★誰か僕の小説を作ってくれたまえ(薔薇)★

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1りく
僕はルシュペルのボーカルに似てる16歳の高校生の『りく』だよ。
ジャニーズ系ってみんなにはよく言われるんだけど、男の子が好きなんだ。
誰か僕のH小説を書いてくれないかい?ベイビー★☆★☆
2風と木の名無しさん:01/12/29 15:47 ID:RNysP0as
あなたじゃギャグにしかなりません
あと21歳以下はダメヨ
3りく:01/12/29 22:47 ID:bTO1AaF8
本当は22歳です。
4風と木の名無しさん:01/12/29 22:55 ID:4/VC2E8I
『ちびまる子ちゃん』の花輪クン役をオススメします。
5りく :01/12/29 22:59 ID:c/DgmHix
本当は22歳のデブヲタです。
6りく:01/12/29 23:00 ID:19/rNWo/
おまけに包茎です。
7風と木の名無しさん:01/12/30 00:40 ID:Gv+Q+peR
りくねえ。友達が飼ってるモモンガの名前だな。
8りく:01/12/30 01:44 ID:Xj3E1dVA
モモンガです。
9風と木の名無しさん:01/12/30 13:55 ID:rpRF8HgC
さすが幻想の中だけに生きる女達だ。
現実の男には厳しいな。
10風と木の名無しさん:01/12/30 16:38 ID:6zqJnYBt
>1〜>9
激ワラタ
11風と木の名無しさん:01/12/30 18:46 ID:08PUEXQQ
今>10がいいこと言った
12りく:02/01/01 22:42 ID:pniUyeBh
本物のりくは1と3だけだよ。美形で有名なりくさっ。
ちょっと痩せ気味の体についた筋肉、ちなみに包茎じゃありません。
13中3:02/01/01 22:45 ID:YSIySU5M
HEY!BABY!俺と恋愛しようYO!
14風と木の名無しさん:02/01/01 22:48 ID:kzPByCg1
>12、13
ケコーン
15風と木の名無しさん:02/01/01 22:49 ID:TQiSRHbK
包茎じゃないと駄目なのです
もう死んじゃって下さい
16風と木の名無しさん:02/01/01 22:56 ID:PtHSGj6b
「こんな受は許せない」
17風と木の名無しさん:02/01/01 22:58 ID:zB3DjM9W
いや、受と見せかけて攻かも。
どっちにしても
「こんな攻めが許せない」
18風と木の名無しさん:02/01/01 23:04 ID:0ByHFs0G
ふしぎっ子攻めっていうか・・・ 
19風と木の名無しさん:02/01/01 23:14 ID:Vu7QfIkx
「ふふふ。気持ちいいって、いったごらん〜、ベイベー」
20風と木の名無しさん:02/01/05 00:27 ID:Q6o2POqH
スマソ、このスレうけすぎ‥‥(ワラ
(゚д゚)ウマーウマーウマー
ゴヴォーン(゚∞゚)《´A`》オロロォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!
(゚∀゚)アヒャヒャヒャヒャ
ゴルァ(゚Д゚)!!《゚Д゚》ゴラァァァァァァァア!!!!!!!!!!!!
《;~Q~》ビミョォォォォォォォオ!!!!!!!!!!!!《゚Д゚;》ウワァァァァァァア!!!!!!!!!!!
22風と木の名無しさん :02/01/14 21:06 ID:h4EydbIz
>8
激ワラタ
23風と木の名無しさん:02/01/17 01:23 ID:1OOmP2qG
ここでSSの修行をしたいが、りくにはまるで興味が無い。
「つぶれかかりのネタスレだし、いいじゃんか。」
「でも、1から22までの人に悪いじゃないか」
「煽り荒らしよりましやん」
「一人で大量にSSカキコって、おまえ自分でサイトつくれや」
「ええやんか、このまま削除されるスレ有効利用するとおもえば」
「SSスレいけや」
「…へたやもん」
「それ以前におまえ、嫌われもんだろ」
「う…え、ええやん、こんな下のスレ、削除忍くらいしかみいへんわぁ!」
「ばかもの、ももんがのりくちゃんにわるいとおもわんのか!」
「…ご…ごめん、りくちゃん…ゆるして」

―――偶然見てしまった人、生温かく放置してください。
24風と木の名無しさん:02/01/17 02:01 ID:1OOmP2qG
不規則になりがちな仕事だけど、一つだけいいことがある。
それは、平日に休みを取りやすいこと。
休日でもできなくはないけど、やはり平日の方が収穫も多いし、何
より本物の男の子達でいっぱいなのがたまらない。
声が、するんだよ。においも、凄いの。若い子って、本当にいいな。
そういう僕もほんとはまだ若いけど、現役の高校生の子からみれば
きっとおじさん。まだ22で、時々高校生に間違えられるけど、本
物とくらべたら、肌の張りとか、負けちゃうかもしれない。
中には僕よりずっとおじさん臭かったり、太ってたりする子もいて、
僕からみても、ちょっと、って感じの子もいるけど、そういう子が
いるから、僕が学校に来てもばれないんだよね、感謝しないと。
そう、僕の休日の趣味はこっそりと高校に入り込むこと。そして、
ばれないような、ささやかな物を持ちかえって僕の宝物にすること。
制服は何種類かもってて、色々まわってるんだけど、ここ2・3回は
八百一学園付属薔薇高校に行ってる。あまり続けて行くと危ないけど
お気に入りの子ができちゃうと、だめなんだよね。
今のお気に入りは、2年生の花輪君。かっこいいんだ、すごく。
顔もよくてスタイルも頭もいい子って、信じられないけど本当に
いるんだよ?僕が彼の事を「王子様」ってよんでるのは、日記帳と
僕だけの秘密。
25風と木の名無しさん:02/01/17 02:44 ID:1OOmP2qG
もちろん花輪君みたいなかっこいい子には、ちゃんとお似合いの子
がいるんだよね、あたりまえだけどさみしいな。くすん。
いつも一緒に幼なじみの子がいて、この子がまた奇麗で。
茂門賀りく、っていうの。ちっちゃくて可愛いんだ。色も白くて、
目がおっきくて、髪なんかもね、ウェーブのかかった茶色で。
あんな子だったら、花輪君に好きって言えたのにな。
りくちゃんに生まれて、花輪君とお付き合いしたかった。
一緒に学校通ってさ、しょっちゅうお互いの家にいくの。お泊りも
当たり前だから、Hの場所にもこまんない。りくちゃん、ちいさい
からベッドもシングルかも。花輪君おっきいから、きっとセミダブル
とかだよね。どっちですることがおおいのかな?
『りくのベッドじゃ狭いから、やだ。花輪君ちにいこうよ』
『そこがいいんだろ?たっくさんしような』
なあんて言われたら、僕もうたまんないよう。
休日はデートとかして、帰りにラブホテルとか行っちゃうの。僕は
行ったこと無いけど、きっと花輪君は慣れてると思う。
『誰ときたの?』
『馬鹿だな、今はお前だけだよ』
ああん、花輪君、好き好き。
26風と木の名無しさん:02/01/17 07:42 ID:1OOmP2qG
先週も来ちゃったから、やめておいた方がいいのはわかってる。
でも、今日体育があるんだ。あ、授業中に更衣室や空き教室に忍び
込んだりするわけじゃないよ。そんなあぶないことできないもん。
最初に来た時、更衣室の隣にあるトイレから、更衣室が覗けるのが
判ったんだよ。掃除道具入れの中の壁にね、穴が空いてる。もう、
すっごくいい感じにあいてて、更衣室の中が良く見えるの。
そのうち使おうって思ってたんだけど、来週から仕事の方が忙しく
なりそうで、しばらく来れなくなっちゃうみたいで。下調べもしな
くちゃいけないから、急に休みになったから“じゃあ今日は学校に
いこっかな”なんて感じにはいかないんだよね。
だったら、クラスや時間割が判ってる今年度のうちにもう1回来よ
うと思ったの。知合いもいない高校の事調べるの、大変なんだから。
今度来た日に、『たまたま花輪君のクラスが体育のある日だった』
とか、そんなことあるわけないのは、いくら夢見がちな僕だって
判ってるんだもん。
27風と木の名無しさん:02/01/17 11:43 ID:1OOmP2qG
トイレにはいるのだって、用心しながらでないと。あやしまれちゃ
おしまいだもん。最近はデジカメ性能良くなったから、嬉しい。
ちょっと前迄は、画質良くなかったし、高かったから8mm使って
たけど、あれ大きいし、テープも増えてくると結構場所を取る。
おいしい場面編集しても、元テープ結局捨てられないんだ、勿体な
くて。デジカメにしてから楽になったよ。神様アリガトウ。
さてと。4時間目の体育だから、終わってからの着替えが他の時間
より少し長めになるといいんだけど。そのまえに、制服ぬいじゃう
所、上手く撮れますように。
……あれ?どうして、みんないないの?さっき、チャイムなったし、
もう来てもいい頃だよ?遅れたら先生に怒られちゃうよ?
「やっぱ、いやがったぜ」
え?
「でてこいよ、変態」
なんで?どうしてみんなここにいるの?
「おら、出てこいって言ってんだろ、このデブ」
「ったくキショイな。マジかよ」
「どうする、こいつ。警察よぶかぁ?」
やだ、やめてよ。
「おら、何とか言えよ。」
「捕まったのか?」
「おう、花輪。」
は、花輪君?!
28風と木の名無しさん:02/01/17 12:02 ID:1OOmP2qG
「捕まえたはいいけど、どうすんのよ。」
「あとで決めるわ。こっち突っ込んじまえ」
花輪君に、見られた。
「おら、来いよ」
僕の恥ずかしいところを、一番好きな人に見られた。
「下、脱いで便器にすわれ」
うん、花輪君。
「…うわ、みたくねぇ。」
うるさい、ブッサイク。僕は、花輪君が言うから、するんだもん。
「縛っとけ。使用中止の札、その辺にあっただろ。」
ああ、花輪君。僕の事、どうするつもりなの?
「ここの掃除、どこだ?」
「あー、1−8」
「昼にでも、連絡しといてくれ。今日はやんなくていいって。」
「わかった。」
…すっごい、みんな花輪君の言うこと聞くんだ。リーダーなんだね。
花輪君、かっこいい。
「んじゃ、いくぞ。」
ああん、閉めちゃやだよう。みんな、いっちゃやだ。あ、授業始ま
るんだ。でも、だぁれも着替えてなかった。なんでだよう、遅れて
もいいのかよう。これから着替えるんなら、僕にも見せてよう。
29風と木の名無しさん:02/01/17 12:55 ID:1OOmP2qG
さむい。もうどれくらい、こうしているんだろう。お尻丸出しで、
冷えちゃった。おしっこ、何回も出てる。ああ、だから花輪君は、
脱げっていったんだ。やっぱり、花輪君は、優しい人だ。
でも、さっきから、鼻水や、くしゃみが止まらない。口に雑巾いれ
られて、大声出せないから助けてもらえないと思ってたけど、これ
なら誰か気がついてくれるよね。…でも、さっきから誰も来ないよ。
なんでかなぁ。ずうっとなんて、変だよう。

あ、来た。誰か来たよ!
「こいつですか?」
ああん、急にあけちゃやだぁ。
「そ。これからうちらでシメんの。」
「うっわ、花輪さんとこですよね。大丈夫っすかね、この豚。」
うるさいな、ネズミ男に豚よばわりされたくないよ。
「何、お前こいつみたいなのがいいわけ?」
「やっめてくださいよ。冗談キツイですよ。」
馬鹿、こっちだってお前なんかやだよ。
「来たかったら、こいよ。10人位までならいいって花輪も言っ
てたしさ。ああ、ここの掃除当番優先な」
30風と木の名無しさん:02/01/17 13:20 ID:1OOmP2qG
僕は、これからどこに連れて行かれるんだろう。
「とっとと歩けよ、このデブ。」
なんで花輪君が迎えに来てくれないの?
「おい、余計な奴に見られなかっただろうな」
…ここ、旧講堂じゃないか。幽霊講堂って言われてるの、知ってる。
「見られてもいいじゃん、こいつ制服だからセンセー共に見られて
もだいじょぶでしょ」
「ちげーよ、今日のは花輪の仕切りって話がもうでまわってんの。
豚の仕入れがすんでんのはまだばれてねえけど、3年来るまでに
締めきらないと。もう50人以上いるんだわ」
「花輪も売れっ子だからな。」
「そういうこと。入れてもらえる?」
「げ、先輩」
…あ、この人も、かっこいいなぁ…。
「げ、はないだろう。ほら、花輪に土産物」
「え、あ、はいっ。」
「後から来る奴もいれてやってくれ」
ええん、こんな人もいるってわかってたら、3年生の校舎にも行っ
たのにぃ。自由登校になってたから、先週はみかけなかったのかな。
あ、花輪君だ。
「先輩、有り難うございます。」
31風と木の名無しさん:02/01/17 13:52 ID:1OOmP2qG
「無理言って悪かったね。」
「いえ、そんなことないです。どうぞ、入って下さい。」
先輩と花輪君の2ショット、どきどき。ああん、撮りたあい。
「しかし12時までの使用許可証なんて、初めてみました。」
「僕らの頃までは普通だったよ。文化祭の準備とか当たり前に泊り
こみでやってたし。ま、君らの学年は、りくがいるから心配されて
るだろうけど。」
「心配の方向がずれすぎですよ。このガッコであいつに手を出す奴
いないっつうの。いっつも学外ばっかだし。……一度、先輩からも
言ってやってください。あいつこの前も3人相手にして」
ええっ、どういうこと?りくちゃん、花輪君とおつきあいしてるん
じゃなかったの?……僕にも、まだ、チャンスはあるの?
「いいじゃないか、りくが好きでやってるんだから。おまえ、結構
偏見あるんだな。」
「…いや、りくの勝手なのはわかってるんですけど、あいつこの前
俺の前で盛ったんです。…わらいますか、そこで」
「い、いや、薔薇高歴代No.1イベンターの呼び名も高いお前がね。」
「イベントと普段の区別つけらんなかったら、イベンターなんて
できませんよ。それは先輩の方が良くご存知でしょ」
「まぁね」
32風と木の名無しさん:02/01/17 14:18 ID:1OOmP2qG
「先輩、こちらにどうぞ」
あ、僕のこと縛ったぶさいくだ!僕の先輩にナニスンダヨ!…はっ、
僕、花輪君一筋だったはずなのに。花輪君、浮気者の僕を許して。
「花輪、そいつ?」
あぁ、りくちゃん!相変わらずお美しい…いや、りくちゃん可愛い
振りしてヤリヤリなんだってな。ふん、これで花輪君は僕のものだ。
「そ。手配ついた?」
「当然。ところで、マジでバージンなの?」
…りくちゃん、ガラわるうい。そんな子だとは、思わなかったよ。
「と思う」
「思うじゃねえだろ、確かめてねえのか」
「確かめるったって見ても俺らじゃわかんねっつの。それにこんな
ぶせぇ白豚、やる奴もいないだろ。」
「若けりゃいいっつう奴もいんだよ。…ま、やったことなくても
自分で物いれたくってりゃどのみちガバガバだけどな。」
…ぎく。昨夜、寝る前に花輪君のこと考えながらアナルバイブで
遊んじゃったんだ。…ばれちゃうかな。えーん、僕バージンなの
に花輪君に誤解されたくないよう。
「とっとと上にあがれよ」
うわ、いくら可愛くても淫乱の癖に僕の清らかなお尻をけるな!
33風と木の名無しさん:02/01/17 14:37 ID:1OOmP2qG
舞台の上で、漸く雑巾が取ってもらえた。く、苦しかったよ、はふ。
…でも、結構きもちよかったかもしんない。駄目な僕…。
「脱げ」
ええっ、やだよ。そりゃ花輪君と二人きりならいくらでも脱ぐけど、
ここじゃみんな見てるじゃないか。…りくちゃん、ひどうい。

あっ!

「殴るぞ」
……な、殴ってから言うなよう。
「りーく、おまえ手ぇ早すぎ」
だよね、だよね。やっぱり花輪君は僕の味方だよね。
「こんなんナイフで切っちまえよ」
…ひどい。でも、やっぱりかっこいいようん。
「あとがめんどくせぇんだよ」
「うーわっ、りくが後のこと気にするとは。オトーサンうれしいよ」
「…わかった。ナイフ使うよ。チンポぶった切っちまってからガタ
ガタいうんじゃねえぞ」
うわぁ。冗談じゃない。僕のスィートプリティなバナナちゃんピンチ。
「最初っから脱ぎゃいいんだよ」
…ぼくはお前なんかとちがってばーじんなんだYO!…ところで、
そのロープ…何につかうの?
34風と木の名無しさん:02/01/17 14:57 ID:1OOmP2qG
「おー、りくちゃんさぁっすが」
花輪君が手を叩いてる。喜んでもらえて嬉しいけど、でもやっぱり
こんな格好、恥ずかしいよう。手首と足首しばられて、うつぶせに
されちゃった。りくちゃん、ひどい。
「…おまえ、縄師でやっていけるんじゃないか」
先輩まで、りくちゃんのことほめるし。素材がいいんだってば!
「で、どう?」
「……サラじゃねぇな」
「ぼ、ぼくバージンだよ!」
思わず言ってしまった。
「お、口ききやがった。」
ぶさいくが顔をのぞきこんでくる。お前の顔なんかみたくないよ。
「だまってろ。……おい、なにがバージンだ。散々いれただろ。」
「す、少しだけだもん。うわ!」
いきなりけるなぁ!……前もっていわれても嫌だけど。
「すぐばれるような嘘ついてんじゃねぇ。昨日今日じゃねえだろ、
このゆるみっぷりは」
「ホントだもん、おもちゃしか入れたこと無いよう」
「……やっぱり、いれてんじゃん」
「だって、たまにだし、そんなにすごいのいれてないよ」
ああん、どうして僕、こんなこと花輪君の前で言わされてるの?
35風と木の名無しさん:02/01/17 15:22 ID:1OOmP2qG
「ちっ、せいぜい気張ってしめとけよ」
舌打ちしながら踏まなくても…ちょっと、気持ちいいけど。
「りく、マズくないか?バージンってことで話つけたんだろ」
花輪君、僕の心配してよ。つめたいんだから、もう。ぷんぷん。
「いや。20台としか言って無い。自分の目で見てなかったかな。」
「…おさすが。…どうせ初めてじゃないなら、先に食っちまうか?」
ええっ、は、花輪君てば、大胆!僕達、今日はじめて会ったんだよ?
そりゃ前から花輪君のこと、見つめてきたんだけど…花輪君も、僕
に運命感じちゃった?
「誰が?」
花輪君に決まってるだろ、僻むな淫乱!
「…おまえ、やりたくないの?」
…………………はい?
「っざけんな!俺がこんなダルケツに勃つわけねぇだろ!」
やだ、蹴らないでよ!
「花輪、りくの好みはもっとがっちりしたマッチョマンだってば。
褌やTバックが絵になる、大臀筋が発達した兄貴の固い尻にぶち込
むのが好きなんだから」
せ、先輩まで…そ、それより、りくちゃんてば、攻め……?
36風と木の名無しさん:02/01/17 15:52 ID:1OOmP2qG
「残念だったな、りくにやってもらえなくて」
だまれぶさいく。
「りくは妥協しなくてももてるからな。花輪も連れの好みくらい
覚えといてやれよ。」
「ンなこといったって、こないだこいつが俺の目の前でやった3人
どう見たって100kgオーバーのデブばっかだったんですよ?」
「花輪ぁ、デブゆうな。全員OBの紹介だぞ」
「うっそ。」
「ホントだよ?生徒会のOBから話がきて、僕がりくに頼んだ。
りくのことは、大学でも有名らしくて外部生なんか結構真剣に
つて探してる。体育会系は縦の繋がりがあるし、りくの好みだから
話は早いんだよね。このまえのも、3人とも武道系の人達だから、
デブというよりは筋肉系のはず。あんまりよく見てなかっただろ」
「しげしげ見るもんじゃないでしょう。……残念だったな、白豚。
多少ゆるくてもりくならきついくらいだと思ったんだけど」
「そ、そんなにおっきいの?」
やん、思わずきいちゃったよ。花輪君、誤解しないでぇ。
「お、こいつやる気充分じゃん」
ぶさいくもよけいなこというなぁ。
37風と木の名無しさん:02/01/17 16:05 ID:1OOmP2qG
…さすがの基地外も、つかれたし、気持ち悪くなってきた。
38風と木の名無しさん:02/01/17 16:31 ID:1OOmP2qG
「それよりこいつ、身元われてんの?」
…ばれるわけないだろ、ぶさいく。身元証明できるものなんかもっ
てないよーだ。
「ああ、隣の駅の近くのやつ。年は22、名前はSEMhThQl」
り、りくちゃん、なぜ僕のひみちゅを!ひょっとして僕に一目惚れ?
「いっつも、俺と花輪が行くコンビニで、じとーっとみてんだよ。
花輪にやって欲しくてたまらんって顔しといて俺のことにらむからさ、
嫌でも覚えるっつの。」
「…りく、うそだろ」
花輪君、なんで嫌そうにするの?照れなくてもいいのにぃ。
「気持ちは分かるが。おら」
亀じゃないんだから、そんなひっくり返し方ないでよ!
「…ち、ちっせ」
「…ポーク・ビ○ツより小さくねぇ?」
うわぁ!僕のデリシャスでノーブルな子になんてひどいことを!
「おい、花輪がやってくれるっていったら、どうする?」
りくちゃんの言葉を聞いただけで、僕のマグナムが熱くなる。
「…上、向いてるよな」
「…きの○の山?」
「…りくよりでかいのは、海外の探せば結構あるけど…」
お、おとこはでかさじゃないもん!

********************************おしまい
39風と木の名無しさん:02/01/22 23:01 ID:zqQZnLt1
夢をみた。
僕が男子校に忍び込んで、つかまった挙句ずたずたにされてしまう夢。
皆が僕を薄汚い豚として扱い、僕は虐げられる快感に酔いしれた。
射精の感覚とともに目がさめて、泣けた。
学校に忍び込むような度胸があれば、僕はもっと幸せになれたに違いない。

僕は、僕以外の人間すべてが怖い。

自意識過剰なのはわかっている。誰も僕のことなど気に止めてはいない。
普通に、していれば良い。
だが、その普通が、僕にはわからない。
僕はどうしたら良いんだろう。

それでも今日も僕は決まった時間にコンビニに行く。
「あ、1さん、久しぶり」
アパートの隣の、茂門賀さんちのりく君だ。
「久しぶり。あれ、花輪君は?」
「何でみんなそう言うかな、俺ら2コ1じゃねっつの」
「だっていっつも一緒にいるからさ」
笑いながら今日入荷の雑誌を手に取る僕が、昨夜どんな夢を見たかなんて、
きっとりく君には想像もつかないだろうな。
40風と木の名無しさん:02/01/23 00:32 ID:EN7xTIaM
「いっつもってほどでも…あ、1さん、CD今から返しにいってもいい?」
「あ、今からバイトいくんだ。郵便受けに突っ込んどいてよ」
「…俺、そういうのやなんだよ。人から借りたもんを…」
「りく君はきちんとしてるね。」
「そう言う1さんこそ、いまどきの若い人には珍しいって、うちのおかんに
ほめられてるっての―――んじゃ、また今度にするね。バイト頑張って」
ペットボトルと雑誌を抱えて、りく君はレジに向かった。
僕は誰にも気づかれないように、そっと息を吐いて左手をトレーナーの裾に
なすりつけた。右手に持った雑誌は、冷や汗で表紙の一部がふやけている。
こんな当たり前の会話ですら、苦痛に感じる自分が情けない。甘えているの
だと思う。本当に怖かったら、吐くか、倒れるか、脱毛症にでもなるか……。
とにかく体に激しいダメージが現れるだろうに。僕はただ手に汗握るだけで、
顔には一切でていないらしい。
いっそ、怪しいぐらいの汗でも顔から噴出せば、りく君も気持ち悪がって、
僕に近寄らなくなるかもしれない。そうすれば、僕も楽になれる。
だが、りく君は「隣のアパートにすんでる1さん」として、無邪気に僕にな
ついている。本当の僕が、何を考えているか知ったら、きっと罵ることもせ
ずに逃げだすことだろう。
僕の頭の中はりく君でいっぱいだ。
頭の中で、僕はずっとりく君を犯しつづけている。
周りに気づかれないのが不思議なほど、僕は夜毎りく君を辱めつづけている。
遠目に見ただけの姿も、こうした日常の会話も。それらはすべて僕の脳内で
りく君を犯す場面へとつながっていく。
41風と木の名無しさん:02/01/23 04:14 ID:EN7xTIaM
店の外に出たりく君は、わざわざ僕の前までやって来るとガラス越しに手を振った。
僕が手をあげると、笑顔を見せてから立ち去った。りく君の後姿が見えなくなって
から、僕はレジに向かった。
「380円です」
りく君からお金を受け取った店員。
「400円お預かり致します。20円のお返しです。ありがとうございました。」
りく君が持っていたお金の入ったレジ。りく君の触ったドア。
こんなにりく君のことで頭が一杯な僕のことを、本当は世界中が知っていて
皆で嘲っているんじゃないだろうか。頭からはみ出た妄想が、かたつむりが
這った痕のように、僕の歩いた後ろでいやらしくぬめっている気がする。
玄関でせわしなく施錠すると、僕は寝室に駆け込んでベッドに突っ伏した。
ジーパンに押さえつけられていたものをとりだし、両手でしごく。あふれる
ぬめりがたてる音は、僕がりく君にむける思いのようにいやらしい。
(りく、僕のりくっ……なんて可愛いんだ…)
オナニーの時だけ、僕はりく君を頭の中で呼び捨てにする。普段決してしな
い呼び方をすることで、現実との境界線を引いておく。
そうでもしないと、妄想と現実を混ぜてしまいそうになる。
こんなことばかり考えている僕に笑いかけてくれるりく君が、何もかも知って
いて、許してくれているような勘違いをしてしまいそうになる。
(うっ……りく、いくよ…!…)
頭の中では、何をしてもいいんだから。口や態度にださなければ、気づかれな
ければいいんだ。
42風と木の名無しさん:02/01/23 04:52 ID:EN7xTIaM
風呂上りにビールを飲みながら、僕は夕方見たりく君の笑顔を思い出していた。
(…今晩、あれで何発抜けるかな)
缶を握りつぶした丁度そのとき、インターホンが鳴った。こんな時間に、無連絡で
くる友人は限られているが、一応ドアスコープで確認する。
(ど、どうして)
僕は慌ててチェーンを外し、ドアを開けた。
「りく君、どうしたんだ。こんな時間に…」
「…前は、よく来てたじゃん」
珍しくすねたような声のりく君は、よくみると目が泣きはらしたように赤かった。
「中にはいって。お母さんには言ってきた?」
「…コンビ二行くって行ってきた。…それより、いいの?」
「え?」
「…中、入っても、いいの?」
唇を尖らせてうつむくのに、股間が疼く。
「それこそ、前はよく来てただろう?早く入りなさい。風邪を引くよ」
りく君を招き入れ、チェーンをかける。酔っているのが自分でもよくわ
かる。こんな時間に、りく君と二人きりになってしまうなんて。
「何飲む?」
「何も。…1さんに、聞きたいことがあるんだ。」
リビングのソファをすすめると、りく君は大振りのクッションを抱え込
んだ。りく君が2年ほど前に持ちこんだそれを、僕は他人にさわらせた
ことがない。りく君以外の人が来ると、ドアを開ける前に寝室に投げ入
れるのは既に習慣と化している。
43風と木の名無しさん:02/01/23 05:30 ID:EN7xTIaM
「何?」
「…何で、俺のことさけてんの?」
僕の顔に貼りつけられていたわざとらしい笑みは、易々と引き剥がされた。
「…やっぱ、避けてたんだ」
入れ替わりに、りく君の顔が泣き笑いにゆがむ。
「う、うぜぇなら、そういってくれりゃいいじゃん。」
「りく君、違うよ」
「何がだよ…院試終わるまで、卒論終わるまでって一昨年の夏くらいから俺のこと
部屋に入れてくんなくなったじゃん。…それでも、口きいてくれたし、うちにも
来てくれるからって思ってたのに…う、嘘までつくことないだろ」
りく君は泣きながら僕を睨み付けた。
「嘘って、りく君」
「こ、この部屋、俺の部屋から丸見えなの知ってるだろっ、な、何がバイトだよ。
コンビニから帰ってからどっこも行ってないじゃん。」
「…ずっと、見てたの?」
思わず漏れた呟きに、りく君は真っ赤になった。
「…ご、ごめんなさいっ…帰る」
そういって立ち上がるりく君の肩を掴んで引き寄せるのは、酔ってなければ不可能
なことだった。
「ご、ごめんなさい…き、気持ち悪いって、自分でも、わかってる…っ」
しゃくりあげながら、溢れる涙を拭うりく君に、僕の理性は消し飛んだ。
「…気持ちの悪さなら、僕の方が上だ」
僕はそのままりく君を抱きしめ、股間を強く押し付けた。りく君が、息をのんで
身を固くする。
「…これが、君を部屋に呼べなくなった理由だ。わかったら、早くお帰り………
もう、2度と来るんじゃない。」
44風と木の名無しさん:02/01/23 07:46 ID:EN7xTIaM
僕がりく君を避けていると思わせておけばいいのに、わざわざこんな言い方をする
のは僕のエゴだ。りく君に嫌われた方が楽だからといって、りく君を傷つけていい
わけじゃない。
「ごめんよ、いいお兄さんになれなくて」
僕はりく君から体を離そうとしたが、叶わなかった。
「りく君?」
りく君は、僕の背中に手を回し、より一層しがみついてきた。
「あ、兄貴なんか、うちには、2人もいる。」
僕の胸に顔を埋め、懸命に体を押し付けてくる。
「俺、1さんを兄貴みたいだなんて思ったこと、一度もないよ。…初めて会った時
から、ずっと、1さんのこと」
「りく君、好きだよ」
りく君が、はじかれたように顔をあげる。
「初めて会った時から、りく君のことが好きだった。」
「お、俺も、俺も好き」
涙で顔をぐちゃぐちゃにして、それでもりく君は可愛かった。たまらずに唇を
ついばむと、目を丸くして耳まで赤くなった。
「ごめんね」
親指で唇を拭うとふくれっつらになる。
「…謝るなんて、さいてー」
すねた口調で再度うつむいてしまった。
「りく君、僕が悪かった。機嫌直して?」
りく君は僕の胸に頭を摩り付けるようにいやいやをした。
「りく君、もう許してくれないの?」
「……今晩、泊めてくれたらゆるしてあげる」
45風と木の名無しさん:02/01/23 08:23 ID:EN7xTIaM
「あ、おかん?りく。今日1さんち泊めてもらう。……うん、わかった。おやすみ」
りく君は、受話器を置いて僕に向き直った。
「いつもご迷惑をおかけして、申し訳ございませんって」
「…罪悪感で、胸が痛いよ」
「泊まりたいって、言い出したのは俺だよ?」
高校生の身で無断外泊なんてできない&させられないりく君と僕は、一度家に電話を
いれるという点で意見が一致したものの、背負うやましさは大きく違う。
「このあと俺が1さんにぼろぼろにされて捨てられても、俺の責任だし」
「…ちょっと待て、なんでそうなる」
聞き捨てならないセリフに思わず声が低くなる。
「怒った?」
りく君は、ソファに座っている俺の膝に座ってしがみついてくる。
「りく君が可愛くて、怒れないよ。…大事に、するからね。」
囁いただけで、びくつくのもたまらない。
「え、えとね、花輪がゆったんだから」
「…花輪君が?」
「うん。友達だから応援してやりたいけど、1さん絶対男女問わずもてるから、
絶対泣かされるぞって。ずっと心配してくれてたから…」
「もてないから安心してもらいなさい。…泣かせは、したけどね」
頬をつつくと、言葉に詰まってうろたえる。
46風と木の名無しさん:02/01/23 09:17 ID:EN7xTIaM
「ほ、ほんとにもてないの?」
さっきまでは体当たりで押してきたくせに、今は半ば逃げ腰になっていた。
「ほんと。―――りく君」
「は、はひっ」
「無理強いはしないから、安心して。怖がられるくらいなら、僕はここで寝るし」
「こ、怖がってるわけじゃない。…ただ」
「ん?」
軽く体をゆすって続きを促すと、ごく小さな声が返ってくる。
「…お、俺……こういう時、どうすればいいのか、わかんないんだ」
…りく君、それはもう犯罪だよ。
「だから、俺がどんなにみっともなくなっても、やめないで…嫌いに、ならないで」
僕はりく君を抱きしめずにはいられなかった。
「大事にするって、言ったばかりだろう?」
こめかみに、首筋に、キスの雨を降らせる。
「い、1さんっ、俺、風呂入ってない」
「入りたい?」
「は、入る、入ります、入らせて」
「いってらっしゃい。」
あたふたと膝から降りてかけて行くのを見送り、僕は寝室に引き上げた。
47風と木の名無しさん:02/01/23 10:33 ID:EN7xTIaM
ベッドに入って雑誌をめくっていると、開け放しのドアが軽くノックされた。
「どうぞ」
ドアの陰からりく君が顔を覗かせる。手招きすると、小走りにベッドの傍らに
やって来た。ベッドの中にもぐりこんでくる様はまるで子犬のようだ。
「前ほど、余らなくなったね。」
パジャマの袖をつまんで引く。
「だって、もう身長差は20センチ位しかないよ?」
「成長期だなぁ。前は襟口から肩がでそうだったのに」
「…それ位長いこと、1さん、俺のこと泊めてくれなかった」
「…自分の理性が信じられなくてね。現に今、こうしてる。」
パジャマを脱がせようとする僕の手に、りく君は素直に従った。
「俺がガキだったから、遠慮してたの?それとも男同士だから?」
パジャマの下は、素裸だった。
「…僕なんかが、りく君に触っちゃいけないと思ってね。」
しっとりとした素肌をなでまわす。
「…1さんも、脱いで」
わずかにかすれた声で請われ、僕もすべてを脱ぎ捨てて身をよせた。既に固い
それをりく君の太腿におしつけ、先走りをなすりつけるように軽く腰を使う。
「…1さん、さわってもいい?」
僕がりく君の手を取ってにぎらせると、やさしく包み込んでくれる。
「おっきくて、あつい……ね…1さんは、いつもどんな風にするの?」
「…りく君のことばかり、考えてる。」
僕も、りく君の股間に手をのばすと、そっと握って形を確かめた。
48風と木の名無しさん:02/01/23 11:28 ID:EN7xTIaM
「あ、だめ」
「嫌?」
「…じゃなくて、俺、すぐいっちゃうかもしんない…」
恥らうりく君の額に唇を押し当てた。
「大丈夫。僕のも、もうこんなだから」
りく君の体を抱き寄せ、2本まとめて握りこむ。
「ん……気持ちいい……ね…ほんとに、俺で、してくれたの?…」
「…6時過ぎにコンビニに行けば、りく君に会える確率高いから日課にしてたよ。
今日店を出てから、手を振ってくれただろう?あれで帰ってすぐ抜いた。…怖い?」
りく君の体がびくりとふるえるのに、僕は少し慌てた。
「ううん…俺も…俺も、1さんに会いたくて、あの時間に行ってた…ね、もっと
聞かせて……俺でも、いいんだよね?…俺で、1さんは抜けるんだよね?」
「今までりく君で何回抜いたかなんて、覚えてないよ。…どうしたの?」
「ほ、ほんとに俺みたいなガキでいいの?」
「りく君が、好きだよ。…ね?わかるだろう…さっきより、大きく、なってる」
僕は息を弾ませながらりく君の手に自分のものを強く握らせた。
「…俺がやらしいことばっか考えてるから…それに気がついたから、1さん俺の
こと避けてるんだって、ずっと、思ってた…エロガキだから、嫌われたって…」
涙声になるりく君の背中を何度も撫でる。
「嫌ってなんかいない…ずっと、りく君に夢中だった」
49風と木の名無しさん:02/01/28 18:58 ID:0zINnn7w
僕のものを握らせたりく君の手に自分の手を重ね、より強く握らせる。
「いまだって、りく君に触ってもらえて、こんなになってる」
そのまま手を動かすと、りく君の方からしごいてくれた。
「1さん、いい?」
「あぁ……気持ちいいよ。……夢みたいだ」
「そこまで言うと嘘っぽい」
うっ、りく君。ふくれっつらだけでも可愛すぎるのに、そんなにしこしこと。
「んっ…嘘じゃないよ」
お返しに、お尻を片方鷲掴みにして何度か握ると小さな声を上げて手を止める。
「帰ってからすぐ抜いたっていっただろう?寝る前にもするつもりだったけど、
本物のりく君にさわってもらえるなんて……」
耳元で囁くと、お尻をもじもじさせた。
「もっともんで欲しい?」
お尻を両手で握り直してこねる。僕の手にちょうど良いサイズのお尻は、肌は
つるつるだし引きしまっている。固いというより、ぷりぷりした手触りのキュ
ートなお尻を揉んでいると、りく君が唇を噛んでいやいやをした。
「りく君、もうしないから唇噛むのはやめて」
「…や、もっと…」
潤んだ瞳のりく君が、唇をふるわせておねだりしてくれる。
「気持ちよかった?」
こっくりとうなずいて僕のペニスをきゅっきゅっとにぎる。先ばしりでべとべ
とになった手は、片方はそのまま竿をしごき、もう片方の手は袋のほうを撫で
さすりだした。
「……りく君、いいよ、凄く良い……」
僕がつぶやくと、りく君の顔が明るくなった。
50風と木の名無しさん:02/01/28 19:00 ID:0zINnn7w
「ほんと?……あのね、俺、ずっと1さんに、こんなふうにしたかった。」
はずかしそうに言うと、僕の胸に顔を埋める。
「自分でする時も1さんのことばっかり……夢みたいなのは、俺の方だよ。」
「いつも…自分のも、こんなふうにしてるの?」
「ち、ちがうけど……だって、俺の1さんよりずっとちっさくて……握った
感じ全然ちがうし……ひゃっ」
我慢の限界に達した僕は、りく君を抱きしめて身を起こし、ヘッドボードのリ
モコンで部屋を明るくした。
「え、1さん、俺、何かした?」
そのまま一旦ベッドを降りた僕にりく君が慌てる。僕は脅えるりく君の額に
唇をおしあてただけで、何も言わずにベッドの足元の方に腰をおろした。りく
君を足の間にすわらせて、背後から抱きしめて開脚させる。
「い、1さん」
りく君の声が震える。
「ん?」
僕は軽く膝を立て、広げたりく君の脚をかけて閉じられないようにした。
「こ、これ」
りく君が、真っ赤になって目の前を指差す。ベッドから1mほど離れたクロー
ゼットは扉の1枚が丸ごと鏡になっているから、りく君が眼を丸くしているの
がわかる。僕はりく君の体を抱きしめていた手を股間に下ろして、ペニスを握
ると鈴口を親指でなぞった。
「奇麗だね。いつごろ、むけたの?」
ぎゅっと眼をつむったりく君からの返事はなかった。
「小学校?」
りく君がちいさく首を横に振る。
51風と木の名無しさん:02/01/28 19:29 ID:0zINnn7w
「中学校?何年生?」
うなじに唇をはわせると、蚊のなくような声でこたえてくれた。
「……2年生……」
「自分で剥いた?それとも他の人に剥いてもらった?」
「……自分……」
「痛かった?」
先端からこぼれる露を塗り広げ、くちゅくちゅと音をたてる。
「す、すこし」
「…僕が剥いてあげたかったな」
とがらせた舌先で耳の後ろをくすぐる。
「だ、駄目、1さん、でちゃうよ」
小さくしゃくりあげるりく君から僕は両手をはなした。
「ごめんね、辛かった?」
「…お、俺ばっか、やだ」
「りく君だけじゃないよ?」
僕はりく君の腰をひきよせ、お尻の割れ目に僕のペニスを押し付けた。りく君は半べそで後手に僕のペニスを握り込んで小さく鼻をならした。空いた手でりく君自身を握らせておいて、僕の手をその上にかぶせて逃げられなくする。
「ねぇ、自分でやってるところ、見せて?」
「…は…恥ずかしいよ…」
「恥ずかしくないよ、りく君が気持ち良いと思うところを教えて欲しい」
りく君はぱたぱたと涙をこぼしてなおも嫌がった。りく君の体が今現在示している反応と合わせても、僕の予想はまちがってはいないだろう。
「りく君、こっちに触った事ある?」
先ほどから隠しようもなくひくついている奥の蕾に、指先をあてがった。
52風と木の名無しさん:02/01/30 11:30 ID:Vkf8XYiy
0zINnn7wの日記

最近の僕のお気に入りはメガボール。
ベッドに横になって、そっと飼育箱からとりだす。持ち上げた時に沢山のあしが
動くのをみるだけで、チンポから汁がでそうになる。
手のひらで丸まったメガボールを、そっとなめてみる。体についた腐葉土の味が
するだけだが、これはかわいいメガボールに対する、僕のささやかな愛情表現。
そっと股間におろしてやって、位置をきめておく。まるいから、きちんと太股の
間におかないと転がっちゃうからね。
僕はメガボールが動いたらすぐにチンポに辿り着けるように、ブリーフにくっつ
けてから寝転がり、胸の上で両手を組んだ。
本当はブリーフなんか脱いで、生れたままの僕をメガボールに愛して欲しいけど
まだ少し怖くてできない。メガボールのことを信用してない訳じゃなくて、僕の
ものが普通の人より小さいことや、皮が凄く余ってることを知られたくないんだ。
こんな卑怯で小心者の僕なのに、メガボールはその沢山の足でいかせてくれる。
僕の夢は、いつか原産地にとんで、密林のなかで生れたままの姿になり、全身に
無数のメガボールを這わせること。
(はやく大人になりたい。給料はぜんぶ、メガボールに使うんだ)
子供っぽい夢に胸を躍らせる僕の股間で、丸まっていたメガボールが、ゆっくり
体をのばした。
(き、きたぁ!!)

53風と木の名無しさん:02/01/31 15:05 ID:ik37kVe4
軽く押すと、きゅっと締まる。色白のりく君は、其処の色まで薄くて可愛い。
「奇麗だね」
人差し指と中指をそろえ、優しく撫で擦った。
「や、やだ……見ないで」
「どうして?」
蕾にあてた二本の指を少し広げる。
「お、おかしくない?」
「なってないよ?なにか、いれたの?」
りく君は再び黙り込んでしまった。
「りく君、ここに僕のおちんちんを入れてもいい?」
広げた指を再び揃えて今度はもう少し強く、ぐりぐりと押し揉むようにする。
「りーく君」
「…俺も、1さんとしたいよ…っ…でも」
「でも?」
「…指、1本しか、はいんなかった…2本目入れようとしたら血が出て…」
りく君の肩が震える。
「ビデオとか見ると、1さんくらい大きくても、ちゃんと中に入れて凄く気持
ちよさそうにしてるのに……俺、うまく出来ないかもしんない」
「…りく君、ビデオって、どこから手に入れたの?」
「去年花輪がくれた。少しは勉強しろって本も一緒に」
……あの餓鬼、一度しめておこうか。
「…1さん?」
りく君の股間から両手をはなし、両足をそろえてやって膝の上に横座りさせた。
「りく君」
額をくっつけて目線を合わせると、潤んだ瞳が僕を見つめる。
54風と木の名無しさん:02/01/31 15:12 ID:ik37kVe4
「正直に言うよ?」
「な、なに?」
「僕は今、花輪君にすごく嫉妬してる。」
「…え?…」
りく君はしばらくの間をおいてから、しどろもどろになって言い訳を始めた。
「違うよ、花輪には彼女居るし、えと、高校入ってからすぐ付き合い出して、
それからずっと俺に駄目モトで1さんに告白しろって…最悪、他の男に売り飛
ばされるかもしれないけど…運がよければ、い、一回くらいはしてもらえるか
もしれないから頑張ってみろって言ってくれてたんだ」
懸命に言い募るりく君の睫は涙に濡れている。
「俺が1さん好きになってから、ずっと話きいてくれて…中学のときは、黙っ
て俺の話を聞いてたけど…最近は、片思いしてないで玉砕してこいって…」
「片思いじゃない」
頬を伝う涙を親指でぬぐい、りく君の唇を奪う。もう我慢をするのはやめた。
重ねた唇を吸い上げ、開いた所を舌で犯す。りく君の小さくて薄い舌に僕の舌
を絡めてはほどき、口中を嘗め回す。
「ん、ふっ」
りく君は苦しそうに息をつぎながら、両腕を僕の背に回して強くしがみついて
きた。僕の舌に自分からこすり付けてきて、そのまま口中へと差し入れてくる。
たまらずに、りく君を抱きしめて再度ベッドに横たわった。
小柄なりく君をつぶしてしまわないように、そっと体をずらそうとしたが、
りく君のほうから足を大きく広げて僕の体を挟んだ。身をくねらせ、自分の
ペニスを僕に押し付けてくる。
僕はりく君に何度も口付けながら、腰をグラインドさせた。堅くなった2本の
ペニスをおしつけあい、こすりあう。
55風と木の名無しさん:02/02/12 19:15 ID:Za8ZW+qa
テスト
56風と木の名無しさん:02/02/15 11:30 ID:IdIpIgi7
a
57風と木の名無しさん:02/02/15 11:36 ID:IdIpIgi7
bc
58風と木の名無しさん:02/02/18 23:37 ID:Dufia+Mu
「やっ…あっ、あっ」
りく君がのけぞるたびに、僕は押さえ込むようにして唇をむさぼった。
無理やりじゃない、そう思いたくて僕はりく君に何度も聞いた。
「りく君、いい?いいの?」
「い、いいっ、1さん、いいっ」
そのたびに、りく君は返事をしてくれる。
「いいから、もっと…っ」
何度目かの時に、りく君は僕の目を見て訴えた。
「お、俺、1さんのこと、好きだから…む、無理やりじゃ、ないよ?
…もっと1さんの…したいように、しても、いいんだよ?」
泣きながらしがみついてくるりく君に、僕は彼が思ったよりずっと大人であることを知った。
初めてのセックスで、そういうものだと信じて僕に合わせて答えていたのではなく、
りく君の気持ちを答えてくれていたのだ。
僕がどれほど今の状況を信じられずにいて、また、罪悪感をもっているか。
だって、仕方ないじゃないか。
こんな風に、りく君に触れるなんて、一度も思わなかった。
触れたらおしまいだと思っていたから、ずっと頭の中で僕に都合のいいりく君を
作り上げ、好き勝手に犯しつづけた。
どれほど汚いことを考えていたか、りく君は知らない。
知ったら、絶対僕のことを嫌いになる。
「1さん?」
腰の動きも愛撫も止めて、りく君の肩に顔を埋めて僕は泣いていた。
「りく君…好きだ…本当に、好きだ」
人間、いざというときに洒落た言葉など思いついたりはしない。
子供のように泣き出した僕を、りく君がやさしく抱きしめてくれた。
59風と木の名無しさん:02/02/21 06:53 ID:3D5mRi70
ビクッ. ∧ ∧ ∧ ∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  Σ(゚Д゚;≡;゚д゚) < うお!危険なほど下がっているので保守カキコするぞゴルァ!
     ./ つ つ    \________________________
  〜(_⌒ヽ ドキドキ
     )ノ `J
続き、あるんですよね?
60風と木の名無しさん:02/02/21 23:49 ID:UO0ta8u9
りく君の唇が僕の耳に触れる。
「…俺も好き」
囁く声は、僕と同じに少しふるえている。
「ずっと、好きで…でも、言えなかったから…いま、ものすごく嬉しい」
背を抱く手に力が込められる。
「何回言っても足りないくらい、好き」
僕の腰をはさんでいたりく君の脚にも。
「信じられないくらい嬉しくて…まだ…夢じゃないのかって、思ってる」
甘い吐息が耳朶にかかり、そのまま軽くなめられた。
「だから今晩とめてって、ゆったんだよ?…1さんに、教えてほしかったから
…俺のは、セ…セックスしたいって…そういう”好き”だけど…1さんも
本当にそう思ってくれてるのか…って…確かめたかった…ガキだから、
セックスの仕方なんて…知らないから、それも教えて欲しかったから…」
息をついで、途切れ途切れに話していたが、不意に言葉を切ると、
しゃくりあげながら股間を押し付けてきた。
「ご、ごめん…も、だめ…俺、いっちゃうよっ…も、いく…っ」
僕にしがみつきながら泣き出したりく君を、僕は強く抱きなおした。
「…いっしょに、いこう?…」
りく君が何度も頷いてくれるのに力を得て、僕は再び腰を使い始めた。
欲望を持て余した若い体がしなる。まるで、抱きしめる僕の両腕から
逃れるかのように。
でも、僕はもうりく君に同意を求めることなく、快楽を追うことに専念した。
僕の愛している少年と、二人きりで登りつめるために。
「…りく…りくっ…」
荒い息の中、僕は何度も彼を呼ぶ。
僕に人を愛する気持ちと、告白する勇気をくれた、強くて優しい少年を。
61風と木の名無しさん:02/02/22 08:05 ID:koG7eXjL
  ∧ ∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (  ,,) <  りく君、カワエー。イイSSヲ アリガトウ…
  ./  |   \______________
 (___/
62風と木の名無しさん:02/02/22 11:08 ID:koG7eXjL
 | 書込んだタイミングがヨカッタみたいで順位浮上。
 .\_ ___________________
    ∨
                         ______________
    ∧ ∧      σ     ∧ ∧   /
    (.,,゚Д゚)._日__σσ_日_(゚Д゚,,.) < これからも楽しみにしています!
    /  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\  ヽ  \
 \(_/             \ ノ/   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
63風と木の名無しさん:02/02/22 14:05 ID:QUFNhPfd
1〜10あたりでは絶対倉庫行きだと思ってたのにこんな素敵なスレになるなんて!
24〜60さんマンセー!
64風と木の名無しさん:02/02/22 21:21 ID:82/YTfK+
いつdatに落ちるかとハラハラしながら見守ってました。
完結(?)できてヨカタyo……ヽ(´ー`)ノ
65風と木の名無しさん:02/02/24 13:58 ID:2HYGRJlw
泣きながら相手にしがみついて、ただお互いの欲望を触れ合わせて達するだけのこの行為は
セックスの範疇に入らないのかもしれない。
けれど、僕たち二人だけの秘密を、二人の間で何と呼ぼうが僕たちの勝手だ。
同時に達する事ができたのだと解ったとき、僕もりく君も声をあげて泣いてしまった。
あとから思い出すたびに、みっともなくてはずかしくて、でも嬉しくなる思い出。

ひとしきり泣いた後も、僕らは飽かずに抱きしめ合った。
たくさんの話をしながら。
話の内容は、自分がオナニーをするときの妄想およびその方法といったなんとも
くだらなもので、お互いに「自分のほうがもっといやらしい」という、訳のわからない
競争をしていた。
そんな話をしながらも、実際にやるのは相手のものをしごき合う程度の僕たちが
一つになるのはまだ先のことになりそうだと思う。
でも、あわてる必要なんかどこにもない。
明日僕が死んでしまうとしても、「まだりく君とやってない!」なんて後悔はしない。
もう、今晩やったもんね。
そう言う意味で、僕は今のこれはセックスなんだと思ってる。
66風と木の名無しさん:02/02/25 01:52 ID:LMcjym2S
りく君マンセーage。
67風と木の名無しさん:02/02/26 08:12 ID:bYERpsxC
なんだ、このへたれなSSは。ここ行って指導受けて来い。

私のSSを評価してください★801版★その3
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/801/1007288583/
68風と木の名無しさん:02/03/03 04:16 ID:VrNWNxxA
  ∧∧                         ∧_∧
 (゚Д゚ )                        ( ´∀`)
  ⊂  ヽ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\    /,   つ
   〉 ノノ~ <    >67クソ くらえ     > (_(_, )
  ∪∪    \_________/     しし'
6923:02/03/03 05:07 ID:d5Dh59LF
>68
そんなこと書いちゃいけませんよ。とてもやさしい人じゃないですか>68

やさしい理由
1.1行でもこれをお読みになられた。
2.そのうえで「SS」だとおっしゃる。
3.なおかつ、SS評価スレへ誘導して下さった。

…めちゃめちゃいい人だ。
はっきり言って、いままで怒られなかったほうがおかしいです。
書いてた本人はいつ「23は氏ね。終了ーーー!」と書かれるかな、と思ってました。
7023:02/03/03 05:18 ID:d5Dh59LF
>67

1.1行でもこれをお読みになられた。
…ついてなかったですね。

2.そのうえでS「S」だとおっしゃる。
…ありがとうございます。ストーリーに、なってましたか。

3.なおかつ、SS評価スレへ誘導して下さった。
…あちらはオリジナルのみですから…ご案内くださったのに申し訳ございません。
それに、このレベルのものを投稿しても、あちらもお困りかと。
小学生がプリントの裏に鉛筆でお絵かきしたものを原稿だと言い張るようなものです。
勿論、「とてもじゃないができまい」との意味をこめて書かれたことも、承知しております。
7123:02/03/03 05:36 ID:d5Dh59LF
>67

しかし、投稿しない最大の理由は、評価していただこうと思っていないからです。
叩かれるのがこわいわけじゃなくて、時間の無駄だからです。
ご指導いただいてどうこうなるような軽度のへたれっぷりではありません。
あちらの方々がそんなものに煩わされる時間も、レススペースも勿体無いです。
(きちんと投稿される方に向けてお使いいただくべきでしょう)

では、なぜここに書いたかというと、23で「つぶれかかりのネタスレ」とか
書いてますが、ここはSS書いてもいいスレだと思っていたので。

1 :りく :01/12/29 15:31 ID:SEMhThQl
僕はルシュペルのボーカルに似てる16歳の高校生の『りく』だよ。
ジャニーズ系ってみんなにはよく言われるんだけど、男の子が好きなんだ。
誰か僕のH小説を書いてくれないかい?ベイビー★☆★☆
7223:02/03/03 05:41 ID:d5Dh59LF
どこにも「へたれなのは書きこみ禁止」と書いてなかったのにつけこみました。
そんなの常識だろうとおっしゃられればそれまでですが、どなたも書いて
らっしゃらない放置スレのようだったので書いてみようかな、と思って。
本当はさっさと沈めて削除をまつべきなのでしょうが、つい遊んでしまいました。
それにつきましては、この板の住人全部に対して申し訳ないことしてました。
ごめんなさい。

「とてもSSとは呼べないな、これは落書きだからスレの趣旨に反してるか」
と思いながら書きこみしてましたが、67さんが嘘でも「SS」と書いてくださったので
スレタイトルにかなったことになるのかな、と思ってます。
7323:02/03/03 05:59 ID:d5Dh59LF
>某倉庫の方

と、いうわけで。
あそこに置いておくのはSS職人様達に失礼過ぎると思うのですが…。
7423:02/03/03 06:34 ID:d5Dh59LF

間違えてました>69

>68
とてもやさしい人です>67

75風と木の名無しさん:02/03/03 11:49 ID:B1GzhXb7
>73
       ∧ ∧l||l
       /⌒ヽ)   置イチャ ダメナノ・・・?
     〜(___)
    ''" ""''"" "''
読んで面白かった・続き読みたい・dat落ちして忘れ去られるのがもったいない、
と思ったものを、読み返す時に一気読みしやすいように
個人的にまとめて置いているのですが・・・
7623:02/03/04 00:54 ID:4zjJ3ajR
>75
誤解を招くような書き方をしてすみませんでした。
だめとかじゃないです。そんな権利はございません。
このスレに限らず、書きこんだものはどう使われても仕方が無いです。
それがいやなら書き込まなければいいのだし。
各々の責任において書き込むわけですが、一度書き込んだものは
もう個人の手を離れたと思っていますから。

それこそ、コピペで嫌がらせ目的に使用されようが、糞電波と書かれようが
すべて覚悟の上なわけで。

それをお気に召していただけたとは、本当に嬉しかったです。
ただ、そちらの職人様方、ものすごく丁寧に仕上げてらっしゃるから
誤字脱字誤用だらけの「りく」が一緒に入ってるのは申し訳ないなぁと。

こんなでよろしければいくらでもさしあげます。
ところで、この板のをコレクションなさってるようですが、
メガボールまであったのは笑いました。
蟲プレイ、実は一度も読んだ事ないのに何も考えず適当に書きました。
もっとも、それをいったら全部そうなのですが。
77風と木の名無しさん:02/03/04 10:45 ID:4zjJ3ajR
>67
というわけで、約1名楽しんでらっしゃる方がみえるので、続き書きます。
申し訳ございませんが、ミテミテ厨房とクレクレ厨房のいる駄スレとして
放置していただけませんでしょうか。
78風と木の名無しさん:02/03/04 10:48 ID:4zjJ3ajR
>75
書き込んでから気がつきました。なんてことかいてるんでしょう。
大変失礼いたしました>クレクレ厨房
dat落ちしない程度にまた書きますから、そのときは読んでやっていただけますか?
79風と木の名無しさん:02/03/04 15:04 ID:EK9KunL0
>78
ありがとう!!
 ∧ ∧    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 (*゚ー゚)∬ < お茶を飲みながら、マターリ待ってるよ!
  / っC□   \_______________
\(_つ  
80風と木の名無しさん:02/03/10 11:26 ID:79TGwRvL
   ∧ ∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ミ,,・Д・ミ< お茶を飲みつつ
ξミ ,,u且ミ  | 保守カキコ
        \_____
81風と木の名無しさん:02/03/16 17:21 ID:4PZ4Eay/
 (( ∩ )) プルプルプル   
  γ'⌒ヽ∧ ∧    
   し'ゝつ( ゚Д゚)つ 保守!
82風と木の名無しさん:02/03/21 10:08 ID:TX56ptjA
>81
ありがとうございます&申し訳ございません。多分、来週中には。
でも、本当にいいのでしょうか。
大学院生1×りくの最終回のつぎに書いてる話は、また前半部分のような
トンチキ話なのですが............ソレデモイイノカナー?
83風と木の名無しさん:02/03/21 14:26 ID:KwlV8P04
>82
ゼンゼンOK!
マッテマス
84風と木の名無しさん:02/03/26 00:56 ID:39T/yfd2
>某倉庫の方

