1 :
1だおー:
武装した自衛隊が突如としてファンタジー世界に召喚されたら…?
召喚する者、召喚された者。
ある者は権力を、またある者は自由のため、生き残るため…。
人の死すらまともに経験したことのない現代世界の人間は、血と憎しみの弱肉強食の異世界になにを見、行動するのか?
物語もますます深みを増す第五章。
召喚されし異界の戦士達の戦いは、まだ終わらない…
2
3 :
1だおー:03/05/05 12:23 ID:???
前もこんなスレあったけど、落ちたんじゃないの?
5 :
1だおー:03/05/05 12:25 ID:???
>>3
容量過多ね、了解。
田中光一の超空の決戦か、かわぐちかいじのジパングでも読んでいろ。
あるいは戦国自衛隊も良い鴨
8 :
ACE:03/05/05 13:18 ID:???
新スレ設立ご苦労様です。
新スレ乙です
まぁたこんなスレを・・・
ついでに10ゲト
12 :
CK:03/05/05 17:03 ID:???
>>1 新スレ設立感謝いたします。
早速なんですが書き込みです。
前スレ
>>772 2038年…どんな兵器が出てくるか楽しみです。
ところでACE氏、整備の関係上装備品のブラックボックスを
こじ開けて調べたりする必要がそのうち出てくると思うんですが
どうでしょう。
(米軍その他の装備品を日本側に調べさせる必要も有るんじゃないかと。)
あと、2038年の装備は、技術調査は絶対不可欠だと思います。
まあ、あとは解ったものから既存の装備に取り入れていけばいい話だし。
そうでなくても未来の装備なんだから調査する価値は十分過ぎるほどにあるし、
第一整備用のパ−ツ程度は生産できるようにしておかないとそのうち使えなくなるし。
それと回収したミストラスとその残骸も技術調査は絶対不可欠ですよね。
でもエネルギー源はパイロットの魔力(その魔力はどこから?と言う疑問はとりあえず水野良の
ファンタジー小説のパクリ設定で脳内解決してるけど。)だという設定上運用には最低限以前言ったように魔術師を雇うか、
魔法の機械的、電子的なコントロ−ルができるようにならないとどうにもならないなぁ。(なるかどうかまだこの段階ではわからんけど。)
まあミストラスについては当分地道にアスガルドから技術を盗むしかないか。ちょうど軍事同盟の打診があったことだし、交渉次第で
ミストラスの供与と運用法の伝授程度はしてくれるかもしれんが。
>黒の教団
魔界都市ハンタ−に出てきたあれですか?
13 :
ACE:03/05/05 18:27 ID:???
2043年(彼らの「5年前」が2038年なので)の装備についてはいくつか考えて
います。まだ言えませんが、メガフロート基地なので基本的にはかなりの兵科の装備
があります。地上部隊から航空部隊、艦船まで。このメガフロートはディエゴガルシ
ア基地に移動能力をもたせたようなものと考えて下さい。
また自分は魔力というものを、「体力」のようなものだと考えているんです。
だから消費すれば当然疲れるわけで。またこの魔力を運用するためには修行が必要な
ので、自衛隊は基本的にミストラスの運用はしません。戦場における人型ロボットの
有効性はここ軍事板ではかなり疑問視されてますし、仮にできたとしても自衛隊は運
用しないでしょう。
ところで、技術解析の件については実は考えていなかったのですが、やる価値はあり
ますね。ただ、その技術を解析したところで、それを生かすだけの技術基盤が今の九
州にあるかといれると疑問です。なにせ前スレで誰かが言っていたように、今の九州
にはジェットエンジンを生産する工場もありません。銃程度なら何とかコピーが可能
かもしれませんが、専門の施設が必要な新素材などの生産はほぼ絶望的でしょう…。
14 :
CK:03/05/05 19:27 ID:???
>自衛隊は基本的にミストラスの運用はしません。戦場における人型ロボットの
効性はここ軍事板ではかなり疑問視されてますし、仮にできたとしても自衛隊は運
用しないでしょう。
そう言えばそうだった。
私も戦場における人型ロボットの有効性はかなり疑問視してるし。
でもまあミストラスの技術調査はやる価値があると思います。(バランサ−とか。)
>それを生かすだけの技術基盤が今の九
州にあるかといれると疑問です。なにせ前スレで誰かが言っていたように、今の九州
にはジェットエンジンを生産する工場もありません。銃程度なら何とかコピーが可能
かもしれませんが、専門の施設が必要な新素材などの生産はほぼ絶望的でしょう…。
解ったものから既存の装備の改修という形で段階的に取り入れていけば
いいと思うんですが。
地道に試行錯誤していって、最終的にコピ−できるようになればそれでいいので、い
きなりコピ−できるようになるとは考えていません。
15 :
ACE:03/05/05 19:32 ID:???
では新スレ設立早々続きいきます。
海上に浮かぶ巨大なメガフロート。そこでは日本国首相宮井、防衛庁長官柘植、
アスガルド公国ベルゲン・ガンドール・ヴィジャヤ将軍、そして…
「はじめまして。統合自衛隊第1メガフロート司令官、唐沢重三海将補です。」
この3人を初めとする要人の会議が行われようとしていた。唐沢は状況の説明を
うけ、こう言った。
「まさか…私が子供のころ、北朝鮮の新兵器で消滅した九州がこんなところに
あったとは…。」「新兵器!?そんなものだったのですか!?」柘植は驚いて
言う。「いえ…そんなものがあるという証拠はどこにもなかったのですが、
なにせ跡形もありませんでしたから、そのように考えられました。むしろ、問題
はここからなんです…。」「問題?」「ええ…。実はそのあと国内は大混乱。
北朝鮮にはアメリカからの報復攻撃として9発ものICBMが飛来し、北朝鮮
はほとんど焦土と化しました。」「何てことだ…。」「戦後、国内の世論は一気
に右翼化、石原慎太郎政権が成立。自衛隊は再編成され、3自衛隊に加えてPK
Fの名目で米軍とともに共同で攻撃に当たる統合自衛隊が設立され、憲法も国内
世論が世論なためすぐに国民選挙で改正、それ以来、日本は海外派兵を繰り返し
イラン、イラク、キューバ、ミャンマー軍事政権などさまざまな国家を崩壊させ
てきました…。」
16 :
ACE:03/05/05 20:02 ID:???
唐沢は続ける。
「我々も海外派兵で航海中に光にのまれました。そうですか、あれは新兵器など
ではなく、召喚魔法の光だったのですか…。こうして、生きているのが不思議な
ように思っていましたが、今納得しました…。」日本国首脳陣はその未来の日本
の姿に衝撃を受け、言葉も出なかった。
「…ところで」ベルゲンが話し始める。「我々アスガルドの件についてなのです
が…」「おお、これは失礼!身内の話ばかりして。で?」「アスガルド公国公王
ダイゼル3世からの言葉を伝えます。我々は…日本国に全面的な協力はしかねま
す。」「なぜですか!?」柘植は怒鳴る。「我々にはオーランに匹敵いやそれ以
上の軍事力があります。ですが、この世界の混乱を可能な限り抑えるため他の国
との国交をあまり盛んにせず、またどこの国とも同盟を結ばぬ中立国としての立
場を貫いてきました。」「ですが、今は戦争状態なのです!」「でははっきり言
いましょう!あなたたちがここにきたことは確かにエルフィールのせいだ。生き
るためにこの世界に適応することを選んだのも知っている。ですが、あなたたち
がこの世界の戦争に参加したことで、本当ならオーランの勝利で終わるはずの戦
争が一転して膠着状態に陥った。あなたたちはイレギュラーなのです!イレギュ
ラーに全面的に手を貸すわけにはいきません。私の艦「アルビオン」1隻、それ
が限界だ、それが国王や他の幕僚そして私の意見です。」
結局会議は、統合自衛隊は日本に全面協力するものの、アスガルドは戦艦1隻の
軍しか派遣しない、ということでけりがついた。
統合自衛隊の面々を宮井は送った。そしてエレベーターに乗ろうとした唐沢の護
衛が、重量オーバーのブザーを鳴らされた。「では、自分は…」その男は出た。
エレベーター内で唐沢は宮井に言った。「不思議ですか?たった3人しかいない
重量オーバー、彼は20代のように見えて、実は40代です。」「ほう…しかし
それとこれと何の関係が…?」「彼はサイボーグなんです。」
17 :
ACE:03/05/05 23:26 ID:???
「彼の名は?」宮井はたずねた。唐沢はこたえる。「はい、内閣調査室所属、
九条勇介3佐です。」
メガフロート内の飛行場で、X−3は補給をうけていた。
「へえ、X−3かぁ、こんな機体を見られるとはねぇ。」あるパイロットが言っ
た。「あなたは?」唯はたずねる。「あ、言い忘れたね、俺は3等空佐、富羅賀
翔(ふらが しょう)だ。ああ、軍が違うんだから、階級は気にしないで。」男は
そう言った。「俺たちの時代でも、こんな高機動戦闘機はない…無人機以外は。
消えちまった伝説の戦闘機ってわけさ。」翔は後ろの戦闘機を指差す。「あの
F−3や、俺のF−43『デルフィナス2』だって、こいつの前じゃ霞んでくる
ってもんさ。」先日見たデルタ翼機、そして、見ていると吸い込まれそうな美し
い曲線をもった、キャノピーすらないのっぺりした前進翼機があった。
「綺麗ね…あの大きい方の戦闘機。」唯は言う。すると、そこにあの護衛の男が
現れた。
「あ、もう行く時間ですか。」「ああ、そろそろ本土へ飛ぶ。護衛任せるぞ。」
翔にその男は答える。そしてその男は唯を見ると、一瞬目を見開いた。
「…何でしょう?」唯はいぶかしげに問う。「…いえ、知り合いに似ていたもの
で…申し訳ない。失礼ですが…お名前は?」「椎名唯と言います。」その男はま
た顔をこわばらせる。「…私は九条勇介といいます。」男は、静かに言った。
18 :
ACE:03/05/05 23:54 ID:???
そこに一人の整備兵らしき男が歩いてきた。
「なんだい?一人だけ?」翔は言う。だが男はサブマシンガンを抜いた。
「動くな…。」その男はサブマシンガンを構える。「聞いたぞ…異世界に召喚
されただと!?ふざけるな!!どれもこれも貴様らタカ派分子のせいだ!!世界
平和をおびやかす悪魔め!!」「貴様…反戦組織の者か…紛れ込んでいたか。」
勇介は冷静に言う。「ははは…みんなこの世界で野垂れ死ぬんだ、みんな!!」
男は唯にサブマシンガンを向け、発砲した。翔は血しぶきを上げて倒れる唯を
想像した…が、その弾丸は、いつの間にか唯の前に立ち塞がっていた勇介にみな
阻まれていた。顔の前で交差させた、着弾跡から薄い煙をあげる腕をゆっくり下
ろしながら、勇介は男を睨みつける。
「向こうの世界の争いを、こっちに持ち込むんじゃない…!」勇介は一瞬消えた
かのような素早いダッシュで間合いを詰め、男を殴り飛ばす。男は5メートルも
飛んで倒れた。
「おい、中村が!」格納庫の陰から、仲間とおぼしき男たちが飛び出す。「くそ
ぉ、早速トラブルかよ!せっかくのクーデターだってのに!やっちまえ!」男達
は銃を向ける。だが勇介は銃弾を受け止めながらも高速で突撃、2丁の大型拳銃
を抜いて全員を一斉射でしとめた。
「九条さん!」唯は叫ぶ。「大丈夫ですか!?」「ええ、この黒のコートは防弾
素材ですし…私はサイボーグですから。」
19 :
CK:03/05/06 12:30 ID:???
