【hey!】トーナメントで萌えpart34【三戦!】

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954風と木の名無しさん
「いらっしゃい」
とドアが開けられた。
彼の顔を見るのは久しぶりのような気がする。
仕事が猛烈に忙しいと聞いたので、様子が心配になって来てみたのだが
本当のことを言うのはちょっと照れくさい。
「ワタシが実をつけたって聞いたので、ちょっと偵察に」
「ザク兄さん?あぁミニトマトのことですね」

キッチンからコーヒーのよい香りが漂ってくる。
テンプレ屋のいれるコーヒーは、そこらの喫茶店で出されるものよりもおいしいと仲間内でも評判だ。
コーヒー好きを自認する自分も、彼のいれるコーヒーはうまいと思う。
彼の部屋に遊びに来るたびコーヒーをねだっていると、
そのうち何も言わなくても出してくれるようになった。
955風と木の名無しさん:02/07/07 17:30 ID:mPNxq19w
漂う香りに幸せな気分に浸っていると、キッチンからクスクス笑いが聞こえてきた。
「どうしました?」
と声をかける。
「いや、何でも無いですよ」
「でも笑ってるし・・・」
「気になさらないでください。ちょっと思い出したことがあったので」
言いながらも彼の声は笑っている。
「そんなに貴方が笑っておられると、やっぱり気になります!」
そこで自分の声が拗ねていることに気が付き、ムキになったことが急に恥ずかしくなる。
「いや、やっぱりいいです・・・。人のこと詮索するなんて・・・」
途端に声が小さくなってしまった。
「いけない人、ですね?」
マグカップをふたつ持ったテンプレ屋が部屋に戻ってきた。
「そんなに気になさるなら、お教えしますよ」
「いや、その、詮索するつもりは・・・・」
「兄さんはヒマワリを3回も枯らしてしまったんですよね?」
「えっ、そんなことだったんですか・・・。・・・実は5回なんですけどね・・・」
自分のヘタレさを自覚して、思わず顔を伏せてしまう。
声を押し殺してテンプレ屋が笑った気配がした。
956風と木の名無しさん:02/07/07 17:30 ID:mPNxq19w
窓辺に置かれたミニトマトは、たわわに実をつけていた。
自分の部屋のヒマワリのことを思い出し、内心溜息をつく。
「それにしてもすごいですね。園芸するの初めてだ、と言っていたのに
こんなに実をつけさせるんですから。これなんか、今が食べ頃って感じですし」
「一番最初に熟した実はね、もう食べちゃいましたよ」
思いの外すぐそばから聞こえた声に振り向くと
すぐそばにテンプレ屋の白い頬が見えた。
少し視線をあげると、少しだけ笑みを乗せた視線とぶつかった。
二人で飲みに行ったことは数えられないぐらいあったし
こういうふうにお互いの部屋を行き来もしているのに
こんな近くで彼の顔を見たのは初めてだ、とふと思いつく。
その瞬間、急に動悸が速くなり、顔が耳まで熱くなっていくのを自覚する。
自分の状態に混乱し、慌ててテンプレ屋から視線を逸らした。

追い打ちをかけるように彼の声が聞こえた。
「今の兄さんみたいに真っ赤で、それに甘い味がしましたよ」
957風と木の名無しさん:02/07/07 17:33 ID:mPNxq19w
今回のお祭りに乗じて、SS書きました。
先日はポエムにしかならなかったので、
一度SSにしたかったのです。
つか兄さんはこんなに純情じゃない気もしますが、
お見逃し下さい。
一応テンザクです。