946 :
風と木の名無しさん:
それはとおい、とおいむかしむかしのおはなしです。
かみさまはこのよをおつくりになり、そら(神田)とだいち(リナリー)と、
つき(アレン)とたいよう(ラビ)をそうぞうされました。
とくにたいようとつきはとてもなかよしで、ひとときだってそばをはなれようとはしませんでした。
「はい♪ラビ、あ〜〜んしてください♪」
「あ〜〜〜ん、さ♪」
「………(イラッ)」
このころのたいようとつきはつねにいっしょ、おはようからおやすみはもちろんのこと、
ごはんのときも、にんげんたちにめぐみをもたらすためにそらにうかんでいるときも、
やくめをおえてやまのかげにかくれてしまうそのしゅんかんまで、
なかよくいっしょにしずんでいく、そのくらいなかむつまじい、まるでふうふのようでした。
「あぁ、もう!口にお弁当なんてつけて…」
「だってさ〜アレンの作る料理、すっげぇおいしいんだもんさ?」
「ラビ!…そんなこといっても、夜は手加減しませんよ?」
「…………(ぴきッ)」
そんなふたりを、そらはやさしくみまもるのでした。
「だああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッ!
人ンところで、とッッッころかまわず
べちゃべちゃべちゃべちゃと
…気ッッ色悪ぃんだよッッッッ!」
「え?神田には迷惑かけてませんよね?僕たち」
「その言葉、そっくりそのまま返してやろうか…モヤシ!」
「そぅさ〜そんなかっかしてたらせっかくの綺麗な顔が台無しさね?」
つきはたいようをつつみこむようなかたちでよりそって、
いつもいっしょ、いつでもいっしょ、どこにいくでもいっしょなのでした。
「…男を膝の上に乗せて、首やら腰やらにてぇまわして撫で回しながら、
平然とメシなんぞ喰いやがって……てめぇらに『モラル』って言葉はねぇのか!!」
『………』
たいようもつきも、つねにいっしょにいるのがにちじょうになりすぎていて、
はなれるなどかんがえたこともありませんでした。
『考えたこともなかった(ですね)さ?』
「………(ぶちっ)」
949 :
風と木の名無しさん:2005/08/25(木) 21:58:39 ID:HFK1GYti
しかしじっさい、ふたりがあついくちづけをかわすとかわのみずはひあがり、
そのといきがもれるたびにだいちにはねっぷうがふきつけるなど、
ちじょうへのひがいはいまやしんこくなものとなっていました。
「あ…ぁ、ん…ァ…レン!」
「気持ちイイですか?…ほら、ここをこうしたら…?」
「はぁんっ…!…ぁん、ぁああ…んんッッ…!もっ…と…、も…っとし、てさ…」
「わがままですね?ラビは…まぁそんなところが可愛いんですけど…」
「…ちったぁ、人の話きけやぁぁぁぁぁぁ!!!」
かみさまからあずかったこのせかいが、これいじょうきずつくのはみたくない。
そうおもったそらは、いをけっしてふたりをひきはなしました。
「災厄招来!!『一幻』ッッッッ
(怒りマークつき♪)」
「うわぁ!!」
「どわさ!」
するとどうでしょう。
ふたりをひきはなしたそのあいだが、そのまま『みぞ』となり、
ふたりは『あさ』のせかいと、『よる』のせかいにそれぞれとじこめられてしまいました。
「何するんですか、神田!!嫉妬は醜いですよ!!」
「うるッッせぇぇぇ!元はといえばてめぇらのせいだろがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「あ〜らら〜♪見事に真っ二つ…さっすがさ、ユウ♪」
「…てめぇに褒められると無性にムカつく!!」
おたがいにはなれることなどかんがえもしなかったふたりは、
とてもおどろき、そしてかなしみにくれました。
「ラビ……ッッ!!」
「アレ〜〜〜ン♪おとなしくしてりゃそのうちユウが
元に戻してくれっから、それまで辛抱するさぁ〜〜♪」
「誰が戻すかッッッッ!! 」
それからふたりは、それぞれのせかいをしはいしましたが、
それでもおもうことははなれてしまったはんしんのことばかりでした。
あいたい、とおもうふたりのきもちはつのるばかりでしたが、
そらはそんなふたりをゆるしてくれません。
「いい加減ラビに会わせてください、神田!
