【hey!】トーナメントで萌えpart39【三戦!】
「ジーク・ダウソ! ジーク・ダウソ! ジーク・ダウソ!」
遠くでそう叫ぶ声がする。
ここは三戦学園の裏手にある小さな丘。
学園のはずれにある為、外からの音が聞こえてきやすい場所だ。
「ああ、ダウソ学園の連中か・・・
最後まで必死だったな・・・あいつら・・・」
そう言いながら、彼は身を起こした。
彼の名は三戦うんこ@うんこタンク。
三戦学園内にある「三戦うんこ」の一員である。
「三戦うんこ」とは、生徒会から爪弾きされた不良の塊が
生徒会に対抗して起こした集団の事で、
通称「うんこスレ」と呼ばれる学園内の物置で、たむろしているのが日常であった。
「うんこスレ」は、同じように邪険にされている他の学園の不良と交流しており、
今やその規模は、三戦学園だけに留まらず
「シャア専」 「株式」 「プロレス」 「ラウンジ」 「オリンピック」 等々の学園と友好を深めるまでになっていた。
澄み渡る青空の下、三戦うんこはダウソ学園の方に目をやった。
「ぽまいら、よくやった!」
「ダウーソ、ダウーソ、ダウソ神マンセー!」
「ジーク・ダウソ! ジーク・ダウソ!」
賑やかな声が三戦うんこのいる丘にまで響いてくる。
自信に満ちた歓喜の声、感動の泣き声、勝利を共に分かち合う声・・・
しかし、それはトーナメントという祭りの終了を意味していた。
トーナメントの頂上を制した者が出た瞬間、祭りは終わったも同然だった。
実際に、トーナメント終了直後に生徒会を解散した所も出たという。
祭りとは所詮そんなものだ。
彼は思っていた。
『祭りの最後にふさわしい、いたずらをしてやろう』と。
ゆるゆるも、孫策も見かけなくなってしまったあの場所で
三戦学園が戦い抜いた思い出を刻み込もう。
「三戦うんこ」と三戦生徒会が手を結んで戦った記録を。
そう考えている三戦うんこに一人の男が声をかけた。
「タンクの兄者、何を考えてるんですかー?」
声の主は、「シャア専うんこ」に所属するもりあがり寿。
うんこが盛り上がるごとく、シャア専学園生徒会を盛り上げた男である。
三戦うんこ、裏株うんこを兄者と呼び、本家シャア専JSAに対抗して
USA(ウンコ・ストリーム・アタック)なるものを企画したつわものでもあった。
「おう、もりもりか。元気そうだな」
「俺はいつでも元気ですよ。
兄者こそ元気ですか? 何か考えてるようにも見えますたけど」
「いや、ちょっとな・・・」
もりあがりは、三戦うんこの隣に腰を下ろすと、兄者と呼ぶ男の顔を覗き込んだ。
うんこながらに、AA職人としての地位を確立している男の横顔は
トーナメント初期の三戦生徒会を荒らしまくった人物とはとても思えない程に凛々しくなっていた。
一時期は他の学園生徒会に珍入し、うんこを放り投げるまでの事をやっていたのだが
三戦生徒会のテンプレ屋に怒られて以来、自らを省みつつ
コツコツと支援物資を作り上げ、生徒会に協力してきたからであろうか。
「兄者、トーナメントが終わって寂しいと思ってるんでつか?」
「馬鹿言え、そんな訳ないだろ」
「じゃあ、何でしかめっ面してるんでつか?
俺が声かけるちょっと前、すごい顔してまつたよ」
「・・・まじで?」
「まじで」
平然としていた三戦うんこだが、図星をつかれて少々動揺していた。
長い事うんことして共に戦ってきたからなのか、それとも兄弟分として接してきたからなのか、
あまりにも身近に居過ぎたせいで、その判断すら今の三戦うんこには出来なくなっていた。
「・・・俺、兄者のそんな顔見たくないでつ。兄者には笑っていてもらいたいんでつ。
あの時、兄者には凄い勇気付けられたんでつよ。
ほら、あの次の対戦が娘。学園の狼学部だと決まった時とか」
「あー・・・、あん時か。
あれは頭に血が上ってたんだよ。今思うと、冷静じゃなかったなー・・・」
「いや、兄者カコヨカッタでつよ。うんことして誇りに思うでつ」
「そうか〜・・・?」
「そうでつよ!それにAAもすごいでつ。
兄者のAAは、いいお手本なんでつよ。線がしっかりしててホントにカコイイでつ!」
「・・・褒めても、何も出ないぞ?」
「出てるじゃないでつか」
もりあがりが指摘した通り、三戦うんこの顔からは笑顔がこぼれていた。
「あーもう!照れるじゃねえかよ!」
「照れてる兄者もカコイイでつよー(・∀・)ニヤニヤ」
三戦うんこは照れくさそうに頭を掻き、勢い良く立ち上がって歩き出した。
「あ、兄者、どこへ行くんでつか?」
「決まってんだろ、俺らの溜まり場『うんこスレ』だよ!
いいいたずらを思いついたんだぜー!」
「兄者ー、俺もついて行くでつー!」
二人は三戦学園の「うんこスレ」へと歩いていった。
もう誰も訪れる事のないそこは、ただの物置となってしまったが
最後に三戦学園と「三戦うんこ」、同盟学園らと共に戦った記録を刻む為に・・・
―おわり―