>魔力というものを、「体力」のようなものだと考えているんです。
だから消費すれば当然疲れるわけで。またこの魔力を運用するためには修行が必要
という事は、ミストラスのエネルギー源はパイロットの魔力という設定から、
ミストラスはパイロットを電池代わりにしているということになりますが、
前スレの
>>747の、
>5メートルほどの巨体のミストラスが着地すると、
>ガシャガシャ走るミストラスの一体に照準を合わせる。そしてMk82
爆弾を投下、だが、ゆっくり落ちる爆弾を、ミストラスは戦車とは比較にならぬ
瞬発力でかわす。
との描写から考えて、エネルギー源をパイロットの魔力だけで賄っているとは考えられず、(とても足りない。もしエネルギー源をパイロットの魔力だけで賄ってこんな動作をしたらたちまち底をつくと予想される。)
また、このミストラスは、
>現時点ではミストラスの確固たる運用体系を持っているのはアスガルドだけです。
と、
20 :
CK:03/05/06 12:32 ID:???
前スレの
>>557と
>>558の
>その精霊・・アースは本来指揮官たる自分が座るべき席に座っているオーランの将軍クサイとその横にたたずむハニバル将軍に向き直り睨むように話し掛けた。
「クサイ殿。本当に大陸を占領したら起爆装置とミストラスを我々に返していただけるのでしょうな?」
中央の立体地図を興味深そうに眺めていたクサイ将軍が振り返りアースに返答する。
「もちろんだともアース。私の父フセインと神の名において約束する。」
から考えると、ストーンヘッジにあったものと考えられ、さらに、
>そしてミストラスというのはアース・ヤーマや各砲塔のスパコンの擬似人格がその意識を移植して自らを修理したりその為の物資の確保加工をする為に行動する際の人型のロボットの事である。
から、オーランが入手したミストラスは、もともと有人機ではなかったか、
有人機だったとしても、乗り込む以外に遠隔操作もしくはそれに類似する手段で動かせることになり、だとすれば、少なくともエネルギー源をパイロットの魔力だけで賄っているとは考えられず、第一、
>この九人の精霊たちは元々宿っていた物が大量の魔力を持っていたため、その大きさは戦車に宿っている精霊が全長30cmなのに比べ人間サイズであり、なおかつ自分自身で魔法を使う事も可能であった
から、物に魔力をを蓄積する技術がストーンヘッジが建造された当時存在して
いることになり、ストーンヘッジと同じ時代に作られたこのミストラスにもその技術が使われていると考えられ、
よって、別に動力源を搭載している(パイロットの魔力は操作用の信号に使われる程度)
であるとしか考えられないんですが、そこの所はどうなっているのでしょうか。
http://hobby.2ch.net/test/read.cgi/army/1045319445/n746 福岡防衛線外伝「サヨナラバス」(その11)
習慣とは恐ろしいもので、単純なはずの○○村までの道順を、あっさりと間違えて危うく道に
迷いかけるところだった。
九州がこの妙な世界に飛ばされてからというもの、単なる電子地図帳と化したカーナビを頼りに
していたためでもあるのだが、国道からの分岐を音声ガイドで案内してくれるとすっかり思い込んで
しまい、気がついたらその分岐を3キロばかり通り過ぎて隣の県に踏み込む寸前だったのだ。
やれやれ。衛星がないからナビゲーションなんかしちゃくれないってのにな。
ぼくは、自分の間抜けさ加減に悪態をつきつつ、ハンドルを切ってしばらく来た道を戻り、時々路肩に
車を止めてカーナビのマップと周囲の地形を照らし合わせながら、15分ほど無駄にしつつピックアッ
プを走らせつづけた。
ようやくのことで見つけた国道からの分岐を左に曲がり、そのまま軽い上り坂を延々と走りつづける。
車窓から見える田舎の県道にはぼくのピックアップのほか走る車もなく、春先の穏やかな光を浴び
て伸びるアスファルトをぼんやり眺めながらドライブを続けていると、道を間違えたことで先ほどまで
味わっていた不快感があっという間に薄れ、ともすればまるでこの世にぼくとこのピックアップしか
動くものがないかのような空想的な気分にひたりがちになっていた。
その、なんともいえない空ろな征服感とでもいうべきいい気分が破られたのは、県道を延々登ること20分、
○○村まであと30分少々という距離に至ったときである。
>>21 福岡防衛線外伝「サヨナラバス」(その12)
右手に砂防ダム、左手に川といった、典型的な田舎の山間の県道、そのカーブに必ずといっていい
ほど設置されている自動車の停車スペース(冬季はチェーン脱着場になるあれだ)に、一台の白い
乗用車が停止していた。
エンジントラブルでも発生したのだろう、ボンネットを開けっ放しにしていたその乗用車のエンジン
ルームを覗き込んでいたドライバーが、ぼくのピックアップが近づいてくるのに気づき、ドアミラーに
引っ掛けていた上着を手にしながら車道に飛び出してきた。
車道の中央、ぼくの進路を塞ぐ格好で仁王立ちになったドライバーは、手にした上着を頭上で大きく
振り回し、何かこちらに叫んでいる。
よい気分を台無しにされ、ぼくは思わず舌打ちをした。どうだろう。このまま知らないふりして脇をとお
りぬけてやってもいいんじゃないだろうか。
とはいえ、あまり広いともいえないこの県道でそれをやると、下手をすればあのドライバー―遠目にも、
性別が男であることだけは間違いなさそうだった―を跳ね飛ばしてしまいかねない。
また、今までの交通量を見る限りでは、ぼくが無視してしまったら彼が次に助けを求められるのは
どうみても数時間後になってしまうだろう。
ぼくはやむなくピックアップの進路をやや変更し、車道を横切る形で停車スペースに乗り入れた。
白い乗用車の5メートルほど後ろにピックアップを停め、ギアをニュートラルに入れ、手動式のハンド
ルを開けたところで、駆け寄ってきたドライバーがドアの前に立ちはだかった。
「いやー、たーすかったよぉー!」
開口一番、大仰な声を上げたそのドライバーは、見たところ30歳台の男だった。
全体に四角い顔つきで、太い眉と大きな目、それに短く刈った髪形がいかにも押しの強そうな印象を
与える。体格も顔つきと同様、がっちりしていた。何かスポーツでもやっていたのだろう。
ワイシャツにネクタイ、スラックス(ジャケットは手旗がわりに振り回していたので脱いだまま)と
いったそのいでたちは、どこからどうみてもサラリーマンのそれだったが、雰囲気がどこか無遠慮と
いうか、ぼくが今まで知り合ってきたいかなるサラリーマン(民間企業、公務員含む)とも異なって
いるようだった。
>>22 福岡防衛線外伝「サヨナラバス」(その13)
「どうしたんですか?」
ぼくは運転席から降りずに、男に問い掛けた。
男は、いかつい顔立ちを大げさにしかめて見せつつ、芝居がかった仕草で目の前の白い乗用車を示す。
「どうしたもこうしたもないんだよ。ったくさあ、こんな田舎道で突然エンコしちまって、もうどうにもこうにも
なんなくてさ。いやー、本当に助かったよ!」
「JAFに連絡はとったんですか?」
ぼくは、男の仰々しい口調に少し辟易としながら尋ねた。
「無理無理。思いっきり携帯が圏外なんだよ」
男は、そういいながら、スラックスの尻ポケットに突っ込んでいたドコモの携帯を取り出し、フラップを
開いてぼくのほうに突きつけた。なるほど、確かに液晶パネルのアンテナ表示に「圏外」と現れている。
「でさ、申し訳ないんだけど、ちょっと乗せてってくれないかな?そちらさんが来るまでもう2時間もここ
で待ちぼうけを食ってたんだ。頼むよ、ね」
片手で拝む真似をしながら、男はぺこぺこ頭を下げてきた。だが、その態度や口調は、どう好意的に
解釈しても人に物を頼むときに必要な謙虚さが決定的に不足しているようだった。
これが20代初めのかわいい女の子か30代間近のきれいなお姉さんだったら、喜んで乗せるのに。
ぼくは内心でため息をつきながら男にこたえた。
「ええ、こちらも急ぐ話じゃないんで、構いませんよ」
「ありがとう、助かったよ!いや、本当にわるいねえ!」
その言葉をいい終わるか終わらないかのうちに、男はさっさと自分の乗用車に戻ってリアシートから
アタッシュケースを引きずり出し、ボンネットとドアをロックして、ずかずかとぼくのピックアップにのり込んできた。
男がシートベルトを締めたのを確認し、ぼくはギアをローに入れてピックアップを慎重に発進させる。
車道に乗り入れ、ギアをセカンドにして再び長い長い上り坂の登攀に差し掛かったところで、ぼくは男に尋ねた。
「で、どちらまで乗せてけばいいですか?」
助手席でジャケットを着込んでいた男は、まったく迷わずに即答した。
「○○村まで、乗せてってもらえれば助かるよ」
>>23 福岡防衛線外伝「サヨナラバス」(その14)
「まあ、この県道は○○村までの一本道ですからね。ぼくも、そこへ行くところでしたから」
ぼくは、苦笑しながら答える。
「確かに、違いない・・・・でも、感謝してるのは本当だぜ。助かったよ」
男も、口の端を吊り上げるような笑いを浮かべて応じた。
ぼくはその微笑に、先ほどまでの躁病的な騒々しさとはまったく異なる雰囲気の、知性的な野蛮さとでも
いうべき妙な印象を受けた。
「そうだ、自己紹介が遅れた」
ガンマンを思わせる無駄のない動きで、男はジャケットの内ポケットから、正確に一枚だけ名刺を抜き
取ってぼくのほうによこした。
その名刺を信じる限りでは、男―近藤武雄という名前だ―は日本でも有数の売上を誇る大新聞社の、
わが県を担当する支局の特派員ということらしい。
「新聞記者さんですか。取材で○○村に?」
男―近藤は、大きく頷いた。
「問いかけの前半はノーで、後半はイエスだね」
「?」
「俺は、もともとフリーランスのライターだったんだ。第二次朝鮮戦争の取材で九州にきて、何か国連軍
のこぼれ話とか裏話をひろってどこかの週刊誌に売りつけようとしてたんだけど、九州そのものがこの
妙ちきりんな世界に飛ばされてきた。で、あれやこれやこの状況をドサクサまぎれに取材して、記事を
一本まとめたところで、さてどこへ持ち込んだものかと迷ってね。とりあえず無難なところってんでこの
新聞社に持っていったところ、『ウチは人手がちょうど足りなくて困ってたところなんだ。よければしばらく
特派員として働いてみないか?』と涙の出るような申し出さ。で、今はアルバイト代わりにそこで働いている」
なるほど。状況を手短に要約できる能力は十二分にありそうだ。あと人に話の邪魔をさせない能力も。
ぼくが返事をしないのを、話の続きの催促だと解釈した近藤は、一呼吸おいてから後半の回答を話し出した。
「で、○○村に何を取材しにいくか、の話なんだけど・・・・・その前に。おたくさん、村の関係者?」
>>24 福岡防衛線外伝「サヨナラバス」(その15)
「村の関係者、とは?」
ぼくは慎重に聞き返した。ひょんな事から本来の目的(職務専念義務違反中の女性職員の捜索)を
探り出されても困る。いや、困るのはぼくではなくてあの上役だけど。
「村の住民か、とか、そういう意味なんだけど」
男は、またジャケットの内ポケットに手をやりながら言った。
「では、ぼくは村の関係者ではないですね。たまたま」
余暇を利用して○○村にいこうとしているだけですよ、といいかけたところで、近藤は素早く話を遮った。
「何がしかの用があって村に行こうとしている県職員さん、ってわけ?」
ぼくは思わず目を剥いた。
「何を仰ってるんですか?」
余りにも唐突なその言葉に、内心汗をかきながらそう答えるのが精一杯だった。
「胸ポケットだよ。身分証」
近藤は、自分のワイシャツの胸ポケットを叩いてニヤリと笑った。
思わずぼくは、頭を下げて自分の胸ポケットを見やる。
なるほど、たしかにぼくがワイシャツの胸ポケットに入れておいた県庁の身分証が、パスケースごと
わずかに持ち上がって、端の部分がちらりと覗いていた。
端の部分にしか過ぎないとはいえ、ブンヤさんであればどこの身分証かはすぐにわかっただろう。
「参りました。確かにぼくは県庁の職員です。まあ、用務は村役場とちょっとした打ち合わせなんですけどね」
抵抗の無駄を悟ったぼくは、己の身分についてはとりあえず本当のことを近藤に告げた。だが、目的に
ついてはあくまでもシラを切るつもりでいる。
あとは役場にたどり着いてから、いかにしてアドリブをきかせるかだ。
そうしたぼくの心境を読んでか、あるいはただのハッタリなのか、近藤は先ほどまでの笑みとは質の
異なる、謎めいた微笑を唇に浮かべていった。
「打ち合わせね。・・・・・・どういう打ち合わせかは聞かないでおくよ。だけどね」
「だけど・・・・なんです?」
「向こうの村は、もしかするとそれどころじゃないかもしれないよ」
158でございます。
みなさん、大変ご無沙汰いたしました。
3月末からの1ヶ月と少々、当方東部戦線のドイツ軍もかくやの絶望的な書類相手の
後退戦を戦い抜いておりまして、ここしばらくでようやく休戦と相成りました次第です。
で、余裕も出てきたので、かねてよりの外伝「サヨナラバス」を一気に書き上げてアップ
させていただきました。ただしこれはまだ導入部分ですが。
内容については、前スレで告知したとおりです。
まあ、キャラクターなどは当初と大きく異なる部分もありますが。
ともあれ、これはしばらくの間続くお話となりますので、ご批判ご叱正をお待ちしております。
27 :
CK:03/05/06 18:08 ID:???
