ケソタロウは立ち上がりかけた腰をおろして、煙草に火をつけた。
薄い煙がオーロラのように部屋を満たしていく。
手に触れると消えてしまうそれは、触れないという意味では本物のオーロラと
何ら意味は変わらず俺は寒くて暗い南極で抱き合うアザラシを想った。
「カタギ利さんさ、心理学の基本概念って知ってる?」
「寿命でもわかんの?」
「…ネタの話じゃなくてさ。」
「冗談だよ。知らない。」
「人間って、仮面被って生きてる生き物なんだって。ペルソナっていうんだけどね。」
「ふぅん?」
「でね、そのペルソナには限りがないんだ。剥いでも剥いでもまた別のペルソナが
表れて…ペルソナをとっかえひっかえ生きてんだって。玉葱みたいに。」
まだ十分吸える長さの煙草を、ケソタロウはゆっくり揉み消し
俺の方に向き直った。ケソタロウの言う事は時としてとても抽象的で、
俺はその言葉の中から何を感じ取ればいいのか困る事がある。
困惑した顔を作りケソタロウの方を見てみた。視線に気づいた彼は少しだけ
表情を崩し俺の髪にそっと触れた。
「…だからね。カタギ利さんといる時の俺と、家に帰った時の俺は
本体は同じでも着けてる仮面が違うの。別モンだと思えば、
いいんじゃない?俺は絶対家でする顔をカタギ利さんの前ではしないから。」
…安心させようとして言っているのだろう。しかし、俺はケソタロウを
ここに少しでも長くいさせたくてもう一つ小さな爆弾を落としてみた。
「生産性のないカンケー。」
「…え?」
「子供作れないし世間様にバレたらマズいし続けてても未来なんかない。」
「カタギ利さん。」
「でっかいオッパイもケソタロウを自然に受け入れる身体の構造も無いし結婚もできない…」
「…カタギ利さん、それ以上言ったら俺ヒドいことするよ。明日来れなくなるくらい。」
「…ごめん。」
別に本気で怒らせたいわけじゃない。タチの悪い戯れだ。僕は素直に謝った。
「やめたい?こんな"生産性のないカンケー"。」
「やめたくない…やめたくない。まだ。」
「…安心したよ。」
どうしようもない。自分で自分の首を絞めているような気持ちになり、
俺はケソタロウに気づかれないようにため息をついた。
「何かヤな奴になってるね。俺。」
「本当にヤな奴は自分のことヤな奴なんて言わないから。」
「時間、平気?」
今なら、三面鏡の前で男を送り出す愛人の気持ちが良く分かると思う。
「あぁ、そろそろ行かなきゃ。」
ジャケットを羽織り、手の甲で俺の頬に触れ軽く抱きしめるとケソタロウは
振り向きもせずに玄関を出て行った。後姿に向かって俺は、誰に聞かせる
でもない独り言を呟く。最近は癖になってしまい、改めようとも思わなく
なった独り言の癖は心理学的に見るとどんな名前を付けられるのだろう?
「…家出したいなぁ…。」
独り暮らしの家、だけど。
「…帰れない、帰るとこもないけど…ねぇ。」
独り言は壁に吸い込まれ、無かったことになっている。
僕は、どこへも帰れない自分を想い、少しだけ泣いた。
どこまでも暖かいケソタロウの手を、名残惜しげに感じつつ。
>595
萌えました。
ご本尊のふいんき(なぜかryがそのまんま出てて、GJです。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ これもケコーン前に書いたヤツですね…。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
ここ数日シリーズ物でもないのに連投してる者ですが、
不愉快な方いらっしゃましたら仰って下さい。すぐ消えますので…。
>>607 萌えすぎた!リアルタイムで萌えた!
過呼吸起こしそうだw
じゃあ消えて。
つうかシリーズ物とかいちいち言うな。名乗らず勝手に貼れ。
そういう構ってちゃんな発言がうざい。
>>607 自分初めて麺sに萌えた
消えないで、もっと発掘してください!!
