1.ノンジャンルのネタ発表の場です
書き込むネタはノンジャンル。
スレ違い/板違い/鯖違い/メディア違い問わず、ネタであれば何でもあり。
たとえばこんなときにどうぞ。
どこに投稿すればいいのかわからない‥‥
・ネタを作ってはみたが投稿すべき既存のスレが無い。
・投稿すべきスレがあるのかもしれないけど、よくわかんない。
・クロスオーバーのつもりなのだが各スレ住人にウザがられた。
・みんなの反応を見たうえでスレ立てるべきかどうか判断したい。
投稿すべきスレはあるが‥‥
・キャラの設定を間違えて作ったので本スレに貼れない。
・種々の理由で、投稿すると本スレが荒れそう。
・本スレに貼る前にあらかじめ他人の反応を知って推敲したい。
・本スレは終了した。でも続編を自分で立てる気がない。
ヘタレなので‥‥
・我ながらつまらないネタなので貼るのが躊躇われる。
・作り出してはみたものの途中で挫折した。誰か続きおながい!
迷ったときはこのスレに投稿してね。
ただ、本来投稿すべきと思うスレがある場合は
それがどのスレで(ヒントで充分)、しかしなぜこのスレに貼ったのか、
という簡単なコメントがあるとよい。無いとカオスすぎるからね。
それと、ナマモノネタには伏せ字か当て字を推奨。
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリーAAであろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
| いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
\ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | [][] PAUSE
∧_∧ | |
┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ | |
| |,, ( つ◇ | |
| ||―(_ ┐┐―|| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
| || (__)_), || | °° ∞ ≡ ≡ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。
別に義務ではないけどね。
とりあえず用意したテンプレ。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| モララーのビデオを見るモナ‥‥。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| きっと楽しんでもらえるよ。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
|
| ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
| ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
| ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
| ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
| ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
| ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
| ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
\___ _____________________
|/
∧_∧
_ ( ・∀・ )
|l8|と つ◎
 ̄ | | |
(__)_)
|\
/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 媒体も
| 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
| 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
\_________________________
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄| じゃ、そろそろ楽しもうか。
|[][][]__\______ _________
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | |/
|[][][][][][][]//|| | ∧_∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
|[][][][][][][][]_||/ ( )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |
(__)_)
>1
スレ立て乙!
>1
乙彼様〜!
ネタ投下を待ちつつ保守。
スレ立て乙彼様です。
前スレ上げてしまったのでage
hoshu。
ホシュ
13 :
風と木の名無しさん:04/01/19 20:48 ID:tBEtPPWM
ここはいつネタ投下があるかわからないから
ageつつ保守。
同じく保守。
いつも楽しみにしているので保守
即死回避保守
ほっしゅほっしゅ
_人人人人人人人人人人人人人人人_
> それは本当なのかクマー!! <
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
∩___∩ ∩____∩
| ノ u ヽ / u u └| ∩____∩
/ ● ● | | ● ● ヽ/ u └|
| u ( _●_) ミ 彡 (_●_ ) u |● ● ヽ
彡、 |∪| 、`\ / |∪| 彡 (_●_) u |
/ __ ヽノ /´> ) ( く ヽ ノ / u |∪| ミ
(___) / (_/ \_ ) ( く ヽ ノ ヽ
ごごごごごっ誤爆 すみません
>20
いやワロタ
これってMMR?
保守のお手伝い。
すぐ投下できるネタがないので、とりあえず保守。
>>1 お疲れ様です。
保守援護
>>19 (・∀・)イイ!!
保守させていただきます。
保守支援
保守。投下したいネタはあれど、半ナマなのでビビリ中。
>27
半ナマならまだいい…。
まるっとナマだからいくらんでも止めとけと自制中。
保守参加〜。
30get!!
即死回避かな?
漏れもナマならネタがあるんだが、
伏字とか当て字とか壷ネームとかを使うと、
どんなシリアスネタでもマヌケなお笑い話になっちまう罠。
ちょいと場所をお借りいたします。
それではネタ投下〜。
一月半ばの凍えるような夜、タワー最上階のぎしぎしとなる板張りの床を俺は歩いていた。
周りを見渡せば見慣れた朱い柵や東洋の彫刻、…あの人の趣味だ。センス自体は俺にはさっぱりわからない。
ただ彼が好き好んで収集していたものだから今でも業者を雇って手入れはきちんとしている。
俺自身、ここに来るのは1年ぶりだ。黒いスーツを着て白い花束を持って、この日だけはここに来る。
一部分、朱い柵が途切れ盛大に壊れた場所。
そして眼前に広がる…あの人が愛した街の灯火。
ここであの人は死んだ。情けをかけられた手を振り払い、死を選んだ。
「勝手な人だよな、あんたは。」
そんな独り言をつぶやいて俺はそこに腰を降ろし、足を伸ばす。花束を隣に置き、空中に足をぶらぶらさせてなんとなく思う。
今、ほんの少しでも体重を前にかければ、俺は確実に死ぬだろう、あの人みたいに。
正直さ、あんたが死んだとき…一緒についていこうかとも思ったんだ。
でもそんなことをする暇すらあんたは俺に与えてくれなかった。コネクションの管理やらなにやら、めまぐるしいくらい忙しくて。おまけに夢にまで出てきて「あとはまかせる」なんて言いやがって。
それに俺にはまだ守るべき妹がいる。あんたみたいに人のことも考えないで勝手に生きて勝手に死ぬなんて、してやるもんか。
だから俺はあれから一度も涙は流してないんだ。…本気で笑うことも無くなったけど。
そんなことを思いながらスーツのポケットを探り、葉巻を取り出し火をつけ思いっきり吸い込む。
俺の肺を満たす、いつもと違うクセのあるキツイ煙。…あの人の好きだった葉巻。
これを吸うと、今でも鮮明に思い出せる。
ただ俺を見る、深く蒼い瞳も。
意地の悪いことをいう低い声も。
俺の髪をなでる冷たい掌も。
軽く口付けた、唇の感触も。
俺の口内をかき乱す舌も。
背中に回された俺を抱く腕も。
汗ばんだ傷だらけの体も。
俺の体を侵食する、その存在も。
…その孤独な心も。
あの人は常に「力を求めた、餓えた狼」であろうとしてた。
情を捨て「孤高」であろうとした、強く、悲しい人。俺はそんなあんたに惹かれたんだよ。
でも…辛かったんじゃないかって思うんだ、孤独であることが。
あんたはそんなこと、きっと認めないだろう。認めたらあんたはあんたじゃなくなるから。
だから俺は気づかないフリをして、ただあの人のそばにいた。
あの人の一番近くにいて、体だけのようなフリをして、少しでもあの人の孤独が安らぐように。
それが俺の「望み」だった。
…そんなことを思い出して、妙に感傷的な気分になってしまう。
俺も歳をくっちまったか?って自嘲して葉巻を消し、花束を持って立ち上がる。
…あと30秒で1月21日。
あの人が遺したこの街を見て、ふと思う。
時間が何もかも洗い連れ去ってくれれば、きっと生きることはたやすいだろう。
でも俺は忘れない、絶対に。
その道が辛くても…あんたがいない道でも、俺は進むだろう。
でも、その道が終わったら、あんたと同じ地獄に堕ちたら。
「またそばにいても、いいですか?」
そんな勝手なことを言い、あの人が落ちたその場所に花束を放り投げて、またつぶやいた。
「Happy birthday…Geese Howard」
end
36 :
32:04/01/21 00:24 ID:m878agvT
間違えた…34は(2/3)です_| ̄|〇
一応元ネタは某格闘ゲームのマフィアのボス×用心棒。
今日はお亡くなりになったボスの誕生日なのでこんな話を書いてみますた。
暗い話ですみません…。
>32
うわ、大好きなんですこのカップリング!
こんな所で読めるなんて・・・
萌えさせていただきました。ごちそうさまです〜。
ボス様・・・お誕生日おめでとうございます・・・・゚・(ノД`)・゚・
>32
萌えますた(*´Д`)ハァハァ
>32
萌えた!
情景が思い浮かぶのが(・∀・)イイ!
>>32 ああ…切ない…。
でも萌えたよママン…。切な萌えをアリガトン…。
義ー巣様、お誕生日おめでとうございまつ…・°・(つД`)・°・
42 :
1/3:04/01/22 22:46 ID:DDbvqbbo
まるっとごりっとお借りします。ジャンルは軍事モノといいますかメル欄です。
専用スレが寂しいので興味抱かれた方は是非。
*****
派手な色を見せる事は無いがいつまでも消える事の無い熱。
例えば、地底の奥底に眠るマグマ。例えば溶鉱炉の焔。
ダイスの鼠の瞳に宿っている光はそんな物を連想させた。
体力温存の為に仮眠をジョンヒに命じた後、もう一度倉庫に戻った。
拘束しているとはいえミンソン一人では些か心もとない。
そして、もう一度目を見たいという衝動も確かに溢れていた。
「交信の時間までここで暇潰しも悪くはないと思ってな。」
再び猿轡を噛ませたままの顔を無理に覗き込むと獣のような視線で睨み返す。
憎しみだけで殺せるならばと言わんばかりの強い意志。
私は自然に口角が上がるのを堪えられなかった。
常識人の艦長に知れれば面倒なことになるとわかっていながら今すぐにでも痛めつけたいという欲望がどうしても消えない。
爪先のように外からは見えない場所を苛めてやるという手もある。
ペンチを使うかそれとも針か。
しかし道具も時間も制限されたこの場所では特殊訓練を受けた彼の悲鳴は勿論顔を歪めさせるのすらきっと困難だ。
叶わない退屈凌ぎを打ち切り溜息を吐きかけたところで見張りの同志、ミンソンの粘つくような視線に気が付いた。
私も温い日本の水に染まりかけていたかと自嘲の笑みが漏れる。
そう、もう一つとびきりの楽しみ方が残っていた。
そわそわと落ち着きの無いミンソンを手招きして下衣を剥ぐように命じると予想通り鼠の顔色が変わった。
咄嗟に閉じようとした膝に手を添えて無理やりに開く。
髪の毛と同じ薄茶色い茂みの下で垂れている幼い陰茎の先を指で擦ってやると必死で身体を捩る。
「無駄だ、腐った国の兵士よ。」
絶望を耳元へ吹き込みながら私自身も下半身に重い熱が確実に集まるのを感じていた。
43 :
2/3:04/01/22 22:47 ID:DDbvqbbo
もしかすると経験が無いのだろうか。
ありきたりな与太を思いつくほどに鼠の反応は初々しくまだ性急だった。
決して巧いとは言えぬミンソンの無骨な掌の中で脈々と熱を育てている。
赤らむ項を眺めるのもそれなりに楽しかったが隠しようも無いほど昂ぶらせてから顎先を掴むと顔を上げさてやった。
彼の視界には敵国の戦士に弄られて汁を滴らせる自身の雄が目に入った事だろう。
それほど間を置かずに咽の奥から引き攣れるような声が響いて弾けた。
憎しみが溢れ自決どころでは無くなった所を見計らい猿轡を外す。
自らの唾液で濡れ布で擦れて赤い唇が何とも煽情的だった。
視線を充分に意識して前を寛げ雄を近づけると初めて鼠が視線を逸らした。
怯えている、と言ってもいいような彼の初めての反応にどうしようもなく昂ぶる。
心までも汚す事を意識して熱を持ち始めた物をすべらかな顔へと擦りつけた。
「や……ッ!やめろ…変態!」
罵倒の声すら心地良い。滲んだ先走りを睫毛に絡ませ勿体ぶってから唇へと寄せた。
少しの間を挟んで何を要求されたか悟った鼠の顔は歪む。
「噛むなよ。噛んだら…そうだな、霞ヶ関に花火の一つでもあげてやるか。」
決まっている返事を待ってやるほど悠長では無い。
そのまま髪を掴んで捻じ込むと小さな顔に見合って狭い口腔が苦しそうに蠢く。
「……ッう…ん…んー、んッ…」
ミンソンに目線で合図をして身体を裏返すと形の良い腰と臀部が目に入った。
「少佐……自分も、もう……」
間を凝視しながら忙しなくチャックを下ろす部下に僅かに侮蔑の笑みを送ると好きにしろと顎でしゃくってやる。
44 :
3/3:04/01/22 22:50 ID:DDbvqbbo
決して寛大ではない自分には似合わない行為を取ったのは徹底的に痛めつけた方が愉しそうだったからだ。
思った通り身体の下で自分の為される事を知った奴の喉奥が恐怖で更に狭まる。
一瞬込み上げる衝動を大きく吐く呼吸で遣り過ごすと充分に育った物を抜きもう一度目前で揺らす。
視線を移すと同志は無理に指で広げた窄まりへと何度も腰をぶつけているが事に及べていない。
孔の硬さと自身に硬度が足りぬのが原因だろう。
「もういい。その辺に擦りつけてぶっ掛けてやれ。」
手本を見せるように意図的に限界を堪えている物を顔の上で何度も扱く。
鼠はいつの間にか静かになっていた。さて、先程見たあの焔はどうなっただろう。
「諦めたのか…?」
興奮で乾く唇を一度舐めてから猛りの先をそのまま白い顔と喉に浴びせ掛けた。
やや遅れて腹から下も同じ物、他人の精液が迸り汚された。
他人の生温かさが気持ち悪いのか何度か身体を揺らした後もう身動きをしなかった。
それでも、まだ瞳はあの光を消してはいなかったのだ。
後始末を命じた後、誰も居ぬ通路を歩きながらヨンファは込み上げる笑いを抑える事が出来なかった。
自分の王国に相応しい部品が見つかった。
あれほど強く、そして同時に柔く脆い部分を持ったあの鼠を王国の騎士にしてやったらどうだろう。
もっと時間を掛けて執拗に。
擦り潰すように捻り潰すようにあの焔を消してやりヨンファ自身が新たに望む物を注ぎ込むのだ。
「悪くはないな……」
そう口に出してみると悪いどころかとても良い考えに思えた。
力のある者が欲しい物を欲しいと言う事の何がいけないのだろう。
規則正しい靴音。暗いいそかぜの通路でヨンファの目も爛々と光を宿らせていた。
戦場はいつでも獣の吐息で満ちている。
45 :
41:04/01/22 22:56 ID:DDbvqbbo
お目汚し失礼しました。
そしてジャンル名が不思議なぶっち切れを…(汗
メル欄に#は使えないのかな。
数少ない同志の存在を願って…_| ̄|○カミサマ
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 過去に作ったAAを801っぽくしてみたよ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| ここに投下させてもらうモナ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ∧∧
| | | | ピッ (・∀・ )(´∀` )(゚Д゚ ) (゚ー゚*)
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ| ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO_とUU0|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
ギコが、彼女と別れた
∧∧ ∧∧
(゚* ) (,,゚Д゚)
(| |) (| |)
| )〜 〜| |
し^J ,し^J
彼女が、レズだったからである
∧ヘ∧_∧
(*"ー)‘∀‘*)
| つと )
〜( / | Y |
(ノJ(__(__)
ホントは、この隙に奪ってしまいたかったけど…
誰かとられる前に、他の恋をギコが見つけるまでに自分のものにしたかったけど
∧_∧
∧∧ (´−` )
(Д;,,) ヽ )
| ヽ Y 人
とUU,,O (_ノ、_ノ
それをしてしまうとこっちが見捨てられてしまいそうで
それで、キレイゴト
| i !
l !
∧∧∧_∧ そばにいるから、泣かないで
(Д;,,) ´∀) ずっと君の
| ヽ つてノ そばにいるから
とUUつ__つつ
ゴルァ…
いつまでも、そばにいるよ
∧∧∧_∧
(Д;,,)´∀` )
| ヽ つてノ
とUUつ__つつ
君に好きな人ができても、あの子のことが忘れられなくても
僕がいるよ 僕が物足りなくても、君の欠けた部分を埋めたいんだ
∧∧ヘ_∧
(Д;,,)` )
| と )
とUUつ、_つ
こうやって、抱きしめていてもいいかい?
,-、 ノ`、
、ー-、__ノ '|ー' |
ヽノ O :|-、 |
、コ j ノ ノ
| (´ ̄ ̄ `、
() `┬− ヽ
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| まぁ、元が友人に別れを告げる魂のシーンだったわけで
____________ \
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | |
| | □ STOP | |
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ∧∧ナンデ ワタシガ ユリ ナノ?
| | | | ピッ (・∀・ )(´Д` ;) (゚Д゚;) (゚ー゚;)
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ| ヽノ__
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO_とUU0|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
カワ(・∀・)イイ
書いたもののドコにも持っていけないので投下。
ポエムです。
夜中、ふと指がもう一つの熱源を探していた。
いるはずのそれが見つからなくて、指は彷徨うばかり。カリカリと畳を掻いて、そこでやっと思い出すのだ。あの男の不在を。
眠れない。
ずっとそうだ。布団の中で目を閉じていても訪れるはずの眠りはやってこず、ぐずぐずと寝返りをうっている間に夜が開けてしまう。やっと手に入れた短い眠りも酷い夢を見るばかりで目覚めはいつも最悪だった。
布団から這い出すと既に夜は明けきっており、忌ま忌ましい程眩しい光が目を灼いた。ホントは無理して起きなくてもよいのだが、そんなことしたらますます夜眠れなくなる。
大きく伸びをしてもすっきりしない頭。今日は先週仕込んだ薬の出来上がりを調べて、よければそれを小分けにして袋に包んで、里に卸す、それからそれから。
ああ、今日も滞りなく一日が過ぎる。
火をおこし、食事をし、また布団をのべた。
横たわりながら、それでも指が彷徨っている。けれど何も見つけられずにその指はぱたりと落ちた。
タイトルはサウダージで。
改行ぐらいしてくれ。
いや、でもよかったよ。
ところで、この板って連続投稿規制とかあったっけ?
10コマ超えるとか、長くなりそうだったら投稿前にこの板の別のスレに
支援要請出すとかした方がいいのかな? 長編板みたいに。
雑談スレとか、終わったスレとか再利用するとかして。
>56
最初に、「○コマ行きます。途中で止まったら連投規制なので、そのままお待ちください。
支援はいりません」
と書いておけば?
かわいかったのでコピペ。
/⌒ヽ プチュッ
/ =゚ω゚)
( つ=||二l=(⌒ ∧_∧
と,,_)_) と c .(* ;д;)っ ))
>>51 モナギコ萌え(*´д`*)
うっかりレズなしぃにも萌えた…
>>56 流石スレで相当長いの貼ってたけど20くらいまでは大丈夫っぽい
人の多い時間に貼って、
>>57の注意書きをしとけばいいんじゃないかな
お借りします、都道府県スレからです。
つーかいまいちですが……まあ、枯れ木も山の賑わいということで。
特に続きがあるとか、そういう意味ではないんですが、ちとわかりづらい
ですかも。
義父(京都)のところに、友人と連れ立って尋ねる東京君です。
説明を中に上手く入れられなくてごめんなさい_| ̄|○
+++++
「よぉ」
「大阪さま」
私と大阪さまの間に、埼玉が体を割り入れる。別にそんなに警戒する
こともないと思うのだが。
「久しいの」
「はい、大阪さまも、今日はなぜこちらに?」
「特に用も無いな。お前は」
「私は義父どのに呼ばれまして」
「そういえば、養子縁組したんだっけな」
「……はい」
いまさら。
がるるるるると、お前もうるさいよ、埼玉。
かこんとししおどしが鳴る。少しだけびくりとして。あーもう、無駄に金
掛かっているよな、とぽつりと呟いたり。まあ、その辺は同感。
「義父と気が合うようにも見えませぬのに」
「まー、大人ってのはいろいろあるもんだ」
えせ狸。
「きょーは、変なコトバ使わないんだなっ」
「黙ってなさいってば」
「ぎゃはははははは」
ほら、笑われてしまうし。
「仲ぁ、いいな」
「全く、うるさいことよ、何事か?」
いつものごとく、ずるっと着流した和装。半端に伸ばした髪、手入れしていないように見せかけて、金かけまくった体だ。
「なんじゃ、大阪か」
「よ、元気かァ?」
「なんで予告もせんと来るかや」
「まーまー、気にすんなや」
「……」
つ、と冷たい視線が廻る。
「なんじゃ、おのれもいたか」
「てめーがっ――
埼玉の口を塞ぐ。わかっていたことだ。知っているよ、けして歓迎なんてされないんだ。
「いえ、義父上もご健勝そうで」
「さあな。見たくもない顔を見せられて」
全部は言わない、嫌味であってもで。
「私は……」
「そうそういつもいつも文句を言わんでも良かろうが、ほんと口の悪いヤツやなぁ」
大阪さまに向けられた言葉ではないことは明らかだったけれど、面白くないのか義父
上は黙って身を翻す。
言い返せとか、埼玉はもう言い飽きてしまったのか、今日は言わない。
ついて行こうとしたら、ぎゅ、と首にしがみつかれた。
腰を上げてくれたら、もっと入るんだけど。
耳元にささやいたら、君の顔が見る見る赤くなって
それから、肘を支えにして少しだけ腰を上げる。
可愛い君。君に恋する人間は多いけれど、
君は僕だけのものだ。少なくとも今は。
やっぱり、初めてなんだね。
頑ななその部分の抵抗を楽しみながら少しずつ奥まで入れて、
それからいきなり動くと君の全身に一気に力が入り、
僕をきつく締め上げる。熱く強く絡みつく。素晴らしい。
わかっているけど聞いてみた。辛い?
少しためらってからうなずく君。肩で息をし、額には汗が浮いている。
辛いんだったら、やめてもいいんだよ。
えちシーンはちょとためらわれるカプなのでここに。
64 :
1/3:04/01/25 23:30 ID:0PIR5Ms2
42でつ。再びお借りします。オサーン同士ですいません。
*****
「内調からいつものメールを承っておりますが…」
公安の隠語を控えめに告げる女性秘書の口元は笑っている。
「市ヶ谷の君へ。暫く逢っていないがその美貌に翳りは…」
「読み上げなくて宜しい。」
それ以上真面目に返事をするのも億劫で目線で捨てろと応えると更にその笑みが深くなってしまった。
四十も半ばを越えた次期局長の唯一の人間臭さとなれば関心が集まるのは必至だが伝言の主、情報室室長はそれを楽しんでいる衒いがある。
己がからかわれているという事以上に奴の思惑に嵌るというのがあまり面白くは無かった。
しかしそれだけで無視をするほど私は大人気ない人間では無い。
奴から送られてくるメールには返信する必要など一切無いのだ。
何故ならば……ああ、そろそろか。扉付近の掛け時計の長針を見ていると勢い良く扉が開いた。
「やあ、市ヶ谷の君。久しぶりだな。」
「内調に篭っている間にあんたも錆付いたか?その呼び方は止めろと何度言った。」
「怒るなよ、次期局長。」
「人事は重要機密事項だ。」
実際は十近く離れていたと思うが内閣調査室という中枢で働く彼の年齢を意識する事は余りない。
だがこんな時、他愛ない言い合いで脂下がっているのを見る度にオヤジめと言ってやりたくなる。
市ヶ谷の狸でさえ顔負けのいやらしいオヤジの顔をしている。
「それじゃあ大輔。」
「名前も止めろ。」
「……我侭だな。」
どっちが我侭だと言いかけて馬鹿馬鹿しくなり開いた口を閉じた。
わざわざメールで先制攻撃をしてから陣中見舞いまでして来る時、彼は例外なく暇なのだ。
仕事を放ってくる事は勿論、決済を残してくるような事も有り得ない。
そしてこちらが本当に忙しい時も来ない。
手が空かないと嘘を吐いてまで追い返すほど彼との付き合いは浅くは無いから結果的に食事なりナニなりに付き合う嵌めになる。
この馬鹿馬鹿しくも正確な情報分析能力が今日の日本を支えているのだと無理矢理納得するようにしている。
65 :
2/3:04/01/25 23:31 ID:0PIR5Ms2
「直接来るならメールは要らんだろう。送って来るな。」
「いいじゃないか。最近パソコン覚えたから送ってみたいんだよ。メル友も居らんしな。」
「私のメールアドレスはホットライン扱いだ。私用で使うな。」
「それなら携帯のメルアド教えてくれよ。」
「持ってない。」
秘書が退出前に入れてくれた珈琲の湯気越しに窓を見る。
気温が下がり植物の色が少なくなって冬に覆われるこの季節は好きだ。
いつの間にか彼も勝手に横に陣取って同じように眺めていた。
「……で、何しに来たんだ?」
戯れに話の先を向けてやるとぱっと表情が明るくなるのが解った。
先ほど心中でオヤジと毒づいて何だがこんな時の顔は少年のようだ。
メールの報告をするたびに顔を綻ばせているあの秘書を始め密かに女性人気が高いのはこういう処からだろう。
「ああ、うん。実は……」
「逢いたくなったなんて寒い事を言ったら叩き出すぞ。
セキュリティゾーンに許可書を持って入ってきたんだから相応の理由があるんだろうな?」
勿論内調トップのパスなら顔見知りに逢うくらいの理由は裁量内だが今日は何となく論いたくなった。
いつも手玉に取られていてはどうも収まりが悪い。
五十を過ぎて尚、まだ精悍と言うに相応しい目がゆっくりと弧を描いて笑う。
カップをテーブルに戻した後の敬礼は妙に芝居がかっていた。
「勿論だ、副局長。是非貴方に渡さねばならない物を運搬してきた。」
新しい言い訳だと少し驚く。
いつもはここでへらへらなあなあと笑って誤魔化すのが彼の手口なのだ。
尤もそれはいつも誤魔化される私にも問題があるのだが……。
そんな此方の様子など気にする事も無く彼は内ポケットを探っている。
内ポケットに入るなら新型記憶媒体か、それとも原始的に指令書か。
66 :
3/3:04/01/25 23:33 ID:0PIR5Ms2
「馬鹿か。それこそメールで送ればいい。」
「いや、これは直接では無いと……あっ!」
言葉と手の動きが止まりぱっと視線が下がる。
何だ、何を落としたのだと思わず同じ所に視線を向けると不意に視界を掌で遮られた。
ああ、またやられた。そう思う間もなく少し煙草の味がする唇を重ねられてしまった。
「……で、何を持ってきたんだって?」
張り倒したくなったがそれをすればその反応を喜びそうなのでできるだけ冷静に振舞う。
「聞くなよ、野暮。もう渡しただろう。」
こいつは馬鹿だ。オヤジの癖に乙女な大馬鹿だ。
「こんなつまらん物は返品したいんだがな……」
眉間の皺で不機嫌バロメーターの針の振り切れ具合を示した積りが奴は変わらずにやにやと笑っている。
「今日は大胆だな、副局長。貴方から……」
馬鹿めと言うより先にまた同じ物が重なった。ああ、また丸め込まれてしまった。
ところで彼の口惚けが頗る巧いのと口が巧いのは何か関係があるのだろうか。
他愛ない思考を他所に年季の入った空調機がゴウゴウと音を立てていた。
*****
67 :
64:04/01/25 23:35 ID:0PIR5Ms2
ああ、またシパーイしてる……。
すいません。二行目の「公安の隠語を」の部分削ってくだちい
何で残ってるんだ(鬱
>67
でも、「公安の隠語」があったおかげで「内調」とあってもすぐ
「内閣調査室」(だっけ?)かな〜と想像つきましたが……
本当は隠語でも何でもなかったってことだったのかなー?
ジャンル知らない(メル欄見ても判らなかったw)のですが(゚д゚)ウマーと思いますた。
うん。元ネタはわからなかったし自分はわりと少年萌えなのですが
リーマン…イイ!(*´∀`)となりますた。
70 :
64=67:04/01/28 16:00 ID:90nxZMl/
>68
メル欄は 福#日青毎攵作品 と入れたつもりが#の後ろから全部消えてしまいました
攻の所属部署が公/安ではなく内/調なんでつ
九段(公/安)をJCIA(内/調)に書き換えようとして変な風に残してしまい(欝
しかも人物一覧で確認したら受は副局長ではなく本部長…アチャー(ノД`)漏れのバーヤバーヤ!スイコウシロ!
オサーンカポーが楽しくてたまらんのでもう一個投下
71 :
1/4:04/01/28 16:02 ID:90nxZMl/
国道の両脇に生る橙色の光が彼の顔を染めている。
眦でちらちらと動く影は男の割に長い睫毛が作っているらしい。
酒の匂いが微かにする唇は瑞瑞しく濡れて紅を注した女のそれとは違う色気を感じさせる。
その滑りが自分自身が信号待ちの隙に噛み付いた名残だと思い出せばと尚昂ぶるものが在った。
「狸は何と言ってた?」
不機嫌そうな視線が一瞬だけこちらを向いてまた窓の外へと戻る。
一人では胸に収めきれない事があったんだろうと呼び出された時から分かっていた。
終電に乗り遅れたなんて今時処女でも使わない口実だ。
言葉を捜すように薄く開いたままだった唇が漸く動く。
「次の局長選挙には出るつもりはない、と。
局内から他に候補を立てるつもりもないと言われた。」
狸と揶揄される腹の裏側まで黒い男が方法はともかく身を切って誠意を示す気なのだ。
案外やるじゃないか、古狸。
そんな気持ちを込めて細く口笛を吹くとじろりと睨まれた。
「勿論断った。俺は上に立つ器も図々しさもないからな。」
育ちの良さを思わせる細い指が腿の上でトントンとリズムを取っている。
直接上司にはぶつけられない苛立ち半分、足代を勝手に頂戴した俺への怒り半分といったところだろうか。
けれどいつもの彼からすれば感情的になり過ぎているように見える。
怒りを自己意思で抑え他にその分のエネルギーを回せる男だった筈だが……。
72 :
2/4:04/01/28 16:04 ID:90nxZMl/
「あの絵……「救出」を置いて黙ってるんだ。」
拗ねた子供のようにぽつりと呟いたその一言で合点がいき嗚呼と思わず相槌の声が漏れた。
なるほど。それを出されたなら彼はもう断れない。
ずるい、と子供のように小さな声が零れてすぐに消えた。
それは関わった者全ての心に深く残っている傷だった。
触れずに覆い隠してしまえばいつか癒えて忘れるという種類の傷ではない。
そこまで見抜いている古狸は敢えてその傷を剥く痛み、つまり償いの機会を与えるつもりなのだろう。
しかし彼はその与えられた機会で償い、やがて許される事を恐れているように見えた。
言葉に出して確かめたはしなかったが命で贖おうと思った事は一度や二度ではなかった筈だ。
遺書代わりの辞表を撤回した今でも彼は心の中に誰も入らせない隠れ家を持ちそこで絶えず己を責め続けているに違いない。
「本当……参るよな。俺にどの面下げて登庁しろってんだ。」
「堂々としてりゃいいさ。
お前に責任が無いわけじゃないがお前だけの責任でもない
一人で背負い込むな。」
「狸と同じ事言いやがる。さてはお前らグルか?」
つまらん悪態に一つ鼻を鳴らすと窓を開けて近くなった海の匂いを招き入れる。
懐かしくも哀しいこの香りが俺の拙い言葉の代わりに彼を包んでくれれば良いのにと思う。
「……よく見ろ、イソカゼ。これが人間だ。」
あの時は血が煮えるほど立腹したヨンファの言葉を口真似て海の底へと沈んだ艦の名を呼ぶ。
その隙に動きの止まった指先を捕えるとそのまま俺の股座に導いてやった。
運転が疎かになるほどではないがしっかりと硬さが生まれている処だ。
73 :
3/4:04/01/28 16:06 ID:90nxZMl/
予想の通り育ちの良い彼は突然の痴漢めいた行動に言葉すら無いらしい。
可愛らしさに思わず漏れる笑いを咽で止めながら言葉を続ける。
「責任の一つ取るわけでもなくのうのうと室長の椅子に座って飯喰って酒飲んで…」
「……お前に責任はない。」
「黙って聞けよ。
その上惚れた奴にキスしたくらいで勃てて本当に救いようが無い、これが人間だ。」
……許してやりたいのだ、俺は。
74 :
4/4:04/01/28 16:08 ID:90nxZMl/
「けど、生きていては駄目か。生きていく限り償う、償いたいと思う。
だから……生きていたら駄目か?」
俺は、そしてお前は生きていては駄目なのか。
これから先、決して許しはしない彼自身の代わりに許してやりたい。
ああ、プロポーズでもこんなには緊張しないだろう。
「……馬鹿め。」
掠れたようなささやかな声は確かに駄目じゃない、とそう続いた。
「馬鹿で結構。」
若い工作員が描いたあの絵と同じようにできるだけ真っ直ぐ前を見詰めたつもりだったが正直者の一物に熱が集まって巧くいかない。
人間云々よりも俺という男の救われなさに内心呆れたがそれを笑う余裕もある。
馬鹿で、スケベで、どうしようもないなりに生きていこうと思う。
フロントガラスの遠くには海も空もわからない暗闇が広がっていたがそれがやがて明ける事を俺達は知っている。
75 :
1/4:04/01/29 01:17 ID:P8+LtAhp
昇天出演者の小説です…。
楽屋の中には紫煙が立ち込めている。
しかしこの痩せた老人が入った途端、それは薄くなるのだ。
「ああ、お早うございます」
入ってきた人物に気づくと男は、立ち上がって深く礼をする。
老人は同じように礼をすると、男の横に腰を下ろした。
「何、まだやめられないんかよ」
机の上の灰皿を見て老人が言う。
短くなるまで吸われた煙草が、皿からはみ出そうに積まれている。
「ええ、時々止めようと思って箱を全部捨てちまうんですがね…3時間も持ちませんね」
「ははっ、禁断症状出てごみ箱あさるんかい?
健康にうるさいアンタがそんなんじゃあねえ。いつか肺ガンになっても知りませんよ。」
76 :
2/4:04/01/29 01:18 ID:P8+LtAhp
弟子が慎重に柳色の着物を運んできた。
着替えようと老人が大きめのセーターを脱ぐと、細い手首が露になる。
男はじっとそれを見つめた。
「…そんな師匠こそ、転んで骨3つも4つも折らないでくださいよ」
「なぁに言ってんだよ」
セーターを脱いで薄いシャツ一枚になった身体は薄く今にも倒れそうで、
男は思わず近づき、支えるような手つきをしてしまった。
「何だよ」
「…いえ…何となく、」
男は自分でもその行動の意味がわからずに苦笑いをした。
77 :
3/4:04/01/29 01:19 ID:P8+LtAhp
本当はきっとこの人もわかっているはずだ。
葬式をあげるだの、生きる屍だのと悪態をつくのは
この老人のことが愛しくて仕方ないからだということを。
そしてこの人も、そんな小学生の意地悪みたいなやりとりを
嬉しく思ってくれていることを自分は知っている。
誰よりこの人の傍にいることがいちばん幸せなのを、
ようやく自覚できるようになってきた。
「…ねえ師匠、たまには温泉にでも行きましょうか」
「アンタと2人でかい?
いいねえ、お前さんの黒い腹がじかに見れんのか」
老人はふふっと笑った。
目尻の皺が増えて、喜ばれているのがわかる。
3月の独演会が終わればスケジュールにも少し空きがある。
大体いつ頃にしましょうか、と切り出そうとした時、「出番です」と声が掛かった。
立ち上がり、老人の後に付いて歩く。
廊下には、他の出演者たちが着替えを済ませ立っていた。
78 :
4/4:04/01/29 01:24 ID:P8+LtAhp
バタバタとスタッフたちが走りまわるなか、
老人はゆっくりとこちらを向いて
「桜の咲くころにしましょう」
それだけ言って足早に舞台のほうへ向かっていってしまった。
その後の僕は不謹慎ながら舞台へ上がっている間もずっと、
四月の桜の情景ばかりが頭の中を占領してしまっていた。
_______________________________________
小説なんか普段書かないもんで、
大変稚拙な文章で申し訳ない…__| ̄|○
79 :
1/2:04/01/29 03:07 ID:1pXQZgih
萌吐き捨て御免!
「ったく、何でそうスパスパスパスパ俺の前でやるかねえ。」
「いいじゃないですか食後ぐらい!食べた後の一服は俺の至福の時なんですよ。」
食事時の酒も手伝ってか平時以上にニコニコとしながら話している。ムカつく事この上ない。
「でも食後の煙草って何でこんなに美味しいんでしょうね〜?」
「・・・知るかっ!」
脇に置いた鞄をガサゴソと探りながら後輩に向けて言い放つ。
そして、あいにくと目当てのモノは見つからない。切らしてしまったようだ。
短く溜息を吐くとゴロリと仰向けになった。
年季の入った宿の染み付いた天井が目に入る。
「あ、先輩・・・飴なくなっちゃったんですか?」
うるせえな、もう今日は疲れたんだよ。このまま寝ちまおう。
「あれ?先輩?」
横になると本当に疲れていたらしくすぐに眠気が襲ってきた。もう動くのさえ億劫だ。
後輩よ、お前ももう寝ちまえ。
炬燵の反対側ではガサガサ音がする。もうあいつも寝るのだろう。
意識を手放そうとした瞬間、顔の上が陰った。と、同時に甘い匂い。
80 :
2/2:04/01/29 03:08 ID:1pXQZgih
「はいっ、先輩飴ですよ〜!」
目の前にはピンク色の飴玉。それとニコニコと力の抜ける様な笑顔を浮かべた男。
・・・なんつーアホ面だ。
「どうぞ〜!」
寝転がったままの俺の口の中にその飴玉を突っ込まれた。
甘い。俺のいつものノンシュガー喉飴とは違う。
とりあえず寝転がったまま飴を舐めるのは危ないので起き上がった。
「先輩!」
「んあ?」
「明日も頑張りましょうね。」
「・・・あぁ。とりあえずもう寝るぞ。明日も早いからな。」
「はい!」
でかすぎる後輩の返事を聞きながら俺は改めて炬燵に潜り直した。
ガリッと噛んだ飴玉が二つに割れた。
>75-78
焦点のあの二人のやりとりをいつも
イチャイチャシヤガッテ…モエーと見ていたもので
大変美味しく頂きました。GJ!!!!
すごい投下ラッシュキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
>75-78
も、萌えますた……!(;´д`)ハァハァ……ンッ!
>79-80
後輩刑事くんの満面の笑みが見えたよ。
ほのぼの萌え。
>83
有難う御座います・・・!初SSでした。萌えって言って頂けて嬉しすぎです(*´∀`)
しかし文を書くってのは難しいんですね。改めてサイト持ちの姐さん方尊敬します。
萌えただけじゃ文は出てこない・・・!!
>84
何言ってんの84タン!!
エライ萌えだよー初めて書いたとは思えないよー
元ネタは知らないけど、こういう雰囲気スゴイ好きだから
読めて嬉しかったよ(*゚Д゚*)
何も身に着けていないその身体を、無防備にあお向けている。
(ここは、どこだ。自分は、何をしている?)
疑問が浮かんでも、それはすぐに霧散する。
投げ出した手足が覚えるのは、不思議な触感。
絹のような、水のような、とろりとした柔らかな処。
もはや寝ているのか、浮かんでいるのか、それとも沈んでいるのかすらわからない。
意識が溶けてゆく。
その空間に。
深く、暗い、闇の中へ。
心地良い。胎内とはこういうものなものかもしれない。
手足を存分に伸ばし、その感覚を楽しむ。
満たされる。そして、堕ちてゆく。
突然、冷たいものが頬を触った。
目を開けるとそこには、伯爵がいる。
急激に戻る意識と感覚。
しかし、それは不快ではなかった・・・何故か。
冷たい指が頬から顎を伝い、首へと辿る。
ミカエルが目を覚ましたのに気づくと、伯爵は顔を覗き込むように見つめる。
血の色をしたその目には、先ほどよりも深い闇が広がっていた。
“闇は魅力を司る”
思わず、その言葉を思い出す。
触れていた手を下げ、伯爵が寝台に腰掛ける。
身体を起こしたミカエルに、レオニードが尋ねた。
「気分はいかがです?」
振り向くようなかたちで自分を見つめるその目に、吸い寄せられる。
「お蔭様で。」
ミカエルは軽く息をつくと目をそらし、窓の外を眺めた。
吹雪いている。
冬の長いこの地が、最も寒い季節を迎えようとしていた。
体力が落ちていたのだろう。ミカエルはそのまま床に伏せた。
高い熱を出し、起き上がることさえできない。
麓でも似た症状の者がいることを蝙蝠が伝える。
「流行り病か!」
レオニードが忌々しげに言う。
麓では既に、病による死者もでていた。
現在城を出入りするのは、食料や日用品を背負って運ぶ者だけである。
麓での流行を示すかのように、数日ごとに違う者が運んでいた。
「当分の間、人間達の出入りを禁じよ。」
貯蔵に耐える食料を運ばせた後は、城の門を閉ざす。
これ以上、他の病気まで持ち込まれては困る。
ミカエルの病状は、一進一退を繰り返していた。
寝込んだ彼を見ているのは、辛いものがある。
人間でない自分や妖精たちが、病に侵されることはないからだ。
ミカエルの部屋を暖かくし、妖精に付きっきりの看護をさせる。
身体の汗を拭き、水を飲ませ、彼の回復を祈る。
熱が高いのだろう。
寝返りと共に苦しげな息を漏らしたミカエルが、手を寝台から出した。
普段の彼からは想像の出来ぬ姿。
思わず手を握り、もう一方の手も添える。
子供のように軽く握り返され、落ち着いたような息が聞こえた。
その晩は、手を握ったまま眠った。
翌朝、ようやくミカエルの熱が下がった。
身体を起こした彼は、はにかんだ笑みを見せた。
「申し訳ない・・・。」
自分の健康管理の拙さと、もう一つの理由。
彼は、ずっと自分の側にいた者を知っていた。
入れ替わりで看病をする妖精の他に、部屋にいた者。
その記憶に残るのは、氷のように冷たい手。
いつもお世話になってますー。
遅筆ではありますが、ぼちぼちうpっていきます。
大筋と結末は決まってるのに、
何故こんなにも書くのが遅いのだろう・・・。
>88
(*´Д`)ハァハァさせて戴いております。
91 :
1/2:04/02/02 12:06 ID:ig/j6HJH
いつもお世話になります。お借りしますね。
一応版権(メル欄)・昭和海軍
*****
すぐ目の前にあるのは男の汗ばんだ肌。
その向こうには彼の肩に切り取られた天井。
力を抜くようにしてゆっくりと瞼を閉じれば透けて見えるのは己の血管で今はまだお天道様も高い真昼間だと思い出す。
こんな時間から男を咥えこむ恥知らずにも陽は降り注ぐのだなとぼんやり思った。
それは実際、不思議な感覚だった。
神経に近い肉を擦られる確かに快感はある。
下半身はあの独特の重さで包まれているし男根は恥ずかしい程の水音を立てて腹の間で揺れている。
それなのに芯は少しも熱くなっていないなとどこかで考えているのだ。
排泄の器官を懸命に穿つこの男を嘲笑したら俺は気が振れたと思われるだろうか
……嗚呼。
様々思い巡らしながら息を吐くと身体の中の雄がまた膨らむのを感じる。
「構わん。……中で、出せ。」
ああとかうんとかよく分からぬ言葉を漏らしてから唇を重ねてくる。
彼はいつも達する刹那、唇を重ねる。
子供のようだなと思ううちに律動が早まり互いの息が詰まった。
やがて来る溶けて消えてしまうようなこの錯覚を俺は結構好いていた。
「次から、鉄兜(※軍支給のコンドーム)使うか。」
終わった後の股座を覗き込んで何を言い出すかと思えばそんな事かと俺は笑う。
腹に力が入ったからかまだ生温い男の精が畳の上に零れた。
「女じゃあるまいし、要らん。」
文官にまで貧乏根性と揶揄されるこの男が色街で病を貰ってくる事もあるまい。
孕むことの無い俺の腹を気遣う人の善さにもう一度声をあげて笑ってやった。
92 :
2/2:04/02/02 12:08 ID:ig/j6HJH
俺が本当に欲しいのは何だろうか。
何を求めてこの男に縋り声を枯らすほど哭いているんだろう。
それは国に帰ってきてから何度となく繰り返し考えている事だった。
けれどいつも途中で飽きてしまう。答など無いのかもしれない。
退屈しのぎに遠慮がちに後始末をしている彼の指を退けさせて自ら孔を引き広げた。
「舌が良い。舐めて清めろ。」
窄まりから零れる感触に思わず身震いをする。
間も無く彼の舌がそこに触れた。
静かな部屋の中で音になりきれない吐息が咽の奥から漏れて響いた。
さて俺は笑っているのだろうか、泣いているのだろうか。
ただ一つ知っていることが在る。
俺はまだあの南方の茂みの中に居るのだ。
この温く湿った熱に包まれて。
>91、92
あちらで「読みたい」と言った者です。
この後の二人を思うと切なくて泣けてきます。
初めて読んだこのカプのSSが姐さんの作品でよかった〜
萌え萌え(*´Д`)ハァハァな中を失礼します。
ワケワカランな上、暗さと肉片の飛び散り様に
書きながら自分で(((;TДT))ガクガクブルブル
なのでこちらでひっそり投下させて頂きたく…
炸裂音。
肩に、腕を持っていかれたのではと思う程の衝撃が走った。見れば腕は
振動に合わせてぶらぶらと揺れ、今にも千切れそうな有様だった。面白い
くらいに血液が赤く噴出している。前方にも後方にも何も無く、自分が追い
駆けているのか追われているのかの区別もつかない。それでも走らねば
ならなかった。理由はわからないが、とにかく走らなければどうにかなって
しまうのだろう。
気配を感じて目を凝らせば、ずっと前方で空気が凝り固まって人になった。
自分と同じ軍服を着た兵士だった。方膝を落とした彼が構えたライフルは
真っ直ぐ向けられ、黒い点が染みのように見える。
炸裂音。
心臓を貫いたらしい衝撃に上体が反り返ったが、やはり足は止まらない。
身体を置いていこうとでもいうのか、狂ったように動き続けている。嗚呼、
なんと恐ろしい足だろう。この足は何故走らねばならないのだろう。何故止
まらないのだろう。
黒い染みに腹を突き抜かれ、そのままライフルと共に男が体の中を通り
抜ける。心臓はとうに動きを止めているのに、この足とこの考える頭は別の
生き物のようだった。何も無い場所を走り続けるうちに、いつの間にか腕を
どこかに落としてきたことに気付く。腕には用が無いので構わないのだろう、
足は気にせず走っている。
炸裂音。
今度は額が破裂した。後ろに赤い霧を振り撒く頭ががくんと仰け反り反動
で起き上がった。前方であのライフルの男が立ち上がり、溶けるように消えた。
起き上がった頭は残った瞳に捕らえていた。溶けた男が別の男に姿を変えて
凝り固まったのを。
炸裂音。
どこに中ったのかはもう分からなかった。足はただただ走り続けるばかりで
上のことについては何一つ思わないらしかった。
新しく現れたのは随分と神経質そうな男だった。実際その男は神経質だった。
真っ直ぐと立ち、背筋が伸び、すっとのばした片腕の先には拳銃が握られていた。
着痩せして見える。知っている男だ。上官だった。今もそうだ。信頼していた頃も
あった。優しい頃もあった。あったと思うが、どうだっただろうか。
(我々は命令に従っているだけだ。)
男がそう言ったのが聞えた。その言葉に怒る程の余裕は最早この身体には
残っていなかった。動いているのは足だけだ。猛進している。銃口に向かって。
早く次を撃てばいい!そう叫びたくとも声を出す器官は働かなかった。撃てば
いいのだ、この足を止めればいい。お前の指のほんの少しの動きが、やっと
この足を止めるのだ。撃ってくれ!お前は人を撃つことには慣れているのだ
から、死に損いにとどめを。
炸裂音。
足は止まらない。眼球が吹き飛ぶ寸前に男の顔が目前に迫り、下半分に
なった頭を透け、男がその場に取り残された。宙を舞う眼球の破片が
遠ざかって行く身体を見つめている。足は止まらなかった。男が振り返り、
走り去る男に銃を向けた。撃て!
「撃て!」
驚いて飛び起きるとそこはいつもの寝室だった。心臓の音がすぐ耳元でドク
ドクと騒がしい。冷たい汗が髪を伝って背中へ流れ、その感触が滑る指のよう
で不快感に体が震えた。
部屋の本来の主はもう部屋を出たのか気配がない。落ち着こうとして身体を
戻すと、汗を吸ったシーツはじっとりと冷たかった。
「死に損った」
また、死に損ったのだ。何年も見続けた同じ夢は、いつも自分を殺してくれない。
どうせなら殺されてから目覚めたかった。いや、そのまま目覚める必要もない。
なのに何故この夢はいつも中途半端に生かしておくのか。
一度笑い始めるともう止まらなかった。声こそ出さなかったが、可笑しさが
後から後から込み上げて、しばらくの間、胸や喉を痙攣させるように笑った。
98 :
95:04/02/06 19:45 ID:9kuOokJY
「走り去る男に銃を向けた。撃て!」ではなく
「走り去る身体に銃を向けた。撃て!」でした_| ̄|○
侍の飲んだくれさんはこんな夢見てたんじゃないかなー、と思ったので。
こんな夢見たくねぇです(((;TДT))コエーヨ…
回復してからのミカエルは、剣の稽古にも力を入れるようになった。
それまでも時々一人で稽古をしていたが、その比ではない。
今までは見るだけであったレオニードも、相手を務める。
一通りの武術をこなす伯爵は、ミカエルに合わせて小剣を使う。
師というよりは敵として接するレオニードが、稽古後には的確な指導を入れる。
それが良い状態であるらしく、元々ある程度の基礎を習得しているミカエルが伸びてきた。
一日のうちの短い時間ではあるが、毎日繰り返されるそれは着実に成果を残す。
「指導者となる者が、ここまで使えるのは・・・な。」
可とも不可ともとれぬ物言いで、レオニードがクスリと笑う。
護身術としてならば、充分すぎる程であろう。
しかしレオニードは、彼が左腕に持つ薄い傷跡を知っていた。
幼い頃、兄妹でいるところを刺客に狙われ負った傷だ。
そのとき彼は負傷しながらも応戦した後、無傷の妹に無事を問うたという。
「強すぎる、ということはありませんから。」
事も無げに、ミカエルが答える。
彼だからこそ、その言葉に納得がゆく。
守るべきものを持つということ。
それは妹であり、国であり。
そして・・・。
この若者の横顔は、何も語らない。
だが感じる。
この者は、守るだけではない。
だから、強くなろうとするのだと。
身体も、心も。
近いうちに、城の蔵書は読み尽くされるだろう。
この若者によって。
それが自分は待ち遠しく、そして・・・その日が来なければ良いと思う。
議論を交わし、
剣を交え、
時に自分の知識を与えながら、
そんな日々が続けば良いと思っていた。
海綿が水を吸うように、何もかもを吸収してゆく。
知識も、剣も、そして経験も。
最近では葡萄酒を飲みながら打ち解けた話もするようになっていた。
ロアーヌや、家族の話。
魔王や聖王の話。
部下や妖精に囲まれた生活で、友と言える存在もない。
二人とも今まで、このような事を話す相手がいなかった。
だからこそ今、それまでの孤独を思い知らされる。
二人の距離が、急速に縮まっていく気がした。
その関係が一時のものであることは、わかっていた筈なのだが。
ある日窓の外を見ると、雪が溶け、道がぬかるみ始めていた。
レオニードが眉をひそめる。
良くないものを見てしまったかのように。
ポドールイの町と、この城を繋ぐ道。
それはなかなかに険しい山道である。
その道は馬車で通るとこのできる期間が短い。
険しさのために、雪が積もると車輪が滑ってしまうからだ。
普段は人が歩くか、馬や牛が荷を運ぶ。
高貴なるこの者を運んできたのは、馬車であった。
道が乾けばその馬車が、またやってくる。
相変わらずマイペース投下中。
読んでくださってる方、どうもですー。
誠に美文でございます。
誠に美文でございます。
あわわ。思い余って
二重投稿。すみません
>101
ヒソーリコソーリ萌えさせていただいております。
そのうち王様主人公で萌えプレイしてみようかと。
なんなんですか、前スレのあの基地外は。
>106
とっくに終わったスレにレスする馬鹿がいたからでしょ。
もうちょっと放置してたら落ちたかもしれないのに。
ま、圧縮来る前に書き込めなくなって一安心。
道が乾いた。
よく晴れた日。
馬車が到着し、使いの者が城へ入った。
豪華な土産物を広げながら、使者がロアーヌ侯フランツの言葉を伝える。
それは感謝の言葉であり、国の更なる発展を祈るといった月並みなものであった。
伯爵は丁寧にそれを受けながらも、内容に耳を傾けてはいなかった。
ミカエルの荷物が次々と運び出される。
やがて彼自身も使者と共に礼を述べ、玉座の間を去った。
悲しみや虚しささえ沸いてはこない。
初めから、一年と決まっていたことなのだから。
外に出たミカエルが、使者と打ち合わせをした後で言った。
「帰る前にもう一度、伯爵のところへ行ってくる。」
吸血鬼の城へ一人で向かうことを心配した御者が、慌てて止めようとする。
「私は一年間ここにいたのだ。危険など無い。」
自信に満ち溢れた笑顔。
御者は門の前で待つ旨を伝えた。
颯爽と城へ向かうミカエル。
使者はその後ろ姿を見て、一年前との違いに気づいた。
前から賢さと、ある種の鋭さを持った少年であった。
それが今では指導者としての魅力まで感じられるのだから。
この城へ行く事で、吸血鬼にされると恐れていた者もいたというのに。
僅か一年での、この成長振りはどうだろう。
「貴方の選択は、間違いでなかったようだ・・・。」
幼い頃からの友として、そして君主として。
その判断の正しさを、嬉しく思う。
ロアーヌ侯爵フランツが、息子をこの地へ送ったことを。
玉座には、誰もいなかった。
「行くのですか?」
扉の付近で声がする。
ミカエルは振り返ることなく、薄く笑った。
背後からまわされる冷たい腕。
首筋に感じる息。
「好きになさるがいい。」
目を閉じて答える。
できる限り、冷たく。
髪を払い、うなじを露にする。
そう・・・咬むのなら今のうちだと言うように。
少し俯き、より咬みやすいであろう姿勢をとる。
「・・・行くがいい。」
吸血鬼というよりは、伯爵として。
人に魅せられた、滑稽な者として。
絞り出すような、その声で。
「太陽の王となる貴方へ、一つだけ言葉を贈ろう。」
振り向いたその目を、見つめながら。
「太陽の光は強すぎて、時に暗い影を生み出すだろう。」
ミカエルがゆっくりと頷き、そして微笑む。
もう、何も話すことは無かった。
心からの感謝を込め一礼すると、彼は城を出た。
その姿を窓から眺める。
馬車に乗り、駆けて行く。
見えなくなった時、伯爵はカーテンを閉めた。
もう、彼は帰らない。
玉座にもたれるように座り、上を向く。
固く閉ざしたその目は、溢れそうになる何かを堪えていた。
さて、まだ続きます。
以降はゲームのネタバレを含みますのでお気をつけください。
読んでくださってる姐さま方に多謝!
続きますか。期待。(;´Д`)ハァハァ
>109-110
元ネタ知らないんだけど(作者の姐さんスマソ)すごい萌える。
実は連載楽しみにしてます。ハァハァ
いつも乙です。イイ萌えを戴いております。
ほ、本編に繋がるんですか…(*´Д`)ハァハァ
禿しく期待。
読んで下さってる姐さま方、どうもありがとうございます。
まさか元ネタをご存知ない方まで読んで下さってるとは・・・。
嬉しくもあり、恥ずかしくもあり。
ゲームの公式サイト(□)で主人公イラストを見たら、
タンビー路線に走りたくなる理由がわかるかもしれませんw
さて、今回よりゲーム本編に繋がるのですが、
ストーリーに若干手を加えているのはお約束ということで勘弁してください。
路線はミカエル主人公+αといったところです。
城は、元の状態に戻った。
怠惰な時。退廃の空間。
今まで生きてきた年月より長く感じる月日。
元に戻っただけであるのに、苦しいほどに思い知らされる味気無さ。
呪わしく思える、永遠の命。
ある日蝙蝠が外の状況を伝える中に、懐かしい名を聞いた。
ロアーヌ侯フランツが亡くなり、嫡子ミカエルがその座を継いだというものだった。
そしてそれに対する不満分子が、彼を抹殺すべく立ち上がったという。
怠惰と退廃を打ち破る足音が、近づいていた。
城の門を開けると、数名の若者が入ってくる。
その内の一人に、彼の面影をみた。
彼女の名は、モニカ=アウスバッハ。
侯爵よりもやや甘く、緩やかに弧を描く唇。
「そなたの祖、ヒルダよりも美しい。」
世辞ではない。
ただ自分にはそれより魅力を感じる者がいるだけのことだ。
侯の存在さえ知らねば、彼女の首に印をつけることだろう。
細い首、薄い皮膚。
その血はさぞかし美味だろう。
惜しい気もするが、彼女を味わうには失うものが多すぎる。
モニカ姫の隣には、彼女を守るべく緑髪の青年が立っていた。
彼女を守るためなら、どんな目にあっても挫けないという気概を漲らせた瞳。
それは自分の知る気高き男とは異なる性質の意思力だ。
青年の属性もまた、太陽だった。
クスリと笑う。
太陽は良くない。
モニカ姫を見て、そう思う。
太陽は、人に影響を与えすぎてしまうから。
彼女は苦労することだろう。
輝ける兄の後を追うが故に。
モニカ姫の挨拶と、戦が終わるまで城に匿って欲しいという依頼。
快く滞在を許可すると、姫はほっとしたように微笑んだ。
ここまでの道中、気を張っていたのだろう。
客人を部屋に通すと、彼は自室に向かった。
蝙蝠が彼らの様子を伝えるのを耳にして、薄く笑う。
「この城は怖い、か。」
青年達は部屋の外で見張り役を務めるようだ。
少女達が眠りに就いたのを確認すると、音も無く部屋を出た。
城のバルコニーに立つ。
冷たい風が、侯爵の苦境を伝えた。
表情が曇る。
葡萄酒の瓶を手に取るが、飲まずに戻す。
後は信じるだけだ。
あの者の力を。
そう思うと、急に笑みが浮かぶ。
ならば案ずることはない。
城の蔵書を一年で読み尽くした知力。
この身さえも惹かれてしまう魅力。
貴族としては意外なほどに、小剣に長けた技力。
そして、意志力の強さ。
「見せてみよ。」
その持てる力を、信じる者に。
天を仰ぎ、風に吹かれる。
その姿を、月の光が浮かび上がらせていた。
同じ天を仰ぎながら、一人の男が薄く笑った。
「まさかあの時、あの名前が真っ先に浮かぶとは、な。」
普通、妹へ向かって吸血鬼の城へ行けと言う兄はいないだろう。
だが今は、他に思い当たる避難場所が無いのも事実であった。
「そう・・・あの地なら、安心だ。」
流れが止まったねぇ。
またクッキー食い残しだ…_| ̄|○
121 :
風と木の名無しさん:04/02/22 18:19 ID:6gBnbIGj
下がりすぎage
あああ、規制だのいろいろあって久しぶりに来たらLxMの続編が!
妹をあずけるにはよほどの信頼があるんだろうとか、リアルタイムで萌え仲間と話していた内容が
最萌の形で見られる日が来ている感覚!正直感動しています。
1
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 流石スレに投稿していた「ぶっとび!! FMVの人物紹介だよ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| ちょっとこちらをお借りするモナ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ∧∧
| | | | ピッ (・∀・ )(´∀` )(゚Д゚ ) (゚ー゚*)
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ| ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO_とUU0|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
〜FMV5555G/T NB”HUUN”「兄者」〜
∧_∧
(´く_` )
/ /⌒ヽ
_/⌒/⌒/ / |__
/ (つ /_/ /\ | /\
/ (_____/ ヽ/ \
/| ̄ ̄  ̄ ̄|\ /
/ | FMV | \/
| |/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧_∧
( ;´_>
/′ ⌒丶
弟者が逝きのいいFMV売りから買った八頭身型PC。
活性細胞をメモリに変換して動作するため
しょっちゅう弟者に「インストール」を強要している。
〜EPSON機「モナ」〜
) ∧_
( (<`
・━(⌒ヽ /⌒ ∧_∧
ヽ \/ / ( *´Д`)
\_/| i⌒i 丶
| | EP |
| | SON|
八頭身タイプ中最高の通信機能を誇る。
毎晩インストールしてもらっているおかげらしい。
街で偶然知り合って以来、弟者たちとは
何かとつるむ機会が多い。
〜MAC三兄弟〜
/⌒\
彡三 ミ ( )
( ・∀・ ) | | ←MAC専用ツール
/ \ | | エレクチオンセーバー
| l MAC l | ./\|_____.|/ヽ
∧_∧ ∧ ∧
( ・∀・) ミ゚Д゚ ;彡
/ ヽ / \
| | MAC | | MAC l |
日本の八頭身型PCを全てUSA製にしようと
企んでいる。
最初は兄者らと対立していたが、なんだかんだ言って
イイ奴らである。
〜FMV5555G/T NH”GIKO”「ギコ」〜
∧ ∧
(゚Д゚,,)
/ \
|FMV | |
八頭身型FMVのハイエンド機。外装メモリが使える。
オーナーの命で産業スパイ活動のため
ネットワークの疑似分子空間でハッキングしている。
〜FMV5555G/T NH”GIKO”「擬古」〜
∧ ∧
(゚Д゚ )
/ y \
| / | )
表向きは擬古目コンツェルン会長未亡人(?)