>石原慎太郎政権・・・・・・
何かやけにアメリカナイズされてるなぁ・・・・いや、思想が。
ついでに聞きたいんですが、メガフロートの動力はなんでしょうか?
しかし・・・なぜに空母でなくメガフロートなのか、気になります。
>私はサイボーグですから
交換するパ−ツがなくなったらぜんぜん大丈夫じゃないような・・・・
むしろそういう意味では生身の人間よりやばいような気が・・・・・・。
基地にいっぱいあるのかもしれないけど。パ−ツ。
28 :
CK:03/05/07 09:51 ID:???
それにしてもアスガルドがモンロ−主義だったとは。予想が外れてしまいましたね。
あ、そういうことか。
>なぜならどんな強力な力を持とうと
それを使うか否かは使う者次第だからです。何よりてさりすとさんの作品に影響を
与えるわけにはいかないのですから…。
これ。
技術解析と装備品のコピ−については、こんなところでどうでしょうか。
銃火器(ただしアビオ除く。) 1年以内(アビオは+半年)
銃弾 半年以内
ロケット弾 1年以内
ミサイル(推進器、炸薬)1年以内
(シ−カ−、電子部品) 2〜3年、ただし、新技術導入によるアップグレ−ドは1年以内ごと。プログラム解析は半年以内
戦車 4〜5年、ただし、補修用の部品、弾薬は、半年以内に供給開始。
ただし、全ての部品が供給可能になるまでには1年以上かかる。
戦闘機 5年以上、ただし、新技術導入によるアップグレ−ドは1年以内ごと。
補修用の部品は、半年以内に供給開始。
ただし、全ての部品が供給可能になるまでには1年以上かかる。
プログラム解析は半年以内
突貫工事でやればこのくらいでできると思う。
あとでプロジェクトXになったりして・・・・。
29 :
CK:03/05/07 12:29 ID:???
追記
軍用車両一般 1〜2年、ただし、新技術導入によるアップグレ−ドは1年以内ごと。
補修用の部品は、3ヶ月以内に供給開始。必要な部品の9割方が
供給可能になるまでには半年程度。
ただし、全ての部品が供給可能になるまでには1年以上かかる。
いい忘れましたが、 2038年の装備についてはこの限りではなく、
2006年代の装備に対する新技術導入ができる程度でデッドコピ−
でも5年以上。
補修用の部品、弾薬は、2年以内に供給開始。
ただし、全ての部品が供給可能になるまでには4年以上かかる。
まあ、九州にも、工作機械の工場はあるでしょうし。
30 :
ACE:03/05/07 18:53 ID:???
メガフロートの動力源は原子力です。
ちなみにメガフロートにした最大の理由は、空母と違って工場施設や対地・対艦
兵装、上陸部隊の施設などを乗せるスペースがあるからです。あくまで「移動で
きる戦略基地」なのです。だから3自衛隊に加えて大規模な海兵隊ともいえる
統合自衛隊を設立したのです。メガフロート基地を3軍合同にして指揮権やらで
もめる可能性を抑えるために。
また、メガフロートならほとんど「島」なので空母のように着艦訓練をする必要
も、人力で兵装の搭載を行う必要もなく、護衛艦隊もメガフロートで補給を受け
つつ闘えます。
まあ空母の機動力に比べれば、確かに鈍いけど…。
エネルギー>
ミストラスは専用のコンバーターでパイロットの魔力を増幅して行動します。
要するに「オーラバトラー方式」です。でも生体エネルギーってバカにならない
と思うんですが。食事って質量あたりのエネルギーは莫大ですし、効率よく動け
ばかなりすごいと思うんですが。それに魔力に普通の物理法則を当てはめるのも
どうかと…。
31 :
ACE:03/05/07 19:15 ID:???
サイボーグ>
2043年でもサイボーグは珍しいんですが、今回のような遠出の際の補修体制
は確立している、という設定です。まあ攻殻機動隊を想像して頂ければ…。
それに彼の体は一応拳銃弾程度なら防弾コートを併用すれば傷一つつかないだけ
の強度があります。それに彼には唯を守る「非常に重大な」物語の根幹に関わる
理由があります。それはまだお話できませんが…。
パーツなら少なくとも戦闘機よりは簡単に工場施設で作れますし…。
では本日分。
唯は輸送機に向かう九条の後姿を見ながら思った。
「どこかで…見たような気がするのよね…。」そこに警報が鳴る。スクランブル
の警報。
「やべぇ!おい、唯ちゃん!あんたもX−3を出してくれ!俺たちも上がる!」
翔は言うと、愛機に駆け寄って飛び乗る。唯は少し遠くに置いたX−3のコクピ
ットに滑り込む。「アリス、何が起こったの!?」「ストーンヘッジからの砲撃
です。マッハ14.5で接近中、30秒で着弾します。」
そのころメガフロート司令室では唐沢たちが宮井たちの前で指揮をとっていた。
「『ゆきかぜ』の氷川艦長を!!」唐沢が言うと、正面モニターに落ち着いた感
じの、とても40代とは思えぬ美しい女性が現れた。
「接近中のアンノウンの撃墜ですね。」その女性、氷川楓1佐は答える。「どう
やらいつのまにか射程内に入っていたらしいな。ここまでとは…。」柘植は言う
が、唐沢は落ち着いている。「氷川艦長、これよりメガフロートは全速で退避す
る。迎撃頼むぞ。」そう言うと、唐沢は命令する。「防空部隊、発進!」
32 :
ACE:03/05/07 19:42 ID:???
第4世代型イージス護衛艦「ゆきかぜ」はその200メートル近い3胴の船体を
加速させた。「超伝導推進作動」氷川艦長はそう命じる。その船体が一段と加速
する。速度、70ノット。さらに加速。
「LCS、迎撃モード。」砲雷長木村3佐がCICで命じる。「SPY−5、目
標を捕捉、追尾中。」オペレーターが言う。新型フェイズドアレイレーダー、S
PY−5はマッハ14.5の砲弾を捉える。「ジェネレーター出力臨界」「照準
ロック」つぎつぎに報告が入る。「よし…発射!」船体横のいくつものハッチか
ら、レーザーキャノンシステムの一斉射撃、レーザーは砲弾を切り裂き、はるか
彼方の空中で爆散する。
だが…「レーダーに反応!砲弾から…ドラゴンが飛び出しました!」「バカな!
発射時のGに耐えられるものか!」柘植は言う。「いや…浮遊魔法の反重力力場
を発射方向にむけて強力に展開すればGを相殺できる!」東郷大臣は言う。
「ハウンドドッグ、出撃!」唐沢が言うと、メガフロート内のいくつかの大型ラ
ンチャーから、小型の前進翼戦闘機が何機か飛び出した。そして時折直角にター
ンしたりしながらドラゴンに殺到する。「あれは無人迎撃戦闘機QF−45ハウ
ンドドッグだ。」翔は唯に説明する。「あんなのに手柄とられてたまるか!川崎
!行くぜ!」「おっしゃあ!」翔はウイングマンの川崎2尉のF−3とともに突
撃する。ハウンドドッグ隊はその機動性を生かしてドラゴンを翻弄、次々に落と
す。X−3もドッグファイトに突入、撃墜スコアを増やす。「やるねぇ、さあ俺
達もな!」翔は叫ぶと、キャノピーすらないコクピットの内側全面にあるモニタ
ー中の敵に視線照準をあわせる。「くらえ!」F−43の胴体の兵装ルームから
ミサイルポッドコンテナが投下され、そこから全方位に向かってミサイルが乱舞
し、敵は一瞬にして壊滅した。
33 :
ACE:03/05/07 23:11 ID:???
ああ、集計人さん、リョフの屋敷で家族と話すところまでが第2話、
ミストラス部隊の急襲から2043年の自衛隊との遭遇までが第3話「まだ見ぬ
ところから」、そして今のところが第4話「2043年の力」です。
話に夢中でサブタイトル忘れてました。すいません。ちなみに第2部「蒼穹を
駆ける」の前(ボルヴェルグ戦まで)はプロローグです。
できれば「Mercifull Devil」は作品名ですんで、集計、管理の
際にタイトルのところにして書いていただけると幸いです。
本日はここまで。時間がなかったので最後のあたりはかなり焦って駄文になって
ます。本当にすいません…。次回からなんとかします。
34 :
CK:03/05/08 12:46 ID:???
書き込んでおいたはずなんですが見えないので再度。
2038年の装備については、コピ−はほとんど考えておらず、技術解析だけして、
それを元に既存の装備の改修を行う程度
(
>>28 の、 >新技術導入によるアップグレ−ドのこと。)
ということで。
(ただし、最低限稼動させるために必要な補修用の部品は1年以内に調達開始。
すべての補修用部品が調達できるようになるまでには2年以上かかる。)
35 :
CK:03/05/08 13:06 ID:???
>>34=
>>29です。
2重に書き込んでしまいました。すみません。
>>30 >専用のコンバーター
さしあたりアダマンダイトにオリハルコンなどの魔法石
が材料ですか?
でも増幅ということはやはりどこからか差分は持ってきてるんですよね?
あるいは蓄えてあるか(バッテリ−と同じ理屈。)
>氷川艦長
ちと微妙。このたぐいのキャラが増えすぎるのはきつい。
さすがに将官クラスにはいませんよね?婦人自衛官。
36 :
CK :03/05/08 18:11 ID:???
