メタノレギアソリッドでも801

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647蛇は静かに…
時間が止まった。
言ってはいけないことを言ってしまったと、本能が悟った。
「ち…、違うんだ…、今のは」
ガタン!と男が鋭い音をたてて立ち上がった。しかし逃げようとする体は、竦んでうまく動かず、
その上相手は百戦錬磨の傭兵だった。避ける間などあるはずもなく、オタコンの足は宙を浮く。
「…………!!」
デスクの上に乱暴に投げ出され、上下感覚が狂う。必死にデスク上のディスプレイの縁を
つかんで起き上がろうとしたオタコンの手は、しかし容赦なく引き剥がされた。
両手を引き据えられて、オタコンの目はまともに、男の顔を捉える。
本気で怒らせた。その相手。
「…スネーク………違うんだ…」
「何が違うんだ、オタコン。言ってみろ」
死神さえ凍りつかされそうな、声。
作戦任務中、スネークはいつも冷静だった。その冷静さは強さであり、自信であり、どんな危険な任務でも
可能とする安心感を、周囲に与えるものだった。オタコンはその冷静さを期待し、信頼し、
そして、誇りに思っていた。
しかし、それは、見る方角がスネークと同じ場合だ。
向けられる側に、立ったことは無い…。
「………」
死、を意味する物だ。
確実に獲物を捕らえ、しとめる。自らの意思を実行する力を持つ目。
恐怖と、反らされた背の痛みに、声が出ない。
648蛇は静かに…(2):02/02/03 22:34 ID:s9Ll2EoC
「もう一度聞く。何が違うんだ?ハル」
「……ち…が…………」
「いいか、言っておく。俺と大佐、いや、キャンベルは友人だ。信用している。彼の好意に嘘など無い。
 だから俺は彼の権威を貶めるような発言は許さない。たとえそれがお前であってもだ」
今日午前、フィランソロピー本部に、ロイ・キャンベル大佐からの文書を受信した。認識はクリア。
確かに大佐本人からのメッセージだ。そこには、近々キャンベル私邸で内輪のパーティを開く、
その招待文が示されていた。しかし、おかしい。なぜプライベートメッセージであるなら、
本部に宛てているのか。確かに彼はときたま本部宛てにメッセージを送るが、それはメタルギア関連
の情報送信のためであり、私用での送信はない。しかも、他の招待客にも、きな臭い部分が多い。
「……言い方が、悪かったのは、認めるよ。……だけど…、やっぱりちょっと変だ」
「何がだ。フィランソロピーへの正式な招待状だ。内輪でも礼は尽くす男だ。大佐は」
「君と僕がパーティに出る必然性が薄い。君はともかく、僕はそんなに面識が無い。それに…、
 やっぱり僕は、あまりこれ以上、君は大佐に関わらないほうがいいと思う」
「…何故だ」
「君の存在は、大佐の立場にとって、正直、マイナス部分が多過ぎる」
「…」
急激に両手を引かれ、視界が反転した。まともに体勢を認識できないまま、足が浮くのは分かった。
気づけば、まるで小荷物のように、スネークの肩に担がれていた。
「! スネーク!」
がっしりと両腕ごと抱え込まれて、身動きもままならず、そのまま運ばれていく。
ドアをいくつか開け、放り出された先が、仮眠室のベッドの上だと知ってオタコンは青ざめた。
「ちょっ……!何を、ぅぐっ…」
スネークがいつの間にか手にしていたタオルを、口に詰め込まれる。既に両手は頭の上に固定されて、
ビクともしない。力で、自分がスネークにかなうわけは無いのだ。無駄な動きは一つもないスネークを、
驚愕と動揺が入り混じった面持ちで見上げる。
649蛇は静かに…(3):02/02/03 22:38 ID:s9Ll2EoC
「戦場での精神の高揚が性欲を掻き立てることは知っているだろう。お前も。生憎、戦場には
 マドンナが欠乏気味でな。その場合の対処方法は、いろいろ仕込まれたものだ」
ビッ、とにぶい音がしてシャツが裂かれる。ボタンが一つはじけ飛ぶのが見えた。
「特に、ロック解除なんかでチームに同行してもらうブレーンは、重宝したな」
何の抵抗もできないまま、ベルトがはずされる。はずしたベルトで両手首を縛られる。
必死にもがいたが、他愛も無くスネークは押さえ込み、一分の隙も無く締め上げた。
「そう、例えば、お前のような」
口元に薄く浮かんだ笑みを見た瞬間、オタコンの恐怖に火がついた。
「う、ううぅうぅぅ!!」
「騒ぐな、まだスタッフも残っているのだろう」
力任せに首を振り、声をさえぎるタオルを振り落とそうとしたが、あっさりと押さえられ、
そのままうつぶせにされる。頭を押し付けられ、息が苦しい。
残っていたシャツの残骸をまくりあげられ、背が外気に晒される。
スネークの手が体の下にもぐりこみ、ためらいもなくチャックを下ろし、腰に手をかけた。
「んぅう!」
やめて、と言おうとしたが声にならず、容赦なくズボンが引き下ろされる。
なすがままだ。苦しさと恐怖で涙がにじむ。
あらわになった素足の片方を、動きを止めない手がそのまま捉えた。片足を引き上げられ、
もう片方は足でがっちりと固定されている。秘部があらわにされる。
「………!!」
固く目をつぶり、予想される痛みと恥辱に覚悟した。そうだ、自分はスネークには敵わない。
それは分かっている、分かっている……!

650蛇は静かに…(4):02/02/03 22:40 ID:s9Ll2EoC
「…………………」
しかし、いつまでたっても、それ以上の侵略はなかった。
ゆっくりと、拘束が解かれる。重みが退く…。
恐る恐る目をあけ、タオルから口を上げる。息を吸う。
うまく息が入らず、すこしむせた。
「パーティには出席する」
いつもと変わらぬ声で、スネークが告げた。
「長い間、ご無沙汰してるからな、大佐には。…許可してもらえるか、オタコン」
「……………分かった……」
「そうか、ありがとう」
そのままの足取りが、ドアへと遠のく。ノブが開いた。
立ち去るかと思った足が、止まる。
「それとオタコン、大佐は自分の『立場』なんぞ、気には留めない。それ以上に大切なものを
 知っているからな。それは、分かってやってくれ」
「……。ごめん…」
パタン、とドアが閉じた。