投下するのはいいけど、一々反コテ化する必要ないと思う。
一々名乗るのがうざったい。
萌えを吐き出したいならば、このスレでいいけど、
SS投下して、褒められたいだけならば、サイトとか作ったらいい。
>605
神キター!
文体がゲェムの蔦絡まるような雰囲気出てて酔えました姐さん!
硬派なのも悪魔錠らしくてGJです、凄い萌えました!
ごちでした!
投下自体をウザがってる人は自分が見ないようにすればいいだけ。
が、そういう意見もあるだろうに黙って流せず意見を促す
>>607も大人気ないよ。
スレ占領するほど投下してる訳じゃないんだから好きにしたら良い。
>605
二人の動きや表情が目に浮かんだ!
ラルアル好きだから見れて嬉しいです
誘い受けはやめとけってこった。
投下するだけなら、好きにしていいと思う。
いちいち、誘い受けしたり、消えた方がいいですか?とかいわなきゃ
誰もケチつけんでしょ
いやまあ、最近ここに投下されたSSは各ジャンルの本スレに貼られてるから
ぶっちゃけ自ジャンルは自粛してほしいがな。
>>605 萌えたし燃えた!(*´Д`)=3
戦闘シーンテラウマス!ウツクシス!ラノレアノレ(*´Д`)ハァハァ
悪イ云リメイクされないかなマジで…(*´д`)
あ、無粋ながら一つツッコミ…
アノレカードの瞳って金色じゃないっけ?(小島絵を見る限り…)ママンはアイスブルーだけど。
本スレにアド貼りに来た奴、見てたら頼むから氏ね
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 蟲/師、虹×銀…のつもり
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| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| アニメ雨がクルが相当萌えだったらしいよ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 今更ゴメソ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
628 :
1/4:2006/01/12(木) 17:09:58 ID:vLB7mb9d
その男はギンコと名乗った。
蟲/師だという。
街道沿いに立った市で、早速背負ったでかい瓶を売り払った。
できたばかりの旅の連れは案外口が達者で、瓶は思ったよりも高値で売れた。
背中が軽いのはどのぐらいぶりだろうか、清々したというよりもかえって心
許ない。
立ち並ぶ店の間を抜けながら、ギンコの話す虹蛇の話に聞き入っていると、彼
はふと、話のさなかにゆるりと視線を反らし、あらぬ方向をじっと見つめた。
これで幾度目になるだろう。つられて目を転じても何も見えないのは、既に
承知している。
俺はそれでも普通の人間よりは「見えやすい」方だというが、彼の言う方向
にいくら目をこらしても、微かな燐光の名残を感じるだけで、見えるという
にはほど遠い。
だから俺は、その、たった今なにものかを見ているらしい、ギンコの横顔の方
を眺めることにした。
歳に似合わぬ白髪に湖水のような緑の目、異相の横顔を。
629 :
2/4:2006/01/12(木) 17:10:42 ID:vLB7mb9d
蟲/師、という人間のことは、名だけならば知っていた。
村にいたころ、そう名のる旅人に橋造りの助言を請うた事があったからだ。
旅をしてきた五年でも、似たような連中と何度か道を共にしたことがある。
あれも今思えば蟲師であったのだろう。
彼らは年齢も性別もばらばらだった。ただ医家か薬売りのように背に大きな
薬箱を背負っており、それが特徴と言えば特徴だったが、むしろ印象深いの
はその目だった。
蟲/師は皆、全てを心の底まで見透かすような、不思議な目をしていた。