>専用のコンバーター
追記
あらかじめ蓄えられている魔力を操縦者からの信号道理に制御する
ものであると考えていいのでしょうか?
(つまりはトランジスタを使ったバイアス回路みたいな。パワ−アンプでも可。)
>第4世代型イージス護衛艦「ゆきかぜ」はその200メートル近い3胴の船体を
加速させた。「超伝導推進作動」氷川艦長はそう命じる。その船体が一段と加速
する。速度、70ノット。さらに加速。
3胴船ですか・・・何だか攻撃を食らったら両脇の船体がはがれそうですが(速度、重量等に、偏りが出て。)・・・・・・・・フェルゼン?
>超伝導推進
出てくればですが潜水艦にもつけてほしいです。
(早くて静か。いいことずくめ・・・でもないか。MADに探知されやすそうだし。)
37 :
CK:03/05/08 18:13 ID:???
>F−43の胴体の兵装ルームから
ミサイルポッドコンテナが投下され、そこから全方位に向かってミサイルが乱舞
し、敵は一瞬にして壊滅した。
ちよっとマクロスじみてきたような・・・・・・。
38 :
ACE:03/05/08 18:45 ID:???
あのですねCKさん。
40年もたてば女性の艦長がいたっておかしくありません。
事実女性自衛官の数は増えてきているんですから。
3胴船>
そもそも現在の艦船って攻撃食らうことをそんなに意識してない気が…。
基本的には射程外からのヒットアンドアウェイ、飛んできたミサイルは撃ち落す
のが今の戦術ですし。ちなみにこの3胴船のイメージは先日「ガンダムCEED」
に出てきたオーブ軍のイージス艦がベースです。むしろ自分はフェルゼンを知ら
ない…。
コンバーターに関して言えばそれで問題ないかと思います。もっとも自分は電子
機器にはうといのでトランジスタを使ったバイアス回路とかよく分かりませんけ
れど…。
ちよっとマクロスじみてきたような・・・・・・。>
すいません…。早く終わらせようと焦ってたのでさっさと終らせようと思って
やってしまいました…。今度はしません。
無人機は「ラーゼフォン」に出てきた無人機がイメージソースです。
超伝導潜水艦は出ます。後々シーサーペント討伐戦で活躍します。
まだ在ったのかこのスレ
>>1は責任持って削除依頼出しとけよ
40 :
CK:03/05/08 22:39 ID:???
41 :
CK:03/05/08 22:44 ID:???
>超伝導潜水艦
とても楽しみです。
>ガンダムSEED、ラーゼフォン
よく知らないんですが・・・・・。
一段落ついたらメガフロートの設定をよろしくお願いします。
42 :
ACE:03/05/08 23:45 ID:???
ああ、フェルゼンてあれですか。新旭日の艦隊マンガ版なら4巻まで
マンガ喫茶で読みました。フェルゼンてあの船体の隙間に浮上した日本武尊に
横っ腹を撃たれて沈んだあれですか!あれよりは小さい小さいw
SEEDはともかく…ラーゼフォンは見てもいいと思いますが。
軍事がメインじゃないですが佐藤道明氏のデザインした通常兵器群は
一見の価値ありと言えるいいデザインです。
ではメガフロートのいま自分の中で固まっている設定を。
・直径10キロの円形
・最高移動速度25ノット、巡航18ノット、動力は原子力で超伝導推進を
利用
・生産量は多くないものの、ジェットエンジンの生産まで可能な工場施設を
保有。また1個航空団を運用可能な飛行場、1個師団を収容可能な基地施設、
1個護衛群を収容可能な港湾設備を有する。
・単体の防御兵装としては、無人戦闘機QF−45とそのランチャーが48基。
各種ミサイルランチャー及びVLS多数、対空砲多数、80cm2連装主砲10
基、あとまだいくつか考えています。
80cm砲は陸上砲撃用です。どうやら他のスレをみると砲が最近見直されて
きているらしいので。コストはミサイルよりも安くつくそうで…。
ちょっと見ない間にずいぶんと火葬戦機じみてきたな。
超伝導推進作動なんて時点でもう自衛隊ぢゃねぇ・・・
44 :
CK:03/05/09 12:56 ID:???
>船体の隙間に浮上した日本武尊に
横っ腹を撃たれて沈んだあれ
そう、それです。
私は12巻まで読んだんですが、12巻には王蟲が出てきますよ。
ついでにどこぞのアニメ(OVA?)ネタも。(沢野口と言うひょうたん顔の
キャラが出てきた。)
>直径10キロの円形
水の抵抗が大きそうですけど・・・・。
私はてっきり長方形の量恥に三角形をつけた6角形だと思っていましたが。
>>43 たしかにそうかも・・・・・。
>てさりすと 氏
確保したはいいんですが、いつごろでてくるんでしょうか?
前スレ
>>514の太陽光魔術集積施設。
結構役立ちそうなんですが・・・・・。
ACEとCKのオナニースレ
昔はまだマシだったな。 少なくとも、皆現用兵器で戦ってた
47 :
名無し三等兵:03/05/09 14:03 ID:DwZuNC0c
おかしくなったのはヤクザが出てきてからだな。装甲ベンツとか。
PART2で止めるべきだったな。ダラダラと訳わからんSS書いてたら切りが無い。
49 :
名無し三等兵:03/05/09 15:02 ID:Lq6RHBRI
しかし、SS職人がいなければ、ここまでスレが長生きすることもなかったわけで。
つうか、いまごろSSがどうのといってる奴は、もうスレを見なければいいだけでは。何ピントはずれなこといってるのか。
つーかさ、もうSSで済む話なんてないだろ。殆どがいつ終わるかも分からない連載物になってるし。
>>49 出たよ、「いやならもう見るな」論が。
あんたこそ、ここいらで初期の職人さん達が去っていった理由を考えてみるべきでは
出たよ、「昔はよかった」論が。
職人さんたちが去っていった理由?そんなの決め付けられる訳がないだろ。
忙しくなったからかもしれないし、飽きたからかもしれない。
あるいは、スレの空気に嫌気がさしたからかもしれない。
そんな、どれともはっきりいえない理由をあれこれ推測して、だからどうなるってんだ?
仮に今のスレの流れが原因だったとして、じゃあその流れができかけたときに、君は何をした?何か、それまでの流れを維持するために行動したか?
今頃そんなご高説を垂れ流してどうするつもりだ?
>>52 つまり「このスレはもう終り」って事ですな。
54 :
ACE:03/05/09 23:11 ID:???
まあこの混乱の原因を作っておいて何だが…
俺は最後まで書ききるぞ。目処は立ってるんだ。
俺を止める権限を持つのはてさりすと氏と1だおー氏だけだ。
「自分の好みじゃないから」なんて自分勝手な理由でこのスレを潰そうとしても
無駄だ。
別にスレを潰そうなんて下等な考えなんか持っちゃいない。 むしろ逆。ACEも最後まで続けりゃいいさ。俺は自分の意見を言っただけなんだから。
このスレに感化されてSS書きたいんだけど……
今空気険悪?
カモンカモン。歓迎します。何時でもどんな内容でもどうぞ。
自分も今帰ってきたとこだけど今の展開にビビルビビルW
まあそれは置いといてに小説書くの頑張りましょう。
それと皆さんw
ここが2ちゃんであることをおもいだしませうw
皆さん煽り煽られマターリ行きましょw
>>54 SS書くのはお前の勝手。だがな、「俺を止める権限を持つのは・・・」云々などと
自己中心的なこと言って他の人達に火の粉を飛ばすな。それだけは許さん。
自分のケツの面倒は自分で見ろ。
60 :
名無し三等兵:03/05/10 01:27 ID:mqCOgHi/
正直あんまり未来兵器過ぎるのはどうかと思うけど、このあとの展開次第じゃない?
まあ、おいらは楽しみにしてるんで待ってるよ。
ごめん、あげちゃった。
またーり伊興。
( ゚ Д゚)
( つ旦O
と_)_)
_, ._
( ゚ Д゚) ガシャ
( つ O. __
と_)_) (__()、
(^^)
>>25 福岡防衛線外伝「サヨナラバス」(その16)
「といいますと?」
ぼくは、近藤のチェシャ猫にも似た笑みにふと悪寒のような感覚を覚えながら尋ねた。
「一言で言うとね、電話が通じないんだよ。向こうと」
近藤は、それだけをわざとらしくゆっくりと言い、反応を窺うようにぼくの顔を覗き込んだ。
たったそれだけですか?
