山口組三代目<|>田岡一雄

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222名無番長
 当時の松田組系大日本正義団の鳴海清幹部が三代目を狙って放った銃弾は二発。
うち一発は三代目の首筋をかすめ、その流れ弾が、たまたま遊びに来ていた他の
客二人の右肩と脇腹に当たってしまった。
 とっさに駆け寄る直系組長らに発した田岡組長の言葉は、
「オレはええから、向こうの人の手当てを早くせえ!」
 だった。そして、さらに『ベラミ』のママが救急車を呼んで、
「親分、先に行って」
 といったときも、
「オレよりカタギの人、先にしたってくれ」
 といったという。
 自分が首を撃たれて、死ぬかどうかわからないギリギリの窮地にあって、
なかなか出てくる言葉ではあるまい。この田岡組長のとった行動に対して、後年、
こう感慨を述べたのは四代目山口組・竹中正久組長であった。
「・・・・・・その話聞いて、なるほど、偉い人やなあと感激したわけやな。その場で、
そのまま、いてまう(死んでしまう)かどうかわからんときにでもなあ、自分の身を
捨ててでも堅気の人を大事にしてやらないかん、という話聞いただけで偉い人やなあ
と感じたわな。
 だいたい、自分が先に助かりたい、いうのが人間やわなあ、普通の人間やったらなあ。
我々やったら、自分が一番先に(救急車に)乗ってしまうかもわからん。ま、その場に
なってみんとわからんけども」