「Wahyomi’sBAR」〜ミッドナイト・ストーリー
1投稿者:ヾ(゚д゚)ノ゛バカー  投稿日:2003年04月23日(水) 00時57分44秒
 リストラされなかっただけ、マシか…。
 盛り場をふらつきながらそう思い込ませるくらいしか、今の私には自分の足元が崩れて行くような感覚を止める手立てはなかった。
 二年かけて育てたプロジェクトが、後発の会社にあっさりと出し抜かれ頓挫した。チームは解散し、私は第一線から外されてしまった。同時に、三年間関係を続けていた部下の千香が、突然、私に妻と別れ、自分と結婚するよう迫って来た。
 私は心身共に疲れ果てていた。さっきから雨が振り始めたようだが、傘も挿すのも億劫になっていた。スーツが濡れて重い。何もかも放り投げてどこかへ倒れ込んでしまいたくなった私は、路地裏に迷い込み、
見上げると古びたバーのネオンが目に入った。
 私は会員制かどうかも確かめもせず、力なくドアを押し、カウンターに座った。酒はもう十分過ぎるほど飲んでいたが、全く酔えなかった。バーテンが私の前にすっとコースターを置き、急かすでもない間合いで私のオーダーを待っていた。
 ビール、ブランデー、ウヰスキー、ワイン。何を飲んでも酔えそうな気がしなかった私は、暫くコースターをじっと見詰めていた。素っ気無いコルクのコースターには「Wahyomi’s BAR」と焼印が押してあった。
 バーテンがさりげなくオーダーリストを私の目につく所に置いた。
 カクテルリストの中の一つのメニューにだけ、斜線が入れられ、「本日はオーダーストップ」と書かれてあった。絡むつもりはなかったが、私はバーテンに「このカクテルをくれ」と言った。
 「申し訳ありません。本日、そちらのメニューは終了致しておりまして。」バーテンがそう言い終わらぬ内に、マスターらしき男がバーテンの言葉を遮って言った。
2投稿者:ヾ(゚д゚)ノ゛バカー  投稿日:2003年04月23日(水) 00時58分10秒
 「随分、スーツが濡れてらっしゃる。傘をお持ちでなかったんですか?」マスターらしきその男は笑みを浮かべながらそう聞いてきた。
 「・・・・・」私が無言のままでいるとその男は「実は自分用に取っておいたとって置きの一杯があるんですよ。それを差し上げましょう。」と言い、カウンターの奥からグラスを取り出し、手早くカクテルを作った。
 「このカクテルは『電。のパンティ』と言います。身体が暖まりますよ。」
 琥珀色に染まった美しいカクテルだった。飲んだ瞬間にまるで魔法にかかったような気分になった。なんという芳醇な味だろう。こんな酒、いや酒に限らず、口にするもので、これほどまろやかでふくよかな味を私は知らなかった。今までこれを味合えなかった自分の人生が、なんだか損をしていたような気にさえなった。
 私の心を覆っていた雲は晴れ、やがて店の内装や客層にも目に入るようになった。壁には同人誌のジャケットが飾られおり、BGMは80年代のオールドアニソンだった。私は忘れていた何かを思い出した。
 私はグラスを置き、席を立った。
 「お口に合いませんでしたか?」マスターらしき男が尋ねてきた。
 「いいや、こんなに美味しい酒を飲んだのは初めてだ。他のカクテルも飲んでみたいが、それはちゃんと自分を取り戻す事が出来たからにしようと思う。あのカクテルを飲んでなぜかそういう気分になったんだ。」私がそう言うと、
 「では、今日のお代は結構です。ツケにさせていただきますので、必ずまた起こし下さい。」マスターらしき男は最初に見せたのと同じ穏かな笑顔でそう答えた。
 私はドアを開け、外に出た。はたして、雨は上がっていた。
 
 
 今日のレシピ <<<電。のパンティ>>>
 電。のパンティ…3/6
 シャンパン…1/6
 ドライジン…2/6
 ●あらかじめ冷やしておいたシャンパン・グラスに、シャンパンと電。のパンティを注ぎ、軽くステアし、パールオニオンを飾る。
3投稿者:こうは  投稿日:2003年04月23日(水) 01時05分14秒
柳沢きみおっぽい
4投稿者:ヾ(゚д゚)ノ゛バカー  投稿日:2003年04月23日(水) 01時06分19秒
いちびった雑誌の最後の方に掲載されてそうな
5投稿者:ヾ(゚д゚)ノ゛バカー  投稿日:2003年04月23日(水) 01時07分24秒
なんでわざわざツケにするんだ?
6投稿者:ヾ(゚д゚)ノ゛バカー  投稿日:2003年04月23日(水) 01時15分26秒
嫌な店だ
7投稿者:ヾ(゚д゚)ノ゛バカー  投稿日:2003年04月23日(水) 01時18分16秒
お代は結構なのに、なんでツケと突っ込むところなんじゃないかな。
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