ぼくは、あやうくそう切り返しそうになり、その言葉が口を突いて出るコンマ数秒前に自分の愚かさ
に気づいた。そう、「村役場と打ち合わせをする」ならば、事前に役場に一言電話をかけねばならないではないか。
つまりその時点で電話が通じなければ、当然アポなしで打ち合わせにいくという、きわめて不自然な行動をぼくが
とっている―もともとなすべき打ち合わせなど存在しないということを、この特派員に自白したも同然となってしまう。
このブンヤさん、油断がならないぞ・・・・・・。
ぼくは、頭をフル回転させて返すべき言葉を自分の貧弱な脳内から検索した。
「ああ、ぼくはもともと自然保護課の人間でして」
ほう、といいたげな表情を近藤は浮かべただけだった。
「打ち合わせの段取りは、もう担当のほうでセット済みだと聞かされたんです。お前はただ行って話をしてこい、
とだけ命令されてね」
我ながら、なんと子供じみた作り話だと嘆きたくなった。
だが、近藤はいかにもそういうことにしておいてあげるよという空気を全身の仕草に示しつつ、同意して見せた。
「まあ、きようびどこも人手不足だからね。なれない仕事を押し付けられて大変だな」
「役人ってのはそういうものですからね」
「となると」
近藤はそこで言葉を区切り、またあの笑みを浮かべて続けた。
「君は、○○村との連絡が今朝からずっととれないということを知らなかったわけだね?」
>>63 >>63 福岡防衛線外伝「サヨナラバス」(その17)
「お恥ずかしい話ですが」
出来る限り余計なことは喋るまい。ぼくはそう決め込んで、言葉すくなに答えた。
「ふふん。まあ知らなかったものは仕方ないだろ。・・・・それでいいんじゃないか」
近藤は気安くぼくの肩を叩きながらなだめるように言ったが、ぼくはそれになんと答えていいか
わからず、ただ黙って頷いただけだった。
結果としてしらけた沈黙が車内に2、3分ほど落ち、その気まずさに耐えかねたのか、先ほどまで
の口調をややあらためて近藤が切り出した。
「その調子だと、○○村についても、あまり詳しいことは知らないようだね?」
そういって近藤が語りだした内容は、覚えている限りでは概ねこんな内容だった。
○○村は、我が九州中部某県の西端に位置する小さな過疎の村で、産業、観光ともにこれといった目玉も
なく、九州全体がこの漂流騒ぎに巻き込まれるまでは、日本各地の過疎地域と同様、年毎に衰微していく
一方の存在だったらしい。
ところが、九州が未知の世界に飛ばされたことで、この村は一挙に活力を取り戻した。
それは、難民の受け入れである。
九州が漂流したとき、旅行や仕事の関係で、九州以外に生活基盤をもつ人々がおよそ10万名ばかり巻き添えと
なってしまった。
だが、福岡その他の大都市は、第二次朝鮮戦争を控えた国連軍という食客を抱えていたことですでにキャパシティが
限界まで達しており、身一つで"こちら側"へ飛ばされてきた民間人を養うことなど到底不可能な状況にあった。
そこで九州臨時行政府は、難民の収容先として、○○村などの過疎地域に目をつけたわけだ。
これはなかなかいい思いつきで、人口が減る一方だった過疎地域には、すでに所有者が存在しない民家や
倉庫などが、それこそ一山いくらで売りさばけるほど放置されていたから、とりあえず難民が多少のプライバシーと
引換えに夜露を凌ぐには十分なだけの"施設"が格安で調達できたというわけだ。
>>64 福岡防衛線外伝「サヨナラバス」(その18)
また、受け入れ側の過疎地域にしても、食料その他の需品はすべて行政府持ちで、住居などの改装には
補助金が交付され、なおかつ暇を持て余すこととなった難民の多数が農作業などの補助を申し出るなど、
多少の問題点に目を瞑ってありあまるほどのメリットがあったため、行政府の決定に異を唱えることは全くと
いっていいほどせず、この制度は瞬く間に九州全土の過疎地域に広まることとなった。
「で、私は、その受け入れ制度について短期のルポをまとめようとあちこち取材してたわけでね」
近藤は、そこまで一気に話して一息ついた。
こちらを窺うように見て、ジャケットの内ポケットからタバコを取り出す。
「吸ってもいいかな?」
ぼくがうなずくと同時に、近藤は魔法のような手つきであっという間にタバコに火をつけた。
深々と一服吸い込み、盛大に紫煙を口から吐き出す。
わずかに開けたサイドウィンドウから、その煙が車外に流れ出ていくのを眺めつつ、思い出したように近藤が再び口を開いた。
「どこまで話したかな?」
「難民受け入れの取材をしている、というところまでですが」
「そうだったな。で、その取材の一環として、私は○○村を尋ねることにしたんだ。昨日村役場に電話
して取材のアポをとり、施設の見学と村長のインタビューをとりたいので今日の午後1時にお伺いしま
すってんで段取りまではつけた」
「ええ」
「だがね、今朝出発する前に村役場に電話をかけたら、全く通じないというわけさ」
>>65 福岡防衛線外伝「サヨナラバス」(その19)
「通話中ではなく?」
「うん」
中ほどまで吸ったタバコをダッシュボードの灰皿でもみ消し、近藤は小さく頷いた。
「何回かけても、まったく、完全にうんともすんともいわない」
「村からの連絡は?」
「なしのつぶてだ。携帯が通じない以上、電話が絶たれたらほぼ陸の孤島だからね」
「警察か消防に連絡はされなかったんですか?」
ぼくは、予備知識なしにそこまで聞かされた人間が当然抱くであろう疑問を何のためらいもなくぶつけた。
だが、近藤はいともあっさりと即答する。
「無駄だよ。たとえ110番しても、今の警察は対応できないに違いない。消防もね」
「というのは?」
ぼくの問いかけはよほど間が抜けていたらしい。近藤は、おいおい、とさすがに呆れたような表情を浮かべた。
「新聞を読んでないのか。例のテロだよ」
>>66 福岡防衛線外伝「サヨナラバス」(その20)
「あのテロは、九州に潜入した一部のテロリストが自爆したことになっているけれど、実際はそう単純なもの
でもないらしい。噂では、魔法使いが怪しげな呪文をとなえた・・・・・そうだな、魔術テロだとも言われている」
そのテロが発生したとき、ぼくは客観的に見ればまったく不要不急の書類の山を切り崩すべく孤軍奮闘
していたのだ。もちろん泊り込みでぼくの作業場所にはテレビなどなかったから、テロについてはそうい
うこともあったらしいということしか知らない。ましてそれが魔法によるものだとは初耳だった。
そう説明すると、何か哀れむような視線でぼくを見やりながら、近藤はさらに説明を続ける。
「まあ、テロ自体はもう鎮圧されたそうだけど、我が県もテロと無縁ではいられなかったんだ。
県内の自衛隊基地をいくつかやられてね。警察も消防も、その後始末と新たなテロ対策で大童だ」
はっきりと何かしら異常が起こりつつあるという証がない限り、連中はまず身動きが取れないだろうね。
新しいタバコに火をつけながら、近藤はそうしめくくった。
なるほど。
ぼくはうなずくしかなかった。
まあ、絶滅寸前で今は多少持ち直しつつある小さな村との連絡が、今朝からまったく取れなくなっている
というだけのことだ。どうせ村についたら、困ったような顔をしている村民がこっちに詰め寄ってきて
いったいどうなってるんだどうすればいいんだどうしてくれるんだとがなり立てるだけだろう。
面倒くさくはあるが、まあどうとでもなる。どうとでも。いざとなったら連絡をつけると称してこのピックアップで
県庁に逃げ帰り、後始末を上にまる投げすればオーケーだ。まったく問題はない。
ぼくは、そう自分に言い聞かせた。
だが、果たして本当にそうなのだろうか。
>>67 福岡防衛線外伝「サヨナラバス」(その21)
ぼくのそうした心の動きを見透かすかのように、近藤が薄く笑って続ける。
「実は、○○村にはもう一つ興味深い話があってね」
「・・・・・なんでしょうか?」
すっかり合いの手役に堕してしまった己の知性のなさをうらみつつ、ぼくはなかばうんざりしたような口調で尋ねた。
「テロが発生する数日前、○○村から10キロほど離れた山中に、自衛隊の輸送ヘリが一機不時着した。記者会見に
よれば、クルー4名のうち1名が死亡、2名が重態で、残り1名は無傷だったそうだ。原因は、航法ミスと燃料切れのダブルパンチ。
詳しい調査結果は後日だそうだ」
「事故という意味では、そう珍しい話でもないかと思いますが」
ぼくは、わざとそっけなく反応した。内心はけっして口調どおりではなかったけれども。
「単なる事故なら、ね。痛ましい話ではあるけど」
近藤は、出来の悪い生徒を諭す教師にも似た何かを声音に滲ませてぼくの抵抗を粉砕した。
ぼくは、きっと何かろくでもない話が続くのだと観念し、黙ったまま近藤に話の先を促した。
>>68 福岡防衛線外伝「サヨナラバス」(その22)
近藤は、しばらくぼくがなにか言うのを待っていたようだが、返事がないとみて、肩をすくめて話を続けた。
「自衛隊内部に何人か私の知り合いがいるんだが、彼等によれば、そのヘリは九州の"外"に何かの
任務を帯びて飛んでいったらしい。もちろん、積荷は極秘で、彼等にもそれが何かはわからないとのことだ。
で、それだけの予備知識を得ていた状態で○○村の人間にそれとなく事故の話を振ってみた。
あのときは大変だったでしょう。おつかれさまでしたとね」
「それで?」
「電話にでた村役場の担当者が、なかなかお人よしで、自分の見たままを正確に話してくれた。
事故の知らせが入ったとき、村でも消防団やら有志一同やらで山狩りの準備をしたらしい。が、直前に
なって行政府からストップがかかった。専門家を派遣するのでまかせてくれ、とね」
「専門家・・・・自衛隊ですか?」
「半分あたりだ。完全武装の一個小隊と、それから得体の知れない女性が一人派遣されたらしい。
彼によれば、中世ヨーロッパの坊主みたいななりをしていたそうだ。その女坊主が、具体的に何をした
かまではわからなかったそうだが」
そこまで近藤が話したとき、長い長い上り坂が終わり、緩やかな下り坂にさしかかった。
いくらかアクセルを緩めながら、カーナビに目をやる。○○村まで、あと2キロ。
この直線をひた走り、その先の緩やかなカーブを曲がれば、村が見えてくるはずだ。
空は相変わらず晴れていたが、ぼくの心にはどす黒い不安がさざなみのようにたちはじめていた。
70 :
名無し三等兵:03/05/10 23:59 ID:bPKqMvs4
うちあげー!
なんか1も見捨てたようだな、ここ。まあ当然ではあるが。
.:∵・(゚д(゚д゚ #)≡=− (( ___
. |71| _/| /|
73 :
名無し三等兵:03/05/11 12:21 ID:YFoNslkD
もういっちょ、うちあげ!
74 :
名無し三等兵:03/05/11 13:19 ID:otFVq/sY
突如として東の海に出現したニホンなる国については御存知であろう。
彼の国は軍事力ばかりが語られるているが、それは一面でしかない。
例えば硝子や陶器。エルフィールでは裕福層しか所有していないこれらを
一般市民が日常に使用しているのである。
また、山の民を悩ませる“痒い草”を塗料にかえ工芸品(漆器と呼称)を
造りだす。見た事のある者も多いだろう。
何より驚愕すべきは全国民の九割以上という識字率の高さである(中略)。
〜商工ギルドの派遣調査員の報告より抜粋〜
チョトSSを書いてみました。お目汚しでなければ幸いです。
まぁ、ageるなと。
76 :
ACE:03/05/11 19:02 ID:???
59>
…確かにあの発言は軽率だったよ。悪かった。
ただな、このスレを立て俺にSSの許可をくれた1だおー氏と
外伝の許可をくれたてさりすと氏がもし俺にやめろと言うなら
俺はおとなしく去ろうと思う、ということだ。
むしろ、だ。このスレの住民全体に火の粉を飛ばした貴様が俺に偉そうなことを
言うんじゃねぇ。強盗殺人犯が空き巣に説教するようなもんだ。
>>76 あんまし喚くな。
>>59が荒らしかどうかなぞ分からんだろ。誰だか分からん奴を荒らしと決め付けるなよ。
ちょっとは煽りに耐性を付けろ。それが出来ずに感情的なカキコを続けてる内はお前も
荒らしと一緒。
強盗殺人犯も空き巣も同じ犯罪者に変わりは無い。五十歩百歩だ。
78 :
名無し三等兵:03/05/12 02:55 ID:SodoTlaa
晒しage
79 :
CK:03/05/12 16:16 ID:???
とにかく落ち着いて下さい。
80 :
CK:03/05/12 16:30 ID:???
81 :
ACE:03/05/12 18:35 ID:???
77>
了解した。すまんかったよ…。
ではまあ本日分を…。
「意外と変わらねぇな、未来の銃って…。」霧島は目の前の統自の隊員たちの
兵装を見て言った。「は、これは24式小銃であります。5.56mm弾を使用
します。ですが、銃身の下にこのようにランチャーやショットガンなど様様な
オプションを装着できます。」派遣部隊の分隊長、佐藤3尉は答えた。
先日制圧したリャド鉱山に向かった調査隊が消息を絶ち、柊たちは統自の陸上部
隊と合同で捜索に向かうことになった。その車内で柊たちは統自の兵装に興味が
尽きないようだった。
「へえ、ランドウォーリアってヤツと同じ思想か。でもその鎧みたいなプロテク
ター、重くないのですか?」鮫島は彼らのスターシップ・トゥルーパーズのよう
な鎧を見て言った。「ええ、見た目より軽い素材ですし、それにこの軍服には筋
力を増強する装置が組み込まれています。意外と速く動けますよ。」「まるでス
プリガンだな…。」霧島は言った。すると統自隊員の一人が目を輝かせた。
「え、スプリガンをご存知なのですか!?」「そりゃあリアルタイムで読んでる
世代だからな。全巻持ってるぜ。」「凄い、俺たちの時代じゃ古い名作としてす
ごく価値が高いんです!見せてください!」「ああ…生き残ってな…。」
82 :
CK:03/05/12 18:47 ID:???
>スプリガン
実はあんまり好みじゃない。(ア−カムの連中の思想がやだ。)
別にどうでもいいことなんですけど。
83 :
ACE:03/05/12 18:54 ID:???