会長の死の際にマスターリセットされず
永久動作を命じられたため、活性細胞を
インストールしない状態で稼働している。
〜FMV5555G/T RS”TUU”〜
∧ ∧
(゚∀゚*) アヒャー
/ \
|FMV | |
名称不詳。
何人もの人間によってインストールされたせいで
アヒャってしまった悲劇のPC。
最期は兄者に頼んで消滅処分して貰った。
〜テニス部部長(初期型NB)〜
∧_∧
( ´_>`)
/ ヽ
| | FMV |
弟者が通う学校のテニス部部長。
オーナーが事故で急逝したため一年近く
インストールを行っていない。
初期型の活性細胞保存期間は一年であるかわり
一年後にインストールされなかった場合は
バグが大量発生して動作しなくなるのだが――
〜IBM機「シーン」〜
/V\
( ・−・ )
/ \
| IBM l |
PCのボディにワークステーション並の性能を持つ。
分子空間内に専用ラボを持っているが、
何の目的をもって動いているのかは不明。
〜コンパック機〜
\ │ /
/ ̄\
─( ゚ ∀ ゚ )─
\_/
サ / │ \ タ
イ ヽ イ
タ / ヽ サ
マ / ∩ ∧ ∧ ∩
∩ ∧ ∧∩ \( ゚∀゚)/ /
丶( ゚∀゚ )/ | /
| 〈 | |
双方向さいたま通信ができる。
高機能だがミニマム設計。
〜しぃ〜
∧ ∧___
/(*゚ー゚) /\
/| ̄∪∪ ̄|\/
| |/
 ̄ ̄ ̄ ̄
サードパーティー製周辺機器。
擬古と巨大ワークステーション「ハイパーぞぬ」との
中継を行っている。
何者かによって連れ去られ、ゴミ捨て場に
放置されていたところを兄者に拾われた。
〜ぃょぅ〜
___/)_/)_
(∴)◎∀◎(∴) ∧∧
⊂ つ → (=゚ω゚)ノ
( ) 〜( x)
(____)__) U U
ギコが持つFMVの純正周辺機器。
ヲタラーの外見はカバーのようなもので中身はカワイイ。
〜ジエン〜
イイ!(・∀・) )))
弟者がクラスメイトから貰った中古FMV。
疑似分子空間ではこのような姿になる。
兄者の仮想ドライブとしてピンチの時に役立っているようだ。
〜ハイパーぞぬ〜
/ ̄ ̄ ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ ̄ ̄ ̄ ̄\
/● ●/| ● ● | ● ●、
/ Y | | \
| ▼ | | ▼ | ▼ |
|_人_ \ |\___人__| _人.|
\____\______/______ノ
活性細胞をインストールできない擬古の心臓部とも
呼べるワークステーション。ハイパーと接続することによって
擬古は強力なアプリケーションを実行できる。
. . : : :: :: :: : ::: :: : ::::: ::: ::: :::::::::::∧_∧::::::::::::::::::::::::::::::::
.... ..: : :: :: :::: ::::::: :::::::::::/彡<_`;)::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
Λ_Λ . . . . . / :::/ ⌒i :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
/:彡ミ゛ヽ;)ー 、. ./ :::/ ::| |: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/:: ヽ ヽ、 :::i:(_,ノ .::| |:: . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/;;: | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| __| |____.: . . .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ.  ̄ ̄| FMV |_ (u ⊃
|_____|/
(;´_ゝ`)<しまった…MACフサの身体をフサらせるのを忘れた
(´<_`; )<しかもコンパック機のマークも忘れてるしな
>>123-131 (*´_ゝ`)<CO.wb7xxX2者GJ!!
(´<_`* )<NECとVAIOもキボンヌ。
>>131 乙です。
本スレの連載も楽しませてもらいました。
134 :
1/3:04/02/25 15:38 ID:RWZ5WFRh
まだまだ規制中のようですね。本スレdat落ちが怖い…
メル欄昭和シ毎軍モノ 91-92と同カプです。
―――
目の前に暗い水がある。生温く腐臭がする、澱んだ水だ。
俺は咽が死ぬほど乾いていて、慌ててそれを掌で掬う。
そして必死で飲む。不味い。舌と胃腑が腐っていくようだ。
けれど飢えの苦しさは耐えがたくて貪るしか術が無い。
いつの間にかどんどん溢れたその水は腰の辺りまで浸している。
腹を汚水で満たしながらそれに飲まれていく。
残っている意識の全てを賭けて神に祈った。
この渇きの終わりではなく、命の終わりこそを。
「……おい、おい。」
聞き慣れた声に揺られてゆっくりと瞼を開ける。
同じ浴衣を纏っている男が少し眉を下げた表情で覗き込んでいた。
「……悪いのか?」
腰の方か腹具合か、それとも他の何かだろうか。
軍属特有の実直さを備えたこの男の言葉はいつも少し足りずそれが少し微笑ましくもある。
「別に。貴様がしつこいのはいつもの事だろう。」
軽く揶揄ってやると真面目そうな顔が赤くなり左右に何度か振られた。
それなら何だ、と微かに首だけ傾げると首筋にひょいと手が伸びてきた。
実のある年月を重ねた人間の証であるような彼の温い肌は割と気に入っている。
俺の薄い胸を辿る指も、吐息すら遠慮がちな唇も。
「それなら再戦か?先に便所へ行かせろ。下すわ。」
違う、違うと頤が幾度となく振られついには抱き竦められてしまった。
135 :
2/3:04/02/25 15:39 ID:RWZ5WFRh
「……何の夢だった?」
「え?」
嘘を吐き損ねた事に気がついて俺は舌打しかけた。
正気失うほど技巧でも無かったのにこいつに弱みを見せたようで胸が悪い。
ああ、こいつの言葉がするりと入り込んで来る所為だ。
「知らんな。忘れた。」
億劫そうに…それは実際の気持ちでもあるから装うまでもなく腕を振り払うともう一度掌が追いかける。
俺に逆らうとはまた珍しい事もある物だと半ば苛立ちを忘れてしまった。
「何が、怖い?」
幼い子に掛けるような柔らかい声で問われて息が止まるかと錯覚した。
「夢見…悪いんじゃないのか。さっきも怖い、怖いと……」
「黙れ!黙れ、貴様には関係ないッ!」
咽に引っかかるような掠れた声が部屋に響く。
畜生、見られた。見られてしまった。
あさましく声を挙げるよりもはしたなく身体を開くよりずっと恥ずかしい。
誰かこいつを今すぐ殺してくれ。いいやいっそ消してくれ。
136 :
3/3:04/02/25 15:39 ID:RWZ5WFRh
「落ち着け、なあ落ち着け…」
肩口が鼻先へと押し付けられた。俺と同じように陸に上がって久しい筈の身体から清い海の香りがするのは何故だろう。
「よし…よし…俺が悪かったな。もう言わん。」
あの夢の水はやはり毒水だったのだ。
殺したいのかそれとも殺されたいのか。
脳の髄まで腐ってしまった俺にはもうわからない。
「起こして悪かった。寝ろ。…ずっと、こうしている。
怖いものが来たなら俺が追い払おう。だからもう寝ろ。」
訥々と紡がれる声を聞きながら惰性に任せて瞼を落とす。
今度は眠りへ沈まずにただこの腐った国と腐った人間を焼き尽くす光と焔の事を考えていた。
全てを焼き尽くせばあの臭い水も消え失せるかもしれない。
けれどこの男だけには火の粉一つも降らせたくないと思った。
その理由は、未だ一つも思い浮かばないのだけれど。
>>134-136 ありがとうございます〜!!
ああ、専ブラ入れてよかったあ。
ここでしか読めないカプなので本当に嬉しいです。
>134-136
元ネタ知らないけど、激しく萌え。元ネタ探してみます。
姐さんありがトン!!
>134-136
私も元ネタ知らずに萌えました。
(ググって発見。あの作家さんのだったのか)
本スレは一体どこなのか、お伺いしても良いでしょうか?
801板を巡っては見たものの、見付けられず……
134さんじゃないけどお答え。
801板で「福#」で検索してみて下さい。
一番下の方にあります。
(本スレはミス板です)
失礼します。ここ、お借りしますね。
唯一持っている4巻を参考に、最近活発なスレの流れに便乗してみました。
アニメ化のおかげなのか、近所の古本屋には鼻毛単行本が無くて悲しいです。
最後に鼻毛スレの姐さん、絵師様。いつも素敵な萌えを
ありがとうございます(*´д`*)ハァハァ
では失礼します。
「また逆戻りか…」
時間は午後9時少し前、蛍の光の店内放送が微かに聞こえる。
いつの間にかスーパースーパーと名前を変え、新装オープンしていたあの店の前で
天の助はつぶやいた。
そもそも天の助が、あの頃の生活に戻るはめになったのは、あの男、
ボーボボのせいなのだ。
スーパーをクビにされた後、ただのところてんだった天の助は、必死になって
知恵と体を尽くし、毛狩り隊Aブロック隊長という地位を手に入れた。
しかしそれも、あのふざけた技で…。
「俺は、もうここしか行くあてが…」
深呼吸をしてから重い足を動かした。
店内は新装してあるため、今までと勝手が違っていた。
とりあえず店長と話をつけるため、すぐ近くにいた店員に声を掛けた。
「おい」
「はい、お客様何っ…!?」
振り向いた店員は自分を見るなり目を見開いて、口をパクパクさせている。
「天の助さんどうしてここに、クビになったんじゃ?」
やがて、興奮しながら喋りだした店員の顔を見て、天の助も少し驚いた。
この店員は以前、天の助がここで売られていたとき、何かと理由をつけて
世話を焼いてくれたアルバイトだったのだ。
「まあ大人の事情ってやつだ、それより店長の所に案内してくれ」
「えっでも、まだ仕事が…」
困っているアルバイトを無理やり引っ張り、店長の所まで案内させた。
店長室の前まで天の助を案内すると、アルバイトは
「じゃあ僕はこのへんで。あ!せっかくだから、店が終わったら一緒に帰りませんか?
従業員出入り口の前で待ってますから」
アルバイトはそう言うと、天の助の返事も聞かず、さっさと行ってしまった。
本当は、自分をクビにした店長なんか、顔を見るのも嫌だった。
ボーボボの次に、憎たらしいとも思っている。
しかしどこにも行く当ての無い天の助は、今から店長に泣きついてなんとしてもここに
置いてもらわなくてはならない。
この日のために、鏡の前で予行演習もしてきた。
スーパーに入る時と同じように、天の助は深呼吸をしてからノックもせずにバンっと
勢いよく店長室の扉を開けた。
「うわっ誰だ!!」
「お願いします、もう一度ここに置いてください!」
「て…天の助君!?」
店長室に入るなり、いきなり土下座をした天の助に店長は最初こそ動揺していたものの
たちまち非常識な行動をとる天の助にこう言った。
「いきなりなんだ、まったく非常識な奴だ!前にも言ったけどねぇうちはボランティアで
やってるわけじゃないんだよ。キミが帰ってくると、また苦情が増えて迷惑だ!」
しかしそんな言葉には耳も貸さずに、天の助は店長が座っている椅子に近づき店長の足に
縋りついて頼んだ。
「お願いします、もうここしか行く所が無いんです…」
涙を流し、上目遣いで店長を見上げてみたが、店長の顔は険しかった。
「チッ、これだけじゃ駄目か」
うつむいて小声で呟きながら、ただの泣き落としだけでは店長に通用しないと判断した。
しかしこの後どうするか天の助は迷っていた。今日のところは大人しく引き下がって
後日また店長に頼み込むか。それとも奥の手を使って一気に畳み掛けるか…。
「おいキミ、いきなり黙り込んでどうしたんだ。やっと諦める気になったのか?」
店長が話しかけても、天の助はうつむいたままだった。
もし今引き下がったら、今度会うときは不審者扱いされて、通報されるかもしれない。
しかしこんな憎たらしいオヤジに奥の手を使うのは…。
店をクビにされてからの天の助は、スーパーに居た頃より辛い毎日を送るようになっていた。
どこにも行くあてが無いので、毛狩り隊に入隊してみたものの、一応強者共が集まる
隊内ではプルプル真拳だけを頼りに、日々過ごしていくのは難しかった。
ある日、天の助は男ばかりが集う隊内のごく一部の連中が、自分をいやらしい目で見ているのに
気づいた。
何度か荒くれ者の性欲の捌け口になってから、この体を利用して、のし上がることを思いついた。
基本は根回しとプルプル真拳。それでも駄目なら奥の手を使う。
誘った相手が、最初はどんなに拒んだとしても「俺、こんにゃくよりいいですよ」
と言えば、大抵こっちのものだった。
しかしそれも、毎回上手くいくものでもなく、毛狩り隊Aブロック隊長の座を手に入れるのに
結構な苦労をしたのだった。
それをあの男は…。
いつの間にか店長のことを忘れて、過去の辛い思い出や憎たらしい男のことを考えているうちに
店長の機嫌はかなり悪くなっていた。
ひっそりマイナー萌えなんです_| ̄|○こっそり投下させて頂きます。
エロ書こうとして挫折…ムズイ!!
いきなり腕を掴まれホール脇の休憩室に引きずり込まれた。壁ぎわのソファに座らされる。
私の優秀な…優秀すぎる教え子はその前に立ち目を細めこちらをじっと見下ろしている。
眉間に皺を寄せる癖は助教授時代と変わっていない。
おそらくこんな所まできた私をどう料理してくれようか…とでも考えているのだろう。
だが私にも引くわけにはいかない一線というものがあるのだ。
この、目の前の肩肘張った生き方しか出来ない哀れな男のためにも…。
朝っぱらから失礼します。また、お借りしますね。
「もういいだろう天の助君、早く帰ってくれ。人を呼ぶぞ!」
店長は足に縋りついている天の助を、蹴飛ばし携帯を取り出そうとした。
それを見て天の助は、やるしかないと決断し、とっさに店長の手から携帯を払い落とした。
すかさず椅子に座る店長の膝の上に、向かい合うように座ると
首に腕を回しながら、耳元で囁いた。
「俺、何でもしますよ。店長のために…」
「天の助君!な、何を言っているんだね…」
天の助の行動に、動揺しているのか興奮しているのか、店長の声が震えていた。
「この店をクビにされてから、色々学びました。好きにしてい
いですよ?俺、こんにゃくよりいいですから」
その言葉が決定的だったのか、店長はいきなり天の助を床へ叩き落とした。
鈍い音を立てて、天の助がうつ伏せに倒れる。
ズボンのベルトをガチャガチャと雑に外しながら、店長は言った。
「安っぽい奴だ、キミは」
「たったの10円ですから…」
天の助は妖しく笑っていた。
店長はズボンを下ろすなり、天の助の腰をひっ掴んで、自分自身を秘所に突っ込んだ。
「うぐっ!い…痛ぇ」
「あぁそうかい。しかしこんな事には慣れているんだろう?痛くても続けてもらうからね」
痛がる天の助を、にやついた顔で見ながら、店長は腰を動かす。
天の助の中は、表面より少し冷たかった。しかし、店長自身が侵入し
内部を擦るおかげで、ぬるぬると天の助の内部は溶けだしていた。
「あっ…ぅ…」
「変な声をあげてどうしたんだね。痛かったんじゃないのかい?」
「クッ……そう…」
内部が溶けたおかげで痛みに慣れ、だんだん気分が良くなってきたのは確かだった。
しかし天の助は、店長ごときに感じている自分が許せなかった。
店長が腰を天の助に打ちつける度に、天の助の体はその振動でプルプルと震えていた。
なぜかそれが可笑しくて、店長は腰を更に激しく打ちつけた。
「て…店長、やっぱり…ハッ……やめましょう。他を当たりますから!」
「何を言っているんだっ。誘ってきたのはキミの方だろう。いい大人なんだから
自分の言動には責任を持ちたまえ!」
ここまできて今更…。と、店長はいらついた。若くない店長は絶頂がそろそろ近かったのだ。
今、やめるわけにはいかない。
店長はぐりぐりと円を描くように腰を動かす。
「ヒィ…あっああ!」
「それより天の助君。キミ、あそこが溶けてきたせいで随分ゆるいんだが
どうにかしてくれないかね?」
店長の言葉に恥ずかしくなった。しかし大して上手くもないくせに
調子に乗って注文してくる店長を馬鹿馬鹿しいと思った。
今まで雰囲気に流されていたが、天の助は店長が憎かったことを思い出すと
言われたとおりに下半身に力を入れて店長を締め付けてやった。
「う…くッ」
天の助の締め付けが良かったのか、店長はあっさり自身から体液を出した。
夜は長くなるだろうと、まだイってない天の助は身構えながら店長の次の行動を待っていた。
「いや〜なかなかだったよ天の助君。また宜しくたのむよ」
店長はそう言うと、いそいそと服を整え始めた。
「はっ?店長、どういうことですか?」
「だから今後も宜しくってことだよ」
そうじゃなくて今から続きはしないのか。そういう意味で天の助は言ったのだ。
しかし天の助が困惑してる間に、店長は部屋を出ていってしまった。
「ち…畜生!」
腕を何度も床に叩きつけていた。腕から全体へ、プルプルと振動が走る。
おそらく、当分はここに置いてもらえるだろう。しかし物足りなかった。
奥の手をする前の、天の助の葛藤は何だったのだろう。
店長は下手だったが、何度も自分を嬲ってくれるものだと思っていた。
正直、まだ自分を犯した毛狩り隊の奴らの方が、若いだけあって体力もあったし
何より自分をイかせてくれたのでマシだった。
天の助は毛狩り隊時代のことを思い出したが、今の自分も毛狩り隊時代の自分も
惨めに思えて、急に空しくなった。
そういえばアルバイトが、一緒に帰ろうと言っていた気がした。
しかし約束の時間を過ぎているし、店長のおかげで気分がすぐれないので
何だかどうでもよくなった。
とりあえず天の助は、汚れた体を清めようと水道に向かった。
「天の助さんすいません!少し待ってたんですけど、天の助さ
んがなかなか来ないんで、先に帰っちゃいました」
翌日店で、相変わらず売れないのでやさぐれていると、アルバ
イトが謝りに、ところてん売り場までやって来た。
「あっああ。別に気にしてねえよ……」
天の助の返事も聞かずにさっさと行ってしまい、一方的に約束
をしてきたたのはアルバイトだったが、何だか凄く申し訳ない
気分になって、アルバイトの顔から目を逸らした。
「それより天の助さん、相変わらず売れ残ってますね」
なぜか嬉しそうな声で、アルバイトが言った。
「何だよ、だったらお前が買ってくれよ。今なら10円だし、
後悔させないぜ?」
足を組みながら、いつも皆にやるように言った。
「あ…あはは、考えておきます。天の助さん、そこ散らかさな
いで下さいね。じゃ…じゃあ僕は戻ります!」
そう言うとアルバイトは走って行ってしまった。
なんだか顔が赤くなっていた気がするが、何だったのだろう。
しかしそれ以上、天の助は気にしなかった。
「俺、ずっとこのままなのかな。誰か買ってくんねえかな〜」
天の助は近くにあるところてんを、ちらかしながら呟いた。
数日後天の助は、アフロの派手な御一行にお買い上げされるこ
とになるが、果たして天の助は自分の居場所、幸せを掴み取る
ことが出来るのだろうか……。
わわわ、天の助萌えますた(´Д`*)
姐さんGJです
151 :
139:04/02/28 02:19 ID:7CKfrGkn
>>140 アリガトン!見付けました。
じっくりと楽しませてもらいまつ(*^∀^*)ポポポルア……
152 :
141:04/02/29 13:16 ID:GjW5ReYE
>>150 ありがとうございます、そう言ってもらえると嬉しいです。
スレの方では、おやびん萌えの方が多いみたいですけど
天の助もなかなかの萌えキャラですよね。
では名無しに戻ります。失礼しました。
153 :
1/3:04/02/29 20:12 ID:H0kGdBKe
>137
亀レスなのですが大×浅探してらした姐さんでしょうか。
漏れも未だ見つけられません(´Д`)人(´Д`)ナカーマ…
本日は映画のフリッシあぼーんに涙しつつシ青水×フリッシ。
お、お兄ちゃんごめん。
――――-
「なあ、ドイツの女っておっぱいでかい?」
狭苦しい四畳半にわざわざ入って来てまで聞くことかと一睨みしてやったが
先天的に気遣いを忘れてきたらしいこの男は意にも介さない。
「……いいご身分だな。貴様が1人で休憩できるほど偉いとは知らなかった。」
「俺らはあくまで回収要員だから済んだら暇なんだよ。
それよりさ、先任から西瓜みてぇだって聞いた事あるんだけどよ。
パウラちゃん見てると日本の女と変わんねぇっつーか…うわ!」
妹の名が出た所で投げつけた軍帽は巨体のすぐ横を通り過ぎただけだった。
避けられて当たり前、わざと外してやったのだ。
もし海龍での借りがなければ二、三発は殴っている。
「悪ぃ、わーかった、パウラちゃんの事はもう言わねーから」
「……今度おかしな目で見たら骨へし折るぞ。」
はいはいといかにも気のない返事を続けてちゃっかりと前に座り込む。
この要領の良さは日本人だからか個人の物か、たいして興味は無くまた目線を外した。
「全く、硬いったらねぇな。もしかして童貞か?」
「…ドウ、テイ?」
聞き覚えのない言葉を素直に聞き返すとぽかんとした表情をしている。
しまった、と思った瞬間に無知が恥かしく頬が赤くなった。
シ青水も目ざとく気が付いたかまじまじと覗き込んでくる。
154 :
2/3:04/02/29 20:13 ID:H0kGdBKe
「な、…ンだよ。そのくらいで照れんなよ。本当に童貞?」
「わけの判らん事を言うな!離れろ!」
「女知ってるのかって聞いてるだけだって……」
ドウテイ……virgo、virginか。
わざわざ聞き返した単語のくだらなさに思わず頭を抱えそうになった。
「女なんか知らんでいい!」
怒りに任せて怒鳴るとごくりと喉が鳴る音がした。また失敗をしたらしい。
知っている、どうでもいいと誤魔化せば良かったと舌打ちした時にはもう手遅れ。
「……勿体ねぇだろ、それ。」
少し熱い掌が首元に触れていた。
衣擦れの音だけが響き肌の上の汗はもうどちらの物かわからない。
どうして受け入れたんだ、俺は。
頭が霞み腿から尻がぐだぐだに濡れてしまってから漸くそんな事を考えた。
拘束されているわけでは無い。
骨を折るとまではしなくても関節の一つ外して逃げる事くらいはできた筈なのに。
「なあ……いい、だろう?零れてる…」
触れたのがこの掌だったから、だろうか。
殴り飛ばして、ただそれだけで赦してくれたこの掌が触れたから。
155 :
3/3:04/02/29 20:14 ID:H0kGdBKe
だから俺も赦したくなった。ただの真似事だと判っていても、そうしたかった。
耳元の吐息がまた少し上擦り互いの腰が浮く。
「うるさい……。早く、出してしまえ…ッ」
童貞の俺と、そんな事に興奮するこいつとで大した事ができるわけも無い。
剥き出しにした互いの雄を擦り合わせているだけの姿が他から見ればさぞ滑稽だろう。
男と女だったら少しは違っただろうか、と栓無い事を考えていると顎を捉えられた。
「こっち、向け…よ。唇、吸わせろ…。」
きっと気が付かない程度だけれど苦笑いが零れた。
互いに本当につまらない、間の抜けた事ばかり考えている。
「………dumm」
馬鹿め。そう呟いて肩口に頤を乗せた。
愛すべき、馬鹿な男。例えば俺が女なら包み込むように抱き締めてやれたのに。
そんなつまらない事を考えながらただ正直に、熱を搾り出した。
おまけというか153-155同カプですが時間的に間が空きすぎるのでちょろっと付け加えてください。
さみしがりやなお兄ちゃんが好きだ。
―――――
シ青水、左胸、撃たれた、冷凍室。
意識して言葉を組み立てるのを止めていたのだ。
それなのに身体は空き時間ができた途端居ても立っても居られなって走り出した。
温い空気の中でも掌が痛むほど冷たい水密扉を開けると当たり前のように、彼はそこにいた。
お前にここで逢うとは思わなかったな。
あの島でもどうにかこうにか生き延びて、胸と尻のでかい女でも嫁に貰って子供を沢山作って……。
そうやってお前は生きていくものだとばかり思っていた。
一言くらい、返事をしろ。綺麗に残った顔はシンと冷えている。
「なあ。」
呼びかけて答える事が無いのを知っているのに。
「どうして、俺の唇なんか吸いたがったんだ?」
これからもう動く事の無い唇に指先を乗せる。
カサカサとしたそれを撫でて霜を払うと自分のそれを重ね合わせた。
冷たく、触れるだけの口接け。
俺が初めて家族以外の人間と交わした口接け。
ほんの僅か、口に残った海の味はもう流れる事が無い俺の涙の代わりだったのだろうか。
ずっと昔に捨てた筈の物がじわと広がり俺は少しの時間、立ち上がる事ができなかった。
「ここに残しておいたほうが良かったんじゃないのか?」
背後から声がする。
先ほど軍師に迎えたばかりのハリードだ。
数時間前、ここ宿営地へ送ってきたモニカの身を案じている。
「私が死ねば、あれも生きてはいられぬ身よ。」
殺されるか、凌辱されるか。また、敵の妃にされるか。
ろくな選択肢はないだろう。
それくらいならば、例え危険であろうともこの場を離れた方が良い。
この戦に勝つつもりではいるが、妹が捕らえられ利用される恐れもある。
護衛させるにしても側近の兵は姿が目立ちすぎるし、下士官には柄の良くない者がいる。
また、その余力がある訳でもない。
そして自分の眼に自信があった。シノンの青年達は使える。少なくとも、今は。
「それに、レオニード伯爵は信頼できる方だ。」
ハリードが怪訝な顔で問う。
「下手な人間よりも・・・と言っていたな。それほどアンタは周りに恵まれていないのか?」
質問に答えるつもりは無い。
代わりにふと考えていたことを口に出す。
「妹専属の警護要員を揃えたほうが良さそうだ。」
父存命の頃よりカタリナに任せていたが、そろそろ彼女一人には重過ぎるだろう。
領主の娘という地位と、跡継ぎの無い領主の妹とでは、狙われる頻度も違ってくるからだ。
それに今回は、ゴドウィンの件を伏せていたのが災いした。
こちらの狙い通りとはいえ、彼女達にとっては予想外であったのだろう。
だが、カタリナ相手に同じ貴族のゴドウィンが敵だとは言い辛かった。
「あの青年はどうだ?」
ハリードは、シノンで会った緑髪の青年ユリアンを薦めてみる気になっていた。
彼がモニカ姫の護衛を買ってでなければ、自分がここへ来ることはなかっただろう。
「あの眼鏡の奴のように、上手い立ち回りはできそうもないがな。」
不器用ではあるが、その分裏切りの心配も少ない。
意図を酌み、ミカエルが薄く笑った。
「考えておこう。」
蝙蝠が、ミカエルの戦果を伝えた。
満足気に頷きながら、客人を呼ぶ。
ロアーヌ奪還の知らせを伝えると、モニカ姫は安堵の息を漏らした。
「さあ、ロアーヌへお帰り下さい。ミカエル侯がお待ちかねですよ。」
また、城が静かになった。
しかしその夜、一羽の蝙蝠が情報だけでなく“声”を運んできた。
珍しいこともあるものだと思いつつ、掌に載せる。
“声”は、侯爵のものであった。
妹を保護してくれたことに心より感謝する、といった言葉。
飾り気の無い、ただそれだけの。
しかし城を出たときよりも成長した声を耳にして、嬉しくもある。
掌に載せて蝙蝠に語りかける彼の姿を想像すると、可笑しくもある。
「気づいていたのか・・・。」
蝙蝠が、彼の周りを飛んでいることに。
モニカ姫が訪れてから、侯爵の周囲には絶えず蝙蝠を張らせていた。
久しぶりに心動かされ、古い葡萄酒を呷る。
「美味、だ。」
目は窓を通り越して外を見る。
同じ頃、窓の外を眺めながらミカエルもグラスを傾けていた。
扉の外には兵士がいるが、部屋の侍女には下がらせる。
こういう夜は、一人でいるのが良いものだ。
「思い出すな。」
月を見ながら、二人で飲んだあの頃を。
窓の外には一羽の蝙蝠が舞っていた。昨日掌に載せた蝙蝠とは別の個体だろう。
「伯爵・・・。」
椅子にもたれ、吐息を漏らす。
上弦の月が、穏やかに輝いていた。
人大杉状態が続いているようですね。
専用ブラウザ入れてるものの、投稿できない時期もある・・・。
長いこと見るだけになってました。
>>122 さん、どうもありがとうございます。
160 :
風と木の名無しさん:04/02/29 23:15 ID:qmLgviRc
!:、!、__ |/ ● !
_-_::ニ:: ::::: :::::::; ̄..‐ - .._ ,'
/ 〃/:;:::: ::::;::/::,:';::::/l:::;、:、:~:‐. /
' i' /:/;:':;::/;H:/ l|:::l _l::Ll::|:lヽ:!`i´
l _!;'/;:/:::l,⊥l、| |:|. l_!_l:/`!:l:::l:::!
‐ T l l:|.!:::l:!'f!{.,! ! l|./ri:!_,i`l::l:::|:::|
l !::l:ll li':::! |.!':::j ,!/ヽl::l
ヽ!l{  ̄ 、 `ー‐,._ソl::/!
\ ヽヲ " l::l::// ' <用も無いのに
丶 -‐t "´__レl/'、 ageてやるからなっ!!
,--─‐‐'ニ二 -‐、__` ‐- .._
_⊥-─_ ニ_‐、-ヽ、ヽ、`'' / ト、
_{. _= -‐ニ_ ヽ ー-ヽ _.>' l, l
_. -,‐,'-'´ l l ヾ、 ヽ ._ヽ._ __/ /
,'/´L.!Yl l l }' `ーt---‐t‐'、
長い上にあまり801らしくないんですが_| ̄|○
こちらをお借りさせていただきます。
ジャンルは某フラゲー。ベリグッドエンディングの彼らです。
とりあえず五本ほど投下します。
162 :
1/5:04/03/01 18:30 ID:hGlXJKEv
上昇を続けていたポッドがなにかを噴出する音と同時に激しい揺れに見舞われた。
やがてゆっくりと揺れながら下降を始めたポッドに、隣りのシートに座っているジャックが
「…パラシュートが開いたな」と呟いた。
私にはよく分からなかったが、ジャックがそう言うのならそうなのだろう。
「そうか」とだけ呟くように答えた私に、ジャックは小さく笑ったようだった。
ゆっくりと左右に揺れながら降りていくポッド。モニターやウインドウの類はないから、
このポッドがどれだけ高く上ったのか、そして今どれくらいの高度にあるのか、
そういうことはさっぱり分からなかった。
「衝撃に備えろよ。舌を噛まないようにちゃんと歯を食いしばっておけ」
ジャックの忠告に素直に頷き体に力を入れる。
どれほどの衝撃がくるのか分からない分、不安は大きかった。
同じ状況にあるのにジャックはそれほど気負っているようには見えず、慣れているのだなと思う。
今までの言動や声を聞く限りそれほど年がいっているようには思えない彼だが、
やはり隊長を任されるだけのことはあるのだ。
今か今かと待ち続けた衝撃は、体に力を入れ続けることに疲れ始めた頃にやってきた。
重い音がしてポッドが激しく揺れる。
ガクリと勢い前のめりに倒れかけた体にベルトが食い込み強引に戻され、
突然の揺れに内臓がひっくり返ったような重く嫌な痛みを訴える。
胃の中のものが逆流しそうだ。
気持ち悪い。
やがて揺れが収まり、強張った体の力をぎくしゃくと抜いていく。隣りで大きく息を吐いたジャックが
「…大丈夫か?」と訊いてきたから、それには頷くだけにとどめておいた。
今なにか話そうとすれば吐いてしまいそうだ。
「…気持ち悪…」
胸元を摩りながらの彼の独り言にも頷いて同意を返す。
163 :
2/5:04/03/01 18:32 ID:hGlXJKEv
しばらく大人しくして胸のむかつきをやり過ごし、「…そろそろ出るか」というジャックの言葉に頷きおもむろにベルトを外した。
そうしてハッチの開閉ボタンを押そうとした時、ポッドの外からなにか声のようなものが聞こえてくるのに気がついた。
『…で……よう……繰り返す、搭乗者はこちらから呼びかけがあるまでそのまま中で待機をしているように』
どうやらこのポッドの周りには人がいるらしい。
拡声器かなにかで呼びかけてきているようだ。
だがこのままここで待機をしろとはどういうことなのだろう。
「…胞子汚染の可能性があるからだろうさ。このままポッドごと洗浄施設にでも搬送して、
中から外から綺麗にしまくったあとにようやくご対面ってことだろう。…面倒なことになるな、こりゃ」
私の疑問を察したのか、ジャックが呆れたような疲れたような声音でそんなことを言う。
起こしかけていた身をどさりとシートに戻して、目の辺りを拭うような仕草をした後、
「俺は疲れたから少し寝る。呼びかけがあったら起こしてくれ」と言うなりさっさと寝てしまった。
無理はない。彼は度重なる負傷でたくさんの血を失い、また体力をかなり消耗してしまっている。
今まで平気そうな素振りをしていたから気にならなかったが、実は今すぐにでも手当てが必要な怪我人なのだ。
やがてなにかの機械の音がして、ポッドが持ち上げられる。
結構大きな揺れであったのだが、ジャックはぴくりとも動かない。
まさか死んでしまっているのではないだろうかと不安に駆られた私は、ついジャックを揺すってみたのだが、
「…死んでねぇよ。寝てるだけだ、邪魔するな」という不機嫌そうな一言にほっと安堵の息をついた。
ジャックのためにも、早く洗浄が終わってくれればいいのだが。
164 :
3/5:04/03/01 18:32 ID:hGlXJKEv
* * * * *
ジャックの言うとおり、私たちは中から外から徹底的に洗浄された。
時間的にはどれくらいかかったのかは知らないが、
感覚的にはずいぶんと長い間ポッド外郭を洗浄しているらしいジェット音が聞こえた。
それがようやく済んで出られたかと思えば今度は防護服のまま洗浄。それを脱いでまた洗浄。
最後には裸で洗浄。用意された服を着て、与えられた部屋で一晩休んだ後、別の部屋に通された。
その部屋はなんというか殺風景な部屋で、中には部屋の隅と中央にテーブルが一つずつとその上に明かりがやはり一つずつ、
椅子が三脚あるだけで、他にはなにもない。扉の向かいに窓が、左側の壁には鏡が埋め込まれていた。
外はまだ明るいのに、煌々と輝く蛍光灯が部屋の白い壁を無機質に照らし続けている。
促されるままに椅子の一つに腰掛けた。
案内してくれた男は、「しばらくお待ちください」と言ったきりどこかへ行ってしまう。
なんだかどうしようもなく不安だ。一体ここはなんなのだろう。
きっとあの施設内でなにがあったか訊かれるのだろうが、この部屋はどうにもこうにも落ち着かない。
それに、ジャックはどうしたのだろう。彼とはポッドを下りて以来一度も顔をあわせていない。
下りた直後、私たちはたくさんの兵士に銃を向けられていた。
「まあ、当然だろうな」とジャックは苦笑していたが、「仲間に銃を向けられるってのはきついな」とも呟いていた。
ジャックの言葉から察するに、あの兵士たちはミカエル隊なのだろう。…ガブリエル隊はジャックを除き全滅している。
そういえばその他にもなにか言っていた。「…厄介なことになりそうだ」とかなんとか。
私に「お前はありのままを話せ。なにも隠す必要はない。大丈夫だ」とも言ってくれた。
それが、確か最後の会話だ。その後私とジャックは兵士に銃を向けられたまま、別々に連れて行かれた。
165 :
4/5:04/03/01 18:34 ID:hGlXJKEv
あの時のジャックの言葉、あれはなんだったのだろう。「厄介なこと」とはどういうことなのだろう。
「ありのままを話せ」と言われても、そもそも私には隠せるようなことなどなにもない。
生まれてからまだほんの一日しか経っていない、人工的に生み出された生命体・救世主メサイア。
それが私なのだから。私が持つ記憶と言えば、あの思い出すのもいやになるような研究施設での事件のことだけ。
一体なぜ、ジャックは私にあんなことを言ったのだろう。
そんなことをつらつら考えていると、後ろで扉の開く音がした。
振り返ると、人の良い笑みを浮かべた白衣姿の中年男性と、
その後ろにこちらは年若そうなやはり白衣の青年二人と女性一人が入ってきた。
中年男性はテーブルを挟んで私の向かいの椅子に座り、その後ろに鞄を手に持った青年が一人、
記録ノートを持った女性が隅のテーブルにつき、もう一人の青年は私の後ろについた。
「…君は記憶がないんだったね。はじめましてというべきかな?」
向かいの席についた男性が、テーブルの上のライトをつけ録音機器をセットするなりにこにこと笑いながら話しかけてきた。
私はとりあえず頷き、自分はロナルドでここにいる彼が誰であそこの女性が誰で、という彼の紹介をただ聞いては頷いていた。
一通りの紹介が終わった後、男性──ロナルド博士は私に向き直り、「さて本題に入ろうか」と話を切り出した。
表情は相変わらず笑顔。だがなんだか気味が悪い。なぜだろうと考えて、彼の目が笑っていないからだと気がついた。
薄気味悪さを覚え、この人とは長い間向き合い続けたくない、
出来れば他の人に変わってもらえないだろうかとそれとなく回りを見回してみたが、
彼以外は皆無表情でもっといやな感じだ。憂鬱な気分が更に憂鬱になる。
「自分が何者か、伝聞や憶測で構わないから述べてくれるかね?」
表情は貼り付けたような笑みで、相変わらず目は笑っていないままロナルド博士は私に尋ねる。
私は一つ溜め息を落とし、嫌悪感を拭えないまま重い口を開いた。
「…私は自分が何者か、はっきりと答えることが出来ません。
しかし、その…教祖と呼ばれる人にメサイアのただ一人の完成体だと言われました」
166 :
5/5:04/03/01 18:35 ID:hGlXJKEv
ぼそぼそとした声で言うなり、周りの空気が一瞬変わる。
気味悪さからロナルド博士から目をそらしていたのだが、
少し気になりちらりと見てみると彼はなんだか喜んでいるように見えた。
だがそれは喜ばしいことを単純に喜んでるというのではなく、
うまく言えないのだが…謀がうまくいったような、そんな笑み。狡猾な光が目に宿っている。
「そうかそうか。では君の覚えている限りの事を、覚えている範囲でいいからはじめから話してくれないか?」
興奮しているのか、声が若干弾んでいる。私はまた一つ溜め息をつき、
ライトを受けて輝くテーブルの無機質な表面を見ながら、目覚めてからこちらのことをぼそぼそと無抑揚に語った。
目覚めた時には休憩室にいたこと、なにも分からないままとりあえずその部屋を出たら、
廊下や分娩室が血まみれだったこと、行けども行けども生きている人間には会わず、あるのは死体ばかり。
そして襲ってくるメサイア失敗体たち。途中でジャックと会い、一度別れたものの再会してからは共に行動したこと……。
その話を博士たちは興味深そうに聞き、時には大げさに驚いたり、
「大変だったね」と取ってつけたように労いの言葉をかけてくれた。
私はその言葉にはいちいち反応せず、ただぼそぼそと話し続けた。
頬に受ける明かりが眩しい。それになんだか熱い。一面白の壁が圧迫感を与えてくる。
ここはひどく居心地が悪い。まるで尋問のようだと思い、はっと気がついた。
そうだ、これは尋問なのだ。
彼らは私から内部でなにが起こっていたのかだけではなく、
私がなにをどれだけ知っているかを聞き出そうとしているのだ。
もしかしたら…いや、もしかしなくてもジャックも同じことを聞かれているに違いない。
ああ、そうなると、彼が言っていたことの意味も分かる。そうだ、私は大丈夫なのだ。
なにをどれだけ知っていようと、私はただ一人の完成体。施設は爆発した。
メサイア計画の資料も実験結果も、全て木っ端微塵に吹っ飛んだ。
胞子は地中深く、瓦礫の下に閉じ込められた。だがいつ復活するとも限らない。
私は、未来へ繋ぐ彼らの研究材料なのだ。
どれだけ財団の極秘事項を知っていようとも、私の命が消されることはない。
ただ、研究室に閉じ込められるだけで。
167 :
追加:04/03/01 18:39 ID:hGlXJKEv
長文エラーを食らったので削った分追加します。
──────────────────────────────
しかし、ジャックは…彼は違う。彼はことによっては消されてしまう。
いや…財団にとって、彼は確実に消さなくてはならない人物なのだ。
彼は身寄りがないと言っていた。ガブリエル隊は彼を残して全滅している。
今更彼の命ひとつ消そうとも、財団にしてみればなにも痛くない。
逆に彼が生きていることの方が厄介なのだ。
ジャック自身、言っていたではないか。「ここで仕入れた情報をネタに財団をゆするもよし」と。
それほど危険な情報を彼は得ているのだ。
ああ、そうだ、気付かなかった。大変なことなのだ。面倒なことなのだ。厄介なことなのだ。
なぜ気付かなかったのだろう。そして彼は、なぜあんなことを私に言ったのだろう。
もう諦めていたのだろうか。覚悟していたのだろうか。死ぬことを、処分されてしまうことを。
だが私はいやだ。彼を失うのは絶対にいやだ。
私の中で彼はなくてはならない人になっているのだ。
共に死線を乗り越え、互いに助け合ってあの地獄を切り抜けてきた。
私の正体を知っても、彼はなんら変わりなく接してくれた。
「よろしくな」と屈託なく言ってくれた彼を、私は絶対に失いたくない。死なせたくない。
そのために、私がなすべきことはなんだ?
「………」
不用意なことを話してはいけないと悟った途端に、私はなにをどこまで話していいか分からなくなった。
とにかく、あの蝙蝠人間や狼人間のことを話してはいけないだろう。
ハセガワとステファニーはあの区域に入った所為で処分された。
だが、12番倉庫まで行くにはあの地下三階を通らなければならない。
あそこまで行かなかったことにするか?いや、脱出ポッドを使ったのだ、そんなことでは誤魔化せない。
混乱する。どうすればいいのか。分からない。私が隠したところで、どうしようもないのかもしれない。
彼の処分は、きっと決定している。話を聞きだすだけ聞きだして…彼は、処分される。
ぞっとした。体が強張り、胸の奥から全身に一瞬の速さで冷たさが広がる。
twelvedoorsキテマシタ━━━━(*゚∀゚*)━━━━ !!
姐さんGJ!激しく続きが気になるよ…待ってます!
12扉キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
このゲーム、怖くて最初で止めちゃったけど、もう一回やってみようかな。
さっきクリアしたばっかりな状態でキタ━━━━━(゚(゚∀(゚∀゚(☆∀☆)゚∀゚)∀゚)゚)━━━━━!!
二人どうなっちゃうんだ、続き待ってます。
>169 BBSに完全攻略txtウプされてるよ〜。
12扉ウマァァァァァァ(゚∀゚)ァァ( ゚∀)ァァ( ゚)ァァ( )ァァ(` )ハァ(Д`)ハァ(;´Д`)ハァハァ
あれは萌えますな。ジャック、最後はマスク取ってほしかった…!!!
しかし、本スレでジャック萌えをまき散らしてる
お嬢さん方、勘弁してくれyo…_| ̄|○
12ドアキタ━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!
私はまだベリグーエンドに辿り着けてないんだけど
激しく萌えますた!
>>161-167姐さん、GJ!
12扉キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
GJです!! GJです!!!
ああ、続き……待ってます!!!
おおぉ、12扉萌えの姐さん方がこんなに(*゚∀゚)
ありがとうございます。続き四本ほど投下します。
>169姐さん
私もビビリだから怖くてはじめの方で一度やめてたよw
でも謎解き欲求と+萌え欲求+が恐怖を上回り、続けることが出来ました。
慣れると怖くなくなるよー。がんがれー!
175 :
1/4:04/03/02 19:27 ID:wXZqpVvs
私の顔は真っ青になっていたのだろう。
突然言葉をとぎらせた私に、博士が「具合でも悪いのかね?」と尋ねてきた。
私はこれ幸いにこくこくと頷いて「少し疲れました」と呟いた。
私の声は掠れていた。
博士は鷹揚に頷き、「では少し休憩を取ろう」と言った。
横になりたいから一度さっきの部屋まで戻してくれないかと言った私に、
博士は答えず「その前に採血をしたいのだが、いいかね?」と訊ねてくる。
一刻も早くジャックと合流しなければと思っていた私は、
心の中で舌打ちをしたがそれに異を唱えることはしなかった。
余計なことに時間を取られている暇はない。
血を採りたいと言うなら逆らわずに採らせて、
その後再度部屋に戻れるよう訴えて了承させよう。
私が頷いたのを見て、博士が後ろを振り返り目で指示をする。
博士の後ろに控えていた青年が頷き、持っていた鞄をテーブルの上に置き開いた。
中には注射器が数本。コットンやガーゼが詰められた小さな壜が二つに、消毒液。
それと細いチューブなんかが入っている。
私はそれを目にして袖をめくり上げた。
チューブを手にした青年が私の腕にそれを巻きつけようとした時、
突然廊下の方から激しい物音が聞こえてきた。
はっと皆が同時にそちらの方を見る。なにか揉め事が起こっているのか、
壁や廊下を叩いているような音の他に怒鳴り声が聞こえてくる。
私を除く皆がなにか意味ありげに目配せをし、博士がおもむろに椅子から立ち上がる。
そうして「少し様子を見てくるから、彼の採血を済ませておくように」
と言い置くと扉を開けて部屋を出て行った。
176 :
2/4:04/03/02 19:28 ID:wXZqpVvs
だがその時に、博士が扉を開けたほんの一時の間に、私は知ってしまったのだ。
暴れているのはジャックだ。ジャックの声がした。彼の声を、私が聞き間違うはずがない。
左側の鏡。これはもしやマジックミラーというヤツなのか。
そうすると、ジャックは一つ部屋を挟んだ向こうにいたのだろう。
そしておそらく逃げ出そうとしたのだ。
はっと息を呑んだ私に、私の腕にチューブを巻こうとしていた青年が一瞬動きを止める。
今しかない。
青年が動きを止めた隙に私は鞄の中から注射器を引ったくり、
キャップを外して彼の腕に勢いよく突き刺した。
叫び声を上げて彼が退くのと女性研究員が悲鳴を上げるのが同時。
注射器を構えて後ろに向き直ると、私の背後に控えていた青年が私に銃口を向けていた。
「注射器を放せ!」
私は一瞬怯んだが、すぐに気を引き締めた。銃を握る青年はぶるぶると震えている。
兵士が研究員に成りすましていたのかと一瞬思ったのだが、それはどうやら違うようだ。
私はジャックと違い、訓練もなにも受けていない生まれたばかりの人間だ。
おまけに大事な研究材料。侮られていたからこそ兵士はつけられなかったのだろうし、
きっと無闇に傷つけることは許されていないのだろう。
万が一の時のために持っていた銃のようだが、そんなに震えていては照準も定まらない。
常日頃平和に暮らし研究に没頭しているだけ彼らとは違い、
私はこれでもあの状況を切り抜けてきたのだ。
この状況下に陥った場合、自信も度胸も彼等以上にある。
私は一旦構えていた手を下ろし、無防備を装った。
それに安心したのか見るからに安堵の息を吐いた彼は、それに倣って銃を下げる。
だから甘いというのだ。私はその機会を見逃さなかった。
目の前の青年に飛びつき、青年の銃を奪って扉まで駆ける。
女性研究員の悲鳴を聞いて慌てて戻ってきたらしい博士がタイミングよく扉を開けたのを見、
威嚇の意味も込めて銃を向けると泡を食った博士はよろめき腰を抜かした。
その体を押しのけて廊下へと飛び出る。
177 :
3/4:04/03/02 19:29 ID:wXZqpVvs
そこにはニ三名の兵士らしき人物に捕らえられた男がいた。
私は反射的に壁に背をつけ、彼らに銃を向けた。
背をがら空きにして銃を構えるのは危険だと、経験で覚えている。
安全装置を解除し、「彼を解放しろ!」と叫ぶと
驚いたようにこちらを見ていた兵士たちが困惑の表情を浮かべる。
床に押さえつけられていた男はぼろぼろで、同じように目を見開き呆然と私を見ていたが、
私の声を聞いて誰なのかわかったようだ。
殴られたのか、にっと笑った口の端に血がにじんでいる。
「…よぉ、元気そうだな…」
ああ、この声。この状況で、相変わらずの軽口。ジャックだ。
マスク越しのこもった声よりもはっきりと耳に届く。
「…あんたも、相変わらずそうでなによりだ」
ほんの少し表情を緩めてそう返すと、ジャックはちらりと苦笑した。
それを目におさめてから、改めて兵士たちに目を向ける。
博士や研究員たちは誰一人部屋から出てこようとしない。
わが身可愛さに兵士たちに全てを任せているのだろう。
「もう一度言う。ジャックを解放しろ。これは警告だ。十数える間に解放しない場合、
また解放せずに彼かつ私に危害を加えるような動きを見せた場合、警告を無視したとし発砲する」
ジャックを押さえつけている兵士に照準を定め、
はっきりと通る声でそう告げると兵士たちは戸惑ったように目を見交わす。
指示を仰ぐように開け放たれたままの扉の方を見たりするが、
お偉方がどのような指示を与えているのか部屋の中に隠れているために私からは見ることが出来ない。
178 :
4/4:04/03/02 19:29 ID:wXZqpVvs
五まで数えた頃、ようやく兵士はジャックを解放した。
とりあえずは言うことを聞いておけとでも指示が出たのだろう。
たかが二人、ここで逃がしたところでなんとでもなると思っているらしい。
のろのろとジャックの上から引き始めた兵士を、ジャックは問答無用で押しのけ立ち上がり、
ついでに彼から銃まで奪ってこちらへとやってきた。
「…助かった」
私の傍までやってきて微苦笑を浮かべた彼に、私は頷き先に行くように告げた。
ジャックもまた頷き走り出す。私は兵士たちに銃口を向けたままじりじりと後ずさり、
ジャックが十分逃げたと思える時間を稼いでから一気に身を翻して駆け出した。
「逃がすな!多少の怪我は構わん!」
背後から博士たちの大声が追いかけてくる。足音と銃声が響く中、私は一心不乱に駆けた。
途中曲がり角で待っていたジャックと落ち合い、
増えた人員相手に銃撃戦を繰り広げながらなんとかその施設を脱出する。
残念ながら二人共に無傷で脱出というわけにはいかなかったが、それでも命があるだけましだろう。
こんなことばかり繰り返して、次第に命がけの状況というものに慣れていくのが悲しいやら恨めしいやら。
度胸がついていくのはいいことなのだが、慣れによる慢心はいけないなとそんなことを考えて気力と冷静を保った。
時刻は夕闇が迫る頃。あの秘密研究施設と同じように、この施設も周りを広大な森に囲まれていた。
車で追跡をかけられるのは予想がついていたので、私たちはただひたすら森の中を突き進んでいた。
時折ジャックの足がふらつく。休もうかと提案すると、ジャックは頑なに前に進むよう促した。
そうしてようやく森が途切れたのは、夜明けも間近な頃だった。
東の空がうっすらと白み始めた頃、私たちは森を抜け近くに廃屋を見つけてその中に転がり込んだ。
リアルタイム見チャッタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!文章もお上手でGJGJ!!
主人公タン、健気でカッコイイ…(*´∀`)モウイッカイ ヤロウカナ
12扉キタキタキタキタ━━━━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━━━━!!!!!!!!!!!!!!!!
やばいくらい禿しく萌えてます。
ぼろぼろ〜なジャックタン(*´Д`)ハァハァ
ジャックタンを救うために危険を顧みない主人公タン(*´Д`)ハァハァ
>>161-167姐さんGJ!!!続きお待ちしてます!
|゚д゚) 元ネタが分からない・・・ヒントキボンヌ
>175-178さんお疲れ様( ゚Д゚)⊃旦 オチャドゾー
昨日から続きが楽しみにしてたよ。ジャックタン視点からの話も見てみたい。
主人公タンのことどう思ってるんだろ。
>181 S/A/N/E/T/O/M/O W/O/R/K/S でググった所のGAMEだよ。
>182
ありあとー。ノシ
家庭用のゲームかと思ってたヨ。
|┌┴┐│| || | ノ / |l / ヽ l l ' ||Y,|Yヽ,|| |',',',',| |||
|│ ├┘| || i ノ |l / ヽノノ | ||ノ |人ノ|| |',',',',| |||
|└─┘ | || ロ |l/ / ロ ,;; | ||Y,|Yヽ,|| |',',',',| |||
========= || | ヽ |l / / l ____| ||ノ |人ノ|| |',',',',| |||
|| ,ノ从,,ゝ _____|l____/'从l /___i^^^ヽ ||Y,|Yヽ,|| \',',| |||
/〕 , ; || ; ||\[[]/[[| l l| ||ノ |人ノ|| |\\|゙ |||
/|__, || ,,; ||======| l l. | ||Y,|Yヽ,|| | |';, |||
/ /.) || ,;; _______|| [][[//[| l l .| ||ノ |人ノ|| | |' ; ,|||
. / ,.イ| .:::||_________/ / ,,,'''' ..,,'''... ''' ||======〜〜〜、 :||Y,|Yヽ,|| | | |||
/ /'|_|,! ̄ / / ,,, ... '''' ,;;;, ''''' ,,, ''' ,,,,..\. \ .|人ノ|| \,| |||
/ / /,,, ,;; ''' ,, . \ \Yン|| '; |||
/二二二二二二二二二二二二二二二二二二\ \|| |||
|l┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬l| '; |||
|l┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴l| |||
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ |||
うひゃあ、すいませんメールと間違えました。
なんだそりゃ
モナギコの801作品来ないかなー?(;´Д`)ハァハァ
>>161-167 続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!すごい楽しみですYO!
声でお互いを認識(+´Д`*)ハァハァ
なんだかエロいよーママン…
189 :
161:04/03/03 18:34 ID:ZGgEjolT
|;´Д`)つ旦 >182姐さん、お茶アリガトンです!
|;´Д`)つ□ 12扉続き五本ほど投下します。
|;´Д`) ギコぐるみのバイトさんさん、モナギコじゃなくて申し訳ないです。
190 :
1/5:04/03/03 18:36 ID:ZGgEjolT
ジャックの怪我は一応手当てを施されていたが、
今回の大乱闘でその意味がほとんどなくなってしまっている。
巻かれた包帯には血がにじみ、新しく出来た傷や打ち身など、ひどい有様だった。
呼吸も荒くぐったりと壁に身を預けている彼に、私は水を与えた。
ここはどうやら廃屋なのではなく別荘かなにかのようで、
埃は積もっていたが家具や生活道具なんかは一式揃っていた。
水道も生きている。
とりあえず水を飲んで落ち着いたらしい彼を置いて、私は少し家捜しに回る。
そうしてみつけた缶詰なんかの保存食料を、家主に申し訳なく思いながらも失敬し、
見つけた救急箱を携えてジャックの元に戻った。
「…いつまでもここに留まっているわけにはいかんな…」
血のにじんだ包帯を外し、手当てをしているとジャックがそんなことを呟く。
私はそれに同意の言葉を返してから、
「しかしこの怪我ではすぐに動くのは危険だ」とやはり呟くように答えた。
ジャックが息だけで笑ったのが、少し揺れた体の動きで分かった。
「…いざとなったら俺は捨て置け。お前の足手まといにはなりたくない」
囁くような掠れた声に、私は思わず顔を上げてジャックの顔を見つめた。
どういう表情をしていたのか分からないが、ジャックは私の顔を見て苦笑する。
191 :
2/5:04/03/03 18:37 ID:ZGgEjolT
「…そんな顔をするなよ。俺はもう端から死ぬことは覚悟できてたんだからさ
…ただ悔しいから悪足掻いただけで」
「そんなこというな!」
困ったような笑みを浮かべて言葉を紡いでいくジャックに、
私は溜まらず怒鳴りつけてその言葉を遮っていた。
捨て置け?足手まといになりたくない?死ぬ覚悟は出来ていた?冗談ではない。
私はそんな言葉を聞きたかったのではない。そんな言葉を聞くために彼を助けたのではない。
どうしようもない怒りに体が震える。ジャックは驚いたように私を見つめていた。
「…私は…私は…あんたを失いたくないんだ。絶対に捨て置いたりしない。
絶対に…死なせたりなんかしない!」
喉の奥が痛い。何度か言葉につまりながらも更に言い募ると、見開いていたジャックの目が細められる。
泣き笑いのような表情を浮かべて、彼は私の頬に手を差し伸べた。
「…泣くなよ。悪かった。俺が悪かったから…泣くな」
泣く?泣いているのか?私は。そういえば、なんだか目頭が熱い。鼻の奥がつんと痛む。
ジャックは私の頬の涙を親指で不器用に拭い、もう一度「泣くな」と囁いた。
私は溜まらず顔をうつむけて、唇を噛み締める。
その拍子に離れたジャックの手の体温が、とても惜しく感じられた。
無言で頷くと、ジャックが小さく笑ったのが気配で感じ取れる。
「…お前、鳥みたいだな…」
「…鳥?」
「インプリンティング。生まれたばかりの雛が、はじめに見た動くものを親だと思って懐くことさ」
「………」
そう言われれば、そう思わないこともない。だが。
「…私はジャックに会う前に、他にも動くものを見ている。そういうんじゃない」
そう、ジャックだからだ。共に助け助けられて生き延びた。私の正体を知っても変わらずにいてくれた。
私が人を食ったと知っても…彼は、私に「よろしくな」と言ってくれたのだ。
192 :
3/5:04/03/03 18:38 ID:ZGgEjolT
彼相手でなければ、私の感情はここまで大きく揺すぶられたりはしない。
この先どこでどんな人に会おうと、私にとって一番大切な人はジャックなのだ。
それは変わらない。自信をもって言える。
断固と言い切った私に、ジャックは穏やかに微笑んだ。
眉は少しハの字形だったけれども、その微笑みは優しかった。
「…お前に助けられてばかりだな、俺は。お前がいなけりゃ、俺はとっくに死んでた。
お前がいなけりゃ、俺は…」
囁くような声は、尻すぼみに小さくなる。
だが私は、その先に『生きていけないのかもしれない』という言葉を聴いたような気がして、首を振った。
「…違うよ、ジャック。それは私の方なんだ。私の方が、あんたがいなければ生きていけないんだ」
目をまっすぐに見て言い切ると、ジャックは少し目を見開き、しかしすぐに微笑んだ。
困ったような、だが柔らかい笑み。
その微笑を見て、私は溜まらずジャックの体を抱きしめた。
どうしてそうしてしまったのか、自分でもよく分からなかった。
ただ胸の奥から熱いような疼くような、刺すような痛みを伴ったなにかが押し寄せてきて、
ただただ衝動的に抱きしめてしまっていた。
「…おい、どうした?…っ、いてぇよ、ちょっと力緩めろ…」
ジャックの驚きながらの、でも少し笑みを含んだ抗議の声に、私は慌てて腕の力を緩める。
それでも彼の体を離すことはしなかった。
ただひたすら抱きしめ続けていると、やがてジャックの腕が私の背中に回り宥めるように優しく叩いてくる。
193 :
4/5:04/03/03 18:38 ID:ZGgEjolT
「…なんだかなぁ…おふくろの気分がちょいと分かった気がするぜ…」
「…おふくろの気分?」
なぜだ?と問いかけた私に、ジャックはどこかくすぐったそうに笑う。
「出来の悪い子ほど可愛いってやつさ」
少しむっとした。
「…私は子供ではない」
「生まれたばっかりだろ?」
…それを言われると言い返せない。
「…だが、出来が悪いとはなんだ。私はそんなに手がかかったか?」
「そうだなぁ、大人しく待ってろっつったのに言うこときかないでのこのこやってくるわ、
逃げろっつったのに腰抜かしたりするわ…」
「そ、そんな、ジャックだっていつも危ない目に遭っていたではないか!」
「分かってるよ」
ジャックの言い様に思わず非難の声を上げると、思いもよらず穏やかな声が返ってくる。
「…昨日も今日も、ずーっとお前に助けられてきたんだもんな。お前、タイミングよすぎだし。…ありがとな」
最後の言葉は少しぶっきらぼうに。どうやら彼なりの照れ隠しであんなことを言ったようだ。
私は少しほっとして、もう一度彼を抱きしめる腕に力を込めた。
194 :
5/5:04/03/03 18:39 ID:ZGgEjolT
「…それにしてもジャック、なんで私にあんなことを言ったんだ?」
「あんなこと?」
「ありのままを話せと…そんなことをしたら、ジャックの命が危ないじゃないか。
…それとも、あの時にはもう覚悟していたのか?」
「ああ、それか…いや、あん時はまだ諦めてなかったぜ。
ショックと恐怖で混乱して記憶なくしてるふりでもしようかと思ったんだが…
どっちにしろ処分は決定だったみたいだしな。
尋問にかけられるって分かったところでなりふり構ってられなくなったわけだし」
だからあの大暴れになったのか。
私はジャックが最後まで諦めていなかったことに安堵し、
そうして今彼がここに生きていることに安堵した。
彼は私の大切な人。刷り込みでもなんでもいい。それだけは変わらない、確かな私の真実。
失えない。失いたくはない。
頬にあたる彼の髪の感触。息遣い。暖かな体温。鼓動。
私も彼も、生きている。
生きているのだと、実感した。
「…なにがあっても、私が守るよ、ジャック」
彼の髪によりいっそう顔をうずめて囁くと、ジャックが肩を震わせ小さく笑う。
「言ってくれるな。いつまでも守られてばかりの俺だと思うなよ?」
挑発的な、だが楽しそうな声音。
大切で、大切で。狂おしいほどに、胸が熱くなる。
いとおしいという言葉をこの時の私はまだ知らなかったが、
かけがえのない唯一無二の存在である彼をただひたすらに大切に思い、
恋焦がれているこの感情がその言葉に近いというのならば、
私は間違いなくジャックをいとおしく思っているのだと、そう思うのだ。
195 :
161:04/03/03 18:40 ID:ZGgEjolT
なんかあやふやとしてますがここでとりあえず終了です。
やっぱりあまり801らしくない_| ̄|○ゴメンナサイ
リバOKのつもりで書いてみたのですが、
へたれ気味天然主人公×へたれ気味強気ジャックタン萌えなためか、
主ジャクっぽい気がしないでも…(;´Д`)
逆だった姐さん方、すみませんです。
>182姐さん
ジャック視点の話も書いてみてはいるんですが、主人公の名前に頭を悩ませてます。
今まで書いている分だと「おい」「お前」「あいつ」などなど。
コレジャジュクネンフウフダヨ…
私、へたれとかいう名前でゲーム進めてたんで…さすがにへたれじゃまずいよなぁと(ニガワラ
名前呼ばせてみたいし。
いっそそのままメサイアと呼ばせようか。それともメシア?なんだかへぼn(ry
でもジャックタンが名前をつけてあげるというのもちょっと萌え(*゚∀゚)
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございます。
続きを待っていると言っていただけて、とても嬉しかったです(*´∀`)
それでは名無しに戻りまつ。
完結キタ━━━━(*゚∀゚)━━━━ !!
姐さんお疲れでした。超GJ!どちらかといえば逆だけど無問題で凄く楽しく読めました!
