「在日は帰れ!」「レイシストは帰れ!」4.21新大久保反韓デモとそのカウンターを直撃取材
http://www.excite.co.jp/News/reviewfeat/20130422/E1366595083370.html 2013年4月21日。日本有数のコリアンタウンである東京・新大久保。怒号が響きわたった。
「在日外国人は出ていけー!」
「日本人を保護しろー!」
「在日朝鮮人を、日本からたたき出せー!」
「行動する保守」に分類される団体による、いわゆる「反韓デモ」である。
朝鮮学校への補助金撤廃や、外国人参政権反対を訴えながら車道を行進するデモ隊。
一方、歩道ではデモ隊のヘイトスピーチに反対する人々がひしめいていた。
「レイシストは帰れ!」
「お前らこそ新大久保から出ていけ!」
「同じ日本人として恥ずかしい!」
デモ隊から一言が発せられる度に、次々と怒声を返す人々。「排外主義は日本の恥」と書かれたプラカードを掲げる者もいた。
彼らの多くは特定の団体に所属しておらず、ネット上の告知を見て集まった有志たちである。
ある者は、反韓デモ隊の「人種差別」に対抗するという意味で、自分たちの活動を「カウンター」と称す。
われわれは、約2時間に渡って行われたデモ行進と、それをとりまくカウンターの人々に取材を試みた。
日本列島は寒気に被われ、3月なみの寒さとなった新大久保。しかし、デモ行進に合わせて、ある種異様な熱気が周囲を包んでいった。
午後0時。JR新大久保駅前、喫煙所。
差別主義・排外主義を掲げるデモに反対を表明する30代のAさんという男性を中心に、数名の有志が集まっていた。
彼らはツイッターやブログを見て新大久保へ来たのだと言う。カウンターとして行動する人々の参加理由は実に様々だ。
今回が2回目の参加だという大学生のBさん(21歳男性)は、朝鮮大学校との学習会がきっかけだ。
そこで在日朝鮮人の友達がたくさんできた彼は、デモ隊の差別的言動をネット上の動画で見て、驚いた。
何か自分に出来ることはないかと考えカウンターに参加した。
また、拡声器を肩に掛けるCさん(30代男性)に参加理由を尋ねてみると「やっぱネトウヨ、大嫌いなんすよ」だそうだ。
「僕の思想は右寄りなんです」というDさん(40代男性)。
「反韓デモの連中がやっていることは単なる人種差別。日の丸を掲げながら在日を殺せだなんて、日の丸のイメージを損なうだけなんですよ」と語る。
今回が三回目の参加となるDさん(40代女性)は在日朝鮮人3世である。
在日朝鮮人からすれば許せないという気持ちが強いのではと尋ねてみる。
「最初はね、できれば(反韓デモの事は)知りたくもないしね、関わりたくないと思っていましたよ。
そりゃ、そうでしょ。気分がね、本当に苦しくなるから。これは日本人にとっての問題。
でも日本人の問題だからこそ私たちの問題でもあるんじゃないかなと思ってね」
時間が経つにつれて有志たちの数は増え、1時間後には20名弱ほどになっていた。
反原発デモなど、他のデモに参加したことのある人もいれば、今回のカウンターで初めてデモに関わるという人もいた。
Aさんを中心とする集団以外にも、新大久保駅前には、異なるグループの有志たちがそれぞれに集まっていた。
30代から50代の男性が半数を占めるなか、20代の女性もいた。
われわれが出会ったなかで一番年少であったのは、今年の4月に高校生になったばかり、15歳の男子高校生たちである。
仲良し6人組でこのカウンターに初めて参加した彼らは、
韓国のアイドルグループKARAのファンである。
「KARAが好きなんだよ俺たち。だからこんな反韓デモなんて、だめだよね」
ネットを使い、自分たちで今回の活動を探し出したのだという。それじゃAさんって知ってる? と尋ねると、
「え、何にもしらね」
「あと、俺はただの野次馬なんだからね!」
と一番奥の男の子。
このように、緩やかなグループの一員としてカウンターに参加する人もいれば、まったく個人的に参加する人もいる。
彼らに明確な代表者となる人物は存在しないのである。