今日、某スレを立てるときに、そちらのアドレスを関連として貼りつけてしまいました。
さっき見に行って気がつきましたが、リンクフリーとはどこにも書かれてないですよね。
勝手な真似をして、本当に申し訳ございません。アヤマッテ、スムコトジャナイケド。
次スレの時は、やめておいたほうがいいのでしょうか?
85風と木の名無しさん:02/03/26 08:45 ID:esH3gW4m
>84
2ch発のサイトなので、2chと同じでリンクフリーなので(書いてませんけどw)
全然、構いませんよ。
とくに、2chからのリンクは大人板からであれば問題ありません。

御猫様、完結編、楽しみにしています。
もちろん、りく君の話も!
でも、無理はなさらぬよう、ご自愛くださいね。

86風と木の名無しさん:02/03/26 23:17 ID:RD8e9jNj
>85
ご心配下さって,ありがとうございます。

しかし,二つ並べられてしまいましたか。ごく僅かとはいえ,分かる人は
「あんなに書いてまだこんなに書いとるのか,この基地外」と,
ザリガニのように引いてしまうでしょうね。
まあ,既にIDで丸分かりだったと言うのに,別人のふりしても無駄ですが。
ID以前にヘタレぶりでバレバレですし。
こんな脱臼文章のトンチキ話うpする奴,そうそういてはたまりません。

当たり前ですが,一日のうちでヘタレ話作りに費やせる時間はごく限られているので,
その時間内に勢いに任せて脱臼文章書きます。
誤字脱字,誤用も多用もなんのその,ひたすらキーボード叩きまくり。
見直しは書きあがり分をFDに落として持ち歩き,休憩時間にノートでチョコチョコと。
そしてうp。後から読んで激しく後悔―――これの繰り返しです。
正直,書くよりも見直しの方がめちゃくちゃ時間かかってます。溜まりまくり。
.........ソレデモ,アレナンダヨナー(泣

こういう書き手の自分語りは誰も読みたくないと思いますが,私の場合いくらなんでも
気持ち悪すぎでしょうから,うpしたものをほぼ拾ってくださってる某倉庫の方に
言い訳してみるテスト。
87風と木の名無しさん:02/03/27 15:00 ID:su/kKVqf
>うpしたものをほぼ
「ほぼ」というのが、かなり悔しかったり(笑)
一応、オリジナル設定のもの・・・を基本に集めているのですが、
集め損ねているものって、パロジャンルのSSですか?
それなら、悔しさもずいぶん減るのですが・・・(笑)

それとも、「かわいい男の子がなんたら・・」というスレや
「誰も書かない掲示板」にあったヤシだろうか?
88風と木の名無しさん:02/03/27 22:55 ID:Np5NxPrk
>「誰も書かない掲示板」にあったヤシだろうか?
とんでもございません。おそれおおいにも程があります。
私はあそこで読みたいコール連発して、思いっきり風紀さんに叱られてました。
…素晴らしゅうございました。しみじみ。

残りは、コレクションするには、りくよりヘンチクリンなものです。
隠すほどのものでもないので、とっととばらします。
限りなく透明に近い某のスレと、T田の3行(38−39以外)。
…このころ、ヒマさえあれば2chに書き込みしていたことがよくわかります。
いや、今もそうなんですが。

しかしT田の3行、いってくるといいながら、すぐに戻ってますね。
しかも、あげてるし。…何考えてたのか、自分でもよくわかりません。
89風と木の名無しさん:02/03/27 23:33 ID:su/kKVqf
もう、なんて言ったらいいのだろうか?
どうして、こんなにカブリまくり?と思ってしまうほどブクマしているスレが同じな気が(笑)
T田も限り無く透明に近い某も、ともに他板からの出張スレですよね?
特に透明に近いのは、19歳と申告して叩かれまくった>1のいたスレなら
シンクロ率がすごく高いと思います(笑)
90風と木の名無しさん:02/03/28 01:25 ID:owM9pi9y
>限りなく透明に近い某のスレ

正確には、「19歳と申告して叩かれまくった>1」とおぼしき人物が立てたスレです。
デジカメとスキャナを購入したかどうかをしつこく尋ねた挙句、糞SSと称して2本うp。
…何をやっているんでしょう。
91風と木の名無しさん:02/03/28 10:00 ID:fXJ+MBhf
デジカメとスキャナ!! ええ、覚えてますよ(笑)
1本目のときはいろいろ書込んでいたのですが、
2本目のスレは主にロムっていました。

・・・そうか、あの時の>1の肘を掴んで声をかけた相手が
蟲屋の旦那だったりしたら、面白かったのに。
蟲屋に改造された身体の画像うぷだと、
百戦錬磨(?)の801姐さんたちもびびっただろうな(笑)
92風と木の名無しさん:02/04/01 23:12 ID:tsfR7sjW
>91
蟲になったあとでは,自力で画像うpは無理だと思われます(笑)

シンクロ率が高いとすれば,私のほうが主に雑談・ネタスレに偏っているからでは。
小説・漫画などは,総合スレはともかくジャンル別までは普段は読み切れないので、
オリジナルがお好みらしき倉庫番様とブクマがかぶるとすれば,そういう理由かもしれません。

65の続きとトンチキ話うpは、お待たせするほどのものではないのですが、トンチキ話の方を
もう少しエロくさくしてみたくなったので……すみません。
多分萎え萎えですが、頑張ってみます。
93風と木の名無しさん:02/04/02 23:41 ID:AsvMMTPa
それでは65の続きと,トンチキ話うpします。
9465の続き(1/6):02/04/02 23:42 ID:AsvMMTPa
今日も僕は夕方コンビニに寄る。
けれども、そこでりく君に会うことはなくなった。もう引っ越してしまったからだ。
僕は、あの晩初めてそのことを聞かされた。

「おかんには、俺から言うって言って口止めしてあったから」
りく君は寂しそうに笑った。
「おとんが転勤になったんだ。ばあちゃんちが結構近いから,おかんと俺も行くことに
したの。兄貴達と一緒にこっちに残ってもよかったんだけど、ばあちゃん俺にだけは
甘いから、そういうのもあって」
前に父方の叔母さんが訪ねてきた時に居合わせて、偶然聞いてしまったことがあった。
りく君のおばあさんというのは随分と気難しい人で、同居している長男の嫁は大変な
思いをしているらしい。自分にも他人にも厳しい、バリバリの戦中派だとか。
95(2/6):02/04/02 23:44 ID:AsvMMTPa
少女めいた風貌そのままにどこかおっとりとしたりく君のお母さんは、ことあるごとに
叱責されているそうだ。
そのクソ婆が倒れたのは年末のこと。
今は自宅で介護を必要としているが、昔気質だとかでヘルパーの人は勿論、実の息子の
手を借りるのも嫌がり、負担は長男の嫁一人の肩にかかっている。
この際、近くにいって自分も手伝うと言い出したのは、りく君のお母さん。
そして、自分もついていってご機嫌取りに励むと言い出したのは、りく君。
なんて良く似た親子なんだろうと思った。
「来週、引っ越す」
引き止めたって、りく君は行ってしまったと思う。
「婆ちゃん,この先回復のあてはないっていうから、大学もむこうにするつもり」
早く死ね、と思う醜い僕とは違って、りく君はずっと先のことを考えていた。
96(3/6):02/04/02 23:45 ID:AsvMMTPa
「元々、大学でたら作業もしくは理学療法士か介護福祉士か、どの学校に行こうって
思ってたし。この際、いい練習台になってもらうよ。男の俺が下の世話するなんて絶対
やだって言うと思うけど、こっちだっておしめかえてもらったから、今更じゃんねえ?」
そこまで言ってから、初めて目を伏せた。
「たまにはこっちに帰ってくるけど、基本的に行きっぱなし。この先、婆ちゃんが
死んでもすぐに戻ってくるわけじゃないから・・・・・・だから、1さんとも何の約束もしない」
今夜かぎり―――その思いがりく君を大胆にさせたというのなら。
「だったら、僕が行く」
今度は僕の番だ。
「1さん?!」
「博士過程はそっちの大学に行く」
「行くって、そんな簡単に」
97(4/6):02/04/02 23:45 ID:AsvMMTPa
「ツテはある」
「だって」
「だってじゃない。ストーカーもどきから本物になる。来年の春には行くから」
「そ、そういうことで決めちゃったら駄目じゃん!!」
「もともと偏差値で決めた大学の、残れる講座に入っただけだからいいんだよ」
りく君の目が少し冷ややかになった。
「滅茶苦茶いいかげん・・・・・・いつもと言ってることが全然違う」
「好きな子の前で格好つけるのは当たり前だろ。それに優先順位の問題もある」
「優先順位って」
「一生の問題だよ。りく君は、僕が行くと困るのかな」
絶対に譲らない構えの僕に、りく君は半泣きで言った。
「困らない。凄く嬉しい」
98(5/6):02/04/02 23:47 ID:AsvMMTPa
こうして僕は無理矢理りく君と約束した。
来年の春には、僕がりく君のところへ行く。そうしたらまた一緒にいられる。
正直言って、先のことはわからない。
来週にでもクソ婆が死んで、りく君はこちらに残って付属の大学に行くことになるかも
しれない。そうすると、既に根回し済みの僕とはすれ違いになる。
それ以前に、りく君が向こうで僕より好きな人を見つけるかもしれない。
二人のどちらか、あるいは両方が明日にでも死んでしまうかもしれない。
それでもいい。
もう、そう言いきれるだけのものをりく君からもらっているから。
何も言えずにいた僕に、勇気を出して好きだと言ってくれただけじゃない。
あのままだったら、僕は煮詰まって犯罪行為をやらかしていたと思う。
だから、一生の問題といったのは少しも大げさじゃない。
99(6/6):02/04/02 23:48 ID:AsvMMTPa
一つ間違えば、今ごろ僕は塀の中にいたかもしれないから。
それが反対に、自由に好きな子のおっかけができるなんて凄すぎる。
だから決めた。僕の残りの一生はりく君に捧げさせてもらう。
―――とにかく、今度は僕が頑張る番なのだ。

りく君、待ってておくれ。
もうすぐ君のそばに行くからね。



********************************おしまい


たった今考えたタイトル

↓↓↓
100路地裏の美少年《前編》(1/7):02/04/02 23:50 ID:AsvMMTPa
通行人の耳には届いていないが、繁華街のビルの間から獣じみた声がこぼれていた。
「くうっ……っ……う、うおっ…」
壁に両手を突いて、むきだしの尻を掲げた男が低くうめいた。
律動を止めてペニスを銜え込んだ尻を軽く叩いてやると、息を詰めて締め付ける。
尻の肉が堅く締まっているのは、スポーツで鍛えているからだろう。
重量挙げをやっていると聞いたが、競技の時もこんな風に肛門を堅く締めるのだろうか。
だとしたらポーズをとらせておいて突っ込んだ方が、面白かったかもしれない。
「も、もっとかき混ぜてくれよっ…」
内部をえぐる動きが止まったままなのに焦れた男が、啜り泣きながら腰をゆすった。
軽く毛に覆われた尻をもう一度叩くと、声を上げて再び締めてくる。
前に手をやって堅くそそり立ったものを扱き、今にも弾けそうなのを確かめた。
「俺がせこせこ動くよか、叩いた方がよっぽどいいんじゃねえのか」
101《前編》(2/7):02/04/02 23:51 ID:AsvMMTPa
「そんなことないっ、お、お願いだから、やめちゃいやあっ」
途端にオネエ言葉になり、振り返って涙を浮かべた瞳で見つめてくる。
口髭を生やし日に焼けた精悍な顔付きは、元から好みのタイプだ。泣いた顔はもっと
可愛いだろうな、と最初に会った時から思ってはいたが、やっぱり良かった。
もう少し焦らすつもりだったが、こっちが辛くなってきたからやめることにした。
「おら、いくぜ」
「ああんっ、あ、あ、いいっ、もういく、いっちゃうっ」
再開された律動に、男は裏返って高くなった声で叫び続けた。
「もうだめぇっ、ああんっ―――りくちゃあんっ!!」

扉を開けてフロアに行くと、近くに立っていた男と目が合った。
慌てて目を伏せるのにむかつきながらも、我慢して通り過ぎ親友の姿を探した。
102《前編》(3/7):02/04/02 23:52 ID:AsvMMTPa
長身かつ希に見る美形というふざけた男は、薄暗い店内でも目立っている。
「花輪」
声をかけて近寄ると、手の平を向けられた。
「手、あらってこい」
「ひでぇ! お前、俺がホモだからって差別してんだろ」
「立ち食いしてきたのが女でも同じこと言うぜ。ケツ穴やら割れ目やら触りまくった手で
そのまま飲み食いするな。経口感―――」
「あああ、もう判ってるってば。洗ったに決まってんだろ」
ハンドソープの匂いを嗅がせてから、今度は両手をそろえて上に向けた。
「ごほうびに、なんか奢って」
「あほ」
ピシャリと叩いて踵をかえす花輪に,りくは後ろから抱きついてごねた。
103《前編》(4/7):02/04/02 23:53 ID:AsvMMTPa
「おーごーれーっ!」
とても同じ年に見えないくらい身長差があるから、甘えているようにしか見えない。
二人共この界隈ではちょっとした有名人だ。まず、他とは見た目が違いすぎる。
安易にモデル並みと形容されがちな花輪だが、りくもまたモデル並みだとよく言われる。
ただし、モデルといっても"美少女モデル"。
色素が薄く、その白い肌も大きなとび色の瞳も日本人離れしている。
睫も長く唇も薄赤いりくは、顔の作り自体も飛び切り可愛らしく、黙っていればそこらの
雑誌のモデルなど問題にならない。
そんな少女とも見紛う外見にも関わらず、りくは平気でこの物騒な界隈を一人で闊歩する。
花輪もそれを止めない。
いまさら見た目で判断してりくに絡む馬鹿は、このあたりにはいない。
誰しも我が身が可愛いからだ。
104《前編》(5/7):02/04/02 23:54 ID:AsvMMTPa
りくに喧嘩を売って、無事でいられるとは思えない。
まるで詐欺のように腕っ節が強いことも、広く知れ渡っている。
しかし、それ以上にりくを有名にしているのは、セックスのテクニックと、容姿と同じく
日本人離れした長大な股間の一物。
―――人は彼をこう呼ぶ。
『801町最強の攻・りく』と。

「いいじゃんかよう、今日のだってお前が先輩から持ってきた話なのに』
隣に座って花輪の横顔を恨めしげに見たが、平気な顔をしている。
「人を置屋のババアみたいに言うな。お前だって、いい思いしたんだろうが。
そんな顔したって、なんにもおごってやらねー」
そう言って自分の頭を軽く小突く花輪は、すごく良い奴だ。
105《前編》(6/7):02/04/02 23:54 ID:AsvMMTPa
いくらおしめの頃からの友達だといっても、ゲイのりくにじっと見られてこんな風に
さらりと流せる奴はそんなにいないと思う。
中学生の頃、男とばかりセックスする自分を変だと思わないのか、と彼に尋ねたら、
あっけらかんと言ってくれた。
『だって、お前ホモじゃん。男とやって当たり前だろ?』
あまりに直球過ぎて言葉をなくしたりくを前に、平然とつづけた。
『あれ、バイだっけ? 確か小学生のときにもう童貞じゃなかったもんな。
でも今は男だけだから、ホモになったと思ってたんだけど。違うのか?』
年とともに味覚が変わったと思っていた、と気負いを感じさせない答えを返され、
涙が出そうになった。
いくらそれまでに女と寝たことが何度もあったとはいえ、年々男の方に傾いていく自分を
不安に思わなかったといったら嘘になる。
106《前編》(7/7):02/04/02 23:56 ID:AsvMMTPa
"親友"の花輪を試す気持ちも、どこかにあった。だからそう言ってもらえて、
凄く嬉しくて同時に安心した。
―――どこもおかしくない。りくはりくだ。
正面きってそう言うのはさすがに照れるから、ああいう言い方をしたこともわかっている。
そんなことを思い出していると,花輪のむこうから白い手が伸びてグラスが置かれた。
「りく、あたしがおごるから」
たまちゃんが顔を出して,りくに向かって手をひらひらさせる。
「ありがと」
「お前は、どうしてそんなにりくに甘いんだよ」
「甘いのはあんたもでしょうが」
大きな目を細めて笑う彼女もまた、すごく良い女だ。
自分の彼氏の友達がゲイだったら、普通いやがると思う。
107路地裏の美少年《中編》(1/7):02/04/02 23:57 ID:AsvMMTPa
ただでさえ、この容姿で女の子の反感を買いやすい。
初対面で、値踏みをするような目付きで見られることはしょっちゅうだ。
そういう手合いは、りくがゲイだと聞くと勝ち誇ったような顔をしながら、
根掘り葉掘り聞いてくる。
無視すると『オカマのくせに』と、既に聞きなれた捨て台詞を吐いて退場。
けれどたまちゃんは、花輪に紹介された時からずっとまっすぐにりくを見てくれる。
彼女にも、付き合ってる男の親友がゲイだなんて、嫌じゃないのかと尋ねたことがあった。
どこまでも卑屈な自分に、たまちゃんもまた優しかった。
『りくが何を気にしてるか分かってる。でも正直いってすこし情けないんだけど。
あたし、りくのことはもう花輪抜きでも友達だと思ってるし、友達相手にいちいち
"自分の男に手をだすな"って言ってまわる奴、大っ嫌いなんだ。そういうのって
いくら気をつけたって、なる時はそうなっちゃうし、どうしようもないことじゃんね』
108《中編》(2/7):02/04/02 23:57 ID:AsvMMTPa
ゲイが気色悪いかどうかをすっとばして、りく本人にむけて言ってくれたのは花輪と同じ。
お似合いの二人だ。
高校に入ってすぐの頃、3つ年上の女子大生と付き合い出したと聞いた時はすぐに別れて
次の女ができると思っていた。中学生の時がそうだったから。
しかし『紹介する』と言われて、これまでの女とは違うことを悟った。
現に2年たってもまだ続いている。
そんな二人を間近に見続けて、なにも感じないわけがない。

―――決まった相手と付き合いたい。
口にしたことは一度もないが、かなり前からそう思っている。
行きずり同然にただ突っ込むだけではなく、会話が出来る相手が欲しい。
りくとやった男は、どいつもこいつも同じようなことしか言わない。
109《中編》(3/7):02/04/02 23:58 ID:AsvMMTPa
『すっごくよかった』『死ぬかと思った』『もう、他の男じゃ満足できない』等々。
そういうのは、もういい。
言われるたびにりくの取柄はセックスだけで、用があるのもペニスだけなんだと念押しを
されている気分になる。
―――いくらやりたい盛りでも、嬉しくもなんともない。
去年、たまちゃんが車を出すから、山のほうへ流星群を見に行こうと誘われた時、
丁重にお断りした。やっぱりお邪魔虫だと思ったからだ。
帰ってきた二人から、凄くきれいだっただの、相手がいかにくだらない願い事を叫んだだの
といった話を聞かされて、顔で笑って心で泣いた。
二人が山奥で美しい星空を見ていたその同じ時間に、自分はさっきと同じ路地裏で
男にペニスをしゃぶらせていた。
今の望まざる状況は、ほかならぬりく自身が招いていると否応なく思い知らされた。
110《中編》(4/7):02/04/02 23:59 ID:AsvMMTPa
もちろん、セックスだってしたい。
前回と今回が同じ相手というのは,どんな気分だろうか。
自分一人に決めてほしいとまでは言わないが、継続した関係を持ってみたい。
りくだって、まだ17だ。
もう少し、恋愛やセックスに夢を持ちたい。

ため息混じりにたまちゃんのおごりのジンフィズを舐めていたが、ふと視線に気づいて
後ろを振り返った。
反対側の壁際に、男が立っている。
(またか)
この店は、ハッテンバというわけではないが、りくが出入りしているせいもあって
自然とバイやゲイの客が多くなっていた。
111《中編》(5/7):02/04/03 00:00 ID:dOWc3By6
揉め事を起こすでなし、トータルでみた客質はいいのでオーナーも放置している。
りくは、そういった客の間でなかばアイドル視されていた。
ノンケの客は別に男と見ればとって食うほど飢えてはいないと承知しているし、
ゲイやバイの男はチャンスがあればと密かに期待している。
また、そういう男があらわれただけだと思った。軽く手を振ってやれば、犬のように
尻尾を振ってやってくると。
だが、その男は違った。逆に手招きをして笑って見せた。
―――”お前から出向け”という奴が、まだこのあたりにいたなんて。
りくの胸が高鳴った。
真っ直ぐに視線を合わせて、もう一度手招きしてやる。
男は腕を組んだまま、かぶりを振って見せた。
面白すぎる。
112《中編》(6/7):02/04/03 00:36 ID:dOWc3By6
「おい、りく?」
急に立ち上がって席を離れたりくに、花輪が驚いて声をかけた。
なにやらやり取りめいたものがあったのは、周囲の気配でわかっていた。
この店に君臨しているりくは、その一挙一動がみなの注目を集めているから
何かあればすぐにわかる。花輪自ら監視する必要はない。
監視の理由は、りくが喧嘩中にきれて、相手に重傷を負わせるのを防ぐためだったが
近頃ではとんとご無沙汰だった。
まさか、と思って続こうとするのをたまちゃんが止めた。
「野暮なことしなさんな」
「だって、りくが」
「りくからコナかけることだってあるでしょ、そりゃ」
「あ?」
113《中編》(7/7):02/04/03 00:37 ID:dOWc3By6
「ま、見守ってあげましょうよ」
花輪はしぶしぶ席についた。
りくに抱いてもらいたがってモーションをかける男なんか吐いて捨てるほどいるが、
呼びつけようとするなんて―――。
「よそ者か・・・・・・って、余計まずいじゃないか!!」
「りくがそこらの男に負けるわけないでしょ。汚い手を使ったら、みんな黙ってないわ」
「そうじゃねえよ!・・・・・・あの馬鹿」
「馬鹿だから、わかんないんじゃない」
その言葉に、花輪は自分の恋人をまじまじと見つめた。
「泣いて帰ってきたら、慰めてあげるくらいしか、あたし達にはできないの」

りくが近寄るのから逃げるように、男はすばやい身のこなしで店を出た。
114路地裏の美少年《後編》(1/9) :02/04/03 01:00 ID:dOWc3By6
振り向きもせずに、すべるような足取りで宵の口の雑踏の中を歩いていく。
このスピードで誰にもぶつからずにいくとは、かなりのものだ。
後を追うりくは、いつのまにか全力で疾走していた。
中学生どころか、小学生のころから自分の庭として遊びなれたこの街で、
狙った男を逃すわけがない。そうわかっていても、気ははやる。
自分から手に入れたいと思うなんて、初めてのことだ。
興奮に息が弾むが、男に後れるような無様な真似はしない。
それにここまできたら、行き先は決まったも同然。
あの先には、りくの馴染みの安ホテルがある。

勢い良く角を曲がったところに、男が立っていてたたらを踏んだ。
「も、もう逃げないのかよ」
115《後編》(2/9):02/04/03 01:00 ID:dOWc3By6
「坊や。おっかけっこは、終りだ」
両手を広げて上に挙げるしぐさは、気障といえなくもない。
しかし、自分のペニス目当てに尻をふる男を見慣れたりくの目には、
たまらなく新鮮に映る。
―――この男と、やりたい。
花輪に聞かせたら驚くだろう。
近頃は紹介された男をしぶしぶ抱くばかりのりくを、一生分打ち尽くしたのかと
からかうことがしょっちゅうだったから。
誰が弾切れだ。
セックスに飽きるには、りくはまだ若すぎる。
うまそうな男は、まだこの世にいくらでもいるのだ。
目の前の男もその一人。
116《後編》(3/9):02/04/03 01:02 ID:dOWc3By6
「終わったら、どうすんの?」
息を整えて男を仰ぎ見る。
初めて見る顔だ。花輪よりも背が高くて、ひけをとらない美形があのあたりを
うろついていたら、間違いなくりくの耳に入っている。
「愚問だな」
くすりと笑ってホテルの中へと入っていく。りくがついてくることを疑いもしないで。
もちろん、ついて行くに決まっている。

部屋に入るなり、男とキスをした。誰かとキスをするのも久しぶりだ。
いつもしゃぶらせてつっこんでナンボのセックスしかしていない。
そんなものをありがたがるりくの周りの男達も、うんざりしながらも繰り返す自分も
なんて寂しいんだろうと思う。
117《後編》(4/9):02/04/03 01:03 ID:dOWc3By6
こんなに気持ちいいのに。
男の手がりくのペニスに伸びても、させるがままにしていた。
彼がりくのことを知らないなんて、あまりにも都合が良すぎて信じられないが、
今日は自分からは何もしないと決めた。マグロになる。
そして、今日こそバックバージンとさよならだ。

りくのもうひとつの野望は、受身のセックスを体験することだった。
周囲のゲイはネコばかり。たまにタチがやってきても、りくの評判を聞いて一度ネコに
なりたいとかほざいて、しっかり開眼してしまう。
だったら自分のことも抱け、といっても口をそろえて
『もったいない。そんな時間があったら、俺達を抱いてくれ』と言いやがる。
自分達ばっかり気持ち良くなっておいてそれはないだろう。
118《後編》(5/9):02/04/03 01:04 ID:dOWc3By6
かくして、まるで同盟を結んだかのごとく誰一人りくを抱こうとしない状態が続いていた。
りくが最近セックスに倦怠感を覚えている一因でもある。
だが。おそらくは外見にだまされたのだろうが、おそれおおくもこのりく様を坊や扱いする
この男なら、間違いなく自分を犯してくれるだろう。
今までのセックスで男達が示した痴態が脳裏に浮かぶ。
ついに、自分もあの快感を味わえるのだ。
初めてという不安はない。
こんなにしゃぶるのがうまい奴が、アナルセックスだけ下手だなんてことがあるものか。
竿の部分を扱く手も、きつすぎもゆるすぎもしない。
舌使いは絶妙で、鈴口をなぞるのも裏筋を舐め上げるのも至って丁寧。
しかも、しつこすぎない。こんな上手い奴は初めてかもしれない。
袋を包み込む手が、そっと指を伸ばして蟻の門渡りをなぞった時、思わず唾を飲み込んだ。
119《後編》(6/9):02/04/03 01:05 ID:dOWc3By6
「若いな」
男が唇を離し、面白そうに先端を指先で押さえた。余裕のある表情で見つめられ、
ほほが熱く火照った。
「じ、じらしてんじゃねえよ」
先ほど自分が言われた台詞はどんなだったろうか。何と言えば男をその気に
させられるのだろうか。
泣きそうになりながら必死で考えたが、無用の心配だった。
「つづきは、あっちでしよう」
男はそっけなく立ち上がってベッドに向かい、服を脱ぎ出した。
りくは、目じりからこぼれそうになる涙をぬぐい、自分もまた脱ぎ始めた。
―――こんな風に冷たく扱われたことはない。
いつだって、男達はりくの足元にひざまづいて恩寵を請い求めたのに。
120《後編》(7/9):02/04/03 01:07 ID:dOWc3By6
もっとも、今から自分を征服しようとする男がそれでは困る。これでいい。
そう思ってベッドに赴いたりくの前で、男はローションを手の平に受け止めていた。
あふれて滴るそれを塗り付けられ、自分はこの男に犯される。
今日、初めて会ったばかりなのに。
けれどもその覚悟は、あの店で目が合ったその時から、もうできていた。
「運が良かったよ。君に出会えて」
自分もそう思っていた。
「ずっとこうしたかった」
抱き寄せてキスをしてもらえるのもうれしい。だがしかし。
「はやく、君とひとつになりたい」
そう言いながら、なぜりくではなく自分のアヌスにローションを塗る。
「お願い、りくちゃん、早く来てっ!!」
121《後編》(8/9):02/04/03 01:08 ID:dOWc3By6
ベッドの上で、男は自分のひざの裏に手を掛けて大きく足を広げて見せた。
「お、おまえ、俺のこと知ってて」
「だって、知ってるって言ったらりくちゃん来てくれた?!」
涙を浮かべて男が叫ぶ。泣きたいのはこっちだ。
「あの店じゃ、常連達が親衛隊面して近寄れないんだもん。りくちゃん、ずっと
ネコやりたがってるってきいたから、タチのふりすれば大丈夫って思ったのよ。
ひどいことしたのはわかってるけど、でも、一度でいいからりくちゃんに
やってほしかったのよう」
ローションに塗れたアヌスを晒したまま、男は泣きじゃくった。
大の男が―――畜生、可愛いじゃねえか。
「ケツ、上げろ」
「え」
122《後編》(9/9):02/04/03 01:10 ID:dOWc3By6
「バックでやるっつってんだよ!お前、俺くらいの奴とやったことあんのか」
「う、ううん、無いっ」
男は嬉々として体を翻し、尻を高く掲げた。
硬くしまった尻だ。りくが愛してやまない、鍛えぬかれた兄貴の尻。
それがこうして目の前に、やってくださいと差し出されているのだ。
最高に可愛い泣き顔とセットで。
我慢できるはずが無い。
何と言っても、りくはやりたい盛りの17歳なのだから。
「おら、いくぜ!!」
「ああんっ、りくちゃあんっ!!」

ああ、どうして自分はこんなに男に弱いんだろう。今日もまたやってしまった。
本当の恋に出会える日がいつか来ると思っていたけど、この分じゃ一生無理だ。
誰か早く俺を迎えに来てくれ。素敵な王子様切望。

お願い神様。
俺だって幸せになりたい。



********************************おしまい




すみません。ぜんぜんエロくない。
お願い神様。
俺だって、エロが上手くなりたい。
123風と木の名無しさん:02/04/03 01:14 ID:dOWc3By6
りくは攻めです。
99でりくを追いかけていく1も、そのうちバコバコ掘られまくるでしょう。
ちなみに。
『大学院生の1×りく』も、最初はりく攻めで終わろうと思っていたのですが、
どうやらこれを読んでいる人がいるらしいことに気がついて、途中でやめました。
根性無しです。
124風と木の名無しさん:02/04/03 19:06 ID:3hhXnUYY
感想おそくなりましたが、ごちそうさまでした!満足満足(゚д゚)ウマー

1×りくくんの話は、言い方がベタなんですが、青春路線というか
りくくんの可愛らしさ・健気さが愛しくって、さわやか〜な読後感でした。
で、後半の801町一の攻めのりくくんは・・・
ゴメンナサイ! エロを目指しておられるようなのですが、
爆笑しちゃいました(w
りくくんの親友の花輪くんやたまちゃんの人物設定もよくって
その二人に感化されて、りくくんも唯一人の恋人を見つける話かと思いきや・・・!!
サイコ〜でした。そう来るとは思わなかったので、
意表を突かれ、男の豹変ぶりがスゴクて受けて笑いこけ
>大の男が―――畜生、可愛いじゃねえか。
と思うりくくんの男気にもホレテしまいましたよ。
かわいい顔をしているのに、さすが801町一の攻めキャラです!

時々また〜り保守していますので、
また何かお話を思いつかれましたら、書込みにきてくださいね!

ところで、オリジナルのものを書かれておられるそうですが、
指○の方では、書かれませんでしたか?
125風と木の名無しさん:02/04/03 22:39 ID:zdsndXaq
>124
いえ、心当たりはございませんが。
ところで、△輪ですか?>指○
126風と木の名無しさん:02/04/03 23:16 ID:3hhXnUYY
>125
そうです。△輪です。
でも、私の勘違いでしたか。すみません。
あちらで同じように勢いのあるSSを拝見したので、てっきり勘違いしてしまいました(汗
ほんとうに、すみません。
127風と木の名無しさん:02/04/04 00:36 ID:qCpO18Fh
あちらの方に失礼だと思いますが(笑)
128風と木の名無しさん:02/04/04 21:33 ID:jVaiInGd
>127
いろいろ(内容や設定など)チャレンジされているようでしたので
てっきり、このSSは!と思い込んでしまったものですから
指○でも、たくさんSSが読める!と喜んでおりました(笑)

しかし、こんなにもたくさんの萌えと楽しみを与えてくださっているのに
それ以上のものを「もっと!」と望んでしまう、私が失礼だったかもしれません(^^;

でも、読者って欲深なものなのよ・・・
ということで、お赦しください。<127様も、指○の女神様もm(_ _)m
129風と木の名無しさん:02/04/12 12:31 ID:h/xc41qS
      ♪
  ♪
♪  ∩ ∧,,∧   ♪
   ヾミ ゚Д゚彡 フッサ フサフサ
    ヾ ⊂ ヾ     フッサ〜ル
     O-、 )〜
       U


          ♪
       ♪
 ♪    ∧,,∧     ♪
     ミ   彡⊃ フッサ フサフサ
   ヽ⊂   ミ     フッサ〜ル
    ⊂,,,   ミ
       し″



      ∧,,∧ サッ  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ミ;゚Д゚ミ  < 君のカキコを待ってるぜ!
    ⊂   ○m   \___________
     ミ、,, ミ,
      .しヾJ
130風と木の名無しさん:02/04/21 01:36 ID:5InCeMx4
僕は一度、とある美少女漫画家のところへお手伝いにいったことがあります。
持ち込みに行って、よくネームを見てもらっていた編集さんから、どうしても
ピンチなので助けてほしい、トーンとベタくらいでいいから、というので…

先生は、ちょっとおどおどした感じの人でした。ベタとトーン貼りだけやりました。
ケズリだけは他人にはやらせないとのことで、先生がやりました。
なんとか締め切りに間に合って、編集さんが原稿を持ってタクシーに乗ったあとで
食事に連れて行ってもらいました。ファミレスでしたが、何でも好きなもの食べて
いいよ、というお言葉に甘えて、ちょっと高めのものを注文してしまいました。

そのときまでは、いい先生だな、こんな人ならしばらくお手伝いしてもいいかな、
と思いました。
131130:02/04/21 01:37 ID:5InCeMx4
そのときは、臨時のお手伝いということだったので、とりあえず一日分の謝礼だけ
もらって帰りました。夜遅かったので、帰りのタクシー代まで出してもらいました。
家(アパート)に着いてから、謝礼としてもらった封筒を開けてみたのですが、
普通聞いていた額よりもかなり多目の金額が入っていました。「急な手伝いだったので、
こんなものなのかもしれない」と思い、そのときは気にしていませんでした。

しばらくして、そのときの編集さんから電話がありました。話を聞くと、僕のことを
先生が気に入って、できれば常駐のアシとしてお願いできないだろうか、ということ
でした。編集さんも、先生は漫画家としても技術はしっかりしてる方だし、勉強に
なると思うからぜひやってみることを勧める、と言われました。どうやら、前に
やっていてくれた人が急な事情で辞めてしまい、連載を抱えている先生も困っている
とのことでした。アシ代としては、かなりいい額を提示してもらったようですし、
編集さんのプッシュもあり、引き受けてしまいました。
132130:02/04/21 02:24 ID:5InCeMx4
さっそく、次の連載からアシとして入ることになりました。先生は当時、月刊誌に
連載を1本持っていて、単行本も何冊か出している、美少女漫画家としては中堅と
いったポジションの方でした。お手伝いに入るのは、締め切り前1週間は泊まり
こみで、その他は状況に応じて来れるようなら来てほしい、といった感じでした。
それなら自分の漫画を描く時間も取れるし、アルバイトもできます。それに、業界
では丁寧な仕事で知られている先生でしたから、お手伝いはとても勉強になりました。
僕はそれまで、いわゆる自己流でやっていて、プロなら当然知っているようなことでも、
初めて目にすることがたくさんありました。そういう素人同然の僕でしたが、先生は
基本から丁寧に教えてくれました。編集さんが言ったとおり、そこでの仕事はとても
勉強になりました。もし、先生がいなかったら、僕のデビューは数年遅れていたでしょう。
その意味では、先生にはとても感謝しています。

そういう具合に、数ヶ月が過ぎていきました。先生のところにいたおかげで、僕の
漫画家としての基礎力は、日に日に上がっていきました。編集さんも先生のところに
原稿を取りに来るときに、ついでに僕のネームや原稿を見てくれていたのですが、
それまでいろんな部分でダメだった部分が、急に洗練されていったことにとても驚き、
そして喜んでくれていたようです。もう少し上手くなったら、雑誌に読みきりのスペースを
作るから、と言ってくれました。
133130:02/04/21 02:25 ID:5InCeMx4
先生はまた、ネームやプロットの相談のときにも、僕に横で聞いているように言って
くれました。「勉強になるから」とのことでしたが、本当にそうでした。編集さんが
持ってくるアンケートの結果や、今どういう作家さんが人気があるのか、その人が
人気があるのはどういう理由によるものなのか、自分の作風と今の流行はどうなのか、
といった話もされていました。
そして、折に触れ、僕の作風などを話題に入れてくれました。僕と先生では、実力が
違うのは当然なのですが、実は好みの作風がかなり異なっていて、それも僕らが上手く
やっていけている理由だったのかもしれません。先生は、僕がこれからどういうタイプの
作家としてやっていけばよいか、といったことも、折にふれ、話題にしてくれていました。
編集さんも自分の雑誌の中で、僕を売り出すタイミングなどを考えていてくれてたように
思います。僕にも、同じ漫画家を目指す仲間がいたのですが、そういう人の中にはひどい
先生のところで悲惨な目に遭っている人もいて、そういう話を聞くたびに、自分はなんて
運がよかったのだろうか、と思ったこともありました…

そうこうしているうちに、先生の周りも急に騒がしくなってきました。

ちょうどいろんな意味で業界がばたばたしていた時期で、雑誌の創廃刊や統廃合も
毎月のようにおこり、作家の移動や編集者の異動も激しくなってきました。
ですが、先生はなぜか、その編集さんとのお付き合いを大切になさっていました。
私は仕事場にいたのでよく知っているのですが、先生のところには、いろんなところ
からいろんな話が入ってきていました。ですが、先生は月刊誌の連載を1本増やした
だけでした。それも、担当の編集さんに相談した上で、でした。僕は「そういうものなの
かなあ」と思っただけでしたが、当時の状況を考えると、もったいない話もたくさんあり
ました。みなさんご存知のとおりこの業界は人の入れ替わりが激しく、少し長くやって
いるとすぐに中堅どころになります。
先生は、浮いた話に目を奪われるより、信頼できる編集と仕事する方が大切だ、と
よく仰ってました。
134130:02/04/21 02:27 ID:5InCeMx4
先生は、仕事量が増えたからといって手を抜く人ではありませんでしたから、
単純計算でも、僕らの仕事量は2倍になりました。アシも僕一人ではとても
こなせない量だと思っていたので、当然誰か人を入れるのだろうと思っていたの
ですが、先生は気心も知れているし、知らない人間を入れるよりは…ということで、
それは考えていない、と仰いました。その代わり、僕にこれまでの2倍、入って
もらえないだろうかと申し出てきました。僕はそれまでやっていたアルバイトを辞め、
先生の専属のアシとして働くことになりました。先生の家は仕事場兼用のマンション
だったのですが、そのうちの小さな一部屋を借りることになりました。といっても、
1ヶ月の半分は自分の時間として使っていいということでしたし、先生はそのあたりの
約束はちゃんと守る人でしたから、あまり心配せずに、お世話になることにしました。
ただ、行きがかり上食事を作ったり、部屋の掃除をしたりということは僕がやるように
していました。もともとそういうことは嫌いな方ではないですし、自分の安アパートより
先生のマンションの方が住みやすく、わりと居心地のいい毎日でした。給料もいろいろ
な件を考えると、過分に貰っていたような気がします。なんといっても部屋代と食費が
ほとんどかからなかったのが大きいです。食事は大体僕が作るようになっていましたから、
先生は逆に食費は減ったと喜んでいたくらいです。
135風と木の名無しさん:02/04/22 00:49 ID:nPp0o2yI
面白い!あげ
136風と木の名無しさん:02/04/30 05:22 ID:s1Xf7OkM
         ∧_∧                             ∧_∧
ち下さい ( ・∀・)  そのままマターリでお待ち下さい  ( ・∀・)  そのままマターリでお待
      ( つ  つ                            ( つ  つ
  ∧_∧                            ∧_∧
 ( ・∀・)  そのままマターリでお待ち下さい ( ・∀・)  そのままマターリでお待ち下さい
 ( つ  つ                           ( つ  つ
                             ∧_∧                            ∧_∧
  そのままマターリでお待ち下さい  ( ・∀・)  そのままマターリでお待ち下さい ( ・∀・)
                      ( つ  つ                     ( つ  つ
137風と木の名無しさん:02/05/07 08:18 ID:eK0zuyby
     σ∧_∧
     σ(*゚ー゚)
        /つ__                 __
     〜   \  \./■ヽ/■ヽ/■\ /  /
    、、、、(/ .  \ ( ´∀( ´∀( ´∀`/  /
             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       差し入れでつ
138風と木の名無しさん:02/05/08 01:44 ID:JknuydNj
あら、おいしそうね…。
139風と木の名無しさん:02/05/08 10:07 ID:Rd6NU5N1
>138
 ∧ ∧    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 (*゚ー゚)∬ < お茶もあるでつ
  /  っ□   \_____
\(_つ  
140風と木の名無しさん:02/05/08 10:49 ID:JknuydNj
どうもありがと。いただきます。
141風と木の名無しさん:02/05/08 20:09 ID:Rd6NU5N1
>140
\ お食事のあとは温泉に一緒に入るでつ
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ∬           ∬
        。。・・ ∧∧   ・。。。∬
     o0o゚゚    (*゚ー゚)      ゚゚oo
    。oO  ( (( ー----‐ )) )   O0o
   (~~)ヽ             (´^ヽO,
  (⌒ヽ             (⌒)(゙゙゙)~
   /~゙゙ヾ⌒`ゝ-(~´`(⌒(⌒~ヽ~ ~~  、、
   ゝー ′ '"      ``"       ¨^^
      、i,,      ``′    ""
142風と木の名無しさん:02/05/08 20:45 ID:JDE6cYHj
このスレって続いてるんですか?
だったらそろそろ保守ageしておいた方がいいと思うんだけど・・・
143風と木の名無しさん:02/05/08 21:16 ID:Rd6NU5N1
>142
心配しなくて大丈夫でつよ。
ageなくても書込みがあればdat落ちしないでつ。
書込んだタイミングが、板の足切り(dat落ち作業)の時間帯に近い時は
TOP10には浮上せずに、それ以下で順番だけがポンとあがる時もあるでつよ。
144140:02/05/09 00:25 ID:5TIS9jSg
>141
温泉入ってマターリ…極楽だぁ。
145風と木の名無しさん:02/05/09 05:38 ID:Pnq1KQ+i
    ∧∧      
| ̄ ̄(*゚ー゚) ̄ ̄|     >144さんったら アンナコトやコンナコトして
|\⌒⌒⌒⌒⌒⌒\    一晩中すごかったでつvvvvv!
|  \           \  
\  |⌒⌒⌒⌒⌒⌒|
  \ |________.|
146風と木の名無しさん:02/05/09 23:09 ID:Y2n93oHA
>145
忘れられない夜になったね…v



私ちょっと痛いかも…スマソ…
147風と木の名無しさん:02/05/10 02:14 ID:xfCGO9pn
>146
  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ( ・∀・)< 俺のしぃによくも手を出したな!
 (    )  \ 慰謝料代わりにSS書いてけ!
 | | |    \____________
 (__)_)








          / ̄ ̄ ̄
  ∧∧    < なんてね!
♪(*゚ー゚∧ _∧ \___
 ( ̄⊃( ・∀・ )
 | | | ̄ ̄
 (__)_)

( ゚Д゚)ゴルァスレかな?<痛いと気にしているの?
○きゅースレのおかげでdat落ちの足切り間隔が短くなっていたので
助かったでつよ。
(今は200番台になってるけど、お昼には140番台だったでつ)

職人さんの降臨を待つ間の保守カキコを一人で続けるのは
淋しかったので、助かりましたでつ(感謝!)
また3日後ぐらいに相手してくれるとウレシイでつよ(w
148風と木の名無しさん:02/05/11 01:34 ID:S0+EHHey
>147
確かにちょっと気になりました。ゴルァスレが…。
私の書きこみに怒りを感じた人がもしいたら申し訳ないなって…。

でもお役に立てたようでよかったです。
149風と木の名無しさん:02/05/11 12:35 ID:MMHced93
>148
( ゚Д゚)ゴルァスレは、このスレのことじゃなかったでつね。<ヨカッタヨカッタ

このスレを見ている人は職人さんのSSの新作を待っている人か
SSのスレが増えるのが好きじゃない人かの、そのどちらかだと思うでつよ。

だから、前述のようなレスのやり取りはきっとスレ維持の雑談として
許容してくれるんじゃないかと思うでつ。
それに最初におにぎりの差し入れで、仕掛けたのは私でつし(w
148さんは気にしなくていいと思うでつよ。

あと、SS嫌いな人も、目に触れないように水面下でヒソーリとなら
既に半年近く存続しているスレだから、半ば諦めてくれてると思うでつよ。
150風と木の名無しさん:02/05/14 20:37 ID:5xDuxYDG
職人さん待ち...ってここの最初の方でSS書いてる人待ち?
ひっそり長く続いてるみたいなんで気になって見ていたんですが
保守協力させてやってくだちい。
151風と木の名無しさん:02/05/15 17:57 ID:u+MBvxyn
>150
そうでつ<職人さん待ち
それも、最初の方で書かれているひとではなく、
お一人の方が書いているんでつよ。
いろいろ書き方や語り口やアプローチの仕方など変えられているので
次はどんな話になるのか皆目わからないので
ものすごく楽しみなんでつ。
統一されているのは、スレのタイトルに添って「りく」くんの話であることぐらいでつ。
152風と木の名無しさん:02/05/15 18:57 ID:07Qnctvr
150の発言をした者です。
801じゃないような気がするんで迷ったんですが、一応130も数に入るの
かと思ったので最初の方と書きました。
130さんは別人ですよね?同じ方だったら申し訳ないんですが。
降臨まで、保守頑張ってくだちい。
153「りく」書き手:02/05/15 19:16 ID:WMDmKV/z
>152
はい。130さんは別の方です。
じつは私も130さんをお待ちしている身です。
続きが気になっているのですが、
もしかしてこの板の住人ではないのかも、と危ぶんでおります。
トーナメント期間に入ってましたし、他板の方の可能性はかなり高いかと。
続きを待たれているのを、ご存じないのかもしれません。
今のところ、三人待ってることになりますね。
154数学・物理 100の方程式:02/05/22 23:22 ID:4vWhIJSU
ペンを置いて眼鏡を外した。軽く首を回し、ため息を吐く。
目の前の答案用紙の束は、左側が採点済みで右側がまだ手をつけていない分。
(残り五分の一ってとこか)
まだ中間テストの採点が終わっていないと教科主任にばれて、やんわりと注意されたのは
昼休みのことだった。注意そのものより、最後に付け加えられた一言の方がきつかった。
『期末試験の問題、そろそろ考えておいて下さいね』
範囲の発表は来月の上旬、どこが期末だと頭を抱えたら『こんなものです』と返された。
高校を卒業してほんの五年しかたっていない、と諸先輩方と比べて若いつもりでいたが、
ただのうぬぼれだったらしい。立派な今浦島だ。
もっとも、ここは大学部まである名門私立校だから、やたらと詰まった定期試験日程が
組まれたりもするのだろう。
内部進学者を決定する為にも、成績資料が早めに作成されるにこしたことはない。
155数学・物理 100の方程式:02/05/22 23:22 ID:4vWhIJSU
(彼は、どうするんだろう)
ふと、ある生徒の面影が胸を過った。彼は初等部からの生っ粋の八百一学園生だから、
持ち上がりと考えるのが妥当だ。しかし、外部受験もありうる。
成績優秀な生徒を確保したいのは経営側として当然のことだが、世間一般でここよりも
格上とされている一部の国立大学へ合格してくれれば、それはそれで立派な宣伝になる。
(本人は、そういうの嫌いそうだけど)
自分のことは自分で決める性質で、他人の思惑で動かされるのを厭う。
少し付き合えば、すぐに分かる―――そこまで考えて、付き合うという表現に思わず頬が
熱くなった。慌てて頬を軽く叩き、深呼吸をしてから、答案の採点を再開する。
空き時間を利用してせっせとやらないと、お持ち帰りしても間に合わない。
気が散らないよう人の多い職員室を避け、校舎の中でも辺境に位置する別教科の準備室を
借りたのに、人目が無いからといってぼんやりしていては本末転倒。
156数学・物理 100の方程式:02/05/22 23:33 ID:4vWhIJSU
“できるだけ自宅に仕事を持ち帰らないようにしよう”というのは、就職一年目の人間と
しては図々しすぎるだろうか―――以前そう呟いた時、彼は笑いながら言ってくれた。
『いいんじゃねえ?途中で放り出して帰るんならあれだけど、お前のは違うだろ。それに
持って帰りゃ良いってもんでもないだろが。前に、車の中に成績表置いといて盗まれたっ
つう記事読んだことあるし…って、学生が言うのも図々しいか?』
瞳を覗き込まれ、ゆるく頭をふるとそのまま口付けてくれた。
あれは『中間テストの問題を作るから、しばらく会えない』と告げた夜。
ごねるかも、と思いながら恐る恐る言い出したのに、あっさり承諾されてしまった。
彼はさほど会いたくなかったのか、と些か落ち込みもした。
つい自分の要領の悪さを愚痴ってしまい、件の台詞を囁かれたのだが……どう考えても、
“会えなくて寂しい”とごねたのは自分の方。六歳も年下の少年に、拗ねて甘えた。
我ながら、情けない。
157風と木の名無しさん:02/06/04 22:32 ID:ShCEMafW
a
158あぼーん:あぼーん
あぼーん
159風と木の名無しさん:02/06/09 23:00 ID:49W1Kwba
   ∧ ∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ミ,,・Д・ミ< 保守するにゃ
ξミ ,,u且ミ  |
        \_____
160数学・物理 100の方程式 :02/06/10 01:13 ID:hxqxk/EL
『好きになった方が負け』という言葉が身にしみる。
手を出してきたのは向こうから。けれども自分のことが好きかどうかはかなり怪しい。
それで付き合っていると思うのは図々しいかもしれないが、週に二・三回は会いに来てく
れるし、その都度ああいうことに及んでいれば少なくとも体の付き合いはあるのでは。
自分は彼だけで、彼の方は他にも何人かいるというのは珍しくないだろう。
しかしながらそこに『教師と生徒』『男同士』という要素を付け加えれば、一気に少数派
に転じる。いくら世間に疎くても、それくらいは判る。
誰かと付き合うこと自体が初めてだが、消極的な性格だけがその原因ではない。
最大の理由は女性に興味が持てなかったからだ。初恋からして隣のお兄さんだった。
成長しても相変わらず男にばかり目が行ったが、自分から声を掛ける勇気はなくて、
いつも見つめるだけの片恋に終わった。
適当に遊ぶこともできない自分は、彼に出会わなかったら人肌のぬくもりも知らぬままに
生涯を終えていたかもしれない。
161数学・物理 100の方程式 :02/06/12 08:27 ID:UuTuw0jR
そういう意味では本当に感謝している。
感謝だけでなく愛してもいるけれど、彼に告げるつもりはない。
つまみ食いの相手に本気になられても困るだけだ。
……自分の立場くらい、わきまえている。彼にとっては大勢の中の一人でしかない。
あまり気持ちを傾けない方がいいとは思うが、思ってどうこうなるなら悩みもしない。
二月足らずでこんなに好きになってしまった。これから先はどうなってしまうのだろうか。
いつか彼を独占しようと泣いて縋る日が来るかもしれない。
それとも少しずつ冷めていって、気がついたらどうでもよくなっていたりするのかも。
はっきりとした終りがあるなら『笑顔でさよなら』といきたいが、どうなることやら。
仮に今の付き合いが続いたとして、長くても彼の卒業まで。
その時になって取り乱さないように心の準備だけはしておきたい。
(でも、具体的に何をすればいいんだろう)
これ以上好きにならないように、と自分に言い聞かせる他に何か出来ることがあれば。
162数学・物理 100の方程式 :02/06/14 11:55 ID:osBmt7b2
まずは卒業式を思い浮かべてシミュレーションの一つでも―――しようにも着任が今年の
四月だから、式進行をまったく知らない。
知らなくても適当にやればいいのだ、と気を取り直して外を眺めた。
隣の校舎に隠れて見えないが、その向こうには講堂がある。
始業式はあそこで行われたから卒業式も多分そうだ。
(まずは卒業生が入場して……いや、職員や在校生が先に入っているか)
順を追って考えるために、まずは講堂の入り口を思い浮かべてみる。
どの入り口から入るのかと悩んでいたら、ふと誰かに見られているような気がした。
顔を上げると、向かいの校舎から生徒が手をふっていた。遠目にも判る整った目鼻立ち。
髪の色が明るいのは天然だから、脱色による痛みが無く手触りもいい。
指で梳きながら褒めた時『若禿の事前通告だ』と苦笑していた。
禿げたら丸坊主にすると言う彼に、つい『あまり見たくない』と思ったままを呟いた。
怒られなかったが、お仕置きはされた。思い出すと顔も体も熱くなる。
163数学・物理 100の方程式:02/06/14 11:57 ID:osBmt7b2
『剃ってやるよ』
そう言って彼の手が伸びた先は自分の股間で―――つまりはそういうことが一段落した所
での会話だったわけで―――甘やかな気分でいたところに冷水を浴びせ掛けられた。
冗談だろうと問い返す間もなく、抱き上げられて浴室に運ばれてしまった。
自分より身長は低いものの腕力は断然彼の方が上だ。
本気で抵抗したのだが、あっという間に股間にシェービングフォームを塗られた。
手際の良さで前に他の男にやった事があるのを教えてくれた。だから余計に厭になった。
自分が嫌がっているのに止めようとはしなかったのもショックだった。
口調は乱暴だが、いつだって優しくしてくれたのに。
あの時は本当に怖かった。
怖くてたまらなくて……T字剃刀が臍下に当てられた直後に失禁した。
水色のタイルに黄色い液体は大変目立つ。
排水溝へと流れていくそれを見ながら、信じられなくて呆然としていた。
164アピッシャー ◆KEIZ/w.o :02/06/16 21:22 ID:rQSN87Jh

        ( ゚プ) ハイハイハイハイハイ!!
        (つつ
 -=≡( ゚ ゚) > >≡( ゚ ゚)
      ↑ WW   ↑
   マーガレット  フランソワ

           (゚プ) コノスレ・・・・
          ⊂U⊃
        ( ゚ ゚) ∧  (゚ ゚ )
             WW

           ( ゚プ) オモシロイ!
           (つつ
      ( ゚ ゚)   / |  ( ゚ ゚)
            WW

          ⊂(゚プ)つ サイコー!!
              U_
      ( ゚ ゚ )  /  W ( ゚ ゚ )
           W

        (゚プ ) デハマタゴジツ。
        ⊂⊂) )))
    (゚ ゚ ))) < <  (゚ ゚ ) )))
           WW
165ピンク2チャンネル:02/06/16 21:52 ID:kE3V0uHN
166風と木の名無しさん:02/06/21 08:40 ID:cqQAQSq0
 (( ∩ )) プルプルプル  
  γ'⌒ヽ∧ ∧    
   し'ゝつ( ゚Д゚)つ <ほしゅ〜さげ〜
167数学・物理 100の方程式 :02/06/24 00:26 ID:F8OsL9uV
『剃るっつっただけだ。切ったりしねえって』
苦笑混じりの彼の言葉で我に返り、自分のしでかした事に直面して目頭が熱くなった。
いい年をして、浴室で、しかも彼が見ている目の前で―――。
『泣くこたねえだろ』
泣かせた張本人のくせにぬけぬけと言い放ち、押え込んでいた手を離して立ち上がった時、
呆れて帰るのだとばかり思っていた。
けれども剃刀を片付けに行っただけで、すぐに戻って来て体を洗ってくれた。
そのまま朝まで一緒に過ごしたが、いつまでも泣き続ける自分を抱き締めて、時折謝罪を
交えながらあやし続けた。セックスでうやむやにした方がずっと簡単だったろうに。
そういう彼だから、泣かされた事も忘れてしがみついてしまった。
彼がもっと酷い男だったら―――いや、充分酷い。体で誤魔化す男よりも性質が悪い。
優しく背中を撫でる手に、少しは想いがこもっていると勘違いしそうになるから。
168風と木の名無しさん:02/06/24 15:06 ID:6DxxpGms
 
169数学・物理 100の方程式 :02/06/27 19:13 ID:w6LqXZXd
しな垂れかかってくる男を脊髄反射の様に抱き寄せ、気が向けばキスの一つも恵んでやる。
彼にとってはもう癖や習慣ともいうべき行為で、そこにはさしたる意味も感情もない。
少しかまってもらえたからといって舞い上がらない方がいい。
他の男といるのを見た時に辛くなるだけだ。
………考えれば考えるほど、自分の情けなさが浮き彫りになる。
自分の事を好きになってくれなくてもいい、その他大勢で構わないから傍にいたいと願い、
少しでも時間を割いてもらえる幸運を祈りつつ彼の訪れをじっと待ち続けている。
"女々しい"とか"女が腐ったような"といった類の古典的表現がよく似合う。
陰気な性格は前からだが、彼とこうなって以来いよいよ磨きがかかってきた。
しかし彼のせいばかりにはできない。
最大の原因は判っていても離れられない自分にある。
さっさと見切りを付けられる分、すぐに暴力を振るう男の方がまだましかもしれない。
170数学・物理 100の方程式 :02/07/01 00:07 ID:F6Bii4cW
もっとも今の自分では、殴られても蹴られても別れたくないと言いだしかねない。
彼のどこがどうしてこんなに好きなのか。
それが判れば、この気持ちも容易く消し去ることができるのだろうか。
もしも“こうして好きになった”という明確な過程を提示できるのならば、同様の手順
で綺麗さっぱり無関心になれそうなものだが―――多分、無理だ。
好きなところは沢山ある。けれども、殆どが彼への好意を自覚してから気がついた点で、
いまから並べても後で付け足した屁理屈といった感が拭えない。
結局、『好きになるのに理由はいらない』。これに尽きる。
いきなり降ってわいたこの感情を持て余し、ことある毎にうろたえる自分は、本当に
恋愛に慣れていないのだと自嘲混じりに嘆息する。
のぼせた頭で彼の酷い仕打ちや冷たい言葉を思い出しても、一向に気持ちは冷めない。
それどころか彼の所作や声音を思い浮かべて頬を火照らせてしまうという体たらく。
171数学・物理 100の方程式 :02/07/07 08:20 ID:XhiLPUyn
所詮は自分が過剰に反応しているだけで、大したことはされていないと言ってしまえば
それまでなのだが。
いくら彼の振る舞いを酷いだの冷たいだのと心中で嘆いても、愛撫や睦言にすりかわった
途端に体がとろけてしまうようでは、もはや前戯と変わりない。
…昼日中に何を考えているのか。しかもまだ採点が残っているのに。
軽く頭を振り、窓から顔を背けてペンを手に取る。しかしながらどうにも集中できない。
視線や気配を感じるとよく言うが、実際は視界の隅に入っていたり、相手の存在を知って
自意識過剰になったがための錯覚に過ぎないと思う。
今も彼の眼差しを感じているのではなく、見られていると思いこんで勝手に緊張している
だけだ。気まぐれな彼のことだから、もうとっくにどこかに行ってしまっただろう。
そう思って再び外に目をやると、予想に反して彼はまだ同じ場所にいた。
こちらが見ているのに気がついたのか、窓縁に肘をついて手を小さく振ってよこす。
172数学・物理 100の方程式:02/07/08 00:06 ID:xPR3AchT
―――何も知らない頃だったら、微笑ましい光景ですませられたのに。
外見と中身が甚だしく違うことを散々思い知らされた今となっては『見た目は可愛いんだ、
見た目だけは』と毒づきたくなる。
赤頭巾を被った狼は近隣の学校にもその容姿で知られており、雑誌の取材も何度も断って
いるそうだが、よそ行きのひたすら甘い笑顔を思えば頷ける。自分もあれには騙された。
騙されて、振り回されて。仕事の手が進まなくなるほど頭の中が彼で一杯になっている。
これでは駄目だと勢いをつけて目をそらし、ペンを走らせた。
『答案に八つ当たりをしてはいけない。採点ミスは論外』と何度も心の中で唱えながら。
だが、平常心を取り戻すべく努力している自分を嘲笑うかのように、間もなく彼の答案に
行きついてしまった。いずれは来ると判っていても、直に目にするとやはり焦る。
出席番号からしてもうすぐ終わるということか、と無理矢理気持ちを奮い立たせて採点を
始めてみたが今度は違う理由で手が止まった。
173数学・物理 100の方程式 :02/07/10 23:13 ID:vpUMLHO/
問題の難易度に関係なく、解答はいずれも簡素に纏められている。証明問題はまだしも、
計算を要するものは立式の直後に結果が書いてあり、途中経過は一切なし。
計算用紙が別途与えられたとはいえ略しすぎだ。これでは疑われてしまう。
去年、彼のクラスの数学を担当していた教師の言葉が思い起こされた。
『ありゃ絶対やってます。課題はまともに提出しない、授業中は寝てばっかりで当てると
外へ出て行く。どうしようもないクズですよ。定期テストもねえ…花輪と席が近いから』
着任直後にそう聞かされ、かなり警戒して授業に臨んだ。
ところが順番に当てても大人しく答えるし課題は提出するしで、前評判とは大違いだった。
だから安心していたのに…いや、決め付けるのはまだ早い。結論を出すのは調査後だ。
けれども、何から調査するという当てもなし。ただ冷や汗を流して答案を見つめ続けた。
暫くの間、そのまま固まっていたが、扉の音に驚いて振り返ると、そこにはよりにもよって
教科主任の浜崎がいた。
174数学・物理 100の方程式 :02/07/17 22:11 ID:D5r959G3
「丸尾先生、どうですか」
にこやかに歩み寄る彼の目に触れないように、疑惑の答案を一番下に隠した。
「あ、はい、もうすぐ終ります。今日中に記入して提出しますから」
成績記入用の名簿を振りかざして目をそらそうと試みたが、浜崎は軽く頷いて答案の束を
手に取り、素早く氏名をチェックし始めた。
「粗探しをしてるわけじゃありませんから、お気になさらず続けて下さい」
そう言われて平然と続行できる程、自分の神経は太くない。
「ええと…すみません、こっちかな。失敬」
ついに未採点の数枚を取り上げられた。叶うことならひったくって逃げてしまいたい。
「んー…ああ、あった」
浜崎が抜き出して机の上に置いたのは、予想通り彼の答案だった。
―――終わった。
175数学・物理 100の方程式:02/07/17 22:13 ID:D5r959G3
模範解答を横に並べて一つ一つ確認されては、どうにも誤魔化しようがない。
「…相変わらずやってくれますな。今回は少々時間が足りなかったみたいですが」
低く唸る浜崎に向き直り、覚悟を決めて頭を下げた。
「すみません、監督は僕でした」
「へ?―――ああ。違いますよ。カンニングじゃありません」
懸案事項にあっさりと結論を出し、浜崎は答案をめくってみせた。
「見てください。面白いでしょう?」
嬉しそうな浜崎の口調から、これがいつものことで彼が教科主任のお気に入りだと判る。
「…これは」
通常は白紙のそこに、グラフと計算式がびっしりと書き込まれている。
表側で出題した二次曲線と直線で囲まれた部分の面積を求める問題に、勝手に付け足して
遊んでいるのだ。
176数学・物理 100の方程式:02/07/17 22:15 ID:D5r959G3
中間テストの範囲は平面座標までだったし、空間座標の章に入ったのはテスト明け。
なのに彼はz軸を加えて回転させ、体積を求めていた。
xy各々の軸について回転させた後、平面の式をこれまた勝手に取り入れて回転体を切り、
断面積を計算している。
「久々に熱がこもってますな」
腕組みをして満足げに頷く浜崎に、何の悪気もないのは判っている。判っているのだが。
「…馬鹿にするにも程がある」
思わず漏らした呟きに慌てて口元を押さえたが、一度出てしまった言葉は取り消せない。
「まあ、そう言わずに。丸尾先生、かなり気に入られてますね」
「どこがですか。普通に問題を解けばいいじゃないですか。こんなの嫌がらせとしか…」
声が震え、視界が滲む。慌ててハンカチを取り出し、目元を押さえた。
「す、すみません…っ…」
177風と木の名無しさん:02/07/23 16:48 ID:R/dhzceM
178風と木の名無しさん:02/07/26 13:25 ID:cFHmBCPL
#9685&#3642
179風と木の名無しさん:02/08/02 18:25 ID:9OXTiSny
130さんは、もう御出でにならないのだろうか。
180風と木の名無しさん:02/08/05 04:01 ID:xZUNwX0Q
ヒソーリ続きおまちしてましゅ…
181風と木の名無しさん:02/08/10 21:21 ID:x93Nqmvz
j
182風と木の名無しさん:02/08/12 04:13 ID:4rBpfRFh
あ??

