這い上がり
by 多岐勝美
ツテが、必要だった。その場所から、這い上がるための「手」が。それを手に入れなければ、掴めなければ最下層からの脱出はあり得ない。
ラカンじゃ駄目だ。せめて、いや、出来れば、オルガノに。
目の前に躍り出てきた少年を、古波蔵はその鋭い視線で射抜くように、見た。
古波蔵文憲は、オルガノの幹部の一人だ。流9洲の街を仕切る地回りでは、今のところ最強の組織 オルガノ。
「この間のガキか…」
苦笑する古波蔵に、遠山は緊張しながらも恭しく頭を下げる。それが精一杯で。
「拾ってくれ…とはな」
睨め付けるような視線に、遠山は反らすことなく視線を合わせた。
「古波蔵さん…」
促す舎弟の声に、顎をしゃくる。
「良いだろう。着いてこい」
それが、自分に向けられた言葉だと気づくと遠山は安心したように前に踏み出した。
流9洲は、行き詰まりの街だ。だが、無法地帯ではない。
オルガノの仕切が、街の統率を生んでいる。それは、一つの階級制度でもあった。
一糸纏わぬ姿で双丘を開き、秘孔を晒している遠山に古波蔵はのしかかるように覆い被さった。
「お前とは、またこうしてみたいとは、思っていたがな…」
うら寂れた廃屋の一室 そのときの男娼との交わりを、古波蔵が欲していたのは事実だった。
崩れた体ではなかった。労働階級の中で売られていたとは聞いた体だったが、その容姿と言い躯と良い、何よりその肌はしっくり古波蔵の指になじんだ。
その肌が、目の前にある。
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