hey!〜祭りのあとも萌え〜七

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「あんまり根詰めないように」
そう話す592武将こそ最近ろくに寝ていない。
飯抜け武将は、少し苛立たしい気持ちになる。
先刻、祭りが終わった。
祭りは終わり人は去り、兵どもの夢の跡か。

今、この場は、しん、としている。
祭りは終わったが、企画を進めたものとして残された作業がある。
その戦後処理を先ほどから飯抜け武将は進めている。
同じように、隣で592武将も戦後処理作業をしている。
少し仮眠した自分と異なり、592武将は仮眠すら取った気配はない。
「そういう592武将は寝たの?」
困った顔をする592武将に少しざまあみろと思う。
寝ているわけがない、寝る時間があるわけがない。
これだけレスをして、これだけ作業して、寝ているわけがない。
分かっていて聞くのは意地悪だと怒るだろうか。
構うものか。
「遅れてごめん」
しばらくの沈黙の後に592武将の口から出てきた言葉は、意外な言葉だった。
こういう時に、どれだけ長い期間一緒に戦った相手でも理解しきれてない事に気づく。
「用事があったならば、仕方ないんだよ」
この一連の作業の間、592武将は、別用があったので遅れて参加した。
その事を気にしていたとは思わなかった。
「…うん。ごめん」
繰り返し謝る592武将に、飯抜けは苛立つ。
自分が用事があって仕方なく遅れた人を怒るような人間に思われていると思うと、
とてつもなく苛立つ。
いや。違う。自分がどうこうではない。
ただ、彼は、その時間そこにいれなかった自身を、責めているだけだ。
呆れて言う言葉も出ない。
9702/2:03/04/10 23:48 ID:NA19B7sS
時々、この頑固でどうしようもない彼を、張り倒したいような凶悪な気分になる。
言葉で足りない部分を別のもので埋める事は、自分のよしとする事でないけれど、
この相手に限っては、そうしてしまう以外に伝わらないのではないかと時々思う。
「別にそれはいいよ。何もかもは無理だよ。今は休んだ方がいい。疲れてるよね」
今度謝ったら、どうしてくれよう。
自分がしないと思われている反応をしてやろうか。
怒鳴るとか、泣くとか、或いは、抱きしめてやるとか?
今まで、一度もそんな事を考えた事はなく、また、考えたとしても実行に移すわけがない。
だから、きっと。
今、飯抜け自身も疲れているのだと思った。
今日だけは、きっと、そうしてしまっていいのだ。
「……うん。ちょっと疲れた」
よほど眠たいのか、意外な程、素直な言葉を落としてきた。
仮眠を取りに彼が席を外し、一人になった事に飯抜けはほっとした。
目を閉じて考える。
一体、本当に疲れているのは、誰だろう。
「飯抜け」
考えを読んだかのようなタイミングの声に飯抜け武将は、目を開く。
「飯抜けが寝ないなら、自分も寝ないことにしました」
「む。」
頑固ものめ。
幸いな事に、起きだしてきた592武将に対して、先ほど一瞬浮かんだ凶悪な気持ちは
今度は湧いてこなかった。
「んじゃ。上から自分まわってるから」
「こちらは、作業しながら、後まわりする感じで」
「うん。」
自分の思いが分からない事は飯抜けにとっては多々ある事だ。
その分からないものの中に、今の何かをほおりこむ。
その何かとむきあう日までは、しばしの保留と休息を。