ギンコもまた、そうだった。
長い前髪の下からのぞく片眼でひたりと見据えられると、自分の中身が何も
かも、自分でも気付かなかったような思いや感情でさえ、根こそぎきれいに
浚われてしまうような気がした。
彼らはそのまなざしで、ひとに見えざるものを見るのだという。
630 :
3/4:2006/01/12(木) 17:11:32 ID:vLB7mb9d
唐突に、ギンコがこちらを振り向いた。
それこそ心を読まれたようでどきりとする。が、
「なあ、あれ買ってくれ、あれ」
開いた口から転がり出たのは、至ってのんきな一言だった。
ひょいと指さす先には小さな屋台があった。にわか作りの軒下に七輪を並べ
て、その上でなにやら売り物を焼いている。串に刺さっているのは五平餅か。
そういえば、先程から醤油の焦げる香ばしい匂いが辺りに漂っている。
「うまそー」
「……」
がっくり肩から力が抜けた。話の中座は蟲が原因ではなかったらしい。
「あんたなぁ」
「長雨で食料がやられちまったって言ったろ。ここ数日ろくに喰ってねえん
だ」
なあ頼むよ、と子供のように袖まで引っ張ってくるありさまだ。
なんにしろ、雨を探して歩くしかなかった五年間で、初めて掴んだ有力な手
がかりには違いない。情報料と思えば安いものかと、一本買い求める。
「ほれ」
「ありがてェ」
受け取って、熱い熱いと言いながら嬉しそうにかぶりつく姿はやはり子供の
ようで、俺は呆れを通り越して、つい吹き出してしまった。
「なんだよ」
「……いや」
631 :
4/4:2006/01/12(木) 17:12:37 ID:vLB7mb9d
不思議な奴だ、と思った。
容貌といい風体といい、胡散臭いことこの上ないのに、どうしてか警戒心を
抱かせない。
思えば、虹の話を人にするのも久しぶりだった。
どんな些細な事でもと、縋るような思いでいても、最後に「そいつはどこの
御伽草子だい」と笑い飛ばされるのが関の山だ。そんなのにはこの五年で、
いい加減飽き飽きしていた。
なのに俺はあの時、気が付くとあの、父と虹の話をしていた。
そして、やがて話が終わった時、この男はごくあっさりと、話を信じる、と
言ったのだ。
「えーと、どこまで話したっけか。
そう、まず、な。普通の虹ってのは――」
話しながら一歩前を行くギンコの足下で、水溜まりに映った空は、先程の雨も
虹の行方も素知らぬふりで、ただ底抜けに青かった。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ エロ皆無で失礼
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
633 :
ラルアルの人:2006/01/12(木) 20:23:01 ID:A70bAXtV
>>625 おわ、ご指摘ありがとうございます。
どっちかなーと思ってたのですが、ママン似ということでブルーアイに。
本気出して魔力発揮中だけ金色になるってことで
今回は勘弁してくだちい。
>>632 GJ!!
なんだろう、なんだか切ない気持ちになったよ・・・。
「ありがてェ」にハァハァ
>>632 旅路の風情を感じた。姐さんありがとう。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| T.O.A.のノレーク×アッツュです
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| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| エロ無いので801もどきです
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ネタバレ!
