の名無しさん:2006/08/13(日) 18:35:34 ID:SQ5P9Ry/0
>630
GJ!懐かしいなと思いながら読んで、めちゃめちゃ萌えた!
切ない愛テラモエス
643風と木の名無しさん:2006/08/13(日) 23:15:05 ID:JN3SNT6C0
>>634
ほのぼの萌えたw
ガイジンさんのズレ具合がGo(・∀・)od!
644風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 00:10:23 ID:pIZtGuNI0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  戦/国/B/A/S/A/R/A、奥州筆頭×893
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 萌えの勢い余っちゃったらしいよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) オトメヤクザケイホウー
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

893の口調とか性格とか色々、捏造くさい。
というより乙女化してるんで、苦手な人はスルーよろ。
645筆頭×893・1:2006/08/14(月) 00:12:41 ID:pIZtGuNI0
「政/宗様、茶が入りました」

筆頭の右腕、右目である小/十郎がわざわざ茶を入れてくるなど。そんなもの、小姓にさせればいいものを。
と思いながらも一度だって口にしたことがないのは、政/宗が小姓なんかの入れた茶よりも小/十郎が入れた茶
の方が何百倍も、何千倍も好きだからに他ならない。
小/十郎は外見こそ多少強面で、まぁ性質も多少ならず者じみていると言えなくはないが、本質は穏やかで静か
で、良い意味で女性的だ。
茶を入れるのが巧いという程度だけでなく、彼の育てる菜園の野菜が伊/達軍の食卓を支えていたりもする。

「Thank you,小/十郎。お前も一緒にどうだ?」
政/宗が手招きすると、少し遠慮がちに小/十郎が寄ってくる。政/宗は小/十郎に湯飲みを持たせ、急須からト
クトクと少しずつ注いでやる。

奥州伊/達軍の筆頭、伊/達家当主ともあろう方が、傳役如きに直々に注いで下さるなど。そんなこと、むしろ俺
がするべきなのに。
と思いながらも甘えて注いで貰っているのは、小/十郎が自分で注いだ茶などよりも政/宗の注いでくれた茶の
方が何百倍も、何千倍も好きだからに他ならない。
政/宗は戦場では豪胆で、独/眼/竜の名を世に轟かせる名武将だが、戦を離れると実際よく気の回る細やかな
性格だ。
特に近しい人、その中でもさらにこと小/十郎に対しては、夫が身重の新妻を気遣いいたわる様な細やかさを見
せる。

「すいません、頂きます」

小/十郎が恭しく頭を垂れると、政/宗は苦笑した。相変わらずコイツは余所余所しいったらねぇな、と思ったの
だ。
もう二人は夫婦みたいなモンだと、既成事実が多くのものの知るところになっている。実際ほぼ事実なのだから
、正す必要もなく。
それなのに小/十郎は、二人きりの時でさえ主従の壁を打ち立てている。
政/宗の正室に対する遠慮もある、というのも事実だ。
しかし実際一番大きな問題は、政/宗は微塵も感じていない『身分の差』だった。
646筆頭×893・2:2006/08/14(月) 00:13:37 ID:pIZtGuNI0
茶を飲む小/十郎の顔を見ながら、政/宗は密かに嘆息していた。
このままでは、褥も共に出来ぬままになってしまうのではないか。
何度かアピールはしてきた。あからさまに閨に誘うも同然なことも言った。
しかし、小/十郎は崩れない。
俺には魅力がねえのかと思うことも、ないとは言い難かった。

「政/宗様、飲まないのですか?」

いつまでも湯飲みを持ったままぼや、としている主をいぶかしんだか、小/十郎は政/宗の顔をひょいと覗き込ん

だ。
(ちっ…Guardは固いくせに、無防備に可愛い顔しやがって)
僅かに首を傾げた仕草は、普通小/十郎のような強面がやれば気色悪がられるか怖がられるかしそうなものだ