二人ともかわいすぎ…ヒヨコタン(´Д`*)ハァハァ
197 :
182:04/03/03 20:16 ID:kxseTmHE
>161完結編お疲れ様!最後まで楽しく読ませて貰いました(*´д`*)ハァハァハァアハァ
危険があるたびに二人の仲は進展して行くでつね (;´Д`)ハァハァモウスコシアトスコシ
ジャックタン視点話も書いてるですか?ぁあそんなこと聞いちまったら、その話キボンヌとしか言えませんyo
メサイアのままでも良いけど、ジャックタンが名付け親なのもすごく(・∀・)イイ!!
私がやった主人公タンの名前は「カーソルで〜」でした。名前入力がうまく出来なくて_| ̄|○
>161姐さん
完結お疲れさまです。
自分はへたれ大型犬系ジャック×天然主人公者ですが、
十分、いや無茶苦茶萌えますた。
素晴らしい萌えをありがとうございます。
名前はデフォルトがメサイアですかねぇ…最終的にはジャックタンにお願いしたい。
勿論苗字はジャックタンとお揃いでw
さ、パパンまた初めから読み直してきちゃうぞー 三(*゚∀゚)
161さん最高です。・゚・(ノ∀`)・゚・。萌えさせていただきますた!!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,__ | モナモラorモラモナのエロ小説が来ますように…
/ ./\ \_______________
/ ./( ・ ).\ o〇 ヾ!;;;::iii|//"
/_____/ .(´ー`) ,\ ∧∧ |;;;;::iii|/゙
 ̄|| || || ||. |っ¢..|| ̄ (,, ) ナモナモ |;;;;::iii|
|| || || ||./,,, |ゝ iii~ ⊂ ヾwwwjjrjww!;;;;::iii|jwjjrjww〃
| ̄ ̄ ̄|~~凸( ̄)凸 ( ,,)〜 wjwjjrj从jwwjwjjrj从jr
ガナしぃやモナギコまだー?チンチン
私たちはあなたを決して忘れません
+ ゚ . + . . .゚ .゚。゚ 。 ,゚.。゚. ゚.。 .。
.* ゚ . ゚ 。 . , . .o 。 * .゚ + 。☆ ゚。。. .
γ《⌒"ヽ 。 。 *。, + 。. o ゚, 。*, o 。. 。 . 。
゚ (ローロ *) . , . , o 。゚. ,゚ 。 + 。
゚*, , γ<y> ヽ. o ゚ 。 。 ゚. ☆ * 。゚. o.゚
o . ヽ:::::::;;;;;'' 。 o 。 .. 。,゚.。*. 。☆ . +. . .
。 . . . 。 ゚。, ☆ ゚. + 。 ゚ ,。 . 。 , .。
*゚ 。 ゚ *. . +。 ゚ * 。. , 。゚ +. 。*。 ゚. . . . .
. 。 ゚ ゚。 。, .。o ☆ + ,゚。 *。. 。 。 . 。 .
゚ .゚ ゚ 。゚ + 。. +。 * 。゚。゚., ,+ 。゚. 。 . . , , .
。, .゚。 + ☆。,゚. o。 。+ 。゚., . ゚ , 。 。 . .
゚. o * 。゚。゚.。゚。+゚ 。 。 ゚。 ゚ 。 ゚
゚` .゚ .゚. ゚. . ゚ . ゚ . , . . . 。 ゚ .
. . . , 。 . . , .
。 ゚ . 。
, . . . .
。 〃´^⌒ヽ 。
( ::::::;;;;;;;ノ .ノミミヽ
. . γ::::::;;;;;;ヽ ( ::::;;;;;・〜、
/´::::::::::;;;;;;;;l / ::::;;;ノ.`ヽ'
( :::::::::::;;;;;;;;;ノ. (´:::::;;;;;;;)
‐''"´'''"""''"`''""`"""''''''"´'''"""''"`''""""'''"''''''"`"""''''``'‐
あなたが成したこと 残したもの 絶対に忘れない
)、._人_人__,.イ.、._人_人
<´うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!
< ミカミンーーーー!!!!!!!
⌒ v'⌒ヽr -、_ ,r v'⌒ヽr ' ⌒
// // ///:: < _,ノ`' 、ヽ、_ ノ ;;;ヽ //
///// /:::: (y○')`ヽ) ( ´(y○') ;;| /
// //,|::: ( ( / ヽ) )+ ;| /
/ // |::: + ) )|~ ̄ ̄~.|( ( ;;;|// ////
/// :|:: ( (||||! i: |||! !| |) ) ;;;|// ///
////|:::: + U | |||| !! !!||| :U ;;; ;;;| ///
////|::::: | |!!||l ll|| !! !!| | ;;;;;;| ////
// / ヽ::::: | ! || | ||!!| ;;;;;;/// //
// // ゝ:::::::: : | `ー----−' |__////
: ヽ_ 丿
>>203 ものすごく泣きました。
彼を失う事がこんなに哀しい事だったなんて…
職人さん、乙です。
ミカミン・・・・゚・(ノД`)・゚・
207
保守。
保守
>161さん
他スレから来て読みました。素晴らしく萌えました。ジブンハ逆カプデスガ…
12扉は萌えますね。
女と脱出はグッドで男と脱出するほうがベリーグッドというゲーム…いいんだろうか(w
>161さん
すばらしい12扉SSありがとうございます。
しかし、わたし主人公は「ロナルド」にしてたんですよね(ジャック&ロナルドコンビの
某マンガの影響で)。
なので、博士の名前にはマジビビリました……。
続き、キボン!!
ジャンルは某大王連載中のホラー漫画です。
モグリ医者×天狗の人。
以降5レスほどお借りいたします。
214 :
1/5:04/03/13 10:19 ID:DsBBUMx2
最初は、いい加減に家賃を入れろとかそういう話をしていた筈だった。
家賃を入れないのなら、お前は下宿人じゃなくて居候だ。三杯目にはそっ
と出さなきゃならない立場だ。それが勝手に台所を漁って、私が買った酒
を昼間から呑んでいる。少しは遠慮しろ。でなけりゃ出掛けて行って稼い
で来い。お前、仕事さえすれば実入りは悪かないんだから。そんな話だった。
居候の方にも言い分があった。俺もさ、大家に死なれて、この国での屋
根と畳のあるところで寝られなくなるのは面倒だと思って、お前個人に関
してはノーギャラで動いてたけどよ。お前だって、俺のギャラが安くない
のは知ってるだろ? 知ってるなら、向こう三年分の家賃ぐらい前払いが
済んでいるのも解ってるだろうに。
馬鹿お前、と私は言い返す。こっちが手を貸してくれなんて言ったこと
は数える程しかないぞ。お前、自分が好きで顔を突っ込んできてるんじゃ
ないか。
そりゃそうだ。ああいう時でもなきゃ、大っぴらに暴れられないじゃね
えか。自分が愉しめて、その結果、大家の首も繋がるなら、それに越した
ことはないだろうよ。
きちんと話の流れを覚えているのはそれぐらいまでだ。後のことは良く
覚えていない。
ああでもないこうでもないと、小一時間も言い合えば喉も渇く。男二人
で茶でもなかろうと、口を湿すのは自然と酒になる。杯をどれだけ空けた
かも解らず、それを数えるどころか杯では足りぬと湯呑み酒となり、気が
付けばしたたかに酔って、話の中身などあってないようなものになってし
まった。
215 :
2/5:04/03/13 10:22 ID:DsBBUMx2
だから、何故そんなことになったのか、良く覚えていない。
気が付けば、気が付けば居候の体は私の下で仰向けに転がっていた。
もしかしたら、頭に血が上りすぎて、殴ろうとかそういう身の程を知らぬ
ことを考えていたのかもしれない。
だが、次の瞬間、私は自分が何をやらかしたかに気が付いた。こいつは
自分に向けられた刃を、例えそれが冗談であっても笑い飛ばすような男で
はない。普通で倍返し、虫の居所が悪ければ三倍返し、機嫌が良ければ大
盤振る舞いの十倍返しという男である。
常人と較べても非力な部類に入る私を跳ね除けることなど、こいつにとっ
ては容易いことだ。むしろ、避けずに素直に押し倒された事からして奇跡
に近い。さて、何倍返しが来るだろう。
人間というものは、切羽詰ると案外余計なことを考える。私も同様で、
居候の出方を待つ間、真逆段平を振り回したりはしないだろうが、殴られ
るだろうか蹴られるだろうか。そのとばっちりを蒙って、襖と障子の何枚
かは駄目になるだろう。壁に穴も空くかも知れぬ。私は一応医者だから、
怪我の治療代は良いとして、家の修繕費は高く付きそうだなあなどと、そ
んなことをぼんやり考えていた。
しかし、否も応もない暴力を予想していた私に降ってきたのは、意外な
言葉だった。
「何? お前、苛々してたのはそういう理由だった訳?」
流石にとろりと酔いを含ませた声に、上機嫌な笑いを塗り重ねた声だった。
「いかんよ、そういうのは適当に解消しとかないとさ。溜め込むと碌なこ
とにならねえ」
上等の獲物を見付けた時、すらりと刀を抜き放ちながら見せる笑い顔。
見なくても分かる。きっとそれと同じ笑いを、こいつは浮かべているのだ
ろう。
「とりあえず、今すぐに俺の上から退いたら冗談ってことで忘れてやるよ
――退きたくないって言うなら、一晩ぐらい付き合ってやってもいいが」
216 :
3/5:04/03/13 10:23 ID:DsBBUMx2
存外に慣れた口調でそう訊かれ、なぜ冗談の方を選ばなかったのか、
その理由がどうしても分からない。
ただ覚えているのは、無性な寂しさだった。
こいつには、私のこともこの家に住むことも、本当はきっとどうでも良
いのだ。今は物珍しさと、ほんの少しの都合の良さで傍にいるが、それが
尽きたらふいとどこかに消えてしまうに違いない。なにせ、行きずりの鴉
の様な男だ。
だから、笑って抱かれてやるよなどと言う。私など、明日からどんな顔
をして顔を合わせたら良いのか分からないというのに、こいつはそんなこ
とを気にしやしない。路傍の石をどれだけ蹴ろうと、その石の気持ちなど
考えやしないように。
そんな存在の軽さが寂しかったから、せめて私という肉の重さと熱を、
その肌に覚えさせたかったのかも知れぬ。
217 :
4/5:04/03/13 10:24 ID:DsBBUMx2
目が覚めると、隣の部屋に人の気配がした。その話し声が、二日酔いの
頭にがんがん響く。それに喉も渇いて、口の中が粘ついて気持ち悪い。水
が欲しいと思った。
床から出るのも億劫なのを、無理矢理に引き起こして襖を開けると、そ
こにはいつもの顔といつもの背中。
顔の方は、眼鏡を掛けた魔女のそれだ。いつも通り、勝手に上がりこん
だのだろう。いつものことになり過ぎて、もうそれに文句を言う気もない。
面倒事を持ち込まないでくれさえすれば、それで充分だ。
背中の方は、居候のものだ。珍しく、束ねもしないでいる髪が背中を覆っ
ていて、それが昨夜のあれを思い出させずにはいられない。床の上に広がっ
た、黒く長い髪。ことの最中にも、薄い笑みを絶やさなかった皮肉な唇。
思ったよりは色の白い肌。
「お早う。迎え酒、要るかね?」
そんなことを考えていた私に、魔女が銚子を掲げて笑って見せた。見れ
ば、もう何本か空けた跡がある。
「こんな朝早くから、人んちで何やってんだお前は」
「早かないよ。曇ってるから御天道様は見えないけれど、もう昼前さね」
朝も昼前も同じだろう、そんな時間から何を肴に呑んでやがる。そう言
おうとした時、それを魔女の言葉が遮った。
218 :
5/5:04/03/13 10:26 ID:DsBBUMx2
「しかしお前さん、適当な女で間に合わす余裕もなかったのかね?」
私は言葉を発しようと、口を開いたままの形で凍りつく。
「いや、人の趣味にどうこう言う気はないけどさ、一応こんな近くに一人
身の女がいるって言うのに、それを飛び越して年端もいかない娘っこやら、
挙句の果てに男に手を出すとは思わなかったからさ」
「………………お前、真逆」
あれに言ったのか、と訊こうとした私の口は、ただ虚しく開閉するだけ
で言葉にならず、しかし皆まで言わずともその意を理解したようで、居候
はくるりと振り向いてこちらを見て、そして笑った。
「お前ね、あいつと知り合ってもう何年になるよ? あれに対してぷらい
ばしぃとかそういうもんが確保できるとか思ってるなら、そりゃ相当ここ
んところが御目出度いぞ?」
居候がとんとんと自分の頭を指先で叩いてみせるのを見て、私は全身の
力が抜け落ちるのを感じた。へなへなと座り込み、その姿勢にも留まりき
れず、畳まで崩れ落ちる。そんな私の様子を見て、二人が笑うのが聞こえ
ても、もう何か言い返す気力もなかった。
傾いた視界の遠くに、敷きっぱなしの布団が乱れているのが見える。
きっと当分、昨夜のことは、二人の酒の肴にされるのだろう。畜生め。
おしまい。
>>213 まさか、このマンガをここで見ると思いませんでした。
つか、このマンガ知ってる人が居るとは…。
すごい好きなので嬉しいです。
とても面白かったです。やぶ医者はどこまでも不幸…w
私は逆カプでイメージでしてましたが。楽しかったです。
>>213 元ネタ分からないまま、ものすごく萌えました……オオオー
もし宜しかったら、ちらりとヒントを頂けませんでしょうか?
>>213 このマンガ大好きだから、元ネタわかったときは嬉しかったですw
やぶ医者のヘタレっぷりがイイ
姉さんGJです
>>213 ええもの拝ませていただきました
GJ!
最初別な小説かと思ったら違ってたんですねー
223 :
213:04/03/15 12:28 ID:diAF0o+V
>220
電撃と名の付く月刊漫画誌に掲載されていて、
タイトルの最後に「草紙」が付く作品です。
広大なネットの世界には、どんなにマイナー作品でも
萌えを共有できる姐さんたちがいるんだね、ママン(´Д⊂
224 :
風と木の名無しさん:04/03/15 22:12 ID:x6BgVkZq
死守。
>224
なんかすごく姐さんの意気込みが伝わってきて萌え。
ってことで保守。
ほしゅ
ここは保守の多いインターネッツですね
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ポップアップ機能のあるブラウザで見てね。
|
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 挿絵が飛び出して見えるモナ。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (・∀・ )(´∀` )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄
1.鏡と、そのかけらのこと
悪魔:8ネーノ
子悪魔:・ネーノの子供達
神様:モララエル
ある日のこと、魔物の長は一つの鏡を作りました。
その鏡に映ると、いいものや美しいものはみんな縮こまって、見えなくなってしまいますが、役に立たないものやみっともないものは、なおさらひどく見えるのです。
きれいな景色も、ズレズレに歪んだ大型AAみたいに見えるし、基本テンプレも、耳が飛ぶとか、胴無し眉毛に映るとかしました。
顔はすっかり文字化けしてしまって見分けもつきません。
それに、調整ドットが一つあろうものなら、それが体じゅうに広がるのはまず間違いありませんでした。
「コイツは、素敵に愉快なんじゃネーノ?」と、悪魔は言いました。
何しろ、ある人の心にマターリした、(・∀・)イイ!!考えが浮かぶと、鏡にはふっと(・A・)イクナイ!!が出てくるのですから。
さて、悪魔は魔物学校の校長をしていましたので、生徒の小悪魔たちはみんな、
『今こそはじめて、2chや住人の本当の姿が見られるんだからな』と、方々の板へ言いふらしました。
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小悪魔たちは、この鏡を担いであっちこっちねり歩いたので、この鏡に歪んで映らなかった板もスレッドも、一つもないぐらいでした。
そこで、次は天国までのぼっていって、天使たちや神様たちを馬鹿にしてやろう、ということになりました。
高くのぼっていくと、鏡に映るものはどんどん酷くなりました。
それでももっともっとのぼっていって、神様と天使たちの方へ近づいていくと、鏡はおそろしく震え出し、みんなの手から飛び出して地面に落ち、
そこで、何千万、何億の、いや、もっともっと沢山の欠片になって飛び散り、それまでよりもっと大きな禍を撒くことになったのです。
ttp://yellow.ribbon.to/~asterisk707/eho-n/mora.jpg というのは、欠片の中には、大きさが調整ドットぐらいしかないのもあって、それらは2chじゅうに飛んでいき、住人の心の中に入り込みました。
すると、その人たちは何もかもを殺伐と見たり、さもなければスレの厨なところばかりに目をつけたりするのでした。
鏡の細かい粒ひとつでも、元の鏡と同じ効果を持っていたからです。
鏡の欠片には大分大きいのもあって、窓に使われたりしましたが、そんなブラウザを通して2chを見るなんて、やめた方がいいのでした。
なかには、眼鏡になった欠片もあります。けれど、そんな色眼鏡をかけると、レスをちゃんと読もうとしても、とてもうまくいきませんでした。
悪魔の方は、立っていられないほど笑いこけました。
それはともかく、小さい鏡の欠片の群れは、まだまだ2chじゅうを飛び回っているのでした。
2.兄弟と従兄弟者
カイ:従兄弟者
ゲルダ:流石兄弟(ダブルキャスト)
薔薇の花:こけもも
おばあさん:母者
雪の女王:マスター
大きい板には、とてもたくさんのスレがあり、数多くの住人がいますから、誰もが流石リーナを育てられるほどの容量はありません。だから、大抵の人はほっしゅ毬藻で満足しなければなりません。
この板に、こけももを育てている、幼い子供達が住んでいました。
この子達は同種族で、家族のように仲良しでした。彼らの保護者は、板の下の方に、隣り合わせに住んでいました。
つまり、どちらも地下スレに住んでいたのです。
それぞれのスレにリンクが貼られていましたから、お互いに向こうのスレへ行くことができるのでした。
このスレはとても低くにあって、子供達は、勝手にスレをageてはいけないと、ちゃんとわかっていました。
だから彼等は、ときどき許しをもらっては、お互いのスレに行き、こけももの下に座って、楽しく遊ぶのでした。
冬になれば、そういう楽しみはなくなります。ときおり、スレは人大杉のためにすっかり止まってしまいます。
外には雪が舞い散っています。
「あれは、白いほっしゅ毬藻が、どっさり群がっているんだよ」と、母者は言いました。
「ほっしゅの女王もいるのだろうか」と、小さい兄者は聞きました。
兄者は女王蜂と同じように、ほっしゅにも女王がいると信じていたのです。
「いるともさ」と、母者は言いました。
「女王は、ほっしゅたちが一番びっしり群がっているところに飛んでいるんだよ。他の誰より大きいし、
決してじっとしていなくて、すぐまた常駐板の方に飛び返ってしまう。
よく、冬の夜には、女王は地下スレを飛び回って、あっちこっちのスレを覗き込む。
すると、スレは凍り付いて、スレストをかけたみたいになるんだよ」
「雪の女王は、ここまで入ってこられるかな」弟者が聞きました。
「来るなら、来たらいい」従兄弟者は言いました。「熱いストーブに乗っけてやる。そしたら、溶けちゃうさ」
その夜、従兄弟者は窓ぎわの椅子にのぼって、外をのぞきました。
外では、雪のひらが二つ三つ、舞っていましたが、そのうちの一番大きいのが、窓のへりにとまりました。
その雪ひらは、みるみる大きくなったと思うと、しまいに、りっぱな八頭身になりました。
来ているものはとても綺麗な白い紗でしたが、それはまるで、星のような氷片を何百万も集めてできているようでした。
その八頭身は実に美しくてカコイイけれど、体は目もくらむような、きらめく氷でできていて、それでいて生きているのでした。
その目は、澄んだ二つの星のようでしたが、その中には、馴れ合いもマターリもありません。
従兄弟者はぎょっとして椅子から飛び降りましたが、そのとき、大きな鳥が一羽、窓の側から飛び去ったような気がしました。
あくる日は晴れて、凍てついた朝になり、それから雪どけになり、春が来ました。
たいようが輝いて、緑のほっしゅがのぞきだし、窓は開けられ、子供達はまた、こけももの下で遊ぶようになりました。
こけももはこの夏、言いようもないほど見事に咲きました。
兄弟は替え歌を一つ、知っていましたが、その歌を歌うと兄弟はいつも、自分達のこけももを思い出すのでした。
♪萌えの花 かおるスレに おわします ネタ師絵師 職人様♪
従兄弟者と兄弟はそこに座ってこけももを眺めていましたが、乙女の花園でスジャータが5時を知らせたとき、従兄弟者が言いました。
「痛い! 胸がちくっとした! …あ、今度は、何か目に入った!」
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兄弟は心配になって、従兄弟者の頭を抱きました。従兄弟者は目をしぱしぱさせましたが、何も見当たりませんでした。
けれど、出てしまったのではありません。あの鏡から飛び散った粒の一つだったのです。
そして従兄弟者の心臓にも、この粒が一つ、入ってしまったのです。
「なんで泣いてるんだ?」従兄弟者は聞きました。
「何ともないのに! ちぇっ!…なんだ、このこけももには('A`) がくっついてる!
それに、あっちのはまるでズレてる!」
従兄弟者はこけももの鉢を蹴飛ばして、葉っぱをむしりとりました。
「マテ従兄弟者、何をする」小さい弟者は叫びました。
ところが従兄弟者は、兄者のびっくりした顔を見ると、兄弟を放っておいて、家に飛び込んでしまいました。
従兄弟者はすっかり人が変わってしまいました。
兄弟がFMVを持って遊びに行くと、従兄弟者は、そんなものヒッキーの見るものだ、と言いました。
それに、母者がお話をしてあげると、ひっきりなしに「フーン」「それで?」と口を出し、隙さえあれば、後ろに回って、母者の真似をするのでした。
じきに従兄弟者は、板じゅうのどんなAAの話し方も、歩き方も真似るようになりました。
そのAAのおかしなところ、格好悪いところならなんでも、従兄弟者はうまく真似してみせました。
自分を慕ってくれる小さな兄弟さえもいぢめるようになりました。
冬のある日、従兄弟者はミトンをはめ、そりを肩にかついでやってきました。
「みんなの遊んでる広場で、そりに乗ってもいいって言われたんだ」そう言うと、従兄弟者は行ってしまいました。
広場では、大きな男の子たちが、自分のそりを山崎の車に結びつけ、くっついて滑っていました。
そうしてみんなが遊んでいる最中、大きなそりがやってきました。
真っ白なそりで、乗っている人は、白い毛皮にくるまり、白い帽子をかぶっていました。
従兄弟者は自分の小さいそりをすばやくそれに結びつけ、一緒に滑りだしました。
そりは、ぐんぐん速くなって、またたくうちに隣のスレに入りました。
そりを走らせていた人は、振り向いて、二人が前から知り合いだったみたいに親しげに、従兄弟者に笑いかけました。
そりは、板の入り口を走り抜けて、出て行きました。
雪が吹雪き始めたので、従兄弟者は自分の手も見えないくらいになりました。が、そりは尚も走り続けてゆきます。
従兄弟者は紐をゆるめて、大きいそりから離れようとしました。でも、駄目でした。
雪は降りしきり、そりは飛ぶように走って行きます。
たくさんの雪のひらは、しだいしだいに大きくなり、とうとう、大きな白いほっしゅ達のようになりました。
ふいに大きなそりは止まり、そりを走らせていた人が立ち上がりました。その毛皮も、帽子も、すっかり雪でできています。その人は、とても背が高く、すらりとして、輝くように白い八頭身でした。雪の女王だったのです。
「随分よく走ったようだ。おや、凍えているね?」雪の女王は言いました、「私の白クマの毛皮の中にお入り」
女王は従兄弟者を大きなそりに乗せて、毛皮をかけてくれました。まるで雪だまりに沈み込むような感じでした。
「まだ凍えてるの?」と尋ね、女王は従兄弟者の額にキスしました。
そのキスは氷よりも冷たく、もう氷の塊になりかけている従兄弟者の心臓にまっすぐ沁み込みました。
従兄弟者は死にそうな気がしました…が、すぐいい気持ちになりました。まわりの寒さも、もう感じなくなったのです。
雪の女王は、もう一回従兄弟者にキスしました。
すると従兄弟者は、小さい兄弟のことも、こけもものことも、家族のことも、すっかり忘れてしまいました。
「これ以上はキスしてあげないよ」と、女王は言いました。「今度キスすると、君を死なせてしまうからね」
従兄弟者のそりは、白いほっしゅの一匹に結わえつけられ、そのほっしゅはそりを背に乗せて、あとから飛んできました。
ttp://yellow.ribbon.to/~asterisk707/eho-n/master-foon.jpg いまでは女王は、氷でできているようには見えませんでした。
従兄弟者の目には、女王は全く完全な人に映りました。もう、ちっとも怖くありません。
そこで従兄弟者は女王に、ボクは2GETができて、それもアンカーつきの煽り2GETができるし、1000取りや、騙しリンクもできるよ、と話してきかせると、女王は優しく微笑むのでした。
女王は、従兄弟者を連れて飛んで行きました。二人は板や鯖を越え、したらばやいちごびびえすを越えて飛んで行きました。
3.魔法を使える姐さんの話
太陽:たいよう(さいたま)
ツバメ:ジエン
魔女:姉者
従兄弟者がいなくなってから、兄弟はどうなったでしょうか?
従兄弟者はどこへ行ったのか、誰も知りません。
男の子達が、従兄弟者が自分の小さいそりをすてきな大きいそりに結び付けて、スレを走り抜け、板から出て行くのを見たというだけです。
そして、従兄弟者はきっと、スレの過去ログを納めるdatに落ちて死んだんだろう、ということになったのです。
たくさんの人が涙を流し、兄者は悲しんで、いつまでも泣いていました。
ようやく春がやってきて、あたたかなたいようの光がさし、ジサクジエンがかしましくさえずり始めました。
「従兄弟者は死んで、いなくなってしまったんだ」兄者が言いました。
「わたしは、そうは思わないね!」たいようが答えます。
「従兄弟者は死んで、いなくなってしまったんだ」弟者はジエン達に言いました。
「そう思うの(・A・)イクナイ!」ジエン達も答えます。しまいに小さな兄弟も、そう思わなくなりました。
ある朝早く、兄弟は、FMVを抱え、スレの外に出て、datのところに行きました。
「従兄弟者を取ってしまったって本当に? 従兄弟者を返してくれたら、FMVをあげる」
すると、datの海が頷いたような気がしました。そこで兄弟は、大事なFMVをdatに放りました。
けれど、FMVはdatのすぐそばにおっこち、小さい波がすぐにそれを、兄弟のいる岸辺に運んできました。
なんだかdatは、兄弟の大事なものを取りたくないみたいでした。
だいたいdatの海は、従兄弟者を取ってはいなかったのですから。
でも兄弟は、FMVをちゃんと遠くまで放らなかった所為だ、と思いこんだのです。
そこで兄弟は、datの海に浮かんでいた一艘のボートに這い上がり、その一番先端まで行って、FMVを放りました。
ところが、このボートはちゃんと繋いでなかったので、兄弟が体を動かしたはずみに、すーっと岸から離れたのです。
兄弟は気が付いて、急いでボートから出ようとしましたが、もうボートは岸からずっと離れてしまい、次第に速く、過去ログの上を滑り出しました。兄者はわっと泣き出しました。
でも、その泣き声を聞きつけたのはジエンたちだけ。
ジエンたちは、岸に沿って飛びながら、兄弟を慰めるように「ボクたちがいるよ! ボクたちがいるよ!」と叫びました。
ボートは、兄弟を乗せて海を流れて行きます。
ttp://yellow.ribbon.to/~asterisk707/eho-n/river.jpg あのFMVは後から流されてきたのですが、ボートの速さにはとても追いつきませんでした。
datの海は、とても綺麗でした。名スレ長寿スレ、神スレもあります。でも、現行スレは一つもありません。
「ひょっとするとこの海は、俺らを従兄弟者のところに運んでくれるかもしれない」弟者は呟きました。
そのうち、ボートは大きな保管庫に差しかかりました。
そこには小さい掲示板が一つあって、赤や青の、おかしなレスがついています。
そのうちボートは、掲示板のすぐ近くまで来ました。流れが、ボートをまっすぐ保管庫のほうに押しやったのです。
兄弟が大きな声で呼んでみると、管理人室から、それは綺麗な姐さんが出てきました。
姐さんは、色とりどりの花々の絵が描かれた大きな日よけ帽をかぶっていました。
「可哀相に!」姐さんは言いました。
「こんなに大きいdatの海に出て、この広い電脳の海を、よく遠くまでやってきたこと」
姐さんはボートを引き寄せ、小さい兄弟を保管庫に入れてくれました。
「あなた達は誰? どうやってここに来たの!」
そこで兄弟は、これまでの事をすっかり話し、もしや従兄弟者を見かけませんでしたか?と尋ねました。
「そういう子は見た事がないけれど、そのうち来るでしょう」姐さんは言いました。
「心配せずに、うちのプリンを食べたり、花を眺めたりして待っていらっしゃい。うちの庭は、どんな絵板より綺麗よ」
姐さんは兄弟の手を引いて、管理人室に入り、ENTERのパスをきちんとかけました。
テーブルの上には美味しそうなプリンが乗っていました。兄弟は、好きなだけお食べと言われたので沢山食べました。
食べている間に、姐さんは金のブラシで兄弟の毛をすきました。
「こんな可愛い弟を、私は欲しくてたまらなかったのよ」姐さんは言いました。
こうして、姐さんが小さい兄弟の毛をすいているうちに、兄弟は次第に幼馴染の従兄弟者のことを忘れていきました。
この姐さんが魔法を使ったからです。
といっても、悪い腐女子ではなく、自分の楽しみのために、ちょっと魔法を使うだけの貴腐人でした。
姐さんは、小さい兄弟をずっと手元に置いておきたかったのです。
そこで、姐さんは庭に出て、魔法の杖を、あらゆるこけももの茂みに向けて差し伸べました。
すると、見事に咲き誇っていたこけももは、みんな保管庫の裏に沈んでしまい、どこにあったのかも解らなくなりました。
姐さんは、兄弟がこけももを見たら、自分のうちのこけももを思い出し、従兄弟者事を思い出して、逃げ出すかもしれないと心配だったのです。
姐さんの花園には、ありとあらゆる時期の花々が、競い合うように咲き誇っていました。
兄弟は日が沈むまで遊んで過ごし、夜になるときれいな寝床に入って楽しい夢を見ました。
そうして月日が過ぎました。兄弟は、庭じゅうの花をみんな覚えました。
けれど、沢山の花があるのに、何か一つ足りないような気がして、それでいて、それが何の花なのか解らないのでした。
ある日、兄弟は、姐さんの日よけ帽を眺めていました。
その帽子色々な花の絵が書いてありますが、中でも一番美しいのは、こけももの花でした。
姐さんは、他のこけももは地下に沈めてしまったのに、帽子のこけももを消すのを忘れていたのです。
「ここには、こけももがないんだ!」兄者は言いました。
二人は花園を探しに探しましたが、こけももは一つもありません。兄者は座り込んで泣きました。
あたたかい涙が土を湿らせたと思うと、ふいにこけももは伸び出して、沈む前と同じに、見事な花を咲かせました。
兄者の涙は、ちょうど前に一本のこけももが沈み込んだ、その場所にこぼれたのです。
兄弟は、こけももを抱いてキスしましたが、その途端、うちのこけももと、従兄弟者のことを思い出しました。
「どうして俺ら、こんなにぐずぐずしていたんだろう」弟者は言いました。「従兄弟者を見つけるはずだったのに!」
「従兄弟者がどこにいるか知ってる?」兄者はこけももに聞きました。
「「死んではいないよ」こけももが言いました。
「今まで俺は過去ログ倉庫にいた。あそこには、datに還ったAAがみんないる。でも、従兄弟者はいなかった」
「どうもありがとう!」小さい兄弟は他の花たちに尋ねました。「従兄弟者がどこに居るか、知 ら な い か ?」
けれど、どの花も、陽射しをあびてうつらうつらと、自分の萌えを夢見ているばかりでした。
兄弟は庭のはずれまで駈けていきました。
ENTERは閉じていましたが、外れていたリンクをかけると、入り口がぱっと開きました。
そこで、小さい兄弟は広い電脳世界に駆け出していきました。
あたりを眺めると、なんと、もう夏は過ぎ去って、秋も遅くになっています。
「なんてぐずぐずしていたんだろう!」弟者は言いました。「もう秋になってる! 休んでなんかいられないな」
あたりは寒寒として、荒れ果てた様子でした。
4.王子と王女
カラス:ぎゃあふさたん
メスのカラス:あのひと
王女:モナ兄
王子:フーン
兄弟は腰を下ろして一休みしました。
すると、真向かいの道端で、ちびフサが一匹、ぴょんぴょん跳ねていました。
「ぎゃあふさたん、本日はおひがらもよく」
これより上手くは話せなかったのです。そ
ふさたんはこの小さい兄弟が気に入って、どこに行くの?と尋ねました。
そこで兄弟は、これまでのことをすっかりふさたんに話し、従兄弟者を見かけなかった?と尋ねました。
するとふさたんは言ったのです。「ぎゃあ、もしやそれはがいしゅつかもしれず」
「なんと、本当に!?」兄弟はふさたんを潰しそうなぐらいに抱きしめて尋ねました。
「ぎゃあふさたん、思うにあれが従兄弟者かもしれず…けれど、今は王女様に夢中で、あなたがたを忘れていると思われ」
「従兄弟者は王女様のところに?」兄者は聞きました。
「ふさたんのあの人は、『お城』住まいで、ふさたんに色々教えてくれるわけで」
「俺らをお城の中に連れて行って欲しいのだが」兄者は言いました。
「ぎゃあ、あなたがたのような小さい子が正式に『お城』に入るのは難しいのではないかと」
「俺らなら大丈夫」弟者は言いました。
「俺らが来てるのを聞いたら、従兄弟者はすぐに出てきてくれるだろうから」
「ぎゃあ、それではしばしお待ちいただきたく」ふさたんは跳ねて行きました。
あたりがもう暗くなってからやっと、ふさたんは戻ってきました。
「ぎゃあ、ふさたんのあのひとがあなたによろしくと」
…あのひとは寝室に通じる裏口を知ってるし、管理人用のパスも知っているわけで」
そこで、一同は『お城』に入り、ふさたんのあのひとは兄弟を寝室に連れて行きました。
心配と期待とで、兄弟の胸はどんなにどきどきしたことでしょう。
まるで、何か悪いことをしようとしているみたいでした。
でも、兄弟はその人が従兄弟者かどうかを知りたいだけでした。きっと従兄弟者に違いありません。
寝室の天井は、大きなアロエフーンが花弁を広げているようでした。
床の真中にある、太い茎のような柱には、百合の花のような天蓋が釣り下がっていました。
その一方には王女が寝ていました。もう片方にランプを差し出すと、日に焼けた首筋が見えました。…ああ、従兄弟者です!
その人は目を覚まし、顔をこちらに向けました。すると…それは従兄弟者ではありませんでした。
王子は、従兄弟者ではありませんでしたが、やはり若くて、カコイイ人でした。
ベッドの反対から、王女が顔を覗かせて、どうしたの?と尋ねました。
ttp://yellow.ribbon.to/~asterisk707/eho-n/8fun-mona.jpg そこで、小さな兄弟は泣きながら、これまでのことをすっかり話しました。
「可哀相に!」王女様は言いました。
それから、王女はふさたん達を誉めてやり、少しも怒っていないけれど、こんなことは何度もやってはいけないYO、と言ってきかせました。王子はベッドから出て、兄弟を寝かせてくれました。このうえなくありがたいことでした。
あくる日、王女は、ずっとこのお城にいなさい、とすすめてくれましたが、兄弟はそれをお断りして、小さい馬車を一台と、それを引く馬をいただけませんか、とお願いしました。
その馬車で、また広い世の中に出て行って、従兄弟者を探したいのです、と。
すると王女様は、ブーツとマフまでもくださいました。
身支度が済むと、王子と王女はわざわざ兄弟を手伝って馬車に乗せてくれました。
5.小さな山賊娘
山賊の長老:D
山賊娘:ツー
ハト:(・∀・)イイ!!×(・A・)イクナイ!!
トナカイ:8フサ
一行は昼なお暗い森に差し掛かりました。純金の馬車が炎のように輝いたので、その光が山賊たちの目に入りました。
「あれは金だ! 金だぞ!」
山賊達は飛び出すと、馬を取り押さえ、御者や随身を打ち殺して、小さい兄弟を馬車から引き摺り下ろしました。
「コノ子ハ、太ラシタシィ素敵ダ!」全身傷だらけで、片方の耳が千切れた、山賊の長老が叫びました。
「サテ、ドンナ味ガスルカナ?」長老はよく研いだナイフを抜きました。
そのナイフはぎらぎら光って、まったく身の毛もよだつようでした。
ttp://yellow.ribbon.to/~asterisk707/eho-n/D-anija.jpg 「ア痛ッ!」長老は悲鳴をあげました。自分の小さい娘に、耳をかまれたのです。
その娘は、長老の背中にかじりついていましたが、どうにも乱暴で、お転婆で、手がつけられないぐらいでした。
「コノガキ!」長老は娘を払いのけましたが、その間に兄弟を放してしまいました。
「コノ子ラハ、オレト遊ブンダヨ!」小さい山賊娘は叫びました。
「コノ子ラハ、オレニキレイナマフヲ寄越スンダ! ソシテ、オレノ寝床デイッショニ寝ルンダ!」
娘がまた長老の耳に噛み付いたので、長老は高く跳ね上がって、きりきり舞いしました。
ttp://yellow.ribbon.to/~asterisk707/eho-n/two-D.jpg ほかの山賊たちはみんな笑い出ました。「見ろや、長老、てめえのガキと一緒に踊ってらあ!」
「オレ、アノ馬車ニ乗ルンダ!」小さい山賊娘は言いました。
この子ときたら、やたらに甘やかされていて、気が荒いので、やりたい事は無理やり押し通すのです。
というわけで、娘と兄弟は馬車に乗り込むと、木の株も茨も乗り越え、森の奥へと馬車を走らせていきました。
山賊娘は、小さい兄弟の体を抱いて言いました。
「オレガ腹ヲ立テナイウチハ、誰ニモオ前ラヲ殺サセヤシナイ! オマエラ、王様ノ子供ダロ?」
「ううん」小さい兄弟は、これまでにあったことや、どんなに従兄弟者を好きかということを、すっかり話しました。
山賊娘は、まじめな顔で兄弟を見ていましたが、ちょっとうなずいて、言いました。
「オレ、オレガオマエラニ腹ヲ立テテモ、誰ニモオマエラヲ殺サセヤシナイ! ソノトキハ、オレガ自分ノ手デヤルヨ!」
そう言うと、兄弟の涙を拭いてやって、あたたかなマフに手を入れました。
やがて、馬車が止まりました。
そこは、山賊の砦の中庭で、八頭身だって簡単に飲み込めそうな、大きなぞぬ達が飛び跳ねていました。
すすけた古い広間では、石の床の真中で、盛んに火が燃えていました。
大きな釜ではスープが煮立ち、串に刺さった肉が、火の上でくるくる回っています
「オマエラハ今晩、オレノ獣タチトネルンダヨ!」山賊娘が言いました。
寝床には藁と布団が敷いてあって、上の方の梁には、100匹ほどのハトがとまっていました。
「コレハミンナ、オレノナンダ!」小さな山賊娘はそう言うと、そばの一匹をつかまえて、ゆすぶりました。
「キスシテヤリナ!」娘は叫んで、そのハトを兄弟の顔に押し付けました。
「ココニイルノハ、森ノヤクザ者サ!」娘は、横木を打ち付けた壁の穴の奥を指差しました。
「閉ジ込メテオカナイト、スグ飛ンデッチマウ! ソレニコイツモ、シッカリ縛ッテオカナキャイケナイ!」
そう言うと、一頭のトナカイの角を掴んで、引っ張ってきました。
そのトナカイは、ぴかぴかの銅の輪をクビにはめられて、繋がれているのでした。
「毎晩、オレハナイフデ、コイツノ首ヲクスグッテヤル。ソウスルト、トテモ怖ガルンダヨ!」
小さい山賊娘は、長いナイフを取り出して、トナカイの首筋をすーっとこすりました。
かわいそうに、トナカイは足をばたつかせました。
山賊娘は笑い声をあげ、それから兄弟を引っ張って、一緒に寝床に入りました。
「寝るときにもナイフを持ってるの?」兄者は尋ねながら、ちょっと怖そうにナイフを見ました。
「オレハ、イツダッテナイフヲ持ッテルヨ!」小さい山賊娘は言いました。
「ドンナコトガオコルカ、ワカッタモノジャナイカラネ。
サッキオマエラガイッテタ従兄弟者ッテ奴ノコトヲ、モウ一度話シテオクレヨ」
そこで兄弟はもう一度始めから、話をしました。
そうするうち、小さな山賊娘は、兄弟の首に腕を巻きつけ、片手にはナイフを握ったまま寝入ってしまいました。
でも兄弟は、目をつぶることもできません。
山賊達は火の回りに座り込んで、歌ったり飲んだりし、あの山賊の長は、とんぼがえりをうっています。
小さい兄弟にとっては、まったく、ぞっとする光景でした。
すると、止まり木の上から森のハトが言いました。
「ボクたち、従兄弟者を見たよ。白いほっしゅがそりを運んでいて、従兄弟者は女王のそりに乗ってた。
ボクたちが巣の中にいるとき、そのそりが、森の上すれすれに飛んでったんだ。
そのとき雪の女王が、ボクたちの仲間に息を吹きかけたんで、仲間はみんな死んじゃった」
「雪の女王はどこに行ったの?」弟者は声を上げました。「なにか知ってる?」
「行ったのはたぶん、避難所だろうね。あそこは一年じゅう凍てついてるから。
そこに綱で繋がれてるトナカイに聞いてみるといいよ」
「あそこはあぼーんとスレストばかり。まったく恵まれた、いいところですよ!」トナカイが言いました。
「あそこでは、キラキラ輝く大きなPBBSで、自由に飛びまわれるんです。
雪の女王はあそこに夏の天幕を張るんだけど、女王のちゃんとした城は、もっと北にあるんですよ」
あくる朝、兄弟は、森のハトたちの言ったことを、すっかり山賊娘に話しました。
山賊娘は真面目な顔で聞いていましたが、頷いて言いました。
「マア、ドウデモイイヤ!…オマエ、避難所ガドコニアルノカ、知ッテルノカイ?」
「わたしよりよく知ってる香具師はいないでしょうよ」トナカイが言って、目を輝かせました。
「わたしは、あそこで生まれて、あそこのBBSを飛び回っていたんだから」
「聞キナ!」山賊娘が兄弟に言いました。
「大人ハミンナ、デカケチマッテルケド、父サンハマダ、ココニイル。
デモ、昼ノウチニ酒ヲ飲ンデ、ソノアト眠ルンダ。ソシタラ、イイコトシテヤルヨ!」
そう言うと、娘は寝床から跳ね起きて、長老の首に抱きつきました。
「オレノカワイイカタワサン、オハヨウ!」
長老が酒を飲んで眠ってしまうと、山賊娘はトナカイのところに行って、言いました。
「オカシナコトダケド、オレハ、オマエヲコノナイフデマダ何ベンモクスグッテヤリタインダ。
ソウイウトキノオマエハ、ジツニユカイダカラネ! デモ、マアイイヤ。オマエノ綱ヲ解イテ外ニ出シテアゲル。
ダカラオマエ、コイツラヲ、雪の女王ノ城ニ連レテイッテヤリナ!」
トナカイは、嬉しさのあまり跳ね上がりました。
山賊娘は、兄弟をトナカイの背に兄弟をしっかりゆわえつけてくれました。
「サア、オマエラノ毛皮ノブーツダヨ。コレカラ寒クナルカラネ。
デモ、マフハオレガモラットク。コレハトテモキレイダモノ!」
兄弟は、嬉しさのあまりに泣き出しました。
「メソメソスルンジャナイヨ!」小さな山賊娘は言いました。
「ココニパントハムガアル。コレダケアレバタリルダロ!」
小さい山賊娘は戸を開けて、大きいぞぬたちを中に誘い込み、ナイフで綱を切って、トナカイに言いました。
「サア、イキナ! コイツラニヨクキヲツケテヤルンダヨ!」
ttp://yellow.ribbon.to/~asterisk707/eho-n/two-fusa.jpg トナカイは走り出して、藪や木の株を越え、大きな森を駆け抜け、沼地や草原を越えて、力かぎりに走って行きました。
トナカイは、夜も昼も走りつづけました。そして、パンを食べてしまい、ハムも食べきった頃、避難所に着きました。
6.避難所の管理人たち
ラップランドの女:8ガナー
フィンランドの女:8でぃ
雪片たち:1さんズ
天使の軍勢:八頭身集団
さて、兄弟の乗ったトナカイは、とある小さなスレで止まりました。それは、とてもみすぼらしいスレでした。
このスレにいたのは、たったひとり、八頭身の女だけで、トナカイは兄弟の事をすっかり話しました。
兄弟の方は、寒さのためにへとへとで、話す力もなかったからです。
「まあ、かわいそうに!」女は言いました。
「それだと、あんたたちは、もっと先まで、走らなきゃならないわね!
ここからもっと地下の、隠し板まで行かなきゃならないわ。
雪の女王は、今はそっちで休んでいて、長い夜ごと夜ごとに、祭りの青い火を燃しているんだから。
私は、二言三言、メールを書いてあげよう。あんたたちはそれを持って、隠し板の管理人のところにお行き。
その人の方が、私よりよく教えてくれるわ!」
そこで兄弟は、火にあたたまりながら食べたり飲んだりしました。
その間に女はメールを書いて兄弟に持たせ、二人をまたしっかりトナカイにゆわえつけました。
トナカイが駆け出すと、このうえなく美しい青いオーロラが、一晩中燃えていました。
兄弟は隠し板に着いて、管理人スレをノックしました。というのも、ここには、管理人室なんてなかったからです。
隠し板の中はとても熱くて、管理人も、まるで焦げたようになっていました。
隠し板の管理人は小さくて、とても汚れた八頭身の女でした。
この女はすぐに兄弟の着物をゆるめ、手袋やブーツを脱がせました。そうしないと、熱くてたまらないからです。
トナカイは小さい兄弟のことを話しました。管理人の女は、賢そうな目をぱちぱちさせて聞いていました。
「あなたは本当に賢い人です」と、トナカイは言いました。
「私は知ってますが、あなたは2chじゅうの名スレを結び合わせて、一つのリンクにしてしまえるんですね。
ガイドラインにそのリンクを貼ると、ほどよいレスがつき、二つ目のリンクを貼ると祭りがおこり、
三つ目のリンクを貼ると、嵐が起こって、板もスレも荒れるんですね。
どうかこの小さい兄弟に、強力なブラクラをあげてくれませんか。
この兄弟が雪の女王を負かせるような、そんなブラクラを」
「ブラクラダッテ?」隠し板の管理人は言いました。「ソンナモノガアレバ、サゾカシ十分デショウネ」
トナカイはもう一度力をこめて、小さい兄弟のために頼み、兄弟は涙をいっぱいためた目で、すがるように八頭身の女を見つめました。
すると女はまた目をぱちぱちさせ、トナカイの頭に氷を乗せて冷やしてやりながら、こうささやきました。
「ソノ従兄弟者ハ、確カニ雪ノ女王ノトコロニイル。
何モカモガ自分ノ望ミドオリダッテ気ガシテ、世界中ニコンナイイトコロハナイッテオモイコンデル。
ダケドソレハ、ソノ子ノ心ト目ニ鏡ノ欠片ガ入ッテルカラナンダヨ。
ソノ二つヲ出サナキャ、ソノ子ハ、チャントシタ大人ニハナレナクテ、イツマデモ雪の女王の虜デイナキャイケナインダヨ」
「あなたが兄弟に何かしてやって、そういうすべてに打ち勝つ力を、つけてやるわけにはいきませんか?」
「私ニハ、コノ子ラガ持ッテイルヨリ大キナ力ヲツケテヤル事ハデキナイヨ!
コノ子ラノ力ガドンナニ大キイカワカラナイカイ?人間デモAAデモ、コノ子ラヲ助ケテヤラズニイラレナイダロウ?
コノ子ラハ、コンナ電脳世界ノ果テマデ、無事ヤッテキテイル。
ブラクラナンテモノヲ、私ガ教エテヤルコトハナイ。必要ナ力ハ、コノ子ラノ中ニアル。
愛ラシクテ毒ノナイAAダトイウノガ、立派ナ力ナノサ。
コノ子ラガ、自分デ雪ノ女王ノモトマデ行ッテ、従兄弟者ノ目ト心ニ入ッテル欠片ヲ出セナイナラ、私ニハ何モデキナインダヨ!」
モウ少し先ニ行クト、雪ノ女王ノ迷宮ガハジマルカラ、ソコマデコノ子ラヲ連レテ行クトイイ。
迷宮ノ入リ口ニハ大キイ注意書キガアルカラ、ソノソバニコノ子ラヲ下ロスンダヨ。
ソシタラグズグズセズ、急イデココニ戻ッテオイデ!」
こう言うと、隠し板の管理人は、小さい兄弟をトナカイの背中に乗せ、トナカイは、力の限り駆け出しました。
「ああ、ブーツをはいてこなかった!」
弟者は叫びました。寒さが突き刺すようなので気付いたのです。
でも、トナカイは、止まってはくれませんでした。
どんどん走って、大きい注意書きに着くと、トナカイは兄弟を下ろしてキスしました。
それからトナカイは、力の限りに駆け戻っていきました。
こうして、兄弟は裸足で、凍りつくように寒い、おそろしい迷宮の入り口に、二人っきりで残されてしまったのです。
兄弟は前へ前へと、精一杯速く進んでいきました。すると、ふいに雪片の軍勢が一連隊もやってきました。
でも、空から降ってきたのではありません。
空は晴れわたっているのに、雪片たちは、地面すれすれにぐんぐん近づいてくるのです。
兄弟は、前にレンズを通して雪のひらを覗いたとき、それがどんなに大きく、見事に見えたかを、よく覚えていました。
ここ雪片たちは、みんな生きていたのです。どれも白く輝いていました。雪の女王の前衛部隊だったのです。
兄弟は、2chの『鉄の掟』をとなえました。すると、寒さがとてもきびしいせいで、自分の吐く息がよく見えました。
息は、兄弟の口から、まるで煙のように出て行き、しだいに濃く、もっと濃くなって、とうとう、小さい清らかな天使たちの姿になりました。
その天使たちは、地面にふれるたびに、ますます大きくなります。
そのみんなが、頭に兜をかぶり、手には槍と盾とを持っていました。
その数はぐんぐん増えていき、やがて兄弟が『鉄の掟』をとなえおわった頃には、二人の回りには、びっしりと天使の軍勢が並んでいました。
この天使たちは、おそろしい雪片たちの中に切り込んだので、雪片たちはちりぢりになって、とびちってしまいました。
ttp://yellow.ribbon.to/~asterisk707/eho-n/8and1san.jpg 天使たちが兄弟の足や手を撫でてくれたので、もう寒さも感じません。
そこで小さい兄弟は、雪の女王の城めざし、元気よく進んでいきました。
7.雪の女王の城で起こったことと、そのあとで起こったこと
その城の壁は、吹きすさぶ嵐でできていて、窓や戸は、身を切るようなスレストでできていました。
この城には、百を越える部屋がありますが、どれもみな、嵐が吹き寄せられてできたものでした。
一番大きい広間はどこまでも遠くまで広がり、強いオーロラの光に照らされていました。
どこもここも、大きくがらんとして、凍りつくように寒く、そして光り輝いていました。
楽しいことなど、一度もあったことがありません。雪の女王の広間は、がらんとして、大きくて、寒いのでした。
このがらんとした、雪の広間の真中に、凍ったスレッドが一つありました。
そのスレは何千というレスからできていましたが、そのレスの一つ一つが、お互いにそっくり同じ形をしていて、まったく芸術品のようでした。
雪の女王は、この城にいるときは、このスレッドの真中に座っているのでした。
そういうとき、これは、この世界でもたった一つの、一番素晴らしい鏡だよ、って。
小さな従兄弟者は、寒さのために真っ青になっていました。
いや、黒いくらいになっていましたが、自分では、そうとは気が付いていませんでした。
というのも、雪の女王のキスが、従兄弟者から寒いという感覚を奪ってしまったからですし、従兄弟者の心臓は氷の塊のようになっていたからです。
従兄弟者は、尖った冷たいレスを幾つも、あっちこっちへ引きずって、それらをありとあらゆる組み合わせ方で並べていました。
それで何かを作ろうとしていたのです。それは、クロスワードパズルに似ていました。
従兄弟者はいろんな形にレスを並べていましたが、それはとりわけ手間のかかる形でした。
従兄弟者の目には、こういう作業が何よりも大事なもののように見えたのですが、それもみな、従兄弟者の目に入っている、あの鏡の粒のせいでした。
全てのレスをすっかり並べると、一つのAAができるのです。けれど、従兄弟者が作ろうとしているそのAAだけは、どうしても並べ方が見つかりませんでした。
それは、『永遠の正義』というAAでした。雪の女王は、こんなふうに言っていたのです。
「もしもその形を見つけ出すことができたら、君を自由の身にしてあげよう。それに、全世界と、真新しい板をひとつ、君に贈ってあげるよ」
けれど、従兄弟者にはそれができなかったのです。
「さて、私はひとっとびして、殺伐とした板に行ってくる」と、雪の女王は言いました。
「熱くなっているスレを、ちょっと冷ましてしてやろう。そうすると、職人やギャラリーのために、具合がいいんだよ」
そう言うと、雪の女王は飛んでいきました。
従兄弟者はたったひとり、がらんとした広間の中に座りこみ、レスの群れを見つめて、考えに考えていました。
しまいには、体の中がミシミシきしむほどになりました。
誰かがそれを見たら、従兄弟者を凍え死んでいると思ったことでしょう。
丁度そのとき小さい兄弟は、巨大な迷宮を抜けて、城の中に踏み込んだのでした。
そこには、身を切るような嵐が吹いていました。
けれど、兄弟がローカルルールを唱えると、嵐達は、眠ったように静かになりました。
そこで兄弟は、大きくて、がらんとした、寒い広間に踏み込んで行くと、…従兄弟者が見えました。
兄弟は、それが従兄弟者だと解りました。そして、従兄弟者の首に飛びつくと、しっかり抱きしめて、叫びました。
「従兄弟者! 大好きな従兄弟者! とうとう見つけた!」
けれど、従兄弟者はじっと、こわばって、冷たく座っています。そこで、小さい兄弟は泣き出して、熱い涙をこぼしました。
その涙は、従兄弟者の胸に落ちて、心臓まで染み込んでいきました。
そして、氷の塊を溶かして、その中にあった小さい鏡の欠片を飲み尽くしてしまいました。
従兄弟者は兄弟を見つめ、兄弟は、あの替え歌を歌いました。
♪萌えの花 かおるスレに おわします ネタ師絵師 職人様!
すると、従兄弟者はわっと泣き出しました。
あまり泣いたので、あの鏡の粒が目から転げ出して、とたんに従兄弟者は兄弟に気が付いて、喜びの声をあげました。
「流石兄弟!…こんなに長い間、どこに行ってた?
ここはなんて寒いんだろう! なんてがらんとして、だたっ広いんだろう?」
従兄弟者はしっかりと兄弟を抱きしめ、兄弟は嬉しさのあまり、笑ったり泣いたりしました。
その様子があんまり幸せそうなので、まわりのレスまでもがくるくる踊りまわりました。
そして、みんながくたびれて座り込んだとおもうと、なんと、レスたちは、あのAAの形どおりに並んでいたのです。
それを見つけ出したら、従兄弟者を自由にしたうえ、全世界と新しい板をあげる、と雪の女王が言っていた、あのAAです。
兄者は、従兄弟者の頬にキスしました。すると、従兄弟者の頬は生き生きと赤みがさしてきました。
弟者は、従兄弟者の目にキスしました。するとその目は、兄弟のように輝きました。
従兄弟者は、元気できびきびしてきました。こうなればもう、雪の女王が帰ってきたってかまいません。
従兄弟者の自由の保証書が、きらきら輝くAAでちゃんと書かれているのですから。
そして、三人は手を取りあって、この大きな城から出ていきました。
三人は、母者のことや、屋根の上のこけもものことを話し合いました。
三人が歩いて行くと、嵐がすっかり静まり、たいようが顔を出しました。
やがて一行が、大きな注意書きのある迷宮の入り口のところまで来ると、そこにはあのトナカイが待っていました。
それから、トナカイは兄弟と従兄弟者を乗せて、まず隠し板の管理人のところに行き、うちに帰る道を教わりました。
避難所の管理人のところに行くと、この人はもう、一行の衣装を縫い上げて、そりもちゃんと用意してくれていました。
トナカイは、そりのわきを飛び跳ねながら、避難所の入り口まで送ってくれました。
ここで三人は、トナカイや管理人とお別れをしました。
やがて、早春最初のジサクジエンが囀り始めました。
そして、森の中から、見覚えのある馬…兄弟の金の馬車を引いていたあの馬に乗って、若い娘がやってきました。
輝くような赤い帽子を頭にかぶり、ナイフを二本も、腰の鞘にさげています。それは、あの小さい山賊娘でした。
娘はうちにいるのに飽き飽きしたので、最初にまず北のほうにでかけ、気に入らなければ他に行ってやろう、と思っていたのです。
娘はすぐに兄弟だとわかりましたし、兄弟のほうも、あの娘だとわかりました。三人とも大喜びでした。
「オマエモ、アッチコッチウロツキマワルナンテ結構ナ香具師ダネエ!」娘は、従兄弟者に言いました。
「一体、世界ノ果テマデイクホド、オマエニ値打チガアルノカドウカオレハ知リタイヨ!」
兄弟は、王子と王女のことを娘に聞きました。
「アノ二人ハ、新婚旅行ニ出カケタヨ!」娘は言いました。
「話シトクレヨ! オマエラ、ドウヤッテコイツヲツカマエタノサ?」
そこで兄弟は、色々と話しました。
「ソレデメデタシメデタシ、カ!」山賊娘は言いました。
そして、二人の手を握って、もしいつか町を通りかかったら、きっと会いに行くよ、と約束しました。
それから、馬を飛ばして、広い世の中に出て行ってしまいました。
ttp://yellow.ribbon.to/~asterisk707/eho-n/kikan.jpg 兄弟と従兄弟者は手に手を取って歩いて生き、三人が行くにつれて、あたりは美しい春になりました。
やがて、おなじみの看板が見え、大きい板が見えました。三人が住んでいた、あの板です。
三人は板に入って、地下スレにおり、スレの中に入りました。
そこには何もかも、元通りの場所にあって、時計はチクタクと時を刻んでいました。
こけももの傍に立った時、三人は、自分たちがいつのまにか大人になっているのに気付きました。
もう三人は、雪の女王の城の、あの寒くて、がらんとした、素晴らしい様子を、重苦しい夢のように忘れてしまっていました。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 長さが長さなので前もってレス数を読めず、、
| 長々とスレを占領した事をお詫びいたします。
|
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 支援ありがとうございました。
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| | □ STOP. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (・∀・ ;)(´∀` )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄
>228-258
リアルタイムキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
乙です! この童話好きダターヨ
大作乙!
懐かしさと萌え苦しさでたまらない気分になりました。
大作乙!!
読んでて胸に熱いものがこみあげました。GJ!!
すげー力作!
