【伝説】國士舍官vs朝魚羊高校 Part35【昭和】
1 :
名無番長:
part 35
∧_∧ ∧_∧
( `・ω・´) <`∀´ > 永久に不滅ニダ
( つ旦O (旦⊂ )
と_)_) (__(_⌒)
2 :
名無番長:2005/12/15(木) 22:18:41
3 :
名無番長:2005/12/15(木) 22:19:10
4 :
名無番長:2005/12/15(木) 22:19:36
5 :
名無番長:2005/12/15(木) 22:20:23
スレ立て終了。
6 :
名無番長:2005/12/15(木) 22:21:40
アゲ。
7 :
名無番長:2005/12/15(木) 22:25:35
>>1乙
無駄なテンプレを無くしたから、すっきりとしたな。この方がいいよ。
8 :
名無番長:2005/12/15(木) 22:37:49
age
9 :
名無番長:2005/12/15(木) 22:48:24
こっちが本スレなのかい?
10 :
名無番長:2005/12/15(木) 22:59:07
そうです。
11 :
名無番長:2005/12/15(木) 23:09:18
age
12 :
名無番長:2005/12/15(木) 23:34:52
あちらは反発のバカが出入りするだろうから、こちらで楽しんだ方がいいかもなww
13 :
名無番長:2005/12/15(木) 23:40:53
age
14 :
名無番長:2005/12/15(木) 23:48:07
15 :
名無番長:2005/12/16(金) 00:01:48
16 :
名無番長:2005/12/16(金) 00:16:19
>>1 ( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \ / \
( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \ / \
( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \ / \
17 :
名無番長:2005/12/16(金) 01:01:22
ここの
>>1は確信犯だろ?
嫌がらせが、どんどん陰湿化してるんじゃないか?
少女には手を出すんじゃないぞ。
18 :
名無番長:2005/12/16(金) 07:45:30
さぁーまた頑張っていきませう!
19 :
名無番長:2005/12/16(金) 08:44:36
age
20 :
名無番長:2005/12/16(金) 08:54:34
こちらは、あちらとは関係がない全くの別スレとして、ゆったりと進めばいいんじゃないの。
俺はときどきは覗くつもりでいる。
21 :
名無番長:2005/12/16(金) 11:56:58
22 :
名無番長:2005/12/16(金) 11:59:47
23 :
名無番長:2005/12/16(金) 13:35:15
24 :
名無番長:2005/12/16(金) 13:35:59
25 :
名無番長:2005/12/16(金) 15:34:17
1だが、きんもーではない。あんなのと間違えないでもらいたい。
26 :
名無番長:2005/12/16(金) 15:37:45
27 :
名無番長:2005/12/16(金) 18:01:23
何がつかあさいだボケ。
何弁か分かってつかってるのかね?
28 :
名無番長:2005/12/16(金) 18:08:25
29 :
名無番長:2005/12/16(金) 18:23:50
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
|>>※!糞スレ立てやがって!終いにゃ耕すぞ!ゴルァ! | ................:::::::::::::::::::::::::::::::::::.............