が、小/十郎のそれは下手な女よりも愛らしかった。
政/宗の目が見た感想であるから、万人にそうであるとは言い難いが。

と、不意に政/宗の頭に案が浮かんだ。
小/十郎の主思いにつけこむようであまり好ましいやり方ではないが、この際そんな事は言ってられない。
647筆頭×893・3:2006/08/14(月) 00:14:23 ID:pIZtGuNI0
「いや、ちっとばかり目の傷が痛んでな。開いたりしてねぇかな」
途端、小/十郎は目の色を変え、政/宗の両頬に自分の手をあて、右目のもとあった場所をよくよく見始めた。
今が好機、とばかりに政/宗は、勢いに任せてそのまま顔を近づけ口づけた。

「…………!!!!」
小/十郎は頬を真っ赤に染め、離れようと身じろいだ。が、いつの間にやら政/宗の手に腕を掴まれており、離れ

るどころか寧ろ、体制を崩し組み敷かれてしまった。

「政/宗、様…」
羞恥により小/十郎の顔は真っ赤に紅潮し、騙された事を怒る気力もなかった。
「悪いな、小/十郎…お前を騙したかぁなかったんだがな…」
それだけ言うと政/宗は、小/十郎に何度も繰り返し口づけた。
そして口づけに翻弄され憔悴している小/十郎の着衣を、優しくゆっくり剥いていく。
648筆頭×893・4:2006/08/14(月) 00:15:03 ID:pIZtGuNI0
「やめっ…やめてください、政/宗様…!!」

完全な拒絶は感じないものの、生娘のようなその様子に政宗は思わず手を止めた。
「…嫌だったのか?小/十郎…」
政/宗がゆっくり頭を撫でてやると小/十郎は、小さく首を横に振り蚊の鳴くような声で呟いた。
「政/宗様に俺の体を奉げられるとすれば、寧ろ光栄なくらいです…ただ、貴方には正室の愛姫様がいらっしゃ

いますし、それに…身分が違いすぎます…」

自分が考えもしなかった返答に、政/宗は思わず目を丸くした。
「お前、そんな事気にしてやがったのか?あれほど気にすんなって…」
「…俺は怖いのです…!政/宗様と体を重ねることで、側室のような存在になってしまう事が…!!」
他の者を呼んでしまわないようにという配慮かその声は控えめだったが、目には微かに涙が光り、訴えが本心

であると物語る。
「…いらん心配してんなよ、小/十郎…」
政/宗は自分よりも大きい小/十郎の体をそっと抱きしめて、その目元の涙をを舐めとって呟く。
「お前は俺だけのAngelだ。愛や側室を蔑ろにするんじゃぁねぇが、お前は何時だって俺のOnly oneなんだぜ…

?」
そしてもう一度、優しく口付ける。
「身分の違いなんて知ったことか。そんなモンのない世を、俺がこれから作ってやんだからよ」
「政/宗、様…」
どちらからともなく手が触れ合い、指が静かに絡められた。
そしてゆっくり口づけ合い、少しづつその口づけは深くなり、熱を帯びてゆく。
649筆頭×893・5:2006/08/14(月) 00:15:49 ID:pIZtGuNI0
「ン…ふっ…」
小/十郎の低く良く響く声は、政/宗と繋がっている部分から与えられる熱と快感で、一つ高く上擦っていた。
翻弄されそうな激しい動きに、小/十郎は堪らず自分よりやや小さい政/宗の体にしがみついた。
「ま、さむね、さま…!」
「…気持ちイイか、小/十郎…?」
政/宗の問いに、小/十郎は赤面しながら頷いた。そして、快感にほだされながら、懸命に言葉を発した。