絵も(゚д゚)ウママママー
263 :
161:04/03/16 15:26 ID:X6BvF3vq
|゚Д゚)<あれから今までネット落ちしていた161です
|;゚Д゚)<かなり遅くなっちゃいましたが12扉ジャック視点投下してもよいですか
|;゚Д゚)<また続き物になっちゃうんですが…
|;゚Д゚)<………
|;゚Д゚)つ□<とりあえず六本ほどいきます
264 :
1/6:04/03/16 15:30 ID:X6BvF3vq
狭い部屋にむさくるしい男ばかり数人。ぼそぼそと小声で語り合っている。
暗いのは夜だからというのもあるが、ここが地下室で窓一つない部屋だからだ。
照明は誰かが用意したランプが一つきり。
電気が通ってないから、こんなもんでも上等なほうだろう。
ガラス越しに炎が揺れるたび、荒削りのコンクリートの壁に映る人影がゆらゆらと揺れる。
空気はかび臭く、煙草の煙で視界は不明瞭。
だがここにいる男たちの誰一人として、気にするような様子もない。
それは俺も同じか。みんなですっぱすっぱ吸ってりゃ、煙くもなるって話だ。
「OK、ターゲットは了解した。名前はコードで呼び合おう」
渡された資料の紙を覗き込んでいた面々はその声に顔を上げ、次々に頷きあう。
みながみな、自己紹介をしていない。でもやっぱり誰もそのことを気にしていない。
きな臭い『仕事』をするためだけに集められた面々は、自分の素性など端から明かすつもりがないのだ。
その雰囲気は俺の救いだ。どうしても名乗らなきゃならないなら、偽名を使うしかない。
「了解。ターゲットコードは『ユミル』。
後方支援は『ヴィリ』、直接攻撃隊は『ヴェー』、全体指揮は『ウォーダン』で行こう」
頷いた男たちの一人が、そんなことを口にする。
誰も異を唱えないところを見るとある程度元ネタを知っているか、もしくはまるで知らないかのどちらかだ。
「潜入者は…」
「ロキ」
取り交わされる会話の合間に、俺はひょいと割り込んだ。みなの視線が俺に集まる。
「撹乱役にはもってこいだろ」
ひょいと肩をすくめて笑いながら言うと、みなが「それでいこう」と頷く。
それからまた額をつき合わせて、ぼそぼそ、ぼそぼそ。
決行日や決行時間など、細かい打ち合わせをして早々に解散になった。
265 :
2/6:04/03/16 15:31 ID:X6BvF3vq
地上に出れば夜空にまん丸お月様が綺麗だ。
時間的にも土地柄的にもあたりには人っ子一人なく、
うらぶれた雰囲気は据えた臭いを運んでくるがあの地下の空気を長く吸っていたためか、
そんなもんでも清清しく感じられる。
ばらばらの解散だったために、周りを見回してみても俺より先に出たやつの姿は見当たらない。
俺は少し深呼吸をし、そのままさっさと帰路に着いた。
また今夜もあいつは落ち着きなく部屋の中をうろついているに違いない。
そんなに心配することないのにな。
俺は胸元から煙草を一本取り出し、火をつけた。
その拍子に触れた口元は、うっすらと笑みを形作っている。
俺も変わったもんだよな。
今まで家なんか寝るためのものという認識しかなかったのに、今は家に帰るのが待ち遠しくなっている。
新婚家庭じゃねんだからよ、と胸のうちで己に突っ込み、
ついでに渡された資料の紙を燃やしてとっとと帰ることにした。
与えられた情報は全て頭に入っている。物騒な証拠はさっさと消しちまった方がいい。
他のやつらも多分同じようにしている。名乗ることはしなかったけれども、知った顔はいくつかあった。
みなこの道のベテランだ。
最後に一度ターゲットの顔写真を眺めてそれも燃やす。
脳裏で何度か顔を反芻し、あとは忘れた。プライベートに仕事のことは持ち込みたくない。
そう思い頭のモードを切り替えると、真っ先に浮かぶのはヤツの顔だ。
まったく、俺も毒されすぎだよな。
親の帰りを待って心細そうにぴーぴー泣く子供みたいなヤツだ、
早く帰って安心させたやらなきゃ可哀想だ、なんて、がらにもねぇ。
だけどそう思ってしまうんだから仕方がねぇだろと、
誰に対してか心の中で言い訳をぼやき、俺は足を急がせた。
266 :
3/6:04/03/16 15:32 ID:X6BvF3vq
* * * * *
「ジャック」
鍵を開けてそうそう、ヤツは俺の名を呼び抱きしめてくる。
いつものことだ。こいつは俺が仕事から帰ってくるたびに抱きつき、
次いで俺の存在を確かめるように頬に手を添えて間近からじっと観察するように見つめてくる。
俺は慣れたもんで、抱きついてくる背中をぽんぽんと叩いて中に入るように促し、
あとはやつの気の済むまで好きにさせる。
今日もまたお決まりの手順を踏み、確かに存在している、
夢じゃないと分かったヤツはようやく笑みに顔をほころばせ、「無事でよかった」と呟くのだ。
「無事もなにも、今日は打ち合わせだけだって言っただろ」
俺は苦笑し、間近なヤツの頬をぺちぺちと軽く叩く。
ヤツはほんの少し恥ずかしそうにはにかみ、「でも心配なんだ」と弁解するように呟いた。
こいつの俺への執着や依存は、いささか度を越しているように感じられる。
今までのことがことだったし、それを考えると仕方のないことなのかもしれないとも思うが、
それにしてもやっぱり異常だ。それはもう、仲間意識とか友情とか、
そういうのを飛ばしているんじゃないだろうか。
そう思うくらい、並じゃない執着。
だがそれを別に疎ましく思っているわけでもない俺がいる。正直に言うと、それが嬉しかったりする。
ヤツには俺だけがいればいいと思うあたり、俺も相当なんだろう。
「ジャック、私も働きたい」
と、ヤツがそんなことを言い出した。このところ毎日そう言ってくる。
俺だけに働かせているのがしのびないらしい。
それと、『心配だから』。そんなん、俺だって一緒だ。
267 :
4/6:04/03/16 15:33 ID:X6BvF3vq
俺はそれとなくヤツから目をそらし、部屋の中へと入っていった。お世辞にも綺麗とはいえない部屋。
整理整頓は行き届いている。几帳面なヤツがきちんと片付いているからだ。そうではなく、どことなく埃っぽい。
家自体が古いおんぼろだし、壁に消えない染みとかついているからそりゃまあしょうがない。
昔の仲間のつてを頼って借りているとこだし、そもそも俺たちは堂々と道を歩けない身分だ。
こんなところでも住むところがあるだけ幸せってもんだろう。
とにかく、そんな部屋の中、粗大ゴミ置き場から拾ってきたテーブルの上には小難しい専門書から
その辺で売っているような雑誌まで、色んな種類の本が山をなしている。
どれもこれもヤツの勉強道具だ。世間一般の知識を持ち得ないヤツは、
必死に勉強して早く働きに出られるようにと努力している。
その生真面目さや几帳面さは、俺とはまるで正反対だ。
「…まだ早いと思うけどな」
そのうちの一つ、開かれたまま放り出されている雑誌に手を伸ばし、
適当にページを手繰りながら言うとヤツの足音が聞こえる。俺の前までやってきて、「そんなことはない」と強く言った。
「私も色々覚えた。その辺でバイトをするくらいなら出来る」
へぇ、バイトってもんも覚えたか。
「無理だな」
「なぜ…!」
軽い口調で短く言うと、わずかに声を荒げる。俺は雑誌に目を落としたまま、
「国籍も身分証明もないくせに、どうやってまっとうな仕事に就くんだよ?」
と出来るだけ淡々という。
「まっとうな職でなくてもいい。履歴書ならいくらでも改竄できるだろう。ジャックのように裏の仕事だって…」
「甘くみるなよ」
更に言い募ってくるヤツに、俺は見ていた雑誌を乱暴に閉じた。ヤツの肩が驚いたように跳ね上がる。
それを視界の端に見止めて、俺はヤツの顔をまっすぐに見返した。
268 :
5/6:04/03/16 15:34 ID:X6BvF3vq
「腕に覚えがあるかもしれんが、それだけでやっていけると思うなよ。あの世界にはあの世界なりの、
色んな決まりごとがあるんだ。言葉ほど簡単に出来るもんだと思うな」
低めの声で諌めるように言うと、ヤツは目を落とす。
ヤツだって分かっているのだ。俺が今やっている仕事が、どれほど危険なことなのか。
あの研究施設を抜け出して、やっぱり昔のつてを頼ってもぐりの医者に見てもらった俺の体は今はもう完治している。
当面の生活費は俺の家から持ち出した金で賄っていた(余談だが、自分ちに忍び込むってのはやたらとむなしいことだった)。
だがそれだけでやっていけるはずがない。起き上がることが出来るようになるとすぐに働きに出た俺のことが、
ヤツは心配でたまらないのだ。
政界を陰で操るとまで言われる財団を敵に回し、その上で金を稼げる仕事ってなるとまっとうなものにはなり得ない。
結局俺は身元を偽り日雇い仕事のほかに前と同じような仕事にも手を染め、どうにか日常を賄っているのだ。
俺ばかりが危険な目に遭っている。ヤツはそれがいやでたまらないのだろう。だが俺に言わせれば、
危険な目に遭うのは俺だけで十分なのだ。生まれたばかりで世間知らず、知識としてしか社会を知らないヤツに、
あんな危険なことなど任せられない。…もっと言えば、家で黙って過ごしてくれていた方がありがたい。
危険は少ないに越したことはない。
詰まる所、俺もヤツのことが心配で仕方がないのだ。危ない目には遭わせたくない。
俺はヤツの気持ちを知っている。ヤツが俺に対して心配だと気を揉む思いを、俺もまた痛いくらいに持っているのだ。
だが分かっていても譲る気にはなれない。これは俺のエゴだった。
「…すまない」
269 :
6/6:04/03/16 15:34 ID:X6BvF3vq
そっと謝ったヤツに、俺は少し罪悪感を覚える。
確かに軽々しく口にしては欲しくなかったし、甘く見られては困ることでもあったのだが…
俺の我が儘も多分に含まれているから。
すっかり落ち込み悄然としている様子は、まるで飼い主に叱られた犬のようだ。
今までせっせと振っていた尾がぱたりと落ちてしまったような感じ。
俺はヤツの頭に手を伸ばし、軽く撫でた。
ちらりと伺うように上目遣いになるヤツに笑みかけて、「お前も髪を染めてみるか?」と話を変えてみる。
ヤツはほっとしたように表情を緩めて、
「…髪を染めただけでも結構印象が変わるものなのだな」
とお返しのように俺の髪を梳いた。
「変に足がつくと厄介だからな」
だからもう偽名でもジャックは使わない。どこにどこまで財団の手が伸びているか、
知れたものではないからだ。
俺はもう一度笑いかけて、ヤツの頭から手を引く。そうして厨房に向かい、
これもまた粗大ゴミ置き場からかっぱらってきた小さな冷蔵庫を開けた。
「腹減ったなぁ。なんか食うもんねぇの?」
俺の言葉にヤツが慌てたように駆けて来る足音が背後から。
「悪い、そうだよな、なにか作っておけばよかった…」
申し訳なさそうな声。俺は喉の奥で笑って、「気にするな」と返した。
「今すぐ作るよ」
「いいよ、自分で作るから。お前も食うか?」
「食べる。…いや、そうじゃなくて、それくらい働いてない私が…」
270 :
追加:04/03/16 15:35 ID:X6BvF3vq
またしても長文エラー食らったので追加です
──────────────────────────────
「気にするなって」
脇から冷蔵庫を覗こうとするヤツの顔を振り仰ぎ、俺はにやりと笑ってみせる。
「たまには俺が腕を振るってやるからさ、メサイア様は椅子にふんぞり返っていて下さい」
揶揄るように言うと、ヤツはむっとする。この名前で呼ばれるのが嫌いだと分かっている。
ちょっとした嫌がらせだ。もちろん、これも交流の一つ。
それをヤツも知っているから、むっとした顔はするけれども本気で怒っていたりはしない。
「その名前で呼ぶなと何度言ったら…」とかぶつぶつぼやきながら、リビングに引き返していった。
「好きなように呼んでくれというから、呼んでるだけだけど?」
その背中に追いかけるように言葉をかけると、ヤツは肩越しにこちらを振り返る。
「確かにそうは言ったが、その名前は嫌いだ」
いじけたような口ぶり。俺はなんだかおかしくて、声を上げて笑ってしまう。子供のような大人のようなヤツ。
このままの生活がずっと続けばいい。それは願ってやまない、俺の本心だった。
271 :
161:04/03/16 15:36 ID:X6BvF3vq
>211さん
他スレってどこですかー!?
12扉専スレがあるなら住み着いちゃうこと間違いなしですが、
すぐに落ちそうな悪寒…
フラ板の専スレ(といっていいのか分からんが)も面白いのですが(w
ああ、そしてやっぱり逆カプなのですね(ノД`)モレハイツモマイナーダカラナー
かくいう私も当初はジャク主だったのですが、進めていくうちに
ジャック萌えが高じいつの間にやら逆転してました…
>212さん
某マンガ…な、なんでしょう…
私知らずになんとなくつけてました。
しかしゲームをやり直してロナルドという人物がいたことを発見。
カブッチャッタヨ…_| ̄|○
萌えが冷めやらず専用サイトを作りそうな勢いです。
もうだめぽ(つД`)
ああああ161タソキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!
ジャックタソ視点キタ─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─ !!!
同棲生活キマシタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!
(*´Д`)ハァハァハァハァ(ry
もう、もうおまえら勝手にしてください…ラブラブオーラで萌え死にそうです。
主人公タンカワイイし、怒ってみせるジャックタンもかっこいいし…
私は211さんではないんですけれど、他スレというか、
メーテルスレでぽつぽつと話題になっておりましたよ。
盛り上がってる中すいませぬ。ちょいと置かせてくださいー。
ジャンル…は、少年漫画系と言えるのかなぁ。
キャラじゃなく担当×漫画家のお話です。スレはメール欄参照で。
ではでは、お借りしますー。
____________
| __________ |
| | | |
| | |> PLAY | | ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
| | | | ピッ (・∀・ ) ナマモノダシネ
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ああああ、十二扉SSキテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
161タン、相変わらずGJです*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
禿げ萌えてしまった……同棲イイ……(*´Д`)
自分もジャク主だけど、姐さんのSSには毎回萌え殺されてます!!
有難う!本当に有難う!!!。・゚・(ノД`)・゚・。←嬉し泣き
「センセイ、センセイ」
はっとして目を開けると、アシスタントの一人がまたかよという顔でこっちを見ていた。
貫徹三日目、時刻は午後八時。今週分の仕事は佳境を迎えている。
「また寝てたっしょ」
「…うん」
彼がやれやれ、といった顔をすると、斜め向かいにいる別のアシスタントがくすりと笑った。
「センセイ、船漕ぎながら微妙ーに笑ってましたよ?」
また八木ちゃんの夢でも見てたんじゃん?等と二人で盛り上がりだしたアシスタンツを後目に、おいおいしっかりしろ自分、とひとつ伸びをする。
その時、別の部屋で、がさりと物音がした。
…まただ。
「あいつは…」
どうしようもないな、と溜め息をついて、頭を掻く。
俺は机を離れて、ふらつく足取りで物音のする台所に向かった。
「あれー、もう出来ました?」
奴は俺が来たのに気付いても、右手にプリンのカップを持ったまま、いけしゃあしゃあとそう言った。
「何やってんすか」
「あ、お構いなく。スプーンのある場所くらいは解ってますから」
「他人ん家の冷蔵庫を漁るような担当には、スプ―ンおばさんすら貸せないですよ」
「担当が直に来る事態なのになっかなか原稿を出せない漫画家には、プリンぐらい貰わないと」
ねぇ?と小狡く笑う顔に、反駁の言葉を呑み込む。いつもこの調子だ。
「…あと三時間もしたら脱稿ですよ」
「うわー印刷所なんかとっくに閉まってる時間ですね、楽しみにしてます」
この物言いにも慣れたが、何だかなぁ、と思ってまた頭を掻く。
ふと、奴の手が俺の頬に触れた。
「…何すか」
「風呂ぐらい入った方がいいですよ?」
「入ってますよ、」
「髭伸びてんじゃないですか」
ワイルド系で攻めるつもりですか。そう言って、奴はまた笑った。
奴の手がざらざらの俺の頬を軽く撫でる。
「ワイルド系の方が好みですか」
いつものように茶化して言う。
「そうですねー、先生なら良いかも知れませんね」
「髭がですか」
「はい、」
奴はまた笑ったかと思うと、
すう、と俺との距離を縮めた。
「髭ごと愛します」
そう言って、ざらついた俺の左頬に軽く口付けた。
「…はい?」
「じゃあ、あと三時間ですね。頑張ってください」
そう言うと、奴はプリンを持ったまま、一旦社に帰ります、電話しますからと言って出ていった。
一人取り残された俺は、閉められた扉を呆然と見つめて立ち尽くすしかなく。
二分後、アシスタントの「先生、指定まだですか」という声にはっと我に返った。
途端、爪先から頭頂まで、気恥ずかしさが、かの福男争奪戦よりも激しく駆け上る。
「先生?」
口許を抑えた俺を、何事かと見に来たアシスタントが怪訝そうに覗き込む。
俺はそれに何でもない、何でもないから、とどもりながら応えた。
祭り並の気恥ずかしさがある程度収束すると、次に怒りがふつふつと湧いて来た。
人の頬に触れ、
漫画の台詞を本人の前でもじって用い、
あまつさえ俺の頬チューバージンを奪い、
そして何より、
結局プリン持って行きやがった…!!
びっくりした様子のアシスタントの制止も耳に入らず、
「もう声も聞きたかねぇぞあの野郎!」
俺は電話の線をひっこ抜いた。
そして仕事机にも戻らず、そのまま洗面所に直行した。
+
「あのセンセイ、気が済んだら原稿に戻ってください」
「俺、今この滾るエネルギーで、空も飛べそう…」
「…だから、原稿」
+
三時間後、電話が通じないので当然奴が直接また訪れ、
きれいさっぱり髭をあたった俺の顔を見てまたにやりと笑うことを、
その時の俺が気付くはずもなかった。
…これでお終いなんですよ。
これのどこがカップリングだよ…
担当が漫画家に服あげたり冷蔵庫物色したりしてるらしいのに突貫萌えしました。
なんかもう、笑ってやって下さい。
一応ナマモノですが伏せ字使わずに姓名を敢えて呼ばせませんでした。
お目汚し失礼しましたー。興味持った方は専用スレ…へ…?(w サクヒンスレナノニナァ
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | | ∧_∧ 殺伐トシタ関係ガイイネ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
12扉ssの感想再開ドゾー(w
担当×漫画家キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!
ごっ、ゴチソウサマ…!!
担当攻めすぎて大好きだ!!
髭どころかどこまでも愛してやってくれ!!
頬チューバージンてのがイイ(・∀・)!!
空も飛べるソラッチ禿萌え(*´Д`)
ごちでした!
そらっちキタワァ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*
萌えー
12扉キタ━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!
>>264(161)姐さん、GJ!!
メサたんのいる我が家に早く帰りたがるジャックたんカワ(・∀・)イイ!!
続き物ありがとうございますた!
FLA板の専スレも「ハァハァレス」で乗っ取られている現状ですが
流石にあっちではジャックたん×メサたん萌え〜!とか
メサたんジャックたん萌え〜!なんて話は出来ないので、やはり
801板でも12扉スレをたてた方がいいかもしれないですね。
286 :
182:04/03/16 23:30 ID:/xspSME9
>161タン キ・キ・キ・キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
とりあえずジャックタンの怪我治ってるようで安心。
続き待ってますよ。
>>161 十二扉…お待ちしておりました。
新婚ジャックたんとメサたんに(*´Д`)つ〃∩ モモモモモモモモモモ(連打
専用サイトといえば…某スレでサイト開いたという姐さんがいらっしゃいましたよ。
どこかで辿り着き方のヒントを出してくだされば、例え火の中水の中棺の中まで追っかける所存です。
>287
十二扉よく分からないけど、運営してる姐さん見かけた事あるよ。
ヒントは>228-258。関連スレ探してごらん。
十二扉サイト運営者がここに……
いや、その話題になってるサイトはうちじゃないだろうがw
ヒントを出してもらったのに
いまいち分からないよママン…_| ̄|○
>>289姐さんも12扉サイトを開いたんですか?
禿しく見に逝きたい!!!
291 :
287:04/03/17 09:54 ID:aZEF6/BC
>288
すみません、>290に同じく自分も分かりませんでした…打つ出汁脳_| ̄|○
もう少し詳しいヒントを戴けると心底有り難いです。・゚・(ノД`)・゚・。
292 :
161:04/03/17 13:05 ID:9JFAOxo8
スレたくさん使っちゃってて申し訳ないなと思いながらも
お言葉に甘えて続きを投下しに来た161です。
もう萌えがとまらない…サイト作っちゃうぞ(゚Д゚)ゴルァ!!
でもmyパソ使えないぞ(゚Д゚)ゴルァ!!
サイト探しが思うようにできない…12扉サイトに飢えなが
ら三本ほど行きます。
>272さん
メーテルスレですね。
ああ、そういえば某スレでも教えてもらって見に行ったな…
学習能力ないよ漏れorz
ありがとうございます、見に行ってきまつ三(*´Д`)
293 :
1/3:04/03/17 13:06 ID:9JFAOxo8
一瞬視界がくらむ。
たたらを踏んだ俺に、仕事仲間が「どうした」と声をかけてきたから
それには「なんでもない」と手振りで返した。
その一方で、胸の奥がしんと冷えたのを自覚する。
(…この時がきたのか)
案外遅かったな、なんて呑気に笑ってみるが、
それでも不安は胸中をじわじわと侵食していく。
胞子汚染。
その四文字が俺の脳裏をぐるぐると回る。
ワクチンは打っていた。だがそれで感染が防げるわけではないことを、
開発者本人の口から聞いている。いざとなったら防護服が役に立たないことも、
あの気密室の女のメモから分かってはいた。
それでも感染を免れていたのではないかと、望みを抱いていたのだ。
実際今までそれらしい兆候は見えていなかった。ここに来て、なぜ突然。
なぜ、今なのだろう。
(あいつ…)
脳裏に浮かぶのは今日も家で一人俺の帰宅を待つヤツの姿。
(…あいつは感染しない…)
メサイアだから。
(…置いていくことになるのか)
そう思うと、不意に衝動がこみ上げた。悲しみと、不安と。
叫びだしそうになって、慌てて口を押さえる。嗚咽がこぼれてしまいそうだ。
駄目だ。こんなんじゃ仕事にならない。
脳裏に浮かぶあいつの顔。俺に懐く、俺に依存している…自惚れではなく、
きっと、俺なしでは生きられなくなっている男の顔。
(…置いていくんだな、俺は…)
そうだ。ならば俺は───
ヤツを、突き放さなければならないのだ。
294 :
2/3:04/03/17 13:07 ID:9JFAOxo8
右腕を押さえる左手がじっとりと濡れている。
しくじった。私情にとらわれ怪我を負うなんざプロの仕事じゃない。
脱出なんて簡単だったのにこのざまか。どこの阿呆だ、俺は。
これでも隊長を務めてたなんて、どの口で言える。
俺は自分で自分を嘲笑いつつ、再度手早く応急処置を施した。
あんな仕事で怪我したなんて知られたらもう仕事は回ってこない。
怪我した直後はすぐに止血を施したので、仕事仲間たちにはかすり傷程度だと誤魔化すことが出来た。
…解散して帰路に着く頃には、間に合わせで巻いた布が赤く染まるほどになっている。
(…あいつに怒られるな)
仕事で怪我したなんて知られたら。
(…このまましばらく身をくらませようか…)
あいつの元には帰らず。その方がいい。そうすれば怪我したなんて知られずにすむ。
…ヤツを突き放すことも出来る。
怒らせ、喧嘩して、愛想をつかせればいい。
ヤツの並じゃない俺への執着を、引き剥がしてしまえばいい。
…俺は、もうすぐ居なくなる人間なのだから。いつまでも依存させておくわけにはいかない。
そうと決めると、次はねぐらを探さなければならない。
家に向かっていた道を逆に辿りはじめ、俺は唇を噛み締める。
体が痛い。傷の痛みではなく、全身が軋むように痛い。胸が苦しい。
なんだかぐちゃぐちゃだ。わけが分からない感情が胸のうちを占めている。
悲しいような、悔しいような、苦しいような、怒りのような。
色んな感情がない交ぜになって、笑えるくらいに胸を圧迫してくる。
俺はおかしい。
離れることがいいのに、それが正解なのに、簡単なことなのにどうしてこんなにも混乱する。
どうしてこんなにも悲しいのだ。
295 :
3/3:04/03/17 13:08 ID:9JFAOxo8
俺はおかしい。
前に進みたがらない足を、ともすれば踵を返しそうになる足を、懸命に前へ前へと進めていく。
離れられないのはあいつの方なのか。依存しているのはあいつの方なのか。
執着しているのはあいつの方なのか。
分からねえよ。なんなんだ一体。混乱する。
亀の歩みのようなのろさで、それでも一歩一歩ヤツから離れていく俺に、声がかけられたのはその時だ。
「ジャック」という、聞きなれた声。少し息が切れている。走ってきたのか。
「…あんまり遅いから心配で…」
声と一緒に、駆け足の音。俺は振り返ることが出来ない。
「…なんだってお前は…」
こうもタイミングがいいのか、と言う呟きを口の中だけで。いや、この場合タイミングが悪いのか。
「…怪我をしているのか?」
振り返らない俺に、ヤツは気にせず言葉を続けて俺の肩に手を乗せてくる。
焦っているような声音。「いやな予感がしたんだ」という呟き。変なところで勘を働かせるなよ。
「帰ろう」
俺の肩に乗せた手に力を入れて、強引に反転させようとするのを俺は思わず振り払っていた。
ヤツの驚いたような顔。泣きたくなる。
離れられないのは、依存しているのは、執着しているのは、ヤツの方か。ヤツの方だけなのか。
それはきっと違う。違うんだ。俺もそうなんだ。俺もヤツに依存している。
ヤツに負けないくらい…ヤツなしには生きられなくなっている。
悲しいような、悔しいような、苦しいような、怒りのような、
色んな感情がごちゃ混ぜになって俺にももうなにがなんだか分からなかった。
ただ衝動。
驚き呆然としているヤツの蒼白な顔を血に汚れた手で掴み寄せ、
胸の奥からこみ上げてくる感情のままに顔を寄せる。
その時の衝動のことを言葉ではうまく説明できない。よく覚えてもいない。真っ白だ。
気がつけば俺は、ヤツに噛み付くように口付けていた。
296 :
220:04/03/17 14:08 ID:NVfqS5zZ
>213,220
規制の為、御礼が遅れました。(つД;)モウシワケナイ…
分かりました!あの漫画ですね。
入手して読んでみたいと思います。楽しみだー。
十二扉SSまたまたキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
161タン、相変わらずGJです!!!
姐さんの十二扉サイトが出来たら、日参しちゃうぞ(*゚Д゚)ゴルァ!!
そんな漏れは十二扉サイト運営者だが(ぉ
これからもガンガッテ下さい!!
アンカー間違えました……_| ̄|○|||
>213,223さんへです。ありがとうございました。
161タソお疲れです!
初キッスキテマスヨ━━━━(*゚∀゚*)━━━━ !!
あ、明日が待ち遠しい(´Д`*)
お二人さんはどうなっちゃうんだ…
ここってナマモノとか半ナマとかOKですか?
以前、昇天ネタがあったから大丈夫かと。
ガッチュンの度合いにもよるかもしれませんが……。
801板は検索に引っかかるので伏字か当て字をお忘れなく。
302 :
161:04/03/18 12:47 ID:w+xogSYz
161です。
メーテルスレにツボが同じなメーテルさんがいたことに驚きつつ
またしても投下しにきました。
生ぬるく六本ほどいきます。
>297さん
12扉サイト運営者ですかー!!(*゚∀゚)
かくいう私もついに開設してしまいました_| ̄|○
もう 戻 れ な い 。
303 :
1/6:04/03/18 12:48 ID:w+xogSYz
ヤツはなにも知らない。世間知らずのひよっこだ。
突然口付けそのまま抱きしめ離れずにいる俺に、ヤツは目を白黒させていた。
「どどどうしたんだ、ジャック?!」
しゃべる言葉までどもるほどの慌てぶり。だがそれを笑う余裕は今の俺にはない。
がしっと抱きつき力いっぱい抱きしめている俺の背中をわたわたと叩きながら、
「く、くる…くる…」と言っているのは鳩の真似でもなんでもなく、
「苦しい」とでも言いたいんだろうな。
頭の隅っこでそんな呑気なことを考えて、ヤツの肩口に顔をうずめる。
合わさった胸からいやに早い鼓動がダイレクトに伝わってきた。
なんだか安心する。そして少し、苦しい。
そのうちにヤツは漂う血臭に我に返ったようで、
俺の肩を両手でつかみ無理やり引き剥がすと、
「と、とにかくうちに帰って手当てをしよう!」
と真っ赤な顔で強く言い切った。
それから引っ張られるようにして家に帰り、
ヤツが必死に手当てを施している間も俺は一度も口を開かなかった。
ヤツが心配しているのは分かる。ひでぇ顔をしているのも分かる。
時折伺うように俺の顔を覗き込むヤツの顔をぼんやりと視界におさめながら、
俺は胸の中で暴れる感情を持て余していた。
もうすぐ終わるかもしれない俺の人生。残していくこいつのこと。
離れなければならないと分かっているのに、なぜか今目の前にいて…なぜか手当てを受けている。
離れなければならない。だが、離れられない。
相反する矛盾した感情が、しんと冷えた胸の奥でお互いを排除しようと躍起になっている。
304 :
2/6:04/03/18 12:48 ID:w+xogSYz
「…仕事でなにかあったのか?」
へたれた俺が発する無言の重苦しい雰囲気に耐え切れなくなったのか、
腕に包帯を巻きながらヤツが尋ねてくる。
うんともすんとも答えない俺にヤツはちらりと俺の顔を見て、浅い溜め息を落とした。
「…怪我をするようなへまを犯したから、落ち込んでいるとか…?
でも、これくらいなら大丈夫だよ、ジャック。見かけほどにひどくない、すぐに治るさ」
今度は励ましにかかったようだ。「な?」と笑顔を向けてくるヤツに、やっぱり俺は答えられない。
そんな理由で落ち込んでいるわけではないからだ。
いつもならここで笑顔を返す。見当違いのことでもヤツが俺を気遣ってくれているのが分かるし、
それは純粋に嬉しいことだ。しかし今は、笑うことなんか出来ない。なぜかは知らない。
ただ、今笑ってしまうのは、今顔の筋肉を動かすのは、非常に危険なことのような気がした。
「ジャック…」
反応しない俺にヤツの笑顔は困惑の表情に変わり、少しの逡巡の後そっと俺を抱きしめてきた。
「…なにか、怖いことでもあったのか?」
「…怖いこと?」
思わぬ言葉を口にされて、俺は思わず鸚鵡返しに聞き返していた。
ヤツは言葉にせずに頷くだけにとどめ、「恐怖に震えているように見える」と苦しそうに呟いた。
俺の頭を優しく腕の中にくるみ、耳元で囁いてくる声音は心配の色に彩られている。
怖い。恐怖。ああ、そうか、これは恐怖なのか。俺は怖いのか。
ぼんやりとそう思うと、途端に喉の奥からなにかせりあがってきた。心臓が早鐘を打つ。
そうだ、俺は怖い。怖くて怖くてたまらない。
もうすぐ死ぬことも、ヤツを置いていくことも、ヤツから離れなければならないことも…怖くて怖くてたまらない。
今よりももっと差し迫った状況で命の危機に面したあの時よりも、死に対する恐怖は格段に増していた。
あの時と違うのは、考える時間が出来てしまっていること。大切な、失えないものが出来てしまったこと。
真綿で首を絞められているようだ。じわじわと迫り来る終わりに、恐怖で身が竦んでしまう。
305 :
3/6:04/03/18 12:50 ID:w+xogSYz
情けない。情けない。情けない。
それでも…怖い。
息が苦しくなって、闇に飲まれてしまったような錯覚に陥る。見渡しても見渡しても黒。
今までなんとなくあると信じてきた未来がすっぽり闇に飲み込まれて、
ただの一歩すら前に出せない。
そして、居ても立ってもいられなくなるほどの――恐怖。
「っ!」
しがみ付くように、すがりつくように、ヤツの体をきつく強く抱きしめていた。
「ジャック?」という驚きを含んだヤツの声を聞いても力を緩めることは出来なかった。
ヤツは少しの間を置いたあと、俺がいつもそうするように宥めるように背中を叩いてくる。
いつもと立場が逆転していた。今まで保護者気取りしてきたっていうのに、
これじゃ日ごろの面目がたたねぇな、と思うと泣けてきた。
せりあがってくる涙に泣くもんかと息を飲み込むと、喉の奥が痛んで更に息苦しくなる。
一瞬硬くなった俺の体にヤツはそっと距離をとり、俺の顔を覗き込んできた。
「…ジャック、無理はするな。息を吐け」
そうして俺の顎に手をかけ指で無理やり口をこじ開けようとする。
それを振り払おうと顔を背けると、強引に前を向かされ触れるだけの口付けをされた。
驚きに思わず唇が開いた。ふっと息が漏れる。間近から俺の様子を伺っていたヤツは、
安心したように目尻を下げた。
「…やっと息を吐いたな。このままじゃ窒息するところだったぞ」
無邪気に笑ってそう言うヤツに、てんぱっていた俺は自分の中で何かが弾けたのを感じる。
俺はバカだ。考えるのは苦手だ。中華料理みたいな名前の博士――シャオロンだかシャマランだか、
そんな名前の博士が言っていた話も半分も理解できなかった。
ちゃんと会話を成り立たせていたヤツとは違う。頭のメモリはそんなに広くない。
それでも色々考えた。それでも必死に考えた。特効薬なんかない。
逃れる道はない。突破口なんかどこにも…見当たりすりゃしない。
306 :
4/6:04/03/18 12:51 ID:w+xogSYz
俺は死ぬんだ。ヤツとは別れるんだ。離れなきゃならないんだ。
分かっているけど……感情を理性で押さえられりゃ、そもそもこんなに苦しくねぇんだよ!
恐怖に混乱が重なり沸きあがった衝動を堪える抑止力すら働かない。
無垢な笑顔で発破をかけてくれたヤツに、俺は強引に口付けた。
さっきヤツがやったような触れるだけなんて甘っちょろいもんじゃない。
不意をつかれて驚き開きかけたヤツの唇の間に無理やり舌をねじ込む。
「ちょ…ジャッ…!」
なにか言おうとしているヤツの言葉ごと唇でふさぎ、そのまま床に押し倒した。
驚き慌てているだけのヤツを押し倒すのは簡単だった。
「…お前、これがなんだか知っていてやったのか…?」
ヤツの腹を跨ぐようにして足を置き、呆然と見上げてくる目元を指で撫で上げ俺は笑う。
低い声で問いかけると、ヤツは目を見開いたまま「き、キスだろう…」とどこか恥ずかしそうに答えた。
「ふぅん…知ってるんだ。…だったらどんな関係のヤツらがやるもんかも、当然知ってるよな?」
「知っている。親子とか、恋人とか…」
知ってんのか。なら話は早い。
息が吐きかかるほど近くまでぐっと顔を寄せ、くすりと息だけで笑った俺はさぞや酷薄に見えたことだろう。
「ジャック…どうしたんだ、なんか雰囲気が怖いぞ…」
一瞬怯んだように声を掠れさせたヤツに、
俺は床についていた右手を滑らせるようにしてヤツの左胸に置いた。
「…なら訊くが、お前一体どういうつもりでこんなことした?」
声を低めて囁くように問うと、右手の下の心臓がトンと跳ねる。
今までも早かったけど、更に早くなった。
307 :
5/6:04/03/18 12:53 ID:w+xogSYz
「まさか親子のつもりとかは言わねぇよな?」
無言。だけど心臓の動きは正直だ。血の巡りが早くなって、ヤツの顔がどんどん赤くなる。
なんだかひどく残酷な気分になる。無邪気なお前。子供のように無垢だ。違う。
子供なんだ。まだ生まれたばかりの人間。
汚したくなると思う一方で、こんなことは今すぐやめるべきだと訴える声が俺の中から聞こえてくる。
これから別れるのに、もう離れなければならないのに、余計なことは覚えさせるなと。
俺が死んだあともおそらくまっとうにまっすぐ生きていくだろうヤツに、いらないことを教えるなと。
……これから死ぬ人間と、これ以上余計な関わりを持たせるなと。
分かっているさ。こいつは希望の星。この世のどこにもいない、唯一つの遺伝子をもつ人間。
これから子孫を残さなけりゃならないんだろ?分かっている。
だけど、この衝動はもう止められそうにない。
だから。
俺は瞠目したままのヤツの目尻に唇を落とし、そのまま耳元へ寄せ囁いた。
308 :
6/6:04/03/18 12:54 ID:w+xogSYz
「…なら、セックスってのは知ってるか…?」
ヤツの目が一瞬きょとんと丸くなり、すぐにぱっと赤くなった。
「だ、男女の、せ、性交のこと…だろう…」
目をそらしてぽつりと言う。その声は上ずり、心臓は今までにない速さで鼓動を刻んでいた。
俺はにやりと性格が悪そうな笑みを浮かべ、体を起こす。そのまま体を後ろのほうにずらしていくと、
ヤツが慌てて身を起こしかけた。
その動きを止めて、ヤツのジーンズの止め具に指をかける。
「…なにも、男と女だけが出来るってもんでもないんだぜ」
唇には笑みを浮かべたまま、目だけをヤツに向けて意味ありげに言うとハッとヤツは息を飲む。
ことさらゆっくりジッパーを下ろし、左手を前について身を起こしかけたまま
固まっているヤツの耳元に顔を寄せる。
「…教えてやるよ。お前がまだ知らない、世の中の楽しみ方を」
勢いよく振り向いた顔。瞠目したままの目。なにかを言わんとしているが、なにも言えないで喘ぐだけの口。
するりと中に入り込んだ俺の右手にぎょっと肩を跳ね上げて、息を呑んだ唇に有無を言わさず口付けた。
リアルタイムキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
ああもう、本編はトラウマになる程怖かったのに、何でこんなに萌えるんだ
ちくしょーこんにゃろーめ!
サイト見つかんねぇーーーーーーー!!!!ネエサンタチドコニイルノ。・゚・(ノД`)・゚・。
>161姐さん、なんかもう自分萌え死にそうな勢いです。
このままさくっと殺っちゃってください。本望だ…(*´Д`)ハァハァ
萌えキタ━━━━(*゚∀゚*)━━━━ !!
そして自分もサイトみつからナイ━━━━(;゚A゚)━━━━ !!
161タソGJ!次回辺り最終回ですかね?ああ楽しみなようなもったいないような…
今日も萌えをありがd。
312 :
297:04/03/18 13:18 ID:ojMDzG/f
キタ━━━━(*゚∀゚*)━━━━!!!!!
161姐さん、相変わらずGJです!!!!
あああ、姐さんのサイトに遊びに行きたいよー!!!!!!!!
一緒に萌えたいよー。・゚・(ノД`)・゚・。
とにかく、乙&GJです!!!!!!!
313 :
297:04/03/18 13:23 ID:ojMDzG/f
あ、そういえば、十二扉サイト探してる姐さん方
うちのサイトはロボ避けしてるから、検索では引っかからないよ…
って、当然か…
続編キタ━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!
でも未だサイトが見つからな━━━(ノД`)━━━━い!!!!!!
>161姐さんも>297姐さんもドコにいるの〜(つД`)
死を目前にしたジャックたんに萌え殺されそう…ハァハァ
萌え死にそうだよママン!!
161姐さん最高です……!!
そしてサイトが見つ…から…な…い_| ̄|○
>>161 続編お待ちしてました!
必死なジャックたんに萌え過ぎて瀕死((⊂⌒~⊃。Д。)⊃ )) ピクピク
姐さん、いつもながら素晴らしい萌えをありがとうございます。
>>297 一応そっち系の登録制検索サイトを利用してみたんですが…見つかりません。・゚・(ノД`)・゚・。
319 :
1/5:04/03/18 22:37 ID:ggtAbPjh
ボクネ ハトーチンノ コトガネ ダイチュキ
耳に残るその声を消してしまわないように、何も考えないようにした。
顔の筋肉を笑わせていないと、何か大声で叫んでしまうような気がするし。
夢でも見ているんじゃないかな、と思う。
隣で眠る1さんの温かさはいつもと同じで、それは僕を一番幸せにしてくれる。
眠るやわらかそうな頬を見てるだけで、自然にニヤ〜としてしまうくらいに。
愛らしい横顔がどんどん青ざめていくみたいだった。
それにふと気づいて、ぐっと嗚咽がこみ上げた。けれど、飲み込んでいつものように
1さんを布団の上から優しく撫でた。ちゃんと安らかに逝けるように。
これは僕たちの、八頭身一族の業だ。
僕の1さんはその犠牲だ。
320 :
2/5:04/03/18 22:39 ID:ggtAbPjh
家の外では夜中だっていうのに、悲鳴が絶えない。他の八頭身達が、凶暴化した他の一さんたちに
襲われている悲鳴。
ずっと僕だけその阿鼻叫喚の世界から逃れてきた。
僕の飼っている、いや飼っているというより育てている1さんは大人しくて優しい子になってくれた。
僕が1さんを育てているから、他の凶暴化した1さんたちは僕を襲うことはない。
理屈は分かっていた。
でも他の仲間が1さんたちに次々と襲われ続けて恐怖のどん底にいる中で、
どうして僕だけぬくぬくと暮しているのだろう、という疑問は僕をずっと苦しめてきた。
1さんの無邪気な笑顔だけがそれを救った。
その笑顔にかけて誓ったはずだった、1さんだけずっと愛すって。
321 :
3/5:04/03/18 22:44 ID:ggtAbPjh
でも食われていく恐怖におののく仲間の悲痛な訴えを僕は無視できなかった。
凶暴化した1さんに襲われないかと怯えて毎日を暮す切なさやるせなさ、仲間の死骸を
目の当たりにして感じる恐怖。生きたまま食われてゆくことを考えるだけで背筋を這うおぞましさ。
僕の1さんは常に彼らのその感情を刺激する。大人しいとわかっていてもそうだ。
訴えてきた八頭身の眼は、日々の恐怖に衰弱しきっていた。
「みんな恐れてるんだ・・・」
「1さんがいるというだけで我々は、安心して表を歩く事もできない・・・」
何も考えないようにしようって思ったのに、考えたら目の奥がジワジワと熱くなった。
隣で眠る1さんは寝返り一つしない。
ハトーチン…ムニャ…とかいう寝言を聞いて、興奮してギュ―って抱きしめて幸せ一杯になるなんてことはもうない。
もう寝てしまうのがいいと思う。今までのことを全部夢にして、明日から、ちゃんと一人で生きていかなきゃ。
322 :
4/5:04/03/18 22:45 ID:ggtAbPjh
「 ナ ン チ テ ! 」
突然布団がめくりあがって1さんが起き上がった。
「1さん!」
びっくりしたのは僕の方だ。確かにあの薬を1さんは飲んで、眠って……
「アノ テイドデ シヌカヨ!」
そうか!1さんは僕と暮してくうちに、八頭身特有の丈夫さを身に付けていったんだっけ。
そうか、あんな薬程度じゃ死なないんだ。
目の奥がジワジワと熱くなっていった。あの鬱全て吹き飛ばす愛しい1さんの声しか聞こえない。
もう一度聞けるなんて思ってなかったのに、夢みたいだ!!!
「ソレニシテモ オマエヤサシクシテヤッテリャ ツケアガリヤガッテ」
寝る前にやっぱり少し考えたことがある。
僕は他の食われていく八頭身たちへの良心の呵責に耐えられなくて、こんな道を選んだ。
けど、他の道を選ぶべきだったんじゃないかって。
323 :
5/5:04/03/18 22:46 ID:ggtAbPjh
君を失うくらいなら、君に食われた方が僕は幸せなんだって、思った。
僕を呼ぶ声、君の頬の柔らかさ、抱きしめると感じる体温、君の存在、全部全部が
いとおしかった。
君はいま僕を怒っているんだけど、やっぱりどんなに罵られたって食われたって何されたって
君が好きで好きでしょうがない。君がいるだけで、幸せでしょうがない。
1さん、って呼ぼうとしたけれど、喉が震えて声にならなかった。
ただ込み上げる嬉しさに頭の中がぼんやりして、大声で何かを叫び続けている1さんを見ていた。
「ユ ル サ 〜 ン !」
ボクネ ハトーチンノ コトガネ ダイチュキ!
耳に君の声が蘇る。
聞こえていたかな、何度も何度も「ダイチュキ!」って君以上に繰り返してた
僕の声。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧ ∧ オソマツ
| | | | ピッ (・∀・)
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>1さん飼いスレは内容がひどいなか、
>>1さんが可愛くて見ていました。
お粗末なSSで、どこかにあげようかと思いつつ、迷ったので此処にさせていただきました。
ありがとございます。
八頭身・・・(ノД`)゚・゚
>318
ウワァァッァ゚(゚´Д`゚)゚ァァァァァ
マジ泣きした…
327 :
161:04/03/19 13:05 ID:IDLIEP6r
再びスレを借りにきました、161です。
昨日以上に生ぬるく五本ほど行きます。
>297さん
メールさせていただきまつ(*゚∀゚)
328 :
1/5:04/03/19 13:05 ID:IDLIEP6r
ヤツはなにも知らない。世間知らずのひよっこ。
それでも最近は色んな知識を蓄えたようで、俺も知らないようなことを知っていたりすることも多かった。
俺の頭の出来はいいほうじゃないから。
ヤツに説明されてもちんぷんかんぷんですぐに言葉半分に聞き流したりもしていた。
ああ、そうだ。ヤツは頭がいい。俺とは違う。きっと、すぐに世間に慣れる。
半端に外れてる俺とは違って。きっと、まっとうに生きていける。
いつまでも俺に繋ぎとめてちゃいけないんだ。
だから、本当はこんなことをしちゃいけないんだ。男を覚えさせたら駄目なんだ。
「は…ッ」
荒い息を飲み込み唇を噛み締める。零れそうになるのは嗚咽と嬌声。
見下ろしているヤツの顔は、もうとっくに快感に染まっている。
唇を寄せると頭ごとつかまれ口付けを返され、首元に口付けるとお返しのように肩口に吸い付かれる。
人間も動物だから、子孫を残す行為はある程度誰に教えられずとも知っている。
どんな動きをしてどんなことをすれば気持ちがいいのか。ある程度動けばすぐに見つけられる。
襲ってくる快感の波に、俺は嬉しくて悲しくて唇を噛み締めた。
別れは近い。悲しみは深い。こんなことをしてもなににもなりはしない。
硬く閉じていた目を開き、ヤツの顔を記憶に刻み込もうとじっくりと見つめた。
すると、体の感覚を追うように目を閉じていたヤツは、ふとなにかに気付いたように目を開ける。
なにかを確かめるように己の頬に指を滑らし、次いで俺のほうに伸ばされた手がぎこちなく俺の頬を辿った。
「…泣いて…いるのか、ジャック…」
泣いている?俺が?
問われた言葉の意外さに、俺は自分の頬を撫でてみた。言われた通り、俺の頬は涙に濡れていた。
329 :
2/5:04/03/19 13:06 ID:IDLIEP6r
「なにが悲しいんだ…?それとも、苦しいのか…?」
気遣うように撫でてくるヤツの手のひら。もうすぐ手放さなければならない温もり。
そうだよ、俺は悲しい。俺は苦しい。辛くて辛くて仕方がないんだ。だけどそれ以上に。
頬を撫でるヤツの手に手を重ね、更に頬を寄せて俺は笑んだ。
「…違う、嬉しいんだ」
嬉しい。悲しみも、苦しさも、辛さも、恐怖も上回るほどに、俺は嬉しい。
どうしようもない人生だった。ろくでもないことばかりしてきた。お袋をさんざん泣かした。
親孝行のひとつも出来ずに亡くしてしまった。俺の生活は殺風景で、つまらないものだった。
たくさんの人間を殺し、いつしか罪悪感は薄れていた。ターゲットは人ではないと、
思わなければやっていけなかった。俺はどこか壊れていた。どこか狂っていた。
人として大切なものを、とうに失ってしまっていた。
「…俺は地獄に落ちるだろうな…」
荒い息の合間で自嘲に染まった独り言は、自分でも驚くほどに明るく、そしてむなしく響いた。
「…この手で、たくさんの命を奪ってきた…」
笑いたくもないのに零れてくる笑いのまま続けると、ヤツは泣きそうに顔を歪める。
そうして俺の首の後ろに手を回してそっと抱き寄せた。
「…でも、ジャックは私を助けてくれた…」
「助けてねぇよ。俺の方が助けられてばっかりだった」
「しかし、ジャックがいなければ私はここには居ないよ」
ぎゅっと抱きよせる手に力を込めて、ヤツは穏やかに語りかけてくる。
「それに、仲間の死を悼んでいた。ジャックは仲間を、とても大切にしていた。
確かに人を殺してきたのかもしれないけれども…大切なものはなくしていないよ。
人の死を悲しむ気持ちを、忘れてはいない…」
穏やかな声に、優しい言葉に、不覚にも涙が溢れた。
堪えきれない嗚咽に体が振るえ、ヤツの体にすがりつく。
330 :
3/5:04/03/19 13:07 ID:IDLIEP6r
どうしようもない人生だった。ろくでもないことばかりしてきた。お袋をさんざん泣かした。
親孝行のひとつも出来ずに亡くしてしまった。俺の生活は殺風景で、つまらないものだった。
だけど最後の最後にこいつに出会えた。
あんな事故に巻き込まれなければそもそもここで命が尽きることもなかったのだが、
しかしあのまま生きていたところでろくでもないものに変わりはなかっただろう。
こいつに出会えたことは俺の人生の喜びだ。こんなヤツ、他にはいない。
この先生きてもきっと出会えやしない。
だから俺は嬉しいんだ。幸せなままで死ねる。喜びの中で死ねる。
俺の人生最上の時に、終わることができるんだ。
泣き続ける俺を抱きしめて、やつは小さく笑う。
「ジャックが地獄に落ちるなら、私も地獄行きだよ」
そうしておどけたように言うから、俺はしゃくりあげながらも「そんなところまでついてくるな」と悪態をついた。
「だって私も人を殺している。おまけに食べてもいる。ほら、私もジャック以上に極悪非道じゃないか」
笑いながら言うことじゃないだろうに、ヤツはなんか楽しげだ。
「ジャックと一緒なら、きっと地獄も楽しいだろうな」
そうしてまるで遠足にでも行くような口振りで言う。どうにか落ち着いてきた俺はヤツから体を離し、
涙に濡れた顔のままでにっと笑んだ。
「これから先は蜘蛛一匹殺せねぇな」
「蜘蛛…?蜘蛛の糸の話か?」
「ああ。呑気な仏様に助け上げてもらおうぜ」
笑って言うと、ヤツも楽しそうに破顔した。「そうだな」とおかしそうに頷いた。
いい笑顔だ。俺は忘れない。お前のことを忘れない。
お前の分まで俺が覚えているから。
お前は俺のことなんか、忘れてしまえよ。
俺と会ったことも、俺と過ごした時間も、俺の存在そのものも。
……忘れてくれればいいのに。
331 :
4/5:04/03/19 13:08 ID:IDLIEP6r
* * * * *
夜が明けて、俺は簡単に身支度を整えた。
その辺にあった紙の裏にヤツに教えなければならない諸々のことを書いて、
その上に重石代わりに一つのパスポートを置く。
ヤツの戸籍はとっくの昔に作っていた。この国から出られるようにパスポートも作っていた。
正当な手段で手に入れたものではないけれど。
これを渡さずにいたのは、ヤツを表に出したくなかったからだ。
だが俺がこうなってしまった以上、いつまでもこのままではいられない。
必要なことだけを適当に書いてペンを置く。ベッドで眠っているヤツの姿を見納めのように見つめ、
少し考えた後に最後に一文書き加えた。
俺がヤツにつけた名前はアスク。アスク・スパンクマイヤ。
まさか財団も俺の苗字をそのままつけているとは思わないだろう。
アスクははじめに生まれた人間の名だ。ヤツにはぴったりだろう。
アダムも考えたが、ベタ過ぎるって気がしてやめにした。
それを言うならアスクもベタだが、こっちの響きの方がなんとなく好きだ。
結局一度も呼ぶことのなかった俺のつけたヤツの名前。これからもきっと呼ぶことはない。
俺はベッドへ歩み寄り、眠り続けるヤツの唇にそっと口付けた。寝乱れた髪を撫でると幸せにそうに笑む。
つられて微笑み、「元気でな」と一言だけ言葉をかけてベッドのそばから離れた。
332 :
5/5:04/03/19 13:09 ID:IDLIEP6r
外に出ると夜明けに白々としていた空は青さを増し始めている。
完全に顔を出した太陽は眠りにまどろむ街を生き生きと照らし、
人々の活動を始める気配が朝の喧騒を生み出し始めていた。
時間は淡々と流れ日は沈んでもまた昇り、人々の営みは絶えることなく続いていく。
今日もまたどこかで顔も知らぬ誰かが生まれ、また死んでいっているのだろう。
生きとし生けるもの全てに訪れる絶対の定め。
俺に対してもそれは例外でなく、死は間近に迫っている。
俺一人死んだところで社会はなに一つ変わらずに流れていくのだろうけれども、
ただ一人でも悲しむ人がいると思うとなんだか救われる気分になる。
「…ごめんな」
俺は最後まで勝手だったな。俺のエゴばかりあいつに押し付けていた。
でも俺の死ぬ姿をあいつには見られたくない。
自惚れかもしれないけれども、あいつが泣く姿を俺は見たくない。
俺が死ぬという現実を、あいつに突きつけたくない。あとを追われそうな気がして怖いんだ。
それよりだったら生死不明のままいなくなって、あいつに生きる道を残したい。
そのうちたくさんの人に出会うだろう。俺以上に大切に思える人間にも出会うだろう。
それはちょっと悔しいけどな。
「…親離れの時期だ」
ひどい別れ方だったけれども。まあ、こんな思い出の一つくらい、作っといてもいいだろう。俺のために。
つくづく勝手。それでもこの先短い人生を過ごすには必要だったんだ。
そんな言い訳を胸の中でぼやきながら、多少は痛む体を叱咤して俺は歩き出した。
賑やかさを増し始める街の喧騒にまぎれて、俺はあいつの未来を祈る。
喜びに溢れているように。これ以上の悲しみがあいつを襲わないように。
願わくは、俺との別れをあいつが乗り越えられるように。
幸せに、なって欲しい。
333 :
161:04/03/19 13:12 ID:IDLIEP6r
ここでとりあえず終了です。
一応どっちがどっちでも読めるようにぼかしぼかしで書いたのですが
私の中ではやっぱり主ジャク…ジャック騎○位で頑張ってます…
なのでそれを匂わせるような文章がちらほらと入っていると思われます。
襲い受けとか誘い受けとか好きなんです、すみません_| ̄|○
バカだアホだと書いてますが、個人的にジャックは頭がいい方だとオモ。
色んなこと知ってたし。
おまけとして「実はただの過労だったのミ☆ミャハ」な落ちもあったの
ですがはしょりました。どっちでもいいかなとか考えてます。
余談ですが、蜘蛛云々と書いている時に目の前に蜘蛛が現れ
本気でビビリましたよ…
洒落じゃなく「仏様が見てる…(((;゚Д゚)))ガクブル」な気分を味わうことに。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
ブラボー
鳥肌たったよ姐さん。
そのゲームは知らないけどジャックを好きになった。
萌えー、そして切ない…
336 :
297:04/03/19 13:46 ID:kWOku5eg
萌えーーー!!!。・゚・(ノД`)・゚・。
161姐さん、萌えを、そして感動を有難う!!!
漏れも姐さんのような素敵な文章が書けるようにガンガル!
姐さんに沢山の萌えと勇気と感動を貰った!!
有難う!!お疲れ様!!
またまた続編キタ━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!
。・゚・(ノД`)・゚・。 切ないよぅ。でも萌え死にそう。
161さん、乙華麗でした!
萌え切ない…・゚・(ノД`)・゚・。
161さん乙!!
ジャックタソのアホー!
・゚・(ノД`)・゚・。
しかし、蜘蛛の話がナチュラルに出て来たあたりで
お前ナニ人だよと突っ込んでしまったんだが
>>340 同じく突っ込んだが萌えたので問題なしですた(*´Д`)ハァハァ
161姐さんGJ萌えたよありがと━━━━━━ヽ(´∀`ヽ)━━━━━━う!!!!!!!!
どうやって姐さん達のサイトを見つけよう_| ̄|○
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| | □ PLAY.. | |
| | | | ∧_∧ ヒトリデコソーリモエルモナ...
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
男は一人で座っていた。
船の中、テキーラの瓶を傍らに置き、二つのグラスを床に並べた男が、折り鶴を手に座っていた。
薄暗がり。男の他に誰もいない。波の音しかしないその空間に時折混ざる、嗚咽。
ただ一度、接吻を交わしただけの相手。彼を喪ったことが、長年共に戦ってきた相棒を喪ったあのときよりも辛く苦しいのが何故だか分からず、男は泣いていた。
男はやがて、手にしていた折り鶴の折り目をそっと解いていった。かさり、かさりと鶴の形が崩れていく。
ゆっくりと開かれ一枚の白い紙に姿を変えた鶴を愛おしむように幾度も指で撫でる。それから男は神経質な折り目をなぞって再び鶴を折り始めた。
ひとつ、ひとつと折り重ねるごと鶴の形が出来ていく。
それは男が知らない、彼の長年の苦悩をなぞることと同じだった。彼には結局、何ひとつ残らなかったのだ。身分も名誉も財産も、名前さえも。
重ねた唇のぬくもりさえももう消え果てて残っていない。
盗まれた口付けに目を丸くすると、彼は存外に幼く見える笑顔で男をみつめ、すぐに元の無表情に戻って背を向けた。
もしかしたら自分でキスをしたくせに照れていたのかもしれない。
ほんの僅か赤くなった耳朶に男は気づいていた。言ったらきっと怒るだろうからと黙っていたけれど、気づいた時には少しだけ笑ったものだった。
また一滴顎を伝った涙が手元に落ちる。
ぽたり、濡れた折り紙を男の手が折り続ける。
やがて折り上がった鶴の羽を広げようとした所で、ひょいと伸びて来た手が男から取り上げた。
「…下手くそ」
その声にハッと男が顔を上げる、そこにはいささか不機嫌そうな顔をした彼が立っていた。
「連絡もなく来て、勝手に入るなって前にも言ったろう。誰かに嗅ぎ付けられたら厄介なんだ」
彼はそう言って男を睨む。それからつかつかと入り口のほうへ戻っていく。ドアを少しだけ押し開いて周囲をちらりと見回した彼は、不審な影のないことを確認して戻ってきた。それからまた男を睨んで不機嫌そうに口を開く。
「何しに来た」
男は暫く言葉に詰まった後で我に返り、慌てて傍らに置いておいたテキーラの瓶を手に取った。
それを彼に向けて振ってみせる。
「酒持ってきたんだ。お前と飲もうと思って…」
「仕事中の飲酒は禁止だろうが」
「…一応、休暇中だ」
彼は呆れたように軽く溜息をついて床のグラスを片手でつまみ上げる。
「自主休暇は休暇とは言わないだろ。サボりと言うんだ」
だがそう言った後で続けて「瓶持って来いよ」とも言うので、どうやら嫌がっているわけでもないらしいと分かって男は鼻を啜り、瓶を手に彼の後に続いて船室の奥へ入っていった。
そこでテーブルにグラスを置いた彼は男が注ぐのを待たず、自分で瓶を奪ってグラスを満たした。男は手持ち無沙汰に氷りでも探そうかと冷蔵庫を開けたが、案の定というかなんというか、そこにはビールの缶が一本入っているきりだった。
これではぬるいがいいのだろうかと男が彼を振り返れば、彼は全く気にする素振りもなくテキーラをぐっと流し込んでいる。
「普通…」
「ん?」
「普通、持ってきた奴に礼くらい言うもんだろうが」
「…細かい奴だな」
彼は唇を片側ちょいと持ち上げ、もう一度半分ほど満たしたグラスを男に掲げて見せる。
男もグラスを手に取り、彼のそれとチン、とぶつけて涼やかな音を響かせた。
また軽く呷った所で、彼がふと指を持ち上げて男の後ろを示す。
「あそこ」
「あ?」
男は指し示された方を振り返った。彼が言葉を続ける。
「棚があるだろ。横に旅行雑誌が立ててあるんだ。もう五年も前のかな。おまえにやるよ」
「五年も前の雑誌なんて貰っても…」
言いかけて男が彼に向き直る。否、向き直ったつもりだった。少なくとも、男は。
だがそこに彼の姿はなく、空のグラスと丁寧に折り直した鶴がテーブルの上に置いてあるばかり。
男は慌てて船室内を見回したが誰もいない。いるはずもない。
何故ならば彼は死んだのだ。死んでしまったのだ。
この船の主はもういない。
男は突然あふれだした涙を止められず、呆然とその場に立ち尽くした。
たった今、グラスを交わしたのは誰だ。幻想か、妄想か。それとも彼がそこに居たというのか。
言葉を交わしたのは、鶴をこんな風に綺麗に折り直したのは誰だ。
それも幻か。
よろよろと彼が指さした棚に向かって歩き出した男は、そこに彼の言葉通り一冊の古びた雑誌を見いだした。
手に取ると、幾度もめくってよれたページがぱらぱらと音を立ててめくれていく。
やがてそのページの一カ所に、男は鍵が貼り付けられているのを見つけた。
北極。彼が憧れた光の地。消えぬ光を浴びられる場所。
その写真の上にテープで無造作に貼り付けられたその鍵が一体、どこの鍵なのか男には分からなかった。だが男はそこから鍵を外すと、猛然と船内を探し始めた。その鍵が開けるべき封印の在処をただひたすらに探した。
彼がそこにいた名残とも言えるささやかな本や、仕舞い込まれた山のような銃を掻き分け、やっと男が「それ」を見つけた時には船内に差し込む光は殆ど絶え、周囲は暗闇に沈んでいた。
それはなんのことはない、当たり前のように存在する鍵穴にぴたりと合った。
男が鍵を差し込み、捻ると男の手元にいくつかの光が走る。そして男が点灯したスイッチの一つを押すと船内に煌々と明かりが灯った。
この船のキー。彼が死んだ時、彼の胸で打ち抜かれ歪み、砕けてしまったあの鍵。
男はEngineと文字が刻まれたレバーをぐっと押し上げた。ゆるい重低音。動き出した機械の音が足下から響いてくる。
船はゆっくりと動き出した。
水面をうねらせながら黒い海に漕ぎだしていくその船の上で、今度こそ男は声をあげて泣いた。
泣いて泣いて、泣き飽きて大の字に横になり、言った。
「北極行ってやるよ。ああ、俺が行ってやるさ。お前も一緒にだ」
どこかできっと、彼が皮肉っぽく唇を吊り上げて「おまえ、船の操舵なんか知らないだろ。無茶言うなよ」と笑う。
それもそうだと男は思い、また一筋涙を零しながら笑った。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 幽霊でゴメソモナ。
| そもそもこれはやおいなのかも疑問モナ
| ちなみに元ネタは映画ですた。
|
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 該当スレがあるのかも知らん…
| | | | \
| | □ STOP. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (・∀・ ;)(´∀` )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
343がPLAYなのに□になってーら…スマソ。
先生!!モララーが「モナ」って言ってるところに突っ込んでいいですか!