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|/ ミ __________
ヽ .\ ////\|//////\
/ \ \ ////|___|./////:::::\\
∧_∧/  ̄ /∠∠∠∠∠ ∠∠∠∠/:::::::::::::::\\
(;´Д`) i i i  ̄| ┌┬┐┌┬┐ |::::::::::::::::::::::::::::| ̄
''""~"'''"/ ヽ''"~"__i i i--i | ├┼┤├┼┤ |::::::::||||||||||:::::::|
./| | | |  ̄ ̄ ̄ |:::::| | └┴┘└┴┘ |::::::::||||||||||:::::::|
iiiiiiiiiiiii/ \ヽ/| |iiiiiiiiiiiiii::.. ノ__ノ || ̄|| ̄|| ̄|| ̄|| ̄|| |::::::::||||||||||:::::::|
/ \\| | ||_||_||_||_||_||_|::::::::||||||||||:::::::|
/ /⌒\ し(メ .i i i .|| ̄ ̄|| ̄ ̄|| ̄ ̄|| ̄ || ||乃三三-_
/ / > ) \ ノノノ
/ / / / .\_ ザックザック
し' (_つ /:::::/::... ザックザック
ノ・ ./∴:・:
30 :
名無番長:2005/12/16(金) 18:34:17
31 :
名無番長:2005/12/16(金) 18:37:35
32 :
名無番長:2005/12/16(金) 20:47:44
よし、見るに見かねて俺が数日以内に、短期の創作連載をここで始める。
タイトルは、「テンプラ士舘生 大吉」だ。
33 :
名無番長:2005/12/19(月) 18:27:56
age
34 :
名無番長:2005/12/19(月) 18:32:16
35 :
名無番長:2005/12/19(月) 18:42:45
36 :
32 ◆32//.4ofzE :2005/12/20(火) 20:22:44
しょうがねえな、まだ頭と終わりしか書いてねえんだよ。とりあえず、頭だけでも晒すか。
テンプラ士舘生 大吉
「おい大吉、オメエ、朝高の連中にカツアゲされたんだってなぁ?」
Z高校一年の半髮大吉に声をかけたのは、ダブリの同級生岩本だ。
偏差値38の都内底辺校Z高でダブっている岩本ではあるが、一年余計に飯を
食っているのと、二年の不良どもとタメで付き合っているから、クラス内では
一目置かれている。
頭だけではなく、喧嘩も弱い大吉などは、入学早々に岩本のパシリにさせられていた──
37 :
名無番長:2005/12/21(水) 07:19:54
age
38 :
名無番長:2005/12/21(水) 18:21:49
39 :
32 ◆32//.4ofzE :2005/12/21(水) 21:05:41
大吉が岩本のパシリにさせられた経緯はこうだ。
──昼食を食べに地下の学食に行こうと、岩本の傍らを通りかかったときのことだった。
「おい半髮、ほか弁買ってきてくれるか、トンカツ弁当な」
「えっ、僕が行くの?」
「馬鹿野郎、ほかに半髮がいるのかよ!」
岩本は椅子に座ったまま、大吉に一枚の硬貨を放った。
大吉はへっぴり腰になりながらも受け取った、見ると100円玉だった。
「あと300円は?」
「とりあえず、それでやってくれや」
岩本は、あごをを引き顔を傾け、眉間にしわをよせて睨み上げている……
ただそれだけで、岩本の弁当買いが大吉の日課になった── (続く)
40 :
32 ◆32//.4ofzE :2005/12/23(金) 18:44:08
岩本が尋ねた。
「で、いくら取られたんだよ」
「買い物帰りだったから、五千円で済んだけど……」
「まあ、朝高相手じゃあしょうがねえな」と珍しく同情する素振りを見せた。
もっとも、実は大吉をカツアゲしたのは朝高生ではなく朝中の生徒だった、