「本当は…政/宗様に抱かれる日を…心待ちにしておりました…。…小十郎は、嬉しゅうございます…!」
言い切って安心したか、快感に身を委ねはじめる小/十郎。
その姿とその言葉に、政/宗の欲望は増していく。
「俺も…最高に嬉しいぜ、小/十郎…!」
「くぅっ……あぁ!!」
激しさを増した政/宗の突き上げに、小/十郎は高くあられもない声を上げた。
650筆頭×893・6:2006/08/14(月) 00:16:38 ID:pIZtGuNI0
「…腰痛ぇ」
自らの腰を擦りながら、政/宗は搾り出すように呟く。
「…やりすぎです、政/宗様…」
腰を擦るのとは反対の手で頭を撫でられながら、まだ布団に包まっている小/十郎が呟いた。
その顔は、まだ興奮が残るのか思い出しているのか、うっすら朱に染まっていた。
「…しょうがねぇだろ?初めてお前を抱けたんだし…それに、もっとして下さいとかそこがイイですとかあんなに

Cuteに言われて、止められるわけないだろ」
「え……??」
全く理解できていない小/十郎。それのそのはず、喜びと快感の影響か、彼には途中から自分が何を言ったか

記憶がないのだ。
「覚えてねぇのか…?」
「はい、全く」

小さく溜め息をつき、政/宗はただ黙って布団ごと小/十郎を抱きしめる。
「しょうのねぇ奴だ…ま、それだけヨかったってことにしとくか。」
「ま、政/宗様…」
赤面しながらも、小/十郎は政/宗の体温にうっとり身を委ねた。

「幸せだ」二人揃って、そう思った。
651風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 00:18:09 ID:pIZtGuNI0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ フタヲアケレバヒットウモネツゾウギミ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


BASARAスレでレスしてくださった姐さんがた、本当にありがとうございます。
というか期待してて下さったのに、こんなヘボンですいませんでした…!しかも投下初めてだからちょっとおかしかったかも…
精進します、お粗末さまでしたorz
652風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 00:26:28 ID:7DGEeWaS0
次スレ立てないとやばいのでは?
653風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 00:33:00 ID:C5u3dHXyO
>>644-651
乙でした。
893可愛いよ893(*´Д`)
654風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 01:54:52 ID:Ic99B9Qm0
スレ立て挑戦してきます
655風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 01:58:57 ID:Ic99B9Qm0
ダメでした、どなたかよろしく。
656風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 02:19:04 ID:suSLO1tU0
いってみる
657風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 02:24:31 ID:suSLO1tU0
たったよ
モララーのビデオ棚in801板19
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1155489641/
658風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 02:25:54 ID:suSLO1tU0
ごめん、余計なとこまでコピペしちゃったorz
659風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 05:07:23 ID:G96JkCWuO
>>95亀だが。
GJ!!!!!!まさかこのスレで龍玉が見れるとは(´Д`*)ハァハァ
鬼畜ご馳走様でした
660風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 09:04:03 ID:ExfaggwuO
>>644-651
姐さんGJ!!!(*´Д`)
純情な893にモエ。
661風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 11:04:57 ID:zS2ggytv0
>>644-651
GJ!!
待ち望んだ甲斐があった。
乙女893増えてくれないかなぁ…この際乙女じゃなくてもいいからw
662風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 14:05:37 ID:vCsiFG1oO
>>644-651
GJGJ!堪能させていただきやした(゚∀゚)
コジュ可愛いよコジュ。
663風と木の名無しさん:2006/08/14(月) 17:30:47 ID:xcT14233O
>>644-651
一足遅れましたが
GJです(*´Д`)ハァハァ
6643dayゲキジョ 秋ピソ1:2006/08/15(火) 22:12:15 ID:TGH6r/wkO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

