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いつもお世話になります。お借りしますね。
一応版権(メル欄)・昭和海軍
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すぐ目の前にあるのは男の汗ばんだ肌。
その向こうには彼の肩に切り取られた天井。
力を抜くようにしてゆっくりと瞼を閉じれば透けて見えるのは己の血管で今はまだお天道様も高い真昼間だと思い出す。
こんな時間から男を咥えこむ恥知らずにも陽は降り注ぐのだなとぼんやり思った。
それは実際、不思議な感覚だった。
神経に近い肉を擦られる確かに快感はある。
下半身はあの独特の重さで包まれているし男根は恥ずかしい程の水音を立てて腹の間で揺れている。
それなのに芯は少しも熱くなっていないなとどこかで考えているのだ。
排泄の器官を懸命に穿つこの男を嘲笑したら俺は気が振れたと思われるだろうか
……嗚呼。
様々思い巡らしながら息を吐くと身体の中の雄がまた膨らむのを感じる。
「構わん。……中で、出せ。」
ああとかうんとかよく分からぬ言葉を漏らしてから唇を重ねてくる。
彼はいつも達する刹那、唇を重ねる。
子供のようだなと思ううちに律動が早まり互いの息が詰まった。
やがて来る溶けて消えてしまうようなこの錯覚を俺は結構好いていた。
「次から、鉄兜(※軍支給のコンドーム)使うか。」
終わった後の股座を覗き込んで何を言い出すかと思えばそんな事かと俺は笑う。
腹に力が入ったからかまだ生温い男の精が畳の上に零れた。
「女じゃあるまいし、要らん。」
文官にまで貧乏根性と揶揄されるこの男が色街で病を貰ってくる事もあるまい。
孕むことの無い俺の腹を気遣う人の善さにもう一度声をあげて笑ってやった。
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2/2:04/02/02 12:08 ID:ig/j6HJH
俺が本当に欲しいのは何だろうか。
何を求めてこの男に縋り声を枯らすほど哭いているんだろう。
それは国に帰ってきてから何度となく繰り返し考えている事だった。
けれどいつも途中で飽きてしまう。答など無いのかもしれない。
退屈しのぎに遠慮がちに後始末をしている彼の指を退けさせて自ら孔を引き広げた。
「舌が良い。舐めて清めろ。」
窄まりから零れる感触に思わず身震いをする。
間も無く彼の舌がそこに触れた。
静かな部屋の中で音になりきれない吐息が咽の奥から漏れて響いた。
さて俺は笑っているのだろうか、泣いているのだろうか。
ただ一つ知っていることが在る。
俺はまだあの南方の茂みの中に居るのだ。
この温く湿った熱に包まれて。