つまらない見栄を張って朝高にカツアゲされたと言ってしまったのだ……。
─それは、ホームで電車を待っているときのことだった、大吉の肩を後ろから叩く者がいた。
振り返ると、7人ほどの坊主頭にズック靴の中学生らしい一団がいる。先頭にいた
目つきの鋭いのが言った。
「お兄さん、俺らコーラ飲みたいんだけど、金貸してくれる?」
「な、ないよ」と震える声で答えると、
「お前、チョウチュウ舐めんのかよ」と凄んで大吉の足を蹴ってきた。
大吉は一瞬の間を置いてから『朝中だ』と気づいた。ただのツッパリ中学生でさえ
大吉などでは相手にならない。ましてや、朝中生相手となったら袋にされるのは
目に見えている。足も震え始めてきた。
あわてて財布を取り出すと、さっと取り上げられ、相手は札だけ抜いて財布を投げ返し、
大吉から離れ、ホームの前方に向かって行った。
リーダーに続いた朝中の連中は、通りすぎるときに大吉の足を蹴っていく、
最後尾にくっついていた一年坊主らしいチビ助までが蹴っていくありさまだった─ (続く)
41 :
32 ◆32//.4ofzE :2005/12/24(土) 18:41:17
そのときのことを思い出したように、情けなさそうな顔つきをした大吉に岩本は言った。
「大吉、カツアゲされねえように、いいものがあるんだけど買わねえか?」
大吉は『来た』と思った。岩元には、要りもしない暴走族のネーム入りのステッカーなど
を買わせられていたからだ。
岩本は、大吉の心を読んだかのようにニヤリとした。
「今度のものはいいぞ、なんつったって國士舘の学ランだからな。これを着てりゃあ、
その辺のツッパリなんかみんな逃げ出すぜ」
岩本は國士舘高校の話を始めた。
話すエピソードはどれも無敵國士舘の話ばかりだった。極端に臆病なるがゆえに
強い者に憧れを持っている大吉は、その単純さも加わって途中からは目を輝かせて
聞き入っている。 (続く)
42 :
32 ◆32//.4ofzE :2005/12/25(日) 16:13:00
岩本は、大吉が乗ってきたと踏んだあたりで、じゃあ商品を見るかと言いながら、
クリーニングのビニール袋に入った黒い制服の上着を取り出した。
Z高の金ボの上着とは違ってファスナーで閉じるタイプの制服だった。
「どうだ、士舘の蛇腹だ、カッコいいだろう。士舘でも気の利いた連中は、誂えで中ラ
ンにして、チャックの替わりに引っかけを付けたり、刺繍を入れたりするらしいぜ。これ
はチャクランつってノーマルなやつなんだが、ハッタリかますにゃこれで充分よ……、ま
あちょっと着てみろ……、おぉ似合うぜ大吉、オメエまぶしいぜ……」
次々と繰り出す岩本の持ち上げに、大吉の顔に笑いが拡がり始めた。
教室内にいた同級生達は、蛇腹姿の大吉を見て、顔を伏せて肩を震わせている。
身長157センチ、体重85キロ、まんまる体型の大吉が着込んだ普通サイズの
蛇腹の胴体はパンパンに張り、袖は手の半分以上を覆い、裾丈もノーマルとも
中ランともつかない中途半端な長さであった。
不格好な姿のテンプラ士舘生に笑い声をこらえきれなくなったのか、教室を飛びだして
いく者が続いた。残った連中も窓際に行き外を見る。並んだ肩が震えている。
満面笑みの大吉は弾んだ声で言った、
「岩本君、これ買うよ!」
窓際に並んだ肩が大きく波打った。
「いいか、無敵の士舘つっても朝高には絶対に絡むなよ、それから……にもな」と
岩本は、幾つかの学校名を挙げた。
どれもZ高などでは頭が上がらない喧嘩高であったし、朝高はもちろんのこと、
それらの学校には士舘相手に向かっていく猛者がいたからだ。
しかし、ツッパリ中学生でさえ相手にするのが怖い、臆病な大吉には無用な忠告だった。 (続く)
43 :
32 ◆32//.4ofzE :2005/12/26(月) 18:54:58
士舘の蛇腹を手に入れたその日、早速着替えて街を歩いてみた。
向かいから歩いてきたブレザーの制服を着た数人の高校生が、大吉を見て
あわてたように道をあけた。