何度目かの角を曲がってようやく、斜め下からの小さな声に気づく。
「い・いたい…」
「え?…あ、す、すみませんっ」
強く握り締めてた、ひとまわり小さい手を思わず離した。
白い手が少し赤くなっていて、痛々しい。
「秋羅ちゃん、意外と力あるんだね」
「ご、ごめんなさい、すみませんっ!痛かったですよね」
「ダイジョウブ!ダイジョウブ!」
「ホント、すみませんっ」
「もう、何度も謝らなくていいの。それより…」
(ドウシタノ?ナンデアタシノテヲトッテハシリダシタノ?)
この人は、聞きたいはずの言葉をのみ込んで、別のことを僕に言うのだ。
「タクシー、この先の大通りからなら拾えるから…もう、行って。
じゃ、ね。おやすみ、秋羅ちゃん」
また、この顔だ。なんて顔するんだろう。
6653dayゲキジョ 秋ピソ2:2006/08/15(火) 22:13:36 ID:TGH6r/wkO
人には自分の気持ちに正直になれなんて言うくせに、
こんな寂しそうな切ない顔をして、背を向けて、
小さな肩を震わせて去ろうとするんだ。
その後姿を僕がどんな思いで見送ってるか知りもしないで。
さっき、男にしなだれかかるあなたを見て、
僕がどんな思いをしたか知りもしないで。
僕が、本当はその柔らかい小さな手を離したくなくて
いつまでも繋ぎたいと思ってることに気づきもしないで。
行かせない、もうそんな風に行かせたくなくて腕を取った。
「待って!…あの、タクシー、一緒に乗りませんか?」
「え?…いいの。あたしんち、ココから歩けるから」
「……じゃ、あの、一緒に行ってもいいですか?」
「…!」
僕を見上げる猫のような薄い茶色の瞳が大きく見開いて、
ゆらゆらと揺らめいて、キレイだなぁと思うと同時に
目の前の人を抱きしめていた。
「ちょ、秋羅ちゃん、人、人が見てるよ」
「いいんです。」
「いい、って…」
「…pincoさんの部屋に行ってもいいですよね」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )
力つきました…。どなたか続きをおながいします。
666風と木の名無しさん:2006/08/15(火) 23:20:02 ID:k/Lk45Oj0
>>664乙!乙女pin子さんモエスハァハァ
もうもう…誰侭はもう…単独スレがホスィ…
667風と木の名無しさん:2006/08/16(水) 00:16:25 ID:Mues3aOM0
>>664-665
GJ!
pin子タン可愛いよpin子タン!
668風と木の名無しさん :2006/08/16(水) 00:39:52 ID:wevgXg6I0
>>664
GJ!!
秋pin待ってました・・・!!
健気な乙女pin子たんモエ・・・

>>666
単独スレ同感です!!
669風と木の名無しさん:2006/08/17(木) 00:05:01 ID:xR+OcT+x0
>>664
うはああ!ありがとうございます!!
ナイス、ナイス秋ピン!
>>666
単独スレ希望です!
670風と木の名無しさん:2006/08/17(木) 08:14:55 ID:CpmTRibx0
誰侭萌えだが単独スレいらない
671風と木の名無しさん:2006/08/18(金) 04:57:51 ID:Eel1k7qbO
>>664
姐さん秋ピンGJ!


秋ピン好きだが、自分も単独スレいらないな…。
スレ乱立→放置という流れになるのは目に見えてるし
なんでも安易に立てようとするのイクナイよ。
672秋ピン3
|> PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「あそこの茶色いマンションなの、わかる?」
「はい、見えます」
指差したあたしの手をまた握られた。
さっきみたいに、力任せに引っ張られてるワケじゃないから
痛くはないんだけど、あたしの手をぐいぐい引いて
大股歩きで前を行くからどんな顔してるのか見えなくて
不安っていうかなんだか話し掛けられなくて、
小走りでついて行くのがやっとだった。

部屋につくなり、秋羅ちゃんは覆い被さってキスしきた。
崩れ落ちそうなあたしの身体を支えてベッドに誘われた。
いつの間に裾から手が入ってきたと思ったら
そっと服を脱がされて優しく口付けてくる。
なんだかんだ言って女の子との経験はいっぱいあるみたい、
慣れてるっていうか、手際がいいっていうか、
こんなキスされたら腰砕けちゃうもの。