183数学・物理 100の方程式 :02/08/12 15:52 ID:ulKW4LmZ
「先生を馬鹿にしてるんじゃありませんよ。できるからって自惚れてるわけでもないです」
浜崎はいつもと変らぬおっとりした口調で彼を弁護した。
中等部の頃に、答案を誰よりも早く書き終えた彼が机に突っ伏して寝ているのを起こして、
当時の数学教師が裏面で遊ぶ事を勧めたのが事の始まりだという。出来上りを面白がった
理科教師が次の試験でけしかけ、しぶる彼に『サービスが悪い』と難癖をつけて書かせた。
以後、定期テストの度に理数系の科目に限って裏まで書き込むことになっているそうだ。
「贔屓には違いないですし不快に思う生徒もいるでしょうが、今まで何もなかったからと
教師の方で生徒に甘えているような状態で」
―――呑気なものだ。何かあってから『こんなことになるとは』と言い訳するつもりか。
高校二年生にもなって、決定的な事件が起きる前にいじめを学校側に気取られる間抜けが
どこにいる。
一体何年教師をやっているのか、と新米の身ながら詰め寄りたくなるのを懸命に耐えた。
184風と木の名無しさん:02/08/14 23:29 ID:TN5W2XAW
保守
185風と木の名無しさん:02/08/19 00:14 ID:uj/CZDMP
先輩教師に盾突くのが躊躇われただけでなく、今の自分の感情こそが紛れもない『贔屓』
だと判っていたからだ。
この答案が彼以外の生徒のものなら、即座に報告していただろう。
「色々と誤解されやすいようですが、いい子なんです」
浜崎が彼を擁護し続けるのにも苛立たしさが募った。
中等部の、ひょっとしたら初等部の頃から彼を知る浜崎と、会って二ヶ月足らずで体だけ
の付き合いの自分では比較にならないと判っているが、どちらがより彼を理解しているか
改めて思い知らされたようで惨めになる。
最初から疑ってかかった後ろめたさも拍車を掛けた。
「…丸尾先生、一つだけ確認させて下さい」
涙が止まらない自分に呆れているだろうに声音に出さず、あくまで穏やかに浜崎は尋ねた。
「永沢先生から何か聞いてますか?」
186風と木の名無しさん:02/08/25 09:38 ID:lZ9BAxgl
.

  ∧_∧  
 (´-ω-) 
 (つ旦と)  
  と_)_)
187数学・物理 100の方程式 :02/08/30 14:34 ID:Ld10E4P3
彼に対する先入観を自分に植え付けた教師の名に、ゆっくりと面を上げる。
「…何か、って…去年は、永沢先生がみてらしたんですよね」
涙声にならないように気を付けながら尋ねると、浜崎は渋い表情で答えた。
「初めは、そうでした。一学期の途中からは山根先生に変りましたが」
年度どころか学期の途中に教科担任が変った。解任された者はその後も学校に残っている
というのに―――ど新人の自分でも、異例の措置だと判る。
「あの子ばかりが贔屓されているとお思いでしょうが、差別もされました。…もっとも、
それですぐに教師が変るなんて特別扱い以外の何物でもありませんが」
「先生は、反対なさったんですか」
「いいえ。永沢先生に対する処分そのものについては、異論はありません。ただ、友人が
多く上層部のお覚えもめでたい子だから早期に発覚しただけで、もし他の子だったら……
仮に事が露見したとしても、あの子の時ほど素早い対応は望めないと思うんです」
188風と木の名無しさん:02/09/01 14:49 ID:yDhl90+G
明日は始業式か。
189風と木の名無しさん:02/09/04 16:05 ID:43sZzDxS
保守
190風と木の名無しさん:02/09/07 16:30 ID:AFtP++mc
:*:・。,☆゚'・:*:・。,ヽ(・∀・)人(・∀・)ノ ,。・:*:・゚'☆,。・:*:
191風と木のギコさん:02/09/09 22:08 ID:inEvIL6d
  ∧ ∧
  (   )
  /  ヽ
  (_ ○ _) 保守
192風と木の保守さん:02/09/11 04:47 ID:Ci8GOmL3
|∧
|゚Д゚)
⊂_ノ ホシュ シテモ イイ?
193風と木の保守さん:02/09/14 07:12 ID:jxPqRhKR
  ∧ ∧   カタ       / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (,,゚Д゚),____カタ__< ホシュ ホシュ ホシュ
  / つ._.|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| \________
 (,  |\.|| Upple iBook |
      \,,|============|
194風と木の名無しさん:02/09/16 14:07 ID:g0XOT8oS

      ∞ ホッシュ
 ∧∧  /
 (;゚Д゚) 丿
  |⊃ |つ
〜| |
  UU
195風と木の保守さん:02/09/18 08:39 ID:T07m7OXu
         .┌┐
        / /
      ./ / i
      | ( ゚Д゚) <ムカレタイ・・・・ホシュ
      |(ノi  |)
      |  i  i
      \_ヽ_,ゝ
        U" U
196数学・物理 100の方程式 :02/09/21 05:31 ID:/606eGyF
生徒全体に目を配っている者ならではの台詞。彼のことしか頭になかった身には痛すぎる。
志を持って教師になったと思しき浜崎と違い、他にあてもなく漫然とこの職に就くような
奴だから、生徒と関係を持った挙句、採点に私情を挟んだりもするのだろうか。
「丸尾先生。急がせて申し訳ないのですが、明日の午前中に提出して下さい」
名簿を指し示した後、浜崎は準備室を出ていった。
言外に『今日中でなくても構わない』と仄めかしたのは、みっともなく泣きじゃくる新米
に対する思いやりか、それとも呆れて匙を投げたのか。
……人の好意も素直に受け取れない自分にうんざりする。彼にもとんだ醜態を見られた。
どんな顔をしているか確かめたくて涙を拭きながら向かいの校舎を見やったが、もう彼の
姿はなかった。

『あいつは要注意ですよ』
197数学・物理 100の方程式:02/09/21 05:38 ID:/606eGyF
始業式の翌日、給湯室の窓から外を眺めていると唐突に永沢が話しかけてきた。
誰のことか判らず、またいきなりのことで面食らう自分に、渡り廊下で話している数人の
生徒達を顎で示した。
中に一人、綺麗な子がいるのに目を惹かれた。高校生の男子なんて殆どが汗と脂の匂いを
漂わせていると思っていたが、世の中にはああいう子もいるのだ、と驚いた。
よく見れば周りも身なりに気を遣っていそうな者ばかりが揃っている。
母校は共学といっても進学校を自認する地方の公立高校だったから、都会の名門私立校は
やはり違う、と素直に感心した。
見蕩れて呆ける自分の意識を引き戻したのは、永沢の吐いた毒だった。
『真ん中のチビは手の施しようのない馬鹿ですから、丸尾先生も気をつけて下さい』
昨年度は散々だったと口汚なく罵りだした相手を宥める術を思い付かず、かといって続き
を聞く気にもなれない。
198あぼーん:あぼーん
あぼーん
199風と木の名無しさん:02/09/24 17:17 ID:gMnAgqLY
>>1
1はホモでした。
周りもみんなホモでした。
毎日が楽しくて仕方ありません。


      め   で   た   し   め   で   た   し  
200風と木の保守さん:02/09/28 16:30 ID:39uD47RJ
  ∧ ∧
  .(,,゚Д゚)つ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (つ /   < 日曜戦線ニ備エテ、出動ホシュ
〜/   〉   \_____________
 (ノ ^ ノ
201数学・物理 100の方程式:02/09/30 08:03 ID:ksIvs/ZO
仮にも教師の身で、新人を前に生徒を罵らずとも良さそうなものだ。
問題児に対し注意を促すにしても、もっと他の言い方があるだろうに。
一刻も早くその場から去りたかったが、当たり障りなく切り抜けられるほどの器用さは持
ち合わせていない。それでも何とか話しの流れを変えられないかと『友達は多そうですね』
と愛想笑いを浮かべながら言ってみたが、返ってきたのは唇を引き歪めた嘲笑だった。
『あの顔ですからね。ここは男子校だし』
『目の保養ですか』
『そんないいもんじゃありません。性欲の捌け口ってやつですよ』
絶句する自分を面白そうに眺め、永沢は鼻を鳴らした。
『妊娠する心配もないせいか、もう目茶苦茶で―――あの辺りはみんな兄弟でしょ。近く
に女がいないからって、何も男に走らなくてもねえ。尻に突っ込むなんざ…いくら穴さえ
開いてれば何でもいい年頃とはいえ…そのままホモになったらどうするつもりなんだか』
202風と木の名無しさん:02/09/30 21:38 ID:nyBgY/P6
ゴフッ!!(茶吹き)

ドキドキドキ…(いい意味で)
203数学・物理 100の方程式:02/10/03 09:13 ID:T2gFQxO3
同性愛者に対する侮蔑を露にした物言いに、もしや見抜かれたのかと背筋が凍った。
そんな筈はないと思いつつも動揺を隠せず、ほんの僅かだが目をそらしてしまった。
永沢にも迂闊な反応を見咎められたが、幸いなことに前日の自己紹介に繋げてくれた。
『共学だった人には気持ち悪い話ですね、失敬。僕もそうですが、ここ出身の先生が殆ど
なものだから、ついそういう気配りを忘れがちで。こういうことも、はっきりと言わなく
ても判ってくれるし。丸尾先生以外にもOBでもない人はいますが本当に少ないんですよ』
墓穴を掘らずにすんだと知り、力が抜けた。眼前の品のない笑顔にも後光が差して見えた。
―――出身校による差別なら好きなだけやってくれればいい。学内での地位に興味はない。
これまで隠し通してきた自分の性的嗜好を暴かれず、平穏に過ごせさえすれば―――。
交際相手は最初から探そうともしなかったが、雑誌やビデオすら遠ざけて暮らしてきた。
そんなものを手に取る姿を知人に見られたら一巻の終りだ。
どこから足がつくか知れたものではないと思うと、恐ろしくて近寄ることもできなかった。
204風と木の名無しさん:02/10/06 09:22 ID:nRSjqhl3
(=゚ω゚)y━○o。o○o。o〇ヽ(゚ω゚=)
205風と木の名無しさん:02/10/09 02:00 ID:lDiVFm2i
  ,,,,.,.,,,.
 ミ`Д´ミ  """"
206風と木の名無しさん:02/10/12 01:52 ID:lJYudyg9
同性に欲望を覚える己を認めたくなくて、ネットの世界ですら同性愛の三文字を避けた。
治せるものなら治したい、と儚い望みを胸の片隅に住まわせて―――。
店頭で見かければ即座に目を背けて足早に立ち去り、酒席でのジョークもそれとなく拒む
ことから学生時代は『ホモ嫌い(おそらくトラウマ持ち)』と噂され、興味本位で真相とや
らを尋ねてくる者達もいた。
けれども敢えて否定はせず、隠れ蓑としてありがたく利用させて貰った。
カミングアウトする勇気など、どこにもないからだ。
他者に向けられた言葉にさえ、こうして身を切られるような思いをしているというのに。
『周りがちやほやするから、つけあがりやがって…公衆便所の分際でいい気なもんだ』
“いくらなんでも酷すぎる”と思ったが、庇うこともできなかった。
もっとも、庇う必要もなさそうだった。皆に囲まれて笑っている姿を見る限り、永沢が言
うような後暗いところがある風には見えない。
207数学・物理 100の方程式:02/10/14 06:00 ID:kVjGCp1Q
話半分どころか、聞かなかったことにした方がいいと早々に見切りをつけた。
授業中の態度について罵るのを聞いても“あんたの態度にそもそも問題があるんだろうが”
と醒めた気持ちになってしまう。
下衆な内容もさることながら、話の締めくくり方も最低だった。
『二年一組の茂門賀りく、です。先生の担当クラスですな。ま、頑張って下さい』
自分が気に入らない生徒を貶め、OBでもない新人を脅して御満悦の永沢を見ていると、
振られたのを根に持っているのだろうかと勘繰りたくもなった。
ホモ嫌いのようだからそれはないだろうが、恨むような出来事が何かしらあったのだろう。
―――だからといって、自分にあることないこと吹き込まなくても。
初めて二年一組の教室に赴いた時は、絶対に永沢の手には乗らないと力みかえっていた。
それでは踊らされたも同然、と反省したのは授業を終えてから。
早いうちに当ててしまえと出席番号の後ろから指名していった時点で、既に意識し過ぎだ。
208数学・物理 100の方程:02/10/17 09:53 ID:1HF0TZjY
突然の指名にも不平一つ言わず、平然と前に出て黒板の問題を解く姿に胸を撫で下ろした。
かなりできるようだが、できるが故に教師に疎まれることもあるだろう。
永沢の言葉と、目の前の生徒の態度。どちらを信用するか、初日で結論が出た。
以後、永沢が何を言ってきても神妙な顔をしつつ聞き流した。
“前評判”と違って課題も提出したし、誰に頼っている様子も無い。
クラス委員の花輪と仲がいいらしく、放課後の図書室で問題集を広げる二人を目にしたが、
頼っているのはどう見ても花輪の方だった。
花輪自身トップクラスの成績で全教科ムラなく点を取っているのだが、理数系は彼の方が
上位にいると二年一組の担任が教えてくれた。
物理教師である担任は、彼を問題児扱いするどころかお気に入りに数えているらしく『真
面目でいい子でしょう?』と笑顔で尋ねてきた。
職員室では永沢と自分の席が離れているため気軽に頷いたのだが、しっかり見られていた。
209数学・物理 100の方程式:02/10/19 18:32 ID:BFBVJCk0
『…丸尾先生まで、あいつに誑かされてしまったんですね』
担任が離れるや否や耳元で恨めしげに囁かれて、驚いたの何の―――危うく椅子ごとひっ
くり返るところだった。
動揺を隠せずに胸を押さえていると、永沢は唇を歪めて卑屈な笑みを浮かべた。
『みんな、どうして騙されるんだか。見てくれですか?』
悪し様に罵る永沢は、彼が通常は教師に見せない顔を多少なりとも知っていたのだろう。
『あいつの本性知ってりゃ、可愛いなんて言えないと思うんですが』
そこまで言うのなら、その本性とやらを教えて欲しかった。
前もって聞いていれば、決して声を掛けたりしなかった。

四月半ばを過ぎても慣れたのは起床時間くらいのものだった。
日々仕事に追われ、余計なことを考える暇がなかったが、それで丁度よかったと思う。
210風と木の名無しさん:02/10/22 09:44 ID:AoHlcutr
保守
211風と木の名無しさん:02/10/23 11:51 ID:iJDlR823
  ,,,,.,.,,,,,
 ミ・д・ミ <ほっしゅほっしゅ!
  """"
212数学・物理 100の方程式:02/10/24 08:07 ID:n+hCLxh/
あれこれと思いわずらう時間を出来るだけ減らしたかった。
永沢に纏わりつかれても時間潰しと思って耐えていたのだが、誑かされた新人を見捨てた
らしく、何も言ってこなくなった。
担当している学年が違うため挨拶以外の言葉をろくに交わさなくても不自然ではないし、
元々親しくなろうとも思っていない。距離が出来るのは容易かった
何を根拠に眼の敵にしているのかは気になったから、件の生徒に注意を払いもしたのだが、
永沢の言うような扱いを受けているようには見えなかった。
逆に見ている方が『あんな華奢な子に』と心配になる位、彼の友人達は容赦がなかった。
体格のいい連中に囲まれて、後頭部を勢いよく叩かれる姿に最初は息を呑んだ。
けれども素早く蹴り返し、小突き合いを始めた彼の笑顔に、この年頃の男の子ならこんな
ものかと思い直した。
―――見てくれは美少女紛いでも、れっきとした男子高校生なのだ。
213保守人:02/10/25 10:23 ID:PqXYwJXe
今日はあちらを保守しようと思ったら落ちてた。
新スレ立ててもいいのでしょうか。
214数学・物理 100の方程式:02/10/27 10:44 ID:T1dWAcSb
永沢の言を信用しないと決意したはいいが、自らの目が既に偏見で曇っていた。
もっとも永沢の言ったことは全くの出任せでもない。
男子校の弊害についてだ。
ほんの十日かそこらで『性欲の捌け口』を務める生徒の顔を覚えてしまった。しかも複数。
休み時間の度に違う生徒と手を繋ぎ、或いは肩を抱かれてトイレに行く姿は大変目立つし、
嫌でも覚える。我が目を疑ったが、隣にいた教師が見なかった振りをするのにも驚いた。
新参者の態度に目をとめた先輩は、空き時間に保健室に行くよう勧めた。
養護教諭が苦笑混じりに『ここの出身じゃない人は驚きますよね』と言ったが、永沢と異
なり派閥意識は感じられなかった。
『無責任なようですが、学業に支障が出ず、外にばれるような不品行をしでかさなければ
学校側としては文句は無いんで。僕も一応、性病予防に気を使えと言ってますが、それは
女の子相手でも同じですし』
215数学・物理 100の方程式:02/10/29 13:33 ID:ePAMoPD2
富裕な家庭の子息ばかりだからか金銭のやりとりも無く、そもそも妊娠の危険がない。
『保健室を使ったら流石に殴りますが……丸尾先生も、そのうち慣れますよ』
呆気に取られた自分に、養護教諭はさらりと言って話を結んだ。
確かに、じきに見慣れてしまった。今では先輩方のように視線を外さず廊下を歩ける。
無理強いならともかく、嬉々としてアイドルを自称されては心配する気も起こらない。
彼らは総じて明るい。鬱屈した思いが無さげなのは、容姿や若さのせいもあるのだろうか。
何かの拍子に見せる媚びた目つきや甘えた仕草にも驚かされたが、同年代の男とは異なる、
むしろ女に近い生き物だと思えば違和感も薄れる。
そうして改めて彼に目を戻し、明らかに違う』と思った。
学園のアイドル達よりも遥かに繊細な容姿を持っていようと、中身はごく普通の男子生徒。
友達と小突き合いはしても、男を巡って言い争ったりはしない。
気に掛かっていた生徒の件も杞憂に終わり、校風とやらの知識も得た。
216数学・物理 100の方程式:02/10/31 09:26 ID:RhWb3bUd
あとは早く教職に慣れることだ、と進んで雑用も引き受けた。
他の教師達から『まだ四月なんだし、余り無理をしないで』と度々声を掛けられるほどに。
無理ではなく逃避なのだとは言えず、力無く笑って誤魔化した。
少しでも余計な時間ができると、つい月末の予定に思いを馳せてしまう。
自宅から二時間もかからない場所で、土曜日に行われる披露宴。
電話をかけてきた友人は、こちらが欠席するとは思ってもいない口調だった。
『お前も四月は忙しいだろうし、二次会の幹事は勘弁してやるよ。その代りスピーチな』
突然の報告に気が動転して頭が働かない内に出席を前提とした話を次々と聞かされた。
結局、言い出せないまま招待状を受け取り、出席に印をつけた。
その後、連絡を取ってきた友人達も、皆自分が出席すると最初から決めてかかっていた。
欠席する方が不自然だとは自分でも思う。場所も日取りもけちのつけようがない。
「ちょっと用事があって」では通りそうにないから、咄嗟の言い訳も拵えられなかった。
217風と木の名無しさん:02/11/01 09:30 ID:jB4/iNHP
保守
218風と木の名無しさん:02/11/02 12:15 ID:3N+84xF+
ヽ(・∀・)ノ
219風と木の名無しさん:02/11/03 14:10 ID:B9HI+UYl
|゚∀゚)ノ
220数学・物理 100の方程式:02/11/04 10:21 ID:IULa8wK7
新郎新婦共に同じゼミで、教養部でのクラスも同じ。
いつも一緒にいたから周囲には三人一組で数えられていた。
新郎は卒業後就職したが、大学院に進学した新婦とは僅かな期間ながら机を並べている。
日取りはもちろん、地理的にもさしたる問題はないのに出席しないのは不自然だろう。
口さがない連中に、何を言われるか知れたものではない。
男二人に女一人の構図が気に入らないらしく、陰口を叩く輩がいた。主に女。
一年の前期試験の打ち上げの話を、卒業するまで引き摺っていた暇人共だ。
酔った勢いで皆の前で彼女が自分に告白し、自分が「友達なら」と答えて始まった付き合
いだった。いつしか友人も含めたものに変わり、四年の春に二人は恋人同士になった。
『ゼミまで追っかけるのか、しつこいなーって思ってたらアレだもん。凄いわ』
学食で大声で笑っていたのは、教養部の時に語学の選択が彼女と同じで、試験の前になる
とノートを借りに来ていた女だった。
221風と木の名無しさん:02/11/05 02:00 ID:ZkTxTqIr
(・∀・)イイ!
222風と木の名無しさん:02/11/06 08:55 ID:wVvag/7I
保守
223風と木の名無しさん:02/11/06 17:31 ID:Shmjw6BG
224風と木の名無しさん:02/11/07 09:01 ID:T+gzSANQ
復旧はいつ頃になるのかのう
225風と木の名無しさん:02/11/07 18:21 ID:5nHR3HWF
。・゚・(ノД`)・゚・。
226数学・物理 100の方程式:02/11/08 09:16 ID:Ic6e+SuE
笑顔で相席を頼んだら、そそくさと逃げ出した。大人気無かったが、お互い様だ。
あの場を盛り上げていた張本人は流石に来ないが、同席者の一人が二次会に出ると聞いた。
『お前ってさ、普段おっとりしてる分、怒ると怖い人だったのな』
半ば呆れた口調で揶揄する幹事に、「しつこいだけだ」と自嘲を交えて答えた。
自分も、姦しい雀共も、揃ってしつこい。自分が大学院を途中でやめた件と二人の結婚を
結びつけた噂が既に出回っている。出席しなかった日には、何がどう伝わるか。
親しい連中は「可愛い妹分を嫁にやるのは不本意だが親友だから渋々認めたのだろう」と
極めて好意的な見方をしてくれている。真実は遠からずと言えども当たらず。
何の権利もないから譲ったとは言えないが、彼女だからこそという気持ちは確かにあった。
思いの種類は違えど、二人共大切な存在だ。門出を祝う集まりに水を差したくない。
卒業以来初めて会う友人達へ院を早々に辞めた言い訳をする良い機会でもある。
“退学届を出した後に結婚の話を聞いた”―――この順番をさりげなく告知しておきたい。
227数学・物理 100の方程式:02/11/09 05:58 ID:78dNAmZE
研究室の面々なら周知の事実も、面白さ最優先の噂話では削ぎ落とされてしまう。
冗談でも彼女のせいにされたくない。辞めると決めたのは、あくまで自分自身なのだから。

学生時代の仲間が半数以上を占める二次会の席では、それなりに突っ込まれた。
『就職先が無いから進学するって聞いた時は、一体どこ落ちたんだって皆で言ってたけど
ドクター行くと思ってたから大して驚かなかったんだよ。まさか途中で辞めるとはな』
『留学するのかと思えば高校の先生って―――お前、いつから教師志望だったのよ』
耳が痛いが、無理をせずとも誰かが代りに答えてくれる。
言葉少なに笑っていると、いつのまにやら教職を熱望しつつも就職浪人を余儀なくされた
悲劇の人になっていた。郷里の家族と同じだ。
入学金も前期の授業料もどぶにすてたようなものだが、何も言われなかった。両親と同居
している兄も一回り以上離れた弟に甘く、就職祝は何がいいかと何度も電話をかけてきた。
228風と木の名無しさん:02/11/09 18:36 ID:tjAJ4JOe
sage
229数学・物理 100の方程式:02/11/10 10:50 ID:dXyVOlL0
なし崩しを嫌ったのは姉だけだ。院を辞めると報告したら即座に言われた。
『入学金と授業料。四月からの仕送り。三年以内に全部返しなさいよ』
いいじゃないかと兄が庇えば「兄さんは甘すぎる」と一喝し、両親も黙らせてしまった。
「大学の近くに住む必要も無くなったし下宿代の無駄だから」と近くに住んでいた姉の部
屋に引っ越すよう命じられても、友人達が言うように厳しいとは思わなかった。
ひたすら甘い両親や兄よりも、ずっと自分を理解している。
就職祝いの席で酔った父が「こっちの公立だったら良かったのに」と本音を洩らし、母が
肯いた時は「採用のあてがないよりマシ」と愛想の欠片もない台詞でフォローした。
『田舎でも都会でも、公立でも私立でも、荒れてるところは本当に酷いんだから』
教職に就いている友人の話も交え、自分の就職先の安全性と待遇の良さをアピールしてく
れた。……本来は自分がするべきなのに、姉のスカートの陰から両親の顔色を窺うような
真似をしてしまった。 いつものことと言ってしまえば、それまでなのだが。
230風と木の名無しさん:02/11/11 08:49 ID:xyi3PCRQ
ヽ(´ー`)ノ
231風と木の名無しさん:02/11/12 02:55 ID:WBSOBtxS
まあ、とありあえず。
232あぼーん:あぼーん
あぼーん
233風と木の名無しさん:02/11/13 08:47 ID:rK0AdqDq
(´・ω・`)
234風と木の名無しさん:02/11/14 08:44 ID:29nXekMY
(・ω・` )
235風と木の名無しさん:02/11/15 09:00 ID:Jv3TjfCn
( ´・ω・)
236風と木の名無しさん:02/11/15 09:04 ID:aOFBgL4p
(、.ω.)
237風と木の名無しさん:02/11/16 07:48 ID:k2j5sQax
(´;ω;`)
238風と木の名無しさん:02/11/16 10:24 ID:2lzzaeaE
(`・ω・´)
239風と木の名無しさん:02/11/17 09:21 ID:9varex5C
(゚Å゚)

240風と木の名無しさん:02/11/18 09:31 ID:4aEHXeJT
まだ復活してないのう…
241風と木の名無しさん:02/11/18 20:42 ID:VWuNdhfJ
(・`ω´・)
242数学・物理 100の方程式:02/11/18 23:37 ID:+FswgTIC
振り返ってみれば声高に主張したことなど一度もないような気がする。
明言を避けて曖昧な態度で受け流し、周りが適当に解釈してくれるのに任せてきた。
家族との衝突もろくに経験がないのは、いつだって無難な選択をしてきたからだろう。
ずっといい子で通してきた自分が初めて道を逸れた。
「それだけ真剣に教師になりたかったのだ」と皆が誤解するのに任せて、自分からは志望
動機に触れずにすませた。八百一学園付属でも女子部の百合高を希望したのに、男子部の
薔薇高に回されてしまったと言えば、笑い話として勝手に盛り上がってくれる。
偶然にも百合高出身だという後輩が一人いて、うまく話を繋げた。
『教師は殆ど女で、男は還暦すぎた非常勤のおじいちゃんくらい。たまに若いのが来たと
思ったら凄い不細工だったりするし。丸尾先輩じゃ最初から無理ですよー』
百合高が若い男を採用したがらないなどと初めて聞いたと言えば、両手を叩いて笑った。
教師になることしか頭に無く世知に疎い田舎者として、誰もが優しい言葉をかけてくれた。
243風と木の名無しさん:02/11/20 18:49 ID:SAbUOVK5
保守
244数学・物理 100の方程式:02/11/21 09:34 ID:XEeXe4dT
その言葉が優しければ優しいほど、一人になったときの空しさはいや増す。
帰り道の電車で、埒もないことを考えてしまった。
―――あの中の何人が、自分が同性愛者と知っても変わらずに接してくれるだろうか。
ほぼ全滅だろう。何のとりえもない自分の長所を敢えて探せば、無難な奴の一語に尽きる。
人間的な魅力も個性も無いが、害を与える心配も無い。
そう思って自分と接していた人達にしてみれば、唐突なカミングアウトは闇討ちも同然。
昔に比べればましという声もあるらしいが、同性愛が異端であることに変わりはない。
性的な関心が持てないだけで特に女性が不得手というわけでもないから、大して目立たず
に生きてこられた。そもそも苦手だったら最初から女子高を志望したりなぞしないが。
体の構造からして異なるものの、同性である男よりも身近に感じることが度々あった。
「女だから」の一言で片付けられがちな視野の狭さや思慮の浅さを兼ね備えた者には親近
感すら覚える。長く勤めるつもりでいたから、女性の多い職場の方が自分にはあっている
と思って希望を出したのだが………とかく此の世はままならない。
245数学・物理 100の方程式:02/11/22 09:58 ID:Pch2C4hX
僅かながら視界がぶれて酔いが回ってきたと悟った。少量しか飲んでいないのに、車両の
揺れに誘われたのだろうか。
さほど弱くもないが深酒はしないと決めている。酔った挙句に何を口走るかと思うと恐ろ
しくて杯を重ねる気になれない。
自制は抑圧と表裏一体。自分で枷を増やしているのは判っている。………箍が外れた時の
ことは考えたくない。
飲んで乱れる以外に寛ぐ方法がないよりはましだと思うが、誰の前でも酔い潰れることが
できないのは心を許せる相手がいないから―――即ち、自分が小心者のホモだから。
ループしつつ暗く沈んでゆく気持ちを切り替えようと、少し手前のターミナル駅で降りた。
引き出物が軽かったのは幸いだった。自分の故郷では、こうは行かない。
田舎の常で同じ値段ならより嵩張る品が選ばれる。余りの重さに耐えかねてか、帰りの電
車内にわざと置いて行く人間もたまにいる、と地元に残った友人から聞いた覚えがある。
246数学・物理 100の方程式:02/11/23 10:44 ID:eSZsmhm5
先月嫁いだ姉も引き出物に関して両親と散々やりあった。
今風にカタログで済ませたがった姉も、最後には諦めて大荷物を客に持たせた。
我の強い姉にしては珍しい、と思って尋ねたら唇を尖らせて答えた。
『式を挙げないんならともかく、親戚も呼ぶのに親の意見を一つも聞かずに通せるなんて
思ってないわよ。これまで嫁に行けだのなんだの言わずにいてくれたんだから、一つ位は
譲歩しなくちゃ…肩身の狭い思いさせちゃったしね』
田舎の常で、未婚の娘は故郷を離れていても人の噂になる。
自分と干支が同じ姉は長年嫁ぐ気配もなく、「そういえばあそこの娘は」と噂好きな連中
のお気に入りにされていた。
『お宅のお姉ちゃんはよくできたから、なかなか釣り合う人が見つからないのよね』
笑顔を浮かべた近所の主婦の台詞は、直訳すれば「女の子を大学院までやったりするから
貰い手がないのよ」となる。今の時代によくもまあ、と思うがそれが田舎というものだ。
247風と木の名無しさん:02/11/24 08:59 ID:jPVwBUNf
248数学・物理 100の方程式:02/11/25 08:52 ID:oxLh+GKw
兄は学生結婚をして大学卒業前に二児の父となったが、やはり町内に知れ渡るのはあっと
いう間だった。小学生で「叔父さん」になってしまい、学校でからかわれたのは一度や二
度ではなかった。
あの頃は少々恨んだものの、今となっては感謝している。兄夫婦と同居し、五人に増えた
孫に囲まれている両親は、嫁いだ姉にも「早く孫の顔を」とは言わないそうだ。
『元々そういうデリカシーのないこと言わないじゃない、お父さんもお母さんも。だから
この先も「可愛い末男ちゃんの子供が見たぁい」なんてせっつき方はしないでしょ』
姉は電話で笑っていたが、こちらは冷や汗ものだった。気付いていると思ってはいた。
しかし暗黙の了解というやつで、不干渉に徹していると勝手に信じていた。
いずれ打ち明けることになるのかもしれない……それだけの恩は受けている。
今住んでいる部屋も姉の持ち物だ。三十五歳になる前に、清水の舞台から飛び降りる気で
購入したというマンションは、2LDKSで一つ一つの部屋も広い。
249風と木の名無しさん:02/11/26 19:46 ID:Qe+9djn2
(,,゚д゚)ノ
250数学・物理 100の方程式:02/11/27 08:29 ID:XbHSeZCG
子供が出来れば手狭に感じるかもしれないが夫婦二人ならさして不自由は無いだろう。
けれども姉は結婚と同時にマンションを自分に明渡し、夫の両親と共に暮らし始めた。
『どうせ長男の嫁なんだし、早いとこ同居して慣れておくわ。あ、家賃は払ってよ。まだ
少しローン残ってるし』
請求してきた金額は、もう少し郊外にあるワンルームの家賃程度。
これから物入りになるのだから売ってしまった方が、と両親が言うと、売るのはいつでも
できるし、底値で買ったから大損はしないと突っぱねて自分にお鉢を回してきた。
『損するくらいなら末男に売りつけるからいいもんね―――あんた貯金しときなさいよ。
払った家賃の分は引いてあげるから』
両親と兄が叱ると、舌を出して逃げて行った。
『末男、引越しの金は兄ちゃんが出してやるから別の部屋を探せ』
怒る兄に、同じ家賃ではもっと遠くの狭い部屋しか借りられないと必死で説明した。
251風と木の名無しさん:02/11/27 18:24 ID:i6nh+LUO
(-ω-`;)
252風と木の名無しさん:02/11/28 09:42 ID:z8EwRaX5
ヽ(`Д´)ノ
253風と木の名無しさん:02/11/29 07:24 ID:VccgxKvn
(´д`)
254風と木の名無しさん:02/11/30 09:42 ID:GEuy7w2T
( ´д)
255風と木の名無しさん:02/12/01 14:42 ID:kd34lCsQ
保守。
256数学・物理 100の方程式:02/12/02 09:31 ID:e5YtASX5
兄は渋々ながらも自分が姉の部屋に留まるのを認めてくれた。
『まったく、買う時は大口叩いたくせに』
安いうちに買っておきたいが一括払いは無理だからと姉にローンの保証人を頼まれた時、
「まさか一生結婚しない気か」と心配したそうだ。
すぐに判をつき、そんなことを考えているようには見えなかったけれども。
姉が見せた支払い計画書と通帳の残高に自分や両親と一緒に驚きつつも、これなら大丈夫
と納得して引き受けたのだとばかり思っていた。
そう言うと、兄は不機嫌そうに答えた。
『あいつに貯金がなくても引き受けたさ。払うといったら払う奴だ。万一駄目ならかぶる
覚悟もしてたがな。ただなぁ、なまじ自分でどうにかできるから、この先もずっと一人で
やっていきそうなところが気になったんだよ。いつの間にこんなに貯めたって俺が聞いた
時、あいつが何て言ったか覚えてるだろ?』
257風と木の名無しさん:02/12/03 01:32 ID:AyHigfps
    ,,,,.,.,,.,, 
   ミ。;д;ミ    
   。"'''''''"゚。
258風と木の名無しさん:02/12/03 09:15 ID:AyHigfps
厨がスレを腐らせた。
厨スメル漂うスレには、もう誰も近寄らない。
みんなが腐臭を覚えてる。
259風と木の名無しさん:02/12/03 09:44 ID:AyHigfps
…ここだったのかー。
他じゃなくて、よかった。
260数学・物理 100の方程式:02/12/04 08:15 ID:aenZGLQv
確かにあれは凄かった。
親元を離れ都会で一人暮らしをしていたのに一体どうやって、と驚く家族を前にして姉は
アメコミのヒーローよろしく両手を腰に当てて高笑いした。
『時代があたしに味方したのよ』
就職難に喘ぐ女子学生が聞いたら、後ろから刺したくなるような傲慢な台詞だった。
生まれた時代が良かったのは間違いない。男女雇用機会均等法施行後、バブルが弾ける寸
前に就職し、かろうじて恩恵に与った世代だ。
しかし、それだけで今まで残れたわけでもあるまい。
たとえ相手が家族でも、強がりを交えた自慢話はしても弱音を吐かない姉だった。
義兄には柔らかな部分を晒せるのだろうか。
一見武骨だが優しい目をしたあの男が、姉を大切にしてくれることを祈っている。
姉は否定したが、今の部屋も新婚生活を送るために購入したはずだ。
261風と木の名無しさん:02/12/04 18:39 ID:aenZGLQv
(   ゚)∋
262風と木の名無しさん:02/12/05 00:51 ID:ZLu4KCU8
 (゚∈゚ ) 
263風と木の名無しさん:02/12/05 10:22 ID:ma7MhgyX
(д` )
264風と木の名無しさん:02/12/05 18:49 ID:PfJh3CnI
。。。
265風と木の名無しさん:02/12/05 20:06 ID:2l+AbP2R
( ´∀`)σ)Д`)
266風と木の名無しさん:02/12/06 02:11 ID:Pw5oJuUB
(;´-ω-)
267風と木の名無しさん:02/12/06 09:32 ID:Pw5oJuUB
(・∀。)
268風と木の名無しさん:02/12/06 14:46 ID:x76nLFiN
Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)
269風と木の名無しさん:02/12/07 00:10 ID:X7marYzN
( ゚Д゚)y─┛
270風と木の名無しさん:02/12/07 13:55 ID:X7marYzN
☆彡
271風と木の名無しさん:02/12/07 19:43 ID:M0daEz/A
( ´,_ゝ`)
272風と木の名無しさん:02/12/08 07:53 ID:aGUf8h4F
(。∀・)

273風と木の名無しさん:02/12/09 09:33 ID:ReeS99dk
(´・∀・`)
274風と木の名無しさん:02/12/10 00:52 ID:gZ8eLiNE
\○/
  ∞
 (Y)
275学・物理 100の方程式:02/12/10 22:38 ID:zC5zmw3x
この先一生結婚しそうにない弟の居場所を作ってやるため、姉は大切な部屋を明け渡した。
いくつになってもぼんやりした末っ子が心配で仕方ないらしい。
それに甘えてちゃっかり上がり込むようでは、無理もないだろう。
―――新しい家庭を作るべく用意された部屋だったのに、住んでいるのは一人身のホモ。
皮肉を通り越して天罰のような気すらしてくる。
姉と暮らしていた時は、あんなに広いと思わなかった。
いっそ狭苦しいワンルームであれば、ここまで寂しくならなかったのか。
今日は久しぶりに沢山話したような気がする。人恋しくなっていたかもしれない。
職場の人間以外とは、ろくに喋らない生活が続いていた。
明日から再び繰り返され……多分、死ぬまでこのままだ。
日常の些細な出来事を話す相手がいるのは、幸せだと思う。嬉しかったから、楽しかった
から、一緒に喜んでほしくて語り聞かせる相手が、今の自分にはいない。
276風と木の名無しさん:02/12/11 18:37 ID:rgxEuE7+
( ・∀)
277風と木の名無しさん:02/12/12 09:16 ID:NlVzRlz3
   ・Д・  ホシュ
278風と木の名無しさん:02/12/13 02:58 ID:i0BOmx28
誰がぽっちゃりだゴルァ          
          |  | |
          | |  | |  
          | | | | |  
         | | ||| |─-- 、._
       ,.-‐''"´            \
     /                 ヽ、
    /         ‖         ヽ
     l  /               (      l
    .|    ●            \   |
     l  , , ,           ●     l  
    ` 、      (__人__丿    、、、   /  
      `ー 、__               /
         /`'''ー‐‐──‐‐‐┬'''""´
279数学・物理 100の方程式:02/12/13 10:48 ID:khzIHLnV
すれ違う二人連れの全てが幸福とは限らないが、腕を組み、肩を寄せ合う相手がいる分、
自分よりましだと思う。…そういえば先程から出来上がった風の二人組ばかり見かける。
一人で荷物を抱えて歩いている自分は、すっかり周囲から浮き上がっていた。場所と時間
を考えたら当然だろう。駅前から少し離れたこの辺りには、ラブホテルが密集している。
薔薇高校がある八百一町は官庁街に近いが、巨大ビルは殆どなく、都心の割には空が広い。
低層マンションや塀の高い一戸建てが多い超高級住宅街で、狭間に大使館が点在している。
その一方で有名なホテル街が駅のすぐ裏に控えているのだ。
よく住民が許したものだと最初は驚いたしギャップも感じたが、不景気の中でも全国有数
の地価の高い地域だから、相続等で手放すことも多いと思われる。
学校や病院は駅の反対側にあり、新規に創設してホテル建設を阻むというありがちな方法
も、やはり地価の高さゆえに無理だったのだろう。
―――いくら一人とはいえ、こんな所を歩いているのを学校関係者に見られたら面倒だ。
280数学・物理 100の方程式:02/12/14 08:28 ID:dQDzzqGJ
“今どき珍しい堅物で、授業はまだぎこちないが真面目な新人”という評価を手放す気は
ない。家が近いといっても最寄駅から二つも手前だから、帰宅途中では通らないだろう。
一刻も早く通り抜けてしまおうと歩みを速めたその時、ホテルの真ん前で抱き合う二人が
目に入った。
長身の男に抱きかかえられ、俯いている女の子―――服装から見て、かなり若い。
援助交際の四文字が頭に浮かんだが、男の横顔を見てそれはないかと思い直した。
年も若く、顔も身なりも綺麗な男。金を払ってまで厄介を背負い込む必要はなさそうだ。
この男が連れて歩くのなら、女の子もそうそう見苦しい格好はしていないのでは。
顔の方も、よくは見えないがかなり―――。
不躾な注視に気づいたのか、不意に女の子が面を上げた。
慌てて視線を逸らしにかかったが、思わぬ顔を見つけてその場に固まってしまう。
『あれ?―――珍しいとこで会うな』
281あぼーん:あぼーん
あぼーん
282あぼーん:あぼーん
あぼーん
283数学・物理 100の方程式:02/12/15 09:06 ID:0k+bxJhZ
かなり不味い局面なのに、余裕の笑顔で片手を上げたのは、薔薇高一の美少年だった。
男に何やら小声で告げると、腕の中からすり抜けて近寄ってきた。
『おー、ちゃんとこういうのも持ってんじゃん』
暢気な顔で、一張羅のスーツの肩を軽く叩いた。学校に着ていくスーツとは桁が一つ違う
これは、大学の卒業祝いに姉がプレゼントしてくれたオーダーメイドだ。
『何でいつもこういうのにしねえの? わざとダサくするにしても、ありゃねえだろ』
普段の服装を酷評された上に、狙っていることも指摘された。
しかし下手に気取って若い雄ガキの群れに飛び込めば叩かれるに決まっている。
上司や同僚の受けも考慮すれば「野暮ったいが不潔ではない」位にしておくのが無難だ。
……いや、そんなことより。
『き、君、なんでこんなところに』
『こんなところって、あんただっているくせに』
284数学・物理 100の方程式:02/12/16 10:48 ID:qTFZOeiI
苦笑を浮かべる彼に、「いつも元気で可愛い茂門賀くん」の面影は微塵もない。
『僕は家に帰る途中で……じゃなくって、あの男は誰だ』
教師面などしたくはないが、見てしまった以上は仕方ない。
『さて、誰でしょう?―――俺、帰る』
振り返って男に言うと、勝手に腕を組んできた。
『ちょ、ちょっと』
男はといえば、不服そうな顔をしてみせたものの引き止めるそぶりも見せずに踵を返した。
『愚図愚図してっと、がっついてるのに引きずり込まれるぜ。うちまで送ってやっから』
脅しの台詞と強引な腕に負け、引っ張られるようにして歩き出した。
『いいよ、こんな時間に。君こそ早く家に帰りなさい』
『俺んちはこっからすぐだから大丈夫。そっちこそ帰る途中って言うけどさ、あんまこの
辺で見たことないんだけど。電車通勤じゃなかったっけ?』
285数学・物理 100の方程式:02/12/17 10:30 ID:6TerrkEY
口振りからして徒歩圏内の地元っ子らしい。住まいがマンションであれ一戸建てであれ、
金満家の子弟に違いあるまい。
親の金で遊びほうけて、締めは男とホテル行き。結構な御身分だ。
こんな子だとは思わなかった。
勝手に失望して腹を立てている自分の理不尽さは承知している。
よく知りもせずに、「男の手を引いて物陰にしけこむ輩とは違う」と思い込む方が悪い。
だが、欲望を隠そうともしない少年達に対する醜い嫉妬も、彼の健やかな姿を見ることで
かろうじて抑制できていたのだ。………次からは八つ当たりしてしまいそうな自分が怖い。
『どっち?』
自分の思い入れなど関知しない少年が、無邪気に尋ねてくる。
『……一人で帰れる』
『んなこと言って、身ぐるみはがれてから泣くなよ?』
286数学・物理 100の方程式:02/12/18 09:31 ID:QElMWSEq
昨日今日田舎から出てきたばかりじゃあるまいし馬鹿にするなと言いたくなったが、角を
曲がったところで出くわした男を見て、はがれる前に泣きたくなった。
『あれ、またえらく可愛いの連れてるな』
『うっせえな、そんなんじゃねっつの』
通りすがりざまに男の二の腕をはたき、歩を緩める様子のない彼についていった方が安全
だろう。スキンヘッドの頭頂部まで及ぶ刺青なんて、間近で見たくなかったと思う自分は
どうやっても都会に馴染めない田舎者だ。
『大丈夫。なんもしねえから』
『させやしないの間違いだろ?―――怒られないうちに行くわ。んじゃな』
笑って去った男の台詞から、彼がそれなりに名前が通っているらしいと見当がついた。
ホテル街を抜けて通行人が増えてくるにつれ、声をかけてくる人々も増えていった。
『…いつも、この辺をうろついているのか?…こんな時間に…』
287数学・物理 100の方程式:02/12/19 10:23 ID:vPAOmKSa
『んー。やっぱ近いし』
そんな近場で男といちゃつく神経は理解しがたい。
『物騒な所もあるけどな。他所に比べりゃ可愛いもんだけど、ちょっと近道位のつもりで
通り抜けるのはやめとけや』
夜の町を闊歩する姿は学校で見かけるのとはまるで別人だった。何かと生徒に侮られがち
な新米にも敬意を払ってくれる成績優秀な美少年なんて、所詮は架空の生き物か。
「田舎者の幻想を打ち砕いてくれてありがとう」と礼を言うべきかもしれない。
ターミナル駅前に戻ったところで、彼が一旦止まった。
『さて、と。こっから先も酔っ払いが多いし…で、マジな話どこよ』
そこで振り切って一人で帰ればよさそうなものを、馬鹿正直に二つ先の駅名を答える辺り
正真正銘の酔っ払いだ。彼にも、本気で歩いて帰る気だったのかと呆れられた。
『だから、いいって言ってる!』
288風と木の名無しさん:02/12/19 18:24 ID:3cVTkiEH
『ばーか。そんな口のきき方する奴、一人で帰せるかよ』
生徒の分際で教師を馬鹿呼ばわりする少年に手を引かれ、とぼとぼ歩いた。
初めは肘を掴んでいた彼の掌が、いつの間にか指を絡めるように握りあわせられている。
おててつないで夜道をゆけば―――傍目にどう映るか怖気づきかけたが、連れが「黙って
いれば美少女」なのを思い出した。あとは学校関係者に見られないことを祈るのみ。
普段とは服装と髪型が違うし俯けば判り辛いだろう、と斜め前を歩く彼の足元を見つめた。
軽快に地面を蹴っている。学校で見る彼と同じだ。
踵を引きずったりせず、背筋をきれいに伸ばして歩く姿は、一服の清涼剤だった。
ほんの三週間余りで、彼の存在は自分の中で予想外に大きくなっていた。
この容姿であの校風に染まりもせず、健全な学校生活を送る彼が眩しかった。
……彼のような明るさや強さが欲しかった。便所小僧共に醜く嫉妬する自分なんか嫌いだ。
喉の奥が狭まり、次いで滴が頬を伝い落ちた。
289数学・物理 100の方程式:02/12/20 08:36 ID:LJTD1FU9
視界が歪んで、彼が立ち止まったのに気付かずまともにぶつかってしまったけれど、小柄
なくせによろめきもせず真っ直ぐに立っていた。
『住所、言えるか?』
ゆっくりと尋ねられ、途切れ途切れに返事をすると鼻に布があてがわれた。ずっと繋いで
いた手を離して握らされた大判のバンダナは淡い柑橘系の香りを漂わせていた。
脇の下に手が入り、軽く引き寄せられる。脚の力が少し抜けたが、彼が支えてくれるから
揺らぎもしない。
『……おい、俺が止めたいのはタクシーだ』
不機嫌な声に顔を上げると、真っ赤なコンバーチブルがすぐ前の道路に停車していた。
『他にも客がいる時間帯に、ぐだぐだの酔っ払いをわざわざ拾ったりはしないでしょ』
運転手は、先刻ホテルの前で抱き合っていた男だった。
『乗りなさい。心配しなくても、後で嫌がらせなんてしないから』
290数学・物理 100の方程式:02/12/21 12:35 ID:t7srY1Wc
『いらねえよ―――おっちゃん、乗せて!』
男の申し出を蹴り、すぐ後ろに止まったタクシーに強引に乗りこんだ。
『そちらの方、大丈夫ですか?』
『酔ってるんじゃなくて……その、今日四十九日で……』
夜目にも可憐な美少年が言葉を濁して俯くと、運転手は勝手に納得して車を出した。
………確かに二人とも服は暗色系だが、法事の帰りを装うなんて不謹慎過ぎるのでは。
マンションの前で降りてから、しっかり抗議した。行き先を告げるのも支払いも、全て彼
任せの身でよく言えたものだ。酔っ払い相手にずっと寛容な態度を取り続けていた少年は、
この時も笑って流してくれたけれど、自分だったら二言三言は言い返していると思う。
『ま、勘弁してよ。四十九日っつっただけで法要とは言ってねえし。で、歩けるのか?』
そこで、タクシーを見送った後も彼の腕に支えられていたのに気付いた。
『歩ける……君こそ、いい加減に帰らないと……あ、タクシー代』
291保守の会・平会員その1:02/12/21 15:21 ID:xJcrCYRA
age
292数学・物理 100の方程式:02/12/22 08:05 ID:yhsuNEuj
『いいよ』
『よくない。もう終電無くなってるし……』
懐から財布を取り出して、そのまま下に落としてしまった。
『あっぶねー……部屋入るまで目離せねえな』
素早く拾って懐に戻してくれた彼に、強引にエントランスまで引きずられた。
『ほれ、開けて』
暗証番号をもたもた押すと、深い溜息が聞こえた。
『この先、絶対外で飲まない方がいいぞ』
『……いつもは、こんなんじゃないからだいじょうぶ』
また溢れた涙をバンダナで拭きながら、エレベーターホールへ向かった。
『なにも、聞かないんだね』
言ってからしまったと思ったが、彼がよこした質問は自分の予想とは異なるものだった。
293数学・物理 100の方程式:02/12/23 21:26 ID:GLuEwLWY
『財布は持ってたし…鍵はあるか? 手ぶらだけど荷物どっかに忘れてきてないだろうな』
慌てて両手を見ると、右手はバンダナを握りしめているけれども左手は空になっていた。
その軽さゆえ歩いて帰るきっかけになった引き出物は、袋ごと消えうせていた。
『駅で、降りたときは持ってたんだ』
『おい、落ち着け』
必死で記憶を手繰りながら、探しに戻ろうとしたのを彼に引き止められた。
『今から行って、あるとは限らないだろ。駅か警察に問い合わせた方が』
『…やっぱり、いい』
慶事を本心から祝えなかった自分に、ばちが当たったのだ。
『身元が特定できるような物、入ってたか?』
『多分、箱の表に名前が…でも、住所や電話番号はないと思う』
結婚式の引き出物だ、と小声で付け加えた。
294数学・物理 100の方程式:02/12/24 23:25 ID:KBH+o4Bg
『駄目元で朝一に届けてみるか―――今日はもう帰って寝ろ。で、鍵は?』
これではどちらが教師だか、と落ち込みながらポケットを探り、鍵を取り出した。
彼は笑顔で頷き、エレベーターのボタンを押した。
『財布と鍵がありゃ上出来だ。携帯は?』
無言で懐を叩いて所在を示す間も、彼に凭れ掛かるようにして立っていた。
結局は部屋の前まで送られてしまった。鍵を開けようと、手元に意識を集中したその時。
唐突に膝の力が抜けた。揺らいだ体を支えられ、時間を掛けて鍵を回したのは覚えている。