「ここから発進できるのか?ホントに?」ゼンガー少佐はアルビオン艦内の
発進ゲートで言った。横の愛機タイフーン・トロンベにはアスガルドの整備兵
達の興味深げな視線が集まっている。
「空中戦艦から発進なんて…面白そうね。」レジーナ中尉は言う。
「カイル君、だったね。教えてくれないか。そのミストラスとかいうロボットに
ついて。」ゼンガーは横でミストラスの前に立っているカイルに訊く。
「はい。」カイルは振り向く。「この世界には、古代には進んだ文明があって、
今でもその遺産が残っていることがあります。」「ストーンヘッジのような?」
「ええ。ミストラスもその遺産です。今では生産能力はどの国にもありません。
古代文明が滅ぶきっかけになった大戦争で、多くの技術が失われたからです。
我がアスガルドは比較的破壊の度合いが小さく、運用ノウハウが残っているんで
す。故にアスガルドはオーラン以上の軍事力を持つに至ったんです。基本的にミ
ストラスは遺跡などを掘って出てきた分を使用しているんです。」「まさに掘り
出し物、だな…。」ラインハルト大尉は言った。「で、これが君の愛機、ええと
何…。」「『雷のリベリオン』、現在最強のミストラス『七大精霊機』のひとつ
です。この艦には現在そのうち3機があります。」「ほう!最強の機が半分近く
もあるのか!」ウラジミーは驚いて言う。
警報が鳴ったのはその直後だった。
84 :
ACE:03/05/12 19:19 ID:???
鉱山内を分隊は慎重に進んだ。スパルタン分隊と統自の佐藤分隊は一列になって
ライトで先を照らしながら歩を進める。
「佐藤隊長!」佐藤分隊の一人が言う。「調査隊をセンサーで感知。この先にいま
す。」その声で分隊は駆け出す。だがそこにあったのは、とんでもない怪力で引き
裂かれたかのような調査隊の亡骸だけだった。竜崎3尉が目を背ける。「これは…
いったい何が!?」柊は冷や汗を流しながら言う。そこに「佐藤隊長、動態反応を
確認!何かが来ます!!」佐藤分隊の一人がバイザー裏に映るセンサー画面を見て
言う。全員が今いる広場のような場所のいくつかの分かれ道の入り口に照準を合わ
せる。だが次の瞬間、横の坑道の壁面の土を破って何かが飛び出した。
まるで、鎧を着た戦士、といった感じだが、動きはロボットのようだ。剣を振り上
げて、襲い掛かってくる。統自の隊員たちは突然のことで対応できない。
「総員、撃てぇ!!」柊は襲い掛かる鎧に89式を浴びせる。そこに武藤のべネリ
M3が火を噴き、鎧は頭を撃ち砕かれて倒れる。鎧の中には機械のようなものが見
えた。竜崎3尉は剣をかわし、鎧に膝蹴りを打ち込んで体勢を崩し、89式を浴び
せて沈黙させた。霧島は鎧を上から真っ二つに切り裂く。アレクサンドルが施した
刀身強化魔法は恐ろしいまでの切れ味を発揮している。ミラー曹長に至っては、な
んと鎧を一本背負いで投げ飛ばし、M4で頭部を蜂の巣にする。
場慣れしたスパルタン分隊により、一人の死者も出さずに鎧は殲滅された。
85 :
CK:03/05/12 19:38 ID:???
古代には進んだ文明があって、
>今でもその遺産が残っていることがあります。」「ストーンヘッジのような?」
「ええ。ミストラスもその遺産です。今では生産能力はどの国にもありません。
古代文明が滅ぶきっかけになった大戦争で、多くの技術が失われたからです。
我がアスガルドは比較的破壊の度合いが小さく、運用ノウハウが残っているんです。
アスガルドも運用だけでしたか・・・・・遺跡に頼っての最強というのが若干悲しいとこですが・・
・・・修理程度は出来るようにしてやって欲しいです。。
>刀身強化魔法
戦闘機など装甲も強化して・・・・・まあアレクサンドルなら大丈夫かも。
ところでもしかすると、鉱山からでてきたのって・・・・・ミストラス?
海皇紀(月刊マガジンかマガジンスペシャルだったと思う。)のロボット
みたいな出方だったな・・・・・。
のわわっ 前スレ容量overだったのですか…
いまさらながら 新スレ (・е・)ゞ
87 :
CK :03/05/13 12:43 ID:???
>空中戦艦から発進
空中戦艦の全長によるかも知れませんが、どうやって発艦するんでしょうか?
まさかスピ−ドがつくまでは落下しっぱなしだったりして・・・・。
あとこの空中戦艦はどうやって浮いているんでしょうか?
正直、CKマジうざい。SSの感想にしたって、なんか度を越してる気がするし。スプリガンの部分とか。
あと、1のホムペにもこのスレについて御注進にいってるし。
何様のつもりなんだろ?
89 :
CK:03/05/13 12:57 ID:???
>スプリガンの部分
感想ではないので無視してかまいません。
90 :
名無し三等兵:03/05/13 13:08 ID:9hEwY/KR
91 :
ACE:03/05/13 18:22 ID:???
>アスガルドも運用だけでしたか・・・・・遺跡に頼っての最強というのが若干悲しいとこですが・・
・・・修理程度は出来るようにしてやって欲しいです。。
いや、自分にとっての「運用」とは補修体制まで含めた一連の行動を
さします。アスガルドなら修理できますよ。オーランでも部品の共食い程度の
補修はできます。
>空中戦艦の全長によるかも知れませんが、どうやって発艦するんでしょうか?
まさかスピ−ドがつくまでは落下しっぱなしだったりして・・・・。
あとこの空中戦艦はどうやって浮いているんでしょうか?
実は落下しっぱなしでス。だからある程度高度をとって発進します。
ただ専用の装置を付ければミストラス射出用カタパルトを使用できます。
空中戦艦の浮力は「飛行石」ですw いわゆるファンタジー的動力で。
でも…スプリガン嫌いですか?自分はあの「凄くなさそうで凄い」オーパーツの
数々がかなり楽しいんですが。
おお新しい人も来た事だしまた昔のように華やかになったらいいなあ
ちょと荒れてたけど(もしかしたら現在進行形かも)・・
皆さんマターリがんばりませう。
自分も負けじと交信行きます。
シクヴァル海軍の最後の急降下爆撃を回避した直後、はるなのレーダーに突如として新たな機影が確認された。
まず北西方面から8機、続けて北から6機が現れ徐々に彼ら目掛けて真っ直ぐに向かってきていた。
「艦長!レーダーに感!!味方の航空部隊です!!」
西部劇でインディアンに襲われ絶体絶命の市民達の元に騎兵隊が駆けつけたようなその状況に
『はるな』のレーダーを担当していた隊員達が歓声を上げた。
『敵航空部隊第6次攻撃部隊が出撃しました。平均高度200、ドラグーン13騎、グリフォン14騎です。約15で戦闘空域に侵入してくるものと思われます。
全騎から強力な魔力の反応がありますので制空部隊と思われます。気をつけてくださいね。』
AWACS『エアキング』の管制官のクレアから続けて上がってきている部隊の連絡が速やかに各機に行なわれる。
『地上部隊の支援は後方のフランス空軍が行なってくれるので心配は要りません。
安心して敵航空部隊だけを倒しちゃってください。』
『OK、『エアキング』すぐに敵航空部隊を殲滅して見せよう。各機、我に続け』
『メビウス、了解』『『ゲルヒルデ 了解』『ヘルムウィーゲ 了解』
寺井に率いられた各機のレーダーがドラグーンたちをロックオンする。
直後 彼らは機体名以外の宣言を合したかのように一斉に宣言した。
『エンゲージ』そしてその数秒後『フォックス1』と。
ほぼ同時に発射された6発のAAM‐4と2発のAMRAAMが約20KM先の目標目掛けて一直線に飛び出していく。
この国産のAAM-4ミサイルは航空自衛隊が装備するミサイルの中では最も高性能のミサイルの一つである。
ミサイルの部品に民間部品を使用する事によって低価格化に成功した上に(この時点では量産効果がさほど得られていないので1発1億円前後の値段)
AIM−7以上の射程を持ち、何よりもAMRAAMと同じように撃ちっぱなしに出きると言うのがパイロット達にとってとてもありがたかったのだ。
いままで自衛隊が運用してきたAIM−7はセミアクティブミサイルである為、対空魔術である『レットタイガー』と真正面から同時に撃ちあった場合
アクティブミサイル的な対熱誘導方式を持つ『レッドタイガー』は発動した直後から術者が全力で退避行動に移れるのに対し
こちら側はミサイルが命中するまでイルミネーターで敵機を照射し続けなければならないため退避行動は取れない。
全力で回避運動を行なう敵とミサイルの後を追いかけるように飛行する戦闘機のどちらに先に互いの攻撃が命中するかは言う必要が無いだろう。
それでも今まで航空自衛隊が上空で圧倒的な戦力を誇っていたかと言うと敵が気付くはるか彼方から敵を発見し
敵の射程のはるか彼方から攻撃する事が出来たからであった。
しかしながら逆にやられた例も存在する。オーラン軍が誇る精鋭部隊の隊長たちは風の精霊たちの支援の元はるか彼方から近づく自衛隊機の進行方向目掛けて
数え切れないほどの防空魔術を放ったのだった。
運良く魔術を認識できる『グリーンエンジェル』つまりクレアのような管制官が搭乗するAWACSに支援されていれば回避も出来たが
運悪くそういった管制官に支援されていない部隊は運が悪ければそのまま自分が狙われた事に気付くことなくあの世行きになった部隊も少なくなかった。
オーラン軍精鋭部隊『黄色中隊』にいたっては上に書いたような方法や正面からの攻撃を用いて
既に合計15機の戦闘機と輸送用に使われていたB−747が5機、ついでに輸送、戦闘ヘリふくめて11機、その他の航空戦力に関しては数え切れないぐらい撃墜していた。
その黄色中隊がこの空域にいるとの情報を受けたため比較的貴重な・・どのミサイルも貴重だが・・さらに貴重なAAM−4を使用する許可が下りたのだった。
幸いな事に黄色中隊に代表される精鋭部隊は存在しないらしくミサイルが彼らの目前に迫ったと言うのに2隻の護衛艦を攻撃するのに夢中でミサイルの接近に気付いていなかった。
そして爆発、すぐにAWACSから報告が入った
『敵航空部隊10騎がレーダーから消失。敵攻撃部隊の編隊が崩れていきます。』
前スレがヤヴァくて静観していたら復旧スレッドが
遅くなったけどまとめて前回からの続きをば・・・
みなさんの作品がますますレベルアップしていて見劣りしますが、
広げた風呂敷は自らたたむ気合いで逝ってみますw
とりあえず、今までのあらすじです。
詳しくは「保存庫」で
沖縄を含む九州が魔法世界に召還された。ノビル王国への侵略をもくろむコルバーナ王国が
戦略拠点を作るために召還したためだった。
九州のフリージャーナリストの原田はいち早く現地のコクーン卿と接触する。
自衛隊は石油などの物資確保のためにノビル王国と同盟を締結。コルバーナ軍の首都攻撃を撃退。
その後も西部方面隊主力部隊を続々とノビル王国に送り込む。
主人公原田は現地で出会ったエスタを助手に常に最前線で取材を続ける。
コルバーナは精神的支柱、グロスドラゴンランサーを撃墜され降伏する。
半年後、コルバーナの油田を確保し、平和を取り戻したかに見えたが「黒の教団」を名乗る組織が各地でテロを開始。
首謀者の1人とされたノビル王国枢機卿ボルダー卿はSATの突入の甲斐なく逃走。
彼はただちに、九州とノビル王国に対し宣戦と黒の教団による報復を通告。
一方原田はコルバーナ油田に旧知の対馬警備隊隊長村本尋ねる。彼と共に黒の教団捜索に同行するが、
教団とコルバーナ残党、そして謎のゴブリンの群に奇襲されて油田を撤退。
隊長の村本も壮絶な殉職を遂げる。
ではその続きです。(覚えてくれてる人がいればいいんだがw)
この戦いで自衛隊は60名近い死者を出し、コルバーナ油田を失陥した。幸い、産出量の多いことから九
州本土の石油備蓄は大幅に増加して約3年分にまで増えていたが、油田失陥と隊員の大損害は官民問
わずにショックを与えることになった。
自衛隊は前線を約50km後退させざるを得なかった。コルバーナ油田から最寄りの基地はヘリの緊急着
陸用に建設された仮設飛行場だけだった。この飛行場を失陥すれば、ノビル王国の制空権の確保はノビ
ルバーナの航空自衛隊しか遂行できない。急遽、19普連と玖珠戦車大隊が増派され、飛行場は鉄条網
と塹壕で囲まれることになった。
ぼくはヘリでそのままノビルバーナへ戻った。隊員たちはみな失意のどん底だった、60名近い仲間と信
頼すべき隊長であった村本を失い、生命線とも言える油田も放棄せざるを得なかった。すでにヘリポート
には情報を聞いた衛生科の救急車やら負傷者を収容する仮設テントやらが用意され撤退した隊員や衛
生科でごった返していた。さすがに、取材する気力もなくぼくは事務所に戻った。
事務所で留守番をしていたエスタは、もう情報を知っていたのだろう。何も言わずにソファーに座り込んだ
ぼくに冷えた缶ビールを渡してくれた。
「ありがとう」
それだけ言ってぼくは一気にビールを流し込んだ。今まで味わったことのないまずいビールの味だった。
何も言わずにぼくを見つめるエスタと視線が合った。彼女は青い目をしていると思っていたのだが、よく見
たら緑がかった色をしているんだな・・・・。まったく関係ないことが頭に浮かんだ後、不意に涙が抑えられな
くなった。
「大勢死んだよ・・・。村本隊長も、ここに来た時に知り合った隊員も大勢。なんで・・・」
何も言わずにエスタはぼくを抱きしめてくれた。
「マスター、あなたのせいじゃありません。」
「違うんだ。この戦争も、前の戦争も、全部ぼくたちのエゴで始まった戦争だ。石油が欲しい、鉄が欲しい。
こんなことになったのに、みんな今まで通りの生活がしたいからってだけで始めた戦争なんだ!ぼくたち
のエゴが隊員たちを殺したも同然なんだよ。」
エスタはぼくが早口で何もかも言うのを待ってからやさしく言った。
「それはマスターの国の事情です。この国の人はみんな感謝してます。コルバーナを倒し、この国に平和
をもたらしました。それだけじゃなくて、電気や今まで見たこともない力を与えてくれました。マスターの国も
ノビルも仲良くやっていってるじゃないですか。それでいいじゃないですか」
彼女はそう言うとぼくの頭を自分の膝に乗せてやさしく頭をなでた。
「マスター、今日はゆっくり寝るんです。眠りの世界は全てから解放されて安らかです。」
確かに、肉体的にも精神的にもぼくは疲れ切っていた。
「すまない・・・・」
それだけ言うとぼくは急速に眠りの世界に堕ちていった。
「いいんです、私はあなたがいるだけで・・・・」
眠りにつく瞬間、エスタが何か言ったのが聞こえたがそれを聞き返す気力もなかった。
ドンドンドン!