彼らの前を通りながら一人の顔をちらっと見た。見られた顔の持ち主はうつむいた。
通りすぎてから大吉はほくそ笑んだ、『確かに士舘の蛇腹は威力がある』。
いい気になった大吉が、岩本に支払った蛇腹の代金を回収しようと、カツアゲを
するようになるのに時間はかからなかった。
臆病な大吉が狙ったのはおとなしそうな中学生だ、そしてときには小学生にも凄んだ。
「士舘だぁ!金を貸せ」
相手は青ざめた顔で財布を出す、大吉は財布ごと取り上げてポケットに入れる。
「ようし、タレコムんじゃねえぞ」とにらんでから離れる。
大吉は「士舘だぁ!」の一声で怯えてしまうカモを見ると、身体が震えるほどの愉悦感を覚えた。
特に、学校で岩本や他の同級生にいびられた日などは、その鬱憤晴らしもあって気合が入った。
青くなっているカモを見る愉悦感は普段よりも増大した。
そんな日の夜のことだった。大吉は、布団に入ってからもなかなか寝つかれず、
昼間のユスリを反芻するかのように相手の怯える顔、震える足を思い出していた。
強い愉悦感が蘇ってくる。
大吉の心臓は高鳴り体中が熱くなり、さらに皮被りの粗チンが固く充実してきた。
右手を下着の中に差し入れて握る、粗チンゆえに勃起しても一握り未満に全体が納まる。
怯える被害者の顔を思い浮かべながら、右手を動かした。
大吉はたちまち放出し、サディスティックな興奮はそれまでにはない快楽をもたらしていた。
しばらくすると、粗チンが再び固くなってきた。大吉は、必死の形相で息を荒くしてコスリ続けた……
歪んだ快感が忘れられなくなった大吉は、電車に乗って場所を変えながら、毎日のようにカツアゲを続けた。(続く)
44 :
32 ◆32//.4ofzE :2005/12/27(火) 21:14:58
最初のカツアゲから一カ月ほど経ったころから、國士舘生が小中学生相手に恐喝を
働いているという噂が広まり、警察への被害届出も相次いだ。
当然のことながら、警察は國士舘高校に該当者に関する問い合わせを行った。
しかし、伝えられた容貌に該当する生徒は、ここ三年間の中退者を含めてもいなかった。
もちろん不良高校であるから、士舘生の中にもカツアゲをする者はいる。
生徒間で疑われた者の中には、「冗談じゃねぇ、俺はツッパリ相手にしか
カツアゲはやらねえよ」と大して自慢にもならないことを言う奴もいた。
結局、國士舘の制服を着たテンプラがやっているらしい、ということになった。
45 :
32 ◆32//.4ofzE :2005/12/27(火) 21:21:03
士舘生は、出身の地元で不良に顔が利いている者が多い。
彼らは地元の不良仲間を通じて、テンプラ士舘生を探そうとした。
学校つながり、暴走族つながりで見つかるかもしれないと考えたからだ。
程なく、暴走族のX連合本部に所属している岩本の耳にもその話が入った。
X連合総長の三浦は、本部所属メンバーを集めてテンプラの容貌を伝え、
心当たりのある奴がいたら直ちに本部に連絡するように言った。
岩本は、すぐに大吉のことだと分かった。
翌日、学校で大吉をつかまえ、しばらくは蛇腹を着て出歩くことも止めるように命じた。
うっかりすると、大吉に蛇腹を売った岩本にもとばっちりが飛んでくる可能性があったからだ。
クラスの連中にも当面の間、大吉の蛇腹に関する箝口令を布いた。(続く)
46 :
32 ◆32//.4ofzE :2005/12/28(水) 19:28:05
しかし、既に自分の歪んだ性欲を抑えることができなくなっていた大吉は、
岩本の着用禁止命令を無視して、その日も蛇腹を持って外出した。
ちなみに夜毎の粗チン摩擦は、大吉の眼に四六時中クマを入れる程に回数が増えていた。
用心のため、蛇腹は紙袋に入れ、金ボのままで電車に乗った。
適当な下町の駅で降りて駅の周りをうろつく。脇道の人通りが少ないあたりで、
こじんまりとしたゲーセンを見つけて、中に入った。
店内には、店員が一人と私服中学生の三人連れがいるだけだった。
雑誌を眺めていた店員は、入ってきた大吉の方を見ようとさえしなかった。