目を覚ましたのはベッドの上で、彼は枕元に腰を下ろしていた。
『飲むか?』
氷水の入ったグラスを差し出され、だるい体をやっとの思いで起こして飲んだ。
『勝手に入って悪かったな』
295数学・物理 100の方程式:02/12/25 18:37 ID:gq+u6ws/
『悪いのは僕の方だよ……ごめん。ご家族の方が心配されてるんじゃないのか?』
『今夜は帰らないって知ってるから』
自分を拾わなければ男とホテルに入れただろうに、恨み言の一つも言わなかった。
『すっかり迷惑をかけてしまって…帰っても良かったのに。病人じゃないんだから』
『つっても、寝ゲロしたら危ないし。それに鍵閉めないで帰れねえじゃん』
『オートロックだから…って、そんなこと知るわけないか。本当にすまないことをしたね』
『いいよ―――同居人がいたら押し付けて帰ってたけどな』
『…以前は姉と暮らしてたんだけどね。結婚して、出てった』
正しくは、自分の不甲斐なさが姉を追い出したのだ。しっかり自己主張できる人間ならば、
姉を心配させずにすんだのに。
月々の家賃を納めているといっても、共益費を差し引いた残りでどれほどローンの支払い
に貢献できているのか。姉が何も言わないのをいいことに、調べようともしなかった。
296数学・物理 100の方程式:02/12/26 12:05 ID:Fbq/Bi7h
厳しい振りを装いながら、姉もやはり弟に甘い。
授業料等の返済だって、通っていたのが私立だったらもっと期限を長く設定しただろう。
大人しく指示に従ったのは姉が怖かったからではない。
賢い姉の立てた計画を遂行すれば、言い付けを守る良い子になれて親にも顔向けができる。
自分で思い切ったことをするより他人の示した道の中から良さそうなのを選んだ方が楽だ。
達成した暁の充足度は低くても、失敗した時の挫折感も少なめで済む。
―――ここでもバチはしっかり当たった。
長年に渡り安易な選択を重ねた末、幼稚でつまらない男が出来上がった。
告白しなければ振られないし、同性愛者だと言わなければ差別もされないと消極的な態度
を取り続けておきながら、一生一人身だの誰も自分を判ってくれないだのと僻んでばかり。
こんな奴、ホモじゃなくたって嫌われるに決まっている。
家族に愛されているのがせめてもの救いだが、両親は老境に差し掛かり、兄に続いて姉も
所帯を持った。いつまでも末っ子に構ってはいられない。
297風と木の名無しさん:02/12/27 11:01 ID:vI9qYyEq
保守
298風と木の名無しさん:02/12/28 17:27 ID:G9WfHXHE
(・∀・)
299風と木の名無しさん:02/12/29 21:43 ID:4VseSkEV
( ∀・)
300風と木の名無しさん:02/12/30 20:39 ID:rMAjTKhQ
( ・∀)
301風と木の名無しさん:03/01/01 06:56 ID:uuTNTPbF
(  ・)
302風と木の名無しさん:03/01/02 07:02 ID:d//Ejrce
(   )
303風と木の名無しさん:03/01/03 17:10 ID:mBwRbn1y
(・  )
304風と木の名無しさん:03/01/04 19:55 ID:ouy3pezP
(∀・ )

305風と木の名無しさん:03/01/05 14:00 ID:k3PUMuva
(・∀・)
306風と木の名無しさん:03/01/06 12:33 ID:L8Z0fB5a
( ・ω・)ノ――――@ ショボーン
307風と木の名無しさん:03/01/07 18:22 ID:pd3Oenao
( ・ω・)ノ@ パシッ
308風と木の名無しさん:03/01/08 12:19 ID:GMhdNRMa
( ・ω・)ノ――――――――@ ショボボーン
309風と木の名無しさん:03/01/09 18:39 ID:sR8TZKZl
( ・ω・)ノ@ パシッ
310風と木の名無しさん:03/01/10 11:00 ID:EaO45jcp
( ・ω・)ノ――――――――――――――@ ショボボボボーーーン
311風と木の名無しさん:03/01/11 20:39 ID:iwnDw9rk
( ・ω(@≡  ビシッ !
312山崎渉:03/01/13 03:56 ID:Z+zCAJq4
(^^)
313風と木の名無しさん:03/01/14 04:24 ID:qBH59upE
(´・ω・`)ショボーン
314風と木の名無しさん:03/01/15 19:43 ID:9VgznMUa
sage
315風と木の名無しさん:03/01/16 18:15 ID:mSQE3bcd
sag
316山崎渉:03/01/17 11:16 ID:Y4ZVc+f+
(^^;
317風と木の名無しさん:03/01/17 16:19 ID:ZMLeIGrn
(゚ε゚)
318数学・物理 100の方程式:03/01/18 12:25 ID:Pt6CBZja
……胸が引き絞られ、痛みすら覚えるほどの孤独と寂寥。
これからずっと向き合っていかねばならないのだ―――当たり前だが、一人きりで。

足元の床が抜け落ちたような感覚にシーツを強く掴みしめ、自分がベッドの上にいるのを
思い出した。少しずつ息を吐いて、強張った指から力を抜こうとする。
そっと目尻をなぞる指に、いつの間にか涙が溢れていたと知らされた。
瞬きし、新たに頬へ流れ落ちた雫も優しい手付きで拭われる。
みっともないとか恥ずかしいとか思う気持ちも少しはあったけれど、気づかなかったふり
をして甘えることにした。酔っているのだからしょうがない、と自分自身に対する言い訳
を用意してから目を閉じた。そのまま唇が重ねられても驚きはしなかった。
抱き寄せる腕に身を預けた時点で予想済み―――正しくは期待していたのかもしれない。
この年になるまで一度も経験がなかったから。
319風と木の名無しさん:03/01/19 23:34 ID:/GCfv3Cc
320風と木の名無しさん:03/01/20 02:59 ID:zHdmrGhJ
.
321風と木の名無しさん:03/01/20 09:31 ID:zHdmrGhJ
,
322風と木の名無しさん:03/01/20 22:34 ID:oYQQfNFA
保守
323数学・物理 100の方程式:03/01/21 14:51 ID:RqfGKVXF
性的嗜好を自覚したのはまだ幼い頃で精通よりも先だったけれども、「普通でない」ことは
すぐに見当がつく年齢だった。治るとは思えなかったため早々に見切りをつけてしまい、
女性に目を向ける努力もしないまま大人になった。
その気になれば試すこともできただろうが、長期に渡る交際でも一夜限りの付き合いでも、
目的が「自分が女性を相手にしても大丈夫かどうかを確認するためだけ」だなんて相手に
対する侮辱のような気がして踏み切れなかった。
自分が世間並みであることを確認するために、即ち自己保身のために、誰かを巻き添えに
する必要はない。
……本当は、女性相手に勃起しない自分と向き合うのが怖かっただけかもしれない。
酒席では、酔い潰れた女の子をよく背負わされた。
『いつもごめん。でも丸尾君なら安心だし』と、両手を合わせて頼み込んできた彼女達は
柔らかな胸を背に押し付けられてもたじろがない自分のことをどう思っていたのだろうか。
324風と木の名無しさん:03/01/23 03:25 ID:XfT9w8MK
test
325数学・物理 100の方程式:03/01/23 18:17 ID:6js9BaGB
単に女性では勃起できないだけで、とりたて自制心が強くもないし淡白でもないのだが。
好みのタイプの同性であれば、肩を抱かれるどころか指先を掠めたくらい心拍数が跳ね上
がるお手軽な体でもある。
もちろん顔に出せはしない。訝られない程度に、男と体を近づけないよう努めてもきた。
度胸と経験を欠いて未熟なままの体は、相手が本来の好みから外れていようとも、同性に
抱き寄せられただけで容易く火照った。
重なった唇の動きや衣服を脱がせる手に、これからどうするつもりかを教えられて、ます
ます体は熱くなる―――こんな風に誰かと触れ合うなんて、一生無理だと思っていたのに。
男なら誰でもいいのかと頭の片隅で自嘲しつつ、酔いのせいにはすまいと心に決めた。
自分は教師で相手は生徒だと承知している。万一ばれた時は全て自分が背負うことも。
臆病者のくせによくもまぁ、と我ながら呆れてしまうが、それなりに計算もしている。
ろくに抵抗もせず、力を抜いて身を預けているのは、彼なら大丈夫と思っているからだ。
326風と木の名無しさん:03/01/26 14:34 ID:6+HzqTiV
327風と木の名無しさん:03/01/29 17:01 ID:/GAjfBUA
・Д・  ホシュ
328風と木の名無しさん:03/02/01 15:03 ID:eu4Zrf1t
,
329風と木の名無しさん:03/02/06 18:31 ID:zszCk2Kw
ホシュ〜
330風と木の名無しさん:03/02/08 00:55 ID:q7R2D4Ck
保守
331数学・物理 100の方程式:03/02/13 18:32 ID:9DWJSwKe
自分が何の経験もないことくらい、淀みのない手つきで衣類をはいでいく彼にはとうの昔
に知られていただろう。怯えに身を強張らせ、指先が震えていては隠しようもない。
そのくせ下腹は初めて訪れた他人の指にしっかり昂ぶって、まだ脱がされていないスラッ
クスの布地越しに彼の下肢を押していた。
臆病さゆえに奥手な一方、妄想をたくましくしてきたのを見透かされそうな浅ましさだっ
た。馬鹿にされはしないかとの不安もあったけれど、彼は何も言わなかった。
黙って唇を離し、深いキスの代わりに施されたのは息苦しくならない程度の軽いキス。
何度も繰り返され、どう反応していいか判らずに無様に宙を掻いていた手は彼の背へと導
かれた。
任せておけばいいと無言のうちに教えられ、安堵のため息と共に体から自然に力が抜けた。
背に回した手が滑りかけ、指先に力を込めて留まると唇が深く重ねられる。
熱くて柔らかい感触。先程より心地良く感じるのは余裕が出来たためだろうか。
332風と木の名無しさん:03/02/16 00:30 ID:6gkB/IiP
保守。
333風と木の名無しさん:03/02/16 11:32 ID:d7QD0ln8
ネーミングにばかうけ。
小説もめっちゃ上手い
このスレ久々にワラタ
334風と木の名無しさん:03/02/17 21:38 ID:iCv3ZioF
小説すごい!
でもスレタイがミチーぽいぞw
335数学・物理 100の方程式:03/02/20 13:49 ID:C7ODgyG3
最初にこの唇を避けられなかったのは酔いのせい。予想できなかったし、とっさに体が動
かなかった。
しかしそこから先は違う。次に何が起こるか期待しつつ身を委ねた。
安易過ぎるとは自分でも思った。この場は良くても後で嘲笑われたり脅されたりすること
だってありえるのに。
けれども、そんな先の話はどうでもよかった。
―――今だけでいい。広すぎる部屋に取り残されて寒い現実と対峙するよりも、何もかも
忘れて目先の快楽に溺れてしまいたい。
降ってわいたチャンスにしがみつく自分が何を求めているか、本人以上に心得ていた彼は
何も言わずに下腹へと手を伸ばし、硬くそそりたつものを扱いた。
湿った感触に、自分の先走りが彼の手を汚していると知る。荒い息の中、唇をついて出た
謝罪の言葉を聞いた彼は小さく笑って頬に口付けた。
336数学・物理 100の方程式:03/02/20 13:51 ID:C7ODgyG3
彼のシャツを掴んでいた手を取り上げられ、いつの間にかくつろげられていた彼の股間に
導かれた。恐る恐る握ったそれは掌を焼かれるような熱さで、こすりながら思わず腰を振
ってしまった。
さらなる刺激が欲しいとの訴えが届いたか、強く握り締められてこすられてあっという間
に果てた。一旦放った後も体の火照りは治まる気配がなかったが、疼く体を持て余す暇も
なく彼の手に追い上げられた。
もう一方の手も彼に触れることを許され、両手で包み込むようにして根元から先端までを
執拗になぞった。彼を愛撫しているとか奉仕しているとかの意識は全くなく、硬く熱い塊
に触れる行為自体が気持ちよかった。
熱いのは直接握った掌だけでなく、時折かかる溜息には耳朶まで焼かれるような気がした。
ふいに彼が自分のものから手を離し、体を起こした時には、このまま放り出されてしまう
のかと怯え、言葉だけでなく両足で腰を挟んで引き止めた。
337数学・物理 100の方程式:03/02/26 18:59 ID:BIXSvOhx
後から思えば顔から火が出そうな淫らがましい振る舞いに及べたのは、彼を離したくない
一心で己を省みる余裕などなかったからだ。少しでも離れるのは嫌だと泣いてむずかる自
分が彼の目にどう映るかなんて考えもしなかった。
彼の指が奥を探り始めても、放り出されたわけではなかったと喜びこそすれ恐れる気持ち
は皆無だった。
―――もっと触れて欲しい。強く抱きしめて欲しい。
欲望を包み隠さずぶちまけて、自分よりも遥かに男の体を知っている彼が次々と引き出す
快感にただ酔い痴れた。

ベッドの揺れに目を覚ますと、彼の背中が視界に入った。ジーンズを履いた腰をベッドに
下ろし、上半身は裸のままだった。張りのある肌に水滴が玉を結んでおり、普段自分が使
っているボディソープの香りが漂ってくる。
そんな些細なことが嬉しいなんて、小娘を通り越してカマトトの領域だ。
338風と木の名無しさん:03/03/01 10:40 ID:+9RkK1hI
保守
339保守:03/03/06 02:16 ID:JJFLsneV
340数学・物理 100の方程式:03/03/06 18:35 ID:bJfJELyt
いまどきの子は「カマトト」なんて言葉は知らないかも―――かく言う自分も世間的には
青二才の範疇だが彼はさらに若い。
カーテン越しの朝の光に浮かび上がる肢体が眩しく感じられるのは、自分が汚れたシーツ
に身を横たえているせいばかりでもないだろう。
そのままじっと背中を見つめていると、いきなり彼が振り向いた。
「勝手に借りた」
凝視に気づかれたかとびくつきながら頷き、髪を拭く手を止めた彼から目をそらした。
「予定あんのか、今日」
湿り気の残る指先で額をつつかれ、無言でかぶりをふった。
「俺も今日暇だし―――先に電話で聞くか、それとも直に届けに行くか。どっちにする?」
「………行ってみる」
「駅で降りたときはまだあったっつってたな。どの道を通ってきたか、覚えてるか?」
「うん」
341数学・物理 100の方程式:03/03/06 18:47 ID:bJfJELyt
「んじゃ、着替えたら行くか」
「うん」
まるで子供のような返事をしてベッドを降り、全裸のまま足取りも重く浴室に向かった。
浴室の扉を閉めた途端、緊張の糸が切れてずるずるとへたりこんでしまった。
あんなことがあった次の朝に平気な顔をするのは至難の技だったが、彼の態度に合わせて
必死で取り繕ったのだ。
―――昨夜のことも彼にとってはよくあることなのだろう。今までも、そしてこれからも。
目頭が熱くなりかけたが、唇を噛んで必死に耐えた。昨夜彼の目の前で散々泣いた後なの
に、まだ残っていたのかと情けなくなってくる。
理由が違えば新たな涙も涌き出るだろうが、それにしたってこんな感情は認めたくない。
誰に見られる心配がなかろうと絶対泣きたくなかった。
適温に調整されていたシャワーのカランを捻り、暖かな雨に打たれながら膝を抱えて昨夜
の記憶を辿った。
342風と木の名無しさん:03/03/11 00:43 ID:ZRrtSGhL
<コ:彡
343風と木の名無しさん:03/03/12 22:54 ID:r2cRQzf7
たまには保守age
344数学・物理 100の方程式:03/03/13 18:48 ID:8/RxsXHl
肌を辿る手や繰り返し与えられた唇、奥をえぐる指に煽られて夢中になった自分が、そし
て拙い愛撫に応じてくれた彼が幾度達したか定かではない。最後には気を失ってしまい、
目が覚めたら朝になっていた。
酒のせいもあって所々抜け落ちているけれど、だからといって何もかも忘れた振りができ
るほど器用でもない。いっそ忘れてしまいたいことほど、しっかりと記憶に残ってもいる。
思い返すと叫び出したくなるような自らの狂態も、彼が最後まで挿入しなかったことも。
どこからか取り出した小さな袋を歯で破るのをみて、やはり男同士でも使うのだと思った。
一応使うには使ったが、期待は見事に外れた。
………彼だったらいいと決心し、奥に塗りつけられる間も息をつめてその時を待っていた
自分が恥ずかしくて堪らない。
ご丁寧に避妊具を被せた何度も指で貫いておきながら、彼は決して下肢を繋ごうとはしな
かった。
彼にその気がないと悟った時の惨めな気持ちも、きっと一生忘れられないだろう。
345風と木の名無しさん:03/03/15 00:11 ID:dK7XbZbz
346風と木の名無しさん:03/03/16 00:54 ID:/cvJ1pSO
.
347風と木の名無しさん:03/03/18 17:55 ID:yTBlcsMY
ホッシュ
348あぼーん:あぼーん
あぼーん
349数学・物理 100の方程式:03/03/20 18:41 ID:BiwG5AmA
理由を尋ねるのも怖くて出来ない。学生時代、女出入りの激しかった奴が愚痴っていたの
を憶えているからだ。
「処女は面倒臭い」と漏らした彼を周囲は自慢か嫌味かと吊し上げにかかったが、本人の
実体験を暴露しながらの弁明により、最終的には渋々ながらも同意した。
あのとき何が嫌だと言われていたのか、必死になって思い出そうとした。遊びなれている
だろう彼に「面倒なのに手を出してしまった」と後悔されたくなかった。
昨夜限りのことだとは、自分が一番よく判っている。

泣きすぎて腫れた顔をタオルで冷やしながら寝室に戻ると、彼の姿がなかった。黙って帰
ったりはしないだろうと自らを宥め、手早く身なりを整えて玄関に向かった。
既に靴もはいていた彼に待たせた詫びを言うと、軽く手を振った。
『そんな待ってねえよ。んじゃ行くか』
350数学・物理 100の方程式:03/03/20 18:44 ID:BiwG5AmA
先に出て行く足取りに、部屋を後にしたくないと願っているのはこちらだけなのだと思い
知らされる。
鍵を持って後に続くと、怪訝そうな顔で手元覗き込まれた。
『それって別注? 両隣は暗証だけみてえだけど』
『うん。前は姉が一人で暮らしてたから用心して二つ目をつけたんだ。出て行く時はいい
けど、入る時はこれが無いと駄目』
合鍵をねだってくれないだろうかと心中で祈ったが、そんな都合のいい話はなかった。
『締め出し食ったらどうするよ』
『一応管理人さんにも預かって貰ってあるけど、最悪姉に泣きつく』
『姉ちゃんのが最悪なのか。管理人じゃなくて』
『怖いんだよ―――笑うことないだろ』
こうして話していられるのも用が済むまでだと思うと切ない。いっそエレベーターが故障
して止まればいいのに、などとくだらないことまで考えてしまう。
351風と木の名無しさん:03/03/21 13:58 ID:pb1uzLic
>>350
すばらしい!!技量の高さをひしひしと感じる。
自分語りを始めないところが、いかにも大人板っぽくて好き。
352風と木の名無しさん:03/03/23 00:43 ID:zgb4zBo/
.
353風と木の名無しさん:03/03/25 07:33 ID:7MJhaU/X
ウホッ
354数学・物理 100の方程式:03/03/26 23:02 ID:111SD6go
『引き出物ってことは表に新郎新婦の苗字が書いてあんだな?』
『ええと、熨斗紙に僕宛の寄せ書きがしてあるから、僕の名前が一番目立ってる』
『寄せ書き?』
『うん。学生時代の友人の式だったんだけど就職決まってから初めて会う連中が多くて』
寄せ書きをしようと新婦が言い出し、新郎が色紙を買いに行きかけた。慌てて「主役が抜
けてどうする」と引き止めている間に、新婦が熨斗紙に書き始めてしまったのだ。
『大雑把な所があると前から思っていたけど―――あ』
苦笑する彼と共に表に出て真っ先に眼についたのは、マンションの正面に止められていた
赤い車だった。
『りーくちゃん』
運転席の窓から手を挙げたのは昨夜の男だった。
『………後つけたのか』
彼は渋い顔で唸ると、立ち竦む自分を置いて男の元に行ってしまった。
355風と木の名無しさん:03/03/26 23:04 ID:111SD6go
『つけてないわよ、失礼ねえ。忘れ物持ってきたのにそんな言い方しなくっても』
男は唇を尖らせて助手席から紙袋を差し出した。
『はい、これ。昨日あそこに落ちてたの。丸尾先生ってあんたのことでしょ?』
名指しされては知らぬ顔も通せない。黙って頷き、車の方に向かった。
『勝手に中見たのかよ』
『封を開けたわけじゃないわよ、見ずに届けた方がよかったの?』
『住所、どうやって調べた』
『花輪君に聞いたもん。あ、そうそう、すぐに電話して。昨夜携帯切ってたでしょ。りく
ちゃんのこと探してたわよ。あたしと一緒にいるはずだ、出せって散々怒られちゃった』
『ちっ、あいつもうるせえな』
少し離れて携帯を取り出した彼を横目に、礼を述べて男から紙袋を受け取ろうとした。
親切な届主は笑顔で袋を寄越すと、軽く身を乗り出して耳元に囁きかけてきた。
356数学・物理 100の方程式:03/03/26 23:05 ID:111SD6go
『いい気になってんじゃないわよ、このブス』
硬直した自分を無視し、男は涼しい顔で座りなおして電話中の彼に向かって声をかけた。
『帰るんでしょ? 送るわよ』
『ああ、ちょい待て』
顔を上げて返事をした後、彼は電話を少し離して怒鳴った。
『てめえは俺の親父か! いちいちうるせんだよ!』
すぐに電話を切ってやってくると、紙袋を指差して尋ねた。
『それ?』
『う、うん』
『無くなってる物はないか?』
『箱だけだし、封もそのままだから』
『そか。見つかってよかったな―――じゃ』
357風と木の名無しさん:03/03/28 00:06 ID:nhfnBV+T
358風と木の名無しさん:03/03/28 23:06 ID:rSsvxR+/
控えめな神が好きさ。
359風と木の名無しさん:03/03/30 01:25 ID:XQYfmgag
.
360数学・物理 100の方程式:03/03/31 00:56 ID:wDZUbUtd
助手席に乗り込んだ彼に、男がこれみよがしに抱きついた。
『りくちゃん、ごほうびー』
『ああもう、うるせえな』
彼はうんざりしたように言いながらも男を拒んだりはせず、ちゃんと口付けてやってから
肩を掴んで押し戻した。
『早く出せよ』
『はあい―――先生、バイバイ』
しっかり眼を見て挨拶する男に気圧されてしまい、口の中で返事をして俯いた。
勢いよく走り出した車を見送って、部屋に戻るべく踵を返した。
―――何のことは無い。立場が逆転しただけの話だ。
昨日は自分が彼と共にあの男を置いてきぼりにした。今日は自分が置いていかれる番。
どちらが選ばれるかは彼次第で、こちらの都合も感情も関係ない。
361名前:数学・物理 100の方程式:03/04/01 00:51 ID:t+ETtEC+
昨夜、恥をかかされたも同然なのに黙って引き下がったあの男は、彼のことをよく知って
いるからそうしたのだろう。
けれども先ほど自分が引き止めなかったのは男に倣ってのことではない。
引き止める理由が無かった。
落し物が出てきてしまえば、一緒にいる口実も無くなる。
出て来なければ良かったと思うほど短絡思考の持ち主でもないが、よりによってあの男に
拾われなくても………おそらく彼を認めて驚いた拍子に手を離したのだろうし、わざわざ
届けてくれた男を悪意に満ちた人物と断定するのは狭量すぎる。そもそも落す方が悪い。
彼を捕まえ、泥棒猫の品定めをするという目的があったにせよ、放置したり見つかりにく
い所に捨てたりせずに住所まで調べてくれたのだから。
教職員の住所を記載した名簿が生徒に配られていないのに、どうして花輪が自分の住所を
知っていたのかという点に一瞬引っかかったが、あの裏表のある美少年の親友が品行方正
なばかりの優等生とも思えない。新参者には窺い知れない伝手でもあるのだろう。
362風と木の名無しさん:03/04/01 09:46 ID:QleFrnkI
すごくイイ!!
363数学・物理 100の方程式:03/04/02 00:19 ID:ipUzpKJR
部屋で袋の中身を取り出してみると、落とした衝撃でか角が少し潰れていた。
派手に落書きされた熨斗紙を用心深く剥がして包装紙を取り去り、恐る恐る箱を開けた。
二次会で開けた者がいたから、ペアのワイングラスが入っているのは知っている。
割れていたらどうしようかと怯えつつ一つずつ箱から出して慎重に検分したけれど、眼に
見える傷はついていなかった。
そっと触れ合わせて澄んだ音に無事を確認し、深く溜息をついた。
もし二人がここにやって来た時、割れたと告げて故意にやったと思われたらどうしようか
と心配していたのだ。
そんなひねくれた物の見方をする人間ではないと判っていても、後ろめたさを抱えている
が故に嫌な方に考えてしまう。
ワイングラスを箱に入れてサイドボードの下段に片付け、包装紙を捨てて熨斗紙を眺めた。
これは捨てるわけにはいかない。
364数学・物理 100の方程式:03/04/02 00:21 ID:ipUzpKJR
赤や青も交え、主にボールペンで細かく書き込まれた自分へのはなむけの言葉の数々は、
当たり前だが新郎新婦の名をしっかり避けてあった。
一人になって箱の表を見たら泣いてしまいそうだと思っていたのに、意外にも涙の一粒も
出てこなかった。かといって、何も感じないわけではない。
幸せそうな二人の笑顔を思い浮かべれば、それなりに胸は痛む。
けれども今はもっとひどく痛ませる光景が眼に焼きついている。
五年越しの片恋は、一夜で思い出に変わってしまった。
一度抱かれただけでこれか、と自分でも情けなくなる。
―――ずっと友人に抱いていた気持ちは、こんなにあっさり吹き飛んでしまうような薄っ
ぺらなものだったのか。
彼に身を任せたことを、こんな形で後悔することになるとは思いもよらなかった。
一応相手は顔見知りとはいえ、まるで行きずり同然に身を任せた自分が厭わしい。
彼でなくても、あの時強引に求められたら応じていたに違いない。
365数学・物理 100の方程式:03/04/02 22:22 ID:6p0BQYRz
一人になりたくなかった。温もりが恋しかった。
誰でもいいから、一緒にいてほしかった。
………多分、彼も見るに見かねて手を差し伸べたのだろう。
自分の通う学校の教師などという厄介な相手に手を出すほど不自由はしていないのだから。
―――あんな状態でなければ。
―――あの場所を通らなければ。
―――自分を拾ったのが彼でなければ。
どれも今更考えても仕方の無い仮定ばかりだ。
今日明日が休日なのがせめてもの慰めか。頭を冷やす時間はある。
その後もほんの三日の辛抱で四連休に入るし、休みが明けたらすぐに中間テストの発表だ。
新米にもかかわらず、着任して間もない頃に問題の作成という大役を仰せつかって焦った
が、今となってはこの先忙しくなるのがありがたかった。
366数学・物理 100の方程式:03/04/02 22:23 ID:6p0BQYRz
準備は入念にした。実際に作成に取り掛かればあっという間だろうが、十分に時間をかけ
るつもりだ。余計なことを考える暇など無くしてしまえばいい。
どうせ学校で顔を合わせてもうろたえるのはこちらだけで、彼は涼しい顔をしているに決
まっている。
彼にとっては幾つも重ねた情事の一つでしかないのに、自分ばかりが忘れられずに悶々と
するなんて真っ平だ。

学校で再会した彼は、予想に違わず『元気で可愛い優等生』を見事に装い、不自然な注視
も意味深な言葉も投げかけてこず、心配しつつも密かに期待していた自分を落胆させた。
彼と自分の間に何かあったと気付いている筈の花輪もそれは同じで、やはり意識している
のはこちらだけだと思い知らされた。
見とれないように、さりとて殊更眼を背けることの無いように、と必死になっている自分
が馬鹿みたいだった。
367数学・物理 100の方程式:03/04/02 22:24 ID:6p0BQYRz
二晩続けて何をやったかを振り返れば、“みたい”ではなく馬鹿そのものだ。
彼と二人で汚したシーツを抱きしめ、あの晩の出来事を思い出しながら自慰に耽った。
自らの手でいくら慰めても彼に与えられた快感には到底及ばず、焦れるばかりで辛くなり、
ついには前だけでなく後ろにも手を伸ばした。
容易に挿入できないのは潤いが無いからだと痛みを覚えてようやく気付き、潤滑剤と避妊
具を買いに走ってしまった。
苦労の甲斐あって指を入れることに成功したが、違和感に萎えかけはしても気持ちよくは
なれなかった。
後孔は闇雲に突き入れられた指を拒むように締め付けて思うように動かせなかったし、彼
の時にはなかった痛みに耐えられなくてすぐに抜いてしまった。
優しくしてもらったのだと思うと涙が出てきた。単に手馴れていただけとも言えるが、粗
末な扱いを受けなかったのは確かだ。
368数学・物理 100の方程式:03/04/03 23:42 ID:pFxBq1rI
痛い思いをせずにすんだのは、彼が上手かったからだろう。
不慣れな自分をあやすように何度も口付けながら時間をかけて入れてくれた。
少しでも息をつめれば、抱きしめたり前を愛撫したりと労わってくれた。
―――本当は自分でも判っている。
ペニスへの刺激だけで達することができなかったのは、後ろでの快感が忘れられなかった
のみならず、自分を抱き締めてくれる腕が無かったからだ。
単に入れる物が欲しいわけじゃない。寄り添ってくれる人肌が恋しい。
肌を直に触れ合わせ、抱き合う悦びを知ってしまった今、一人自分を慰めるのが惨めで堪
らない。
シーツに顔を埋め、泣きながら擦り立てたけれども一度気付いてしまうともう駄目だった。
萎えた物に固執しているのが情けなくなって、諦めてその晩は文字通り泣き寝入りした。
翌朝未練を振り切るつもりでシーツを洗濯したが、眠る直前に枕カバーに残っていた小さ
な染みを見つけてしまうと、たちまち下腹に血が集まり始めた。
369数学・物理 100の方程式:03/04/03 23:46 ID:pFxBq1rI
乾いたばかりの、もう何もついていないシーツにくるまって、自らの両手を彼のそれだと
無理やり自分に言い聞かせて、あの晩を思い出しながら弄った。
熱さを増すと共に、やはり後ろにも刺激が欲しくなって指を入れてしまった。
前の晩よりは容易く入り、彼の物が自分の中を抉る光景を想像しながら動かしてみると、
あっという間に果てそうになった。咄嗟に指を抜いて、できるだけ引き伸ばそうと慎重に
動かして快感を味わった。
射精した後、余計に虚しくなると知っていながら。

一度達して、すぐにシーツも枕カバーもゴミ袋に詰め込んだ。
今朝マンションの前に出してきたから、帰る頃には無くなっている。
ベッドサイドの潤滑剤と避妊具も一緒に捨てようか迷ったが、忘れてしまいたいのは彼の
ことだけだと苦しい言い訳をして残しておいた。
370数学・物理 100の方程式:03/04/03 23:47 ID:pFxBq1rI
多分、これからも使うだろう。自分で慰めるしかないのだし。
あれらの品々を買い求めるのにも、変装じみた真似をして近所の店を避けたというのに、
一人寝が辛いからといって街で男を拾う度胸など無い。
誰に会うか見られるか知れたものではない、と身をもって体験したばかりだ。
後ろを覚えると前だけではいけないと小耳に挟んだ事がある。
まだそこまで行っていないと思うが、そうなったって構いはしない。
自分の指で病み付きになるほど浸れたら、もう男はいらないわけで願ったり叶ったりだ。
それに万が一潤滑剤と避妊具を買う場面を見られた所で、男好きだとばれることに比べれ
ば大した問題ではない。
彼のことは、単に後ろの快感を教えてくれた恩人として片付けてしまえばいい。
後は開き直って学校に行きさえすれば、向こうが知らぬ顔をする以上はいずれこちらも慣
れて何ともなくなるはず―――だと思っていたのだ。
実際に顔を見て声を聞いてしまうと、二晩がかりの決意もあっけなく砕け散ってしまった。
371風と木の名無しさん:03/04/04 20:12 ID:caEJHhi4
>362
同意。
いぶし銀SSって感じ。淡々としてる。
若いお嬢さんが書いてるのかもしらんが...
372風と木の名無しさん:03/04/05 23:35 ID:IelhEbOt
.
373風と木の名無しさん:03/04/07 00:00 ID:9Vby0jk/
.
374風と木の名無しさん:03/04/07 09:17 ID:bZxjx2I7
  ∧_∧  
 (´-ω-) 
 (つ旦と)  
  と_)_)


375数学・物理 100の方程式:03/04/08 00:23 ID:AQS8iYTK
見れば嫌でも思い出してしまう。
あの唇の熱さも柔らかさも知っている。彼のペニスを扱いている間中、あの指に翻弄され
続けた。綺麗に並んだ歯が耳朶を甘く噛むのに、そこも性感帯の一つだと教えられた。
普段よりも少し低く掠れた声で囁かれ、あの背中にしがみつきながら幾度も射精したのだ。
つい凝視してしまいそうになるのを堪えて、できるだけ不自然に見えないように数をかぞ
えながら目をそらした。
欲望に満ちた眼差しに気付かれたくなかったのは勿論だが、一緒にいる彼の友人達を睨み
つけてしまいそうで怖かった。
彼がどんな風に男を抱くか知りもしないくせにと内心勝ち誇りかけて、自分の場合は抱か
れた内に入らないのではと却って落ち込んでしまった。
彼らの間に性的な関係はないだろうに、見当違いの嫉妬は侮辱と変わりない。
よしんばあったとしても口を挟める立場ではない。
なのに、気安く彼の肩に触れるている手を見れば、駆け寄って払いのけてしまいたくなる。
376数学・物理 100の方程式:03/04/08 00:24 ID:AQS8iYTK
何事にも淡白と言われ続け、自分でも諦めがいい方だと思いこんでいたけれども、違った。
こんなにも独占欲が強かったのだ。
彼に執着し、周囲を取り囲む男全てを妬んでいる。
………他の男に会えないように、どこかに閉じ込めてしまえたらいいのに。
そんな馬鹿げた妄想に耽ってしまうほど―――彼が、欲しい。

それからの三日間は、毎日少しずつ諦めの境地に至るため学校に通ったようなものだった。
姿を見れば胸がときめく。しかし決して傍には寄れない。
蜃気楼と違って手を伸ばせば届くところが厄介だ、と間抜けたことを考えて溜息をついた。
行動に移さずにすんだのは僅かながらも理性が残っていたのに加え、“手を伸ばして抱き
締めても独占できるわけでなし、疎まれるのがオチだ”と判っていたからだ。
欲しい欲しいと言って手に入るなら、とっくに誰かのものになっているだろう。
377数学・物理 100の方程式:03/04/09 00:58 ID:DJtce1cW
昼間は彼我の距離を否が応でも見せ付けられて苦しみ、夜は何をする気力もなく泣きなが
ら眠りにつく―――まさに神経が磨り減るような思いで日々を過ごした。
僅か三日間で疲れが顔に出てしまうほど消耗し、休日の前日には複数の教師達に「連休は
仕事を忘れて骨休めをするように」と言われてしまい、申し訳なさの余り面が上げられな
かった。生徒との淫らな行為が忘れられなくて夜も眠れずにいるだけなのに。
そんなこととは思いもよらない真っ当な人々の優しい言葉も、道を踏み外した獣には己を
攻撃する槍にしかなりえない。
深々と胸を突き刺された痛みを顔に出さないように、精一杯明るく振舞って帰路についた。
―――帰ってから泣けばいい。一人きりの部屋で、好きなだけ。

部屋に帰ってドアを閉めた途端に涙が溢れた。玄関に座り込み、流れるものを拭いもせず、
ただ泣き続けた。
378風と木の名無しさん:03/04/09 11:31 ID:6zmBJCa6
いや〜ホント面白い、ただで読めて悪いくらい
凄すぎっ
なんか毎日覗いてしまう…
ガンガってくれ!!!!
379数学・物理 100の方程式:03/04/09 23:38 ID:i95P5RWK
どうしてこんなに涙が出てくるのか自分でも判らない。
いつも通り、さっさと諦めて妄想の対象にするだけで満足できないのは何故なのだろう。
“誰を夢想して射精しようがばれなければいい”と開き直り、翌朝当人の顔を見て感じる
一抹の後ろめたさすらその夜の快楽に繋げられる図々しさを、いつの間になくしてしまっ
たのだろうか。報われぬ想いを抱えるのには慣れているはずなのに。
―――好きになったって、どうしようもない。
ずっと自分に言い聞かせてきた言葉だけれども、今ほど胸にしみたことはなかった。
………彼が好きだ。
初めての相手に拘泥しているだけだと己を何度叱咤しても、彼の姿が脳裏から離れない。
今まで焦がれた相手とは余りに違いすぎて、自分でも趣味を疑ってしまう。
精悍な風貌の逞しい男達に惹かれ続けてきたのが、いきなり自分より背の低い年下の美少
女もどきに心を奪われてしまうなんて。
380風と木の名無しさん:03/04/10 23:33 ID:4qnVTf40
.
381風と木の名無しさん:03/04/11 23:54 ID:ponVz8tC
.
382風と木の名無しさん:03/04/13 00:04 ID:eUJuHxAq
.
383風と木の名無しさん:03/04/13 23:21 ID:epLZ6wVf
.
384数学・物理 100の方程式:03/04/14 23:25 ID:GMFDtOiv
“好きになろうと思ってなれるものなら苦労はしない”と実らぬ恋をする度に自分を慰め
てきたけれども、今回のは酷すぎる。
友人を装って側にいることすら許されない。欲望を押し隠し、さりげなく触れて満足する
こともできず、ただ指を咥えて見ているだけ―――これまで後ろ向きだった報いなのか。
どうしてこんな感情があるのだろう。恋なんかしなくても生きていける。むしろ邪魔だ。

ひとしきり泣いて涙が止まる頃には、座り込んでいた尻がすっかり冷えてしまっていた。
立ち上がってスーツを軽くはたき、鼻を啜りながら靴を脱いだ。
辛い恋をしているからといって日常生活を全て放棄できる人間は稀だ。そこまで浸りきれ
たら、いっそ楽かもしれないが。
夜毎泣き続けても、朝になればいつもの時間に部屋を出て行ける。
繰り返せば嫌でも慣れる。そのうち何事も無かったような顔もできる筈だ。
今はこんなに辛くても、いつかは思い出に変わる。
385風と木の名無しさん:03/04/15 12:16 ID:HQivs+X+
とてもイイです。このスレ見つけてよかった。
386風と木の名無しさん:03/04/17 00:59 ID:Y5ep50yp
.
387山崎渉:03/04/17 16:10 ID:b4CiOqWu
(^^)
24.237.68.63 , 63-68-237-24.gci.net , ?
388風と木の名無しさん:03/04/17 17:31 ID:ZJe+HeX6
.
389数学・物理 100の方程式:03/04/17 23:16 ID:3A+yhs/E
どうせ何もできはしないのだ。じっと耐えていさえすれば、いかに遅く感じられたとして
も確実に時は過ぎる―――彼の卒業まで待たずとも、次第に気持ちも褪せていくだろう。

すっかり諦めて何の期待もしていなかったから、連休の前夜、日付が変わる直前に彼が現
れた時は驚きの余り声も出なかった。

風呂上りにインターホンの音を聞いて、最初はこんな時間に子供の悪戯かと眉を顰めた。
外部からの客がエントランスで足止めを食っている場合とは音が違うし、管理人や隣人が
訪れるあてもない。まさか深夜の入浴を咎めに来たのだろうか。
防音はしっかりしていると姉に聞かされてこれまでにも散々やっている。苦情があればと
うの昔に来ているとは思うが、我慢の限界を超えたのかもしれない。
自分では特に上下の物音が気にならなかったから姉に倣ってやりたい放題してきたものの、
基準は人それぞれだ。

390風と木の名無しさん:03/04/18 03:35 ID:khFAVCnU
くぅー 続きが気になる!!   いつも楽しみにしています。これからも(;´Д`)ハァハァさせてくだちぃ
391数学・物理 100の方程式:03/04/19 02:43 ID:0QRyVMnZ
慌ててバスタオルを腰に巻き、取りあえず返事だけでもと向かった画面に映っていたのは、
この三日間夢にまで出てきて自分を苦しめた少年だった。
玄関に走って鍵を外し、勢いよくドアを開けると、軽く身をのけぞらせた彼がいた。
『危ねえな―――おい、なんつう格好してんだよ』
タオル一枚でサンダルをつっかけた姿を笑われてしまったが、素足で下に降りなかったの
が不思議なくらいだ。
『風邪引くぞ』
手の甲で胸元をはたかれ、はっとしてドアから手を離して後ろに下がった。彼は閉まりか
けたドアを片手で抑えると、そのまま当たり前のような顔をして中へ入ってきた。
咎めも追い返しもしなかったのは単に思いつかなかっただけで、その後の展開に期待する
余裕などなかった。目の前に彼がいるのが信じられず、馬鹿みたいに口を開けて見つめ続
けるばかりで―――。
『どうした?』
392風と木の名無しさん:03/04/20 00:11 ID:/hmsZLRN
.
393山崎 渉:03/04/20 04:37 ID:lvy1EVZj
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
394風と木の名無しさん:03/04/20 06:37 ID:XnveQGpQ

395数学・物理 100の方程式:03/04/20 12:50 ID:vc/gN8vg
言葉もなく立ち尽くす自分を、まっすぐに見上げる彼の笑顔が眩しかった。あれだけ彼を
欲しがっていたくせに、実際こうして側に来られるとまともに目が合わせられない。
『また泣いてんのか?』
頬に手が添えられ、親指で涙が拭われた。
『……だ……って……』
嗚咽混じりの声はみっともなく引っくり返り、満足に物も言えなかった。言いたいことは
沢山あるのに。
―――会いたかった。声が聞きたかった。側にいてほしかった。
気がつけば彼に抱きついていた。言葉にしたくてもできないもどかしさをぶつけるように
強くしがみつき、肩に顔を埋めて泣きじゃくった。
『風邪引くっつってるだろ?』
声音の優しさも背に回された手の暖かさも、何もかもが新たな涙を誘う。ほのかに漂う数
日前と同じ香りも。
396風と木の名無しさん:03/04/20 23:28 ID:D2YsGLeT
.
397数学・物理 100の方程式:03/04/21 18:07 ID:5MPT3hQe
『……仕方ねえな』
彼の低い呟きに怯える間もなかった。
どこにそんな力があるのか、僅かに腰をおとしただけで子泣き爺のようにしがみついてい
た自分を軽々と抱き上げてしまうと、そのまま靴を脱いで上がった。
自分が履いていたサンダルも脱がせて放り投げ、勝手知ったる他人の家を奥へと進んだ。
『頭くらい拭けよ』
洗面所で下ろされ、タオルを被せられて乱暴な手つきで拭かれた。タオルの隙間から彼の
肩が湿っているのが見える。
『……ごめ……っ……』
もつれた舌ではろくに謝罪の言葉も紡げない。情けなくなって震えの止まらない唇を噛み
締めると、ふいに柔らかいものを押し付けられた。
『―――そんな顔するなよ』
優しく囁かれた後、再び重ねられたそれが彼の唇だと気付き、一気に体温が上がった。
398数学・物理 100の方程式:03/04/21 18:08 ID:5MPT3hQe
軽く吸われてほどけた唇が何度もついばまれる。次第に深くなる口付けに酔い、足元がふ
らついてもすぐに抱き締めて支えてくれた。
嬉しさのあまり体から力が抜けてしまいそうだったが、次の瞬間、笑い混じりの彼の指摘
に背筋が凍りついた。
『なんだ、立っちまったのか』
太股で中途半端な角度のそれを刺激され、慌てて腰を引いた。
『ち、ちがっ……あっ!』
離れてしまう前にタオル越しに握られて、つい上げた声の高さに顔が赤らむ。
『抜いてやるよ』
いつまでもからかったりはせず、直接触れて扱き出した彼の手を必死で止めようとした。
『いい、そんなことしなくていいから』
『気にすんな。さっさと出しちまえ』
『だ、だって、こんな所で』
399風と木の名無しさん:03/04/22 08:40 ID:BZTpPNfS

400風と木の名無しさん:03/04/22 18:28 ID:Td+UXVTd
401風と木の名無しさん:03/04/22 19:49 ID:PLeCertY
なんつーか、職人さんですね!
おもしろいです。
402風と木の名無しさん:03/04/23 08:42 ID:X9jDR6Tn
403数学・物理 100の方程式:03/04/23 17:02 ID:kQwBbkyD
僅かな間をおいて彼の手が離れた。
『お前、ほんっとに注文多いな』
一瞬訝ったものの、すぐに前回のことを言われているのだと悟り、顔から火が出るかと思
った。もっとも、羞恥のせいばかりでもない。三日間繰り返し反芻したあの夜の出来事を
改めて思い出してしまったのだ。
自分がどのように振舞ったかを彼が覚えていたのは相当恥ずかしかったけれども、同時に
嬉しくもあった。無様な姿で構わないから、このまま記憶に残しておいて欲しい。
広言されたら困るに決まっているが、素知らぬふりをされ続けたのは寂しかった。
せめて見つめることができたら―――つい先程までそう願っていた。
単にささやかな望みを抱く自分に酔っていただけだと今なら判る。再び抱き締めてもらえ
た瞬間、まがい物の殊勝さは消え失せてあつかましさが前面に出た。
いきなりしがみついた挙句、立ったものを押しつけるなんて盛りのついた犬と変わらない。
彼の股間を見下ろしてみても平静なままで、自分一人で舞い上がっていたのは明らかだ。
404風と木の名無しさん:03/04/24 23:01 ID:NGj1WeLV
.
405風と木の名無しさん:03/04/26 00:42 ID:AiegTP0u
406風と木の名無しさん:03/04/27 00:01 ID:0Mxdfo/H
.
407風と木の名無しさん:03/04/27 02:17 ID:o4kqaaA/
>>401
ワタシモ(*´д`*)モエルヨー
408風と木の名無しさん:03/04/27 02:35 ID:wfD/2Ld4
寡黙な職人さん、SSは饒舌モエー
409風と木の名無しさん:03/04/28 00:35 ID:NLdeXYGx
.
410風と木の名無しさん:03/04/28 09:33 ID:4iVkAVZA
411数学・物理 100の方程式:03/04/28 13:30 ID:X8m7VMni
そこでようやくのぼせた頭が冷えた。
―――もしかしなくても、とんでもないことを言ってしまった。
手っ取り早く処理をしようとした彼に「場所が嫌だ」などと抜かしたのだ。そんな贅沢を
言えた身ではないのに。
『判った』
低い声に、途中で放り出されるのかと泣きたくなったが、幸いにも見捨てられずに済んだ。
『つかまってろ』
再び抱き上げられて運ばれた先は寝室だった。ベッドに下ろされる際にタオルも剥ぎ取ら
れ、ついで灯された照明に裸身が晒された。
全て見られてしまった後でもやはり抵抗はある。少し開いていた膝を慌てて閉じかけたが、
彼の手に膝頭を抑えられて阻まれた。
『手間かけさせんな』
これ以上機嫌を損ねるのが怖くて、黙って体の力を抜いた。
412風と木の名無しさん:03/04/29 23:30 ID:uGKcSrHN
.
413風と木の名無しさん:03/04/30 08:43 ID:6grw47jQ
414数学・物理 100の方程式:03/04/30 23:16 ID:A6FDi6K7
―――どうせ彼にはみっともないところばかり見られている。この期に及んで何を恥らう
必要があるのか。
足首を取られ、両足が大きく開かれた。そのまま体を進めてきた彼の背を抱こうと手を伸
ばしたが、指先が肩に触れると同時に動きが止まった。
勝手な真似をして怒らせたかと怯えつつ見上げると、彼は斜め前方を凝視していた。不審
に思い、のけぞるようにして探した視線の先にはサイドテーブルがあった。
並んでいるのは読みかけの本、予備の眼鏡、そして潤滑剤と避妊具とティッシュ。
『あ、あれは違う』
彼を思い出しながら一人で使っただけで他の男は寝室に入れていない、と聞かれてもいな
いのに必死で訴えた。封が切られたそれらの品を、彼以外の男と使ったと誤解されたくな
かったのだ。
ひとしきり喚いてから、彼にとってはどうでもいいことだと気付いて自己嫌悪に陥った。
勝手に入れあげて操立てして、身の潔白とやらを捲したてる。誰も頼んでいないのに。
415風と木の名無しさん:03/05/01 09:40 ID:qEv/RCAW
.
416風と木の名無しさん:03/05/03 08:45 ID:BNravT4H
417風と木の名無しさん:03/05/04 00:07 ID:qMU4AMGP
418風と木の名無しさん:03/05/04 16:59 ID:HjugMvS8
419風と木の名無しさん:03/05/04 17:02 ID:x9KfxC9Q
圧縮きたばかりだし、まだ保守しなくてもいいんでない?
足切りにスレの位置は関係ないし。
420数学・物理 100の方程式:03/05/07 16:29 ID:ENXfWZJW
悔やんでも仕方が無い。一旦口から出た言葉は戻せない。
―――運良く彼に触ってもらえたのに自分で台無しにしてしまった。
鼻の奥がかすかに痛み、熱い雫がこめかみを伝った。前の時といい今日といい、彼の前で
は泣いてばかりいるような気がする。
泣き落としを狙っていると思われたくなくて、嗚咽が洩れかけた唇を強く噛んで堪えた。
両腕で庇いながら顔を背けようとしたが、横を向く前に顎を掴まれて叶わなかった。
せめて醜く引き歪んだ口元を腕で覆い隠そうとすると、暖かく湿ったものが唇をなぞった。
『噛むなよ』
囁きながら再び触れてきたのが彼の舌だとは、すぐには信じられなかった。
『泣くこたねえだろ』
素っ気無い口調とは裏腹に優しく舐められ、顎の力が抜ける。抵抗を止めた唇は、すぐに
彼の舌に犯された。
口中をかきまぜられて、たちまち股間が熱を取り戻す。
421風と木の名無しさん:03/05/08 00:13 ID:m+2IB/Hb
age
422風と木の名無しさん:03/05/12 21:20 ID:eHswFaq9
ひっじょうに続きが気になるのでございます。
おもしろいのでございます。
423風と木の名無しさん:03/05/16 18:50 ID:PWYq6eZn

続きを・・・・
424風と木の名無しさん:03/05/19 21:25 ID:HwyQ2SRB
続きを...待って...い...るの...
425数学・物理 100の方程式:03/05/20 02:04 ID:w5CDzv40
両の手首を取られ、腕を頭の上にずらされた。シーツの上に押さえつける力はさして強く
もないのに、縫い止められたかのように動かない。逆らう意志が微塵も無いのだから当た
り前か。
夢中になって彼の舌に自分のそれを絡めているうちに唾液が口の端から零れた。首へ辿り
つく前に唇が離れ、伝い落ちたものを舐め取られる。陶然として彼が再度口付けてくれる
のを待っていたが、与えられたのは唇ではなく意地の悪い質問だった。
『で? 次はどうすりゃいいんだ?』
優しい声で囁かれ、蕩けて半開きになっていた口元が引きつった。
………判っている。ここまで来て躊躇してみせる方が余程いやらしい。無垢な乙女でもあ
るまいに何をいまさら勿体ぶっているのか。
さっさと言ってしまえばいい―――そう思いつつ息を大きく吸い込んだものの、いざとな
ると言葉につまった。早く言わなければと思うと余計に焦る。
ろくに声も出せないまま、いたずらに唇を震わせていると彼がくすりと笑った。
426風と木の名無しさん:03/05/20 21:14 ID:Io4+8cqR
これほどに有能な攻めにネタスレで出会えるとは...
感激だ、ハレルヤ。
427山崎 渉:03/05/22 05:16 ID:ksg7ikL5
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
428風と木の名無しさん:03/05/25 01:17 ID:BB4o48TT
職人さん、どこにいっちゃったの...
帰ってきて。
429風と木の名無しさん:03/05/27 17:50 ID:NDIM/mfe
430山崎 渉:03/05/28 13:34 ID:5GK67qZj
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉
431風と木の名無しさん:03/05/30 20:55 ID:AYLfVjVd
期待sage
432風と木の名無しさん:03/06/01 08:11 ID:TcYUOPO3
433風と木の名無しさん:03/06/03 09:44 ID:Su/KTmMi
待ちぼうけ...
434風と木の名無しさん:03/06/03 16:13 ID:jVe4IhIU

月……二回じゃね……しかもこの量じぁ……
正直……待ちくたびれ……
435風と木の名無しさん:03/06/04 11:40 ID:5u25B64h
量はいいんだ、量は...
投下時期が不明なのがきつい。
待つ気満々なところに己のMっ気を知る今日この頃。
436数学・物理 100の方程式:03/06/05 01:24 ID:AwjKZ40/
固く閉ざしていた瞼に唇が触れ、両腕が解放された。次いで彼が身を起こすのに慌てて目
を開けると、こちらうの体を跨ぐ格好で両膝をつき、シャツを脱いでいる最中だった。
嬉しかったけれども、そこですぐに安心できるほど楽観的な性格でもない。最悪の事態に
備えて身構えながら、脱いだ服を放り投げる彼を見上げた。
逆光と涙と弱い視力の三重苦で輪郭がぼやけてしまっていたが、目を逸らしたらそのまま
帰ってしまいそうな気がして、涙も拭かずに祈るような気持ちで見つめ続けた。
誘ってみせることも満足にできない。たとえ愛想をつかされても引き止める手立てを何ひ
とつ持たず、うるさいと思われないように黙ってじっとしているのが精一杯。
そんな自分に向けられた気まぐれが一体いつまで続くかなんて、当の彼にだって判るまい。
さほど着込んでもいなかったし大して時間はかからなかったはずなのに、待つ身には途方
もなく長く感じられた。
ゆっくり覆い被さってきた彼の背を抱きしめる頃には、緊張のあまり掌は冷たい汗に濡れ
ていた。
437数学・物理 100の方程式:03/06/05 01:26 ID:AwjKZ40/
彼の肌に触れかけて気づき、すぐさま下ろしたが、それまで怠惰極まりなかったマグロが
急にばたつけば不審に思われるに決まっている。
シーツで拭う間もなく両の手を取られ、情けないくらい気が逸っていた証拠を隠滅しよう
という姑息な企みはあえなく潰えた。引き戻そうにも強く握られて叶わない。ただでさえ
腕力は彼に劣る。逆らうような真似をしていいものかと迷う気持ちも抗う力を削いだ。
狼狽して目を泳がせていると、彼はおもむろに手首を掴み、震えて縮こまった指に自らの
指を絡めようとした。じっとり湿った掌が、乾いた彼の掌によって暖められる。
当初の性急な求め方とはうってかわった穏やかな所作を見ているうちに、肩の力が抜けて
呼吸が少し楽になった。
深々と息をついた唇に触れるだけのキスが何度も施され、そっと塞がれる。
物慣れない自分でも構わないと言ってもらえたような気がして、胸が熱くなった。
その一方で、頭の隅に僅かながら残っていた理性がぼそりと呟く。
―――図々しいにもほどがある。
438数学・物理 100の方程式:03/06/05 01:27 ID:AwjKZ40/
何気ない仕草を自分に都合よく解釈して妄想に耽った挙句、相手に押しつけようとするな
んて、散々同級生がこぼしていた「面倒くさい処女」と少しも変わらない。
自意識過剰で頭でっかちで鬱陶しい、と惚れた男に蔑まれていた彼女達。
話を聞いた時は哀れだと思いこそすれ、後々「我ながらよく似ている」と自嘲する日が来
るとは思ってもみなかった。
だが、こうなってしまうと開き直る気持ちもふつふつと湧き上がってくる。
それまで誰にも相手にされなかったことくらい一目見れば判るだろうに、わざわざ近寄っ
て舞い上がらせる方も悪い。振り切るのに苦労した経験が一度ならずありながら懲りずに
繰り返し、自分がもてていると勘違いしていた見苦しい男。「本当は追いかけ回されるの
が嬉しかったんだろう」と、あの時はっきり言ってやれば良かった。
………いずれは彼も、自分とのことを笑い話にしてしまうのだろうか。
花輪を含む校内外の友人に、あるいはあの朝迎えに来た男に、馬鹿な教師と過ごした夜を
すべてぶちまけて「最低だった」と罵るまだ見ぬ彼が、目の前の今は優しい彼に重なった。
439数学・物理 100の方程式:03/06/05 01:32 ID:AwjKZ40/
―――どうせいつかは足蹴にされる。ならば、今のうちに精々いい思いをさせて貰おう。
熱くなった胸に卑屈な想いが水を注し、小さな亀裂を生んだ。痛みを堪えきれずに溢れた
涙と先ほどまで頬を濡らしていたものの違いなど、黙っていれば気付かれはしない。
余計なことは口走るまいと固く心に決めて、彼の前に身を投げ出した。

気を失うようにして眠りについたのは前回と同じ。
朝になると彼は帰ってしまった。律儀なところは相変わらずで、一度目を覚ました自分に
声をかけてから部屋を出て行った。
そのまま夕方まで一人でベッドの中で過ごした。余韻に浸りたかったというよりも、単に
起きるのが辛かった。
行為の途中で「最後までして欲しい」とせがんだら、「最後って、何だそりゃ」と笑われて
しまった。………顔から火が出るかと思った。
結果として望みは叶えられたのだから、恥ずかしい思いをした甲斐はあった。
440風と木の名無しさん:03/06/05 19:42 ID:N6RoO6SA