翌朝、激しいノックの音で目を覚まし、ソファーから起きあがった。いや、ソファーと言うより一晩中ぼくに膝
枕してくれたエスタの膝といった方がいいだろう。
「はい・・・?」
ドアを開けた瞬間、ぼくの眠気は一気に吹き飛んだ。
「原田さん・・・ですね?」
ぼくの目の前に立っているのは身長190センチはあろうかという巨漢、というだけではない。黒のスーツ
にサングラス。短髪の強面。つまり見るからに極道の男が立っているのだ。
「原田さん・・・ですね?」
もう一度、静かだが含みを聞かせた声で男が問いかける。「は、はい」。間の抜けた声でそう答えるのがや
っとだった。
「姐さん・・・」
男が一歩下がる。ドアの影から上等な和服、おそらく京都の老舗のモノだろうを着た女性が現れた。
「あ、あああの・・・?」
女性と例の巨漢、同じ様な黒のスーツを着込んだ極道たちがずかずかと事務所に入り込む。この騒ぎで
ようやくエスタも目を覚ました。合計5名の黒服に着物の女性はぼくの前に立ちはだかると、無言でぼくを
眺めている。
、いきなり
「このたびはまことにお世話になりました」
女性の言葉を合図に一斉に極道たちが頭を下げた。ぼくは状況がさっぱりつかめずに目を白黒させるば
かりだ。
「私、村本の妻、聡子と申します。このたびは主人の最期を見届けていただいたそうで遅ればせながらご
挨拶に参上した次第でございます。」
村本隊長・・・・あなたは一体・・? その心の中の疑問に答えるように聡子が言葉を続ける。
「私の実家は島田と申しまして、世間様には顔向けできない生業でございますが、主人はそんな私を妻に
して、対馬に渡りました。私もあの事件(この世界への召還らしい)以来、夫に言われて博多の実家に戻っ
ており、ご挨拶が遅れましたことをお詫びいたします」
博多の島田といえば、泣く子も黙る島田組だとすぐにわかった。ということは村本隊長の奥さんは島田組
長の娘ということか・・・・。
「そ、それは、大変なときにわざわざおこしいただいて・・・・恐縮です」
ぼくはとりあえず、聡子を応接イスに案内して、状況をつかめぬエスタにお茶を用意させた。応接イスに座
った和服の30後半の女性。その後ろに直立不動で立ちすくむ喪服の極道は、どうしてもぼくに威圧感を
与えないはずがなかった。
「今日は原田さんにお願いがあって参りました。」
茶を飲んで一息ついた聡子はぼくに言った。
「主人は次期島田組組長のイスを蹴って対馬警備隊に赴任しました。父も堅気を守る商売にかわりはな
いと快く見送ってくれました。そこで・・・」
ここで聡子は目つきを哀れな未亡人から一気に、極道の妻の目に変えた。
「主人が常々言っておりました対馬警備隊のみなさんにご挨拶したいのですが、ご同行願えますか?」
「いや、警備隊は再編成されて前線の空港にいますが、その、民間人を許可なく連れまわすことは・・・・・」
ぼくの返答を待たずに聡子は後ろの組員を振り返った。組員は持っていたアタッシュケースから書類を取
り出し聡子に渡した。
「西部方面隊総監部の許可証です。よろしゅうございますね?」
事務所の外に出たぼくとエスタはあっけに取られた。黒塗りのBMWが6台。20名以上の喪服の組員が
整列して待機していた。ノビルバーナの市民たちはあまりの光景に遠巻きに見守るばかりだ。
「主人の話を聞いて破門覚悟で私に同行してくれた親衛隊です。」
そう言うと聡子は喪服の親衛隊に鋭い声で命令した。
「お前たち!支度しな!」
6台のBMWのトランクからジェラルミンの盾と手に手にイングラムが運び出され、聡子にはこれまたクラシ
ックな、ドラムマガジン装着のトミーガンが渡された。さすが、博多の島田組だ・・・・。
「原田さん、お嬢さん、こちらの車にどうぞ。」
強面の組員に案内され、ぼくとエスタは最後尾のBMWの後部座席に乗ることになった。
「シートベルトはしなくてもいいですよ、ここには警察はいませんからね」
若頭だったという木元が笑いながらぼくに言った。
「すごい車ですね、自衛隊の車より全然乗り心地がいいです」
何も知らないエスタは高級車のクッションや外観を珍しがっておおはしゃぎしている。人間、何も知らない
方が変な気を使わずにいいんだろうか・・・
「ははは!このBMは姐さんや組長を守るための特別仕様だからね。ライフルくらいならどうってことない
んだよ!」
エスタの極道にも物怖じしない態度を気に入ったんだろうか。木元は豪快に笑いながら言った。
「出発するよ!」
聡子の声が無線のスピーカから響いた。静かに、高級車らしい軽やかなかすかな震動がBMWの車列が
出発を開始したことを告げていた。
BMWの車列は通りの市民の視線を集中されながらノビルバーナ市街から郊外に出て、2時間ほどで川
沿いの田園道路に出た。川沿いにこのまま3時間ほどで空港に到着する予定だ。
「ちょっと一息いれようか」
聡子の号令以下、車列は道の脇に停車した。律儀にハザードランプをつけて止まるBMWもあった。ぼく
は木元の気さくさでだいぶ緊張がとれていた。エスタは元々極道に対する先入観がないせいか、まったく
緊張していない。いい気なもんだ。
「ちょっと失礼」
トイレをしようとぼくはBMのドアに手をかけた。木元は煙草をくわえて外を眺めている。ぼくがドアを開け
て外に足を踏み出した瞬間、木元のすごみのある声が耳に飛び込んできた。
「待てい!外に出るな!」
思わず、車に駆け込んでドアを閉めた。彼の叫び声は他の組員に向けられたモノであったが、さすが若頭組員は彼の命令通りすばやく車内に戻っていた。
「いったい、何が・・・」
ぼくの問いに答えることなく木元は無線のマイクに向かって叫んだ。
「姐さん!変な野郎が飛んできます。」
窓から見ると、100m程先に例の空飛ぶ騎士が1騎、こっちを伺っているのが見えた。どうやら、初めて見
るBMWを警戒しているようだ。空飛ぶ馬、我々の伝説に習ってペガススと呼ぶようになったが。そのペガ
ススにまたがり、全身鎧に身を固めた騎士は明らかに警戒しつつ、敵意を見せていた。
「若頭、撃ち落としてやりましょうか?」
運転席の若い組員がイングラムを構えて窓を開けようとする。助手席の木元も何も言わない。
「やってやりましょう」
「やめろ!」
組員が窓を開けようとするのをぼくは思わず止めた。戦闘モードに入った血走った目がぼくに向けられる
思わず、声を出したことを後悔する。
「原田さん、どうされました?」
いきり立つ組員を目で制しながら木元がぼくに尋ねてきた。
「原田さん、どうされました?」
いきり立つ組員を目で制しながら木元がぼくに尋ねてきた。
「あいつはおそらく飛び道具で攻撃してくるでしょう。今、窓を開けるのは危険です。それに相手がダークエ
ルフの場合魔法攻撃をかけてから突進してくるでしょうから。」
「なるほど、実体験に基づいてってわけですな」
そう言うと木元は無線のマイクを取り出した。
「全車、しばらく様子を見ろ。くれぐれも先に手を出すな。何してくるかわからんぞ」
木元が言い終わらないうちに目の前が光に包まれた。
「うわっ」
「きゃあ!」
「なんだ!」
BMWが巨体を揺らす。例の騎士はダークエルフのようだ。射程数キロの悪魔の雷を食らったようだ。ぼ
くは思わず身をかがめる。BMWが爆発すれば一巻の終わりだ。
だが、BMWはその巨体を揺らしただけでそれ以上なんのダメージも受けていないようだった。いくら防弾
加工を施したと言っても人間を炭にしてしまう程の威力の魔法を受けてこれですむなんていったい・・・・。
「よし、緒方。かましてやれ」
木元のお墨付きをいただいた緒方と呼ばれた運転手の組員は、待ってましたとばかりにパワーウインドウ
を開けた。騎士は魔法が効果がないことを悟ると槍を構えて突進を始めた。
他のBMの組員もパワーウインドウを開けてイングラムの銃口を騎士に向けている。マイクを持った木元
が聡子に確認を取る。
「姐さん」
BMWに搭載された全ての無線のスピーカから聡子の冷酷な命令が響いた。
「やってやんな!」
至近距離から十数挺のイングラムから発射される9ミリ弾を受けてペガススは瞬時に肉片となって、ぼとっ
という感じで地面に落下した。ダークエルフは被弾を免れたが手綱がからまって地面でもがいている。緒
方がサイドブレーキの横に隠していた日本刀を持ってBMWから飛び出した。ダークエルフの側まで走
ると、蹴り上げて兜を吹っ飛ばし、日本刀を大きく振り上げた。首をぶった斬る気だ。
「見るな!」
これから起こるであろう惨劇を見せるべきでないと判断したぼくはエスタにあさっての方向を向かせた。
「待てい!緒方!殺すな!」
中世風の田園に響きわたる木元の声で、緒方は日本刀を振り下ろす直前でかろうじて手を止めた。聡子が
トミーガンを持ってBMWから降りてくる。緒方は先走ってしまったことを今更ながら自覚し、聡子を呆然と
見つめている。
「緒方・・・・」
いかなる叱責も甘んじて受けようとしていた緒方に彼女から意外な言葉がかけられた。
「よくやったね」
「は、はい!」
直立不動のまま、思いっきり緒方は頭を下げた。そして、組員たちに取り押さえられたダークエルフに向き直った。
「おのれ、異世界人め。いい気になるなよ」
「やかましいわぁ!おんどれは!」