対戦型ゲームに熱中していている様子の中学生たちも、新しい客には無関心だ。
大吉は、トイレに入り着ていた金ボを蛇腹に着替え、紙袋に入れる。
トイレから出てゲーム機の前に座り、コインを入れてゲームをするふりをしながら、
様子をうかがっていた。
中学生三人はいずれも二、三年生くらいか、ゲームに興じている姿は、一見して
普通の中学生に見えた。
『カモだ』、早くも大吉の頭には彼らが怯える様子が浮かんできた。
粗チンに幾らかの充実感を覚える。(続く)
47 :
32 ◆32//.4ofzE :2005/12/29(木) 19:28:04
店内に入ってから10分ほどたったころ、店員がトイレに立った。
中学生たちがゲーセンを出るまで待ち、外で絡もうと算段していたが、
尻の穴がムズムズしてくるような期待感に心が逸っていた大吉は、
チャンス到来とばかりに、早速、行動に移った。
「おう、ガキども士舘だ、外までツラァ貸せ!」と平手で三人の頭を次々と横から叩く。
二人は顔をこわばらせて立ち上がった。
ウエストバッグを付けているもう一人は、不服そうな顔をした。
大吉は、「テメエ、士舘舐めんのか!」と凄んで足を蹴る。
先に立ったうちの一人が「準、た、立った方がいいよ」と震える声で言った。
準と呼ばれた残った一人も仕方なさそうに立ち上がった、一番上背がある。
大吉は、外に出ろ、とゲーセンが入っているビルの脇にある、幅二メートルほどの路地に連れ込んだ。
路地の片側には、駅を利用する通勤通学の連中が乗ってきたものらしい自転車が、二十台ほど
乱雑に停めてある。
「金だ、早く出せ!」。
「やだね、取れるもんなら取って見ろよ、俺んちの兄貴はX連合の総長だぞ」、
ウエストバッグを付けた準が、うわずった声で言った。
大吉は内心ぎくりとした。暴走族X連合総長の三浦のことは、岩本から聞いて知っている。
……普段は面倒見のいい人だけど、キレたときの怖さったらねえよ、と岩本は言っていた。
三浦の前では直立不動になってしまうとも言っていた。
大吉は、準の顔をよく見た。ゲームに興じていたときとは違って、ふてぶてしい雰囲気が眼に出ている。
他の二人も勢いづいて、
「準の兄さんはこわいぞ」、
「三浦さんは、一声で二千台のクルマやバイクを集めるんだぞ」などと口々に言う。
大吉はいくらかひるんだ様子を面に見せた。
それを見て、すっかり落ち着きはらった様子の準は、ウエストバッグから革ケース入りの
サバイバルナイフを取り出し、ケースから出して柄をしっかりと握りブレードの両面を
見せびらかすように手首を動かす。
ブレードの落ちついた深みのある輝きが不気味だ、大吉の粗チンが縮こまった。(続く)
「これはな、ニセの國士舘が出てきてカツアゲするから持ってろって、兄貴がくれたんだよ」、
準はそう言ってから、嘲るようにゆっくりと刃先を大吉の方に突き出した。
目の前の輝くナイフに怯え始めていた大吉はこれを防ごうと、あわててのけ反りながら、
持っていた紙袋を下から振り上げた。
紙袋の縁が準の左眼に当たった、ウッと声を出し、準は左手で打たれた眼を押さえた。
すぐに手を離した準の左眼は閉じたままだった。痛みで左目を開けられなくなったようだ。
「ヤッタナァこの野郎!」準は大声を出しながら、大吉の胴体向けて先ほどよりもすばやい
ナイフの突きを繰り出した。しかし、片眼で遠近感が正確につかめなかったのに加えて、
興奮で体に無駄な力が入ったせいもあって、準が右手に握ったナイフは、大吉の体の
右方向に流れながら入る。
ナイフは、両手を広げて避けようとした大吉の蛇腹の胴体の右側の生地をハスった。
勢い余って横向きになった準の体が大吉にもたれかかる、大吉は無我夢中で
もたれかかってきた準の体を両手で押しながら二三歩前進し、力一杯突き放した。
上背はあってもまだ細い準の体は、大吉の85キロの体重が乗った突き放しを受け、
足をもつれさせて、仲間がいる方向を向いて倒れこんでいった。
仲間の一人が倒れこんできた準を受け止めようと、とっさに腰を落とした。
そこに準の握ったナイフが入り、仲間の下腹部の太股の付け根に刺さった。