うっうれぴいょー、帰ってきてくれて……
441風と木の名無しさん:03/06/05 21:00 ID:Po7BvCkj
待っていたのよおおおお!
442風と木の名無しさん:03/06/07 21:07 ID:5PLPmV7z
喜びの保守age
443風と木の名無しさん:03/06/08 00:48 ID:OieXXFPv
僕は浅野忠信に似ているOL26歳だよ。
文句あるかよ,この野郎。

801女て他の板で知恵遅れ扱いだけど、結構賢いのね。
達者な文章書けるし。
444風と木の名無しさん:03/06/09 00:52 ID:gTqUf03T
今日初めて読みました。素晴らしいです!
445風と木の名無しさん:03/06/11 09:34 ID:mXj556mJ
待ち時間が快感になってきた今日この頃。
446数学・物理 100の方程式:03/06/14 01:46 ID:z75JFz43
手を伸ばし、まだ疼いている箇所に触れてみた。少し熱を持って腫れているような気もす
るが、怪我はなさそうだ。彼を受け入れたのが嘘みたいに、再び固く閉じている。
(あんなに大きなものが入ったなんて、信じられない。)
念入りに広げられたそこに彼が押し入って来た時、元に戻らないかもしれないと心配した
が杞憂に終わった。“それでもいい”と悲壮な決意を固めた己の滑稽さに、つい吹きだして
しまう。ひとしきり笑い転げた後、寝返りをうった拍子に涙がこぼれてシーツを濡らした。
―――最後までできて、本当に良かった。
彼に愛撫された自分の体がいとおしくて、労わるようにそっと両腕で抱きしめた。
自分の中で彼が果てたと知った時の感動は、きっと一生忘れられない。
これで諦めがついた。もう彼を学校で見かけても、目で追ったりはしない。
学校が始まれば嫌でも判ることだが、自分にとっては人生の一大事でも彼にとってはごく
ありふれた日常の一コマだ。ちょっと気が向いただけで、何の思い入れもない。
女にだらしのなかった同級生と比べたりもしたが、彼ならあんな無様な結果にはなるまい。
447数学・物理 100の方程式:03/06/14 01:53 ID:z75JFz43
男あしらいも上手そうだ。下手な未練を持たせるような隙は一切見せないだろう。

すっかり自分の世界に浸りきってだらだらと泣き続けていたが、夕食時になるとさすがに
空腹を覚えてベッドから脱け出した。きしむ体を引きずり、残りの休みは外に出なくても
にすむように、食料品と日用品を大量に買い込んだ。誰にも会わずに過ごしたかったのだ。
会いたい人はいる。いるけれども、もうこの部屋には来ない。
―――もし教師と生徒でなかったら、何も考えずに彼にまとわりつけたのか。
ふと心に浮かんだ甘い夢は、濃い妄想に発展する前に赤い車に轢かれて消えた。
今でこそ「ブスと言われたのは生まれて初めてだ」と苦笑する余裕もできたが、あの時は
何も言えなかった。では今なら言い返せるかというと………絶対に無理だ。
正直言って二度と会いたくない。あの男を向こうに回してまで彼の後を追う根性は自分に
はない。それに、あれ一人ではすまない気がする。
まとわりつくどころか彼の視界に入る前に蹴り飛ばされて終わりそうだ。
448数学・物理 100の方程式:03/06/14 01:58 ID:z75JFz43
贅沢は言わない。昨夜の思い出を胸に彼の卒業を待つ。
そこで彼との縁は完全に切れる。もとより大した縁でもなし、既に切れたも同然。
―――そう思っていたのに。

その夜も、かなり遅い時間に彼はやってきた。
目の前にいるのが信じられなくて呆然としているうちに、抱き上げられて寝室に運ばれた。
拒むのはもちろん、どうしてまた来たのかと尋ねることすらせずに黙って抱かれた。
諦める決心をしたといっても、欲しくなくなったわけじゃない。くれるというなら有難く
頂戴しておく。せせこましくも意地汚いが、何しろ次の保証がないのだ。
彼に対する見栄や体裁は元からない。
前回よりも容易く彼を迎え入れられたのに安堵しつつ、与えられた快感を存分に味わった。

朝になって帰る時、やはりそれまでと同じく何の約束もしなかった。
449数学・物理 100の方程式:03/06/14 01:59 ID:z75JFz43
だが、全く期待していなかったと言えば嘘になる。昼過ぎに起きて一通りの家事をすませ、
いつ彼が来てもいいように入念に体を洗い上げて夜を待った。
確信はなかった。自分の他にも彼と寝たがっている男はいる。
運が良ければ自分の所に来るだろう。しかし、来なくても死にはしない。その時は泣きな
がら一人で寝るだけ―――要するに今までと同じだ。失うものは何もない。
駄目で元々と居直って、彼を迎える支度を整えた。
幸いにも他の男に取られずにすみ、その夜も彼を独占することができた。その次の夜も。
少しは特別な存在になれたかと自惚れてしまったのは、自分が馬鹿なせいもあるが、彼に
だって少しは責任があると思う。

とろけるような夜が続いた。
抱かれるほどに体が熟れて、快感が増していく。
声を上げて乱れてしまう自分に戸惑いもしたが、我慢しなくてもいいと言ってもらえた。
450数学・物理 100の方程式:03/06/14 02:06 ID:z75JFz43
それでも堪えようとしたら、声が涸れるまで泣かされた。
終わってから「恥ずかしがるほどでかい声じゃねえよ」と笑われたのは、かなり傷ついた。
誰と比べたと詰りたくなったが、大抵の男はそうやって絡まれるのを嫌うと知っているか
らできなかった。
我慢しようとしたのは恥ずかしかったのもあるが、自分の反応に彼が引いたりしないか気
になったからだ。人より声が大きいかどうかなんて、他の男を知らない自分には判らない。
乱暴なやり方だったけれども、多少のことでは萎えたりしないと教えられて気を緩め、次
からは何も考えずに痴態を晒した。
彼に見せ付けるような気持ちも、どこかにあった。
―――声を上げさせているのは彼。穏やかな動きに焦れて、つい腰を振ってねだってしま
うのも彼のせい。
あさましかろうが醜かろうが、彼が興醒めしなければいい。
彼しか知らない、彼によって変えられた体を誇りこそすれ恥じはしない。
451数学・物理 100の方程式:03/06/14 02:07 ID:z75JFz43
そうやってどんどん妙な自信をつけていく一方で、経験が無いために満足させられないの
ではとの懸念も抱えていた。
マグロのままではすぐに飽きられてしまいそうだ。数は不明だが敵は確実に存在する。
もっと早く、彼に出会う前に一通り済ませていれば悩まなかったのだろうが、それはそれ
で後悔したに違いない。
とにかく、無い袖は振れない。経験が不足していると思うなら、彼を相手にこれからいく
らでも積めばいいのだと前向きに考えることにした。
できることから始めようと、まずは自分から彼に触れてみた。
思い切って握ってはみたものの、単調に扱くだけでいいのだろうかと迷っていたら、口で
の愛撫を促された。固く熱いものを頬張り、言われるままに舌を使った。
抵抗はなかった。彼を喜ばせたかったし、自分でもやってみたいと思っていた。
彼の好みに合わせたくて、とりあえず以前にもしたことのある方法を選んだにすぎない。
やってもいいと判っていたら最初から舐めていた。
452風と木の名無しさん:03/06/15 00:50 ID:1iD2bY2O

とっても、とっても満足……うれぴぃーよー
453風と木の名無しさん:03/06/15 23:48 ID:Fxn4tqNj
丸尾たん…萌える…(;´Д`)ハァハァ・・・
454風と木の名無しさん:03/06/16 00:45 ID:GdHrGVVY
す、すてき。
455風と木の名無しさん:03/06/17 23:47 ID:fgUkbF0R
地味に良スレですねここ。
456風と木の名無しさん:03/06/18 21:21 ID:05BZAEoY
あげ
457風と木の名無しさん:03/06/18 21:36 ID:uyZJxINF
このスレ見て思い出したよ。鳥肌実スレ落ちたのかな?
458風と木の名無しさん:03/06/20 00:10 ID:zcqczrt2
459数学・物理 100の方程式:03/06/21 02:30 ID:hds/AuIe
歯を立てないように気をつけながら時間をかけて大きさと硬さを堪能した。途中で貫かれ
た時の快感を思い出して危うく達しかけたけれども、彼の手に阻まれて不発に終わった。
焦らされるかとの危惧は、すぐに奥に指を入れられて立ち消えた。
一つになって揺さぶられて、体を引っくり返されてまた貫かれて。様々な体位で交わりな
がら、次はどうされるのかと期待していた。
―――彼を待ち、脚を開くだけの日々がいつまで続くと思っていたのだろうか。

五日目の夜、零時を過ぎても彼は来なかった。
今夜は他の男のところへ行ってしまったのかと嘆きつつ、毎朝自分の目覚めを待ってから
帰った彼なら事前に『今夜は来ない』と言ってくれそうなものだと訝った。
………前日まで、夜に来る約束も当日の連絡も全くなかったのは綺麗に忘れていた
時計と玄関のドアを見比べながら、いっそ電話をしようかと思い立ったその時になって、
ようやく彼の携帯の番号を知らないことに気付いた。
460数学・物理 100の方程式:03/06/21 02:54 ID:hds/AuIe
聞く必要もなかった。毎晩彼の方から来てくれたし、来ればやることは一つしかない。
仮に尋ねようと思いついたとしても、セックスの合間に番号を聞きだすような高等技術の
持ち合わせはないから無理だったろうけれども。
そして彼もまた自分の携帯の番号を知らないはずだ。この部屋の電話番号も。
少なくとも、自分は話した覚えはない。
おそらく花輪に聞けば判るだろうが―――まさか聞けない状況にあるのか。
(親に夜遊びを咎められたのならまだいい。もし事故に遭っていたら)
焦燥にかられてテレビに目をやりかけ、慌てて頭を振った。
一介の高校生が事故に遭っても速報にはなるまい。万一あるとしたらそれは確実に―――。
次々と浮かぶ暗い予想を必死で否定し、無事を祈りながら彼の訪れを待った。
途中、緊張のあまり吐き気をもよおしてトイレで二度吐いた。何度うがいをしても口の中
は苦く、喉がひりつくような感覚も消えなかった。
まんじりともせず、痛む胃を抱えて玄関のドアを見つめ続けた。
461風と木の名無しさん:03/06/21 03:36 ID:DN2r4uF1
おおっ、起きてた甲斐がありますた。
おもしろいです。
ありがとう、職人さん。
462数学・物理 100の方程式:03/06/21 22:47 ID:hds/AuIe
白々とした光に包まれて、朝の訪れを知った。この部屋を購入するにあたっては採光が大
きな決め手になったと姉が言っていたのを思い出す。
時計を見ると六時近くになっており、いくら何でももう来ないだろうと諦めがついた。
あたりが明るくなると、暗闇の中で恐慌をきたしていたのが恥ずかしくなってくる。約束
もしていない相手が来なかっただけの話なのに。
夜の間じゅう痛みっぱなしだった胃のあたりをさすりながら、リビングに向かった。
すぐにテレビをつけたのは単なる習慣で、この期に及んで彼の消息が知れるかもしれない
などとはさすがに思ってはいなかった。
(無事でありさえすればいい)
今夜も来るかどうかは判らないが、一時を過ぎたら寝てしまおうと決心したその時。
画面に連休明けの早朝のオフィス街に立つアナウンサーが映った。

ここで学校を休めたらどんなに楽だったろう。
463 :03/06/22 09:37 ID:yg7QMyUR
464風と木の名無しさん:03/06/22 23:58 ID:yg7QMyUR
465風と木の名無しさん:03/06/23 02:32 ID:w/AvMUax
マトリックス専用しおり
_______________
  |]ムヽ、_    __∠二、__,ィ|/ ィ }   
  |    ̄`ミl==r'´     / |lぅ lj 
  「!ヽ、_____j ヽ、_  -'  レ'r'/
   `!     j  ヽ        j_ノ
   ',    ヽァ_ '┘     ,i
    ヽ  ___'...__   i   ハ__
     ヽ ゙二二 `  ,' // 八
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
アンダーソン君、わたしはここまで読んだぞ!
466 :03/06/23 14:38 ID:6aFWXZXq
467数学・物理 100の方程式:03/06/24 00:47 ID:60deDtau
救いは彼のクラスの授業がない曜日だったことくらいか。しかし翌日には控えているから
大して猶予も無い。そもそも授業がないからといって顔を見ずに済むとは限らないのだ。
案の定、午前中に廊下で見かけた。授業を終えて、隣の教室から出てきた山根と連れ立っ
て職員室に向かう途中、教室移動をする生徒の集団とすれ違った。中に花輪と話しながら
歩く彼がいた。こちらの存在に気付き、通り過ぎる際に二人揃って会釈をしていく。
『見事にあの二人だけでしたね』
山根の笑い声に意識を引き戻され、後ろ姿を見送っていた視線を慌てて外した。
『そつがないというか御立派というか………どっちも優等生ですし』
つい嫌味混じりな返事をしてしまい、咄嗟に付け足して誤魔化した。
『こっちから見ていい生徒でも、生徒の間で浮いたりしないか心配になってきますよ』
『まあ、僕らの頃でも教師の前でいい子ぶる奴は嫌われてましたよね』
山根は、“着任は二年早くても年齢は一つしか違わない”と先輩扱いを嫌い、あくまで同
世代として話をしたがる。無論、仕事上の質問も気軽に答えてくれる。実に気のいい男だ。
468風と木の名無しさん:03/06/24 01:08 ID:7kG54bAT

私も起きててよかったわん
469数学・物理 100の方程式:03/06/24 10:46 ID:60deDtau
何かと話しかけてくれるのは、他に年の近い教師は永沢くらいというのもあるのだろうが。
『だからってあの二人がそうだとは言いませんが………実際のところなんて判りませんね。
若い若いっておだてられても傍から見るより世代の差ってものはちゃんとあるし、それに
やっぱり教師と生徒じゃ立場も違うし、何て言うか、その………別世界の生き物かなあと』
―――ちょっとした衝撃だった。山根の発言よりも、それを聞いて胸を痛めている自分に
驚いた。彼が今話しているようなことは、前から自分でも思っていたのに。
歩みは止めないまでも表情に出てしまったらしく、今度は山根が慌ててフォローを入れた。
『いや、判ろうとする努力を放棄するんじゃなくて、年が近いからって甘えるのは逆効果
かなと―――僕らの頃はどうだったって振り返りながらあれこれ言うのも、的外れだった
りウザがられたりだし―――もう最初っから"違うんだ"って腹括ってかからないと』
『ですね。勘違いして変に擦り寄るのも生徒には迷惑だろうし』
『そうなんですよ。話せる教師を目指したつもりが実は気持悪がられてたって悲惨な例は、
それこそ自分が学生だった頃を思い出せばいくらでもあるわけで』
470風と木の名無しさん:03/06/24 13:46 ID:vw87Jt3n
 
471風と木の名無しさん:03/06/24 21:31 ID:T2zV8yNl
おもろい!続きまってるよ
472風と木の名無しさん:03/06/27 04:01 ID:ocrCL13M
 
473風と木の名無しさん:03/06/28 13:28 ID:xfgllAam
 
474風と木の名無しさん:03/06/30 11:44 ID:7VvqMHfr
続きを…続きをお願いっ!
475風と木の名無しさん:03/07/01 12:00 ID:zy8IyhRe
m男
476風と木の名無しさん:03/07/02 14:04 ID:9XU3a6vG
477数学・物理 100の方程式:03/07/04 15:07 ID:5k7xtRww
職員室に戻っても山根の台詞が耳に付いて離れなかった。今まで彼が何を考えているのか
判らないと不安になっていたけれど、判らなくて当たり前だったのだ。
別世界の生き物だと言われて、ようやく自分が高校生だった頃を思い出した。
親しげに振舞われるほど、より一層教師に対して距離を感じた。判った風な口を聞かれる
のが鬱陶しくて笑顔で頷きながら聞き流し、何も判っていないくせにと腹の中で毒づいた。
最初から履修内容以上のものを教師に求めていなかったし、深刻な悩みがあっても教師を
頼ろうとは思わなかった。
相談しても、いずれ劣らぬ間抜けな答しか返ってこないのが目に見えていたのもある。
スポーツに励めと言うか、はたまた女の子との交際を勧めるか。
そうではないのだといくら言っても理解されず、説明すればするほど泥沼化。簡単に予測
できてしまう。
もっとも自分の場合は悩みが田舎の教師向けでなかっただけの話で、相談して解決した生
徒が皆無ということもあるまい。
478数学・物理 100の方程式:03/07/04 15:09 ID:5k7xtRww
伊達に生徒より長く生きているわけではないのだし、先を見越した適切な助言を与えられ
る教師だって大勢いたはずだ。
ただしそれは教師がそこそこ人生経験を積み、歩み寄りのテクニックを備えている場合に
限られる。世間知らずの青二才は問題外。
誰が担当しようが優秀な成績を修めるであろう生徒にしてみれば、授業以外に口をきかず
とも何の差支えもない教師―――それが自分だ。
最初から甚だしく隔たっていた。それでも彼と間近で向き合いたいなら、山根の言うよう
に腹をくくって努力すべきだったろう。自分が怠慢過ぎた。それは間違いない。
しかし、怠慢だったのは彼も同じだ。
来れば寝室に直行で、朝になったらさっさと帰ってしまう。話しかけられれば、いくらだ
って答える用意はあったのに。
帰り際に必ず声をかけてくれるから気づくのが遅れたが、まともに話したのは最初に部屋
に来た時だけだった。
479数学・物理 100の方程式:03/07/04 15:13 ID:5k7xtRww
セックスをする間柄になっても殆ど会話がないのは、こちらが上手く切り出せないからだ
と思いこんでいた。恋愛経験に乏しい身にはピロートークも難易度が高すぎると諦めた。
彼のことをもっと知りたいのに何も尋ねられない自分が歯痒かったけれども、そのうちに
何とかなるだろうと信じていた。馬鹿すぎる。
おぼろげに察しつつも目を背けていたが、ついに認めざるを得なくなった。
彼が何も聞いてこなかったのは、こちらに関心がないから。
会話がなくてもセックスはできる。いつでも大股開きな男に手間を掛ける必要はない。
他にいくらでも相手がいるだろうに自分の部屋に通い続けてくれるから、少しは気に入っ
て貰えたのだと安心していた。単に楽だっただけなのに。
職を失う覚悟がなければ彼の後を追い回すのはもちろん口外もできない立場にある。なお
かつ自宅から近くてホテル代もいらない。セックスに不慣れなのが欠点だが、簡単にやら
せるのがとりえの相手に多くは求めないだろう。一方的に寄せられる思いはむしろ邪魔。
失うものは何もないと思いつつ、どこかで期待していた自分の愚かさに涙が出そうになる。
480数学・物理 100の方程式:03/07/04 15:16 ID:5k7xtRww
確かに失うものは何もなかった。しかし心が磨り減った。
手前勝手な期待に胸を膨らませ、その都度落胆して萎縮する。
何度も繰り返すうちに、まるで干上がった大地のように細かな亀裂が残ってしまった。
―――彼のことは一刻も早く忘れてしまった方がいい。
頭では理解できている。
しかし、もしも彼がまた来てくれたら。
拒める自信はどこにもなかった。

次の日の授業は初出勤よりも緊張したが、教室に入って平然としている彼を見たら馬鹿ら
しくなった。
彼の冷静さと自分のうろたえぶりに二人の温度差を再確認させられた。すさんだ気分を表
に出さぬように注意しながら数十分をやり過ごし、すごすごと職員室に戻った。
その晩、何食わぬ顔で彼がやって来たのは夕食を終えたばかりの時刻だった。
481数学・物理 100の方程式:03/07/04 17:31 ID:5k7xtRww
玄関先で追い帰せなかった自分の弱さが恨めしい。指先が肩に触れた途端に体に火がつき、
脆い決意はあっさり崩れた。
そんな体に変えた男に黙って身を預けながら、心の中で泣き喚いた。
―――よく顔が出せたものだ。一昨日の晩どんなに心配したか知りもしないで。
何も言ってないから知らなくて当たり前だと思う一方で、待っているのが判っていながら
あえて無視したに違いないと僻んでしまう。だからといって、今から問い質す勇気はない。
夜通し心配したのは自分の勝手。頼んだ覚えもないのに「徹夜で待った」と文句を言われ
ても困るだろう。約束もない以上、連絡をする義理はない。
そもそも待っている(かもしれない)人間に迷惑をかけたくなかったり心配させたくない
と思うから連絡するのであって、どうなろうと知ったことではない相手なら、無連絡でも
大して気も咎めないだろう。………要するに、彼にとって自分はその程度の男なのだ。

やるだけやって、彼は電車のある時間に帰った。
482数学・物理 100の方程式:03/07/04 17:32 ID:5k7xtRww
連休中のように泊まらなかったのは、次の日も学校があるからだろうか。もしかしたら、
連休最後の晩に来なかったのも同じ理由かもしれない。
―――テレビを見るまで連休が終わったのに気付かなかった自分とは大違いだ。
いかにのぼせているか、対して彼が冷めているかが良く判る。
自嘲に歪んだ唇から嗚咽が洩れるのに、大して時間はかからなかった。

“好きになった人に、同じように好きになってもらえる”。
そんな甘い夢を見ていたわけじゃない。けれども、ここまで何とも思われていないと辛い。
辛くて、胸が痛くて、泣いても泣いても涙が止まらない。

独りよがりな上昇と下降の連続に疲弊しきっていた心は、この夜ついに粉々に砕け散って
しまった。
破片が飛び散った後に残っていたのは、それでも彼が好きだという気持ち。
483風と木の名無しさん:03/07/04 23:21 ID:58eVYBRl
マルオタン…ガンバレ…( ´Д⊂
484風と木の名無しさん:03/07/05 11:25 ID:+v+jkG+p
485風と木の名無しさん:03/07/06 13:44 ID:VsoEcif0
486風と木の名無しさん:03/07/07 17:13 ID:+UBgz5Us
マルオセンセー、ネガティブシンキング!
ガンガレ〜!
487風と木の名無しさん:03/07/10 01:30 ID:YzPv7lof
488風と木の名無しさん:03/07/12 15:45 ID:gxUp9fK/
489風と木の名無しさん:03/07/12 16:09 ID:cn1K3Xvy
490風と木の名無しさん:03/07/13 08:44 ID:vQwuAxyE
ahya
491山崎 渉:03/07/15 09:56 ID:Au56l4NJ

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
492風と木の名無しさん:03/07/17 00:09 ID:5SkBg0LS
493数学・物理 100の方程式:03/07/18 02:22 ID:9X7GYxpO
採点を終えて職員室に引き上げたのは五時近くになってから。採点結果を名簿に写してい
たら、思いのほか時間がかかってしまった。
自分の手持ちに担任用、教科主任用の合計三冊。どうせこれから端末に入力するのだし、
その後プリントアウトして渡してもよさそうなものだが、最初にボールペンで記入するよ
うに言われた。二度手間ならぬ三度手間に首を傾げそうになるけれども、慣例とあれば新
米は黙って従うのみだ。
入力の仕方は山根が教えてくれることになっている。名ばかりとはいえバスケ部の顧問を
務める彼は、直接指導はせぬものの練習終了時に顔を出さねばならないそうで『どうせ七
時過ぎまでいますから。職員室でお茶でも飲んでます』と快く引き受けてくれた。だから
彼を待たせているのは承知していたが、入るなり数人の教師に詰め寄られたのには驚いた。
「丸尾先生、遅い」
物理の関口に言われてうろたえているうちに、山根に答案の束を取り上げられた。
「さーて、茂門賀君のはどれかなっと」
494数学・物理 100の方程式:03/07/18 02:25 ID:9X7GYxpO
手近の机に答案を置き、素早く答案をめくっていく。
「あった、あった。ありました。やっぱ満点か。いつもえらいねえ」
山根は気の抜けた口調で点数自体に関心はないと表明し、すぐに答案をひっくり返した。
「うわー、随分と派手にやったね―――あ、丸尾先生。これ、確率の答案」
山根に彼の担当科目の答案を手渡されたのに続き、関口からは物理の、そして小杉からは
化学の答案が回ってくる。いずれも裏面にみっしりと書かれており、自分の担当教科が特
に熱心なわけでもなかったのかと少し寂しくなった。つい先ほど浜崎の前で馬鹿にされた
と泣いたくせに他と同じは嫌だなんて、我ながら虫が良すぎるとは思うのだが。
「丸尾先生、えっと、僕らが強制的にやらせてるようなもんなんで」
ふとついた溜息を誤解されたか、山根がフォローめいた言葉を口にした。
「これ見よがしな生意気小僧ってわけじゃないですから」
おそらく浜崎から何がしか聞いたのだろう。泣いたのはさすがに黙っていてくれると信じ
たい。面白おかしく噂話をする人間ではないから大丈夫だとは思うけれども。
495数学・物理 100の方程式:03/07/18 02:39 ID:9X7GYxpO
「そんなんだったら、いっそこてんぱんにするけどね」
聞いていたら真っ先に突っ込んでくるはずの関口は、笑いながら答案を眺めて自分の方は
見ようともしない。どうやら黙っていてもらえたらしい、とひとまず胸をなでおろした。
「もしかしたら学校の授業が物足りないんじゃないかってこっちが心配になるくらい出来
のいい生徒ってたまにいるけどさ、そういうのほど殊勝な態度なんだよな。つまらん」
「関口先生、何かあったら茂門賀君を叩く気満々ですね」
小杉が関口を肘で突ついた。
「当然だろ」
楽しそうに語る関口や小杉を見ていると羨ましくなる。可愛くて素直で、教師の胸がすく
ような学業優秀な生徒―――そんな風に彼を見ることができたら良いのに。
そんなことを考えながらぼんやりしている間に回覧は終わり、答案が手元に戻ってきた。
「丸尾先生、すいません」
「いいえ―――あ、山根先生。入力方法を教えていただけませんか」
496数学・物理 100の方程式:03/07/18 02:42 ID:9X7GYxpO
「はいはい。今日やり方覚えれば明日好きな時間にやれますもんね」
「え? 今からじゃ駄目なんですか?」
できるだけ早く済ませようと思っていたところを挫かれて、ついぞんざいな聞き方をして
しまった。平生、“質問する際は口ごたえと取られないように”と心がけていたのに。
慌てて言い直そうとしたが、その前に関口に笑い飛ばされた。
「丸尾先生、気が早いよ。答案返す時に訂正あるかもしれないでしょ? いや、そんなの
ちょいちょいって直せばいいじゃんって思うだろうけどさ、これが色々面倒なの。名簿も
修正液はアウト。二重線で訂正印ね。丸尾先生の手持ちのやつでもハンコいるから」
「そうなんですか。ありがとうございます」
「面倒くさいだろ?」
「いえ、そんな。軽々しく訂正できるようなものじゃないってことでしょう?」
「ん? 俺は軽々しくハンコ押しまくってるけど? そんな堅苦しく考えなくていいよ。
たださあ、数学はちょっと特別なんだよね。色々やってくれる人がいるから」
497数学・物理 100の方程式:03/07/18 02:47 ID:9X7GYxpO
急に声を落とした関口が顎で示した先には、この場に加わらず机に向かう永沢がいた。
驚いて振り返ると、談笑しながら答案を眺めていた教師達は全員渋い顔になっている。
「ちょ、ちょっと、関口先生、まずいですよ」
気まずくなった空気を入れ替えようとするかのように、山根が両手を振り回した。
「知らない方がまずいと思うけどな。ちゃんと詳しい事情を説明しといた方がいいよ?
丸尾先生も気をつけてやってくださいね」
そう言って関口が去ったのに続き、他の教師も散り始め、後には山根一人が残った。
「それじゃ、始めますか」
関口が言うところの“詳しい事情”とやらが気になったけれども、先程までとは違うどこ
か疲れたような笑顔を見てしまうと、自分から聞くのも憚られる。
黙って頷き、山根の後に続いた。

入力の説明自体は二十分もかからず、終わってから山根に屋上に誘われた。

498数学・物理 100の方程式:03/07/18 02:50 ID:9X7GYxpO
夕闇の迫る屋上には誰もいなかった。中央にしゃがみこんだ山根に手招きされ、腰を落と
して向かい合う。
「ここなら誰にも聞かれないでしょう―――みっともいい話じゃないですからね」
山根は穏やかな口調で話し出した。
「去年の一学期、永沢先生は一年生を担当してました。僕は三年生の文系V」
四月に受けた説明を思い出しながら頷いた。たしか文系Tが内部進学希望者、Uが国公立
を含めた外部受験希望者で、Vは一応外部進学組とされているものの、Uと違って内部進
学を諦めざるを得ない生徒の集まりと聞いている。
「途中で交代したのは中間直前の小テストで一揉めあったからなんです。永沢先生、他の
生徒には普通の問題用紙配っておいて、茂門賀君だけ習ってないところから出した特別製
を渡したそうで。僕も後で見せて貰ったんですが、高校じゃやらない複素関数やら線形代
数やら………理系の教養程度って感じの問題でしたね」
あまりに大人気ない永沢のやり口に、呆れてすぐには言葉が出てこなかった。
499風と木の名無しさん:03/07/18 03:08 ID:aMRK6dCe
続き、続きを…
関係ないけど、線形代数と聞いただけで蕁麻疹がでそうです。
500風と木の名無しさん:03/07/18 22:19 ID:lv6bqWGt
500getズサー。
萌へぇー。
501風と木の名無しさん:03/07/19 02:27 ID:1gZhuunh
おお!きてる!
502風と木の名無しさん:03/07/21 23:26 ID:H+MDZMCQ
503数学・物理 100の方程式:03/07/22 05:00 ID:yi0ikUS+
「幸い、すぐに花輪君が気がついてテストを中断させました。永沢先生に叱られても構わ
ずにクラスのみんなに茂門賀くんの問題用紙を見せて、全員の用紙を回収して職員室に駆
け込んだんです。いつもすぐに書き出すのに、その日に限って固まってるのを見て変だと
思ったって………僕、その時ちょうど空き時間で居合わせたんですが、すごい剣幕でした」
浜崎は言い逃れをする永沢を退け、花輪から詳しい話を聞いて校長にも報告した。
最初の授業から彼を目の敵にしていた永沢は、何かにつけて『お前はこんなの馬鹿らしく
てやってられんだろう』と当てこすり、課題も出さなくていいと受け取らなかったという。
「案の定、課題の提出点はついてなくて未提出扱いでした。それで浜崎先生が放課後に茂
門賀君だけ呼び出して話を聞こうとしたんですが、何も言わなかったそうです。他の生徒
からも聞いたって言っても永沢先生に何をされてたかは全然………そういう子だから、も
しもあの日花輪君が職員室に来なかったら、中間テストも零点になってたかもしれません」
「で、でもそうなったらさすがに―――さっき浜崎先生から聞いたんですけど、中等部の
頃から出来る子だったんでしょう? 高等部にあがった途端に零点とったりしたら」
504数学・物理 100の方程式:03/07/22 05:03 ID:yi0ikUS+
「疑われるに決まってますよね。しかしそれは永沢先生だって判ってたはずです。そこま
でする相手の過去の成績くらい目を通してるでしょう。でなきゃ、馬鹿らしいだの何だの
って台詞も出てこないと思うし」
「………なんで、そんなにまでして………」
「なんででしょうねえ―――ま、そんなことがあってテスト直前に僕と代わったんです。
なあんの処分もなしにね。それでも永沢先生、相当嫌がってました。救いようのない馬鹿
クラスって言って校長先生に叱られたりして………あれはさすがに腹立ちましたよ。確か
に、数学が苦手で投げてる子が多いから手間がかかる割には実りが少ないけど、馬鹿だな
んて思ってても言ってほしくなかった。たとえ生徒の耳に入らないと判ってる場所でも」
その直後の中間テストは、永沢の作成した問題を流用して採点は山根がやることになった
のだが、あからさまな手抜き問題で平均点が異常に高くなってしまったそうだ。
「丸尾先生、今回問題作る前に浜崎先生に色々言われたでしょう?」
「はい」
505数学・物理 100の方程式:03/07/22 05:04 ID:yi0ikUS+
浜崎からは、大問を少なく、前の問題で出させた数値を次の問題で使うなりして、できる
だけ小問を繋げる形で作るように指示された。一つ間違えると芋づる式に間違えることに
なるのではと尋ねたら、地道なカンニング対策とでも思っておけと言われたのだ。
「………実を言うと、平均点が前年度よりもかなり低くて焦ってるんですが」
「気にしなくていいですよ。追試は問題続けないようにして点を取りやすくしてますから。
なまじ内部進学枠が確保されてるから、点数でびびらせないとどうしても怠けちゃうんで」
相対評価で見る分には平均点は大して影響しないし、むしろ平均点が高すぎると、できる・
できないがはっきりしなくて困ると山根は答えた。
「だから僕も中間テストの後は何度もモニターをにらんで唸ってたんですが、そこを永沢
先生に張り付かれちゃって」
問題の御粗末さを詫びつつ後ろから覗き込み、パスワードを入力する手元をじっと見てい
たと聞き、背筋が寒くなった。山根は一旦切り上げる振りをして、永沢が授業に赴くのを
見届けてから慌てて変更して凌いだと言うが、もしもそこで気づかなかったら―――。
506数学・物理 100の方程式:03/07/22 05:10 ID:yi0ikUS+
「一応その日はなんともなかったんですが、次の週にやってくれました」
「あ、あの、まさか」
「ええ。僕の変更前のパスワード使おうとしたんです。さっき二回間違えるとアラートっ
て言ったでしょ? 音がでかくて恥かく上に教科主任や学年主任でないと戻せないんです。
そこで浜崎先生じゃなくて小杉先生に頼むところがまたねえ………」
他の教科の主任に頼んで隠すつもりだったのだろうが、小テストの件で永沢がしばらく採
点から外されることになったのは教職員全員が知っており、当然小杉も突っ込んだ。
「僕のユーザー名がでかでかと表示されてるのに何で二回も、過去の成績が見たけりゃ名
簿で見ればいいだろって。『名簿が見つかりませんでした』『間違えただけです』と言い張
って最終的にはお咎めなし。小杉先生、相当怒ってました。『なめられた』って」
温厚な小杉が怒った姿は想像しにくいが、永沢のやったことを思えば無理もない。
「………改竄、するつもりだったんでしょうか」
「でしょうね。何かやるだろうと思ってましたが、まさかあんなしょぼい手でくるとは」
507数学・物理 100の方程式:03/07/22 05:12 ID:yi0ikUS+
危うく濡れ衣を着せられるところだったにも関わらず、山根はごく平静に話し続けた。
「しょ、しょぼいって、山根先生」
「だって前の週に盗んだパスワードですよ? しかも露骨な覗きで。ばれてないと本気で
思ってるわけはなし、でもフェイクにしてはお粗末過ぎるし、一体どういうつもりだって
散々悩みました。もしかしたらあの手抜き問題も何か裏があったんじゃないかって」
山根は返却前に答案を全部スキャナで取り込み、データを浜崎と教務主任にそれぞれ渡し
て職員室の金庫にも預けていたのだが、完璧はありえないから気を揉み続けたとこぼした。
「答案、全部ですか」
「的が茂門賀君一人とは限らないと思ったんで。結局は僕も永沢先生になめられてたみた
いですがね。ま、あんな対策しか取れなかったし馬鹿にされても当然ですが、大事になら
ずにすむのならいくらでも馬鹿にして下さって結構ですよ。去年は判ってるのでそれだけ」
「………判ってないところで、何やってるか」
思わず呟いた台詞に、山根が目を細めた。
508数学・物理 100の方程式:03/07/22 05:13 ID:yi0ikUS+
「丸尾先生、来てすぐに永沢先生に何か言われたでしょ?」
「ご存知だったんですか」
「永沢先生の性格を、少しばかり。そんな子じゃないって僕から言うのは簡単でしたが、
丸尾先生を混乱させたくなかったし、授業が始まれば判って貰えると思って。永沢先生の
件は生徒達も怒ってましたから、今度何かあれば職員室にすぐ来るだろうし………去年は、
小テストまで茂門賀君が余計なこと言うなって全員に口止めしてたそうなんです。そこで
花輪君が黙ってたのが解せないんですけどね。逆らえないってわけでもないし。親友の頼
みだったからかもしれませんが………彼が堪りかねて直訴してくれたおかげで明るみに出
ましたが、でなけりゃどこまでエスカレートしたか」
「逆らえない、って」
「だって、あの顔で頼まれたら大抵の男は聞いちゃうでしょう」
明るく笑う山根に、彼もまたここの卒業生だったのを思い出した。
「それと茂門賀君には一昨年卒業したお兄さんがいるんですよ。凄く人気があったんです」
509数学・物理 100の方程式:03/07/22 05:32 ID:yi0ikUS+
山根によると彼の兄は中等部・高等部いずれにおいても生徒会長を二期連続で務め、内部
進学者なら上下五年に名が知れ渡った有名人で、いまだに在校生に影響力があるらしい。
「外の大学行っちゃったけど―――ああ、丸尾先生の後輩ですね」
そこで山根は言葉を切って立ち上り、両腕を伸ばした。
「こっちもこっちで頑張ってますが、生徒の方でもちゃんと見てくれてます」
―――だからお前も永沢を見張れと言いたいのか。発覚した件は処分を下すほどでもない
というのが学校側の見解で、決め手になるような重大事をしでかすまで警戒し続けろと。
「納得いきませんよね」
すぐには動かなかった自分の肩に山根の手がかけられた。急いで立ち上がり、扉を目指す。
「すみません、すっかり遅くなってしまって」
「長話したのはこっちですよ。あ、そうそう。永沢先生の伯父さん、ここの理事です」
さらりと言ってのけた山根の表情は、辺りが暗くなりかけていたため良く見えなかった。
「それで永沢先生は何の処分も受けずにすんだんですか」
510数学・物理 100の方程式:03/07/22 05:36 ID:yi0ikUS+
「二回とも、しっかり横槍が入りました。僕が同じことしでかしたら、間違いなくクビで
しょうけどね。授業中の暴言に関しても生徒の証言が多々ありましたし」
「でも、そんな、いくら決定的な証拠がないからって、成績の改竄までしようとしたのに」
「丸尾先生、僕達が腹を立ててないと思わないで下さいね」
「………すみません、言い過ぎました」
「いえいえ。実際、ろくな縁故もない一介の教師なんて無力なもんですし―――あーあ、
永沢先生はいいよなー。伯父さん理事で、お父さんの従兄弟は蕾銀行の副頭取だもん」
茶化した言い方で永沢の背景を語る山根は、昨年度どんな想いで彼を見守り続けたのか。
「蕾銀行がメインなんですか」
「他とも付き合いあるし特にメインってのはないみたいです。でも今、私学はどこも経営
厳しいから。名門と言われてるとこでもね―――銀行さんにはいい顔しておきたいでしょ」
階段を下りる山根の背中を見ながら、昨年度彼が担当していた生徒の総人数を思い浮かべ
て溜息をついた。彼もまた、浜崎と同じ本物の教師なのだ。
511数学・物理 100の方程式:03/07/22 05:56 ID:yi0ikUS+
自分だったら彼の答案を守るのに必死になり過ぎて他の生徒のまでは手が回らないだろう。
「―――こんなややこしい話、しなくて済めばよかったんですけど」
つい洩らした溜息を山根に誤解されて気遣われてしまい、話題を変えようと試みた。
「山根先生は、どうして教職についたんですか?」
唐突な質問だったが、あのまま永沢の話が続くよりはと思ったのだ。山根も同じ気持ちだ
ったのか、すぐに答えてくれた。
「他になかったんです。理論系でIT関連避けようとするとロクなとこないでしょ。たまに
あったかと思うと、よくよく見ればやっぱりシステム関係の部署だったり―――そんなの
成績悪い奴だけだってのは言わないで下さいね」
山根はさばさばとした物言いで、決して教職が第一志望ではなかったことを打ち明けた。
「親父が古い人間で、デモシカ教師なんて生徒さんに申し訳ないと思わないのかって叱ら
れましたよ。僕自身、こんな奴が教えていいのかなーってビクつきながら母校に出戻りし
たわけで―――そこで他の学校に就職できなかったあたりがまた情けないんですが」
512数学・物理 100の方程式:03/07/22 06:08 ID:yi0ikUS+
職種も勤務先も、揃って不本意な就職だったということらしい。しかし山根が生徒に対し
て極めて誠実なのは、今日の話を聞くまでもなく日ごろの彼を見ていれば判る。
「なんだかんだで三年目ですが、まだまだ慣れませんね」
「卒業してからだと七年経ってるんですよね。山根先生が教わったことがある先生って、
今どのくらい残ってみえますか?」
「そうですねえ………僕が卒業してから戻ってくるまでに退職された先生って五人かそこ
らかなあ………最初のうちは恥ずかしかったですよ。昔叱られた先生達に『先生』って言
われるんですから。関口先生なんか、それを判った上で用もないのに大声で何度も呼ぶし。
教育実習の時もそうだったんです。ほんとに意地が悪いったら―――わっ!」
廊下を曲がったところで腕を組んで待ち構えていた関口に出くわし、山根は大声を上げた。
「意地が悪くてすみませんでしたねえ―――バスケ部、今日は六時半で終わりますってさ」
「いや、あの、わざわざありがとうございます。あ、今のは冗談ですから」
「冗談でも本人のいないところでそういうこと言うのって、どうかなあ」
513数学・物理 100の方程式:03/07/22 06:20 ID:yi0ikUS+
「………勘弁してください」
「いやいや、感激したよ。偉くなったもんだ―――ああ、偉いのは昔からか。修学旅行の
自由行動も凄かったもんな」
「せ、関口先生―――丸尾先生の前でそんな」
慌てふためいて関口と自分を何度も振り返る山根に、笑いながら手を振って見せた。
「僕は何も聞いてませんから。これからも聞きません」
「面白いのにー」
「面白くないです!」
肘をぶつけ合う二人に続いて、笑いながら職員室に入った。
山根が学生時代に何をやったかは知らないが、この先知ることになったとしても本人の目
の前でだろうと思った。そういう人達なのだ。永沢についても言いたいことはいくらでも
あったはずなのに、今日まで何も言わなかった。今日までずっと、自分が先入観を持たな
いように、永沢の手にも乗らないようにと気を配ってくれた。
514数学・物理 100の方程式:03/07/22 06:21 ID:yi0ikUS+
みな、大人なのだ―――永沢と自分の二人だけが、幼稚なまま彼らに甘やかされている。
「しっかし、数学も満点は一人だけだったんだなあ」
関口はこちらを見ながら肩をすくめた。
「数学も、ということは物理もそうなんですね」
「ええ、りくちゃん一人です。平均点はそんなに低くなかったんだけど―――たまにああ
いう子がいるんですよ。何年かにいっぺんのご褒美って感じで」
「ご褒美ですか」
「だって楽だもん。ほっといても出来るし、こっちの遊びにもつきあってくれるし」
「関口先生、そういう言い方って教師としてどうなんですかねえ」
山根が先ほどの意趣返しとばかりに関口に絡みだした。
「できない子ができるようになるのは、ご褒美じゃないんですか、そうですか」
「ご褒美じゃありませんー。当たり前のことですー。それが僕らのお仕事なんですー」
関口は嫌味たらしく語尾を延ばして山根に詰め寄った。
515数学・物理 100の方程式:03/07/22 06:23 ID:yi0ikUS+
「それとも山根先生は、できない子まで放っておいて『できるようになったらラッキー』
って思ってるんですかー」
「ああもう、すみませんでしたっ!―――丸尾先生、僕、体育館行ってきます。まだ何か
あったら」
「誰かさんと違って、丸尾先生はもう帰る時間ですー」
「………関口先生、くどいですよ」
「だって性格悪いもん」
まだやり合っている二人を苦笑混じりに眺めつつ、机の上を片付けた。
「お先に失礼します。山根先生、今日はありがとうございました」
「いえ、どういたしまして。お疲れ様でした」
「お疲れー」
他の教師達にも挨拶しながら職員室を出て、足早に昇降口に向かった。時計を見ると既に
六時を過ぎている。いつもより遅くなってしまった。
516数学・物理 100の方程式:03/07/22 06:50 ID:yi0ikUS+
まだ彼が来るような時間ではないけれど、もし来ていたらと思うと焦ってしまう。鍵は渡
していないし、そのまま帰ってしまうかもしれない。
来る保証もないのに急いで駅に向かう自分の愚かさから目を背けて、テスト前に『明日か
ら問題を作るから部屋に来ないでほしい』と言った時のことを思い出した。
既に殆ど出来上がっていたし、彼が来るようになる前から学校の資料は極力持ち帰らない
ようにしていた。仮に問題目当てで彼が近づいてきたとしても、部屋からは何も出てこな
いはずだった。にも関わらず彼の訪れを拒んだのは、自分に歯止めをかけたかったからだ。
一時までと時間を区切ってみたものの、来るか来ないか判らない彼を待ち続ける生活に疲
れかけてもいた。
もう二度と来なかったらどうしよう、と泣きそうになるのを堪えて、必死の思いで告げた。
幸いにも、テスト終わったらまた来ると言ってもらえた。
それが今日とは限らないが、来ないと決まったわけでもない。運がよければ会える。
ならば幸運を信じて急ぐだけだ。来なかった時のことを今から考えても仕方がない。
517風と木の名無しさん:03/07/22 07:11 ID:QWtYvFxK
キタワァ*・゚゚・*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゚゚・* !!!!!
518風と木の名無しさん:03/07/25 20:24 ID:hyXulVXF
519風と木の名無しさん:03/07/28 00:18 ID:krrNaNnd
続きはまだでしょうか…待ってます。
520あぼーん:あぼーん
あぼーん
521あぼーん:あぼーん
あぼーん
522あぼーん:あぼーん
あぼーん
523703:03/07/28 19:52 ID:JDgyF4rU
>>9
524数学・物理 100の方程式:03/07/29 19:27 ID:bJyQTklC
もし彼が来てくれたら、何もかも忘れてセックスに溺れる。先のことは勿論、今の状況に
ついても深く考えない。そんなものは後回しだ。時間が惜しい。不安や焦燥に駆られて泣
くのは一人の時にいくらでもできる―――彼が帰った後や、来ないと判った夜にでも。
刹那的かつ即物的だが、致し方ない。そういう男を好きになってしまったのだから。

扉が閉まる寸前に電車に飛び乗り、階段に近い昇降口を目指して車両内を移動する。目的
の位置に辿り着くと、扉に凭れて目を閉じた。
最後に彼に抱かれたのは先々週の金曜の夜。範囲の発表は先週の月曜だった。そして今週
の月曜から水曜、即ち今日までの三日間を費やしてテストが実施された。
理系の四クラスは数学の授業がA・Bの二つに分かれており、自分はAを、山根はBを担
当している。それに加えて文系の四クラスも山根と二クラスずつ分け合う形で担当してい
るけれども、今回文系クラスの問題はすべて山根に作成して貰った。期末は少しでも手伝
えたらと思うが、そのためには理系の方を今回よりも早めに仕上げておかねばならない。
525数学・物理 100の方程式:03/07/29 19:29 ID:bJyQTklC
早めにと心掛けねばならないのは採点もだ。自分の担当科目の試験はどちらも月曜日だっ
たし試験監督もやらずにすんだのに、今日まで答案の採点が完了しなかったことを考える
と頭が痛くなる。初めての採点だったからと己を慰めつつ、期末の試験日程を案じた。
四月に、私立なのに試験休みがないと知った時は当てが外れた気分だったが、最後の夜の
彼の言葉に『無くてよかった』と思った。しかし今はもう単純に喜べない。
答案返却は時間割を変更して木・金の二日間に集中的に行われる。明日は自分も合計六ク
ラスを一日で回らねばならない。にも関わらず、今日の夕方までかかってしまったのだ。
予定は立ててあったし今朝までその通りに進んでいたが、昨年度より平均点がかなり低い
のに気がつき、つい採点済みの答案を一枚一枚見直し始めてしまった。まずは採点を終え
てからにすればいいものを、要領が悪いにもほどがある。
浜崎も気が気でなかったのでは―――やはり自宅に持ち帰ってやるべきだったのだろうか。
他の教師達は、試験が終了して答案の束を受け取るやいなや物凄い勢いで採点を開始した
が、夕方になるとぱたりと手を止め、答案を金庫に預けてさっさと帰りだした。
526数学・物理 100の方程式:03/07/29 19:30 ID:bJyQTklC
誰も持ち帰る様子が無いのを見て、安心して後に続いた。答案の持ち出しはよくないらし
いと勝手に思い込み、自分のスピードも分からないうちに立てた予定に従い呑気に帰った。
持ち出しの可否を浜崎に確認するなり居残るなりすれば良かった、と思っても後の祭りだ。
今日の午前中に終わらなかったのには流石に慌てた。浜崎に促されてからは周囲のペンの
速さにプレッシャーを感じてしまい、理科準備室に逃亡を図ったのだ。気軽に鍵を渡して
くれた小杉は、こちらの焦りを察していたのかもしれない。
振り返ってみれば身の程知らずの大馬鹿者としか言いようがないが、やっている最中は目
先のことで手一杯で自分の愚かさに気がつかなかった。できることなら後ろから蹴りを入
れたい。………恐ろしいことに、あれでも自分は真面目にやっているつもりだったのだ。
自分の高校時代は、水曜日にテストが終わってもその週のうちに全部返ってこなかった。
下手をすると翌週末に間に合わないルーズな教師も―――などと拗ねてみても始まらない。
一緒する方がおかしい。採点の素早さを見て、長閑な母校とは違うと気づくべきだった。
関口はもう採点を終えていたが、二年生の物理のテストは今日の一限だった。
527数学・物理 100の方程式:03/07/29 19:33 ID:bJyQTklC
選択科目だから人数は少なく、自分の担当の半分もいない。だが、彼は三年生も担当して
おり、煩雑さは自分の比ではない。それでなくても自分は新人の名の元に何かと甘やかさ
れて仕事が先輩達よりも少ない。今回、上が試験監督を割り振らなかったのも手の遅さを
配慮してのことだろう。それも気付かずさっさと帰り、優先順位も忘れて見直しに耽って。
考えるほどに落ち込むことばかり―――彼が来たら甘えてしまいそうだと思った。
皮肉なことに、『何とも思われていない』と諦めてしまってから、彼との会話が増えた。
話しだせば、あっけないほど楽だった。口調はぞんざいだが、勘に障る類のものではない。
惚れた弱みといってしまえばそれまでだが。
大人と、というより人と話すのに慣れているのだろう。ゆとりを持ってこちらの話を聞き、
彼なりの言葉で返してくれる。自分語りや青臭い自己主張とは無縁だ。
あの年頃だったら趣味などの自分の関心事を語るのに夢中になって、人の話を満足に聞か
ない者も多いだろうに―――そこでまた、自分が高校生だった頃のことを思い出した。
山根が言うような“これ見よがしな生意気小僧”の顔を隠した、影の薄い生徒だった。
528数学・物理 100の方程式:03/07/29 19:39 ID:bJyQTklC
数学は参考書を片手に自習を進め、高校二年の一学期に三年の課程を終えていた。その程
度は進学校では珍しくもなければ、もっと早く終えるところもあると知らずに、内心密か
に同級生を小馬鹿にしていた。空の深さも知らない、ごくつまらない井の中の蛙だった。
それらの思い上がりを表に出さないように留意して、学校の授業は平常点目当てに真面目
な顔で受けていた。同級生に質問されればにこやかに教えてやりつつ優越感に浸るという、
実に嫌な奴だった。
家で授業の先取りをする傍ら、一年生の頃から大学生向けの本を判りもしないくせに広げ
ていた。兄や姉、隣のお兄さんから貰ったお古を何冊も持っていたのだが、自分で購入し
た本もあった。田舎の高校生でも知っている世界的な賞を授与された、有名大学の教授が
執筆した本というあたりに軽薄さが露見している。当時は口にこそせぬものの『こんなの
を読む自分は凄い!』と御満悦だった。………思い出すと穴を掘って入りたくなってくる。
そんな自分の恥ずかしさに気づかないのが若さというものなのだが、勘違いした挙句に教
授に当てて手紙を書いた己は一体何を考えていたのか。覚えているから余計に恥ずかしい。
529数学・物理 100の方程式:03/07/29 19:45 ID:bJyQTklC
見知らぬ高校生からの分厚くて不躾な手紙に、教授は丁寧な返事をくれた。調子に乗って、
一通目よりも重量のある手紙を出しそうになった自分を止めてくれたのは姉だ。
『田舎の男子高校生と文通して嬉しい大学教授がどこにいるのよ。ファンサービスみたい
なもんでしょ。お礼だけにしときなさい。もう返事はいいですってちゃんと書くのよ?』
羞恥に身を焼かれ、涙を拭きつつ分厚い封筒を捨てた。直截的な物言いに傷付いたが、姉
の言うことはもっともだと思った。自分から手紙を貰っても向こうは何の得にもならない。
代わりに書いた手紙は便箋二枚。実質一枚だったか。返事の礼と、更なる返信は無用と書
いた。そこで終わればいいものを、追伸として『大学で先生の教えを乞いたい』などと要
らぬことを書いてしまうところが、もうどうしようもない。馬鹿につける薬はないのだ。
高校を卒業する頃には少しはまともになり、自分のやらかしたことの恥ずかしさも認識し
始めていた。それでも、何か一つでも人より得意なものがあるというのは、後ろ暗い性癖
を持った自分のささやかな誇りになっていた。………とうに無くしてしまったけれども。
大学に進学してすぐに、自分よりできる者の数の多さに打ちのめされた。
530数学・物理 100の方程式:03/07/29 19:53 ID:bJyQTklC
なにも、自分が日本一できるとまで思い上がっていたわけではない。そんなことは全国模
試の結果を見るまでもなく判っていた。しかし現実に会うとまた違う。模試の順位表で何
度も見た片仮名一行ではない、生身の彼らと直接話し、その知力にただもう圧倒された。
学部に上がる頃には“どうか教授が田舎の高校生を忘れていますように”と祈っていた。
当然だが教授は自分のことを覚えておらず、初顔合わせの時に名前を名乗っても平然とし
ていた。恥ずかしい手紙はとうの昔に処分されて記憶の彼方に追いやられていたのだろう。
胸をなでおろし、絶対に自分からは言い出すまいと決心した。何も悪事を働いたわけでは
ないが、消してしまいたい過去には違いない。自分の場合、それが人より多すぎるのだが。
―――ふと目を開けて、扉のガラスに映る自分をじっと見つめた。
憧れていた数学者になり損なった新米教師が、疲れた顔で立っている。ここまで恥ずかし
い奴は少ないだろうが、珍しいと言うほどでもないと思う。高校まで理系科目が出来た者
にありがちな勘違いだ。計算が得意ならテストで点が取れる。なおかつ、理数系は苦手だ
と言い切る者達が安易に持ち上げてくれる。
531数学・物理 100の方程式:03/07/29 19:54 ID:bJyQTklC
しかし大学に進むと、少々計算ができる程度ではついていけなくなった。
それは高校生の頃から本を読んで知っていた。だが、知っていただけで判っていなかった。
―――何百年も前の学者達が解き終えた問題の解答をなぞるのが精一杯で、自分の頭で考
える力のない学生は、教授の目にどう映っていたのだろうか。
数学のセンスが欠落していると自覚するのが遅れたのは、なまじ計算が得意だったせいも
あるが、そこで増長してしまったのが一番大きいと思う。
くだらない見栄や思い上がりで何年棒に振ってしまったのか。就職できたのだから大学の
四年間は無意味にならずにすんだが、大学院の三ヶ月は明らかに回り道だった。
特に就きたい仕事もなくなってしまったから殊更時間を惜しまずともよいのだが、両親に
無駄な出費を強いた上に心配させてしまったのが辛かった。
公認会計士の父は兄に事務所の実権を譲った後も仕事を続けており、元は庄屋だという田
舎豪族の娘である母は嫁ぐ折に不動産を祖父から譲られていた。金銭的には困っていない。
が、だからといっていつまでも脛をかじっていいはずもない。
532数学・物理 100の方程式:03/07/29 20:21 ID:bJyQTklC
それに自分は一生結婚できない。両親を心配させる材料は少しでも減らしておかなければ
ならないのに………大学受験前のことを思い出すと、今でも申し訳なさに胸が痛くなる。
博士号を取得して研究室に残り得たとしても、それなりの地位につくまで満足に食べてい
けないと知人から聞いて、還暦を過ぎていた父は纏まった金を自分の口座に移そうとした。
『末男が人並みに稼げる前に、死ぬかもしれないからなあ』
苦笑しつつ現金での生前贈与を言い出した父だったが、兄に阻まれて未遂に終わった。
その兄も贈与そのものに反対はしなかった。全て銀行預金では今の時代は危ないというの
が兄の主張。代わりに、地元にある母名義のアパートを一棟与えるよう父に進言した。
おかげさまで大学に上がった年から家賃収入がある。管理は母任せになっているが。
しかも全部貯金しておけと厳命されて、学費や生活費は別途仕送りしてもらっていた。
以来、地味ながらも着実に家賃は口座に貯まり続けている。本当は学費もそこから出した
かったが、『それとこれとは別』で片付けられた。両親に学費を返せと姉に迫られた時も、
貯金から出すと言ったら『自力で返せ』と殴られた。今の部屋の家賃も同じだ。
533数学・物理 100の方程式:03/07/29 20:24 ID:bJyQTklC
できるだけ早く姉がローンを完済するためにも貯金を下ろして払いたいのだと言い返した
ら、『あんたの稼ぎで払えって言ってんのが判らないの?! 甘えんな!』と蹴られた。
その後で金利についての説明や来年早々に完済予定であることを聞かされたのだが、でき
ればそういうのは蹴る前にして欲しい―――と思い続けて、かれこれ二十年以上になる。
何かにつけて『甘えるな』と叱咤し、少々乱暴なところもある姉だが、結局は一番自分に
甘いと思う。今もなお、愚図な弟の手元にできるだけ多く残るようにと考えてくれている。
両親や兄にも疑念を抱かせない形で都会の部屋を譲ってくれたのも彼女の甘さゆえだ。実
家に帰らずとも自分名義のアパートがあるから住むところには困らないが、結婚できない
身で狭い地元に帰りたくなかった。父も兄も町内の名士だ。迷惑はかけたくない。
―――思えば、兄弟の中でも自分一人だけが特別に甘やかされている。兄や姉は企業の奨
学金を複数受けて学費に充て、生活費や小遣いはバイトで賄っていた。一応、進学前にそ
の事を指摘してみたが、『今は昔ほど簡単に奨学金が受けられないから』と一蹴されて終
わった。同時期に母が姉にも生前贈与をと言い出したが、姉は『死んでからでいいわよ、
今とくに困ってないし。末男みたいな甲斐性無しと一緒にしないで』と断った。
534数学・物理 100の方程式:03/07/29 20:36 ID:bJyQTklC
そこであっさり引き下がった両親や兄を見て、家庭内における自分の地位について考えさ
せられてしまった。恐らくこの先何年経っても、みそっかすを卒業させて貰えないだろう。
正月に帰省した時は、七歳下の甥っ子に『爺ちゃんまだまだ元気だし、死ぬ頃には俺も就
職してるんじゃないかな。だから末男ちゃんも心配しなくていいよ。失業したら俺が養っ
てあげる』と言われてしまった。………彼と同じ学年の甥っ子に、そこまで頼りないと思
われているのだ。甥っ子よりも大人びた彼には、さらに情けなく見えているだろう。
年ばかり重ねた、世間知らずのよく泣く男―――そんな奴といて面白いわけがない。
どこが良くて自分のところにやって来るのか、さっぱり判らない。長続きはすまいと覚悟
しているが、やはり少しでも先に延ばしたいというのが嘘偽りのない気持ちだ。
どこか取り柄があるなら教えてほしい。そうすれば自分を少し好きになれそうな気がする。
別れた後でも自棄にならずに、自分を大切にできると思う。
―――いっそのこと、『僕のどこが好き?』なんて恥ずかしい質問が出来たらいいのに。
絶対に、無理だけれど。言うのが恥ずかしいのもあるが、そもそもそういう関係ではない。
535数学・物理 100の方程式:03/07/29 20:37 ID:bJyQTklC
好きだ嫌いだと思いつめているのは自分だけ―――それを忘れてはいけない。
彼が通う気になれるのは、しつこく纏わりつかなくて口が堅い男の部屋なのだ。

