hey!〜祭りのあとも萌え〜七

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「どうして、こんな事になったんだろう」
誤爆道展示会に、足を踏み入れた瞬間、誤爆太郎は呟いた。
誤爆道、それは、さかのぼれば○○○○年。
そのなりたちを語るだけで夜があけるという長い歴史と実績を持つ伝統ある道。
今の家元は、保守的かつ革新的で歴史ある誤爆道の伝統を壊さないままに
自ら誤爆道を広めて歩き、新しい在野の才能を取り入れ誤爆道に新しい風を通した人だ。

その名は592武将!!

 592武将又の名はピュア!
伝統ある誤爆道の家元にして、現在の誤爆界をリードする存在。
彼自身の誤爆の腕前もさることながら、誤爆の才能ある人を誘いこむ技にたけており、
後輩の育成に力を注くことでも有名だ。
西に誤爆があると聞けば、つっこみに行き、東に誤爆があると聞けば( ̄ー ̄)ニヤリッ。
そんな彼の縦横無尽の活躍に彼の歩く後には草も生えず。
ただただ、(;´Д`)ハアハアかピュア━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!の嵐。
かっこ(・∀・)イイ!

 彼の事を思うだけで誤爆太郎の胸は騒ぐ。
彼の誤爆をはじめて見た時の胸のときめき。
みようみまねで彼の誤爆を真似したこともあった。
9612/4:03/04/10 16:00 ID:NA19B7sS
そんな彼が、自分のところにやってきて、言った言葉。忘れられない。
「ウホッ。いい誤爆」
うっとりと、誤爆太郎はその時のことを思い出す。
あの、う、と、ほ、の絶妙なる響き。
その響きと彼の姿に、ただただ見蕩れるだけの誤爆太郎に、592武将は困った顔をした。
外した…と思ったのかもしれない。
慌てて言葉を返した。
「嬉しいこと言ってくれるじゃないか」
慌てたせいか、言葉はとぎれとぎれで、もしかしたら、間違った返事をしてしまったかもしれない。
しかし、彼は、嬉しそうに笑って、誤爆太郎の手を取った。
「名前は?」
「まだ…」
「ちょうどいい。今とてもいい名づけ姐さんがいるんですよ。オヤジギャクのセンスならば、
あの姐さんに適うものはいません。今ならば、誤爆セットもついて、いいお値段です。
いまだけのサービス価格ですよ。貴方だけに紹介しましょう」
怪しい、通信販売でもありえない、その魅惑な言葉に、誤爆太郎は頷いた。

「どうしたんですか?」
入り口を過ぎてすぐに過去を懐かしみ立ち止まった誤爆太郎はあわてて、声の主を見る。
最近、門下に入ったばかりの迷子だ。
たとえ、輝かしい今年の展示人として選ばれたとはいえ、伝統ある展示会に自分のような血脈を
持たない身がのこのこと顔を出すなんてありえない!!
だがしかし!
門下になったばかりの迷子が、入門してはじめての展示会に行ってみたいと思う気持ちは理解できる。
会場にたどり着く自信がないという彼の言葉も非常に納得できる。
よって、引率がてら、こうやってやってきたのだ。
9623/4:03/04/10 16:01 ID:NA19B7sS
以下要約。

展示されて嬉しいから、のこのこ来たわけじゃないもーーーん。
迷子タンのせいだもーーーーん。

要約完了。

「いや。なんで、俺が、展示される人に選ばれたかのと思って」
「誤爆したから。。。」
あっさりと、迷子は答えた。
「う」
「それは、誤爆殿が、晒されるに相応しい、大変素晴らしい華麗な誤爆をしたからですよー」
「う」
そのあまりにも的確、かつ容赦ない迷子の言葉に誤爆太郎は反論の言葉を封じられる。
「あ。韮殿がいましたー。ちょっと、行って来まーすー」
誤爆太郎が反論する前に、知り合いを見つけたらしい迷子は、そちらのブースにむかう。
その足取りの軽さと、あっさりとした言い方に、引き止める事もできない。
まさに、止める要素はない。

――迷子タン、ひどい。
迷子が一人で行けないと言うから、一緒に来たのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ。
手を伸ばした状況で一人脳内つっこみをしていた誤爆太郎は、周りの視線を感じて
あわてて、手をひっこめる。
あっさりと、入り口で同行者に捨てられてしまったので、諦めて一人寂しく順路に従い歩き出す。
別に凄く褒めてくれなくてもいい。
けど、もうちょおおおおおおおおおおとだけ褒めてくれてもいいのに。
そんな言葉は脳内あぼん。
9634/4:03/04/10 16:01 ID:NA19B7sS
展示会では、今年の素晴らしい誤爆の数々が暴露されている。
その最も奥のごばく・おぶ・ざいやーのブースにはあの人の誤爆が展示されている筈だ。
会いたい。
誤爆道、それは、厳しい道。
伝統ある誤爆技の数々をマスターするまでは、家元に会う事は適わず、遠めからその素晴らしい
美技の数々を見るのみだった。
いつか、高いレベルに達して彼のそばに立ちたい。
その願いの為に、高い教材も睡眠学習セットも、音楽CDも本もすべて揃えた。
彼の誤爆のエナジーで作られた聖水だって、一本1万円もするのに定期購買している。
毎日2ちゃんねるに、「誤爆道っていいよね」というレスもしている。
先達は、もう家も売ったらしい。
自分も会社をやめた。
もう彼に会えないかもしれないと絶望の日々。
脱会すると申告した途端に、この輝かしい誤爆賞受賞のお知らせ。
なんという名誉なことだろう。諦めなくて良かった。
彼にようやく会える。
ただの一人の門下としてではない。
誤爆道をともに、広げるヽ( ゚д゚)人(゚д゚ )ノとして。
これからも、彼の為にがんばるぞ!おー!
だがしかし。
「どうして、こんな事になったんだろう」
そんな誤爆太郎の呟きに、通りすがりの姐さんが唐突に呟きかえす。
「それはね。ピュアだからよ」
は!?
声に慌てて誤爆太郎が振り返っても、先ほどの声の主はいない。
――ピュアだから…。そうか。ピュアだからか…。
ピュア…………。