迷子殿から、簡単な冷や汁の作り方を教わった俺。
これならホットケーキも焼けない俺でも作れると、台所を覗く・・・
いつもの人が、そこにいる。
ため息をつきながら、玉葱をつんつん。
思わず、隠れてしまう俺。
誰かさんのことを考えているんだろうか?
気になる、俺。
つんつん。
つんつん。
「…あっ!そうだ!!」
突然、コーヒーを淹れ始める隊長。
ミルクを冷蔵庫から取り出す隊長。
もしや、ひょっとして。
あの人に出してあげる、カフェオレ?
グラスを持って飛び出す、隊長。
当たり前だが、隠れてたオレには気づかない。
い ま だ !
アジのヒラキを焼く俺。
キュウリを刻んで塩をふる俺。
「…いてっ!」
アジをほぐして、骨が指に刺さる罠。
そして味噌と砂糖と酢を混ぜる、俺。
それでも何とか、完成する冷や汁。
・・・いつの間にか、戻ってきている隊長。
その前には、いくつかの出来上がった冷や汁が既にある。
沢山並ぶ冷や汁に嬉しそうな、隊長。
・・・よかったな。
痛む指で、冷や汁を試食してみる俺。
ぐはぁ
ものすごい味にびびる、俺。
「冷や汁には酢は入れなくていい感じみたいです。
入れてもいいけど、入れたら変な味になるかもです。」
先に言ってくれや、迷子殿〜。
完