息せき切ってマンションに着くと、意外にも彼が既に来ていた。部屋の真正面から少し離
れてエレベーターの前に立っている彼と、腕時計を見比べながら鍵を開ける。
「ごめん、こんなに遅くなるとは思わなくて」
「謝るこたねえよ。俺が勝手に来たんだし」
帰ったりせずに待っていてくれたのが嬉しくて、鍵を回す手が震えそうになる。何とか無
事に開け終えて中に入ると、ドアが閉まるなり彼に尻を掴まれた。鞄を取り落としかけて
慌てて抱え直し、振り返って彼を見る。とてもじゃないが睨んだりはできない。
潤んだ目で睨んでも何の抗議にもならないだろうし、睨む力も目元に残っていない。
彼は笑いながら両手を上げると、さっさと靴を脱いで部屋に上がってしまった。
それを見て『早くしなくては』と急いだまでは良かったが、上がりざまに躓いてしまった。
536数学・物理 100の方程式:03/07/29 20:40 ID:bJyQTklC
危うく床に顔面から激突しかけたが、寸前で彼が上体を抱きかかえて止めてくれた。
「あっぶねえなあ、おい」
礼を言わなくてはと思ったが、あまりの恥ずかしさに顔が上げられない。
「大丈夫かよ」
自分の額に手を当てた彼の声は笑っておらず、純粋に体調を心配してくれているのが判る。
ここで腹を抱えて笑うような男だったら少しは嫌いになれるかもしれないのに、と手前勝
手かつ卑屈なことを考えながら、彼の胸に凭れた。
「大丈夫だよ。何ともないから」
そう言って見上げると、すぐにキスをしてくれた。目を閉じて彼の舌を受け入れ、久しぶ
りの感覚に酔う。―――ずっと、これが欲しかった。これだけじゃなくて、この先も。
しばらくして唇が離れると、彼はぽつりと呟いた。
「熱は無いな」
色気も何もなかったが、少しでも自分のことを気遣ってくれたのが嬉しい。
537数学・物理 100の方程式:03/07/29 20:41 ID:bJyQTklC
「うん。ない」
だから、とねだる代わりに、中腰になっている彼の股間に顔を寄せた。断りもなくジーン
ズのファスナーを下ろし、手を入れて彼のペニスを握る。
「ちょっと待て」
拒絶ではないと判っているから、不安に思ったりせずに大人しく待った。今まで、積極的
に振舞って彼に嫌がられたことは無い。やりに来た以上は、ちゃんと付き合ってくれる。
立ち上がり、廊下の壁に背を預けた彼の股間に再度顔を近づけ、ペニスを握りなおして唇
で触れた。まだ柔らかい物の先端を含み、唾液で濡らす。ゆっくりと両手で扱きながら、
できるだけ深く呑もうとした。まだ喉は上手く使えなくて、もう少し大きくなったら持て
余してしまう。今の内に少しでも奥に彼を収めておきたかった。
少しずつ力を得て硬度と体積を増していくそれに舌を這わせながら、手を下着の中に入れ
て双球を撫でた。時折ゆるく握ったり揉んだりしながら、手触りと重みを楽しむ。
やがて完全に立ち上がった物に喉を突かれそうになったが、そうなる前に彼が腰を引いた。
538数学・物理 100の方程式:03/07/29 20:48 ID:bJyQTklC
自分の唇から逃げ出したペニスを追い、もう一度深く咥えようとしたら彼に止められた。
「無理すんな。喉まで入れなくていいから」
無理じゃないと言いたくても喉の奥を突かれて吐きそうになったことがあるため、強くは
出られない。諦めて先端を舐めることにして、浅く含んで舌先で形をなぞった。見事な張
りを持つ傘の部分から先端の小さな穴まで、余さずに舐めていく。
こうして口で彼を愛撫するのは大好きだ。彼の体で自分の舌が知らない部分があるのが嫌
なくらいに。若い体にひれ伏す自分が、変態を通り越して妖怪じみている気もするけれど、
彼が許してくれるのをいいことに、いつもペニスへの愛撫にはたっぷり時間をかけていた。
性器以外の部分はくすぐったいだけだと笑って逃げられてしまうが、手で触れるのはまだ
我慢できるらしく、笑いを堪えながら全身を撫で回させてくれる。
どうしても笑ってしまうと言う彼を見て、もしや通常のセックスのやり方から外れている
のかと案じたこともあった。しかしすぐに、彼に嫌がられていなければいいと開き直った。
どうせこの先、彼以外の男とする予定もなければ、そのつもりもない。
539風と木の名無しさん:03/07/29 21:13 ID:gwuoRi9+
イッパイキテターッ!
540山崎 渉:03/08/02 02:36 ID:f5cR0Cmv
(^^)
541山崎 渉:03/08/02 02:44 ID:f5cR0Cmv
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
542風と木の名無しさん:03/08/05 00:44 ID:W+GCpTNf
ヤバイくらいハマってます…
末男萌え!
543風と木の名無しさん:03/08/07 04:55 ID:ElRezK60
末男タンのハゲシイ自分語りに萌え。
本当にいそう、こういうずーっと寂しかった人、ガンガレー!
544風と木の名無しさん :03/08/09 01:54 ID:2D2d80V+
お待ち申し上げております。
末男タン…イイ…
545風と木の名無しさん:03/08/16 15:19 ID:JvBlPPPf
ガンガレ
546数学・物理 100の方程式:03/08/19 07:28 ID:22bXA0Oh
それに悠長に撫でていられるのも挿入の前後に限った話で、最中にはそんな余裕は無い。
指で、そしてより太く固い物で広げられて擦られて―――思い浮かべただけで体が疼く。
彼の物をしゃぶりながら自らの股間に手を伸ばし、ファスナーを下ろした。触りたいのは
立ち上がりかけた部分ではなく、その更に奥。この後、彼に貫かれる筈の場所だ。
指先でそっと撫でてから少し押してみる。潤いが無いため指を挿入することは叶わないが、
圧力を加えただけでもじわりと快感が広がる。
更にのめりこませようとしたところで、ふいに彼が身じろいだ。訝る間もなく爪先に性器
を突付かれ、次いで奥に忍ばせた手を軽く踏まれた。僅か数歩先の寝室まで行くのも我慢
できずに玄関先でねだった性急さを咎められたようで恥ずかしくなり、そっと股間から顔
を離して伏せる。それでもまだ彼のペニスから手を離そうとしないのは、本当に恥ずかし
いとは思っていない証拠だ。恥ずかしがる振りをして、彼が強引に先へ進めるのを待って
いるだけ。
かつて洗面所で躊躇した初心な男は、もうどこにもいない。
547数学・物理 100の方程式:03/08/19 07:34 ID:22bXA0Oh
踏まれた手はそのままに、もう一方の手で扱き続けていると、間もなく両脇に手が差し入
れられて体を引き上げられた。
軽く頬に触れる唇に、ただでさえ力の入らない足元がますます頼りなくなる。ぐずぐずに
なった体を彼に預けると、抱き上げられて口づけを施された。
目を閉じて彼の肩にしがみつき、飢えを隠さずに唾液を貪る。深く舌を絡めている間も、
彼はしっかりした足取りで寝室に向かい、唇を離してから静かにドアを開けた。
先ほどまで手にしていた昂ぶりが嘘のような落ち着いた挙措に一抹の寂しさを覚え、贅沢
になっている自分に気づく。来てもらえただけでありがたいと思うべきなのに。
未練がましい想いを断ち切ろうと小さくかぶりを振ると、軽く体が揺すられた。
「どうした?」
耳元にかかる息に、また少し体温が上がる。
「何でもない」
思い煩うことなど何も無い。あるはずがない。今から抱いてもらえると判っているのに。
548数学・物理 100の方程式:03/08/19 07:38 ID:22bXA0Oh
つまらない物思いに耽るくらいなら、少しでも早く服を脱ぐ手順を考えた方がいい。
それでなくても時間が惜しい。明日は平日だ。今夜は泊まらずに帰ってしまうだろう。
ようやくベッドに辿り着いたばかりだというのに、残り時間を思うと焦りが募る。
早く入れて欲しいけれども口に出すのは憚られる。だが、心配しなくてもその必要は無い。
しがみつく手に力を込めれば彼には伝わる。

耳慣れない音に目を覚まし、ゆっくりと頭を巡らせた。ベッドの脇に放り出された彼の上
着から、くぐもった音が響いている。おそらく携帯の着信音だ。
寝室を見回しても彼の姿はない。もっとも、いればすぐに出るか切るかしていただろう。
どうしたものかと迷っているうちに音は途絶えてしまった。溜息とともにベッドに身を沈
めつつ、自分のせせこましさを恥じ入った。
彼が浴室にいるのは判っている。判っているくせに迷った振りをして、わざと他の男から
の電話を彼に知らせなかった。
549風と木の名無しさん:03/08/19 20:59 ID:erEHO472
オオオオ、キテタ…
550風と木の名無しさん:03/08/19 23:16 ID:HMR6vQ5y
待ってたよーーー!
551風と木の名無しさん:03/08/20 17:53 ID:n6C+8wD5
超久しぶりにきてみたらちょうど投下後だなんてなんという偶然だ!
552風と木の名無しさん:03/08/21 21:38 ID:8Nh5rKeL
そろそろまとめて欲しいとも思うが
553風と木の名無しさん:03/08/28 08:53 ID:EotXnvfI
ホシュ
554風と木の名無しさん:03/08/30 10:32 ID:0UkUxEzu
ホシュ
555風と木の名無しさん:03/08/31 21:23 ID:3C/wIR8r
保守。
556風と木の名無しさん:03/09/02 00:40 ID:0/4RCK8D
557風と木の名無しさん:03/09/03 12:08 ID:rWGQ6WVi
558風と木の名無しさん:03/09/04 09:50 ID:eF0MJZL0

待って、待っているのよ〜
書いてくれ!!!!
559風と木の名無しさん:03/09/06 18:49 ID:WbSNt4Me
記念パピコ(・∀・)!!
560風と木の名無しさん:03/09/07 23:20 ID:EKMbmfqO
561風と木の名無しさん:03/09/08 06:47 ID:j8+1IJnH
保守ですわ
562数学・物理 100の方程式:03/09/08 21:37 ID:ih7BHPan
―――わざとと言っても、無断で出て悪態をついたり牽制したわけでもなければ、勝手に
切ってもいない。可愛らしいものだ。それに、呼びに行って間に合ったとは限らない。
そこまで考えて気がついてしまった。次々と言い訳が思い浮かぶのは疚しいからだ。他の
男が彼と連絡を取れなかったのを、『やった』と思ってしまった。
何が『やった』だ。やられているのはこっちの頭ではないか。
大体、男からだと決めつけるのがおかしい。男だとしても、ただの友人や家族がかけてく
る場合もあるだろうに。
彼を独占することしか頭にないから発想も偏る。いまだに教えて貰えない番号にかけてく
る誰とも判らない相手に嫉妬し、勝ち誇るような間抜けになる。
いっそ聞いてみようかと思って、すぐに諦めた。本人が教える必要はないと判断したのだ。
もし『なんで?』と問い返されたら絶対泣く。泣いて済むならまだいい。最悪切られる。
先週の金曜日の放課後、偶然見てしまった光景を思い出すとぞっとする。
試験範囲が発表された月曜日以降、部活動は停止期間に入り、校内は閑散としていた。
563数学・物理 100の方程式:03/09/08 21:38 ID:ih7BHPan
一方職員室は教師達がまだ多く残っており、いつもと変わらない混み具合だった。
とうの昔に浜崎に問題を提出していたけれど先に帰宅する度胸はなくて、隅の方で業者が
持ってきた問題集のサンプルを整理していた。いつでもできるような作業でお茶を濁そう
としたのだが、他教科の教師にまで労をねぎらわれて少々居心地が悪かった。
気が咎めたのは、下心を抱えていたせいもある。
殆どの生徒は既に帰宅済みだが、六時まで開放されている図書室に僅かに残っていた。
彼が花輪と二人で勉強しているのを見かけたから、帰る姿を眺めようと校門のよく見える
場所で手を動かす振りをしていただけなのに、『お疲れ様』と言われるとかえって辛い。
だったらさっさと済ませて帰ればいいのだろうが、これを逃すと来週まで彼の姿が見られ
ないと思うと、つい意地汚くなってしまう。
―――『来ないで欲しい』なんて、言わなければ良かった。
自分から言い出したくせに、勝手なものだ。
判断自体は正しかったと思っている。よく言えた、と自分を褒めてやりたい。
564数学・物理 100の方程式:03/09/08 21:40 ID:ih7BHPan
けれども感情がついてこない。急速に溺れたのが怖くて距離を置いてみたものの、こんな
に寂しくなるとは想像もつかなかった。
寂しがっているのはこちらだけというのもまた辛いところだ―――そんなことを考えなが
らぼんやりと外を眺めていると、校門前に一台の車が止まった。
おぼっちゃまな生徒が多く、いかにもといった感じの高級車で送迎される者も少なくない。
夕方になると校門付近はちょっとした渋滞になる。さすがにその日は数台を数えるのみだ
ったが、新たに登場した大型の四輪駆動車は明らかに周囲から浮いていた。
何と言って職員室を後にしたかは覚えていない。初めて見る車にも関わらず、どうして彼
の男だと思ったのかも。
行ってどうするという心積もりもなかった。激情に駆られ、あてもなく飛び出しただけだ。
こちらが一線を引かねばならない場所で見せつけられるのが堪らなかった。
頭の中は見知らぬ男への罵声で一杯で、ここで下手に騒ぐと彼の学校生活を台無しにしか
ねないなどとは、思い及びもしなかった。
565数学・物理 100の方程式:03/09/08 21:42 ID:ih7BHPan
昇降口に着く頃には車の傍に数人の生徒が立ち止まっていた。
―――目立つな、馬鹿。
だが、生徒達が足を止めたのは単に車が珍しかったからではなかった。
『りっくちゃーん! 彼氏のお迎えー!』
中の一人が校舎に向けて叫ぶのを聞いて、足が滑って転びそうになった。慌てて体勢を立
て直しながら校舎から出た時、すぐ横の花壇に何かが落ちてきた。
驚いてそちらを見ると、彼が立ち上がって走り出すところだった。
『りく! 待て!』
見上げると二階の窓から花輪が手を振り回していた。
『あ、危ない!』
焦って花壇の前に駆け寄ると、花輪が叫び返した。
『俺はやりません! すぐ行きますから、あのサル止めて下さい!』
窓から頭を引っ込めながら花輪が指差したのは、疾走する彼の背中だった。
566数学・物理 100の方程式:03/09/08 21:44 ID:ih7BHPan
―――そんなにあの男がいいのか。
スピードを緩める気配がないのを訝りもせずに僻んでいたが、そんな気持ちも次の瞬間に
吹き飛んでしまった。
鈍い音とともに彼は止まった。近くにいた生徒達が後じさってしまたため、ドアに足を掛
けたまま窓から伸びる腕を邪険に振り払う姿がよく見えた。
『ざけんな! 誰がガッコに来いっつったよ!』
響く怒声を喜ぶゆとりもなかった。彼がこんなに怒ったところは見たことがない。
ようやく花輪の絶叫の意味が判った。
『やめなさい!』
止める自信はないが黙って見ている訳にも行かない。殴られてもいいと意を決して間に入
りかけたが、彼の肩に手が届く前に生徒達によって遮られてしまった。
『丸尾ちゃん、危ないって! ちょっと向こう行こ、ね?』
『花輪が来るまで待ってて』
567数学・物理 100の方程式:03/09/08 21:45 ID:ih7BHPan
その花輪に頼まれたのだと言っても取り合って貰えなかった。
―――こんな所に他の教師達が来たらどうすればいいのか。職員室からも丸見えなのに。
幸運にも、教師達より早く花輪が駆けつけてくれた。
『いい加減にしろ!』
思いきり後頭部を引っぱたかれて、さすがに彼も足を下ろして振り向いた。
『うるせえな、てめえは黙ってろ!』
『黙ってられるか、場所を考えろ! 学校で、しかも先生の目の前で何やってんだよ!』
花輪が親指で示した先に自分を見つけ、彼は舌打ちをして目をそらした。
『さっさと行け。カバンは後で持ってくから』
へこんでしまった助手席側のドアを開けて花輪が促したが、彼は乗ろうとはせずポケット
からキーホルダーを取り出した。いくつかある鍵の中から素早く一つを選び出し、外して
車の中に投げつけた。
投げつけられた鍵を易々と受け止めた反射神経のいい男は、肩をすくめて花輪を見た。
568風と木の名無しさん:03/09/08 23:08 ID:viWm53v6
ドキドキ…
569風と木の名無しさん:03/09/09 01:15 ID:jdxt6vfh
キタ━━━━(T∀T)━━━━ッ!!

いつになくワイルドなりくちゃん…。
570風と木の名無しさん:03/09/10 00:14 ID:a8tfrgI+
571風と木の名無しさん:03/09/11 15:48 ID:MGVq9KPV
572風と木の名無しさん:03/09/14 17:10 ID:Y+p0n1Kj
 
573風と木の名無しさん:03/09/16 23:38 ID:vFCt16pr
574風と木の名無しさん:03/09/18 20:45 ID:PYQE7y8Z
 
575風と木の名無しさん:03/09/22 01:01 ID:y3x6+ILu
ホシュ
待ってます(´・ω・`)
576風と木の名無しさん:03/09/22 19:44 ID:gRWQ/jFi
もう、ハチ公状態。
577風と木の名無しさん:03/09/23 04:40 ID:opcA0Rez
わたし待つわ
578風と木の名無しさん:03/09/23 10:55 ID:IMF+zZZH
いつまでも待つわ
579風と木の名無しさん:03/09/23 11:19 ID:/1vJg8nA
たとえあなたが振り向いてくれなくても
580風と木の名無しさん:03/09/25 16:11 ID:r2YmuJfj
待つわ〜(待つわ)
581風と木の名無しさん:03/09/26 20:48 ID:nogXn2Ai
いつまでも待つわ
582風と木の名無しさん:03/09/27 00:56 ID:nLyBb6Fr
( *‘ ー‘)b
583風と木の名無しさん:03/09/28 11:45 ID:iqG9syFx
保守
584風と木の名無しさん:03/09/28 17:20 ID:juHak5nt
保守age
585風と木の名無しさん:03/10/01 03:12 ID:Vpc70HP7
ホシュ
586風と木の名無しさん:03/10/02 21:53 ID:FSkhNMTO
保守。
587風と木の名無しさん:03/10/04 22:44 ID:xixx9jAd
捕手
588風と木の名無しさん:03/10/06 23:09 ID:TCsA/+5H
ホシュ
589風と木の名無しさん:03/10/09 21:36 ID:T10cy3dJ
保守
590風と木の名無しさん:03/10/12 01:22 ID:gU+uWITW
補習
591風と木の名無しさん:03/10/14 00:21 ID:rI44Gq7P
補修

592風と木の名無しさん:03/10/15 12:47 ID:F15rHiQE
報酬
593風と木の名無しさん:03/10/16 23:22 ID:bhcvfHap
砲手
594風と木の名無しさん:03/10/19 15:08 ID:egVq6yFu
ホース
595風と木の名無しさん:03/10/19 23:05 ID:hZEJxDvc
干す
596風と木の名無しさん:03/10/20 08:23 ID:egNcFuoe
天の岩戸の前で踊りたい気分
597風と木の名無しさん:03/10/20 23:19 ID:IXmCF4Cn
歩数
598風と木の名無しさん:03/10/22 14:31 ID:ao7bxXr1
機種
599風と木の名無しさん:03/10/22 23:49 ID:L7G1R9La
触手
600風と木の名無しさん:03/10/24 12:57 ID:F309AeFB
握手
601風と木の名無しさん:03/10/25 00:39 ID:KCHPhv90
干す
602風と木の名無しさん:03/10/25 01:25 ID:izpgsjnK
断種
603風と木の名無しさん:03/10/26 02:51 ID:0ZJJ5/C4
ホシュ
604風と木の名無しさん:03/10/26 14:24 ID:1W+CvlMC
欲す
605風と木の名無しさん:03/10/27 15:43 ID:9TyHQYyc
箪笥
606風と木の名無しさん:03/10/28 19:53 ID:zBTxeu/U
wash
607風と木の名無しさん:03/10/29 18:13 ID:mLdq3z+i
期待
608風と木の名無しさん:03/10/30 11:10 ID:CnoQhBAo
超期待
609風と木の名無しさん:03/10/30 14:54 ID:eA2Lf5xd
りくたん…(*´Д`)
610風と木の名無しさん:03/10/31 12:14 ID:6ISQ5PIT
センセイ…
611風と木の名無しさん:03/10/31 22:29 ID:YFfNzX4N
期待下げ
612数学・物理 100の方程式:03/11/01 08:29 ID:Cjxaa99n
『悪かったな、和彦』
そう言いながら車から降りてこちらにやって来た男は、目を見張る巨躯の持ち主だった。
先ほど彼へと伸ばしていた腕を見た時点で体格が良さそうだと見当をつけていたけれども、
まさかバスケ部一の長身の花輪より頭半分以上大きいとは思わなかった。
しかも大きいのは縦方向だけではなかった。さぞかし見事な筋肉の持ち主なのだろう、隣
に立つ花輪を華奢だと勘違いしてしまいそうなくらいに、逞しく厚みのある体だった。
『謝らなくていいから、このバカ持ってってくんない? 噂の彼氏が見たいって野次馬が
これ以上増えると―――まあ今日は人少ないけどさ』
親しいからこそできるぞんざいな花輪の物言いに、改めて傷ついた。二人の仲は在校生達
に広く知れ渡っており、親友の花輪も認めていると説明されたようなものだったからだ。
花輪の要請に、男は苦笑しつつドアを軽く叩いた。
『無理だろ。それに俺だって、ここまでされて乗っていただきたくねえよ』
『そんなに車が大事なら、最初からこんなとこ来るなよ!』
『うるせえ、チビ。へこませた張本人のくせして何威張ってんだ』
この場は花輪に任せてこっそり職員室に戻ろうと意気消沈していたのだが、激昂する彼が
可愛らしく見えてしまうような余裕たっぷりの男の態度に僻み、つい口を出してしまった。
613数学・物理 100の方程式:03/11/01 08:32 ID:Cjxaa99n
『茂門賀くん、こちらの方は』
言ってしまってから「これじゃ嫌がらせだ」と後悔したが、一旦口から出た言葉は取り消
せない。彼の怒りを買うような真似はしたくなかったのに臍を噛んでいると、先ほどまで
とは打って変わった冷静な声が返ってきた。
『ただの変質者です。すぐに帰らせますので』
これにはさすがに男も眉をしかめた。
『りく―――お前、当分俺の前に顔出すな』
『あほか! こっちの台詞だっつうの―――あでっ!』
すかさず怒鳴り返した彼の耳を花輪が引っ張りあげた。
『はい、終了』
『離せ!』
『離したら逃げるだろうが!―――んじゃ』
花輪が手を振ってみせると、男は了解したと答える代わりに手を挙げて、車に乗り込んだ。
そのまま車は走り出したが、角を曲がって見えなくなるまでの間、花輪はずっと彼の耳を
つねりあげていた。
『さて、と―――りくちゃん、職員室行きましょうねえ』
614数学・物理 100の方程式:03/11/01 08:37 ID:Cjxaa99n
『はあ?! なんで俺が』
花輪は無言で親指を立て、校舎を指し示した。つられて目をやると、職員室の窓から教師
達が何人も顔を出していた。
『………判った。行けばいいんだろ。いい加減に離せよ』
ぶっきらぼうに言いながら、彼は花輪の手を振り払って校舎に向かいかけた。そこでまた
出過ぎた真似をしてしまったのは、一応優等生で通してきた彼が古参教師達に叱られるの
が忍びなかったからだ。
『あ、先生方には僕から言おうか』
何をどう言うあてもなく反射的に出た言葉に、彼の目が丸くなった。
『へ?』
きょとんとしたのはほんのわずかな間で、次の瞬間にはいつも通りの彼に戻っていた。
『いえ、結構です。偶然居合わせただけなのに御迷惑をおかけするわけにもいきませんし』
明るい笑顔を浮かべて頭を下げると、花輪の制服の袖を掴んでさっさと歩き出した。
『………りく、俺に御迷惑をおかけして申しわけないとは思わないのか』
『誰が今更。恨むんなら親父さん恨め』
『あー、もうっ!―――丸尾先生』
615数学・物理 100の方程式:03/11/01 08:40 ID:Cjxaa99n
『あ、はい』
『関口先生には僕から説明しますので』
そのまま連れ立って歩き出した二人の後ろを数歩離れてついて行きながら、背後から聞こ
えてくる生徒達の会話に耳をそばだてた。
『俺、初めて見ちゃった! すんげえかっこいー!』
『だろ? やっぱいいよなー』
『ってか渋いわ、ホント。なんかもっとキラキラした感じかと思ってたんだけど』
遠ざかる声に、心の中で同意した。職員室を飛び出した時は、あの朝のように派手な美形
が高価な外車で来たと思いこんでいた。彼も前と同じく軽くあしらうだろうとばかり。
予想と違う、年齢相応といった感じの国産車に乗った逞しい男相手に、彼は激しく怒った。
あの美形や自分に対する、どこかふざけたような態度は微塵もなかった。
………いくら鈍くたって判る。あれが本命だ。
自分といる時にふざけて見えるのは、こちらが必死なのに対し向こうが余裕たっぷりだか
らだろう。いつ切れても構わないと思っているか、本気になんてなれないか―――どのみ
ち同じことだけれど。
逆に、男の方に余裕があった。彼の御機嫌を伺い続けるどころか、はねつけさえしたのだ。
616数学・物理 100の方程式:03/11/01 08:52 ID:Cjxaa99n
彼があんなに怒っているのにさっさと帰るなんて、自分にはとてもできない。それ以前に
あそこまで自分に怒ってくれること自体、ありえないのだが。別れを告げられてなおしつ
こく追いすがったらさすがに怒鳴ってもらえるだろうか―――むしろ不思議がられるかも
しれない。たった今、そうされたように。
自分が口出しするなんて思ってもみなかったのだろう。驚いて、そしてあっという間に取
り繕った彼の表情を思い出すと涙が出そうになる。
「お前には関係ない」だの「出しゃばるな」だのと怒鳴りつけてもくれなかった。完璧に
部外者扱いだった。
こんなに好きにさせておいて―――と言いたいところだが、好きになったのはこちらの勝
手だ。彼をなじっても困惑させるだけだろう。首をかしげる姿が容易に想像できてしまう。
ある程度気持ちを傾けてもらったならともかく、最初から遊びだと判りきった上での、体
だけの付き合いなのだ。彼が飽きたらそこでお終い―――それが二人の間の不文律。
判っていたつもりだったのに、少しずつ思い上がっていた己に気づいて恥ずかしくなる。
どうしてこんなに好きになってしまったのか。目の前の背中をいくら見つめても判らない。
本来の自分の好みを挙げれば、先ほどの男こそがぴったり当てはまる。増量を主目的とし
てついた筋肉ではなかった。逞しくはあるがわざとらしさのない、素晴らしい体だった。
617数学・物理 100の方程式:03/11/01 08:55 ID:Cjxaa99n
彫りの深い端正な顔立ち。筋肉馬鹿でもなさそうだった。年は自分より少し上だろうか。
あの彼をすっかり子供扱いしてしまう落ち着きぶりは年齢とはあまり関係なさそうな気も
するけれど―――以前なら間違いなく一目惚れしていただろう。夜になったらいそいそと
ベッドに潜り込み、あの逞しい腕に抱きしめられたいと思いながら自慰に耽ったはずだ。
今は違う。抱きしめて欲しいのは前を歩いている小柄な少年ただ一人。あの男を思い出し
ても、胸に込み上げてくるのは淫らな妄想ではなく、どす黒い嫉妬だ。
―――どんな風にあの男を抱いたのか、それとも抱かれたのか。
彼の肩を掴んで問い質す勇気はない。仮に勇気があったとしても、彼を独占する権利など
はなから持ち合わせていない。
涙がこぼれる前に眼鏡を外し、そっと指先でぬぐった。

職員室に入ると、二人はまっすぐに関口の机に向かった。
『関口先生、申し訳ありませんでした―――いたっ!』
殊勝に下げられた彼の頭を関口が出席簿ではたくのを横目で見ながら、こそこそと壁際に
戻って作業を再開した。
もともとお気に入りの生徒なのだ。厳罰を食らうようなこともあるまい。
618数学・物理 100の方程式:03/11/01 08:57 ID:Cjxaa99n
思った通り、それから始まったのは叱責には程遠い、からかいめいたものだった。
『そうかー、痛いかー。でも、パンジーちゃん達はもっと痛かったと先生は思うなー』
続けて数回叩かれ、閉口した彼が後じさりかけると、花輪が有無を言わさず押し戻した。
『あのね、サルちゃん。園芸部の活動目的は校内の緑化なの。サルちゃんのクッション整
備じゃないの。そこんとこ、判ってる?』
そういえば関口は園芸部の顧問だったと今ごろになって思い出した。
『テスト明け―――そだな、月曜日の放課後にしとこう。二人で草むしりね』
『関口先生、二人って』
花輪が慌てるのを見て、関口が嬉しそうに笑った。
『花輪、きっちり見張れよ』
『………さいってー』
頭を抱える花輪の肩に関口の手が置かれた。
『おまえが首に縄つけとかないからだろ。りくちゃんもねえ―――彼氏とラブラブなのは
いいけど、何も飛び降りなくてもいいじゃん。しかも学校の前で痴話喧嘩までしちゃって』
驚きのあまり勢いよく振り返ってしまったが、職員室の空気は至ってなごやかだった。
他の教師達は顔を見合わせて苦笑するばかりで、慌てているのは自分だけ。
619風と木の名無しさん:03/11/01 12:32 ID:7icefqGK
ああああああああ!!
キタ━━━(゚∀゚)━(。A。)━(゚∀゚)!!!
620風と木の名無しさん:03/11/02 03:03 ID:zQOsfPgv
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

う、嬉しい…。
621風と木の名無しさん:03/11/02 19:14 ID:fwM0M4lJ
キタ━━━(゚∀゚)━━!!!
うわぁあっ
622風と木の名無しさん:03/11/03 13:03 ID:iMqs7xMh
ウレシイ…
623風と木の名無しさん:03/11/04 01:55 ID:Xz/n42aR
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
624風と木の名無しさん:03/11/05 01:11 ID:5MqLvCRX
625風と木の名無しさん:03/11/05 19:44 ID:jbmhCjzq
そしてまた保守…
626数学・物理 100の方程式:03/11/06 00:24 ID:+kLniB5x
生徒の同性交遊に関して、良く言えば寛容、はっきり言ってしまうなら無責任に放置する
学校だと承知していたつもりだったが、まさかここまでとは―――。
肩をがっくり落として向き直り、不採用の付箋が貼られたサンプルを乱暴にダンボール箱
へ放り込んだ。教師である自分と彼との関係がばれた日には、さすがに誰も笑ってはくれ
ないだろうと思うとやりきれなくなる。男との関係を詰問された挙句に処分されたらと案
じつつも、以後二人が気まずくなるのを期待していた自分のいやらしさにも腹が立った。
こんなことはあの二人にとって何でもないだろうに。
これしきのことで終わってしまうような間柄でもあるまい。次に会った時に、何事もなか
ったかのように平然と言葉を交わす二人の姿が目に浮かぶ。
いつ笑顔で切り捨てられるか知れたものではない自分なんかとは、何もかもが違うのだ。

あの日以来、何度も夢に見た。しがみつく自分を微笑みながら突き飛ばし、まっすぐに男
の下へと彼が走る。そして二人は抱き合い、こちらに見せつける意図もなく、ごく自然に
キスをして―――そこから先は、いくら夢とはいえ思い出したくもない。
夜着が重くなるほど汗をかき、自らの泣き声で深夜に目を覚ました。また同じ夢を見るの
が怖くて、そのまま枕を抱えて朝を待った。
627数学・物理 100の方程式:03/11/06 00:27 ID:+kLniB5x
―――どうしてこんな辛い夢を見なくてはならないのか。
身の程ならわきまえている。どうあがいても彼の特別にはなれない。その他大勢で構わな
いから少しでも長く傍にいたい―――ただそれだけなのに。

かすかな空気の流れを素肌に感じて振り向くと、タオルを肩にかけた彼が部屋に入ってき
たところだった。
「起きてたのか」
「あ………携帯が………」
口篭もって服を指差し、着信があったことを知らせる。
「そんで目が覚めちまったのか。悪かったな」
上着から携帯を取り出し、履歴を確かめるのを見て、ごそごそとベッドから降りかけた。
「―――ん? どした?」
「向こうの部屋に行くから、気にしないで掛けて」
「あのなあ、聞かれたくなかったらこっちから出てくって―――も少し寝てろ」
他の男との電話なんか聞きたくないのだとも言えず、彼に促されるまま再び横たわる。
腰を下ろした彼に頭を引き寄せられ、膝枕をしてもらう格好で上を見た。
628数学・物理 100の方程式:03/11/06 00:50 ID:+kLniB5x
電話を掛ける彼の喉元に目をやり、痕を残してやろうかと思ってすぐに諦める。
「あ、俺。何?」
それで通じる相手が憎いと嫉妬に駆られ、着信番号で判るのではと思い至って落ち込んだ。
こと彼に関する限り、自分の知能は著しく低下する。
「ああ、そうだけど………始まってからすぐだったと思う。十五分位で戻ってきて交代し
たんじゃなかったかな―――てか、なんで俺に聞くよ。本人に聞けよ、どっちでもいいか
ら―――あぁ?………御愁傷様。今度オカズ差し入れしてやろうか―――何だよ、俺のお
宝ビデオにケチつける気かよ―――アホか、“こんな子いるかな”は不朽の名作だぞ」
自分以外の人間と楽しそうに話す彼を見たくなくて、そっと頭の向きを変えて目を閉じる
と、彼の手が下りてきてそっと髪を撫で始めた。たったそれだけのことなのに“電話の相
手が誰であれ、現在彼の傍にいるのは自分なのだ”と嬉しくなってしまう。
「んじゃ、またな」
しばらく話し込むかと思っていたのに意外と短く終わった電話に、膝枕もお終いなのかと
少しがっかりした。
「おい、寝ちまったのか?」
「………ううん、起きてる」
629風と木の名無しさん:03/11/06 03:19 ID:g4K8je2m
630風と木の名無しさん:03/11/06 07:24 ID:H8uKiHeM
エーッ!ウソー!
キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!
丸タン…報われてほすぃ…
631風と木の名無しさん:03/11/06 21:19 ID:Kt7xbhKr
オオオオオオ!キタキタ!
632風と木の名無しさん:03/11/07 00:21 ID:Cz77iKy6
(*´∀`)
633風と木の名無しさん:03/11/07 00:53 ID:qUpxwFqk
膝枕キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
634風と木の名無しさん:03/11/09 00:39 ID:WTnzsP7H
不朽の名作“こんな子いるかな”…み、見たい!
保守!
635風と木の名無しさん:03/11/10 17:37 ID:x6kU5xni
ホシュ☆
636風と木の名無しさん:03/11/11 15:01 ID:f0aHTkEn
637風と木の名無しさん:03/11/13 01:40 ID:OY7h1gwq
ホシュ。
638風と木の名無しさん:03/11/13 11:35 ID:3+rayhG4
保守!
639風と木の名無しさん:03/11/15 22:32 ID:Y86Y9c77
ホシュ
640風と木の名無しさん:03/11/17 14:59 ID:0jxNaPxN
没収!
641風と木の名無しさん:03/11/19 12:05 ID:VdZGisIL
保守☆
642風と木の名無しさん:03/11/20 22:06 ID:ARNcEKlq
ほしゅ
643数学・物理 100の方程式:03/11/21 00:53 ID:yIbsPaF5
寝たふりをして引き止めたいけれど、明日も学校がある。週末来てくれるかどうか知れた
ものではないのにとしぶしぶながらに目を開けたら、まともに視線がぶつかった。
ずっと見られていたのかと羞恥に顔を赤らめたが、続く質問に甘い気分もたちまち消えた。
「俺らのクラスの数学の試験監督、自分がやったって言ったんだ?」
なぜそのことを知っているのかは、すぐに彼の口から明らかになった。
「今の、浜崎。お前から聞いた後に監督の表見たら小杉になってた、小杉はあの日出勤し
てたはずなのになんでだって。交代したなんて初めて聞いたっつってたな」
「………勝手に代わったら、駄目だったんだ」
「単に浜崎が過保護なだけだろ。それで時間が足りなかったんじゃないかって心配してた」
おみそ扱いで試験監督を割り振られずにすんだのに急遽代役を務めたのは、本来の試験監
督である小杉が呼び出された所にちょうど居合わせたからだ。印刷の不具合で読めない箇
所がないか確認するため各教室を回り終え、再び彼のクラスの前を通りかかった時のこと
で、頼まれて十五分ほど代わりを務めた。
小杉が謝罪の言葉を連発するのを怪訝に思いながら、彼を眺める時間が増えたと喜んで引
き受けた。文系クラスは前の時間に終わっていたし、その分を採点する時間が削られるの
を案じてくれていたというのに。おめでたすぎる。
「まあ、浜崎の気持も判らんでもないけどな。お前、遅そうだし」
図星を突かれて言葉に詰まった。たった十五分くらいと言い返すことはできない。
そういう甘い考えと自分勝手な判断が、今日まで採点を引き伸ばしてしまった。
「うん………でも、なんで僕じゃなくて君に」
644数学・物理 100の方程式:03/11/21 00:55 ID:yIbsPaF5
「お前に聞くと気に病みそうだから止めたんだと。俺より先に小杉に電話してみたら話を
する前にはねつけられたってよ。“九時以降はワイフとのラブラブタイムだから明日でも構
わない話なら断る”って」
「いくら浜崎先生と仲がいいからって、そこまで言わなくても………気の毒だよ」
小杉のところが至って夫婦円満なのは自分だって知っている。対して浜崎の方は女の気配
が全くない。一応毎日替えているようだが皺だらけのシャツ、ものは悪くないのに上下の
組み合わせがでたらめなスーツに身を包む彼は『いい人なんだけど』で片付けられてしま
う典型だ。そんな浜崎は、しばしば妻帯者の関口や小杉に『独り者』とからかわれている。
親密さの裏返しだからだろうか、彼ら二人の苛めの的は浜崎一人に絞られていて、他の誰
かを揶揄する場面は一度も見ていない。何かと関口に揚げ足を取られている山根ですら対
象外だ。デリカシーがあるのかないのか、よく判らない。
「それだけじゃねえぞ。“前にも言ったはずなのにこんな時間に掛けてくるとは、独り寝が
長い奴の僻みかそれとも嫌がらせか”とまで言われたとさ。そいで俺に掛けてきたんだよ」
笑いながら話す彼を見ていて、思わず呟いてしまった。
「浜崎先生と親しいんだ」
慌てて口を閉じたが、彼は特に気にした様子はなかった。
「授業うけたことないけどな。中等部に浜崎のかあちゃんがいて二・三年の時に教わった」
「教科は?」
「数学」
「もしかして、一番最初に答案の裏に何か書けって言った先生?」
645数学・物理 100の方程式:03/11/21 00:58 ID:yIbsPaF5
「そ。終わって寝てたらいきなり椅子蹴りやがって、他の奴のやる気が削がれるから止め
ろ、そんなに暇なら裏に何か書けって。てめえの怒鳴り声の方がよっぽど邪魔だっつうの。
………あー、ほんっとにうるせえババアだったな」
懐かしむように目を細めるのを見ていたら、一度会ってみたくなった。
「今でも―――あ、浜崎先生のお母さんなら若くて六十代後半か。もう退職された?」
高等部にも七十近い非常勤講師はいるが、もう教壇から去っていても不思議ではない。
「………まだ。けど、どうなるかな」
少々間をおいて返ってきた答えは、明るいものではなかった。
「三月の終わりに入院してそれからずっと休んでるし」
表情が少し固くなり、声のトーンも下がる。
「一応退院はしてる。でも、まだ本調子じゃないみたいだな。あのババアが元気なら浜崎
もあんなカッコで学校こねえだろうし。着る物全部、かあちゃん任せだったからなあ」
「………浜崎先生も大変なんだ」
「本人は洗濯してありゃいいと思ってるから、大変ってほどでもないだろ」
知らず知らずのうちに寄せていた眉根を指先でつつかれる。
「あれが本来の姿だって」
軽い調子でそう言われ、つられてくすりと笑った。
「あのな」
「ん? 何?」
「俺、カンニングしてないから」
646数学・物理 100の方程式:03/11/21 00:59 ID:yIbsPaF5
慌てふためいた挙句にベッドからずり落ちそうになったが、彼に抱きとめられて助かった。
「なんでお前が慌てるよ」
「だ、だって」
「だってじゃねえよ。やってねえつったらやってねえの」
「やったなんて思ってないってば! 君こそ、誰から何を聞いてそんな―――浜崎先生?」
無言で目がそらされる。
「違うの? じゃあ、別の先生から聞いた?」
「お前さ、ちょっと単純すぎ」
吹き出す彼が少しばかり恨めしい。昼間自分がどれだけ悩んだかなど彼が知る筈もないの
だが、それでもやはり。
「僕は真面目に聞いてるんだけど」
「こっちも大真面目だ。俺のこと浜崎としゃべってて、試験監督の話になったのか」
「………なんで、判るの?」
「少しは考えて喋れよ。俺は『カンニングしてないから』としか言ってねえのに、誰から
何を聞いた、浜崎か、でなけりゃ他のかって―――浜崎と俺のカンニングに関して話した、
それは他の奴も知ってるってゲロったようなもんじゃねえか」
抱き寄せられ、背中を軽く叩かれて、むきになった自分が馬鹿みたいに思えてきた。
「………君の答案、初めは表だけしか見てなくて………やったのかと、思った」
彼の肩から湿ったタオルを落とし、素肌に額を押し付ける。
「証拠もないのに決めつけちゃいけない、でもどうすればって焦ってたら浜崎先生が来た。
見られたらまずいって隠そうとしたけど―――わ、笑うことないだろ」
647数学・物理 100の方程式:03/11/21 01:02 ID:yIbsPaF5
肩を震わせる彼にしがみつくと、膝の上に抱き上げられた。
「それはまずいだろ。いや、庇ってくれるつもりだったんだろうけどさ」
「式と答えしか書いてなかったら普通疑われるよ。問題によっては減点にもなるし」
「そういうのはちゃんと書くって」
「そうだね。式また式で、単純な計算は抜かして飛び飛びに書いて―――まるで採点基準
の下線部を抜き出したみたいに綺麗な答案だった。テストってものを本当によく御存知で」
「なんか刺のある言い方するなあ」
耳元で囁かれ、肩を竦める。
「だって、僕は浜崎先生が教えてくれるまで裏側見てなかったんだから。潔白を証明した
くても計算用紙は集めてないし、どうしようって………」
「はいはい、俺が悪かった」
「悪いなんて思ってないのにそんなこと言わなくてもいいよ。一度は僕も疑ったんだし」
「へえ、今は疑ってないんだ?」
「うん。答案見た直後は『これはまずい、見られたらやばい』ってうろたえちゃって、他
のこと何も考えられなかったけど、よくよく考えなくてもするわけないなあって。なんで
一瞬でも疑ったのかな。授業中にあんな綺麗なグラフ描いたたのに」
「グラフ?」
「覚えてない? 前に出て黒板に、二次曲線と直線四本―――あれ見て、数学が得意なん
だなって思った。あ、答案の裏の回転体も綺麗に描けてたね」
「美術部の連中だったらもっとマシなの描くんじゃねえ?」
648数学・物理 100の方程式:03/11/21 01:10 ID:yIbsPaF5
笑いながら軽くあしらわれて、たまには言い返してみたくなった。
「だからって全員数学が得意とは限らない、って? そりゃそうだよ。元になるグラフが
描けなかったら回転させようもないし………まあ、似たようなところがあるとは思うけど」
美術のデッサンでも数学のグラフでも、苦手な人間が描いたものは作成者の自信の無さが
透けて見える―――そう言いかけて、途中で言葉を飲み込んだ。
突然の指名にも慌てず、手ぶらで前に出て素早く描きあげた彼には縁のない話ばかりだ。
悲しいかな、下手なりに頑張ろうにも時間をかければいいというものでもない。いっそ早
めに投げ出した方が空白が多くなって目に優しいのでは、と言いたくなるようなのもある。
用紙の隅にかすれた線を無闇に重ねたり、あるいは歪んだ線をこれみよがしに大きく描い
たり。まるでかけた時間に比例するかの如く薄汚れていき、最悪紙が破れ………笑い話に
するのも気が咎める。
そもそも、対象を正しく捉えた者が描く迷いの無い線がどれだけ美しいかを説くために、
不得意な者を引き合いに出す必要はない。仮にも教師のくせに。自分で自分が嫌になる。
黙り込んで彼の背中に両腕を回し、身を預けた。
「どうした?」
子供をあやすみたいに、ゆっくりと体を揺らしてくれるのが心地良い。
「疑ったりしてごめん。ばれないようにカンニングするより、その場で解く方が楽だよね。
そんなこと考えてる暇にさっさと採点してれば、もっと早く帰れたのに………ごめん」
「大して待ってねえよ。浜崎が意地でも終わらせるだろうから、遅くても七時かそこらと
思って来たんだし」
649数学・物理 100の方程式:03/11/21 01:27 ID:yIbsPaF5
「………準備室まで来たのも、手伝ってくれるつもりだったのかな」
「そりゃそうだろ。明日逃したら、えっらい先になるし」
「やっぱりその週のうちに返しちゃうんだね。次の週にまわしちゃいけないんだ」
「………あのな、うちのクラスの授業、通常は何曜日か覚えてるか?」
「火曜日と金曜日―――な、なに?」
いきなり両の頬を摘まれ、左右に引っ張られる。
「俺ら、来週の火曜日から修学旅行。明日逃したら再来週」
驚いて馬鹿みたいに口を開けてしまった。すると今度は両手で顔を挟んで覗き込まれた。
「年間予定表、もらっただろ。まさか学校に置いといたらなくなったとか言うなよ」
「ちゃんとあるよ。忘れてただけだってば。小学生じゃあるまいしなくしたりしないって」
「四月からこっち、他になくなった物は?」
「特にないよ? 自分のところでなくなるのが一番嫌な小心者だから、学校の資料なんか
は使ったらすぐに戻して溜めないようにしてるし、私物はなるべく置かないようにしてる」
「いい心がけだな」
彼が笑って唇を額に落とした瞬間、ようやく何を尋ねられていたのか悟った。一拍どころ
か数拍遅れているが、言わないよりはと慌てて付け足す。
「僕が気づいてないだけかもしれないけど、嫌がらせもされていない。最初はともかく、
今は永沢先生とはほとんど話さないよ。担当してる学年も違うから」
「―――永沢のことも、浜崎に聞いたのか」
「小テストの件だけ。永沢先生本人からは四月の初めに色々。君のことばかり聞かされた」
650風と木の名無しさん:03/11/21 14:28 ID:Ti4Srw61
キテタ…キテタヨッ!
また来て…
651数学・物理 100の方程式:03/11/21 18:13 ID:yIbsPaF5
「小テストの話を、浜崎がお前に?」
怪訝そうな顔をされて、焦って記憶の糸を手繰った。
「あ、違う。山根先生からだ。浜崎先生から聞いたのは年度半ばで担当が替わった話だけ」
「ちっ、山根か」
「………山根先生が教えてくれなかったら僕は何も知らないままだったよ。浜崎先生は、
ぼかした言い方しかしなかったし」
「だろうな。俺にばっか肩入れする気はない、中立でいくって去年もはっきり言ってたし」
「なんで? どう考えたって悪いのは永沢先生の方じゃない」
「見てきたようなこと言うなよ。去年居合わせたわけでもないのに」
いかに口調が優しかろうが、これでは“お前は関係ない”と突き放されたも同然だ。
「いちいちお前が気にすることでも―――あー、もう。泣くことねえだろ」
苦笑まじりに頭を撫でられ、優しく目元を拭われても涙は止まらない。
「だ、だって………っ………」
「ったく、山根の奴もしょうがねえなあ。修学旅行前にバラしたろか。絶対恨まれるぞ」
修学旅行と聞いて、関口が山根をからかっていたのを思い出した。
「………自由行動?」
鼻をすすりながら尋ねると、彼の表情が緩んだ。
「もう聞いてんのか」
「何をやったのかは知らないけど、凄かったって関口先生が言ってた」
「俺は別口からの又聞きだが、凄いって言うよりアホだ」
652数学・物理 100の方程式:03/11/21 18:17 ID:yIbsPaF5
「他校生とケンカした、とか?」
「いや、それならまだマシ。山根の学年までは、班ごとに終日自由行動できる日があった
んだ。それで朝一でホテルにタクシー呼びつけたでは良かったんだがな。山根がでかい声
で“雄琴までどれくらい?”って叫んで、関口に捕まっちまったんだと。捕まってもしら
ばっくれてりゃいいのに、べらべらしゃべって全部パー」
「おごと?」
おそらく地名だろうが一体どこなのかと首を傾げていたら、彼が耳打ちで教えてくれた。
「こ、高校生が行くところじゃないだろ!?」
「結構みんな行ってたらしいぜ? 私服に着替えたら判んねえし。山根のせいで、次の年
から自由行動は二時間以下になったんだよ。日程が三泊四日に縮んだのもあいつのせい」
「………行けなくて残念だったね」
「別に? わざわざ修学旅行で行かなくても、こっちにだっていくらでもあるし」
あっけらかんとした答えを聞いて、がっくりと肩が落ちる。『興味がない』は高望みだとし
ても、せめて『不自由してない』と言って欲しかった。
「しっかし、いまどき私立で京都三泊四日ってありか?」
それを受けて、隣県にある巨大遊園地の方が良かったのかと尋ねたら、渋い顔をされた。
「それこそ暴動もんだろ。何が悲しくて修学旅行であんな近場に行かなきゃならねえんだ」
ようやく年相応の顔を見られたような気がして、つい声に出して笑ってしまった。
彼が苦笑いして目じりに唇を寄せるのに、先ほどまで泣いていたのを思い出す。
しつこいと思ったが、このまま誤魔化されてしまうのも嫌で、あえて食い下がった。
653数学・物理 100の方程式:03/11/21 18:22 ID:yIbsPaF5
本当は、彼があやしてくれるままに流されてしまえばいいのだろうけれども。
「山根先生の話はしてくれても、どうして永沢先生が君に拘るのかは教えてくれないんだ」
「永沢には聞くなよ」
特に気を悪くした風もない代わりに、何も聞き出せずにあっさり打ち切られて終わった。
「聞けないよ、変に刺激したくないし………でも一つだけ、聞きたいことがある」
「ん?」
「小テスト。習ってない範囲で白紙だったって聞いたけど、本当は解けたんじゃない?」
珍しく、彼が視線をさまよわせた。
「………少しは、書けたかもしれない」
「じゃあ、どうして白紙に? 書いても採点で手を加えられたら無駄だと思った?」
「それもあるけど………さっきお前も言っただろ。刺激したくなかった。院試でも、まだ
証明されてない定理でも出題できたのにあの程度の問題出してきたってことは、それほど
頭煮えてるわけでもなさそうだから、下手に答えずにさっさと流した方がいいかと思って」
「流してって、それで零点になったら、それでなくても授業中のこととか―――」
憤りに駆られて捲し立てたら、鼻を摘まれて勢いを殺がれた。
「あのな。言いたかねえけど、俺は中等部の時もそこそこ成績良かったんだ。高等部に上
がった途端に数学だけ1になったら担当教師も疑われる程度にはな。だからほっといたん
だよ。長引いて半年以上も続くようなら、自主退学して大検受けるつもりだったし」
では、もし永沢が要領よく生徒苛めをやりおおせていたら彼と出会うこともなかったのか。
「………永沢先生が抜けててよかった」
654風と木の名無しさん:03/11/21 19:06 ID:6Y9E6Nbh
シアワセ…
655風と木の名無しさん:03/11/21 20:55 ID:ivpQPKmY
ハッピー…
656風と木の名無しさん:03/11/21 21:36 ID:ojvYYacE
ウキャ!
657風と木の名無しさん:03/11/21 21:43 ID:hqMpcmGg
マッテテヨカッタ…
658風と木の名無しさん:03/11/22 05:38 ID:9s8Jmuhy
相変わらずオモロー
659風と木の名無しさん:03/11/23 02:02 ID:Vf2qg5eV
サイコー!
660風と木の名無しさん:03/11/24 02:54 ID:mZVqI1/X
イイーッ!!
661風と木の名無しさん:03/11/24 13:23 ID:y7YP+FJ8
ホシュ
662風と木の名無しさん:03/11/25 00:35 ID:8Sr95JAb

名前が借用されてるだけで、世界観は違うと分かってはいるのだが
ちび○子をハァハァしながら観るようになってしまった…


スエタン萌えーーー!!
663風と木の名無しさん:03/11/25 05:00 ID:56QywYgo
泣き虫丸尾タン(*´Д`)
664風と木の名無しさん:03/11/25 21:37 ID:2i+0LLh6
スキ…
665風と木の名無しさん:03/11/27 05:48 ID:DSPd53vJ
ほしゅりましゅる
666風と木の名無しさん:03/11/27 21:07 ID:2tkB21C/
保守!!
667風と木の名無しさん:03/11/29 21:01 ID:QA5GPwWw
ほしゅ
668風と木の名無しさん:03/11/30 02:12 ID:YDIc4JhE
ホシュ
669風と木の名無しさん:03/12/02 22:38 ID:mAcIpnh4
670風と木の名無しさん:03/12/04 02:09 ID:CxehiRq6
ホス
671風と木の名無しさん:03/12/05 00:04 ID:26vnr1CX
保守!
672風と木の名無しさん:03/12/08 06:10 ID:bbJKk2C1
  、、、、 ミ・д・ミ<ほっしゅ  """"
673風と木の名無しさん:03/12/10 19:24 ID:F+xskoh7
674風と木の名無しさん:03/12/11 03:53 ID:ftZTCRX2
ほしゅ。
675風と木の名無しさん:03/12/13 15:25 ID:aW1DnZ6/
華麗にホシュ上げ

+
+  (VーV)ノ
(√ ) +
]