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
ラスボス直前なのでネタバレ注意でお願いします
「まだ、消えてない」
口の中で呟いた。両の手の指先をゆっくりと動かし、拳を作るように折り曲げると、爪の先端が掌に当たって少し痛い。
この体は、まだここにある。
ノレークは一度顔をあげた。思案に耽る姿を怪しまれていないかと、辺りをぐるりと見渡したが、仲間たちは各々、傷の手当てをしたり、荷を探ったり、武器の具合をみたりと忙しそうだ。
誰もが、次こそが最後の戦いになると察していた。それを前にして、ノレークにだけ特別に気をかけられる程の余裕など無い。今はその方が都合が良かった。
ノレークは間も無く、人でいうところの死を迎える。以前に一度、一瞬と感じる程の僅かな間だったけれど、この手が透けるように消えかかった事がある。
音素乖離を起こしているのだとその後に知った。死んだら消えてしまう。自分を構成する全てがばらばらになり消滅してしまうのだ。
先に逝った人々を思い浮かべる。まるでずっと昔の事のようだ。
ノレークはいつでも、今でも、彼らの死の瞬間を、鮮明に瞼の裏に描き出す事ができる。
自分の手で奪った命、何かの為に失われた命、全てを毎夜のように繰り返し夢に見ていた。
忘れてしまったのではない、昔のようだと感じるのは、ひとえに、世界との決別が近い故の悟りだ。
最後の戦い、そして己の死を前にして、いよいよノレークの心は凪いだように穏やかだった。そう感じさせるのは、つい先ほど、死を迎えた彼の存在が大きいのかもしれない。
こめかみに片手をあてる。だがアッツュの声が聞こえる事は無かった。
彼が何かを伝えてくる時は、いつも頭痛を伴っていたので、同じように頭を抱えれば、あの声が響いてくるのではないか。そう考えての行動だったが徒労に終わった。
(お前は、やっぱり俺の先を行くんだな)
アッツュは、ノレークと対峙する時はいつも口が悪くて、レプリカだと邪険にして、もしかしたらその存在を憎んですらいたかもしれなくて。
それでも、いつも、いつも、手助けしてくれた。
ノレークの行く道の先のどこかに必ずアッツュが居た。遥か先だったのか、目前だったのか、アッツュが死した今となってはわからないけれど。
「俺はノレーク・フォン・ファブレだ」
そう叫んだ彼は、”ノレーク”として生まれ、”アッツュ”として生きた、その意味を知ったのだろうか。
アッツュ。いつも背中しか見せない、アッツュ。俺はまだ生まれた意味を知らない。
けれどアッツュ。お前が、俺はレプリカなんだと教えてくれてから、解った事ならあるんだ。
ずっと一人だと思っていたけど、罪を犯した俺だけど、仲間がいる。レプリカでも家族と呼んでくれる人がいる。助けてくれる人がいる。
アッツュ、お前もいる。
俺はもうすぐ死ぬけれど、レ.ムの塔の時のように、罪を償う術を探して投げやりに命を差し出すんじゃない。
ノレークはもう一度掌を見た。体はここにある。自分はここにいる。
アッツュが死んでも、ノレークはアッツュにはならない。同じように、例えあの時ノレークが死んでいても、きっとアッツュがノレークに戻る事はなかっただろう。
”ノレーク”の居場所をアッツュへ返す事など始めから出来ない話だったのだ。二人はもう、別の人間なんだから。
今、俺にも出来る事があって(力がある)やりたい事があって(守りたいものがある)それは、この世界を続けていく事になるんだ。
俺は、生きる。償い続ける為に。命の道を続けてくれた、全ての為に。
少なくとも俺たちは、死ぬために生まれてきたんじゃない。
?げていく為に、お前は生きていったから。
この体が消えるその瞬間まで、俺は、生きていく。そう、思っている。
後ろを振り返った。そこにアッツュはいない。仲間たちが、備えも万端にこちらを見ていた。
ノレークは精一杯、力強く言った。
「さあ、行こうか」
命を、繋げていくために。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ホントにエロ無い……
| | | | ピッ (・∀・ ;)
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
こんな素敵スレ知らなかったよ。思わず記念投下しました。悔いはない。
>>639 寂しくもあり悲しくもあるけど萌えました GJ!!
>627-632
銀古がカワエエ萌へー(*´Д`*)
原作で省かれた?部分を華麗にフォロー。
ゴチですた。
>632
GJ!!!
禿萌えた!
