7 :
スペースNo.な-74:
各画材のレビュー。()内は有名メーカー。
あくまでも私個人のものなので、「色彩王国」「コミッカーズ」などを読み、
自分で試してみることをお薦めする。
画材というのはかなり各人によって相性がある。表現できるものだけでなく、
自分が使っていて苦痛ではないか、性格と合うかも考えるべきだろう。
■透明水彩 (ホルベイン、ウィンザー&ニュートン、クサカベ、まっち、他にも外国製がイパーイ)
最もポピュラーな画材だが、最も扱いが難しい画材でもある。
漫画絵にはあまり向かない気がする。瑞々しさが持ち味なので、
本質的に、塗り重ねたりごちゃごちゃ描きこんだりといった塗り方には向いていない。
ただし、アルシュ紙など顔料がコントロールしやすく、紙肌が強いものを使えば
何度も塗り重ねて深みや迫力を出すことができる。
乾いても水をつければ元に戻るので、のんびり屋さんで根気強い人に向いているかも。
鮮やかさはないが、透明感があり、発色に深みがある。そして、やたらと長持ちする。
ホルベイン透明水彩は安価ながら良質で、多くのプロに愛用されている。
最高級のウィンザー&ニュートン透明水彩は薄めても発色・伸びが良い。
紙と筆には投資を惜しまないこと。透明水彩は紙の影響を最も強く受ける画材である。
8 :
スペースNo.な-74:2006/10/30(月) 17:49:54
■ガッシュ (ニッカ、ターナー)
不透明水彩のこと。原料は透明水彩と同じだが、顔料が多く、不透明。
水で薄く溶けば透明水彩のようになるが、定着度は低い。
小学生の頃に使っていた水彩絵の具は安物のガッシュ。
ちなみに、ポスターカラーは安価な顔料を代用して安価にしたガッシュ。
発色は悪くないが耐久性に難があり、印刷向け。
アニメの背景美術はポスターカラーが使われることが多い。
■カラーインク (ドクターマーチン・ラディアント&シンクロマチック、ホルベイン他)
他の追随を許さない発色の鮮やかさから、少女漫画やポップな美少女絵などでよく使われる。
鮮やかで透明感ある発色が持ち味だが、CGの台頭により利点というほどでもなくなった。
どちらかというと、にじみやボカシ・グラデーションの美しさ、味わいある色の分解などが特徴といえる。
染料なので乾くと紙に染み付く。透明水彩のように洗い流せないので、最も失敗に厳しい画材かも。
彩度の高い色は楽に出せるが、重い色を作るには何度も塗り重ねる必要があり、時間を食う。
また、混色が難しく(組み合わせによっては色が分解する)、経験を要する。
透明度が高いので重色(塗って乾いてから別の色を塗り重ねること)でも色を作れる。
それでも、ある程度色数が揃わないと実用は難しいかも。
染料は退色する性質があるので、絵の長期保存には向かない。印刷原稿向き。
初期投資はかさむが、一度に数滴しか使わないので長い目で見ればとても経済的。
ただし、数年経つとインクの性質が変質する。使い切るより色が変わる方が早かったり。
9 :
スペースNo.な-74:2006/10/30(月) 17:50:30
■コピック
染料系アルコールマーカー。マーカーを画材の領域にまで押し上げた革命的な画材。
非常に扱いやすく、色数が豊富なのでアナログ画材に苦手意識がある人は良いかも。
混色できないのでコストがかさむ。また、筆を使う画材ではないので表現の幅が狭い。
メイン画材とするのはあまりおすすめできない。効果を出すためのサブ画材や、
彩色前のラフスケッチ、急ぎの作業などに使うにはとても良い。
染料なのでカラーインクと同じく退色が早い。
■アクリル (リキテックス、ホルベイン アクリラ、ターナー ゴールデンアクリリックス)
20世紀の化学が生み出した新しい絵の具。メディウムを併用することで様々な表現を可能にする。
水彩風の薄塗りから油絵風の厚塗りまで対応できる、何でも来いのオールラウンドな絵の具。
他の画材(カラーインクなど)と組み合わせる人も多い。
乾きが早く、耐水性。筆を傷めやすいので、ナイロンの安い筆をどんどん使い倒す方が良い。
■アクリルガッシュ (ターナー、ホルベイン アクリラガッシュ)
不透明なアクリル絵の具。基本的な性質はアクリル絵の具と同じだが、
カバー力が非常に強く、厚塗りに適する。
ツヤ消しの、ベルベットのような落ち着いた仕上がりには独特の魅力がある。
色鉛筆やマーカーで塗り重ねて画面密度を上げることも容易にできるので、
ぐいぐい描き込んで存在感のある絵に仕上げたい人には最適。
扱いやすく、色数が大変豊富なのでCGから転向する人にもおすすめ。