676675:03/12/13 15:26 ID:aW1DnZ6/
ずれまくり…('A`)
677風と木の名無しさん:03/12/15 06:46 ID:oI5H23Kg
一気にここまで読んじゃったよ…
面白かったです。個人的には花輪くんが気になるぜベイビィ
素敵な萌えをマリガトン
678風と木の名無しさん:03/12/16 14:15 ID:OJJeLYt/
保守!
679風と木の名無しさん:03/12/17 03:49 ID:wVnfQK5Z
もう、2年になるんだなあ、りくシリーズ…保守
680風と木の名無しさん:03/12/19 14:37 ID:iZmu5Wd8
ほっしゅほっしゅ
681風と木の名無しさん:03/12/19 23:32 ID:XfvBOPwd
ホシュ☆
682数学・物理 100の方程式:03/12/22 22:35 ID:eOEw+PIS
「永沢も、お前に言われたくないだろうな」
散々醜態を晒した身では言い返すこともできずに唇を尖らせて俯くと、ゆっくりと膝の上
から降ろされた。
「そろそろ帰る」
「あ、うん………えっ、もうこんな時間?!」
急ぐ様子もなくのんびりと服を拾い上げたからまだ時間に余裕があるものと思っていたが、
時計を見るともう終電が出てしまった後だ。
「電車、もうないよね。ちょっと待ってて」
財布を取りに立ち上がりかけたが、肩を押されてベッドに転がる。
「適当に帰るからいいって」
その『適当』が嫌なのだ。そこらで適当な車を引っ掛けたり、あるいは誰かを呼び出した
りしないで、まっすぐタクシーで帰って欲しい―――と言えたらいいのだが。
「気をつけて」
実際に口から出るのは、当り障りのない言葉だけ。
「ん。おやすみ」
そのまま扉に向かうと思っていたが、ふと足を止めてサイドテーブルの本を取り上げた。
「え」
つい上げた声に反応して、彼はすぐに本を元の位置に戻し、こちらを見た。
「ああ、勝手に触って悪かったな」
「べ、別に悪くなんて。ただ、その、古い本だから。そういうのが読みたければ、もっと
新しいのを貸すよ?」
「いい。んじゃ」
ひょいと片手を挙げて寝室から出て行く彼を、手を振りながら見送った。
扉が閉まるのを見届けてから目を閉じる。奥まで音が響くような閉め方はしないから、耳
をすませていないと、いつ玄関から出て行ったか判らない。
683数学・物理 100の方程式:03/12/22 22:43 ID:eOEw+PIS
本当は玄関まで一緒に行って見送りたい。彼の姿を見ていられる時間は一秒だって惜しい。
しかし、実際に行動に移したことはない。玄関口で袖を掴んで引き止めてしまいそうで、
恐くてできない。
―――鬱陶しい真似はしたくない。できる限り、彼にとって都合のいい男でありたい。
かすかな金属音を聞き取ったのち、浴室に向かうべくのろのろとベッドから這い出ると、
先ほど彼が手にした本が目に入った。
“連立方程式から数理物理の最先端へ”と副題がつけられたそれは、本来見られて困るよ
うなものでもない。子供の頃に隣りのお兄さんに貰って以来、大切にしてきた本だ。
大学院卒業後、就職のために自宅を出ることにした彼が引越しの荷物を纏めているところ
に顔を出したら『欲しい本があればあげるよ』と言われた。
中学生になる直前の自分がどうしてこの本を選んだのか、理由は良く覚えていない。ハー
ドカバーではない、比較的薄めのものなら学術誌の類もあったはずなのだが。
おそらく表紙に惹かれたのだろう。見たこともないグラフや聞いたこともない方程式が並
んだそれが、他の地味な表紙のものよりもとっつきやすく感じられたのかもしれない。
一応貰ったその晩に自室で広げてみたものの、何が書いてあるのかさっぱり判らなかった。
それでも彼をしのぶよすがとして、常に学習机の上に載せておいた。自慰を覚えてからは
何度もお世話に………そんなことは黙っていれば判りはしないのだが、後ろめたいやら恥
ずかしいやらで慌てふためいてしまった。
くれた当人の預かり知らぬところで汚らしい真似をしているという自覚はある。

幼い自分とよく遊んでくれた隣家の次男坊は年の離れた姉と同学年だった。
自分が幼稚園の頃はさほどでもなかったのに、小学生になってから頻繁に声をかけてくる
ようになったのには理由がある。
なんと彼のストライクゾーンは小学生だった―――わけではない。残念ながら。
後に思い至ったが、進学を機に上京した姉との接点を保ちたい一心だったのだろう。
684数学・物理 100の方程式:03/12/22 23:07 ID:eOEw+PIS
もっとも、将の近況を尋ねると『僕と遊んでるのにお姉ちゃんの話ばっかり』と拗ねてし
まう馬では努力の甲斐もなかったが。
じきに諦めて、夏休みを迎える頃には彼から姉の話題を振ることもなくなった。だからと
いってすぐには役立たずのチビを邪険にできない人の良さに付け込み、結局大学卒業まで
付きまとった。
間もなく自分の兄が学生結婚をしてしまったのも彼にとっては不幸だった。学生夫婦に代
わって孫の面倒を見始めた母が、これ幸いとばかりに家庭教師を頼んでしまったからだ。
定期的に部屋を訪れ、正規の時間が終わってもなお居座るガキなどさぞ煩わしかっただろ
うに、嫌な顔ひとつ見せなかった彼は本当に偉いと思う。
『末男ちゃんは賢いから楽だ』と度々言ってもらえて有頂天になりもした。もしかしたら
家庭教師はいらないだろうと暗に仄めかされていたのかもしれないけれど。
それでも、小学生の自分が勉強に関して手がかからなかったのは確かだ。ことさら知能が
高かったわけでもないが与えられた課題を黙々とこなすのが苦にならない性質で、テスト
ではそれなりの点を取ってくる子供だった。
時間内に解けず空欄で提出した問題も、一度教えて貰えばちゃんと覚えて次からは解けた。
―――今にして思えば、この時すでに危険な兆候は現れていたのだ。当の本人はもちろん、
学校の教師も親も家庭教師も、誰も気づいていなかったが。
小学生低学年の頃、どうして答案を破いてしまう級友がいるのか理解できなかった。消し
ゴムのかけ過ぎで破れるなんて思いもよらなかった。
これでテストが毎回満点なら実に嫌味たらしい子供だが、それほどできが良くもなかった。
解けたらさっさと書くし、解けなかったら考える。考えても判らなかったらパス。当然、
解けたつもりでいたのが間違いだったりすることもあるが、いずれにしても答案を破くに
は至らなかった。
『もしやテスト憎しでわざとやっているのか』と家庭教師相手に漏らしてしまったほどだ。
何度も消しゴムをかけるのは延々迷っている間に何回も答えが変わるからだと家庭教師に
説明されてもピンと来なかった。
試行錯誤を繰り返せばどうしてもそうなるというのが、もう感覚的に判らなかったのだ。
685数学・物理 100の方程式:03/12/22 23:08 ID:eOEw+PIS
(考えたって、知らないものは知らないし、判らないものは判らない)
頭の隅でそんなことを思いながら、闇雲に数値や単語、解法等を暗記して、何も考えずに
受験を乗り切った。

やがて大学に進学し、友人と彼女に出会った。
学籍番号順に並ぶ語学の授業で彼女を挟み横一列の席だったのがきっかけとなり、その日
の新歓コンパでもさっさと三人一緒のテーブルについた。
友人には一目で惚れた。よく日に焼けた顔、逞しい体にまず惹きつけられ、快活な笑顔に
駄目押しを食らった。
高校三年間山登りに専念して浪人したと照れ臭そうに語る彼は、いわゆる理系学生像から
は程遠く、青白い勉強小僧の典型である自分の目には大層眩しかった。
やがて講義が進むにつれ、彼の頭の良さを肌身で感じることになった。
演習や実験での要領や手際の良さもさることながら、講義に関しても理系文系の科目を問
わずに要領よくノートを纏めていた。
試験期間に入ってもバイトの予定を変えず、人に貸したノートが試験当日迄に返ってこな
くても平然としていた彼。特に勉強していた様子も無かったのにしっかり優を取っていた。
こうして思い出すと普通に優秀な学生だった気もしてくるけれども、当時はとてつもなく
凄い男に見えた。自分があまり要領がいい方ではなかったせいもある。だが、それ以上に
彼女が酷かったからだ。
板書のみならず講義をまるごと口述筆記したかのような、膨大かつとりとめのないノート
を初めて見た時は絶句した。
『あたし馬鹿だから、どれが書かなくてもいいのか時間内に判んないんだよねえ。だから
もう全部書いちゃうの。筆圧低いし、手首も丈夫だから腱鞘炎にはなったことないんだ。
頭の分と差し引きなのかも』
豪快に笑う彼女を見て、どうして現役で合格できたのかと頭を抱えたくなった。
686数学・物理 100の方程式:03/12/22 23:11 ID:eOEw+PIS
「人間、努力すれば何とかなる」という稀有な実例なのだろう。努力するのも才能だと、
どこかで読んだ覚えもある。
―――そうやって片付けた自分の不遜さに気づくのは、まだまだ先のことだった。

学部に進むと彼の優秀さはますます際立ち、彼女の要領の悪さも一段と目立った。
ゼミに同席した院生に笑われたこともある。
『お前ら三人、バランスいいんだか悪いんだか、よく判らんわ』
笑われるほどかどうかはともかく、三者三様だったのは間違いない。
ことさら自分から前に出ようとはしないが、必要とあれば的確にリーダーシップを執る彼。
ごく当り障りの無い意見を、それも求められた時にのみ述べ、早く終わらせたがる自分。
がむしゃらにノートを取りつつ、たまにとんでもなくずれた発言をして失笑を買う彼女。
―――出来の良さでは上中下といったところか。確かにバランスは取れている。
そうやって勝手に納得していた。
彼女に対する評価はあくまで低かったが、侮っているという意識は無かった。傲慢にも、
自分には出来ない種類の努力を重ねる相手に敬意を払っているつもりでいた。
先輩達が彼女に向ける笑いも決して冷たくはなく、むしろ暖かくすらあった。出来の悪い
妹を、からかいながらも可愛がっているといった感じだった。
そんな光景を眺め、さすがに院生ともなると皆大人だと感心した。大学に入っても偏差値
を振りかざし、他大学を侮蔑する幼稚な連中に辟易していたから尚のこと。
彼女の明るさによるものも大きかったのだろう。頭が悪いと自己申告しても卑屈さはなく、
いつも前向きで明るかった。
彼女が院への進学を希望していると聞いた時、「脱落せねばいいが」と密かに案じもした。
不況を反映してか、はたまたモラトリアム期間の延長か、院へ進む者の数は増えているが、
脱落者も増加していると聞いていたからだ。
687数学・物理 100の方程式:03/12/22 23:12 ID:eOEw+PIS
自分も進学志望だ。人の心配をしている場合ではなかったが、それでも彼女に比べればマ
シだ。友人は間違いなく合格するだろう。
―――どうか三人揃って合格しますように。
そんな幼い夢を、一人で見ていた。

四年に進み、友人と彼女が付き合いだしても依然として三人でつるんでいた。コンパでも
ない限り、夕刻になれば友人がそそくさと帰ってしまうのも入学当初から変らず、四年に
なってもバイトに励む余裕のある彼を素朴に羨んで院試の準備に取り掛かった。
彼の分も過去問をコピーしようとして、初めて進学しないことを知った。
『公務員試験受けるんだって』
彼女から聞かされたのもショックだったが、付き合っているのだから当たり前だと自分を
納得させた。
―――理系学部で文系就職を志す者は珍しくもないが、地方とはいえ公務員の事務職は相
当厳しいのではなかろうか。
『だろうねえ』
恬淡としている彼女に苛立ちかけたが、続く台詞に、背中に冷水を浴びせられたような心
地になった。
『ちゃんと話しておくね。丸尾君に聞かれたら説明してくれって頼まれてるし―――前々
から準備はしてたんだよ。もう一昨年くらいには、先輩の知り合いにそういう人がいない
か聞いて回ってた。対策講座に通ったこともあるし、模試も受けてる』
二人が付き合いだすよりもずっと前から、自分だけが何も知らされていなかったのだ。
『最初は隠すつもりはなかったみたい。でもそのうちに「あいつの耳に雑音入れたくない」
とか言い出してさ。なんだかねえ。勝手に理想化して盛り上がってるなあと思ったけど、
そこであたしから丸尾君に言うのも変でしょ? 丸尾君はあんたが院行くもんだと思って
るよー、って何回言っても「判ってる、ちゃんと話す」ばっかりだったくせに、今ごろに
なって「頼む。俺からは言いづらい」って。アホか。自分で言いづらくしたんじゃん』
―――彼の進路の話を雑音だなんて思うわけがない。院に進むと勝手に信じて疑わなかっ
た自分が重く感じられたのか。何も話したくないと思うほどに。
呆然として立ち尽くし、彼女に背中を叩かれて我に返った。
『だから早く言えって言ったのに。もし丸尾君が落ちたらあいつのせいだね』
688数学・物理 100の方程式:03/12/22 23:13 ID:eOEw+PIS
小さく呟いた彼女の声はいつまでも耳に残り、院試までの数ヶ月間、自分を支えてくれた。
無事合格できたのは彼女のおかげだ。つくづく、彼女は自分の良き理解者だったと思う。
もしかしなくても、ずっと自分が抱いていた彼への想いに気づいていたのだろう。でなけ
れば、あのタイミングであんな台詞は出てくるまい。
ようやくそれを悟ったのは、院を中退すると決めてからだった。
彼女も相当うまくやりおおせたが、こちらの目が節穴だったのが何よりも大きい。彼女の
がさつな面ばかりに目が行って、細やかな部分には気づきもしなかった。
ただ無神経なだけの女が、あんなに教授や先輩達に可愛がられたり、友人に好意を抱かれ
たりするはずもないのに。
………そんなつもりはないと思っていても、どこかで彼女を馬鹿にしていたのだ。

卒業式の間中、泣きそうになるのを必死でこらえた。大学に行けば友人に会える生活が終
わってしまうのだ。
式の直後、人気のない場所に誘われた頃には死にそうな顔をしていたに違いない。今生の
別れでもあるまいにと友人は笑いだし、彼女に小突かれていた。
『丸尾君に謝った?』
そう彼女が切り出した時、すぐには何のことか判らなかった。忘れたわけではなかったが、
既に遠い記憶になりかけていたのだ。
真顔になった友人は一瞬目を伏せたが、すぐに視線を上げた。
『ずっと黙っててごめん。院に行くつもりはないってもっと早く言えばよかった。でも、
お前とは初任給だの倍率だのって、そういう話したくなかったんだ。そんな暇があったら
数学の―――いや、数学じゃなくても何でもいい―――大学で学んでることについて、話
をしたかった。お前と友達になれて四年間本当に楽しかったよ。これからもよろしくな』
照れもせずに差し出された手を硬く握り締めた瞬間、ついに涙が溢れてしまった。
『な、泣くなよ―――おい、ハンカチ』
689数学・物理 100の方程式:03/12/22 23:16 ID:eOEw+PIS
すかさず彼女が目元を拭いてくれるのに甘え、自分では何もせずに泣き続けた。
『ま、まだ院に行くかどうかまだ決めてないって、一年の夏休み前に言ってただろ………
親もどっちでもいいって言ってるって………』
『うん、言った』
『事務職って、なんなんだよ………』
『あ、お前、事務職馬鹿にすんなよ。これでも結構真面目に勉強したんだから』
『事務職馬鹿にしてるわけじゃない、なんでわざわざ文系就職したんだ………も、もし、
進学の費用とか、そういうのが理由だとしても………』
本来、友人が謝るいわれなどどこにもない。駄々をこねていると自分でも判っていたが、
この際一年近く貯め続けた鬱憤を一気に晴らしてしまおうと思った。学費が問題なら出さ
せてくれと最後まで言わずにきた自分への、せめてもの御褒美だ。
『いや、金じゃない。バイトで稼いだ分もあるけど、頼めば親も出してくれたと思うし』
『だったらなんで………僕なんかより、お前のがずっとできるのに………』
『それはない。ないのは根性もだけど―――こいつくらい執念深くなれたら考えたかもな』
友人が苦笑しながら彼女を指差すのを見ても、単なる揶揄だと思っていた。
教養でも学部でも、いつだって友人は鮮やかで鋭かった。
対照的に彼女は泥臭い努力を重ね、何事にも執拗に食い下がった。時には見当違いな方向
に進みかけ、それを周囲が押し留めて正しい道に引き戻してやるといった具合で、お世辞
でも友人が褒めるような器ではないと決め付けていた。
『執念深くて悪かったね』
『尊敬してるんだよ。お前ほど熱くもなけりゃタフでもないからさ―――もう大丈夫か?』
頬を掠めた指先に顔が熱くなりかけたが、彼女がタイミングよく友人の腕を引いてくれた。
『ハンカチ濡らしてきて』
このままでは研究室にも行けないと友人を追い払った後、彼女は軽く自分の肩を叩いた。
『丸尾君とは、あと二年は一緒だね―――四月からもよろしく』
690風と木の名無しさん:03/12/23 00:52 ID:mquMpAAw
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
691風と木の名無しさん:03/12/23 02:07 ID:yYlbxYsd
丸タン…(*´Д`)ハァハァ
692風と木の名無しさん:03/12/24 18:47 ID:pD/CSGQL
先生に幸あれ、保守。
693風と木の名無しさん:03/12/27 04:49 ID:NWAN24/7
694風と木の名無しさん:03/12/28 04:18 ID:uwJeyVDJ
保守
695風と木の名無しさん:03/12/29 05:06 ID:jMKbGV7X
696風と木の名無しさん:03/12/30 01:52 ID:yKk27CgE
保守★
697風と木の名無しさん:03/12/31 16:59 ID:2PXByFFc
今年最後のホシュだなぁ…。
698風と木の名無しさん:04/01/02 02:22 ID:DgxP6sCJ
あけおめ☆
699風と木の名無しさん:04/01/03 01:39 ID:YZoKt7uu
あけおめ(*´Д`*)ほっしゅ
700風と木の名無しさん:04/01/04 01:07 ID:pgFwqGsz
701風と木の名無しさん:04/01/04 21:19 ID:d/chA03S
あけおめホシュ
702風と木の名無しさん:04/01/06 17:46 ID:Sjm3+QTJ
掘っしゅ
703風と木の名無しさん:04/01/08 00:36 ID:SM+iY+a6
ほっしゅヽ(`Д´)ゝ
704風と木の名無しさん:04/01/08 21:58 ID:5FE9W38R
 
705風と木の名無しさん:04/01/09 21:56 ID:H3YX1jxC
706風と木の名無しさん:04/01/10 00:31 ID:6kXxyg8Q
アゲ。
707風と木の名無しさん:04/01/11 18:08 ID:Vhrv/Tga
ホシュ
708風と木の名無しさん:04/01/13 00:55 ID:0nWMIl4z
(*´Д`)保守
709風と木の名無しさん:04/01/15 02:48 ID:1xscGJZB
ほしゅ
710風と木の名無しさん:04/01/15 09:10 ID:V8+eAtQy
オイッス
711風と木の名無しさん:04/01/17 23:33 ID:36CRajr0
ホイッスル
712風と木の名無しさん:04/01/18 01:20 ID:zjLkNMBn
保守
713風と木の名無しさん:04/01/21 03:54 ID:MXdRfXU6
ほしゅ
714風と木の名無しさん:04/01/23 00:56 ID:7gXsBc3A
丸タン保守
715風と木の名無しさん:04/01/24 03:24 ID:u0yXGsqe
放置プレイにも負けずにほしゅでふ
716風と木の名無しさん:04/01/26 02:02 ID:WLcFbruq
最近来たばかりだけど、一気に読んじゃいました。
職人さんサンキュ
住人さんにもサンキュ
717風と木の名無しさん:04/01/28 03:06 ID:CWGyagHo
自分の誕生日勝手に記念ほしゅ
718風と木の名無しさん:04/01/29 18:40 ID:bqTR/tKr
おめでトン保守
719風と木の名無しさん:04/01/30 17:14 ID:t+OPFPtf
>717招福祈願保守
720風と木の名無しさん :04/02/01 22:14 ID:dJQ5Tko2
旦那帰宅祈願保守
721風と木の名無しさん:04/02/04 06:30 ID:hkjyaSux
職人様降臨祈願保守
722風と木の名無しさん:04/02/06 21:50 ID:XDQejZf9
ほしゅage
723風と木の名無しさん:04/02/09 16:49 ID:i9rOnGI/
保守
724へたれ小説その1:04/02/09 18:17 ID:zuyrhNpw
…確かに僕は自分主義者だった。
801パワーズが勝利する為には、手段を選ばなかった!! …物事は結果が全て!! でも事実…
801パワーズはおマンコ倶楽部に負けた!! 僕は、正男に悪いコトをした…。
正男の命なんか…なくなっても構わないと思った。どうせ、僕の命じゃない!!
でも…山田花子にも惨敗してしまった!! 罰が当たったんだろうか…!?
今、僕は素直に謝りたい!!…そぅ、思っていた。
僕は正男の部屋をノックした。…まだ眠そうな正男だったが
「話があるんだけど…」
と言ったら、中に入れてくれた。正男は今時、珍しいくらい純真な奴なのかな…!?
僕はまた、罪悪感が増してきた。
「すまない正男君。」
僕は手をついて謝罪した。…正男は理由が分からなかったらしく、ポカンとしていた。
「りくさん、顔を上げてください。一体、どぅしたんですか?」
…僕は正直に話した。
…まだ子供なのに、2ちゃん界でもっとも危険な技・801バズーカをやらせ続けさせたコト…
そして、命を失う危険性があるのを知りながら、正男に教えていたコト…。
全てを告白した。 …と同時に、正男の目から大粒の涙が流れた。
正男は泣き出した…。泣きながら
「ヒドイですよ…りくさん…ボクは一体何なんですか?」
と激しく抗議する。僕は焦った!!…焦りのあまり…つい、こぅ言ってしまった!!
「何でも言うコト、聞いてあげるよ。」
「じゃあ、服を脱いでください。」
と正男は言った。呆気に取られ、無言になっていると…正男が急き立てる。
「何でも…言うコト聞いてくれるんですよね。」…僕は覚悟を決めた…。




725へたれ小説その2:04/02/09 18:24 ID:zuyrhNpw
僕はネクタイをほどいた。シャツも脱いだ…。コレから何が起こると言うんだ…!?
僕でさえも想像がつかなかった。また、正男が急かす!!
「りくさん、全て脱いで、裸になってください。」
全て脱いでしまった!!…生まれたままの姿をした僕を、正男は黙って見つめる…。
僕は…このまま、どうなってしまうのか…全然、見当がつかなかった。
不意に正男が、僕の手を掴んだ。
「今日は、りくさんに…何でも言うコトを聞いてもらいます。」
…ベッドに連れていかれ、足をM○開○にさせられた。そして…手足の自由を奪われた!!
正男がニヤニヤして見つめる。顔には恍惚な笑みを浮かべている。不意に僕の乳首に舌を伸ばす。
舌を這わせ、綺麗に円を描きながら…舌先でツンツンとつつく。僕は声を荒げ、体は熱を帯びてきた。
それと同時に…○○スが硬くそそり立ってしまった。正男の唇はペ○○に移動して、僕のソレをくわえ込んだ。
正男はじっとりと…舐めあげる。ゆっくりとストロークしていく。
「はぁっっ…」
気持ち良くて、声にならない!! 僕は射精に襲われた…。
僕は正男の口の中に…熱い液体を放出した!! 正男は…今、放出したばかりの…僕の精液を口移しで飲ませた。
ゴクッと喉の奥で飲み込む!!…とても苦かった!! ビター・チョコレートより、ブラック・コーヒーより苦い…。
「今度は、りくさんの番ですよ。」
正男は僕の口元に…自分のペ○○をあてがった。僕の唇に触れ、ねじ込まれ…
僕は正男の○○スにしゃぶりついた。正男の下半身は僕の中で、ムクムクと成長した。
正男はペ○○を僕の口の中から抜くと…僕のアヌ○に誘導した。メリメリと音を立て、入っていく…。
僕は頭が真っ白になった!!…その瞬間、再び…僕の口に、今度は正男の精液が注がれた。
―今日の僕は…正男の肉人形…。 Fin.
726風と木の名無しさん:04/02/11 17:56 ID:E6afC82d
保守乙
727風と木の名無しさん:04/02/11 18:16 ID:OJnlWZ9e
>725
同人板に似たような小説なかったか・・・?
728風と木の名無しさん:04/02/13 05:49 ID:9MLzKg7i
729風と木の名無しさん:04/02/15 02:31 ID:pI4BxDtn
星油
730風と木の名無しさん:04/02/17 07:54 ID:GTUvuAY8
731風と木の名無しさん:04/02/20 05:55 ID:ANFmwp+w
ほしゅAGE
732風と木の名無しさん:04/02/22 11:16 ID:rEYFfJK9
書いてー書いてー書いてー掻いてー

むず痒いよー

スエタン、りくタンどーなるのー!
733風と木の名無しさん:04/02/25 00:57 ID:BIw3zfv0
キテナイ・・・
734風と木の名無しさん:04/02/28 03:15 ID:8rwDt8XL
ほしゅ
735風と木の名無しさん:04/02/29 13:25 ID:C8L5qa0i
 
736風と木の名無しさん:04/03/01 01:02 ID:53L17q/T
板内現存最古スレ
737風と木の名無しさん:04/03/02 23:10 ID:nPXlV18z
ヨカタ、今日もちゃんと存在してる。ほしゅ
738風と木の名無しさん:04/03/04 04:08 ID:xif1KlDX
ほす★
職人さん元気ですかー
739 :04/03/06 19:35 ID:/vKLd6oF
740風と木の名無しさん:04/03/07 08:20 ID:TFX8l4q7
あげ
741風と木の名無しさん:04/03/11 15:28 ID:1GZ+g4qo
ホシュ
742風と木の名無しさん:04/03/13 03:55 ID:MATQd4vJ
ホシュ
743数学・物理 100の方程式:04/03/13 22:11 ID:iyxkCWtJ
そう言って笑った彼女は、四月の半ばからぷっつりと大学に来なくなった。

その日、自分にメール一つよこさず休んだ彼女を訝り、携帯にかけたが繋がらなかった。
メールを打った後、念のために自宅にもかけたが、こちらも出なかった。
普段なら一旦諦めて夜を待つところだが、なぜかその日に限って携帯と自宅の両方に何度
もかけなおした。なにがしか、予感めいたものがあったのかもしれない。
二時過ぎ、日中は誰もいないはずの自宅の電話に出たのは彼女の弟だった。まだ高三の彼
に「学校はどうしたのか」と尋ねると、小さな声で母親が倒れたと答えた。
朝、救急車を呼んで一緒に病院に行き、姉を残して一旦家に戻ったところに自分からの電
話がかかってきたのだという。
そこまで一息に話した後、ふいに言葉を途切らせ嗚咽を漏らした。
『すぐに行くから家で待ってて』
先輩に手短に事情を話し、急いでアパートに帰った。車に乗り込む前に友人の携帯に短い
メッセージを残してから一目散に彼女の家に向かう。
四年も一緒にいれば彼女の家庭環境も少しは知っている。
父親は既に無く、薬剤師の母と弟の三人暮らし。祖父母も全員他界しており、両親は共に
一人っ子。近い親戚が殆どいないのだ。
学生の自分に大したことが出来るはずもないが、それでも彼女の元に行ってやりたかった。

マンションの入り口に立っていた彼女の弟を拾い、どこの病院かを聞き出した。
『必要な物はあとで姉ちゃんが取りに行くから学校行けって言われたけど………行けるわ
けないじゃん』
赤い目を隠すように俯いた彼の頭を信号待ちで撫でた。彼とは初対面の時に“強大な姉に
虐げられる弟”という非常に情けない共通点で話が弾み、以来弟のように可愛がってきた。
『学校行けって言ったのは、緊急を争う事態じゃないってことだろうから』
無責任な言葉を吐く傍らで姉弟の前途を憂い、心中嘆息した。
一家の大黒柱が倒れたのだ。まだ学生の二人は一体これからどうすればいいのか。
そんな自分の胸の内を読んだかのごとく、弟がため息をついた。
『俺、高校卒業したら―――できたらの話だけど―――就職する』
『………今すぐに、それも君一人で決めることじゃないと思うよ』
744数学・物理 100の方程式:04/03/13 22:16 ID:iyxkCWtJ
『勉強そんなに好きでもない俺が無理して大学行く必要ないし。勉強中毒の姉ちゃんはと
もかく………姉ちゃんが学校辞めるのは絶対やだ。ドクターにも行かせてやりたい』
健気な言葉に他人の自分ですら目頭が熱くなりかけたが、当の姉は病院の階段でいきなり
弟を張り倒した。
『ふざけんじゃないわよ。あたし、あんたが就職したいなんて初めて聞いたよ。いつから
就職希望になったか言ってみな』
頭一つ分背の高い弟の襟首をつかんで揺さぶる姿は、自分の姉以上の迫力だった。
慌てて止めに入って弟を背後に庇ったら、余計彼女を怒らせてしまった。
『卒業してすぐに就きたい職があるわけでもないんでしょ? あったら人の背中になんか
隠れたりしないよねえ? 思いつきでもの言いなさんな!』
いくら声を落としているとはいえ、病院の階段でもみ合うのは迷惑かつ危険だ。
『二人とも、家に帰ってからゆっくり話し合った方が』
『話なんか―――ああもう、とにかく大学行け。入ってから好きなだけバイトでも何でも
しろ。言っとくけど、高卒フリーターと大学生じゃ時給に差があって当たり前だからね』
ろくな反論もできぬまま、弟は小銭とメモを渡されて買い物を命じられた。すごすごと去
る彼の後姿を見送りながら、彼女は両腕を組んでため息をついた。
『………あー、なんであんな甘ったれに育っちゃったかな』
『甘ったれはないだろ、あの子なりに色々考えて』
『あたしも手が出ちゃったからアレなんだけどさ。丸尾君の言う通り、ここでする話でも
ないでしょ。「病院に来たら気分が盛り上がっちゃいましたー」って言ってるようなもんじ
ゃん。悲劇の主人公気取ってんじゃねえよ、まったく―――もう一回病院に来るなら、家
から何か持ってきてくれりゃいいのに手ぶらで来やがって。ほんと使えない奴』
男なんて大体そんなものだと自分の母が入院した時の話をしたら、今度はこっちに怒りの
矛先が向けられた。
『お母さんとお義姉さんが一度に倒れたらどうすんのさ』
その時は姪達がやってくれるだろうとはあえて言わず、友人に連絡済であることを告げた。
『一応、「詳しいことが判り次第連絡するから、それまで来るな」って伝言いれといたから』
745数学・物理 100の方程式:04/03/13 22:19 ID:iyxkCWtJ
そう言わなければ早退して駆けつけていただろう。自分と違って、入院先を教えられなく
ても何とか辿り着いてしまえそうな男だ。
『別に電話しなくてもよかったのに。丸尾君もごめんね、わざわざ来てくれてありがと』
『よくないよ―――こっちこそ何もできないのに押しかけて悪かったね』
素っ気無い彼女の態度につい拗ねてしまったら、彼女が笑いながら背中を叩いた。
『そんなことないよ、ちゃんとあの馬鹿送ってきてくれたし。ふらふら出てったから、こ
の上あいつまで事故にあって入院したらどうしようかと心配してた』
すでに医師の説明も受けたという彼女に誘われて病室へ向かった。
眠っていると聞いて家族でもないのにと尻込みしたら、「それを言うなら最初から病院にく
るな」と返されてへこんだ。
『やだな、冗談だって。うちのお母さん丸尾君のファンだから目が覚めたら悔しがるよー。
またそのうち暇ができたら顔見せてやって』
そのうちということは、やはり長期にわたる入院なのか。
『どれくらいになるかねえ………ま、生きるの死ぬのって病気じゃないから。あ、退院祝
いは是非来てね』
この期に及んでいつも通りの身も蓋もない口が叩ける彼女を見て、上がしっかりしすぎる
とついつい下が甘えてしまうのはどこも同じだ、としみじみ思った。
母親の顔を見せてもらった後、自販機でコーヒーを買って廊下のベンチに座った。
『さっきはごめんね。後であいつシメとくから』
『シメるなよ。それに、病院で思いついたわけじゃない。来る途中にも話してたよ。勉強
そんな好きでもないし、“みんな行くからとりあえず”だからいいんだって………』
『それが本音なら、あいつだって今日こんなとこでいきなり言ったりしなかっただろうし、
あたしもあんなに腹立たなかったよ。』
姉を「勉強中毒」と評するだけあって、弟の学習方法は至ってスマートだった。机に向か
う時間も驚くほど少なく、タイプとしては実の姉よりもその彼氏に近い。
しかし、読書に充てる時間を聞いてしまえば、姉といい勝負の中毒患者であると知れる。
勉強が嫌いなはずがない。
746数学・物理 100の方程式:04/03/13 22:20 ID:iyxkCWtJ
一昨年の夏休み、大学で開かれた高校生向けの公開講座に出て以来、ずっと志望は変えて
いなかったはずだ。彼女も「うち受けたいんだって。成績だけはいいんだけど、とろいと
こがあるから変な失敗しそうでやだよ」と嬉しそうに話していた。
―――どうしてあの子が。
はにかみながら将来の夢を語った彼を思い出すと、悔しさが胸にこみ上げてくる。
なにも、学ぶ機会を奪われた子供は彼一人というわけでもない。世間にいくらでもいる。
判ってはいるのだが、やはり実際に言葉を交わした相手は別格だ。
大学に進んでも教養から学部に上がる際に希望した学科に進めるかどうかなんて判らない。
希望が叶ったとしても、挫折感に苦しめられることだってあるだろう―――自分のように。
それでも行けるところまで行かせてやりたかった。挫折するならそれも良し。
やれるところまでやって駄目なのと、最初から何もできないのとでは、後に引く尾の長さ
が違う。
―――いっそ、金を出させてくれと言ってしまおうか。
怒鳴られるのを覚悟して唇を湿した瞬間、彼女がぽつりと呟いた。
『費用があってもテンション落ちて不合格だったらそれまでなのになあ………ま、本当に
やる気なくしたんならそれはそれだ。無理矢理行かせても税金の無駄遣いだし』
『失礼を承知で聞くよ。資金面に不安はないんだ?』
彼女は、私立はさすがに勘弁してほしいと苦笑いしたのち、すぐに生活が逼迫するわけで
もなければ病状もさほど深刻ではないと言った。
『あいつも何を勘違いしてあんなこと言い出したんだろ。一緒に先生の話聞いてたのに』
『頭に入ってなかったかもな。それにお母さんも、保険とかの話は「お姉ちゃん」としか
してなかったんじゃないか?―――それじゃ、後は勉強しろって尻叩くだけなんだ』
『そゆこと。ま、近いうちに休学届出してくるわ』
『………休学、って………お金の心配はないんだろう?』
『うん。でも、できるだけ付き添いたいし。あいつもガッタガタだから、しばらく家にい
て様子見たい―――やだな、そんな顔しないでよ』
彼女は笑いながら両手で紙コップを包み、覗き込むようにして語り続けた。
『うち、母子家庭じゃない? お母さんのおかげであんまり金銭的な苦労はしてないけど』
747数学・物理 100の方程式:04/03/13 22:23 ID:iyxkCWtJ
祖父も早世したため母親もまた母子家庭に育ったという。苦心して一人娘を大学まで行か
せた祖母は「女だからこそ手に職をつけておきなさい」と幼い孫に言い聞かせたそうだ。
『けど、お母さんはあたしが大学で数学やりたいって言っても特に何も言わなかったし、
教職勧めたりもしなかった。あいつはあいつで天文学とか寝言こいてるし………姉弟揃っ
て食えない方へ食えない方へって進んでんのに「好きにしなさい」くらいしか言ったこと
ない。資格の有り難味は身に沁みて判ってる人なのにね』
穏やかに語る彼女は、親から貰った金をちらつかせる隙を窺うばかりの自分よりも、はる
かに大人で逞しかった。
『秋には、復帰できそう?』
『来年の春にしようかなあ。キリもいいしね。その間バイトでがしがし稼げば、あの馬鹿
にも時給の差ってのを見せ付けてやれるしさ』
『僕にできることがあったら、言ってくれよ?』
『うん。手ぶらでいいから見舞いに来て。暇があったらでいいから。無理はしないでね』

その後、彼女の了解を得て『早退しやがったら別れる』という物騒なメッセージと共に友
人に続報を伝えたところ、すでに自宅で待機していた。
怒る彼女を宥めつつ病院名を告げ、驚くほど短時間で現れた友人を彼女に引き渡し、弟を
連れて修羅場から逃げた。
『せっかく来てくれたのになんちゅう………姉ちゃん、いつ捨てられてもおかしくないな』
自宅へ向かう車中で額を抑える弟に、捨てるならお姉さんの方からだと笑いながら言うと、
なおも「あんな女のどこがいいのか、俺は判らん。判りたくもない」とこぼした。 既に一
時の興奮状態を脱したらしい彼に先程の話をすると、唇を尖らせてシートに身を沈めた。
『丸尾君にはそういう話するんだ』
『僕から言うことじゃなかったね、ごめん』
『謝らなくていいよ、ありがと。聞かなきゃずっとそのままだもん………さっきだってさ』
彼女は買い物から帰った弟を睨み付け、「で、どうすんの?」としか言わなかった。弟が前
言を撤回すると鼻で笑って買い物の検分にかかり、進路の話はそこで打ち切りとなった。
『お姉ちゃんにかかるとねえ、弟なんていつまで経っても洟垂れのウンコ垂れだよ』
『やめてー、丸尾君の口からそんな汚い言葉聞きたくないー』
748数学・物理 100の方程式:04/03/13 22:27 ID:iyxkCWtJ
『実際僕はいまだに言われてるよ。君のとこより年離れてるし、ほんと子ども扱い』
『うちの姉ちゃんと、どっちが怖い?』
『うちかな?と思ってた。でも今日の見て考え変えたよ』
『………うー。やっぱうちのが酷いのか。一度対決して欲しいと思ってたのに』
『対決するのは勝手だけど、巻き込まれたくないな』
そのまま家に着くまでくだらない話を続けた。二人とも、行きと違って軽口を叩く余裕が
できたのが嬉しかったのだ。
しかし彼を送り届けた後、静かになった車内でふと憑き物が落ちたように昂揚感が消え失
せた。決して楽観できる状態ではないのだ。明日も、明後日も彼女は大学に来ない。
(このまま中退してしまわないだろうか)
ふと胸をよぎった不吉な予想を追い払い、明るい未来に思いをはせた。
―――来年の春になればきっと戻ってくるはずだ。学年は違っても、また一緒に通える。

彼女がいなくなり、研究室は前よりも静かになった。時折誰かが思い出したように話題に
しては、なぜか自分を気遣って途中で止めた。
『丸尾先輩、元気出してくださいね』
その度に四年生の女子二人が繰り返すのが不思議だったが、ある日『だって、丸尾先輩の
お母さんだし』と言われて机に突っ伏した。兄妹と言われるのがほとんどで、たまに三角
関係を噂されたりもした。だが、母と息子と言われたのは初めてだった。
体勢を立て直して『そんなに落ち込んで見えるのか』と苦笑しつつ返したら、それ以来ぷ
っつりと言わなくなったけれども。
寂しく思っていたのは本当だ。大学に入学して以来ずっと一緒にいた人間の不在は思った
よりもこたえた。三月まで三人だったのに、あっとという間に一人になってしまったのだ。
忙しさに紛れて忘れかけても、ふと引き出しの中まで綺麗さっぱり片付けられた机が目に
留まれば、一人いなくなったことを嫌でも思い出してしまう。
学外では、週に一度は彼女と会っていた。特に曜日は決めていなかったが、彼女か弟のど ちらかと会えそうな時間帯を狙って見舞いに行った。時折友人とも顔を会わせることがで
きたが、彼に時間を合わせようとは思わなかった。
純粋に彼女の母親に好意を抱いていたから、だしにするような真似はしたくなかったのだ。
749数学・物理 100の方程式:04/03/13 22:34 ID:iyxkCWtJ
娘と親しい男が二人が度々、それも別個に訪れるのは暇な患者や病院関係者達の好奇心を
煽ったようだが、彼女の母親は「あっちは娘の彼氏。で、こっちはあたしの」と笑い話に
仕立て上げた。明るくて気の若い母親を眺めながら、彼女が年を取って落ちついたらこん
な感じだろうかと思った。
毎日の通学、そして週に一・二度の見舞いを繰り返すうちにゆっくりと日々は流れた。
そして六月の終わり、彼女が久々に大学に姿を現した。

土曜の昼下がり、彼女はバイトが休みになったと言ってケーキの箱を下げてやって来た。
平日に比べ人数は少なかったが、居合わせた全員が彼女を歓迎した。
『あ、机無事だった。物置になってると思ってたよ』
彼女は嬉しそうに椅子に腰掛け、件の二人組が交代で拭いている机に頬を寄せた。
それを見た助手がわざとらしく新聞を放り投げ、他の院生達が続いて私物を置きだした。 『ちょっと待って―――そこの四年坊主、こっちに来な!』
手荒いもてなしに両手を振ってわめいていた彼女だったが、四年の男子学生が自分のカバ
ンを持ってやってきたのを見咎め、すかさず噛み付いてケーキの箱を押し付けた。
『調子こいてんじゃないわよ、今はまだあたしが先輩だっつうの―――お茶』
横柄な態度に呆れ、自分の机に置いてあった査読誌で頭を叩いた。
『お前なあ、あんまり威張ると来年ひどい目にあうぞ』
『あ。この子、院行くんだっけか。てことは威張るなら今のうちか』
違うだろうと言ってもう一度叩くと、彼女が振り返って査読誌を取り上げた。
『痛いよ、もう………うげえ。こんなもん、よく読めるよね―――あて!』
げんなりした顔で英文の雑誌を返す彼女の頭を、D2の先輩が素手ではたいた。
『こんなもんだと? お前何様だ』
『………だって英語だし』
『英語っていったって、お文学でも古語でもねえんだから、普通に読めるだろうが』
『普通に読めませんって。前に丸尾君に見せてもらったことありますもん』
一つの論文を、訳をつけるでもなく、ただ黙読するのにどれだけ時間がかかったを彼女が
大仰に嘆くと、もう一度手が飛んできた。
『お前、一体どうやってうちの大学に潜りこんだんだよ!―――まったく、そんなに英語
が嫌なら、こっちでも読んでろ』
750数学・物理 100の方程式:04/03/13 22:36 ID:iyxkCWtJ
そう言いながら前日のセミナーのレジュメを突きつけた先輩を、「酷なことをする」と心の
中で詰った。
(どれだけブランクがあると思ってるんだ)
久しぶりにここの空気を吸わせるために渡すなら、もっと他にある筈だ。
たった二ヶ月、されど二ヶ月。自宅と病院とバイト先の三箇所をコマネズミのように回り
続けて自分の時間などほとんどない。先週病院で会った折に、最近読む本はバイト先の予
備校の講義に関するものばかりだと溜息をついていた。すぐに笑顔で話題を変えたが、相
当こたえているのだろう。決して母親や弟の前では言えない愚痴を、黙って聞いてやるこ
としかできない我が身がもどかしかった。
あの日より前なら、先輩達が彼女を笑い者にしても「いつものことだ」と流せた。
しかし、さすがに今は見るに忍びない。
コピーを広げた彼女の方を見ないようにしてコーヒー豆の残量を確認し、まだ十分あるに
も関わらず、予備を買ってくると言って研究室を後にした。
生協へ行き、口実にした買い物をすませた後に書籍売り場で時間を潰しさえしたのだが、
戻ってみれば彼女はまだいて、先輩に叱咤され続けていた。
『だから何でそうなるんだよ!』
『だってさっき先輩ゆったじゃん!』
果敢に言い返す彼女の頭を別の先輩がペンで叩いた。
『言ってない言ってない。少なくとも俺は聞いてない』
ドアを開けるなり響いた大声に少々面食らっていると、助手が笑いながらやってきた。
『お使いごくろうさん』
『賑やかですね』
『久しぶりだしな。いやあ、やっぱり面白いわ』
彼が顎で示した先では机にかじりつく彼女の周囲を学生達が取り囲んでいた。
頑なに自説を曲げない彼女を先輩達が小突き回し、尻馬に乗った後輩が笑う―――毎度お
馴染みの光景から、作り笑顔で視線を外した。
『あれ、行ってあげないの?』
普段なら先輩達の手から彼女の頭を庇うのが自分の役目だ。けれども、今日はことさら過
敏に反応してしまいそうで、あえて輪に加わるのを避けた。
『あまり酷いようでしたら代わりに止めてください』
751数学・物理 100の方程式:04/03/13 22:42 ID:iyxkCWtJ
『酷いって、別に苛めてるわけじゃないだろ』
『はいはい、可愛がってるんですよね』
どこがとは言わずに生返事で受け流し、彼女が来るまでやっていた作業を再開した。近々
セミナーの当番が回ってくる。午後は丸々下準備に充てようと思っていたのだが、すっか
り予定が狂ってしまった。
『怒るなよ。真面目な話、苛めるつもりならあんな手間かけないって。みんな暇じゃない
んだから』
助手がそんなことを言っていいのかと問い詰めたくなるような甘ったるい発言に腹が立つ。
時として叩く側に加わるのは、まだ学生気分の抜けていない証拠なのかもしれない。
『打たれ弱い子だったら最初からあんな扱いしないし』
自分もそう思っていたから、過去、同じような場面で苦笑しつつも彼女の傍らにいられた。
だが今は、彼女の図太さをこれ幸いとばかりに、皆で嘲弄しているように見えてしまう。
『ま、大分煮詰まってきたみたいだから、あとちょっとで終わるんじゃない?』
彼が言い終わらないうちに、騒がしかった集団が急に静かになった。見れば彼女は顎に手
をかけて真顔で黙し、周囲も突っ込みの手を控えている。
しばらくの間続いた静寂は、彼女の気の抜けた声で破られた。
『あ』
僅かに目を細めるのは見慣れた表情のはずだったが、その時はやけに眩しく見えた。 『わかった!』
何がだ、と周りが言うよりも早く、彼女はたった今理解した内容を嬉しそうに語り始めた。
必ずしも要領のいい説明ではなかったが、懸命に自分の言葉で話そうとする彼女の声に、
先輩二人は黙って耳を傾けていた。
『ってことで、いいのかな?』
ひとしきり話しつづけた彼女がそういって結ぶと、先輩が再びペンで頭を叩いた。
『いいけど、時間かかりすぎ』
続いてもう一人の先輩が頭を叩く。
『お前が休学してからこっち、時間内に終わらないなんて滅多にないぞ。すげえ快適』
膨れっ面になった彼女に助手が声をかけ、本を一冊投げてよこした。
『あげるよ。暇なときに読みなさい』
『ありがとうござい………って、これ英語………』
752数学・物理 100の方程式:04/03/13 22:43 ID:iyxkCWtJ
『日本語でも意味が判らなきゃしょうがないだろ。それ、内容は教養程度だから安心して
いいよ。あ、そうそう。今さらこんなもの渡されるなんて恥ずかしいと少しは思ってね』
『いやいや、あたしはここの恥部でございますから。でも丸尾君がいるから不作の年って
わけでもないでしょう? 足せば収支トントンじゃないですか?』
不意打ちで自分の名前を出され、顔が引きつった。
『お前一人だったら、不作通り越して凶作だわな。つか、足すなよ。丸尾が穢れるだろ』
『期待の星と恥部か。すごい組み合わせ』
先輩達に茶々を入れられ、彼女は本をカバンにしまいながらなおも言い返した。その後も
延々と言い合いは続き、たまに周囲の野次が飛ぶ。早々に自分から話題が逸れたことに安
堵し、賑やかな集団に背を向けて、付箋をつけたページのコピーを取った。
うるさくはなかった。逆に、ほんの数メートルの距離なのに、妙に遠く感じられた。
遠く感じるのは、あの中に入っていけそうにないから。
出遅れたからではない。 入るタイミング以前の問題だ。
場違い、という言葉が脳裏を掠めた。
―――どうして自分はここにいるのだろう。

そのままぼんやりと手を動かしていたが、コピーを取り終えるなり声をかけられ、手土産
のケーキを選ばされた。
彼女はコーヒーが入るのを待たずに立ったまま手づかみで食べてしまい、病院に行く時間
だからと帰っていった。
『あー、やっとうるせえのが帰った』
そう言った先輩は素早く食べ終えて机に向かい、ノートパソコンを引き寄せた。
『たしかに。久しぶりに聞くとほんっとうるさい』
彼女の相手をしていたもう一人の先輩も既に席に戻り、本を広げている。
二人して顔も上げずに彼女の悪口を言い続けていたが、次第に会話の間が空き、やがて静
かになった。
『丸尾先輩?』
四年生に呼ばれてはっとした。どうやらかなり長い間、二人を眺めていたらしい。
『あ、うん。ちょっとぼうっとしてた』
気遣わしげに見返され、無理に言葉をつないでみせる。
753数学・物理 100の方程式:04/03/13 22:47 ID:iyxkCWtJ
『二人とも凄いなあと思って。僕が説明してたら、あんなに早く終わらない』
『すぐ手が出るから、教わる方も必死でしょう』
彼女と違い自分は殆どやられたことがない、と続けたけれども、その顔に驕りはなかった。
『俺じゃ叩きがいがないし』
聞きとがめた先輩が、本に目を向けたままペンを掲げた。
『叩いてほしけりゃこっちにおいで』
四年生が笑いながら近くに行って叩いてもらうのを見て、そういえば自分は一度も叩かれ
たことがないと気づいた。
彼女ほど目をかけられていないと僻む気にはなれない。年次は上でも、先輩もまだ学生だ。
それでも彼女のことを短期間で理解していた。四年以上も側にいた自分よりも。
教授のように教える側の人間だったらもっと早くに、と考えかけてやめた。四年生だって
判っている。判る人間には判る、ということなのだろう。
自分は判らない側の人間だったのだ。

頭をさすりながら戻ってきた四年生は、忙しげな先輩達とは対照的にのんびりとケーキを
食べ始めた。
『元気そうで良かったですね』
彼女の話題を振られても困るとは言えず、曖昧な笑いを浮かべた。
『元気すぎてうるさがられちゃってるけどね』
『静かだったら心配通り越して気持ち悪………あ、今のは聞かなかったことに。ええっと、
来年の四月に復学するんでしたっけ』
『多分。お母さんの経過も順調みたいだし』
四年生は頷いて、月曜になったら二人組に自慢すると言って笑った。
『あいつも愛されてるなあ』
『そりゃもう』
『ガサツな女って見下されやすいんだけどね。特に同性に』
つい嫌味な言い方をしてしまったが、相手は勝手に履き違えてくれた。
『確かに、ごく一部で非常に同性受けが悪いみたいですが』
皮肉な笑みを浮かべるのを見て、同じフロアに噂雀が一羽いたのを思い出した。
『あそこは厳しいって聞いてたんだが、意外と暇そうだよな』
754数学・物理 100の方程式:04/03/13 22:54 ID:iyxkCWtJ
『事情通気取りで吹かしまくってますよ。“ヤッカミ丸出しで見苦しい”って陰で笑い者
になってます。承知の上でやってるんだったら、それはそれで凄いかも』
『フカシって言ってくれるんだ』
『何しろ発信源が一人だけですから。言ってることの十分の一でも本当ならもっと大勢の
人から聞かされるはずでしょ? 周りの人も止めてやればいいのに“面白いからやらせと
け”って感じで―――女の人は怖いですねえ。その辺はきっちり足並み揃ってますもん。
先輩達にしてみれば、面白半分にしてもやめてくれってとこでしょうけど』
『言ったところで余計面白がらせるだけだしね。付き合う付き合わないってやりとりがあ
った後も一緒にいるのなんて別に珍しくも何ともないと思うけど、何かにつけてあること
ないこと言って回るんだよな。それもあいつ一人悪者にして―――自分より格下と決めた
相手には、とことん居丈高なんだから』
わざとらしく溜息をつくと、人のいい後輩が慰めてくれた。
『そうそう表立って嫌われるタイプでもないと思うんですが、そこが気に入らないって人
もいるでしょうね。いい子ぶってるとか―――まあ、万人に愛されるなんて不可能だし、
気が合わないっていう人達がいて当たり前で、まったくいなかったら気持ち悪いですよ』
『うーん………いい奴なんだけど、女の子の集団に入るとどうしても浮いちゃうんだよな』
『あちらさんも大概浮いてますが。噂の垂れ流しを止めないのだって、見てて面白いだけ
じゃなくて積極的に関わりたくないのもあるだろうし。表向きはどうあれ、実際は「一緒
にされたら困る」って一線を引かれてます。皆さん、プライド高くていらっしゃるから』
思わず後輩の顔を見つめてしまった。
『………辛辣だね』
『そういうのに辟易してるから、女の子の集団から浮いちゃう位の人にホッとするんです』
『癒し系だったのか、あいつは』
感慨深げに呟くと、先輩がこちらも見ずに「あんなに人を消耗させる癒し系がいるかよ」
とこぼした。
『さんざん構い倒しといて何言ってんですか』
物怖じしない四年生が笑うと、もう一人の先輩が大仰な溜息をついて天井を仰いだ。
『どうせならもっと可愛い子を構いたいけど、後輩は選べないからなあ』
755数学・物理 100の方程式:04/03/13 23:20 ID:iyxkCWtJ
『可愛い子って「せんぱぁい、わかんなぁい。教えてくださぁい」みたいな?』
四年生が両手を組んで小首を傾げてみせると、気のない声で返事をした。
『いいねえ、そういうの』
『お前アホか。うちの大学にそんな殊勝なのがいるわけねえだろ』
『夢くらい見させて。それに、うちの大学どうこうは関係ないでしょ。今どきそんな子、
滅多にいやしませんて。いたとしても、周りの女の子に嫌われまくりで村八分だね』
『とかなんとか言って、現実にいたら相手にしないくせに。先輩達、揃って無視しそう』
容易く想像できる。無視はしないまでも軽くあしらい、まともに相手にしないだろう。
助手の言うとおり、彼らもやる気のない者をかまうほど暇ではない。
『いやあ、懇切丁寧に教えてやるよ? 手取り足取り腰を振り、ってな具合で』 『オッサンくさ………まあ今日はいないからいいですけど、間違ってもあの二人の前では
言わないで下さいね。セクハラだって吊るされますぜ』
『そんなに神経細くねえだろ、あいつらは』
『だね。「どうぞ、お一人で好きなだけ振ってて下さい」とか言って鼻で笑いそう』
『うーわ、そっくり。もしかして言われたんですか』
『まさか。百合ちゃんズの前で下ネタ披露する度胸が俺にあるわけないでしょ』
『すごい言われ様ですね―――ま、あいつらもそれだけのことはしてるけど』
出身校に因んだニックネームをつけられた四年生の女子二人は、共に生粋の女子校育ちだ。
講座が決定した時、「純粋培養のお嬢様がやってくる」と先輩達は喜び、他の講座からは
羨ましがられた。今となっては憐れまれているが。女の園で健やかに育った二人は、もの
の見事に理系オタク共の独善的な夢を粉砕してくれた。
それに比べて彼女は擦れてなくていい、と言う後輩は、まだ話題を変える気はないらしい。
『そんなにいいなら口説いてみる? 今ならもれなく噂の仲間に入れるよ』
笑って手招きする自分に、後輩は慌ててかぶりを振ってみせた。
『滅相もない―――ていうか、やっぱそういうんじゃないですし。尊敬してるし、好意も
持ってますが、押し倒そうとは思えません』
『………迅速かつ明瞭なお答えありがとう』
少し苛めようと思っていたのに、直球で返されて鼻白む。
756風と木の名無しさん:04/03/14 13:57 ID:zfzQP/0j
ガカーリsage
757数学・物理 100の方程式:04/03/14 23:15 ID:gyVtu9vh
そんな自分の代わりをかって出るようなタイミングで、先輩が四年生に突っ込んだ。
『後輩より殴られてる奴を尊敬ねえ。打たれ強さでも見習いたいの?』
『はい。見習いたい点は他にもありますが』
『ふうん。例えば?』
『努力家だけど、それをひけらかしたり、他人に同等の努力を要求したりしないでしょ。
見てる方がしんどくなるような切羽詰った感じもないし。むしろ楽しそうですよね』
『確かに本人は楽しそうだけど………ノートを取ってる時なんか、見てて疲れないか?』
先輩が首を傾げると、それまで黙っていた助手がいきなり二人の会話に割って入った。
『あれはなあ―――初めて見た時、何じゃこりゃって思ったよ。“熱心にノートを取るのも
結構だけど、今何やってるのか判って書いてる?”ってここまで出掛かったからね。ま、
多少時間はかかっても、自分の手で書いた分はちゃんとものにしてるみたいだからいいん
だけどさ』 助手の言葉がさっくりと胸に突き刺さり、いたたまれなさに面を伏せた。
『あいつなりに努力はしてるよな。とても見習う気にはなれねえけど』
『いや、見習うといっても、そっくり真似はできないし、する気もないんで』
すかさず予防線を張った四年生は、墓穴の堀り方も見習えと先輩に詰られた。
『それも遠慮しておきます。ノートにしたって、俺があんな勢いで手を動かしても余裕が
ないガリ勉君って感じで鬱陶しいだけですよ。でも先輩は………なんて言ったらいいのか
な。一所懸命なところを見てると、俺も頑張ってみようかなって思えるんですよね。やる
気を分けてもらってるみたいな………って、ちょっとクサいか』
笑顔で話す彼がうらやましい。自分はすっかりやる気をなくした。

夕刻になり、残っていた面子が揃って定食屋に向かいかけた中から、一人で抜け出した。
食欲がないのに加え、彼らと一緒にいるのが苦痛になりかけていたのだ。 アパートに帰る
なり荷物を床に放り投げ、ベッドにもたれて膝を抱えた。
(………何を期待していたんだか)
彼女が泣けば満足したのか。馬鹿馬鹿しい。
わずか二ヶ月でそこまで悲惨な状況に陥るのなら、休学はもちろんのこと、長期の入院や
旅行、語学留学等は一切できなくなってしまう。
758数学・物理 100の方程式:04/03/14 23:16 ID:gyVtu9vh
それだけ自分が彼女を侮っていたということだ。今日になるまで気づきもしなかったが。
長らく友人の振りをしながら密かに見下し、「あれよりはマシだ」と安堵していた。
そうでもしないと、不安に押しつぶされてしまいそうだったから。