この燃え滾る性欲をどこに持ってったらいいんですか?」
「俺が知るか!」
「なぁなぁ、ちびっとでいいからさ〜アレンに会わせてほしいさ〜?
アレンとやってない体位がさ〜いくつかあるンさ〜♪」
「…おまえもかよ(ドスを効かせて)」
そんなこうけいを、だいちがじっとみつめていました。
「ねぇ神田君、もう許してあげたら?二人とも反省してるみたいだし…」
「あれのどこが反省してるって態度にみえるってんだ!!!!!」
「…まぁどこをどう見たって反省してないだろうけど〜、
もうそろそろあの二人の絡みが見たいかなぁ〜って♪」
「…この腐れ●○女がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 」
だいちがたのんでも、そらはくびをたてにふりません。
そこでだいちはひとつのていあんをだしました。
「ねぇねぇ何年かに一回だけあわせてあげるくらいよくない
かな〜?そっちのほうが、私、いいと思うんだけど〜?」
「…黒いオーラ出しながら言うセリフじゃねぇだろ、リナリー!」
「もぅ神田くんったら〜10年に一回だって、5年に一回だって、
1年に一回だって、一ヶ月に一回だって一回は一回でしょ?いいじゃない♪」
「…どんどん期間が短くなってってるさ、リナリー…」
そらはなやみました。
ひがいにあっただいちの、たってのねがいをかなえたいきもちはありましたが、
かみさまのつくったせかいがこわれるようなことはさけたい、
そんなやさしいそらのきもちをたいようとつきも、よくりかいしていました。
「神田の嫉妬でこんなことになってしまったんだから、きちんと責任は取るべきですよ!」
「モヤシは黙ってろ!」
「あんまし悩むとハゲるさ〜♪」
「…その口、二度と利けねぇようにしてやろうか…」
そらはやさしいだいちのねがいをきき、たいようとつきにさんねんにいっかいだけあうことをゆるしました。
「えぇ〜〜〜そんなに〜〜〜〜!!」
「うるせぇぇぇ!三年っつったら三年だ!」
「まぁそれが妥当っしょ!…サンキューさぁ〜リナリー」
「どういたしまして♪」
「…貴様ら、裏で組んでやがったな…(ぴきっ)」
こうして、たいようとつきは三年に一度『皆既日食』と『皆既月食』のいずれかであうことになりました。
こうして、『世界』がかんぜんなものになりました、とさ…。
「どう〜〜?面白かった?」
ところ変わって、ここはコムイの室長室。相変わらず床という床、
机の上に書類の散乱した散々たる状態の部屋に、アレン、ラビ、神田、リナリーがソファーに座っていた。
「いい話でしたね〜ラビ♪」
「…つ〜かさ、いい加減なキャスティングな上に、どうやったらそんな内容になるンさ、創世記がさ〜(乾いた笑い)」
「………(もう反論する元気すらない)」
リナリーにいたっては、ラビの肩を枕にしてよく眠っている。
「今度の調査のために資料集めてたら、こんなものが出てきてね〜。面白いから脚色してみたんだよ」
「…あ、っそ」
どこからラビとアレンが付き合ってるという情報が漏れたかは置いとくとして、
さすがのラビも、大好きな本の内容が面白おかしく脚色されるのは少々げんなりするものがあるようだ。
954 :
風と木の名無しさん:2005/08/25(木) 22:03:13 ID:HFK1GYti
「素敵じゃないですか!…引き裂かれた愛が再び燃え上がる〜みたいな感じで♪」
「…内容によるさ」
「…帰る!」
神田の顔はひどく真っ青で、いつもならきびきび歩くその足取りもどことなく重い。
「(まぁ気持ちはわからないでもないけど)…気をつけるさ〜」
「また聞かせてくださいね?コムイさん♪」
「わかってくれるかい?アレン君」
「もちろんです!愛は障害があってこそ、燃え上がるんです…ね?ラビ?」
二人でなんとも言われる男どうしの友情を深めているが、もう勝手にやってろといわんばかりに、ラビは大きくため息をついた。