_| ̄|○ヤッチマッター
元ネタ分からないけどけど萌えたから
懲りずにまた落としてね(*´∀`)=σ=σ)´Д`)>351
|「( ゚∀゚)ノ<すんません!161タソのSSにムッハーとなってちびちび書いてた
____________ | 自前の12扉SSがやっとできたんで張り逃げさせていただきます!
| __________ | | 18コマ行きます!」だって。
| | | | └─────V────────────
| | |>PLAY | | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ ) ポチットナ
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
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354 :
1/18:04/03/21 14:32 ID:em6knabb
アクセルを踏みつけっぱなしのまま軽快に一本道を走っていたのが突然、
ガタンガタンと明らかにとんでもない音がして道路の真ん中で急に止まってしまい、
そのまま静まり返って何の音もしなくなった。
キーをがちゃがちゃやっても反応がない。
どうやらエンストしやがったようだ。よりによってこんなところで。
「ド畜生め、なんてボロ車だ!」
ハンドルを殴りつけて悪態をつくと、助手席から呆れたような声が聞こえる。
「だから私はこんな派手な車はやめておけと言ったのに」
声の主は、顔の上に伏せた地図から半分顔をのぞかせてこっちを見ている。目が笑っている。
「うるさい」
さっきまで眠りこけてたくせに、こんなタイミングで目を覚ますとはなんていまいましい奴だ。
足を踏んづけようとしたら素早く避けられた。ますます腹が立つ。
仕方が無いので、後部座席の工具箱を掴んで外に出ると、空気の冷たさが身にしみる。
まったくなんでこんな目に、と空を仰ぐと、白い太陽の光が眩しい。
窓から車の中を覗くと、あいつはしれっとした顔でなにやら雑誌のページをめくっている。
無性に腹が立つ。そのとき、車の屋根が目に止まった。
ふと思いついて、いきなり車の幌をいっぱいに開いてやった。
派手な造りのオープンカーだから屋根がなくなったら車内まで寒風吹きさらしだ。
ざまあみろ、という気分で鼻歌なんて歌いながら工具箱をぶら下げて車の前に回る。
そして案の定、後ろから走ってくる足音と何か文句が聞こえる。
「ジャック!あんたって奴はいつも子供のいたずらみたいなことばっかり…何を笑ってる?」
聞こえないふりをしてボンネットの蓋を跳ね上げた途端に頭をはたかれる。
「痛えな!」
「寒いんだからさっさと修理しろ!」
「おまえ、人様にやってもらうくせにその言い草はなんだっての」
「だから、元はと言えばあんたが派手好きだから悪い」
「…蹴っ飛ばすぞ」
俺が伸ばした脚を軽く避けて、あいつは向こうに走って逃げていってしまった。
工具箱と一緒に取り残される。ふくれていても仕方が無いので修理にかかる。
やっぱり、おとなしくセダンにしておけば良かったかな…
中の部品はあちこち錆付いていて、あまりの惨状に思わず頭を抱えたくなった。
355 :
2/18:04/03/21 14:33 ID:em6knabb
手袋を外してポケットに突っ込み、素手でドライバーを掴むと、空気の冷たさをまともに感じる。
それなのに、救世主殿は少し離れたところで焚き火なんかしている。
辺り一面焼け野原なんて冗談じゃねえぞ!と、一応叫んでおく。聞こえたのか聞こえないのか。
目を上げて向こうの方を見やると、一本道がずっと続いていて、先のほうに何があるのかは何も見えない。
この道をたどって行き着くところは、ただの小さな田舎町だ。…俺の生まれた、薄汚れたみっともない町だ。
見るものなんて別に何もないぜ、と何度も言ったのに、あいつは変な意地を張って聞こうとしなかった。
ただ、見たい、らしい。そういう感傷は、まあわからないでもない。
そして、少し昔の話をした。そんなことをするのは久しぶりで、酒の力を借りないと何をどう話していいのか分からなかった。
あいつは妙に冷めた目で床の一点を見つめたまま、とりとめのない俺の言葉にじっと聞き入っていた。
ろくでもない親父のこととか、したたかだったがアンラッキーだったおふくろのこととか、
髪の色も思い出せないガールフレンドのこととか。どんな家に住んでたとか、どんな所で遊びまわってたとか。
冬には近くの湖が凍りついて、一面真っ白な物凄い眺めになる、ということを口に出したとき、
それまで黙りこくっていたあいつが突然、それを見てみたい、と言った。それで決まりだった。
今も、あの町外れの湖は白く凍っているんだろうか?
無鉄砲な子供でさえ、近づくのがなぜか恐ろしかった、あの眺めは。
356 :
3/18:04/03/21 14:34 ID:em6knabb
そんなことを考えていていつの間にか手が止まってしまっていた。
ずいぶん体が冷えてきているし、手に真っ黒なオイルは付いているし、べたべたして気持ちが悪い。
早く片付けようと思ってエンジンの上にかがみ込んだ時、後ろに気配を感じた。
「…なんだ?おまえが手伝うことは何もないぞ」
「一体どうして私が手伝わないといけないんだ。最初に車の選択をしくじったあんたのせいだろ」
畜生。
ぐずぐず言わないであっちで鳥にエサでもやってろ、と言おうとして振り返ると、
目の前に湯気のたった缶を手渡された。手の中が温かく、コーヒーのいい香りがふわりと漂ってくる。
どうやら、空き缶を即席のコーヒーカップがわりに使ったらしい。
ふうっと息を吐いて冷ましてから一気に飲み干すと、嘘みたいに体が温まる。
缶を空にすると、彼が当然のようにそれを取り上げて、さっさと向こうへ行ってしまおうとする。
「コーヒー、ありがとな」
手を上げて、その背中へ向かって言うと、振り返って、肩を竦めて笑ってみせる。
「まあ、気にするな」
今度は、ちゃんと聞こえたようだ。
結局、修理が終わった時には日がすっかり落ちていて、その日は車の中で一泊する事になった。
あいつも、助手席に背中を深くもたせかけたまま、「異論はない」と呟いた。
少し意外だった。
別に、俺は夜通し車を走らせてもいいと思っていた。もし、一刻も早く目的地に着きたい、と言ったならば。
それなのに、彼は何も言わなかった。
357 :
4/18:04/03/21 14:35 ID:em6knabb
何かが腕に優しく触れている感触で、ふいに夜中に目が覚めた。
あいつだ。助手席に座って、俺の腕の傷跡をなぞっている…
窓の方へ顔をそむけて、眠ったふりをし続けた。
眠れないんだろうか、ためらうような指の動きは止むことはない。感覚が腕にだけ集中する。
突然、ちり、とひきつるような軽い痛みが走る。爪が引っかかったんだろうか。
暗闇の中の痛み。
引きずられるように思い出すのは、十二番扉をくぐった先の、漆黒の闇に浮かんだ不気味な格納庫と、
冥界への一本道のような細い橋、そして、俺を救ったワクチンの針の痛みだった。
監獄で拾った試験管の中身は、絶対に二人分には足りなかった。そんなことは一目見て明らかだった。
まっとうな頭の持ち主だったら、そんな貴重な薬を人に渡そうなんて考えやしない。
子供にだって、自分の命が危険に晒されるってことはわかるだろう。
それなのに、俺はあいつの手からワクチンをもらった。
魂まで飲み込まれそうな深い暗闇の中へと一直線に続く橋の上で、
あいつはポケットから試験管を取り出して、驚くほど自然な動作で、俺の手の平の上にそっと乗せた。
しばらく呆然と、手の上のワクチンを眺めていた。
普通、命にかかわる程のこんな大事なものを人に渡すだろうか。
目の前のこいつは、本物の馬鹿じゃないだろうかと、そう思った。
その鋭い針の痛みの記憶は、ポッドから一歩出た時の風の匂いの甘さといつも結びついている。
そしてそのとき、わけもわからず流れた涙とも一緒に。
俺は生き延びた、と。
358 :
5/18:04/03/21 14:35 ID:mFgfFlhp
思い切って聞いてみたことがある。何故あの時、俺に渡したのか。
あいつは、「あんたは大怪我してたし、私はなんだか死ぬ気がしなかった」と事も無げに答えた。
なんと言っても私は救世主様だからな、と、冗談みたいにはぐらかそうとするのを押しとどめて、
防護服の効き目が切れたとか言って死にそうな声出してたのは一体誰だ、
そう問い詰めると、目を泳がせて困ったように笑っていた。
試験管の中の、血のような生々しい赤さ。命の水。
あいつが俺に命をくれた。
だから、俺のろくでもない一生があいつのために終わったって、惜しいなんてちっとも思わない。
正体が化け物だろうと何だろうと構わない。この事実は変わらない。
あいつは、脱出ポッドに乗り込む前に一瞬ためらった。外の世界に怯え、竦んで、足を止めた。
俺は、その正体を十分承知していながら、それでも力を込めて彼の手を掴み、中に引き込んだ。
全ての力を尽くして守ってやろう。その程度の覚悟はとっくにできていた
359 :
6/18:04/03/21 14:37 ID:mFgfFlhp
それなのに、一度、あいつは俺から離れようとした。
町から町へ、住処を転々と変えていたある夜だった。
心も体も疲れきっていたのに、目が覚めたのは幸運としか言えなかった。
隣を見るとベッドに姿が無く、扉の近くに人影が見えた。
「どこに行くつもりだ…?」
そう尋ねると、影が立ち止まった。
ゆっくりと起き上がる。
今すぐにでも、そばの扉を開けて夜の闇の中にまぎれてしまうのではないかと思い、冷たい汗が背中に流れる。
「まあ、ただの散歩じゃないだろうな…」
俺はあいつが扉を開ける前に、渾身の力で駆け寄り、手首を強く掴んだ。
その拍子に、何かを思い切り蹴っ飛ばす。見ると、足元には小さく纏めた荷物が有った。
俺から離れるつもりだったのか。
胸の中がすっと冷える。
「一体何のつもりだ、金も戸籍も無いくせに一人でどこに行く」
掴んだ手首を強く握って壁に押し付けると、彼が小さく呻き声をあげる。
「くっ…」
「答えろ」
「わかったから、その手を離してくれ」
知らないうちに力を入れすぎてしまっていたようだ。
そっと手を離すと、彼はもう片方の手でその場所を庇うような仕草をする。
「…すまん」
「いいんだ」
迷うように何度か瞬きをした後、彼はすっと顔を上げる。
360 :
7/18:04/03/21 14:37 ID:mFgfFlhp
「ジャック」
ふいに、彼の声の調子が変わる。深く通る声と、瞳の中の静かな光に背筋が冷える。
「何だ、おまえ、急に…」
「本当のことを言おう」
思わずたじろいだ俺の方に、彼が一歩近づいてくる。
「私は救世主などではない。人間ですらない。ただの醜い化け物だ」
「やめろって…」
「本当のことだ」
思わず眉をしかめた俺を見て、彼はかすかに笑ってみせる。
「今はこうして…ちゃんとあんたと向かい合って話せているけど」
そう言うと、彼は俯いた。
「けれど私だって、あそこの研究所の異形どもの仲間なんだ。もし、いつかこの自我が壊れて、私が化け物になったら?
…あんたが真っ先に私の餌食になるだろう。私は…『私たち』は、人を食い殺すものだ」
「そんなこと、あるはずが…」
「あんたを私の手なんかで死なせたくない…!」
彼の瞳を覗き込む。瞳の奥の強い光にはっと見惚れる。
本気だ。この決意は揺らがないだろう。…どうする?俺はどうすればいい。
少し目を閉じて、覚悟を決めた。
361 :
8/18:04/03/21 14:38 ID:mFgfFlhp
「わかったよ」
彼の手首を離し、腰のホルダーから護身用のハンドガンを取り出し、全ての弾を抜く。怪訝そうなあいつの目の前で、
銃弾を一つだけ装填し、残りを床にばらまいた。
「おまえが勝ったら、好きにしろ」
リボルバーを手の平で回転させながら笑ってみせる。
何も言えずに呆然としている彼の目をじっと見つめながら、俺は自分のこめかみに銃口を当てる。
「やめ…」
静止の言葉が終わる前に、俺は引き金を引いた。カチン、と空撃ちの音が脳髄に響く。
彼の目をじっと見つめたまま銃を差し出す。
「やめてくれ、頼むから…」
「怖いか?それなら、おまえの分も俺が撃ってやるよ」
もう一度銃をこめかみに当てる。空撃ちの音を聞くのと同時に、銃を持った手がきつく掴まれる。
抵抗せずに、そのまま手の力を抜くと、彼は銃を奪って後ずさりし、扉に背中をもたせかけた。
362 :
9/18:04/03/21 14:39 ID:mFgfFlhp
「どうして、こんな…」
荒い息でそう呟く。俺は彼の目をじっと見つめたまま、ゆっくりとひざまずいた。
そのまま、彼の腕を取って、引き金にかけられた指の上に、自分の親指を重ねる。
驚いて身を引こうとする彼に向かって静かに言った。
「引き金を引くときは覚悟を決めてからにしてくれよ」
凍りついたように動きが止まる。銃を握った彼の手を両手で包み込んで捧げ持ち、そっと銃口に口付けた。
彼の両手が小さく震える。
「弾が出なかったらおまえの勝ち、出たら負けだ」
「ジャック…あんたは死にたいのか?」
「死にたくねえよ」
唇を離し、そのまま銃口を眉間に当てる。金属の冷たさ。彼は怯えた、今にも泣き出しそうな顔でこっちを見ている。
「そんな顔するな」
「ジャック…」
「いいぜ、この一回で終わりにしてやる。ただ、覚えておいて欲しい」
指にじわりと力を込め、引き金をゆっくりと半分まで押す。
冷たい手だった。彼の顔から目をそらさずに笑ってみせる。
「俺の命は、もうとっくにおまえのものだよ」
彼の手首の脈動を微かに感じながら目を閉じた。
ゆっくりと彼の手から指を離した途端、床に銃の落ちる鈍い音がした。
そして、力が抜けて崩れ落ちるように、彼が胸に顔をうずめて来る。
あんたはずるい、という呟きが聞こえた。俺はそれには答えないで彼の後ろ髪を乱暴にかき上げ、首筋に深く口付ける。
そうだ、メサイア。俺はずるいよ。心の底から真剣になってずるい手を使った。
熱い体の重みを受け止めながら、ただ、縛り付けるような強い抱擁を返した。
腕の感触が途絶えると、彼の指が俺の手の上にすべり落ちてきた。
手の平を上に向け、その手を軽く握る。
俺が起きていたことに驚いたのか、その指が小さく震える。けれど、ふりほどこうとはしなかった。
指を緩く絡めあったまま目を閉じる。眠れない。
月の無い、淀んだような暗い夜更けだった。ひたすら息苦しかった。
ふと、嫌な考えが頭をもたげる。
もし、俺の体に胞子が寄生していたとしたら。
今もこの体をじわじわと異形に変えていっているとしたら。
正気を失った俺が真っ先に襲うのは、一番近くにいるこいつに他ならない。
そうやって傷つける前に、人間であるうちに、俺はちゃんと自分を撃てるだろうか…
いや、もしそうなったとしたら、そうするのが俺の義務に他ならないんだろう。
俺のほうが、あんな無茶な賭けをして、あいつを逃がしてやらなかった。
本心は、たぶん俺だって一緒だ。
離れてしまいたい、絶対に離れたくない、その二つの感情の間でみっともなくふらふらしている。
けれど、本当に、おまえはどうして、そんなにここに来たがった?
何か、普通の人間には見えないものが、もしかすると見えているんだろうか。
おまえは、あの不条理で強靭な胞子と戦うために生み出された、生まれながらの兵隊だ。
研究所での化け物との戦いの時、あいつは素人とは思えないほどに卓越した銃の扱いを見せた。
もともとが、あのわけのわからない、不条理な胞子と戦うために生み出された存在なんだから、
それは当然かもしれない。
だから、戦いが終わる頃、誰にとっても必要なくなった、この世界の異分子にすぎないおまえの遺伝子は、
跡形もなく消えてしまうように細工されているのかもしれない…
もちろん証拠はない。そうかもしれないし、そうでないかもしれない。全て木っ端微塵に消えてしまった。
そんなに先が不確かで、薄暗い未来と、泣きたい程に優しい現在があるとしたら、
たった今、凍った水の中で静かに永遠に動きを止めてしまうのも、
ひょっとするとそう悪い選択ではないのかもしれない。
…ああ、だからおまえは、ここに来たがったのか?
いや、せっかく助かったのに、こんなところでみすみす命を捨てるほど、俺もこいつも弱くない。
こんなに不安を煽ってくるような闇の中では、ふと、魔がさすこともある。
そういうことにしておこう。
指を絡めたままで、体温を交換しあいながら、終わらない時計の秒針の音に耳を澄ます。
あとどれくらい、こうしていられるだろう。
真っ白な太陽の光をフロントガラス越しに見上げる。
助手席には、すでにシートベルトを締めて前の方を睨んでいる彼がいる。
視線を前に戻して、エンジンをスタートさせる。
「行くか」
「ああ」
そのままお互いに何も言わない。一つ溜息をついて、アクセルを踏み込むと、静かに車は動き出した。
横目で隣を盗み見ると、相変わらず道の先のほうをじっと見ている。
「まだもう少しかかるはずだ。寝てろよ」
前を向いたままそう声を掛けてみる。返事は無い。
冬枯れの木立を走り抜けていく。変わらない風景。動くものは何もない。枯葉一枚すら舞い上がることもない。
おまえの目には、一体この先に何が見える。
隣を見ると、俯いたまま瞼をかたく閉じている。眠ったのだろうか。
視線を前に戻すと、隣から声がした。
「ジャック」
「どうした?」
「心配するな」
唐突にそんな事を言い出すから、思わずアクセルを踏み込みすぎてしまった。
「……はぁ?寝ぼけたか?」
軽く笑って返すつもりだったのに、声が不自然に上ずってしまい、腹の中で舌打ちをする。
運転に集中しているふりをして、前を凝視する。
彼が助手席の上で体を伸ばす、椅子の軋む音と一緒に、小さく笑い声が聞こえた。
「私は、もう少しあんたと一緒にいたいよ」
全身に沁み透るように穏やかな声だった。
頭の芯が痺れたように、すぐには声を出せなかった。
一つ瞬きをして、もう一度目を開くと、その言葉が心臓の奥の方にしっくりと収まったような気がして、ほっと息をつく。
「そうか」
焦げ付くような切ない感情が込み上げて来て、目を二、三度瞬いて、微笑んでみせる。
少しずつハンドルを切って、ゆるゆるとカーブを曲がっていく。
「おまえを信じるよ」
そう呟いたとき、目の前に、見覚えのある町並みが見えてきた。
けれども町には入らずに迂回し、その脇の細い道を抜けていく。
なぜか納得しつつも、腹の底に薄ら寒いものを感じながら運転を続けた。
隣からは特に文句も聞こえてこない。
やがて、記憶とほとんど変わらない風景が見えてくる。あと少しだ。
俺たちは、これから一体どうなるんだろう。
けれど、止まることは出来ない。後戻りする場所もどこにもない。
思い切って加速し、ハンドルを切った。
目の前には、記憶と全く違う風景が広がっていた。
雪がほとんど溶けかけていて、辺りはどろどろのぬかるみになっている。
池のほうに足跡が転々と続き、誰か途中で転んだのか、大きくて浅い窪みまで見える。
車のドアを開いたとたんに、むっとした土の匂いと、どこからか甘酸っぱい花の香りがする。
太陽の光が、ひどく暖かい。
外に出てみると、靴の上からでもぬるい泥の感触がわかった。
目の前には、小憎らしい程あっけらかんとした青空があり、
視線を落とすと、真っ白に凍っているはずの小さな池は、太陽の光を穏やかに跳ね返して光っていた。
どうやら、来るのが遅すぎたようだ。
拍子抜けしたまま隣を見ると、あいつも何だか狐につままれたような顔で、ぽかんと前を見ている。
すると突然顔をこっちに振り向けて来るので、何を言っていいか、頭の中が一瞬真っ白になる。
「あー…っと…悪いが、とっくに春が来ちまってたみたいだなぁ…」
言い終ってから、しまった、と思う。あんまり間抜けすぎる。
案の定、彼は呆気にとられたように俺を見つめていたかと思うと、いきなり弾けるように笑い出した。
腕の辺りの服を掴んで、俺にしがみついてぜいぜい言いながら、まだ笑っている。
いくらなんでも笑いすぎだろ、ともやもやと思いながら、その背中に軽く腕を回した。
「おいおい、窒息死するなよ」
「そ、そしたらあんたのせいだ」
そう言って頭を小突いても、肩で息をしながらまだ大笑いしている。
ぬかるみが酷くてそれ以上近づけなさそうだったので、背中に手を添えたまま車の方へと向かう。
と、いきなりあいつは弾みをつけてボンネットの上に飛び乗ると、そのままフロントガラスを背に座り込んだ。
「バカ、泥だらけになってんじゃねえか!」
「こんなボロ車今さら構うもんか」
降りてくる気配がないので、俺も弾みをつけて飛び乗り、その隣に座り込んだ。
ようやく笑いの発作がおさまったらしく、眼をごしごしこすりながらこっちを見る。
「あんた、とんでもない嘘つきだな」
頬杖をついて、穏やかな笑みを浮かべた。
氷の重しが除けられたような、ふっきれた表情だった。
幾分明るいその表情に向かって、俺も笑ってみせる。
「別に、つきたくてついた訳じゃねえよ」
頭の上で鳶が輪を描いているのが目に入る。あいつもそれに気づいたらしい。
「なんだこれは。こんなにのどかでいいのか?」
「だから何もねえ田舎だっつっただろ」
「ほんとに、私たちは一体何しに来たんだ」
「俺は関係ねえよ。おまえが何しに来たかだ」
あいつは目をそらし、視線を前に戻すと口を開いた。
「車を奪ってあんたを置きざりにするか、適当な湖に飛び込むか、
それとも地獄の釜の底まであんたと一緒にたどり着くか、どれにしようかずっと考えてたけど。
でも、こんな眺めを見てしまったら、真剣に考えてたのに、なんだかどれも馬鹿馬鹿しくなったよ」
温かい日差しを浴びながら、そんなとんでもないことをさらりと言う。
「いろいろ覚悟は決めてたはずなのにな。参った…」
腕を回してそっと肩を抱いてやると、そのまま素直にもたれかかってくる。
耳元に唇を近づけて囁く。
「おまえ、車の運転できたっけ?」
「あんたにとっての問題はそこなのか」
「すまんな、悪い冗談だった」
「全く、あんたは…」
鳥のさえずりと、さわやかな風の音が聞こえる。
陽だまりの熱と、腕の中の体温が、あんまり暖かく心地よくて、なんだかぼんやりと眠くなってくる。
けれど、たぶん俺たちは、今こうしているように穏やかに眠るように死ぬなんてことはありえないだろうな。
最悪の場合、お互いの頭に銃弾を撃ちこむはめになるかもしれない。
けれど、だからといって、おまえの手を離さなかった事は、決して後悔はしない。
ポケットから煙草を取り出し、口にくわえて火をつける。
ふうっと息を吐いた瞬間に、伸びてきた指に煙草を掠め取られる。
俺の真似をして煙草を唇にくわえようとしている横顔に手を添え、こっちを向かせる。
「でも、おまえはこれでいいのか?」
あいつは煙草を指に挟んだまま、じっと見つめ返して来た。
「言っただろう?私は、もう少しあんたと一緒にいたいよ」
そう言って、ふっと微笑んだ。
ボンネットがぎしりと軋む音がしたかと思うと、すっきりと澄んだ、きれいな目の色が近づいて来る。
そして、あいつは俺の頬に両手を添えて、額を触れ合わせてきた。
「あんたに嘘はつけない」
熱く湿った吐息が、唇の上を羽毛のように撫でていく。
俺は自分の首の後ろに手を回して、金属の鎖に手をかけ、
外したそれを、そっと彼の首から下げてやった。
「弾除けのお守りだ、しばらく貸してやる」
胸の上で揺れている、古びた銀の十字架を指で摘むと、あいつはそれをじっと見つめた。
「…ん、後ろに彫ってあるのは…これはあんたのおふくろさんの名前か?」
これは大事な物なんじゃないのか、と慌てたように言い出す声を遮って、俺は彼の手首を掴み、
ゆっくりと、指先のロザリオに儀式めいた口付けを落とした。
目を上げると、あいつの、驚いたように見開いた目と視線がぶつかる。
「絶対なくすなよ」
十字架を服の中に仕舞ってやり、その上からそっと手を重ねる。
「…ありがとう」
その声を聞きながら、俺は体を離してフロントガラスに背中を預け、目を閉じる。
体中、指先まで、暖かな思いに満たされる。
行き着くところは決して明るいものじゃないかもしれない。
だが、どうなるかは誰にもわからない。このまま、心配していたのが馬鹿らしくなる位に、何も起こらないかもしれない。
全部、もしかしてうまく運ぶかもしれない。まだ十分にある、その可能性を捨てたくは無い。
それに、俺たちがそう簡単にくたばるはずがない。根拠も無いのに、今は強くそう思う。
このまま二人でどこまでもしぶとく生き延びてやる。そう覚悟を決める。
と、突然、ごほごほ言う咳にびっくりして目を開けると、どうやらタバコを吸ったはいいが、煙にむせてしまったようだ。
今度は俺が笑いの発作が収まらなくなる。太陽がまぶしい。
「そんなに笑うことないじゃないか」
すっかり拗ねてしまったあいつの頭を手の平でぽんぽんと叩く。
「やっぱりお子様にはまだ早かったようだな」
「む…」
あいつは、ふてくされた顔で煙草を放り投げる。
まだ世界を知らない、これからなんだってできる子供みたいな、自信に満ちたのびのびとした仕草。
ボンネットから飛び降りて振り返り、手をさしのべる。
「やれやれ、掃除してもらうからな」
「こんな泥くらい、雨が降ったら流れるだろ?」
あいつが俺の手をとって飛び降りた瞬間、そのまま腕を引き寄せた。
ハイスクールの時に戻ったみたいに素直に抱きしめ、耳元にささやく。
「行きたい場所を言えよ。どこにでも連れて行ってやる」
「海が見たい。本の中でしか知らないんだ。この目で見たいよ」
「よし、それじゃあ、半死人は半死人らしく海に行くか」
「なんだそれは…」
「南に行くぜ?」
「正気か?国の端と端じゃないか」
「来るだろ?」
「連れて行ってくれ」
それで、決まりだった。
車に乗り込む前に、屋根の幌をいっぱいに開く。
南の、青い空と青い海。馬鹿みたいに単純な、明るい色彩。そこでおまえに名前をつけてやろう。
目的地がわかるのか、ボロ車のくせにエンジンもなんだか調子がいい。
煙草をくわえると、また横から伸びてきた手にかすめ取られる。
あいつの心臓の真上で、軽い鎖が甲高い音を立てる。
俺たちが、死ぬはずがない。
思い切りハンドルを切って、南へとアクセルを強く踏み込んだ。
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>>353 初めてリアルタイム。
しかも十二扉キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━!!!!!
いきなりロシアンルーレット始める強引ジャックタンに萌え。
冷静なようで静かに悩んでる主人公タン(*´Д`)ハァハァ
密かに萌えが散りばめられていて、前編通して萌え続けです。
GJです。いいもの拝ませて頂きました。
キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
どうしてこの二人はこんなに切ないんだ。萌えー(*´Д`)ハァハァ
>348
元ネタわからなくてスマソだが萌えた…つか泣いてシモタ。
>348
漏れも切なくて泣いた…良かったら元ネタ教えてくださいな。
>377
おーい、>348は元ネタ映画ってあるぞ。
そのスレは>353の方の元ネタスレだから違うんでは?
しまった。レス番見間違えてた
ハズカシー
スレまであったのか…
サネトモの中の人も大変だな…
>353
もももも萌えーー!
二人の関係がとても漏れ好みでした。
ジャックタソカコイイ!
十二扉萌えの姐さんがた、萌えてるとこ悪いが、
流石に連貼り過ぎじゃないですか?。
いくら、ビデオ棚スレとはいえこれだけジャックされると、
他の作品を貼りたい方も、貼れないと思うんですが。
自サイト作ったかたはそちらでうpされればいいし、
専用のSS用掲示板でも作られたらどうでうか?。
てか、十二扉専用スレにうpろだ出来たんだから、そっちに貼ってくれ
誘導せんから自分で行ってくだちい
>375-376
こんな拙いSSに感想thx。是非元ネタ映画をご覧になって下さい。
ちょっと前の作品ですが多分レンタル店にビデオがあると思います。
「ハードボイルド」「男達」「ウー」でぐぐってトップにあるページに紹介があります。
自分も、実は何年も前に地上波放映で一度見たきりなのですが
大萌え&大泣きして今も忘れられずにいます・゚・(ノД`)・゚・イイサクヒンダ…
連貼はあぼーんすりゃいいだけだけど
>377
のようなのが出るとちょっとな
386 :
375:04/03/22 07:48 ID:Qi8IW2kO
>384
アリガトン。
「新」だったのか…!早速レンタルしてくるよ。
>353です。
SSうpろだは私が貼ったときにはまだなく(数時間後にできた)
何分2chに貼るのははじめてということもあり、勝手やルールがよくわからず、
結果この場を荒らしてしまって本当にごめんなさい。
↓次の方ドゾー
388 :
383:04/03/22 14:01 ID:hYtsBplV
>>387 ああ、そうだったのか
マジすまんかった
漏れも素直に353のSSには萌えたクチだったから、
荒れるのが嫌だったんだ
すまんかった
では、何事も無かったかのように次ドゾー↓
____________ | 「某ドラマのあらすじを某カップリングの視点から」
| __________ | | 「〜私的な解釈とネタバレ入り」か。ふむふむ。
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医学生時代、定食屋に通いながら切磋琢磨しあった二人。
貧乏ながらAもBも、純粋に研究の楽しさ、人を助ける良さをひしひしと感じていた。
しかし、大学病院に勤務し始めてしばらくすると、いつからかAは出世に大きく目を向けるようになる。
金持ち開業医の婿養子となってまで、地位を高めることを欲した。
一方Bは、出世にはまるで興味が無く、研究が一番という学生時代のままだった。
学生時代殆ど同じ人生を歩んだ二人は、分岐点に立っていた。
やがてBも妻子を持ち、そしてAに次いで助教授に昇格する。ただし、年齢と実績からという純粋な理由だった。
そんなBは、時間が経過してなお、Aの助教授室をしばしば訪れては「なあ、A」「おい、A」と意見を求める。
Aの出世欲には眉を顰めたくなるが、Aへの信頼は失っていなかったのだった。
そうして月日が過ぎる中、Aの勤める第一外科のC教授が定年退官を控え、
後任について熾烈な争いの幕が上がろうとしていた。
C教授は、教え子でありながら自らを凌駕する才能を持つAへの僅かな嫉妬と、Aのやりくちから、
地位へのがめつさを根元とするAへの評判を利用し、別大学の教授を後任に推す。
それを知ったAは、Aの父であるD、Bの勤める第一内科のE教授らと共謀して、ゆくゆくの教授戦へ向けて駒を揃え出す。
学内でできはじめた派閥とそれに伴う争い、
本来の業務を疎かにせざるをえない医局員たち、昔の純粋さを見せないA。
この異様な事態にBは辟易し、手術時間の短さを自慢するなど、以前から感じていたAへの軽蔑を強くする。
教授戦が終わると、Aは第一外科の教授を手にしていた。
しかしBは、鼻を高くして報告にくるAに「おめでとう」と口にしたものの、心から言うことはできなかった。
昔のAといえば、母子家庭で田舎育ち苦学生ではあったが、嫉妬や金に狂うこともなく高潔な精神を持って研究へ取り組み、患者への心を忘れない医者の鏡のような男だったのだ。
教授戦から一ヶ月後、Aの元に海外から学会への招待状が舞い込む。
実力が海外で認められたのだと喜びに躍ったAは、それを受諾する。
Aの運命を大きく変える患者がやってくるとは、露も知らずに。
他方、Bの元へ患者Fが受診していた。
Fの診断は難航を極め、BはFの病気を専門とするAに相談を持ちかける。
Aは、余裕綽々でこなれた症例だと即座に判断を下してしまう。
運命の日が過ぎ、年内最後の運営日であり、またかつて教授争いでAを不利に追いやったC教授の最後の総回診の日となる。
総回診で大所帯になるはずのスタッフはしかし、数人の看護士・医師しかいなかった。
疑問を訴えたC教授へ、看護士は「今日はA助教授の手術が入っている」と言う。
Aを好意的に解釈し、別れぐらいは握手をしたいと考えていたC教授の計画は崩れる。
とはいえ、C教授はこれを同じく好意的に、偶然であると考えた。
Aはこの日、海外への出張の日付との折り合いと、Cへの復讐のため、Bが更なる検査を薦めたFの手術をわざと早めたのだった。
Aの出張中に患者は死亡し、栄光を持って帰国したはずのAにはFの家族の追求が待っていた。
担当にした若い医師Gの、Bと同じ言葉、つまりはAの失敗を物語る言葉や、Aの求めた早さからくる不信は、Aの「間違っていない」という態度ともに増加し、裁判へと発展する。
この裁判で、Aと患者への責任を果たしたがったBは、被告訴側、原告側の証人、という形で争うことになる。
立ち上りはじめた「ガ/ンセ/ンター」の設立およびセンタ/ー長就任の話があったAは、Aを利用し利益をえようとする第一内科教授E、父D、父の友人で権力を持つHらと勝訴への計画を練る。
Bの診断に狂いはなく、Aの時間の都合の付け方にはやはり、落ち度があった。
しかし、前例の少ない医療告訴、多少難しい症例、金と人脈で買った証言は、Aを第一審の勝利へと導く。
大学の名誉を傷つけると解っていながら原告側に立ち、A(大学側)に不利な発言をしたBは、地方の大学をすすめられる。
幸い、退官したC教授が、研究に熱心で汚れのないBを買っていたため、Bは大学をやめることになるが、新たな研究施設の職を手にする。
Aへの憤怒は大きかった。出世に目を眩ませて患者の命を短くし、会社を経営していた家族の将来も壊したのだ。
才能こそ同じであれ、今のAと昔のAが、同一人物だとは信じがたかった。
第二審で、続くA側の証言に対し、患者Fの弁護士は判決を覆す証拠を出して見せた。
担当医師Gの裏切り、思わぬ場所からの証言、Bの荷担、そして己の態度から、Aは遂に敗訴する。
判決が告げられ、新聞記者が急いで本社に帰っていく中、Aは怒りを堪えていることができなくなり、怒鳴り声として露わにしてしまう。
しかし、「最高裁に上告だ!」と発した途端、Aの咳が止まらなくなる。
傍聴席にいたBは、ここ最近に於けるAの顔色への心配から、よからぬ事態への進行を勘づき、Aへ「それ以上喋るな!」と制止するが、「君の指/図は受け/んよ、B…」と掠れた声で言うと、その場に倒れてしまう。
Aは病院で目覚める。
その時、周りはAが末期の癌であることを知っていたが、Aに知らせようとはしなかった。
だが、大丈夫だと皆が口を揃えて言う言葉、隠されていたというのに、あっさり出されたカルテに、Aは「何か」の存在に気づいてしまう。
Aは、咳の止まない身体を押して、Bの元を尋ね、「本当のことを教えて欲しい」と言う。
AのBに対する信頼は、教授戦、裁判を経たところで変わっていなかった。
検査の結果にBは愕然としながらも、AがBの病院に入院し、
少しでも生き長らえられる道を探そうと提案するが、Aは「大学病院の医者の墓は決まっている」と断る。
(ドラマ版では、Bが「君の不/安を受け止/めたいんだ」と、自嘲や諦めなどの入り混じった笑いをみせるAに向かって言う)
悪化の一路を辿るAの病状。
ある夜、Aの口に人工呼吸器が取り付けられる。
(そして、ドラマ版では、昏睡状態に入ったAを知ったBが到着すると、「二人きりに……」と周囲が図り、
Aが「B、B、」と呟き涙を流す中で、Bは涙を堪えながらAの手を両手で握りしめる。
Aの「果/たして…果/たして……B、」が聞こえ、そのままフェードアウトし、次の場面でAの死亡が解る)
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当方マカーなので、AAがずれてしまうため省略させてください。
w hi te to we rスレにてこちらへ誘導されました。
ちょっとした短いSSです。
風邪を引いた様子の剤全、郷実のもとへやってくる。
「熱が続いていてな。風邪の初期症状と思うが」
「そうか。診察しよう」
白衣を脱ぎ、ネクタイを緩める剤全。
ワイシャツの前をはだけると郷実は聴診器を当て始めた。
微妙に角度をつけて剤全のティクビに刺激を与えるようにする郷実。
外気に触れた刺激と郷実の聴診器との刺激で感じ始めてしまう剤全。
「今度はそこに仰向けになってくれ」
診察ベッドを顎で指す郷実。剤全は移動し、ベッドに上がろうとする。
「ちょっと待て、剤全。下は脱ぐんだ」
「なっ……必要があるのか?」
「俺は今君の主治医だ。文句は言うなよ」
渋々、ズボンを脱ぐ剤全。
はだけたワイシャツに緩んだネクタイ、トランクスにソックスという何とも間抜けないでたち。
少々の屈辱を感じながら、剤全は言われるままベッドに横たわる。
「腹の具合はどうだ」
郷実はゆっくりと胃の辺りを押していく。
「特に変わったことはない。いつも通りだ」
郷実の指が時々トランクスの端に触れては押し下げていく。
「ふっ……」
郷実の優しい指使いに思わず息が漏れる剤全。
指はいつの間にかトランクス内に忍び込み、下腹部に触れるか触れないかの
微妙なタッチで、剤全を翻弄していた。
「じゃ、今度はうつ伏せに」
「……? あ、ああ」
うつ伏せにする意味があるのか?と剤全が考えあぐねていると、いきなり最奥に冷たい感触が。
「うぁっ、郷実、何を……!!」
「熱を計るんだ。じっとしていろ剤全」
ワセリンをつけた郷実の指が円を描き、ゆっくりと埋没していく。
「うっ……くっっ……」
ゆっくりと溜息をつく剤全。異物感に慣れた頃、内壁をこすられ身をよじる。
「じっとしていろと言ったろ、剤全。腰が浮いてきたぞ」
「……郷実、いい加減に……」
「やはり熱があるようだな。君の中はとても熱くなっているようだ」
すっと指を抜く郷実。それに拍子抜けしてしまう剤全。
「こういうときはこれがよく効くだろう。」
そう言って郷実はそれを剤全に押しつけた。みるみる吸い込まれていく。
「うっ……座薬か……?」
「すごいな、剤全。欲しがっているみたいに吸い込んだぞ」
「ば、馬鹿なことを言うな!」
「しかし、もっと奥に入れないといけないぞ、剤全」
そうして再び郷実は己の指を剤全に埋め込んでいった……
━━━━━━━━翌日
「君の診断は的確だった」
剤全の風邪はすっかりよくなっていた。
398 :
395:04/03/25 00:24 ID:QEGslbmX
以上です。
お粗末様で御座いました。
____________ | 連続投稿で申し訳ないが某ホワイトタワーの卯外×吾妻で
| __________ | | ちょっと上映させてもらいます、と
| | | | └─────V────────────
| | |>PLAY | | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
吾妻が扉を開けると、その部屋の主はわざとらしい笑顔で出迎えた。
彼が時間に遅れることなど考えもしなかったのか、テーブルの上ではコーヒーが湯気を立てている。
「私に、何の用があるんですか」
その問いに答えず、男はまあ座れと椅子を勧める。
それに従い、ソファに腰を沈めながら吾妻は目の前の男に向き直った。
「用件なら、早くおっしゃってください、卯外さん」
硬い表情の吾妻に対し、卯外はおどけた様な顔で答えた。
「別に用など無いさ。ただ同じく医学に携わる者として、話し合うことも時には必要かと思ってね」
そんな殊勝な言い分が俄かには信じられず、吾妻は無言でいた。
「病院の様子は見てみましたか? 材全君がいないと活気に欠けるようですよ。がんセンターの設立にしても同じです」
かつての教え子の名を出され、吾妻の眉が寄せられた。
「そういえば先生とは彼が亡くなって以来でしたね。彼の肺は拝見しましたか?」
吾妻は頷いた。
「手術の時よりも更に進行していて、ひどい状態でした。あの時、意識が戻ったのは奇跡に近い。彼ほどの男が何故、あんな状態になるまで気付かなかったのか……」
何やら感慨深げに卯外は首を捻っていた。
「まあ彼も裁判や何やらで苦労が多かったですしね。それにがんセンター設立の件でも人の倍は働いていました。それが命を縮めたんでしょう」
吾妻は何も言わずに卯外の言葉を聞いていた。
「材全君は有能だったが少々理想が高すぎましたね、医学に多くを求めすぎていた。それに野心も」
「卯外さん」
言葉を遮られ、卯外はじっと吾妻の顔を見た。
「材全君は、医学の未来に夢を見ていました」
そして、自分はそれに気付かなかったと吾妻は思う。
彼は医者としての天性の才能と地位とそれに付随する設備とスタッフで、全ての病をいずれ制しようとしていた。そしてかつての自分は、それを大きすぎる野心と捉え、嫌い、嫉妬した。
誰も、彼の夢を理解できなかった。
ただ一人を除いては。
「……智美君がどうしているか、知っていますか?」
卯外は意味ありげに笑みを浮かべる。
「知らないが想像はつきますよ。あの男のことだ、研究室でかつての友人と、いや、友人の一部と言うべきかな。とにかく材全君とがん治療の未来について語り合っているんでしょう」
そう、智美は今でも材全と共に歩んでいた。それを吾妻は何よりも羨んだ。
自分には、共に歩んできた相手などいなかった。
自分にいたのは。
ふと気付けは卯外はいつの間にか吾妻の隣に座り、その腕を掴んでいた。頬に軽く唇が触れ、吾妻は身を固くする。
「一体、何を……ここをどこだと思ってるんですか……」
だが、卯外には全く悪びれた様子など無かった。
「僕たちにしては、むしろおとなしめの場所だと思いますがね、特にこの病院内では」
吾妻はかつて、激務の合間に強く引かれた腕を思い出した。
それから、声を殺して噛み締めた白衣の袖の感触も。
「卯外さん……」
立ち上がろうとする吾妻の腕を卯外が強く引く。
ああ、そうだ、自分にいたのは共に歩く相手ではなく、ただ己の都合の良いように引きずりまわすこの男だけなのだ。
そう思い、吾妻は諦めに似た気持ちで座り直した。卯外の体は、ほぼ密着している。
吾妻は、まるで睦言のように、しかし睦言とは程遠い言葉を卯外に囁き始めた。
「材全君に部屋を追い出された時、貴方は本当は笑っていませんでしたか」
卯外はただ吾妻に振れるだけで何も答えない。
「がんセンター設立の激務が彼の命を縮めた、その可能性に思い至らないはずがないのに、それでも笑っていた……貴方にとって、もう材全君は死んだ人間だった……利用するだけして罪悪感も感じずに打ち捨てた……」
少しだけ、卯外が体を離し、吾妻の顔を覗き込む。吾妻には、彼の内心は読み取れなかった。
「何故、私にまだ構うんです。私はもう、貴方にとって何一つ、利用価値のない人間のはずだ」
「貴方も、随分と鈍い男だな」
卯外は笑っていた。嫌な表情だと吾妻は思う。こんな顔をしている時の卯外は一度として自分に本当のことを言ったことがなかった」
「僕はね、貴方に愛情を抱いているんだよ」
首筋に冷たい唇を感じながら吾妻は思った。
これは、今まで卯外が自分に言った中で、最もひどい嘘だ、と。
以上です。
ホワイトタワーは途中から見たので、おかしいところ(口調とか)多いと
思います。色々すみません。
萌えです(*´Д`)
>>401>>402姐さん
素敵な卯外×吾妻をありがとうです〜。
郷剤も萌えですがいい大人な卯外と吾妻にも萌え!!
gjです。
卯外、意外にぶきっちょさんなんだなぁ〜。
ちょっと場所をお借りします。
某塔ドラマのssを投下させていただきます。
407 :
ss1:04/03/26 01:44 ID:iToSpef2
気付けば遠い昔にみたような原っぱの木陰にいた。
春風が心地よかった。
ここ最近は裁判のことが自分に重くのしかかっており
行き詰まる毎日だったので、郷実は胸の中が洗われる心地がした。
すーーっと息をすいこむ。
「気持ちがいい日だな」
急に話し掛けられた。
隣の気配に全くきづかなかったので
ふ、と肩を震わせて振り向くと彼はこちらをむいて
微笑んでいた。
“材全…?”
いや、隣にいたのは黒河だった。
昔よくみたシャツをきてあの頃のままの彼だった。
目眩のような懐かしさに襲われ
「やあ、懐かしいな」そのまま口にしてしまった。
言われた黒河は不思議そうに瞬きをしている。
「なに言ってんだよ、郷実」
ちゃんと寝てんのか、といつもの様に口の端をあげる。
“夢だろうか?”
郷実は自問した。夢の中で夢かと問うのもおかしな話だが。
現に自分もあの頃のみすぼらしいジーンズ姿だ。
まぁ俺の場合はかわっちゃいないか…?
思わずくすりと笑った。
「相変わらずヘンなやつだな」
黒河は憮然としている。郷実が何故か嬉しそうなのが
気に食わないらしい。
「お互い様さ」
「なんだそれ」
408 :
ss2:04/03/26 01:45 ID:iToSpef2
短い笑いの後沈黙が訪れた。
急に黙ってしまった隣をみると黒河はじっと
前を見据えていた。
大きな瞳を縁取る睫が風に揺れている。
細い体に抱えきれないほどの想いを背負い
彼は小さく呼吸をくり返している。
「少し休んだらどうだ?」
郷実の言葉を追うかのように黒河はゆっくり振り向いた。
「なんだい、いきなり?」
「いきなりでもないさ。前から言おうとおもっていたことさ。
疲れがたまっているんじゃないか?最近の君は
顔色も良くないようだ」
「僕の心配をしてくれるのか?」
「友達じゃないか」
郷実はここずっと言いたかった言葉を
やっと伝えられた気がした。
そうだ、この隣に座っている男、少々性格と態度には難ありで
ついていけないと思うことは多々あるがそれでも彼はいい友人だった。
今までもこれからも彼とは友人、同士でいたい。
だからこそ俺は裁判の証言台にも立つつもりなのだ。
「友達…ね…」
隣の黒河がふ、と笑った気がした。
振り返ると彼の顔は驚く程郷見の近くにあった。
大きな黒目に吸い込まれる気がして
ゆっくりと瞬くと世界は暗転した。
409 :
ss3:04/03/26 01:46 ID:iToSpef2
暗闇の中で目を開けるとどうやら郷実は女を組みしいているようだった。
夢とはいえ、都合が良すぎる。欲求不満なのだろうか?
冷静に分析しつつ、まぁ、胸をはれるもんじゃないなと
愚痴りそうになった瞬間、目をむいた。
腕の中にいたのは、女ではない。材全だった。
「……!」あまりの驚きに激しくむせた。
胃の中のものが逆流するかのようだ。
「なぜ…」
切れ切れの息の間から絞るように問うと
「なぜって…君がいうのかい?」
材全は射るような眼差しで郷実を見据えた。
どうなっているのだ。二人とも服をきていない。
裸の材全を裸の俺が組み伏せている。
「君がいやがる僕を力づくで剥いたんじゃないか」
材全の口からはあり得ない言葉が投げられた。
「なに…をいっている…」
頭が爆発しそうだ。
郷実は四肢に力を込め様にもうまくいかず、
かえって体中に震えが走る始末だった。
悪寒か…。いやこの内側から染みだしてくる
熱さはなんだ。
「抱きたいんじゃないのか?君は僕を」
材全の薄く、いやに赤い唇が半月を描いた。
「続きをしたまえよ」
410 :
ss4:04/03/26 01:47 ID:iToSpef2
何をいっているんだ?材全。
俺達は友達だろう?
“郷実!”
黒河が廊下の向こうから俺を呼ぶ。
いつものちょっと怒ったような顔だ。
いくぶんのんびりな足取りの郷実に早足の黒河は
苛ついていた。
いつもの風景。
俺達は……。
気付けば郷実の両目から静かに水が滴り落ちていた。
自分に絶望する。
郷実の涙を材全は黙って受け止めていた。
俺は材全を抱きたい。
触れたい。
追い詰めたい。
自分の中の暗闇に気付き郷実は吐き気の中で泣いた。
同時に解放されたかのようなドス黒い肉欲が
自分を覆っていくのをとめられない。
はじかれたように郷実は材全の体にむしゃぶりついた。
材全は予想しなかった激しさに、ひゅ、と息をもらした。
材全の肌は白く滑らかだった。しかし冷たく、女とは違い
跳ね返ってくるような弾力があった。
たちまち郷実は材全の体に溺れた。
411 :
ss5:04/03/26 01:48 ID:iToSpef2
右手で追い詰めると彼の体はしなやかに弓を描いた。
柔らかい肌の襞を吸うと切なく哭いた。
律動の揺れの中、一度だけ、目尻を桜色に染めた
材全と目があった。
泣いていた気がした…。
そのあとのことは覚えていない。
ただ、二人、大きなうねるような熱の塊に
巻き込まれたようなそんな心地だった。
明け方、郷実はうっすらと目を覚ました。
こめかみに違和感を感じゆっくりと指をもっていく。
涙の跡だった。
これが、俺か…。これが里見脩二の正体。
力なく笑った。
妻は実家に帰っている。
隣に誰もいなくて良かった。
郷実はいつまでも笑った。涙にむせながら。
裁判当日の朝だった。
↑あんまり塔について詳しくないので
おかしな部分があったらすいません!
以上でした!
>401-402 , >407-411
姐さん方、素晴らしい萌えをありがとう!!
寝る前に最高の夢、見せてもらったよ……
続きをしたまえよって! 続きをしたまえよって!
やばいこの言い草にえらいこと萌えた
…tower見てなかったのに禿萌えしてしまった。
姐さん方、新しい萌えをありがとう…とりあえず専スレ逝ってきます。
417 :
406:04/03/28 02:09 ID:FCJJ3lV/
こんばんハ。またssを書いてしまいました。
長くて暗いですけどいいですか…。
こんな自分でいいですか…。
おヒマな方だけどうぞ。
全回3103ンのフルネーム
伏せ字忘れてしまいました。ごめんなさい…。
煙草の煙とグラスの響く音、笑い声、嬌声が入り乱れている。
同期の誰々が祝いだと称して人を集めた。
結局誰の何の祝いかは伝わっていない。いわゆるコンパである。
若者達は酔いにまかせてほのかな予感をもとめ
酒を酌み交わしていた。
その中で一人郷実は居心地が悪く
大きな体を折り曲げるように小さくなっていた。
「おい、あのカタブツの郷実がくるなんて珍しいな」
黒河は面白いものをみつけたように隣に耳打ちした。
酒で呂律の怪しくなった顔がおどけて答える。
「さてな〜。夕飯を済ませにきたか、もしくは目当ての
娘がいるんじゃないのか?」
「まさか」反射的に黒河は吹いた。
そして郷実の視線をおってみる。
まさかだった。
郷実は本当にある女性の姿を目で追っていたのだ。
「明日は雪がふるぞ」
黒河は楽しくてたまらないといった風に
おどけてみせた。
「えっ?なんだって?聞こえない」
店の騒がしさは更に拍車がかかっていた。
「もういいよ」
黒河は急に不味くなった酒を置いて席を立った。
件の女性にそれとなく近付いてみる。
斜向いに腰をおろした。
おー、黒河と周りの声に会釈をして
誰のものかもわからなくなったツマミを口にした。
なるほど、ヤツのタイプか。清楚で真面目そうな女性だ。
だが少々、いやかなり酒をお召しの様だ。
後ろを振り返ると郷実と目があった。
心配でたまらないって顔をしていやがる。
ちょっといたずらしてやろうか。
黒河は自分でもわからない苛々を紛らわすかのように
悪巧みを思い付いた。
女性の横にぴたりとすわり、とん、と肩をおす。
案の定、フラフラに酔いの回った彼女は黒河に
頭を預けてきた。
よし、いいぞ。郷実のやつはどんな顔をするだろうか。
さりげなくするほどぎくしゃくとなる動きで
郷実を振り返る。
郷実は険しい顔をして席を立った。
分かりやすい奴…。
黒河はつまらなそうに、近付いてくる郷実を眺めた。
「おい」郷実の声にかぶさるかのように
「お邪魔したね、退散するよ」と歌うように呟く。
「おい」
「だからなんだよ!」
自分でも驚くくらいの険しい声がでてしまった。
郷実は困ったように黒河をみると
「彼女を送ろう」と不思議なことをいった。
さっき悪口をいった罰だろうか。
明日になるのをまたずに雪まじりの雨になっていた。
そんな中黒河は女性、三井というのだそうだ、をおぶっていた。
立てなくなった彼女は郷実にだけはおぶられるのは嫌だと
駄々をこね、結果黒河が折れたかたちになった。
「悪いな」郷実が呟いた。
電燈の灯りが消えかけた暗い道を彼女の家まで歩く道すがら、
「悪いと思ってるなら、かわったらどうだ。
彼女はもう寝ているよ」
「動かした拍子に起きたらどうする」
「それはごめんだ」
ため息がこぼれた。
「痴話喧嘩か」
「いや」
「だったらなんだよ。ここまで巻き込まれた僕には聞く権利があるんじゃないか?」
急に郷実の口調が渋る。
「告白されたのだ、実は。彼女に」
「へえ」自然と声がうわずった。「隅におけないな君も。それで?」
「俺は断った。そうしたら、今夜自分はどうなってもいいっていうんだ」
最低で簡単な女だな。と心で愚痴りながら黒河は
「それで心配で来たくもない飲み会にきたって理由か、おやさしい郷実大先生は」
と笑った。
「茶化すなよ」
「悪い」
トボトボと歩く。
度が過ぎる優しさも酷なものだ、とキザなセリフを
吐こうとした横で
「着いた」とホっとしたような郷実の声がした。
なんで家の場所を知ってるんだと一瞬野暮な考えが頭を掠めたが
黙っておいた。
「ちょっと待っててくれ」
郷実は言い残すと彼女をおぶりドアに消えていった。
もし5分待っても出てこなかったら帰ろうか。
腕時計を睨み、4分たったところで黒河は歩き出した。
「悪い!」
郷実がホっとしたような顔で部屋からでてきた。
「帰ろうとしていたのか」
「お邪魔かと思ってね」
黒河がいつものようにおどけると
「よせよ」郷実は本気でムっとしたようだった。
酔った相手に何するっていうんだ。郷実は苦々しく言った。
怒らせてしまったようだ。これだから郷実という男は困る。
黙々と歩く、郷実の靴音がいやに頭に響く。
沈黙に耐えられなくなった黒河は殊更明るい声で
「飲みなおすか。もちろん君のおごりだが」
下から仰ぐように郷実を振り返った。
金が無い、というので結局郷実の家に酒を持ち込むことになった。
黒河が提案すると一瞬郷実は渋った顔をしたが無視することにした。
「綺麗にしてる……とは言いがたいな」
「なにかツマミでも作るか?」
自分の家だというのに何故か落ち着かない様子の郷実は
申し訳程度の台所に向かった。
「作れるのか?」
「意外かもしれないが案外好きな分野だ」
「へえ」部屋中をじろじろ物色しながら黒河は腰をついた。
少し残った酒のせいでうとうとしはじめた頃
「大丈夫か?」
郷実の声で起こされた。
目の前には芋とベーコンの炒め物が並べてある。
「おいおい、うまそうじゃないか」
途端、黒河は目を輝かせた。
「ジャーマンポテトっていうらしいが…」
一口食べて「いける」ともらした黒河に郷実は笑った。
「ほい」コンビニの袋から缶ビールを放ると
郷実は器用に受け止め嬉しそうにプルトップを抜いた。
ひとしきり他愛も無い話、大部分は黒河の情報網による
噂話、笑い話だったが、が終わると酒ももう終わり、もちろん
料理もたいらげられていた。二人とも大分酔っていた。
「なんだか僕ばかり話していた気がするな」
「楽しかったよ」
「君の話もしろよ。例えばさっきの彼女のこととか」
するりと口をついてでた。
「その話はいいよ」
「勿体ぶるなって」
瞬間、郷実が真剣な表情になったのが妙に腹立たしくて
黒河は執拗にからんでみせた。
「僕が聞きたいんだよ」
「もう帰ったらどうだ?気はすんだだろう?」
吐き捨てるように言うと郷実は黒河にそっぽを向くように
頬杖をつき黙ってしまった。
「俺は自分が振った相手のことを誰かに
ベラベラ話す趣味はないんだよ、黒河」
郷実は目をあわさずに呟いた。
黒河は聖人君子とした郷実の言い様に
ざわつくものを感じた。
静かにふつふつと怒りがこみあげてくる。
いつもいつも自分だけが汚れ無き場所に立っているとでも
いいたい物言いだ。
「この部屋にくるのは2度めだな」
とうとう黒河は口にした。
郷実はびくりと肩を震わせるとゆっくりと振り向いた。
その目の奥に広がった恐怖を嗅ぎとると
黒河は異常な興奮を覚えた。
「あの時は仕様が無かった。正体がなくなるまで飲んでいたんだ。
何があっても不思議じゃない状況だったんだよ」
黒河は大したことはないといった風にことさら明るく振る舞った。
「じゃあ、何故今蒸し返したりしたんだ…」
郷実は机を睨んだまま動かない。
「なんとなく、思い出したんだ」
「なんとなく…だって…?」
「ああ、なんとなくさ」
口だけが別の生き物のように黒河は言葉を止めることができない。
それは桜の咲き始めた春だった。
花見の帰りにたまたま居合わせた郷実と黒河は
飲みなおしと称して郷実の部屋で朝まで飲み明かした。
酔っ払いのじゃれあいがいつのまにか真剣な眼差しに
かわりどちらからともなく唇が吸い付くと
息苦しいくらいの抱擁にかわった。
郷実は黒河のシャツに手をかけようとした瞬間
弾かれたように現実にもどると一気に顔を青ざめさせて
床に頭をこすりつけた。
すまん、すまん黒河…。涙のまじった声を聞きながら
黒河はいつもの笑顔を顔に貼付けた。
“なかったことにしよう、郷実”
俺達は酔っていた、ただ人肌が恋しかっただけだと…。
それで終わった筈だった。
「実はあれから、ふとあの時のことを考えることがあるんだ」
みるみる絶望の色を濃くしていく郷実の顔をみながら
黒河は続けた。
「君は僕のことが……」
「やめろ!」
郷実の声を荒げる姿を初めてみた。
「今日だって期待していた筈だ。そうだ、今だって…」
この口が、とまらない。
「僕だってどこかで期待していたのかもしれ…」
「でてってくれ黒河」
「いやだといったら?」
「君は後悔する」
背骨が折れるかと思う程の力で抱き締められた。
溺れている者が藁を掴むかのような必死さだ。
「ん……!」強引に口を割られると
アルコールで熱くなった舌が入り込んでくる。
気が遠くなるほど強く吸われた。
「酔った相手に何だって…?」
黒河は上気した息でささやかな強がリをしてみた。
「うるさい、黙れ」
また口を塞がれる。
シャツのボタンが飛んだ。
後で弁償させてやる。
郷実の裸をみて黒河はおかしくなるくらい欲情した。
震えが止まらない。
郷実は愛しそうに白い肌を撫でると
胸の突起を口に含んだ。舌でゆっくりと転がす。
「んっ………んっ………んっ………」
噛み殺したような喘ぎが黒河の口から漏れはじめた。
いつもより幾分高い上ずった声だ。
その声をもっと聞きたくていっそう愛撫に力を込めた。
「お…い……しつ…こい、ぞ……!はっ」
「黒、河…」
少し吸っただけで後が残ってしまうような真っ白な肌だ。
滑らかでしかし、筋肉、生命の瑞々しさに満ちている。
全身を嘗めとりたい。
郷実は異常な欲望に身をまかせた。
額、鼻梁、大きな瞳…。どんなに焦がれたか。
言う通りにならない唇。
凛とした首筋、やわらかい項。
ちゅ…と湿った音が響く。
細い腕、繊細な指には血管がういている。
胸、腹、太もも、足首…。丁寧になぞっていく。
そして…。
「あっ……だ…め…だ…さと…みっ」
恥ずかしい、お願いだ、おかしくなる。
うわ言のような黒河の悲鳴を無視して郷実は追い詰めた。
「ん……ん…ふ…、んっ」
短い叫びと共に黒河は放った。
その顔はおそろしいくらいのいやらしさだった。
間髪いれずに黒河は郷実に抱きついた。
手を自らの腰にひきよせると
「来いよ…、手順くらいは知っている」
不敵に微笑んだ。
「知ってて言うのか…?」
黒河は黙って郷実自身を導いた。
痛みに歪む顔を見ながらそれでも郷実は
おし進む。
黒河の中は想像以上に狭く温かかった。
ああ、俺達はとうとう…。
目が逢うと途端に理性は吹き飛んだ。
郷実は一心不乱に突きはじめた。
伍郎の嬌声が部屋に響く。
おおきく腰をグラインドさせる。
「んっ…あっ…あっ」
伍郎の睫に涙が滲んでいる。
二人はほぼ同時に達したようだった。
それから一体幾度混ざりあっただろう。
伍郎の涙を嘗めとり、それでも郷実は止まらなかった。
いつの間にか朝を迎えていた。
朝の白々とした光の中、壊れたように動かなくなって
ベッドに腰掛けている郷実の背中を黒河はみつめていた。
このまま死んでしまいそうな悲愴な背中だった。
黒河は一瞬傷付いたような顔をしてみたが。
殊更明るい声で、セリフのようにつぶやいた。
“なかったことにしよう、郷実”
背中が震えるとゆっくりとこちらを振り向く。
準備するかのように黒河はいつもの笑顔を貼付けた。
428 :
風と木の名無しさん:04/03/28 02:56 ID:49qS9Qt/
連張りそろそろうざい
え?ここってそういうスレじゃなかったん?
寂れてるよりいいじゃん……
上の十二扉SSみたく、同じジャンルの連貼りがうざいってことじゃ?
他の人が作品投下し難くなってしまうのかも。
…いや、遠慮せずに貼ったらいいんじゃないの?他のジャンルも。
ここはSSを貼るスレなんだしある程度連貼りは仕方ないと思う。
ホワイトタワーは見てなかったけど、今終わったばっかで盛り上がってる時みたいだし
うざいってほどの連貼りじゃなかったよ?多少はいいのでは…
そうやってあれもこれも追い出して、廃れるより全然いいよ。
ちょっと前までのここの廃れようを思い出してみなよ…
428がウザイ
漏れは面白かったホワタワ観てみるか脳
>430
言わせてもらえば、他のジャンルが続いてようが寂れてようが
投下したいときに投下する。ウザイとか言って荒れるほうがウザイしトラウマになる。
ってなわけで職人さんガンガレ!
テンプレ見てくれればわかるだろうけど
このスレは連貼りだろうが占有率高かろうが、ネタバンバン貼る分には歓迎なんだよ。
かえって文字レスがスレ違い。
頼むからネタ貼るのに戸惑うような空気は作らないでくれ。
>431
別にSS貼るスレじゃないよ
>>435 SSでもAAでも何でも来い!ってスレじゃね?
