オキデー話の続き、というか先日も話しが脱線してしまい、、、あぁ僕のバカ、(*^-^*;)ゞ
僕がセーラー服をトモビッチに持って行った時に、トモビッチの受け付けにペコちゃんがいて、
その健在ぶりを発揮していました。
ペコちゃんは僕をみて、なつかしそうに手を振りました、僕は久しぶりにペコちゃんの顔を見て、
あのオキデーでの、いろいろなオネーチャン達との出来事が思い出されて少し涙腺がゆるみました。
きっとペコちゃんも僕の顔をみてあの頃をなつかしく、思い出したに違いないと勝手に想像しました。
時には大きな闇の金が動き、一番弱い者達の命はごみクズのように捨てられていったそんな時代を
ペコちゃんはオキデーで僕の何百倍もいろんな経験をし、たくましく生きてきたんだと思いました。
そういえば、プノンペンに通っていた頃、僕は持ち前の計画性の欠如から、滞在の最後のほうになると、
たいてい、きまって金欠でした。
一度、オキデー・ホテルに前払いしていた残りの宿泊代金を「急に日本に帰ることになったから」と
ウソをついて返金してもらい、キャピUの2ドルの部屋に引越したことがありました。
僕のそんなウソは当然、ペコちゃんにはお見通しだったかもしれませんが、、、。
その頃のオキデーは老朽化が進み、部屋の備品の中で最低何か1つは故障してました。
部屋を借りるのに、何を犠牲にするのかという問題レベルにまで、その症状は悪化していました。
僕の部屋に、同じオキデーに泊まっていたRさんが遊びに来たので、僕は僕の借りている部屋
(たしか307)は「エアコンの風が直接ベッドに当たらないからいいんですよ」と自慢しました。
Rさんも307が気に入ったらしく、「井上さんが帰国した後に、307に移りたい」
と言ったので、帰国する日にRさんを呼びにいきました。
しかし何度呼びに行っても、Rさんの部屋にRさんはいませんでした。
Rさんは、その前夜にフンセン・マフィアに刺されて、その時プノンペンで一番大きい病院にいました。
後日、保険会社の人がRさんがいた病院に来た時、病室にハエが飛んでいたことに恐れおののき、
このままではRさんが死んでしまうと思い、プノンペンでは治療ができないという理由で、緊急で
シンガポールにプライベート・ジェット機を飛ばされました。
事件の現場にいた人の話では、Rさんはフンセン・マフィアに確実に殺されるというか、もう死んだと
思ったそうです。
新聞では「ディスコでの席の譲り合いによる、論争の上のトラブル」と書かれたいましたが、
いくらフンセン・マフィアでも、そんな簡単なことで人を殺そうとするのかなぁ?と考えていました。
その頃、フンセン・マフィアとRさんとの間に、ある確執があったという噂が流れました。
僕はその噂が気になっていました。本人に一度、噂の真相を聞きたいと思っていました。
しばらくして、僕はプノンペンに住むようになっていました。
ある日、僕の家に「井上さん、久しぶり!」と言って訪ねて来てくれた、知らない人がいました。
「いやー、暑くなりましたねー。今日は久しぶりに雨がふるかもしれませんねー。」などと言いながら、
僕は、その人がいったい誰なのか?を必死に考えていました。
当時、井上ハウスでイス代わりに使っていた、南ベトナム解放軍の弾薬箱の上に座っている、その人には
かつて長い髪を振り乱して踊る、腕にニセモノの入れ墨をした若者の面影は、微塵もありませんでした。
僕はRさんとの世間話にすっかり夢中になってしまいカンジンなことを、すっかり聞き忘れてしまいました。
あの出来事がRさんの中で、どのように処理されているのかが掴めずに切り出せなかったのかもしれません。
その日、Rさんは「今夜、ホリデーに行く」と言い出して、まわりの日本人をビビらせたそうです。
まわりの日本人達は、みんなRさんが又刺されてしまうと思い、必死になって止めたそうです。
もしかすると、あの思い出をRさん自身が、再びホリデーに行くことによって払拭したかった
のかもしれません。
その夜、まわりの日本人達はRさんを取り囲むようにしてホリデーに入っていったそうです。
Rさんがホリデーに入ると、ホリデーの従業員達やオネーチャン達、一部の客がRさんを覚えていて、
ディスコの中は、いっせいに拍手が巻き起こったそうです。
しばらくすると、ホリデーのオーナーが菓子箱をRさんに手渡し、あの日のことを詫びたそうです。
あの日、Rさんを救おうとして刺された、もう一人の日本人がいました。
その人Tさん(仮名、というか僕の書くイニシャルは人物を推測されない為に全て仮名です。)は
その時、運悪く保険に入ってなかったので、自費でプライベート・ジェットをバンコクまで
飛ばされたと聞きましたました。
その後も、Tさんには不幸な事件が続き、Tさんはついに”プノンペンで一番、不運な男の座”という
栄光を手中にし、その後も訪カンの度に続いた災難によって、みごとにその栄光の座を不動のもの
としたのでした。
僕は、あのフンセン・マフィア達に、たった一人で立ち向かっていった若者がいたことを忘れない
ようにしたいと思いました。
そして、偽善者たちに問いたい、もし現実を知った時に、あなた達に同じことが出来るのか?と、、、。