思いっきり方言丸だしの啖呵に意味がわからないはずのダークエルフも思わず黙り込むほどの迫力だった。
「おのれはよそ様の車に傷ばつけて何を偉そうなこと言いよるとかい!」
聡子はそう言ってぼくたちの乗っていたBMWを指さした。確かに、悪魔の雷が直撃した部分の塗装が剥
げてボディがこぶし大凹んでいる。それとこれとは関係ないんだが、あまりの迫力にダークエルフも黙り込む。
「おのれは、どこの者じゃ?」
「我は魔の帝国の主、大魔道士ジャルバ様の配下・・・・、後悔せぬうちにこの地を去れ!」
鼻血を流しながら精一杯の虚勢だろうか、大魔道士の名前を出したダークエルフだったが、眉毛一つ動か
さない聡子にかなり動揺しているようだった。
「おんどれは、博多島田組を脅迫するんやのぉ・・・」
聡子はぐいっとダークエルフの胸ぐらを掴んで顔をくっつけんばかりに近づけた。
「博多の極道なめたらいかんけのぉ・・・・・・木元!」
木元を呼びつけ何か命じた。木元と緒方がダークエルフを引っ張って連れていった。
「奥さん・・・・」
ぼくはちょっとタイミングが悪いかなと思いつつ、気になっていたことを聞いてみた。
「さっきの魔法を跳ね返す装甲なんていったいどこで・・・・」
「ああ、あれですか・・・・ハインツ!」
ハインツと呼ばれた男がぼくの前に姿を現した。ぼくより早く、エスタが「あっ」と声を上げた。
「ハインツと申します。お見知りおきを・・・」
彼が直立してぼくに頭を下げたときにぼくも気がついた。彼の耳は大きくとがっていたのだ。エルフだった。
「ハインツはコルバーナ軍の魔法使いでしたが、嫌気がさして九州に流れてきたところを私どもが面倒を
見てあげていたのです。」
「はっ、姐さんはじめ皆様のお気持ちにお答えすべく、今回微力ながらお役に立てればと・・・」
極道になったエルフ・・・。しかし物言いといい、身のこなしといい。まさに極道のそれそのものだった。エル
フは本来は適応能力が高いのかも知れない。
「姐さんがこちらに渡るということで、私の魔法が役に立てばと思い、車両に魔法防御をかけさせていただ
きました。恥ずかしながら、私コルバーナ軍で1級魔法使いをやっておりましたので・・・」
なるほど、コルバーナ軍の上級の魔法使いだったらこの強力な魔法防御も納得できるというものだ。博多
島田組、まさに未知の魔法世界でも敵なしになるかもしれない・・・・。
「さあ、出発しましょう。木元と緒方は後で追いつきます。ハインツ、お二人を車にご案内しな」
聡子はきびすを返すと彼女専用のBMWに颯爽と乗り込んだ。ハインツはもう一度ぼくたちに頭を下げた。
「姐さん方のご指導を受けまして、何とか半人前というところです。いろいろとご指導お願いします」
ハインツに彼の車へ案内されながらエスタがぼくに耳打ちした。
「マスター、あの女の人、かっこいいですね」
ぼくはもはや、緊張でパンツまで汗をかいていて彼女に説明する気力もなかった。
「今度吉川に、「極道の妻たち」ってビデオを君に送ってもらうように頼んでおくよ」
数日後、ノビルバーナを流れる川の川岸に、簀巻きにされたダークエルフの水死体が上がった。
空港に到着したBMWの車列は当然、現地の自衛隊員の注目の的だった。自衛隊の前線は空港から3k
m先、ちょうど、山岳と川で平地が狭くなっている部分に橋頭堡が置かれ、空港周辺は特科と第2防衛ライ
ンとなって、大陸中部における自衛隊の軍事的イニシアチブを維持する最期の拠点として最大級のレヴ
ェルで防御されていた。
「対馬警備隊はどこですか?」
隊員たちの余計な詮索を避けるためにぼくが代表して19普連の連隊本部に問い合わせにうかがった。
「あんた、あのBMWの人たち?困るんだよねぇ」
新任の本部員であろう、ぼくの顔を知らない幹部がいかにも迷惑そうに言った。そりゃそうだろう。
「許可証はあるの?ここは民間人が入れるところじゃないんだよ」
「はぁ」
「まったく、鉱山ができて商社が入りだしてからこれなんだから・・・・、だいたいねぇ・・・・・」
横柄な幹部の言葉が途中で止まった。ぼくの後ろには追いついてきた木元が立っていたのだ。
「西部方面隊総監部の許可証です。対馬警備隊はどこにおられますか?」
木元は静かにだが、これ以上うだうだ言わせないという気迫のこもった声で幹部に問いかけた。
「あ、あ、あの。前線の左翼あたりで再編成展開中であります」
幹部にはこれだけ言うのが精一杯だった。木元は無表情のまま一礼すると連隊本部を後にした。
対馬警備隊の戦区に到着した我々は、当然ながら奇異の視線の洗礼を浴びることとなった。
「おい、あれ。原田さんじゃないのか・・・」
「エスタちゃんもいるぞ。どーなってんだ・・・・」
古参の隊員たちの怪訝そうな視線と言葉を気づかないふり、聞こえないふりをしてぼくたちは指揮所に
向かった。
たしか、村本隊長の後任が先日派遣されたらしい。前田という人物らしいのだが・・・。
「こんにちわぁ!」
近所に回覧板でも持ってきたかのような緊張感のない声でエスタが指揮所になっているノビル風の農家
に入り込む。こんなときほど、彼女の存在がありがたいことはない、と心から思った。
「わぁぁ!エスタちゃんじゃないかぁ!」
古参の幹部が喜びの声を挙げる。それを確認してぼくも指揮所の農家に入り込む。とたんに、幹部の顔
色が変わる。
「あ・・・・、原田さん・・・・・?」
そりゃそうだ。ぼくの後ろには十数名の完全武装の極道がいるのだ。
「前田さんはいるかな?」
可能な限り申し訳なさそうに、苦笑いを出しながらぼくは幹部に質問した。彼もそのぼくの表情を察した
のか、面倒に関わりたくないと思ったのか、すぐに前田隊長を連れてきた。前田は50前後のひょろっとし
た感じの男だった。だが、その外見とは裏腹に意外と肝が太いようだった。聡子たちの一団を見ても顔色
一つ変えずに、
「ああ、村本隊長の奥様ですね。話は聞いてます。ささ、どうぞ」
という感じで聡子を応接間にしている離れに通した。
聡子と前田の間でなにかしらの協定が結ばれたようだ。聡子と島田組親衛隊は対馬警備隊戦区におい
て行動の自由を得たようだった。
「総員、傾注!」
塹壕陣地に残すべき最低限の歩哨を除いて対馬警備隊が指揮所前に集合した。急ごしらえの演題には
前田がのっかって部隊員におきまりの訓辞をしている。その後ろには聡子以下、20名の島田組親衛隊
が直立不動で控えている。
「では、前隊長の細君であられる、島田聡子様にご挨拶をいただきます」
指揮所の幹部が聡子を演台にお勧めする。聡子は隊員たちに深々と一礼すると静かに語り始めた。
「皆様、わが夫村本を慕っていただき・・・・」
ここで彼女の言葉が途絶えた。耳を切り裂きそうな爆発音と爆風が周辺で立ち上がった。
「悪魔の雷だ!」
歩哨の叫び声がかろうじて隊員たちに届く。どうやら、対馬警備隊戦区に集中的に攻撃が浴びせられてい
るようだ。敵の反撃が近いのであろう。
「総員退避だ!」
実戦経験がないであろう前田が軽装備で集合してパニックの兆候を見せている警備隊隊員に号令しよう
とした。その時だった・・・
「あんたたち!」
爆音と怒号を切り裂くような甲高い声が戦場に響いた。
声の主は聡子だった。戦場で予想もしない高音の声に思わずパニックになりかけた隊員も耳を傾けた。
「あんたたち!それでも主人の部下かい!?うちの主人はねぇ!あんたたちをねぇ!休暇のたびにあた
しに向かって誉めまくっていたんだよ!こんな優秀で勇敢な部下はいないってね!」
聡子の発言が続いている間も、悪魔の雷は降り注いでいたが、隊員は彼女の声に回避運動も忘れてそ
の場に立ちつくした。
「主人があんたたちを守って死んだって聞いて博多から来てみればなんね!この情けなさは!あんた
たち!それでも自衛隊ね!?」
聡子の言葉はなおも続く。
「たかが、わけのわからん魔法使いの魔法くらいでびびってから、そんなこつで自衛隊なんち名乗りなさ
んな!」
聡子の言葉が途切れて数秒。逃げ出しかけた隊員に沈黙が訪れる。そして次の瞬間。聡子は和服の袖を
まくり上げた。
「おお!」
隊員たちからおどろきの声があがった。むき出しになった聡子の左肩には、それは見事な「登り龍」が描
かれていたのだ。
「あんたたち!九州男児の根性見せないやぁ!!」
「うおおおおお!!!」
戦国時代の兵士たちのような鬨の声が対馬警備隊の面々から響きわたった。
こんなところでご勘弁を
まさか皆様がさらに突っ込んだ議論をしてるとは・・・
その息抜き感覚でぼくの作品を楽しんで下されば幸いですw
>158氏といい893色が微妙に濃いスレかも(;・∀・)
もしかして九州って血気盛んな893さんの多い場所というイメージがあるのかなぁ…?
いや、実際多いんだけどね( ;´∀`)
まあ、エスタたんがいれば気にならないですけど(゚д゚)
個人的に、「サヨナラバス」の更新が楽しみで仕方ない今日この頃…
114 :
CK:03/05/14 06:57 ID:???
>オーパーツの 数々がかなり楽しい
オーパーツは好きなんですが、ア−カムの連中の思想はあまり好きになれないわけでして。
ちなみに、私の好きなオーパーツはYAMAです。
115 :
CK:03/05/14 07:16 ID:???
116 :
名無し三等兵:03/05/15 17:57 ID:Fphw+Ko0
あけ