オウムとアウトロー@都市伝説

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8瞑想9年
 平成7年秋。オウム信者が拘留されている関西の所轄の近くの喫茶店に男は来た。
 待っていたのは本部捜査4課の刑事二人。男は『おやっさん、うちとオウムは関係おまへんで』と、開口一番言った。
 捜査4課の一部、オウム関係の特命班では拘留信者の供述からその男が所属する暴力団組織とオウムの関係を追っていた。
 会いたいと言ってきたのは男の方だった。男はその日本最大の暴力団組織において直系組長と一般に言われる位置にあった。
 男はアイスコーヒーを頼むと、煙草をくわえ『うちは関係おまへん。歌ってるとしたら駄法螺ですわ』と続けた。
 この男が決して饒舌ではないことを捜査員は知っている。むしろひとかどの人物気取りで寡黙さを装うことで自分を大きく見せようとする歪んだ(と言っても暴力団組長にはそういうタイプが多いのだが)自己顕示欲の持ち主であることも捜査員は知っていた。
 オフィス街の喫茶店。予定されていた被疑者であるオウム信者の午後の取り調べをやめてまで、男と会う捜査員。
 1冊の、世間で言う3流雑誌に書かれた記事。毎週、毎週、暴力団、とりわけこの男が、いや、全国に3万人いると言われている組員全てが『親分』と呼ぶ組長を賞賛する雑誌に書かれたオウムと暴力団の関係についての記事が、ごく一部だが真実をかすっていたのだ。・・・・
 続く