【hey!】トーナメントで萌えpart27【三戦!】

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980風と木の名無しさん
 誰もいない放課後の生徒会室で、彼は一人居残って仕事を続けていた。
 私立三戦学園の生徒会の書記である彼は、勤勉さや真面目さでは認められているものの、
 副会長テンプレ屋や先輩書記の592武将たちと比べると、まだまだ半人前である観は否めなかった。
 彼の名前は飯抜け武将。まだ初々しさと生徒会役員への憧れを頬に残す一年生役員である。
「手伝いましょうか?」
 いつものように手早く仕事をまとめ終えたテンプレ屋に、そう声を掛けられるが、
「い、いえ! これは僕の仕事ですから!」
 思えば生徒会役員に立候補したのも、テンプレ屋に憧れたからでもあった。
 そんな先輩に声をかけられて、焦りながら彼は折角の申し出を断ってしまう。
というよりも、先輩に手伝ってもらうという事を考えただけでも、かえって仕事が手につきそうになかった。
「そうですか……。私はこれから文長さんと他校に折衝に参りますから、あとの戸締りは宜しく」
 白皙の美貌に乗る眼鏡を直しながら、テンプレ屋そう言って引き下がった。
 少し残念な思いがしたのは飯抜け武将のほうばかりだったろうか?
「あまり、無理をしてはいけませんよ?」
 生徒会室の扉を出ながら、そういい残すテンプレ屋の眼差しと微笑みに、
ちょっとした感情が込められているのを感じたのは飯抜けの気のせいだったろうか?
「駄目だ、駄目だ。ちゃんとしないと……」
 頭を振って彼は他校との交流録のまとめを続ける。

981風と木の名無しさん:02/06/17 16:58 ID:wpZuYCgA

「はろぉ! 飯チャマ!」
 一人居残って仕事をしている彼の背中に彼のもっとも苦手とする声がかかる。
「どどど、どこから出てきたんですか! 地雷魚さん!」
 振り向いた彼の視線の先には、開いた掃除用具入れの扉と見るからにいい加減そうな男の姿が。
「あー狭っ苦しかった……」
 体の埃を払いながら、現れた男は名は地雷魚。最近、生徒会に出入りするようになった、
役員でもなんでもない生徒である。ただ生徒会が居心地がよいらしく、なにするでもなくやってきては、
茶や菓子を食い散らかしては遊んでいく。
 はっきり言って業務には迷惑だが、ときどきバカ話から有効な案件が飛び出したりしてくるので、
ブレーンストーミングにおけるオッドマンのような役割として受け入れられている模様であった。
「いやぁ……うるさがたがいなくなるまで待ってたら、もうこんな時間に……」
「……で? なんの御用ですか?」
 飯抜けは不機嫌そうにとう。正直、彼はこの男が苦手であった。
 どこがどう気に入ったのか、しょっちゅうまとわりついてきては「チェキ!」とか意味不明な言葉を言い散らしながら、
人をからかってくる。正に彼の憧れるテンプレ屋とは正反対に位置する人間だ。
「ああ……、その“仕事を邪魔しないでください”と言いだげな、怒りとちょっと拗ね混じりの視線、たまらないねぇ……」
 つ……と近寄り彼は飯抜けの肩に手をかける。
 思ったよりも強い力に飯
「御用? ってもちろん決まってるじゃないか……。ようやくあのテンプレ屋も文長もいなくなって、キミ一人、ここにいる」
 普段のふらふらした動作と対照的に、素早く飯抜けの顎に手をかける地雷魚。
「こんなシチュエーションに疑問の余地などあるかい?」
 ようやく我に返り、飯抜けは抵抗を始める。
「な! 何を考えてるんですか、貴方は!」
 その反応はまさに男を悦ばせるもの以外の作用などない事を、彼はまだ知らなかった。

                                                    つづく……?