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 無邪気な悪鬼とその対戦相手ネタ
| | | | ピッ (・∀・ ) スレの流れとはちょっとズレたかも…
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
ダブル目隠しプレイ。お約束設定でスマソ。しかもエロシーンのみです注意
644 :
1/4:2006/01/13(金) 05:37:20 ID:L9G8UEyz
それは奇妙な、それでいて蟲惑的な光景だった。
骨ばった脚を投げ出して仰向けに横たわる少年の髪は、暗闇にほの白く浮かぶ夜具と
同様に白い。
そしてその足元に蹲って、足指を舐め回してる白髪の老人。
老人は湿った水音を鳴らして、指の股に舌を差し入れる。唾液でふやけてすっかり軟
らかくなった皮膚の厚いところを甘く噛むと、掴まれた足首がぴくりと震えた。
「壱河さん」
乱れそうになる息を押し込めて名前を呼ぶ。もう二十分近くもこんな事が続いていた。
「あんた、相当イカレた格好してるよ 今」
「盲目のわしには何も見えんのだから、気にならんさ」
足の甲に浮き出た骨を通って、くるぶしに辿り着いた唇が乾いた笑い声を漏らす。
「俺には良く見えるよ。こんなガキにむしゃぶりついて喜んでるあんたの姿がさ」
「そしてこんな老いぼれに足指をしゃぶられておっ立ててる自分も良く見えるわけか…
…なぁア力ギ…」
壱河は言葉と共に掴んでいた片方の脚をぐいと持ち上げて、膝の裏をきつく吸う。そ
の言葉は事実だった。まだ膝より上には触れられてもいないというのに、執拗に続けら
れた愛撫は確実に身体を反応させていた。こんなことが気持ちいいなんて、どうかして
る。そう思っていても、始まってしまえばどうすることも出来なかった。
壱河との情事だけが、ア力ギをこんな体に変えてしまう。そんな自分を直視するのが
なんとなく不快で、のろのろと持ち上げた腕を顔に重ねる。
645 :
2/4:2006/01/13(金) 05:38:06 ID:L9G8UEyz
「フッ…まぁそういうこと。見えないほうがいいかもね」
みっともないのはお互い様なのに自分だけがこの光景を見ているという事実。それ
が苛立ちとも羞恥ともつかない息苦しさを沸きあがらせ、つい皮肉が口の端に上せる。
「何をそう尖っておる。見たくても見られないのはこっちだぞ」
そんな煽りを軽くいなしながらやっと脚から離れた壱河は、宥めるようにア力ギの
顔を丹念に撫で回していたが、ふと動きを止めたかと思うと、やがて考え深げに小さ
く笑った。
「そうだな…お前と同じ物を見ることは無理だが、その逆なら出来ないこともない」
「え…?」
言うや否や、壱河は浴衣の袂から手拭いを取り出したかと思うと、ア力ギの目に被
せた。慣れた手つきで瞬く間に頭へ巻きつけ、こめかみの辺りで結び目を作る。
「これでお互い、五分と五分…どちらも見えなければいいんじゃないのか?」
そう言いながら布越しに瞼をなぞり、眉間を通って髪を撫でる壱河の手は、ひどく
丁寧だった。
規則的に互いの肌がぶつかる音。その度に自分の背中と夜具が擦れる鈍い音。舌の
通った跡が外気でだんだん冷たくなってゆく感覚と、その為に却って際立つ自らの熱。
普段と変わらぬ筈の相手の息遣いや肌のぬくもり、髪を梳く指の動きまでもが視覚
を塞がれた状態だと一層鮮明に感じられ、その一つ一つが情欲を煽る。
「ふっ…んっ…う…っ」
それでも抽送に合わせて漏れる声を殺していたが、
「いつもより締め付けがきついじゃないか…この趣向が気に入ったのか…?」
耳元で響く低い笑い声と共に図星を指された瞬間、かっと頬が燃えると同時に背筋
をぞくぞくと異様な戦慄が走った。羞恥心と興奮が絡み合いながら押し寄せ、ア力ギ
の理性を溺死させんと侵食してゆく。
646 :
3/4:2006/01/13(金) 05:38:53 ID:L9G8UEyz
ようやく触れた壱河の指が鈴口を抉るようにして押し割ると、堪え切れずに滲み出
した先走りが指先を濡らす。追い討ちをかけるようにそのべたつく指が上下し始める
と、もうア力ギは自らの腰がその動きに合わせて揺れるのを止めることが出来なかっ
た。
「ぅあ…っ、う…んっ…ああっ…」
激しくかぶりを振る度に、雪のように白い髪が乾いた音を立てて畳を打った。
そんな中、おぼつかない手つきで壱河に触れようと手を伸ばす。見えないことが、
触れたいという思いを更に強めるが、掌に感じる鼓動が自分のものなのか相手のも
のなのかは既に解らない。
あんたの頭の中で、俺は一体どんな姿をしている?
