【☆里予木圭】灰男で801

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808「定期×兎」者より
ラヴィたんハピバ!!
当方定期×兎推奨者なので、こんな方法であなたの誕生日を祝わせてください…
掲示板の主旨に沿ってなくて申し訳ないのですが
自分の勝手な設定がモリモリつまった定期×ラヴィです
つドゾ
809「定期×兎」者より1:2005/08/10(水) 02:05:33 ID:nhG01oXu
「ラビア…そうだろ?」

どくり、と心臓が波打った。
喉がカラカラに引き攣れる、それはこの乾いた空気や巻き起こった熱気のせいだけではない。
かさついた唇をゆっくり舌で湿らせると、鉄の味がした。

「なんで、その名を?」

質問に質問で返した肯定に、目の前のノアは満足したようにニッと笑う。
優美に釣り上げた唇が、見ほれるほどに美しい。
ひらりと左手をひらめかせれば、まるで手品のように一匹の蝶がひらりと舞い踊った。
一連の仕草はまるで一級のマジシャンの様で、その蝶は彼の分身のようにも見える。

「これが何かわかるか、少年」

彼の声は、耳に甘い余韻を残す。
計算違いだった、少しばかり血を流しすぎたせいだろうか、今にも目をつむって眠ってしまいたいほどにぼうっとする。

「こいつにお前のハートをたべさせてみようか?」

冷や汗が、背中を伝った。
なぜなら彼の眼が生き物の光を宿していなかったから、それはまるで温度の無い動物のそれ。
ゆっくりと、彼が距離を詰めてくるのに俺は一歩も動けない。
シルクの光沢を纏った長い指が、上品に俺の方へ差し出される。
唾液が上手く飲み下せない、奮い立たせるようにイノセンスを構え直そうとしたけれど、思ったように膝に力が入らなかった。
俺は彼の顔を見据えるのがせいいっぱいなのに、彼はその整った顔を美しくほころばせた。
810「定期×兎」者より2:2005/08/10(水) 02:06:58 ID:nhG01oXu
「なんてね、嘘だよ」

「や、めろっ…」

ひゅっという音が風をきり、右目の眼帯が弾け飛んだ。
その瞬間に右目から体中に激痛が走り、視界が一気に白く霞んでいった。
やばいな、と思った瞬間に体の重心がぐらりと落ちていくのが分かって、舌打ちする。
倒れこんだ先は落ち葉の中かと思いきや、その体は誰かに抱きとめられた。
あぁ、もう目を開けるのもおっくうだけれど…俺は闘わなければならない、その瞬間も記憶しなくてはならない。
ブックマンの跡を継ぐものなら、それは架せられた使命だから。
ゆっくり目を開けると、先ほどの黒い蝶がひらひらと飛んでいくのが見えた。

「いらっしゃいませ、子ウサギちゃん」

体を支える腕に、まったく温度が感じられない事にぞっとする。
そして額に刻まれた黒い十字架は、消えない罪の証。

「ノア…」

「そうだ、俺はノアのティキ」

丁寧な仕草で体を反転させられて、今までにない近い位置で彼の顔を見ることになった。

「きれいな右目、俺と同じ血の色だね」

ずくずくと痛む右目が、久々の光を捉えて世界がぼんやりと重なりだす。
それは見てはいけないもの、俺の捨てた黒い光。

「そしてお前はノアの血を分けられた呪われた子、ラビア」
811「定期×兎」者より3:2005/08/10(水) 02:07:30 ID:nhG01oXu
また心臓がどくり、と波打つ。
その名前はもう知らないはずなのに。

「さぁどうやって、君のハートをいただこうか」

朦朧とした視界に彼の顔が近づいて、額に冷たいキスの感覚があった。
捨てたはずの刻印が蘇る、そのきっかけはノアの口付けだ。
俺はその秘密を知っている、なぜならそれは俺が自分で消した刻印だから。
彼の甘い言葉が頭を侵してゆくことが拒めないのは、彼が俺と同じ呪われた子だから。
左と色の違う右目を、どんなに覆い隠したって血の色は消せない。

「好きにしたらいいさ…」

もう、意識が保っていられなくて、記憶なんて捨ててしまいたくて、でも残酷に彼の言葉は耳に囁きこまれるのだ。

「願わくば君に触れる、最初で最後の人になれますように」
812「定期×兎」者より:2005/08/10(水) 02:08:54 ID:nhG01oXu
駄文すいませんでした!
おめでとうラヴィたん…これからも君が大好きだ!!