【伝説】國士舍官vs朝魚羊高校 Part35【昭和】

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岩本が尋ねた。
「で、いくら取られたんだよ」
「買い物帰りだったから、五千円で済んだけど……」
「まあ、朝高相手じゃあしょうがねえな」と珍しく同情する素振りを見せた。

もっとも、実は大吉をカツアゲしたのは朝高生ではなく朝中の生徒だった、
つまらない見栄を張って朝高にカツアゲされたと言ってしまったのだ……。

─それは、ホームで電車を待っているときのことだった、大吉の肩を後ろから叩く者がいた。
振り返ると、7人ほどの坊主頭にズック靴の中学生らしい一団がいる。先頭にいた
目つきの鋭いのが言った。

「お兄さん、俺らコーラ飲みたいんだけど、金貸してくれる?」
「な、ないよ」と震える声で答えると、
「お前、チョウチュウ舐めんのかよ」と凄んで大吉の足を蹴ってきた。

大吉は一瞬の間を置いてから『朝中だ』と気づいた。ただのツッパリ中学生でさえ
大吉などでは相手にならない。ましてや、朝中生相手となったら袋にされるのは
目に見えている。足も震え始めてきた。

あわてて財布を取り出すと、さっと取り上げられ、相手は札だけ抜いて財布を投げ返し、
大吉から離れ、ホームの前方に向かって行った。
リーダーに続いた朝中の連中は、通りすぎるときに大吉の足を蹴っていく、
最後尾にくっついていた一年坊主らしいチビ助までが蹴っていくありさまだった─ (続く)