hey!〜祭りのあとも萌え〜参

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972風と木の名無しさん
「あ〜〜〜っ」
「どうした?」
唐突に背後であがった大声に、倉曹掾が怪訝そうに振り返る。
と、途方にくれたような顔でかてものが自分の手元を見つめていた。
「・・・・メープルシロップこぼした・・・・」
「何やってんだよ。隊長来る前に拭いとけよな」
「そうタンに言われなくたって拭くよっ うわー・・・べたべたして気持ち悪い・・・」
呆れたような倉曹掾の声に反射的に言い返して。
シロップで濡れた手を持て余し気味に中に浮かせる。
「手、舐めちまったほうが早いんじゃねぇ?」
「えー なんかヤだ」
「やだっつっても、その手であちこち触るほうが掃除大変そうじゃん」
「そうだけどー」
「だから舐めちゃえって。ぜってーその方が早い」
「う〜・・・そうかなぁ」
「そうだって。ほら」
考え込むように自分の手を見るかてもに近づくと、倉曹掾はその手をとってかてもの自身の口元へと運んだ。
思いの外強い力で手首を掴まれて。かてものの顔にありありと困惑の色が浮かぶ。
「ちょ、いいって。普通に洗うー!」
「そう言うなって。もったいないだろ」
「でも、洗うーーーっ」
掴まれた腕を振りきろうとかてものが暴れる。
が、手についたメープルシロップを他につけるわけにもいかなくて、思うように動けない。
そんな状態で倉曹掾の手を振りきることが出来るはずもなく、自然、喚く声ばかりが大きくなっていった。
973風と木の名無しさん:02/09/30 00:15 ID:Np74tAuw
「しょうがないな・・・・ほら、こっち来いよ」
不意に、肩を軽くすくめた倉曹掾に腕を引かれて、かてものがたたらを踏む。
かろうじてバランスを保ちながら引きずられていった先は、調理台につけられたシンクだった。
「え?」
「そのままじゃ水出せないだろ」
かてものの代わりに蛇口を捻ると、興味を失ったように手を離す。
「あ・・・、ありがと・・・・」
あっさりと離れていく倉曹掾を呆然と見ていたかてものが、我に返ったようにお礼を言う。
その声は、今までとうってかわって小さなものだったけれど。

「なんか言ったか?」
「別にー」
「ふぅん?ならいいけど。さっさと拭いとけよ、それ」
「言われなくたって拭くって言ってるー!!」
「覚えてたか。ま、がんばれ」
「うわー ヤなヤツ・・・・」


      なんてことのない、日常のひとこま。