関係ないがSとAってキーボードのとなりだな。
というか基本的に気に入らないことがあってもスルーが一番
あまりにひどければ文句言うのもいいだろうし他の人も言うだろうけど
あからさまにルールに反してるんじゃないなら
まず気に入らないのは自分だけかもしれないなーくらいの気持ちで
見過ごすのがベストでは。何でもそうだけど。
ここは萌えスレで「SSキボンヌ」「SSウゼー」で荒れるのを
避けるために立てられたSS厨隔離スレだと思ってたよ。
露骨に書いても揉める元だし、AAやネタの貼りつけも
できるようにビデオ棚の名を冠した「なんでもありの
貼り捨て御免スレ」なんだ、って。
日本語になっていないSSもどきやズレズレのAA、
思いっきり外したネタでも何でも、500レス連貼りだろうが
貼って良いところだと思ってたのに、違ったのか。
…だったら>1に
・ある程度の水準を満たしている作品に限る
・同一ジャンルの連貼りは避ける
・一作品何レスまで
と、しっかり決めて貼っておいてくれ。
>>437 禿同。
>…だったら>1に
・ある程度の水準を満たしている作品に限る
・同一ジャンルの連貼りは避ける
・一作品何レスまで
と、しっかり決めて貼っておいてくれ。
こんな事したら誰も誰も来なくなるんじゃない?
灰色に曇った空の下、青年は苛立っていた。
「何もかもうざいんだよ、ふざけんな、糞が」
また吐き捨てた青年は手にしていた空き缶を思い切り壁に投げつける。それを見て、
横に座っていた制服姿の彼の恋人が小さく笑う。
「うざいうざいって、肩肘張ってて疲れねぇ?」
わざと悪ぶった、青年の口調を真似て恋人はそう言った。青年はキッと恋人を睨み付けて壁を蹴りつける。
脅しのような行為にも怯まず、恋人は立ち上がり青年に近づいた。
背中からぎゅっと抱きついて青年の胸に腕を回す。
そして手の中に握り込んでいたものをそっと青年に差し出した。
「はい、これやる」
「…いらねえよ、なんだよそれ」
「いいから、受け取れよ」
恋人が差し出したものを、青年は手にとってみた。なんだかよく分からない。
首を捻る青年に、その肩へ顎を載せた恋人が囁く。
「jane、て言うんだ」
「なんだそれ…」
「『うざいんだよ』って、お前が言わなくなるおまじない」
恋人は真面目な顔でそんな少女のようなことを言い出した。青年は目を剥き、背後の恋人を睨む。
「何言ってんだ、お前」
「いいから使ってみろよ。あ、ちなみにオレとお揃いのDoeな。
顔文字がお前に似てるからマサオでもいいかと思ったけど、やっぱお揃いのほうがなんか嬉しいもんな」
青年が睨んでいることなど関係なしに恋人は上機嫌に笑っている。
お揃いのほうが嬉しいなんて、そんな子供じみた可愛らしい台詞に青年は内心で思わず吹き出した。
「意味わかんねぇよ、なんだよそれ…」
青年は唇を尖らせてそう言いつつも、背中に寄り添う恋人のぬくもりに確かに心が和らいでくるのを感じていた。
翌日からの空は透明あぼーんですっきりと晴れ渡っていた。
>>411 肝心なフルネームが伏字になってない・・・_| ̄|○
>440
マイカポーみたいで萌え。たまらん。
801板は大人が多くていいやね…
>440
姐さんGJ!! ほのぼのだー。
>440
ワロター!そしてb(・∀・) GJ!
ちなみにうちのお守りもJaneだw
>440 ほのぼのしつつ萌えたーw
ちなみに私もjaneだよ。なんとなくウレスィ
以前ヤング飛翔に掲載されていた(未だ未完)『孔雀王』の呪禁道師×退魔師です。
嫌な方はスルーして下さい。
――いつから、こんな関係になったんだろうか。
体の奥底の熱を持て余しながら、孔雀は傍らで眠っている男…王仁丸に視線を向ける。
初めは敵同士。
呪殺を生業とする呪禁道師と、裏高野に属し魔を亡ぼす退魔師。
過去の歴史の中で、互いに幾度となく対立していた事もあったらしい。
無論、自分たちも例外ではなく。
それが、いつの間にか共闘することになり……いまや『腐れ縁』と言っても過言では無い
ようになっていた。
初めて抱かれたのも、出会ってから間もない頃だった。
丁度、孔雀が依頼を抱えていた時だ。
依頼に関する情報を提供するから自分のマンションに来いと呼び出されて。
本来ならば同性同士の行為など嫌悪感しか覚えないのだろうが、嫌だとか、そういった
感情は不思議とわいて来なかった。
そして……今に至る。
「俺もあの時、なんで拒まなかったんだろうな……っ!」
溜息をつきつつ、もう一眠りしようかと思った瞬間、腰を抱き寄せられる。
「何だ、まだ起きていたのか…丁度良いがな」
そう言いつつ、腰に回していた手を離さない王仁丸を孔雀はジト目で睨んだ。
「…って、さっきさんざんヤっといて、まだするつもりか!?」
「悪いか?」
悪びれもせずそう言い放つ態度に、怒りよりも脱力感が襲ってくる。
それと同時に、『しょうがないか』という気持ちも。
「……明日、裏高野に用事があるんだからな!手加減しろよ!!」
真っ赤になりながら孔雀がそう言うと、王仁丸は口の端だけを上げて笑いながら。
「足腰が立たなかったら、本堂まで抱き上げて連れてやるから安心しろ」
「こ、このアホ!そんな姿、嵐達に見せられる訳ねーだろ!つーか離せ!!
この変態!性欲魔人……っ、やめ…」
……まだ夜は長い。
なんか1フレーズだけ思い付いてしまって、かといってちゃんとしたSSにもできず、
どうにもならないのでこちらに書き置かせてください。すみません。
某3on3格ゲの大佐と中尉です。このレスだけで終わりです。
眠るあなたの肌に、そっと指先で触れてみる。自分のそれとまるで違う、
あなたの肉に触れてみる。
歳はさほど離れていない。しかもこの十年近くは、同じ場所で同じ暮らしをし、
同じものを食べて、同じ死線を越えて来た。
それなのに、まるで違うあなたと俺の体。みっしりと重なった筋肉だとか、
あちこちに残る傷跡だとか、そういう共通点は数え上げればいくらでもある。
けれど、たぶん根本的な何かが違うのだろう。
当然だ。体を重ねるほど近くにいても、所詮は違う人間なのだから。
どうあがいても、まったく同じものにはなれない。
あなたの髪に指を差し込んでみる。癖の強いあなたの髪は、情事の名残か
少しもつれて、簡単には指が通らない。めったなことでは絡まない俺の髪とは
やはり違う。
昔は、その違いが寂しかった。いっそどこまでも同じものになって、
溶け合って、ずっと離れられないものになりたかった。ひとつのものに
なりたかった。
明日という日がわからない場所で生きているから、余計にそう思ったのかも
しれない。明日も一緒に生きていられるという保証がないから、明日はどちらかが
死んで、一人残されるかもしれないから、そんなふうに考えたのかもしれない。
今は違う。この違いが愛しいと思う。たとえ水と油ほどに違っていても、
俺たちはひとつに溶け合えて、また離れて隣に立つことができる。それが
嬉しい。今ではそう思えるようになった。
だからそっと、あなたの肌に触れている。眠りに落ちるまで、そっと
あなたの肌に触れている。
451 :
450:04/03/30 11:05 ID:TY7rI/vt
違う存在だからこそ、あなたの背中を守ることができる。それが嬉しい。
すいません、おしまいの方にこの文を入れておいてください。
そうでないとますます意味不明・・・
452 :
406:04/03/31 01:24 ID:6WIZBsTY
ホワタワSSまたもや投下させていただきます。
今回は長くないっす…タブン。
読んでくれた人有り難うございます!
453 :
ss1:04/03/31 01:25 ID:6WIZBsTY
チャイムが響き渡るロビーで材前はめざとく見つけた。
郷実がたどたどしく女性と会話をかわしている。
みていて可哀相なくらい慌てている、普通の人間なら気付かないところだが
つき合いの長い材前には手にとるようにわかった、様を面白そうに眺めた。
ストレートの栗色の髪が印象的な女性だ。
まてよ。
あれは確か吾妻先生の娘じゃないか。
郷実のヤツ、いつどこでコンタクトをとったんだろうか。
女性が会釈をしてエレベーターに向かっていく。
郷実はいつものはにかんだような笑顔で挨拶すると
材前には気付かず去っていった。
「君、もういいぞ。先に戻っていなさい」
材前は津久田に書類を渡すと
いつもよりもやや早足で娘の後をおいかけた。
単なる好奇心、である。
454 :
ss2:04/03/31 01:26 ID:6WIZBsTY
閉まりそうになるドアーに滑り込む。
「失礼」
娘、確か冴子といったと思う、は突然
駆け込んできた男に一瞬驚くしぐさをしたが
すぐに平静さを取り戻す。
エレベーターの乗客は冴子と材前二人だけであった。
「材前先生、でしたよね?」
冴子が静かに問いかけてきた。
気付かない振りをしていた材前は大袈裟に
「吾妻先生のお嬢さんでしたか。
これは気付きませんで」と驚いてみせた。
材前の笑顔にほっとしたのか固かった冴子の顔も弛む。
「今日はなにか用事でも?」
冴子は黒いバッグを持ち直し、
「父の着替えを届けに参りました」とまっすぐ材前をみた。
なかなかの美少女といったところか。
真直ぐでうるんだ瞳。
郷実が気にするのも頷ける。
「私が預かりましょうか、その荷物。ちょうど
先生に用がありますので、届けますよ」
「いえ、材前先生のお手を煩わせるわけには参りません」
きちんとした日本語の流暢な響きに材前は少し、面白くなってしまった。
いったん、思い付いたら絶対に行動したくなる、この男の悪い癖。
この娘、どんな風に乱れるのか。
吾妻の一人娘という肩書きがよけいに材前の悪戯心を後押しした。
455 :
ss3:04/03/31 01:27 ID:6WIZBsTY
あっと失礼。呟くと目眩を装い、冴子にもたれ掛かった。
「大丈夫ですか?」
冴子は突然の出来事に驚きながら材前の肩を掴み
支えようとした。
掛かった。
心の中でニヤリと笑うと材前はぐっと冴子の肩を抱き、
覆いかぶさるかたちになった。
「すいません、急に気分が…」
わざと耳もとで囁くようにいってみる。
冴子の肩が震えるのが伝わった。
冴子も馬鹿ではない。即座に材前の狙いに気付くと
「離して下さい!」腕の中で暴れはじめた。
「気分の悪いといっている人間をあなたは突き放すんですか?」
冴子の手が空を切った。口の端の笑いに気付かれたようだ。
すんでのところで腕を掴み、上から冴子を見下ろす。
恥ずかしさと怒り、恐怖で娘の顔は震えていた。
ふうん…。
うえから見下ろす、生け贄の顔。
それは弱々しくあればあるほど扇情的だ。
あの男もこんな風に僕をみているのか。
材前は妙に納得した。
そして途端に今の状況に興味を失う。
瞬時に冴子から離れると
「失礼しました。冴子さんのおかげで気分もよくなりました」
いつもの笑顔でゆっくりと発音した。
冴子は一瞬何かを言うそぶりをみせたが、
「いえ…失礼します」足早にドアから去っていった。
大丈夫、あの娘は何も言わない。
材前は確信していた。そうやって生きてきた娘だと。
456 :
ss4:04/03/31 01:29 ID:6WIZBsTY
エレベーターをでて廊下を少し歩くと
郷実が頭の後ろを掻きながら歩いてきた。
ほどなくして顔をあげて材前に気付く。
「よくあうな」声をかけると
「今日は一度もあってないはずだが?」
不思議そうに返してきた。
「そうだったな」
じっと顔を見上げる。
「なんだ?」ますます不思議そうに郷実がいぶかしんだ。
無視して見つめ続けてみた。材前の大きな黒い瞳。
「おい」急に何かを思い出したかのように
郷実は目の辺りを赤らめた。
何を思い出したんだか。
「そんな目でみるのはよせ」早口で呟く郷実に
ますます材前は面白くなった。
「今夜空いているか」ことさらゆっくりと耳もとで囁く。
流暢な日本語。
「久々に君と…したい」
耳まで赤くなった郷実をよそに材前は
満足したように歩き出した。
+++++++++++++++++
意外に長かった…スマソ。
「おい、ちょっとまってくれ材前!」
郷実は早足で部屋から出ていこうとする長身に
廻りこむように立ちふさがった。
「今は忙しいんだ。明日にしてくれっていってるだろう?」
材前は相当虫の居所が悪いらしい。
苦虫を噛み潰したような顔で郷実を見下ろす。
まぁ、実際この男が機嫌よく郷実と会話をかわす
というのはごく稀なことではあるのだが。
そんなことは承知でお構い無しの郷実である。
「いや、こっちの用件のほうが重要な筈だ。
早急にこの患者を診てもらいたい」
無理矢理にカルテを材前に握らせようとする。
「今ならまだ切除可能の段階だ。君は第一外科の医師として
僕の依頼を受ける義務があるはずだ!」
「だから診ないとはいってないじゃないか」
カルテを押し戻すと強引に郷実の体を避け
ドアに向かう。
「おい!」
たまらず郷実は材前の腕をつかんだ。
ピクリと材前の右目辺りがつる。
本当に怒った時のサインだ。
ゆっくりと郷実の手を払いながら
「…郷実、俺は本当に忙しいんだよ。
今から俺の将来に関わる大事な会合があるんだ。
君だったらわかってくれるだろう?」
言い含めるように睨む。
「大事な祝宴…じゃないのか?」
郷実も負けじと大きな瞳で材前を睨みあげた。
瞬間材前は弾かれたように笑った。
いきなりの反応に郷実が気を抜いたその一瞬あと、
物凄い力で壁側に押し倒された。
「なにする…!」
問いを無視して材前は壁に縫い付けるように
郷実の両腕を掴み、両足の間に自身の右膝を割り入れた。
「離せ!おい材前!」
「君が俺を困らせるからじゃないか」
鼻を擦り付ける近さで囁く。
「困らせる?」
腕はびくともしない。
「ああ。言うことを聞かないと、ここで始める」
「始めるって何をだ」
郷実の顔が不安に揺れる。
「今ここで君にぶち込むってことさ」
肉食獣を思わせる笑みで材前は笑った。
「馬鹿な…ここは病院だぞ」
「誘ったのは君だ」
耳を噛まれる。
郷実はそしてここで絶望する。
この流れで材前の思い通りにならなかったことは
一度もないからである。
祈るような思いでドアーの鍵が掛かってることを
振り向き確認した。
**********
場所をお借りしました。付け焼き刃で書いたので
なんかメチャメチャでした。
投下はこれで最後に致します。
孔雀王、ハァハァですた。
ちょうど昨日読み返して王仁丸に萌えていたところなので、
萌えツボにクリーンヒットしますた。
単行本一巻発売記念ss。
担当×漫画家再び。季節はずれのヴァレンタイン話でお邪魔します。
ラブ度は前より高いめです。
スレは例によってメール欄参照で。
ではでは、お借りしますー。
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| __________ |
| | | |
| | |> PLAY | | ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
| | | | ピッ (・∀・ ) ナマモノダシネ
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ヴァレンタインてのは、元々聖人の名前っしょ」
「そうですよ」
「結婚が禁じられてた時分に、秘密でカップルを結婚させてたヴァレンタインってオッサンが死んだ日が、二月十四日」
「そうですよ」
「チョコレートがどうのってのは、神戸の菓子屋が始めたことで、」
「てか先生、」
椅子に掛けて向こうを向いた彼の喋りを聞きながら、俺は流石に口を挟んだ。
「そんな1へぇにもならないようなトリビアから、非モテっぷりが溢れんばかりにかぎ取れるんですが」
それを聞くと、彼は苦々しい顔でこっちを向いた。
「てか何であんたがここにいるんすか」
人が原稿上げてさあ寝ようって時に。風呂上がり、普段のむさ苦しい姿から多少こざっぱりした彼は、
半乾きの前髪から恨めしげな眼でこちらを見る。
「別に、会社帰りに寄っただけですよ」
「…」
「あ、これ欲しいですか?」
手許のショコラトリュフを示すと、彼は頭を掻いてため息を付いた。
「やー、これはね、バイトの子がどうぞvって」
「で、なんでわざわざ俺の家に来て食いますか」
「幸せのお裾分けです」
だって先生チョコ貰ったことなさそうじゃないですか。明らかに。
そう言うと、彼はまた嫌な顔をした。この反発が直に表情に出る所が堪らない。
「ありますよ、貰ったことくらい」
「ドリームですか」
「現物です」
「優しいお母様だ」
「おかん以外からもあるってんですよ!」
俺がどうせ妄想だろうという顔をすると、案の定彼はむきになって喋り出した。
「小学生の時に彼女いたんですよ」
「うわ何年前の話持って来んだこの人」
「ドッジが上手くてはにかみ屋さんでショートカットの」
「オオニシくん」
「ヒトミちゃんだよこの野郎!!」
「で、そのヒトミちゃんが何ですか」
「そこの家が転勤族でね、丁度ヴァレンタインに神戸に越しちゃうことになって、」
「はぁ」
熱弁する彼を長めながら、もうひとつトリュフを口に入れる。彼の語りはそろそろ佳境のようだ。
「お別れ会の後、そっと渡された包みには、
ウエハースチョコと『手紙おくってね』という震えた字のメッセージが―――」
「義理じゃん」
彼の動きがかきんと固まった。チョコネタだけにオチが甘いですよ先生、そんなネームじゃオッケー出せませんよ。
そう言うと、彼は言葉も出ないのかこっちを黙って睨んだ。
「まあ、そんな可哀想な先生に、これ分けたげますから」
トリュフを摘んで、ほら、あーんして下さいよ、と顔の前に差し出す。彼はふんと顔を背けた。
施しは受けぬ、って武士じゃあるまいし。
「何ですか、口移しで欲しいんですか」
「何を、」
反論しようと開いた口にトリュフを押し込む。
「―――っ、」
「指は食わないでくださいね」
驚きで間の抜けた顔も堪らない。
しかしまぁ、何で俺はこの人をこんなに構いたくなるんだろう。
指に残ったココアパウダーを舐めながら、屈辱を受けた様子で机にへたった彼を見る。
「旨いでしょ」
「―――…貰ったなら、全部食ってやりゃいいじゃないですか」
「はい?」
「どうぞvって折角貰ったんなら、自分で食えってんですよ」
十秒ほどの沈黙が流れた。
「先・生」
伏せた背中に被さるように近付き、耳許で喋る。彼の肩が少しおののいた。
「妬きましたね?」
にやりと笑う。
彼は呻くような声を挙げたが、顔は上げない。そしてその耳は先まで赤くなっている。
「っははは、もう可愛いなぁこいつ天パゴリラの癖に!」
笑いながら生乾きの髪をくしゃくしゃにする。抗う様子は見せるものの、やっぱり彼は顔を上げない。
「解りました、今からチョコレート買ってきますよ、先生のために」
ファーストチョコですよ?そう言い残して、俺はすぐに玄関に向かった。
「先生、チロルはヌガーとミルクとどっちが好きですか?」
「…ミルク」
了解しました、と笑いを噛み殺して答える。振り向くと、まだ彼は机に伏せていた。
なんで奴はあんなんなんだろうか。イタズラ心がまたゾクゾクと刺激されて、俺はドアに手を掛けて口を開く。
「先生、」
「…」
「ホワイトデイのお返しは身体でいいですよ」
「―――!!」
彼が勢いよく振り向いた気配がしたが、俺はそのままドアの外に出ていった。
終。
前は漫画家視点だったから、次は担当視点でと思ったら、結構ノリノリで書けました。
なんか担当が嫌な奴だよ…。
こんなんでごめんなさい。興味持った方は専用スレ…へ…。(w サクヒンスレデスガ
____________
| __________ |
| | 【 P R 】 | |
| | 飛翔コミクス .| | ∧_∧ アトガキモオイシイヨ
| | 金艮 云鬼 一巻 | | ピッ (・∀・ )
| | 発 売 中 ! | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
全然知らなかったんですが、もう関係無く萌えました。
これから専用スレへ行ってまいります
>461-466
素敵な萌えをありがとう!
キタワァ*・゜゜・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*!!!!!
禿萌え(*´д`*)ハァハァ
天パゴリラワラタ。いい夢見れそう。
>>461-466 寝ずに待ってました大空!
姐さん萌えを有難う。今日はいい日だ!
続編は是非ホワイトデー編を!!
>461-466
乙!
過去ログの漫画家視点もいいが、担当視点はさらに禿げ萌えだワァ(n‘∀‘)η
と思いながら読んでたんですが書き手さんノリノリだったんすか。
作品にあらわれるもんなんですな。良い(*´∀`)モエをアリガトン。
サンキュウサンキュウ!! >461 はーたまらん
>461-466
待ってましたー!(*゚∀゚)=3ハァハァ
次も是非!
474 :
風と木の名無しさん:04/04/04 17:29 ID:2z/1BJ4w
/'´ ̄  ̄`ヽソ⌒‐-、_ ヽヽ
/. :.;:;;;;;;;;;;;;;イ__;;;;;;;;;;;;:;.: .〈 / ̄/
j. :.;:;;;;;;;;;// `ヽ;;;;;;:;.: .} /
/. :.;:;;;;;;;;;|_ ヽ;;;;;:;.: .'、 rr
/. :.;:;;;;;;;;/`_`' ,. ;=;;,.l;;;;;;;:;.: .ヽ /
{. :.;:;;;;;;;;;;{ ^´冫 k=ぃ.};;;;;;;;:;.: .イ ヽヽ
ヽ. :.;:;;;;;;〉 ,. j、`'´ };;;;;;;:;.: ./ ニ /
. ,-, ヽ_. :.;:;;;! `t '; ト; ,ノ;;;;;;;:;.: .j /
l | _. く. :.;:', '´ーニマ'/;;;;;;;;:;.: ./
/ >'´.-!、(`. :.;∧.  ̄´/;;;;;:;.: ._;;j --,
/ −! /ヽ `ー-- ' \ ニ/
ノ ,二!\ \ / /` ゙̄ー- ヽヽ
/\ / \ ∧、 / \  ̄7
/ `ソ! / (ヽl::::l/ ヽ l ヽ _,ノ
/ i ⊂ニ_ニ-ゝ_`ヽ、 / | ヽ _
/ l| ⊂ ニ‐- ̄` "`7::7\ | ヽ ||
/ | | ヽτ二_ /:::/ \ \ ll
i | \ l |:::::|`''ソ,_/ \ _/⌒ ο
単行本で「担当へのいらだち、担当へのいらだち、その他担当へのいらだち」って連呼してるのが
ほっぺチューしてきたりチョコレート食べさせられたりすることへのいらだちと思えてしかたない
ああ461さんグッジョブ
>475
そそそそそそそんなことが単行本で!?漏れまだ買えてないからドキドキです!!
嗚呼もう、担当もGJ!よくぞ担当になってくれた!!
>476
遠い昔の記憶だしもしかしたら別人かもしれないんだけど、
まだ連載デビューしてなかった頃、突然電話を掛けて
「50何ページ描いてね」って読切を描かせた担当って今の担当?
もしそうだとしたら、デビュー前からすんごい仲だったよなー……。
>477
そんな萌えネタを投下しないでください…今晩眠れません(*´д`*)ハァハァ
480 :
風と木の名無しさん:04/04/06 14:28 ID:B3msK+68
>>461-466 グッジョブです!
ヤキモチ漫画家萌え(*´д`*)ハァハァ
・・・だめだ!やっぱ単行本買ってくる!
>>458 最初読んでいて、あれ?と思ったら逆設定だったんですね!
かなり萌えました(・∀・)b
最初ドラマ化の話聞いて逆かなと勝手に思ってたりしたので。
保守
483 :
ss1:04/04/12 01:44 ID:Ha4EUJcu
ホワタワss、場所をお借りします。
泣きのもうひと投下。
+++++++++++++++++++++++
外の空気を吸おうと病院内の庭を歩いている時だった。
いつものように材前が早足でまっすぐ前をみつめて
歩いているのがみえた。よほど急いでいたんだろう。
足下に注意がいかなかったらしく転びそうになる。
郷実は慌ててかけよって材前を支えた。
「大丈夫か」
その瞬間拍子に材前の耳たぶが郷実の唇に
ぶつかった。柔らかくて暖かい感触が妙にリアルで
郷実は困った事態になった。
突然股間が反応してしまったのである。
慌てて白衣をかき寄せた。
大丈夫かといったきり動かなくなってしまった
同期の内科医をみて“お前が大丈夫か”
とでも言いたげな顔をした材前だったが
「ありがとう」と素直に礼をいった。
「いや…」
郷実は目をあわせずもぞもぞとした感じで
「怪我がなくてよかった」と言い残すと
そそくさと逃げるようにその場を離れた。
「なんだ、あいつ?」
残された材前は首を傾げるばかりである。
484 :
ss2:04/04/12 01:47 ID:Ha4EUJcu
郷実はカッカする頭を掻きむしりながら早足で庭を横切っていた。
そして歩を止める。
一体今のは何だったんだろう?
なぜいきなりあんな反応をしてしまったのか。
材前には気付かれなかっただろうか。
考えても考えてもまとまらない。
欲求不満か?
だとしても材前は男だ。自分はヘテロセクシュアルなわけで。
「ありえないだろう…」
確かに昔から自分よりも背が低く華奢な材前をさりげなくフォローしたり、女性のように接したところがあったかもしれない。
材前はいつもは明るく社交的なのだが時々ひどく寂し気な顔をする男でそんな部分が気に掛かりなんとなく目が離せない存在であったことは確かだ。
自身の唇を触ってみる。
材前の耳たぶは甘い香りがしたのだ。確かに。
唇はもっと柔らかく、甘い筈なのだ。
郷実は不埒な考えを散らすかのように頭を振るとまた早足で歩き出した。
「何を考えてるんだ、俺は…」苦笑いがこぼれる。
いやがる材前を背後から抱きすくめ無理矢理に唇を奪う。
きっと材前は暴れるだろう。そうしたらあの甘い香りをもっと嗅ぐことができるだろう。力で適わないわけがないのだから。
そんな妄想。
俺は材前を犯したいのだろうか?
そんな日がくるのか?
一体なんのために?
自分の中のもうひとりをみた気がして
郷実は腕に粟をたてた。
>>483 気付いてない郷実に萌えますた・・・!!
また書いて下さい。続編とか続編とか続編とか!!
耳たぶ(*゚∀゚)=3ハァハァ甘い香り(*゚∀゚)=3ハァハァ
続きヌーしくキボンヌ。
>>483 萌えますた…(;´Д`)ハァハァ
是非続編読みたいです。
郷実の戸惑いと欲望(;´Д`)ハァハァ
ありがとう
>>483ありがとう
続きもヌーしくキボン!!
ワロタ>483
490 :
ss1:04/04/15 01:49 ID:8wgS7/k+
483です。続き投下してみます。
変なとこが多々あるけど御勘弁を。。
++++++++++++++++++++++++++++
「おい、郷実!」
突然廊下で呼び掛けられて郷実はびくりと肩を震わせつつ
ふりむいた。
材前が怒った顔で歩いてくる。
「なんだ?」
平静を装いつつ返事をすると
「なんだじゃないよ」ため息をつきつつ、カルテをどさりと渡された。
さっき外科に届けさせたものだ。
「何か問題があったか?」
きょとんとして郷実が尋ねると
「これは外科の管轄外の患者だろう?」
ギロリと睨まれる。
慌てて見かえすと確かに間違ったものを届けさせてしまったらしい。
「悪い」すまなそうに郷実が材前に目をやると
「最近疲れすぎじゃないのか?君らしくないミスが続いてる。
研究もいいが、あまり無理はするなよ」
意外にも心配されてしまった。
「あ、ああ…。」
「じゃあ」材前はいつものように郷実の肩を叩くと
颯爽と歩いていった。
まだ材前の触った肩がじんとしていた。
自然とため息がこぼれた。
今になって材前の黒めがちな瞳にみつめられた
感情が高ぶり体がカッカしてくる。
「はあ…」
郷実はため息をこぼすと口の辺りを手で拭った。
491 :
ss2:04/04/15 01:51 ID:8wgS7/k+
郷実の最近の不調の原因はまぎれもなく材前だった。
あの一件以来、郷実にとっての材前は同期の外科医であると同時に
完全な、ある意味の対象になってしまっていた。
体がいうことをきかないなんて十代でもあるまいし、
情けない話なのだが、こればかりはどうしようもなかった。
材前の瞳、端正な横顔、桜色の耳たぶ、シャツから覗く柔らかそうな首筋。
見る度、悲しいくらい反応してしまう郷実であった。
実千代との交わりの最後に目を閉じた際、材前の痛みに歪む顔が
何故か脳裏を掠め、パニックになったこともあった。
そのくせ、妙に興奮してしまうのだ。
「末期だな…。変態か、俺は」
郷実は情けなく呟いた。
挙動不振を悟られたくなくて材前を避けたこともあったが
それでは仕事にならないので覚悟を決めて郷実は業務をこなしてきた。
時々材前は己の保身のために患者を軽んじる発言をすることがある。
その際郷実は友人である材前を思い、助言はおこがましいが
意見を言ってきた。討論になることもあった。
しかし、ここのところ意見がぶつかりあう場面になると
その良く動く材前の口を意見で封じるのではなく
自身の唇で封じたい欲望にかられてしまう。
その時この男はどんな反応をするだろうか。
馬鹿な考えばかりが頭をよぎる。
自分の理性がどこまで持つか。
郷実は絶望的な思いで目を閉じた。
++++++++++++++++++++
おつき合い有難うございました。ペコリ。
キタ━━━━ヽ(゚∀゚ )ノ━━━━!!!!
すごくよいです。萌えました(;´Д`)ハァハァハァハァ
続きはあるんでしょうか。とうとう襲ってしまう3103も見たい……
どうか、3103に本懐とげさしてやって下さい。
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| | |> PLAY | | ∧_∧ ダレモイナイ…
| | | | ピッ (・∀・ ) タノシムナライマノウチ
| | | | ◇⊂ ) __
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
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494 :
1/5:04/04/15 19:59 ID:rEajO9/c
病院の駐車場でベンツを一台つぶして宗一郎にメッセージを送ったあと、
ボブと雅孝はまた走って道場まで戻ってきた。
ジョギングペースではなく、追っ手を振り切るための全力ダッシュだったので
二人ともさすがに息が上がっている。
「クソッ、車で追っかけてきやがって……世界新出てたぞ今の走り……」
ボブは床にしゃがみこんだ。向かいに雅孝も腰を落としたが、わずかに息を整えただけで立ち上がった。
「さてと。どうするボブ。組み手、続きやるか?」
「……いや……宗一郎にあんなこと言っちまった手前、俺も踏み出さなきゃならねえことがある。」
怪訝な顔をする雅孝の右手首をボブがつかんだ。
立ち上がりながら力をかけ、わざと雅孝を壁に押しつける。
「ど、どうかしたのか?!ちゃんと立てるか?」
怪我でもしたかと心配しているのだ。根はぼっちゃんだ、とボブは少し笑った。
左の手首も握られてから、はじめて雅孝の目が不審の色を浮かべた。
「ボブ?何なんだよ……」
肩の高さで壁に押しつけられた両手首は、軽く力を入れたくらいではびくともしないはずだ。
20cmの身長差のせいで雅孝はボブを見上げることになる。
普段ならどうということはないが、こんな姿勢では屈辱的に感じるかもしれない。
495 :
2/5:04/04/15 20:00 ID:rEajO9/c
「嫌だったら遠慮なくぶっ飛ばしてくれ。」
耳に熱い息がかかるように言うと、一回り細い身体がびくっと硬直した。
筋肉がよく発達した腿を雅孝の股間に強く押し当て、ゆっくりと円を描くように動かす。
「何のマネだよ?!」
「あんたが好きだ。」
「―――なっ……えぇ?!とにかくやめろ、離せよ!冗談じゃすまないだろ!」
「冗談のつもりはねえよ。」
右手を離しても、呆然としている雅孝は反撃してこなかった。
それをいいことにトレーニングウェアと下着を膝近くまで一気に引きおろす。
「わ……!!」
色白で端正な面が、紅潮し取り乱している様はただでさえそそられるものだが、
そうさせているのが自分だという事実がボブをさらに興奮させた。
「すげぇヨクしてやるよ。センパイ。」
雅孝が少なからずコンプレックスを抱いているのは承知のうえで、まだやわらかいそれに指を絡めた。
言われたことも、この状況もまるで理解できないという顔でボブを見ていた雅孝は
急に羞恥に襲われたのか目をそらした。
半ば以上皮におおわれている性器は、ボブの手の中で少しずつ硬くなっていく。
「剥くぜ」
返事を待たずにゆっくりむきおろしていくと、決して小さくはない声がもれた。
「あぅっ!……く、はっ……」
刺激が強すぎるのか、雅孝はがっくりと前のめりになって腰を後ろに引こうとしている。
「逃がさねえ。」
「んはぁッ!あっ、あぁっ!や、やめっ、ボブ、ん、くっ……」
追い詰められた雅孝が激しく頭を左右に振る。艶のある黒髪が乱れ、ボブの眼下に雅孝のうなじがあらわになった。
自由な手は気を撃ち込む余裕もないのか、ボブのTシャツの袖をぎりぎりと握り締めている。
褐色の指が足の付け根にもぐり込み、会陰をさぐった。はりつめたそこを軽く押すたびに白いうなじに血が上っていく。
先端ににじんだ体液は、すぐに糸を引きながらボブの手に垂れはじめた。
青臭いにおいが立ちのぼる。
496 :
3/5:04/04/15 20:00 ID:rEajO9/c
「限界だろ。イッていいぜ、センパイ。」
ふくれた裏筋を親指でこすり、うなだれた首筋に唇を寄せて囁く。
「ふ……あっ……!ああぁッ!」
たやすく昇りつめた雅孝はがくがくと膝を震わせながら、濃い白濁液を迸らせた。
「あく……あぅ……っ」
「あんたが好きだ。」
「んん……っ」
「あんたが好きだ……」
ぶるりと雅孝の身体が震え、荒い息をつく。返事はなく、うつむいたままで顔も見えないが
ボブは無理に上を向かせようとはしなかった。
かわりにずっと掴んだままだった左手を解放し、自分のジャージと下着を腿までずらした。
雅孝のものと同じ器官とは思えないほど凶暴に猛ったモノが現れる。
息を呑む気配がし、雅孝が顔を上げてボブを見た。男にしては大きな目が快感の名残か涙ぐんでいる。
たまらない疼きを感じながら、ボブは意地悪く言った。
「突っ込んだら、壊れちまうだろうな。」
背から回した手で尻を撫で、閉ざされた部分を精液に濡れた指先でつつく。
「……っ」
無言のまま雅孝はボブを突きのけようとするが、体格と体力だけならボブは圧倒的に優位にある。
雅孝が発頸技を使わないのは集中できないせいではなく、手加減ができなくなるからだろうとボブは思っている。
そして高柳の血を引くにしては優しすぎるこの男が、たとえ自分を汚そうとする相手でも
仲間である限り殺す覚悟で攻撃などできないと読んでもいた。
卑怯なヤロウだと自分を罵っても、後戻りはできない。なかったことにはできるわけがない。
抗う身体を抱きすくめ中指をねじこんでいく。
暴れる太腿の間に血管の浮いた自分のモノをはさみ、腰を動かす。
「や……っ!やめろ、もうこんなのっ!こんなのは……いやだっ……」
苦鳴まじりの制止の声にボブ自身も身を裂かれるような痛みを感じながら、根元までうめた中指で中をかき回す。
しなやかな太腿はボブが吐き出した先走りでぬめり、こすりつけるたびにぬちゃぬちゃと音がする。
497 :
4/5:04/04/15 20:02 ID:rEajO9/c
「あんたが……好きだ……っ」
ドク、とあふれ出た精液を雅孝自身にかけ、手のひらで何度もぬりつける。
「う……」
不快そうに眉を寄せる顔に思いきりぶちまけたい衝動にかられながら、
ボブは指を抜いて両手で雅孝の腰をがっちりとつかみ、残りの精を放った。
「はぁっ……ぶっ殺されてもいい……ってか、本望だ……」
もう二度と触れることすらかなわないかもしれない身体を、強く抱きしめた。
「離せよ、もう満足だろ。」
ボブが腕を解くと、雅孝は背を壁に預けてずるずると座り込んだ。
「なんでだよ……なんでこんな……千秋ちゃんは……」
「全然別だ。」
膝までずり落ちていたジャージを履きなおし、ボブはタオルを拾って雅孝に差し出した。
「ぬらしてきたほうがいいか?」
きょとんと見返した顔が、言葉の意味を理解してカッと赤くなる。
タオルは乱暴に奪い取られた。
「見るなよ!拭くから!」
また勃ちそうだ、と思いながらボブは素直に後ろを向いた。
そのまま数分がすぎ、雅孝が立ち上がる気配がした。
「もうそっち向いてもいいか?」
「だめだ。俺がここ出るまでそのままでいろよ。」
「OK。死刑か執行猶予か教えてくれ。」
「……好きだって言えば何しても許されるなんて思うな。」
「傷つけたことはすまなかった。」
声が道場の出口へ移動していく。
「……後悔……いや反省してるのか?」
「してねえ。今もぶちこみてえと思ってる。」
「お前らしいな。」
固い声にわずかに苦笑がまじった。
498 :
5/5:04/04/15 20:03 ID:rEajO9/c
「予備戦が終わったら、望みどおりぶちのめしてやるよ。お前が勝ったら好きにしろ。」
ざくざくと靴音が庭を遠ざかっていく。
ふうっとボブは息を吐いた。
「勝ったら、か。無茶言うぜ。」
入学した頃にくらべれば、この数ヶ月で桁違いに強くなった。
それでも、80人を素手で倒して返り血も浴びない男に勝てるとは思えない。
武道家にあるまじき不純な動機で、どこまでいけるかやってみるしかない。
振り向いたボブはあることに気づいた。
床にこぼれた体液まで雅孝はきれいに拭っていったらしい。
笑みを浮かべ、誰もいない空間にボブはもう一度つぶやいた。
「あんたが大好きだ、センパイ。」
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| | □STOP .| | ∧_∧ ヤレヤレ
| | | | ピッ (・∀・ ) モウソウハコワイネ
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>493 姐さん
再び
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* * * * * *
* * * *
パーン!
( Д )
まさかこんなに早く夢が叶うとは思いませんですた…
雅孝かわえー(*゚∀゚)=3ハァハァ
今夜これが夢で見れるといいなァ
もちろんテクニカラー重低音で…
>493-499タソ
うおおん禿萌え(*´Д`)ハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ ノ \ア ノ \ア
ええもん読ませていただきますた!
雅孝萌えーハァハァ。姐さんグッジョブ!!
>493-499
ジャンル知らんけど禿萌えました(´Д`*)ハァハァ
何のジャンルですか?もしよろしければ教えて下ちぃ
>503
ボンバヘッでぐぐれ
>>503 お釈迦様が生まれたときに発した言葉がタイトル。
今春からTVアニメ化し、現在深夜放映中。
仲間になるなら、いつでも誰でも歓迎する。
506 :
503:04/04/18 08:33 ID:GZglYJv9
>504-505
ありがとうございます。
絵をみて読み返すと更に萌えですた(´Д`*)
とりあえずアニメ見てみます。
>>506 明日、本屋で超飛翔と最新刊11巻を見るのも忘れずに。
493です。萌えてくださった姐さんたちに甘えて
続編投下させていただきます。
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| | |> PLAY | |
| | | | ∧_∧ ヒトリエチーダッテヨ
| | | | ピッ (・∀・ )
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509 :
1/3:04/04/20 11:16 ID:ty77G1K0
家に帰って鍵をかけると、雅孝はすぐ風呂場に向かった。
トレーニングウェアや下着をひとまとめにして洗濯機に放り込み、
頭からシャワーを浴びる。
ひきしまった白い身体はすぐ熱い湯に包まれた。
汗と、汗ではない体液が勢いよく洗い流され、
足元の排水溝に小さな渦を巻いて吸い込まれていく。
その水流をぼうっと眺めているうちに、ほんの一時間前に道場で起きたことが
本当にあったことなのか、あいまいになってくる。
『あんたが好きだ』
太い声が耳元に蘇った。
同時に、下肢をまさぐる手をリアルに感じて腿や下腹部が熱くなる。
「……っ」
雅孝は浴室の壁に頭をぶつけた。
後輩にいいようになぶられ、犯されかけたというのに。
今、雅孝の身体はその記憶を快感として反芻している。
510 :
2/3:04/04/20 11:17 ID:ty77G1K0
「あ……」
熱が一箇所に集まっていく。今日初めて他人の手で愛撫されたそこは、
再び刺激を求めて息づきつつあった。
声をあげて達してしまったことだけでも充分恥ずかしいというのに、
これ以上情けない思いはしたくない。
だが懸命に意識を逸らそうとすればするほど、そこは鋭敏になっていった。
ためらった末、雅孝はシャワーを止めた。
浴槽のふちに腰かけ、自身を軽く握った。それはもう半ば以上勃ちあがり、
刺激を待ちわびている。雅孝はため息をつくと、親指と人差し指で皮を剥いていった。
露わになるところからピリピリとしたむず痒い感覚が走る。
「くぅ……っ」
上下にしごくと快感の波が押し寄せてくる。足の親指に力が入り、
無意識に内側に曲がっていた。
「んっ……ふ……」
家には誰もいないが、していることの後ろめたさが雅孝を小声にさせる。
濡れた体は冷えるどころかますます熱くなる気すらする。
雅孝は露をにじませた先端をそっと撫でた。普段隠れているその部分は
指先にわずかに力をこめただけでも、身をよじるほどの刺激を伝えてくる。
「あっ……あっ、んっ」
内腿から膝にかけて、なめらかな皮膚がぶるぶると震えた。絶頂が近い。
そこに押し当てられた肉の熱さと質量を思い出すと同時に、
雅孝は小さく声をあげて達していた。
「うぁっ……!あ、あっあぁっ……」
おさえた指の間から、床のタイルに白いものが垂れていく。
ぬるい体液は広げた足のさらに奥まで伝わり、
内側を蹂躙された苦痛と恥ずかしさをまざまざと呼び起こす。
511 :
3/3:04/04/20 11:19 ID:ty77G1K0
「……何やってんだよ、俺……っ」
自己嫌悪に目の前が暗くなる。
最悪だ。雅孝はそうつぶやいてのろのろとシャワーに手を伸ばした。
これまで感じたことのない物足りなさには、気づかないふりをして。
512 :
493:04/04/20 11:21 ID:ty77G1K0
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妄想垂れ流しでほんとすいません・・・
でも雅孝のオニャーニネタは正直原作にとても及ばないw
>493氏GJ!!
姐さんの狼煙を見て駆けつけますた!
新刊表紙顔の雅孝で妄想して禿萌えたよ
514 :
ss1:04/04/23 02:19 ID:qYnPLLrK
この前の31056の続きです。またまた書き捨てって感じ
なので推敲してないです。軽い感じで読み飛ばしてくださいませ。
+++++++++++++++++++++++++++++++++
「先生、お揃いですね」
楊原が少し冗談めいた顔で囁いてきた。
なんだか朝からニヤニヤして気味の悪いヤツだなと思っていたのだが。
「なにがだ?」
無視する理由もないので、材前はことさら興味なさげに聞いてみた。
材前が反応したのが嬉しかったのか、若い医局員は目をキラキラさせた。
「なにがってネクタイですよ。偶然でしょうが、面白いですね。
看護士達も噂してますよ」
「ネクタイがなんだって?」
「郷実先生とお揃いなんですよ。色も柄も全く同じ」
材前は一瞬固まって自身のネクタイをみつめた。
なんてことはない紺地に小紋柄のごくごく一般的なデザイン。
楊原は笑いを堪えているようだ。犬猿の仲と噂される二人が
よりによってお揃いなんていい笑い話ではないか。
「偶然ですよね?まさか一緒に買われたとか」
「当たり前だろう。よくある柄だ。くだらないことばっかりいってないで
仕事に戻りなさい」いつもよりやや早口でまくしたてると
楊原はまだ笑いすぎて涙目になっていたが、そそくさと医局をでていった。
515 :
ss2:04/04/23 02:20 ID:qYnPLLrK
シンとなった部屋でまじまじとネクタイをみつめる。
郷実の細君とうちの妻の趣味がたまたま同じだったというだけだ。
「くだらない」
くだらない…が、なんとなく一日中お揃いで過ごすというのも
微妙な話だ。こそばゆいというか。
替えを買いに行こうか。
しかし午後から違うものを着けるというのも馬鹿らしい話だ。
しかも楊原達に気付かれたらなんといわれるか。
材前はさすがに頭を抱えた。
そうだ、郷実は気付いているのだろうか。
あいつは気付いていないだろうな。なんとなく。
もし知らずに二人が並んだ姿を想像して材前は青くなった。
「冗談じゃないぞ」
やはり替えを買いに行こう。誰かに行かせるかとも
思ったが、自分で動いたほうが早そうである。
材前は勢いよく医局をでると廊下を早足で歩いていった。
郷実にだけは会いませんように。
柄にも無く祈ってみたり。
「おい材前。ちょうどよかった」
こういう時こそタイミング悪く張本人から声をかけられる。
うしろから近付いてきた。
材前は聞こえない振りを決め込んで歩を緩めず進む。
「おい、待てって」
やはり、おめでたい郷実は気付いていないようだ。
だとしたら絶対に郷実にだけは気付かれたくない。
こうなったら意地である。
516 :
ss3:04/04/23 02:21 ID:qYnPLLrK
「今、急いでいるんだ。後にしてくれないか」
「少しの時間でいいんだ。診てもらいたいものが…」
どこまでも追い掛けてきそうな勢いだ。
これ以上シラをきるのも無理か。
ネクタイを手で隠すように庇うと、材前は手近のドアをあけ
空いている診察室に入った。
カルテを抱えてついてきた郷実の首あたりと
ちらっと確認する。
ああ…。本当に揃いのネクタイをしめていやがる。
「廊下で話すのはダメなのか?」
いきなり部屋に二人きりになると、郷実は急に居心地が悪そうに言った。
「別に…。」
材前も早くこの場を切り抜けたくてきもそぞろである。
郷実もなんとなくさっきまでとは違い、変に緊張している感じが伝わってきた。
そういえば、最近こうやって二人で落ち着いて話す機会が
なかったような…。
正確には、避けられている?そんな感じである。
まぁ心当たりはあり過ぎるくらいなので特に気にはしないが。
「おい、いつまでも固まっていないで話したらどうだ?用件を」
材前は急かすようにきりだした。
「ああ…」
下を見つめていた郷実が顔をあげる。相変わらず目をみようとしない。
しかし、ふと気付いたように
「さっきからなんで両手でネクタイを掴んでるんだ?」真顔で聞いてきた。
「特に理由はないよ」
ぎょっとしながらも材前はシラを切ってみた。
「変なヤツだな。ネクタイがどうかしたのか?」
「どうもしないよ」
気になったのかジリジロと郷実は材前の首辺りを凝視した。
もはやこれまでか。
517 :
ss4:04/04/23 02:23 ID:qYnPLLrK
材前はいきなり思い付くと、勢い良くネクタイを引き抜いた。
急に訳のわからない行動にでた材前に郷実は驚く。
ネクタイを素早くポケットにしまうと、「暑い暑い」と
わざとらしく呟きながら材前はシャツのボタンを二つまで開けてみせた。
「なにやってんだよ」郷実は不自然なほどに狼狽えると顔を背けてしまった。
「暑くないか?この部屋」
「試してるのか?俺を」
「はぁ?」
上手く切り抜けたと思ったのに、逆にとんちんかんな答えが返ってきた。
郷実が怒った顔で振り向いた。
そしてシャツから覗く材前の白い胸元を見つめる。
なんだか尋常でない雰囲気にわざと材前は茶化すように
「おい、どうした。目がエロいぞ」と笑ってみせた。
郷実は悲しそうにうつむくと
「君は…何もわかっちゃいない」
足早に部屋をでていってしまった。
カルテの話はどこへやら。
なんだかヤツを傷つけてしまったような気持ちになり後味が悪い。
「てゆうか、僕が何をわかってないって…?」
もしかして、ネクタイのこと知ってて、わざとからかったのだろうか。
そんな器用なことができる男でもないし。
「謎だ…」
材前はまた頭を抱えた。
+++++++++++++++++++++++++++++++
ギョエーーー。くだらないうえに長かった。しかも意味なし。
おつき合い有り難うございました。
>514
うまいこと作りますなぁ…
しがない絵師の自分にはこういう話を作れる方が本気で羨ましい。
つーか萌え!Σd(´Д`*)
日記みたいな感じで面白かったでつ。
ごちそうさまですた>514
>514
自分はくっつく前の煩悶する姿が好きなので
非常に美味しいお話でした。
ごちそうさまです。
>514
あついあついな56タン萌え!
はぁ?(゜д゜)な56タンイイ!!
がんばれ3103ン!
「じゃあ、次は君だ」
そういって材前は目を閉じた。
本人に言ったら殴られるだろうが、年令よりも幼くみえるいつもの顔が
目を閉じると少し大人しく見えた。
唇の割れ目から赤い舌が覗く。
こんな日がくるなんて。
郷実は混乱する頭で材前の肩をひきよせた。
******************
ことの発端は材前からの「ひさしぶりに飲まないか」の誘いだった。
最近の郷実の挙動不振が気になってもいたし、軽い気持ちで誘ったのだろう。
二人きりというのも気まずいので医局の楊原も連れてくるようだ。
アラジンだったら落ち着かないので嫌だというと
材前の家からほど近くのごく普通の飲み屋に連れていかれた。
突然誘った武内も「いい店っすねぇ〜〜」と楽しそうにしている。
まぁこいつはいつでも調子のいいヤツなんだけれど。
「なんでも好きなもの頼んでくれ。ここはどれもいける味だ」
材前はそう言うと聞かずに生中を4つ注文した。
とりあえず乾杯し、料理をつつきつつ、武内と楊原の漫才のような会話に相づちをうっていた。
時折、材前が郷実に伺うような視線をよこしたが、郷実は俯くばかりだ。
心配させてしまっている。
その事実が、余計に郷実の気持ちを重くさせていた。
酒が進むにつけ話題はだんだん下のほうになっていた。
主に先導したのは若い武内だったが。
「おい、それくらいにしておけよ」
苦笑いをしつつ、楊原が諌めたが、いい感じに酔っぱらった武内は聞こうともしない。
「唇だけでどこまでイかせることができるかの競争をしたんですよ」
武内がいうと、「競争?」と材前が乗ってみせた。
競争という言葉に目がないらしい。小さく郷実はため息をつく。
「女性にか?」楊原が当たり前のことを聞くと、
「それじゃあ、面白くないだろうがよー!」
野郎同士だから面白いんじゃないかと武内は笑った。
「悪趣味な」郷実が上ずった声で非難したが、残り3人は大笑いだ。
「若いなーお前達」材前は困ったように笑った。
案の定、材前は正体不明につぶれてしまった。
「大丈夫スか?材前先生…」武内が聞くと、
「ああ、俺が送ってくからお前達は帰ってくれ」
郷実はやれやれといった顔でいうと二人を送りだした。
楊原が心配そうに何度もこちらを振り返りつつ、歩いていった。
「さて」
呟くと郷実は材前の体をひょいとおぶった。
相変わらず軽いな。
家の電気はどこもついていなかった。
奥方は留守らしい。
「鍵をだせるか?」背中に聞くと
材前も少し気分がもどってきたらしく
「すまんな」といいつつ鍵を差し出した。
シンと静まり返ったリビングのソファに材前を下ろす。
なんとなく家庭のにおいがしない冷たい家という印象をもつ。
職場での材前のイメージそのままの家だ。
冷たい横顔。
でも郷実は知っている。こいつは本当に笑う時、
本当にあったかい笑顔をみせるのだ。
「水飲むか?」聞くとソファーからああとか、ううとかいった
返事が返ってくる。
ミネラルウォーターをグラスに注ぎ渡してやった。
ありがとうと材前はいうと一気に飲み干した。
形のいい喉が波打つ。
「奥さんは旅行かなんかか?」
「そうなんだろうな。居ないってことは」
材前は起き上がりソファに腰掛け、髪を暑そうに掻きむしった。
前髪が降りて幼い表情になる。
郷実はなんとなく落ち着かなくなり「そろそろ俺は…」
ときりだした。
「どうせもう終電ないだろう。もう少しゆっくりしていけよ」
材前は言ったが、「いや、帰るよ」
つまんないやつだなぁ、と材前は呟くと急に立ち上がり
ぱっと郷実のカバンを奪うとニヤリと笑った。
こいつ相当まだ酔ってるな。
郷実は嘆息しつつ「何の真似だ」と咎めた。
「僕に勝ったら返してやろう」
「何いってる」
「さっきの競争さ」
一瞬目の前が白くなった。
材前は面白いことを思い付いたといった感じで意地悪く笑っている。
「嫌だ」
郷実がカバンを取りかえそうとすると
「負けるのが怖いのか?」
材前は嬉しそうだ。郷実の困った顔をみるのがこの男は大好きなのだ。
競争ですまなくなりそうだから嫌なんじゃないか。
郷実は何も気付いて無い残酷な男を睨んだ。
チャンスじゃないか?
心の中でもうひとりの声がする。
またあの甘い耳たぶを思う存分味わうことができるのだ。
しかもゲームの名を借りて。
郷実が混乱していると、
ちゅ、と唇が頬に押し付けられた。
驚いて頬を押さえつつ材前をみると
酔っぱらった瞳をトロンとさせて材前はいたずらっぽく笑っていた。
「じゃあ次は君だ」
ええい、ままよ。
郷実は結論のでないまま、材前の肩をひきよせた。
唇を頬に押し付ける。
「おいおい、子供のおままごとじゃないんだぜ」
材前は笑うと郷実の首筋に噛み付いた。
電気が走ったかのような快感がかけぬける。
「お返しだ」
郷実は材前の耳の縁を嘗めあげた。
俺も相当酔っているな。
耳たぶを甘噛みし、しゃぶり、舌を耳の奥までこすりつけた。
「んっ」
材前から甘い声がもれる。馬鹿野郎、可愛い声だしやがって。
「降参か?」
「まだまだ」呟くと材前は郷実の上唇にかみついた。
甘い痛みに目眩しつつ材前の舌を受け入れる。
材前の舌は熱く滑らかで、生き物のように
郷実の口腔を彷徨った。
自然と郷実の腕は材前の腰を引き寄せている。
湿った音をさせて郷実の口から離れると
紅潮した顔で材前は「そっちこそ降参じゃないのか?」
強がってみせる。
「君こそ、腰が震えている」
郷実も負けじと材前を責め立てる。
材前の舌を根元から喰らうように吸い上げ、
唾液を送り込む。
飲み込めきれない口の端から糸をひいて
淫らな顔になる。
「こんな風に普段からしてるのか」
材前は途切れ途切れの息で尋ねてきた。
「まさか」
そろそろ材前のほうが降参の兆しだった。
股間の辺りが熱く脈打っているのが伝わってくる。
男によって射精を促されるのは屈辱なのだろうか。
郷実はどうしたらいいか分からなくなり動きを止めた。
これ以上いくとゲームではなくなってしまう。
「ふ…」材前は苦しそうに身を折り曲げた。
「俺の負けだな…」
「辛いか」郷実が問いかけると
「男ならわかるだろ」
そっぽを向いてしまった。
背中が小さく震えている。
郷実が我慢できす、背後から抱き締めた。
無言で材前のベルトをはずすと下着の中に
指を潜り込ませた。
「なにする…っ」
材前は抵抗し暴れたが、指の動きが激しくなるにつれ
無言になり快感を受ける度に魚のように跳ねた。
「う……」
材前は静かに果てた。
郷実の手に暖かい残骸が吐き出される。
洗面所から戻るとリビングのまん中にポツンとカバンが置かれていた。
材前は後悔している。
だから言ったんだ。
「君の勝ちだったな」
背中を向けて放心状態のまま、材前は呟く。
それきり動こうとしない。
この男の真意もまた、計りかねた。
ここで俺は何を言えばいいのだろう。
何を言えばいいのかなんて…。
郷実はいつまでも立ち尽くしていた。
**************
以上終わりです。連続投稿スマソ。武内が変態キャラになってスマソ。
>>522-527 GJ!GJ!!
ああ、3103ンとうとう念願かなってよかった・・・(´Д`*)
今後の二人が気になるよ〜
>>522 萌えますた(*゚∀゚)=3
も、もしかしてこの部屋で続きがあったりするんでつか?!
横入りすみません。
四島スレより「振動先生ととある学会で出会う56」が頭を離れなかった+
更にもっと前スレでの「56のマシンガントーク」も気に入ったので。
+++
地元のホールを会場にした中規模のシンポジウム。自分の発表を終えた振動は
次の演題が興味を引く物ではない事を確認して会議室を抜け出した。
自販機のコーヒーを手に廊下に設えてある椅子に座る。一口飲み下して
大きく息を吐き、首を回したその時。
エレベーターのドアが開く音がして、廊下の突き当たりの大きな窓から入る
光を背に小柄な人影がせかせかとこちらに近づいて来るのが目に入った。
多忙な同業者ばかりである。こういう集まりでは参加を興味のある発表に絞って、
遅れてやって来る者も中座する者も珍しくはない。振動は気にも止めず、
頼りない香りのコーヒーをもう一口含んだ。
あっと言う間に近づいた一直線の足音は振動の鼻先をかすめると、驚いた事に
隣にばさりとブリーフケースを投げ出した。向かいにも並びにも椅子は
いくらでも空いている。どういうつもりかと訝る振動の視線の先で、小柄な男は
鞄から手早く数枚の書類と赤のボールペンを取り出した。それと同時に端正な
横顔の口元もすごい勢いで動き出す。
「どうしたんだ聡見、今日はこっちに来る予定じゃなかったろう?出がけに
君と丈内君を渡り廊下で見かけたと思ったけどな、あれからどうやって1本前の
のぞみに乗ったんだ?ああそれとも新横浜からここまで僕はタクシーを使ったん
だがひょっとして地下鉄の方が早いのか?」
機関銃のように言葉を継ぎながら、視線は原稿に落としたまま赤ペンで下線やら
囲みやら矢印やら何かの記号をちゃっちゃと記して行く。
「それよりフロア違いだぞ聡見、ここは外科と救急、内科の分科会は4階だ。
さっき受付で見て来た。それとも僕の発表を聞きに来てくれたのかい?
それならそれで嬉しいが、わざわざ横浜くんだりまで来なくても発表原稿と
スライドのコピーくらいいつでも研究室の方に届けさせたのに。まぁせっかく
来たんだから聴いてってくれたまえよ僕の番はすぐ次だから――」
その時原稿は最後のページに到達していた。最終パラグラフの下を二重の
カギ括弧で閉じると左に大きく「Q」と書き入れてペンをカチリと戻し、
マシンガントーク男はようやく顔を上げた。
「聡見……?」
かすかに眉をひそめて振動を見た次の瞬間、あ!という形に小さな口が開く。
「これは失礼。とんだ人違いを」
「……いえ」
彼が初めて発した声に、相手は大きな目を更に丸くした。人違いに気付いた
時より驚いた表情になったのは何故なのだろうと振動は不審に思う。
+++
とりあえずここまで。
>>530-531 キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
姐さんグッジョブ!!続き楽しみにしてます!
大きな萌えの予感・・・!(白目
こ、こんなところに萌えがころがっていたとは・・・(*´Д`)
姐さん方GJ!!
お言葉に甘えて、続きです。暗いです、二人とも…。
+++++++++++
先日の一件以来、里美は材前のことを意識的に遠ざけていた。
といっても仕事は仕事と割きり、個人的な感情は混入させないのは
当たり前である。
あの夜。
里美は逃げるように部屋から出て、どうやって自宅に帰ったかも
わからないほどだった。
次の日、審判を受けるような気持ちで職場に赴き、
そしてあの男と会った。
材前は今までと全くかわらない笑顔でまっすぐに歩いてきた。
すれ違い様に「おはよう」
その口元の微笑み。なにもなかったかのような。
瞬間里見は足下から崩れ落ちるような喪失感を感じ、
返事もできないままに廊下を曲がり、自室に立ち返った。
椅子にすわり、肘をたて、両手に顔を埋める。
小さな震えが全身を覆った。
何かが喪くなった気がした。
わからないが、自分の中の何かが消えた。
里美は結局、どんなに言い繕うとも、保守的で弱い男だった。
それを潔白と位置付けた。
材前という男に、自分は汚されたのだと、そう思いたかった。
自分の中の悪を認めたくなかったのである。
ちっぽけな、正義感気取りの…
「俺はずるい男だ。材前………!」
里美とすれ違ったまま、全く速度を落とさずに
材前は人形のような無表情でロビーを横切っていた。
しかし、ふいに唇が小さくわななく。
たまらずトイレに駆け込むと、個室に入りドアを閉めた。
里美の青ざめた顔が忘れられなかった。
自分に気付いた時のあいつの顔。
一番会いたくない人間に会ってしまったかのような。
一度堰を切ってしまうともうダメだった。
次から涙が溢れてきた。理由のつけられない涙。
声を殺して泣く。こんな屈辱は初めてだった。
どうして、この僕が、こんなところで、あいつのために泣かなくてはいけないのだ。
瞬間、怒りにまかせ壁を蹴りつけた。
空虚な音が響き、余計に材前をみじめにさせた。
今まで自分の中でねじ伏せてきた不安、悲しみ、怒り、弱さが
歪な形で溢れ出そうとしていた。
そんな自分は嫌だ。
材前は血の滲むほど、人さし指を噛みしめた。
+++++++++++
終わり。
>>530さん。
振動先生かっこいい&56リンガルが可愛すぎます!
539 :
522:04/04/29 02:12 ID:zLBfeyzq
3103ン伏せ字忘れました!ごめんなさい!!バカバカ!!
>537
リアルタイムで見てしまいますた。グッジョブです姐さん!!
どうか二人を幸せにしてやっておくんなしあ・・・(つД;)
>>537 二人とも切ないっす…そして心理描写相変わらず上手いなぁ。
小さな仕草一つ取ってもすごく(・∀・)イイ!!