準は、あわてて立ち上がりながらナイフを抜いた。
「ウワァー……」と刺された仲間は、今にも死にそうな悲鳴をあげながら仰向けに倒れ、
傷口を右手で押さえ、左手は隣に立っているもう一人のズボンの裾を握りしめた。
押さえたあたりのブルージーンズの生地がみるみる赤く染まり、たちまち尻の方まで
染まっていく。
これを見て気が動転した大吉の脳内では、闘争本能ならぬ逃走本能が炸裂し、全速力で遁走を始めた。
この事件はその日の夕刊やテレビニュースでも扱われ、大吉は鉛を飲み込んだような気持ちで
ニュースを見た。
刺された少年は動脈が断裂し、出血多量で意識もなくなり、
医師も今夜一晩様子を見ないと先の判断がつかないらしかった。
大吉は、翌日、体の具合が悪いからと、学校を休み家に引きこもった。
いつ警察が自分を捕まえに来るかと不安で仕方がなかった。
何か事件の情報が入らないかとテレビはつけたままにしてある。
午後4時頃岩本から電話が入った。
「大吉、お前えらいことをしてくれたな、まあ、やったことはやったこととして、
とりあえず話の打ち合わせをした方がいいんじゃねえか、もちろんお前のやったことを隠すためにさ」
岩本の声は、くぐもってやや聞き取りにくかった。
不安と孤独感で暗澹たる気持ちでいた大吉にとって、岩本の電話は地獄で仏に
出会ったようなものだった。
岩本は午後八時に迎えにいくから待ってろと、Z高近くの公園を指定した。
テレビは天気予報を伝えていた、
『……今夜は関東南部の上空に冷たい空気が流れ込み……、雷を伴った豪雨が……』。
大吉はテレビのスイッチをオフにした。家の中は静まりかえって、掛け時計の秒針が動く音がはっきりと聞こえる。
午後八時近くに、大吉は暗くなった公園のベンチに座りひっそりと待った。
公園前の道路も車はほとんど通らず、自転車や歩く人がわずかに行き過ぎるだけだった。
まもなく、入り口のところに車が止まった。
四人乗っている。助手席から岩本が降りてくるのが分かった。
片足を少し引きずり気味に近づいて来た岩本の顔は、下唇の片側が膨れ上がり、
頬のあたりも青黒く膨れていた。
「よう大吉、ここじゃなんだから車で……」としゃがれた声を出した。
「あの人達は?」と車を見ながら大吉は不審そうに言った。
いいから来い、と岩本は大吉の腕を強くつかんだ。不穏なものを感じた大吉は、岩本から逃れようと
立ち上がり、体を捩らせて暴れた。
車にいた3人が急いで降りて走って来た。真っ先に来た奴が、走ってきた勢いのまま大吉の
みぞおちにパンチを入れた。強烈な痛みに腹をかかえてうずくまり、身動きができずに唸り声をあげる。
四人は苦しんでいる大吉を乱暴に持ち上げて運び、車の後部座席の床に放り込んだ。
ドアを閉めてから、後ろに乗り込んだ二人が、布製のガムテープで大吉の両手首を後ろ手にして括り、足首も括った。
それから大吉の体を起こし、眼と口にもガムテープを何重にもしっかりと貼る。
二人は、再び床にうつ伏せされた大吉の体の上に足を置いて座席に座り込む。
車が動きだす。
「おうっ岩本、テメエがもっと早くこのガキのことを……」と後部座席の一人が言った。
「すんません、まさかこんなことに……」
「それだけのヤキで済んで助かったと思え、カスが!」
「まあ岩本はもういいとして、調子こきやがったこのガキの始末だ」、これは運転席にいる奴が言う。
「あのう、三浦さんは?」と岩本が遠慮がちに言う。
「サバイバルナイフを準にやった件で今頃は聴取されているけど、まあ問題になることはねえだろうな」
「司直の手は及ばねえってか?」
「この野郎、昨日今日覚えたてのシチョクなんて言葉ぁ使いやがって」
「まあ、高校一年中退のオメエと二年中退の俺とじゃ教養に差が出るのも無理はねえ」
話が砕けた方向に向かっていくにつれて、笑いが車内に広がった。
後部座席の一人が意地悪そうな笑いを顔に浮かべ、隣に座っている奴に目配せをした。
それから、大吉の体を蹴って言う。
「三浦さんは、このガキをどうするつもりなんだ?」
