モララーのビデオ棚in801板10

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                    |  根雨露の笹笛モナ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  今週号のネタからだよ。
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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182/7:2005/09/06(火) 01:23:38 ID:1U6MtDoe
「よし、ヒフミ! …二倍付け、出せよ。薄井」
「くっ! まだだ! もう一度勝負しろ、佐々塚っ!!」
「……薄井さん、もう止めたほうが」
「先にリタイアしたお前に言われる筋合いなどないわ!」
 佐々塚は苦笑いを浮かべ、土筆は困った顔をする。
 薄井という男は激しやすいうえにひどく負けず嫌いだ。賭博の運も或る種の
『技術』もさほど持ち合わせていないのに、何度でも懲りずに勝負を挑む。
「ですが、もう金が無いでしょう?」
「ぐっ……!」
 先程の賭け金を渡せば、財布の中に金は無い。佐々塚に全て巻き上げられて
しまった事に漸く思い至った薄井は奥歯を思い切り噛み締めた。激昂のためか
線の細い顔に薄く朱が指している。
 その時、佐々塚が薄井に思っても見ないことを申し出た。
「…何だったら身体で払ってくれても良いよ。一日辺り一万円で」
「ふん、いいだろう」
「う、薄井さん」
 土筆は慌てて二人を止めようとしたが、既にプライドの高さを表情に取り戻した
薄井が後輩の静止に従うはずが無かった。
「見ていろ佐々塚。すぐに負け分を取り返してくれるわ!」
193/7:2005/09/06(火) 01:24:40 ID:1U6MtDoe
「…おし!!」
「何ィっ!!??」
 佐々塚が出したのは111のピンゾロ、十倍付けの役である。
「お前! 何かイカサマでもしてるんじゃないだろうな!?」
「そんな、人聞きの悪い…ところで、まだやる?」
「もういいっ! 今日は私の負けにしておいてやる!!」
「…じゃあ、十日分返してもらうから」




 土筆とは先に別れた。駅前の繁華街のネオンを背に、佐々塚を前にした薄井は
次に取るべき行動に迷っていた。そんな彼の様子を見透かしたように佐々塚は
「…とりあえず俺の部屋に来る?」と提案してきた。
 断る理由も権利も無いので、薄井は佐々塚についていった。
 そこは、ごく平均的な学生向けのアパートだった。促されて入った薄井は室内の
様子に顔をしかめる。
「おい! この散らかった部屋は何とかならないのか!」
「…そう? 男子学生の部屋ってこんなもんだと思うけど」
「私のところはきちんと整頓されてるぞ」
 ああ、と佐々塚は納得する。
「神経質だもんな、お前…」
「余計なお世話だ!」
 薄井が「万年床はカビが生える」と文句を言っている横で、佐々塚は冷蔵庫の中を漁る。
204/7:2005/09/06(火) 01:25:50 ID:1U6MtDoe
「…酒、焼酎しかないけど」
「別に要らん。で、私は何をすればいいんだ」
「何を、って」
「賭けの負け金のことだ!! お前、自分で言ってて忘れたのか!?」
「……とぼけてんの? それとも、まさか解らないでついて来たわけ?」

 佐々塚は不意打ちで薄井の腰を引き寄せた。
「なっ!」
 薄井の抵抗は体格差によって容易に封じられた。そのまま佐々塚によって壁に
押し付けられる。
「佐々塚、何のつもりだ!?」
「普通、『身体で払う』っつったらこーゆーことしかナイでしょ」
「知らん!! 私は認めん!」
「…いいの? 警察を目指そうって奴が借金踏み倒して」
「元々が違法行為に端を発しているだろうが!」
「それはお互い様。っつーか薄井、論理が破綻してるよ。ん?」
「くっ…」
 どこまでも余裕な佐々塚に対し、薄井のプライドが刺激される。このまま
言い争いを続けて佐々塚に遊ばれるのは癪だ。『そんなこと』など全然
大したことは無いのだ、と堂々とした態度を彼に見せ付けてやるのだ。
「――いい。好きにしろ」
215/7:2005/09/06(火) 01:26:55 ID:1U6MtDoe
「じゃあ、眼鏡取って上向いて、少し口開けて」
「こうか?」
 佐々塚は先程コップに注いだばかりの焼酎をあおり、そのまま薄井の口を塞いだ。
「んふっ…」
 流し込まれた焼酎が咽喉を焼き、薄井は激しくむせる。
「ゲホッ、ゲホッ――このっ…!」
「…酔った勢いって事にしといたほうが、お前の気が楽だろうと思って」
「余計な世話だ!! さっさとしろ!」
「薄井、それ、色気無さ過ぎ」




 薄井が最初に知覚したのは、万年床の湿った埃っぽいにおいだった。そして次第に、
昨夜の感覚が身体にリロードされてゆく。
 佐々塚は既に服を着てキッチンに立っていた。
226/7:2005/09/06(火) 01:28:01 ID:1U6MtDoe
「…よう。おはよう」
「……」
 薄井は佐々塚の顔をまともに見れない。佐々塚の指先はサイコロの目を自在に
操るときのように器用で、踏み込まれる前の段階で既に薄井は連敗を喫してしまったのだ。
「朝メシ、目玉焼きでいい? 食うだろ」
「すまん」
「いいって。…まぁ、負け金払い終わるまでここにいれば?」
 仕送り来るまで一文無しだろ、と佐々塚は言いながら薄井に服を投げてよこした。
「全部賭けでお前のところに行ったんだがな」
「だから、その分でお前を食わせれば問題ないだろ」
 佐々塚はちゃぶ台を薄井のところまで引っ張ってきてやった。皿にはベーコンエッグ。
思ったより見た目が良い。
「その前に、また賭けで負け金を取り返せば良いだけの話だ」
「……できたら、ね」
 顔を上げられない薄井の視線に佐々塚の指が映る。金を巻き上げプライドを簡単に
黙らせる指。
 とりあえず、万が一また賭けで負けたときのため、この部屋の徹底掃除と
布団干しだけは絶対にしてやる、と薄井は思った。
237/7:2005/09/06(火) 01:28:41 ID:1U6MtDoe
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