大学入学直後に友人に出会い、できのいい学生と自分の力量の差を嫌でも認識させられた。
以来、「この先ついていけるのか」と怯えながらも、彼女の存在を支えに院まで進んだ。
脱落するなら彼女が先で、彼女がついていけるうちは自分も大丈夫と思っていたのだ。
思い上がりと誤解を積み重ねて何とか四年間凌いだけれども、もう限界だ。
判ってしまった。僅かな期間でも大学を離れたら取り返しがつかないのは自分の方だ。
彼女は違う。
久しぶりに訪れた研究室で、空白期間に臆することなく新しい知識に身を浸していた。
一度で理解できないのを恥じもせず、素直に「判らない」と言って質問し、笑われてもな
お執拗に食い下がった。入学当初から少しも変わらないひたむきさで。
―――転んでも泣かない。すぐに立ち上がり、ひたすら前に進もうとする。
指名を恐れて身を縮め、やむを得ず発言する際も誤りを恐れて出来るだけ短く纏めようと
する姑息な小心者が、よくも彼女を見下せたものだ。
ふと頭を上げた瞬間に床に投げた荷物が目に入ってしまい、空しさがいや増した。
彼女を叩いた査読誌は、大学に入学して以来ずっと購読しつづけているものだ。
内容が判らなくても英語の論文に少しでも慣れることができれば、と思って読み出したの
だが、まだ同級生が手を出していないものを読む自分に酔っていたのは否めない。
判りもしないくせにと嘲られるのが嫌で、院に進むまでわざわざ学外で注文していたそれ
は、四年間で書棚の一角を占有するほどになった。立派なのは量だけで、自分の中には何
も残っていないけれど。
何もと言うには語弊があるかもしれない。これのおかげもあって、今ならまだ試験の評価
や語学力は自分が上だとかろうじて思える。何の慰めにもならないが。
近頃の子供は自分の頭で考えようとしないと言われて久しい。なりこそ大きくなったが、
自分はまさしく「近頃の子供」の典型だ。なまじ記憶力が良いのも仇になった。
759 :04/03/15 12:40 ID:f8xbaIMN
760 :04/03/15 19:56 ID:f8xbaIMN
761 :04/03/16 00:00 ID:xGIomR7b
762風と木の名無しさん:04/03/16 03:40 ID:NLc4ewUs
久々だったのでかなり嬉しいage
763風と木の名無しさん:04/03/16 03:42 ID:NLc4ewUs
アガってなかった… orz
764風と木の名無しさん:04/03/16 22:07 ID:cn+eDLBU
もうすぐ太郎の誕生日。
太郎は何が欲しいのかなぁ・・・。
ということで太郎の友達・健太に聞いてみた。
「太郎の欲しい物だぁ?んなもん知るか!」
「待ってよ!何かない?」

「・・・AVでもやっとけ」

ニヤニヤと意地悪な笑いを浮かべて健太は行ってしまった。

でも・・・

「それ・・・いいかも・・・」

俺にしかできなくて、

すごい物・・・




俺のAV・・・!!
765風と木の名無しさん:04/03/18 21:52 ID:Xu10A9zL
ホシュ
766風と木の名無しさん:04/03/20 04:54 ID:V3X5G5PG
まとめてみました。
ttp://yellow.リボン.to/~moemoe801/maruo/
767風と木の名無しさん:04/03/20 20:50 ID:6l8YhTXl
乙!
良作なんで、流れちゃうのはもったいない
768風と木の名無しさん:04/03/20 21:31 ID:L2G8YnRE
やっと来てくれてありがd
769風と木の名無しさん:04/03/22 17:16 ID:CCS0rXV1
作者タンも766タンも乙。
770風と木の名無しさん:04/03/28 03:56 ID:32Mu3jq2
嬉しいほしゅ
771風と木の名無しさん:04/03/28 04:31 ID:lD/kaRZg
まとめ読みしてみると
ますます続きが気になる。
りくくんモテモテだし、先生がんがれ。超がんがれ。
772風と木の名無しさん:04/04/01 04:03 ID:YDB/hmtK
エイプリルフールアゲ
773風と木の名無しさん:04/04/08 02:42 ID:NO7EoHI6
今日も今日とてほしゅ
774風と木の名無しさん:04/04/11 22:06 ID:gUQ2b9Ux
命を賭け保守
775風と木の名無しさん:04/04/13 00:25 ID:gtfWst74
776風と木の名無しさん:04/04/13 22:04 ID:7SE3YJhO
agea
777風と木の名無しさん:04/04/15 10:22 ID:6xOoVpV9
続きをマッタリ待ちつつ保守
778風と木の名無しさん:04/04/17 23:48 ID:DtenEVvT
ほしゅ。
779風と木の名無しさん:04/04/21 18:06 ID:tKwCr59a
ネット世界復帰記念保守
780風と木の名無しさん:04/04/24 03:08 ID:cCjeF8yA
ホッシュ
781風と木の名無しさん:04/04/27 01:37 ID:V0qc60xD
782風と木の名無しさん:04/04/29 00:26 ID:uJNkZnbv
783風と木の名無しさん:04/04/30 05:37 ID:SoxS9sP4
784風と木の名無しさん:04/05/07 21:31 ID:LefxDyTC
干す
785風と木の名無しさん:04/05/11 17:44 ID:/F1pEDKa
フォシュ
786風と木の名無しさん:04/05/15 02:15 ID:AA2/NXsU
hosiyu
787風と木の名無しさん:04/05/19 00:59 ID:gSvylP5O
フォース(力)
788風と木の名無しさん:04/05/22 04:15 ID:cjIwFzvm
僕は…このスレが落ちるのが何より、怖い。
789風と木の名無しさん:04/05/25 04:29 ID:XkBziPfq
ホッシュート
790風と木の名無しさん:04/05/26 23:44 ID:Hcaz6Ko8
791風と木の名無しさん:04/05/27 14:05 ID:ffplDOQp
792風と木の名無しさん:04/05/27 20:16 ID:ffplDOQp
793風と木の名無しさん:04/05/27 23:24 ID:ffplDOQp
794風と木の名無しさん:04/05/28 00:58 ID:TJh8vIUa
795風と木の名無しさん:04/05/28 05:41 ID:TJh8vIUa
796風と木の名無しさん:04/05/28 09:52 ID:TJh8vIUa
797風と木の名無しさん:04/05/28 14:43 ID:TJh8vIUa
;´д`
798風と木の名無しさん:04/05/28 17:26 ID:TJh8vIUa
(TДT)
799数学・物理 100の方程式:04/05/28 20:54 ID:BOoUr2Nb
長年、自分の数少ない取り柄だと信じてきたが、それだけを頼りにここまで来てしまうく
らいなら、いっそ人並み以下の方がよかったのかもしれない。
高校・大学・大学院と、入試の度に、こんなお粗末な人間が合格する代わりに誰かが不合
格になった。誰であれ、自分以外の人間が進学した方が有意義だったろうに。
範囲を覚えて必要とあらばそれを紙に書き写してきただけで、先輩達を向こうに回してで
も主張したい自説など一度も持ったことがない。テストで良い点をとれば頭を撫でてもら
える、そんな幸福な時代はとうの昔に終わってしまったというのに。
………二ヶ月の間離れて、ようやく自分の目から曇りが取れた。
与えられた問題を解けばすむ領域を越えて、先へ進む力は自分にはない。
学問の神様がいるとしたら、きっと彼女の方を愛している。 職業としての学問に携わるの
に、自分と彼女のどちらがふさわしいかは言うまでもない。

ずっと目を背けてきた自分の卑しさと弱さ、無能さが許せなくて、その夜は眠れなかった。
次の日は出かける用事も気力もなかったため、そのまま一日中部屋で落ち込み続けた。
二日間どっぷりと沈んでいた気分は、三日目の朝を迎えても浮上する兆しは見られなかっ
たが、月曜とあっては仕方がない。いやいや起き出して洗面所に向かった。
しかしながら鏡を見て、あまりの酷さに絶句した。今日の予定を諳んじ、休んでも支障は
あるまいと判断してベッドに戻る。
寝不足と泣き過ぎが丸わかりの顔で外に出たくなかった。
(明日になったら行こう)
学校と名のつくものに通いだして十六年余、幼稚園を含めてすらも一度もズル休みをした
ことがないのだし、たまには自分を甘やかしてやろうと思ったのだ。
それまで一度も自分に厳しかったことなどないくせに。

たった一度のつもりでいたズル休み。
800数学・物理 100の方程式:04/05/28 20:58 ID:BOoUr2Nb
まさかこれが脱落への第一歩になるとは、思いもよらなかった。

とろとろと浅い眠りを貪り、喉の渇きが限界に達するまで布団から出ようともしなかった。
食欲は相変わらずなく、カーテンを閉め切って時間も気にせずに泣いては眠り、起きては
また泣いて―――自堕落に過ごし、大学へ行くと決めた「明日」になっていたのも、後輩
から電話がかかってくるまで気づかなかった。
『二日続けて休むなんて変だと思ったら、やっぱり風邪だったんですか』
散々泣いて変わってしまった声を誤解され、これ幸いと病気を装った。季節の変わり目は
治りにくいと心配する彼に、完治するまでしばらく休むと告げた。
声同様、顔もまだまだ悲惨だったし、そもそも大学に行く気がこれぽっちも起きなかった。
(いくらなんでも来週には外に出られるだろう)
そうやって己を買い被り、ズル休みを延長した。
しかし、週が変わったからといって自動的に気力が湧いて出るはずもない。
再び巡ってきた月曜の朝、大学へ行く途中でコンビニに寄ったのだが、買い物をすませる
と足はごく自然に来た道を辿り、そのままアパートに帰ってしまった。
冷蔵庫に食料を入れてから、今日は行くはずだったのを思い出した―――つもりでいたが、
後から思うとかなり怪しい。わざとやったとしか考えられない。
しかしその時は特に気にもせず、わずか一週間で休みボケかと気楽に考えていた。
これから行っても間に合わないのは、時計を見るまでもなく明白だ。遅れて行くのも憚ら
れ、もう一日だけ休もうと決めた。
火曜日の朝、玄関で靴を履くために下ろした腰が妙に重く感じられたが、運動不足で片付
けて、勢いをつけて立ち上った。階段を下りるだけでも疲れてしまい、その後も次第に荒
くなる息に、少しは外に出た方が良かったかと後悔しつつ足を進めた。
大学の建物が見える距離まで近づいてから、ようやく事態の深刻さに気がついた。夥しい
汗が全身を伝い、人目を引くほど呼吸が荒くなっていた。
電柱に縋り付いて身を支えているところを通行人に助けられ、近くのコンビニの前にある
ベンチで横になった。
疲れ果てた体は自分ひとりで動かすには重すぎて、黙ってされるがままになっていたが、
店員がやってきて頭上で救急車の手配を相談し始めたのにはさすがに慌てた。
801数学・物理 100の方程式:04/05/28 21:08 ID:BOoUr2Nb
大丈夫だと何度も繰り返し、店員には数分で回復すると適当なことを言って、しばらく場
所を借してくれるよう頼んだ。
やがて、呼吸が少し静まるのを見計らったようなタイミングで、親切な通行人がスポーツ
ドリンクを手渡してくれた。ゆっくりと飲み、ペットボトルが空になる頃には、息苦しさ
も異常な発汗も止まっていた。
即座に立ち上がり、二人に向かって迷惑をかけた侘びと礼を改めて述べ、通行人に小銭を
押しつけてからアパートに帰った。
背筋を悪寒が走るのは汗が冷えてしまったせい。熱いシャワーを浴びて出直そうと思い帰
途についたのだが、結局その日のうちに大学に辿りつくことはできなかった。
―――いくら気が進まないからといって、ここまで激しく体が拒むとは。
自分が思っていたよりもはるかに、心と体は密接な関係にあるらしい。
しかしほんの十日前までは普通に通っていたのだ。吐き気も眩暈も悪寒も心拍数の増大も、
全ては思い込みからきている。ならば、しっかりそれを自覚すれば収まるはず。
変に思いつめたらますますひどくなると思い、懸命に自分を奮い立たせようとした。
しかしながら自覚がなかったのは思い込みの強さだけではなかった。自分の弱さについて
も、まるで判っていなかった。
時間を変え、経路を変え、やっと大学の敷地内に足を踏み入れたのは木曜日の夜。
一応、実験系に比べれば深夜まで粘る者は少ないが、皆無ではない。誰かに見られはしな
いかと冷や冷やしながら研究棟に近づいた。そして、わずかに存在する灯りのともった部
屋が、自分が所属する講座ではないのを確認し、胸を撫で下ろした。
ぼんやりと建物を眺めていると、思い出があふれだしてくる。
初めてここに来たのは二次試験の下見の日だった。実際に試験を受けたのは別の会場だっ
たが、ここに通ってみせるという決意を新たにするべく、わざわざ回り道をした。
合格発表の後も故郷に帰る前に立ち寄り、進学振り分けで志望の学科に進めますようにと
心の中で手を合わせた。これまでの人生で一番幸せだった、希望に満ちた日々。
四年後、こんな惨めな気持ちで立ち尽くすことになるなんて、思いもよらなかった。
灯りが滲み、また涙がこみあげてきたのが判る。もうこれ以上先へ進めそうにない。
802風と木の名無しさん:04/05/29 00:34 ID:1WEpm+QE
キタ─wヘ(゚∀゚)√レ( ゚∀)wヘ( ゚)√レ(  )wヘ(  )√レ(゚  )wヘ(∀゚ )√レ(゚∀゚)√レv〜 !!!!

丸タソ…登校拒否?
どうなるか続きが楽しみです。
803風と木の名無しさん:04/05/29 01:08 ID:VMbMf4YQ
キテタ---*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*---!!!!!

もう何よりもこの小説が楽しみだ…
804風と木の名無しさん:04/05/29 01:19 ID:LS+dtTHN
a------!!!!
キテタ!!すっごい先が気になるよーーー
ドキドキするよーーーーー
805風と木の名無しさん:04/06/02 06:22 ID:Xlzlc8FT
806風と木の名無しさん:04/06/02 14:39 ID:Xlzlc8FT
807風と木の名無しさん:04/06/04 20:22 ID:Gieskogb
イエーア H・O・S・H・U!!
808風と木の名無しさん:04/06/08 22:43 ID:hrhElNd/
809風と木の名無しさん:04/06/11 00:00 ID:sB2IMDwT
梅保守
810風と木の名無しさん:04/06/14 23:55 ID:n5ob8+XD
干す
811風と木の名無しさん:04/06/18 20:49 ID:4gDSg0Nz
あげ。
812風と木の名無しさん:04/06/24 02:40 ID:9q8F39NC
ホシュ
813風と木の名無しさん:04/06/25 02:17 ID:5A9Jy9dT
保守
814風と木の名無しさん:04/07/04 21:28 ID:Y2x44Nhp
ほしょ
815風と木の名無しさん:04/07/09 12:22 ID:63S+Xj2n
hosu
816風と木の名無しさん:04/07/16 06:08 ID:v0P43d2b
捕手
817風と木の名無しさん:04/07/20 17:56 ID:fWGAyAwP
818風と木の名無しさん:04/07/20 20:57 ID:yhi9Mm3H
819風と木の名無しさん:04/07/22 00:41 ID:I/cuyxyh
820風と木の名無しさん:04/07/22 06:34 ID:I/cuyxyh
821風と木の名無しさん:04/07/26 16:45 ID:sM3scDTt
822風と木の名無しさん:04/07/30 20:57 ID:s7VsWLur
823風と木の名無しさん:04/07/31 11:11 ID:jJDVx2D/
ねえ・・・りくって・・・KERAのりく?
824風と木の名無しさん:04/08/02 22:34 ID:f7opYvcY
違っ!
825風と木の名無しさん:04/08/05 16:20 ID:+eu1tkxT
干す
826風と木の名無しさん:04/08/05 22:46 ID:KwYymsYl
827風と木の名無しさん:04/08/06 09:03 ID:kmDscytm
ヤダヤダ
828風と木の名無しさん:04/08/08 04:58 ID:d9nkODg6
元気かな作者さん…
829風と木の名無しさん:04/08/12 00:56 ID:Xp2WszeR
ホシュ

作者さん、あつい日が続きますがお元気ですかー。
830風と木の名無しさん:04/08/17 00:24 ID:NwrvA9PD
保守
831風と木の名無しさん:04/08/19 18:50 ID:Ogqxjt2P
サビシイヨォ
832風と木の名無しさん:04/08/24 00:11 ID:RMkl1zOj
きっと元気だよほしゅ
833風と木の名無しさん:04/08/24 12:45 ID:z7Wg3MoI
残暑見舞い保守
834風と木の名無しさん:04/08/28 01:57 ID:hx4jjuzb
最近の恐怖
作者さんが来ない間にこのスレが落ちちゃったら……ガクガク(AAry
835風と木の名無しさん:04/08/28 02:20 ID:3L2IwQ87
圧縮は 500→400 から 800→700に変わりましたよ。
836風と木の名無しさん:04/08/29 14:42 ID:izoLdiJM
圧縮以前に使いきっちゃいそうだもんね。
900いったら次スレたててもいいのかなー。
837風と木の名無しさん:04/08/31 21:46 ID:L9TWYTri
保守…
838風と木の名無しさん:04/09/01 06:13 ID:9PMW+S31
次…どうなんだろう?
個人的にはものすごく立てて欲しいけど
839風と木の名無しさん:04/09/01 17:42 ID:N7S8bbyr
>838
自分も次スレが欲しい。
だが、次スレもつぶやきで埋め尽くされるのやもしれぬと思うと…
840風と木の名無しさん:04/09/03 03:03 ID:Ma45/adI
ついにスレ一覧の一番下になってしまった。ほしゅ
841風と木の名無しさん:04/09/03 03:32 ID:u/RESpO2
念のため。
落ちる落ちないにスレの位置は関係ないよ。
842風と木の名無しさん:04/09/04 01:56 ID:5TVrNQ58
test
843風と木の名無しさん:04/09/05 19:54 ID:u2icMDh2
ホシュ
844風と木の名無しさん:04/09/10 14:39:44 ID:mxAuJpsK
hoshu
845風と木の名無しさん:04/09/14 00:10:36 ID:FFidVqRG
ほしゅ
846風と木の名無しさん:04/09/14 20:33:37 ID:iSAgozoQ
847風と木の名無しさん:04/09/18 01:55:39 ID:T1v++PGh
元気かな、作者さん…
848風と木の名無しさん:04/09/20 14:52:39 ID:m+HZlk0k
 
849風と木の名無しさん:04/09/25 04:46:04 ID:5XDAvHQ3
ほしゅ…
850風と木の名無しさん:04/09/29 17:40:21 ID:+nN+qvCJ
寂しい…
851風と木の名無しさん:04/10/04 17:49:25 ID:wNJprM7K
作者さん、元気ですか?
852風と木の名無しさん:04/10/07 23:18:53 ID:YqD0h+tS
853風と木の名無しさん:04/10/11 19:23:14 ID:8ThN5uqy
干す
854風と木の名無しさん:04/10/14 21:10:33 ID:t5jkQm7E
捕手
855風と木の名無しさん:04/10/14 22:49:09 ID:nsD5I9yV
ほよー
856風と木の名無しさん:04/10/20 22:26:10 ID:974gNZjd
台風直撃ほしゅ
857風と木の名無しさん:04/10/21 11:08:39 ID:xFT2WeZ5
>>856の無事を祈りつつ保守
858風と木の名無しさん:04/10/21 17:50:22 ID:v7DJsVuM
保守
859風と木の名無しさん:04/10/30 02:27:01 ID:eGsYFBi0
保水
860風と木の名無しさん:04/11/01 15:48:15 ID:WilCyGov
ぬるぽ
861風と木の名無しさん:04/11/02 19:17:18 ID:3XPwxzNh
ぬるぽ★
862風と木の名無しさん:04/11/03 00:56:59 ID:EH/OpEFO
しぶとく保守。もう最下層だね…
863風と木の名無しさん:04/11/03 19:48:56 ID:60+VitMV
ぬるぽをしても、ガッされないスレはここですか?
ぬるぽーっ!!!
864風と木の名無しさん:04/11/04 18:06:33 ID:lXuUXr68
>>863 ガッ!
865風と木の名無しさん:04/11/05 14:53:07 ID:wdId+9uw
ものすごい小声でヌルポ
866風と木の名無しさん:04/11/06 01:36:07 ID:N7h5ponY
>>865
ガッ
867風と木の名無しさん:04/11/06 10:33:18 ID:JRTVgirn
868風と木の名無しさん:04/11/11 15:45:31 ID:wh5lXGwt
このまま使い切ったら次スレ立ててもいいものかね?
もし立てるとしたらこの「誰か僕の〜」2?
いろいろ考えてしまう暇な一日
869風と木の名無しさん:04/11/17 23:04:12 ID:wjTA2UkW
ブラクラじゃなくて、ただのアクセスカウンタなので、
アクセスしてください。おながいします。
ttp://count.kaz7.com/counter2.cgi?HS=2=5
870風と木の名無しさん:04/11/25 21:55:05 ID:VvSSddzY
871風と木の名無しさん:04/11/26 15:35:11 ID:1d9pwI30
捕手
872風と木の名無しさん:04/12/03 19:06:47 ID:YxNIbs82
*ゅ
873風と木の名無しさん:04/12/10 22:23:32 ID:iqDAG0+N
>>868
いい…と思う。つーか思いたい。
スレタイはそのままでまとめサイトのアドレスを
張っておけばいいんじゃないかな。

もしかしたらまた新作?とか来る可能性もあるし
何気に色々可能性を秘めたスレだと思うよ…。
874風と木の名無しさん:04/12/19 13:09:25 ID:/hNM0S4O
ホシュ
875風と木の名無しさん:04/12/24 00:07:01 ID:zsYRqZ8b
イブに保守
876風と木の名無しさん:05/01/02 03:52:08 ID:UCR3fClm
あけおめ保守
877風と木の名無しさん:05/01/06 16:28:40 ID:sKh4qVoj
職人さん元気かな?保守。
878風と木の名無しさん:05/01/11 03:34:16 ID:s0LVIO+6
きっといつかまた出会えるはずさ保守
879風と木の名無しさん:05/01/16 16:13:44 ID:JuRbx8XJ
ほしゅ
880風と木の名無しさん:05/01/21 23:54:48 ID:eRSKOjzx
先生のその後を脳内補完し、一人でハァハァしながら保守。
881風と木の名無しさん:05/01/30 00:31:18 ID:S9eSPjIa
ホシュ。
882風と木の名無しさん:05/02/08 00:07:50 ID:BrWYUivj
保守
883風と木の名無しさん:05/02/08 19:39:53 ID:gdUxL+zO
寂しくなってきたよ保守
884風と木の名無しさん:05/02/17 20:56:52 ID:i0HvMpXO
>>880
パラレル外伝うpうp

ほす
885風と木の名無しさん:05/02/20 12:53:04 ID:nrTYiNpV
うp!うp!
方程式以外のリク君の小説もうp可だと思うし!
886風と木の名無しさん:05/02/26 14:51:49 ID:spQbVQK2
保守のまま1000までいくのも一興と自嘲しながら保守。
887風と木の名無しさん:05/03/05 18:36:24 ID:T1AxELDb
うp!うp!
↑なんか可愛いと思いながら保守
888風と木の名無しさん:05/03/08 15:50:27 ID:S5mFEv9y
888hoshu
889風と木の名無しさん:05/03/16 23:48:56 ID:gCMO8bB/
保守。
890風と木の名無しさん:05/03/19 15:55:06 ID:OiBczS0q
891風と木の名無しさん:2005/03/21(月) 03:53:29 ID:RsPRCq5j
892風と木の名無しさん:2005/03/21(月) 11:24:09 ID:CVvRL6OE
893風と木の名無しさん:2005/03/23(水) 22:04:44 ID:aOUv7ORQ
hoshu
894風と木の名無しさん:2005/03/25(金) 00:30:40 ID:DkkYxRMM
りく…出ておいで…
895風と木の名無しさん:2005/03/28(月) 18:32:05 ID:SJ5YGtsZ
忙しいのかも。
896風と木の名無しさん:腐女子暦801/04/02(土) 01:36:12 ID:oOS531ai
先生、がんばってるかな。
897風と木の名無しさん:2005/04/03(日) 15:05:23 ID:+K3dCbAM
801小説を書こうみたいなスレって消えた?
898風と木の名無しさん:2005/04/08(金) 14:33:04 ID:jqAlU9AK
保守捕手
899風と木の名無しさん:2005/04/08(金) 16:19:47 ID:73AtqK8c
>>897
「一行ずつ801小説を書いて逝こう」ってスレならあるよ。
900風と木の名無しさん:2005/04/09(土) 16:17:24 ID:fvuvzbO1
>>899
前に一行じゃなくシリーズものっぽく職人さんが
書いてたスレあったんだけどな・・・とりあえずdくす。
901風と木の名無しさん:2005/04/10(日) 02:40:15 ID:CUqtKMSs
ほす。
902風と木の名無しさん:2005/04/10(日) 14:20:29 ID:yUvy4wqT
テス
903風と木の名無しさん:2005/04/14(木) 01:07:23 ID:U87iole9
ag
904風と木の名無しさん:2005/04/14(木) 23:38:55 ID:EtUX7b3F
堕ちたかと思った捕手。
905風と木の名無しさん:2005/04/16(土) 23:51:53 ID:HAlXQueK
906風と木の名無しさん:2005/04/17(日) 05:59:46 ID:PHdoUkt0
ちょっと、姐さん達に相談が…

今までのセンセとりくくんとの話しを一気に読んで、
妄想の赴くまま、一本お話を書いてしまったのですが
ここで発表しても良いでしょうか?


自分は職人さんではないので、文章とか上手くないし、
ただの妄想なので面白いのかどうかも分からないのですが
このまま保守でスレを使い切るのも寂しいなあ…とか思ってしまったので。
907風と木の名無しさん:2005/04/18(月) 01:25:26 ID:419q6ER6
>906
読んでみたい。
投下に迷うネタなら棚スレにカモン。
908風と木の名無しさん:2005/04/18(月) 01:41:35 ID:Oi3WDr5N
>906
こちらでお願いしたいです
909「数学・物理 100の方程式」@妄想バージョン:2005/04/19(火) 21:35:06 ID:SMfy761F
耳の奥で警鐘が響き続けている。


普段のメンソールと違い、吸い慣れないキャメルはほんの少しの苦さを舌に
残し、りくは形の良い眉をひそめた。
彼が吐き出した白濁した煙は真っ直ぐに天井へ向い、やがては空気にまぎれ
て消えていく。スプリングの効いたふかふかのベッドに寝そべり、ぼんやり
とその様を眺めつつ、どうしてこの白い煙が『紫』煙と呼ばれているだろう
かと、どうでもよいことを考えてみた。

ここは花輪が一人暮しをしているマンションだ。
りくの家も例外ではないが、政治家の息子や名家の跡取等々、全国でも有数
の金持ち坊ちゃんが集まっている八百一学園付属薔薇高でも抜きん出て金持
ちなのが、この花輪の家だ。何せ花輪の父親は世界的に有名な、誰でも知っ
ているブランドのオーナーだ。
よって、普通よりも5つ6つほどケタが違う金持ちの尺度は一般のそれとは
かけ離れているらしい。
都内でも「最高級」と称されるこのマンションの限りなく最上階に近い一つ
の皆のフロアは、まるまる全部花輪一人に与えられている。
…まあ、花輪の超絶豪華な実家には、お手伝いどころか執事の爺やまでいた
という話らしいので、こんなことは何てことなないのかもしれない。
その上都合の良いことに、定期的に家事代行業者が来るものの、一年のほと
どんどを海外で生活しているという花輪の両親がこのマンションに訪れるこ
とはまずなかった。
となると、学校のクラスメイトや彼の遊び仲間達の体の良い溜まり場になる
のは当然の如く必然で。もちろん、りくもその中の一人だ。
910「数学・物理 100の方程式」@妄想バージョン:2005/04/19(火) 21:39:45 ID:SMfy761F
そんな『超坊ちゃん』の花輪は今、ベッドから少し離れたミルク色をした革
張りのソファに凭れ、前人未到な勢いでメールを打っていた。

4分の1か8分の1かは忘れたが、西洋の外国の血が混じっている花輪の顔
立ちは美貌と言っていいほど整っている。180を越す長身と相俟って、西洋
人にしてはエキゾチックで東洋人にしては彫りが深く、全体的に色素が薄い。
100人中100人がハンサムだと彼を評するだろう。
その上頭脳明晰、スポーツ万能。身のこなしはスマートで、実家のクラスは
スペシャルを通り越してマーベラス…とくれば、女どころか男でさえも放し
てはくれない。
けれど、けれどとりくは目を細めた。
遊び相手には常に事欠かない花輪だが、こと本気になった相手には箸にも棒
にもかからないほどすげにされるか、徹底的に嫌われるかのどちらかだ。
現に、今の大本命には、毛虫かゴキブリかの勢いで嫌われまくっている。
(それでも、全然めげてねえんだけど…)
むしろ、それを楽しんでいる風体だ。りくが密かに実は奴はマゾだったので
はないのかと疑うほど。
(俺ん時は結構サドっ気があるように見えたけど…)
過去、幾度か戯れに肌を合わせた時を思い出して、りくは肩をすくめた。

やがて、ぱちん、と携帯を閉じる音が聞こえた。どうやらメールを打ち終え
たらしい。
それを横目で確認しつつ、
「どうよ。長山さんの反応は?」
りくは口にキャメルを加えたまま話しかけた。
ちなみに『長山』というのは目下、花輪の大本命の名前だ。漆黒の濡れた大
きな目が印象的な、凛とした佇まいの美青年である。年は24か25。
「うるせぇよ」
口端を上げて答える花輪の表情は相手に感情を読み取らせないポーカーフェ
イスで。けれど、その表情でいつもの通り百足の如く拒否されたのだと判断
がついた。
判りにくいが判りやすい反応だ。
911「数学・物理 100の方程式」@妄想バージョン:2005/04/19(火) 21:42:00 ID:SMfy761F
「そっちこそ、どうなんだよ」
花輪はソファから立ち上がる。そのままりくへと近づいた。
「何が?」
鼻で笑って空とぼけると、花輪はりくが咥えていたキャメルを取る。そのま
まそれを吸った。
「あ、ドロボー」
りくが口をとがらすと、じろり、と睨まれる。
「これは元々俺のだ。お前が勝手に吸ってたんだろ」
「…まあね」
りくは笑ったが、こんなことでごまかせる相手ではない。花輪はかまわず続
けた。
「で、どうなんだよ」
「どうって?」
「とぼけんなよ。」
「とぼけてなんかねえよ?」
「それがとぼけてるっていうんだよ」
花輪は白い息を吐き出し、ベッドサイドに置いてある灰皿に灰を落とした。
じっと、りくを身下ろす。
花輪が言いたいのは分かる。彼とのことだ。
「…本気なのか?」
花輪の目は真剣だ。相変わらず自分を棚に上げて人のことばかり心配してる
なあ…とりくは思う。
それは花輪の美徳の一つだ。しかし…。
「遊びだ…って答えたらどうする?」
りくの答えに、花輪は大きくため息をついた。
「…馬鹿だと言ってやるよ」
「…まあ、素敵」
花輪の反応を無視し、りくは目をぱっちりと見開き、大げさに両手を組んで
見せる。だが、それすらも馬鹿々しくなって、くくく、と笑った。
912「数学・物理 100の方程式」@妄想バージョン:2005/04/19(火) 21:43:19 ID:SMfy761F
「警鐘は鳴ってるさ、ずっとね」
「何だそりゃ?」
「それが答えだよ。ホームズ」
「…つまんねぇ謎かけはやめろ。」
「本気が遊びか、それが問題だ。それが生か死かじゃない分だけ楽かもしん
ねぇし、地獄かもんねぇ。…ハムレットも真っ青だね」
笑いながら、りくは花輪を見上げる。相変わらず花輪は笑っていない。むし
ろ、怒っている。
「…りく。俺は本気で聞いてるんだって分かってるか?」
だが、りくは笑ったままだ。
「分かっているとも、ホレイショー。もしくは…マキューシオ…あ、これは
ロミジュリか」
「りく」
花輪は語尾を強めた。じろり、と睨む。
「からかってなんかいねえよ。俺だって本気で答えてる。」
りくはまっすぐ花輪を見上げている。黒目の多い対照的な配置は、上等のビ
スクドールのそれにも似ていた。けれど、宿る力は生を受けた人間のものだ。
りくは続けた。
「そういうことだよ、花輪」
913「数学・物理 100の方程式」@妄想バージョン:2005/04/19(火) 21:47:28 ID:SMfy761F
新年度に入り、新しく入ってきた数学教師である丸尾とりくとの関係が始ま
ってから、まだたったの半月にも満たしてはいない。
けれど、その間にしたセックスは、数えること自体が馬鹿々しいと思えるほ
どだ。

身体の相性はいいと思う。…というか、あまりにも良すぎて笑った方がいい
だろう。

けれど、最初は全くこういう関係になるつもりなどなかったのだ。

丸尾は普通の同性に比べれば確かに可愛い顔立ちをしている。
だが花輪のような派手な容貌や、りくのような美少女と見紛う美貌に比べれ
ばそれほど際立ったものではない。
それに丸尾が纏う神経質そうな雰囲気と、自他共に認める「堅物」な性格か
らして、手を出すと相当ヤバイ…この場合、相手が教師だということを除い
ても、だ…ということは明白だった。

恋愛は楽しくなければ意味がない…とりくは思う。それは今でも変わらない
し、これからも変わらないだろう。それは本気にしても遊びにしてもそうだ。
楽しくはじまり、終わるのも楽しい方がいい。ドロドロとした恋愛はスマー
トではないし、趣味でもない。
914「数学・物理 100の方程式」@妄想バージョン:2005/04/19(火) 21:48:27 ID:SMfy761F

だから、りくには『警鐘』がある。
それは勘というよりはセンサーという方が正しいかもしれない。
最初に会った時のファーストインプレッション。
こいつとはOK or NO?
瞬時にセンサーは働く。
OKならば鐘は鳴らない。その時は心くまま思いきり楽しむし、反対に駄目
な時は出会った瞬間耳奥でカンカンと鐘が鳴る。その時はどんなに好みでも
諦めた方が無難だ。

それは、絶対に外れることのない、まさに100%の確率。


丸尾と会った瞬間、警鐘はガンガンに響いた。もう、シャレにならないくら
いに。


コイツはキケン。テをダスナ。キケンキケンキケン。


けれど、結局そうなってしまったのは、丸尾が凶悪だったからに違いない。
少なくともりくは思う。

丸尾末男は凶悪な男だ。
915「数学・物理 100の方程式」@妄想バージョン:2005/04/19(火) 21:53:12 ID:SMfy761F

最初はほんの人助けのつもりだった。
地元のラブホ街。フラフラと歩いている丸尾を見つけた。
『おーお。あれじゃあ食ってくれって言ってるようなもんじゃん』
そう思ったのを覚えている。
あの時の丸尾は声をかけられれば誰にでも付いて行きそうな雰囲気で、まる
きりの無防備だった。いや、むしろ自暴自棄に近かったと言える。
普段見たことのない上等のスーツと引き出物が入った大きな紙袋。それらは
明らかに結婚式の帰り姿で、そこでずどんと本人が落ちこんでいるのであれ
ば状況を察するのなんか簡単だ。…自棄になっていてもおかしくない。
だから、声をかけたのだって、家に送ったのだって、その後さえも、下心な
んてありはしなかった。…言い訳でもなく。
ただ、放っておいたら悪い男の食いものになるのは目に見えた状態で、その
ままにしておくのが忍びなかったせいだ。
きっと、この後丸尾に何かあったと知ったら、りく自身、後味の悪さを覚え
るだろうと思ったから。



けれど、けれどとりくは思う。

あの涙がいけない。涙で濡れそぼった目がいけない。あの涙と目が全てを狂
わせる。りくの全てを狂わせる。

あの日、あの時の丸尾の涙。
まったく下心のなかったりくの劣情を震わせ、欲を呼んだ、涙。

あの涙こそが元凶。凶悪な男の正体。
916「数学・物理 100の方程式」@妄想バージョン:2005/04/19(火) 21:54:33 ID:SMfy761F

あの涙を見ていると、自分でも自覚していない欲が呼び起こされる。
もっともっといじめて、泣かせてよがらせて、その後、誰よりも優しくした
いと思ってしまう。

元々りくにサドの気はない。けれど、丸尾を見ているとむくむくと被虐の欲
望が沸きあがる。

もっともっと彼の泣き顔が見たい。
羞恥に震える姿が見たい。
そして、その後に思いきり…溶けてしまうほど甘やかせたい。

もっと、もっと。もっともっともっともっと。


「…りく?」
すっかり黙りこくったままのりくに、花輪が名を呼んだ。
りくはそれには答えず、ベッドから起き上がり立ち上がった。ベッドから降
りる。
「りく?」
そして、花輪の指に挟まっていた、すっかり短くなったキャメルを奪うと、
一口吸い灰皿に押しつけた。そのままドアへ向かう。

「ちょっと行ってくる」
りくはドアノブに手をかけ、ドアを開けた。
「何処へ?」
花輪の問いかけに、りくは笑んだ。
「分かってんだろ?」
「…」
917「数学・物理 100の方程式」@妄想バージョン:2005/04/19(火) 21:55:57 ID:SMfy761F


この思いが本気の恋なのか、ただ欲望の赴くままに暴走した果ての、遊びの
恋なのか、りくには判断はできない。


ただ分かるのは、今でも警鐘は鳴り続いているということ。
うるさいくらいに耳奥で響いているということ。
けれど、それでも丸尾のマンションに足を運んでしまうということ。


「行ってくる。
        …センセイのマンションに」


何か言いたげな花輪を尻目にりくはドアを閉めた。




警鐘は、いっそう激しく鳴り響き続けている。
りくはそれを綺麗に無視し、歩き出した。

…彼の元へ向かうために。


(おわり)
918風と木の名無しさん:2005/04/19(火) 23:47:02 ID:PlJmq+LX
妄想バージョンもイイヨー!保守。
919風と木の名無しさん:2005/04/24(日) 20:50:59 ID:4TtBsFl1
920風と木の名無しさん:2005/04/25(月) 06:58:27 ID:rCGc/zHE
921風と木の名無しさん:2005/04/26(火) 09:17:08 ID:wA5j8bws
妄想バージョンも萌えた!GJ!!
そして保守。
922風と木の名無しさん:2005/04/29(金) 03:51:09 ID:TNjGGj2k
連休あげ
923風と木の名無しさん:2005/05/06(金) 04:42:22 ID:goplYx0K
連休あけ
924風と木の名無しさん:2005/05/09(月) 19:25:03 ID:2fQcsJb/
ねね、姐さん方
いきなりで悪いんだけど小説書かせていただいても良いですかね?
かなり初心者だからのう
925風と木の名無しさん:2005/05/15(日) 04:30:20 ID:brsrmen9
とりあえず、このスレの趣旨に則った内容
(りく君というジャニーズ系美少年が登場する話)ならOK
926風と木の名無しさん:2005/05/21(土) 13:26:41 ID:eqsMZhYB
hosyu
927風と木の名無しさん:2005/05/28(土) 21:58:17 ID:ZQzGGMvy
928風と木の名無しさん:2005/05/29(日) 00:46:45 ID:1Rjdwhwd
バイトで大型トラック助手してんねんけど、某トラック休憩所で運転手の兄貴から(ガチムチ野郎系)トイレと風呂に入るから来いと言われて付いていったら。
親父や熊系の兄貴みたいな人達が食事や風呂に入ってたんよ。
風呂ではヅルムケやホウケイなど色々見れたんだ。みんな前かくさないし、かくしてると逆にハズカシぐらいでしたよ。
風呂から揚がり軽く食事してから仮眠室がいっぱいなんでトラックの後部で仮眠取ることになったんだけど、兄貴(たぶん180 95 31)がエロ本読んで寝るからお前にもやると言ってエロ本くれたんだ。
エンジンかけて暖房入れたままだったので兄貴はタンクトップにパンツのまま寝てた。
僕は助手席で本を読んでたんだけど、後ろが気になってカーテンを少し開けて見たら、パンツ卸したまま寝てるんだよ
929風と木の名無しさん:2005/05/29(日) 01:25:08 ID:b975FDT1
マルチうぜーよ。
低脳。
930風と木の名無しさん:2005/06/08(水) 23:08:58 ID:UjDiEteM
ホシュ。
931風と木の名無しさん:2005/06/16(木) 17:42:14 ID:XL+Ujj71
932風と木の名無しさん:2005/06/21(火) 00:08:11 ID:O8hyQ/Rp
ホッス
933風と木の名無しさん:2005/06/27(月) 17:35:26 ID:XBwYKo6T
ホス
934風と木の名無しさん:2005/07/02(土) 18:22:52 ID:JPXCsu6L
935風と木の名無しさん:2005/07/03(日) 02:38:21 ID:Y8+vYeG4
936風と木の名無しさん:2005/07/03(日) 15:16:35 ID:Y8+vYeG4
937風と木の名無しさん:2005/07/13(水) 15:17:45 ID:dWhyS8Tb
938 ◆S2hhsJXtvQ :2005/07/17(日) 21:38:55 ID:EhIdBrTX
テス
939風と木の名無しさん:2005/07/23(土) 19:21:27 ID:Y2MXWbkY
僕の名前は加藤将彦、高校1年生。苛められっ子だ
なぜ苛められるのかは自分でもわからないが殴られているときに
お前のその目がむかつくんだよと言われてるのできっとこの目が気に入らないのだろう
ある日僕の携帯に電話がかかってきた・・・・奴だ、奴とはいじめっ子のリーダー「尾崎りく」
なぜそんな奴を携帯に登録しているのかと言うと、僕は苛められるだけでなくパシリなどにも使われる
その為僕の携帯はいじめっ子集団の名前がズラリと並べられている
僕は遅く行くとまた殴られるのだろうと思い急いで学校に向かう
午後5時52分僕は学校の体育館裏についた
「・・・・尾崎君、今度は何を買ってくればいいの?」
僕はさも判りきったように発言したすると尾崎は
ちょっとついて来いと僕を体育館の正面までつれてくる
「入れ」と野崎、僕は何をするのだろうと思い中に入る
あっち行くぞといわれ壁の方へ向かった。
僕は壁にもたれながら話を聞く体制を作った
「ちゃんと聞けよ?、俺実は、加藤が好きなんだ」
僕は耳を疑ったまったく理解できずに「は?」と声をだしてしまったほどだ
「・・・・尾崎君、もう一回言ってくれないかな?」
尾崎はその整った顔つきを少しゆがめて「だからお前が好きって言ったんだよ」と言った
・・・・・・・・・・その言葉を聞いて僕の中で何かが切れた
「ふざけないでよ、散々僕を苛めておいていまさら告白?、どうせそれで僕がOK出したらそれを出汁にして苛めるんだろ?もしNOと言えば殴るんだろ!?いつまでも反抗しないと思うな・・・・・んぅ!?」
なんと野崎はキスをして僕の言葉をとめたのだ

940939:2005/07/23(土) 19:31:04 ID:Y2MXWbkY
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいorz
小説書くのって実はここが初めてで、ほんとうにお目汚しスイマセンorz
でも、こんな作品にでも感想くれたら幸いです
941風と木の名無しさん:2005/07/25(月) 07:51:24 ID:jIDxw6Pn
>>939
28点

>>940
21歳になってる?
もし21歳以上でそんな誘い受けするようなら2ch向いてないよ。
942風と木の名無しさん:2005/08/11(木) 04:03:45 ID:FjD5vg+x
保守派
943風と木の名無しさん:2005/08/13(土) 23:26:15 ID:BpEQEji5
  
944sage:2005/08/15(月) 08:49:48 ID:JrVUKIFe
テス
945風と木の名無しさん:2005/08/15(月) 09:06:10 ID:JrVUKIFe
「陸…いい加減にしなさい」
声をかけても、陸の手は止まらなかった。
私のベッドには今、突然現れて無言で外し始めた陸の皮手袋、レザージャケット、ウェストバッグ
にバイクのキーが次々と投げつけられている。
「陸…」
静止する間もない。陸は今度は薄手のニットに手をかけて、たくしあげて一気に脱ぎ捨てた。
裏返しのニットがふわりと銀の鎖を覆い隠す。上半身裸になった陸の姿は、下着やジーンズの
コマーシャルのようだった。しなやかな若木。ネコ科の獣。そんな言葉も脳裏をよぎる。
陸は今時の若いタレントのような顔なので、荒い仕草も絵になるが、残念ながらここにいるのは私だ。
三十路の男だ。黄色い悲鳴が欲しいならよそに行けばいい。陸の身体から視線を剥がしてそう思う。
「陸、こら。泊まるのなら布団を用意する。居間に…」
「花輪サン、ストップ」
ドアノブに手をかけた私の背中に、ゆっくりと陸の気配が近づいてくる。わかる。陸は今、薄く
笑って茶色い瞳をきらめかせている。
「なあ。どうしてショップに顔出さなくなったんだよ。俺あなたの住所聞き出すの苦労したよ」
「…店長にあるまじき…」
どうして私は動かない。
カーペットを踏む微かな音が迫るのを、これではまるで待っているようではないか。
「身体の準備してきたんだ。あれ、なんだか間抜けだね。シャワーで中まで洗ってさ、こんな格好
誰かに見られたらどうしようって、自分で笑った…」
うたうように云って、陸が真後ろで足を止めた。匂いに包まれ目を閉じたら、眩暈で身体の芯がぶれた。
唾を飲み込み、「陸」と掠れた声で云う。
「陸。こんな決まり文句を云いたくないが、大人をからかうのは止しなさい」
「説教なら目を見て云って」
「…ッ…」
まんまとやられた。噛みつくように振り向いた私の胸に、陸がどっと飛び込んだ。
「あなた寝るときはパジャマなんだね。髪の毛下ろしてるところも初めて見た。花輪さん好き。
逢いたくてたまらなかった!」
私は天井を見上げた。
限界だな、と小さく息を吐いた。
946風と木の名無しさん:2005/08/15(月) 18:45:10 ID:SbTeDABp
http://www0.yapeus.com/users/5991/
オタクマジキモいです(><)
947風と木の名無しさん:2005/08/16(火) 04:36:07 ID:nTvmsmbU
「…陸。バイクはどこに停めた」
陸の吐息でパジャマの肩口が湿るころ、私はようやく口を開いた。陸が「え」と顔を上げる。
「ここの前。植え込みのところ…って」
「少し待っていなさい」
そっと身体を離して上着を羽織り、ニットで隠れていたキーの鎖を掴んで寝室を出る。陸が慌てて私を追う。
「花輪さん!」
「…風邪引くぞ。ベッドに入って待ってるか?」
廊下で肩越しに振り向いた私は、笑っているように見えただろうか。陸は唇を噛んで口角を上げて、拳を
ぐっと握っていた。歓喜のポーズはいかにも若者らしく、陸だけあってやはり絵になる。エレベーターの
箱の中でひとり、口元を覆った。
マンションの一階、共有スペースに置いてある私のゼファーの横に、陸のロードスターを移動させる。
タンクの色はメタリックブルーで、すらりと伸びた陸の手足によく映えている。陸は、私の黒のゼファーが
らしいと云った。渋くてかっこいいと云っていた。
年齢も職業もばらばらなチームでツーリングに出かけ、寝袋が隣同士になったあの夜に、初めて陸とまともに
喋った。バイクショップで顔を合わせていたが、本当はずっとこうして喋りたかったんだと云われ、眠りに
落ちるころには下の名前で呼ばされていた。
今なぜこうなっているのだろう。不思議でたまらない。私は丁寧に気持ちを隠してきたはずだ。どうにも
立ち行かなくなってきたから距離を置いたというのに、あっさり無駄にされた。
それとも最初から、距離などなかったのだろうか。陸の名を呟いて虚しくティッシュで始末していることを、
知っていたとでもいうのだろうか。

陸は、ベッドに肘を突いて寝そべって、「心臓爆発しそうだ」とうっとりした口調で云った。
そんな余裕の爆発などあるものか。
私は寝室の電気を消した。
948風と木の名無しさん:2005/08/17(水) 18:19:52 ID:UNoOguZZ
>>944,945,947
とりあえずsageろ
949風と木の名無しさん:2005/08/18(木) 05:19:59 ID:ylmnlmjz
申し訳ない。これでいいのか…
950風と木の名無しさん:2005/08/19(金) 18:09:27 ID:f7kLyPPL
  ,,,,,.,.,,,,
 ミ・д・ミ  <ホシュ
  "'''''''"
951風と木の名無しさん:2005/08/20(土) 18:36:18 ID:nS1OZJ9o
   ,,,,.,.,,
∝ミ・д・ ミ∽  osageほっしゅ
   """ 
952風と木の名無しさん:2005/08/21(日) 08:33:24 ID:q585Vvao
953風と木の名無しさん:2005/08/21(日) 09:32:01 ID:flU0qM1+
「…花輪さん、真っ暗なんだけど…」
陸の声を聞きながら、ベッドに片膝を突いてルームランプに手を伸ばした。ほの明るいオレンジの光が
私を照らし、私の下にいる陸に影を落とす。
「…陸」
陸が私の首に腕を回して、「なに?」と笑って囁いた。これだけは云っておかねばならない。陸に身体を
沈める前に、これだけは。
「最後までしたいんだが、なにぶんここにはゼリーもゴムもない。せっかく身体の準備をしてきてくれた
のに申し訳ない」
「あるよ。もう枕の下に突っ込んであるけど」
陸が目で枕の端を示した。私は「そうか」と小さく笑って、顔を傾けながら云った。
「…帰りは車で送る。バイクのシートは辛いだろうから」
「うわ…俺どうなっちゃうんだろ」
「私もどうなるのか…」
陸の半開きの唇に、静かに唇を重ねた。ふれるだけのささやかな口付けだった。見つめ合い、弾力を
押しつけ合っているだけで、私はこんなに昂ぶるのだ。本当にどうなってしまうのだろう。
舌先をそっと侵入させた。陸が嬉しそうに目を閉じた。
「…ン…」
鼻から抜ける甘い声が、威厳や理性といった大人の矜持を霧散させる。もう、構わないだろうか。
取り繕わず、剥き出しにしていいだろうか。
「陸…ッ」
陸の頭を押さえ込むようにして、舌を深く挿し込んだ。口内を余さず舐める。上顎の粘膜を舌先でなぞっ
たとき、陸の身体がぶるっと震えたので、特にしつこく舐めた。
陸は私の唾液を飲んで、また飲んで、舌を上下に絡ませた。とろりと濡れたやわらかな陸の舌が、激しく
動く私の舌についてくる。
私は最後には、顔を前後に動かして、陸の口内にペニスのように突き立てた。
「ンッ、ンふッ…ン…」
鼻で喘いでいた陸の腕が、私の背中から力なく滑り落ちた。
954風と木の名無しさん:2005/08/24(水) 18:55:00 ID:R1f9DgiD
つ、続き…
早く続きを…
955風と木の名無しさん:2005/08/25(木) 05:30:48 ID:Ht7voZ3h
軽く肘を曲げた、甘い完全降伏だ。
陸はそんな姿勢で私を見上げ、胸を上下させている。揺れる目も開いた唇も、突いただけで剥がれ落
ちる花びらのようだ。
「…きて…」
陸の鎖骨に口付ける。味わい、嗅ぎ、手でふれる。ガラスケースの宝石が、今夜、私のものになる。

「イヤ、こんな格好イヤだ、花輪さんイヤ…アァ…」
肩に膝がつくほど身体を畳んで、腰を支え、私は陸の狭間に顔を埋めている。
部屋に響くのは私の舌鼓の音だ。夢中になった猿のように、ずっと陸の蕾を舐めている。
膝と膝の間で「恥ずかしい…」と顔を歪める陸に、「私は気持ちいいよ」と云った。陸から見えるの
は私の顔半分だろう。
「花輪さんの目エロすぎる」
切れ切れの息が切ない。私は半勃ちの陸をそっと握って、蕾を味わいながら「そうか」と云った。
「アァ!」
引っ張られたシーツが陸の両脇で山になる。
「さわって…花輪さんいっぱいさわって…!」
親指と人差し指で作った輪の中で、陸がぐっと硬くなる。蕾は逆に、ふわりと広がる。
陸の声が聞こえなくなった。短い息継ぎで、快感をこれっぽっちも取りこぼさないよう、全身で求めて
いるのだ。
上下に動き続ける指の輪に、ねちりと水気が絡んだ。私は顔を少し斜めにして、蕾の近くの肉を甘噛みした。
「アーッ!」
陸のペニスが大きく跳ねる。足の裏が弓反りになっている。
「イヤ、出る、花輪さん出そう、気持ちいい」
上擦った声で口走り、射精が近いことを知らせた。私は陸の根元をしっかり握って栓を閉じた。
枕の下の潤滑剤は使い切りタイプだったので、一瞬、陸は間違えてコンドームをふたつ忍ばせたのでは
ないかと思った。
「え、なに…」
956風と木の名無しさん:2005/08/28(日) 22:54:03 ID:BkdSxb7X
保守だ。
957風と木の名無しさん:2005/08/30(火) 04:46:25 ID:lGv1AaO9
「ちょ…花輪さん、なあって…」
陸は眉を八の字にして、下腹をうねらせている。途方に暮れた顔で勃起させているのがいやらしい。
激しい咽喉の乾きを覚えた。股の間に血流が流れ込んでくるのがわかる。私は下着を突っ張らせながら、
陸のペニスをそっと開放して、放置した。
「アァ…アァ…」
「かわいいよ陸。とてもきれいだ」
声が咽喉に引っ掛かり、自分でも聞いたことのない低音になる。陸の身体が震え、とうとう愛液が細い筋で
腹に垂れた。潤滑剤を中指に薄く塗り、呼吸する陸の蕾にゆっくり埋める。
「…ッン…」
「平気か?ああ、ちゃんと中に塗ってある。偉いな」
「準備してきたって云ったじゃん…花輪さん、俺ん中、どんなになって…」
「君の中はね。すごく熱くて、柔らかい。気持ちいいよ」
「さわってるあなたが…?」
弾んだ息で小さく笑った。上気した頬が持ち上がり、濡れた光と淡い影を作る。そのような笑顔を見せる
陸が、身体の内側で私の指を愛撫するのだ。粘膜はぼってりと、指にまとわりついている。
探り当てたしこりは、気持ちとしては、陸の臍の裏あたりだった。指の腹を当てて、丁寧に擦り始める。
「え…あ、嘘、それって…」
「勃起しているとよくわかる」
「イヤッ!花輪さん嘘、アッ、すごい、やだ、アアッ」
二本目の指でしこりを挟み、やさしく絞り上げる。陸の愛液は水滴が伝わるような筋になり、とめどなく
あふれ、内部の粘膜はますますまとわりついてくる。
「ッ、指…」
「ん…?」
「花輪さんの指動いてる、俺、あなたの指好き、ずっと見てた」
「…苦しくないか?」
「苦しい…気持ちいい…ッ」
958風と木の名無しさん:2005/09/08(木) 01:07:12 ID:+Flncf5l
ふぉしゅ
959風と木の名無しさん:2005/09/09(金) 04:14:00 ID:10XxJgL3
ここもかもしれない。
960風と木の名無しさん:2005/09/23(金) 22:43:10 ID:diba+tg0
.
961風と木の名無しさん:2005/10/02(日) 09:51:28 ID:meBHbUl2
保守しつつ。
次スレは立てたら駄目かなあ。
962風と木の名無しさん:2005/10/06(木) 13:14:33 ID:Z1KYpR/N
963風と木の名無しさん:2005/10/06(木) 20:54:03 ID:4+b+iFk/
YOU、立てちゃいなよ!
964風と木の名無しさん:2005/10/08(土) 21:04:41 ID:QjK8aAoy
965風と木の名無しさん:2005/10/10(月) 06:12:58 ID:tm/fGSqX
*
966風と木の名無しさん:2005/10/10(月) 10:46:06 ID:k5oqr5ap
みなさかなー
967風と木の名無しさん:2005/10/10(月) 18:47:26 ID:zftYufkm
保守
968風と木の名無しさん:2005/10/11(火) 02:02:19 ID:MPnjrNbM
969風と木の名無しさん:2005/10/11(火) 16:27:51 ID:MPnjrNbM
970風と木の名無しさん:2005/10/13(木) 20:51:20 ID:34YNIB3J
|∀・)
971風と木の名無しさん:2005/10/16(日) 15:33:15 ID:E/uVLuxK
ヒソヒソ( ゚д゚)ヤダァ(゚д゚ )ネェ
972風と木の名無しさん:2005/10/16(日) 19:23:41 ID:/zZ01BET
973風と木の名無しさん:2005/10/16(日) 19:31:45 ID:/zZ01BET
ふふ
974風と木の名無しさん:2005/10/17(月) 00:02:50 ID:01fsSSWO
。・゚・(ノД`)・゚・。
975風と木の名無しさん:2005/10/17(月) 00:51:42 ID:X/jf8/ru
(≧▽≦)
976風と木の名無しさん:2005/10/18(火) 22:51:03 ID:Etzzynf9
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!アーアーアー
977風と木の名無しさん:2005/10/19(水) 02:19:30 ID:SYXFh7qj
(*ノωノ)ハズカチ-
978風と木の名無しさん:2005/10/21(金) 22:26:50 ID:+SWUk6p3
?
979風と木の名無しさん:2005/10/22(土) 13:12:24 ID:2oTH9jcu
アヒャ
980風と木の名無しさん:2005/10/22(土) 15:09:31 ID:urMx5SyO
(゚д゚)ウマー
981風と木の名無しさん:2005/10/22(土) 20:37:43 ID:Lnlg/RIX
982風と木の名無しさん:2005/10/23(日) 11:21:07 ID:BXIgjRPk
 
983風と木の名無しさん:2005/10/24(月) 09:22:57 ID:nGV5gJtx
984風と木の名無しさん:2005/10/24(月) 23:25:02 ID:hdBimTjM
985風と木の名無しさん:2005/10/25(火) 20:33:29 ID:x9m9bF9O
986風と木の名無しさん:2005/10/26(水) 03:08:23 ID:RjrT4fn2
次スレ立てますた
相談なしにゴメヌ

★誰か僕の小説を作ってくれたまえ・2作目★
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1130263604/l50
987風と木の名無しさん:2005/10/27(木) 01:31:55 ID:xZfJbF50
988風と木の名無しさん:2005/10/28(金) 01:14:20 ID:ZMLgdeSm
989風と木の名無しさん:2005/10/29(土) 00:58:28 ID:xaUdsBrR
990風と木の名無しさん:2005/10/30(日) 00:54:32 ID:V5YwNBh5
991風と木の名無しさん:2005/10/31(月) 00:50:05 ID:yhx5ZZe2
992風と木の名無しさん:2005/11/01(火) 00:53:56 ID:grgU1nUN
993風と木の名無しさん:2005/11/02(水) 00:53:21 ID:RaslnhPB
994風と木の名無しさん