hey!〜祭りのあとも萌え〜七

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「待ってくれ」
ずるずると倉曹掾武将に、引きずりかけられた韮武将は、駄目元でお願いしてみる。
意外にも倉曹掾武将は、立ち止まり、ぽんと、手を打つ。
「大切な事を忘れてたな」
倉曹掾武将は、韮武将から手を外して、屋内に足を踏み入れる。
今だ、逃げよう。
韮武将が逃げようと、足を外にむけた瞬間、高速で戻ってきた倉曹掾武将が韮武将の腕を再度掴む。
「おまたせして申し訳ない」
待ってない……。
韮武将のつぶやきは声にならない。
「ピュアには、俺が代わりにレスしたから」
しなくていい……。
韮武将のつぶやきは(以下同文)

倉曹掾武将に引きづられ、ピュアの元に無理やりつれていかれた韮武将は、
強制作業要員としてそのまま強制労働コースに突入した。
 韮武将予約席は空いており、『韮武将の分』と書かれた仕事が積み上げられていた。
紙は、半紙。それは、無駄に達筆な筆文字。
蛇足だがこの達筆はチェキ。墨が乾かないとつぶやく声がどこからか聞こえる。
そして、近づくピュア。
「んではよろしくー」
韮武将は泣きそうになりながら、自分のノルマ分を見つめる。
んでは――?
よろしく――?
ピュアは、してほしい作業と用件を誰にも真似できない長台詞ブレス無しで一気に韮武将に話すと、
最後ににっこりと笑って、つけたした。
「良かったニラボーが来てくれて。自分は、誤爆作業でちょっとこもりがちになりますー」
作業を韮武将にまかせて安心したのか、ピュアはさっさとその場所から去る。
そうして、残された韮武将は、諦めて、作業椅子に座る。
9883/3:03/04/14 12:46 ID:ZulFovhb
 そこに座るのは、久しぶりだが、懐かしくも落ち着く自分が不思議だ。
不思議といえば、どうしてピュアのおねだりに、従ってしまうのだろう。
過去にも何度もあった。これできる人いる? その言葉に、うっかりうなずいてしまったが故に、
終わらない作業地獄に陥った事が。
へろへろになりながら、誤爆作業をし続けるピュアを助けたい、そう思った事は否めない。
――そうだ。ピュアを助ける。それが俺の役割なのだ!!
韮武将は、気持ちを入れ替えて、作業を開始した。
どのみち、作業が終わるまで、ここからは出して貰えない事は経験上分かっている。


それから、どうなったって?
あの日、あれから起こった事は語るような事ではない。
作業につかれ切った韮武将を、ピュアがどういう手段でたらしてきたかなんて、恐ろしくて言えない。

「個人的に、一周年の本陣で最も懐かしかったですね」
韮武将の傷がようやく癒えたある日の事だった。
姐さんにインタビューを受けながら、さわやかな笑顔で語る倉曹掾武将の姿を見つける。
倉曹掾……。
あの日、俺をピュアの元に運んだ男。
「ずっと、活躍を見てきた者としては、二人はこういうやりとりが
一番サマになっているというか、いいなと思ってましたので」
倉曹掾……。
「とか、こういう事語ると恥ずかしがる人がいるのでここまでw」
倉曹掾……。
「そうだ。二人の事を俺なりに小説にしたので、良かったら」
倉曹掾……。
聞いていいか、倉曹掾。俺は、今、お前に言いたい事ができた。
韮武将は、ピュアの笑顔を真似しながら、ゆっくりと倉曹掾武将に近づいた。