続きめちゃくちゃ楽しみです。
失礼します。
半ナマでしかも古い作品なのですが、萌えが抑え切れず書いてしまいました。
少し吐き出させて下さい。
作品とCPはメル欄です。
543 :
1/2:04/04/29 06:21 ID:RM9N29bn
「あれは……水の落ちる音だろうな、それがずっと。起きると汗だくで」
男の静かな声がこめかみに落ちる。さりさりと短い髪を撫でてくるその手が、温かいことに驚いた。
血なんて通ってないもんだと思ってたよ、比喩じゃなくて。
子供を寝かし付ける声音で、昨日見た夢の話。耳の後ろをくすぐる指の動き。
そうか、こんな風に女と寝てたわけだ。でも今は誰も寄って来ないね。
金の匂いしなくなったらね、波が引くみたいに人が消えたでしょ?俺知ってんだそういうの。嫌って程。
当たり前に流れていたきらびやかな日常が、手に入れた時の十倍速で遠ざかる。
でもそれで良かったんじゃないの?だって俺に逢えたし。
そう言ったら、男はいつもの皮肉な笑みを口元に浮かべて、どうだかね、と呟いた。
そんな風に吐き捨てられた言葉すら、俺は拾い上げて大事にしまっておく。
誰よりこの男に降りかかった喪失を喜んでるのは、他でもない俺なんだ。
ようやく、ここまで落ちてきてくれたんだと。
どん底の温もりを期待する。いつだって。
堕落する人間の顔なんてみんな同じで、型で抜いたような絶望の表情を貼り付けて通過していく。
でもこの男は違った。強情張ってるのとも違う。
きっと初めから泥の味を知ってたんだ。あの目は、俺を見下さなかった。
真っ正面から絡め取ってその怯えも隠さずに注ぎ込んで。
欲しい、と思った。だから探した。目だけじゃない、唇も掌も腕も、心臓も全部だ。
もっとがんじがらめにされたかった。
どんな方法でもいい、どうせキレイな言葉なんて吐けない。銃さえあれば突き付けて犯せって言ってた。
そんなんで良かったのに十分だったのに満ち足りる筈だったのに。
低い声はじわりと染み込んで膚の内側で蠢く。
そんなまるで優しいみたいに、真綿を首に絡めて。
544 :
2/2:04/04/29 06:22 ID:RM9N29bn
後頭部に背中に腰に足の裏に余韻。振り払わないでただ縋り付く。手をのばす。
離すな。剥がすな。全部持ってけ。連れて行け。
あんたが好きだ。
声に出さずに言うと眦に指が這う。そんな事でも嬉しくなってしまう。
危険、危険、この男は俺を弱くする。瞼の裏が赤く点滅。それでもいい、それでもいいんだよ。
しがみ付く力も奪われて、抑え込まれた肩がベッドに沈んだ。頭のてっぺんから爪先まで潤んでいく。
捕えるなら逃がすな。殴るなら殺せ。
あんたにだけは躊躇しないし、されたくもない。
なあ。
幻のように近付く、男の顔が緩く笑う。
「……来るか、俺と」
囁いた唇の形を、一生憶えておこうと思った。
545 :
542:04/04/29 06:24 ID:RM9N29bn
作品自体においては、過去に関しての詳しい描写は無いのですが、
あらすじに『憎しみとともに憧れも抱いていた』とあるのを見て暴走してしまいました。
すみませんでした、お目汚し致しました。
>>542 キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
このカプすごい好きなんで嬉しいー!
禿萌えしますた。ゴチっす姐さん。
パソ不調のため、長いこと書き込みできませんでした。
読んでくれる方がいらっしゃるかはわかりませんが、
完結するまで続けたいなと思ってます。
doorsやtowerなど、密かに萌えてました。
ここの姐さん方、マジで上手すぎです。
ユリアンをプリンセスガードに任命した直後、カタリナが暇を願い出た。
聖王遺物マスカレイドを奪われたことの、責任を取りたいという。
彼女ほどの剣士より奪い取ることから、相手の力量を測ることができる。
並みの腕前ではあるまい。
(困ったことになった・・・。)
護衛の兵士を、モニカの部屋に入れる訳にもいかない。
改めてカタリナの抜けた穴を大きく思う。
そして、彼女がいなくなったことによって安堵を覚える自分がいた。
教養があり、腕も立つ彼女は立派な貴族の娘である。
父フランツや大臣、そして彼女の父は、いずれ侯爵夫人にするつもりで城へ入れたに違いない。
彼女自身も、その意図に気づいていたはずだ。
もし彼女の期待に応えることができたなら、どれほど楽だったことだろう。
教養、技能、家柄、容姿。
どれも申し分ない。
彼女が「自分」でなく、「領主」に愛情を持っていてくれたのなら、まだ良かった。
だがミカエルは気付いてしまった。
カタリナが、自分という人間を愛してくれていることに。
だから、気付かない振りをした。
彼女は、侯爵夫人の立場に相応しいだろう。
しかし、彼女の愛に応えることが自分にはできない。
その決意を表すかのように、短く切ったカタリナの髪。
思いつめたように、引き締めた口元。
理由を尋ねたときの、伏せた眼差し。
悲壮なまでに、その姿は美しかった。
彼を愛してしまったことを、嫌でも思い知らされる。
彼に出会わなければ、自分はカタリナを愛したのだろうか。
彼女の後ろ姿を思い出しながら、ミカエルはグラスを傾けた。
冷たい風が、木々を揺らしていた。
ミカエルは影に城を任せ、外を歩くことが増えた。
隣国の視察といいながら、彼は旅姿で外出する。
ピドナの工房で出会ったノーラが、旅の仲間に加わった。
聖王の槍を探すのを手伝うというのが当初の目的であるが、ミカエルは工房に目をつけていた。
(ルートビッヒにやるには惜しい。)
離散した工房の職人を集める約束を交わし、いくばくかの資金を置いた。
ケーンがその金を受け取り、武器開発に着手した。
ノーラを連れ、ピドナを歩き回っていると知った姿が人目を憚り歩いていくのが見える。
彼、トーマスの後をつけると、そこはスラムの女神と呼ばれる女の家であった。
「ミカエル様!」
トーマスの紹介を経て、没落貴族クラウディウスの令嬢ミューズと対面する。
名は以前より知っている。彼女の父クレメンスが政敵に敗れたことも、その背景も。
迷子の子供を捜しに行かされたのは予定外であったが、彼女に出会えたことは幸運といえよう。
従者シャールに、困ったことがあればロアーヌを頼るよう伝えた。
迷子捜しを手伝ったせいか、彼は初めほどの警戒を見せなくなった。
「クレメンス卿には、数年前にお会いしたことがある。」
卿の名前を出せば残りの警戒を解くのも簡単だった。金を出し、彼に勧める。
「ありがとうござます。お気持ちだけ、頂きます。」
金を受け取ろうとしないシャールに、子供達の菓子代だと伝えるとミューズが礼を言った。
トーマスは窺うようにこちらを見ていたが、子供達の歓声に視線を移した。
軽い挨拶を済ませ、家を出る。
ピドナ王国がこの令嬢を押さえていないのは、大きな手落ちである。
彼女を担ぎ上げさえすれば、王国への反逆が正当化される可能性に気づいてない。
思わず、口元が緩む。
「アンタ・・・いや、アンタって言ったら悪いか。まさか侯爵サマだったとはね・・・。」
それまで黙っていたノーラが後ろで呟いた。
急なことで少し驚いたものの、外で侯爵と呼ばれる訳にはいかない。
かといって、呼び捨てにされるのは慣れていなかった。
>>530さん、続きが気になります!(*´Д`)ハァハァ
レオミカ続きキター!
ものっそい楽しみにしてました。
これからもがんばってください。
530です。読んでくださってありがとう。
+++
見開いた瞳は数秒間振動を凝視していたが、やがてぱちりと音のしそうな瞬きを
すると表情を整えた。
「重ね重ね失礼。――私は難波大学病院第一外科の剤然といいます」
差し出した右手は白く小さく、指先にはきれいに手入された爪が桜色に並んでいる。
華奢なその手を見て、振動はふと医学生になりたての頃のオリエンテーションで
教官が冗談混じりに「外科と産婦人科は手が小さい方がいい」と言っていたのを
思い出した。
「……江北医大の振動です」
外科医の繊細な商売道具に配慮して軽めに握る。熱くも冷たくもない、空気と同じ
温度を感じた。
「難波大の剤然先生、」記憶をたどる。「――と言うと、昨年大阪府知事の
食道ガンを執刀された……?」
初対面の挨拶用に取り澄ましていた顔が、また一転ぱぁっと華やいだ笑顔になる。
くるくるとよく表情の変わる男だ。
「ご存知でしたか」
「先に報道された病状なら、現職のまま治療するのは難しいと思っていました。
知事を早く復帰させたので驚きましたよ」
「回復が早かったのは知事に体力が有ったからです。私の手柄ではありません」
「それを消耗させない技術が有ればこそでしょう。最初新聞で読んだ時、あまりに
術時間が短かったので、分割手術かと思ったほどです」
「きみ――あ、いや、同じ医師であるあなたにそう言って頂けるとは光栄です」
整った顔をにこにことほころばせて、剤然は心底嬉しそうに答える。
腕に覚えのある外科医というものは、自分の技術に並々ならぬプライドを
持っている。それを賞賛されると、ある者は当然とばかりにふんぞりかえり、
もしくは口では謙遜しながら相手を見下すか、逆に妙に卑下してみせたりもする。
たいがいが難しい人種なのだ。
しかし剤然の笑顔は、信頼する大人にほめてもらった小さな子供のように純粋だった。
思わず見惚れていると、大きな目が今度は気忙しく壁の時計を見上げた。
「ああそろそろ僕の番だ、中に入らなくては」
次いで視線は振動の手の紙コップに落ちる。
「振動先生は病院に戻られるのですか」
「いえ、発表聞かせて頂きますよ、ぜひ」
ぬるくなった中身を急いで飲み干し、剤然と一緒に立ち上がる。
――まただ。
振動は、再び輝くような笑顔に照らされていた。
+++
今夜はここまで。
>>553 (・∀・)イイ!!禿しく萌えました。続き楽しみです!!
>>553-554 萌え〜
56タンのキラキラ笑顔が目に浮かびますた・゚+.(・∀・)+。・
>>553-554 3103と同じ顔に言われて、嬉しかったんだね。
誰よりも3103に、認めてもらいたかったんだもんね…。・゚・(ノД`)・゚・。
>>553 凄くいいです!
56タンの無邪気な一面(・∀・)イイ!!
是非是非続き読みたい(・∀・)
煽りのつもりではないのだけれども白い巨頭の書き手さん、いっそスレとか外部板とか立ててはいかが?
この溢れんばかりの創作意欲!
自サイトを用意するのも一つの手かも。
勿論毎日通います。
んー…確かに、続き物を予告して貼られると、
他の人が「自分が貼ったら横入り?」みたいな感じで遠慮してしまうかも。
前にこんな流れになった十二扉も、確か本スレにSsうpローダ作るか何かで
連貼り無くなったよね?
このスレのいいところってさ
まったく興味のないジャンルのSSを手軽に見れてしまうところだと思うんだが。
サイトを作られても通うほど思い入れもなく
でも貼ってあったら萌え萌えで読んでしまう、というかね。
スレは誰かの所有物じゃないんだから
誰でも何度でも貼れるような空気にしといたら?
気に入らないジャンルのSSがあったり
連貼りがうざいという人は見ない選択肢もあるんだしさ。
いろんなジャンルが混沌として貼ってある
この空気がマターリとしてていいと思うな。
興味ないSSやネタは読まんでスルーするからどうでもいい。
しょっちゅう出てくる話題だ<同ジャンル続きウザイ
で、いつも>561-563な流れになるんだよね。
いっそテンプレにこの流れを入れておいてはどうか。
>>562 同意。実際、全然知らなかったジャンルに萌えられて感謝した。
このままで不満は無いですけどね。
566 :
530:04/05/02 02:51 ID:thvg/WNx
530です。
この議論が私のせいなら大変申し訳ない。このジャンルで多くを書くつもりが
無いので、ここなら単発で書いて出して終われるかと思って投稿していました。
「スレとか外部板とか立て」たり「サイトを用意」する労力が必要ならば、
発表自体しない事を私は選択します。
「続き物を予告」したつもりもなく、むしろ自分が「横入り」だという意識でした。
もし私の書き込みで「遠慮してしま」った方がいらしたらお詫びします。
どんなジャンルもご存分に書いて頂きたいと思います。
私も562,565姐さん方と同じ意見です。
これだけは言わせて下さい。
>>530=566さん!!
勝手な意見だとは思いますが、是非最後まで読ませていただきたいです!!
このまま終わってしまったら生殺しです…(´・ω・`)ショボーン
>566
「カッコ」はやめとけ「カッコ」は。
私はこのスレッドは棚って事になってるんだから、
例えば1回の投稿で***-1〜***-5までの5レスあったとして
その間に他の投稿があったら(規制解除目的なら別)おいおいと
言いたいが、1回分の投稿が終わってるんだったら同ジャンルが
連続してる間に別のジャンルが入ってても無問題だと思うのだがいかがか。
知らないジャンルだけど萌えた!っていうのも結構あったので
横入りとか考えずに書き手さんにはどんなジャンルでも
気楽に書き棄てていってほしいな。
ちなみにホワタワ別板はジャンルに粘着なアンチが張り付いているので
建てるのは慎重になって欲しい。
ここへの誘導書き込み見るとちょっとハラハラするよ(;´Д`)
続きものを投下するならば、名前欄は固定でやって欲しい。
そうすれば専ブラであぼーんするのも楽で、文句が出にくくなるのでは。
あと、「今回はここまで」みたいな一文が入っていると割り込み感が強く投下しにくいと感じる。
別にうざいとは思わないんだけど
なんとなく馴れ合いっぽい流れになりつつあるような気がして
はらはらする…
>570
そだね
名前欄にトリップつけるか固定名詞入のタイトル。
投下数がわかるように各人で工夫すること。
っていうのを今後テンプラ追加したらよいかも。
それから感想の扱いは難しいよなあ。
他板みたいに感想スレ別に立てるのはやはり不味いですかね。
>572
うーん。感想スレ立てるほどの大きなスレでもないしなぁ…。
絡みスレみたいなのがあると良いのかも。
感想レスみたいな短いものが混じるのも、スレ寿命を延ばすために
丁度いいんじゃないかと思うけど。
ここは、へたれネタだろうがなんだろうが投下していいんだっつの。
「こうしたら」「ああしたら」ってのが出ること自体が
モララーのビデオ棚スレじゃないっつの。
ま、
>>559以降のレスもすべてモララーコレクションの一部なわけで……
____________
| __________ |
| | | |
| | □STOP .| | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ ) モウスコシマターリシタモノガホシイカナー
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>576
禿禿同。
でも>2でカオスすぎる状態についての戒めもある。
確認してないが専スレあるんでしょ?白塔は。
>566も下手な煽りはしないほうがいい。カギ括弧は嫌味どころか厨臭がする。
続き物予告に関しては「今回はここまで」と書いている時点でどう見ても予告だよ。
>570 >572案の名前欄固定文字列は採用して貰いたい。
繰り返し出る議論なわけだし、そんな大変な対処方法でもないんだから。
揉め事でレス費やすより名前欄に数文字入れるほうがよほどいい。
感想や絡みスレは不要だと思う。
まービデオ棚スレつってもAA板じゃなく801板なんだから、
多少のオリジナルルールが発生するのも仕方ないか…
>580
おまいはなんでもありのスレに来てるのにそれを言うのか…
なんでも投下してよしというルールのスレで
「あぼーんしやすく名前固定してほしい」、
「続きもの予告やめてほすぃ」と言うことの不毛さに気付いてくれ
>582
なんでも投下していいことと、名前欄に固定名を入れることは
何ら矛盾せず並立できると思うんだけど?
連投が気になる人が定期的にいて、連投したい人がいて、
だったらお互いが妥協できる点(見たくないならあぼーん汁)を
見つけてルールにしてしまえば、こんな毎度揉めることもないでしょうに、と思うんだよ。
純粋に疑問なんだが、名前欄に固定文字列入れることはそんなに抵抗のあることなの?
あと続き物予告に関しては私はしようがしまいが構わないが
>530が「続き物を予告」したつもりもなく、と言うもんでそりゃ違うだろうと思っただけ。
>583
…
>581 私もそう思うなあ。
そもそももともとのビデオ棚の形から離れて
単なるSS投下スレになっちゃった気がするので。
つまるところ最近同じジャンルが続きすぎて飽きちゃったってことだと思うんだけど、
確かにそんな意見は勝手だけど
書き手としては適当に加減するのも大切っていうか
空気読むのも必要では…
連投自体は私は別に気になんないけどあまりにも続くと
こういう流れになっちゃうからそっちのが心配になる
まぁ、これで連投ウゼ‐なお方達の目的は達せられたんだからいいんじゃね?
この流れでまだ連投するやつもおらんだろ。
つか、他人がマンセ‐されてると僻んだり気分を悪くするやつは
誰かがマンセ‐されてる状態になんとしても難癖つけてくるからねえ…。
連投くらいでしか難癖つけられんのが可哀相だけど。
知らないジャンルの連投が続いても、閑散としてるよりは全然いいのに…
>>582の言うとおり、投下しにくい流れにするのってあまりにも不毛だと思うよ(´・ω・`)ショボーン
毎スレこの話題が出てきて揉めるのも不毛だと思う。
投下しづらい雰囲気を作ってるのは書き手じゃない、ギャラリーだ。
もう終わりにしようぜ。次のビデオを見よう。
それじゃ今後
同じ話題がでたら過去ログ嫁ということで
このスレを覗くのが月に2〜3回の自分は
連投も何も気にならないな。
そうして530さんのがもう読めないだろうことが一番切ない
SS読むの楽しみにしてた人間の身にもなってくれ。
何回同じこと繰り返すんだ。
不毛だ…
____________
| __________ |
| | | |
| | □STOP .| | ∧_∧ オシャベリガオワッタカラ
| | | | ピッ (・∀・ ) 530タソノツヅキデモミタイナー
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
チビチビ投下するんでなく纏めて書いて
一気にすればいいんでない?
>596
いや、それも今回の流れの1つになってるわけで。
名前をつけて回数を明記すればいいのでは。
回数書くのめんどかったら名前だけでも。
ビデオ棚なんだからこんな議論は不要。
読ませてもらってる ことを忘れんな。
ウザいと思ったんならスルー汁!
>596
でも長いの一気に投稿しても「連貼りウゼ‐」言われるんじゃ?
(システム的に連投や長文投稿の制限もなかったっけ)
結局ここは短いものしかダメって事になるのか。
単純に読む方がウザイって言わなきゃいいだけの話なんだけどね
そうそう、自己中な馬鹿の為に書き手さんが離れていく。
ほんと最低。
ええい、いいからおまいらちょっと黙れ。
レスがもったいない。
>599
それで片付くなら2ちゃんはどこも平和だ…
こことは別に完全無差別なんでも有りの作品投下用スレでも立てますかね
>603
ここがそういうスレなのにそんなもの必要ないんじゃ?
530です。ものすごい書き込みにくいですけど、これじゃ他の人はもっと書き辛い
ですよね。前回(566)、本当はこれを落としに来たのでした。
+++
振動は外科の分科会には、テーマが救急と重なるものにしか参加した事がなかった。
特に体深部の臓器に発生する腫瘍など、例え救急で発見したとしても実際の処置は
外科に回してしまうから、彼は消化器腫瘍切除術の実技に関してまったくの門外漢
だった。
それでも高めの声でてきぱきと分かりやすく話す剤然の発表は彼を引き込んだ。
何より、多彩なスライドが物語る症例の多さには圧倒される。江北医大で第一外科と
言えば心臓外科の異名だが、難波大では消化器・呼吸器外科に「第一」の名称が
冠されている。それだけの事はあるというわけだ。
特に腫瘍摘除後の再形成術は素晴らしかった。救命センターでも馴染みの、事故で
断裂した傷とはだいぶ趣が違うものの、軟組織の修復手順は実際参考にもなる。
スライドが終わると灯りが点けられ、発表はまとめに入った。剤然はもう原稿には
目を落とさず、聴衆に自分の言葉が受け入れられたか確かめるように会場を
ゆっくりと見渡しながら話す。
手元の資料にメモを記して顔を上げた振動に、左から移って来た剤然の視線が
ぶつかった。と、壇上の医師はにこりと微笑む。つられて口元を緩めながら、
ひとりひとりを見つめて話すのは、講議する時の彼のスタイルなのだろうかと
振動は考える。
あんな風に目配りをされるなら、彼の授業で居眠りする学生はいるまい。
質疑に入ると若い医師たちが活発に手を挙げる。限られた時間内に剤然は全員を
捌ききるつもりなのか、早口でポイントを押さえた回答を返してはペンで次々と
質問者を指していく。
彼がまた一人を選んだところで割当時間の終わりを示すベルが鳴らされた。では
君が最後、なるべく手短にと促された相手が論文集を振り回しながら
「サインして貰えますかぁ?」と訊いたので、周囲に笑いが広がった。知事の
件は大衆誌にも取り上げられていたほどだ。剤然は消化器外科の世界では
それこそスターなのだろう。
剤然が冊子を受け取ろうと手を差し出しながら信奉者の所に向かうのを合図に、
聴衆もばたばたと立ち始める。今日のプログラムはこれで終わりだ。
振動がもうひとつ、剤然の発表をきっかけに救急で提案してみようと思いついた
事を資料の裏に走り書きしていると、視野の端からコツコツと人影が近付いて来た。
「振動先生!」
呼ばれて上げた目の前に、もはや見慣れた笑顔が有った。
+++
「今夜はここまで」について、確かに「まだ続くよ(だから割り込みすんな)」
にも読めるとご指摘が有って初めて気付きました。しかし私の意図はそうではなく、
「2レス消費しましたが、今夜の私の書き込みはここまでで終わり。この場を
お返しします」という、むしろ逆の意味のつもりでした。それを他の方には
「どう見ても予告」にしかとれない文面にしてしまったのは字書き失格ですね。
ご迷惑をおかけしてしまいましたが、声をかけて頂いたのはとても嬉しかったです。
ありがとうございました。
では、この場を本来の用途にお返しいたします。
>606=530さん、どうもありがとうございます!
書きにくい雰囲気になっていて申し訳ないような気もしていましたが
続き読めて凄く嬉しかったです。
またいつでも書き込んで下さると嬉しいです!!
続き読めてよかったよ。本当にありがとう530タソ(ノД`)GJ!
>530
もう読めないかと思ったよ。
ありがd!!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 今やってる連載の没コマだよ。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| な、何かネタ混じってるモナ。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ∧∧
| | | | ピッ (・∀・ )(´∀`; )(゚Д゚ ) (゚ー゚*)
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ| ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO_とUU0|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
* その1 *
弟者への想いを自覚してから
2chの801板を覗いたりもしてみた。
_ ∧_∧ キョウダイモノ ハァハァ
. / (*´/ ̄ ̄ ̄ ̄/
__(__ニつ/ FMV /____
\/____/
゚
。゚
γ⌒'ーo⌒'ー'⌒'ー'⌒'ーー'⌒''、
( 腐兄人生もイイかも……。 ,)
`〜'`〜'`〜'`〜'`〜'`〜'`〜'`〜'
* その2 *
弟者への想いを自覚してから
2chの同性愛板を覗いたりもしてみた。
結果…――
OK。ブラクラゲットよ。
∧_∧
∧_∧ (´<_` ; )
( ´_ゝ`) / ⌒i 兄者!?
/ \ | |
/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
__(__ニつ/ GAY / .| .|____
\/____/ (u ⊃
ガガガガガ
同性愛板の流石スレも面白いわね。
∧_∧
∧_∧ (´<_` ; ) や、801板とは雰囲気違うもんな。
( ´_ゝ / ⌒i
/ \ | |
/ / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
__(__ニつ/ GAY / .| .|____
\/____/ (u ⊃
ガガガガガ
* SS祭に割込みごめんなさい *
月刊午後連載の野球漫画SSです。
ぬるくてすいません。あと、キャラ名の漢字を実際のものとすこしいじってます。
____________
| __________ |
| | | |
| | |> PLAY | | ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
| | | | ピッ (・∀・ ) 健全モノダシ
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「あ。やられた」
がさごそとベッドの下を漁っていた安倍は、そこに何もないことに気づいて舌打ちをした。
ベッドの下に置いておいた青少年本は、どうやらこの間遊びに来た4番打者に
さらわれてしまったらしい。
「読みたい本もってけとは言ったけどな…。限度ってもんを知れよあいつも」
所有者に遠慮して少しばかり残しておく心遣いってものは……ないに決まってるな。
天真爛漫が身上の4番打者は、笑顔で清々しく雑誌を返してくるに決まっている。
どうしても!というほどでもなく、しとこっかなぁ?程度のテンションでティッシュを用意
したところだったので、今日は止めようかなぁと思う。
ネタがないのに、ただしごいても盛り上がりというか爽快感に欠けるような気もした。
ティッシュを戻す気にもならず、安倍はベッドに寝転がった。薄汚れた木張りの天井
を見ていると、こないだまでの合宿を思い出して仕方がない。布団にぎゅうぎゅう詰めになって、
マニアックな下の話題を話し続けた。
『俺、本よりも実物! 同じクラスの可愛いA子ちゃんとかさ。
夢の中でだけど大好きとか言われてそのまま……』
『えろー。なまじ本人知ってると困んねえか?その点俺はな、
理想のさ!ぼ!きゅ!ばぁん!を想像しながらやるわけよ!』
そんなことを言っていたのは誰だったか、なんてことは覚えていない。
だがその言葉自体は、不思議に心の隙間に残っていた。
グラビアの女じゃなくて、自分理想のぼ!きゅ!ばん!
いったい、どんな女性像になるのか。
女性というからには、やわらくて、暖かいものだろう。
たとえば。
合宿の夜にモモカンに捕まれた手の温もりを思い出した。
いや、違う。いくら、やわらかくて暖かかった上に巨乳とはいえ、
甘夏を素手で握りつぶす女は遠慮したい。
次に思い浮かんだのはマネージャーだったが、あいにくと安倍は彼女の手なんか
触ったこともないし、それほど好意を抱いているわけでもないのに、こんな妄想に
つきあわせるのも失礼だと思って却下した。
理想の女を想像していたはずなのに、いつの間にか周りの女性の品定めになってしまっている。
「気を取り直して、と」
今度はボディラインから想像してみるかと、腕を上げて架空のシルエットをなぞり出す。
ぼん、な胸からきゅっとしまるあたりで手がふと止まった。
こんなんじゃ抜けない。
自分に想像力がないからか刺激が絶対的に足りない。
この方式にも相容れそうにないということだ。
ため息をついて、安倍は上体を起こしてベッド端に座った。
さっさと本の返却を催促して。ほかにすることは何があったか。
三橋が朝練に付き合えと言ってきてたから、明日は早起きする必要があるな。
そういえば、三橋の手も握ったということを思い出した。ごつごつしてて、
冷えてて、モモカンの手とは全然違っていた。練習狂いの生活を続けた三橋の手は、
同年代の誰にも似ていなかった。
がんばったのだと分かる、好ましい投手の手だった。
『俺も、安倍くんのことスキ!』
ついでに言われた言葉を思い出し、柄にもなく赤面をしてしまった。
あの発言は友情で、直球三ツ橋だから何も考えずに言ったに違いがない。
やばい。
あの時の手を。眼を。思い出したのと同時に、正直なほどに下半身に血がたぎってくるのが分かる。
三ツ橋が理想のぼ!きゅ!ばん!なはずがない。あいつは男だ。バッテリーだ。うちのエースだ。
理性で必死に押さえるが、結局負けてテッシュに手を伸ばすことになってしまった。
脳裏に、先ほどの台詞がよみがえる。
『えろー。なまじ本人知ってると困んねえか?』
困る。困るに決まってる。明日、どんな顔で部活に行けばいいってんだろうか。
改行読みづらくてすいません。
ちなみに逆告白のシーンの台詞は、原作が手元にないのであやふやです。
重ね重ねゴメソ・・・
GJGJGJ!(;´Д`)l \ァ l \ァ
>614-617
萌えたよー姐さんグッジョブ!
>614-617
姐さん、激しくGJ!!
ハアハアさせていただきました(´д`*)
SJに連載中の『暁!!男塾』の組長×主人公SSです。
ヘタレ文章ですが……。
雨…降ってんだな。
障子越しに聞こえる雨音に、荒い息を整えながら、獅子丸は意識を縁
側の方へ向ける。
自分が此処……伊達の屋敷に来た時――まだ1時間も経ってはいな
い筈だ――には晴れていたのだが。
ぼんやりと、ここに来るまでの桃とのやり取りを思い出していた。
――獅子丸、今日と明日なんだが……
あ、御免、親父。伊達さんトコ行く約束しているんだ。
…そうか。あんまり伊達を困らせるなよ。
あ、ひでー!いつも迷惑なんて掛けて無いって!!
伊達と約束がある、と獅子丸が答えた時。
微かに寂しさを滲ませていた父の顔を思い出すと、胸が痛む。
剣 桃太郎。
現内閣総理大臣であり、自分の敬愛する父でもある。
多忙を極めるスケジュールの合間を縫っては、少しでも自分と一緒に過
ごそうとしてくれているのに……。
恐らく、自分と伊達がこんな関係になっているなどととは、気付いていな
いだろう。
いや、あの鋭い父の事だ、ひょっとしたら察知しているのかも知れないが。
「どうかしたのか、獅子丸」
獅子丸の思考を遮るかのように掛けられる伊達の声。
いつもは鋭さが目立つ眼差しも、こういう時は柔らかい。
「いや、先程まで晴れてたなと思ってさ」
汗で張り付いた前髪を払う指に心地よさを感じながら、伊達にそう答える。
「随分余裕だな…?」
そう言いながら、首筋に唇を寄せて強く吸い上げると、微かに声を漏らす。
そんな獅子丸の様子に微かな笑みを浮かべると、伊達は獅子丸の耳元
で囁いた。
「余計な事を考えんな…今は俺だけを見ていろ……」
そんな言葉と共に唇を重ねる。
舌を絡められ、貪るような口付けに、獅子丸の息が上がる。
長い口付けが終わると、そのまま耳朶を甘噛みされる。
「…伊達さ…んぅ…」
次第に押し寄せてくる快楽の波に、獅子丸が身を委ねようとした時。
離れのこの部屋に携帯電話の無機質な着信音が響き渡った。
「……っ」
「誰だ…?」
ビクリと大きく肩を揺らした獅子丸に、そう声を掛けると、伊達は傍らの携帯
を手に取る。
「…桃、何の用だ?」
伊達のその一言に、獅子丸の瞳が見開かれる。
父親には、こちらの様子など伺うことは出来ないのは分かっている。
しかし、責められているような気がして、瞳をぎゅっと閉じようとしたその時。
「……!?」
獅子丸の肩口に触れていた指が、そのまま胸元に降りてくる。
そしてそのまま微かに立ち上がった胸の突起に触れる。
思わず伊達の方を見ると、普段と変わらない様子で、電話先の桃と会話していた。
その間にも指先は少しずつ、理性を奪うように触れてくる。
「っん……」
声を押し殺そうと、奥歯を噛みしめる。
「ああ、それか…」
何気ない会話をしつつ、指は思う存分獅子丸の胸元に触れ終わると、そのま
ま腹筋をなぞり上げながら、下腹部へと伸ばされていく。
何とか声を堪えようと、横顔を畳に押し付けながら左の肩口に爪を立てた。
「分かった、また後で電話する」
そう言い終わって伊達が電話を切ると、獅子丸は涙目で思いっきり睨み付けた。
「伊達さん、アンタ、何考えてんだよ!」
「…悪い。やりすぎちまったな……」
零れ落ちる涙を唇で拭いながら、伊達がそっと抱きしめると。
「ああ、本当にな!…けどよ、それでも嫌いになれねーんだよ、アンタの事」
伊達の首に腕を回して獅子丸は呟いた。
桃ちんに子供が出来てたのですね。知らなかった。
というか魁に続編があったなんて知らなかった_| ̄|○
組長、4日がお誕生日でしたね。
私そっと祝ってましたよ。そして>623乙。
>614、ありがトン
大振、特に今月号読んで激しく萌えたのでここで読めて嬉しいです。
SCCで可愛いコピ本も手に入れたし、もっと増えないかな。
614タン、またよろしく〜
昔なつかし男闘呼塾スレを
思い出したであります!押忍!
久しぶりに魁メモをやってみるであります!
>>618 別カプ好きだけど、それはそれとして萌えますた!
ありがとうございました!押忍!
ここはオリジナルは投稿できないですか?
もとネタがあるような話が続いているようなのでちょっと場違いかなと躊躇しています。
批評してくださいスレ用に描いてみたけど投稿しなかったものとか
鬼畜スレに落とそうとしたけど甘甘になってしまったものとかあるんですが。
あとあまり長いとやはり嫌ですか?
>632
>1
>なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています
嫌な人はスルーすれば無問題
>632
現実的にあんまり長いとそれだけで叩く香具師が出てくるだろうから
気になるようなら小分けで貼れば良いかと
530です。他の方の作品を待つ間、また2レス使わせて下さい。
+++
「や、勉強になりました。症例が豊富で素晴らしいですね」
「はは、数だけはこなしてるんですよ。国にこき使われていると言った方がいいかな」
冗談まじりに答えた剤然はまた真顔に戻る。
「ところで先生、できれば先ほどの失礼のお詫びをしたい。仕事に戻られないのなら
一杯奢らせてはいただけないでしょうか」
「別に失礼など。気になさる事はありませんが、」
瞬間大きな瞳が曇ったのを見て振動は急いで言葉を継いだ。
「……そういえば私も喉が渇きました」
彼もこの、人を惹きつける笑顔を持った外科医ともう少し話してみたいと思っていた。
財前は大きく頷く。
「お誘いしておいて何ですが、私は横浜に不案内です。振動先生、どこかご存知あり
ませんか」
下駄を預けられた振動は少し考え回した。
「ビールと、軽く食事ができるような所でよろしいですか」
「ええけっこうです」
大阪に帰る剤然の為に、振動は新横浜にほど近い輸入ビールを多く揃えている店を
選んだ。
青と白のテーブルクロス、あめ色の垂木には船の操舵輪があしらってあるのを見上げ、
剤然は「いかにも横浜らしい店だ」と微笑んだ。
そんな風に店の趣味を誉めておきながら、奥のテーブル席に収まったとたん
下を向いてクスッと笑いを漏らした彼を振動が見咎める。
「何か?」
「いえ、なんとなく定食屋にでも連れて行かれるような気がしていたもので」
「そんな風に見えますか、私は」
振動は苦笑する。確かに自分は「横浜」という土地柄に似合う人間ではないかも
知れない。
「いえ、振動先生が、ではないんです」
相手はまだくっくっと笑っている。
「……ああ」
振動はこの「失礼」の事の起こりを思い出した。
「私はそんなに似ているんですか、その知人の方に」
「振動先生、ひょっとして関西方面に『聡見』姓のご親戚は……」
「いや、ありません」
「そうですか、聡見君というのは同僚の内科医なんですが他人の空似にしては
あまりにも良く似ている。遠目に間違えてしまった体格も、もちろん顔もですが、
声が本当にそっくりなんですよ」
「ああ、それで」
廊下での驚き方に合点が行く。
+++
では去ります。
530さん大好きです。
>瞬間大きな瞳が曇ったのを・・・
とか最高に良い。530さんの56タンめさめさ好みです。
二人が、とても好みの方向に動いてくれるのでたまらんです。
こんないいもんただで見させてもらっていいんだろうか。。
また続き楽しみにしております。
530さん
続き書いてくれてありがd。
>>530 好きだーーー!
また続き書きに来てくださいです。
ttp://toppg.to/up/img/kazuagi.txt エア・ギアのカズ×アギトです。一応設定とかあるんですが…それはエア・ギアの801スレの201を確認してください。
サワリの部分なんでまだウフーンな展開でも無いですし、久々にまともに書いたので激しくヘタレですがよろしくおねがいします。
感想とか駄目出し頂けると嬉しいでス。
>640
『私のSSを評価してください』スレなかったっけ?単に誤爆した?
感想とかを求めるなら、そちらに投下した方が宜しいのではないかと。
もしくは、ネタがあるなら直接このスレに貼ってくだされ。
>641
評価スレ行ってみたけど『パロディは対象外です』がばっちり1に書いてあった。
あくまでオリジナル専用のようですよ。
てか、ここって感想レス無しでFAになったんだっけ? 上で感想「スレ」をわざわざ
立てることはないって話にはなってたけど。
何の反応もない場所に淡々と投下していくのも寂しいような。
643 :
641:04/05/11 20:49 ID:hQDptJVY
>642
あ、本当だ。よく確かめもせず書いてしまってスマソ。
感想レスは今まで通りしていいんじゃないかな。
私もネタ投下だけが延々続いたらチョト淋しいと思う。
ただ、>640は自分から[感想くれ]って言ってるのがどうも…。
そういうのは自然と周りが反応するのでは?
たぶん>640はここがモララーのコレクションで成り立っているという前提を
よくわかっていないんじゃないかとフォローしてみる。
640は雑談スレの594で聞いてた人だよね
596だけでここに投下しちゃったのかと思ったら
時間を見るとこっちの方が先なのか
うーん
640は最初そのジャンルスレで投下したんだけど、
住人にスレでSSを投下されると萌え話しがしにくくなるから
モララーのビデオ棚(このスレ)に投下すればいいよと
誘導されてきた人だよ。
>>640 ここで投下されたネタはすべてモララーのコレクションであり、
それを上映しているという設定なので、作者が
感想や批評を求めるスレではないんですわ。
その話が人の心を動かせば感想レスがつくこともありますけど。
>>640 とりあえず続き楽しみにしてるから書いてほしい
感想は…全部終わってからの方が書きやすいからその都度書きはしないかもしれないけど…
塚、640にはまずスレの空気を嫁と言いたい
>640
まずこのスレを一通り読んで下さい。
続きを投稿するときはテキストをウプローダーにウプしなくてもいいです。
文章をそのまま投稿して下さい。
>640にこんなにレスがついてるのに、
本人がほしがってる感想が1っこもないな
>>646 感想書ける内容じゃないのでしょうがない
続き物の上、続きが楽しみとも言い難い
プロローグの導入部だけ晒されてもなあ
>>640 一応続きを楽しみにしている者の一人ですが、いよいようpする場所がなければ、
某エロカワイイスレの援護サイトにあるうpろだ掲示板をお借りしてはいかがでしょう。
この流れではもうここには投稿しにくいかもしれないけど、自分は続きが読みたいので。
あそこの掲示板なら割と無法地帯というか自由ですし、アギト関連ということでうpしても問題ないと思います。
>640
読んでみたけど…。
もし、これが自ジャンルで他に選択肢がなければ我慢してでも続きを読むかもしれない。
でも、個人的には文が途中で何度も途切れてて読み辛いし、
情景がまったく浮かんでこないし、続きも面白く無さそうなので二度と読まないと思う。
まったく魅力を感じなかった。
>>640 読んでみました。
ジャンルを知らないので内容についてはわかりませんが、
誤字/脱字/句読点誤りが目につきます。書いたまま読み返してないんですか?
本人が一度も読み返しもしないものを、他人様に読んで感想を寄越せというのは……
あと(外に読みに行くのは面倒なので)続きはここに直接投稿して欲しいです
もう続きがないのかもしれませんが、
>>537さん、また気が向いたらぜひぜひ投下してください。
激しく続きが読みたいです(;´Д`)
>640
一行の文字数は40字前後が読みやすいですよ。
あと、一文が長いので、読点を入れてくれるともっと読みやすくなると思う。
行を開けているのは間をとっているんだと思うんだけど、ちょっと単調な気がする。
場面転換にあわせて空行を変えてみたらどうかな?
内容は、短いし、元ネタがわからないので、まだ何とも…
続きを希望。
ここ数日のちょいと厳しめのレスは
>感想とか駄目出し頂けると嬉しいでス。
に引っかかってるの? 私はよくある締めの一文にしか取らなかったから
「感想を寄越せ」とまでは感じないんだけどな。
私も投下前に「感想などいただけたら嬉しいです」て書いたことあるし。
どちらかといえば
>それはエア・ギアの801スレの201を確認してください。
に、リンクも貼らずにこっちで探せと?とちとモニョったけど。
でもそこに突っ込んでる人いないよね。
それと、書き込みにくいとは思うけど>64タンもそろそろ出ておいでよ。
ネト落ちしてるなら仕方ないけど、一応反応はあったわけだし、
何か一言欲しいなあ。|∀゚)ノシ デトイデー
658 :
657:04/05/16 00:47 ID:H4D+SPpR
ぬぎゃー間違えた。
>640タンへのレスでした。>64タンごめんなさい。
>>657 多分それもあるが>640タソが空気読んでないから余計だと思う。
書き込みするなら、その前にそのスレを一通り全部読まないと。
でも、個人的にエアギア好きなので応援してます。
( 尸ー゚)尸 >640タソガンガッテ!
自分はエアギア知らないけど、このスレに則ってなんでもウマーと頂く様にしてるし
知らなかった元ネタも興味を持つようになった事もありまつ。
ただ、ここに直接投下しないでリンク貼ってたのは正直、その時点で跨いでしまう。
こんなご時世にふいんき(ryマターリしてても安易に踏めないし、色々心配しながら
そこまでして見る気もおきないでつ。
でも、感想レスもついてるし踏んでも大丈夫と知って、自分も文字柿精進中なので
勉強の意味もあり行ってみた。
最初の2〜3行だけ真剣に読んで、あとはササっと流してみますた。
興味そそられなかったので読み返さず閉じてしまいますた。ゴメソ。
自分は他人様の作品をどうこうと言える様な人間でもありませんし、謙遜じゃなくマジヘタレでつ。
人物説明や背景説明を一行二行に詰め込み過ぎる癖があり自分でも嫌なんで、
おこがましいでつがその点のみ、同じ匂いを感じますた。
>地面に倒れ込み、情けない悲鳴を上げる男が眼前に立っている左眼に眼帯を掛けた
>小柄な少年に問いかける。
とか、自分だけかもしれませんが一行にしてしまうのはくどいと感じますた。
で、二行に分けてみますた。↓
>地面に倒れ込み情けない悲鳴を上げる男が、眼前に立っている小柄な少年に
>問いかけた。
>見下ろす少年の左眼には眼帯が掛けられている。
↑
あまり変わってませんな(w
個人的な好みなので話半分でひとつ・・・なのでつが、
眼前に立っている〜の所は、立ち塞がる、とか立ちはだかっている、とかの方が
男の倒れ込んだという体勢とか目線とかが、より強調される様な気がしますた。
悲鳴を上げている一文で相手の確認も同時にしている意味を含ませてもいいと思うので
問いかける、は省いて、のちに悲惨な運命を遂げる彼の恐れや驚愕といったものに
してみるのもいいかな〜と・・・
>〜小柄な少年を恐々と見上げた(仰ぎ見た)
とか。
眼帯も掛ける云々というより、荒れている少年の苛立ちなど目の表情で描写しておいて、
でも左目(片方)は覆われてしまっている、とか、そんな感じに自分だったら
してしまうかもしれません。
例えば二人の人物が対峙した時の位置関係とか、漫画には到底及ばないけれども、
頭に情景が浮かんでくるような表現をしたいと思ってまつ。
それに近付きたい私的な希望があったりして。
自分の言い回しの好みなので、この方がイイ!という訳ではないのでつが、
長文ウザーな感想と思って頂ければ幸いでつ。
空気嫁てない上、ホントまとまってなくてスマソでつ。
ごめんなちい!肝心のアンカーがついてませんでした(;´Д`)
>640タソでつ。
ここってそういうスレじゃないと思うけど。
字書きスレみたい。
ウザ
>663
これもモララーのコレクションなんじゃね?
まあ空気読めてないと理解してるなら書き込まなきゃいいのに
とは思うけど
まあ話題を引きずらずに
さうです
>>640からはじまる、20レス以上にわたって続けられた大作でございます。
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ アトハヒトリデコソーリミルヨ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
好きなように呼ぶが良い、と言えば彼女はこのまま侯爵サマとでも呼びそうであった。
それは、困る。
「そうか、侯爵サマがこんなところをブラブラしているのはおかしいんだよね。」
どうやら察したようだ。
「何て呼んだらいい?」
少し考えて、ミカエルは答えた。
「ボロが出るくらいならアンタと呼んで構わない。」
外で侯爵と呼ばれるくらいなら、その方が幾分かマシであろう。
「わかった。そうするよ。」
ロアーヌへ戻るときにはノーラに金を渡し、宿に泊める。
ミュルスのパブで半ば強引に付いてきた詩人も一緒だ。
ロアーヌ領内で、彼らには自由に過ごしてもらう。
その間に、ミカエルは仕事をこなす。
施政者は忙しい。
彼らを数日宿に留めたまま、戦場へ赴いたこともあるほどだ。
しかし、いつしか城を空けて外にいる日のほうが長くなっていた。
「世の流れが、良くない方向に向かっている。」
ピドナの宿屋で、ミカエルが瓦版を広げながら呟いた。
増える魔物、それはアビスからの侵略者。
「死食からもう十数年。運命の子がそろそろ動き出すはずですからね。」
事も無げに詩人が言う。
「魔王も、聖王も、そうでしたから。」
ミカエルが鋭い視線を送る。
「たとえ本人が動かずとも、周りが動き出すのだ。
魔王、聖王。次に現れるのは神王だという宗教まである。」
トルネード、いやハリードの祖国は神王教団との戦いで滅ぼされている。
まだロアーヌは、教団と直接の戦争をしていない。
しかし近い将来、戦うことになるだろう。教団とも、そして、アビスの魔物達とも。
宿屋の窓からは、禍々しい魔王殿が見えていた。
「そういえば、あの扉は開かなかったよね。」
ノーラはミューズの家を訪れたときの、迷子捜索の時を思い出して言った。
迷子が見つからないまま殿内を歩き回っていると、開かない扉があったのだ。
「指輪で封印されているようだったな。」
ミカエルが答えるように呟いた。
「・・・魔王殿を封印したのは、聖王だろう。」
詩人がいつものように聖王の詩を奏でた後、
「ランスに住む子孫が、聖王遺物の指輪を持っているそうですよ。」
と言って、また別の曲を奏でた。
聖王家といっても、聖王本人には子供がない。
聖王の姉の子が聖王家として残っている。
邸宅を訪れて魔王殿の話をすると、当主の部屋へ通された。
「あの扉へ行かれたのですか。もう・・・そんな時期なのですね。」
彼は感慨深げに溜息をつくと、指輪をミカエルに渡した。
「この指輪が、奥へ進む為の鍵となっています。どうぞお気をつけて。」
扉の先には、封印された空間が広がっている。
そこにいるのは、アビスの魔物と、そして・・・。
当主に礼を述べて邸宅を出る。
その日はランスで宿をとり、休むことにした。
ミカエルは眠れないまま、窓の外へ出た。
寒い街だ。
白い息を吐きながら、夜空を見上げる。
懐から指輪を取り出して、月明かりでそれを眺める。
正邪を帯びた、妖しささえ感じられる光。
何故か、とても懐かしい気持ちがした。
指を通すと、その気持ちが強まる。
思い出すのは、あの城だった。
魔王殿の扉に指輪をはめ込むと、何かが開く音がした。
相変わらずマイペース投下ですみません。
マイナージャンルにとって、このスレの存在はありがたいです。
自サイトつくる気力のないヘタレなので、また利用させてくださいね。
>669
待ってますた!毎回楽しみにしてますハァハァ
>>669 前回レスできませんでしたが、毎回楽しみにしてます!
>669
いつも楽しみに読ませていただいてます。
次をお待ちしています。
530です。また2レス使わせていただきます。
+++
振動にそっくりな「聡見君」とやらは、難波大で第一内科の助教授を務めていると
言う。剤然とは学生時代からの同期でもあるそうだ。
「いつもよれよれの白衣を着て、いわゆる研究バカでもあるんですけどね、」と
外科医は続ける。
地道に抗ガン剤の研究を続ける一方、臨床では読影に長け、しょっちゅうCTやら
MRI画像を携えて外科を訪ねて来るのだと。
「聡見君の『意見を聞かせてくれ』だの『相談に乗ってくれ』って言うのは、
結局は『君が切ってくれ』って事で――」
どうやら剤然の豊富な症例に、その男は大きく貢献しているらしい。
「聡見君」のエピソードを語りながら、剤然は時折視線を揺らし、笑いを噛み殺す
ような仕草を見せる。同僚そっくりな相手に、当の同僚の話をしている事が
面白くて仕方ないようだ。
何か言っては振動の顔を窺い、ひとり勝手に笑っている剤然。
彼が繰り返し謝る通り失礼千万な話ではあるのだが、振動には何故かそれが不愉快
ではなかった。
相手の様子が、知人に似た振動の顔をただ面白がっているだけというより、とても
楽しげだったからかも知れない。
同僚をおもしろおかしく肴にする冗談めかした口調ながら、言葉の端々に彼が
「聡見君」に寄せる信頼が垣間見えた。剤然は同僚という言い方をしているが、
学部からの同期生であれば、彼らはきっといい友人同士でもあるのだろう。
そんなに親しい者でさえ見間違えるほど自分に似た男が居ると言うのは正直少々
気味が悪い。しかしそれがこの花形医師の信用篤い優秀な人材である事は何となく
嬉しいものでもあった。
「すみません話題を変えましょうか。時に振動先生、江北医大の救急の体制は――」
剤然はきゅっと表情を引き締めて背筋を伸ばした。
外科と救急はしばしば患者を受け渡す関連部署ではあるけれど、自科の日常に忙しく
互いの現場の実情にまで踏み込む事は少ない。それぞれの第一線で働く医者どうし、
真摯な情報交換が始まった。
体制を語れば互いの科の違いが浮き彫りになる。担当シフト以外は計画を立てようも
無く、飛び込んで来る重傷軽傷の患者を次々と捌く救急と、個々の患者の状態に
合わせ綿密にチームをスケジューリングして取り組む外科。彼らは相手を羨むよりは
それぞれに避けられない苦労を思い遣る。
食事をしながら会話は弾み、詰まるところ医者とは頭を使いつつも結局は体力頼みの
仕事だという事でふたりの意見は一致を見た。そして、人員・時間・施設や設備
すべてに制限が有る中で患者の命を預かる重責はどこに居ようと変わらず、
いつ何が起こるか判らない緊張感と、不測の事態に対応できるキャパシティを備えて
いなければならない職責の重さを受け止めながら、それこそがやりがいを生む面も
あろうと頷き合う。
すっかり意気投合した彼らは、最終ののぞみの時刻までもう一軒飲みに回る事にした。
530タン待ってました!明日も仕事頑張れるよ…!
530さんありがd。
遅くまで起きててよかったよ。
530さんいつもありがとう。二人のこれからが気になります(*´Д`)
うああああうああああああああ
いい。とにかく(・∀・)イイ!!
gjです。>530さん
530さんありがとうありがとうありがとうありがとう
何度言っても足りないくらいだよ
PCにおじぎしまくっちゃったよ
これで明日もがんばれる〜
530さん、いつも本当にありがとう!
沈んだ気持ちも完全に浮かびあがって、明日から頑張れます。
剤前タソ・・・(*´д`*)ハァハァ
おひさしぶりです。
>>537に31056小説を置いてったものです。続きを書いてみたので
懲りずに置かせてくだせえ。またしても暗いです
最近、とみに材前の横顔に陰りが深まった。
口元にはいつもの笑みをはりつけたまま、目の奥は氷のように冷たい。
誰にも触れさせず、開かず、心をぴたりと押し込むように閉じ、
材前は日々を生きていた。
自分だけしか信じられるものは存在しない。
彼は崖っぷちを目を閉じて歩いていた。そんな生き方をしていた。
「なんか最近うちの郷実先生と材前先生、前以上に
ぎくしゃくしてないか?」
武内は廊下で楊原を呼び止めると切り出した。
「…俺もうすうす感じてたんだけど」
まぁあの二人はつき合いも長いし、俺達にはわからない対立もあるんだろうけど。
そういうと楊原は目を落とした。
確かに、最近の郷実と材前は周りが気を使うほどにぎこちなかった。
業務連絡の際も一切目を合わせようともしないし、口調も堅い。
横から武内達が合の手をいれようものならギロリと睨まれる。
「なーんかやりにくいんだよなぁ〜〜。おかげでこっちが気ぃ使って肩凝るっつの」
うんざりとした表情で武内はボヤいた。
「まぁヘタな勘ぐりはよそうぜ。そういうの好きじゃないよ」
楊原が言い含めると「はいはい」武内は笑って「さ、仕事仕事〜」と伸びをした。
「俺からは以上だ。君からなにかあるか?」
郷実は机の一点をみつめながらいうと相手の返事をまった。
時計の秒針の音が妙に響く。
「いや」材前はそういうと椅子を引いて立ち上がる。
「それじゃあ」
カルテを束ねるといつものように目を合わせず
立ち去ろうとする。
ふと材前の細い右手の人さし指に絆創膏が貼ってあることに
気付いた郷実だったが、言葉を飲み込み俯いた。
材前は立ち上がったまま動こうとしない。
不審に思った郷実は顔をあげた。
「どうした?」
「いや…。」含むように笑うと
「早く出ていってくれと顔に描いてある」材前はそういって背を向けた。
何もいえず、郷実はまた机に目を落とした。
ドアに手をかけた材前はそのままその場に倒れこんだ。
郷実はスローモーションのようにその様を見ていたがふと我に返り駆け寄った。
「おい」
材前の顔は真っ青だった。額にびっしりと汗をかいている。
貧血のようだ。
両脇から腕をまわして支えると材前は気を取り戻した。
目が一瞬郷実の顔あたりを彷徨うと、ぴたりと目があった。
何週間ぶりかの材前の瞳だった。
郷実は胸の奥があつくなり抱き締めたい衝動に駆られた。
「すまんな」材前は細い声でいうとバツが悪そうに俯いた。
「寝ていないのか」
答えは沈黙だった。
「君は……」何かをいいかけたが、いや、いい、と郷実の腕をふりほどき
材前は立ち上がった。
「何だ?」郷実は問いかけたが
「迷惑をかけた」そういうと足早に部屋からでていった。
この時もう少し二人が大人であったら正常な軸に戻れたのだ。
しかし、それには幼すぎた。
********
以上です。おつき合いありがとうございました。
>>682 すっごく待ってますた。
続き書いてくれてありがd。
>>682 キタ━━━━(*゚∀゚*)━━━━!!!!
待ってました!!!
くっそー切ないぜチクショー
切ないです。幸せになってほすぃ
捕手
>>682の続きを投下させていただきます。
長いかもしれませんがよろしくお願いします。
↓
「………っ!」
短い悲鳴とともに郷実は飛び起きた。全身にびっしり汗をかいていた。
時計を確認する。午前3時。まただ。
「…どうしたの?」
「悪い。起こしたか?」
「ずっとうなされているみたいだったわよ」心配そうに光世は瞬きした。
「ああ…。すまん」
材前をめちゃくちゃに犯す夢。
なんだというんだ。このところずっとそんな悪夢にうなされている。
「武内、おい、この患者…」
「はい?」
「まだ外科のほうに話を進めるのは早いといっていたじゃないか」
郷実は乱暴に武内からカルテを奪った。
最近ピリピリしている郷実に内心溜息をつきながら
「でも有外教授がはやく外科に受け渡せと…」武内は小さな声で言い返した。
「もしかしたら胃のほうへ転移が認められるかもしれないといっていたはずだ」
言い終わらないうちに郷実は医局をとびだした。
廊下で医局員とぶつかりそうになる
「失礼」確認すると楊原だった。
「君、ええと…この患者の執刀医は?」カルテをつきつけた。
郷実の慌てぶりに不審な顔をしながらも「東教授ですが」
それがなにか?楊原が逆に聞き返すと
一瞬郷実は難しい顔をしたが「ありがとう」とまた走り出した。
東教授。不在。
プレートを確認すると仕方がなく程近い材前の自室をノックした。
「どうぞ」
中から小さく返事があった。
小さく深呼吸すると郷実はドアを開いた。
「いきなりおしかけてすまん」
材前は意外な来訪者に驚いているようだった。
「あ、ああ…」吸いかけの煙草をもみ消しながら
材前はいつもの笑顔をつくった。
「どうしたんだ。いきなり」
「いや…」郷実は頭の後ろを掻きながら俯き
「体調はどうだ?戻ったのか?」ふとこの間のことを思い出した。
いきなり自分のことを聞かれた材前はまた驚いた顔をしたが
「ああ。心配をかけたな、大丈夫だ」
「そうか…。」郷実は眩しいものでも見るかのように目を細めた。
何ごともなかったかのように会話をしている。
そんな事実が余計に自分達を汚い大人だと知らしめていた。
材前の細く白い指。まだ絆創膏がはってある。
首筋、俯いたまつげ、唇、すべてが郷実を挑発しているように思える。
いや、それは俺の思い上がりだ。そうでなければ困る。
「そんな用事でわざわざきたのか?」材前の言葉に現実にひきもどされた。
郷実は瞬きを数回すると、カルテを差し出し
「実はこの患者なんだが…」ときりだした。
「東教授は4日後までもどらないよ」
「じゃあ、君の方から話を通しておいてくれ。5日後の手術の日程は白紙に戻すということに」
郷実がいい終わらないうちに「断る」と材前は吐き捨てた。
「時間がないんだ、頼む」
「有外教授から東教授へのじきじきの患者だろう?何故僕が関わらなくてはいけないんだ」
「おい、本気でいってるのか?」
郷実は勢いあまって材前の肩を掴んだ。びくりと材前の顔が引きつる。
「すまん」郷実がぎこちなく手をはなすと
「郷実、全部が全部、君みたいな医者ではないんだよ」
材前は低い声でそう告げると、煙草に火をつけた。
*********
ふと眠気に襲われて目頭をこする。
目の前にコーヒーが置かれた。
「お疲れさまです」
武内だった。
「もう1時をまわってますよ。終電終わっちゃってるじゃないですか」
「ありがとう」郷実はコーヒーをすすりつつ
「君こそもう帰りなさい。俺はもう少し詰めていくつもりだから」
そういってパソコンに向き合った。
「昼間の患者のことですが…」武内はそういって黙ってしまった。
「君が心配することじゃない」
郷実が促すと、失礼します、と武内は退出した。
シンと静まり返る室内。フラスコを回すモーター音だけが響いていた。
カタンという物音がして振り向くと
スーツ姿の男がふらりと入ってきた。
どこかで酒を飲んできたらしい、材前だった。
「こんな時間にどうした?」
内心の動揺を悟られないように、硬い声でパソコンの液晶から目を離さずに問いかける。
「用事がなくて来ちゃ悪いか」
材前は郷実の斜後ろの椅子に座ると机につっぷした。
「酔ってるのか?」
返事はない。
「だったら出てってくれないか。酔っ払いの相手はもう」
いいかけて郷実は黙ってしまった。嫌な記憶を掘り返すところだった。お互いに。
「あの患者のことだが…やっぱり俺が東教授に掛け合うことにするよ」
郷実がいうと、材前は飛び起きた。
「君はバカか?」郷実に詰め寄る。
「そんなことしたら君は有外教授になんと思われるか、解って言ってるんだろうな」
材前はまくしたてた。
「ああ」郷実がやれやれといった感じで頷くと、いきなり左頬を痛みが襲った。
どうやら材前に殴られたらしかった。理解するのに数秒かかってしまった。
材前は肩で激しく息をしていた。その顔は怒っているようにも泣いているようにも見えた。
自分の行動に一番驚いているのは彼らしかった。その彷徨う瞳。
郷実は猛烈に彼を抱きたいと思った。
殴られたショックで頭がどうかしたのだろうか。
出ていこうとする材前の足を払うと強引に床に押し倒した。
恐怖の余りに暴れる材前を上から両手で押さえ付ける。
体格で材前に勝ち目は無かった。
「どういうつもりだ!離せ!」
強引に口を唇で塞ぐ。あの時と同じく冷たく柔らかい唇だった。きつく舌を吸う。
耳たぶから甘い匂い。この男の汗の匂いか。
郷実は材前のシャツに手をかけた。乱暴にネクタイをほどき
柔らかい胸の皮膚に吸い付いた。
材前は依然暴れていた。手が空を切り、郷実の頬に爪の後を残す。
「きみはこんなやりかたで…」
材前の頬を涙がつたった。その涙を舐めとり、郷実は材前のベルトを引き抜く。
足首を掴むと強引に股を開かせ、露になった内股の皮膚を舌でなぞった。
皮膚が薄く血管が青く透けて見えた。
材前は言葉にならずに戦慄いた。
尖った胸の先端を指で押しつぶしつつ、下着に手をすべりこませた。
材前の体は軽く痙攣をおこすしたように震えている。
夢なのか現実なのか。
腰を持ち上げるといっきに貫いた。材前の白い両足が人形のように郷実の肩の上で揺れた。
悲鳴。嗚咽。
いたい。いたい。おねがいだ。とめてくれ。
壊れたレコードのように繰りかえされる材前の呟き。
互いの荒い息遣いだけが室内に響く。
材前の大きな目からは涙がとめどなく流れていた。
「俺は君を憎んでいるのか…」
愛しているのか…。
両手で小さな顔を包む。
やがて材前の呼吸に艶めいたものが混じってくる。
痛みから解放され快感だけが腰に伝わってくる頃だった。
頬に赤みが戻り、まつげは小さく揺れ、壮絶な色香だ。
材前の喘ぎをききながら、郷実はこの男の体に溺れていく。
いつまでもこの狂った交わりは終わりそうになかった。
********
終わりです。やっぱし長かった…。
お疲れ様、禿しくGJです!
あぁ・・・寝る前にもう一回見に来て良かった・・・(*´д`*)ハァハァ
>>691-695 フオオォォォ(*´Д`)
続きすっごい楽しみにしてました!
ありがとん、そしてGJ!!
なぜか一瞬の清涼剤のような郷丈(丈郷?)に微萌えしてしまいまちた。
690タンはそういうつもりじゃ全くなかったとは思うんですが…
いつどこで萌えの神様がやってくるか油断できませんねハァハァ
>>699 保管庫管理お疲れ様です。
・
>>483-484514-517>522-527>537-538>683-685>691-695
・
>>530-531606-607>635-636>673-674
の二作品が同時上映中かと思います。
間違ってたら訂正よろしく(;´Д`)
>>700 ありがとうございます。修正しておきました。
>>690にSSを投下したものです。
>>700さん、お調べくださりありがとうございます!
>>699さん、保管庫ってどこにあるのでしょうか?
その時その時で気侭に書いたものなのでつじつまあわない部分が
多々ありますが、SSは一応続いてます。
よろすくお願いします〜!