隣の奴も調子を合わせて大吉を脅しにかかった。
「どうって、準がネンショー送りになるかも知れねえんだから、ただじゃあ済まさねえだろうよ」
「オヤジがいねえから準のオヤジ代わりだっつって、普通じゃねえくれえの可愛がりようだったもんな」
「テメエも今夜限りの命だぞ、しっかりとこの世の空気を吸っておけ!」と一人が声にドスを利かす。
「三浦さんはテメエを生き埋めにするっつったぞ!」ともう一人が蹴る。
日頃から怖いと感じていた岩本を痛めつけるような連中の脅しのせいもあって、
臆病な大吉は、間違いなく殺されると震え、体を捩った。脅しを演じた2人は声を出さずに笑う。
岩本は大吉に対する先輩達の脅しを聞きながら、食らったヤキでまだかなり痛む頬を押さえた。
──昨夜、X族のたまり場のサ店で族仲間とダベっていたところに、幹部の一人がやってきて
準の事件を話した。
テンプラ士舘生が絡んでいる、という話に岩本は「実は……」と大吉のことを打ち明け、
自分が士舘の蛇腹を売りつけたことも話した。話を聞いたその幹部は、直ぐに三浦に連絡を入れ、
三浦は、岩本を連れて別のサ店に来るように命じた。
行った先には、三浦のほかに三人の最高幹部がいた。
岩本の話を聞いた三浦は激怒したが、蛇腹の仕入れ先が暴力団A組の者だと聞いて考え込んだ。
実はX会は、A組の関係者からシャブやドラッグを仕入れて売りさばいていたのだった。
今回の件で大吉が捕まって岩本にまで話が及ぶと、蛇腹の出所を追求された
岩本の口からA組との関係が明らかにされ、X会のシャブやドラッグの販売が
当局に知られてしまう可能性があった。
最高幹部連中の意見も聞き、大吉を匿って警察に引き渡さないでおく方がいいと三浦は判断した。
当の大吉も警察に捕まりたくはないだろうから、たとえ奴隷扱いでもX会についた方が得だと考えるはずだ。
準もテンプラに絡まれた挙げ句の突発的な事故だったから、少年院送りは免れるだろう。
結局三浦は、岩本が大吉の報告を怠っていたことについてヤキを入れること、
そして岩本を使って大吉の身柄を確保することの二点を命じた。──
しかし、そんなことを知らない大吉は殺されるものと信じ込んでいた。
途中で車が止まり、一人が降りて五分ほどで戻ってきた。
「三浦さん帰ってたか?」
「ああ、……に行って待ってろって」と大吉には聞いたことのない場所を言った。
戻ってきた奴は、買ってきたサンドイッチと飲み物を三人に分け始める。(続く)
55 :
名無番長:2005/12/30(金) 22:53:45
面白いよ 続きは国朝でやりなよ
※訂正のお知らせ。
>>53 1行目の『X族』、及び8・10・13行目の『X会』 → 『X連合』に訂正。
さて、気を取り直して終章といくか。
大吉が、腹が減ったのと長時間の窮屈な姿勢で吐き気がし始めてきたころ、やっと車から降ろされ、
顔と体からガムテープを外された。そこは林の中でちょっとした広場になっているところだった。
途中で市街地から抜けて昇りの道に入り、しまいには舗装していないらしい道を進んでいたのは
分かっていた。眼下にはやや離れたところにある街の明かりが見える。
「三浦さんが来るまで、そこで座って待ってろ」、一人が地面を指さす。
「大吉、テメエが悪いんだぞ、人を巻き込みやがって」、岩本が愚痴った。
「うるせえ、黙ってろ」と別の一人が岩本の胴体を殴る。
しゃがんだ大吉を取り囲んだ連中の顔に雨粒が落ちてきた。
「雨降ってきやがったぜ、車の中で待つとするか」
「こいつはどうします?」
「罰としてそこで座ったままで待たせろ」
「逃げんじゃねえぞ」と言って四人は三メートルほど離れた車の中に入り、
大吉の座っている方向のウインドウを開けて見張り始めた。
しばらくすると雨の降りが強くなり、開けた車のウインドウからも車内に雨が
入ってくるようになった。ウインドウを上げて中から大吉を監視する。
車の中では話がはずんでいるようだった。ウインドウに当たる雨で見づらくなっていたが、
おとなしく座ったままでいる様子に安心したのか、大吉の方を見るのも時々になった。