どんな姿態を晒して、どんな風にあんたを欲情させてるんだ…?
錯綜する思考の底からむらむらと奇妙な対抗心が湧き上がる。壱河の想像の中にい
る、自分ならざる自分に対して。
そんな思いにとらわれながら、近づく限界を自らへと引き寄せるかの如く、壱河の
首に腕を回した。
「壱河さん………」
快楽に泣き疲れてかすれたこの声が、どれだけ相手を欲情させるかをア力ギは知っ
ていた。我慢するのを止めて、思い切り感じたままを声に出す。目の前にいるのに見
えないこの男に届くように。
647 :
4/4:2006/01/13(金) 05:39:32 ID:L9G8UEyz
「くっ…」
声は届いた。ア力ギの肩を掴む壱河の両手には力がこもり、耳元で響く息遣いから
は余裕が消えた。煽られて一層膨れ上がった己の情欲に慄く声だった。
「…なんてガキだ………」
その時ア力ギに見えたものは、終局に向かってもつれ合いながら奈落に落ちてゆく
二つの身体。ようやく、壱河と同じものを見ることができたと、確信した。
その瞬間、奥底から押し寄せる高波に最後の思考が呑み込まれる。
しかしひときわ大きな声を放ちながらも、その苦しい息の下でア力ギはふっと微か
に笑った。
やっとあんたを 捕まえた
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ お恥ずかしい。最初のAAの画面が
| | | | ピッ (・∀・ ) 「STOP」のままでした。
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
勢いだけでこんな朝からやってるだけSS投下してしまったけどとりあえず
姐さん、GJ!
お互いに見えないプレイとは、恐れ入りますた(エロいyo!)
ここ最近の福/本スレ住人は、よってたかって漏れを萌え頃す気でつか(*´Д`)ハァハァ
畜生、あの白髪の小悪魔めー!(*´Д`)ハァハァ
(*´Д`)GJ!エロイヨー
朝からいいもん読ませてもらいました!
姐さんGJです…!
朝からたっぷり萌えさせて頂きますた(*´Д`)ハァハァ/lァ/ヽァ
652 :
名無しさん■投票日決定ルールスレ参照:2006/01/13(金) 08:13:55 ID:HWoQOFdu
名無しに電流走る…っ!
朝から素で鼻血でたハァハァ
ありがとう、神っ…いわゆるゴット…っ!
すみませんアゲてしまいました…orz
姐さんGJ!
白いご飯が50杯くらいいけそうです(*´Д`)ハァハァ
GJ!GJ!
(*´Д`)シゲル ハァハァ
容量的にそろそろ次スレの季節かな?
もしそうなら長編投下予定の姐さん方は気をつけて下さいねー
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ドラマ西/遊/記の猿×河童だよ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| エロもなんにもないただの作者の妄想だからな
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
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∧
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| その前に猿×河童なんていえるかどうか怪しいぞゴルァ
\
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「あっつーい!みず!」
「うるさい馬鹿猿」
じりじりと照りつける太陽が容赦なく彼らを襲う
五条も口では強がって見せたが彼も相当参っている。
「みず!みず!みずちょうだいよ〜豚ちゃん」
五空が八回によりかかる。
八回は押しのけながら「あなたが一人で飲んだじゃないですか」
五空はふてくされながらも あっづー と叫ぶが誰も構わない
今度は五条にもたれかかった
「なぁ〜河童は頭の上に水あんだろ?ちょうだい!みず!」
「うるさい。少しはだま・・・」