>702
>>1 (*´∀`) <イツモモエヲアリガトウゴザイマス
704 :
702:04/05/25 01:00 ID:q6s2B3mw
>>703 ありがとうございます〜。まとめてくれていたんですね。
恐縮です!
場所をお借りします。某ミステリネタです。
706 :
1/6:04/05/25 16:05 ID:PlWLH81x
月は翳ろいを帯びていた。半透明の靄がかかり、濃紺の夜空に滲んで見える。
それが天の高みにあってぼんやりとした光を投げ掛けては冬の街を照らし出している。
冷え冷えとした夜気は肌に鋭いが、同時に心地良くもあり、
迫り来る年の瀬の熱に浮かされた人々の肌から体内に染み入っては心を覚ます。
バレエ、と彼は呟いた。夜の静謐の裡に隠れたその部屋にも月光は等しく降り注いでいる。
「ずっと習っていたとかいう、それか」
そう、と相手は晴れやかに微笑んだ。勤め先ではおキミちゃんの名で呼ばれている。
「明後日がお店の忘年会だから、ちょうどいいと思って。演し物はサロメ」
その言葉に頷いて、氷沼蒼司は冷えかかった煎茶を啜った。
近頃では酒を飲む気にもなれず、
やむを得ず口にする場合でも決して美味いとは思えなくなっていた。
血を温め、同時に心をほぐしてくれる筈のその液体は、
今の彼にとってはほろ苦い水でしかない。
「やっぱり、見に来ては貰えないんでしょうねえ」
おキミちゃんはからかいと不満を混ぜ合わせた表情を作り、
そのまま真正面から蒼司を見据えた。
蛍光灯の白い光の中に浮かび上がる顔は目元涼しく、
仕事中とは違い化粧気のない面貌は、衆目を引かずにはおかない美しさを持っている。
小首を傾げて微笑む仕草からは、悪辣さと奇妙な純真さが複雑に縒り合わされて仄見えていた。
それがおキミちゃんの魅力を一層引き立てているのは間違いのない所だが、
今夜は純真さが勝っていると見え、自分も煎茶を喉に流し込みながら蒼司の向かい側に座り込んでいる。
そうして頬を膨らませる姿はいかにも愛らしい。
今の蒼司にとって、秋以来強張り続ける心を和らげてくれる殆ど唯一と言ってもいい存在でもあった。
707 :
2/6:04/05/25 16:05 ID:PlWLH81x
「せっかくだから、と言いたい所だけれど。俺はどうもそういう場所が苦手でね」
「近頃じゃ、ママまでがうるさいったらありゃしない。
お前の旦那は一度も店に顔を見せておくれでないねなんて言われて。
一体どんなお人なんだいって訊かれてばかり――その度に、盛り場が苦手な人だって答えて」
苦笑まじりの不満に同じく苦笑で答えて、蒼司は窓の外に視線をやった。
カーテンを開けた窓から見上げれば、そこにあるのはひっそりと佇む月。
いつしか夜空は晴れ渡り、月を取り巻いていた靄は何処かへ姿を消したものらしい。
ようやくすっきりとした顔を覗かせた月、不意にそれは残酷なものとして蒼司の目に映った。
――なぜそう思うのか。彼自身、確たる答えを持ち合わせないままに思ったのだ。この月は残酷だと。
おっとりと放たれる柔らかな光。それが蒼司の中に蹲るものを抉り出して
彼の目前に突き付ける、そんな錯覚を覚えて小さく首を振る。
自分だけではあるまい、と思う。今夜、この月光に秘めたるものを暴かれる気がして首を竦めたのは。
遠い一夜、両親と弟と連れ立って出かけた時のことを思い出す。あれはいつのことであったのか。
車窓の向こうに広がる夜空と、そこにぽつんと浮かぶ満月の、その姿が思いもよらず鮮明に蘇る。
弟は言ったものだ、お月様がついて来るよ、と。ずっと僕達の後をついて来る、
お月様がじっと見ていると怖がって母の腕に縋り付いていた。
そう見えるだけだよ。蒼司そうは笑ってみせたが、今夜になってなるほどと思わずにいられなかった。
――お月様がじっと見ているよ。
ふと脳裏に響いた声は、果たして誰のものであったのか。
708 :
3/6:04/05/25 16:05 ID:PlWLH81x
「……どうしたの、黙り込んで」
傍らから発せられた声に、蒼司は物思いから引き戻された。
おキミちゃんは蒼司の隣にやってくると、そのまますとんと腰を下ろした。
切れ長の目には不審の色が滲んでいる。
「いや、大丈夫だ。月を見ていただけだよ」
「月?」
「ああ。ほら、綺麗だろう?」
言って、そこを指し示す。
「あら、本当。いい月だこと」
おキミちゃんの無邪気な声音と横顔に、蒼司は口元を綻ばせた。
「お前は怖くないか? あの月の光が」
「怖い?」
心底驚いたという風におキミちゃんが軽く瞠目する。
「どうして?」
「どうしてだろうな。そんな気がしたんだ。まるで見られているような……。
隠していたものを暴き出されて、これがお前だと目の前に突き付けられるような気がした」
「太陽はあんまり大きくて眩し過ぎて、だからそれ程怖くない。でも、月は夜のもの。
真っ暗な場所をそっと照らすから、その優しい光が却って怖くなる。
だって、誰だって一つや二つは内緒ごとを持っているもの。
どうだ、お前は私の秘密を全部見たぞなんて言われている気になってしまう。
夜の暗さがそのまま自分の秘密のように思えてしまって、だからそれを照らす月明かりが怖い」
709 :
4/6:04/05/25 16:06 ID:PlWLH81x
どこか歌うような、夢見るような抑揚でおキミちゃんは言い、それからにっこりと破顔した。
「あのね、サロメにも月光が付き物なのよ」
そう言ってゆっくりと立ち上がり、お隣もお向かいも今夜はお留守だからと悪童めかして笑う。
「お店で見て頂けないなら、今ここで踊ってもいいでしょう。大丈夫、うるさくしないから」
そうして、蒼司の返事も待たずに小さな机を部屋の片隅に寄せてしまう。
灯りを消して部屋の中央に立ち、小声で音楽を口ずさみながら軽やかに舞うのだった。
冴え冴えとした月光が窓から差し込み、クリーム色のセーターを纏ったサロメを浮かび上がらせている。
時折、たった一人の観客に視線を走らせては艶然と微笑んで見せるが、
蒼司を今宵のヨカナーンに見立てているのは間違いない。
無垢な乙女さながらに清らかに笑み、体重を感じさせぬ程軽やかな身のこなしを見せたかと思うや、
ゆるゆると物憂げに、そこにある空気さえ邪気を孕んだかのように昏い瞳で繊手を差し伸べる。
――触れてくれぬのならその首を貰い受けようぞと言わんばかりに。
それへふと手を伸ばしかけて、わざと引っ込める。
おキミちゃんはそんな蒼司の仕草が嬉しいらしく、
意地悪なヨカナーンねと鼻歌の合間に言ってみせるのだった。
710 :
5/6:04/05/25 16:06 ID:PlWLH81x
やがて束の間の小さな宴が終わりを告げた時、
時刻が時刻なだけに控え目に拍手を贈りながら、それでも蒼司は絶賛した。
「お見事」
彼らしい短い言葉ではあったが、踊り子は満足げに胸を逸らせた。
「本当に?」
「俺はこういうことには疎いけれど、それでも分かるよ。良かったよ、とても」
「嬉しいこと。頑張ってお稽古した甲斐があったというものだわ。
蒼司さんに誉めて貰えないんじゃ意味がないものね」
「大丈夫だよ。だから忘年会でも自信を持って踊ればいい」
その言葉に、おキミちゃんは心底嬉しそうに笑む。
灯りをともすのが惜しいというように、そのまま腰を下ろして月を見やる。
「月に見られても平気」
まるで挑みかかるような口調で言う。
「見られようが見られまいが、秘密があろうがあるまいが、生きていることに違いはないもの。
月に見られて生きていけないなら、この世のどこにもいられない。
見たいというなら見せてあげればいいだけのこと。
一切合財が自分、少なくとも、今こうやって生きている自分が間違っているとは思わないから。
そりゃあ、あたしはゲイバアのボーイだけど、それがどうしたって言えばいい」
間違っていたとしても、とおキミちゃんは続ける。
それもまた自分、それならどうぞと月に見せて差し上げよう――
711 :
6/6:04/05/25 16:07 ID:PlWLH81x
蒼司も夜空を見上げた。その視界の中、決してお前を見逃すまいぞと月が瞬く。
だが、先程まで彼を捉えていたあの感覚はいつしか消散していた。
いいだろう、と声に出さずに呟く。
それなら見届けるがいい。お前が遠い未来までも輝き続けるものならば、
この先俺の人生がどうなるのか、寸分漏らさず見届ければいい。
――他にはいないのだから。これから先、蒼司が何を思い何を為すのか、
全てを見ていられる者など月以外にあろう筈がないのだ。
そうして口辺に笑みを刷く。それはどこまでも静かで、深く底のない湖のような笑顔。
それを夜空の番人に贈り、蒼司はその細い指先をカーテンの飾り紐に掛けた。
それは音もなくするりと解け、罪咎に慄くように深緑色のカーテンは揺らいだ。
やがてそれが閉ざされた時、どこからか現れた薄墨色の雲が月を覆い隠した。
<了>
巨、巨無へのクモシ…!?
すげえ、すげえよ姐さん!
このスレ見ててよかったよ!
>>706-711 うおぉぉぉ・・
まさかこんなモノが拝めるなんて…
ありがとう姐さん
ありがとうモララー
こまめにチェック入れるもんだね
おおっ、N井H夫のあの話のネタが読めるなんて!
しかも蒼司好きなんだよー。
姐さん、GJです!
>>712-714 自分でもいつ書いたのか分からないような古いものを偶然見つけて
こちらに誘導して貰い投下したのですが、読んで頂けて嬉しいです。
有難うございました。
>715
ジャンルは知らないけども、雰囲気のあるいい話だなぁと思ったよ…。
読ませてくれてこちらこそありがd
>>715 カーテンが閉まった後は、と思わず妄想してしまいました。
素敵な蒼兄さんとおキミちゃんをありがトン。
何と懐の広いスレか…
スレ主がモララーだからね。
>>695の続きです。場所お借りします。
****************
「めずらしいね」
佳子は材前の隣に腰を降ろすとグラスに酒を注いだ。
「めずらしい?」
材前が聞き返すと、困ったように笑った。
「なんか伍郎ちゃん疲れてるみたい。へんに色っぽくて」
「最近オペがたて続いてるんだ」
材前は早口で答えると煙草をを取り出した。
ライターで火を点けながら「お店にくるのも久しぶりじゃない」
耳もとに口を寄せながら
「他にいいひとが出来たのかと思ってたわ」と囁いた。
「まさか」
材前は言うと佳子の肩を抱き寄せた。
疲れているのは本当だった。
あの研究室の一件以来、材前と郷実はほぼ毎日といっていい程、体を重ねていた。
互いの欠落を埋めるかのような交わり。
なんの生産性もない、意味もない愚かな行為。
指定のホテルに現われると二人は言葉をかわすこともなく求めあった。
30分足らずの短い味気ないセックス。
自分の上で郷実の顔が快感に歪む。
いつも涼しいその目もとが欲望に染まり鈍い光を反射する。
この男のこんな顔を見れるのは自分だけだと思うと
材前は体が震えるような興奮を覚えるのだった。
その一瞬だけ何かに、それは郷実自身なのか?、に近付けたような
気がして。そんなはずはないのに。
意味を考えだしたら底なしの穴に落ちてしまう。
ここのところ材前は痩せたように思う。
無理をさせているのは他でもない自分だった。
郷実は溜息をつくと口を手で拭い、机につっぷした。
モーター音が響く。医局のものは皆出ていて自分1人だった。
当たり前じゃないか。
元来、男の体というのは男を迎え入れるために
できているわけじゃない。あんなに回数を重ねれば
疲弊していくのは当然の結果だ。
それでも郷実は材前を抱き続けた。
歯止めがきかなかった。欲しくてたまらない。
こんなに執着をする人間だとは思わなかった、自分が。
材前は酷く感じやすい体だと、気付いた。
ちょっと刺激を与えただけで息も絶え絶えになり、
目もとがおかしくなり、途端に潤む。
肌は吸い付くように柔らかく滑らかで甘かった。
感度が良いというのは諸刃の剣だった。
何かに追い立てられるように郷実は材前をひどく
責めてしまうことがあった。
これ以上いっては危険だと頭でサイレンがなっているのに、止められない。
一度ならず、二度も気を失わせてしまった。
全身が痙攣を起こし、真っ青になって、意識をとばした。
瞬間、デジャヴのような喪失感に襲われ、夢中で材前の頬を叩き、呼び戻す。
薄く材前が目をあける。
背中を冷たい汗がつたう。
こんなことを続けていたら、駄目になる。
俺も、この男も。
************
終わりです。ありがとうございました。
うおぉ〜
>>720さんいつも本当にありがとうございます。
続きが読みたくて読みたくてこのスレしょっちゅう覗いてしまいます(*´Д`)
>>720-
>>721 回を重ねるごとに続きが待ち遠しいです。
危うい関係の行く末が気になって…
郷実の執着心に禿萌え!
>720-721
本日の疲れが萌えで飛びました。
最初はハッキリしない二人に微笑ましく読ませて貰ってたのですが、
今はこのまま破滅するのかとハラハラ。面白い話を有難う
すごくどうでもいいことなんだけど、
ここはモララーのコレクションを鑑賞するスレなんだし
場所を「借ります」という言い方はふさわしくないとオモ
うん、そうだね・・・確かにそういえば。
どこにも発表出来ないからここに投下しちゃえ〜!というような感じ?
スレの生態はとりあえず把握はしておいて欲しいよね
>725-726
もう一回テンプレ読んでみて
このスレはもともとなんでもあり。用途を狭めないでいこうさ。
>>727 >>4←でもこういうの大事にした方がスレとして面白いと思う
もちろんホワ/タ/ワは大好きだけど
>>727 そう言う事じゃなく、「借りてる」って姿勢がどうかと思うって事でしょ?
ここに書きこんでいる時点で、それはすでにモララーのコレクションなんだから。
前に外部にうpして貼っていた人に言われてたように、スレの趣旨を理解しようよって話では?
あれっ・・・レスもネタなんじゃなかったっけ?
>>730 まぁそう言っちゃえばそうなんだけどさ。
投稿する人が「借ります」なんて言って恐縮したような態度だと
「なんでもあり!誰でもこい!」なこのスレの空気が
書き込みにくい感じになってしまうんじゃないかな〜って・・・。
どんなネタでも堂々と投稿しやすいように
「あくまで全てモララーのコレクション」という設定があるんだろうし
ぶっちゃけそれより
>>725からの流れのほうが書き込みにくい空気作ってるとオモ。
ループだねぃ。
>>731 以前連載のような書き込みがあったときに
「占拠しててウザイ」というような趣旨のクレームがついて
しばらく議論になったことがあるので
そのせいじゃないのかな>恐縮したような態度
>4を読んでないんだと見なしていた
「借ります」っていうのはひろゆきさんに対して言っているんだよ。
なるほど、「モララーがビデオ棚を広げるから、土地借りますね」と
ひろゆきさんにお願いしてるのかw
マカーだとAAずれるから>4貼れないとオモ。
あれあった方が楽しいんだけど、どうにもこうにも…
AAずれちゃうよーっていうマカーさんに一行AA!
〔□〕 ビデオ見るモナ>ÅÅÅ
…正直すまんかった
まあ>4にだって囲むのが「ベター」って書いてあるし、
ちょっとスレに期待しすぎる人がいるんじゃないかな?
思い切って掃き溜め程度に考えてしまってもいいと思う。
もちろん掘り出し物の山ほど埋まった掃き溜めですけどね゚+.(・∀・)゚+.゚
>>738 > AAずれちゃうよーっていうマカーさんに一行AA!
> 〔□〕 ビデオ見るモナ>ÅÅÅ
↑コレ、けっこうイイかも。
GJ、738姐さん。
すみません、ちょっと聞きたいんですが、
ホタタワの振動×剤然連載で、振動というのはどなたですか?
シエロがやった別ドラマの役名なんでしょうか。
(ドラマ公式の全体図でもわかりませんでした)
ドラマ終了後にハマった新参者なので、ジャンルの方宜しければ教えてください。
>740
そですよ。
究明秒等二十四時だったっけ…?
七個が出てたドラマ。
>>720-721 おおおお、待っていました!
これからどうなるのか楽しみです。
なんて萌える二人なんだろう。
>>706-711で流れが切れそうになったかと思って心配したけど、
これからも楽しみにしていまつ。
>>742 空気の読めないのはどこにでもいるからね。
そういうのが貼られた時はサクッと透明あぼーんすべし。
(゚д゚)
マジで言ってるんじゃないよね?
アンカー間違いか誤爆のどちらかと思いたい
イヤ… 思わせてくれ…
ホワタワネタ、とても楽しみにしてるから、
間に他のジャンルのを挟まないでほしいと思ったんだけど。
( ゚д゚)ポカーン
> 746
じゃあサイト作ってもらった方が良いんじゃない?
>>746レスは多分あなたに一番ふさわしいと思うよ
749 :
742:04/05/31 15:29 ID:TCnlx02q
何でみんなそんなに怒ってるんだか……
ゴメン間違えた
>>746レスは多分あなたに一番ふさわしいと思うよ
じゃなくて
>>743のレスは多分あなたに一番ふさわしいと思うよ
さぁこれでホワタワ者が厨であることが判明した訳だが
752 :
742:04/05/31 15:35 ID:TCnlx02q
>>751 自分が好きなものをたくさん読みたい、と思うだけで厨扱い?
思うだけだったら黙ってればいいじゃん。
書き込んだら思ってるだけじゃないし、
書き込んでる内容は「だけ」じゃないですよ。
よく読み返してみてくださいよ、自分の書き込み。
>>742 ホワタワと同じくらい他のジャンルも楽しみにしてる人の身にもなってくれ。
書き手さんの作品を読ませてもらってるってことを忘れないように。
投下しづらい流れをつくるのはもうやめにしよう。
____________
| __________ |
| | | |
| | □STOP .| | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
何事も無かったように次ドゾー
755 :
742:04/05/31 15:48 ID:TCnlx02q
>>753 そんなこと言うけど、盛り上がってるネタがあるなら、
その流れを読んで投下するべきなんじゃないの?
そういう時に、わざわざマイナーなネタを持ってくるなんて流れが読めてないのかな、
と思って書き込んだだけ。
もう書込むまいと思っていたが…
キョムへのクモシをマイナーと言うあなたに生暖かい笑みがこぼれました…
ウフフ… ところであなたこのスレの主旨ワカッテマスカ?
757 :
742:04/05/31 16:00 ID:TCnlx02q
>>756 そんなに有名?聞かないけどね、そんなの。
>スレの主旨
わかってるつもりだけど。
まあとにかく、私もこれで引っ込みます。
スレには流れってものがあるんだといいたかっただけ。
>742
あの……とりあえず
>>1-3をもう一度読み直していただけるといいかと。
このスレに流れなんて無いんです。
空気が読めてないのはあなた達なんですよ。
理解可能?
スレの流れって…。
ここはホワタワSSスレになったとでも言うのでしょうか…?
4月の半ばから続いているSSなら、間に他作品が挟まってもしょうがないでしょ?
それがこのスレの主旨なんだから。
760 :
740:04/05/31 16:16 ID:DAF52KZH
>741 ありがとうございます〜。スッキリしました。
自分の質問の所為では無いと思うし、変な言い方になるけど
>720さんがこの流れを見て続きの投下を渋られたら、凄く残念だと思う。
知らなかった作品でも、ここで見て興味持つこともあるんだし、
(現に、私も食わず嫌いしてたホタタワにここ見てハマったし)
なんでもありで良いんじゃないの?この雰囲気が私は好きだから、崩して欲しくない。
>760
心配しなくても大丈夫。
>1-3を読めば分かると思うけど、ビデオ棚スレは元々なんでもありなんだから。
>760のレスも私のレスも、過去レスさえ読めない厨な>742の存在も、みーんなネタなんだよ。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 次のビデオはなんにするモナ?
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| なんでもあるから好きなの選んでよ。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
唐突ですが現在公開中の映画「ト露イ」SSを投下させて頂きます。
ト口イ兄弟ものですが受け攻めよくわかりません。スマソ。
「最近兄上は冷たい」
今日のことを叱責しようと呼び出すと、広間に入るなりパ利スは拗
ねたように言った。
ヘーゼル色の巻き毛が軽やかに揺れ、同じ色をした瞳が悲しげに伏
せられる。といっても、実際のところ、パ利スが本気で悲しんでいる
わけではないということは、誰よりもよくヘクト流が知っていた。拗
ねているだけだ。だが、パ利スがその端正な顔に憂いを浮かべれば、
この弟の顔など見飽きるほど見てきたヘクト流もやはり、憐憫に近い
ものが胸にこみ上げるのだった。
パ利スの美貌にはそのような力がある。パ利スが悲しげな顔をすれ
ば周囲の者もまた涙を流し、彼が微笑めばこちらも微笑みたくなる。
パ利スが小さな頃からそうだった。父王も厳格な家庭教師も、喧しい
神官たちすらも、散々悪戯を繰り返したパ利スが首根を押さえられて、
涙目でごめんなさいと一言言えばなしくずしに許してしまうのだった。
パ利スほど甘やかされて育てられた人間は世界に他にいまいと、
ヘクト流は思う。
こんなことは弟のためにならない。幼少の頃から弟を誰より溺愛し
てきたヘクト流だったが、ここ数年、パ利スの初陣が囁かれるように
なってから、そう思うようになってきた。いつまでもこうではいけな
い。パ利スはもう子供ではないのだ。ここいらで少し自立を促さない
と、後々苦労するのは、誰でもない弟自身だ。いつまでも守ってやる
ことは、兄である自分にもできない。だからいっそこの愛しい弟に嫌
われてもという覚悟で、厳しい態度をとっているというのに。
それなのに、この弟はなんと甘え上手なことか。
今もまたヘクト流は、自身のこの厄介な愛情を持て余し、押し隠す
ために、弟の顔から瞳を逸らして、意識的に低い声で答えた。
「これまでが甘すぎた。だが、もう面倒みきれない。大体――」
「ひどい。兄上は冷たくなった。――ご結婚なさってから。ことに、
義姉上がお子をお産みになってから」
ぷいと横を向き、パ利スは呟く。側に腰掛け、子を抱きながら見守
っていたアンド口マケが静かに笑った。一方、ヘクト流はあまりの言
葉に耳を疑い、弟の顔を凝視した。
「……なんだって?」
問い返すと、パ利スは横顔を向けたまま、小さな声で言う。「義姉
上を娶り、お子を持ったのでもう私のことなどどうでもよくなったの
でしょう。兄上は薄情だ」
「……そなたがもう少し女性を追い掛け回すのをやめて、武術や学問
の鍛錬に心を傾けてくれれば私も口うるさいことは言わない。――今
日もまた剣の練習を放って宮殿を抜け出し、城下の女達に会いに行っ
たとか」
ぎくりと弟が肩を揺らしたところを見ると、やはりそうらしい。消
えた弟の行き先までは知らなかったが、結局予想に違わなかったこと
に溜息を吐いた。
こうしていつまでも剣技にも力をいれず遊びまわっているから、危
なっかしくて実質的な初陣の許可すら出すことができない。しなやか
な筋肉がつき、贅肉一つない若々しい身体は、鑑賞するには素晴らし
いが、戦場で隣に置くにはいささか心もとない。パ利スは確かに弓の
名手ではあるが、王子ともなれば、ひとたび戦場に出れば剣を交える
ことを避けるわけにはいかないのだ。兵士たちの士気に関わる。
「……パ利ス」
今日こそは一つ、本気で叱ってやらなければいけないと心を決めて
ヘクト流は弟の名前を呼んだ。聡い妻は夫の意図を察したらしく、優
雅な笑みを浮かべたまま、そっと部屋から立ち去った。
「女性を追い掛け回してなどいません」
憤然と胸を張ってパ利スが言う。ヘクト流は目を眇めた。「ほう」
「あちらが追いかけてくるのです」
「――バカモノ」
「兄上」
「そなたには王子であるという自覚が足りない」
「……兄上」
「私は兄として情けなくなる」
「……兄上」
「いつまでもそのままでは」
「……兄上ってば」
「……なんだ、一体」まったく、説教を黙って聞くこともできない
のかと頭痛を感じながらヘクト流が根負けして返答すると、パ利スは
目を不安げに瞬かせた。
「兄上は、私のことをもう愛してらっしゃらないのですか」
椅子からずり落ちそうになる。どうにか堪えて、ヘクト流は上手い
返答を探した。そなたのような弟はもう愛してないとか、我慢の限界
だとか、何か手厳しい、薬になる言葉を投げかけてやるべきなのだ。
絶対に。
だが結局、懇願するように見つめてくる弟の瞳に、ヘクト流は今日
もまた負けた。
「……愛している」
パ利スが美しい顔に安堵の色を浮かべた。
「誰より?小さな頃と同じように?」
「……」
妻と産まれたばかりの子供の顔が目に浮かび、ヘクト流は躊躇った。
するとパ利スは察したのか、身を乗り出すようにして言った。「義姉
上とアス手ュアナクスのことを愛してらっしゃるのは知っています。
兄上は愛情深い方だから。けれど、私のことをもう愛してらっしゃら
ないわけではないでしょう?」
「……お前はもう少ししっかりしなければ。いつまでも私が守って
やるわけにはいかない」
「何故?結婚してもお子ができても、兄上は私の兄上だもの。昔と
同じように私を守ってくださるし、導いて下さる。そうでしょう」
意気込む弟の顔を見て、ヘクト流の胸には苦い思いと甘い感情が同
時にこみ上げた。パ利スの言うようにできたら。永遠に守ることがで
きたら。
しかし戦場ではそうもいかない。戦場で指揮を執る自分が、この弟
を守りきれるわけがないのだ。
だからパ利スの出陣を期待されるようになったここ数年というもの、
ヘクト流は弟が前線に出るのを回避させ、申し訳程度に戦場に出すと
きも密かに信頼できる側近の者たちにその身を守らせていた。
本当なら血なまぐさい戦場になど弟を永遠に連れて行きたくはない。
だが、パ利スが少年とも言えなくなったここのところは、そのよう
な誤魔化しも既にきかなくなってきている。いつか前線で、兵士たち
の前で功しを上げることが求められるだろう。そのことを考えるとヘ
クトルは恐ろしくなる。だからこそヘクト流はスパ流他のメネ羅臼
との一刻も早い和平を求め、日々外交に心を砕いているのだ。
ヘクト流の沈黙をどう捉えたのか、立っていたパ利スは床に片膝を
つき、椅子に腰掛けていたヘクト流と視線を合わせた。
「結婚しても兄上は私の兄上です。そうでしょう?……それに兄上
が、義姉上を愛してらっしゃるのはわかります。義姉上は賢くて忍耐
強くて、兄上に似てらっしゃる。お話も合うのでしょう。私も義姉上
のことは敬愛しています。もちろん、アス手ュアナクスのことも。兄
上の子だもの」
莞爾と笑って、兄の膝に額を押し付ける弟の幼い仕草に、ヘクト流
は言葉を失う。躊躇ったものの、手が自然とその巻き毛に覆われた頭
を撫でていた。
「本当は兄上のご結婚が決まったとき、とても嫌な気持ちがした。
兄上を盗られてしまうような気がして。けれど、さっきはあんなことを
言ったけれど、本当は義姉上には妬かない。兄上に似ているから。自
分と似た者を愛するのは当然のことです。だけど兄上の妻となる人が、
私に似ていたら許さなかった」
ヘクト流は弟の巻き毛を指で弄びながら、囁かれる言葉への動揺を
押し隠していた。そう、確かに妻は自分に似ている。慎み深く賢く忍
耐強く、パ利スのような我侭を言わない。パ利スのように無邪気でも
ない。そしてそんな己をよく知っている。だからこそパ利スにも嫉妬
せず、自分と一緒になってこの弟を愛してくれるのだ。自分が、ヘク
トルが最も愛するパ利スを。
パ利スが顔を上げたことではっと我に返って、ヘクト流は巻き毛か
ら指を離した。
「――私が一番に愛しているのは兄上です。父上も母上も、城下の
娘たちも宮廷の女達も皆愛しているけれど、一番は兄上です。だから
冷たくしないで下さい」
「……何を、子供ではあるまいに」
一番と、知ってはいたものの口に出して言われて、喜びが胸に押し
寄せる。それをひた隠しにして冷たい口調を選ぶと、パ利スは眉間を
曇らせた。
「それでは一人前の男として、何か兄上のお手伝いをさせて下さい。
私もト口イの王子なのだから、何かあるでしょう」
「――スパ流他と」
床に跪いた弟の肩に触れながら、ヘクト流は呟いていた。――守ら
なければ。平和を手に入れなければ。早いうちに。パ利スが戦場で敵
と対峙する前に。
「スパ流他と和平を結ぶために、近いうちにメネ羅臼のもとに行
く。戦うのではない。交渉のためだ。ト口イの王子二人が自ら出向け
ば、あちらも胸を打たれるだろう」
パ利スがぱっと顔を輝かせ、頷いた。
「兄上と共に私も行っていいのですね。わかりました。必ずや、ト
ロイの名に恥じぬ振る舞いをし、メネ羅臼の信を得てみせます」
「……お前は軽はずみや不注意な振る舞いもまだまだ多いから、そ
のような重要な場に出すのは心配なのだが」
低く零すとパ利スはすっくと立ち上がって、誓うように胸に手を当
てた。
「心配しないで下さい。兄上のために、お役に立ってみせます」
「私のためではない。我が国、ト口イのためだ」
言い直してみせると、パ利スは笑って肩を竦めてから、ヘクト流の
手を取ってその甲に口付けた。
「同じことです。兄上は王になるのだもの。ああ嬉しい。兄上、
愛しています。ずっと」
「私も愛している」
苦笑して答えると、パ利スはそれを当然のように受け止めて笑い返
してみせる。弟を、この日々を、守らなければと思う。
「私がいつか妻を娶っても」
パ利スがヘクト流の手を握ったまま不意に言った。唐突な言葉に眉
を寄せると、パ利スは大人びた微笑を浮かべた。
「兄上のように聡い人は決して娶らない。それよりは自分に似た人
を探します。誰より美しくて聡くて強いのは、兄上だから、他はいら
ない。私が愛し、私を支え、守ってくれるのは兄上だけでいい」
そう言い切ると、パ利スは燕のように身を翻して部屋から出て行っ
た。ヘクト流は黙っていた。
握られていた手にはまだぬくもりが残っている。ヘクト流はそれを
弟自身のようにいとおしんだ。
――無邪気だと思っていたパ利スに。
いつか弟が触れる女にまで妬くようになっていた自分を見透かされ
ていたのかと、自嘲する。けれどこのまま、自分達は一生変わらない
のだろうと思った。その生の終わりまで。
終
無駄に長い割にエロどころかキスもなくてスマソ
ももも萌えキタ━━━(゜∀゜)━━━!!!
ちょうど今日映画見に行って二人に激しく萌えたところなんだよ!
GJGJGJ!
ホ綿ワはここ最近ジャンル自体に粘着アンチが張り付いてるんで
>742もファンを装ったアンチだとオモ。
そんなことはさておき>763-769萌えー!
私も映画見たばっかりなので激しく萌えますた(*´Д`)
映画はまだ見てないけど見に行きたいと思ってたので
事前萌えできました!
実際に映画見るときはこの二人をチェックしてみます!
773 :
1/2:04/05/31 23:14 ID:WWvOtfVP
久しぶりに福#物投下させていただきます。
木兆山→イ呆のようなそうでないような。
ほんの数時間絵空事を映すだけの白幕を少年は大きく開かれた窓のようだと言った。
知らない物、新しい物、世界にはそんな様々な物があることを教えてくれるのだと。
触れたいと望む事すら知らなかった、子供は今でも俺の隣に居る。
どこにでもある田舎町のどこにでもある映画館。
新作が出るたびに足を運ぶのが俺の唯一の趣味になっていた。
通い始めて暫くは切符ぎりの親父が嬉々として話しかけてきたが映画監督どころか
俳優の名前も碌にわからないと知れればただ毎回料金の受け渡しをするだけだ。
映画好きの不良中年仲間、との期待を裏切った事だけは少々悪いなと思ってはいる。
こんな田舎にも配給されるほどの人気作品だというのに劇場内は随分静かなものだった。
それも当然で観客は十人にも満たない。
この時代に敢えてCGではなく壮大なセットとエキストラで臨場感のある本格的な映像造りが売りの映画だから
きっと出演者の方がこの映画館で見る観客よりずっと多いだろう。
最近動く分だけは幾らか絞れてきたとはいえまだ重い身体を椅子に沈めてまだ白いスクリーンを見る。
――イ呆、馬鹿だな。こんなのただの作り事じゃないか。
もう二度と逢う事はないだろう少年、そう何年経っても少年のままの彼に話し掛ける。
――良いんだよ。詰まんない事言うなよ。楽しいんだからそれで良いんだ。
横から聞える声に微かに笑って売店で買った袋菓子を誰も居ないそこに置く。
そして俺は聞えるはずの無い声を聞き見える筈の無い姿を見る。
ほんの少し世界が良い方に動いたなら彼にも在り得た、ごく平凡な未来。
774 :
2/2:04/05/31 23:20 ID:WWvOtfVP
――ガキみてぇな事を言うんだな。
また一緒に、また今度。望んだ事はただそれだけだった。
映画代くらい奢ってやって、菓子とアオイへの土産くらいは自分で買わせて。
切り取られた窓から楽しい絵空事を見て一緒に笑うのだ。
保と過ごした日々は鮮明なようでどこか滲んでいる。
印象ばかりが強くて一つも像を結ばないのだ。
手も握らなかった。唇も何もかも、少年の身体に触れる事は無かった。
ましてやわかりあう事など少しも無かったのだ。
けれど今、自分と少年の人生はこうして交わっている。
映画館へ行くたび、この絵空事の窓を見るたび俺は何よりもイ呆を思い出す。
切り取られた窓の向こうに見える世界は隣に座って夢中で映画を見ていた彼、なのだ。
俺が字幕を追う間、または幻のイ呆が袋菓子を握り締めている間に映画は進みやがてエンディングロールが流れ出す。
小さな女の子が暗い中少しおぼつかぬ足取りで横を通り過ぎた。
「あのおじちゃん沢山泣いてるね。悲しい事があったの?」
可愛らしい声を上品な母親らしい声が軽くたしなめて静かになると俺はまた一人で泣いた。
悲しくない。悲しいんじゃない。俺はただ、何度でも交わる少年の人生が愛おしいのだ。
773さん、お久しぶりです。ありがとうございます。
わーん、原作思い出して泣ける〜
すいません。調子ぶっこいてもう一本ト口イもの投下させてください。
もうこれでやめにしますんで、長いけど許してくださいよモララー。
萌えすぎて死にそうなんです。羽ト×秋です。
「ア樹レス。朝だよ。剣を見てくれると約束した時間だ」
軽快な足音と共にパト口ク口スが部屋に入ってくる。しまったと
思いつつも、寝起きの重たい身体を起こし、ア樹レスは年下の従兄
弟を寝台のうえから見つめた。
側で寝ていた妾たちも何事かと目を擦る。それもそのはず、恋を
交わした翌朝は寝坊して心ゆくまで名残を惜しむのがするのが人と
いうもの。しかし今朝は、雄鶏が暁の訪れを告げたばかりという時
間に眠りを奪われてしまった。この従兄弟のせいで。
パト口ク口スはおそらくいつものように、召使に取次ぎもせず、
勝手知ったるとばかりに上がってきたのだろう。慌てふためいた様
子で召使がパト口ク口スの後に佇んでいる。数時間前に眠りに落ち
たばかりのア樹レスは溜息を吐いて、枕に顔を埋めた。
「……眠い」
「知らないよ。僕は約束したとおりに来ただけだもの」
「……下がれ」
従兄弟にではなく、褥を共にした女たちに言うと、妾たちはほと
んど半裸姿で寝所を出て行った。側を通り過ぎる女体を見て、パト
口ク口スの頬が紅くなる。それを見て、ゆっくりと寝台から降りて、
服を纏い始めていたア樹レスは目を細めた。
「……パト口ク口ス」
「嫌らしいね。三人もの女たちと夜を過ごすなんて」
パト口ク口スが尖った声で言う。漁色を責められるのは今に始ま
ったことではなかったので、ア樹レスは聞き流していた。
「この間教えた型は覚えたんだろうな」
「覚えているよ。けれど、ア樹レス」
「男というのはたまには女が必要なんだ」
従兄弟の金髪を宥めるように撫でると、パト口ク口スが眉を寄せ
てみせた。「……僕には許さないくせに」
「当たり前だ。お前はまだ女の身体を覚えるには早すぎる」
「けれどもう17だ」
「知っている」
「それならどうして。父上はいいと言ってくれたのに」
「強くなりたいなら私の言うことを聞け」
そう言いながらも、ア樹レスは内心溜息を吐いていた。実際のと
ころ、パト口ク口スもそろそろ女を抱いてもいい年齢だ。こういっ
たことは下手に初心なままでいれば、却ってそれが命取りになるこ
ともある。それはわかっていたが、ア樹レスはどうしてもパト口ク
口スが女を持つことを許す気にはなれない。
もう17か。パト口ク口スと共に外に出て朝陽の下を歩きながら、
時が止まってくれればどんなにかよかっただろうと思う。そんな想
いとは裏腹に、ア樹レスの従兄弟は日に日に成長し、さらに美しく
なっていく。
パト口ク口スほど美しい人間はいまいとア樹レスは思う。春の空
のような色の瞳も、無造作に束ねられた金髪も全てが美しい。毎日
ア樹レスが槍や剣の手合わせをしてやっているせいか、ア樹レスの
恋人だった少年時代にはほっそりとしていた腕や脚は少しずつ筋肉
をつけていっているものの、相変わらず若木のようにどこか可憐だ
った。
ア樹レスは長くこの年下の従兄弟を恋人としてきた。求愛の印と
して数え切れないほどの雄鶏を贈り、慈しんだものだった。永遠に
このときが続くものと思われたのだが、惜しいかなそうもいかない。
パト口ク口スが長じるにつれて、少年愛の対象として扱われ続ける
ことが世間では不自然とされるようになってしまった。
とうとうパト口ク口スが15になったとき、友であるオ出ュッセ臼
にもそのような扱いをア樹レスが続ければ、一人前の男として扱わ
れず恥をかくのはパト口ク口スなのだとさりげなく諭され、ア樹レ
スはこの年若い従兄弟の未来のために、しぶしぶ身を引いたのだ。
しかしこうして少年期を過ぎても、相変わらず自分を慕ってくれ、
輝くばかりに成長していくパト口ク口スを間近で見ていると、捨て
たはずの劣情が疼くことがある。手を伸ばしそうになることもしば
しばで、そのたびにア樹レスは自分を戒め、他の少年なり美しい女
たちなりを抱いて欲望を収めていたのだった。
それも知らずに。
まったく無邪気なものだと、ア樹レスは懸命に剣を合わせてくる
従兄弟を見ながら思う。しなやかな身体は、確かにもう少年のよう
なそれではない。男のそれだ。けれど美しいことには変わりはない。
自分はおかしいのだろうかと思う。
そのまま数時間剣を合わせ、そろそろ今日は終わりにしようかと
いうことになった。パト口ク口スが汗を拭くのをア樹レスがぼんや
りと眺めていると、その視線に気づいたパト口ク口スが首を傾げる。
「何」
「お前は美しい男になった」
静かに答えると、パト口ク口スが紅くなってさっと俯いた。それ
を苦い気持ちで見つめる。今は自分が許さなくとも、あと数年もす
れば多くの女や少年が、彼を愛するようになるだろう。それを思う
と確かに嫉妬を感じるのだ。
「僕はあの頃より成長した?」
まだア樹レスの腕に抱かれていた頃より。その意味がわかって、
ア樹レスは頷いた。パト口ク口スは嬉しさと悔しさが入り混じった
表情をして呟く。
「それでは何故いつまでも子供扱いするのかなあ」
「――女のことなら」
まだ早いと、そろそろ苦しくなってきた言い訳を繰り返そうとす
ると、パト口ク口スはかぶりを振った。「僕はもう子供じゃないよ。
あなたが僕の年の頃には、もうすっかり大人扱いされてたはずだ」
「とにかく、まだお前には早い」
苦々しさを隠しながらそう結論づけると、パト口ク口スはは
っきりと言った。
「僕だってたまに持て余すよ」
何をと、聞かなくともわかる。笑い飛ばせばいいものを、ア樹レ
スは身体が熱くなるのを感じた。地面に腰を降ろしたまま黙ってい
るア樹レスに、パト口ク口スは身を乗り出すようにして囁いた。「
抱いてみたいんだ」
「――女は駄目だ」
「ケチ。それではどこかの」
「少年も駄目だ……」
こんな言葉で納得するはずはないと思いながら、ア樹レスは答え
る。するとパト口ク口スはふくれてみせた。「やっぱりいつまでも
子供のままだと思ってる」
「思ってない」
だからこんなに苦しい。いつまでも手元に置いておける少年のま
まならよかったのに、いつのまにかパト口ク口スは成長して、そし
ていつかは自分から離れて行ってしまうのだ。
黙っていると、パト口ク口スもふてくされたように口を閉ざした。
その横顔を見て、ア樹レスは躊躇ったのちに低く問うた。
「好きな女か少年でもできたか」
「いいえ。今も変わらずあなたが好きだ。だけどア樹レスはもう
少年ではない僕には興味がないんだろ。ほんとにいやらしいよ。あ
なたは」
乱暴な口調で言うと、パト口ク口スは立ち上がって剣を手に足早
に去っていく。ア樹レスは唖然としてそれを見守っていたが、我に
返って慌てて立ち上がり後を追った。
「パト口ク口ス」
肩を掴むと、パト口ク口スは涙目で睨んでみせた。
「あなたに誰とも寝るなと言われれば僕は誰とも寝られない。嫌
われるのが怖いから。そして、あなたはもう僕とは寝ない。だけど
僕だって男なんだ。欲望を持て余すよ」
「……パト口ク口ス。私は」
「あなたは思いつく限りの女や少年と寝て楽しむ。もう僕のこと
なんて考えもしない」
パト口ク口スは嫉妬している。ア樹レスはそれと悟り、従兄弟
の横顔を見ながら、密かに喜びに震えた。
「違う。……今でもお前を愛している。誰より愛している」
深い吐息とともにア樹レスは告白した。こんなに勇気のいること
は、他にないだろうと思った。どんな戦いよりも、この一言を言う
方がア樹レスには勇気がいることだった。
パト口ク口スはその言葉を聞いて、驚いて足を止めた。
「ア樹レス、それじゃあ」
「だからお前が誰かと肌を合わせることを許せずにいたんだ」
「でもあなたはもう僕とは寝ないのに。もうずっと」
「……いつまでもそういう扱いをしていれば、お前が他の者に軽
んじられる」
「そうか。僕のことを思ってくれてたんだね」
頷くと、パト口ク口スはあどけなさすら残る笑みを浮かべた。
「……それじゃあ僕はあなたの言うとおり女も少年も抱かない」
「ああ、そうしてくれ」
「でも欲望はどうすればいいの」
意味がわからずア樹レスが視線を泳がせると、パト口ク口スは繰
り返した。「眠れないこともあるんだ。あなたのことを考えて」
「……僕は本当のことを言えばあなたとしか寝たいと思ったこと
はないよ」
なんとなく話の行く末がわかって、しかし信じられずにア樹レス
は黙っていた。
「だから女も少年も抱かない。けどもう17だもの。自信をつけた
いよ」
つまり自信をつけさせてくれと、パト口ク口スはア樹レスに言っ
ているのだ。勇猛果敢にして最強の英雄と囁かれるア樹レスに向か
って。ア樹レスは眩暈を感じた。
「駄目?僕はあなたに抱かれたいと今でも思うし、同じくらい抱
いてみたいとも思ってたんだ」
そもそもパト口ク口スがいい年をして男に抱かれていては、もの
笑いの種になると思って自分は身を引いた。それなのにその自分が
パト口ク口スに抱かれるとあっては、もし人に知られればどれほど
嘲笑されるか。――しかし。
「ダメ?ア樹レス。あなたと寝たいんだ」
パト口ク口スが腕を掴んで、囁くように言う。その掠れた声と汗
の香りに、ア樹レスは呆気なく自分が陥落するのを感じた。
頷くと、パト口ク口スが華やかに笑う。そして少しだけ背伸びを
して、ア樹レスの耳にキスをした。「――嬉しいよ」
人に見られはしないかと気を揉みながら、ア樹レスは寝所の雨戸
を閉めた。家族はもちろん、奴隷達にだってみられてはまずい。―
―ような気がする。
今朝は乱れていた寝台の上の布は、奴隷の手によって美しく整え
られていた。パト口ク口スは心なしか頬を高潮させ、その寝台に腰
を掛けている。
ア樹レスは全ての雨戸を閉め切ると、ほとんどしぶしぶといった
態度で従兄弟のものへ歩み寄った。途中ふと思いついて、自分が少
年を抱くときに使う香油を棚から取り出す。やれやれ、こんなもの
を使われるのは、まだ自分が少年だった20年近い昔以来だと思った。
あの頃は勇猛な男に抱かれ愛されれば、それを誇りには思ったも
のの、決して行為自体を嬉しいとは感じなかった。少年だったア樹
レスが喜んだのはむしろ行為の後の夜伽話、英雄達が自らの戦場で
の経験を語ってくれたことで、抱かれることそのものには特に喜び
はなかったのだ。
だからはっきり言って、今もア樹レスはこれからの行為への期待
はなかった。パト口ク口スに自信とやらをつけさせてやればいいの
であって、自身の快楽は問題ではないと思っていた。
「ア樹レス、愛してる」
だがこの年若い従兄弟に囁かれれば、何故か期待のようなものが
こみ上げる。それを持て余しつつア樹レスは服を脱ぐと、パト口ク
口スの手が促すままに寝台に腰を下ろし、パト口ク口スに口付けた。
「私もお前を愛している」
軽く舌を絡めた後囁けば、パト口ク口スはうっとりとした顔をし
てみせる。その表情に微笑んで、自分のそれより淡い色の金髪をゆ
っくりと撫でた。
どうやら自分はこの従兄弟にはとことん甘いらしい。何をされて
も許してしまうだろう。仕方ないと腹を括って、香油の入った小瓶
を渡すと、パト口ク口スは一瞬きょとんとした顔をしてみせた。
「……ああ」
けれど流石に数年前までのことを思い出したらしく、頷いて小瓶
を受け取る。促すままに柔らかい織り布の上に横たわりながら、ア
樹レスは年上らしく言った。
「言っておくが、苦痛を与えずに抱くのは難しいんだぞ。お前に
は一度も苦しい想いはさせなかったから知らないだろうが」
「わかってる」
眉を寄せ、怒ったようにパト口ク口スは言う。ア樹レスは覆い被
さってくるパトロ黒スの服を出来るだけ優しく脱がしながら、忠告を
続けた。
「一人で意気込んではいけない。――まず優しくくちづけを」
するものだ、と言うや否や、唇を奪われる。優しさとは程遠い、
荒々しいキスだったが、ア樹レスは自分でも驚くほど興奮した。
「これでいいの」
耳元で呟くパト口ク口スの声はどこか硬い。まるで知らない男の
ようで、ア樹レスはぎこちなく頷いた。するとパト口ク口スは少し
考えたあと、ア樹レスの耳を舐め、胸の突起に触れた。
「は……」
それは驚くような快感だった。今までどんな女や少年と寝ても、
成人前、男に抱かれていた頃も、こんな快楽を感じたことはなかっ
た。思わず身を震わせると、パト口ク口スが顔を覗きこんできた。
「気持ちいい?あなたがよくこうしてくれたのを思い出して」
「……こういうときはあまり喋るものじゃない」
やはりまだまだ子供だ。そうと思いながら言うと、不思議そうな
顔をしてみせる。
「何故?愛してると囁かないと死にそうだ」
「わかった。私も愛してるよ」
笑って腰に手をまわす。パト口ク口スは嬉しげに頷いた。「う
ん。もっと言って」
苦痛がないわけではなかったが、パト口ク口スの愛しているとい
う囁きはそれを消し飛ばしてしまった。結局パト口ク口スが欲望に
急いていたので、十分とは言えない愛撫のまま奥深くに迎えたもの
の、ア樹レス自身も目が眩むほど興奮していたのだ。
自分の上で単純な律動を繰り返すパト口ク口スの薄い脇腹に触れ、
ア樹レスは低く呻いた。快楽が全身を駆け巡っていく。自分が欲し
かったのは、女でも少年でもない。この従兄弟だったのだと実感す
る。パト口ク口スはもう既にいつものあどけなさも吹き飛ばして、
一人の男として快楽を貪っている。ア樹レスもまた男としてそれを
受け止めながら、パト口ク口スを他の誰とも寝させたくないと思っ
た。
パト口ク口スがア樹レスの体内で欲望を吐き出す。安堵し
たような溜息を吐いた後、気だるげな、けれど幸福そうな顔で、ア
樹レスのそれに触れて同じように終結を促されると、妙に照れくさ
くて興奮した。
やがてゆっくりと引き抜き、パト口ク口スは上体を起こした。汗
ばんだ額に張り付いた髪を掻き上げる。ア樹レスは寝そべったまま、
その様子を見ていた。いつもよりどこか大人びた顔をしている従兄
弟を見ていると、乗り気でなかったこんな行為も悪くないと思う。
悪くないどころか、ひどく魅力的な行為なのだと知ってしまった。
「ア樹レス、愛してる。すごく素敵だった。綺麗で――昔男たち
が幼いあなたに夢中になったっていうのもわかるよ」
パト口ク口スはそう言って深く口付ける。ア樹レスは黙っていた。
「ア樹レス、愛してると言って」
焦らしの戦法というのを年若い従兄弟は知らない。そういえば抱
いていた頃も猫かわいがりにしてきたから、焦らしたことなんてな
かったなと思いながら、ア樹レスはパト口ク口スを見つめた。
「ア樹レス、さっきまでのように愛していると」
じれったげに促す声に、ア樹レスはまだ細い腰を抱き寄せながら
笑った。きっと、こうしているとまたいつか自分はパト口ク口スを
抱いてしまう。抱かせてもしまう。溺れてしまうのは危険だと思ったが、
誘惑には抗えそうにない。どうしたものかとア樹レスは目を瞑った。
「それとも、もう子供ではない僕にはやはり興味はないの。ア樹
レスは」不安げな声を、ア樹レスは目を閉じたまま遮った。
「――私以外の誰とも寝るな。触れるな。そうしたら愛してやる」
「――そんなのひどいや。あなたは色んな人と寝るくせに」
「私はいいんだ。お前は駄目だ。お前は私のものだから。だから
他の者とは寝るな。ずっと私の……」
これは命令ではなく、哀願なのだとア樹レスは自覚している。だ
けれど、パト口ク口スは気づいていないだろう。ア樹レスはパト口
ク口スの指に触れた。
「……そうしたら何からも守ってやる」
何からも。絶対に。そう思っていると。パト口ク口スが呟いた。
「――ア樹レス、ア樹レス、でも僕もあなたを守る」
ア樹レスは思わず微笑み、パト口ク口スを抱き寄せると、耳元
で愛していると囁いた。
終
お目汚しスマソ。本当にモエな映画すぎて死にそうでした
羽ト秋キタ―!(*´Д`)
も…萌え氏にそうです!
女神様ありがたや…!秋エローヌ!
>>762 ネ申キテタ――――――!!
素敵なモエを、ありがとうございました。
788 :
776:04/06/01 07:04 ID:7iyeOoR/
あっ、今気づいたけど少年への求愛の贈り物は
雄鶏じゃない。雌鳥だ。
ていうか少年がそんなもの貰って嬉しいのだろうか。
そのほかにもいろいろ怪しいところがあるけど許してください。
うおぉぉーい!
ト/口/イ キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
ごちそうさまです!
『雄鶏(英語だとcxxx)を贈る』ってなにかの
隠喩なのか〜と勘違いしてましたが、それはともかく
1061話ご馳走様でした。パ栗鼠もパトロ聖衣も
ごりごり甘え寄り切り押し倒しで凶悪に可愛いっすv
あ・・・秋萌え!
1061話ふたつとも萌えますた。健気な秋がかわいいー。
793 :
530:04/06/03 01:28 ID:BXoYtbAJ
振動×剤然書きの>530です。
超遅レスですが、
>699, 701 保管庫を維持してらっしゃる方どうもご苦労様です。
作品を分別して下さった>700さんもありがとうございました。
こういう風に保存されるなら、SSとそれ以外の文章は分けるべきでしたね(自分、
レス数の節約しか考えていませんでした)。
>740さん、分かりにくくてすみません。
そして>741さん、解説ありがとうございました。でも実は私はそのシリーズを
観ておらず、知っているのは2001年の待遊木安子が出ていた方だけなんです。
では次からまた2レス使います。
雑居ビルの3階に在りながら地下の穴蔵か船室のような印象のその店は、少し前に
織田霧医局長に教えられた。客あしらいがあっさりして落ち着ける場所だったはずが、
今夜は少し音楽が喧しい。
選択を誤った事を傍らの外科医に謝罪すると、
「なんだか昔に戻ったようだ。振動先生と居ると、自分まで若返ったように感じます」
と笑顔が返された。
言われてみれば――きびきびした若い印象でつい同輩のように思ってしまうが――
剤然は天下の難波大第一外科のトップである。普段飲むのは高級バーなのだろう。
やや暗い照明の下、カウンターに並んでバーボンのグラスを傾ける。音楽の喧騒と
回り始めた酔いを受けて話題は専門性の高いものから他愛無い世間話に流れていき、
やがてそれも途切れがちになった。
音楽が少し低くなった時、意匠を尽くした剤然のライターが小さい音を響かせる。
前の店でも何度か聴いたその音は、だんだん頻度を増すように思えた。
「ヘビースモーカーなんですね」
「ええ、医者の不養生というやつですか。特に酒を飲むとひどく欲しくなる」
「私も……、病院ではほとんど喫わなくなりましたけれど、なかなか止めるまでには」
振動もカウンターに置いた自分の箱を指先で突つく。
それを見遣った剤然は視線をふいと正面に投げた。
「……わないんですけどね」
言葉の前半を聞き取れなかった振動は、え?と相手の口元に耳を寄せる。
「昔から、なんですよ」
剤然はそう呟いて、点したばかりの煙草を何故か灰皿で揉み消した。
言い直さないという事は、聞こえなくても特に支障ない話だったのだ。
そう判断した振動が俯けた上体を少し起こすと、すぐ目の前に剤然の耳が有った。
耳朶の縁が紅く染まって、繊細な形が際立っていた。体温を感じるほど間近な
そこから、整髪料か何かの嫌味無い香りがほんのりと立ち上ってくる。
そのまま数秒間それを見つめ続けてから振動は我に返った。
他人の耳をしげしげと観察するなんて、自分は何をやっているんだろう。
それが千切れていたりもげそうなのだったら縫ってやるが、そうでもなければ――
少し酔ったか、と姿勢を正すと、隣に座る医師の上半身全体が目に入った。
同じくらい飲んでいるはずなのに、相変わらずぴっと伸びた背筋。小ぶりな
頭部のシルエットはきちんと整えられた黒い髪に続く滑らかな額、正面を向いた
目のくっきりした二重まぶたと高い鼻梁が構成している。そんな刻んだような
横顔の中で、酒で潤った唇だけがふっくらと柔らかそうだ。
きれいだな、と振動は素直に感じ、そして自分がそう感じた事に戸惑う。
振動は他人の容姿などにはおよそ無関心だった。若い医局員やナースたちは
今度の患者は美人だとかいい男だとかでさざめいている事もあるようだが、
彼は対象が患者であれば傷病の度合い、同僚であればその技術と能力にしか
興味が無く、親しくなってやっと人柄に思いが至る、その程度だ。
確かに出会いから剤然の笑顔には魅かれた。けれどそれは彼にその表情を
与えている人格に覚えたもので、造作とは無関係だったはずだ。実際、一緒に
居る相手の顔が美しい部類に属す事を、振動はそれまで意識してもいなかった。
でも今この瞬間、たしかにそう思ってしまったのだ。こんな事は数年以上も
無かった事、だが。
待てよ振動、相手は男だ。しかも自分より年長の、国立大学の教授殿じゃないか。
この訳の分からない感覚を振り払おうと、振動はぎこちなく会話をひねり出す。
「軽いものに変えられたら如何です?」
カウンターの奥の壁をじっと見つめていた暗い瞳が振り返る直前、振動は
手の中のグラスに自分の視線を逃がした。
「それでは本数が増えるだけなのではないでしょうか」
「……よく有る話だ」
しかつめらしい返答に、下を向いたままやや無理矢理に笑って見せる。と、
剤然の目がその口元に留まるのを感じた。
+++
(すみません「改行が多すぎる」とはじかれてしまったので分けました)
振済キッ!( )キタ(. ゚)キタ!( ゚∀)キタ!!( ゚∀゚ )キタ!!!!!
今回も萌え萌えでした。
ぜひぜひ続きをお願いします。
遅くまで起きてて良かった・・・。
━━━━━(゚(゚∀(゚∀゚(☆∀☆)゚∀゚)∀゚)゚)━━━━━キタ!!
530さんいつもありがd。
二人の今後が激しく気になります。(*´Д`)
>>494 遅レスだが、天井のボ雅たん最高でした
雅受けなもんで幸福絶頂でした
読めるとは思わなかったよハアハア( *´Д`)ハァハァ
530さん、GJGJ(*´Д`)ツヅキタノシミニシテマツ
容量が490越えてるんで、そろそろ次スレだね。
立てられないんで1のテンプレ修正版置いてきます。
>2-6は変更無しで良いのかな?
モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄| すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
|[][][]__\______ ___________
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | |/
|[][][][][][][]//|| | ∧_∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ ) _
|[][][][][][][][]_|| / ( つ| |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |  ̄
(__)_)
前スレ モララーのビデオ棚 in 801板2
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/801/1074431600/ ローカルルールの説明、およびテンプレは
>>2-6のあたり
保管サイト(お絵描き掲示板・ぅpろだ有)
http://fire.prohosting.com/moravide/
>791ナカーマ
も・・・漏れも秋萌えの予感・・・!
あんまり興味なかった中の人まで気になり始めたよハァハァ
>>801オメ!
やってみたけど無理だったよ…(´・ω・`)
誰かよろしくお願いします。
じゃあ僭越ながら私がやってみます
できるかなー
てst
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ コノテープハオシマイット・・・
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ok?
ok?
ok?
811 :
風と木の名無しさん:04/06/17 20:34 ID:azJQts5T
ホシュ
|∀‘) オドロット。
|⊂
♪
ヽ ( ‘∀‘)ノ ♪ ♪
アメアメフレフレ ( へ) ♪
く
♪ ♪
♪ ♪
ヽ (‘∀‘ )ノ ♪
カアサンガー! ( へ)
♪ く ♪ ジャノメデオムカエ
♪ ♪
ヽ ( ‘∀‘)ノ ♪
ウレシイナー! ( へ) ♪
く ピッチピチチャプチャプ
♪ ♪
ヽ (‘∀‘ )ノ ♪
( へ) ランランラン! ♪
♪ ♪ く ♪
(・∀・)ミタヨー♪
保守。
素朴な疑問なのだけど、新スレ立ってるのに保守する必要あるの?
>>815 でも保守やんなくても圧縮来るまで落ちないからねぇ。
むしろ書き込みをするほうが落ちる手助けになるわけで。
……どうでもいいんじゃないかな( ´∀`)?
現在の容量、496KB。
容量オーバーで落とした方が良いんだろうか。
よく判らないけど、埋め立てするなら埋め草に。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 映画の「×メソ」ネタらしいモナ‥‥。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| DVD持ってないので間違ってるかも。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
819 :
マグ×茶:04/06/30 20:11 ID:PTkGbnOQ
チェス盤を前に向かい合う。透明な強化プラスチックの監獄の中は隅々までが無機質な
白い明かりで照らし出されている。
本来ならば心を読むことのできる相手と行うチェスなど無謀の一言に尽きるだろう。
目の前にいる男の誠意をもってしか、このゲームは成立しない。
「読み違えたな。ここでキングを逃がしたのは良かったが、こちらにまだルークが残って
いたのを忘れていたのか?」
年を経た、白く節ばった指がクリスタルの駒を敵陣へ動かす。
相手側から軽く息を飲む気配がした。どうやら真実、手を読み損ねていたらしい。この
相手にしては珍しいことだ。
「……クイーンの動きを警戒しすぎたようだ」
「脅懦はときに人の判断を狂わせる。今回は失敗だったな」
透明なプラスチックの監獄の中で二人はチェスを続けている。優勢なのは心を読むこと
のできる男の側ではなく、ただ一人この特別な監獄へ囚われている男――石慈界の帝王
マグ二一ト一ことヱリック・マグナス・レーンシャーの方だった。
真剣な眼差しでクリスタルのチェス盤を見詰め、次の手を考える相手はチャ一ノレズ・
フランシス・ヱグゼビア、「恵まれし子らの学園」の創設者にして「×―MEN」を率い、
プ口フェッサー×と呼ばれる男である。
溜息をついたチャ一ノレズは視線をチェス盤から外さないまま、軽く肩を竦めてみせた。
「手厳しいな。私が隙を作るときを待ち構えて容赦なく攻めてくるのはチェス盤の上だけ
にしてくれないか?」
生真面目な顔を僅かにしかめながらも視線は次の手を探している。否、実際には幾通り
もの定石をさらい、敵を降伏させる最良の手を選んでいるのだろう。
無論マグ二一ト一の側もそれは読んでいる。どんな手が来ようとも対応できる自信はあった。
相手の目が盤の上を、駒の上を行く度次に彼が打つだろう位置を探る。
チャ一ノレズの側でもそれは感じ取れたのだろう、しばらく熟考した上でついに天を仰いだ。
「……どうも分が悪そうだ。今日はここまでにしていいだろうか?」
今日のゲームにしても前回の面会からの続きだった。始まるときにはマグ二一ト一がやや
劣勢だったのだが。
「構わん。だが、あまり頻繁にここへ面会に来ると厄介な連中に目をつけられるぞ」
「忠告は拝聴しておこう。だが、私は君が言うほどに心配はしていないのだよ」