大吉もそのことに気づいた、『逃げられるかもしれない』。
しばらくして、一人が出てきて大吉にサンドイッチの余りを与えた。大吉はそれを有り難そうにゆっくりと食べる。
車内からそれを見ていた連中は安心したように、大吉の監視がますます緩くなり、
車内の話はますますはずんでいった……。
大吉は逃げた。丸い体を弾ませるようにして全速力で駆けた。
五分ほど走ったあたりで車の行き交う音が大きくなってきた、あっちだ……。
それから十分ほど坂を下り藪をかき分けて進んだ。雨まじりにもかかわらず、
開いたままの口から流れ込んでくる空気で喉はカラカラに渇き、肺は破れそうなほどに痛くなっている。
やっと大吉の眼の前に道路が見えた。そのとき後ろから追ってくる連中の声がした、「野郎、あそこだ!」。
大吉は、ガードレールを転がり落ちるように乗り越えて、通りすぎていく車に手を挙げた。
片側三車線の道路を行き交うトラック、乗用車の交通量は少なくなかった。
しかし、大吉の姿など見えないかのように、車は通り過ぎていく。
仕方ない、車道の向こう側に逃げよう、大吉は、行きすぎる自動車の間隔が空くのを地団駄を踏む思いで待った。
後ろの藪の方から聞こえてくる追手の声がすぐ真後ろまで迫ってきた。
捕まったら殺される、とにかく逃げなきゃ……。
大吉は尻に火がついた気分で、ともかくセンターの植え込みまではたどりつこうと、反動をつけて
道路に飛び出した。突然の飛び出しに急ブレーキをかけクラクションを鳴らす車が相次いだ。
大吉はよろけながら走った。しかし、あと一車線で植え込みに届くところで、積載量オーバーの
十トントラックがスピードを落としきれずに突っ込んできた。質量充分のトラックのバンパーが
大吉の胴体に叩き込まれた。バンパーは、皮膚を裂き肉を潰し、骨をへし折って
大吉をはね飛ばす。飛ばされて反対車線の道路に落下しようとしていた大吉を、今度は
八千リットルの重油を積んだタンクローリーが襲った……。
全身が破壊された大吉の体は道路脇に飛ばされ、ガードレールに背中をもたせかけて地面に座り込んだ形になった。
両手足が不自然な方向に折れ曲がった姿は、芯を取り去った案山子が無造作に置かれているかのようだった。
衝突でつぶれ赤黒く染まった顔面は、空を見るように上を向き、窪んだ眼窩と開いた口だけが
なんとか識別できた。
雨はますます激しさを増し、通る車のボディーやアスファルトを激しく叩いて大きく跳ね返る。
大吉の体にも全身を洗うような勢いで雨が降り注いだ。窪んだ眼窩に溜まった雨水が溢れ、側頭部をつたい流れ落ちる……。(了)
59 :
名無番長:2005/12/31(土) 18:47:41
次郎さん、お疲れさまwww
60 :
神童や! ◆hRJxsmTEkY :2005/12/31(土) 18:51:32
一応60取っときま!
実は、こういう終わり方も考えていた。この終わり方にするために別の構成も考えていたのだが、
今回は最初に考えた通りに、
>>59に書いた終わり方にしてみた。
↓
──大吉の死は業務上過失致死罪の成否が疑われたため、死体は司法解剖に付された。
解剖台に横たわる大吉の死体をざっと眺めた解剖医師が、笑いながら大吉の左手を指さして言った。
「しかし、このガイシャは何を考えて死んでいったんでしょうかね?」
大吉の左手は親指を人差指と中指の間に差し込んで握り込む、いわゆるマンコ握りをしていた。
それを見た立ち会いの検察官や警察関係者は、一様に笑い声をあげた。(了)──
では、来年が良い年でありますように >>All
まあ、このスレはこれでお終いということで。
64 :
名無番長:2006/01/04(水) 17:44:37
あげ
65 :
名無番長:2006/01/14(土) 14:46:03
なんなんだ
66 :
名無番長:2006/01/19(木) 19:54:42
sage
67 :
名無番長:2006/01/21(土) 10:35:05
あげ
68 :
名無番長:
剣菱はチェ・グンサン